説明

デジタルカメラ用集積レンズ及びチップ・アセンブリ

超小型デジタルカメラ、携帯電話、携帯型情報端末、及びそれに類するもの、において動画像を撮像するための集積カメラモジュール(10)である。レンズアセンブリ(24、24a)は成形部品(26)によりカメラチップのセンサーアレイ領域(14)に対して強固に取り付けられる。成形部品(26)はカメラチップ(12)上に形成され、必要に応じてカメラチップが取り付けられたプリント回路基板(16、16a)上に形成される。レンズアセンブリ(24)(24a)は接着剤により成形部品(26)の凹部(29)内に定位置に保持される。成形部品(26)は、精密な間隙(30)がレンズアセンブリ(24)及びカメラチップ(12)のセンサーアレイ領域の間に設けられるように形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概してデジタルカメラ装置の分野に関し、より詳しくは新しい複合アレイ・チップ及びレンズ装置に関する。集積レンズ及び実装チップに関するこの優れた発明についての出願は、低費用のカメラの製造工程に関するものであって、工程において高額な又は複雑なカメラ・アセンブリを使用せずに高品質な画像を作り出す能力が重要な要素である。
【背景技術】
【0002】
小型で安価なカメラ、携帯電話、携帯型装端末及び同等のものに使用される超小型デジタルカメラ・モジュールは非常に需要がある。先行技術においてはそのようなモジュールは一般的に従来型の集積チップ及び/又は板状のアセンブリ上のチップを備えており、それらモジュールは機械的ハウジングに囲まれている。レンズ・ブロック即ちアセンブリはチップ・ハウジングに取り付けられていて、機械的に一列に並べられている。この配列は、取り付けの工程で使用される多数の部品を必要とする。またその配列は一般的に、直線上に並んでいる部材を保持するための一種の取り付け装置又は冶具を必要とする。これもまた大変な労力を要する。加えて、取り付け機械装置は概してかなり精巧で、出来上がった装置が落下した場合などには、容易に定位置からずれる可能性がある。
【0003】
小型で製造費用がかからず、そして作動時の耐久性及び信頼性を兼ね備えた小型カメラ・モジュールを製造するための方法の発明が望まれている。しかしながら発明者の知る限りでは、構成部品の上記の配列は、現在記載されている発明の出現より前に当該装置の製造において使用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、製造が容易でコストのかからないカメラ・モジュールを提供することである。
【0005】
本発明のもう1つの目的は、サイズを非常に小さくしたカメラ・モジュールを提供することである。
【0006】
また本発明の目的として、作動時に耐久性と信頼性が発揮されるカメラ・モジュールを提供することである。
【0007】
更に本発明の目的として、レンズが正確な位置に配されたカメラ・モジュールを提供することであり、それにより動的な位置決めを必要とせずに最良の画質を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施例はレンズ・アセンブリを有する。レンズ・アセンブリは成形された部品を使用して、カメラ・チップに強固に接着されている。成形された部品は、カメラ・チップがすでに取り付けられているプリント回路基板上の定位置で形成される。その後、レンズ・アセンブリは成形品に挿入され接着剤によって定位置に保持される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の方法及び装置によると、レンズは最小限の構成部品及び最小限の作業工程を使用して、カメラ・チップのセンサー表面に対して正確に取り付けられている。最終的なユニットの大きさは非常に小型化でき、このユニットはまた作動中において耐久性と信頼性を兼ね備える。
【0010】
本発明におけるこれらの及び他の目的や利点は、本明細書中及び図面から、本発明の実施形態と産業上の利用可能性とが、当業者に対して明らかになるだろう。本明細書中で列挙又は説明されている目的及び/又は利点は、本発明の実行可能な目的又は利点を全て網羅的に列挙しているわけではない。更に、本願において1つ又は複数の本来の目的及び/又は利点が欠落している場合又は不要の場合であっても、発明を実行することは可能である。
【0011】
また、本発明の様々な実施例が、必ずしも全てではないが1つ又は複数の上述の目的及び/又は利点を達成し得ることを当業者は理解するだろう。したがって、記載された目的及び利点は本発明の必須的な要素ではなく、また限定するものと解釈されるべきではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は図面を引用しながら以下の記載に従って説明される。図面における同様の符号は同一か又は類似の要素を示す。本発明は本発明の目的を実現するための形態の点から記載されているが、本発明の思想又は範囲から逸脱しない限りは、本発明の細部に変更を加えた形態が実施できることは当業者により理解される。本明細書及び/又は図面に示される本発明の実施例及び細部に変更を加えた形態は、単に例示したものにすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。特に記載がなければ、本発明の個別の形態及び要素は省略又は変更することができるか、又は既知の同様な形態及び要素、将来的に開発されるか若しくは将来的に許容可能と判断される未知の代替手段を有することができる。本発明は、本発明に係る思想及び範囲内であれば多様な形態で実施するために変更を加えることもできる。なぜなら本発明は潜在的な応用の可能性が高く、多くのそのような変更に対して適合可能となるよう企図されているためである。
【0013】
以下の記載において、本発明の真理の開示を不明瞭にする可能性のある不必要な複雑性を避けるために、幾つかの既知及び/又は一般に商業的に利用可能な構成要素を具体的に詳述している。この記載に添付されている図面の概略的な図解は必ずしも本発明で実際に使用され得る大きさ及び比率に従って描写されたものではない。むしろ図面は本発明の特定の側面の相対的な配置を示すものであって、本発明の重要な側面の理解を助けるものである。
【0014】
本発明を実行するための既知の形態は集積カメラ・モジュールである。本発明により集積カメラが図1における側面図に一般的に符号(10)で示される。集積カメラ・モジュール(10)がカメラ・チップ(12)を有する。このカメラ・チップ(12)は現在使用されているか、又は将来的に開発される可能性のある他のカメラ・チップと異ならない。カメラ・チップにはセンサーアレイ領域(14)を有し、センサーアレイ(14)に画像を取得させるのに必要又は所望の多くの追加的な要素(時間、及び類似のもの)をも有することを、当業者は認識するであろう。図1の例において、プリント回路基板(PCB、printed circuit board)(16)にカメラ・チップ(12)が装着される(以下に詳述する)。カメラ・チップ(12)が複数のワイヤ接合により(図1においては2つだけが示される)PCB(16)に対して電気的に接続される。
【0015】
PCB(16)はその上に複数の受動素子(18)を有し、受動素子(18)はカメラ・チップ(12)上の要素を接続し、集積カメラ・モジュール(10)の内部回路を構成する。必要に応じて、PCB(16)はある実施形態において、集積カメラ・モジュール(10)を外部素子(図示せず)に電気的に接続するための複数の下部導体パッド(20)を有し(明瞭性を持たせるために図1においてはその一部のみが示されている)、外部素子の例としては作動ボタン、任意的フラッシュ回路、外部デジタルメモリ、外部制御回路、又はその類似のものが挙げられる。同時に、上記した要素がPCBアセンブリ(22)を形成する。PCBアセンブリ(22)は類似のカメラ・モジュールに現在使用されているものと大きく異ならない。
【0016】
本発明によると、レンズ・アセンブリ(24)が成形部品(26)によりPCBアセンブリ(22)に対して配され、接着剤(28)により定位置に保持される。成形部品(26)はPCBアセンブリ(22)上にモールディング材料により形成される(以下に詳述される)。成形部品(26)は十分な精度を有する寸法公差を有し、図1に示されるようにレンズ・アセンブリ(24)が成形部品(26)内の凹部(29)(図2)内部に配される場合、間隙(30)がPCBアセンブリ(22)を基準としたレンズ・アセンブリ(24)の焦点に対して適当となる。レンズ・アセンブリ(24)及びセンサーアレイ(14)の間の最適距離は、使用される特定のレンズの形状及び材質により決定される。間隙(30)の高さは、図1に示されるZ座標(32)におけるレンズ・アセンブリ(24)の配置(以下で詳述する)の関数である。
【0017】
図のレンズ・アセンブリ(24)は特定の設計のレンズを示したものではなく、説明のために、具体的に示されたものである。特定の設計により、レンズ・アセンブリ(24)は単一の部材からなる材料で形成されることができるが、キャリア(図10)に取り付けられる1つ又は複数のレンズ、又は追加的な光学素子を含むことができる。
【0018】
保護カバー(33)はセンサーアレイ領域(14)を覆うように取り付けられ、センサーアレイ領域(14)を製造工程及び組み立て工程中の損傷から保護する。好ましくは、保護カバー(33)は堅牢な光学的に不活性な材料から形成される。ある特定の実施例においては、保護カバーはガラスカバー板であって、成形部品(26)の形成前又は形成中にセンサーアレイ領域(14)を覆うように取り付けられることができる。
【0019】
図2は、レンズ・アセンブリ(24)が取り付けられる前の、図1の集積カメラ・モジュール(10)の上面図である。図2に示される如く、X座標(34)及びY座標(36)におけるレンズ・アセンブリ(24)の配置は成形部品(26)の凹部(29)の位置及び公差により決定される。成形部品(26)内の開口部(38)は、開口部(38)を通してセンサーアレイ領域(14)が見られるように提供される。
【0020】
図3はPCBアセンブリ(22a)のもう1つの例を示す上面図である。図3の例において、カメラ・チップ(12)が(この例においては接着により)代替的なPCB(16a)に取り付けられる様子が示される。代替的なPCB(16a)及びカメラ・チップ(12)の間の電気的な接続を作るために、多数の連結ワイヤ(17)が代替的なPCB(16a)にある同様に多数の連結パッド(42)に接続される。代替的なPCBアセンブリ(22a)もまた、代替的なPCBアセンブリ(22a)を外部回路に電気的に接続するために、複数の連結フィンガー(40)を有する。図1の例とは異なり、図3の例においては、全ての受動素子(18)はカメラ・チップ(12)の一側面に配される。
【0021】
図4はフレックス回路(44)の下方平面図である。フレックス回路(44)上には、代替的なPCBアセンブリ上の連結フィンガ(40)と連結するための連結フィンガ(40)が取り付けられる。更に、フレックス回路(44)は外部回路へ接続するための複数のエッジ・コネクタ・パッド(46)を備える。
【0022】
図5は、組み立て後のフレックス回路アセンブリ(48)の上面図である。フレックス・アセンブリ(48)は図3の代替的なPCBアセンブリ(22a)を備え、代替的なPCBアセンブリ(22a)は図4のフレックス回路(44)に装着されている。代替的なPCBアセンブリ(22a)は硬質回路基板(又はそれと類似するもの)に直接的に取り付けられることも可能である。しかしながら、いくつかの適用においては、フレックス回路(44)は代替的なPCBアセンブリ(22a)の配置に関しては、自由度を許容するであろう。更に、追加的な回路が必要性又は要求に応じてフレックス回路(44)上に含まれることができる。フレックス回路(44)は連結フィンガ(40)とエッジ・コネクタ・パッド(46)の間の電気的な接続を提供するための配線(図示せず)、及び要求に応じて追加的な回路を含むこととなる。
【0023】
図5において、フレックス回路アセンブリ(48)において、連結フィンガ(40)(図5中には図示せず)が要求に応じて適合するように、代替的なPCBアセンブリ(22a)がホットバー連結点(50)でフレックス回路(44)に接続される。当業者の間ではホットバー連結法はよく知られており、この方法を用いてホットバー連結点(50)で素子が接合される。
【0024】
図6は基板ストリップ(52)の上面図である。基板ストリップ(52)中には複数の(図6の例では100個)独立したPCB(16a)が含まれている。基板ストリップ(52)はまた、基板ストリップ(52)を1つ又は複数の配置冶具(図示せず)に配列させるために、複数(図6の例では18個)の位置合わせ孔(54)が含まれている。
【0025】
図7は本発明を実現するために使用され得る、成形枠(56)の上面図である。成形枠(56)はステンレス鋼などの金属で形成される。複数の成形挿入孔(58)(この例においては100個)を定位置に保持するように、成形枠が形成される。成形挿入孔(58)は、成形枠(56)が基板(52)上に配列されたときに、それぞれの成形挿入孔(58)が図6の基板ストリップ(52)上のそれぞれのPCB(16a)の上に正確に位置するように配列される。
【0026】
図8はPCBアセンブリ(22a)のうちの1つの上方に位置する成形挿入孔(58)のうちの1つの側面図である。以下で詳細に記載されるように、本明細書中に特に記載がない限り、基板ストリップ(52)が独立した代替的なPCBアセンブリ(22a)に分割される前に、代替的なPCBアセンブリ(22a)は基板ストリップ(52)上に形成される。図8に示される如く、成形挿入孔(58)は対応した非接着性材の層(59)で被覆され、これにより下方に横たわるセンサ(12)への損傷及び/又は成形挿入孔(58)への成形部品(26)材料への付着を防ぐ。コーティング(59)に使用される特定の材料は成形部品(26)の特定の組成に応じて変化し、当業者の間では知られるように、いくつかの適用では、コーティング材(59)は省略されてもよい。このように、コーティング材(59)は本発明の必須の要素とは考えられていない。モーディング工程自体は本発明に特有のものではない。モールディング技術が技術的によく知られている場面、及び当業者であれば、成形部品(26)及び後述されるそれに相当するものを適切に形成するのに必要な詳細について精通しているであろう。
【0027】
図9は基板ストリップ(52)の例の上面図である。基板ストリップ(52)上には、発明による幾つかの組立てを行う時に、PCBアセンブリ(16a)(図9に示さず)を保護するために、定位置に保護テープ(60)が備えられる。保護テープ(60)の使用は集積カメラ・モジュール(10)を製造するための方法に関連して以下で詳述される。
【0028】
図10は本発明による集積カメラ・モジュール(10a)の例である。図10に示される如く、レンズ・アセンブリ(24a)はプラスチック製レンズ・ハウジング(62)、第1レンズ(64)及び第2レンズ(66)を有する。集積カメラ・モジュール(10a)は一般的には2つのレンズが必要となることを当業者は認識するであろう。従って、図10に示されるような配置は、本発明者により最適と考えられたものである。しかしながら、本発明は1つのレンズのみを使用して実施されてもよい。レンズ・ハウジング(62)が設けられることで第1レンズ(64)及び第2レンズ(66)の間の距離は固定される。第1レンズ(64)及びカメラ・チップ(12)の間の距離は以下で説明されるように設定される。図10の例において、レンズ・アセンブリ(24a)を成形部品(26)内部の定位置に保持する接着剤(28)を受け入れるために、接着ウェル(70)が成形部品(26)の周縁に提供される。
【0029】
図11は本発明によるカメラ・モジュール製造方法(100)の一例を示すフロー図である。この特定の例において、複数のカメラ・モジュールが同時に製造される。第1に、「カメラ・チップの取り付け」工程(102)において、1つ又は複数のカメラ・チップ(12)が1つ又は複数のPCB(16a)にそれぞれ取り付けられる(図6)。次に、「レンズ・マウントのオーバーモールディング」工程(103)において、レンズ・マウント(26)が各カメラ・チップの上に成形される。その後、「装置の分割」工程(104)において、PCB(16a)が互いに分割される(例えば、切離される)。次に、「レンズの取り付け」工程(105)において、レンズ・ハウジング(62)が各レンズ・マウント成形部品(図10中(26))に取り付けられる。最後に、「包装」工程(106)において、完成した集積カメラ・モジュール(10a)が、小型カメラ、電話カメラ、及びそれに類するものを扱うメーカーに出荷するために包装されるか、又は必要に応じて、上述したように、フレックス回路(44)に装着するために包装される。
【0030】
図12は方法(100)のうちカメラ・チップ取り付け工程(102)を実行するためのある特定の方法(107)を要約したフローチャートである。第1に、「保護カバーの配置」工程において、保護カバー(33)がカメラ・チップ(図10中の(12))の上に配置される。必要に応じて、保護カバーの配置は、レンズ・マウントのオーバーモールド工程(103)中に行われてもよく、カメラ・チップの取り付け工程(102)中に別の時点に行われてもよく、又は省略されてもよい。次に、「はんだペーストの印刷」工程(110)において、はんだペーストの線が、基板ストリップ(52)の独立したPCB(16a)上に印刷される。「受動素子の装着」工程(112)において、受動素子(18)がPCB(16a)上に配置される。「リフロー」工程(114)において、基板ストリップ(52)にリフロー・ソルダリング処理が行われる。リフロー・ソルダリング工程(114)に続く「洗浄」工程(116)では、基板ストリップ(52)に対して従来の洗浄処理が行われる。
【0031】
「ダイ・ボンディング」工程(118)において、カメラ・チップ(12)がそれぞれのPCB(16a)に(この例では接着剤により)接合される。「オーブン硬化」工程(120)において、前工程において適用された接着剤がオーブン中で硬化される。「プラズマ洗浄」工程(122)において、(次の工程で)ワイヤが接合される表面が不活性ガスを使用してエッチングされる。「ワイヤ接合」工程(124)において、連結ワイヤ(17)がサーモソニック・ボンディングを使用して接合される。2回目の「プラズマ洗浄」工程(126)において、PCB(16a)が再び洗浄される。
【0032】
図13は、方法(100)のうち、レンズ・マウントのオーバーモールディング工程(103)を行うある特定の方法(127)を要約したフローチャートである。保護カバーの配置工程(128)において、保護カバー(33)がカメラ・チップ(12)上に配置される。但し、保護カバー(33)が既に前工程の一部で装着されている場合、又は保護カバーが不要な場合は、この工程は必要ではない。その後、「オーバーモールディング」工程(129)において、成形枠(56)が基板ストリップ(52)上に配される。成形部品(26)は本明細書中で上述した通りに形成される。本明細書中で既に説明した機能性に加えて、成形部品(26)が保護カバー(33)を定位置に保持する機能を果たすこともできる。その定位置とは、基本的にカメラ・チップ(12)のセンサーアレイ領域(14)中のシーリングである。成形部品(26)は、当業者の間でよく知られた従来の一般的な「オーバーモールディング」技術を使用して形成される。成形部品は、モールディング工程後、カメラ・チップ(12)のセンサーアレイ領域(14)に対する露出を提供する。最後に、「O/M硬化」工程(130)において、成形部品(26)に対して短時間熱されて硬化処理が行われる。
【0033】
図14は、図11の装置の分割工程(104)を実行するある特定の方法(131)を要約したフローチャートである。第1に、「カバーテープの装着」工程(132)において、保護テープ(60)が(図9に示される)PCB(16a)全体を覆うように配される。その後、「切断単離」工程(134)において、別個のPCB(16a)が切離される。切断は保護テープ(60)とともに直に行われ、切断後のPCBは、保護テープ(60)が装着されたままの、複数の別個のPCBアセンブリ(22a)となる。保護テープ(60)は、はんだ付け工程中に部品を保護するための一般的に利用可能な商品、又はそれに類するものとする。最後に、「カバーテープの取り外し」工程(138)において、保護カバー(60)の一部がそれぞれのPCBアセンブリ(22a)から取り外される。
【0034】
図15は、方法(100)におけるレンズの取り付け工程(105)を実行するある特定の方法(139)を要約したフローチャートである。「レンズの取り付け」工程(140)において、レンズ・アセンブリ(24a)のうち1つが各成形部品(図10の26)の中に挿入される。「焦点合わせ及び試験」工程(142)においては、レンズ・アセンブリ(24a)が(図1のZ軸(32)に沿って)上下に移動して、レンズ・アセンブリ(24a)の焦点を、カメラ・チップ(12)のセンサーアレイ領域(14)を基準として完全に合わせる。正確な焦点は、従来の一般的な自動式試験装置により決定される。但し、「オーバーモールディング」工程(128)において、カメラチップ(12)を基準とした成形枠(56)の位置を参照することで、この工程が将来的に削除される可能性があると本発明者は考えている。最後に、「接着剤の調剤及び硬化」工程(144)において、本明細書中で上述したように、紫外線硬化接着剤(28)が適用され、その後紫外線光を使用して硬化処理が行われる。
【0035】
本発明の価値又は範囲を外れない限り、多種の細部に変更を加えた形態が本発明に対して作られてもよい。例えば、本明細書中で説明された例に関連して、図示及び記載された要素の大きさ、形状、数量は、それぞれ又は全てが特定の適用の必要性又は都合により変更されてもよい。
【0036】
同様に、その他の基板の材料、例えば、セラミックが本明細書中で説明されたPCB(16)の代わりに使用されてもよい。
【0037】
その他の変更を加える形態として、本明細書中で示される、空気が充填される間隙(30)を光学的に透明なスペーサ、例えば、透明プラスチック製、ガラス、又はその他の光学的に受け入れられる材料で作製されるように、交換することが考えられる。カメラ・チップ(12)及びレンズ(24)の両方に境界を接するスペーサを提供することで、レンズを取り付ける工程中にレンズに焦点を合わせる必要性が除外される可能性がある。また、二次的なレンズ、例えばズーム・レンズ・アセンブリ及びそれに類するものが、既に構造的に中心にあるレンズ・アセンブリ(24)又は(24a)に適合されてもよい。スペーサが保護カバーとしての機能も果たし、これにより別途保護カバーを用意する必要性が除外される。
【0038】
本発明者は現在、レンズ・アセンブリ(22)(22a)を接着剤により成形部品(26)又はそれに類するものに取り付ける段階は、最も実行可能な方法であると考えているが、レンズ・アセンブリ(22)(22a)を他の機械的手段を用いてカメラ・チップ(12)を基準としてPCB(16)(16a)に固定することも本発明の範囲内に含まれる。他の機械的手段とは機械的クリップ、又はそれに類するものである。
【0039】
方法に変更を加えた形態のうち明白なものとしては、「切断単離」工程(134)前に、レンズ・アセンブリ(24a)を成形部品(26)内に取り付けられる段階を含むことが考えられる。言うまでもなく、これはセンサーアレイ領域(14)の「切断単離」工程(134)中の保護、及びそれに類することを保障するために、方法にその他の変更を加えることが余儀なくされる。
【0040】
追加的な素子及び/又は部品を本発明に容易に加えることができる。考えられる一例としては、成形部品(26)上にガラスカバーを提供することである。これによりカバーが複数の目的に適合する。このカバーは、記憶、伝送、処理中にセンサーアレイ領域(14)を保護したり、装置が「ピック・アンド・プレイス」機械により引き上げられるようなサービスを必要に応じて提供したり、リフロー・ソルダリング工程中にセンサーアレイ領域(14)を保護したりすることができる。
【0041】
上記した内容は全て、本発明の実施形態に利用可能な例の一部にしか過ぎない。当業者はその他にも無数の変更及び代替が、本発明の思想及び範囲から逸脱しない限りにおいて、作られ得ることを容易に観察するであろう。従って、本明細書中で開示される内容は限定されるものではなく、請求の範囲は本発明の全体の範囲を含むものとして解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明による集積カメラ・モジュール(10)(10a)は小型のデジタルカメラ、携帯電話、及びそれに類するものなどの超小型装置内に視覚的画像を撮像するのに幅広く使用されるものである。装置及び方法は多岐にわたる適用に適しており、VGA解像度から1.3メガピクセル、又はそれ以上の解像度の範囲のセンサーモジュールを使用する段階を含む。本明細書中で開示される方法及び装置は、モールディング材料の中でも安価なもので、従来方法を使用してハウジングを装着する場合に比べて加工工程のコストは削減される。この主な要因はモールディング加工が、レンズを1つずつ装着するのではなく、多数の集積カメラ・モジュール(10)を有する全体パネル上で実行されるためである。また、モールディング材料のコストは、レンズの装着に以前から使用されていた独立したハウジングの部材のコストよりも低い。
【0043】
本発明によると、集積カメラ・モジュール(10)の最終的なアセンブリはより堅牢であるとともに、X及びY位置に対してより正確である。これは基板上の同一の局部的な基準特性により制御される。現在の方法は、ハウジングの配置のためにガイド・ピン及び他の方法の使用を含む。これらの方法は、本質的に、より高い寸法精度及びより安定的な座標を備える成形部品と比べて、公差がより大きくなる。
【0044】
本明細書中で上述したように、Z寸法の精度はカメラチップ(12)表面自体を基準とすることで達成されるであろう。カメラチップ(12)の表面はカメラの焦点の重要な基準である。これにより将来的には、多くの場合には動的な位置決めを行う必要性がなくなることが予想される。また、レンズ・アセンブリを、ネジ部を有するハウジングに螺合する必要なく、位置決めが行えることで、本質的にレンズの配置がより安定する。
【0045】
又、本発明により要求される素子の数が減少されること自体が、更にコストの削減につながることが予想される。
【0046】
本発明の集積カメラ・モジュール(10)(10a)が容易に製造されるとともに、カメラ・システムに対する現存の設計構成やその他の未だ着想されていないことに統合されるため、また本明細書中で示された利点が提供されるため、本発明は産業に容易に受け入れられると考えられる。こういった理由及びその他の理由から、本発明の実用性及び産業上の利用可能性はともに、権利範囲及び存続期間が長く持続する点において重要なものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による集積カメラ及びレンズ・アセンブリの実施例の側面図である。
【図2】本発明による部分的に組み立てられた集積カメラ及びレンズ・アセンブリの上面図である。
【図3】本発明によるPCBアセンブリの別の上面図である。
【図4】本発明によるフレキシブル・コネクタの下方平面図である。
【図5】組み立てられたフレキシブルPCB装置の上面図である。
【図6】本発明の実施に使用できる基板ストリップの上面図である。
【図7】本発明の実施に使用できる成形枠上面図である。
【図8】図7の成形挿入孔の1つを示す側面図である。
【図9】定位置に保護テープを備えた図6の基板ストリップを示す上面図である。
【図10】本発明による集積カメラ及びレンズ・アセンブリの代替の実施例を示す側面図である。
【図11】本発明による集積カメラ及びレンズ・アセンブリを製造するための方法を示すフローチャートである。
【図12】図11のカメラ・チップ取り付け工程を実行するためのある特定の方法を要約したフローチャートである。
【図13】図11のレンズ・マウントのオーバーモールディング工程を実行するためのある特定の方法を要約したフローチャートである。
【図14】図11の装置の分割工程を実行するためのある特定の方法を要約したフローチャートである。
【図15】図11のレンズ取り付け工程を実行するためのある特定の方法を要約したフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ集積回路チップと、
レンズと、
集積回路チップを基準としてレンズが位置決めされるようにレンズを保持するための集積回路チップ上に形成される成形部品とを備えることを特徴とするカメラ・モジュール装置。
【請求項2】
カメラ集積回路チップがプリント回路基板上に取り付けられることを特徴とする請求項1記載のカメラ・モジュール装置。
【請求項3】
集積回路チップを覆う保護カバーを更に備えることを特徴とする請求項1記載のカメラ・モジュール装置。
【請求項4】
前記保護カバーが成形されたスペーサであることを特徴とする請求項3記載のカメラ・モジュール装置。
【請求項5】
前記保護カバーがガラス板であることを特徴とする請求項3記載のカメラ・モジュール装置。
【請求項6】
前記成形部品が前記レンズを受容するための凹部を有することを特徴とする請求項1記載のカメラ・モジュール装置。
【請求項7】
前記レンズが接着剤により前記成形部品上の定位置に保持されることを特徴とする請求項1記載のカメラ・モジュール装置。
【請求項8】
前記成形部品は、集積回路チップを基準として前記レンズを位置決めするための凹部を備えることを特徴とする請求項1記載のカメラ・モジュール装置。
【請求項9】
カメラ集積回路と、
レンズ・アセンブリとを備える集積カメラ回路及びレンズ・モジュールであって、
前記レンズ・アセンブリが前記集積回路に取り付けられることを特徴とする集積カメラ回路及びレンズ・モジュール。
【請求項10】
前記レンズ・アセンブリの少なくとも一部と前記集積回路のセンサーアレイの間に間隙が設けられるように前記レンズ・アセンブリが前記集積回路に強固に取り付けられることを特徴とする請求項9記載の集積カメラ回路及びレンズ・モジュール。
【請求項11】
前記レンズ・アセンブリが成形された部品により前記集積回路に取り付けられることを特徴とする請求項9記載の集積カメラ回路及びレンズ・モジュール。
【請求項12】
前記レンズ・アセンブリが接着剤により前記成形部品に装着されることを特徴とする請求項11記載の集積カメラ回路及びレンズ・モジュール。
【請求項13】
前記集積回路が回路板上に取り付けられることを特徴とする請求項9記載の集積カメラ回路及びレンズ・モジュール。
【請求項14】
前記集積回路チップを覆う保護カバーを更に備えることを特徴とする請求項9記載の集積カメラ回路及びレンズ・モジュール。
【請求項15】
前記保護カバーが成形されたスペーサであることを特徴とする請求項14記載の集積カメラ回路及びレンズ・モジュール。
【請求項16】
前記保護カバーがガラス板であることを特徴とする請求項14記載の集積カメラ回路及びレンズ・モジュール。
【請求項17】
集積回路上に収容部をモールディングする段階と、
前記収容部内にレンズ・アセンブリを挿入する段階と、
前記収容部内に前記レンズ・アセンブリを固定する段階とを備えることを特徴とするカメラ・モジュールを製造するための方法。
【請求項18】
前記レンズ・アセンブリが接着剤により前記収容部に固定されることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記収容部が前記集積回路上に成形される前に、前記集積回路が回路板に固定されることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記収容部が前記レンズ・アセンブリを受容するための凹部を含むことを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項21】
前記凹部が前記集積回路から前記レンズ・アセンブリへの距離を定めるための突出部を備えることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記カメラ・モジュールがフレックス回路に取り付けられることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項23】
前記集積回路を覆う保護カバーを配する段階を更に備えることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項24】
前記集積回路上に前記保護カバーを配する段階が、前記集積回路上に収容部を成形する段階において行われることを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記保護カバーが成形されたスペーサであることを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記保護カバーがガラス板であることを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項27】
感光性のアレイを有する集積回路カメラ装置と、
感光性のアレイ上に光を焦束させるためのレンズ・アセンブリとを備えるカメラ装置であって、
前記レンズ・アセンブリが前記集積回路カメラ装置に強固に装着されることを特徴とするカメラ装置。
【請求項28】
前記レンズ・アセンブリが少なくとも1つのレンズを受容するためのハウジングを有することを特徴とする請求項27記載のカメラ装置。
【請求項29】
前記レンズ・アセンブリが2枚のレンズを受容するためのハウジングを有することを特徴とする請求項27記載のカメラ装置。
【請求項30】
前記集積回路カメラ装置が回路板に取り付けられることを特徴とする請求項27記載のカメラ装置。
【請求項31】
前記集積回路カメラ装置が回路板に取り付けられ、
レンズ・アセンブリ受容装置が前記回路板に取り付けられることを特徴とする請求項27記載のカメラ装置。
【請求項32】
前記レンズ・アセンブリ受容装置が成形された収容部であることを特徴とする請求項31記載のカメラ装置。
【請求項33】
前記レンズ・アセンブリが前記レンズ・アセンブリ受容装置内部に強固に取り付けられることを特徴とする請求項31記載のカメラ装置。
【請求項34】
前記レンズ・アセンブリが前記レンズ・アセンブリ受容装置内部に接着剤により装着されることを特徴とする請求項31記載のカメラ装置。
【請求項35】
前記集積回路カメラ装置と前記レンズ・アセンブリの間に配された保護カバーを更に備えることを特徴とする請求項27記載のカメラ装置。
【請求項36】
前記保護カバーが成形されたスペーサであることを特徴とする請求項35記載のカメラ装置。
【請求項37】
前記保護カバーがガラス板であることを特徴とする請求項35記載のカメラ装置。
【請求項38】
前記集積回路カメラ装置上に形成されるオーバーモールドにより前記保護カバーが定位置に保持されることを特徴とする請求項35記載のカメラ装置。
【請求項39】
カメラ集積回路チップと、
レンズと、
集積回路チップを基準としてレンズが位置決めされるようにレンズを保持する手段とを備えることを特徴とするカメラ・モジュール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2007−523568(P2007−523568A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−554218(P2006−554218)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/005139
【国際公開番号】WO2005/081853
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(504318072)フレックストロニクス インターナショナル ユーエスエー,インコーポレーテッド (9)
【Fターム(参考)】