説明

デジタルコンテンツデータの管理システム、管理方法、利用装置及び改変検出装置

【課題】デジタルコンテンツデータの同定において生じる誤判断を防止し、より精度の高い同定を可能とする。
【解決手段】複数種の関数を演算することにより、既知のデジタルコンテンツデータ及び未知のデジタルコンテンツデータから、デジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データを複数種算出する第1関数演算部111及び311と、既知及び未知のデジタルコンテンツデータのそれぞれから抽出された要素データ同士の同一性を、複数種の関数毎に比較する第1の比較部233と、比較部233における複数種の関数毎の比較結果に応じて、既知のデジタルコンテンツデータと未知のデジタルコンテンツデータとの同一性を判定する判定部230とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既知のデジタルコンテンツデータと未知のデジタルコンテンツデータとの同一性を検証するデジタルコンテンツデータの管理システム、管理方法、利用装置及び改変検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信ネッツワークを介したコンテンツデータの配布・販売が普及してきている。ここで、本来、正規管理コンテンツデータは、正規のユーザーにのみその利用を許諾されるべきであるが、デジタル化によりその複製、配布が個人の環境においても容易に行えるため、一旦不正に複製されたデジタルコンテンツデータはインターネットのような広域ネットワークを介して大量に配布される問題が生じている。
【0003】
このような管理された環境以外でのコンテンツデータの流出は、完全に防止することは困難であり、流出されたデジタルコンテンツデータは、そのデジタルコンテンツデータの内容や出所などが不明となりがちである。
【0004】
これらに対応すべく、例えば特許文献1及び2に開示された技術がある。この特許文献1に開示された技術では、あらかじめ音楽データからその楽曲データに固有となるフィンガープリントデータを算出し、後に、その楽曲データの疑われる楽曲の一部から同様に方法で算出されたフィンガープリントと比較することで、その楽曲が同一であることを判定する方法があり、フィンガープリントデータを多数データベースに登録することで、出所不明の音楽データの同定をすることも可能となる。このような特許文献1及び2に開示された技術によれば、出所不明、内容不明なデジタルコンテンツデータの内容を特定することにより、再び管理を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2004−505328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、デジタルコンテンツデータの管理では、完全に同一でない劣化したデジタルデータも同定を行う必要があるため、従来の技術では、判定の精度が低いという問題があった。具体的には、同定の対象となるデジタルコンテンツデータは、様々な流通経路を通過しているため、オリジナルのデジタルコンテンツデータと同一の品質を維持していない場合が多く、多少のデータ劣化があっても、同定を行う必要があり、判定の精度を犠牲にしていた。また、細分化されたデジタルコンテンツデータの部位によっては、他のコンテンツデータの部位と類似するダイジェストデータが多く存在するため、同定の判断において誤判定を起こすことがあった。
【0007】
そこで、本発明は、上記のような問題を解決するものであり、コンテンツデータ配布サービスで管理されたコンテンツデータについて、デジタルコンテンツデータの同一性についての検証を複数の手段によって行うことで、デジタルコンテンツデータの同定において生じる誤判断を防止し、より精度の高い同定を可能とするデジタルコンテンツデータの管理システム、管理方法、利用装置及び改変検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(コンテンツデータの管理システム及び管理方法)
上記課題を解決するために、本発明は、複数種の関数を演算することにより、未知のデジタルコンテンツデータから、デジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データを、複数種算出する関数演算部と、未知のデジタルコンテンツデータから抽出された複数種の要素データと、複数種の関数を演算することにより、既知のデジタルコンテンツデータからデジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される複数種の要素データとの同一性を、複数種の関数毎に比較する比較部と、比較部における複数種の関数毎の比較結果に応じて、既知のデジタルコンテンツデータと未知のデジタルコンテンツデータとの同一性を判定する判定部と、判定結果に応じて、未知のデジタルコンテンツデータの再生を制御する制御部とを有することを特徴とするデジタルコンテンツデータの管理システムである。
【0009】
また、他の発明は、
(1)複数種の関数を演算することにより、既知のデジタルコンテンツデータから、デジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データを複数種算出する配布側関数演算ステップと、
(2)複数種の関数を演算することにより、未知のデジタルコンテンツデータから、デジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データを複数種算出する利用側関数演算ステップと、
(3)既知及び未知のデジタルコンテンツデータのそれぞれから抽出された要素データを取得し、要素データ同士の同一性を、複数種の関数毎に比較する比較ステップと、
(4)比較ステップにおける複数種の関数毎の比較結果に応じて、既知のデジタルコンテンツデータと未知のデジタルコンテンツデータとの同一性を判定する判定ステップと、
(5)判定結果に応じて、未知のデジタルコンテンツデータの再生を制御する制御ステップと
を有することを特徴とするデジタルコンテンツデータの管理方法である。
【0010】
これらの発明によれば、既知のデジタルコンテンツデータと未知のデジタルコンテンツデータとの同一性の判定において、複数種の関数を演算して得られた複数種の要素データ(フィンガープリント)を比較するので、デジタルコンテンツデータ同士を、異なる基準や手法で比較することができ、類似する他のデジタルコンテンツデータと誤って判定することを防止し、精度の高い同定を行うことができ、デジタルコンテンツデータの再生を適切に制御することができる。
【0011】
さらに、本発明は、未知のデジタルコンテンツデータの一部分である部分データを複数個抽出する部分データ抽出部と、各部分データに対して、関数を演算することにより、各部分データから、部分データの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データを算出する関数演算部と、部分データから抽出された要素データと、関数を演算することにより、既知のデジタルコンテンツデータからデジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データとの同一性を、部分データ毎に比較する比較部と、比較部における部分データ毎の比較結果に応じて、既知のデジタルコンテンツデータと未知のデジタルコンテンツデータとの同一性を判定する判定部と、判定結果に応じて、未知のデジタルコンテンツデータの再生を制御する制御部とを有することを特徴とするデジタルコンテンツデータの管理システムである。
【0012】
また、他の発明は、
(1)未知のデジタルコンテンツデータの一部分である部分データを複数個抽出する部分データ抽出ステップと、
(2)各部分データに対して、関数を演算することにより、各部分データから、部分データの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データを算出する関数演算ステップと、
(3)既知のデジタルコンテンツデータ及び部分データのそれぞれから抽出された要素データ同士の同一性を、部分データ毎に比較する比較ステップと、
(4)比較ステップにおける複数の部分データ毎の比較結果に応じて、既知のデジタルコンテンツデータと未知のデジタルコンテンツデータとの同一性を判定する判定ステップと、
(5)判定結果に応じて、未知のデジタルコンテンツデータの再生を制御する制御ステップと
を有することを特徴とするデジタルコンテンツデータの管理方法である。
【0013】
これらの発明によれば、既知のデジタルコンテンツデータと未知のデジタルコンテンツデータとの同一性の判定において、細分化されたコンテンツデータの部分データを抽出し、その部分データ毎に要素データ(フィンガープリント)を比較するので、デジタルコンテンツデータ同士をより詳細に比較することができ、類似する他のデジタルコンテンツデータと誤って判定することを防止し、精度の高い同定を行うことができ、デジタルコンテンツデータの再生を適切に制御することができる。
【0014】
なお、上記発明において、同一性の程度を信頼性情報として算出し、その算出された信頼性情報に基づいて、要素データ同士の同一性の判定を行うことが望ましい。この場合には、要素データ同士を比較する際、その同一性の程度を示す信頼性情報を算出し、その信頼性情報を加味して同一性を評価し、デジタルコンテンツデータの同定を行うので、より詳細に正規のデジタルコンテンツデータを判定することができ、誤判定を低減できる。ここで、信頼性情報としては、算出した要素データが同一性の判定に適したデジタルコンテンツデータの部位であるか否かや、要素データ算出の確からしさを示すデータが含まれる。
【0015】
上記デジタルコンテンツデータの管理システム及び管理では、以下のような他の発明であるデジタルコンテンツデータのコンテンツ利用装置及び改変検出装置を用いることができる。
【0016】
(デジタルコンテンツデータの利用装置)
すなわち、デジタルコンテンツデータの利用装置の発明は、未知のデジタルコンテンツデータを管理装置に送信する送信部と、未知のデジタルコンテンツデータと、管理装置で管理されている既知のコンテンツデータとの同一性に関する判定結果を、管理装置から受信する受信部と、受信部が受信した判定結果に応じて、未知のデジタルコンテンツデータの再生を制御する制御部とを有し、同一性に関する判定は、複数種の関数を演算することにより、未知のデジタルコンテンツデータ及び既知のデジタルコンテンツデータから、デジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データを、複数種算出し、未知のデジタルコンテンツデータ及び既知のデジタルコンテンツデータのそれぞれから抽出された要素データ同士の同一性を、複数種の関数毎に比較することにより行われることを特徴とする。
【0017】
このような発明によれば、再生しようとする未知のデジタルコンテンツデータと、改変検出サービス者側で管理された既知のデジタルコンテンツデータとについて、複数種の関数を演算し、その得られた複数種の要素データを比較し、各関数毎の一致度から再生に係るコンテンツデータの正当性を判定することから、管理されたコンテンツデータを誤って再生不可とすることを防止し、適切にコンテンツデータの再生を制御することができる。特に、この発明によれば、同定処理の対部分をコンテンツデータ改変検出装置側で行い、コンテンツ利用装置では、同定に係るコンテンツデータをコンテンツデータ改変検出装置側に送信し、その同定結果の返信を受けて再生制限を行うことができ、コンテンツ利用装置側での処理を軽減し、装置の小型・軽量化を図ることができる。
【0018】
さらに、他のデジタルコンテンツデータのコンテンツ利用装置の発明は、複数種の関数を演算することにより、未知のデジタルコンテンツデータから、デジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データを、複数種算出する関数演算部と、関数演算部が算出した複数種の要素データを改変検出装置に送信する送信部と、送信部が送信したデジタルコンテンツデータと、改変検出装置で管理されている既知のコンテンツデータとの同一性に関する判定結果を、改変検出装置から受信する受信部と、受信部が受信した判定結果に応じて、送信部が送信したデジタルコンテンツデータの再生を制御する制御部とを有し、同一性に関する判定は、未知のデジタルコンテンツデータ及び既知のデジタルコンテンツデータのそれぞれから抽出された要素データ同士の同一性を、複数種の関数毎に比較することにより行われることを特徴とする。
【0019】
このような発明によれば、再生しようとする未知のデジタルコンテンツデータと、改変検出サービス者側で管理された既知のデジタルコンテンツデータとについて、複数種の関数を演算し、その得られた複数種の要素データを比較し、各関数毎の一致度から再生に係るコンテンツデータの正当性を判定することから、管理されたコンテンツデータを誤って再生不可とすることを防止し、適切にコンテンツデータの再生を制御することができる。特に、この発明によれば、同定処理の対部分をコンテンツ利用装置側で行い、コンテンツデータ改変検出装置20側では、同定に係るコンテンツデータに対応する要素データ及びダイジェストデータをコンテンツ利用装置側に送信する。これにより、コンテンツデータ改変検出装置側での処理を軽減し、装置の処理が一点に集中することを防止することができる。
【0020】
また、他のデジタルコンテンツデータのコンテンツ利用装置の発明は、未知のデジタルコンテンツデータを改変検出装置に送信する送信部と、未知のデジタルコンテンツデータと、改変検出装置で管理されている既知のコンテンツデータとの同一性に関する判定結果を、改変検出装置から受信する受信部と、受信部が受信した判定結果に応じて、未知のデジタルコンテンツデータの再生を制御する制御部とを有し、同一性に関する判定は、未知のデジタルコンテンツデータの一部分である部分データを複数個抽出し、関数を演算することにより、部分データ及び既知のデジタルコンテンツデータから、デジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データを算出し、部分データ及び既知のデジタルコンテンツデータのそれぞれから抽出された要素データ同士の同一性を、部分データ毎に比較することにより行われることを特徴とする。
【0021】
このような発明によれば、再生しようとする未知のデジタルコンテンツデータと、改変検出サービス者側で管理された既知のデジタルコンテンツデータとについて、それぞれから抽出された部分データ単位で比較を行うことから、より適切にコンテンツデータの再生を制御することができる。特に、この発明によれば、同定処理の対部分をコンテンツデータ改変検出装置側で行い、コンテンツ利用装置では、同定に係るコンテンツデータをコンテンツデータ改変検出装置側に送信し、その同定結果の返信を受けて再生制限を行うことができ、コンテンツ利用装置側での処理を軽減し、装置の小型・軽量化を図ることができる。
【0022】
さらに、他のデジタルコンテンツデータのコンテンツ利用装置の発明は、未知のデジタルコンテンツデータの一部分である部分データを複数個抽出する部分データ抽出部と、各部分データに対して、関数を演算することにより、各部分データから、部分データの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データを算出する関数演算部と、要素データを改変検出サービス者側に送信する送信部と、要素データと、改変検出サービス者側で管理された要素データとの同一性に関する判定結果を、改変検出サービス者側から受信する受信部と、受信された判定結果に応じて、再生に係るデジタルコンテンツデータの再生を制御する制御部とを有し、改変検出サービス者側における同一性に関する判定は、既知のデジタルコンテンツデータに対し、部分データ毎に比較することにより行われることを特徴とする。
【0023】
このような発明によれば、再生しようとする未知のデジタルコンテンツデータと、改変検出サービス者側で管理された既知のデジタルコンテンツデータとについて、それぞれから抽出された部分データ単位で比較を行うことから、より適切にコンテンツデータの再生を制御することができる。特に、この発明によれば、同定処理の対部分をコンテンツ利用装置側で行い、コンテンツデータ改変検出装置側では、同定に係るコンテンツデータに対応する要素データ及びダイジェストデータをコンテンツ利用装置側に送信する。これにより、コンテンツデータ改変検出装置側での処理を軽減し、装置の処理が一点に集中することを防止することができる。
【0024】
なお、上記発明において、改変検出サービス者側では、同一性の程度を信頼性情報として算出し、算出された信頼性情報に基づいて、同一性の判定を行うことが好ましい。この場合には、要素データ同士を比較する際、その同一性の程度を示す信頼性情報を算出し、その信頼性情報を加味して同一性を評価し、デジタルコンテンツデータの同定を行うので、より詳細に正規のデジタルコンテンツデータを判定することができ、誤判定を低減して、より適切にコンテンツデータの再生を制御することができる。
【0025】
(デジタルコンテンツデータの改変検出装置)
一方、デジタルコンテンツデータの改変検出装置の発明は、複数種の関数を演算することにより、未知のデジタルコンテンツデータから、デジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データを、複数種算出する関数演算部と、未知のデジタルコンテンツデータから抽出された複数種の要素データと、複数種の関数を演算することにより、既知のデジタルコンテンツデータからデジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される複数種の要素データとの同一性を、複数種の関数毎に比較する比較部と、比較部における複数種の関数毎の比較結果に応じて、既知のデジタルコンテンツデータと未知のデジタルコンテンツデータとの同一性を判定する判定部とを有することを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、既知のデジタルコンテンツデータと未知のデジタルコンテンツデータとの同一性の判定を行う際、複数種の関数を演算し、その得られた複数種の要素データから比較するので、コンテンツデータ同士を、異なる基準や手法で比較することができ、類似する他のデジタルコンテンツデータと誤って判定することを防止し、精度の高い同定を行うことができる。特に、この発明によれば、同定処理の対部分をコンテンツデータ改変検出装置側で行い、コンテンツ利用装置では、同定に係るコンテンツデータをコンテンツデータ改変検出装置側に送信し、その同定結果の返信を受けて再生制限を行うことができ、コンテンツ利用装置側での処理を軽減し、装置の小型・軽量化を図ることができる。
【0027】
さらに、他のデジタルコンテンツデータの改変検出装置の発明は、複数種の関数を演算することにより、未知のデジタルコンテンツデータから、デジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される複数種の要素データと、複数種の関数を演算することにより、既知のデジタルコンテンツデータからデジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される複数種の要素データとの同一性を、複数種の関数毎に比較する比較部と、比較部における複数種の関数毎の比較結果に応じて、既知のデジタルコンテンツデータと未知のデジタルコンテンツデータとの同一性を判定する判定部とを有することを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、既知のデジタルコンテンツデータと未知のデジタルコンテンツデータとの同一性の判定を行う際、複数種の関数を演算し、その得られた複数種の要素データから比較するので、コンテンツデータ同士を、異なる基準や手法で比較することができ、類似する他のデジタルコンテンツデータと誤って判定することを防止し、精度の高い同定を行うことができる。特に、この発明によれば、同定処理の対部分をコンテンツ利用装置側で行い、コンテンツデータ改変検出装置側では、同定に係るコンテンツデータに対応する要素データ及びダイジェストデータをコンテンツ利用装置側に送信する。これにより、コンテンツデータ改変検出装置側での処理を軽減し、装置の処理が一点に集中することを防止することができる。
【0029】
また、他のデジタルコンテンツデータの改変検出装置の発明は、未知のデジタルコンテンツデータの一部分である部分データを複数個抽出する部分データ抽出部と、各部分データに対して、関数を演算することにより、各部分データから、部分データの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データを算出する関数演算部と、部分データから抽出された要素データと、関数を演算することにより、既知のデジタルコンテンツデータからデジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データとの同一性を、部分データ毎に比較する比較部と、比較部における部分データ毎の比較結果に応じて、既知のデジタルコンテンツデータと未知のデジタルコンテンツデータとの同一性を判定する判定部とを有することを特徴とする。
【0030】
この発明によれば、既知のデジタルコンテンツデータと未知のデジタルコンテンツデータとの同一性の判定において、細分化されたデジタルコンテンツデータの部分データを抽出し、その部分データ毎に比較するので、デジタルコンテンツデータ同士を、より詳細に比較することができ、類似する他のデジタルコンテンツデータと誤って判定することを防止し、精度の高い同定を行うことができる。特に、この発明によれば、同定処理の対部分をコンテンツデータ改変検出装置側で行い、コンテンツ利用装置では、同定に係るコンテンツデータをコンテンツデータ改変検出装置側に送信し、その同定結果の返信を受けて再生制限を行うことができ、コンテンツ利用装置側での処理を軽減し、装置の小型・軽量化を図ることができる。
【0031】
さらに、他のデジタルコンテンツデータの改変検出装置の発明は、再生に係るデジタルコンテンツデータの一部分である部分データを複数個抽出し、各部分データに対して、関数を演算することにより、各部分データから、部分データの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データを受信する受信部と、既知のデジタルコンテンツデータ及び部分データのそれぞれから抽出された要素データ同士の同一性を、部分データ毎に比較する比較部と、比較部における複数の部分データ毎の比較結果に応じて、既知のデジタルコンテンツデータと未知のデジタルコンテンツデータとの同一性を判定する判定部と、判定部による判定結果を、コンテンツデータ利用者側に送信する送信部とを有することを特徴とする。
【0032】
この発明によれば、既知のデジタルコンテンツデータと未知のデジタルコンテンツデータとの同一性の判定において、細分化されたデジタルコンテンツデータの部分データを抽出し、その部分データ毎に比較するので、デジタルコンテンツデータ同士を、より詳細に比較することができ、類似する他のデジタルコンテンツデータと誤って判定することを防止し、精度の高い同定を行うことができる。特に、この発明によれば、同定処理の対部分をコンテンツ利用装置側で行い、コンテンツデータ改変検出装置側では、同定に係るコンテンツデータに対応する要素データ及びダイジェストデータをコンテンツ利用装置側に送信する。これにより、コンテンツデータ改変検出装置側での処理を軽減し、装置の処理が一点に集中することを防止することができる。
【0033】
なお、上記発明において、判定部は、前記同一性の程度を信頼性情報として算出するとともに、該信頼性情報に基づいて、前記同一性の判定を行うことが好ましい。この場合には、判定部は、信頼性情報を加味して同一性の判定を行うので、より詳細に真のデジタルコンテンツデータを判定することができ、誤判定を低減することができる。
【発明の効果】
【0034】
以上述べたように、この発明によれば、コンテンツデータ配布サービスで管理されたコンテンツデータについて、デジタルコンテンツデータの同一性についての検証を複数の手段によって行うことで、デジタルコンテンツデータの同定において生じる誤判断を防止し、より精度の高い同定を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1実施形態に係るコンテンツデータの管理システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係るコンテンツデータ配信装置の構成を概念図である。
【図3A】第1実施形態に係るコンテンツ利用装置の第1関数演算部を拡大して示すブロック図である。
【図3B】第1実施形態に係るコンテンツ利用装置のフィンガープリント検証部を拡大して示すブロック図である。
【図4A】第1実施形態に係る実施形態に係るコンテンツデータ管理システムの動作を示すフローチャート図である。
【図4B】第1実施形態に係る実施形態に係るコンテンツデータ管理システムにおける評価値の算出処理を示す説明図である。
【図5A】第1実施形態に係るコンテンツデータ配信装置の動作を示すフローチャート図である。
【図5B】第1実施形態に係るコンテンツ利用装置の動作を示すフローチャート図である。
【図5C】第1実施形態に係る改変検出装置の動作を示すフローチャート図である。
【図6】第2実施形態に係るコンテンツデータ管理システムの全体構成を示すブロック図である。
【図7】第2実施形態に係るコンテンツデータ配信装置及びコンテンツデータ改変検出装置の構成を示す概念図である。
【図8】第2及び第3実施形態に係るコンテンツデータの構成を示す説明図である。
【図9】第2実施形態に係るコンテンツデータ管理システムのコンテンツデータ登録時における動作を示すフローチャート図である。
【図10】第2実施形態の変更例に係るコンテンツデータ管理システムのコンテンツデータ登録時における動作を示すフローチャート図である。
【図11】第3実施形態に係るコンテンツ利用装置及びコンテンツデータ改変検出装置の構成を示す概念図である。
【図12】第2実施形態に係るコンテンツデータ管理システムのサービス識別処理時における動作を示すフローチャート図である。
【図13】第3実施形態の変更例に係るコンテンツデータ管理システムのコンテンツデータ登録時における動作を示すフローチャート図である。
【図14】第1〜3実施形態に係るコンテンツデータの管理システムの変更例1を示すブロック図である。
【図15】第1〜3実施形態に係るコンテンツデータの管理システムの変更例2を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[第1実施形態]
以下に添付図面を参照して、本発明に係るデジタルコンテンツデータの管理システムの第1実施形態を詳細に説明する。図1は、第1実施形態に係るデジタルコンテンツデータシステムの全体構成を示す概念図である。なお、説明中で用いられる「モジュール」とは、装置や機器等のハードウェア、或いはその機能を持ったソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成され、所定の動作を達成するための機能単位を示す。
【0037】
(第1実施形態の概要)
本実施形態においては、図1に示すように、デジタルコンテンツデータの管理システムは、デジタルコンテンツデータの販売・配布サービスを行うためのコンテンツ配布装置10と、販売・配布されたデジタルコンテンツデータを視聴するためのコンテンツ利用装置30と、コンテンツ利用装置30で視聴されようとしているコンテンツデータの正当性を検証するコンテンツデータ改変検出装置20とから概略構成される。
【0038】
そして、本実施形態では、コンテンツ利用装置30において、配布されたデジタルコンテンツデータを利用する際に、利用に係るデジタルコンテンツデータD2に対して第1の関数を実行して得られる要素データD12と、改変検出装置20の要素データD11とを比較する。この要素データD12とD11とが一致した場合、さらに、デジタルコンテンツデータD2に対して第2の関数を実行して得られるダイジェストデータD22と、改変検出装置20のダイジェストデータD21とを比較し、これが一致した場合に、配布されたデジタルコンテンツデータD2が正当であるとして再生を許可し、逆に、ダイジェストデータD22とD21とが一致しない場合に、改変されたコンテンツデータであると判定し、その利用を制限する。
【0039】
ここで、データ利用を制限する方法としてはデジタルコンテンツデータの利用(視聴など)を禁止したり、利用させるにあたって改変されたデータであることをコンテンツ利用装置に備えたユーザーインターフェースを通じて利用者に通知したり、デジタルコンテンツデータ35を所得した伝送経路を示す情報、例えばダウンロードURL情報などを管理サービスに送信するなどの制御を行ってもよい。また、他のデータ利用の制限方法としては、例えば、再生される音声や映像にノイズを合成して出力したり、断続的に再生させたり等が挙げられる。
【0040】
(コンテンツ配布装置の構成)
コンテンツ配布装置10は、管理された任意のコンテンツデータD01を販売・配布するサービス提供者が使用する装置であり、検証用コンテンツデータD02を改変検出装置20に登録する検証系モジュールと、配布用コンテンツデータD03を配布する配布系モジュールとを備えている。なお、これら各モジュールの動作は制御部120により制御される。
【0041】
コンテンツ配布装置10の検証系モジュールとしては、圧縮部101と、伸張部102と、第1及び第2関数演算部111及び112と、登録部105とを有している。また、コンテンツ配布装置10の配布系モジュールとしては、暗号化部103と、配信部104とを有している。
【0042】
第1関数演算部111は、第1の関数を演算することにより、既知のデジタルコンテンツデータD1から、デジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データD11をそれぞれ算出するモジュールである。具体的にこの第1の関数は、入力されたデジタルコンテンツデータを人間が視聴する場合において、デジタルコンテンツデータの品質を司る要素を抽出する特性を有し、その品質を損なわない程度に改変されても変化しない値を出力する関数、例えば、音響や映像などのデジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいた値(フィンガープリント)を算出する関数を採用することができる。なお、デジタルコンテンツデータの品質を司る要素としては、音量の変化や、周波数スペクトルの変化などが挙げられる。
【0043】
なお、フィンガープリントを算出する方法としては、スペクトル・スライス・フィンガープリント、マルチスライス・フィンガープリント、LPC係数、ケプストラム係数、スペクトルピークの周波数成分を含む種々の方法を利用することができる。例えば、線形予測符号化(LPC) 分析は、信号の予測可能な線形な特性であるスペクトル形状の他にスペクトルピークを抽出するものであり、また、ケプストラム係数は、音声や多くの楽器のような調波構造の信号を特徴付けるのに有用であり、これらを利用して、フィンガープリントを算出することができる。
【0044】
この第1関数演算部111により、圧縮されたデジタルコンテンツデータを復号したり、アナログ変換されたコンテンツデータをデジタル変換するなどして得られた、劣化したデジタルデータからでもオリジナルのデジタルデータと同じフィンガープリントを算出することができる。
【0045】
また、本実施形態において、第1関数演算部111は、図2に示すように、複数種の関数を演算するフィンガープリント演算部111a〜111cと、コンテンツデータから複数の部分データを抽出する部分データ抽出部121とを有する。そして、部分データ抽出部121で抽出された各部分データに対し、フィンガープリント演算部111a〜111cのそれぞれにおいて、複数種の関数を演算することにより、既知のデジタルコンテンツデータD1及び未知のデジタルコンテンツデータD2から、デジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データD11を、複数種算出し、改変検出装置20の各データベース210a〜210cに登録する。
【0046】
一方、第2関数演算部112は、第2の関数を演算することにより、既知のデジタルコンテンツデータD1から、デジタルコンテンツデータのビット配列に基づいて抽出されるダイジェストデータD21を算出するモジュールである。具体的にこの第2の関数は、入力されたデジタルコンテンツデータのいずれの1ビットでも変更された場合には、出力する値が変更されるような特性を有する関数、例えば、デジタルデータの全ての内容を吟味することなく、そのデジタルデータに固有の非可逆的な値(ハッシュ値)を算出する関数を採用することができる。また、同一の圧縮データから異なる復号装置によって復号された際に生じる僅かな違いのあるデータを入力した場合には同じ値を出力し、それ以上の差異のあるデータが入力された場合には異なる値を出力する関数を採用することもできる。
【0047】
なお、このハッシュ値を算出する関数としては、与えられたデータに対して128bitのハッシュ値を高速に出力するMD4(MessageDigest 4)や、異なるデータから同一のハッシュ値が生成されてしまう「コリジョン」を解消したMD5(MessageDigest 5)、このMD5よりもさらに「コリジョン」を解消し、160bitのハッシュ値を出力するSHA(Secure Hash Algorithm)等を利用することが可能である。
【0048】
圧縮部101は、管理されたデジタルコンテンツデータD01を、圧縮処理により変換して配布用コンテンツデータD03及び検証用コンテンツデータD02を生成するモジュールである。この圧縮処理では、この圧縮部101から出力され、伸張部102により伸張されるデジタルコンテンツデータが、第一の関数によって処理された場合に、その第一の関数の出力値が変更されない程度にデジタルコンテンツデータを改変する特性を有する。ここで、上記圧縮処理、及び逆処理としては、デジタルコンテンツデータなどの圧縮・伸張に広く普及している非可逆圧縮・伸張を用いることができる。例えば、圧縮方式としては、ISO/IEC 11172-5、ISO/IEC 13818-5、ISO/IEC 14496-5、ISO/IEC 11172-3、ISO/IEC 13818-7、ISO/IEC 14496-3などのMPEG標準などで定められたものや類似の効果を持ったものを利用してもよい。
【0049】
一方、伸張部102は、検証用コンテンツデータD02を、上記第3の関数の逆処理を行う関数により元のデータサイズに逆処理(ここでは、伸張処理)し、この逆変換されたデータを既知のデジタルコンテンツデータとして第1関数演算部111及び第2関数演算部112に入力するモジュールであり、入力されたデジタルコンテンツデータを復元する。なお、この伸張部102による伸張処理は、第2関数演算部112に入力されるデータについては省略可能であり、この場合は、検証用コンテンツデータD02が圧縮されたままの状態で第2関数演算部112に入力されダイジェストデータD21の算出が行われる。この伸張部102による伸張処理及びその省略は、適宜選択して切り換えることができる。
【0050】
登録部105は、第1関数演算部111及び第2関数演算部112によって算出された既知のデジタルコンテンツデータD1の要素データD11及びダイジェストデータD21をメモリー等に登録するモジュールある。本実施形態において、登録部105には、送信部105aを備えられており、この送信部105aから算出された既知のデジタルコンテンツデータD1の要素データD11及びダイジェストデータD21をコンテンツデータ改変検出装置20に送信する。送信部105aは、通常の通信インターフェースであり、公衆電話回線やインターネット等の通信ネットワークを通じて、データの送受信を行い、検証用コンテンツデータD02から得られた要素データD11及びダイジェストデータD21を既知の要素データ及びダイジェストデータとしてコンテンツデータ改変検出装置20に送信する。
【0051】
暗号化部103は、配信に係る配布用コンテンツデータD03を暗号化するモジュールである。なお、この暗号化部103は、構成上又はデータ処理上、省略することが可能であり、省略した場合には、配布用コンテンツデータD03がそのまま配信部104に入力され、配信される。
【0052】
配信部104は、通信ネットワーク等の伝送経路を通じて配布用コンテンツデータD03を配布するモジュールであり、例えば、WWW(World Wide Web)等のドキュメントシステムにおいて、HTML(HyperText Markup Language)ファイルや画像ファイル、音楽ファイルなどの情報送信を行うサーバコンピュータ或いはその機能を持ったソフトウェアであり、HTML文書や画像などの情報を蓄積しておき、Webブラウザなどのクライアントソフトウェアの要求に応じ、インターネットなどのIP網を通じて、これらの情報を送信する。
【0053】
(コンテンツデータ改変検出装置の構成)
コンテンツデータ改変検出装置20は、改変検出サービス者が使用し、既知のデジタルコンテンツデータD1と未知のデジタルコンテンツデータD2との同一性を判定する機能を備えたコンテンツデータ管理装置である。具体的に、コンテンツデータ改変検出装置20は、デジタルコンテンツデータの同一性の判定をする判定係モジュールである判定部230と、サービス提供側から既知のデジタルコンテンツデータの要素データD11及びダイジェストデータD21を取得する対サービス系モジュールと、ユーザー側で再生されようとしている未知のデジタルコンテンツデータの要素データD12及びダイジェストデータD22を取得し、送信する検証対象取得系モジュールとを備えている。
【0054】
対サービス系モジュールとしては、受信部201と、データベース210とを備えている。受信部201は、コンテンツ配布装置10から送信された既知のデジタルコンテンツデータ(検証用コンテンツデータD02)の要素データD11及びダイジェストデータD21を受信する。特に、本実施形態において、受信部201は、配信に係るデジタルコンテンツデータD1から、各デジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される複数種の要素データD11をそれぞれ受信する。
【0055】
データベース210は、コンテンツ配布装置10から取得された「管理されているコンテンツデータ」である既知のデジタルコンテンツデータD1と、各デジタルコンテンツデータD1の要素データD11とダイジェストデータD21とを関連づけて蓄積する記憶装置である。データベース210において、各デジタルコンテンツデータD1には、一意のコンテンツデータ識別情報が付加されており、各デジタルコンテンツデータD1は、コンテンツデータ識別情報により識別される。データベース210は、例えばハードディスクやメモリーカード等のデバイスを採用することができる。また、データベース210は、複数のデータベース装置210a〜210cから構成されたリレーショナルデータベースであり、各データベース装置210a〜210cには、各デジタルコンテンツデータD1の要素データが、要素データを生成した際の関数毎に分類されて格納されている。
【0056】
判定係モジュールである判定部230は、コンテンツデータ利用装置30側の制御部307及び評価部3112と協働して、複数種の関数毎の比較結果に応じて、既知のデジタルコンテンツデータと未知のデジタルコンテンツデータとの同一性を判定する機能であり、具体的には、第1及び第2の比較部233,234と、照合部231と、検索部232とを備えている。なお、特に本実施形態において、判定部230は、複数種の関数毎の比較結果、及び抽出された部分データ毎の比較結果に応じて、既知のデジタルコンテンツデータD1と未知のデジタルコンテンツデータD2との同一性を判定する。
【0057】
検索部232は、既知及び未知のデジタルコンテンツデータD1及びD2のそれぞれに対応する要素データD11及びダイジェストデータD21をデータベース210から検索するモジュールである。データベース210には、コンテンツ配布装置10から取得された「管理されているコンテンツデータ」である既知のデジタルコンテンツデータD1と、各デジタルコンテンツデータD1の要素データD11とダイジェストデータD21とを関連づけて蓄積されており、検索対象である要素データと同一又は近似する要素データを検索することにより、検索された要素データに関連づけられたダイジェストデータを抽出できる。
【0058】
第1の比較部233は、既知及び未知のデジタルコンテンツデータD1及びD2のそれぞれから抽出された要素データD11及びD12同士の同一性を比較するモジュールであり、第2の比較部234は、既知及び未知のデジタルコンテンツデータD1及びD2のそれぞれから抽出されたダイジェストデータD21及びD22同士の同一性を比較するモジュールである。これら比較部233,234における比較結果は、照合部231に入力される。特に本実施形態において、第1の比較部233は、再生に係るデジタルコンテンツデータD2及び配信に係るデジタルコンテンツデータD1のそれぞれから、複数種の関数により抽出された要素データ同士の同一性を、複数種の関数毎に比較する。
【0059】
判定部230の照合部231は、コンテンツデータ利用装置30側の制御部307及び評価部3112と協働して、第1及び第2の比較部233及び234それぞれの比較結果に応じ、既知のデジタルコンテンツデータD1と未知のデジタルコンテンツデータD2との同一性を判定するモジュールである。特に、照合部231は、比較される要素データ同士について、それらの同一性の程度を信頼性情報reliabilityとして算出する機能を備えている。本実施形態では、第1及び第2の比較部233及び234による比較、及び信頼性情報reliabilityの算出を改変検出装置20側で行い、これらに基づく最終的な判定処理、及び利用制御処理はコンテンツ利用装置30側で行う。判定部230は、改変検出装置20側の処理を集計しコンテンツ利用装置30側に通知することにより、コンテンツ利用装置30の制御部307との連携を図る役割を担っている。
【0060】
この同一性の判定について詳述すると、本実施形態では、第1の比較部233において、コンテンツ利用装置30で得られた要素データD12と、改変検出装置20の要素データD11とを比較する。この要素データD12とD11とが一致した場合、さらに、第2の比較部234において、コンテンツ利用装置30で得られたダイジェストデータD22と、改変検出装置20のダイジェストデータD21とを比較する。この比較結果は、比較されたコンテンツデータを特定するコンテンツデータ識別情報と、信頼性情報reliabilityとを含む判定結果D3として、照合部231から、コンテンツ利用装置30の評価部3112へ送信される。
【0061】
評価部3112では、第1の比較部233による比較結果であるコンテンツデータ識別情報及び信頼性情報reliabilityに、各部分データに関する重み付け情報weightを加味して、当該コンテンツデータが管理されたコンテンツデータであるか否かについての第1段階の判定を行う。その後、制御部307で、ハッシュ値を用いて、当該コンテンツが同一性を維持しているか否かについての第2段階の判定を行う。
【0062】
第2段階の判定では、第2の比較部234での比較が一致している場合に、利用に係るデジタルコンテンツデータD2が正当である(管理されているコンテンツデータと同一性が維持されている)と判定し、逆に、ダイジェストデータD22とD21とが一致しない場合に、改変されたコンテンツデータである(管理されているコンテンツデータと同一性が維持されていない)と判定する。制御部307は、この判定結果に応じて、再生に係るコンテンツデータD2の再生を実行又は制限する。
【0063】
なお、本実施形態では、コンテンツデータの同一性の判定を改変検出装置20とコンテンツ利用装置30との協働で行うが、上述した第1及び第2の比較部233及び234による比較処理、比較結果及び信頼性情報reliabilityに基づく同定処理を改変検出装置20又はコンテンツ利用装置30のいずれか一方のみで行うようにしてもよい。
【0064】
検証対象取得系モジュールとしては、未知のデジタルコンテンツデータD2から抽出された未知の要素データD12及び未知のダイジェストデータD22を受信する受信部213と、判定結果である判定データD3をコンテンツ利用装置30に送信する送信部214を備えている。特に本実施形態において、受信部213は、再生に係るデジタルコンテンツデータD1から、各デジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される複数種の要素データをそれぞれ受信する。
【0065】
(コンテンツ利用装置の構成)
コンテンツ利用装置30は、ユーザーがコンテンツデータを視聴すべく、データを再生・出力するプレイヤー装置であり、デジタルコンテンツデータを、通信ネットワークを通じてダウンロードする受信部301や、CD−ROMやメモリーカード等の記録媒体の読込装置である外部入力部302を通じてコンテンツデータを取得することが可能である。具体的にこのコンテンツ利用装置30は、第1関数演算部311及び第2関数演算部312、部分データ抽出部321等を含む検証系モジュールの他、コンテンツデータを取得し再生する再生系モジュールとを有している。
【0066】
検証系モジュールは、部分データ抽出部321と、利用側第1関数演算部311及び利用側第2関数演算部312の他、送信部305と、受信部306を備えている。
【0067】
部分データ抽出部321は、コンテンツデータから複数の部分データを抽出するモジュールであり、部分データ抽出部321で抽出された各部分データは、第1関数演算部311及び第2関数演算部312に入力される。
【0068】
第1関数演算部311は、第1の関数を演算することにより、再生に係る未知のデジタルコンテンツデータD2から、デジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データD12をそれぞれ算出するモジュールである。具体的にこの第1の関数は、入力されたデジタルコンテンツデータを人間が視聴する場合において、デジタルコンテンツデータの品質を司る要素を抽出する特性を有し、その品質を損なわない程度に改変されても変化しない値を出力する関数、例えば、音響や映像などのデジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいた値(フィンガープリント)を算出する関数を採用することができる。なお、デジタルコンテンツデータの品質を司る要素としては、音量の変化や、周波数スペクトルの変化などが挙げられる。
【0069】
特に、本実施形態では、図3Aに示すように、第1関数演算部311内には、複数種の関数を演算して複数種の要素データを検証するフィンガープリント検証部311a〜311c…が備えられており、同定処理に際しては、これらフィンガープリント検証部311a〜311c…により、複数の部分データのそれぞれに対し、複数種の関数によるフィンガープリントの検証を行うようになっている。
【0070】
各フィンガープリント検証部311a〜311c…は、図3Bに示すように、それぞれ第1の関数により要素データを算出するフィンガープリント算出部3111と、各部分データの重み付け情報を算出するとともに、各要素データの評価値を算出する評価部3112を備えている。
【0071】
フィンガープリント算出部3111は、フィンガープリント検証部311a〜311c…のそれぞれに割り当てられた関数によって、要素データを算出するモジュールである。評価部3112は、部分データ抽出部321が抽出した部分データについて重み付け情報weightを算出するとともに、各部分データについて照合部231から返信された判定データD3からコンテンツデータ識別情報、信頼性情報reliabilityを取得し、これらの入力情報から最も確からしいコンテンツデータ識別情報を選定するモジュールである。制御部307は、この評価部3112が選定したコンテンツデータ識別情報に基づいて、利用制御(再生許可又は再生制限等)を行う。なお、本実施形態では、評価部3112における評価値の算出に際し、上述した重み付け情報weight及び信頼性情報reliabilityをパラメータとして含めているが、これらパラメータのいずれか又は両方の算入を省略して評価値を算出してもよい。
【0072】
一方、第2関数演算部312は、第2の関数を演算することにより、未知のデジタルコンテンツデータD2から、デジタルコンテンツデータのビット配列に基づいて抽出されるダイジェストデータD22を算出するモジュールである。具体的にこの第2の関数は、入力されたデジタルコンテンツデータのいずれの1ビットでも変更された場合には、出力する値が変更されるような特性を有する関数、例えば、デジタルデータの全ての内容を吟味することなく、そのデジタルデータに固有の非可逆的な値(ハッシュ値)を算出する関数を採用することができる。また、同一の圧縮データから異なる復号装置によって復号された際に生じる僅かな違いのあるデータを入力した場合には同じ値を出力し、それ以上の差異のあるデータが入力された場合には異なる値を出力する関数を採用することもできる。
【0073】
送信部305は、ユーザー側で再生されようとしている未知のデジタルコンテンツデータD2の要素データD12及びダイジェストデータD22を改変検出サービス者側であるコンテンツデータ改変検出装置20に送信するモジュールである。受信部306は、未知のデジタルコンテンツデータD2の要素データD12及びダイジェストデータD22と、改変検出サービス者側で管理された要素データD11と及びダイジェストデータD21の同一性に関する判定結果をコンテンツデータ改変検出装置20から受信する。
【0074】
再生系モジュールでは、受信部301で受信され、或いは外部入力部302から入力されたデジタルコンテンツデータを蓄積する記憶装置310と、デジタルコンテンツデータを復号・伸張する復号部303及び伸張部304と、再生出力部308とを有している。
【0075】
記憶装置310は、例えばハードディスクやメモリーカード等のデバイスを採用することができる。この記憶装置310に蓄積されるデータは、コンテンツ配布装置10から取得された「管理されているコンテンツデータ」の他、他の配布サービスから取得されたり、ユーザー自身が作成した「管理されていないコンテンツデータ」が含まれている。したがって、再生に際して記憶装置310からデジタルコンテンツデータが読み出された時点では、そのコンテンツデータが管理されているものなのか、管理されていないものなのかが不明であり、未知のデジタルコンテンツデータとして検証の対象となる。
【0076】
復号部303は、記憶装置310から読み出されたコンテンツデータが暗号化されているようであれば、復号するモジュールであり、復号されたデータは、伸張部304に入力される。なお、上記暗号化部103が、構成上又はデータ処理上、省略されたときには、この復号部303も同様に、構成上又はデータ処理上省略することが可能である。この復号部303が省略された場合には、再生に係るコンテンツデータがそのまま伸張部304に入力される。
【0077】
伸張部304は、コンテンツ配布装置10側の圧縮方式に対応して伸張する部であり、伸張されたデータは、検証対象である未知のデジタルコンテンツデータD2として第1関数演算部311及び第2関数演算部312に入力されるとともに、再生用のデータとして再生出力部308に入力される。
【0078】
ここで、復号部303と伸張部304で行われている処理が、分離困難であるように、例えば一つのチップで構成するなど一体不可分に実装されていることが望ましく、それにより復号部303によって復号化されて圧縮データが流出することを防止することができる。
【0079】
第1関数演算部311及び第2関数演算部312には、送信部305が接続されており、第1関数演算部311及び第2関数演算部312の処理結果である要素データD12及びダイジェストデータD22をコンテンツデータ改変検出装置20の検証対象取得系モジュールに対して送信するようになっている。
【0080】
再生出力部308は、コンテンツデータが音楽データであれば、音声データとしてスピーカー等の出力装置から出力し、コンテンツデータが映像であれば、映像データとしてディスプレイ等の出力装置から出力するモジュールである。本実施形態において、この再生出力部308は、コンテンツデータ改変検出装置20における判定結果に応じて、再生に係る未知のデジタルコンテンツデータD2の再生を制御する制御部307が接続されている。
【0081】
制御部307はコンテンツデータの同定処理を実行する演算処理装置であり、受信部306が接続されており、コンテンツデータ改変検出装置20から返信される判定データD3を、通信ネットワークを通じて受信可能となっている。また、制御部307には、評価部3112が接続されており、この評価部3112で算出された重み付け情報weightと、各部分データについて判定部230の照合部231から返信された判定データD3からコンテンツデータ識別情報、信頼性情報reliabilityとを取得し、これらの入力情報から最も確からしいコンテンツデータ識別情報を算出する。制御部307は、この評価部3112が算出したコンテンツデータ識別情報に基づいて、データの利用制限を行う。
【0082】
ここで、データ利用を制限する方法としてはデジタルコンテンツデータの利用(視聴など)を禁止したり、利用させるにあたって改変されたデータであることをコンテンツ利用装置に備えたユーザーインターフェースを通じて利用者に通知したり、デジタルコンテンツデータ35を所得した伝送経路を示す情報、例えばダウンロードURL情報などを管理サービスに送信するなどの制御を行ってもよい。また、他のデータ利用の制限方法としては、例えば、再生される音声や映像にノイズを合成して出力したり、断続的に再生させたり等が挙げられる。
【0083】
(同定処理)
次いで、図3A及びBを参照して、上述したコンテンツ利用装置30及び改変検出装置20における第1関数に関する同定処理ついて詳述する。なお、ここでは、同定処理について、部分データ及びその要素データの抽出をコンテンツ利用装置30側で行い、管理されたコンテンツデータとの比較を改変検出装置20側で行い、比較結果を用いた判定及びコンテンツの利用制限をコンテンツ利用装置30及び改変検出装置20の協働により行う場合を例に説明する。
【0084】
また、本実施形態に係る同定処理は、要素データに関する検索・比較結果であるコンテンツデータ識別情報及び信頼性情報reliabilityに、各部分データに関する重み付け情報weightを加味して、当該コンテンツデータが管理されたコンテンツデータであるか否かについての第1段階の判定を行い、その後、ダイジェストデータ(ハッシュ値)を用いて、当該コンテンツが同一性を維持しているか否かについての第2段階の判定を行う。
【0085】
同図において、再生に係るコンテンツデータは、未知のデジタルコンテンツデータD2として、部分データ抽出部321に入力され、フィンガープリント検出に最低限必要なデータ量以上の大きさの部分データ3が抽出される。この部分データ3の抽出では、例えば、抽出を開始するオフセット位置を、先頭から順次一定間隔つつずらして設定してもよいし、評価部322で算出される重み付け情報の高いものを優先的に選択してもよい。
【0086】
次に、抽出された部分データは、評価部207aにおいて同定に適したコンテンツデータの部位であるかどうかが評価される。この評価の方法では、フィンガープリントのアルゴリズムに依存するが、所定のスレッショルド以上のパワーが、時間的に継続している度合いと、周波数スペクトルが平坦である度合いを評価して、重み付け情報を生成する。この重み付け情報が高い場合には、例えば、時間軸方向に均一化し、周波数軸方向には、ばらつきが発生するので、得られるフィンガープリントの1と0の値が均等且つ不連続に分散することになり、同定に適したコンテンツデータ部位となる。
【0087】
次に、第1関数演算部311において、複数種の関数により、異なるアルゴリズムによるフィンガープリントである要素データが、各部分データから複数種生成される。変換された要素データは、改変検出装置20の判定部230に送信され、検索部232によりデータベース210から順次要素データを読み出し、第1の比較部233で比較される。この第1の比較部233による比較において、近似する要素データが検出されたときには、判定部230の照合部231において、データベース210を照合し、該当する要素データを識別するためのコンテンツデータ識別情報を得るとともに、フィンガープリント照合がどの程度確からしいかを示す信頼性情報reliabilityを得る。なお、信頼性情報reliabilityがデータベース210上に蓄積されていない場合には、一定の信頼性として評価してもよい。
【0088】
このようにして得られたコンテンツデータ識別情報、及び信頼性情報reliabilityは、判定部230の照合部231から、コンテンツ利用装置30の評価部3112に対して、判定データD3として返信される。
【0089】
次に、本実施形態におけるコンテンツデータ同定処理の動作について説明する。図4Aは、コンテンツデータ同定処理の動作を具体的に示すフローチャート図である。
【0090】
同図において、コンテンツデータ同定が開始されると、部分データ抽出部321によりコンテンツデータから部分データの抽出を行い(S101)、評価部3112により、部分データが同定に適したコンテンツデータの部位であるかどうかの評価を行う(S102)。この部位の評価は、コンテンツデータ全体について評価を行い、この全体評価に対して、各部分データの値がどの程度乖離しているかを算出し、その乖離率などから部分データ毎の重み付けを行う。この各部分データに関する評価結果を重み付け情報weightとする。
【0091】
次に、各フィンガープリント算出部3111により、各部分データに対して異なるアルゴリズムの関数F(1)〜F(3)によって、要素データ(フィンガープリント)の算出を行い(S103)、n個の異なる要素データに対応した評価値であるE(1),E(2),,,E(n)と、コンテンツデータ識別情報が得られない場合の評価値であるE(0)を0に初期化する(S104)。次いで、各要素データを改変装置20側へ送信し、判定部230の検索部232、第1の比較部233、及び照合部231により、異なる関数毎に、改変検出装置20のデータベース210を検索し、比較し、照合する(S105)。
【0092】
詳述すると、このデータベース210の検索により、近似する要素データが検出された場合には(S105:Y)、照合部231において、そのコンテンツデータを特定するコンテンツデータ識別情報とフィンガープリント照合がどの程度確からしいかを示す信頼性情報reliabilityを算出する。この信頼性情報は、検出された近似する要素データを含むコンテンツデータ毎に算出され、各コンテンツデータ識別情報に対応するE(1〜m)をインデックスとして、コンテンツ利用装置30の評価部3112に返信される。このとき、当該要素データを生成した関数の種別に応じた評価部3112が選択されて、返信される。一方、近似する要素データが検出されない場合には、E(0)をインデックスとする信頼性情報reliabilityが、対応する評価部3112に返信される。
【0093】
例えば、図4Bに示すように、部分データ1に近似する要素データを含むコンテンツデータ1〜3が検出された場合には、E(1)〜E(3)をインデックスとする信頼性情報が与えられ、他の部分データ2では、コンテンツデータ1,2及び4が検出された場合には、E(1),E(2)及びE(4)をインデックスとした信頼性情報が与えられる。また、近似する要素データが検出されない場合には、E(0)をインデックスとした信頼性情報が返信される。
【0094】
そして、このような信頼性情報の返信を受けたコンテンツ配布装置10側の各評価部3112において、E(m)が出現する度に、上記weightにreliabilityを乗算した値をインデックスE(m)(0<m<=n)毎に加算し(S107)、次の部分データがあれば、上記データベースの照合を繰り返す(S108:Y)。一方、ステップS105における照合の結果、近似する要素データが検出されず、該当するコンテンツデータ識別情報が得られなかった場合は(S105:N)、ステップS106に進み、上記weightの値をE(0)に加算し、ステップS108に進む。
【0095】
前記ステップS108において、全ての部分データの処理が終了した場合は(S108:N)、ステップS109に進み、算出された各評価値E(1),E(2),,,E(n)から最も大きい値を探し(S109)、最大値をEmaxとする。次に、EmaxからE(0)を差分した値が、所定の閾値より大きい場合は(S110:Y)、ステップS111に進み、Emaxに該当するコンテンツデータ識別情報を真のコンテンツデータ識別情報と判定する。一方、EmaxからE(0)を差分した値が所定の閾値より未満の場合は(S110:N)、ステップS112に進み、コンテンツデータ同定が失敗していると判定する。上記の処理においてreliabilityは設定の仕方の例としては0.0〜1.0の間の値で変化するものとし、例えば、フィンガープリントの照合において、データベースに登録されたフィンガープリントと完全一致した場合に1.0とし、フィンガープリントの部分的不一致が多く、一致と判定する閾値と近似する場合は、0.5程度の値にすることができる。
【0096】
また、weight値の設定の例としては、部分データがコンテンツデータの平均出力レベル以上のレベルを一定時間継続しているかを判定して得られる評価値と、部分データを時間周波数変換して得られた周波数スペクトルの平坦度を判定して得られる評価値の両者を乗じた結果をweight値とすることができ、0.0〜1.0の値を取るようにする。
【0097】
そして、要素データの同定処理により判定された上記コンテンツデータ識別情報に基づいて、第1段階の判定を行う。ここでは、同定が成功したときは、管理されているコンテンツデータと判断し、一方、同定が失敗したときは、管理されていないコンテンツデータと判断する。
【0098】
次いで、制御部307では、この要素データに関する同定結果に応じて、ダイジェストデータを比較し、この比較結果に基づいて、第2段階の判定を行う。ここでは、ダイジェストデータが一致していれば、当該コンテンツデータは、管理されているコンテンツデータであって、且つ同一性が維持されいると判定する。一方、ダイジェストデータが一致していなければ、管理されたコンテンツデータであるが、改変され同一性が維持されていないと判定する。
【0099】
(デジタルコンテンツデータ管理方法)
以上の同定処理を含むデジタルコンテンツデータ管理システムを動作させることによって、本実施形態に係るデジタルコンテンツデータ管理方法を実施することができる。図5A〜Cは、本実施形態に係るデジタルコンテンツデータ管理システムの動作を示すフローチャート図である。
【0100】
先ず、図5Aに示すように、コンテンツ配布装置10において、管理されたコンテンツデータD01を圧縮し、配布用コンテンツデータD03と、検証用コンテンツデータD02とを生成する(S1201)。配布用コンテンツデータD03については、暗号化部103で暗号化した後、配信部104により、コンテンツ利用装置30に対して配信する(S1202及びS1203)。なお、上記暗号化部103は、構成上又はデータ処理上、省略することが可能であることから、このステップS1202も、必要に応じて実行又は省略される。このステップS1202が省略された場合には、配布用コンテンツデータD03がそのまま配信部104に入力され、ステップS1203において、配信される。
【0101】
一方、検証用コンテンツデータD02については、伸張部102により伸張し(S1204)、これらを第1関数演算部111及び第2関数演算部112に入力する。第1関数演算部111では、部分データ抽出部121により複数の部分データを生成し、各部分データに対して複数種の第1の関数を実行し、検証用コンテンツデータD02について、フィンガープリント等の要素データD11を算出する。第2関数演算部112では、第2の関数を実行し、検証用コンテンツデータD02のそれぞれについてハッシュ値等のダイジェストデータD21を算出し(S1205及び1206)、これらを送信部105aより、コンテンツデータ改変検出装置20へ送信する(S1207)。
【0102】
一方、コンテンツ利用装置30では、図5Bに示すように、受信部301により配布用コンテンツデータD03をダウンロード(受信)し、蓄積する(S1301)。これと併せてコンテンツ利用装置30では、CD−ROMやメモリーカード等の記録媒体から、外部入力部302を通じてコンテンツデータを取得することができる。
【0103】
そして、ユーザー操作に応じてコンテンツデータの再生を開始する(S1302)。この再生に際して記憶装置310からデジタルコンテンツデータが読み出された時点では、そのコンテンツデータが管理されているものなのか、管理されていないものなのかが不明であり、未知のデジタルコンテンツデータD2として、復号され、伸張される(S1303)。伸張されたデータは、未知のデジタルコンテンツデータD2として第1関数演算部311及び第2関数演算部312に入力されるとともに、再生用のデータとして再生出力部308に入力される。なお、上記ステップS1202での暗号化部103による暗号化は、構成上又はデータ処理上、省略することができることから、ステップS1303での復号部303による復号も同様に、省略することが可能である。このステップS1303が省略された場合には、再生に係るコンテンツデータがそのまま伸張部304に入力されて、伸張される。
【0104】
第1関数演算部311及び第2関数演算部312では、第1の関数及び第2の関数により、要素データD12及びダイジェストデータD22が生成され(S1304及びS1305)、この処理結果である要素データD12及びダイジェストデータD22は、送信部305を通じて、コンテンツデータ改変検出装置20の検証対象取得系モジュールに対して送信される(S1306)。
【0105】
他方、コンテンツデータ改変検出装置20では、図5Cに示すように、コンテンツ配布装置10から受信した管理されたデジタルコンテンツデータを取得する(S1401)。ここでは、コンテンツ配布装置10側で、管理されたデジタルコンテンツデータD1から抽出された要素データD11及びダイジェストデータD21を受信し、蓄積装置210に蓄積する。また、これと並行して、コンテンツデータ改変検出装置20では、コンテンツ利用装置30から未知のデジタルコンテンツデータを取得する(S1402)。ここでは、コンテンツ利用装置30側で、未知のデジタルコンテンツデータD2から抽出された要素データD12及びダイジェストデータD22を受信する。
【0106】
そして、要素データについて、同定処理を行う(S1403)。具体的には、コンテンツデータ改変検出装置20において、要素データD11と、D12とを第1の比較部233で比較し、この比較結果に基づいて、照合部231により第1段階の判定を行う(S1404)。この第1段階の判定では、上述したステップS101〜S112の処理を行う。このステップS1404において、要素データD11及びD12が一致していなければ、同定は失敗であるとして、未知のデジタルコンテンツデータD2は、管理状態が不明なコンテンツデータと判断する(S1409)。一方、要素データD11及びD12が一致していれば、要素データに関する同定は成功したとして、ステップS1405に移行する。
【0107】
ステップS1405では、ダイジェストデータD21及びD22を読み出し、これらを第2の比較部234及び照合部231により比較・照合する(S1405及びS1406)。そして、照合部231により、この第2の比較部234における比較結果とともに、上述した第1段階の判定結果を、コンテンツ利用装置30の制御部307に送信する。この判定結果は、判定データD3として、送信部214から、コンテンツ利用装置30に送信される(S1408〜S1410)。最終的な同定処理は、この判定データD3に基づいて、コンテンツ利用装置30側で行う。
【0108】
なお、ステップS1404において、改変検出装置20で、要素データが一致し、同定が成功した場合(S1404:Y)に、ステップS1405で取得されたコンテンツデータ識別子をインデックスE(1〜m)とし、ダイジェストデータの一致度に応じて信頼性情報reliabilityを算出して、判定データD3としてコンテンツ利用装置30側に返信する(ステップS1408及びS1410)。一方、要素データが一致せず、同定が失敗した場合には(S1404:N)、E(0)及びその信頼性情報reliabilityをコンテンツ利用装置30側に返信する(ステップS1409)。
【0109】
次いで、第2段階の判定を行う。この第2段階の判定では、ダイジェストデータの比較・照合を含む処理であり、本実施形態では、コンテンツデータ改変検出装置20側で比較・照合処理(S1407)を行い、この比較・照合結果を用いて、コンテンツ利用装置30の制御部307で、最終的な判定を行う。具体的には、図5Bに示すように、ダイジェストデータD21及びD22が一致していれば、未知のデジタルコンテンツデータD2は、管理されているコンテンツデータであって、且つ同一性が維持されていると判定する(S1309:Y)。一方、ダイジェストデータD21及びD22が一致していなければ、管理されているコンテンツデータであるが、改変されて同一性が維持されていないと判定する(S1309:N)。
【0110】
この判定結果に応じて、コンテンツ利用装置30では、再生出力部308における再生・出力の可否が制御される。すなわち、第1の比較部233での比較結果、及び第2の比較部234での比較結果によって、管理されていないコンテンツデータ(S1308:Y)、或いは、同一性が維持されているコンテンツデータ(S1309:Y)であれば、再生を許可し(S1311)、管理されているが同一性が維持されていないときは(S1309:N)、その再生を制限する(S1310)。
【0111】
(本実施形態による作用効果)
以上説明したように、本実施形態に係るデジタルコンテンツデータの管理システム及び管理方法によれば、既知のデジタルコンテンツデータと未知のデジタルコンテンツデータとの同一性の判定において、複数種の関数を演算して得られた複数種の要素データを比較するので、デジタルコンテンツデータ同士を、異なる基準や手法で比較することができ、類似する他のデジタルコンテンツデータと誤って判定することを防止し、精度の高い同定を行うことができる。
【0112】
また、本実施形態では、既知のデジタルコンテンツデータと未知のデジタルコンテンツデータとの同一性の判定において、細分化されたコンテンツデータの部分データを抽出し、その部分データ毎に要素データを比較するので、デジタルコンテンツデータ同士をより詳細に比較することができ、類似する他のデジタルコンテンツデータと誤って判定することを防止し、精度の高い同定を行うことができる。
【0113】
さらに、本実施形態では、要素データ同士を比較する際、その同一性の程度を示す信頼性情報を算出し、その信頼性情報を加味して同一性を評価し、デジタルコンテンツデータの同定を行うので、より詳細に正規のデジタルコンテンツデータを判定することができ、誤判定を低減できる。
【0114】
[第2実施形態]
(デジタルコンテンツデータ管理システムの構成)
次いで、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、上述した第1実施形態で説明したシステムに、関連情報登録部400を追加し、誤判定されやすいコンテンツデータ同士を関連づけて登録することを特徴とする。図6及び図7は、本実施形態に係るコンテンツデータ管理システムを示すブロック図である。なお、本実施形態において、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その機能等は特に言及しない限り同一であり、その説明は省略する。
【0115】
同図に示すように、上記管理システムにおいて、改変検出装置20の照合部231からアクセスできるように関連情報登録部400を設置し、照合部231の照合の結果得られた関連情報を、照合部231から関連情報登録部400を通じて、データベース210に登録する。この関連情報は、当該コンテンツデータに類似するコンテンツデータに関する情報であり、具体的には、ある要素データについて同定する際、近似する要素データが複数検出された場合に、これら検索された要素データに対応するダイジェストデータ同士をハッシュ情報及び関連ハッシュ情報として関連づけるデータである。
【0116】
そして、コンテンツ配布装置10には、配信に係る正規のコンテンツデータをデータベースに登録する際に、関連情報を上記関連情報登録部400に登録させる関連情報検出部115が設けられている。
【0117】
関連情報検出部115は、配信に係るコンテンツデータの要素データ(フィンガープリント)と近似するフィンガープリントを含む他のコンテンツデータのダイジェストデータ(ハッシュ値)が検索された場合に、これらのダイジェストデータ同士を関連づけるための関連情報を、関連情報登録部400に登録させるモジュールである。具体的に、関連情報検出部115は、加工部115aと、部分データ抽出部115bと、第1関数演算部115cとを有している。
【0118】
加工部115aは、コンテンツデータの情報量を低減させる加工を行い、部分データ抽出部115bを通じて、第1関数演算部115cの入力するモジュールである。この加工部115aにおける加工としては、例えばダウンサンプリングやローパスフィルターなどを用いた処理が挙げられ、この加工処理は必要に応じて、その低減量を調整したり、或いは全く行わないようにしてもよい。この加工部115aは、一つのコンテンツデータに対して種々の加工を施し、この加工により様々に変更されたコンテンツデータに対応するフィンガープリントを多数生成し、各フィンガープリントに近似するダイジェストデータを検索部232に送信し、関連情報を検索する。
【0119】
部分データ抽出部115bは、図8に示すように、デジタルコンテンツデータの一部分である部分データを複数個抽出するモジュールである。この部分データ抽出部115bで抽出された各部分データは、第1関数演算部115cに入力される。この部分データの抽出では、例えば、抽出を開始するオフセット位置を、先頭から順次一定間隔つつずらして設定するなどが挙げられる。
【0120】
第1関数演算部115cは、上記第1関数演算部111dと同一アルゴリズムによりフィンガープリントを生成するモジュールであり、第1関数演算部が複数種の関数により複数種のフィンガープリントを生成する場合は、各種関数に対応した関数によりフィンガープリントを生成し、夫々のフィンガープリントについて検索を行う。
【0121】
また、照合部231は、通常の検索処理においても、要素データ(フィンガープリント)を検索し、検索された要素データに対応するダイジェストデータ(ハッシュ値)を照合する際、関連情報登録部400において関連づけられた他のハッシュ値についても照合を行う。この結果、照合部231は、検索部232における検索結果が複数ある場合、検索された複数のダイジェストデータ(ハッシュ情報及び関連ハッシュ情報)について、再生に係る未知のデジタルコンテンツデータのダイジェストデータとの同一性についても比較することとなる。
【0122】
(コンテンツデータの管理方法)
以上の構成を有するコンテンツデータ管理システムを動作させることによって、本実施形態に係るコンテンツデータ管理方法を実施することができる。図9は、本実施形態に係るコンテンツデータ管理システムのコンテンツデータ登録時における動作を示すフローチャート図である。ここでは、コンテンツデータ配信サービスに係る正規のコンテンツデータ(管理されたコンテンツデータD01)を、改変検出装置20のデータベース210へ登録する場合を例に説明する。
【0123】
先ず、コンテンツ配布装置10において、登録処理が開始されると管理されたコンテンツデータD01から検証用コンテンツデータD02を複製し、第1関数演算部111、第2関数演算部112、及び関連情報検出部115に入力する。そして、第1関数演算部111で、コンテンツデータD02全体についての要素データD11を算出するとともに、図9に示すように、第2関数演算部112で、コンテンツデータD02全体についてのダイジェストデータD21の算出を行う(S201)。また、これらの処理と平行して、加工部115aにおいて、コンテンツデータの加工処理を行う(S202)。
【0124】
次いで、加工されたコンテンツデータから部分データの抽出を行い(S203)、抽出された部分データに対し、順次、第1の関数により要素データの算出を行う(S204,S205)。この部分データ毎に算出されたフィンガープリントを用いて、データベースの検索を行う(S206)。このデータベースの検索において、検索されるフィンガープリンタがなければ(S207:N)、ステップS203に進み次の部分抽出を行う。
【0125】
ステップS207において、要素データが検出されれば(S207:Y)、検出された要素データと関連づけられたダイジェストデータを読み出し、ステップS201で算出されたハッシュ値の関連情報としてデータベース210に登録し、又はステップS208での登録を予約する。この登録は、要素データが生成された関数に応じて、選択されたデータベース210a〜210cのいずれかに収納される。
【0126】
詳述すると、上記ステップS206では、改変検出装置20の検索部232において、加工済みの要素データD31を用いてデータベース210を検索し、データベース210上に要素データD31と一致する要素データ(フィンガープリント)が存在すれば、その検索された要素データに関連づけられて登録されたダイジェストデータをハッシュ値D41として照合部231に出力する。
【0127】
照合部231では、ハッシュ値D41が、正規ハッシュ値であるダイジェストデータD21と一致しない場合は、重複したダイジェストデータが存在するものとして、関連情報登録部400においてダイジェストデータD22と、ハッシュ値D41とを関連づけてデータベース210に登録、若しくは登録予約をする。ハッシュ値D41が複数存在する場合は全てのハッシュ値D41について、同様にダイジェストデータD22と関連したハッシュ値としてデータベース210に登録する。その後、ステップS203に進み次の部分抽出を行う。
【0128】
ステップS204において、全ての部分データの抽出が終了した場合(S204:Y)は、ステップS209に進み、ステップS202で加工される前のコンテンツデータ全体から要素データD11を算出する。そして、このコンテンツデータ全体からの要素データD11と、ステップS201で算出されたダイジェストデータD22とを関連づけて登録する(S210)。このとき、関連情報登録部400において予約された関連情報があれば併せて登録する。
【0129】
ここで、データベース210に登録されるフィンガープリントとハッシュ値と関連情報からなるサービス識別情報を表1に示す。
【表1】

【0130】
同表において第一列目がフィンガープリントデータを示し、第二列目がハッシュ値を示し、第三列目が関連ハッシュ情報を示す。同一の行は同一のコンテンツデータに関連した情報である。Fl1、FI2,,,Flnは第一のコンテンツデータのm個部分のフィンガープリントからなるコンテンツデータのフィンガープリント集合であり、Hlは第一のコンテンツデータ全体から算出されるハッシュ値である。F21、F22,,,F2mは第二のコンテンツデータのm個部分のフィンガープリントからなるコンテンツデータのフィンガープリント集合であり、H2は第二のコンテンツデータ全体から算出されるハッシュ値である。F31、F32,,,F3kは第三のコンテンツデータのk個部分のフィンガープリントからなるコンテンツデータのフィンガープリント集合であり、H3は第三のコンテンツデータ全体から算出されるハッシュ値である。ここでFl1、Fl2,,,FlnのいずれかがF21、F22,,,F2mのいずれかと一致し、またF32,,,F3kのいずれかと一致した揚合に、第一のコンテンツデータと第二のコンテンツデータと第三のコンテンツデータは関連しているものとし、関連ハッシュ情報として、H1に対してはH2とH3を、H2に対してはHlとH3を、H3に対してはH1とH2を登録する。
【0131】
(変更例)
なお、第2実施形態では、データベース210に登録するダイジェストデータは、コンテンツデータ全体についてのハッシュ値であったが、本変更例では、コンテンツデータから部分データを抽出し、各部分データについてハッシュ値を登録する。この変更例おいて、データベースに登録されるフィンガープリントとハッシュ値とハッシュ関連情報からなるサービス識別情報を表2に示す。
【表2】

【0132】
同表において第一列目がフィンガープリントデータを示し、第二列目がハッシュ値を示し、第三列目が関連ハッシュ情報を示す。同一の行は同一のコンテンツデータの同一部分に関連した情報である。F11は第一のコンテンツデータの第一の部分のフィンガープリントであり、Hl1は第一のコンテンツデータの第一の部分から算出されるハッシュ値である。Fl2は第一のコンテンツデータの第二の部分のフィンガープリントであり、H12は第一のコンテンツデータの第二の部分から算出されるハッシュ値である。F21は第二のコンテンツデータの第一の部分のフィンガープリントであり、H21は第二のコンテンツデータの第一の部分から算出されるハッシュ値である。F32は第三のコンテンツデータの第二の部分のフィンガープリントであり、H32は第三のコンテンツデータの第二の部分から算出されるハッシュ値である。
【0133】
ここで、F11がF21と一致し、またF12がF32と一致した場合に、第一のコンテンツデータの第一の部分が第二のコンテンツデータの第一の部分と類似し、第一のコンテンツデータの第二の部分が第三のコンテンツデータの第二の部分と類似するものとし、関連情報として、H11に対してはH21を、H12に対してはH32を、H21に対してはHl1を、H32に対してはH12を登録する。
【0134】
このようにコンテンツデータの部分毎に関連性を登録することにより、メドレーのような複数の楽曲を組み合わせた楽曲を介して異なる楽曲が連鎖的に関連した楽曲として登録されることを回避する。例えば、図8に示すように、コンテンツデータ1の部分3と類似の部分1と、コンテンツデータ2の部分4と類似する部分2からなるコンテンツデータ3がある場合にコンテンツデータ3を介してコンテンツデータ1とコンテンツデータ2が関連したコンテンツデータであると登録されることを回避することができる。
【0135】
この変更例における登録処理のフローチャートを図10に示す。同図に示すように、コンテンツ配布装置10において登録処理が開始されると、先ず、コンテンツデータの加工処理を行う(S301)。加工処理内容は上記に記載の方法を用いることができ、また何も処理をしなくてもよい。
【0136】
次に、この加工されたコンテンツデータの要素データの抽出を行い(S302)、抽出された要素データからフィンガープリントの算出を行う(S303,S304)。そして、ステップS305において、ステップS304において抽出を行った際の切り出し位置に基づいて、ステップS301において加工処理が行われる前のコンテンツデータから切り出した部分データに対してハッシュ値の算出を行い、ステップS304で算出されたフィンガープリントを用いてデータベースの検索を行う(S306)。
【0137】
次いで、フィンガープリントが検出されなければ(S307:N)、ステップS302に進み次の部分抽出を行い、ステップS307においてフィンガープリントが検出されれば、ステップS308に進み検出されたフィンガープリントと関連して検出されたハッシュ情報をステップS305で算出されたハッシュ値の関連ハッシュ情報としてデータベース210に登録又はステップS308での登録を予約し、ステップS302に進み次の部分抽出を行う。
【0138】
そして、コンテンツデータの全ての部分抽出が終了した場合は(S303:Y)、ステップS309に進み、ステップS301で加工される前のコンテンツデータ全体からフィンガープリントを算出する。次に、この算出されたフィンガープリントとステップS305で算出した全てのハッシュ値とステップS308で得られた関連ハッシュ情報とを関連させてデータベースに登録し(S310)、登録処理を終了する。
【0139】
(本実施形態における作用・効果)
本実施形態及び変更例によれば、コンテンツ配布装置10から改変検出装置20にコンテンツデータを登録する際に、要素データが類似するコンテンツデータ同士を関連づけて登録しておくことにより、異なる類似したコンテンツデータにより要素データが誤って検出された場合でも、関連情報を用いて、関連するコンテンツデータのダイジェストデータとも照合し、正しいダイジェストデータと比較する可能性を高くすることができる。また、本実施形態によれば、コンテンツデータの情報量を減らすような加工処理が施して検索を行うことにより、潜在的に類似していると考えられる異なるコンテンツを関連情報として登録し、正しいダイジェストデータとの比較を可能にする。
【0140】
[第3実施形態]
(コンテンツデータ管理システムの構成)
次いで、本発明の第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、上述した第2実施形態で説明した関連情報の登録機能を、コンテンツ利用装置30側に設けたことを特徴とする。図11は、本実施形態に係るコンテンツ利用装置30と改変検出装置20との関係を示すブロック図である。なお、本実施形態において、上述した第1及び2実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その機能等は特に言及しない限り同一であり、その説明は省略する。
【0141】
同図に示すように、上記管理システムにおいて、改変検出装置20の照合部231からアクセスできるように関連情報登録部400を設置し、照合部231における照合結果を関連情報登録部400に登録する。
【0142】
また、コンテンツ利用装置30には、再生に係るコンテンツデータを再生する際に、当該コンテンツデータに類似するコンテンツデータに関する情報である関連情報を検出し、フィンガープリント情報が近似する異なるコンテンツデータが存在する場合には、その近似するコンテンツデータについても同定処理を行う。
【0143】
また、本実施形態では、再生に係るコンテンツデータを再生する際に、当該コンテンツデータに関する関連情報を検出し、ダイジェストデータ(ハッシュ値)が複数存在する場合には、それらダイジェストデータが関連づけられたコンテンツデータのハッシュ値についても、関連情報として関連情報登録部400に登録させる登録要求部307aを備えている。この登録要求部307aは、制御部307内に備えられ、改変検出装置20の検索部232による検索結果が複数ある場合に、検索結果である複数のダイジェストデータを関連づける関連情報の登録を要求するモジュールである。改変検出装置20の照合部231は、この登録要求部307aからの要求に応じて、関連情報の登録を関連情報登録部400に依頼し、この依頼により関連情報登録部400は、データベース210に関連情報を登録する。
【0144】
関連情報登録機能は、配信に係るコンテンツデータの要素データ(フィンガープリント)と近似するフィンガープリントを含む他のコンテンツデータのダイジェストデータ(ハッシュ値)が検索された場合に、これらを関連づけて登録する。
【0145】
(コンテンツデータの管理方法)
第3実施形態のフローチャートを図12に示す。同図において、コンテンツ利用装置30では、正規コンテンツデータ配信サービス又はそれ以外の経路から入手した配布用コンテンツデータD03を再生する際、この配布用コンテンツデータD03に対してサービス識別処理を行う。
【0146】
このサービス識別処理では、先ず、コンテンツデータのハッシュ値の算出を行い(S401)、次にコンテンツデータから部分データの抽出を行う(S402)。
【0147】
また、このハッシュ値の算出と併せて、コンテンツデータを第1関数演算部311に入力し、要素データD12を得る(S404)。この要素データD12は、上記従来例と同様に方法を用いることができ、要素データD12は、データベース210を検索するフィンガープリントとして示されるように、コンテンツデータの一部から部分データとして算出される。
【0148】
なお、この再生処理に先行して、コンテンツデータ加工部313においてコンテンツデータD03の情報量を減らす加工を行っている場合があり、この場合には、加工されたコンテンツデータについてフィンガープリントやハッシュ値を得るようにしてもよい。
【0149】
そして、検索部においてフィンガープリントデータを用いてデータベース210を検索し(S406)、フィンガープリントデータと一致するフィンガープリントが存在すれば(S407:Y)、検索されたフィンガープリントに関連して登録されたハッシュ値D41を読み出す。次いで、ステップS408に進み、検出されたフィンガープリントと関連して検出されたハッシュ情報を、ステップS401で算出されたハッシュ値の関連ハッシュ情報としてデータベースに登録を予約し(S408)、S401に進み次の部分抽出を行う。
【0150】
そして、照合部231において、ダイジェストデータD22と一致するハッシュ値がある場合、又はハッシュ値に関連して登録されているハッシュ値D41と一致する場合は、正規コンテンツデータとしてコンテンツデータ34の利用を許可する処理を行う。
【0151】
そして、ステップS407において、検索されるフィンガープリンタがなければ(S407:N)、ステップS402に進み次の部分抽出を行う。
【0152】
このとき、照合部231においてハッシュ値D22と一致しないハッシュ値については、不正なコンテンツ又は重複したフィンガープリントが存在するものと判断して、関連情報登録部400においてハッシュ値D41とハッシュ値D22とを関連づける関連情報としてデータベース210に登録を予約する(S408)。ハッシュ値D41が複数存在する場合は全てのハッシュ値D41について、同様にダイジェストデータD22と関連したハッシュ値としてデータベース210に登録を予約する(S408)。
【0153】
そして、ステップS403において、コンテンツデータの全ての部分抽出が終了した場合は(S403:Y)、ステップS409に進み関連情報登録に移行する(S409)。
【0154】
そして、ステップS409において、フィンガープリントと関連して検出されたダイジェストデータ(ハッシュ)、又は検出されたダイジェストデータに関連して登録された関連ハッシュ情報のいずれかと、ステップS401で算出したハッシュ値が一致すれば、重複したフィンガープリントが存在するものと判断して、ステップS408で予約した登録を実行し、関連情報の登録を行う。続いてステップS410に進み利用許可・利用制限に移行する(S410)。
【0155】
このステップS410では、ステップS408でフィンガープリントと関連して検出されたハッシュ情報ならび、検出されたハッシュ情報に関連して登録された関連ハッシュ情報のいずれかと、ステップS401で算出したハッシュ値が一致しなければ不正コンテンツデータの利用と判断する。不正コンテンツデータであるときには、コンテンツデータの利用を制限する処理を行い、サービス識別処理終了する。一方、ステップS410では、ステップS408でフィンガープリントと関連して検出されたハッシュ情報ならび、検出されたハッシュ情報に関連して登録された関連ハッシュ情報のいずれかと、ステップS401で算出したハッシュ値が一致したときには、正規のコンテンツデータであるとして、利用を許可する。
【0156】
(変更例)
なお、第3実施形態においても、データベース210に登録するダイジェストデータは、コンテンツデータ全体についてのハッシュ値であったが、本変更例では、コンテンツデータから部分データを抽出し、各部分データについてハッシュ値を登録する。この変更例おいて、データベースに登録されるフィンガープリントとハッシュ値とハッシュ関連情報からなるサービス識別情報を表2に示したとおりである。
【0157】
この変更例におけるサービス識別処理のフローチャートを図13に示す。同図に示すようにコンテンツ利用装置30においてコンテンツデータの再生を行う際に、サービス識別処理が開始され、コンテンツデータの部分の抽出を行い(S501,S502)、この抽出されたコンテンツデータからフィンガープリントの算出を行う(S503)。
【0158】
これと併せて、ステップS501において抽出を行った際の切り出し位置に基づいて、コンテンツデータから切り出したデータに対してハッシュ値の算出を行い(S504)、次に、ステップS503で算出されたフィンガープリントを用いてデータベースの検索を行い(S505,S506)、検索されるフィンガープリントがなければ(S506:N)、ステップS501に進み次の部分抽出を行い、検索されれば(S506:Y)、ステップS507に進み、検出されたハッシュ値D41を、ステップS505で算出されたハッシュ値の関連情報としてデータベースに登録を予約し(S507)、ステップS501に進み次の部分抽出を行う。
【0159】
そして、コンテンツデータの全ての部分抽出が終了した場合は(S502:Y)、ステップS508に進み、ステップS506でフィンガープリントと関連して検出されたハッシュ情報ならび、検出されたハッシュ情報に関連して登録された関連ハッシュ情報のいずれかと、ステップS504で算出したハッシュ値のいずれかが一致すればステップS507で予約した登録を実行する。
【0160】
続いてステップS509に進み、ステップS506でフィンガープリントと関連して検出されたハッシュ情報ならび、検出されたハッシュ情報に関連して登録された関連ハッシュ情報のいずれかと、ステップS504で算出したハッシュ値のいずれかが一致しなければ不正コンテンツデータの利用を判断し、コンテンツデータの利用を制限する処理を行い、サービス識別処理を終了する。一方、ステップS509では、ステップS506でフィンガープリントと関連して検出されたハッシュ情報ならび、検出されたハッシュ情報に関連して登録された関連ハッシュ情報のいずれかと、ステップS504で算出したハッシュ値が一致したときには、正規のコンテンツデータであるとして、利用を許可する。
【0161】
なお、上記各実施形態及び変更例において、上記のようにサービス識別情報の照合は、コンテンツ利用装置にて行う場合について説明したが、このサービス識別情報の照合は、コンテンツ利用装置での実行に限るものではなく、例えば、ネットワークで接続された管理装置で行うこともできる。その場合はコンテンツ利用装置で利用しようとしているコンテンツデータを、管理装置に送信してサービス識別情報の照合処理を管理装置側で行わせることで実現することができる。
【0162】
また、サービス識別情報の照合処理のうち一部例えばフィンガープリントの算出とハッシュ値の算出のみをコンテンツ利用装置で行い、それ以外の処理を管理装置で行うように分割処理を行ってもよい。
【0163】
さらに、フィンガープリントとハッシュ値情報と関連ハッシュ値情報を関連させてデータベースに登録する方法は直接関連させて登録する方法に限定するものではなく、コンテンツデータのIDやメタデータなどのコンテンツデータ識別情報を仲介させて関連させてもよい。すなわちフィンガープリントとハッシュ値をそれぞれコンテンツデータ識別情報に関連させて登録してもよい、またコンテンツデータ識別情報と関連コンテンツデータ識別情報を関連させて登録することで、ハッシュ値情報と関連ハッシュ値情報を関連づけてもよい。
【0164】
また、上記フィンガープリント検出方法とデータベースは異なる複数のフィンガープリント検出方法とデータベースを組み合わせてもよい。
【0165】
(本実施形態における作用・効果)
本実施形態及び変更例によれば、コンテンツ利用装置30における利用対象であるコンテンツデータについて、要素データ(フィンガープリント)及びダイジェストデータ(ハッシュデータ)を検索及び照合することにより、コンテンツデータの同定を行い、不正なコンテンツデータの利用を制限することができる。この際、要素データが類似し、複数のダイジェストデータが検索された場合に、これら複数のダイジェストデータに関するコンテンツデータ同士を関連づけて登録しておくことにより、異なる類似したコンテンツデータにより要素データが誤って検出された場合でも、関連情報を用いて、関連するコンテンツデータのダイジェストデータとも照合し、正しいダイジェストデータと比較する可能性を高くすることができる。また、本実施形態によれば、関連情報を利用することにより、コンテンツデータの情報量を減らすような加工処理が施され、潜在的に類似していると考えられる異なるコンテンツデータにおいても正しいダイジェストデータとの比較をする確率を高くすることができる。
【0166】
[変更例1]
なお、上述した、第1乃至第3実施形態では、再生に係るデジタルコンテンツデータの第1関数演算部311及び第2関数演算部312をコンテンツ利用装置30側に設けたが、図14に示すように、これらをコンテンツデータ改変検出装置20側に設けるようにしてもよい。
【0167】
具体的には、同図に示すように、第1関数演算部311及び第2関数演算部312を、コンテンツデータ改変検出装置20内において、受信部213と、判定部230の間に配置し、受信部213で受信された未知のデジタルコンテンツデータD2が、第1関数演算部311及び第2関数演算部312で取得し、第1関数演算部311で算出した要素データD12を第1の比較部233に出力し、第2関数演算部312で算出したダイジェストデータD22を第2の比較部234に出力する。
【0168】
コンテンツ利用装置30側の送信部305は、ユーザー側で再生されようとしている未知のデジタルコンテンツデータD2を、コンテンツデータ改変検出装置20に直接送信する。コンテンツデータ改変検出装置20は、未知のデジタルコンテンツデータD2を受信し、第1関数演算部311及び第2関数演算部312において、要素データ及びダイジェストデータの生成を行う。
【0169】
なお、同図において、データベース210は、受信部201を通じてデジタルコンテンツデータを配布した者(サービス提供者)側からアクセス可能な記録部である。このデータベース210には、配布元のデジタルコンテンツデータに第1の関数を実行して得られた要素データD11、及び配布元のデジタルコンテンツデータに第2の関数を実行して得られたダイジェストデータD21が記録されてあるものとする。
【0170】
そして、第一の関数算出部311において、配布されたデジタルコンテンツデータから要素データD12を算出し、また第2の関数を実行する関数算出部312においてダイジェストデータD22を算出する。次に、上記データベース210から読み出された要素データD11と要素データD12を第1の比較部233において比較し、これらが一致することを検出したときには、なおかつ上記データベース210から読み出されたダイジェストデータD21と上記ダイジェストデータD22とを第2の比較部234において比較する。
【0171】
さらに、この第2の比較において、一致しないことを検出する場合に、配布されたデジタルコンテンツデータが配布元のデジタルコンテンツデータ(配布用データ)から改変されたと判定し、その判定結果を送信部214からコンテンツ利用装置30へ送信する。そして、コンテンツ利用装置30において行われるデータ利用を、制御部307により制限する。
【0172】
本変更例においても、コンテンツデータ改変検出装置20内の第1関数演算部311内には、図3Aに示すように、複数種の関数を演算して複数種の要素データを検証するフィンガープリント検証部311a〜311c…が備えられており、同定処理に際しては、これらフィンガープリント検証部311a〜311c…により、複数の部分データのそれぞれに対し、複数種の関数によるフィンガープリントの検証を行うようになっている。
【0173】
ここで、本変更例においても、部分データ抽出部321が設けられており、第1関数演算部311及び第2関数演算部312は、抽出された部分データについて要素データ及びダイジェストデータの生成を行う。また、第1関数演算部311は、複数種の関数により、関数毎に複数種の要素データを生成し、同定を行う。
【0174】
なお、本変更例においても、第一の関数は、入力されたデジタルコンテンツデータを人間が視聴する場合において、その品質を損なわない程度に改変されても変化しない値を出力するように、デジタルコンテンツデータの品質を司る要素を抽出する特性を有するものとする。また、同様に、第2の関数は、入力されたデジタルコンテンツデータのいずれの1ビットでも変更された場合には、出力する値が変更されるような特性を有するものとする。
【0175】
上記各フィンガープリント検証部311a〜311c…は、図3Bに示すように、それぞれ第1の関数により要素データを算出するフィンガープリント算出部3111と、各部分データの重み付け情報を算出するとともに、各要素データの評価値を算出する評価部3112を備えている。
【0176】
フィンガープリント算出部3111は、フィンガープリント検証部311a〜311c…のそれぞれに割り当てられた関数によって、要素データを算出するモジュールである。評価部3112は、部分データ抽出部321が抽出した部分データについて重み付け情報weightを算出するとともに、各部分データについてのコンテンツデータ識別情報、信頼性情報reliabilityを取得し、これらの入力情報から最も確からしいコンテンツデータ識別情報を算出する。これらの情報は、判定データD3として、コンテンツ利用装置30側に送信される。コンテンツ利用装置30内の制御部307は、この評価部3112が算出した判定データD3に基づいて、利用制御を行う。
【0177】
なお、本変更例においても、改変検出装置20の照合部231からアクセスできるように関連情報登録部400を設置し、照合部231における照合結果を関連情報登録部400に登録するようにしてもよい。この場合、照合部231は、照合処理において、要素データ(フィンガープリント)を検索し、検索された要素データに対応するダイジェストデータ(ハッシュ値)を照合する際、関連情報登録部400において関連づけられた他のハッシュ値についても照合を行う。
【0178】
このような本変更例によれば、同定処理の対部分をコンテンツデータ改変検出装置20側で行い、コンテンツ利用装置30では、同定に係るコンテンツデータをコンテンツデータ改変検出装置20側に送信し、その同定結果の返信を受けて再生制限を行うことができ、コンテンツ利用装置30側での処理を軽減し、装置の小型・軽量化を図ることができる。
【0179】
[変更例2]
さらに、上述した、第1乃至第3実施形態では、再生に係るデジタルコンテンツデータの判定部230をコンテンツデータ改変検出装置20側に設けたが、図15に示すように、これらをコンテンツ利用装置30側に設けるようにしてもよい。
【0180】
具体的には、同図に示すように判定部230を、コンテンツ利用装置30側内において、第1関数演算部311及び第2関数演算部312と、受信部306の間に配置する。そして、第1関数演算部311及び第2関数演算部312とによって、算出された要素データD12及びダイジェストデータD22を判定部230に出力し、既知及び未知のデジタルコンテンツデータD1及びD2のそれぞれに対応する要素データD11及びダイジェストデータD21をコンテンツデータ改変検出装置20側に設けたデータベース210から読み出し、同定処理を行う。
【0181】
詳述すると、先ず、コンテンツ利用装置30において、第1関数演算部311で算出した要素データD12を第1の比較部233に出力し、第2関数演算部312で算出したダイジェストデータD22を第2の比較部234に出力する。
【0182】
次いで、検索部232は、コンテンツ利用装置30側の送信部305及び、コンテンツ利用装置側20の受信部213を介して、コンテンツデータ改変検出装置20側のデータベース210に記憶されている既知及び未知のデジタルコンテンツデータD1及びD2のそれぞれに対応する要素データD11及びダイジェストデータD21を検索し、読み出す。データベース210より読み出された既知のデジタルコンテンツデータD1と未知のデジタルコンテンツデータD2は、コンテンツ利用装置側20の送信部214、及びコンテンツ利用装置30側の受信部306を介して、コンテンツ利用装置30側の検索部232に送出される。
【0183】
なお、同図において、データベース210は、受信部201を通じてデジタルコンテンツデータを配布した者(サービス提供者)側からアクセス可能な記録部である。このデータベース210には、配布元のデジタルコンテンツデータに第1の関数を実行して得られた要素データD11、及び配布元のデジタルコンテンツデータに第2の関数を実行して得られたダイジェストデータD21が記録されているものとする。
【0184】
そして、上記データベース210から読み出された要素データD11と要素データD12を第1の比較部233において比較し、これらが一致することを検出したときには、なおかつ上記データベース210から読み出されたダイジェストデータD21と上記ダイジェストデータD22とを第2の比較部234において比較する。
【0185】
さらに、この第2の比較において、一致しないことを検出する場合に、配布されたデジタルコンテンツデータが配布元のデジタルコンテンツデータ(配布用データ)から改変されたと照合部231において判定し、その判定結果を制御部307へ送信する。そして、制御部307において、データ利用を制限する。
【0186】
ここで、本変更例においても、コンテンツ利用装置30内の第1関数演算部311内には、図3Aに示すように、複数種の関数を演算して複数種の要素データを検証するフィンガープリント検証部311a〜311c…が備えられており、同定処理に際しては、これらフィンガープリント検証部311a〜311c…により、複数の部分データのそれぞれに対し、複数種の関数によるフィンガープリントの検証を行うようになっている。また、本変更例においても、部分データ抽出部321が設けられており、第1関数演算部311及び第2関数演算部312は、抽出された部分データについて要素データ及びダイジェストデータの生成を行う。
【0187】
さらに、本変更例においても、第1の比較部は、再生に係るデジタルコンテンツデータD2及び配信に係るデジタルコンテンツデータD1のそれぞれから、複数種の関数により抽出された要素データ同士の同一性を、複数種の関数毎に比較する。また、照合部231は、比較部233における複数種の関数毎の比較結果に応じて、既知のデジタルコンテンツデータD1と未知のデジタルコンテンツデータD2との同一性を判定する。
【0188】
なお、本変更例においても、第一の関数は、入力されたデジタルコンテンツデータを人間が視聴する場合において、その品質を損なわない程度に改変されても変化しない値を出力するように、デジタルコンテンツデータの品質を司る要素を抽出する特性を有するものとする。また、同様に、第2の関数は、入力されたデジタルコンテンツデータのいずれの1ビットでも変更された場合には、出力する値が変更されるような特性を有するものとする。
【0189】
上記各フィンガープリント検証部311a〜311c…は、図3Bに示すように、それぞれ第1の関数により要素データを算出するフィンガープリント算出部3111と、各部分データの重み付け情報を算出するとともに、各要素データの評価値を算出する評価部3112を備えている。
【0190】
フィンガープリント算出部3111は、フィンガープリント検証部311a〜311c…のそれぞれに割り当てられた関数によって、要素データを算出するモジュールである。そして、変換された要素データは、コンテンツ利用装置30側の判定部230に入力され、検索部232によりコンテンツ改変検出装置20のデータベース210から順次要素データを読み出し、第1の比較部233で比較される。そして、近似する要素データが検出されたときには、照合部231においてデータベース210を照合し、該当する要素データを識別するためのコンテンツデータ識別情報と、フィンガープリント照合がどの程度確からしいかを示す信頼性情報reliabilityを得る。このようにして得られたコンテンツデータ識別情報、及び信頼性情報reliabilityは、コンテンツ利用装置30の評価部3112に判定データD3として入力される。
【0191】
評価部3112は、部分データ抽出部321が抽出した部分データについて重み付け情報weightを算出するとともに、各部分データについてのコンテンツデータ識別情報、信頼性情報reliabilityを取得し、これらの入力情報から最も確からしいコンテンツデータ識別情報を算出する。そして、コンテンツ利用装置30内の制御部307は、この評価部3112が算出した判定データD3に基づいて、利用制御(再生許可又は再生制限等)を行う。
【0192】
なお、本変更例においては、コンテンツ利用装置30の照合部231からアクセスできるように関連情報登録部400を設置し、照合部231における照合結果を関連情報登録部400に登録する。この場合、照合部231は、照合処理において、要素データ(フィンガープリント)を検索し、検索された要素データに対応するダイジェストデータ(ハッシュ値)を照合する際、関連情報登録部400において関連づけられた他のハッシュ値についても照合を行う。
【0193】
本変更例においても、制御部307は、関連情報を登録させる登録要求部307aを備えている。そして、この登録要求部307aは、検索部232による検索結果が複数ある場合に、検索結果である複数のダイジェストデータを関連づける関連情報の登録を要求する。照合部231は、この登録要求部307aからの要求に応じて、関連情報の登録を関連情報登録部400に依頼し、この依頼により関連情報登録部400は、データベース210に関連情報を登録する。
【0194】
このような本変更例によれば、同定処理の対部分をコンテンツ利用装置30側で行い、コンテンツデータ改変検出装置20側では、同定に係るコンテンツデータに対応する要素データD11及びダイジェストデータD21をコンテンツ利用装置30側に送信する。これにより、コンテンツデータ改変検出装置20側での処理を軽減し、装置の処理が一点に集中することを防止することができる。
【符号の説明】
【0195】
D01…管理されたデジタルコンテンツデータ
D02…検証用コンテンツデータ
D03…配布用コンテンツデータ
D1…既知のデジタルコンテンツデータ
D2…未知のデジタルコンテンツデータ
D11…既知の要素データ
D12…未知の要素データ
D21…既知ダイジェストデータ
D22…未知のダイジェストデータ
D3…判定データ
D41…ハッシュ値
10…コンテンツ配布装置
20…コンテンツ改変検出装置
30…コンテンツ利用装置
101…圧縮部
102,304…伸張部
103…暗号化部
104…配信部
106…コンテンツデータID管理部
107…変換制御部
111,311…第1関数演算部
112,312…第2関数演算部
233…第1の比較部
234…第2の比較部
201,213,301,306…受信部
210…記憶部
211…既知データ蓄積部
105,214,305…送信部
215…データ選択部
230…判定部
231…照合部
302…外部入力部
303…復号部
307…制御部
307a…登録要求部
308…再生出力部
310…記憶装置
311a〜…フィンガープリント検証部
3111…フィンガープリント算出部
3112…評価部
400…関連情報登録部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種の関数を演算することにより、未知のデジタルコンテンツデータから、デジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データを、複数種算出する関数演算部と、
前記未知のデジタルコンテンツデータから抽出された前記複数種の要素データと、前記複数種の関数を演算することにより、既知のデジタルコンテンツデータからデジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される複数種の要素データとの同一性を、前記複数種の関数毎に比較する比較部と、
前記比較部における前記複数種の関数毎の比較結果に応じて、前記既知のデジタルコンテンツデータと未知のデジタルコンテンツデータとの同一性を判定する判定部と、
前記判定結果に応じて、前記未知のデジタルコンテンツデータの再生を制御する制御部と
を有することを特徴とするデジタルコンテンツデータの管理システム。
【請求項2】
未知のデジタルコンテンツデータの一部分である部分データを複数個抽出する部分データ抽出部と、
前記各部分データに対して、関数を演算することにより、各部分データから、部分データの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データを算出する関数演算部と、
前記部分データから抽出された要素データと、前記関数を演算することにより、既知のデジタルコンテンツデータからデジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データとの同一性を、前記部分データ毎に比較する比較部と、
前記比較部における前記部分データ毎の比較結果に応じて、前記既知のデジタルコンテンツデータと未知のデジタルコンテンツデータとの同一性を判定する判定部と、
前記判定結果に応じて、前記未知のデジタルコンテンツデータの再生を制御する制御部と
を有することを特徴とするデジタルコンテンツデータの管理システム。
【請求項3】
前記判定部は、前記同一性の程度を信頼性情報として算出するとともに、前記信頼性情報に基づいて、前記同一性の判定を行う
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のデジタルコンテンツデータの管理システム。
【請求項4】
複数種の関数を演算することにより、既知のデジタルコンテンツデータから、デジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データを複数種算出する配布側関数演算ステップと、
複数種の関数を演算することにより、未知のデジタルコンテンツデータから、デジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データを複数種算出する利用側関数演算ステップと、
前記既知及び未知のデジタルコンテンツデータのそれぞれから抽出された要素データを取得し、前記要素データ同士の同一性を、前記複数種の関数毎に比較する比較ステップと、
前記比較ステップにおける前記複数種の関数毎の比較結果に応じて、前記既知のデジタルコンテンツデータと未知のデジタルコンテンツデータとの同一性を判定する判定ステップと、
前記判定結果に応じて、前記未知のデジタルコンテンツデータの再生を制御する制御ステップと
を有することを特徴とするデジタルコンテンツデータの管理方法。
【請求項5】
未知のデジタルコンテンツデータの一部分である部分データを複数個抽出する部分データ抽出ステップと、
前記各部分データに対して、関数を演算することにより、各部分データから、部分データの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データを算出する関数演算ステップと、
既知のデジタルコンテンツデータ及び前記部分データのそれぞれから抽出された要素データ同士の同一性を、部分データ毎に比較する比較ステップと、
比較ステップにおける前記複数の部分データ毎の比較結果に応じて、前記既知のデジタルコンテンツデータと未知のデジタルコンテンツデータとの同一性を判定する判定ステップと、
前記判定結果に応じて、前記未知のデジタルコンテンツデータの再生を制御する制御ステップと
を有することを特徴とするデジタルコンテンツデータの管理方法。
【請求項6】
前記判定ステップでは、前記同一性の程度を信頼性情報として算出するとともに、算出した信頼性情報に基づいて、前記同一性の判定を行う
ことを特徴とする請求項4又は5に記載のデジタルコンテンツデータの管理方法。
【請求項7】
(関数演算部が改変装置側にある構成:複数種関数)
未知のデジタルコンテンツデータを管理装置に送信する送信部と、
前記未知のデジタルコンテンツデータと、前記管理装置で管理されている既知のコンテンツデータとの同一性に関する判定結果を、前記管理装置から受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記判定結果に応じて、前記未知のデジタルコンテンツデータの再生を制御する制御部と
を有し、
前記同一性に関する判定は、
複数種の関数を演算することにより、前記未知のデジタルコンテンツデータ及び前記既知のデジタルコンテンツデータから、デジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データを、複数種算出し、
前記未知のデジタルコンテンツデータ及び前記既知のデジタルコンテンツデータのそれぞれから抽出された要素データ同士の同一性を、前記複数種の関数毎に比較することにより行われる
ことを特徴とするデジタルコンテンツデータのコンテンツ利用装置。
【請求項8】
複数種の関数を演算することにより、未知のデジタルコンテンツデータから、デジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データを、複数種算出する関数演算部と、
前記関数演算部が算出した複数種の要素データを改変検出装置に送信する送信部と、
前記送信部が送信したデジタルコンテンツデータと、前記改変検出装置で管理されている既知のコンテンツデータとの同一性に関する判定結果を、前記改変検出装置から受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記判定結果に応じて、前記送信部が送信したデジタルコンテンツデータの再生を制御する制御部と
を有し、
前記同一性に関する判定は、
前記未知のデジタルコンテンツデータ及び前記既知のデジタルコンテンツデータのそれぞれから抽出された要素データ同士の同一性を、前記複数種の関数毎に比較することにより行われる
ことを特徴とするデジタルコンテンツデータのコンテンツ利用装置。
【請求項9】
未知のデジタルコンテンツデータを改変検出装置に送信する送信部と、
前記未知のデジタルコンテンツデータと、前記改変検出装置で管理されている既知のコンテンツデータとの同一性に関する判定結果を、前記改変検出装置から受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記判定結果に応じて、前記未知のデジタルコンテンツデータの再生を制御する制御部と
を有し、
前記同一性に関する判定は、
未知のデジタルコンテンツデータの一部分である部分データを複数個抽出し、
関数を演算することにより、前記部分データ及び前記既知のデジタルコンテンツデータから、デジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データを算出し、
前記部分データ及び前記既知のデジタルコンテンツデータのそれぞれから抽出された要素データ同士の同一性を、前記部分データ毎に比較することにより行われる
ことを特徴とするデジタルコンテンツデータのコンテンツ利用装置。
【請求項10】
未知のデジタルコンテンツデータの一部分である部分データを複数個抽出する部分データ抽出部と、
前記各部分データに対して、関数を演算することにより、各部分データから、部分データの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データを算出する関数演算部と、
前記要素データを改変検出サービス者側に送信する送信部と、
前記要素データと、前記改変検出サービス者側で管理された要素データとの同一性に関する判定結果を、前記改変検出サービス者側から受信する受信部と、
受信された前記判定結果に応じて、前記再生に係るデジタルコンテンツデータの再生を制御する制御部と
を有し、
前記改変検出サービス者側における同一性に関する判定は、既知のデジタルコンテンツデータに対し、前記部分データ毎に比較することにより行われる
ことを特徴とするデジタルコンテンツデータのコンテンツ利用装置。
【請求項11】
前記改変検出サービス者側における同一性に関する判定では、前記同一性の程度を信頼性情報として算出し、算出された信頼性情報に基づいて、前記同一性の判定を行う
ことを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載のデジタルコンテンツデータのコンテンツ利用装置。
【請求項12】
複数種の関数を演算することにより、未知のデジタルコンテンツデータから、デジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データを、複数種算出する関数演算部と、
前記未知のデジタルコンテンツデータから抽出された複数種の要素データと、前記複数種の関数を演算することにより、既知のデジタルコンテンツデータからデジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される複数種の要素データとの同一性を、前記複数種の関数毎に比較する比較部と、
前記比較部における前記複数種の関数毎の比較結果に応じて、前記既知のデジタルコンテンツデータと未知のデジタルコンテンツデータとの同一性を判定する判定部と
を有することを特徴とするデジタルコンテンツデータの改変検出装置。
【請求項13】
複数種の関数を演算することにより、未知のデジタルコンテンツデータから、デジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される複数種の要素データと、前記複数種の関数を演算することにより、既知のデジタルコンテンツデータからデジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される複数種の要素データとの同一性を、前記複数種の関数毎に比較する比較部と、
前記比較部における前記複数種の関数毎の比較結果に応じて、前記既知のデジタルコンテンツデータと未知のデジタルコンテンツデータとの同一性を判定する判定部と
を有することを特徴とするデジタルコンテンツデータの改変検出装置。
【請求項14】
未知のデジタルコンテンツデータの一部分である部分データを複数個抽出する部分データ抽出部と、
前記各部分データに対して、関数を演算することにより、各部分データから、部分データの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データを算出する関数演算部と、
前記部分データから抽出された要素データと、前記関数を演算することにより、既知のデジタルコンテンツデータからデジタルコンテンツデータの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データとの同一性を、前記部分データ毎に比較する比較部と、
前記比較部における前記部分データ毎の比較結果に応じて、前記既知のデジタルコンテンツデータと未知のデジタルコンテンツデータとの同一性を判定する判定部と
を有することを特徴とするデジタルコンテンツデータの改変検出装置。
【請求項15】
再生に係るデジタルコンテンツデータの一部分である部分データを複数個抽出し、各部分データに対して、関数を演算することにより、各部分データから、部分データの内容に関する特性に基づいて抽出される要素データを受信する受信部と、
既知のデジタルコンテンツデータ及び前記部分データのそれぞれから抽出された要素データ同士の同一性を、部分データ毎に比較する比較部と、
前記比較部における前記複数の部分データ毎の比較結果に応じて、前記既知のデジタルコンテンツデータと未知のデジタルコンテンツデータとの同一性を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果を、前記コンテンツデータ利用者側に送信する送信部と
を有することを特徴とするデジタルコンテンツデータの改変検出装置。
【請求項16】
前記判定部は、前記同一性の程度を信頼性情報として算出するとともに、前記信頼性情報に基づいて、前記同一性の判定を行う
ことを特徴とする請求項12乃至15のいずれかに記載のデジタルコンテンツデータの改変検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−13712(P2011−13712A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154606(P2009−154606)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】