説明

デオドラント化粧料

【課題】 消臭剤として有用な酸化亜鉛含有複合粒子を含むデオドラント化粧料の提供。
【解決手段】 酸化亜鉛、粒子状高分子粉体及び溶剤分散性多糖類からなる複合粒子を含有するデオドラント化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消臭剤として有用な酸化亜鉛含有複合粒子を含有するデオドラント化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
体臭には、汗臭、腋臭、足臭などが挙げられるが、これらは臭いのもととなる汗と臭いを生み出す皮膚常在菌により産生されている。これらの体臭に対するデオドラント化粧料には、制汗剤、殺菌剤、消臭剤等が配合されている。
【0003】
消臭剤のうち、酸化亜鉛は、体臭の原因である低級脂肪酸をその金属塩に変換することによって消臭する作用を有し、広く使用されている。また、使用感等を向上させるべく、酸化亜鉛複合粉末も開発されている(特許文献1)。
【特許文献1】特許第2628058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来より消臭剤として使用されている酸化亜鉛や酸化亜鉛複合粉末の消臭効果は未だ十分でなく、またその持続性の点では満足できるものではなかった。
従って、本発明の目的は、消臭効果、その持続性及び使用感に優れる新たな酸化亜鉛複合粒子を含有するデオドラント化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明者は、酸化亜鉛の複合化について種々検討したところ、酸化亜鉛と結晶セルロースとを用い複合化したところ、使用感がよく、ある程度の消臭効果を有する粒子は得られたが、その持続性は十分でなかった。そこでさらに検討を続け、酸化亜鉛及び粒子状高分子粉末に加えて溶剤分散性多糖類を用いて複合化したところ、得られた複合粒子の消臭効果は、汗臭として知られているイソ吉草酸だけでなくアポクリン臭として知られている3−メチル−2−ヘキセン酸に対しても強力な消臭効果を有し、汗をかいた後でもその消臭効果が強力であり、かつその持続性も優れ、かつ使用感も良好であることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、酸化亜鉛、粒子状高分子粉体及び溶剤分散性多糖類からなる複合粒子を含有するデオドラント化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の複合粒子を含有するデオドラント化粧料は、汗臭だけでなく腋臭も強力に消臭し、かつ汗をかいた後の消臭効果が特に優れており、その持続性も良好である。さらに、白残りもせず、使用感も良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明で用いる複合粒子は、酸化亜鉛、粒子状高分子粉体及び溶剤分散性多糖類の3種が複合化した粒子である。当該複合粒子を構成する酸化亜鉛としては、通常化粧料に使用されるものであれば特に限定されず、例えば平均粒子径10nm〜100μm、さらに100nm〜10μm、特に100nm〜1μmのものが好ましい。例えば、微細酸化亜鉛(堺化学工業)等の市販品が使用できる。
【0009】
前記複合粒子中の酸化亜鉛含有量は、消臭効果の点から、0.1〜98質量%、さらに1〜90質量%、特に5〜75質量%が好ましい。
【0010】
粒子状高分子粉体としては、水に不溶で球状又は略球の高分子粉体であれば特に限定されず、例えばセルロース末、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレン−アクリル酸共重合体粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末等が挙げられる。これらは2種以上を混合して用いてもよい。このうち、セルロース末が、使用感、消臭効果、持続性の点で特に好ましい。当該粒子状高分子粉体の平均粒子径は、1〜500μm、さらに10〜100μm、特に20〜50μmが好ましい。
【0011】
前記複合粒子中の粒子状高分子粉体の含有量は、消臭効果及びその持続性の点から1〜98質量%、さらに20〜60質量%、特に20〜50質量%が好ましい。
【0012】
溶剤分散性多糖類としては、水又は有機溶剤中に分散する多糖類であれば特に限定されず、例えば結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース塩、レーヨン、酢酸セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルキチン、デキストリン及びデキストリン脂肪酸エステル等が挙げられ、このうち使用感、消臭効果及びその持続性の点から、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリンが特に好ましい。これらの溶剤分散性多糖類は2種以上を組み合せて使用してもよい。
【0013】
前記複合粒子中の溶剤分散性多糖類の含有量は、消臭効果及びその持続性の点から、2〜30質量%、さらに2〜20質量%、特に5〜15質量%が好ましい。
【0014】
前記複合粒子は、例えば酸化亜鉛、粒子状高分子粉体及び溶剤分散性多糖類を水などの溶剤に分散してスラリーとし、これをスプレードライすることにより製造できる。ここで溶剤としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール、アセトン等が挙げられるが、水が好ましい。また溶剤の使用量は原料全体に対して2〜10質量倍、特に4〜8質量倍が好ましい。
【0015】
前記の複合粒子の平均粒子径は0.1〜800μm、さらに10〜500μm、特に10〜100μmが好ましい。
【0016】
かくして得られる複合粒子は、消臭効果及びその持続性に優れる。特に汗をかいた皮膚に塗布した場合の消臭効果及びその持続性が良好である。さらに、汗臭の原因といわれるイソ吉草酸だけでなく、腋臭の原因といわれる3−メチル−2−ヘキセン酸に対する消臭効果が優れている。さらに、皮膚に塗布しても白残りせず、使用感も良好である。従って、この複合粒子を配合すれば、汗臭及び腋臭の両者を持続的に消臭できるデオドラント化粧料が得られる。
【0017】
本発明デオドラント化粧料中の前記複合粒子の含有量は、0.01〜40質量%、さらに0.05〜40質量%、特に0.05〜30質量%が好ましい。
【0018】
本発明デオドラント化粧料には、さらに制汗剤、殺菌剤、他の消臭剤等を配合することができる。
【0019】
制汗剤としては、例えば、クロロヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛、アルミニウムヒドロキシクロライド、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、フェノールスルホン酸アルミニウム、α−ナフトールジスルホン酸アルミニウム、過ホウ酸ナトリウム、アルミニウムジルコニウムオクタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、ジルコニウムクロロハイドレート、硫酸アルミニウムカリウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、塩基性臭化アルミニウム、アルミニウムナフタリンスルホン酸、塩基性ヨウ化アルミニウム、酸化亜鉛が挙げられる。これらは2種以上を用いてもよい。好ましくは、クロルヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛である。
【0020】
殺菌剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、3,4,4−トリクロロカルバニリド(T.C.C)、トリエチルシトレート(T.E.C)、塩化ベンゼトニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、レゾルシン、フェノール、ソルビン酸、サリチル酸、ヘキサクロロフェン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジンイソプロピルメチルフェノール、銀担持ゼオライト、銀担持シリカなどが挙げられる。これらは2種以上を使用してもよい。好ましくは、塩化ベンザルコニウム、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノールである。
【0021】
他の消臭剤としては、例えば、酸化亜鉛、活性炭、緑茶抽出物などの植物抽出物等が挙げられる。これらは2種以上を用いてもよい。これらのうち、緑茶抽出物が特に好ましい。
【0022】
これらの前記複合粒子以外の制汗剤、殺菌剤、他の消臭剤は、本発明デオドラント化粧料にそれぞれ0〜40質量%、さらに0.01〜30質量%、特に0.05〜20質量%含有するのが好ましい。
【0023】
本発明のデオドラント化粧料には上記した成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲において化粧料に用いられる他の成分、例えば、冷感剤、粉末成分、水溶性成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油、シリコーン油、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料、水等を必要に応じて適宜配合することができる。ここで冷感剤としては、メントール、カンファー、ユーカリ油等が好ましい。
【0024】
本発明のデオドラント化粧料の剤型としては、溶液系、可溶化系、乳化系、粉末分散系、水−油二層系、水−油−粉末三層系等が挙げられる。製品形態も、例えば、エアゾール、化粧水、ロールオン、スティックなどとすることができる。
【実施例】
【0025】
次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。本発明はこれによって限定されるものではない。%は質量%である。
【0026】
実施例1
微粒子酸化亜鉛(堺化学工業(株)、「微細酸化亜鉛」、平均粒径0.3μm)40質量部、セルロース末(大東化成工業(株)、「Cellulobeads-P5」、平均粒径11.0μm)45質量部及び結晶セルロース(旭化成ケミカルズ(株)、「アビセルRC-A591NF」、結晶セルロース含量80%≧)15質量部を4倍量の水に投入し、ディスパにて高速撹拌しながら90℃まで加温し、その後1時間撹拌して分散させた。そのスラリーをスプレードライにて噴霧乾燥して水分を蒸発させた。サイクロンにて分級を行い、10〜100μmの粒子径の複合粒子を得た。
【0027】
実施例2
臭い物質としてイソ吉草酸を用いた。3%イソ吉草酸水溶液を調整し、それをバイアル瓶に1mL加えた。そこに実施例1で得られた複合粒子を0.1g加え、蓋をした。60℃で15分間静置した後、気相部をヘッドスペースガスクロマトグラフにて測定し、イソ吉草酸量を定量した。複合粒子を加えない状態での気相部のイソ吉草酸量をコントロールとし、消臭率を算出した。その結果、消臭率は80%であり、極めて強力な消臭効果が得られた。
【0028】
実施例3
次の表の処方のデオドラント剤を調製した。得られたデオドラント剤は、優れた消臭効果と持続性を有していた。
【0029】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化亜鉛、粒子状高分子粉体及び溶剤分散性多糖類からなる複合粒子を含有するデオドラント化粧料。
【請求項2】
粒子状高分子粉体が、セルロース末、ポリアミド樹脂粉末、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレン−アクリル酸共重合体粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末及びポリ四弗化エチレン粉末から選ばれる粉体である請求項1記載のデオドラント化粧料。
【請求項3】
水分散性多糖類が、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース塩、レーヨン、酢酸セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルキチン、デキストリン及びデキストリン脂肪酸エステルから選ばれるものである請求項1又は2記載のデオドラント化粧料。
【請求項4】
粒状高分子粉体がセルロース末であり、水分散性多糖類が結晶セルロースである請求項1〜3のいずれか1項記載のデオドラント化粧料。
【請求項5】
複合粒子の平均粒子径が0.1〜800μmである請求項1〜4のいずれか1項記載のデオドラント化粧料。

【公開番号】特開2006−232674(P2006−232674A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−45050(P2005−45050)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(398039945)ニベア花王株式会社 (9)
【Fターム(参考)】