説明

デジタルテレビ対応カラオケシステム

【課題】 カラオケシステムに接続可能なデジタルテレビ装置によるカラオケ映像表示タイミングと、当該カラオケシステムのスピーカシステムによるカラオケ演奏音発生タイミングとを同期させる。
【解決手段】 デジタルテレビ装置23に対してガイドメロディ信号を出力するガイドメロディ信号出力手段49a、ガイドメロディデータをリファレンスとして、デジタルテレビ装置23の内蔵スピーカ23bから発生するガイドメロディの歌唱採点を行って、カラオケ演奏装置11に付帯したスピーカ24の演奏音発生タイミングに対する、デジタルテレビ装置23に固有のカラオケ映像表示タイミングの遅れ(ディレイ値44d)を取得する歌唱採点手段47(ディレイ値取得手段47a)、ディレイ値44dをHDD44に記憶させるディレイ値記憶手段51、カラオケ演奏の再生遅延制御を行う演奏再生制御手段49を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケシステムに接続可能なデジタルテレビ装置におけるカラオケ映像表示タイミングと、当該カラオケシステムのスピーカシステムにおけるカラオケ演奏音発生タイミングとを同期させることが可能なデジタルテレビ対応カラオケシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビジョンにおける画像のデジタル化が促進されるとともに、地上アナログ放送から地上デジタル放送への変更が予定されている。このようなアナログテレビからデジタルテレビへの変更に伴い、映像表示タイミングと音声発生タイミングとの同期が問題となってきた。すなわち、映像信号と音声信号とをデジタル処理する場合に両者を比較すると、映像信号のデータ量が多いとともに、再生処理が複雑であるため、再生された音声に対して映像が遅延してしまう。
【0003】
そこで、従来、映像表示タイミングと音声発生タイミングとを同期させるための技術が、種々提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載された映像音声処理システムに関する技術は、映像処理装置とアンプ装置とが、少なくとも映像信号線路と制御信号線路とによって接続されている。そして、映像処理装置は、映像信号線路を通じて供給を受ける映像信号を処理して表示素子に供給する表示用映像信号を形成する映像信号処理手段と、映像信号線路を通じて供給を受ける映像信号を映像信号処理手段で処理して、当該映像信号に応じた映像を表示素子の表示画面に表示するまでに要する処理時間を示す処理時間情報を、制御信号線路を通じて提供するための提供手段と、を備えている。また、アンプ装置は、供給を受けた音声信号に対して所定の処理を行ってスピーカに供給する音声信号処理手段と、制御信号線路を通じて、提供手段から処理時間情報を取得する取得手段と、取得手段により取得した処理時間情報に応じた時間分、スピーカに供給する音声信号を遅延させる遅延処理手段と、を備えている。これにより、音声信号と映像信号とが異なる機器で処理されるシステムにおいて、いわゆるリップシンクのずれを発生させないようにすることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−33436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、カラオケ演奏装置では、スピーカシステムから発生するカラオケ演奏音の発生タイミングと、背景映像や歌詞テロップ等からなる映像の表示タイミングとを同期させている。カラオケ店で一般的に普及しているカラオケ演奏装置では、専用のモニタではなく、汎用のテレビモニタを利用して映像表示を行うことが多い。このような状況の下、上述したように、地上アナログ放送が終了して地上デジタル放送のみとなると、カラオケ店でも地上デジタル放送に対応したデジタルテレビモニタを使用することになる。
【0006】
したがって、カラオケ演奏における音声発生タイミングと映像表示タイミングとのずれが問題となる。すなわち、カラオケ演奏音の発生タイミングと背景映像や歌詞テロップの表示タイミングとがずれることが考えられ、特に、カラオケ演奏音の発生タイミングと歌詞テロップの表示タイミングとがずれると、歌唱が困難となり、カラオケ演奏装置本来の機能が損なわれてしまう。
【0007】
そこで、デジタルテレビモニタに対応して、カラオケ映像の表示タイミングと、スピーカシステムから発生するカラオケ演奏音の発生タイミングとを同期させることが可能なカラオケシステムの開発が望まれている。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、カラオケシステムに接続可能なデジタルテレビ装置におけるカラオケ映像表示タイミングと、当該カラオケシステムのスピーカシステムにおけるカラオケ演奏音発生タイミングとを同期させることが可能なデジタルテレビ対応カラオケシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のデジタルテレビ対応カラオケシステムは、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を有している。すなわち、本発明のデジタルテレビ対応カラオケシステムは、カラオケシステムに接続可能なデジタルテレビ装置におけるカラオケ映像表示タイミングと、当該カラオケシステムのスピーカシステムにおけるカラオケ演奏音発生タイミングとを同期させるためのデジタルテレビ対応カラオケシステムであって、ガイドメロディ信号出力手段と、歌唱採点手段と、ディレイ値記憶手段と、演奏再生制御手段と、を備えている。
【0010】
ガイドメロディ信号出力手段は、任意のカラオケ楽曲のガイドメロディデータに基づき、デジタルテレビ装置に対して、その内蔵スピーカからガイドメロディを発生させるためのガイドメロディ信号を出力するための手段である。歌唱採点手段は、内蔵スピーカから発生されたガイドメロディについて、カラオケ楽曲のガイドメロディデータをリファレンスとして歌唱採点を行うことにより、スピーカシステムにおける演奏音発生タイミングに対する、デジタルテレビ装置に固有のカラオケ映像表示タイミングの遅れであるディレイ値を取得するための手段である。ディレイ値記憶手段は、取得したディレイ値を所定の記憶部に記憶させるための手段である。演奏再生制御手段は、任意のカラオケ楽曲の演奏において、カラオケ演奏の再生を遅延させる制御を行うための手段である。
【0011】
このような構成からなるデジタルテレビ対応カラオケシステムでは、ガイドメロディ信号出力手段から出力されたガイドメロディ信号がデジタルテレビ装置に入力され、その内蔵スピーカからガイドメロディが発生される。このガイドメロディは、カラオケ演奏装置に付帯されたカラオケマイクにより集音され、歌唱採点手段の機能により、ガイドメロディデータをリファレンスとして、スピーカシステムにおける演奏音発生タイミングに対する、デジタルテレビ装置に固有のカラオケ映像表示タイミングの遅れであるディレイ値を取得する。
【0012】
一般的には、歌唱採点手段に直接入力されるガイドメロディデータと、デジタルテレビ装置の内蔵スピーカから発生され、カラオケマイクに入力されたガイドメロディとを比較すると、リファレンスであるガイドメロディデータの再生タイミングよりも、ガイドメロディの入力タイミングの方が遅延していることになり、歌唱採点手段はこの遅延を検知してディレイ値を取得する(図4参照)。取得したディレイ値は、ディレイ値記憶手段の機能により、ハードディスク記憶装置等に記憶される。そして、演奏再生制御手段の機能により、カラオケ演奏の再生遅延制御を行うことにより、デジタルテレビ装置のモニタに表示されるカラオケ映像の表示タイミングと、スピーカシステムから発生するカラオケ演奏音の発生タイミングとを同期させる。
【0013】
また、上述した構成に加えて、ディレイ値提示手段をさらに備えることが可能である。ディレイ値提示手段は、所定の記憶部に記憶されたディレイ値を提示するための手段である。このような構成からなるデジタルテレビ対応カラオケシステムでは、ディレイ値提示手段の機能により、ディレイ値をデジタルテレビ装置のモニタに表示したり、スピーカからディレイ値読み上げ音声を発生させたりする。
【0014】
また、上述した構成において、演奏再生制御手段は、任意のカラオケ楽曲の演奏において、記憶されたディレイ値に基づいて、カラオケ演奏の再生を遅延させる自動制御を行うように構成することが可能である。このような構成からなるデジタルテレビ対応カラオケシステムでは、カラオケ演奏の再生遅延制御を自動的に行うことにより、デジタルテレビ装置のモニタに表示されるカラオケ映像の表示タイミングと、スピーカシステムから発生するカラオケ演奏音の発生タイミングとを同期させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のデジタルテレビ対応カラオケシステムによれば、歌唱採点手段に直接入力されるガイドメロディデータをリファレンスとして、デジタルテレビ装置の内蔵スピーカから発生され、カラオケマイクに入力されたガイドメロディの歌唱採点を行うことにより、スピーカシステムにおける演奏音発生タイミングに対する、デジタルテレビ装置に固有のカラオケ映像表示タイミングの遅れであるディレイ値を取得することができる。このため、特別な装置を付加することなく、既存のカラオケ演奏装置が有している歌唱採点機能を用いて、デジタルテレビ装置のモニタにおけるディレイ値を取得することができる。そして、このディレイ値に基づいてカラオケ演奏の再生を遅延させて、デジタルテレビ装置のモニタに表示されるカラオケ映像の表示タイミングと、スピーカシステムから発生するカラオケ演奏音の発生タイミングとを同期させることが可能となる。
【0016】
また、取得したディレイ値を提示するディレイ値提示手段を備える構成とした場合には、サービスマン等が容易にディレイ値を把握することができるので、ディレイ値の設定操作が容易となる。さらに、演奏再生制御手段において、カラオケ演奏の再生遅延制御を自動的に行う構成とした場合には、サービスマン等によるディレイ値設定の手間を省くことができる。
【0017】
このように、専用のモニタではなく、汎用のデジタルテレビ装置を利用して映像表示を行うカラオケシステムであっても、デジタルテレビ装置のモニタに表示される背景映像や歌詞テロップ及び色変わりの表示タイミングと、スピーカシステムから発生されるカラオケ演奏音の発生タイミングとがずれることがなく、カラオケ演奏装置本来の機能を発揮して、歌唱を楽しませることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係るデジタルテレビ対応カラオケシステムを適用するカラオケ演奏装置のブロック図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るデジタルテレビ対応カラオケシステムにおける同期制御処理を模式的に示す説明図。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るデジタルテレビ対応カラオケシステムにおける同期制御処理を模式的に示す説明図。
【図4】ディレイ値取得方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明のデジタルテレビ対応カラオケシステムの実施形態を説明する。本発明の実施形態に係るデジタルテレビ対応カラオケシステムは、カラオケシステムに接続可能なデジタルテレビ装置におけるカラオケ映像表示タイミングと、当該カラオケシステムのスピーカシステムにおけるカラオケ演奏音発生タイミングとを同期させるためのデジタルテレビ対応カラオケシステムであって、主要な構成要素として、ガイドメロディ信号出力手段、歌唱採点手段、ディレイ値記憶手段、演奏再生制御手段、を備えている。さらに、付加的な構成要素として、ディレイ値提示手段、制御値入力手段を備えることが可能である。図1に、本発明の実施形態に係るデジタルテレビ対応カラオケシステムを適用するカラオケ演奏装置の構成を示す。
【0020】
<カラオケ演奏装置>
本発明の実施形態に係るカラオケ演奏装置11は、図1に示すように、カラオケ本体21、カラオケリモコン装置22、デジタルテレビ装置23、スピーカ24、ミキシングアンプ25、カラオケマイク26を備えている。本実施形態では、カラオケマイク26で集音した音声信号が、歌唱採点手段47で使用されるため、カラオケマイク26はA/Dコンバータ50に接続されており、カラオケマイク26で集音したアナログ音声信号がデジタル変換されて、カラオケ本体21に入力される。
【0021】
<カラオケリモコン装置>
カラオケリモコン装置22は、ユーザインタフェース機能を備えており、カラオケ本体21の送受信手段45に対して有線方式又は無線方式によりデータの送受信を行うようになっている。このカラオケリモコン装置22は、楽曲検索手段22aとして機能するプログラム、楽曲索引データベース22b、データの送受信を行うための電子回路及びプログラム、フラッシュメモリ等からなる記憶手段(図示せず)を備えている。このカラオケリモコン装置22に付帯するスイッチ類や、入出力表示部(図示せず)に表示される各種のアイコン等を操作することにより、選曲操作等の各種の操作が行われる。
【0022】
<楽曲検索手段/楽曲索引データベース>
楽曲検索手段22aは、利用者の指示に基づき、楽曲索引データベース22bを参照して楽曲を検索するためのプログラムからなる。楽曲索引データベース22bは、カラオケ演奏装置11で演奏に供されるカラオケ楽曲についての属性情報を記述したデータベースであり、例えば、楽曲番号・曲名・歌手名・歌い出し部分の歌詞・流行時期・音楽ジャンル区分・デュエット曲か否かなど、種々の属性情報がこれに含まれている。
【0023】
<デジタルテレビ装置>
デジタルテレビ装置23は、デジタル変調技術とデジタル圧縮技術を用いて送信されるテレビ放送を受信するための装置であり、モニタ23aと、内蔵スピーカ23bと、テレビアンプ23cとを備えている。そして、ディレイ値取得時には、テレビアンプ23cに対して、ガイドメロディ信号出力手段49aから出力されるガイドメロディ信号が入力され、アンプ機能により増幅されたガイドメロディが、内蔵スピーカ23bから出力される。
【0024】
モニタ23aは、カラオケ演奏時の背景映像や歌詞テロップ等を表示するための装置で、例えば、デジタルデータに基づいて映像再生が行われるCRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等により構成される。
【0025】
<カラオケ本体>
カラオケ本体21は、中央制御手段41、ROM42、RAM43、HDD44、送受信手段45、予約管理手段46、歌唱採点手段47、ディレイ値取得手段47a、映像再生制御手段48、演奏再生制御手段49、ガイドメロディ信号出力手段49a、A/Dコンバータ50、ディレイ値記憶手段51、ディレイ値提示手段52、制御値入力手段53を備えている。なお、ディレイ値取得手段47aは、歌唱採点手段47の機能により構成され、ガイドメロディ信号出力手段49aは、演奏再生制御手段49の機能により構成される。また、ディレイ値提示手段52及び制御値入力手段53は、ディレイ値を手動入力する場合に必要な手段であり、ディレイ値を自動入力する場合には省略することができる。
【0026】
<中央制御手段>
中央制御手段41は、カラオケ本体21を総合的に制御するための手段であり、例えばCPU及びその周辺機器により構成されており、CPU等がROM42等に記憶されたアプリケーションプログラムに従って動作することにより、制御機能を発揮することができるようになっている。
【0027】
<ROM/RAM>
ROM42は、カラオケ本体21を構成する各機器を制御するためのアプリケーションプログラムデータや数値データを記憶するための機器で、例えば半導体メモリ等で構成される。また、RAM43は、アプリケーションプログラムや各種データを一時的に記憶する一時記憶領域として機能するもので、例えば半導体メモリ等で構成される。なお、物理的な半導体メモリによりRAM43を構成するのではなく、ハードディスク記憶装置等を用いて仮想的なRAM43を構成してもよい。本実施形態では、RAM43に、予約待ち行列43aが記憶されている。
【0028】
<HDD>
HDD44は、大容量記憶装置として機能するもので、楽曲データベース44a、映像データベース44c、当該カラオケ本体21に接続されたデジタルテレビ装置23に固有のディレイ値44dが格納されている。なお、HDD44に替えて、あるいはHDD44とともに、データを書き替え可能なDVD等の大容量記憶装置を用いてもよい。
【0029】
楽曲データベース44aは、演奏データ(MIDI(登録商標)データ)及び歌詞テロップデータが同期されて構成される楽曲データについて、楽曲IDと対応付けてそれぞれ格納したデータベースである。演奏データは各楽曲の演奏データをデジタル化したものであり、ガイドメロディデータ44bを含んでいる。また、歌詞テロップデータは演奏データに同期されたカラオケ楽曲の歌詞文字データである。なお、歌詞文字データには、歌詞文字の表示色データ、色変わりデータ等が含まれている。映像データベース44cは、演奏されるカラオケ楽曲に対応した背景映像を、当該カラオケ楽曲の楽曲IDに対応させた映像ファイルとして所定数格納したデータベースである。
【0030】
<送受信手段>
送受信手段45は、カラオケ本体21とカラオケリモコン装置22との間で、データの送受信を行うための電子回路及びプログラムからなる。本実施形態では、赤外線通信により、カラオケ本体21とカラオケリモコン装置22との間で、データの送受信が行われる。
【0031】
<予約管理手段>
予約管理手段46は、任意の利用者により選曲されたカラオケ楽曲の楽曲IDに当該利用者の利用者IDを付帯して、予約待ち行列43aにて管理するためのプログラムからなる。具体的には、任意の利用者により楽曲検索手段22aの機能を用いて選曲され、送受信手段45を介して受信し楽曲IDに、当該選曲者の利用者ID等を対応付けて、予約待ち行列43aとしてRAM43に格納して管理する。
【0032】
<歌唱採点手段>
歌唱採点手段47は、利用者による任意の楽曲の歌唱について、所定の歌唱区間毎に歌唱採点を行うためのプログラムからなる。歌唱採点手段47では、カラオケマイク26より入力され、A/Dコンバータ50でデジタル変換された歌唱者の音声信号から、音程、声量、テンポ等の歌唱評価データを抽出するとともに、この歌唱評価データと演奏楽曲の主旋律等のリファレンスデータとを比較して採点を行うようになっている。歌唱採点方法については、特開2007−121917号公報等に詳細に記載されている。
【0033】
<ディレイ値取得手段>
また、本発明の歌唱採点手段47は、デジタルテレビ装置23の内蔵スピーカ23bから発生されたガイドメロディについて、カラオケ楽曲のガイドメロディデータをリファレンスとして歌唱採点を行うことにより、カラオケ本体11に付帯されたスピーカ24における演奏音発生タイミングに対する、デジタルテレビ装置23に固有のカラオケ映像表示タイミングの遅れであるディレイ値を取得するためのディレイ値取得手段47aとしての機能を有している。
【0034】
すなわち、デジタルテレビ装置23が接続されたカラオケシステムでは、歌唱採点手段47に直接入力されるガイドメロディデータと、内蔵スピーカ23bから発生され、カラオケマイク26に入力されたガイドメロディとを比較すると、リファレンスであるガイドメロディデータよりもカラオケマイク26に入力されたガイドメロディの方が遅延している。そこで、歌唱採点手段47が有するディレイ値取得手段47aの機能により、カラオケマイク26に入力されたガイドメロディの遅延を検知して、当該カラオケシステムにおけるディレイ値44dを取得することができる(図4参照)。
【0035】
<ディレイ値記憶手段>
ディレイ値記憶手段51は、ディレイ値取得手段47aの機能により取得したディレイ値44dを、HDD44等からなる記憶部に記憶するための手段である。HDD44に記憶されたディレイ値44dは、ディレイ値提示手段51による提示に用いられたり、演奏再生制御手段49におけるカラオケ演奏の自動再生遅延制御に用いられたりする。
【0036】
<ディレイ値提示手段>
ディレイ値提示手段52は、HDD44に記憶されたディレイ値44dを提示するためのプログラムからなる。例えば、ディレイ値提示手段52は、HDD44に記憶されたディレイ値44dをデジタルテレビ装置23のモニタ23aに表示したり、スピーカ24からディレイ値の読み上げ音声を発生させたりする。これにより、手動でディレイ値の設定操作を行う場合には、サービスマン等が容易にディレイ値を把握することができる。なお、ディレイ値提示手段52は、本発明の付加的構成要素である。
【0037】
<制御値入力手段>
制御値入力手段53は、ディレイ値取得手段47aにより取得したディレイ値に基づいて設定された制御値を、演奏再生制御手段49に入力するための電子回路及びプログラムからなる。この制御値入力手段53は、サービスマン等の手動操作により、ディレイ値に基づく制御値を設定する際に用いられる手段であり、本発明の付加的構成要素である。
【0038】
<演奏再生制御手段>
演奏再生制御手段49は、楽曲IDに基づいて楽曲データベース44aから抽出された演奏データをデジタル再生するとともにアナログ変換してミキシングアンプ25に出力するとともに、任意のカラオケ楽曲の演奏において、カラオケ演奏の再生を遅延させる制御を行うための電子回路及びプログラムからなる。また、演奏再生制御手段49は、ガイドメロディ信号出力手段49aとしての機能を有している。
【0039】
<ガイドメロディ信号出力手段>
ガイドメロディ信号出力手段49aは、任意のカラオケ楽曲のガイドメロディデータに基づき、デジタルテレビ装置23に対して、その内蔵スピーカ23bからガイドメロディを発生させるガイドメロディ信号を出力するための機能手段である。ガイドメロディ信号を受信したテレビアンプ23cは、アンプ機能による増幅を行い、ガイドメロディとして内蔵スピーカ23bから発生させる。
【0040】
また、演奏再生制御手段49の機能として、任意のカラオケ楽曲の演奏において、取得したディレイ値に基づいて、カラオケ演奏の再生を遅延させる自動制御を行ってもよい。この演奏再生制御手段49の機能により、当該デジタルテレビ装置23に特有のディレイ値44dを用いて、同期制御処理(カラオケ演奏音の再生遅延処理)を行うことにより、モニタ23aに表示されるカラオケ映像の表示タイミングと、スピーカ24から発生するカラオケ演奏音の発生タイミングとを同期させることができる。
【0041】
また、ミキシングアンプ25は、カラオケマイク26から入力された歌唱者の歌唱音声信号と、演奏再生制御手段49から送出される演奏音声信号とをミキシングするとともに、アンプ機能により増幅してスピーカ24より出力させるための装置である。本実施形態では、ディレイ値取得を行うサンプリングモードにおいて、ミキシングアンプ25のアンプ機能を停止させるような制御を行うことが好ましい。すなわち、通常の歌唱時には、カラオケマイク26は歌唱者の口元へ向けられており、内蔵スピーカ23b及びスピーカ24の方向へは向けられていないため、ハウリングが問題となることは少ない。しかし、サンプリングモードでは、ガイドメロディをカラオケマイク26で集音する際に、集音したガイドメロディがミキシングアンプ25で増幅されてスピーカ24から発生されると、このガイドメロディがカラオケマイク26に入力されてミキシングアンプ25へ帰還することにより、ハウリングが発生する可能性がある。そこで、サンプリングモードにおいて、ミキシングアンプ25のアンプ機能を停止させるような制御を行うことにより、カラオケマイク26で集音したガイドメロディがミキシングアンプ25へ帰還することを防止して、ハウリングの発生を抑制することができる。
【0042】
<映像再生制御手段>
映像再生制御手段48は、カラオケ楽曲の演奏中に、映像データベース44cから抽出した映像データ及び楽曲データベース44aから抽出した楽曲データのうちの歌詞テロップデータ(歌詞文字データ)を、当該カラオケ楽曲の演奏データに同期させてモニタ23aに出力するための電子回路である。この際、カラオケ楽曲の演奏進行に従って、歌詞文字が色変わりして表示される。
【0043】
<同期制御処理>
図2及び図3を参照して、本実施形態のデジタルテレビ対応カラオケシステムにおける同期制御処理を説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係るデジタルテレビ対応カラオケシステムにおける同期制御処理を示す説明図である。また、図3は、本発明の第2の実施形態に係るデジタルテレビ対応カラオケシステムにおける同期制御処理を示す説明図である。
【0044】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態に係るデジタルテレビ対応カラオケシステムにおける同期制御処理は、ディレイ値の設定をマニュアルで行うようにしたものである。
第1の実施形態では、図2に示すように、ガイドメロディ信号出力手段49aから出力されたガイドメロディ信号がデジタルテレビ装置23のテレビアンプ23cに入力され、アンプ機能による増幅が行われて、内蔵スピーカ23bからガイドメロディが発生される。このガイドメロディは、カラオケマイク26により集音され、A/Dコンバータ50を介してカラオケ本体21に入力される。そして、歌唱採点手段47が有するディレイ値取得手段47aの機能により、当該カラオケ楽曲のガイドメロディデータ44bをリファレンスとしてガイドメロディの遅延を検出してディレイ値を取得する。
【0045】
上述したように、歌唱採点手段47に直接入力されるガイドメロディデータと、内蔵スピーカ23bから発生され、カラオケマイク26に入力されたガイドメロディとを比較すると、リファレンスであるガイドメロディデータ44bの再生タイミングよりも、ガイドメロディの入力タイミングの方が遅延している。そこで、ディレイ値取得手段47aの機能により、ガイドメロディデータ44bの再生タイミングに対するガイドメロディの入力タイミングのズレに基づいて、当該カラオケシステムにおけるディレイ値44dを取得することができる。
【0046】
ディレイ値取得手段47aで取得されたディレイ値44dは、ディレイ値記憶手段51の機能により、HDD44に記憶される。このように、ディレイ値取得手段47aで取得したディレイ値44dをHDD44に記憶することにより、デジタルテレビ装置23を交換しない限り、一度サンプリングしたディレイ値44dを利用することができるので、サンプリングの手間を省くことができる(第2の実施形態において同様)。
【0047】
また、HDD44に記憶されたディレイ値44dは、ディレイ値提示手段52の機能により提示され、サービスマン等が、提示されたディレイ値44dに基づいて制御値を設定する。制御値は、制御値入力手段53から演奏再生制御手段49に入力され、ミキシングアンプ25により増幅されスピーカ24から発生されるカラオケ演奏音の発生タイミングを遅延させる制御が行われる。
【0048】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態に係るデジタルテレビ対応カラオケシステムにおける同期制御処理は、ディレイ値の設定を自動的に行うようにしたものである。
第2の実施形態では、図3に示すように、ガイドメロディ信号出力手段49aから出力されたガイドメロディ信号がデジタルテレビ装置23のテレビアンプ23cに入力され、アンプ機能による増幅が行われて、内蔵スピーカ23bからガイドメロディが発生される。このガイドメロディは、カラオケマイク26により集音され、A/Dコンバータ50を介してカラオケ本体21に入力される。そして、歌唱採点手段47が有するディレイ値取得手段47aの機能により、当該カラオケ楽曲のガイドメロディデータ44bをリファレンスとしてガイドメロディの遅延を検出してディレイ値を取得する。
【0049】
ディレイ値取得手段47aで取得されたディレイ値44dは、ディレイ値記憶手段51の機能により、HDD44に記憶される。そして、演奏再生制御手段49では、HDD44に記憶されたディレイ値44dに基づいて、ミキシングアンプ25により増幅されスピーカ24から発生されるカラオケ演奏音の発生タイミングを遅延させる自動制御が行われる。
【0050】
<他の実施形態>
本発明のデジタルテレビ対応カラオケシステム及びその周辺装置を構成する機器や手段は上述したものに限定されず、その利用目的に応じて、必要な機器や手段のみの構成としたり、適宜他の機器や手段を付加したりすることができる。また、各手段をそれぞれ別個のものとして構成するのではなく、複数の機能を統合した手段として構成してもよい。
【0051】
<ネットワークカラオケシステム>
また、上述した実施形態は、カラオケ演奏装置11をスタンドアロンで使用した例を示しているが、各カラオケ店舗等に設置されたカラオケ演奏装置11を端末装置とし、インターネット回線等を用いて、端末装置とホスト装置とをネットワーク接続した構成とすることもできる。この場合には、ホスト装置において、利用者ID等を集中管理することにより、ネットワーク接続された各カラオケ演奏装置11において同様のサービスを提供することができる。
【符号の説明】
【0052】
11 カラオケ演奏装置
21 カラオケ本体
22 カラオケリモコン装置
22a 楽曲検索手段
22b 楽曲索引データベース
23 デジタルテレビ装置
23a モニタ
23b 内蔵スピーカ
23c テレビアンプ
24 スピーカ
25 ミキシングアンプ
26 カラオケマイク
41 中央制御手段
42 ROM
43 RAM
43a 予約待ち行列
44 HDD
44a 楽曲データベース
44b ガイドメロディデータ
44c 映像データベース
44d ディレイ値
45 送受信手段
46 予約管理手段
47 歌唱採点手段
48 映像再生制御手段
49 演奏再生制御手段
49a ガイドメロディ信号出力手段
50 A/Dコンバータ
51 ディレイ値記憶手段
52 ディレイ値提示手段
53 制御値入力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケシステムに接続可能なデジタルテレビ装置におけるカラオケ映像表示タイミングと、当該カラオケシステムのスピーカシステムにおけるカラオケ演奏音発生タイミングとを同期させるためのデジタルテレビ対応カラオケシステムであって、ガイドメロディ信号出力手段と、歌唱採点手段と、ディレイ値記憶手段と、演奏再生制御手段と、を備え、
前記ガイドメロディ信号出力手段は、任意のカラオケ楽曲のガイドメロディデータに基づき、前記デジタルテレビ装置に対して、その内蔵スピーカからガイドメロディを発生させるためのガイドメロディ信号を出力し、
前記歌唱採点手段は、前記内蔵スピーカから発生されたガイドメロディについて、前記カラオケ楽曲のガイドメロディデータをリファレンスとして歌唱採点を行うことにより、前記スピーカシステムにおける演奏音発生タイミングに対する、前記デジタルテレビ装置に固有のカラオケ映像表示タイミングの遅れであるディレイ値を取得し、
前記ディレイ値記憶手段は、前記取得したディレイ値を所定の記憶部に記憶させ、
前記演奏再生制御手段は、任意のカラオケ楽曲の演奏において、カラオケ演奏の再生を遅延させる制御を行う、
ことを特徴とするデジタルテレビ対応カラオケシステム。
【請求項2】
ディレイ値提示手段を、さらに備え、
前記ディレイ値提示手段は、前記記憶されたディレイ値を提示することを特徴とする請求項1に記載のデジタルテレビ対応カラオケシステム。
【請求項3】
前記演奏再生制御手段は、任意のカラオケ楽曲の演奏において、前記記憶されたディレイ値に基づいて、カラオケ演奏の再生を遅延させる自動制御を行う、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のデジタルテレビ対応カラオケシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−276949(P2010−276949A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130742(P2009−130742)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】