説明

デバイス制御システム及びデバイス制御システムの制御方法

【課題】デバイス異常発生時に際し、ホストコンピュータの構成を単純化し、復旧動作にかかる時間を短縮したデバイス制御システム及びデバイス制御システムの制御方法を提供する。
【解決手段】デバイスに異常が発生した場合、下位機器は異常が発生した旨の信号をホストコンピュータに送信し、異常の発生したデバイスを記憶する。ホストコンピュータは通常コマンドを下位機器に再送信する。下位機器は異常が発生したデバイスのみの復旧動作を行い、復旧動作完了後に再受信したコマンドを実行する。また、デバイスに異常が発生した場合、下位機器は異常が発生した旨の信号をホストコンピュータに送信し、異常の発生したデバイスを記憶する。ホストコンピュータは次に実行すべき通常コマンドを下位機器に送信する。下位機器は異常が発生したデバイスのみの復旧動作を行い、復旧動作完了後に中断していた通常コマンドを再実行し、受信したコマンドを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホストコンピュータに接続された下位機器のデバイスの制御を行うデバイス制御システム及びデバイス制御システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、パソコンやPOSターミナルのようなホストコンピュータにプリンタなどの下位機器が接続されることがある。例えばプリンタのピンチモータなどの下位機器のデバイスに異常が発生した場合、この異常に対処する動作が行われる。
【0003】
従来のシステムにおいては、下位機器が異常を検知すると保護のために動作を停止し、異常が発生した旨の信号をホストコンピュータに送信する。ホストコンピュータは下位機器に復旧コマンドを送信し、この復旧コマンドを受け取った下位機器は下位機器全体を初期化することによって復旧していた(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−109646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のシステムにおいては、ホストコンピュータは下位機器側に異常があるかどうかを監視しながらコマンドを発行してゆく必要があり、また、異常である旨の信号を受け取った場合の復旧のための対応をホストコンピュータ側に用意しておく必要があり、ホストコンピュータ側の処理乃至構成が複雑になるという問題点があった。また、復旧する際には下位機器は下位機器全体を初期化するため復旧動作に時間がかかるという問題点があった。
【0006】
本発明は、ホストコンピュータの構成を単純化し、復旧動作にかかる時間を短縮したデバイス制御システム及びデバイス制御システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、通常の動作を指示するコマンドである通常コマンドを送信するホストコンピュータと、このホストコンピュータに接続され、通常コマンドを受信し、通常コマンドにより指定された動作をおこなうデバイスを備える下位機器と、を備え、下位機器は、異常発生時に異常が発生したデバイスを記憶する異常発生デバイス記憶手段と、異常が発生した旨を示す異常発生信号をホストコンピュータに送信する異常送信手段と、を具備し、ホストコンピュータは、異常発生信号を受信したとき、通常コマンドを下位機器に送信する異常時処理手段を具備し、下位機器は、異常発生信号を送信後にホストコンピュータから通常コマンドを受信したとき、異常が発生したデバイスの復旧動作を行う復旧動作実行手段と、復旧動作完了後に、異常発生信号を送信後にホストコンピュータから受信した通常コマンドを実行する復旧後通常コマンド実行手段と、を具備することを特徴とするデバイス制御システムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ホストコンピュータの構成を単純化が可能となり、復旧動作にかかる時間を短縮することが可能となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】デバイス制御システムの構成例を示す図である。
【図2】デバイス制御システムの動作の概要を示すフローチャートである。
【図3】第1の実施形態のデバイス制御システムの動作の概要を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施形態のデバイス制御システムの動作の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の一実施形態に係るデバイス制御システム及びデバイス制御システムの制御方法を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、デバイス制御システムの構成例を示す図である。図1に示すように、デバイス制御システムは、通常の動作を指示するコマンドである通常コマンドを送信するホストコンピュータ100と、このホストコンピュータ100に接続され、通常コマンドを受信し、この通常コマンドにより指定された動作をおこなうデバイスを備える下位機器、例えばプリンタ110を備える。
【0011】
ホストコンピュータ100は、演算装置であるCPU101と、記憶装置であるメモリ102と、インターフェース(I/F)103と、を備える。ホストコンピュータ100は、例えばパソコンであっても、POSターミナルであってもよい。
【0012】
プリンタ110は演算装置であるCPU111と、記憶装置であるメモリ113と、インターフェース(I/F)112と、各種のデバイス120を備える。デバイス120の例としては、記録媒体を取り出すためのピンチローラを駆動するピンチモータ121と、キャリッジを往復移動させるためのキャリッジモータ122と、記録媒体がなくなっていることを検知する用紙なしセンサ123と、記録媒体を裁断する裁断機構124と、ドロワを制御するドロワ制御部125、などが挙げられる。
【0013】
図2は、デバイス制御システムの動作の概要を示すフローチャートである。図2に示すように、ステップ201において、ホストコンピュータ100は通常コマンドを接続されている下位機器に送信する。ステップ202において、下位機器は通常コマンドを受信する。
【0014】
ステップ203において、下位機器は通常コマンドを実行する。ステップ204において下位機器のデバイスに異常が発生したものとする。
【0015】
下位機器は、異常発生時に異常が発生したデバイス120を記憶する異常発生デバイス記憶手段と、異常が発生した旨を示す異常発生信号をホストコンピュータ100に送信する異常送信手段と、を具備する。
【0016】
ステップ205において、下位機器はメモリ113に異常が発生したデバイスを記憶する。ステップ206において、下位機器は異常発生をホストコンピュータ100に送信する。
【0017】
ホストコンピュータ100は、異常発生信号を受信したとき、通常コマンドを下位機器に送信する異常時処理手段を具備する。
【0018】
ステップ207において、ホストコンピュータ100は異常が発生した旨を受信し、ステップ208において、ホストコンピュータ100は復旧コマンドではなく通常コマンドを下位機器に送信する。
【0019】
下位機器は、異常発生信号を送信後にホストコンピュータ100から通常コマンドを受信したとき、異常が発生したデバイスの復旧動作を行う復旧動作実行手段と、復旧動作完了後に、異常発生信号を送信後にホストコンピュータ100から受信した通常コマンドを実行する復旧後通常コマンド実行手段と、を具備する。
【0020】
ステップ209において、下位機器はホストコンピュータ100からの通常コマンドを受信する。ステップ210において、下位機器は異常が発生したデバイスのみの復旧動作を実行する。復旧動作完了後、ステップ211において、下位機器はステップ209において受信した通常コマンドを実行する。これ以降はホストコンピュータ100及び下位機器は通常処理を行う。
【0021】
図3は、第1の実施形態のデバイス制御システムの動作の概要を示すフローチャートである。本実施形態においては、下位機器の例としてプリンタ110を挙げる。また、異常の例としてピンチモータ121に異常が発生するものとする。
【0022】
図3に示すように、ステップ301において、ホストコンピュータ100は給紙コマンドを接続されているプリンタ110に送信する。ステップ302において、プリンタ110は給紙コマンドを受信する。
【0023】
ステップ303において、プリンタ110は給紙コマンドを実行する。ステップ304においてピンチモータ121に異常が発生したものとする。
【0024】
ステップ305において、プリンタ110はメモリ113に異常が発生したデバイスとしてピンチモータ121を記憶する。ステップ306において、プリンタ110は異常発生をホストコンピュータ100に送信する。
【0025】
異常時処理手段は、ホストコンピュータ100が異常発生信号を受信したとき、異常発生信号を受信する直前に送信した通常コマンドを下位機器であるプリンタ110に再送信する。
【0026】
ステップ307において、ホストコンピュータ100は異常が発生した旨を受信し、ステップ308において、ホストコンピュータ100は復旧コマンドではなく給紙コマンドをプリンタ110に再送信する。
【0027】
ステップ309において、プリンタ110はホストコンピュータ100からの給紙コマンドを受信する。ステップ310において、プリンタ110は異常が発生したデバイスであるピンチモータ121のみの復旧動作を実行する。復旧動作完了後、ステップ311において、プリンタ110はステップ309において受信した給紙コマンドを実行する。これ以降はホストコンピュータ100及びプリンタ110は通常処理を行う。
【0028】
以上述べたように、本実施形態のデバイス制御システム及びデバイス制御システムの制御方法は、デバイスに異常が発生した場合、下位機器は異常が発生した旨の信号をホストコンピュータ100に送信し、異常の発生したデバイスを記憶する。ホストコンピュータ100は通常コマンドを下位機器に再送信する。下位機器は異常が発生したデバイスのみの復旧動作を行い、復旧動作完了後に再受信したコマンドを実行する。
【0029】
従って、ホストコンピュータ100の構成を単純化が可能となり、復旧動作にかかる時間を短縮することが可能となるという効果がある。
【0030】
図4は、第2の実施形態のデバイス制御システムの動作の概要を示すフローチャートである。本実施形態においては、下位機器の例としてプリンタ110を挙げる。また、異常の例としてピンチモータ121に異常が発生するものとする。
【0031】
図4に示すように、ステップ401において、ホストコンピュータ100は給紙コマンドを接続されているプリンタ110に送信する。ステップ402において、プリンタ110は給紙コマンドを受信する。
【0032】
ステップ403において、プリンタ110は給紙コマンドを実行する。ステップ404においてピンチモータ121に異常が発生したものとする。
【0033】
ステップ405において、プリンタ110はメモリ113に異常が発生したデバイスとしてピンチモータ121を記憶する。ステップ406において、プリンタ110は異常発生をホストコンピュータ100に送信する。
【0034】
異常時処理手段は、ホストコンピュータ100が異常発生信号を受信したとき、復旧動作完了後に最初に実行する通常コマンドを下位機器であるプリンタ110に送信する。
【0035】
ステップ407において、ホストコンピュータ100は異常が発生した旨を受信し、ステップ408において、ホストコンピュータ100は復旧コマンドではなく給紙コマンドの次の動作である印刷コマンドをプリンタ110に送信する。
【0036】
ステップ409において、プリンタ110はホストコンピュータ100からの印刷コマンドを受信する。ステップ410において、プリンタ110は異常が発生したデバイスであるピンチモータ121のみの復旧動作を実行する。復旧動作完了後、ステップ411において、プリンタ110は中断していた給紙コマンドを再実行する。ステップ412において、プリンタ110は印刷コマンドを実行する。これ以降はホストコンピュータ100及びプリンタ110は通常処理を行う。
【0037】
以上述べたように、本実施形態のデバイス制御システム及びデバイス制御システムの制御方法は、デバイスに異常が発生した場合、下位機器は異常が発生した旨の信号をホストコンピュータ100に送信し、異常の発生したデバイスを記憶する。ホストコンピュータ100は次に実行すべき通常コマンドを下位機器に送信する。下位機器は異常が発生したデバイスのみの復旧動作を行い、復旧動作完了後に中断していた通常コマンドを再実行し、受信したコマンドを実行する。
【0038】
従って、ホストコンピュータ100の構成をさらに単純化が可能となり、復旧動作にかかる時間をさらに短縮することが可能となるという効果がある。
【符号の説明】
【0039】
100:ホストコンピュータ、
110:プリンタ、
120:デバイス、
121:ピンチモータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常の動作を指示するコマンドである通常コマンドを送信するホストコンピュータと、このホストコンピュータに接続され、前記通常コマンドを受信し、前記通常コマンドにより指定された動作をおこなうデバイスを備える下位機器と、を備え、
前記下位機器は、
異常発生時に異常が発生した前記デバイスを記憶する異常発生デバイス記憶手段と、
異常が発生した旨を示す異常発生信号を前記ホストコンピュータに送信する異常送信手段と、を具備し、
前記ホストコンピュータは、
前記異常発生信号を受信したとき、通常コマンドを前記下位機器に送信する異常時処理手段を具備し、
前記下位機器は、
前記異常発生信号を送信後に前記ホストコンピュータから通常コマンドを受信したとき、異常が発生した前記デバイスの復旧動作を行う復旧動作実行手段と、
前記復旧動作完了後に、前記異常発生信号を送信後に前記ホストコンピュータから受信した通常コマンドを実行する復旧後通常コマンド実行手段と、を具備する
ことを特徴とするデバイス制御システム。
【請求項2】
前記異常時処理手段は、
前記ホストコンピュータが、前記異常発生信号を受信したとき、前記異常発生信号を受信する直前に送信した通常コマンドを前記下位機器に再送信することを特徴とする請求項1記載のデバイス制御システム。
【請求項3】
前記異常時処理手段は、
前記ホストコンピュータが、前記異常発生信号を受信したとき、前記復旧動作完了後に最初に実行する通常コマンドを前記下位機器に送信することを特徴とする請求項1記載のデバイス制御システム。
【請求項4】
前記下位機器がプリンタであることを特徴とする請求項1記載のデバイス制御システム。
【請求項5】
下位機器は、
異常発生時に異常が発生したデバイスを記憶し、
異常が発生した旨を示す異常発生信号を前記ホストコンピュータに送信し、
ホストコンピュータは、
前記異常発生信号を受信したとき、通常コマンドを前記下位機器に送信し、
前記下位機器は、
前記異常発生信号を送信後に前記ホストコンピュータから通常コマンドを受信したとき、異常が発生した前記デバイスの復旧動作を行い、
前記復旧動作完了後に、前記異常発生信号を送信後に前記ホストコンピュータから受信した通常コマンドを実行する
ことを特徴とするデバイス制御システムの制御方法。
【請求項6】
前記ホストコンピュータが、前記異常発生信号を受信したとき、前記異常発生信号を受信する直前に送信した通常コマンドを前記下位機器に再送信することを特徴とする請求項5記載のデバイス制御システムの制御方法。
【請求項7】
前記ホストコンピュータが、前記異常発生信号を受信したとき、前記復旧動作完了後に最初に実行する通常コマンドを前記下位機器に送信することを特徴とする請求項5記載のデバイス制御システムの制御方法。
【請求項8】
前記下位機器がプリンタであることを特徴とする請求項5記載のデバイス制御システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−48658(P2011−48658A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196916(P2009−196916)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】