説明

デジタルコンテンツ再生装置、および、メタデータ生成方法

【課題】
放送あるいは通信で配信されるコンテンツを視聴するシステムにおいて、コンテンツの注目シーンをユーザに提示するためのメタデータを好適に生成する方法を提供する。
【解決手段】
入力手段に前記デジタルコンテンツの再生を制御する情報が入力された場合に、該情報に基づいて、前記デジタルコンテンツの再生速度に関する情報を管理し、サーバにおいて前記デジタルコンテンツのシーン毎の注目度情報を生成するために、前記再生速度に関する情報をサーバに対して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタデータを生成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2005−142975号公報(特許文献1)がある。この公報には、「視聴者についてのセンシングデータやそれを認識処理することで得られる視聴者についての認識データを収集することで、再生コンテンツに対しての視聴者の反応を示す視聴者反応データを収集し、一方、ユーザ端末で、画面操作履歴の情報を含む再生コンテンツについての視聴データを収集すると、ユーザ端末あるいは情報提供装置で、その収集した視聴者反応データとその収集した視聴データとを時間同期させて統合する。そして、情報提供装置で、その統合データに基づいて、再生コンテンツに対しての視聴者の質的な反応を示す視聴質データを生成して、その生成した視聴質データの流通用の視聴メタデータを作成する」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−142975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載される技術では、ユーザの視聴態度を測定するためにセンサを使用しているため、視聴者反応データを収集する範囲が制限される。また、多数のユーザの視聴者反応データを収集することが困難である場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、ユーザの視聴態度を測定するためにセンサ等を使用することなく、そのシーンに対するユーザの注目度を決定し、ユーザがコンテンツを視聴する際に注目すべきシーンを容易に発見するためのメタデータを作成する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
【0007】
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、放送または通信を介して受信したデジタルコンテンツを再生するデジタルコンテンツ再生装置であって、サーバと通信を行う通信手段と、ユーザ入力を入力する入力手段と、受信した前記デジタルコンテンツを記録媒体に記録する記録手段と、記録した前記デジタルコンテンツ、または、ストリーミング配信されたデジタルコンテンツを再生する再生手段と、前記デジタルコンテンツの再生速度に関する情報を管理する管理手段と、を備え、前記管理手段は、前記入力手段に前記デジタルコンテンツの再生を制御する情報が入力された場合に、該情報に基づいて、前記デジタルコンテンツの再生速度に関する情報を管理し、前記通信手段は、サーバにおいて前記デジタルコンテンツのシーン毎の注目度情報を生成するために、前記再生速度に関する情報をサーバに対して送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コンテンツにおける注目シーンをユーザに示すためのメタデータを好適に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】メタデータ生成のためのシステム構成図
【図2】記録再生装置のブロック図
【図3】記録再生装置における処理のフローを示す図
【図4】コンテンツ視聴における再生速度変化の一例を示す図
【図5】コンテンツ再生速度から求めた注目度の変化の一例を示す図
【図6】コンテンツ再生速度の変化量の一例を示す図
【図7】記録再生装置で生成した再生速度管理テーブルの一例を示す図
【図8】メタデータサーバで生成した再生速度管理テーブルの一例を示す図
【図9】記録再生装置で生成した再生速度変化管理テーブルの一例を示す図
【図10】メタデータサーバで生成した再生速度変化管理テーブルの一例を示す図
【図11】グループ毎の注目度の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0010】
図1は、本実施例におけるメタデータ生成のためのシステムの構成図である。
【0011】
本実施例におけるシステムは、複数の記録再生装置101(図1の例では記録再生装置A〜C)と、ネットワークを介して接続されたメタデータサーバ102と、コンテンツサーバ103とを含む。
【0012】
記録再生装置101は、放送波や通信などコンテンツを配信するために利用されるコンテンツ配信網に接続してコンテンツを受信し、内蔵もしくは外部接続された記録メディアに記録する。ここで、記録メディアとは、たとえばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、光ディスク、フラッシュメモリなどである。
【0013】
また、記録再生装置101においては、記録したコンテンツを再生して視聴することが可能であり、その際にユーザの操作により早送りや早戻し、スロー再生、チャプタースキップなどのトリックプレイを行うことができる。
【0014】
また、記録再生装置101は、記録メディアに記録したコンテンツのみでなく、コンテンツサーバ103が配信するコンテンツをストリーミング再生することも可能である。そして、ストリーミング再生した場合にも、上記のようなトリックプレイを行うことができる。
【0015】
さらに、記録再生装置101は、ユーザがどのシーンの視聴にどれだけの時間を費やしたかを、トリックプレイ操作の履歴を用いて算出し、その結果を再生速度管理テーブル701あるいは再生速度変化管理テーブル901として記録再生装置内101に記録したり、メタデータサーバ102に送信することが可能である。また、メタデータサーバ102からユーザが視聴しようとするコンテンツに関連したメタデータを取得し、コンテンツを再生して視聴する際に、シーンごとの注目度をユーザに提示することができる。なお、再生速度管理テーブル701、再生速度変化管理テーブル901については後述する。
【0016】
メタデータサーバ102は、記録再生装置101において生成した再生速度管理テーブル701や再生速度変化管理テーブル901を受信して、これを蓄積する。また、記録再生装置101からのメタデータ取得要求に応じて、蓄積されている再生速度管理テーブル701や再生速度変化管理テーブル901のうち、指定されたコンテンツに関連するものを抽出し、抽出したテーブルからメタデータを生成し、記録再生装置101に送信する。
【0017】
なお、メタデータ生成に使用する再生速度管理テーブル701や再生速度変化管理テーブル901は、全てのテーブルを抽出対象とするのではなく、たとえば図示しないユーザ情報管理サーバなどでユーザIDごとの年齢、性別、住所、嗜好などの情報を管理し、要求発行元のユーザと類似したユーザが登録したテーブルのみに対象を制限してメタデータを生成することもできる。
【0018】
また、メタデータサーバ102は時間管理機能を備え、同一コンテンツに対して頻繁にメタデータ生成要求を受けるような場合、前回のメタデータ生成処理から一定時間内の再要求である場合には、メタデータ生成処理を実行するのではなく、前回作成したメタデータを送信することもできる。
【0019】
コンテンツサーバ103は、記録再生装置101からの要求に応じて、コンテンツの配信を行う。配信形態は、記録再生装置101が備える記録媒体に記録し、後日視聴するダウンロード形式でもよいし、コンテンツを受信しながら再生を行うストリーミング形式でもよい。
【0020】
なお、図1においてはコンテンツサーバとメタデータサーバは別々の装置として図示しているが、各サーバの機能を一台のサーバに搭載してもよい。
【0021】
次に、図2を用いて、本実施例における録画再生装置101の各ブロックの機能について説明する。
【0022】
通信部201は、メタデータサーバ102やコンテンツサーバ103と通信を行い、コンテンツのメタデータやコンテンツデータ等の送受信を行う。
【0023】
受信部202は、放送を介してコンテンツデータ等のデジタル情報を受信する。
【0024】
メタデータ管理部203は、メタデータサーバ102から取得したメタデータを管理する。また、メタデータ管理部203は、再生速度管理テーブル701、再生速度変化管理テーブル901の更新、管理等を行う。再生速度管理テーブル701、再生速度変化管理テーブル901の詳細については後述する。
【0025】
コンテンツ管理部204は、受信部201を介して受信され録画されたコンテンツ、通信部201を介してコンテンツサーバ103からダウンロードされたコンテンツ、通信部201を介してコンテンツサーバ103からストリーミング配信されるコンテンツ等を管理する。
【0026】
記録部205は、受信部201を介して受信されたコンテンツ、または、通信部201を介してコンテンツサーバ103からダウンロードされたコンテンツ等を記録する。
【0027】
再生制御部206は、ユーザ操作に応じてコンテンツの再生を制御する。ここで、再生し視聴できるコンテンツは、受信部201を介して受信され、記録再生装置101に録画されたコンテンツ、コンテンツサーバ103からダウンロードされたコンテンツ、コンテンツサーバ103からストリーミングされるコンテンツ等である。
【0028】
入力部207は、ユーザ操作を入力し、再生制御部206に対して入力内容を通知する。ここで、ユーザ操作は、赤外線または無線LANなどの無線通信や有線で接続されたリモコン等の入力デバイス、または、録画再生装置101に備えられたボタン等によって入力される。
【0029】
出力部208は、ユーザ操作のための画面データや、デコードされたコンテンツデータを出力する。出力部208を構成するハードウェアの例は、ディスプレイ、スピーカなど、または、外部のディスプレイやスピーカなどに情報を出力するための出力端子である。
【0030】
次に、図3を用いて、本実施例における録画再生装置101の処理のフローについて説明する。
【0031】
S301では、視聴可能なコンテンツを選択する。出力部208が視聴可能なコンテンツの一覧を出力し、入力部207を介してユーザ所望のコンテンツが選択される。
【0032】
S302では、ユーザにより選択されたコンテンツに対応するメタデータを取得する。再生制御部206が、ユーザにより選択されたコンテンツに対応するメタデータの取得をメタデータ管理部203に要求すると、メタデータ管理部203が、通信部201を介してメタデータサーバ102に対して当該メタデータの取得を要求する。そして、メタデータサーバ102から取得したメタデータを、メタデータ管理部203における記録領域に記録する。
【0033】
なお、メタデータ管理部203は、選択されたコンテンツに対応するメタデータを過去に取得したことがあり、そのデータを記録再生装置101にて保持している場合には、メタデータサーバ102から最新のメタデータを取得せず、以前に取得したメタデータを用いることも可能である。この場合、前回メタデータを取得してから所定の期間が経過していないということを条件として、以前に取得したメタデータを使用するようにしても良い。また、ネットワーク障害など何らかの理由によりメタデータサーバ102にアクセスできない場合にも、以前に取得したメタデータを使用するようにしても良い。
【0034】
S303では、ユーザにより選択されたコンテンツの再生を開始する。再生制御部206がコンテンツ管理部204に対して、ユーザにより選択されたコンテンツの再生を要求する。コンテンツ管理部204は、指定されたコンテンツが記録再生装置101に録画されたコンテンツ、または、ダウンロードされたコンテンツである場合には、該当コンテンツを記録部205から読み出して、映像、音声のデコード処理を行い、デコードしたコンテンツデータを出力部208に出力する。また、指定されたコンテンツがコンテンツサーバ103からのストリーミング再生コンテンツである場合には、通信部201を通してコンテンツを受信し、受信した映像、音声データをデコードし、デコードしたコンテンツデータを出力部208に出力する。
【0035】
S304では、入力部207を介してユーザ操作を入力する。
【0036】
S305では、S304で入力されたユーザ操作が、コンテンツの再生を制御する操作である場合にはS306へ進む。ここで、コンテンツの再生を制御する操作とは、早送りや早戻しボタン等によりコンテンツの再生速度を変化させたり、スキップボタン等によりコンテンツのメタデータにチャプターとして記載されている時刻まで移動する操作、または再生を停止する操作等をいう。一方、S304で入力されたユーザ操作が、上記のようなコンテンツの再生を制御する操作でなかった場合には、S304へと戻り、再生制御部206はコンテンツの再生を継続し、ユーザからの入力を待つ。
【0037】
S306では、メタデータ管理部203が管理する再生速度管理テーブル701を更新する。再生速度管理テーブル701とその更新処理の詳細については後述する。
【0038】
S307では、S304で入力されたユーザ操作が再生を停止する操作であったかどうかを判定する。ここで、再生停止操作とは、停止ボタン等によりコンテンツの再生を中断する場合のみならず、たとえば放送波の視聴への切り替えや、外部入力ソースへ切り替えといった操作も含む。再生停止操作であった場合には、S308へ進み、コンテンツの再生を停止する。再生停止操作でなかった場合には再生を継続し、S304へ進む。
【0039】
S309では、S306で更新した再生速度管理テーブル701を、通信部201を介してメタデータサーバ102に対して送信する。ここで、通信回線の異常などによりメタデータサーバ102に対して再生速度管理テーブル701を送信できない場合には、記録再生装置101の不揮発記録領域にデータを保存して処理を終了し、あらかじめ設定した一定時間後にデータの再送信をしてもよい。あるいは、次回のコンテンツ視聴時に、メタデータサーバ102からメタデータを取得する際、あるいは再生速度管理テーブル701を送信する際にまとめて送信してもよい。
【0040】
以上の処理を完了してS310へと進み、処理が完了する。
【0041】
以上説明した処理フローによれば、本発明における受信再生装置101を使用してユーザがコンテンツを視聴する際に、特別なユーザ操作やセンサを使用することなく、メタデータ生成のために必要となる再生速度管理テーブル701を生成し、これらをメタデータサーバ102に送信することができる。
【0042】
次に、図7を用いて、本実施例における記録再生装置101が作成する再生速度管理テーブル701について説明する。
【0043】
図7の再生速度管理テーブルは、例えば図4に示すようにコンテンツ視聴中に早送りや早戻し等のトリックプレイを行った場合に作成される再生速度管理テーブルの一例である。
【0044】
本実施例においては、コンテンツに対して固有IDを付与するものとする。この固有IDは、放送を録画するときや、コンテンツサーバ103からコンテンツをダウンロード、ストリーミングする際に取得できる。また、ユーザに対しても同様に固有IDを付与する。ここで、ユーザ固有IDは、記録再生装置ごとに割り当てを行ってもよいし、1台の記録再生装置を複数ユーザで使用する場合には、各ユーザに固有IDを付与してもよい。いずれの場合においても、重複が発生しないように管理できるものとする。
【0045】
図7の再生速度管理テーブルは、ユーザID=Aのユーザが、コンテンツID=123456のコンテンツを、図4のように視聴した際に作成される再生速度管理テーブルの一例である。コンテンツID=123456のコンテンツをユーザID=Aのユーザが始めて視聴する際に、再生速度管理テーブルのContents_ID欄とUser_ID欄を記入した状態で作成する。以降、ユーザがコンテンツの再生速度に変化が生じる操作など、再生を制御する操作を行うごとに、操作IDを付与し、その内容を追加していく。その具体的な処理内容を以下に説明する。
【0046】
まず、コンテンツの再生開始時に、停止状態から1倍速再生に変化する操作であるので、操作ID=1を付与し、その開始時刻(ts(n))にコンテンツの再生開始時刻(0:00:00)を付与する。
【0047】
続いてオープニング区間から演歌コーナーに変わるタイミングで、ユーザが早送り操作を行い、再生速度が1倍速から4倍速に変化している。このように再生速度を変化させる入力が行われたときに、現在の操作IDである操作ID=1の終了時刻(te(n))にその時刻(0:10:00)を記入する。また、この再生速度変化の操作に対して操作ID=2を付与して、その開始時刻(ts(n))にその時刻(0:10:00)を記入する。
【0048】
続いてユーザAは演歌コーナーからJ-POPコーナーに変化した後、J-POPコーナーの先頭まで早戻し操作で移動している。この場合に、早戻し操作を行った時点で4倍速再生が終了となるため、操作ID=2の終了時刻(te(n))にその時刻(0:30:00)を記入する。さらに、早戻し操作に対する操作ID=3を付与し、開始時刻(ts(n))にその時刻(0:30:00)を記入する。
【0049】
操作IDの付与については、所定の時間内(たとえば5秒以内)に、速度変化を伴う操作が連続して行われた場合、例えば120倍速で早送りしている状態から速度低下の操作を連続して行い、120倍、60倍、30倍、10倍、1.5倍、1倍(通常速度)となるように操作された場合には、その中間の操作を再生速度変化管理テーブルに記入することを省略しても良い。この省略を判断するための所定の時間は、あらかじめ記録再生装置が定めた値を用いてもよいし、ユーザが設定できるようにしても良い。
【0050】
以上説明したように再生速度が変化するたびに上記のような処理を繰り返すことで、再生速度管理テーブルを作成することができる。
【0051】
なお、再生速度管理テーブルとしては、701のようにユーザIDとコンテンツIDの組み合わせで一つのテーブルを作成するのではなく、702に示すように、操作IDそれぞれに対してユーザIDとコンテンツIDを付与し、ユーザやコンテンツごとにテーブルを分割せず記録再生装置101内部で一括管理することもできる。さらには、コンテンツ単位、あるいはユーザ単位で再生速度の変化をまとめてそれぞれテーブルとして管理してもよい。
【0052】
次に、本実施例における再生速度管理テーブルを用いたメタデータ生成処理について説明する。なお、本実施例では、図4に示すように音楽番組をユーザAとユーザBが視聴した場合を例として、メタデータ生成処理について説明する。また、メタデータ生成処理は、記録再生装置101から送信された再生速度管理テーブルを用いて、メタデータサーバ102にて実施する。
【0053】
まず、メタデータサーバ102は、それぞれの記録再生装置101から送信された再生速度管理テーブルを保持している。記録再生装置101において、あるコンテンツを再生しようとする際に、コンテンツIDをキーとして、メタデータサーバ102に対してメタデータの取得を要求する。これを受けたメタデータサーバ102は、メタデータサーバ102に登録されている再生速度管理テーブルから、コンテンツIDをキーとして、関連する再生速度情報を抽出する。抽出した再生速度情報の一例を図8に示す。
【0054】
図8は、図4に示すユーザA、Bに加え、図4に示さないユーザCも、コンテンツID=123456の番組を視聴した場合の再生速度情報の例である。ここで、複数の再生速度管理テーブルから、コンテンツIDをキーとして再生速度情報を抽出するためには、SQLのようなデータベース言語を用いることができる。
【0055】
なお、本実施例においては、記録再生装置101からのリクエストに応じてメタデータを生成する例について説明するが、記録再生装置101からのリクエストとは関係なく、メタデータサーバ102内部で管理する情報に変化が生じた場合や、あらかじめ設定した一定の時間周期でコンテンツごとのデータを抽出し、メタデータを生成してもよい。この場合、記録再生装置101からの要求を受けると、作成済みのメタデータを送信する。また、同一コンテンツに対して頻繁に要求を受けるような場合、前回のメタデータ生成処理から一定時間内の再要求である場合には、メタデータ生成処理を実行するのではなく、前回作成したメタデータを送信することもできる。
【0056】
図8に示すコンテンツごとの再生速度情報をもとに、各操作IDに対して注目度の値を付与する。具体的には、再生速度と開始から終了までの時間の関係から、操作IDごとに消費された時間を算出する。ID=nの操作の開始時刻をts(n)、終了時刻をte(n)、再生速度をs(n)とすると、各操作IDでの消費時間tc(n)は次式で求められる。
tc(n)=(te(n)−ts(n))/s(n)
このように算出した、操作IDごとの消費時間を、時系列で積み重ねたものが、図5である。各シーンで消費された時間とは、すなわちそのシーンをユーザがどれだけ注目していたかという指標となる。つまり、このように個々のユーザがシーンごとに消費した時間の加算結果から、対象コンテンツのシーンごとの注目度情報を得ることができる。
【0057】
また、図4におけるユーザBのように、同一コンテンツを複数回視聴している場合には、視聴回数に応じて消費時間に重みを与えてもよい。この場合の消費時間tc(n)は、視聴回数kに対する重みを与える関数wを用いて、以下のように求められる。
tc(n)=(te(n)−ts(n))/s(n)×w(k)
そして、時間単位で注目度の変化量を算出し、注目度の変化量が大きい箇所はコンテンツの内容に変化があった場面であると判断し、ユーザがアクセスしやすいようにチャプターを付与する。または、注目度が、ある閾値を越えた箇所に対してチャプターを付与しても良い。この閾値は、注目度の平均値を用いてもよいし、メタデータを使用する記録再生装置101によって、予め設定された値を用いても良い。
【0058】
なお、チャプター付与の処理については、メタデータサーバ102で行うこともできるし、メタデータを受信した記録再生装置101で行うこともできる。
【0059】
以上説明した本実施例によれば、コンテンツの注目シーンをユーザに提示するために使用する、注目度情報等のメタデータを、センサ等を用いることなく、コンテンツの各シーンにおけるユーザの消費時間を用いて生成することができるため、注目度に関するデータを収集する範囲がセンサ等により限定されることがなくなる。また、多数のユーザの注目度に関するデータも容易に収集し、メタデータを作成することができる。さらに、ユーザが容易にコンテンツの注目シーンを視聴することが可能となる。
【実施例2】
【0060】
実施例2について説明する。本実施例では、ユーザがコンテンツを視聴する際の再生速度の変化情報を用いて、コンテンツについての注目度情報を含むメタデータ生成処理を説明する。なお、本実施例において、システムの構成ならびに記録再生装置の構成は、実施例1と同様であるため、説明を省略する。
【0061】
本実施例における記録再生装置101の処理フローは、一部を除いて、実施例1に置いて説明した図3と同様である。以下では、実施例1と処理内容が異なり、再生速度変化管理テーブル901を更新することになるS306の処理内容について説明する。
【0062】
図9の再生速度変化管理テーブルは、ユーザID=Aのユーザが、コンテンツID=123456のコンテンツを図4のように視聴した際に作成される再生速度変化管理テーブルの一例である。コンテンツID=123456のコンテンツをユーザID=Aのユーザが始めて視聴する際に、再生速度変化管理テーブルのContents_ID欄とUser_ID欄を記入した状態で作成する。以降、ユーザがコンテンツの再生速度が変化する操作を行うごとに、操作IDを付与し、その内容を追加していく。その具体的な内容を以下に説明する。
【0063】
S304にて再生速度の変化が発生すると、S306ではその操作に対して操作IDを付与する。そして、発生時刻t(n)、操作前速度(sb(n))、操作後速度(sa(n))を記入する。さらに、速度の変化量(sc(n))を
sc(n)=sa(n)―sb(n)
という計算式で算出し、記入する。また、再生方向の変化d(n)も、早戻しから再生に変化した場合には「変化」、2倍速から4倍速のように同じ方向への変化だった場合には「継続」を記入する。
【0064】
操作IDの付与については、所定の時間内(たとえば5秒以内)に連続して速度変化を伴う操作が行われた場合、例えば120倍速で早送りしている状態から速度低下の操作を連続して行い、120倍、60倍、30倍、10倍、1.5倍、等倍(通常速度)となるように操作された場合には、中間の操作を再生速度変化管理テーブルへ記入することを省略しても良い。この省略を判断するための所定の時間は、あらかじめ記録再生装置が定めた値を用いてもよいし、ユーザが設定できるようにしても良い。
【0065】
以上説明したように、再生速度が変化するたびに、上で説明したように操作IDを割当て、再生速度の変化を記載していくことで、本発明の再生速度変化管理テーブルを更新することができる。
【0066】
また、再生速度管理テーブルとしては、901のようにテーブルをユーザIDとコンテンツIDの組み合わせで一つのテーブルを作成するのではなく、902の例示すように、操作IDそれぞれに対してユーザIDとコンテンツIDを付与し、ユーザやコンテンツごとにテーブルを分割せず受信装置内で一括管理することもできる。さらには、コンテンツ単位、あるいはユーザ単位で再生速度の変化を纏めてそれぞれテーブルとして管理してもよい。
【0067】
本実施例における再生速度変化管理テーブルを用いたメタデータ生成方法について説明する。ここでは、図4に示すように音楽番組をユーザAとユーザBが視聴した場合を例として、メタデータ生成処理を説明する。なお、メタデータ生成処理は、ユーザから送付された再生速度変化管理テーブルを用いて、メタデータサーバ102にて実施する。
【0068】
まず、メタデータサーバ102は、個々の記録再生装置101から送付された再生速度変化管理テーブルを保持している。記録再生装置101があるコンテンツを再生しようとする際に、メタデータサーバ102に対して、コンテンツIDをキーとしてメタデータを要求する。これを受けたメタデータサーバ102は、メタデータサーバ102に登録されている再生速度変化管理テーブルから、コンテンツIDをキーとして、関連する再生速度変化情報を抽出する。抽出した結果の一例を図10に示す。
【0069】
この例は、図4に示すコンテンツID=123456の番組をユーザA、Bが視聴したものである。複数の再生速度管理テーブルからコンテンツIDをキーとして再生速度変化情報を抽出するためには、SQLのようなデータベース言語を用いることもできる。
【0070】
なお、本実施例では記録再生装置101からのリクエストに応じてメタデータを生成すると説明しているが、記録再生装置101からのリクエストとは関係なく、メタデータサーバ102内部で管理する情報に変化が生じた場合や、あらかじめ設定した一定の時間周期でコンテンツごとのデータを抽出し、メタデータを生成することも可能である。この場合、記録再生装置101からの要求を受けると、作成済みのメタデータを送信することになる。また、同一コンテンツに対して頻繁に要求を受けるような場合、前回の処理から一定時間内であれば毎回データベース処理をするのではなく、前回作成したメタデータを送信することもできる。
【0071】
図10に示すコンテンツごとの再生速度変化の情報を抽出した再生速度変化管理テーブルの各操作IDの速度変化量sc(n)を時系列でマッピングしたものが図6である。なお、本図では同時刻の操作であっても若干時刻をずらして図示しているものがあるが、これは図の理解を容易にするためであり、メタデータ生成処理では同時刻として扱う。この図に見られるように、再生速度の変化は、コンテンツの内容が切り替わる時刻に集中するが、必ずしも同時刻とはならない。そこで、本実施例では、あらかじめ定めた一定期間(たとえば5秒間)の間に、あらかじめ設定した回数以上の再生速度変化を伴う操作が行われた場合に、そのシーンはユーザがコンテンツを視聴する際に注目度が高いシーンであると判定し、メタデータの該当時刻にチャプターを設定する。なお、チャプターを設定する時刻は、該当する一定期間の中心時刻、開始時刻、終了時刻のいずれも使用することができる。
【0072】
また、上記のような一定期間の間に行われた再生速度変化を伴う操作の回数ではなく、一定期間内に発生した再生速度変化の変化量が、あらかじめ設定した閾値を超過した場合に、注目度が高いシーンであると判定し、該当時刻にチャプターを設定してもよい。この際、図6(1)のように正方向、負方向の変化量の合計を別々に用いて判定しても良いし、図6(2)に示すように、変化量の絶対値の合計を用いて変化量の合計を算出しても良い。
【0073】
また、早戻し状態から再生や早送りに変化するような、再生速度の方向変化となるような操作(例えば操作ID=4)は、特にユーザが視聴の形態を変えたポイントであると判断し、他の操作IDよりも重みをつけた処理とすることもできる。ここで、重みをつけるとは、例えば操作回数として2回分として計上したり、再生速度の変化量を2倍して計上したりすることである。なお、これらのチャプターを付与する処理は、メタデータサーバ102で行うこともできるし、メタデータを受信した記録再生装置101で行うこともできる。
【0074】
以上説明した方法により、コンテンツの注目シーンを提示するために使用する、注目度情報等のメタデータを、再生速度の変化情報を用いて容易に生成することができる。
【実施例3】
【0075】
実施例3について説明する。本実施例では、ユーザに対するコンテンツ再生時の音声ならびに映像の提示状況から再生速度をグループに分割し、各グループにおいて消費した時間を用いて、コンテンツについての注目度情報を含むメタデータ生成処理について説明する。なお、メタデータ生成処理以外は、実施例1と同様であるため省略する。
【0076】
本実施例では、メタデータ作成の際に、各シーンの消費時間ではなく、記録再生装置101の再生速度ごとに、再生時の動作の特徴からグループ分けを行い、各グループに対して注目度を割り当てる。そして、コンテンツの各シーンの再生された状況から注目度を算出し、そのシーンの注目度情報とする。ここで、再生時の動作の特徴とは、たとえば図11に示すように、音声出力の有無、単位時間当たりに表示される画像の枚数などを使用することができる。また、その組み合わせによりグループ分けをしてもよい。図11の場合には、グループAが最も注目度が高く、続いてグループB、グループCの順に注目度を設定する。この注目度を、実施例1における消費時間tc(n)と同様に利用することで、対象コンテンツのシーンごとの注目度を得ることができる。
【0077】
また、時間単位で注目度の変化量を算出し、注目度の変化が大きい箇所はコンテンツの変化があったシーンであると判断し、ユーザがアクセスしやすいようにチャプターを付与する。
【0078】
また、注目度が閾値をまたいで変化する箇所に対して、チャプターを付与しても良い。この閾値は、注目度の平均値を使う方法がある。また、メタデータを使用する記録再生装置があらかじめ設定する値を用いてチャプターを付与しても良い。
【0079】
チャプター付与の処理については、メタデータサーバで行うこともできるし、メタデータを受信した記録再生装置で行うこともできる。
【0080】
以上説明した方法により、コンテンツの注目シーンを提示するために使用する、注目度情報等のメタデータを、再生時の動作の特徴を用いて容易に生成することができる。
【符号の説明】
【0081】
101 録画再生装置
102 メタデータサーバ
103 コンテンツサーバ
201 通信部
202 受信部
203 メタデータ管理部
204 コンテンツ管理部
205 記録部
206 再生制御部
207 入力部
208 出力部
701〜702 再生速度管理テーブル
801 再生速度管理テーブル(サーバ管理)
901〜902 再生速度変化管理テーブル
1001 再生速度変化管理テーブル(サーバ管理)
1101 再生速度によるグループ分けの一例

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送または通信を介して受信したデジタルコンテンツを再生するデジタルコンテンツ再生装置であって、
サーバと通信を行う通信手段と、
ユーザ入力を入力する入力手段と、
受信した前記デジタルコンテンツを記録媒体に記録する記録手段と、
記録した前記デジタルコンテンツ、または、ストリーミング配信されたデジタルコンテンツを再生する再生手段と、
前記デジタルコンテンツの再生速度に関する情報を管理する管理手段と、を備え、
前記管理手段は、前記入力手段に前記デジタルコンテンツの再生を制御する情報が入力された場合に、該情報に基づいて、前記デジタルコンテンツの再生速度に関する情報を管理し、
前記通信手段は、サーバにおいて前記デジタルコンテンツのシーン毎の注目度情報を生成するために、前記再生速度に関する情報をサーバに対して送信する
ことを特徴とするデジタルコンテンツ再生装置。
【請求項2】
放送または通信により配信するコンテンツに対するメタデータ生成方法であって、
放送または通信を介してコンテンツを配信するコンテンツサーバと、
コンテンツサーバが配信するコンテンツに対応するメタデータを管理し、記録再生装置からの要求に応じてこれを送信するメタデータサーバと、
コンテンツサーバが配信するコンテンツを視聴できる記録再生装置と、を備え、
前記記録再生装置が生成するコンテンツ視聴時の再生速度の変化を伴うユーザ操作情報を用いて、前記メタデータサーバにおいて前記コンテンツのシーンごとの注目度を含むメタデータを生成することを特徴とするメタデータ生成方法。
【請求項3】
前記記録再生装置が前記メタデータサーバに送信するユーザ操作情報は、視聴対象コンテンツの固有IDとユーザ固有ID、操作の結果実行される再生速度と、前記再生速度での視聴の開始時刻と終了時刻をコンテンツ開始からの経過時間として記録したものであることを特徴とする請求項2に記載のメタデータ生成方法。
【請求項4】
前記メタデータサーバは、前記記録再生装置から送信されたユーザ操作から、コンテンツを一定時間単位で分割した各シーンでユーザが実際に消費した時間を算出し、算出したシーンごとの消費時間をもとに各シーンの注目度を算出して、時系列での注目度の変化をあらわすメタデータを作成することを特徴とする、請求項2に記載のメタデータ生成方法。
【請求項5】
前記メタデータサーバは、同一ユーザによる同一コンテンツが複数回視聴された場合には、視聴回数に応じて消費時間に対する重み付けすることを特徴とする、請求項4に記載のメタデータ生成方法。
【請求項6】
前記メタデータサーバは、注目度の変化量が所定の値以上となるシーンに対してメタデータとしてチャプターを付与することを特徴とする、請求項4に記載のメタデータ生成方法。
【請求項7】
前記メタデータサーバは、注目度が所定の値以上となるシーンに対してメタデータとしてチャプターを付与することを特徴とする、請求項4に記載のメタデータ生成方法。
【請求項8】
前記メタデータサーバは、前記記録再生装置から同一コンテンツに対するメタデータ取得要求が一定時間内に繰り返し行われた場合には、メタデータ生成処理を実行せず、前回作成したメタデータを送信することを特徴とする、請求項4に記載のメタデータ生成方法。
【請求項9】
前記記録再生装置が前記メタデータサーバに送信するユーザ操作情報は、視聴対象コンテンツとユーザ情報と、対象となる操作の前後における再生速度と、操作の前後での再生速度の変化量と、再生速度変化の方向を、操作を行ったコンテンツ開始からの相対時刻とともに記録したものであることを特徴とする、請求項2に記載のメタデータ生成方法。
【請求項10】
前記メタデータサーバは、記録再生装置から送信されたユーザ操作から、コンテンツを一定時間単位で分割した各シーンにおける再生速度変化の発生件数が所定の回数以上であった場合に、そのシーンに対してチャプターを付与することを特徴とする、請求項2に記載のメタデータ生成方法。
【請求項11】
前記メタデータサーバは、コンテンツ視聴時の再生速度を、再生時の音声出力の状態もしくは単位時間当りに表示する画像枚数によりグループ化して各グループに対して注目度を設定し、コンテンツ視聴時のシーンごとの再生速度から各シーンの注目度を算出して時系列に並べたメタデータを作成することを特徴とする、請求項2に記載のメタデータ生成方法。
【請求項12】
前記記録再生装置は、ユーザがコンテンツ視聴を停止する操作を行った時点で前記メタデータサーバに対して前記ユーザ操作情報を送付することを特徴とする、請求項2に記載のメタデータ生成方法。
【請求項13】
前記記録再生装置は、コンテンツ視聴終了時にネットワーク障害などで操作情報をメタデータサーバに送信できなかった場合には、次回のコンテンツ視聴時にあわせて送付することを特徴とする、請求項2に記載のメタデータ生成方法。
【請求項14】
前記記録再生装置は、コンテンツ視聴終了時にネットワーク障害などで操作情報をメタデータサーバに送信できなかった場合には、あらかじめ定められた一定時間経過後に前記ユーザ操作情報を再度送付することを特徴とする、請求項2に記載のメタデータ生成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−175478(P2012−175478A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36562(P2011−36562)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】