説明

デジタル放送信号記録再生装置

【課題】利用許可情報付加のデジタル放送を視聴中に、中断した際の、中断後のデジタル放送の視聴が、利用許可情報を守りつつ、視聴者の都合に合わせて可能とする。
【解決手段】一時記録再生手段130と記録開始時からの経過時間を管理する管理部121を備え、一時記録再生手段によりデジタル信号の一時的な記録を開始し、ある時間経過した後再生開始を指示した際、管理部で管理する記録開始時からの経過時間に基づき、記録開始時か
ら予め定められた時間が経過するまでは一時記録再生手段に記録されたデジタル信号を再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送などのデジタル信号を記録再生する装置に関し、特に、権利者
によって記録やその複製を作成することの制限がある場合のデジタル信号記録再生装置に
関する。
【背景技術】
【0002】
近年の放送やAV記録機器のデジタル化によって、従来のアナログ機器と異なり、劣化
なしに記録や複製が可能な状況になっている。一方、デジタル化されたAV信号などに記
録や複製を制限する利用許諾情報を付加し、この利用許諾情報に従って記録や複製の作成
を制限する方式が提案され、その劣化のない複製物の作成を制限して権利者の権利保護を
行っている。
【0003】
この利用許諾情報の例として、IEEE1394−1995を用いたDTCP(Digital Transmission Content Protection)におけるEMI(Encryption Mode Indicator)が知られている。IEEE1394は高速シリアルバスの規格であり、AVデジタルデータなどをパケット化して伝送するものである。このパケットに利用許諾情報としてDTCPにおいてEMIと定義した2ビットの情報がある。EMIは、11の場合に複製禁止、10の場合は1回のみ複製を許可、00は自由に複製可能を表す。また、EMIの01は1回のみ複製が許可されたものの複製済みのものを表す。
【0004】
例えば、放送において番組の複製禁止を指定すると、これを受信した受信機とデジタル
記録機器がDTCPを実装したIEEE1394で接続されている場合、受信機において
EMIを11とすると、デジタル記録機器は複製禁止と判断して記録を行わない。これに
より、権利者が放送を視聴することだけを許諾している場合、その記録を制限することが
できる。また、例えば権利者が放送を1度記録してそれを視聴することを許諾している場
合、受信機においてEMIを10とすると、デジタル機器は記録を行うことができ、次に
これを再生する場合に、EMIを01と変更して出力することで、視聴は許可するが再び
記録することは不可能とすることができる。
【0005】
以上のように、AV信号などのデジタル化によって劣化のない複製が可能であるが、同
時に、利用許諾情報を付加することができ、権利者の権利保護が行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術により、権利者の権利保護を行うことが可能であるが、例えば、利用許諾
情報として複製禁止が指定されている場合、テレビ放送のような場合では、その番組の放
送時間に視聴することしかできず、番組視聴中に電話が掛かってきたり、来客があったり
すると、番組の途中を見ることができなくなってしまう。
【0007】
これを解決する方法として、特開2000−149417号公報に記載のように、複製
不可の番組であっても一回の記録を行い、再生時に消去するものが知られている。しかし
、再生を行わなければ記録した番組が永久に残ることとなり、権利者の権利保護が十分に
なされていない。
【0008】
また、コンピュータの分野において、プログラムに試用期間が設定され、プログラムを
インストールした時点から設定された試用期間中は動作するが、試用期間を過ぎると動作
しなくなり、パスワードなどの入力によって使用できるようになるものが知られている。
このようなものの例として特開平7−319689号公報などがある。これはプログラム
単位での動作可能か否かの判定に十分なものであるが、近年では大容量ハードディスクに
放送を連続して記録し、それを再生するような、番組単位などに限定されない記録が可能
となっており、このような場合には記録開始日時が試用開始時点として扱うと、直前に記
録した部分の再生も不可能となる場合が発生するので、放送番組などを一時的な記録とそ
の再生を行う装置には十分ではない。
【0009】
本発明の目的は、利用許可情報が付加されたデジタル放送を視聴中に、中断した際の、
中断後のデジタル放送の視聴が、利用許可情報を守りつつ、視聴者の都合に合わせて可能
とするデジタル放送記録再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、デジタル放送のデジタル信号を記録再生する装置であって、一時的な記録と
その再生を行う一時記録再生手段と、記録開始時からの経過時間を管理する管理部を備え
、前記一時記録再生手段により前記デジタル信号を一時的に記録し再生する際、前記管理
部で管理する記録開始時からの経過時間に基ずき、前記記録開始時から予め定められた時
間が経過するまでは前記一時記録再生手段に記録されたデジタル信号を再生し、前記記録
開始日時から予め定められた時間が経過した後は前記一時記録再生手段に記録されたデジ
タル信号を再生しないことを特徴とするデジタル放送信号記録再生装置である。
【0011】
本発明は、デジタル放送のデジタル信号を記録再生する装置であって、一時的な記録と
その再生を行う一時記録再生手段と、再生をしたい記録途中からの経過時間を管理する管
理部を備え、、前記一時記録再生手段により前記デジタル信号を一時的な記録し再生する
際、前記管理部で管理する再生をしたい記録途中からの経過時間に基ずき、前記記録開始
日時から予め定められた時間が経過するまでは前記一時記録再生手段に記録されたデジタ
ル信号を再生し、前記記録開始時から予め定められた時間が経過した後は前記一時記録再
生手段に記録されたデジタル信号を再生しないことを特徴とするデジタル放送信号記録再
生装置である。
【0012】
本発明で、前記管理部は、前記経過時間をカウントにより管理することを特徴とするデ
ジタル放送信号記録再生装置である。
【0013】
本発明で、前記予め定められた時間は、放送番組などの利用許諾権利をもつ権利者によ
って定められ、デジタル放送信号記録再生装置が保持することを特徴とするデジタル放送
信号記録再生装置である。
【0014】
本発明で、前記予め定められた時間は、放送番組などの利用許諾権利をもつ権利者によ
って定められ、デジタル放送によって映像・音声などと同時に多重され伝送される番組情
報の1つとして伝送され、この伝送された前記予め定められた時間を用いることを特徴と
するデジタル放送信号記録再生装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、利用許可情報が付加されたデジタル放送を視聴中に、中断した際の、
中断後のデジタル放送の視聴が、利用許可情報を守りつつ、視聴者の都合に合わせて可能
とするデジタル放送記録再生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のデジタル放送記録再生装置の実施の形態の構成を示す図である。
【図2】一時記録管理処理の動作フローの一例を示す図である。
【図3】図2で一時記録したデジタル信号を再生する場合の再生管理処理の動作フローの一例を示す図である。
【図4】図3の再生制限判定の一例を示した図である。
【図5】図3の再生制限判定の他の一例を示した図である。
【図6】図3の再生制限判定のさらに他の一例を示した図である。
【図7】一時記録したデジタル信号の再生管理処理の動作フローの他の例を示す図である。
【図8】図7の再生制限判定の一例を示す図である。
【図9】一時記録管理処理の動作フローのほかの例を示す図である。
【図10】図9で一時記録したデジタル信号を再生する場合の再生管理処理の動作フローの一例を示す図である。
【図11】一時記録したデジタル信号の再生管理処理の動作フローのさらに他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明のデジタル放送記録再生装置の実施の形態の構成を示す図である。図1に
おいて、110は受信手段、120は受信手段110を制御する制御手段、130は受信
手段110で受信したデジタル信号を一時的に記録し再生する一時記録再生手段である。
受信手段110は、デジタル放送受信機を例にすると、主な構成要素として、アンテナ等
からの入力信号を受信し選局するチューナ111と、チューナ111で選局した信号を復
調する復調手段112と、復調した信号をエラー訂正するエラー訂正手段113と、エラ
ー訂正後に限定受信のためのスクランブルを解除するデスクランブラ114と、デスクラ
ンブル後の映像・音声・その他のデータが多重された信号から所望する信号を分離する多
重分離手段115と、分離された映像・音声信号を復号化する映像音声デコーダ116を
持つ。
【0018】
また、制御手段120は、受信手段110の各構成要素111乃至116より必要な信
号が入力され、かつ、それらを制御するものであり、更に、一時記録再生する映像・音声
・データなどに関する情報を管理する記録管理手段121と、日時情報を持つ時計122
と、経過時間を計測するために時間を積算するカウンタ123を備えている。
【0019】
次に、図1による一時記録再生管理処理を動作フローを示す図を用いて説明する。図2
と図3は一時記録再生管理処理の動作フローの一例を示す図であり、図2は一時記録時を
示す図、図3は一時記録したデジタル信号を再生する場合を示す図である。
【0020】
図2の一時記録を図1の構成を用いて説明すると、一時記録開始ステップ201よりの
時計122が動作しているかを時計確認ステップ202で判定し、時計122が動作して
いれば日時情報を日時記録ステップ203で記録管理手段121に記録し、時計122が
動作していない場合は日時情報が未設定であると記録管理手段121に記録する。この日
時情報記録と同時に、経過時刻を計測するためにカウンタ123をカウンタスタートステ
ップ204でスタートし、カウントアップステップ205で経過時間を積算し、カウンタ
値記録ステップ206で記録管理手段121へ記録し続ける。
【0021】
次に、一時記録したデジタル信号を再生する場合は、図3において、再生開始指示ステ
ップ301により時計122が動作しているかを時計確認ステップ302で判定し、時計
122が動作していれば現在の日時情報を現在日時取得ステップ303で取得し、時計1
22が動作していない場合は日時情報なしとする。カウンタ値取得ステップ304で記録
開始より積算し続けている経過時間を表すカウンタ値を取得する。これら取得した現在日
時およびカウンタ値と、記録開始時に記録管理手段121に記録した記録開始日時を元に
、再生制限判定ステップ305で一時記録の再生条件判定を行い、再生してよい場合には
再生開始ステップ306へ、再生してはいけない場合には再生不可ステップ307へ進め
、一時記録再生手段130からの再生/非再生を制御する。
【0022】
続いて、再生制限判定ステップ305での再生条件判定について、いくつかの例を、図
4乃至図6に示し、以下説明する。
【0023】
図4は図3の再生制限判定の一例を示した図である。放送されている番組を時間順に示
したものが410であり、21:00から23:00まで120分番組として、映画41
1が放送されている。この映画411を視聴中、21:30に例えば電話が入り、記録開
始420を指示し、視聴を中断、15分の421が経過した後に、記録したデジタル信号
を再生して、中断したところからの視聴432をしようとする。この時、現在日時取得ス
テップ303において取得した現在日時21:45と、カウンタ値取得ステップ304に
おいて取得したカウンタ値15分と、記録開始日時21:30から、再生制限の判定を次
のようにして行う。 再生要求時点での日時−記録開始日時≦一時記録許可時間(式1)
カウンタ値≦一時記録許可時間(式2)の両式が真の場合、再生を許可し、少なくとも
一方の式が偽の場合、再生を許可しない。
【0024】
例えば、一時記録許可時間を60分とすると、記録したデータを再生して、中断したと
ころからの視聴432をしようとする場合、式1,2の判定が共に真となり、再生制限判
定ステップ305は再生可と判定し、再生開始ステップ306へ進み、視聴できることに
なる。ここで、一時記録許可時間は、予め定められた時間でも良いし、映像・音声データ
などと同時に伝送される番組情報の一つとして放送によって伝送しても良い。
【0025】
次に、映画411を視聴中、21:30に例えば来客があり、記録開始420を指示し
、視聴を中断、75分の422が経過した後の22:45で、中断した21:30からの
再生して視聴442しようとする場合、前記と同様にして判定を行い、両式の判定結果が
偽となり、21:30で中断したところ420からの再生は行わない。この場合、再生制
限判定ステップ305は次の判定処理を行う。 再生要求時点での日時−一時記録許可時
間<番組の放送終了時間(式3)
この判定により、再生要求時22:45から一時記録許可時間60分を遡り424、放
送時間21:45の時点から再生可能であると判定する。これにより、一時記録が許可さ
れている最大の経過時間60分の423が経過した場合として、21:45に記録したと
ころから視聴452することができると判定し、再生開始ステップ306へ進む。図示は
しないが、中断時間が長時間に及び、式3が偽となれば、再生不可として再生不可ステッ
プ307へ進む。
【0026】
図5は図3の再生制限判定の他の一例を示した図である。放送番組は図4の一例と同じ
であり、同一番号を付す。本例では、映画411を最初から一時記録しており、一時記録
したものが映画511である。視聴を中断し、記録を開始したところから45分の521
経過した後に、中断したところからの視聴531を行う場合、式1,2の両方が真となり
、映画511を最初から視聴できる。次に、90分の522経過した後の22:30に、
記録したデジタル信号を再生して、中断したところから視聴541を行う場合、式1,2
は共に偽となり、式3の判定に入る。再生要求時点22:30から一時記録許可時間60
分の524を遡り、放送時間21:30の時点から再生可能と判定し、許可されている最
大の経過時間60分の523経過した場合として、21:30に記録したところから、視
聴551することができると判定し、再生開始ステップ306へ進み、再生を行う。
【0027】
図6は図3の再生制限判定のさらに他の一例を示した図である。放送されている番組を
時間順に示したものが610であり、19:00から19:30に30分番組として番組
611が放送されている。この番組を一時記録し、一時記録したものが番組612である
。視聴を中断し、記録開始後60分の621経過した後の20:00から、記録したデジ
タル信号を再生して、中断したところからの視聴631を行う場合は、前記一例と同様で
あり、視聴できる。
【0028】
次に、記録開始後95分の経過622した後の20:35で、視聴641を行う場合で
あるが、一時記録を完了した19:30から60分経過した20:35まで電源が切れて
おり、カウンタ123が動作しておらず、カウント値が30分となっている。したがって
、20:35で再生要求を行うと、式2は真となるが、式1が偽であり、式3の評価に入
る。再生要求時20:35から一時記録許可時間60分の624を遡ると19:35とな
り、番組の放送終了時間19:30を過ぎているので、番組再生651は再生されない。
【0029】
この例では、電源を入れた20:35時点で映像・音声データなどと共に多重され伝送
される時刻情報が取得でき、時計122が正しく設定された場合について説明した。この
電源が入り、時計122に時刻情報が設定され、正しく日時を管理始めた時点で、記録開
始日時と現在の日時とを比較し、カウンタ123のカウント値を補正する処理があっても
良いことは言うまでもない。
【0030】
上記20:35に電源を入れた時点で時刻情報が取得できず、時計122が設定されな
い場合、式1、3の評価ができない。この場合、判定方法および処理として、時刻情報を
取得して時計122が正しく動作するまで再生不可とすると共にカウンタ123のカウン
ト処理を停止する場合、時刻情報を取得して時計122が正しく動作するまで再生不可と
すると共にカウンタ123のカウント処理は行って経過時間を計測しつづける場合、カウ
ンタ123のカウント値を元にして式2の評価のみで再生制限判定をおこなう場合、の3
つが考えられる。
【0031】
これらはどの処理を選択しても良く、一時記録許可時間と同様に、予め定められた処理
でも良いし、映像・音声データなどと同時に伝送される番組情報の一つとして放送によっ
てどの処理を選択するかを指示する情報として伝送しても良い。ここで、時刻情報が取得
できず、時計122が正しく動作していない場合に再生不可とする場合、カウンタ123
は不要であり、各処理フロー例において、式2の評価を行わなくても良い。
【0032】
しかし、本例のように電源が途切れ、また、時刻情報が取得できない状態は、不正視聴
を目的とした故意によるものか、雷雨や豪雪による事故によるものかを区別することが困
難である。このため、時計122が正しく動作していない場合に再生不可と決めることは
、例えば天候の回復が送れて時刻情報が取得できた時点では既に再生不可となってしまう
ことも考えられ、視聴者にとって好ましくない。
【0033】
そこで、記録開始日時、再生要求日時のどちらか一方あるいは両方が未定の場合は、式
2により再生の可否を判定する。カウンタ123は記録開始を始めると記録を終えても受
信機の動作中はカウントアップ動作を続けるため、受信機内部での一時記録の経過時間は
積算されるので、不正視聴を行おうとしても一時記録許可時間を確実に消化していくため
、必ず再生不可となる時点があり、権利者の権利を守ることができる。
【0034】
また、本例では映像・音声などと共に時刻情報が多重されて伝送される場合で説明した
が、現在のVTRやテレビに見られるように、ユーザに時刻設定を行わせる方式としても
、一時記録した後、不正視聴を目的として現在時刻を過去の時間に設定して式1を真とで
きても、式2により一時記録の経過時間を判定できるので、不正視聴を防ぐことができる

【0035】
以上のように、本実施例によれば、一時記録許可時間として許可された期間に限り、一
時記録再生手段に一時記録した放送番組などの再生を許可し再生することが実現できるの
で、権利者の複製不可の権利を守りつつ、その視聴は放送時間に実時間で縛られることな
く、視聴者の都合に合わせた視聴が可能となる。
【0036】
図7は一時記録したデータの再生管理処理の動作フローの他の例を示す図である。なお
、一時記録時は図2と同じである。
【0037】
図7の再生管理処理フロー例が、図3の再生処理フロー例と異なるのは、再生開始の指
示として、記録開始時点を暗黙の開始位置とするのではなく、再生開始日時を指示する再
生開始日時指示ステップ701と、この指示した再生開始日時とカウンタ値取得ステップ
304で取得した積算され続けている経過時間を表すカウンタ値と日時取得ステップ30
3で取得した現在の日時情報と記録開始時に記録管理手段121に記録した記録開始日時
を元に再生制限判定を行う再生制限判定ステップ705とを用いる点であり、その他は図
3の処理フロー例と同一であり、同一の番号を付けてある。
【0038】
以下、異なる点について、図8の再生制限判定の一例を用いて、その処理を説明する。
【0039】
図8において、放送番組は図4、5の一例と同じであり、映画411を最初から一時記
録している(映画511)。視聴者が21:30過ぎまで視聴831、841をしており
、何らかの都合で視聴を中断していたのを、22:15で、記録したデジタル信号の再生
により、再び視聴する場合であって、21:30から続きを再視聴する続き832と、最
初の21:00から視聴しなおす再視聴842とを示している。
【0040】
続き832は、視聴者が、21:30過ぎまで視聴していた記憶を頼りに、21:30
からの再生を指示する。現在日時取得ステップ303において取得した日時情報22:1
5と、カウンタ値取得ステップ304において取得したカウンタ値75分とから、再生制
限の判定を次のようにして行う。 再生要求時点での日時−再生開始指示日時≦一時記録
許可時間(式1’) カウンタ値−再生開始指示時点のカウンタ値≦一時記録許可時間(
式2’)の両方が真の場合、再生を許可し、少なくとも一方が偽の場合、再生を許可しな
い。
【0041】
例えば、一時記録許可時間を60分とすると、続き832の場合、両方の判定が真とな
り、再生制限判定ステップ705は再生可と判定し、再生開始ステップ306へ進み、視
聴できることになる。ここで、再生開始指示時点のカウンタ値は、記録開始日時21:0
0と再生開始指示日時21:30から、次の式で導かれる。
【0042】
再生開始指示時点のカウンタ値=再生開始指示日時−記録開始日時(式4)本例では、
21:30−21:00として30分が導き出される。ここで示した一時記録許可時間は
、図3の一例と同様に、予め定められた時間でも良いし、映像・音声データなどと同時に
伝送される番組情報の一つとして放送によって伝送しても良い。
【0043】
次に、再視聴842は、視聴者がもう一度最初から視聴しなおそうとする場合であり、
21:00からの再生指示をすると、続き832と同様に判定処理を行い、式1’、2’
ともに偽となり、映画の先頭である21:00からの再視聴842の再生は行わない。こ
の場合、再生制限判定ステップ705は次の判定処理を行う。 再生要求時点での日時−
一時記録許可時間<番組の放送終了時間(式3)
この判定により、再生要求時22:15から一時記録許可時間60分の824を遡り、
放送時間21:15の時点から再生可能であると判定する。これにより、許可されている
最大の経過時間60分の824が経過した場合として、21:15に記録したところから
視聴852することができると判定し、許可されている最大の経過時間60分の823経
過した場合の22:15から再視聴852することができると判定し、再生開始ステップ
306へ進むのは図3の処理フロー例と同じである。
【0044】
また、同様に図示はしないが、中断時間が長時間に及び、式3が偽と成れば、再生不可
として再生不可ステップ307へ進む。更に、本一例では、再生要求日時が未定の場合は
、式2’により再生の可否を判定する。カウンタ123は記録開始した後は受信機の動作
中はカウントアップ動作を続けるため、受信機内部での一時記録の経過時間は積算される
ので、不正視聴を行おうとしても一時記録許可時間を確実に消化していくため、必ず再生
不可となる時点があり、権利者の権利を守ることができる。また、図3の処理フロー例と
同様に、再生要求時点で、何らかの手段で時計122の時間を過去の時間に設定できたと
しても、カウンタ値により一時記録の経過時間を判定できるので、不正視聴を防ぐことが
できる。
【0045】
以上のように、本実施例によっても、一時記録許可時間として許可された期間に限り、
一時記録再生手段に一時記録した放送番組などの再生を許可し再生することが実現できる
ので、権利者の複製不可の権利を守りつつ、その視聴は放送時間に実時間で縛られること
なく、視聴者の都合に合わせた視聴が可能となる。更に、本実施例では再生を開始したい
日時を指定できるので記録開始時間に拘束されず、長時間記録しつづける状態を維持した
ままに、中断などで再視聴を希望する個所の再生制限判定を行うことが可能となる。
【0046】
図9と図10は一時記録再生管理処理の動作フローのほかの例を示す図であり、図9は
一時記録時を示す図、図10は一時記録したデジタル信号を再生する場合を示す図である

【0047】
図9の、一時記録管理処理の動作フローにおいて、本処理の動作フローが、図2の処理
の動作フローと異なるのは、カウンタ123を記録開始時に制御するのではなく、記録開
始時にカウンタ値を記録管理手段121に記録する点で、その他は同じである。また、カ
ウンタ123は受信機が動作している間、常にカウントアップ、カウンタ値記録が受信制
御として動作するようになされている。
【0048】
次に、図10の、一時記録したデータを再生する場合の処理の動作フローにおいて、本
処理の動作フローが他の処理フローと異なるのは、現在日時と現在のカウンタ値、および
記録開始日時と記録開始時のカウンタ値を用いて再生制限判定を行う再生制限判定ステッ
プ1005を用いている点で、その他は他の処理フロー例と同一であり、同一の番号を付
けてある。以下、異なる点について説明する。
【0049】
本処理の動作フローでは、カウンタ123が常にカウントアップ動作しており、記録開
始時点のカウンタ値C1を記録し、再生要求時点のカウンタ値C2とから他の例における
式2あるいは式2’のカウンタ値としてC2−C1を用いる。これにより、他の処理の動
作フローの場合には、一時記録している番組が例えば2つある場合には2つのカウンタを
管理しなければならないが、本処理の動作フロー例では、一時記録している番組が複数に
なっても1つのカウンタを管理するだけでよい。
【0050】
図11は、一時記録したデジタル信号の再生管理処理の動作フローのさらに他の例を示
す図である。なお、一時記録時は図9と同じである。
【0051】
図11の再生管理処理フロー例は、図10の再生開始指示ステップ301を図7の再生
開始日時指示ステップ701に替えたことと、再生制限判定ステップ1105において、
図7の処理フロー例と同じく、指示した再生開始日時も条件に加えて再生制限を判定した
点であり、その他は図7の処理フロー例と同一であり、同一の番号を付けてある。
【0052】
以上のように、本実施の形態によれば、利用許可情報としての一時記録許可時間として
許可された期間に限り、一時記録再生手段に一時記録した放送番組などの再生を許可し再
生することが実現できるので、権利者の複製不可の権利を守りつつ、その視聴は放送時間
の実時間で縛られることなく、視聴者の都合に合わせた視聴が可能となる。更に、本実施
の形態によれば、1つのカウンタのカウントアップ管理を常に行うだけで、そのカウンタ
値を用いて複数の番組の一時記録管理を行うことができる。
【0053】
したがって、権利者によって利用許諾が複製禁止と明示されている放送番組であっても
、権利者が予め定めた時間もしくはその都度指定した短時間だけ一時記録し再生すること
ができ、、権利者の権利を損ねることがなく、かつ、視聴者は、電話などで視聴の中断が
発生しても、その中断個所などから再び視聴ができるので、良いシーンを見逃すことなど
もなくなり、放送の実時間に縛られることなく放送番組を楽しむことが可能となる。
【符号の説明】
【0054】
110…受信手段、111…チューナ、112…復調手段、113…エラー訂正手段、
114…デスクランブラ、115…多重分離手段、116…映像音声復号手段、120…
制御手段、121…記録管理手段、122…時計、123…カウンタ、130…一時記録
再生手段、201…記録開始ステップ、202…時計確認ステップ、203…現在日時記
録ステップ、204…カウンタスタートステップ、205…カウントアップステップ、2
06…カウンタ値記録ステップ、301…再生開始指示ステップ、302…時計確認ステ
ップ、303…現在日時取得ステップ、304…カウンタ値取得ステップ、305…再生
制限判定ステップ、306…再生開始ステップ、307…再生不可ステップ、701…再
生開始位置指示ステップ、705…再生制限判定ステップ、904…開始カウンタ値記録
ステップ、1005…再生制限判定ステップ、1105…再生制限判定ステップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送のデジタル信号を記録再生する装置であって、一時的な記録とその再生を
行う一時記録再生手段と、記録開始時からの経過時間を管理する管理部を備え、前記一時
記録再生手段により前記デジタル信号を一時的に記録し再生する際、前記管理部で管理す
る記録開始時からの経過時間に基ずき、前記記録開始時から予め定められた時間が経過す
るまでは前記一時記録再生手段に記録されたデジタル信号を再生し、前記記録開始日時か
ら予め定められた時間が経過した後は前記一時記録再生手段に記録されたデジタル信号を
再生しないことを特徴とするデジタル放送信号記録再生装置。
【請求項2】
デジタル放送のデジタル信号を記録再生する装置であって、一時的な記録とその再生を
行う一時記録再生手段と、再生をしたい記録途中からの経過時間を管理する管理部を備え
、前記一時記録再生手段により前記デジタル信号を一時的な記録し再生する際、前記管理
部で管理する再生をしたい記録途中からの経過時間に基ずき、前記記録開始日時から予め
定められた時間が経過するまでは前記一時記録再生手段に記録されたデジタル信号を再生
し、前記記録開始時から予め定められた時間が経過した後は前記一時記録再生手段に記録
されたデジタル信号を再生しないことを特徴とするデジタル放送信号記録再生装置。
【請求項3】
前記管理部は、前記経過時間をカウントにより管理することを特徴とする請求項1また
は2記載のデジタル放送信号記録再生装置。
【請求項4】
前記予め定められた時間は、放送番組などの利用許諾権利をもつ権利者によって定めら
れ、デジタル放送信号記録再生装置が保持することを特徴とする請求項1乃至3のいずれ
か1項に記載のデジタル放送信号記録再生装置。
【請求項5】
前記予め定められた時間は、放送番組などの利用許諾権利をもつ権利者によって定めら
れ、デジタル放送によって映像・音声などと同時に多重され伝送される番組情報の1つと
して伝送され、この伝送された前記予め定められた時間を用いることを特徴とする請求項
1乃至4のいずれか1項に記載のデジタル放送信号記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−19248(P2011−19248A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176917(P2010−176917)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【分割の表示】特願2008−176449(P2008−176449)の分割
【原出願日】平成13年1月22日(2001.1.22)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】