説明

デュラマイシンをコードする核酸

プレデュラマイシンおよびプロデュラマイシンをコードする核酸が記載され、さらに、プレデュラマイシンおよびプロデュラマイシンを含む組換え核酸および宿主細胞ならびにランチビオティックス、デュラマイシンの製造のような、その使用方法が記載される。本発明はまた、デュラマイシンもしくはそのフラグメントをコードするS.cinnamoneusから単離された核酸配列を提供する。本明細書中で参照される核酸配列は、プレデュラマイシン(配列番号2)、プロデュラマイシン(配列番号4)、プレデュラマイシンリーダー配列(配列番号6)もしくはそれらのフラグメントをコードする配列である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペプチドランチビオティックス(lantibiotics)デュラマイシンをコードする核酸配列に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ランチビオティックスは、希少なアミノ酸、ランチオニンおよび/もしくは3−メチルランチオニンを含む殺菌性ペプチドである。ランチビオティックスは、グラム陽性細菌により生成され、そしてリボソーム合成プレペプチドに由来する。このプレペプチドは、代表的にN末端リーダー配列であって、細胞からの分泌の間もしくは分泌後に切断される配列、およびC末端プロペプチドであって、翻訳後修飾され成熟ランチビオティックスを形成するプロペプチドからなる(Jung(1991)Angewandte Chemie 30(9):1051−1192)。一つのこのような翻訳後修飾は、セリン残基もしくはスレオニン残基の、それぞれデヒドロアラニン(Dha)もしくはデヒドロブチリン(Dhb)を生じる酵素的脱水を含む(Weil,ら(1990)Eur.J.Biochem.194:217−223)。その後、システイン残基のSH基がDha残基もしくはDhb残基の二重結合と反応して、それぞれランチオニンもしくはメチルランチオニンを形成する。
【0003】
ランチビオティックスは構造的かつ機能的に多様な分子である。それらは、34アミノ酸残基長の伸張されたカチオン性ペプチドから、19アミノ酸の正味の負電荷を有する球状分子に及ぶ。それらの構造的特性および機能的特性に基づいて、成熟ペプチドは二つの群、A型およびB型に分けられている(Jung(1991)前出)。A型ランチビオティックスは、伸張された両親媒性のペプチドであり、感受性細菌の膜上に一時的な孔を形成する(Sahl(1991)G.JungおよびH.−G.Sahl(編),Nisin and novel lantibiotics(p.347−358)Escom,Leiden)。B型ランチビオティックスは、Streptomycesにより生成される球状ペプチドである。それらは2100Daより小さい分子量を有し、高い程度のアミノ酸配列相同性を共有し、そしてヘッド−トゥ−テイル縮合から構成される類似の環状構造を有する(Jung(1991),前出)。
【0004】
A型クラスは、それらのペプチド配列に従って、さらに小群に分けられている(SahlおよびBierbaum(1998)Annu.Rev.Microbiol.52:41−79)。小群AIは、最も詳細に特徴づけられたメンバーとして、ニシン、サブチリン、エピデルミンおよびpep5のようなニシン様のランチビオティックスを含む(Allgaier,ら(1986)Eur.J.Biochem.160:9−22;Gross,ら(1968)FEBS Lett 2:61−64;Gross,ら(1971)J Am.Chem.Soc.93:4634−4635;Kaletta,ら(1989)Arch.Microbiol.152:16−19;Weil,ら(1990)Eur.J.Biochem.194:217−223)。小群AIIは、ラクチシン481、SA−FF22、サリバリシンおよびバリアシンからなる(Hynes,ら(1993)Appl.Emviron.Microbiol.59:1969−1971;Piard,ら(1993)J.Biol.Chem.268:16361−16368;Pridmore,ら(1996)Appl.Environ,Microbiol.62:1799−1802;Ross,ら(1993)Appl.Environ.Microbiol.59:2014−2021)。
【0005】
ランチビオティックスの別の特徴的な特性は、プレペプチドリーダー配列であり、これは、sec依存輸送システムにおいて利用される、より一般的なシグナル配列とは無関係である。リーダーペプチドは、修飾酵素および輸送システムならびにプロペプチドとの相互作用を介して、ランチビオティックスの成熟において重要な役割を果たし得る。そのため、個々の特性は、修飾システムの構成要素とそれらが操作する対応するプレペプチドとの間に存在し得る。リーダーペプチド配列に基づいたランチビオティックスの群分けおよび分類は、上記に記載した分類と矛盾しない(SahlおよびBierbaum(1998)前出)。
【0006】
ランチビオティックスの生合成に関連する遺伝子は、オペロン様構造に組織される。小群AIにおける全てのメンバーの生合成遺伝子座は、ランチビオティックスのための構成遺伝子であるlanA;プレプロランチバイオティックのための翻訳後修飾酵素をコードするlanBおよびlanC;プロセシングプロテアーゼをコードするlanP;ランチビオティックスの分泌のためのABC輸送体をコードするlanTを含む。エピデルミンおよびガリデルミンは、さらなる遺伝子lanD(C末端酸化的脱カルボキシル化に関連する)を有する(Kupke,ら(1994)J.Biol.Chem.269:5653−5659;Kupke,ら(1995)J.Biol Chem.270:11282−89)。
【0007】
対照的に、小群AIIランチビオティックスは、単純な生合成遺伝子座を有する。それらは、一つの遺伝子に含まれるlanBおよびlanC;lanM;ならびにlanTに含まれるlanPおよびlanTから構成される(Chen,ら(1999)Appl.Environ.Microbiol.65:1356−1360;Qi,ら(1999)Appl Environ.Microbiol 65:652−658;Rince,ら(1994)Appl.Environ.Microbiol.60:1652−1657)。ランチビオティックス遺伝子座はまた、生成株の自己防衛に関連する一連の免疫系遺伝子を含む(Saris,ら(1996)Antonie van Leewenhoek 69:151−159)。さらに、ランチビオティックス遺伝子の発現は、一般的に単一の転写調節因子(Peschel,ら(1993)Mol.Microbiol.9:31−39;Qi,ら(1999)前出)もしくは二成分シグナル伝達系(de Ruyter,ら(1996)J.Bacteriol.178:3434−3439;Klein,ら(1993)Apple.Environ.Microbiol.59:296−303;Kuipers,ら(1995)J.Biol.Chem.270:27295−27304)のいずれかにより制御される。
【0008】
ランチビオティックスであるデュラマイシンはまた、PA4009としても知られており(図1)、Streptoverticillium cinnamoneum forma azacoluta(ATCC12686;現在はStreptomyces cinnamoneus亜種cinnamoneusと呼ばれる)の培養上清から単離された(Hayashiら,(1990)J.Antibiotics 43:1421;Pridham,ら(1956)Phytopathology 46:575−581;Shotwell,ら(1958)J.Am.Chem.Soc.80:3912;Nakamura,ら(1984)Biochem.23:385)。デュラマイシンは、リシノアラニン、ヘッド−トゥ−テイル架橋および水酸化アスパラギン酸を含む。リシノアラニンは、リシンのε−NH基のデヒドロアラニンとの類似反応の結果として生じる。デュラマイシンの塩化物分泌を上昇させる能力が報告されている(Stone,ら(1984)J.Biol.Chem.259:2701;Cloutier,ら(1987)Pediatr.Pulmonol.1(補遺):112;Cloutier,ら(1988)Pediatr.Pulmonol.2(補遺):99;Cloutier,ら(1989)Pediatr.Pulmonol.4(補遺):116;Cloutier,ら(1990)Am.J.Physiol.259:C450)。貯留される肺粘液の分泌の停止を容易にするのためのデュラマイシンの使用が提供されている(例えば、米国特許第5,849,706号および同第5,716,931号)。さらに、デュラマイシンは、ホスファチジルエタノールアミンへの結合によりB.subtilisの増殖を阻害する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、デュラマイシンをコードするStreptomyces cinnamoneus亜種cinnamoneusの遺伝子座を提供する。遺伝子およびこの遺伝子によりコードされたペプチドの例がまた、提供される。
【0010】
本発明の目的は、デュラマイシンもしくはそのフラグメントをコードするS.cinnamoneusから単離された核酸配列を提供することである。本明細書中で参照される核酸配列は、プレデュラマイシン(配列番号2)、プロデュラマイシン(配列番号4)、プレデュラマイシンリーダー配列(配列番号6)もしくはそれらのフラグメントをコードする配列である。
【0011】
別な方法で記載すれば、本発明は、以下:(a)プレデュラマイシンをコードする配列番号2に記載の核酸;(b)プロデュラマイシンをコードする配列番号4に記載の核酸;(c)上記(a)もしくは(b)の核酸と配列が少なくとも90パーセント、95パーセントもしくは99パーセントまで同一な(または配列番号6のプレデュラマイシンリーダー配列とこのような同一性を有する)核酸であって、そしてプレデュラマイシンもしくはプロデュラマイシンをコードする核酸ならびに/または、例えば、ストリンジェントなハイブダイゼーション条件下、上記(a)もしくは(b)の配列またはそれらの相補体とハイブリダイズする核酸であって、そしてプレデュラマイシンもしくはプロデュラマイシンをコードする核酸;ならびに(d)遺伝子コードの縮重に起因して、上記(a)、(b)もしくは(c)の核酸とは異なる核酸であって、そして上記(a)、(b)もしくは(c)の核酸によってコードされるプレデュラマイシンもしくはプロデュラマイシンをコードする核酸からなる群から選択される、単離された核酸を提供する。
【0012】
本発明の別の目的は、デュラマイシン遺伝子によりコードされたペプチドおよびベクターならびにこれらのペプチドをコードする核酸配列を含む宿主細胞を提供することである。本明細書中で参照されるペプチド配列は、プレデュラマイシン(配列番号3)、プロデュラマイシン(配列番号5)、プレデュラマイシンリーダー(配列番号7)およびそれらの誘導体である。
【0013】
本発明の別の目的は、特許請求されたあらゆる核酸配列の少なくとも一つのフラグメントを含む発現ベクターおよびこのベクターを含む宿主細胞を提供することである。本発明はさらに、上記の所定の核酸によりコードされたペプチドもしくはそのフラグメント(例えば、本明細書中、配列番号5として提供されるペプチド配列)の発現を提供する。このようなペプチドは、公知の技術にしたがって単離および/もしくは精製され得る。
【0014】
本発明の別の目的は、プレデュラマイシンペプチド、プロデュラマイシンペプチドもしくは成熟デュラマイシンペプチドの生成方法を提供することである。この方法は、適切な宿主細胞にプレデュラマイシンもしくはプロデュラマイシンをコードする核酸配列を導入する工程、このようなペプチドを生成するために適切な条件下で前記細胞を培養する工程および前記細胞から生成されたプレデュラマイシン、プロデュラマイシンもしくは成熟デュラマイシンを単離する工程を包含する。好ましくは、宿主細胞は、Bacillus属、Streptomyces属もしくはStreptococcus属由来のようなグラム陽性細菌である。
【0015】
本発明のさらなる目的は、遺伝子工学を介してプレデュラマイシンリーダー配列を他の公知のランチビオティックス配列に融合することにより組換えランチビオティックスを生成する方法を提供することである。
【0016】
本発明の前記および他の目的および局面は、以下に示される本明細書中で詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明は、ここで本明細書中以下に、添付の図面を参照してより完全に記載され、本発明の好ましい実施形態が示される。しかし、本発明は、異なった形態で実施され得、本明細書中に示される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が詳細かつ完全であり、当業者に発明の範囲を完全に伝達するために提供される。
【0018】
本明細書中で開示されるアミノ酸配列は、左から右に、アミノからカルボキシル(carboxy)方向に示される。アミノ基およびカルボキシル基は、配列中には表記されない。ヌクレオチド配列は、本明細書中では、左から右に、5’から3’方向に一本鎖のみが示される。ヌクレオチドおよびアミノ酸は、本明細書中では、米国特許法施行規則1.822および確立された慣例にしたがって、IUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される方法で、もしくは(アミノ酸については)三文字コードにより表される。例えば、Patent In User Manual,99−102(Nov.1990)(U.S.Patent and Trademark Office)参照。
【0019】
用語「相同性」は、本明細書中で使用される場合、相補性の程度に言及する。部分的な相同性もしくは完全な相同性(すなわち、同一)があり得る。同一の配列が標的核酸にハイブリダイズすることを少なくとも部分的に阻害する部分的に相補的な配列は、機能的な用語「実質的に相同」を使用して言及される。完全に相補的な配列の標的配列へのハイブリダイゼーションの阻害は、ハイブリダイゼーションアッセイ(サザンブロットもしくはノザンブロット、液体ハイブリダイゼーションなど)を用いて、低ストリンジェンシーの条件下で調べられ得る。実質的に相同な配列またはハイブリダイゼーションプローブは、低ストリンジェンシーの条件下で、完全に相同な配列の標的配列への結合を拮抗かつ阻害する。これは、低ストリンジェンシーの条件は非特異的な結合を許容するというようなことを意味しない;低ストリンジェンシーの条件は、二つの配列が互いに結合することが特異的な(すなわち、選択的な)相互作用であることを必要とする。非特異的な結合が存在しないことは、一部分の相補性すら欠く(例えば、約30%未満の同一性の)第二の標的配列の使用により試験され得る。非特異的な結合が存在しない場合、プローブは第二の非相補的な標的配列にハイブリダイズしない。
【0020】
用語「ハイブリダイゼーション」は、本明細書中で使用される場合、核酸鎖が塩基対形成を介して相補鎖と結合するあらゆるプロセスを指す。用語「ハイブリダイゼーション複合体」は、本明細書中で使用される場合、相補的なG塩基とC塩基との間およびA塩基とT塩基との間の水素結合形成によって二つの核酸配列の間に形成された複合体を指す;これらの水素結合は、塩基スタッキング相互作用によりさらに安定化され得る。二つの相補的な核酸配列は、アンチパラレル配向で水素結合する。ハイブリダイゼーション複合体は、溶液中(例えば、CtもしくはRt分析)もしくは溶液中に存在する一方の核酸と固体の支持体(例えば、紙、膜、フィルター、チップ、ピンもしくはスライドガラス、または細胞もしくはそれらの核酸が固定されたあらゆる他の適切な基質)に固定されたもう一方の核酸配列との間で形成され得る。
【0021】
本明細書中、「核酸」もしくは「オリゴヌクレオチド」または文法上同意義のものにより、共に共有結合した少なくとも二つのヌクレオチドを意味する。いくつかの場合には、以下に概略を記載するように、核酸アナログが含まれるが、本発明の核酸は、通常ホスホジエステル結合を含む。これらの核酸アナログは例えば、ホスホロアミド結合(Beaucageら,Tetrahedron,49(10):1925(1993)およびその中の引用;Letsinger,J.Org.Chem.,35:3800(1970);Sprinzlら,Eur.J.Biochem.,81:579(1977);Letsingerら,Nucl.Acids Res.,14:3487(1986);Sawaiら,Chem.Lett.,805(1984),Letsingerら,J.Am.Chem.Soc.,110:4470(1988);およびPauwelsら,Chemica Scripta,26:141(1986)))、ホスホロチオエート結合(Magら,Nucleic Acids Res.,19:1437(1991);および米国特許第5,644,048号)、ホスホロジチオエート結合(Briuら,J.Am.Chem.Soc.,111:2321(1989))、O−メチルホスホロアミダイト(O−methylphosphoroamidite)結合(Eckstein,Oligonucleotides and Analoges:A Practical Approach,Oxford University Press参照)、ならびにペプチド核酸骨格および結合(Egholm,J.Am.Chem.Soc.,114:1895(1992);Meierら,Chem.Int.Ed.Engl.,31:1008(1992);Nielsen,Nature,365:566(1993);Carlssonら,Nature,380:207(1996),全て引用に含まれる))を含む代替的な骨格を有し得る。他の核酸アナログとしては、正電荷骨格を有するもの(Denpcyら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92:6097(1995));非イオン骨格を有するもの(米国特許番号第5,386,023号;同第5,637,684号;同第5,602,240号;同第5,216,141号;および同第4,469,863号;Kiedrowshiら,Angew.Chem.Intl.Ed.English,30:423(1991);Letsingerら,J.Am.Chem.Soc.,110:4470(1998)Letsingerら,Nucleoside&Nucleotide,13:1597(1994);第2章および第3章,ASC Symposium Series 580,「Carbohydrate Modifications in Antisense Research」,Y.S.SanghuiおよびP.Dan Cook編;Mesmaekerら,Bioorganic&Medicinal Chem.Lett.,4:395(1994);Jeffsら,J.Biomolecular NMR,34:17(1994);Tetrahedron Lett.,37:743(1996))および非リボース骨格を有するものが挙げられ、米国特許第5,235,033号および米国特許第5,034,506号ならびに第6章および第7章,ASC Symposium Series 580,「Carbohydrate Modifications in Antisense Research」,Y.S.SanghuiおよびP.Dan Cook編において記載される核酸アナログを含む。一つ以上の炭素環式糖を含有する核酸もまた、核酸の定義に含まれる(Jenkinsら,Chem.Soc.Rev.,(1995)pp.169−176参照)。いくつかの核酸アナログは、Rawls,C&E News,June 2,1997,35頁に記載される。リボースホスフェート骨格のこれらの改変は、標識のような付加的部分の付加を容易にするため、もしくは生理条件下でのこのような分子の安定性および半減期を上昇させるためになされ得る。さらに、天然に存在する核酸およびアナログの混合物が作製され得る。あるいは、異なる核酸アナログの混合物、および天然に存在する核酸とアナログの混合物が作製され得る。核酸は、特記された場合は、一本鎖もしくは二本鎖であり得、そうでなければ二本鎖配列と一本鎖配列の両方の部分を含み得る。核酸は、DNA(ゲノムとcDNAの両方)、RNAもしくはハイブリッドであり得、これらの核酸は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドのあらゆる組合わせ、ならびにウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサニン、ヒポキサニン、イソシトシン、イソグアニン等を含む塩基のあらゆる組み合わせを含む。
【0022】
本明細書中で使用される「核酸配列」は、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、もしくはポリヌクレオチド、およびそれらのフラグメント、ならびに一本鎖もしくは二本鎖であり得、かつセンス鎖もしくはアンチセンス鎖を表すゲノムもしくは合成起源のDNAもしくはRNAを言う。「フラグメント」は、60ヌクレオチドよりも長さの大きい核酸配列であり、最も好ましくは、少なくとも100ヌクレオチド長もしくは少なくとも1000ヌクレオチド長、および少なくとも10,000ヌクレオチド長のフラグメントを含む。
【0023】
本明細書中で提供される核酸配列は、表1に要約される。
【0024】
【表1A】

【0025】
【表1B】

本発明のポリヌクレオチドは、本明細書中で開示されるタンパク質および特に本明細書中の表1において開示されかつ表1に記載の化合物をコードするDNAと、相同なタンパク質をコードするポリヌクレオチド、および本質的に同じ生物学的特性を有するポリヌクレオチドを含む。この定義は、その天然アレル配列を含むと解釈される。このようなポリヌクレオチドは、細菌起源、特にグラム陽性細菌起源であることが多い。したがって、本明細書中で開示されるDNA(または以下で議論されるハイブリダイゼーションプローブとして働くフラグメントもしくはその誘導体)にハイブリダイズし、そして本明細書中に記載される生成物の発現をコードするポリヌクレオチドはまた、本発明の一つの局面である。本発明のランチビオティックスの発現をコードする他のポリヌクレオチドが表1のDNAもしくはそのフラグメントとハイブリダイズすることを許容する条件は、公知の技術にしたがって決定され得る。例えば、標準のハイブリダイゼーションアッセイにおける、表1のDNAへのこのような配列のハイブリダイゼーションは、ストリンジェンシーの減少した条件下、中程度のストリンジェンシーの条件下もしくはストリンジェンシーな条件下(例えば、それぞれ37℃で5×Denhardt’s溶液中35%〜40%ホルムアミド、0.5%SDSおよび1×SSPEのにより示される条件;42℃で5×Denhardt’s溶液中40%〜45%ホルムアミド、0.5%SDSおよび1×SSPEのにより示される条件;ならびに42℃で5×Denhardt’s溶液中50%ホルムアミド、0.5%SDSおよび1×SSPEのにより示される条件)でさえ実行され得る。例えば、J.Sambrookら,Molecular Cloning,A Laboratory Manual(第2版、1989)(Cold Spring Harbor Laboratory)参照。通常、本発明のタンパク質をコードしかつ本明細書中の表1のDNA(もしくはその相補鎖)とハイブリダイズする配列は、表1のDNAと少なくとも75%相同、85%相同、または95%以上までも相同である(本明細書中、用語「相同性」は、「配列同一性」もしくは「同一の」と交換可能に使用される)。
【0026】
さらに、本発明のランチビオティックスをコードするポリヌクレオチド、もしくは表1に記載の配列とハイブリダイズするポリヌクレオチドであるが、遺伝子コードの縮重によりコドン配列がそれらと異なるポリヌクレオチドはまた、本発明の一つの局面である。異なる核酸配列が同じタンパク質もしくはペプチドをコードすることを許容する遺伝子コードの縮重は、文献上公知である。例えば、Tooleらに対する米国特許第4,757,006号の表1、カラム2参照。
【0027】
本発明のランチビオティックスをコードするヌクレオチド配列は、適切に選択されたストリンジェンシーな条件下で天然に存在する本発明のタンパク質もしくはペプチドの核酸配列とハイブリダイズすることが可能であることが多いが、本発明のタンパク質もしくはペプチドをコードする核酸配列もしくは実質上異なるコドンの利用を有するその誘導体を生成することは有利であり得る。コドンは、特定の原核細胞宿主もしくは真核細胞宿主において、特定のコドンが宿主により利用される頻度に従ってペプチドが発現する比率を上昇させるために選択され得る。コードされたアミノ酸配列を変更することなく、本発明のタンパク質もしくはペプチドをコードするヌクレオチド配列およびその誘導体を実質的に改変する他の理由としては、天然に存在する配列から生成される転写物よりも所望される特性(例えば、より大きい半減期)を有するRNA転写物を生成することが挙げられる。
【0028】
当該分野において公知のように、ある核酸が公知の配列と配列同一性もしくは配列類似性を有するか否かを同定するために、多数の異なるプログラムが用いられ得る。配列同一性および/もしくは配列類似性は、当該分野において公知の標準的な技術を用いて決定され、これらの技術は、Smith&Waterman,Adv.Appl.Math.2,482(1981)の部分配列相同性アルゴリズム、Needleman&Wunsch,J.Mol.Biol.48,443(1970)の配列相同性アルゴリズム、Pearson&Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85,2444(1988)の類似性の検索法の、コンピュータ化されたこれらのアルゴリズムの実行(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Drive,Madison,WIにおけるGAP,BESTFIT,FASTAおよびTFASTA)、Devereuxら,Nucl.Acid Res.12,387−395(1984)により記載されるBest Fit配列プログラム(好ましくは、デフォルト設定を使用する)もしくは検査が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、以下のパラメータ:ミスマッチペナルティー1;ギャップペナルティー1;ギャップサイズペナルティー0.33;および結合ペナルティー30に基づくFastDBにより、同一性百分が計算される、「Current Methods in Sequence Comparison and Analysis」、Macromolecule Sequencing and Synthesis、Selected Methods and Applications、127−149頁(1988)、Alan R.Liss,INC。
【0029】
有用なアルゴリズムの例は、BLASTアルゴリズムであり、これはAltschulら,J.Mol.Biol.215,403−410,(1990)およびKarlinら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,5873−5787(1993)に記載される。特に有用なBLASTプログラムは、Altschulら,Methods in Enzymology,266,460−480(1996)から得られたWU−BLAST−2プログラムである。WU−BLAST−2は、いくつかのサーチパラメータを用い、そのほとんどはデフォルト値に設定される。調節可能なパラメータは、以下の値に設定される:オーバーラップスパン=1、オーバーラップフラクション=0.125、文字限界(T)=11。HSP SおよびHSP S2パラメータは変動する値であり、特定の配列の組成、および目的の配列が検索される特定のデータベースの組成に依存してプログラム自体によって確立される;しかし、これらの値は、感度を増すために調整され得る。
【0030】
本明細書中で同定されるポリペプチドのコード配列に関して、「核酸配列同一性百分率(%)」は、細胞周期タンパク質のコード配列におけるヌクレオチド残基と同一の候補配列におけるヌクレオチド残基の百分率として定義される。好ましい方法は、デフォルトパラメーター、オーバーラップスパンとオーバーラップフラクションがそれぞれ1と0.125に設定されたWU−BLAST−2のBLASTNモジュールを利用する。
【0031】
アラインメントは、整列される配列におけるギャップの導入を含み得る。さらに、図面の配列によりコードされるタンパク質より多いアミノ酸もしくは少ないアミノ酸のどちらかを含む配列について、一つの実施形態において、配列同一性の百分率がアミノ酸の総数に対する同一のアミノ酸の数に基づいて決定されることが理解される。したがって、例えば、図面に示される配列より短い配列の配列同一性は、以下で議論されるように、一つの実施形態において、より短い配列のアミノ酸数を用いて決定される。同一性百分率の計算において、比重は、挿入、欠損、置換などの配列多様性の種々な出現に割当てられない。
【0032】
本発明はまた、本発明のランチビオティックスをコードするDNA配列、もしくはそのフラグメントの完全に合成化学による生成を含む。生成後、合成配列は、当該分野で周知の試薬を用いて、多くの任意の入手可能な発現ベクターおよび細胞システムに挿入され得る。さらに、合成化学は、本発明のタンパク質もしくはペプチドをコードする配列またはそのあらゆるフラグメントに、変異を導入するために使用され得る。
【0033】
本明細書中の表1において開示されたヌクレオチド配列の情報は、そのフラグメント(好ましくは、少なくとも5、7もしくは10ヌクレオチド長)を含み、ハイブリダイゼーションプローブを作製するために使用され得、このプローブは、本発明のタンパク質の増幅もしくは過剰発現の存在を決定するために本発明のDNAもしくはmRNAに特異的に結合し、本発明のタンパク質の増幅もしくは過剰発現の存在を決定する。
【0034】
クローン遺伝子、組み換えDNA、ベクター、形質転換宿主細胞、遺伝子工学によるタンパク質およびタンパク質フラグメントの生成は、周知である。例えば、Bellらに対する米国特許第4,761,371号の6欄、3行〜9欄、65行;Clarkらに対する米国特許第4,877,729号の4欄、38行〜7欄、6行;Schillingに対する米国特許第4,912,038号の3欄、26行〜14欄、12行;およびWallnerに対する米国特許第4,879,224号の6欄、8行〜8欄、59行参照。(出願人は特に、本明細書中に引用される全ての特許参考文献の開示が、本明細書においてその全体が参考として援用されることを意図する)。
【0035】
ベクターは、複製可能なDNA構築物である。ベクターは、本明細書中では、本発明のタンパク質をコードするDNAの増幅もしくは本発明のタンパク質の発現のどちらかのために使用される。発現ベクターは、複製可能なDNA構築物であり、このベクターにおいて、本発明のタンパク質をコードするDNA配列は、適切な宿主内で本発明のタンパク質の発現に効果を及ぼし得る適切な制御配列に作動可能に連結される。このような制御配列の必要性は、選択された宿主および選択された形質変換方法に依存して変化する。通常、制御配列は、転写プロモーター、転写を制御するための任意のオペレーター配列、適切なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、ならびに転写および翻訳の終結を制御する配列を含む。増幅ベクターは、発現制御ドメインを必要としない。必要とされる全ては、宿主中で複製する能力であり、通常、複製起点、および形質転換体の判断を容易にする選択遺伝子により付与される。
【0036】
ベクターは、プラスミド、ウイルス(例えば、アデノウイルス、サイトメガロウイルス)、ファージ、レトロウイルスおよび組込み可能なDNAフラグメント(すなわち、組換えにより宿主ゲノムに組込み可能なフラグメント)を含む。ベクターは、宿主ゲノムに非依存的に複製および機能し、もしくは、いくつかの場合には、ゲノム自体に組込み得る。発現ベクターは、発現されるべき遺伝子に作動可能に連結され、かつ宿主生物体において作動可能なプロモーターおよびRNA結合部位を含むべきである。
【0037】
DNA領域は、互いに機能的に関係する場合は、作動可能に連結もしくは作動可能に連結される。例えば、プロモーターがその配列の転写を制御する場合、プロモーターはコード配列に作動可能に連結される;リボソーム結合配列が翻訳を許可するように配置される場合、リボソーム結合部位はコード配列に作動可能に連結される。通常、作動可能に連結されるとは、連続することを意味し、そしてリーダー配列の場合は、連続することかつリーディング相にあることを意味する。
【0038】
形質転換される宿主細胞は、本発明のランチビオティックスをコードするDNAを含むベクターを形質転換もしくは形質導入される細胞であり、タンパク質を発現する必要はない。
【0039】
適切な宿主細胞は、原核細胞、酵母細胞、もしくは高等真核生物細胞を含む。原核宿主細胞は、グラム陰性生物もしくはグラム陽性生物、例えばEscherichia coli(E.coli)もしくはBacilliを含む。高等真核細胞は、以下に記載する哺乳動物起源の確立された細胞株を含む。宿主細胞の例として、E.coli W3110(ATCC 27,325)、E.coli B、E.coli X1776(ATCC 31,537)、E.coli 294(ATCC 31,446)が挙げられる。広範な種々の適切な原核細胞および微生物のベクターが利用可能である。E.coliは、pBR322の使用により代表的に形質転換される。Bolivarら,Gene 2,95(1977)参照。組換え微生物発現ベクターにおいて最も一般的に使用されるプロモーターは、β−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)およびラクトースプロモーターシステム(Changら,Nature 275,615(1978);およびGoeddelら,Nature 281,544(1979))、トリプトファン(trp)プロモーターシステム(Goeddelら,Nucleic Acids Res.8,4057(1980)およびEPO App.Publ.No.36,776)ならびにtacプロモーター(H.De Boerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80,21(1983))を含む。プロモーターおよび(原核宿主発現のための)Shine−Dalgarno配列は、本発明のDNAに作動可能に連結され、すなわち、それらはDNAからmRNAへの転写を促進するように配置される。
【0040】
発現ベクターは、宿主生物に認識されるプロモーターを含むべきである。これは、通常、意図された宿主から得られるプロモーターを意味する。組換え微生物発現ベクターにおいて最も一般的に使用されるプロモーターは、β−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)およびラクトースプロモーターシステム(Changら,Nature 275,615(1978);およびGoeddelら,Nature 281,544(1979))、トリプトファン(trp)プロモーターシステム(Goeddelら,Nucleic Acods Res.8,4057(1980)およびEPO App.Publ.No.36,776)ならびにtacプロモーター(H.De Boerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80,21(1983))を含む。これらは一般的に使用されるが、他の微生物プロモーターが適切である。多数の微生物プロモーターのヌクレオチド配列に関する詳細が公開されており、技術者が、プラスミドもしくはウイルスベクターのタンパク質をコードするDNAに、作動可能にこれらを連結することを可能にする(Siebenlistら,Cell 20,267(1980))。プロモーターおよび(原核宿主発現のための)Shine−Dalgarno配列は、所望のタンパク質をコードするDNAに作動可能に連結され、すなわち、それらは、DNAからタンパク質mRNAへの転写を促進するように配置される。
【0041】
酵母培養物のような真核微生物は、適切なタンパク質コードベクターで形質転換され得る。例えば、米国特許第4,745,057号参照。他の多くの株も一般的に利用可能であるが、Saccharomyces cerevisiaeは、下等真核宿主微生物の中で最も一般的に使用される。酵母ベクターは、2ミクロンの酵母プラスミド由来の複製起点もしくは自律的複製配列(ARS)、プロモーター、所望のタンパク質をコードするDNA、ポリアデニル化および転写終結のための配列、ならびに選択遺伝子を含み得る。例示的なプラスミドは、YRp7、(Stinchcombら,Nature 282,39(1979);Kingsmanら,Gene 7,141(1979);Tschemperら,Gene 10,157(1980))である。このプラスミドは、trp1遺伝子を含み、トリプトファン中で生育する能力を欠く変異株酵母(例えば、ATCC識別番号44076もしくはPEP4−1(Jones,Genetics 85,12(1977)))に対する選択マーカーを提供する。酵母宿主細胞ゲノムにおけるtrp1損傷の存在は、次いで、トリプトファン非存在下の生育により、形質転換の検出のための効果的な環境を提供する。
【0042】
酵母ベクターにおける適切な促進配列は、メタロチオネイン、3−ホスホ−グリセレートキナーゼ(Hitzemanら,J.Biol.Chem.255,2073(1980))もしくはエノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−ホスフェートイソメラーゼ、3−ホスホグリセレートムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースホスフェートイソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、およびグルコキナーゼのような他の解糖系酵素(Hessら,J.Adv.Enzyme Reg.7,149(1968);およびHollandら,Biochemistry 17,4900(1978))に対するプロモーターを含む。酵母発現における使用のための適切なベクターおよびプロモーターは、R.Hitzemanら,EPO Publn.No.73,657にさらに記載される。
【0043】
プレデュラマイシン、プロデュラマイシンもしくはデュラマイシンは、全て公知の技術による所望のタンパク質の発現および生成を引き起こすまたは許容する条件下での細胞の培養により、上記のように生成される組換え宿主細胞において生成され得る。
【0044】
プレデュラマイシンおよびプロデュラマイシンは、本明細書中に記載されるように、宿主細胞における形質転換およびインサイチュプロセシング、もしくは後の化学的/合成的改変のどちらかにより、デュラマイシンの生成のための中間体として有用である。
【0045】
本明細書中に記載の方法により生成されるデュラマイシンは、抗生物質としてもしくは嚢胞性線維症、慢性気管支炎、および喘息のような障害を処置するために有用であり、Molinaに対する米国特許第5,849,706号、およびKingに対する米国特許第6,451,365号に記載されるそれらの使用を含むが、限定されず、これらの開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0046】
以下の実施例は、本発明を説明するために示され、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0047】
(実施例1)
(デュラマイシン構造遺伝子の単離)
デュラマイシン生成株Streptomyces cinnamoneus亜種cinnamoneus(ATCC 12686)を酵母抽出麦芽抽出物(YEME)、10%スクロース、0.5%グリシン中で生育させた。周知のセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)法(Keiser,ら(2000)Practical Streptomyces Genetics)を用いてゲノムDNAを単離した。デュラマイシンのプロペプチドアミノ酸配列(配列番号5)は、シナマイシン(配列番号8)、デュラマイシンB(配列番号9)、デュラマイシンC(配列番号10)、およびアンコベニン(配列番号11)のようなStreptomycesにより生成される他のB型ランチビオティックス(図2)と類似する。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマー(表1)を、プレシナマイシンをコードするヌクレオチド配列(GENBANK(登録商標)登録番号X58545;配列番号12;図3)に基づいて設計した。
【0048】
【表2】

S.cinnamoneus ATCC 12686のゲノムDNAを鋳型とするPCR反応において、フォワードプライマーおよびリバースプライマーの9つの全ての組み合わせを使用した。3個の全てのフォワードプライマーは、リバースプライマーMol6と組合わせて使用した場合、一貫して、予測される大きさのPCR産物を増幅した。二つの独立した増幅物を、直接配列決定しデュラマイシン構造遺伝子を含むことを見出した。Mol1/Mol6により開始されるPCR反応からの増幅物を、TA CLONING(登録商標)キット(INVITROGENTM,Carlsbad,CA)を用いてサブクローニングし、その後ALK−PHOS DIRECTTM標識キット(AMERSHAMTM,Piscataway,NJ)を用いてハイブリダイゼーションプローブを作製するために使用した。S.cinnamoneus ATCC 12686ゲノムDNAのサザンブロット分析により、BamHI、KpnIおよびXhoIを含むいくつかの制限酵素消化の各々において、一本のdurAバンドを検出した。その後のゲノムライブラリーのスクリーニングに、この同じプローブを使用した。
【0049】
コスミドライブラリーを、ATCC 12686株から単離したDNAから構築し、デュラマイシンプローブを用いてスクリーニングし、ランチビオティックス生合成オペロンを単離するために、大きな(30キロベースより大きい)フランキングDNAのストレッチを同定した。高分子量のゲノムDNAを、上記CTAB法を用いて単離した。その後、このDNAを、周知の方法を用いてSau3A制限酵素で部分的に消化し、平均の大きさが約40kbのフラグメントプールを得た(Curret Protocols in Molecular Biology,Ausubel,ら(編)John Wiley&Sons)。SuperCos Cosmid Library Kit(STRATAGENE(登録商標),La Jolla,CA)を用いて、コスミドライブラリーを構築した。このライブラリーは、約15,000クローンを含んでいた。10個のランダムに選択したクローンを、制限酵素消化により分析した;全てのクローンは、少なくとも30kbのインサートを含んでいた。上記の非放射活性のdurAプローブを用いるニトロセルロース膜におけるコロニーハイブリダイゼーションにより、4,000クローンをスクリーニングした。4個の陽性クローンを単離した。コスミドクローンにおけるデュラマイシン構造遺伝子の存在を、durA特異的プライマーおよび鋳型としてのコスミドクローンDNAにより生成される増幅物を増幅し、かつ直接スクリーニングすることにより実証した。二つの重複するコスミドクローン、1.1および3.4を、ショットガンシーケンシングのために選択した。
【0050】
TOPO(登録商標)Shotgun Cloning Kit(INVITROGENTM,Carlsbad,CA)を、約1kbのランダムフラグメントを作製するための、噴霧によるコスミドDNAの切断のために使用した。切断されたDNAの末端を、T4 DNAポリメラーゼおよびKlenowにより平滑にし、その後pCR(登録商標)4Blunt−TOPO(登録商標)ベクター(INVITROGENTM,Carlsbad,CA)に連結した。各コスミドに対して300より多いサブクローンを得、各コスミドに対して288クローンを三つの96ディープウェルプレートにピックアップした。EPPENDORF(登録商標)96ウェルプラスミドプレップキット(EPPENDORF(登録商標)AG,Hamburg,Germany)を用いて鋳型DNAを調製するために、各コスミドに対して二つの96ウェルプレートを使用した。ユニバーサルフォワードプライマーおよびユニバーサルリバースプライマーによるABI PRISM(登録商標)3700 DNA Analyzer(APPLIED BIOSYSTEMS(登録商標),Foster City,CA)を用いたハイスループット配列決定に、鋳型を使用した。
【0051】
約46kbの連続するDNA配列を得た。これは、さらなる1.1フランキングDNAの23kbおよび3.4フランキングDNAの6kbを有する二つのコスミドの間の17kbの重複を示した。デュラマイシンをコードする構造遺伝子に加えて、デュラマイシン生合成オペロンのdurM遺伝子、durF遺伝子およびdurR遺伝子に相同な配列は、これらの二つのコスミド中に含まれた。
【0052】
論理的に推理されるアミノ酸配列分析は、プレデュラマイシンが58アミノ酸リーダー配列(配列番号7)および19アミノ酸プロペプチド(配列番号5)を含み、成熟ランチビオティックスの生成のために翻訳後に修飾されることを明らかにした。プレデュラマイシンの論理的に推理されるアミノ酸配列(配列番号3)は、シナマイシンの論理的に推理されるアミノ酸配列(配列番号13)と高い程度の相同性を共有する(図4)。
【0053】
前記の実施例は、本発明の実例であり、その限定として解釈されるべきではない。本発明は、添付の特許請求の範囲に記載され、請求項と同等のものが特許請求の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、デュラマイシンの構造(SahlおよびBierbaum(1998)前出からの改変)を示す。
【図2】図2は、Streptomycesにより生成されるB型ランチビオティックスのプロペプチドアミノ酸配列類似性を示す。
【図3】図3は、シナマイシンをコードする核酸配列(GENBANK(登録商標)登録番号X58545;配列番号12)を示す。デュラマイシン構造遺伝子の増幅に用いられるフォワード(Mol1,3,5)およびリバース(Mol2,4,6)のPCRプライマーの位置が示される。
【図4】図4は、デュラマイシン(配列番号3)とシナマイシン(配列番号13)との間のプレペプチド配列の比較を示す。プロペプチド配列は下線で示される。は、アミノ酸の差異を示す。
【配列表】







【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離された核酸であって、該核酸は、以下:
(a)プレデュラマイシンをコードする配列番号2に記載の核酸;
(b)プロデュラマイシンをコードする配列番号4に記載の核酸;
(c)上記(a)もしくは(b)の核酸と配列が少なくとも95パーセント同一の核酸であって、そしてプレデュラマイシンもしくはプロデュラマイシンをコードする、核酸;
(d)遺伝子コードの縮重のために上記(a)、(b)もしくは(c)の核酸とは異なり、そして上記(a)、(b)もしくは(c)の核酸によりコードされるプレデュラマイシンもしくはプロデュラマイシンをコードする、核酸
からなる群から選択される、核酸。
【請求項2】
前記核酸がDNAである、請求項1に記載の核酸。
【請求項3】
配列番号2に記載の配列を有する、請求項1に記載の核酸。
【請求項4】
配列番号4に記載の配列を有する、請求項1に記載の核酸。
【請求項5】
請求項1に記載の核酸を含み、プロモーターと作動可能に連結した、組換え核酸。
【請求項6】
請求項5に記載の組換え核酸を含むベクター。
【請求項7】
前記ベクターがプラスミドである請求項6に記載のベクター。
【請求項8】
請求項1に記載の異種核酸を含み、そしてコードされたプレデュラマイシンもしくはプロデュラマイシンを発現可能な組換え細胞。
【請求項9】
請求項8に記載の組換え細胞であって、宿主細胞がグラム陽性細菌である、細胞。
【請求項10】
請求項8に記載の組換え細胞であって、該細胞がBacillus属、Streptomyces属およびStreptococcus属からなる群から選択される、細胞。
【請求項11】
プレデュラマイシン、プロデュラマイシンもしくはデュラマイシンを作製する方法であって、該方法は、以下:
コードされたプレデュラマイシンもプロデュラマイシンが発現される条件下で、請求項8に記載の宿主細胞を培養する工程;および
該培養宿主細胞から、プレデュラマイシン、プロデュラマイシンもしくはデュラマイシンを収集する工程
を包含する、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記宿主細胞がグラム陽性細菌である、方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、前記宿主細胞がBacillus属、Streptomyces属およびStreptococcus属からなる群から選択される、方法。
【請求項14】
請求項11に記載の方法であって、前記培養工程が前記宿主細胞によりデュラマイシンが生産される条件下で実行され;かつ前記収集工程が該培養宿主細胞からデュラマイシンを収集する工程を包含する、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−502713(P2006−502713A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−543337(P2004−543337)
【出願日】平成15年9月22日(2003.9.22)
【国際出願番号】PCT/US2003/029852
【国際公開番号】WO2004/033706
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(505132057)モリケム メディシンズ, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】