説明

デジタルデータ処理装置

【課題】 音声に多重化されたデジタルデータを即座にかつ確実に利用できるようにする。
【解決手段】 発呼側電話機100のマイクロホン101は、発呼者の音声を電気信号に変換し、デジタルデータ多重化部102は音声を表す電気信号に、デジタルデータ入力部103から入力されたデジタルデータを多重化する。デジタルデータが多重化された、音声を表す電気信号は信号送信部105を介して着呼側電話機200に送られる。着呼側電話機200の信号受信部201は発呼側電話機からの音声を表す電気信号を受信し、デジタルデータ多重分離部202は電気信号に多重化されているデジタルデータを多重分離する。音声を表す電気信号はスピーカ203に送られ、スピーカにより変換された音声を着呼者が聞く。デジタルデータ処理部204は多重分離されたデジタルデータをデジタルデータ多重分離部202から受け取り、所望の処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、音声をバーコードとして用いる音声処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
1次元または2次元の画像から成るバーコードが実用されている。バーコードを用いることによりデジタルデータを即時かつ確実に取得することができる。
【0003】
ことろで音声により情報が伝播される場合、その情報を即時かつ確実に取得することが困難である。例えば、電話を使用しているときにその受話器(スピーカ)から音声が流れてくるときに、そこに重要な情報があっても、それをメモしなければ利用できない。また、テレビやラジオの番組を視聴しているときに重要な情報が音声により伝達される場合も同様である。
【0004】
しかも、音声により伝搬される情報は、人または音声認識装置等を用いなければ情報として顕在化させることができず、そのような情報を携帯電話機、パーソナルコンピュータに入力するときには、人または特殊な認識装置を用いて入力処理を行なう必要があり、扱いが煩雑である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、以上の事情を考慮してなされたものであり、音声を用いて即時かつ確実に情報を取得できるようにする音声処理技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明によれば、上述の目的を達成するために、特許請求の範囲に記載のとおりの構成を採用している。ここでは、発明を詳細に説明するのに先だって、特許請求の範囲の記載について補充的に説明を行なっておく。
【0007】
すなわち、この発明の一側面によれば、上述の目的を達成するために、デジタルデータ処理装置に:音の波形を表す電気信号から、上記音に多重化されているデジタルデータを抽出するデジタルデータ抽出手段と;抽出したデジタルデータを処理するアプリケーション実行手段とを設けるようにしている。
【0008】
この構成においては、音声に多重化されたデジタルデータを即座にかつ確実に利用することができる。
【0009】
この構成において、音を電気信号に変換する変換手段を設け、上記デジタルデータ抽出手段が、上記電気信号から、上記上記音に多重化されているデジタルデータを抽出するようにしてもよい。この場合、外来音声からデジタルデータを抽出する。
【0010】
また、音の波形を表す電気信号を受信する受信手段を設け、上記デジタルデータ抽出手段が、上記受信手段で受信した上記電気信号から、上記上記音に多重化されているデジタルデータを抽出する用にしても良い。この場合、外来電気信号からデジタルデータを抽出する。
【0011】
上記音は、所定のパターンの可聴領域の基本パターン音に上記デジタルデータが多重化されたものであることが好ましいが、これに限定されない。この基本パターン音または基本パターン音の相違によりデジタルデータが搬送されていることや、どのようなデジタルデータが搬送されているかをユーザが判別可能となる。
【0012】
上記基本パターン音の開始時点より遅延して上記デジタルデータが多重化開始されており、上記デジタルデータ抽出手段は、上記基本パターン音の開始時点を判別して上記デジタルデータの抽出を開始するようにしてもよい。
【0013】
また、この発明は電話機やテレビジョン受像機、ラジオ受信機、リモートコントロール装置等として実現することも可能である。
【0014】
なお、この発明は装置またはシステムとして実現できるのみでなく、方法としても実現可能である。また、そのような発明の一部をソフトウェアとして構成することができることはもちろんである。またそのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるソフトウェア製品もこの発明の技術的な範囲に含まれることも当然である。
【0015】
この発明の上述の側面および他の側面は特許請求の範囲に記載され以下実施例を用いて詳述される。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、音声に多重化されたデジタルデータを即座にかつ確実に利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0018】
まず、この発明のデジタルデータ処理技術を電話機に適用した実施例1について説明する。なお、以下では対象となるデジタルデータをサウンドバーコードともいう。
【0019】
図1は、この実施例の電話機およびその使用環境を示しており、この図において、発呼側電話機100から着呼側電話機200に電話回線150を介して電話をかける例が示されている。図では交換局等は省略されている。発呼側電話機100には発呼側の機能部分のみ示し、着呼側電話機200には着呼側の機能部分のみ示し、それぞれの相補する機能部分は示さないが、それらを有することはもちろんである。発呼側電話機100は、発呼に関連する機能部分としてマイクロホン101、デジタルデータ多重化部102、デジタルデータ入力部103、デジタルデータ記憶部104、信号送信部105、表示部106等を有している。着呼側電話機200は、着呼に関連する機能部分として信号受信部201、デジタルデータ多重分離部202、スピーカ203、デジタルデータ処理部204、デジタルデータ記憶部205、表示部206等を有している。発呼に関連して用いる表示部106と着呼に関連して用いる表示部206は通常同一であるが、それに限定されない。
【0020】
発呼側電話機100のマイクロホン101は、発呼者の音声を電気信号に変換し、デジタルデータ多重化部102は音声を表す電気信号(ベースバンド信号、サブバンド信号、デジタル信号等)に、デジタルデータ入力部103から入力されたデジタルデータを多重化する。多重化手法としては、後に一例を挙げて説明するが、FFT(ファーストフーリエ変換)、DCT(離散コサイン変換)、スペクトル拡散法等の種々の手法を採用できる。デジタルデータ自体を適宜な周波数に周波数コンバートしたものでも良い。デジタルデータが多重化された、音声を表す電気信号は信号送信部105を介して着呼側電話機200に送られる。
【0021】
着呼側電話機200の信号受信部201は発呼側電話機からの音声を表す電気信号を受信し、デジタルデータ多重分離部202は電気信号に多重化されているデジタルデータを多重分離する。多重分離手法は、多重化に対応したものである。音声を表す電気信号はスピーカ203に送られ、スピーカにより変換された音声を着呼者が聞く。デジタルデータ処理部204は多重分離されたデジタルデータをデジタルデータ多重分離部202から受け取り、所望の処理を実行する。例えば、デジタルデータが示す宛先に発呼したり、ウェブ閲覧を行なったり、指定宛先に電子メールを送信したり、デジタルデータの詳細を表示したりする。デジタルデータ処理部204の処理は、例えば、アプリケーションプログラムや組み込みプログラムにより実現される。
【0022】
図2は、発呼側電話機100、着呼側電話機200の例を示すものであり、この図では電話機を符号10を用いて表す。図2において、電話機10は、表示部11(表示部106、206に対応)、キー操作部12、デジタルデータ入力ボタン13、デジタルデータ記録ボタン14等を具備している。キー操作部12、デジタルデータ入力ボタン13、デジタルデータ記録ボタン14等は、表示部11に表示されて表示部11を介して入力等を行なうものでも良い。キー操作部12は電話番号やアルファベットを入力したり、各種のモード設定、状態遷移等を制御するものであり、表示部11に操作内容等が表示される。また、電話機10はウェブ閲覧機能15はメール閲覧・送信機能16を有している。
【0023】
なお、図2の電話機10は、移動体通信の携帯電話機を示しているが、それに限定されず、固定電話機等であってもよい。
【0024】
図3は、図1の発呼側電話機100のデジタルデータ入力部103を用いてデジタルデータを入力する際の表示部11(106)の表示例を示している。図3に示すように多重化データ作成画面に移り、電話番号や電子メールアドレスやウェブのURL等をキー操作部12等を用いて入力する。「登録」ボタン11aを操作して入力内容を多重対象のデジタルデータとして登録できる。複数のデジタルデータを区切りコードを用いて一度の処理することもできる。こののち、通話時に、デジタルデータ入力ボタン13を押圧操作することによりデジタルデータを通話音声に多重化開始できる。
【0025】
図4は、図1の着呼側電話機200で受信した通話音声中のデジタルデータの受信画面の例を示している。操作者(着呼ユーザ)がデジタルデータ記録ボタン14を押圧操作することにより通話音声中のデジタルデータが多重分離されて表示部11(206)に「受信中」と表示される。デジタルデータ記録ボタン14を再度押すと記録解除される。記録解除ボタンを別途設けても良い。デジタルデータ記録ボタン14を設けずに、通話中は常に多重分離処理および分離データの記録が行なわれるようにしても良い。多重分離されたデジタルデータはデジタルデータ記憶部205に記憶され、記録内容を閲覧することが可能である。この閲覧表示例を図5に示す。図5の例では記録済みデジタルデータに関して送信元(電話番号や、氏名(アドレス帳を用いて電話番号から変換)、受信時刻、内容等が表示されるようになっているが、これに限定されない。記録済みのデジタルデータのエントリの1つを選択(表示反転)させ、その後、「接続ボタン」11bを選択操作すると、通話ソフトウェア、メールソフトウェア、閲覧ソフトウェアが起動して、通話、メール通信、閲覧要求等を行なえる。また「詳細ボタン」11cを選択操作してその内容すべてを表示させることができる。
【0026】
つぎにこの実施例のデジタルデータ多重化・多重分離の手法について説明する。もちろんこれ以外の種々の手法を採用してもよい。
【0027】
この例では、後に詳述するように音声周波数帯にデジタル情報を重畳する。仕組みとしては、従来のモデム技術の応用となる。
【0028】
この例では、つぎの二つのタイプを実装可能する。
【0029】
(1)可聴タイプ
基本的に短い(数秒程度)。
人間が聞いて、それとわかる。
可聴域(60〜15000Hz)を主に使用。
音声圧縮に耐える。
耳触りが良い。
ノイズに強い。
【0030】
(2)非可聴(ステルス)タイプ
短い(数秒)場合も、長い場合(数分程度)もある。
人間には聞こえない
非可聴域を使用。
ノイズに耐性あり。
複数の内容を格納可能。
【0031】
基本的な多重化手法はつぎのとおりである。
【0032】
(1)周波数、エネルギー(音量)、時間を使用してビット表現を行う。(後述)
(2)可聴タイプについては、可聴域で作成する。「この音がサウンドバーコードである」と聴いてわかるための仕組みは、以下のとおり。
(a)基本構造の波形(基本波形)をあらかじめ定義する。それがサウンドバーコードの特徴を示す(一種のサウンドロゴ)。聞いてサウンドバーコードとすぐ理解できる音である。
(b)それとは別に表現したいビット列を埋め込んだ波形を作成し、それを基本波形に重ねることで完成する。
(c)表現したいビット列は、元のビット列に対して圧縮・エラー訂正・ヘッダー付加といった加工を施したものとする。
(d)基本波形に重ねる際は、電子透かしの技術を用いてもよい。その場合には、元の音がある程度変化する。ただし耳障りのよい範囲とする。
(3)ステルスタイプでは、非可聴域を使用するため、耳障りは考慮しない。また大量データの搬送を考慮してエラー耐性を強化する。
【0033】
図6はデジタルデータを多重化する際の階層モデルおよびその例を示している。図6においてペイロード層はデジタルデータを格納するためのものである。プロトコルヘッダー層はデジタルデータを処理するプロトコルやバージョン情報等を格納するためのものである。制御ヘッダー層は複数チャネル区分制御、暗号化を行う際の制御情報を格納するためのものである。エラー制御層は微たび復号等を用いた誤り訂正の情報を格納するためのものである。符号化・伝送技術層はベース波形との合成・切り分けおよびFFTを行なう際の制御情報を格納するためのものである。ベース波形はサウンドバーコードを特徴づける音である。
【0034】
このようなプロトコルスタックを用いてビット列(デジタルデータ、サウンドバーコード)をサウンドバーコード音声に変換する。
【0035】
符号化・伝送技術層におけるビット列・アナログ音声変換の方式は以下のとおり。
【0036】
基本的には、周波数帯を分割し、それぞれ毎のエネルギー強度(音圧)にビットを割り当てて表現とする。それを時間軸に展開する。なお時間ごとの変化量で表現してもよい。
【0037】
デジタルデータを多重化して音声出力する場合、デジタル情報(ビット列)をFFTにより上記波形群として合成し、ベース波形と合成の上で音声発生させる。ビット列の状態でベース波形と合成する演算を行っても良い。
【0038】
音声を入力してデジタルデータを多重分離する場合、上記の逆に、マイク等より取得した(アナログ)音声を、FFTによりビット列とする。なお、ベース波形の除去は行う場合もあれば、行わずにエラー訂正に任せる場合もある。
【0039】
図7は、デジタルデータ多重分離部202の構成例を示している。図7において、デジタルデータ多重分離部202は、アナログ・デジタル変換部2021、波形変換部2022、エラー訂正部2023、暗号処理部2024、チャネル情報処理部2025、プロトコルデータ処理部2026等を含んで構成されている。アナログ・デジタル変換部2021はアナログ入力された音を、デジタル化する。波形変換部2022はベース波形との切り分けおよびFFTを行う。エラー訂正部2023は巡回符号等を用いた誤り訂正を行う。暗号処理部2024は暗号化されていた場合、その復号を行う。使用する鍵は、受信機内部に保持されている。チャネル情報処理部2025は利用するチャネル情報を取得し、チャネル外の情報をフィルタリングする。プロトコルデータ処理部2026はデータを処理するプロトコル識別情報およびバージョン情報等を取得する。最終的に取得されたデジタルデータはアプリケーションソフトウェア(デジタルデータ処理部204)で処理される。
【0040】
図8は、デジタルデータ多重化部102の構成例を示している。図8において、デジタルデータ多重化部102は、プロトコルデータ付与部1021、チャネル情報付与部1022、暗号処理部1023、エラー符号化部1024、波形変換部1025等を含んで構成されている。プロトコルデータ付与部1021はプロトコル識別情報およびバージョン情報等を付与し、チャネル情報付与部1022は利用するチャネル番号を付与する。暗号処理部1023は必要な場合に暗号化を行なう。エラー符号化部1024は巡回符号等を用いた誤り訂正のための冗長化を行う。波形変換部1025はベース波形との合成およびFFTを行う。最終的に得られたサウンドバーコードファイル(ストリーム)は通信回線や放送回線を介して配布される。この例では信号送信部105により着呼側電話機200に送信される。
【0041】
このようにこの実施例によれば、音声に多重化させたデジタルデータを即座にかつ確実に用いることができる。
【0042】
なお、ベース音(基本パターン音)の開始時点より遅延して上記デジタルデータが多重化開始するようにすることが好ましい。そのようにすれば、ユーザは確実にデジタルデータの多重化の事実を知ることができ、その後に多重分離処理の指示(ボタン操作)を行なってもデジタルデータを確実に取得できる。またベース音を自動判別して多重分離処理を起動するようにしても良い。
【実施例2】
【0043】
つぎにこの発明を放送技術に適用した実施例2について説明する。
【0044】
図2は実施例2の構成を示しており、この図において図1と対応する箇所には対応する符号を付した。この例では、テレビジョン放送局300でデジタルデータを多重化し、テレビジョン受像機400でデジタルデータを多重分離している。テレビジョン放送におけるビデオ信号に関する部分については省略した。音声部分に関しても簡略化して示した。また、テレビジョン放送局300においてデジタルデータ多重化部102により多重化した音声部分の信号はビデオ部分の信号と共にテレビジョン信号に合成され、そのまま、あるいは、一旦、記録された後にテレビジョン受像機400側に配信される。テレビジョン受像機400は多重分離されたデジタルデータを画面(表示部206)に表示したりする。テレビジョン受像機400がインテリジェント化されたものであり、情報処理が可能なものであれば、デジタルデータをアプリケーションプログラムにより処理することもできる。もちろん、テレビジョン受像機400は、テレビジョン受像機の機能を有するパーソナルコンピュータでもよいし、CATV等のセットトップボックスでも良い。
【0045】
また、音声部分にデジタルデータを多重化するのに併せてあるいは単独で映像部分にデジタルデータを多重化させてこれをアプリケーションプログラム等で利用したり表示したりしても良い。またクローズドキャプションデータを音声部分や映像部分に多重化してデジタルデータとして送っても良い。この場合、音声部分の多重化に関しては非可聴帯域に多重化することが好ましい。
【0046】
またテレビジョン放送でなくラジオ放送に適用しても良い。
【実施例3】
【0047】
つぎにこの発明をリモートコントローラ装置に適用した実施例3について説明する。
【0048】
図10は実施例3のリモートコントローラ装置500およびその利用環境を示しており、この図において、リモートコントローラ装置500は、マイクロホン501、デジタルデータ多重分離部502、デジタルデータ処理部503、デジタルデータ記憶部504、表示部505、リモートコントロール主回路部506、制御信号送信部507等を含んで構成されている。デジタルデータ多重分離部502、デジタルデータ処理部503、デジタルデータ記憶部504、表示部505は、図1のデジタルデータ多重分離部202、デジタルデータ処理部204、デジタルデータ記憶部205、表示部206とそれぞれ対応するものである。この例では、例えば、テレビジョン受像機600のスピーカ601からの音声をマイクロホン501で電気信号に変換してデジタルデータ多重分離部502で多重化デジタルデータを分離して利用する。リモートコントロール主回路部506はリモートコントロール用の主たる動作を実現するものであり、制御信号送信部507は例えば赤外線により制御信号をテレビジョン受像機600の制御信号受信部602に送信する。テレビジョン受像機600の制御部603は制御信号受信部602で受信した制御信号に基づいたチャンネル切り替え、オンオフ制御等、種々の制御を行なう。デジタルデータ処理部503はアプリケーションプログラムを実行する。
【0049】
この例でも、例えば、リモートコントローラ装置500でアプリケーションプログラムが実行されてデジタルデータを適宜に利用する。
【0050】
なお、リモートコントローラ装置500は、テレビジョン受像機600以外の電気機器700を制御するためのものでもよいし、汎用的な(テレビジョン受像機を含む複数の電気機器を制御できる)リモートコントローラ装置でも良い。例えば、電子レンジ等を制御するリモートコントローラ装置であれば、テレビジョン受像機600からの音声情報からレシピ情報のデジタルデータを多重分離して取得し電子レンジに自動設定できるようにしてもよい。
【0051】
また、移動体通信等の携帯型の電話機にリモートコントローラの機能を持たせて同様にデジタルデータの多重分離を行なうようにしても良い。このようにすると、テレビジョン放送やラジオ放送の音声部分、映像部分に多重化されたデジタルデータを用いて発呼したり、ウェブ閲覧したり、電子メール送信を行なったりすることができる。
【実施例4】
【0052】
つぎにこの発明を汎用的な情報処理装置に適用した実施例4について説明する。
【0053】
図11はこの実施例の情報処理装置800(例えばパーソナルコンピュータやPDA等の携帯型の情報機器、インテリジェント電話機等)を示しており、この図において図10と対応する箇所には対応する符号を付した。この実施例では、外来音声に多重化されているデジタルデータをデジタルデータ多重分離部502で多重分離し、これをデジタルデータ処理部503(アプリケーションプログラム実行部)で利用する。デジタルデータが多重化された音声の音源はテレビジョン受像機、ラジオ受信機、電話機等に限定されず、ひろくスピーカにより電気音響変換されたものであれば良い。なお、スピーカ等に入力される前の電気信号を所定の端子から取りだして利用するようにしても良い。
【0054】
以上実施例について説明したが、これら実施例やその代替例によれば、とくに可聴タイプのものでは、画像バーコードのように、「あるシンボルが一目見てそれとわかり、それに対する「読み取り」を人間が機械に指示することで、シンボルにエンコードされた個別情報を抽出・処理できる仕組み」の音声版が実現できる。
【0055】
また、デジタル情報を圧縮して音に変換し、受け渡しを行うという仕組みなので、近距離機器間通信の領域でも利用可能であり、近距離向けの微弱電波によるデータ通信(例えばBluetooth(商標))にも最適である。例えば、携帯電話でダウンロードしたレシピを音声により電子レンジにセットすることができる。
【0056】
また、アクセシビリティ技術として、音に字幕やURLを付加するという機能を生かし、防災放送等の際に聴覚障害の人でも携帯電話のマイクを通じてサウンドバーコードを取り込むことで、画面に放送内容が表示されるようにできる。
【0057】
また、メディア多重化技術として、見えるラジオと同様に、FM放送で現在流れている楽曲のタイトル、アーティスト、購入先URLを曲の最初にサウンドバーコードで埋め込み、ラジオでそれを識別し、液晶画面に表示したり、ネット接続環境であればダウンロードサイトを表示やセットすることができる。
【0058】
さらに、「人が識別できる」という形式でなく、例えば可聴域外の周波数を使い、「人にはわからない」という形式も可能である(非可聴タイプ)。
【0059】
具体的には、リアルタイム音声字幕を実現できる。高周波領域の音を使用して、音声情報の内容をテキスト化してリアルタイムで流す。その音を携帯電話のマイクで拾ってデコードし、画面に字幕を表示する。英語等も可能である。
【0060】
また「サウンドチラシ」(音声によりチラシを実現する)を構成できる。すなわち、街頭で宣伝文句を連呼するのと同時に、高周波を使用して各自の携帯電話にデジタルチラシを配布・表示することができる。
【0061】
またファイル転送を行なえる。すなわち、パソコンと携帯電話との間、携帯電話と携帯電話との間等のファイル転送手段(片方向通信)として、赤外線通信の代替として使用することができる。
【0062】
上述の実施例の技術をバーコードに比べた場合、紙媒体に印刷されたバーコードと異なり、同時に複数の利用者が利用可能である。例えば駅のアナウンスで利用して時刻表を全ユーザーが同時に受け取ることができる。
【0063】
また上述の実施例の技術をFAX・モデム等に比べた場合、サウンドバーコードの中に格納されたデータは、チャネル情報を付与されており、同時に複数のサウンドバーコードが鳴っていてもチャネル情報によって混同することなく識別が可能であるという利点がある。
【0064】
さらに、Fax・モデム等に比べた場合、常時動作する点が異なる。受信機が常時マイクにより外部音声をモニタリングし、その音にサウンドバーコードが含まれていれば自動的にデータが取得される。(当該機能をオフにし、利用者が指定したときのみ動作することも可能)
【0065】
さらに、Fax・モデム等に比べた場合、配信チャネルやキーワードマッチングにより、特定の利用者のみを対象とした情報伝送が可能である。
【0066】
また、バーコードに比べた場合、情報量の可変性が高い。短い時間で、人間に耳障りの良い音を使用して少量(数十バイト)の情報を付与することもあれば、非可聴領域の音を使用して数分間で数万バイトのデータ転送も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】この発明の実施例1の構成を説明する図である。
【図2】実施例1の電話機の例を説明する図である。
【図3】実施例1の多重化データ入力動作を説明する図である。
【図4】実施例1の多重化データの多重分離動作を説明する図である。
【図5】実施例1の多重分離したデジタルデータの利用例を説明する図である。
【図6】実施例1の多重化の階層モデルを説明する図である。
【図7】実施例1のデジタルデータ多重分離部202の構成例を説明する図である。
【図8】実施例1のデジタルデータ多重化部102の構成例を説明する図である。
【図9】この発明の実施例2の構成を説明する図である。
【図10】この発明の実施例3の構成を説明する図である。
【図11】この発明の実施例4の構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0068】
10 電話機
11 表示部
12 キー操作部
13 デジタルデータ入力ボタン
14 デジタルデータ記録ボタン
15 ウェブ閲覧機能
16 メール閲覧・送信機能
100 発呼側電話機
101 マイクロホン
102 デジタルデータ多重化部
103 デジタルデータ入力部
104 デジタルデータ記憶部
105 信号送信部
106 表示部
150 電話回線
200 着呼側電話機
201 信号受信部
202 デジタルデータ多重分離部
203 スピーカ
204 デジタルデータ処理部
205 デジタルデータ記憶部
206 表示部
300 テレビジョン放送局
400 テレビジョン受像機
500 リモートコントローラ装置
501 マイクロホン
502 デジタルデータ多重分離部
503 デジタルデータ処理部
504 デジタルデータ記憶部
505 表示部
506 リモートコントロール主回路部
507 制御信号送信部
600 テレビジョン受像機
601 スピーカ
602 制御信号受信部
603 制御部
700 電気機器
800 情報処理装置
1021 プロトコルデータ付与部
1022 チャネル情報付与部
1023 暗号処理部
1024 エラー符号化部
1025 波形変換部
2021 アナログ・デジタル変換部
2022 波形変換部
2023 エラー訂正部
2024 暗号処理部
2025 チャネル情報処理部
2026 プロトコルデータ処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音の波形を表す電気信号から、上記音に多重化されているデジタルデータを抽出するデジタルデータ抽出手段と、
抽出したデジタルデータを処理するアプリケーション実行手段とを有することを特徴とするデジタルデータ処理装置。
【請求項2】
音を電気信号に変換する変換手段を有し、上記デジタルデータ抽出手段は、上記電気信号から、上記上記音に多重化されているデジタルデータを抽出する請求項1記載のデジタルデータ処理装置。
【請求項3】
音の波形を表す電気信号を受信する受信手段を有し、上記デジタルデータ抽出手段は、上記受信手段で受信した上記電気信号から、上記上記音に多重化されているデジタルデータを抽出する請求項1記載のデジタルデータ処理装置。
【請求項4】
上記音は、所定のパターンの可聴領域の基本パターン音に上記デジタルデータが多重化されたものである請求項1〜3のいずれかに記載のデジタルデータ処理装置。
【請求項5】
上記基本パターン音の開始時点より遅延して上記デジタルデータが多重化開始されており、上記デジタルデータ抽出手段は、上記基本パターン音の開始時点を判別して上記デジタルデータの抽出を開始する請求項4記載のデジタルデータ処理装置。
【請求項6】
音を表す電気信号にデジタルデータを多重化する多重化手段と、
多重化した電気信号を配信する配信手段とを有することを特徴とするデジタルデータ多重化装置。
【請求項7】
電話回線を介して送られた、音の波形を表す電気信号から、上記音に多重化されているデジタルデータを抽出するデジタルデータ抽出手段と、
抽出したデジタルデータを処理するアプリケーション実行手段とを有することを特徴とする電話機。
【請求項8】
上記アプリケーション実行手段は、抽出したデジタルデータにより宛先指定された宛先に対して通信を行なう請求項7記載の電話機。
【請求項9】
電話回線を介して送られた、音の波形を表す電気信号から、上記音に多重化されているデジタルデータを抽出するデジタルデータ抽出手段と、
抽出したデジタルデータを処理するアプリケーション実行手段とを有することを特徴とする放送信号再生装置。
【請求項10】
電話回線を介して送られた、音の波形を表す電気信号から、上記音に多重化されているデジタルデータを抽出するデジタルデータ抽出手段と、
抽出したデジタルデータを処理するアプリケーション実行手段とを有することを特徴とするリモートコントローラ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−203643(P2006−203643A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−14039(P2005−14039)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【出願人】(300014554)株式会社メディアシーク (8)
【出願人】(505026712)
【Fターム(参考)】