説明

デングウイルスアッセイ

デングウイルス血清型1〜4の核酸を検出するための核酸アッセイ。1つの局面において、本発明は、試験サンプルがデングウイルスを含むか否かを判定する方法に関する。その方法によると、まず、その試験サンプルから核酸を取得するための工程が存在する。次に、プライマーセットを使用し、取得された核酸を増幅用の鋳型として用いてインビトロ核酸増幅反応を実施するための工程が存在する。その試験サンプルが、デングウイルス血清型1〜4のうちのいずれかの核酸を20コピー/mlもの低濃度であったとしても含む場合、その増幅反応において増幅産物が生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2009年8月31日に出願された米国仮出願第61/238,637号の利益を主張する。上記米国仮出願第61/238,637号の全開示は、参照によって本明細書に援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、分子生物学およびバイオテクノロジーの分野に関する。より詳細には、本発明は、デングウイルスを検出するための核酸増幅に基づいたアッセイに関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
世界中で最も一般的な節足動物媒介性の感染症であるデング熱には、毎年少なくとも5000万人が罹患する(非特許文献1)。デング熱およびデング出血熱を引き起こすのに関与するウイルスの群は、100を超える国において固有であり、DEN−1、DEN−2、DEN−3およびDEN−4と呼ばれる抗原的に関係する4つのウイルス血清型(すなわち、それぞれDengue−1、Dengue−2、Dengue−3およびDengue−4)からなる。血清学的試験ではこれらのウイルスの間に広範な交差反応性が存在するにもかかわらず、ヒトにおいて交差防御免疫は存在しない。流行地域に居住している個体は、生涯に4回も感染を経験し得る(各血清型につき1回ずつ)(非特許文献2)。とりわけ、およそ25億人がデングウイルスに感染するリスクがあり、結果として、毎年500,000人に入院の必要がある(非特許文献1、前出)。
【0004】
デングウイルスは、ヒトに完全に適応していると知られている唯一のアルボウイルスである。主要な媒介動物である蚊のAe.aegyptiは、ヒトを餌にすること、ならびに家屋内および家屋周辺の人工容器に産卵することを好む非常に家庭になじんだ昆虫である。Ae.aegyptiは、しばしば、1回の生殖巣成熟周期(gonotrophic cycle)において1より多い個体を餌とするがゆえに、ウイルスをそれらの個体に伝染させるので、デングウイルスの効果的な伝染性媒介動物である。デングウイルスの第2の媒介動物としては、Ae.albopictusおよびAe.polynesiensisが挙げられる。このウイルスは、感染したメスからその子に垂直伝染し得るが、ほとんどの蚊は、急性感染を起こしている人から血液を摂取すると感染する(非特許文献2、前出)。ヒト集団における流行性のデング熱およびデング出血熱の発生率の上昇は:(1)特に熱帯の発展途上国における、人口増加および都市化の高まり、(2)蚊を効率的に管理できないこと(Ae.aegyptiの地理的分布の広がりを含む)、および(3)世界の人口密集地にデング熱および他の都市の病原体を輸送する手段を提供する飛行機旅行の増加をはじめとした因子に起因している(非特許文献3)。
【0005】
世界の他の地域が、より厳しい影響を受けることもあるが、主要な公衆衛生問題としてのデング熱関連疾患の出現は、アメリカの地域において最も劇的だった。1970年には、DEN−2だけが南北アメリカに存在したが、DEN−3が、コロンビアおよびプエルトリコにおいて局所的に分布した可能性がある。1977年には、DEN−1が持ち込まれ、16年間にわたってその地域全体で大きな流行を引き起こした。DEN−4は、1981年に持ち込まれ、同様の広域流行を引き起こした。また、1981年には、東南アジアからの新種のDEN−2が、南北アメリカ(キューバ)で流行した最初の大きなDHFを引き起こした。DEN−3ウイルスは、最近、16年間存在しなかった南北アメリカに再出現した。実際、デングウイルスを伝染させることができる有能な2種の蚊媒介動物(すなわち、Ae.aegyptiおよびAe.albopictus)が存在する米国本土には、デング熱の大流行の低いが有意なリスクが存在する(非特許文献4)。今日、4つすべての血清型が、デングウイルスが存在する世界の実質的にすべての地域に広く分布している(非特許文献2、前出)。
【0006】
主要な伝染経路は、Ae.aegypti蚊媒介動物から生じるが、デングウイルスは、血液および臓器移植によっても伝染されている(非特許文献1、前出)。例えば、デング熱感染症の伝染は、生体ドナーからの腎臓移植の1例においてドナーからレシピエントに対して報告されている。1994年のプエルトリコで流行していたデング熱において、骨髄移植中の伝染が1例報告された。輸血による伝染の1例では、輸血の3日後に発熱および他の症状を示した香港の患者が関与した。そのドナーは、供与時は無症候性だったが、献血の1日後にデング熱の軽度の症状を示した。その供与の保管サンプルも、RT−PCRによってデングウイルスについて陽性と示された。輸血関連疾病の別の例は、血液を供与した後で急性熱病を発症した無症候性の供血者からのデング熱の伝染を含んだ。遡及的研究から、その供血者からの3つの血液製剤のレシピエントにおいてデング感染が確認された。2人のレシピエントは、毛細管漏出のいくつかのエビデンスとともにデング熱を有したのに対し、血小板レシピエントは、無症候性のセロコンバージョンを有した。すべてが、続発症なしに回復した。その提供からの保存された血清サンプルは、RT−PCRによってDEN−2について陽性であると示された(非特許文献1、前出)。
【0007】
4つすべてのデング血清型を検出したいということについて明確な理由が存在し得るが、核酸レベルにおいてそれらのウイルス標的の関連性が限定的であるために、すべての血清型に対して非常に高感度の単一アッセイの実行は、阻まれている。例えば、非特許文献5および非特許文献6の両方が、DEN−4が残りの3つの血清型から大きく分岐していることを示す系統樹を提示した。
【0008】
他の研究者らが、デングウイルスを検出するための核酸に基づくアッセイを作り出した以前の試みでは、いくつかの成功例があった。例えば、非特許文献7においてUsawattanakulらは、1PFU/mlと等しい感度でウイルスゲノムの3’領域において4つすべてのデング血清型を検出することができる転写に基づく核酸増幅アッセイを記載している(Abstractを参照のこと)。この著者らは、異なる投入レベルで合成された4つのデング血清型の増幅産物の量の段階的な減少を示唆する電気泳動の結果を示している。デング標的のいずれに対しても0.1PFU/mlより少ない増幅産物は、検出されなかった。特に、Usawattanakulらが使用したプライマーおよびプローブの標的相補的配列は、米国特許第6,3336150号に開示されているオリゴヌクレオチド配列と実質的に同一である。
【0009】
増幅の標的としてウイルスゲノムの3’領域を用いて高感度アッセイを作り出すという本発明者らの試みにより、4つの血清型すべてに対する感度が約10倍改善されたアッセイが得られた。しかしながら、このアッセイは、投入標的が非常に低レベルでは、異なる血清型に対して劇的に異なる感度を特徴とした。本発明者らの管理のもとでは、0.001PFU/mlの濃度において100%のDEN−2が検出されたが、DEN−1は、それらの場合の20%でしか検出されなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Teoら、Transfusion Medicine(2009)19:66−77
【非特許文献2】Mackenzieら、Nature Medicine(2004)Supplement 10:S98−S109
【非特許文献3】Gubler、Clin.Microl.Rev.(1998)11:480−496
【非特許文献4】Gublerら、Emerg Infect Dis(1995)1:55−57
【非特許文献5】Forattini、Dengue Bulletin(2003)27:91−94
【非特許文献6】Domingoら、Dengue Bulletin(2004)28:87−95
【非特許文献7】Usawattanakulら、Dengue Bulletin(2002)26:125−130
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、非常に感度が高くかつ4つすべてのデングウイルス血清型に対して同様に感度が高い増幅アッセイが必要とされ続けている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の要旨
1つの局面において、本発明は、試験サンプルがデングウイルスを含むか否かを判定する方法に関する。その方法によると、まず、その試験サンプルから核酸を取得するための工程が存在する。次に、プライマーセットを使用し、取得された核酸を増幅用の鋳型として用いてインビトロ核酸増幅反応を実施するための工程が存在する。その試験サンプルが、デングウイルス血清型1〜4のうちのいずれかの核酸を20コピー/mlもの低濃度であったとしても含む場合、その増幅反応において増幅産物が生成される。そのプライマーセットの第1メンバーの3’末端の塩基配列は、必要に応じて上流のプロモーター配列に連結され、さらに必要に応じて上流のタグ配列に連結される、配列番号1および配列番号10のいずれかである標的ハイブリダイズ配列からなり、ここで、その上流のプロモーター配列も、上流のタグ配列も、その標的ハイブリダイズ配列に連結されていない限り、デングウイルス血清型1〜4のうちのいずれの核酸にもハイブリダイズできず、かつそのインビトロ核酸増幅反応に参加できない。その上流のタグ配列は、標的ハイブリダイズ塩基配列と上流のプロモーター配列の間に位置し得る。また、そのプライマーセットの第2メンバーの3’末端の塩基配列は、配列番号13からなる。最後に、そのインビトロ核酸増幅反応において生成された可能性のある増幅産物のうちのいずれかを検出するための工程が存在する。その増幅産物の検出によって、試験サンプルがデングウイルス血清型1〜4のうちの少なくとも1つを含むと判定される。逆に、増幅産物が検出されないかまたは増幅産物を検出できないことによって、試験サンプルがデングウイルスを含まないと判定される。1つの好ましい実施形態において、取得工程は、試験サンプルからの核酸を固体支持体上に捕捉し、次いで、その固体支持体を単離する工程を含み得る。別の好ましい実施形態において、実施工程におけるインビトロ核酸増幅反応は、等温のインビトロ核酸増幅反応である。別の好ましい実施形態において、検出工程は、ルミノメトリー(luminometry)またはフルオロメトリーである手順によって検出する工程を含み得る。別の好ましい実施形態において、検出工程は、ルミノメトリーによって化学発光シグナルを検出する工程を含み得る。別の好ましい実施形態において、実施工程におけるプライマーセットの第1メンバーの塩基配列は、上流のプロモーター配列に連結された配列番号1の標的ハイブリダイズ配列からなる。この場合、実施工程におけるプライマーセットは、好ましくは、追加のメンバーをさらに含み得、この追加のメンバーの塩基配列は、上流のプロモーター配列に連結された配列番号10の標的ハイブリダイズ配列である。なおもより好ましくは、実施工程におけるプライマーセットは、配列番号16をさらに含み得る。なおもより好ましくは、検出工程は、増幅産物を、検出可能に標識されたハイブリダイゼーションプローブと接触させる工程を含む。さらになおもより好ましくは、その検出可能に標識されたハイブリダイゼーションプローブの塩基配列は、RNA等価塩基およびDNA等価塩基の置換を考慮に入れた配列番号19またはその相補体である。異なる好ましい実施形態によると、実施工程におけるプライマーセットの第1メンバーの塩基配列は、上流のプロモーター配列に連結された配列番号10の標的ハイブリダイズ配列からなる。この場合、実施工程におけるプライマーセットは、さらに配列番号16のオリゴヌクレオチドを含み得る。さらに異なる好ましい実施形態によると、検出工程は、光学シグナルを測定し、次いで、測定された光学シグナルをカットオフ値と比較する工程を含み得る。概して、好ましい試験サンプルとしては、血液、血液製剤および血清のうちのいずれかが挙げられる。
【0013】
別の局面において、本発明は、試験サンプルがデングウイルスを含むか否かを判定するための方法に関する。その方法によると、まず、その試験サンプルから核酸を取得するための工程が存在する。次に、プライマーセットを使用し、取得された核酸を増幅用の鋳型として用いてインビトロ核酸増幅反応を実施するための工程が存在する。その試験サンプルが、デングウイルス血清型1〜4のうちのいずれかの核酸を50コピー/mlもの低濃度であったとしても含む場合、増幅産物が生成される。そのプライマーセットの第1メンバーの3’末端の塩基配列は、必要に応じて上流のプロモーター配列に連結され、さらに必要に応じてタグ配列に連結される、配列番号1および配列番号10のいずれかであり得る標的ハイブリダイズ配列からなる。その上流のタグ配列は、標的ハイブリダイズ塩基配列と上流のプロモーター配列との間に位置し得る。随意の上流のプロモーター配列も、随意のタグ配列も、標的ハイブリダイズ配列に連結されていない限り、デングウイルス血清型1〜4のうちのいずれの核酸にもハイブリダイズできないことにより、そのインビトロ核酸増幅反応に参加できない。そのプライマーセットの第2メンバーの3’末端の塩基配列は、RNA等価塩基およびDNA等価塩基の置換を考慮に入れた配列番号19からなる。最後に、そのインビトロ核酸増幅反応において生成された可能性のある増幅産物のうちのいずれかを検出するための工程が存在する。その増幅産物の検出によって、試験サンプルがデングウイルス血清型1〜4のうちの少なくとも1つを含むと判定される。逆に、増幅産物が検出されないかまたは増幅産物を検出できないことによって、試験サンプルがデングウイルスを含まないと判定される。1つの好ましい実施形態において、そのプライマーセットの第1メンバーの塩基配列は、必要に応じて上流のプロモーター配列に連結され、さらにその標的ハイブリダイズ配列と上流のプロモーター配列との間のタグ配列に必要に応じて連結される、配列番号1の標的ハイブリダイズ配列からなる。そのような場合、そのプライマーセットの第1メンバーの塩基配列は、上流のプロモーター配列に連結され、さらにタグ配列に連結された、配列番号1の標的ハイブリダイズ配列からなり得、ここで、そのタグ配列は、標的ハイブリダイズ配列と上流のプロモーター配列との間に位置する。より好ましくは、そのプライマーセットは、インビトロ核酸増幅反応に参加するプライマーセットの第2メンバーの伸長産物中に含まれるタグ配列の相補体にハイブリダイズするタグ化プロモータープライマーをさらに含む。あるいは、そのプライマーセットの第1メンバーの塩基配列が、必要に応じて上流のプロモーター配列に連結され、さらに標的ハイブリダイズ配列と上流のプロモーター配列との間のタグ配列に必要に応じて連結される、配列番号1の標的ハイブリダイズ配列からなるとき、そのインビトロ核酸増幅反応は等温核酸増幅反応であることが好ましい。異なる好ましい実施形態において、インビトロ核酸増幅反応は、等温核酸増幅反応である。なおも異なる好ましい実施形態において、取得工程は、試験サンプルからの核酸を固体支持体上に捕捉し、次いで、その固体支持体を洗浄することにより、その上に捕捉されていない材料を除去する工程を含む。さらになおも異なる好ましい実施形態において、検出工程は、増幅産物を、検出可能に標識されたハイブリダイゼーションプローブと接触させる工程を含み得る。特定の場合、その検出可能に標識されたハイブリダイゼーションプローブは、配列番号1の標的ハイブリダイズ配列と相補的である。
【0014】
別の局面において、本発明は、核酸増幅反応においてデングウイルス血清型1〜4の核酸を増幅するための組成物に関する。その発明された組成物は、少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドを含む。その少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの3’末端の塩基配列は、必要に応じて上流のプロモーター配列に連結され、さらに必要に応じて上流のタグ配列に連結される、配列番号1および配列番号10のいずれかであり得る標的ハイブリダイズ配列からなる。その上流のタグ配列は、標的ハイブリダイズ塩基配列と上流のプロモーター配列との間に位置し得る。その随意の上流のプロモーター配列も、随意の上流のタグ配列も、その標的ハイブリダイズ配列に連結されていない限り、いずれのデングウイルス核酸にもハイブリダイズできず、かつ核酸増幅反応に参加できない。また、少なくとも1つの第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドが存在する。その少なくとも1つの第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドのうちの1つの3’末端の塩基配列は、配列番号13からなる。とりわけ、発明された組成物は、その核酸増幅反応の開始時に反応容積100μlあたり10コピーもの少量であったとしても存在する場合にデングウイルス血清型1〜4の核酸を検出可能に増幅する。1つの好ましい実施形態によると、その少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドは、2つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドを含む。その2つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドのうちの一方の塩基配列は、必要に応じて上流のプロモーター配列に連結される配列番号1である。2つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドのうちの他方の塩基配列は、必要に応じて上流のプロモーター配列に連結される配列番号10である。より好ましくは、2つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの各々は、上流のプロモーター配列を含む。なおもより好ましくは、少なくとも1つの第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドは、追加の第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドをさらに含む。この追加の第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号16からなる。第2の好ましい実施形態によると、少なくとも1つの第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドは、追加の第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドをさらに含む。その追加の第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号16からなる。
【0015】
別の局面において、本発明は、核酸増幅反応においてデングウイルス血清型1〜4の各々の核酸を検出する際に使用するためのキットに関する。そのキットは、1つ以上の(one of more)容器のパッケージングされた組み合わせにおいて、2つの鍵となる構成要素を備える。第1に、少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドが存在する。その少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの3’末端の塩基配列は、必要に応じて上流のプロモーター配列に連結され、さらに必要に応じて上流のタグ配列に連結される、配列番号1および配列番号10のいずれかであり得る標的ハイブリダイズ塩基配列からなる。その上流のタグ配列は、標的ハイブリダイズ塩基配列と上流のプロモーター配列との間に位置し得る。その上流のプロモーター配列も、タグ配列も、その標的ハイブリダイズ塩基配列に連結されていない限り、いずれのデングウイルス核酸にもハイブリダイズせず、かつ核酸増幅反応に参加しない。第2に、第2のオリゴヌクレオチドが存在し、このオリゴヌクレオチドの3’末端の塩基配列は、RNA等価塩基およびDNA等価塩基の置換を考慮に入れた配列番号19からなる。1つの好ましい実施形態において、その少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの塩基配列は、上流のプロモーター配列と上流のタグ配列の両方に連結された配列番号1からなる。この場合、第2のオリゴヌクレオチドは、DNA骨格を含むプライミングオリゴヌクレオチドである。より好ましくは、そのキットは、上流のプロモーター配列に連結されたタグ配列からなるタグ化プロモーターオリゴヌクレオチドをさらに備える。異なる好ましい実施形態において、そのキットは、第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドをさらに備える。その第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号13である。その第2のオリゴヌクレオチドは、この実施形態においてハイブリダイゼーション検出プローブである。さらに、その少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドおよび第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドは、核酸増幅反応において組み合わされるとき、その核酸増幅反応の開始時に反応容積100μlあたり10コピーもの少量であったとしても存在する場合にデングウイルス血清型1〜4の核酸を検出可能に増幅する。より好ましくは、そのキットは、追加の第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドをさらに備える。この追加の第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号16からなる。異なる好ましい実施形態において、その少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドは、2つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドを含む。その2つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドのうちの一方の塩基配列は、必要に応じて上流のプロモーター配列に連結される配列番号1である。その2つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドのうちの他方の塩基配列は、必要に応じて上流のプロモーター配列に連結される配列番号10である。より好ましくは、その2つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの各々は、上流のプロモーター配列を含む。なおもより好ましくは、そのキットは、塩基配列が配列番号13からなる第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドをさらに備える。また、追加の第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドが存在し、そのオリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号16からなる。ここで、配列番号19の塩基配列を有する第2のオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション検出プローブである。少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの塩基配列が、上流のプロモーター配列とタグ配列の両方に連結された配列番号1からなり、第2のオリゴヌクレオチドが、DNA骨格を含むプライミングオリゴヌクレオチドである、他の好ましい実施形態によると、そのキットは、プローブオリゴヌクレオチドをさらに備える。例えば、そのプローブオリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号25であり得る。なおも異なる好ましい実施形態において、そのキットは、第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドをさらに備え、ここで、その第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号13からなり、その第2のオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション検出プローブである。
【0016】
別の局面において、本発明は、核酸増幅反応においてデングウイルス血清型1〜4の各々の核酸を検出するためのキットに関する。そのキットは、2つの鍵となる構成要素のパッケージングされた組み合わせを備える。第1に、最大73塩基長の少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドが存在する。その少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの3’末端の塩基配列は、必要に応じて上流のプロモーター配列に連結され、さらに必要に応じて上流のタグ配列に連結される、配列番号1、配列番号10および配列番号42〜47のうちのいずれかによって与えられる標的ハイブリダイズ塩基配列からなる。その上流のタグ配列は、その少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの標的ハイブリダイズ塩基配列と上流のプロモーター配列との間に位置し得る。その上流のプロモーター配列も、タグ配列も、その標的ハイブリダイズ塩基配列に連結されていない限り、いずれのデングウイルス核酸にもハイブリダイズできず、かつ核酸増幅反応に参加できない。第2に、鋳型として配列番号36〜39のいずれかを用いたときの少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの伸長産物にハイブリダイズする少なくとも1つの第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドが存在する。概して、第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドおよび第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドは、組み合わされると、その核酸増幅反応の開始時に反応容積100μlあたり10コピーもの少量であったとしても存在する場合にデングウイルス血清型1〜4の核酸を検出可能に増幅することができる。好ましい実施形態において、その少なくとも1つの第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドの塩基配列は、RNA等価塩基およびDNA等価塩基の置換を考慮に入れた配列番号19である。異なる好ましい実施形態において、その少なくとも1つの第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号13である。さらに異なる好ましい実施形態において、その少なくとも1つの第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号16である。さらになおも異なる好ましい実施形態において、その少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの標的ハイブリダイズ塩基配列の10位は、イノシンによって占められている。
【0017】
別の局面において、本発明は、核酸増幅反応においてデングウイルス血清型3の核酸を検出するためのキットに関する。そのキットは、2つの鍵となる構成要素のパッケージングされた組み合わせを備える。第1に、最大73塩基長の少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドが存在する。その少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの3’末端の塩基配列は、必要に応じて上流のプロモーター配列に連結され、さらに必要に応じて上流のタグ配列に連結される、配列番号48〜55のうちのいずれかによって与えられる標的ハイブリダイズ塩基配列からなる。その上流のタグ配列は、その少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの標的ハイブリダイズ塩基配列と上流のプロモーター配列との間に位置し得る。その上流のプロモーター配列も、タグ配列も、その標的ハイブリダイズ塩基配列に連結されていない限り、いずれのデングウイルス核酸にもハイブリダイズできず、かつ核酸増幅反応に参加できない。第2に、鋳型として配列番号36〜39のいずれかを用いたときのその少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの伸長産物にハイブリダイズする少なくとも1つの第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドが存在する。概して、第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドおよび第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドは、組み合わされると、その核酸増幅反応の開始時に反応容積100μlあたり10コピーもの少量であったとしても存在する場合にデングウイルス血清型1〜4の核酸を検出可能に増幅することができる。好ましい実施形態において、その少なくとも1つの第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドの塩基配列は、RNA等価塩基およびDNA等価塩基の置換を考慮に入れた配列番号19である。異なる好ましい実施形態において、その少なくとも1つの第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号13である。さらに異なる好ましい実施形態において、その少なくとも1つの第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号16である。さらになおも異なる好ましい実施形態において、その少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの標的ハイブリダイズ塩基配列の10位は、イノシンによって占められている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1A〜1Cは、一連のタグ化プロモーターオリゴヌクレオチド(例えば、プロモーター−プライマー)、プライミングオリゴヌクレオチド(例えば、プライマー)およびプローブの配置が描かれている模式図である。水平線は、オリゴヌクレオチドの標的ハイブリダイズ配列を示している。斜線によって描かれているオリゴヌクレオチドの領域は、ハイブリダイズ条件(例えば、標的捕捉条件)下において標的核酸に安定してハイブリダイズしない、タグ配列(白四角として示されている)およびプロモーター配列を表している。様々な核酸配列またはそれらの一部の識別が示されている。図1Aは、実施例1〜2において使用されたオリゴヌクレオチドの配置を図示している。図1Bは、実施例3において使用されたオリゴヌクレオチドの配置を図示している。図1Cは、実施例4において使用されたオリゴヌクレオチドの配置を図示している。
【図2】図2A〜2Dは、PFU/ml(プラーク形成単位/ml)として測定されたデングウイルスサンプル濃度に応じた%反応性を表している一連の棒グラフである。発明された5’領域アッセイを用いて得られた結果が、白棒を用いて示されている。比較の3’領域アッセイを用いて得られた結果が、点描された棒を用いて示されている。図2Aは、デングウイルス血清型1に対する結果を示している。図2Bは、デングウイルス血清型2に対する結果を示している。図2Cは、デングウイルス血清型3に対する結果を示している。図2Dは、デングウイルス血清型4に対する結果を示している。
【図3】図3A〜3Dは、PFU/ml(プラーク形成単位/ml)として測定されたデングウイルスサンプル濃度に応じたシグナル・カットオフ(S/CO)値を表している一連の棒グラフである。発明された5’領域アッセイを用いて得られた結果が、白棒を用いて示されている。比較の3’領域アッセイを用いて得られた結果が、点描された棒を用いて示されている。図2Aは、デングウイルス血清型1に対する結果を示している。図2Bは、デングウイルス血清型2に対する結果を示している。図2Cは、デングウイルス血清型3に対する結果を示している。図2Dは、デングウイルス血清型4に対する結果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
定義
以下の用語は、反対のことが明確に述べられない限り、以下の意味を有する。用語「a」または「an」の存在は、その実体の1つ以上のことを指すと注意されるべきである。例えば、「核酸(a nucleic acid)」は、1つ以上の核酸を表していると理解される。よって、用語「a」(または「an」)、「1つ以上」および「少なくとも1つ」は、本明細書中で交換可能に使用することができる。
【0020】
核酸
用語「核酸」は、単数の「核酸」ならびに複数の「核酸」を包含すると意図されており、共に共有結合された2つ以上のヌクレオチド、ヌクレオシドまたは核酸塩基(例えば、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド)の任意の鎖のことを指す。核酸としては、ウイルスゲノムもしくはその一部、DNAもしくはRNA、または合成DNAもしくは合成RNAが挙げられるが、これらに限定されない。核酸は、二本鎖または一本鎖の形態で提供され得る。核酸は、改変された塩基を含むことにより、その核酸の機能または挙動が変更され得る(例えば、その核酸にさらなるヌクレオチドが付加されるのを阻止する3’末端ジデオキシヌクレオチドの付加)。本明細書中で使用されるとき、核酸の「配列」とは、その核酸を構成する塩基の配列のことを指す。用語「ポリヌクレオチド」は、核酸鎖を表すために本明細書中で使用され得る。本願を通して、核酸は、5’末端および3’末端を有すると明示される。
【0021】
「ヌクレオチド」は、リン酸基、5−炭素糖および窒素塩基からなる核酸のサブユニットである。RNAに見られる5−炭素糖は、リボースである。DNAでは、5−炭素糖は、2’−デオキシリボースである。この用語には、そのようなサブユニットのアナログ(例えば、リボースの2’位のメトキシ基(2’−O−Me))も含まれる。
【0022】
「非ヌクレオチド単位」は、ポリマーのハイブリダイゼーションに有意に関与しない単位である。そのような単位は、好ましくは、例えば、ヌクレオチドとのいずれの有意な水素結合にも関与せず、好ましくは、5種のヌクレオチド塩基またはそれらのアナログのうちの1つを構成要素として有する単位を除外し得る。
【0023】
標的核酸/標的配列
「標的核酸」は、増幅される「標的配列」を含む核酸サンプル中に存在する核酸である。標的核酸は、本明細書中に記載されるようなDNAまたはRNAであり得、一本鎖または二本鎖であり得る。その標的核酸は、増幅されないかもしれない標的配列以外の他の配列を含み得る。代表的な標的核酸としては、ウイルスゲノムが挙げられる。
【0024】
標的核酸は、行われる増幅アッセイの目的に基づいて、任意の数の起源から単離され得る。標的核酸の起源としては、臨床検体(例えば、血液、血液製剤(例えば、血清または血小板)、尿、唾液、便、精液または髄液)、環境サンプル(例えば、水または土壌サンプル)、食品サンプル、飲料、産業サンプル(例えば、製品およびプロセス材料(水を含む))、cDNAライブラリー、または全細胞性RNAが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
「単離される」とは、標的核酸を含むサンプルがその天然環境から採取されることを意味する。しかしながら、その用語は、いずれの特定の精製の程度も含意しない。必要であれば、本発明の標的核酸は、本発明の様々なオリゴヌクレオチドとの相互作用のために利用可能にされる。これには、例えば、細胞またはウイルス粒子から標的核酸を放出させる細胞溶解または細胞透過処理が含まれ得、次いでそれには、1つ以上の精製工程(例えば、一連の単離工程および洗浄工程)が続くことがある。有用な手法は、Clarkらによる“Method for Extracting Nucleic Acids from a Wide Range of Organisms”米国特許第5,786,208号;およびHoganによる“Polynucleotide Matrix−Based Method of Identifying Microorganisms”米国特許第6,821,770号に記載されている。これは、サンプル中に放出されるサンプル起源または細胞材料が増幅反応を干渉し得る場合、特に重要であり得る。増幅のために様々な起源から標的核酸を調製する方法は、当業者に周知である。本発明の標的核酸は、本明細書中に記載される増幅反応の前にある程度まで精製され得るが、他の場合では、サンプルは、いかなるさらなる操作なしに増幅反応に加えられる。
【0026】
用語「標的配列」とは、増幅される標的核酸の特定のヌクレオチド配列のことを指す。その「標的配列」には、本発明のプロセス中にオリゴヌクレオチド(例えば、タグ化オリゴヌクレオチド、プライミングオリゴヌクレオチドおよび/またはプロモーターオリゴヌクレオチド)と複合体化する複合体化配列が含まれる。標的核酸が、初めから一本鎖である場合、用語「標的配列」は、その標的核酸に存在する「標的配列」と相補的である配列のことも指し得る。「標的核酸」が、初めから二本鎖である場合、用語「標的配列」は、センス(+)鎖とアンチセンス(−)鎖の両方のことを指す。最小の標的配列は、タグ化オリゴヌクレオチドの標的ハイブリダイズ配列にハイブリダイズする領域、プライミングオリゴヌクレオチド(例えば、プライマー)またはプロモーターオリゴヌクレオチド(例えば、タグ化プロモーター−プライマー)のハイブリダイズ領域の相補体にハイブリダイズする領域、および検出のために使用される領域(例えば、本明細書中の別の箇所で詳細に記載されるような検出プローブにハイブリダイズする領域またはその相補体)を含む。検出プローブとハイブリダイズする領域は、プライミングオリゴヌクレオチド(またはその相補体)とハイブリダイズする領域またはプロモーターオリゴヌクレオチド(またはその相補体)のハイブリダイズ領域と重複し得るかまたはそれらの中に含まれ得る。上記の最小必要要件に加えて、標的配列の最適な長さは、いくつかの考慮すべきこと、例えば、二次構造の量、またはその配列内の自己ハイブリダイズ領域に依存する。その最適な長さの決定は、通例の最適化方法を用いて当業者によって容易に成し遂げられる。最適な長さまたは好ましい長さは、種々の条件下において変動することがあり、それは、本明細書中に記載される方法に従って当業者によって容易に試験され得る。用語「アンプリコン」とは、標的配列内に含まれる配列と実質的に相補的であるかまたは同一である、増幅手順中に生成される核酸分子のことを指す。用語「増幅産物」とは、アンプリコン、または増幅反応を示唆するいくつかの他の生成物のことを指す。
【0027】
オリゴヌクレオチドと関連するとき、オリゴヌクレオチドの「標的ハイブリダイズ」配列とは、相補的な塩基対形成によって標的核酸とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドの塩基の一部または配列のことを指す。
【0028】
オリゴヌクレオチド
本明細書中で使用されるとき、用語「オリゴヌクレオチド」または「オリゴ」または「オリゴマー」は、単数の「オリゴヌクレオチド」ならびに複数の「オリゴヌクレオチド」を包含すると意図され、本発明の増幅方法ならびにその後の検出方法において試薬として使用されるヌクレオチド、ヌクレオシド、核酸塩基または関連化合物のうちの2つ以上の任意のポリマーのことを指す。そのオリゴヌクレオチドは、DNAおよび/またはRNAおよび/またはそれらのアナログであり得る。オリゴヌクレオチドという用語は、その試薬に対する任意の特定の機能のことを表さず、むしろ、本明細書中に記載されるそのような試薬のすべてを網羅するために包括的に使用される。オリゴヌクレオチドは、様々な異なる機能を果たし得る。例えば、オリゴヌクレオチドは、相補鎖にハイブリダイズすることができ、さらに核酸ポリメラーゼの存在下において伸長されることができる場合、プライマーとして機能し得る。オリゴヌクレオチドは、RNAポリメラーゼによって認識される配列を含み、転写を可能にする場合、プロモーターを提供し得、また、オリゴヌクレオチドは、適切に配置されている場合および/または改変されている場合、ハイブリダイゼーションを妨げるかまたはプライマー伸長を妨害するように機能し得る。本発明の特定のオリゴヌクレオチドは、以下で詳細に記載される。本明細書中で使用されるとき、オリゴヌクレオチドは、増幅反応の際またはその増幅反応の増幅産物を検出する際のその特定の機能によってのみ限定される、実質的に任意の長さであり得る。
【0029】
規定される配列および化学構造のオリゴヌクレオチドは、当業者に公知の手法によって(例えば、化学的合成または生化学的合成によって、および組換え核酸分子(例えば、細菌ベクターまたはウイルスベクター)からのインビトロ発現またはインビボ発現によって)生成され得る。本開示によって意図されるとき、オリゴヌクレオチドは、野生型染色体DNAまたはそのインビボ転写産物だけからなるものではない。
【0030】
オリゴヌクレオチドは、所与の改変が、所与のオリゴヌクレオチドの所望の機能と適合性である限り、任意の方法で改変され得る。当業者は、所与の改変が、本発明の任意の所与のオリゴヌクレオチドに適しているかまたはそれにとって望ましいかを容易に判定することができる。改変としては、塩基の改変、糖の改変または骨格の改変が挙げられる。塩基の改変としては、アデニン、シチジン、グアノシン、チミンおよびウラシルに加えて以下の塩基の使用が挙げられるが、これらに限定されない:C−5プロピン、2−アミノアデニン、5−メチルシチジンおよびイノシン。ヌクレオシドサブユニットの糖基は、リボース、デオキシリボースおよびそれらのアナログであり得、それらには、例えば、リボフラノシル部分に対する2’−O−メチル(2’−O−ME)置換を有するリボヌクレオシドが含まれる(Beckerら、“Method for Amplifying Target Nucleic Acids Using Modified Primers”米国特許第6,130,038号を参照のこと)。他の糖の改変としては、2’−アミノ、2’−フルオロ、(L)−アルファ−トレオフラノシルおよびペントフラノシル(pentopuranosyl)改変が挙げられるが、これらに限定されない。ヌクレオシドサブユニットは、ホスホジエステル結合などの結合、改変された結合、または相補的な標的核酸配列へのオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを妨げない非ヌクレオチド部分によって連結され得る。改変された結合には、標準的なホスホジエステル結合が異なる結合(例えば、ホスホロチオエート結合またはメチルホスホネート結合)で置き換えられた結合が含まれる。核酸塩基のサブユニットは、例えば、DNAの天然のデオキシリボースホスフェート骨格を偽ペプチド骨格(例えば、カルボキシメチルリンカーを用いて核酸塩基のサブユニットを中心の第二級アミンに結合する2−アミノエチルグリシン骨格)と置き換えることによって、連結され得る。とりわけ、偽ペプチド骨格を有するDNAアナログは、通常、「ペプチド核酸」または「PNA」と称され、Nielsenら、“Peptide Nucleic Acids”米国特許第5,539,082号に開示されている。他の結合の改変としては、モルホリノ結合が挙げられるが、これに限定されない。
【0031】
本発明によって企図されるオリゴヌクレオチドまたはオリゴマーの非限定的な例としては、二環式および三環式のヌクレオシドアナログおよびヌクレオチドアナログを含む核酸アナログ(LNA)が挙げられる。改変されたオリゴヌクレオチドが、意図される機能(例えば、ハイブリダイゼーション条件下もしくは増幅条件下において標的核酸にハイブリダイズすること、またはDNAポリメラーゼもしくはRNAポリメラーゼと相互作用することによって伸長もしくは転写を開始すること)を発揮し得るならば、任意の核酸アナログが本発明によって企図される。検出プローブの場合、改変されたオリゴヌクレオチドは、本明細書中に記載される条件などのハイブリダイゼーション条件下において標的核酸に優先的にハイブリダイズすることもできなければならない。
【0032】
本発明のためのオリゴヌクレオチドの設計および配列は、以下に記載されるようなそれらの機能に左右されるが、一般に、いくつかの可変事項が考慮されなければならない。最も決定的なものとしては:長さ、融解温度(Tm)、特異性、その系における他のオリゴヌクレオチドとの相補性、G/C含量、ポリピリミジン(T、C)またはポリプリン(A、G)が続いている部分、および3’末端配列である。これらおよび他の可変事項についての制御は、オリゴヌクレオチド設計の標準的かつ周知の局面である。
【0033】
本開示において使用されるとき、特定の配列の群「から選択される配列『を含む』、『からなる』または『から本質的になる』核酸配列を有するオリゴヌクレオチド」という句は、そのオリゴヌクレオチドが、基本的かつ新規の特徴として、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下においてその群の列挙される核酸配列のうちの1つの正確な相補体を有する核酸に安定してハイブリダイズすることができることを意味する。正確な相補体には、対応するDNA配列またはRNA配列が含まれる。
【0034】
核酸配列「に実質的に対応するオリゴヌクレオチド」という句は、オリゴヌクレオチドと呼ばれているものが参照核酸配列と十分に似ていて、そのオリゴヌクレオチドが、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下において同じ標的核酸配列とハイブリダイズし得るという点において参照核酸配列と類似のハイブリダイゼーション特性を有することを意味する。
【0035】
当業者は、本発明の「実質的に対応する」オリゴヌクレオチドが、配列と呼ばれるものによって異なり得、なおも同じ標的核酸配列とハイブリダイズし得ることを理解するだろう。この核酸からの変化は、その配列内の同一の塩基のパーセンテージ、またはプローブもしくはプライマーとその標的配列との間で完璧に相補的な塩基のパーセンテージに関して述べられ得る。したがって、本発明のオリゴヌクレオチドは、塩基の同一性または相補性のこれらのパーセンテージが100%〜約80%である場合、参照核酸配列と実質的に対応する。好ましい実施形態において、そのパーセンテージは、100%〜約85%である。より好ましい実施形態において、このパーセンテージは、100%〜約90%であり得;他の好ましい実施形態において、このパーセンテージは、100%〜約95%である。当業者は、許容できないレベルの非特異的なハイブリダイゼーションを引き起こさずに特定の標的配列へのハイブリダイゼーションを可能にする様々なパーセンテージの相補性において必要とされ得るハイブリダイゼーション条件に対する様々な改変を理解し得る。
【0036】
タグ化オリゴヌクレオチド/異種(Heterologous)タグ配列
本明細書中で使用される「タグ化オリゴヌクレオチド」とは、少なくとも第1領域および第2領域を含むオリゴヌクレオチドのことを指し、ここで、その第1領域は、目的の標的核酸配列にハイブリダイズする「標的ハイブリダイズ配列」を含み、第2の領域は、標的ハイブリダイズ配列に対して5’に位置し、標的核酸配列を含む標的核酸に安定してハイブリダイズしないかまたは結合しない、「タグ配列」を含む。標的核酸配列への標的ハイブリダイズ配列のハイブリダイゼーションは、「タグ化標的核酸配列」を生成する。標的ハイブリダイズ配列の構成要素に対する特徴および設計について考慮すべきことは、プライミングオリゴヌクレオチドに対するものと同じであり得る。上流のタグ配列が、すべての増幅手法にとって必須であるとは限らないので、そのタグ配列は、多くの用途において随意と考えられる。
【0037】
「タグ配列」または「異種タグ配列」は、目的の標的核酸配列に安定してハイブリダイズせず、それによって、下流の標的ハイブリダイズ配列の非存在下において検出可能な増幅に関与しないならば、本質的に任意の異種配列であってよい。そのタグ配列は、好ましくは、試験される生物のゲノム由来の任意の配列、またはより詳細には、反応条件下における任意の標的核酸に安定してハイブリダイズしない。タグ化オリゴヌクレオチド内に存在するタグ配列は、好ましくは、標的ハイブリダイズ配列がその標的配列にハイブリダイズする能力を実質的に損なわないかまたは干渉しないように、設計される。さらに、いったん、タグ配列の相補体が最初のDNAプライマー伸長産物に組み込まれると、タグ特異的プライミングオリゴヌクレオチドを用いることにより、本明細書中に記載されるようなその後の増幅の回に参加することができるように、そのタグ配列は、十分な長さおよび組成であり得る。本発明のタグ配列は、代表的には、少なくとも10ヌクレオチド長であり、15、20、25、30、35、40、50またはそれ以上のヌクレオチド長まで伸長してもよい。当業者は、本発明において使用するためのタグ配列およびタグ化オリゴヌクレオチドの設計が、本明細書中に記載される目的および利点をなおも達成しつつ、いくつかの適当な任意のストラテジーに従うことができることを認識するだろう。
【0038】
ある特定の実施形態において、タグ化オリゴヌクレオチドは、タグ配列および標的ハイブリダイズ配列を含む「タグ化プライミングオリゴヌクレオチド」である。他の実施形態において、タグ化オリゴヌクレオチドは、3’標的ハイブリダイズ配列、標的ハイブリダイズ配列の上流に連結されたタグ配列、およびタグ配列に対して5’に連結され、そこからの転写の開始にとって効果的なプロモーター配列を含む「タグ化プロモーターオリゴヌクレオチド」である。鋳型依存的様式においてDNAポリメラーゼ(例えば、逆転写酵素)によって伸長され得る3’末端を有するタグ化プロモーターオリゴヌクレオチドは、「タグ化プロモーター−プライマー」と称されることがある。
【0039】
不活性化
用語「不活性化」とは、タグ化異種オリゴヌクレオチドが、増幅条件下において標的核酸配列に安定して結合しないように変更されることを意味する。ハイブリダイズされないタグ化オリゴヌクレオチドの場合、用語「不活性化」とは、そのタグ化オリゴヌクレオチドが、標的ハイブリダイズ配列が標的核酸配列にハイブリダイズするのを可能にする「活性な」コンフォメーション(confirmation)から、標的ハイブリダイズ配列が標的核酸配列にハイブリダイズするのを阻止するかまたは別途妨げる「不活性な」コンフォメーションに変更されることを意味する。
【0040】
除去
本明細書中で使用されるとき、用語「除去」とは、ハイブリダイズされていないタグ化オリゴヌクレオチドからタグ化標的核酸配列の物理的分離のことを指す。タグ化標的核酸配列は、当業者に公知の種々の手法によって、核酸サンプル中に存在するハイブリダイズされていないタグ化オリゴヌクレオチド(または異種タグ配列)から物理的に分離され得る。例としては、タグ化標的核酸配列は、固体支持体に結合され得、核酸サンプル中で固定化され得る一方で、未結合の材料は、除去される。未結合の材料を除去するために、その固体支持体は、1回以上の洗浄/すすぎ工程に供され得る。洗浄工程は、残っているハイブリダイズされていないタグ化オリゴヌクレオチドおよび潜在的に干渉する細胞材料またはサンプル材料を除去することを意図されている。すすぎ工程は、代表的には、洗浄剤などの洗浄溶液が、十分に高い濃度で存在するときに増幅に対して阻害的な構成要素を含む場合に、含められる。その固体支持体は、好ましくは、標的核酸またはタグ化標的核酸配列に特異的に結合することにより、ハイブリダイズされていないタグ化オリゴヌクレオチド(または未結合の異種タグ配列)が増幅反応に入り込むのを妨げる。標的核酸を捕捉するため、固定化するためおよび精製するための例示的な手段が以下で述べられ、それらの例は、Weisburgら、“Two−Step Hybridization and Capture of a Polynucleotide”米国特許第6,534,273号に開示されている。
【0041】
増幅または核酸増幅
「増幅」または「核酸増幅」とは、意図される特定の標的核酸配列の少なくとも一部を含む複数コピーの標的核酸の生成のことを意味する。その複数コピーは、アンプリコンまたは増幅産物と称され得る。ある特定の実施形態において、増幅された標的は、完全な標的遺伝子配列より短い配列を含む。例えば、特定のアンプリコンは、標的ポリヌクレオチドの内部の位置にハイブリダイズして、そこから重合を開始する増幅プライマーを使用することによって、標的ポリヌクレオチドの一部を増幅することによって生成され得る。好ましくは、増幅される一部は、種々の周知の方法のいずれかを用いて検出され得る検出可能な標的配列を含む。
【0042】
核酸増幅の多くの周知の方法は、二本鎖核酸を変性することとプライマーにハイブリダイズすることを交互に行う熱サイクルを必要とする;しかしながら、核酸増幅の他の周知の方法は、等温である。通常PCRと称されるポリメラーゼ連鎖反応(Mullisら、米国特許第4,683,195号;Mullis,米国特許第4,683,202号;およびMullisら、米国特許第4,800,159号)は、変性、逆鎖へのプライマー対のアニーリングおよびプライマー伸長の複数回のサイクルを用いることにより、標的配列のコピー数を指数関数的に増加させる。RT−PCRと呼ばれる変法では、逆転写酵素(RT)を用いることにより、mRNAから相補DNA(cDNA)を生成し、次いで、そのcDNAをPCRによって増幅することにより、複数コピーのDNAを生成する(Gelfandら、“Reverse Transcription with Thermostable DNA Polymerases−High Temperature Reverse Transcription”米国特許第5,322,770号および同第5,310,652号)。別の方法は、鎖置換増幅(Walker,G.ら(1992),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89,392−396;Walkerら、“Nucleic Acid Target Generation”米国特許第5,270,184号;Walker,“Strand Displacment Amplification”米国特許第5,455,166号;およびWalkerら(1992)Nucleic Acids Research 20,1691−1696)であり、これは、通常SDAと呼ばれ、プライマー配列と標的配列の逆鎖との対のアニーリング、dNTPの存在下におけるプライマー伸長による、二重鎖のヘミホスホロチオエート化された(hemiphosphorothioated)プライマー伸長産物の生成、ヘミ改変された(hemimodified)制限エンドヌクレアーゼ認識部位のエンドヌクレアーゼに媒介されるニッキング、そしてそのニックの3’末端からのポリメラーゼ媒介性プライマー伸長による、既存の鎖の置換、ならびに次の回のプライマーアニーリング、ニッキングおよび鎖置換のための鎖の生成というサイクルを用いる(これらにより生成物の幾何的増幅がもたらされる)。高温SDA(tSDA)では、本質的に同じ方法において、より高い温度で好熱性のエンドヌクレアーゼおよびポリメラーゼを使用する(欧州特許第0684315号)。他の増幅方法としては:通常NASBAと称される、核酸配列に基づく増幅(Malekら、米国特許第5,130,238号);通常Qβレプリカーゼと称されるRNAレプリカーゼを用いてプローブ分子自体を増幅する方法(Lizardi,P.ら(1988)BioTechnol.6,1197−1202);転写に基づく増幅方法(Kwoh,D.ら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86,1173−1177);自家持続配列複製法(Guatelli,J.ら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87,1874−1878;Landgren(1993)Trends in Genetics 9,199−202;およびLee,H.ら、NUCLEIC ACID AMPLIFICATION TECHNOLOGIES(1997));および通常TMAと称される、転写を媒介した増幅(Kacianら、“Nucleic Acid Sequence Amplification Methods”米国特許第5,480,784号;およびKacianら、米国特許第5,399,491号)が挙げられる。公知の増幅方法のさらなる考察については、Persing,David H.,1993,“In Vitro Nucleic Acid Amplification Techniques”Diagnostic Medical Microbiology:Principles and Applications(Persingら編),pp.51−87(American Society for Microbiology,Washington,DC)を参照のこと。本発明に従って使用するのに適した他の例証的な増幅方法としては、ローリングサークル増幅(RCA)(Lizardi,“Rolling Circle Replication Reporter Systems”米国特許第5,854,033号);ヘリカーゼ依存性増幅(HDA)(Kongら“Helicase Dependent Amplification Nucleic Acids”米国特許出願公開番号US2004−0058378A1);およびループ媒介性等温増幅(Loop−Mediated Isothermal Amplification)(LAMP)(Notomiら“Process for Synthesizing Nucleic Acid”米国特許第6,410,278号)が挙げられる。
【0043】
本発明の好ましい転写に基づく増幅系としては、RNAポリメラーゼを用いることにより、標的領域の複数のRNA転写物を生成するTMA(例えば、Kacianら、米国特許第5,480,784号および同第5,399,491号;ならびにBeckerら“Single−Primer Nucleic Acid Amplification Methods”米国特許出願公開番号US2006−0046265A1)が挙げられる。転写媒介性増幅(TMA)は、逆転写酵素およびRNAポリメラーゼの存在下において標的核酸にハイブリダイズする「プロモーターオリゴヌクレオチド」または「プロモーター−プライマー」を利用することにより、RNAポリメラーゼがRNA転写物を生成する二本鎖プロモーターを形成する。これらの転写物は、RNA転写物にハイブリダイズすることができる第2のプライマーの存在下におけるTMAのさらなる回のための鋳型になり得る。PCR、LCR、または熱変性を必要とする他の方法とは異なり、TMAは、RNAseH活性を利用してRNA:DNAハイブリッドのRNA鎖を消化することにより、プライマーまたはプロモーター−プライマーとのハイブリダイゼーションに利用可能なDNA鎖を生成する等温性の方法である。
【0044】
1つの例証的なTMA法において、1つの増幅プライマーは、標的結合配列の5’に配置された二本鎖であるときに機能性になるプロモーター配列を含むオリゴヌクレオチドプロモーター−プライマーであり、これは、増幅される配列に対して3’の位置における標的RNAの結合部位にハイブリダイズすることができる。プロモーター−プライマーは、T7RNAポリメラーゼ認識に特異的であるとき、「T7プライマー」と称され得る。ある特定の状況下において、プロモーター−プライマー、またはそのようなプロモーター−プライマーの部分集団の3’末端は、プライマー伸長を阻止するようにまたは減少させるように改変され得る。改変されていないプロモーター−プライマーによって、逆転写酵素は、標的RNAのcDNAコピーを作り出すのに対し、RNAseH活性は、標的RNAを分解する。次いで、第2の増幅プライマーが、そのcDNAに結合する。このプライマーは、「T7プライマー」と区別するために「非T7プライマー」と称され得る。この第2の増幅プライマーによって、逆転写酵素は、別のDNA鎖を作り出し、一方の末端における機能性プロモーターによって二本鎖DNAを生じる。プロモーター配列は、二本鎖のとき、RNAポリメラーゼに結合することができ、それにより、プロモーター−プライマーにハイブリダイズされる標的配列の転写を開始する。RNAポリメラーゼは、このプロモーター配列を利用することにより、複数のRNA転写物(すなわち、アンプリコン)、一般に約100〜1,000コピーを生成する。新しく合成されたアンプリコンの各々は、第2の増幅プライマーとアニーリングし得る。次いで、逆転写酵素は、DNAコピーを作り出すことができるのに対し、RNAseH活性は、このRNA:DNA二重鎖のRNAを分解する。次いで、そのプロモーター−プライマーは、新しく合成されたDNAに結合することができ、それにより、逆転写酵素が二本鎖DNAを作り出すことが可能になり、そこからRNAポリメラーゼが複数のアンプリコンを生成する。
【0045】
増幅条件
「増幅条件」は、本発明に記載の核酸増幅を可能にする条件のことを意味する。増幅条件は、いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるような「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」よりもストリンジェントでないことがある。本発明の増幅反応において使用されるオリゴヌクレオチドは、増幅条件下においてその意図される標的にハイブリダイズするが、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下ではハイブリダイズするかもしれないし、しないかもしれない。他方、本発明の検出プローブは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下においてハイブリダイズする。下記の実施例の項では、本発明に従って標的核酸配列を増幅するための好ましい増幅条件が提供されるが、本発明に従って核酸増幅を行うために他の許容され得る条件も、使用される特定の増幅方法に応じて、当業者によって容易に確かめられ得る。
【0046】
ハイブリダイズ/ハイブリダイゼーション
核酸ハイブリダイゼーションは、完全にまたは部分的に相補的なヌクレオチド配列を有する2本の核酸鎖が、所定の反応条件下において一緒にされることにより、安定な二本鎖ハイブリッドが形成されるプロセスである。いずれかの核酸鎖は、デオキシリボ核酸(DNA)もしくはリボ核酸(RNA)またはそれらのアナログであり得る。したがって、ハイブリダイゼーションには、RNA:RNAハイブリッド、DNA:DNAハイブリッド、RNA:DNAハイブリッド、またはそれらのアナログが関与し得る。時折ハイブリッドと呼ばれる、この二本鎖構造の2本の構成鎖は、水素結合によって共に保持されている。これらの水素結合は、最も一般的には、単一の核酸鎖において、塩基アデニンとチミンもしくはウラシル(AとTまたはU)とを含むヌクレオチド間、またはシトシンとグアニン(CとG)とを含むヌクレオチド間に形成されるが、これらの「基準の」対のメンバーではない塩基間にも塩基対が形成され得る。基準でない塩基対形成は、当該分野で周知である。
【0047】
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」または「ストリンジェントな条件」とは、特定の検出プローブが、試験サンプル中に存在する他の核酸よりも、標的核酸とハイブリダイズすることができる条件のことを指す。これらの条件は、プローブのGC含量および長さ、ハイブリダイゼーション温度、ハイブリダイゼーション試薬またはハイブリダイゼーション溶液の組成、ならびに要求されるハイブリダイゼーション特異性の程度をはじめとした因子に応じて変化し得ることが認識されるだろう。特定のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、下記の開示に提供される。
【0048】
「核酸ハイブリッド」または「ハイブリッド」または「二重鎖」は、水素結合された二本鎖領域を含む核酸構造のことを意味し、ここで、各鎖は、他方と相補的であり、その領域は、手段(化学発光検出もしくは蛍光検出、オートラジオグラフィまたはゲル電気泳動が挙げられるがこれらに限定されない)によって検出されるストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下において十分に安定である。そのようなハイブリッドは、RNA:RNA、RNA:DNAまたはDNA:DNA二重鎖分子を含み得る。
【0049】
「相補的」とは、2本の一本鎖核酸の類似の領域のヌクレオチド配列または同じ一本鎖核酸の異なる領域に対するヌクレオチド配列が、それらの一本鎖領域が、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下または増幅条件下で水素結合された安定な二本鎖領域において共にハイブリダイズするのを可能にするヌクレオチド塩基組成を有することを意味する。1つの一本鎖領域のヌクレオチドの連続した配列が、他方の一本鎖領域のヌクレオチドの類似の配列と水素結合した一連の「基準の」塩基対を形成することができるとき(AがUまたはTと対形成し、CがGと対形成するように)、それらのヌクレオチド配列は、「完璧に」相補的である。
【0050】
「優先的にハイブリダイズする」とは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下において、ある特定の相補的なヌクレオチドまたは核酸塩基配列が、ハイブリダイズすることにより、他のより安定でない二重鎖よりも優先的に安定なハイブリッドを形成することを意味する。「安定してハイブリダイズしない」とは、安定なハイブリッドが、規定の条件セットにおいてかなりの量および/または検出可能な量で形成されないことを意味する。
【0051】
「安定」または「安定してハイブリダイズする」または「検出に対して安定」とは、反応混合物の温度が核酸二重鎖の融解温度よりも少なくとも2℃低いことを意味する。検出に対して安定な様式において標的配列に結合したオリゴヌクレオチドは、例えば、検出可能な標識を使用することによってまたはプライマーとして増幅反応に参加することによって、検出され得る。
【0052】
プロモーターオリゴヌクレオチド/プロモーター配列
当該分野で周知であるように、「プロモーター」は、核酸に結合して特定の部位においてRNAの転写を開始するシグナルとしてDNA依存性RNAポリメラーゼによって認識される特定の核酸配列である。RNAポリメラーゼが、プロモーター配列に結合することにより転写を開始するとき、そのプロモーター配列は、転写される配列の一部でない。したがって、それによって生成されるRNA転写物は、その配列を含まない。
【0053】
本発明によると、「プロモーターオリゴヌクレオチド」とは、第1および第2の領域を含むオリゴヌクレオチドのことを指す。本発明のプロモーターオリゴヌクレオチドの「第1領域」は、核酸鋳型にハイブリダイズする塩基配列を含み、ここで、そのハイブリダイズ配列は、プロモーター領域に対して3’に位置するが、必ずしもプロモーター領域に隣接しない。本発明のプロモーターオリゴヌクレオチドのハイブリダイズ部分は、代表的には、少なくとも10ヌクレオチド長であり、15、20、25、30、35、40、50またはそれ以上のヌクレオチド長まで伸長してもよい。「第2の領域」は、RNAポリメラーゼに対するプロモーターを含む。
【0054】
ユニバーサルオリゴヌクレオチド
「ユニバーサル」オリゴヌクレオチドは、関係する標的配列または無関係の標的配列の群の中の核酸配列の存在を識別する増幅反応において使用され得るオリゴヌクレオチドを含む。所与のクラスの生物に対して公知であるかまたは開発された本質的に任意のユニバーサルオリゴヌクレオチドが、本明細書中に記載される方法において都合よく使用され得る。
【0055】
プライミングオリゴヌクレオチド
プライミングオリゴヌクレオチドは、その少なくとも3’末端が核酸鋳型と相補的であり、鋳型と(水素結合またはハイブリダイゼーションによって)複合体化することにより、RNA依存性DNAポリメラーゼまたはDNA依存性DNAポリメラーゼによる合成の開始に適したプライマー:鋳型複合体を生じる、オリゴヌクレオチドである。プライミングオリゴヌクレオチドは、その3’末端への共有結合されたヌクレオチド塩基の付加によって伸長され、その塩基は、鋳型と相補的である。その結果は、プライマー伸長産物である。本発明のプライミングオリゴヌクレオチドは、代表的には、少なくとも10ヌクレオチド長であり、15、20、25、30、35、40、50またはそれ以上のヌクレオチド長まで伸長してもよい。適当なプライミングオリゴヌクレオチドおよび好ましいプライミングオリゴヌクレオチドは、本明細書中に記載される。公知である実質的にすべてのDNAポリメラーゼ(逆転写酵素を含む)は、DNA合成を開始するためにオリゴヌクレオチドと一本鎖鋳型との複合体化を必要とするのに対し、転写(DNAからのRNAの複製)は、一般に、プライマーの伸長を生じない。DNAポリメラーゼによって伸長されるというまさにその性質からして、プライミングオリゴヌクレオチドは、3’ブロッキング部分を含まない。プロモーター配列を含むプライミングオリゴヌクレオチドは、「プロモーター−プライマー」と称されることがある。上流のプロモーター配列も、上流のタグ配列も、PCRなどの増幅方法において使用されるプライミングオリゴヌクレオチドに必須ではない。
【0056】
標的捕捉
標的捕捉は、本明細書中で使用されるとき、タグ化オリゴヌクレオチドと標的核酸配列とのハイブリダイゼーションの後であるが、標的核酸配列の増幅の前に、すべてまたは実質的にすべてのハイブリダイズされていないタグ化オリゴヌクレオチドを除去するために効果的な任意の手法を含む。一般に、標的捕捉は、標的ポリヌクレオチドを固体支持体(例えば、磁気的に引き付けることのできる粒子)上に捕捉することを含み、ここで、その固体支持体は、標的ポリヌクレオチド精製手順の1回以上の洗浄工程中に標的ポリヌクレオチドを保持する。このように、標的ポリヌクレオチドは、その後の核酸増幅工程の前に、ハイブリダイズされていないタグ化オリゴヌクレオチドから実質的に精製され得る。数多くの標的捕捉方法が、公知であり、本明細書中に記載される方法とともに使用するために適している。
【0057】
例えば、米国特許出願公開番号US2006−0068417A1に記載されている1つの例証的なアプローチは、標的に相補的な領域、および捕捉支持体上の固定化されたプローブに標的核酸を連結する特定の結合対のメンバーを含むことにより、サンプルの他のサンプル成分から分離された捕捉ハイブリッドを形成する、少なくとも1つの捕捉プローブオリゴヌクレオチドを利用する。別の例証的な方法において、Weisburgらは、米国特許第6,110,678号において、捕捉プローブおよび2つの異なるハイブリダイゼーション条件(好ましくは、温度だけが異なる条件)を用いることによって、サンプル中の標的ポリヌクレオチドを、付着され固定化されたプローブを有する固体支持体(例えば、磁気的に引き付けることのできる粒子)上に捕捉するための方法を記載している。その2つのハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーションの順序を管理し、ここで、第1のハイブリダイゼーション条件は、標的ポリヌクレオチドへの捕捉プローブのハイブリダイゼーションを可能にし、第2のハイブリダイゼーション条件は、固定化されたプローブへの捕捉プローブのハイブリダイゼーションを可能にする。その方法は、捕捉された標的ポリヌクレオチドまたは増幅された標的ポリヌクレオチドを検出することによってサンプル中の標的ポリヌクレオチドの存在を検出するために使用され得る。
【0058】
別の例証的な標的捕捉法には、標的ポリヌクレオチドを捕捉するためおよびその存在を検出するためのハイブリダイゼーションサンドイッチ法が含まれる。Rankiら、“Detection of Microbial Nucleic Acids By a One−Step Sandwich Hybridization Test”米国特許第4,486,539号を参照のこと。この手法は、固体支持体に結合されたプローブによる標的ポリヌクレオチドの捕捉および捕捉された標的ポリヌクレオチドへの検出プローブのハイブリダイゼーションを含む。標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズされない検出プローブは、その固体支持体から容易に洗い流される。したがって、残った標識は、サンプル中に最初に存在した標的ポリヌクレオチドと関連する。
【0059】
別の例証的な標的捕捉法には、標的ポリヌクレオチドと固体支持体上に固定されたポリヌクレオチドの両方にハイブリダイズするメディエーターポリヌクレオチドを利用する方法が含まれる。Stabinsky,“Methods and Kits for Performing Nucleic Acid Hybridization Assays”米国特許第4,751,177号を参照のこと。そのメディエーターポリヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドを固体支持体に連結することにより、結合された標的を生成する。標識されたプローブは、その結合された標的にハイブリダイズされ得、未結合の標識されたプローブは、その固体支持体から洗い流され得る。
【0060】
なおも別の例証的な標的捕捉法は、Englelhardtによって“Capture Sandwich Hybridization Method and Composition”米国特許第5,288,609号に開示されており、そこには、標的ポリヌクレオチドを検出するための方法が記載されている。その方法は、標的の同じ鎖または逆鎖と相補的である2本の一本鎖ポリヌクレオチドセグメントを利用し、標的ポリヌクレオチドとの二重ハイブリッドを形成する。1つの実施形態において、そのハイブリッドは、支持体上に捕捉される。
【0061】
別の例証的な標的捕捉法において、核酸を検出するための方法およびキットは、プライマーおよびプライマー伸長産物を固定化するために特定の結合パートナーで標識されたオリゴヌクレオチドプライマーを利用する。Burdickら、“Diagnostic Kit and Method Using a Solid Phase Capture Means for Detecting Nucleic Acids”欧州特許出願番号0370694A2を参照のこと。その標識は、固体支持体に結合されたそのレセプターと特異的に複合体化する。
【0062】
上記の捕捉法は、単に例証的であって、限定するものではない。実際に、当業者に利用可能な本質的に任意の手法が、本明細書中に記載されるように、タグ化オリゴヌクレオチドと標的核酸配列とのハイブリダイゼーションの後であるが、標的核酸配列の増幅の前に、すべてまたは実質的にすべてのハイブリダイズされていないタグ化オリゴヌクレオチドを除去するために効果的であるならば、それを用いてよい。
【0063】
プローブ
「プローブ」または「検出プローブ」とは、本明細書中に開示される条件などのハイブリダイゼーション条件下において、検出されるために捜される標的配列の領域にハイブリダイズするように、その領域と部分的にまたは完全に相補的である塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含む分子のことを意味する。当業者が理解し得るように、プローブは、ヒトの介入なしで天然には見られない形態の、単離された核酸分子またはそのアナログ(例えば、外来核酸で組み換えられたもの、単離されたもの、またはある程度精製されたもの)を含む。
【0064】
本発明のプローブは、標的にされた領域のほかに追加のヌクレオシドまたは核酸塩基が、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下においてハイブリダイゼーションに実質的に影響しない限り、および検出プローブの場合は、標的核酸への優先的なハイブリダイゼーションを妨げない限り、そのようなヌクレオシドまたは核酸塩基を有し得る。非相補的配列(例えば、標的捕捉配列(一般に、ホモポリマー域、例えば、ポリ−A、ポリ−Tまたはポリ−Uテイル)、プロモーター配列、RNA転写用の結合部位、制限エンドヌクレアーゼ認識部位)もまた含まれ得るか、または非相補的配列は、所望の二次構造または三次構造を与える配列(例えば、プローブ上、標的核酸上、またはその両方における触媒活性部位またはヘアピン構造)を含み得る。
【0065】
それらのプローブは、好ましくは、少なくとも1つの検出可能な標識を含む。その標識は、任意の適当な標識物質であり得、それらとしては、放射性同位体、酵素、酵素補因子、酵素基質、色素、ハプテン、化学発光分子、蛍光分子、リン光性分子、電気化学発光分子、発色団、決められた条件下では標的核酸に安定してハイブリダイズすることができない塩基配列領域、およびこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。1つの特に好ましい実施形態において、その標識は、アクリジニウムエステルである。プローブは、そのプローブが標的配列にハイブリダイズされているか否かに応じて異なるシグナルを放射する相互作用標識も含み得る。相互作用標識の例としては、酵素/基質、酵素/補因子、発光/クエンチャー、発光/付加物、色素二量体、およびFoerresterエネルギー移動対が挙げられる。本発明のある特定のプローブは、標識を含まない。例えば、標識されていない「捕捉」プローブは、標的配列またはその複製物について濃縮するために使用され得、それは次いで、第2の「検出」プローブによって検出され得る。例えば、Weisburgら、米国特許第6,534,273号を参照のこと。検出プローブは、代表的には標識されるが、当業者によく知られているある特定の検出技術は、プローブが標識される必要がない。
【0066】
「優先的にハイブリダイズする」とは、明記されるハイブリダイゼーション条件下において、安定なプローブ:非標的ハイブリッドの形成が最小にされつつ、同時に、本発明のプローブがそれらの標的配列またはその複製物にハイブリダイズすることにより安定なプローブ:標的ハイブリッドを形成することを意味する。したがって、プローブが、非標的配列に対してよりも十分に高い程度に標的配列またはその複製物にハイブリダイズすることにより、当業者が、増幅中に形成された標的配列のRNA複製物または相補DNA(cDNA)を正確に定量することが可能になる。
【0067】
規定の配列のプローブは、当業者に公知の手法(例えば、化学合成、および組換え核酸分子からのインビトロ発現またはインビボ発現)によって生成され得る。好ましくは、プローブは、10〜100ヌクレオチド長、より好ましくは、12〜50塩基長、なおもより好ましくは、17〜35塩基長である。
【0068】
鋳型
「鋳型」は、核酸ポリメラーゼによって複製され得る核酸分子である。鋳型は、そのポリメラーゼに応じて、一本鎖、二本鎖または部分的に二本鎖であり得る。合成されたコピーは、鋳型、または二本鎖もしくは部分的に二本鎖の鋳型の少なくとも1つの鎖と相補的である。RNAとDNAの両方が、代表的には、5’から3’への方向で合成され、核酸二重鎖の2本の鎖は、その2本の鎖の5’末端がその二重鎖の逆末端にくる(それにより必ず3’末端になる)ように整列される。本発明によると、「標的配列」は、常に「鋳型」であるが、鋳型には、第2のプライマー伸長産物および増幅産物も含まれ得る。
【0069】
DNA依存性DNAポリメラーゼ
「DNA依存性DNAポリメラーゼ」は、DNA鋳型から相補DNAコピーを合成する酵素である。例は、PCR増幅反応用の、好熱性細菌Thermus aquaticus由来の高度に耐熱性のDNAポリメラーゼであるTaqDNAポリメラーゼ、大腸菌由来のDNAポリメラーゼI、バクテリオファージT7DNAポリメラーゼ、またはバクテリオファージT4、Phi−29、M2もしくはT5由来のDNAポリメラーゼである。本発明のDNA依存性DNAポリメラーゼは、細菌もしくはバクテリオファージから単離された天然に存在する酵素または組換え的に発現された酵素であり得るか、またはある特定の望ましい特徴(例えば、熱安定性、または改変された様々な鋳型からDNA鎖を認識するかまたは合成する能力)を有するように操作された、改変もしくは「進化」された形態であり得る。公知のDNA依存性DNAポリメラーゼのすべてが、合成を開始するために相補的なプライマーを必要とする。DNA依存性DNAポリメラーゼは、適当な条件下において、RNA鋳型から相補DNAコピーを合成し得ることが知られている。RNA依存性DNAポリメラーゼ(下記に記載される)もまた、代表的には、DNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する。そのようなポリメラーゼの例は、MasterAmpTMTthDNAポリメラーゼであり、これは、PCR増幅反応とRT−PCR増幅反応の両方において使用することができる、DNA依存性DNAポリメラーゼ活性とRNA依存性DNAポリメラーゼ(すなわち、逆転写酵素)活性の両方を有する(Epicentre Biotechnologies;Madison,WI)。
【0070】
DNA依存性RNAポリメラーゼ
「DNA依存性RNAポリメラーゼ」は、通常二本鎖であるプロモーター配列を有する二本鎖または部分的に二本鎖のDNA分子から複数のRNAコピーを合成する酵素である。そのRNA分子(「転写物」)は、プロモーターのすぐ下流の特定の位置において始まって、5’から3’への方向で合成される。好ましいDNA依存性RNAポリメラーゼの例としては、バクテリオファージT7、T3およびSP6由来のものが挙げられる。
【0071】
RNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)
「RNA依存性DNAポリメラーゼ」または「逆転写酵素」は、RNA鋳型から相補DNAコピーを合成する酵素である。公知の逆転写酵素のすべてが、DNA鋳型から相補DNAコピーを生成する能力も有する;ゆえに、それらは、RNA依存性DNAポリメラーゼかつDNA依存性DNAポリメラーゼである。モロニー(Maloney)マウス白血病ウイルス由来の逆転写酵素(MMLV−RT)が好ましい。合成を開始するためには、RNA鋳型とDNA鋳型の両方とともにプライマーが必要とされる。
【0072】
系の特異性
増幅系の文脈における用語「特異性」は、配列およびアッセイ条件に依存する、標的配列と非標的配列を区別する能力を記述する増幅系の特徴のことを指すために本明細書中で使用される。核酸増幅に関して、特異性とは、通常、生成される特定のアンプリコンの数と副産物の数との比(すなわち、シグナル・ノイズ比)のことを指す。
【0073】
感度
用語「感度」は、核酸増幅反応が検出され得るかまたは定量され得る精度のことを指すために本明細書中で使用される。増幅反応の感度は、通常、その増幅系において確実に検出され得る標的核酸の最も少ないコピー数の限度であり、例えば、用いられる検出アッセイ、およびその増幅反応の特異性に左右され得る。
【0074】
本発明の利点は、異なる血清型の量が類似かつ少ないとき(例えば、各々が、試験を受けているサンプル中に50または20コピー/mlで存在するとき)、デングウイルス血清型1〜4の各々を検出できる能力である。本明細書中には「感度」をアッセイすることを指す代替法が存在し、ここで、それらの代替法は、等価であり得る。より詳細には、慣例により、本明細書中で使用される試験サンプルは、0.5ml(すなわち、500μl)からなり、そこから核酸が単離された。次いで、単離された核酸を、100μlの容積を有するインビトロ核酸増幅反応において鋳型として使用した。したがって、100μlという反応容積において行われたアッセイが0.5mlの試験サンプルから単離された10コピーのデングウイルス核酸を検出するならば、試験サンプル中の20コピー/mlの濃度(すなわち、10コピー/0.5ml=20コピー/ml)のデングウイルス核酸を検出することができるだろう。
【0075】
緒言および概要
本明細書中では、4つの異なるデングウイルス血清型の核酸を実質的に同様の感度で増幅するためおよび検出するために有用な様々な組成物および方法が記載される。他の研究者の以前の試みによって確かめられたように、異なるウイルス遺伝子型が、比較的限られた核酸配列の保存性しか示さないことにより効率的な共増幅および検出を困難にするので、上記の組成物および方法は、重要である。開示される方法に従うことによって、異なる核酸標的の約45コピー/mlまで、およびなおも20コピー/mlまで、実質的に等しい感度で、4つすべてのデングウイルス血清型の核酸を検出することが可能である。
【0076】
オリゴヌクレオチド試薬
開示されるアッセイは、ハイブリダイゼーション検出プローブ;タグ化プロモーターオリゴヌクレオチド(例えば、プロモーター−プライマー);プライミングオリゴヌクレオチド(例えば、プライマー);などとして働き得る、いくつかのオリゴヌクレオチドを使用する。開示されるオリゴヌクレオチドのすべてが、相補的な塩基対形成によって少なくとも1つの他の核酸と相互作用するので、開示されるオリゴヌクレオチドの各々は、標的ハイブリダイズ塩基配列を含む。図1A〜1Cは、デングウイルス血清型1〜4のすべてに対する核酸の検出において使用され得る様々なオリゴヌクレオチドの配置を示している。
【0077】
図1Aは、本明細書中に開示されるいくつかのオリゴヌクレオチドを使用する増幅検出系を図示している。この場合、標的ハイブリダイズ配列を有する配列番号10および配列番号1の第1鎖プライマーの組み合わせは、デングウイルス鋳型核酸(すなわち、血清型1〜4のいずれか)と接触し、DNA重合酵素(例えば、逆転写酵素)の存在下においてプライマーとして働くことにより、プライマー伸長産物(例えば、cDNA)を作り出す。とりわけ、これらの第1鎖プライマーの両方は、配列番号10または配列番号1によって提供される標的ハイブリダイズ配列の非存在下ではデングウイルス血清型1〜4の核酸のいずれとも安定してハイブリダイズしないタグ化プロモーター配列(例えば、配列番号26)を5’末端に含むように図示されている。そのタグ配列の使用は、Kacianらによって米国特許第5,480,784号および同第5,399,491号に開示されているような標準的なTMA増幅反応では必須でないが、BeckerらによってU.S.Ser.No.11/810,834(“Tagged Oligonucleotides and Their Use in Nucleic Acid Amplification Methods”という表題)に開示されている改変増幅法では必須である。プライマー伸長産物は、配列番号16および/または配列番号13によって与えられる標的ハイブリダイズ配列を有する少なくとも1つの逆鎖プライマーにハイブリダイズし得る。次いで、その逆鎖プライマーは、鋳型としてそのcDNA鎖を用いて伸長され、それにより、二本鎖の増幅産物が生じ得る。図1Bの線図および実施例3に示される結果から明らかであるように、配列番号16の標的ハイブリダイズ配列を有するプライマーの使用は、必須ではない。その二本鎖の増幅産物が、プロモーター配列を含む場合、RNA増幅産物も合成され得る。デング特異的増幅産物は、配列番号19の配列またはその相補体と一致する標的ハイブリダイズ配列を有するオリゴヌクレオチドプローブに安定してハイブリダイズし得る。
【0078】
図1Bは、図1Aに図示されたオリゴヌクレオチドのサブセットを使用する単純化された増幅検出系を図示している。この単純化された系において、配列番号1の標的ハイブリダイズ配列を有する第1鎖プライマーは、デングウイルス鋳型核酸(すなわち、血清型1〜4のいずれか)と接触し、DNA重合酵素(例えば、逆転写酵素)の存在下においてプライマーとして働くことにより、プライマー伸長産物(例えば、cDNA)を作り出す。とりわけ、この第1鎖プライマーは、配列番号1によって提供される標的ハイブリダイズ配列の非存在下ではデングウイルス血清型1〜4の核酸のいずれとも安定してハイブリダイズしないタグ化プロモーター配列(例えば、配列番号26)を5’末端に含むように図示されている。プライマー伸長産物は、配列番号13によって与えられる標的ハイブリダイズ配列を有する逆鎖プライマーにハイブリダイズし得る。次いで、その逆鎖プライマーは、鋳型としてそのcDNA鎖を用いて伸長され、それにより、二本鎖の増幅産物が生じ得る。その二本鎖の増幅産物が、プロモーター配列を含む場合、RNA増幅産物も合成され得る。デング特異的増幅産物は、配列番号19の配列またはその相補体と一致する標的ハイブリダイズ配列を有するオリゴヌクレオチドプローブに安定してハイブリダイズし得る。
【0079】
図1Cは、さらに別の単純化された増幅検出系を図示している。この場合、標的ハイブリダイズ配列を有する配列番号1の第1鎖プライマーは、デングウイルス鋳型核酸(すなわち、血清型1〜4のいずれか)と接触し、DNA重合酵素(例えば、逆転写酵素)の存在下においてプライマーとして働くことにより、プライマー伸長産物(例えば、cDNA)を作り出す。とりわけ、この第1鎖プライマーは、配列番号1によって提供される標的ハイブリダイズ配列の非存在下ではデングウイルス血清型1〜4の核酸のいずれとも安定してハイブリダイズしないタグ化プロモーター配列(例えば、配列番号26)を5’末端に含むように図示されている。プライマー伸長産物は、配列番号19の配列と一致する標的ハイブリダイズ配列を有する逆鎖プライマーにハイブリダイズし得る。次いで、その逆鎖プライマーは、鋳型としてそのcDNA鎖を用いて伸長され、それにより、二本鎖の増幅産物が生じ得る。その後の回の増幅は、第1鎖プロモーター−プライマーの標的ハイブリダイズ配列の上流で使用される同じタグ化プロモーター−プライマー配列(例えば、配列番号26)をプライマーとして使用し得る。その二本鎖の増幅産物が、プロモーター配列を含む場合、RNA増幅産物も合成され得る。デング特異的増幅産物は、配列番号25またはその相補体の標的ハイブリダイズ配列を有するオリゴヌクレオチドプローブに安定してハイブリダイズし得る。
【0080】
表1は、デングウイルス核酸の増幅および検出のために使用されるある特定の非常に好ましいオリゴヌクレオチドの配列を表している。本発明のオリゴヌクレオチドは代替の機能を果たし得ると見込まれているが、それらのオリゴヌクレオチドの特に好ましい機能がこの表に列挙されている。
【0081】
【表1】

本発明の好ましい実施形態において、互いに反対の相対的な向きで、プローブまたはプライマーとして全部または部分的に使用される標的ハイブリダイズ配列を含むオリゴヌクレオチドが存在する。特に好ましいプライマーの向きの標的ハイブリダイズ配列は、配列番号1に与えられている。この配列の10位は、好ましくは、G、T/U、AまたはCのいずれかによって占められているか;またはより好ましくは、G、T/UまたはAのいずれかによって占められていることにより、本明細書中に開示される手順において使用されるインビトロ転写物のうちの少なくとも1つと正確に相補的であるオリゴヌクレオチドが得られる。あるいは、10位は、I(イノシン)などのヌクレオチド塩基アナログによって占められ得る。増幅を起こす標的核酸内のこの位置が相補的な塩基と正確にマッチすることは、成功にとって欠かせないとは考えられていないので、イノシンを含むプライミングオリゴヌクレオチドのいくつかの例が、実証の目的で使用された(すなわち、任意の特定の塩基に対して正確な相補体でない)。例えば、配列番号2は、10位がイノシンに置換されたオリゴヌクレオチドの標的ハイブリダイズ配列を示している。このオリゴヌクレオチドは、プライマーとして使用されるとき、必要に応じて、ファージRNAポリメラーゼ用の上流のプロモーター(例えば、配列番号28)を含み得、そのプライマーは、プロモーター−プライマーとして使用され得る。そのプロモーター−プライマーは、標的ハイブリダイズ配列とその上流のプロモーターとの間に挿入される随意の配列をさらに含み得る。その挿入される配列は、所望であれば、標的捕捉工程中または増幅工程中に使用され得るタグ配列として働き得る。例としてのタグ配列(例えば、配列番号27)を含むように構成されたプロモーター−プライマーの例は、配列番号3の配列によって与えられる。とりわけ、本発明に記載のある特定の好ましい増幅反応は、単独で、または配列番号10の標的ハイブリダイズ配列を有する第1鎖プライマーと組み合わせて、配列番号1の標的ハイブリダイズ配列を有する第1鎖プライマーを含む。実際に、本発明の開発中に、これらの標的ハイブリダイズ配列を個別におよび組み合わせて有するプライマーを用いて同一の結果が得られた。
【0082】
わずかに短い第1鎖プライマーが、すぐ上に記載された配列番号1の配列内に完全に含まれる標的ハイブリダイズ配列を有した。より詳細には、別の好ましいプライマーの標的ハイブリダイズ配列は、配列番号10によって与えられる。上記のように、10位は、好ましくは、G、T/U、AもしくはCのいずれかによって占められるか;またはより好ましくは、G、T/UもしくはAのいずれかによって占められることにより、本明細書中に開示される手順において使用されるインビトロ転写物の少なくとも1つと正確に相補的であるオリゴヌクレオチドが得られる。あるいは、10位は、I(イノシン)などのヌクレオチド塩基アナログによって占められ得る。増幅を起こす標的核酸内のこの位置が相補的な塩基と正確にマッチすることは、成功にとって欠かせないとは考えられていないので、イノシンを含むプライミングオリゴヌクレオチド(すなわち、任意の特定の塩基に対して正確な相補体でない)のいくつかの例が、実証の目的で使用された。例えば、配列番号11は、10位がイノシンに置換されたオリゴヌクレオチドの標的相補的配列を示している。上に示されたように、オリゴヌクレオチドプライマーは、上流のプロモーター配列に連結されたこれらの標的相補的配列のうちの1つを含むことにより、プロモーター−プライマーを生じ得る。また、その標的相補的配列とプロモーターとの間に、プロモーター−プライマー内に存在する随意の介在タグ配列が存在し得る。この配置を有する例としてのプロモーター−プライマーは、配列番号12の配列によって与えられる。上に示されたように、好ましい増幅反応は、単独で、または配列番号1の標的ハイブリダイズ配列を有する第1鎖プライマーと組み合わせて、配列番号10の標的ハイブリダイズ配列を有する第1鎖プライマーを含む。実際に、上に示されたように、これらの標的ハイブリダイズ配列を個別におよび組み合わせて有するプライマーを用いて、同一の結果が得られた。
【0083】
本発明の好ましい実施形態において、配列番号13の配列と一致するオリゴヌクレオチドが存在する。この逆鎖プライマーは、鋳型としてデングウイルス血清型1〜4のいずれかを用いる核酸増幅反応を行うために、好ましくは、配列番号10の配列を含むプライマー(例えば、配列番号1)と組み合わせて使用される。実際に、配列番号1と配列番号10は、重複しているので、配列番号13のプライマーは、配列番号1および配列番号10の標的ハイブリダイズ配列を有するいずれかまたは両方のプライマーと組み合わせて使用され得る。下記の実施例3では、このオリゴヌクレオチドの組み合わせを用いて行われた例示的な増幅反応が実証されている。
【0084】
さらに別の好ましいプライマーは、配列番号16の配列と一致する。配列番号13の標的ハイブリダイズ配列を含むプライマーの考察に関連して上に示されたように、配列番号16のプライマーは、鋳型としてデングウイルス血清型1〜4のいずれかを用いる核酸増幅反応を行うために、好ましくは、配列番号10の配列を含むプライマー(例えば、配列番号1)と組み合わせて使用される。本発明の非常に好ましい実施形態において、配列番号16および配列番号13の重複しているプライマーが、同時に使用される。下記の実施例1〜2では、これらのオリゴヌクレオチドを組み合わせて用いて行われた例示的な増幅反応が実証されている。
【0085】
本発明の好ましい実施形態において、プローブまたはプライマーとして有用な塩基配列を含むオリゴヌクレオチドが存在し、ここで、そのプローブまたはプライマーは、必要に応じて、異なる従来の塩基から1つの位置における従来の塩基への置換、またはその同じ位置における従来の塩基から塩基アナログへの置換を含む。その塩基配列内のRNA等価塩基およびDNA等価塩基のバリアント(例えば、UからTへの置換およびその逆)は、一般に等価であると考えられるので、置換のガイダンスから外れる。例えば、好ましいオリゴヌクレオチドは、13位がY(ピリミジン)またはI(イノシン)によって占められた配列番号19の配列を有する。13位にC残基を有するオリゴヌクレオチド(すなわち、配列番号20)は、本明細書中に開示される手順に使用されるインビトロ転写物に見られる配列(RNA等価塩基およびDNA等価塩基の置換を考慮に入れたもの)と正確にマッチする。T残基がU残基によって置換された等価配列(すなわち、配列番号22)は、プローブとしての使用について実証された。従来のヌクレオチドがその配列中に置換され得ることを実証するために、13位のC残基の代わりにU残基を用いることにより、配列番号23の配列を得て、得られたオリゴヌクレオチドをプローブとして使用した。ヌクレオチド塩基アナログがオリゴヌクレオチド配列中に置換され得ることを実証するために、13位のC残基の代わりにI(イノシン)を含む配列番号21の配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとして使用した。したがって、本発明は、13位が異なる従来の塩基またはヌクレオチド塩基アナログによって置換されていてもよい配列番号19の標的ハイブリダイズ配列(RNA等価塩基およびDNA等価塩基の置換を考慮に入れたもの)を有するオリゴヌクレオチドを包含する。これらのオリゴヌクレオチドのいずれかが、デングウイルス血清型1〜4のいずれかの核酸を検出するためのプローブとして使用され得る。好ましいプライマーは、DNA骨格を有し、好ましくは、U残基の代わりにT残基を有する。
【0086】
反応の完全性をモニタリングするための内部標準系
以下に記載される手順のいくつかは、反応の妥当性を検証するために、随意の内部標準を組み込んだ。これらの例では、内部標準核酸(例えば、RNA鋳型)は、増幅反応混合物においてデングウイルス分析物核酸と共増幅した。その内部標準増幅産物およびデングウイルス分析物増幅産物は、独立して検出された。以下に記載される手順では、2つの異なる内部標準系を用いた。
【0087】
内部標準系のための第1の配置は、対にされたプライマーセット、およびプライマー結合部位間の位置において増幅産物とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブまたはその相補体を用いる増幅検出反応の完全性をモニタリングするために有用だった。この配置は、下記の実施例1〜3において記載されるアッセイにおいて使用された。単純な用途では、内部標準鋳型核酸は、プローブ結合部位として働く塩基配列において分析物鋳型核酸と区別され得る。異なるプローブ結合性をもたらすために、これらの塩基は、順序を入れ替えられてもよいし、無関係な塩基配列によって置き換えられてもよいし、単純に十分な数の点変異を含めてもよい。このように、分析物核酸の増幅から生じる核酸生成物は、分析物特異的なプローブによって検出され得るが、内部標準特異的なプローブによっては検出され得ない。同様に、内部標準核酸の増幅から生じるアンプリコンは、内部標準特異的なプローブによって検出され得るが、分析物特異的なプローブによっては検出され得ない。この配置は、同一のプライマーまたはプライマーセットを用いて分析物核酸鋳型と内部標準核酸鋳型の両方が増幅され得ることを可能にする。
【0088】
実施例4に例証されるメカニズムに基づいて好ましい増幅反応は、1つの固有プライマーおよび1つの共有プライマーを用いて分析物核酸と共増幅する内部標準鋳型核酸を含む。その固有プライマーを使用することにより、プローブ結合に使用される配列に基づいて分析物アンプリコンと区別可能な増幅産物が生じる。実施例4に記載される手順では、増幅と検出の両方のために鋳型の2つのオリゴヌクレオチド結合領域だけが使用されたので、内部標準鋳型は、タグ化プロモーターオリゴヌクレオチドの標的ハイブリダイズ部分(例えば、タグ化プロモーター−プライマー)と相補的である配列における分析物核酸と配列が異なる。したがって、内部標準増幅反応は、好ましくは、内部標準鋳型と相補的であるがいずれの分析物鋳型核酸とは相補的でない標的ハイブリダイズ配列を含む、内部標準特異的なタグ化プロモーターオリゴヌクレオチドを用いて開始される。これによって、内部標準特異的なタグ化プロモーターオリゴヌクレオチドを用いるが分析物特異的なタグ化プロモーターオリゴヌクレオチドを用いない、内部標準の増幅が容易になる。同様に、これによって、分析物特異的なタグ化プロモーターオリゴヌクレオチドを用いるが内部標準特異的なタグ化プロモーターオリゴヌクレオチドを用いない、分析物核酸の増幅が容易になる。好ましくは、分析物核酸と内部標準鋳型核酸の両方が、共有プライマー(例えば、鋳型としてコントロール核酸を用いるとき、タグ化プロモーターオリゴヌクレオチドの伸長産物にハイブリダイズするプライミングオリゴヌクレオチド)を用いて増幅され得る。内部標準増幅産物を検出するために使用されるプローブは、好ましくは、内部標準特異的なタグ化プロモーターオリゴヌクレオチドの標的ハイブリダイズ配列と相補的である。とりわけ、分析物アンプリコンおよび内部標準アンプリコンを検出するために使用されるハイブリダイゼーションプローブは、好ましくは、組み合わされて、検出反応において同時に使用される。このことは、増幅産物が増幅反応の終わりに検出される(例えば、エンドポイント検出方式)かまたは増幅反応が生じつつ増幅産物が検出される(例えば、リアルタイム検出方式)かに関わらず、当てはまる。
【0089】
概して、本明細書中に開示される反応混合物において使用されるプローブとタグ化プロモーターオリゴヌクレオチドとの構造上の関係は、増幅反応物のリアルタイムモニタリングを支持し、増幅可能なバリアント(例えば、タグ化共有のプロモーターオリゴヌクレオチドを用いて増幅され得る、関係するウイルスのサブタイプまたは対立遺伝子バリアント)が、単一のハイブリダイゼーションプローブを用いて検出され得ることを可能にする。好ましいハイブリダイゼーションプローブは、タグ化プロモーターオリゴヌクレオチドの標的ハイブリダイズ配列内に完全に含まれる配列と相補的である塩基配列を含む。プローブは、必要に応じて、その5’および/または3’末端に、タグ化プロモーターオリゴヌクレオチドと相補的でないか、またはそのタグ化プロモーターオリゴヌクレオチドの活性もしくは使用によって生成される増幅産物と相補的でない塩基配列を含み得る。これらの相補的でない塩基は、例えば、標的核酸に結合していない状況においてステム構造を維持するために働く分子ビーコンのアーム配列であり得る。あるいは、その相補的でない塩基は、標的に結合していない状況においてプローブの二次構造を維持するために働く分子トーチ内の塩基の位置に存在し得、フルオロフォアとクエンチャーとの位置関係が近くになるように保持される。好ましいプローブは、本明細書中に記載される増幅反応混合物の条件によって提供されるハイブリダイゼーション条件下において、タグ化プロモーターオリゴヌクレオチド内に含められる他の配列と安定なハイブリダイゼーション複合体を形成しない。異なるアプローチは、ハイブリダイゼーションプローブが、プロモーター配列の下流に標的ハイブリダイズ配列を含む(それらの間の介在配列とともに)プライマーの標的ハイブリダイズ配列の外側で完全にまたは部分的にプライマー配列と相補的であるべきであることを導くことがあるが、本発明の好ましい実施形態は、異なる。これらの実施形態によると、そのプローブの標的ハイブリダイズ塩基は、タグ化プロモーターオリゴヌクレオチドの標的ハイブリダイズ配列と、またはタグ化プロモーターオリゴヌクレオチド内に完全に含まれる配列とだけ相補的である。このことは、オリゴヌクレオチドプローブおよびタグ化プロモーターオリゴヌクレオチドの設計を単純にする。リアルタイム増幅方式を用いて(すなわち、増幅が起きている反応に含められているプローブを用いて)行われる用途では、そのプローブが、標的核酸にハイブリダイズするときに、溶液中に遊離しているハイブリダイズされていないプローブと比べて強い蛍光シグナルを発生することができることが好ましい。特に好ましいのは、フルオロフォアを含み、かつ、プローブが標的核酸にハイブリダイズしたときに、そのプローブが標的核酸ハイブリダイズしていないときよりも強い蛍光を発するプローブである。より好ましくは、そのプローブは、蛍光クエンチャー部分をさらに含む。そのようなプローブの例としては、分子ビーコン、分子トーチ、分子スイッチ、および当業者によく知られているであろう二次構造を実質的に欠くプローブ(米国特許第7,348,141号を参照のこと)が挙げられる。オリゴヌクレオチドプローブとタグ化プロモーターオリゴヌクレオチド(例えば、タグ化プロモーター−プライマー)との構造上の関係に鑑みて、これらの2つのオリゴヌクレオチドは、好ましくは、ハイブリダイズしていないプロモーターオリゴヌクレオチドまたは過剰なタグ化プロモーターオリゴヌクレオチドを不活性化するかまたは増幅反応混合物から除去する工程が完了するまで、互いに接触させない。これは、タグ化プロモーターオリゴヌクレオチドにハイブリダイズされる標的核酸を単離するための標的捕捉工程を用いて、またはヘアピンタグ分子、例えば、Beckerらによって米国特許出願公開2007/0281317に開示されているようなヘアピンタグ分子を使用することによって、達成され得る。
【実施例】
【0090】
例証的な実施例
本発明の全般的な原理は、以下の非限定的な実施例を参照することにより、十分に認識され得る。
【0091】
本発明は、デングウイルス血清型1〜4のすべてを実質的に等しい感度で増幅するためおよび検出するための系を提供する。好ましい用途において、デングウイルス血清型1〜4のいずれかの存在または非存在を判定するために、試験サンプル(例えば、供与された血液サンプル)をスクリーニングするためのアッセイが使用される。別の好ましい用途では、診断目的のためのアッセイが用いられる。両方の用途が、そのウイルスの血清型を特に同定せずに高レベルの感度の恩恵を受ける。当然のことながら、本明細書中に示される情報から明らかであるように、血清型の同定は、開示されるプライマーおよび血清型特異的プローブを使用して、またはプローブ融解曲線解析を用いてアンプリコンとのハイブリッド相互作用について解析される単一プローブを使用して、達成され得る。当業者は、プローブ融解曲線が増幅産物および変異を同定するために有用であることを認識するだろう。融解曲線解析の例は、米国特許出願公開2004/0014119に示されている。
【0092】
ウイルスゲノムの5’領域におけるデング配列を増幅するための発明されたアッセイ(すなわち、「5’領域」アッセイ)に加えて、そのウイルスゲノムの3’非コード領域内のデングウイルス核酸を増幅するためおよび検出するための独立したモデルアッセイ(すなわち、「3’領域」アッセイ)も開発された。その3’領域アッセイにおいて使用されるオリゴヌクレオチドプライマーおよびオリゴヌクレオチドプローブは、Usawattanakulら(上記を参照のこと)によって使用されたオリゴヌクレオチドプライマーおよびオリゴヌクレオチドプローブと密接な関係があった。本発明者らの手順において合成された増幅産物は、Usawattanakulらによって記載されたアッセイにおいて合成された増幅産物よりもわずかに長かった。下記の実施例1に示される結果に基づいて、本発明者らは、本発明者らの3’領域アッセイが、Usawattanakulらによって記載されたゲルベースのアッセイよりもおよそ10倍高い感度でデングウイルス血清型1〜4の各々に対する生ウイルスを検出すると推定した。したがって、本発明らの3’領域アッセイは、本明細書中に開示されるアッセイの開発中に比較のための基準として働き、従来技術のアッセイと比べて、優れた結果のためのよりストリンジェントな試験であると考えられた。本明細書中に示される実験結果から、ここに開示されるデングウイルス核酸を検出するためのアッセイが、従来技術よりも改善された本発明者らの3’領域アッセイよりもなおも数倍感度が高いことが確かめられた。
【0093】
そのウイルスゲノムの5’領域のデング配列を増幅するための手順は、核酸鋳型の起源として、生きているデングウイルスの血清型1〜4、または同じウイルス単離物に対応する配列を有するインビトロで合成された転写物を用いた。異なるウイルスサンプルから単離された核酸を、別個に逆転写し、PCR増幅し、次いでそれを用いることにより、ファージプロモーターの下流にデングウイルス挿入物を有するプラスミドクローンを作り出した。次いで、線状化プラスミドおよび商業的に入手されたファージRNAポリメラーゼを、増幅反応において鋳型として働くRNA転写物を合成するために使用した。本明細書中に記載される手順において使用されるインビトロ転写物は、約1.5kb〜1.7kbの長さだった。生きているデングウイルスの血清型1〜4に対応するそのインビトロ転写物の配列は、それぞれ配列番号36、配列番号37、配列番号38および配列番号39を含んだ。その手順において鋳型としてインビトロ転写物を使用することにより、異なるアッセイ調合物の感度を比較するために使用され得る単純かつ高度に定量的な手順が提供された。
【0094】
真正の(authentic)デングウイルス配列を含むインビトロ転写物に加えて、2つの追加のインビトロ転写物を内部標準鋳型として使用した。これらのインビトロ転写物は、配列番号40および配列番号41の配列を有した。配列番号40の96〜119位の塩基は、真正のデングウイルスには存在しない配列だった。配列番号41の150〜173位の塩基は、真正のデングウイルスには存在しない配列だった。
【0095】
実施例1には、デングウイルス血清型1〜4の核酸を増幅するためおよび検出するための方法が記載される。この手順に使用される試薬は、配列番号1、配列番号10、配列番号13、配列番号16および配列番号19の配列と一致する標的ハイブリダイズ配列を有するオリゴヌクレオチドを含んだ。
【0096】
実施例1
デングウイルス核酸の増幅
(a)中程度の配列保存性しか有しない領域内のデングウイルスゲノムの5’領域、または(b)比較のために用いられるアッセイにおけるそのデングウイルスゲノムの3’領域を標的にするオリゴヌクレオチドを用いて、増幅反応を行った。増幅反応および検出反応の前に核酸を精製するために使用される標的捕捉オリゴヌクレオチドは、配列番号29、配列番号30、配列番号31および配列番号32(各々独立してその3’末端において、3つのT残基の配列に続いて30個のA残基(すなわち、配列番号33)に連結される)の標的相補的配列を含んだ。配列番号29および配列番号30の配列を含む標的捕捉オリゴヌクレオチドは、重複のために含められ、本明細書中に記載される比較用の3’アッセイにおいて増幅される鋳型の捕捉に関連して、有益だった。しかしながら、これらの重複している標的捕捉オリゴヌクレオチドは、本明細書中に開示されるような非常に高感度の5’領域アッセイには必要ない。とりわけ、配列番号32の標的捕捉オリゴヌクレオチドは、他の標的捕捉オリゴヌクレオチドの非存在下において、低レベルの投入量の生ウイルスサンプルを用いて、デングウイルス血清型の4つすべての核酸標的を捕捉することができた。この5’領域アッセイにおいて使用されたオリゴヌクレオチドプライマーは、配列番号17および配列番号18(すなわち、両方ともが配列番号16と一致)とともに、配列番号26の随意のタグ化プロモータープライマー配列の下流に連結された配列番号2(すなわち、配列番号1と一致)および配列番号11(すなわち、配列番号10と一致)のデングウイルス標的ハイブリダイズ配列(すなわち、完全な配列はそれぞれ配列番号3および配列番号12によって与えられる)を含み、さらに、配列番号14および配列番号15(すなわち、両方ともが配列番号13と一致)を含んだ。増幅産物の検出は、配列番号22および配列番号23(すなわち、両方ともが配列番号19と一致)の配列を有する標識されたオリゴヌクレオチドプローブの混合物のハイブリダイゼーションによった。配列番号22のプローブの5〜6位または8〜9位のヌクレオチドをアクリジニウムエステルで標識し、配列番号23のプローブの8〜9位のヌクレオチドをアクリジニウムエステルで標識した。これは、その標識手法における順応性を例証するものである。とりわけ、これらのプローブを個別に用いるとき、良好な結果で増幅産物が検出された。したがって、このプローブの組み合わせの使用は、重複しているかつ随意であると考えられ、個別のプローブは各々、別個の好ましい実施形態に相当する。各増幅反応において含められる内部標準転写物は、配列番号40の配列を有した。その内部標準増幅産物は、10〜11位のヌクレオチドをアクリジニウムエステルで内部的に標識された配列番号24のオリゴヌクレオチドプローブを用いて検出されたことからも、この標識手法における順応性が例証された。
【0097】
培養された細胞から得られた生ウイルス貯蔵物を、向かい合ったプライマーセットを使用した増幅反応におけるデングウイルス鋳型の起源とした。4つの血清型の各々を、1.0、0.1、0.001、0.0001、0.00001および0.0PFU/mlを含む濃度範囲にわたって使用した。上で与えられた配列を有するデングウイルス標的捕捉オリゴヌクレオチドを用いて鋳型を捕捉したことを除いて、公開されている国際特許出願番号PCT/US2000/18685に開示されている手順に本質的に従って、増幅の前に核酸の検体処理および標的捕捉を行った。とりわけ、捕捉オリゴヌクレオチドは、このアッセイの増幅反応または検出反応に関与しない。0.5mlの容積を有するウイルス含有サンプルを標的捕捉試薬と混和することにより核酸放出およびハイブリダイゼーションを促進し、それにより、磁気ビーズ上に配置されたオリゴヌクレオチドを捕捉した。転写媒介性増幅(TMA)反応を、本質的には、Kacianらによって米国特許第5,399,491号(この米国特許の開示は、本明細書の上で参考として援用されている)に記載されているように行った。100μlの反応緩衝液において約10pmolの各プライマーを用いて、様々なプライマーの組み合わせについて増幅反応を行った。単離された標的核酸を、標準的な核酸増幅緩衝液中でプライマーと混和し、10分間にわたって60℃に加熱し、次いで、42℃まで冷却することにより、プライマーのアニーリングを促進した。次いで、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)逆転写酵素(5,600単位/反応)およびT7RNAポリメラーゼ(3,500単位/反応)をその混合物に加えた。当業者によく知られているように、KCl、デオキシリボヌクレオシド5’−三リン酸、リボヌクレオシド5’−三リン酸、N−アセチル−L−システインおよび5%(w/v)グリセロールを含むTris緩衝溶液(pH8.2〜8.5)において増幅反応を行った。
【0098】
42℃において1時間インキュベートした後、100μlの増幅反応容積を、2’−Omeヌクレオチドアナログを用いて調製されたプローブを使用するハイブリダイゼーションアッセイに供した。当業者によく知られている手法を用いてアクリジニウムエステルでプローブを標識し、次いでそのプローブを、ハイブリダイゼーション反応において各プローブについて約3.5×10RLUと等しい量で使用した。米国特許第5,585,481号および同第5,639,604号(これらの特許の開示は、参考として援用される)に記載されている手順に従って、内部的に配置される非ヌクレオチドリンカーによってオリゴヌクレオチド構造に連結されたAE部分で各プローブを標識した。ハイブリダイゼーション反応の後、0.15M四ホウ酸ナトリウム(pH8.5)および1%TRITON X−100(Union Carbide Corporation;Danbury,CT)のアリコートを加えた。これらの混合物を、まず、ハイブリダイズされていないプローブに連結されている化学発光標識を不活性化するために60℃において10分間インキュベートし、室温(すなわち、15〜30℃)まで一時的に冷却した後、ハイブリダイゼーションシグナルを読みだした。各サンプル中のハイブリダイズしたプローブに起因する化学発光を、1mM硝酸および0.1%(v/v)過酸化水素を注入した後に1N水酸化ナトリウムを含む溶液を注入するように構成された商業的に入手可能な計測装置(Gen−Probe Incorporated;San Diego,CA)を用いてアッセイした。化学発光反応に対する結果を相対発光量(relative light units)(RLU)として測定した。この手順では、シグナル/ノイズ値は、特異的にハイブリダイズしたプローブと会合された標識によって生成される化学発光シグナル(RLUとして測定されたもの)を、標的核酸の非存在下において測定されたバックグラウンドシグナルで除したものに対応した。80回反復して試験を行った。ハイブリダイゼーションシグナルの結果の標準的なシグナル・カットオフ(すなわち、“S/CO”)解析を用いて、反応性を判断した。まず、ポジティブキャリブレーターシグナルの3%およびウイルス−ネガティブコントロールサンプルのバックグラウンドシグナルの平均を加算することによって、カットオフ閾値を確立した。そのポジティブキャリブレーターは、500コピー/mlのデングウイルス血清型−1インビトロ転写物を含んだ。試験サンプルに対するハイブリダイゼーションシグナルの結果をカットオフ値で除することにより、S/CO値を算出した。1.0より大きいS/CO値をもたらす試験サンプルを、ウイルス陽性と特定した(すなわち、反応性とスコア付けした)。
【0099】
図2A〜2Dは、5’領域アッセイおよび比較の3’領域アッセイについての投入デングウイルス濃度に応じたパーセント反応性の結果を示している。SAS(登録商標)Systemソフトウェア(バージョン9.1.3)(Cary,NC)におけるプロビット関数を用いた回帰分析を用いることにより、種々のアッセイを用いたときの各血清型に対する95%検出レベル(すなわち、95%の検出確率のために必要とされる標的濃度)を算出した。表2に見られる結果から、発明された5’領域アッセイが、比較の3’領域アッセイよりも実質的に高感度であることが確かめられた(表中の最後の縦行を参照のこと)。作表された結果はさらに、5’領域アッセイの場合、都合がよいことに、種々の血清型に対する感度の範囲がより狭いことを示唆した。別の言い方をすれば、5’領域アッセイは、比較のアッセイよりも、高い感度かつ良好な均一性で、種々のデングウイルス血清型を検出した。これらの点の両方が、実施例2および図2A〜2Dに示される実験結果によって支持される。
【0100】
【表2】

5’領域アッセイの重要かつ非自明の利点は、アッセイの完全性、つまり、投入される標的のレベルに応じてアッセイがウイルス陽性サンプルを正しく検出する能力に関する。図3A〜3Dは、反応性のサンプルをもたらす反応におけるデングウイルス血清型の各々に対するS/CO値を示している。これらのプロットにおける理想的なプロファイルは、投入標的のすべてのレベルにおいて一様に高いバーとして現れ得、標的の非存在下ではゼロに低下し得る。比較的高い値を維持するS/COプロファイルを示すアッセイは、頑健性、すなわち、投入された標的レベルの範囲にわたって正しい判断をもたらす能力を示唆し得る。1.0に近いS/CO値をもたらす下降傾向を示すアッセイは、より低いS/COレベルのアッセイ結果におけるあいまいさと関連し得る。発明された5’領域アッセイの相対的な利点は、図3Cに示されている3’領域アッセイおよび5’領域アッセイに対する結果を比較することによって認識され得る。発明された5’領域アッセイを用いて0.0001PFU/mlのDEN−3で行われる反応に特有のS/CO値を、比較の3’領域アッセイを用いて達成するためには、100〜1,000倍高い標的濃度を用いることが必要だった。図3Aおよび3Bに示される結果は、同様の傾向を支持するが、10〜100倍高い標的濃度を用いることが必要だったことを示している。したがって、上記の表に示された改善された感度データからでは明らかになっていない理由によって、発明された5’領域アッセイは、3’領域アッセイと比べて、すべての血清型を同様に検出する予想外の利益を示した。
【0101】
概して、代替の第1鎖プライマーは、配列番号1の標的ハイブリダイズ配列を有し、ここで、10位は、好ましくは、G、T/U、AもしくはCのいずれかによって占められるか;あるいはより好ましくは、G、T/UもしくはAまたはI(イノシン)のいずれかによって占められ、ここで、その配列は、3’末端において、様々な数の塩基だけ短縮されていた。例えば、配列番号1の標的ハイブリダイズ配列を、0、1、2、3、4、5、6または7塩基短縮することにより、すべてが良好な結果をもたらすプライミングオリゴヌクレオチドを得た。これらの可能性の各々が試験され、その個別の配列が、表3に示される。
【0102】
【表3】

実際に、本発明の開発中に、個別の第1鎖プロモータープライマーを増幅反応において1つ以上の逆鎖プライマーとともに使用することにより、優れた結果がもたらされ得ることが発見された。さらに、収集された代替の第1鎖プライマーを用いることによっても優れた結果がもたらされ得ることも発見された。極めて低い投入濃度(すなわち、11コピー/ml)の上に記載された配列番号38の合成鋳型を増幅することを含む試験を、個別の(すなわち、ただ1つの)第1鎖プライマーとしてと、配列番号2(すなわち、配列番号1と一致)の標的ハイブリダイズ配列を有する第1鎖プライマー(すなわち、タグ化プロモーター−プライマー)との組み合わせの両方として、短縮された様々なプライマーを用いて行った。例えば、配列番号2の標的ハイブリダイズ配列を有するタグ化プロモーター−プライマーは、1塩基短縮されることにより、配列番号4の標的ハイブリダイズ配列(すなわち、配列番号42と一致)を有するプライマーをもたらすか、または5塩基短縮されることにより、配列番号11の標的ハイブリダイズ配列(すなわち、配列番号10と一致)を有するプライマーをもたらした。これらの3つのプライマーの各々が、実施例1に記載された逆鎖プライマーとともに、または2つの異なる第1鎖プライマーを有する組み合わせにおいて、唯一の第1鎖プライマーとして使用されたときに、同一の結果をもたらし、ここで、それらのプライマーのうちの1つは、配列番号2の標的ハイブリダイズ配列を有した。同様に、配列番号2の標的ハイブリダイズ配列を含むプライマーを6塩基短縮することによって、配列番号8の標的ハイブリダイズ配列(すなわち、配列番号46と一致)を有するプライマーをもたらすか、または7塩基短縮することによって、配列番号9の標的ハイブリダイズ配列(すなわち、配列番号47と一致)を有するプライマーをもたらし、次いで、それらのプライマーを、実施例1に従って逆鎖プライマーとともに唯一の第1鎖プライマーとして使用することにより、互いに類似した結果が得られ、配列番号2を含む比較の第1鎖プライマーをよりも活性がわずかに低いだけだった。また、配列番号2を含む第1鎖プライマーの組み合わせによって、100%の反応性が得られた。配列番号5(すなわち、配列番号43と一致)、配列番号6(すなわち、配列番号44と一致)および配列番号7(すなわち、配列番号45と一致)の標的ハイブリダイズ配列を有する第1鎖プライマー(すなわち、その3’末端において2〜4塩基短縮された配列番号3のプライマー)は、本明細書中で使用される4つのデングウイルス標的核酸の配列と十分に相補的であり(10位のイノシンを除いて)、ゆえにそれらは、唯一の第1鎖プライマーとして使用されるときでさえ、デングウイルス核酸を増幅するために使用され得る代替の第1鎖プライマーに相当する。これらの3つのプライマーの3’末端は、配列番号4(すなわち、配列番号42と一致)および配列番号11(すなわち、配列番号10と一致)(これらの両方ともが増幅アッセイにおいて優れた結果をもたらした)の標的ハイブリダイズ配列を含むタグ化プロモーター−プライマーの3’末端を隔てている3つの位置に対応する。配列番号2の標的ハイブリダイズ配列の3’末端から8つ以上の塩基が削除されたある特定の第1鎖プロモーター−プライマーは、より低い反応性レベルをもたらし、ゆえに、デングウイルス核酸を増幅するためおよび検出するための最も高感度のアッセイにおいて使用するにはそれほど好ましくない。したがって、好ましい第1鎖プライマーは、配列番号1(例えば、配列番号2)、配列番号42(例えば、配列番号4)、配列番号43(例えば、配列番号5)、配列番号44(例えば、配列番号6)、配列番号45(例えば、配列番号7)、配列番号10(例えば、配列番号11)、配列番号46(例えば、配列番号8)および配列番号47(例えば、配列番号9)によって特定される群から選択される標的ハイブリダイズ配列を含み得る。ファージプロモーター配列の下流に連結されたこれらの標的ハイブリダイズ配列を含むオリゴヌクレオチド(例えば、配列番号28または配列番号26によって与えられるもの)は、非常に好ましいプロモーター−プライマーである。
【0103】
第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの3’末端配列が、アッセイ感度に対して強い影響を及ぼし、そして第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドと逆鎖プライミングオリゴヌクレオチドとの対形成にいくらかの柔軟性が存在することにより、標的量が非常に少ないときにアンプリコンが生成されると結論付けられた。その結果として、デングウイルスを検出するための好ましいキットは、第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドを備え得、ここで、その第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの3’末端の塩基配列は、表3に列挙されているもののいずれかであり、逆鎖プライミングオリゴヌクレオチドは、必須でない(例えば、そのキットのエンドユーザーによって提供される)。当然のことながら、好ましい第2鎖プライミングオリゴヌクレオチド、すなわち本明細書中に開示される4つのデングウイルス転写物のうちの1つを鋳型として用いたときの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの伸長産物にハイブリダイズし得る逆鎖プライミングオリゴヌクレオチドは、配列番号19、配列番号13および配列番号16のうちの少なくとも1つを含む。
【0104】
標的ハイブリダイズ配列は、開示される第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの必須の構成要素であり、上流のプロモーター配列および上流のタグ配列は、本明細書中の実施例1〜3に示される増幅方法にとって必須でないが、ある場合においては、これらの随意の配列によってもたらされる塩基が、偶然にも、クローニングされたデングウイルス標的のうちの1つにハイブリダイズすることができることが認識された。より詳細には、配列番号1、10および42〜47の各々の標的ハイブリダイズ配列のすぐ上流のA残基は、モデルデングウイルス血清型3の鋳型(すなわち、配列番号38)における対応する位置と相補的であった。したがって、表3に示される標的ハイブリダイズ配列を有するプライミングオリゴヌクレオチドは、表4に示されるプライミングオリゴヌクレオチド、特に、デングウイルス血清型3を増幅するためのプライミングオリゴヌクレオチドによって置換され得る。すべての場合において、表4における配列の11位は、好ましくは、G、T/U、AもしくはCのいずれかによって占められるか;あるいは、より好ましくは、G、T/UもしくはAまたはI(イノシン)のいずれかによって占められる。また、配列番号48〜55の各々の標的ハイブリダイズ配列は、必要に応じて、上流のプロモーター配列に連結され得、さらに必要に応じて、所与の標的ハイブリダイズ塩基配列と上流のプロモーター配列との間に位置するタグ配列に連結され得る。
【0105】
【表4】

実施例2には、4つのデングウイルス血清型の増幅および検出に関して5’アッセイの性能を評価するためにその後行われる手順が記載される。実施例1の生ウイルスサンプルに対応するインビトロ転写物の使用によって、アッセイ感度の高度に正確な定量が可能になった。その手順において使用される試薬は、配列番号1、配列番号10、配列番号13、配列番号16および配列番号19の配列と一致する標的ハイブリダイズ配列を有するオリゴヌクレオチドを含んだ。この手順の結果から、5’アッセイが、4つすべての血清型を、都合のよいことに統計的に異ならない感度で、50コピー/mlをはるかに下回るレベル、実際には25コピー/ml未満のレベルで、検出することが確証された。
【0106】
実施例2
アッセイ感度の定量
生ウイルス由来の核酸を増幅するために前述の実施例において使用されたオリゴヌクレオチドを、4つのデングウイルス血清型の各々に対する増幅標的配列を含むインビトロ転写物を増幅するためおよび検出するためにも使用した。この手順は、増幅および検出の前に標的捕捉工程をさらに包含した。上記インビトロ転写物を、100、33、11、3、1および0コピー/mlの濃度で使用した(すなわち、0.5mlのアリコートが各アッセイに対して使用された)。各投入コピーレベルについて、152回反応を反復した。陽性の反応を示したアッセイの数と有効なアッセイの数とを比較した結果を表5に示す。SAS(登録商標)Systemソフトウェア(バージョン9.1.3)(Cary,NC)においてプロビット関数を用いる回帰分析を用いることにより、95%検出レベル(すなわち、95%の検出確率のために必要とされる標的濃度)を算出した。それらの結果を表6に示す。
【0107】
【表5】

【0108】
【表6】

表6に示された結果に基づいて、4つの血清型の各々に対する分析感度の差が、統計学的に有意でないと判定された。したがって、5’領域の増幅検出アッセイが、すべてのデングウイルス血清型を、50コピー/ml未満のレベル、および10〜25コピー/mlの範囲でさえも、実質的に同様の感度で都合よく検出した。
【0109】
表1および3に示された結果を組み合わせることにより、生ウイルスサンプルへの標的コピーレベル濃度の割りあてを可能にする換算係数の算出が可能になった。換算係数は、5’領域アッセイを用いて、生ウイルスおよび転写物に対する95%の検出確率レベルを相関させることによって決定された。表7は、3’領域アッセイを用いたときの95%の検出確率について、算出されたコピーレベル値を示している。表7のコピーレベル感度は、一般に、本明細書中に開示される代替のアッセイの感度を比較するために有用であった。
【0110】
【表7】

前述の実施例に記載されたアッセイに加えて、増幅および検出のために使用されるある特定のオリゴヌクレオチドを共有するアッセイも作り出された。より詳細には、上記T7プロモーター−プライマーのうちの1つ、上記非T7プライマーのうちの2つ、および前述の実施例の調合に記載されたプローブが、下記に記載されるアッセイの調合において使用された。
【0111】
以下の実施例には、すべてのデングウイルス血清型を検出するための代替の5’領域アッセイを実証した手順が記載されている。記載される手順は、増幅および検出の内部標準を含まず、ゆえに、ハイブリダイゼーションプローブと非反応性である試験の妥当性を検証することができなかった。この手順において使用された試薬は、配列番号1、配列番号13および配列番号19の配列と一致する標的ハイブリダイズ配列を有するオリゴヌクレオチドを含んだ。
【0112】
実施例3
デングウイルス核酸の増幅
中程度の配列保存性しか有しない配列中のデングウイルスゲノムの5’領域を標的化するオリゴヌクレオチドを用いて、増幅反応を行った。増幅および検出の反応前に核酸を精製するために使用された標的捕捉オリゴヌクレオチドは、その3’末端において、3つのT残基に続く30個のA残基の配列(すなわち、配列番号33)に連結された配列番号30の標的相補的配列を有した。5’領域アッセイにおいて使用されたオリゴヌクレオチドプライマーは、配列番号14および配列番号15(すなわち、この2つのプライマーは配列番号13と一致)とともに、配列番号26の随意のタグ化プロモーター配列(すなわち、この完全な配列は配列番号3によって与えられる)の下流に連結された配列番号2のデングウイルス標的ハイブリダイズ配列(すなわち、配列番号1と一致)を含んだ。増幅産物の検出は、配列番号22および配列番号23の配列(すなわち、両方ともが配列番号19に一致)を有する標識されたプローブの混合物のハイブリダイゼーションによった。とりわけ、これらのプローブを個別に用いることにより、増幅産物が良好な結果で検出された。したがって、このプローブの組み合わせの使用は、重複しているかつ随意であると考えられ、個別のプローブを用いる組成物および方法の各々が、別個の好ましい実施形態に相当する。
【0113】
100、33および11コピー/mlの異なるインビトロ転写物を用いる試験のために10個の複製物を用いて2日間にわたって増幅反応を行った。いかなるデングウイルス核酸も含まない10個のネガティブコントロール反応のすべてが、予想どおりこのアッセイでは非反応性だった。4つのデングウイルス血清型の各々について300コピー/mlでインビトロ転写物の混合物を含む10個のポジティブコントロール反応のすべてが、予想どおり正の反応性を示した。増幅反応および検出反応は、内部標準鋳型および内部標準プローブの省略を除いて前述の実施例に記載したとおりだった。デングウイルス血清型の各々に対する投入コピーレベルの感度の決定は、前述の実施例に記載した回帰分析に従った。33コピー/mlのDengue−3転写物を用いて行われた増幅反応についての単一の異常なデータポイントが、この計算から除外された。この手順の結果が、以下の表に要約されており、この表は、完全性のために、95%と90%の両方の検出レベルの確率を示している。
【0114】
【表8】

表8に示されている結果は、このアッセイが、3’アッセイよりも有意に高感度であること(比較のために表7を参照のこと)、および好都合なことに、異なる血清型の検出についていくらかより均一な範囲を示すことを示唆した。比較の3’領域アッセイに対して、この実施例に記載される5’領域アッセイは、95%検出レベルでのデングウイルス血清型1〜4の検出において、それぞれ7.3倍、4.1倍、4.5倍および2.4倍高感度だった。比較のアッセイに対する最高感度および最低感度が、3.6倍異なったのに対し、この実施例に記載される5’領域アッセイに対する最高感度および最低感度は、1.25倍しか異ならなかった。これは、発明された5’領域アッセイが、非常に高感度であること、および4つすべてのデングウイルス血清型を実質的に等しく検出できることを示唆した。
【0115】
本発明の別の実施形態は、4つのデングウイルス血清型を増幅するためにたった2つの逆鎖プライマー、および異なる増幅産物を検出するために単一のプローブを使用した。本明細書中に開示される他の反応におけるように、増幅を達成するために、ライゲーション工程またはリガーゼ酵素は用いられなかった。核酸ポリメラーゼが、デングウイルス分析物核酸の比較的短い領域を増幅するために働いた。ハイブリダイゼーションプローブは、デング特異的増幅産物を検出した。例証されるように、そのプローブオリゴヌクレオチドおよびプライマーオリゴヌクレオチドは、好ましくは、物理的に別個のものであり、これは、それらが連続していない独立した骨格を有し得ることを意味する。実施例4では、第1鎖プライマー(すなわち、タグ化プロモーターオリゴヌクレオチド)が、デングウイルス核酸にハイブリダイズし、標的捕捉工程の間、増幅反応混合物中に保持された。増幅反応の早い段階において使い尽されるこのプライマーは、増幅反応を開始するために不可欠であると判明した。このプライマーを省略すると、特定のデングウイルス配列の意味のある増幅が生じない。増幅産物を検出するために使用されるハイブリダイゼーションプローブは、その長さにわたって、タグ化プロモーターオリゴヌクレオチドのデングウイルス標的ハイブリダイズ配列と十分に相補的な配列を有した。この実施例において用いられた全般的な増幅メカニズムは、Beckerらによって、共同所有されている米国特許出願番号11/810,834(この開示は参考として援用される)に教示されている。
【0116】
実施例4には、デングウイルス血清型1〜4の核酸を増幅するためおよび検出するための手順が記載されており、ここで、2つの相隔たるデングウイルス配列だけが分析物核酸の特異的な増幅および検出のために必要だった。反応混合物中の1つのプライマーが、デングウイルスの存在について試験された生物学的サンプルには存在しない増幅可能な鋳型を作り出すために使用された。増幅産物を検出するために使用されたハイブリダイゼーションプローブは、その長さにわたって、デング特異的なタグ化プロモーターオリゴヌクレオチドの標的ハイブリダイズ配列内に含まれる配列と相補的だった。デングウイルス核酸を増幅するための手順において使用された試薬は、配列番号1および配列番号19と一致する標的ハイブリダイズ配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを含んだ。そのオリゴヌクレオチドプローブは、その長さにわたって、これらの第1のプライマーの標的ハイブリダイズ配列と相補的だった。
【0117】
実施例4
ユニバーサル増幅方式を用いたデングウイルス血清型1〜4の増幅および検出
較正反応物、ネガティブコントロール反応物および分析物核酸増幅反応物を調製し、平行して行った。デングウイルス分析物核酸増幅反応を行うためのいくつかの使い捨てプラスチックチューブの各々に、400μlの標的捕捉試薬(TCR)、およびデングウイルス血清型1〜4のうちの1つに対するインビトロ転写物を含む500μlの緩衝キャリア溶液を入れた。5本のチューブの複製物を、4つのデングウイルス血清型の各々について、各標的レベルに対して(11、33、100および300コピー/ml)調製した。10本のチューブの複製物を、すべてのデングウイルス核酸を省略したネガティブコントロール(“Neg.Control”)反応物用に調製した。ネガティブコントロール試験の結果は、すべてのデングウイルス分析物核酸試験に対するコントロールとして働いた。ネガティブキャリブレーター(“Neg.Calibrator.”)試験として使用するために調製された3本のチューブの複製物の各々に、TCRアリコート、およびデングウイルス鋳型核酸を含まない500μlの緩衝キャリア溶液を入れた。ポジティブキャリブレーター(“Pos.Calibrator”)試験として使用するために調製された3本のチューブの複製物の各々に、TCRアリコート、および300コピー/mlのデングウイルス血清型−4インビトロ転写物を含む500μlの緩衝キャリア溶液を入れた。ネガティブキャリブレーター試験とポジティブキャリブレーター試験の両方が、デングウイルス分析物核酸を含むサンプルにおける反応性(すなわち、デングウイルス分析物の存在)を判定するために後で用いられるカットオフ値を確立するために働いた。デングウイルス非反応性の結果をもたらす増幅反応の完全性を確証するために、すべての増幅反応物に内部標準を含めた。したがって、各標的捕捉反応物は、300コピーの配列番号41の内部標準インビトロ転写物を含んだ。この内部標準は、配列番号41の150〜173位のヌクレオチドが、内部標準と真正のデングウイルス標的を区別するHIV−1配列(すなわち、デングウイルス核酸に存在しない配列)に相当することを除いて、デングウイルス血清型−1転写物と本質的に同一だった。改変の結果として、標的捕捉工程中に4つのデングウイルス血清型の各々にハイブリダイズしたタグ化プロモーターオリゴヌクレオチドは、内部標準鋳型にハイブリダイズすることができなかった。その内部標準鋳型は、デングウイルス血清型1〜4の核酸にハイブリダイズすることができない別個の内部標準特異的なタグ化プロモーターオリゴヌクレオチドによってハイブリダイズされた。そのTCRは、表面にオリゴ(dT)14をディスプレイする磁性粒子(Seradyn,Inc.;Indianapolis,Ind.);デングウイルス核酸と相補的である配列に連結された一続きのポリ(dA)を有する標的捕捉オリゴヌクレオチド;ならびにデングウイルス分析物核酸および内部標準核酸に特異的な別個のタグ化プロモーターオリゴヌクレオチドを含んだ。デングウイルス核酸に特異的なタグ化プロモーターオリゴヌクレオチドは、配列番号26の随意のタグ化プロモーター配列の下流に連結された配列番号2の標的ハイブリダイズ配列(すなわち、その完全な配列は配列番号3によって与えられる)を有するプロモーター−プライマーだった。その標的捕捉オリゴヌクレオチドは、配列番号30の標的ハイブリダイズ配列を有した。内部標準核酸に特異的なタグ化プロモーターオリゴヌクレオチドは、配列番号26の随意のタグ化プロモーター配列の下流に配列番号34の標的ハイブリダイズ配列(すなわち、その完全な配列は、配列番号35によって与えられる)を含んだ。TCRのこれらの構成要素を、790mM HEPES(pH7.3〜7.5)、680mM LiOH、230mMコハク酸(遊離酸)および10%硫酸ラウリルリチウムを含む標的捕捉溶液に溶解するかまたは分散させた。この手順では、標的捕捉溶液は、インビトロ転写物のすべてに対する緩衝キャリア溶液としても働いた。結果として、ハイブリダイゼーション反応混合物中の最終的な緩衝液および塩の条件は、標的捕捉溶液のそれと本質的に同一だった。混合物を60℃において20分間インキュベートすることにより、デングウイルス分析物核酸および内部標準への標的捕捉オリゴヌクレオチドおよびタグ化プロモーターオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを促進させた。ハイブリダイゼーション工程の後、混合物を室温に戻し、デングウイルス核酸または内部標準にハイブリダイズされなかった過剰量のタグ化プロモーターオリゴヌクレオチドをその系から除去した。これは、磁場をサンプルチューブに当て、吸引によって液相を除去することによって行われた。この磁性粒子から分離されたハイブリダイズされていないタグ化プロモーターオリゴヌクレオチドは、デングウイルス核酸に結合された標的捕捉オリゴヌクレオチドと複合体化し、さらに、デングウイルス核酸に結合されたタグ化プロモーターオリゴヌクレオチドと複合体化した。同様に、分離工程によって、内部標準核酸に結合された標的捕捉オリゴヌクレオチドと複合体化され、さらに内部標準核酸に結合されたタグ化プロモーターオリゴヌクレオチドと複合体化された磁性粒子から、ハイブリダイズされていないタグ化プロモーターオリゴヌクレオチドが分離された。そのチューブ内に残っている磁気ビーズ複合体を、10mM HEPES、6.5mM NaOH、1mM EDTA、0.3%(v/v)エチルアルコール、0.02%(w/v)メチルパラベン、0.01%プロピルパラベン、150mM NaClおよび0.1%(w/v)ドデシル硫酸ナトリウム,pH7.5を含む溶液で洗浄し、磁気ビーズを含んでいる液相および磁気ビーズに固定化されていない材料を除去することによって、さらに精製した。デングウイルス標的RNAおよびタグ化プロモーターオリゴヌクレオチドを含む複合体は、洗浄溶液中で安定なままだった。同様に、内部標準RNAおよびタグ化プロモーターオリゴヌクレオチドを含む複合体も、洗浄溶液中で安定なままだった。
【0118】
個別のチューブからの精製された磁気ビーズ複合体を、75μlの増幅試薬アリコートおよび蒸発を制御する200μlの不活性なオイルオーバーレイと混和することによって、増幅反応物を調製した。その増幅試薬は、11.6mM Trizma(登録商標)塩基緩衝液、15mM Trizma(登録商標)HCl緩衝液、25mM MgCl、23.3mM KCl、3.33%(v/v)グリセロール、0.05mM酢酸亜鉛、0.76mM dATP、0.76mM dCTP、0.76mM dGTP、0.76mM dTTP、0.02%(v/v)ProClin300Preservative(Supelco;Bellefonte,PA)、6.0mM ATP、6.0mM CTP、6.0mM GTPおよび6.0mM UTP(22℃においてpH7.81〜8.0)を含んだ。その増幅試薬はさらに、配列番号26および配列番号21(すなわち、配列番号19と一致)の配列を有するプライマーを含んだ。配列番号26のプライマーは、いかなるデングウイルス分析物核酸とも相補的でないユニバーサルプロモーター−プライマーとして働いた。このプライマーは、その代わりに、増幅が開始された後の反応混合物中で合成された人工鋳型の増幅にとって有用だった。それらのチューブの内容物を静かに混合し、次いで、42℃に平衡にした。次に、反応混合物に、25μlの酵素試薬アリコートを入れ、再度静かに混合し、42℃においてさらに60分間インキュベートした。その酵素試薬は、70mM N−アセチル−L−システイン、10%(v/v)TRITON(登録商標)X−102洗浄剤、16mM HEPES、3mM EDTA、0.05%(w/v)アジ化ナトリウム、20mM Trizma(登録商標)塩基緩衝液、50mM KCl、20%(v/v)グリセロール、165.6mMトレハロース,pH7ならびに224U/μLのモロニーマウス白血病ウイルス(“MMLV”)逆転写酵素および140U/μLのT7RNAポリメラーゼを含み、ここで、1単位の活性は、MMLV逆転写酵素については37℃における15分間での5.75fmolのcDNAの合成および放出、そしてT7RNAポリメラーゼについては37℃における20分間での5.0fmolのRNA転写物の生成と定義される。
【0119】
60分間のインキュベートの終わりに、増幅反応混合物を、2’−OmeRNAヌクレオチドアナログを用いて調製されたオリゴヌクレオチドプローブを用いるハイブリダイゼーションアッセイに供した。デングウイルス分析物プローブを、当業者によく知られている手順に従ってアクリジニウムエステルで標識した。その検出可能な標識を、米国特許第5,585,481号および同第5,639,604号(これらの特許の開示は参考として援用される)に記載されている手順に従って、内部に配置される非ヌクレオチドリンカーによってオリゴヌクレオチド構造に連結した。デングウイルス増幅産物の検出用の配列番号25の配列を有するオリゴヌクレオチドプローブおよび内部標準増幅産物の検出用の配列番号24の配列を有するオリゴヌクレオチドプローブを含む100μlの緩衝プローブ試薬と100μlの増幅反応容積を混和することによって、ハイブリダイゼーション反応を行った。ハイブリダイゼーション反応物を62℃において15分間インキュベートした。ハイブリダイゼーション反応を促進する条件を、75mMコハク酸、3.5%w/v硫酸ラウリルリチウム、75mM水酸化リチウム、15mMアルドリチオール−2、1,000mM塩化リチウム、1mM EDTA、3%v/vエタノールを含みpH4.2に調整された溶液によって提供した。内部標準プローブにおいて使用される検出可能な標識は、当業者によく知られている手順を用いて真正のデングウイルスプローブ上の標識と動態学的に区別可能だった。デングウイルス増幅産物を検出するためのオリゴヌクレオチドプローブは、その長さにわたって、増幅反応を行うために使用されたタグ化プロモーターオリゴヌクレオチドのデングウイルス標的ハイブリダイズ配列と完全に相補的だった。同様に、内部標準増幅産物を検出するためのオリゴヌクレオチドプローブは、その長さにわたって、増幅反応を行うために使用された内部標準特異的なタグ化プロモーターオリゴヌクレオチドの標的ハイブリダイズ部分と完全に相補的だった。混合した後、増幅産物へのオリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションを促進するために、チューブを62℃において15分間インキュベートした。ハイブリダイゼーション反応の後、0.15M四ホウ酸ナトリウム(pH8.5)および1%TRITON X−100(Union Carbide Corporation;Danbury,CT)のアリコートを加えた。これらの混合物を、まず、ハイブリダイズされていないプローブに連結されている化学発光標識を不活性化するために60℃において10分間インキュベートし、4℃に一時的に冷却した後、ハイブリダイゼーションシグナルを読み出した。各サンプル中のハイブリダイズしたプローブに起因する化学発光を、1mM硝酸および0.1%(v/v)過酸化水素を注入した後に1N水酸化ナトリウムを含む溶液を注入するように構成された商業的に入手可能な計測装置(Gen−Probe Incorporated;San Diego,CA)を用いてアッセイした。化学発光反応に対する結果を相対発光量(RLU)として測定した。
【0120】
表9に示される増幅反応および検出反応の結果を、内部標準を用いて処理することにより、その手順の完全性(例えば、非反応性のデングウイルスをもたらす任意の反応を確証するために)および反応性を測定するためのシグナル・カットオフ解析を評価した。ネガティブキャリブレーターシグナルの平均とポジティブキャリブレーターシグナルの平均の3%とを加算することによって分析物カットオフを確立することにより、41,077RLUという値が得られた。ネガティブキャリブレーターに対する内部標準シグナルの平均を二等分することによって内部標準カットオフを確立した。デングウイルスについて非反応性である任意の試験が、内部標準カットオフ以下の内部標準(“IC”)シグナル(すなわち、RLUとして測定される)を有する場合、その反応物は、無効であると宣言された。内部標準カットオフ値は、92,972RLUであると確証された。表中に列挙されている平均分析物シグナル値(すなわち、“Avg Analyte RLU”)は、所与のレベルの標的核酸におけるすべての有効なラン(すなわち、反応性のものだけでない)の平均を表している。反応性のサンプルの数と、その投入標的レベルで行われた試験数の両方を示すことによって、4つのデングウイルス血清型に対する反応性が表中に列挙されている。ネガティブキャリブレーターおよびポジティブキャリブレーターを用いて行われた試験は、反応性の基準を設定するために使用されたので、それらの試験の反応性は、表に示されていない。デングウイルス分析物の反応性を、シグナル・カットオフ(すなわち、S/CO)値を用いて判断した。これは、分析物シグナル値(各試験について測定された値)を上に記載した分析物カットオフ値で除することによって行われた。1以上の任意のS/CO結果を、陽性の反応性の表れと考えた。ネガティブコントロール増幅反応(表中の“Neg.Control”)は、デングウイルス鋳型核酸を加えずに行われた。反応混合物の構成において“Neg.Calibrator”試験と構成が似ているが、ネガティブコントロール反応からの結果は、カットオフ値を確立するために使用されなかった。この手順において行われたすべての反応は、内部標準カットオフ閾値を満たしたことから、各試験について有効な結果であることが確かめられた。とりわけ、この手順に偽陽性の結果は存在しなかった。
【0121】
【表9】

SAS(登録商標)Systemソフトウェア(バージョン9.1.3)(Cary,NY)においてプロビット関数を用いる回帰分析を表9の結果に適用することにより、各血清型に対して95%および90%の検出レベル(すなわち、それぞれ95%および90%の検出確率に必要な標的濃度)を算出した。この解析には、インプットとして標的コピーレベル(すなわち、コピー/mlという単位で測定されるもの)および反応率(fractional reactivity)が必要だった。この解析から、所定の検出レベルを達成するために必要な(すなわち、95%および90%の検出確率であるために選択される)標的コピーレベルが出力された。解析の結果を表10に示す。
【0122】
【表10】

表9に示された結果は、4つすべてのデングウイルス血清型に対する95%検出レベルが、12〜50コピー/mlの範囲内であることを示唆した。4つすべてのデングウイルス血清型に対する90%検出レベルは、有益なことに、8〜50コピー/mlの範囲内、なおも8〜15コピー/mlの範囲内だった。これらの範囲から、4つすべてのデングウイルス血清型が、実質的に同様の感度で検出されることが確かめられた。
【0123】
本発明は、そのいくつかの特定の例および実施形態を参照して説明されてきた。当然のことながら、前述の詳細な説明を検討すると当業者は本発明のいくつかの異なる実施形態を思いつくだろう。したがって、本発明の真の範囲は、添付の請求項の参照によって決定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験サンプルがデングウイルスを含むか否かを判定する方法であって、以下の工程:
(a)該試験サンプルから核酸を取得する工程;
(b)増幅用の鋳型として工程(a)において取得された該核酸をプライマーセットとともに用いてインビトロ核酸増幅反応を実施し、それにより、該試験サンプルが、デングウイルス血清型1〜4のうちのいずれかの核酸を20コピー/mlもの低濃度であったとしても含む場合、増幅産物が生成される工程であって、
ここで、該プライマーセットの第1メンバーの塩基配列は、必要に応じて上流のプロモーター配列に連結され、さらに必要に応じて上流のタグ配列に連結される、配列番号1および配列番号10からなる群より選択される標的ハイブリダイズ配列からなり、ここで、該上流のプロモーター配列も、該上流のタグ配列も、該標的ハイブリダイズ配列に連結されていない限り、デングウイルス血清型1〜4のうちのいずれの核酸にもハイブリダイズできず、かつ該インビトロ核酸増幅反応に参加できず、
該プライマーセットの第2メンバーの塩基配列は、配列番号13からなる、工程;および
(c)該インビトロ核酸増幅反応において生成された可能性のある該増幅産物のうちのいずれかを検出し、それにより、該増幅産物の検出によって、該試験サンプルはデングウイルス血清型1〜4のうちの少なくとも1つを含むと判定され、該増幅産物が検出されないことによって、該試験サンプルはデングウイルスを含まないと判定される工程
を包含する、方法。
【請求項2】
取得工程(a)が、前記試験サンプルからの核酸を固体支持体上に捕捉し、次いで、該固体支持体を単離する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
実施工程(b)における前記インビトロ核酸増幅反応が、等温のインビトロ核酸増幅反応である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
検出工程(c)が、ルミノメトリーおよびフルオロメトリーからなる群より選択される手順によって検出する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
検出工程(c)が、ルミノメトリーによって化学発光シグナルを検出する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
実施工程(b)における前記プライマーセットの前記第1メンバーの塩基配列が、前記上流のプロモーター配列に連結された配列番号1の前記標的ハイブリダイズ配列からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
実施工程(b)における前記プライマーセットが、追加のメンバーをさらに含み、該追加のメンバーの塩基配列が、前記上流のプロモーター配列に連結された配列番号10の前記標的ハイブリダイズ配列からなる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
実施工程(b)における前記プライマーセットが、配列番号16をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
検出工程(c)が、前記増幅産物を、検出可能に標識されたハイブリダイゼーションプローブと接触させる工程を包含する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記検出可能に標識されたハイブリダイゼーションプローブの塩基配列が、RNA等価塩基およびDNA等価塩基の置換を考慮に入れた配列番号19またはその相補体である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
実施工程(b)における前記プライマーセットの前記第1メンバーの塩基配列が、前記上流のプロモーター配列に連結された配列番号10の前記標的ハイブリダイズ配列からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
実施工程(b)における前記プライマーセットが、配列番号16をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
検出工程(c)が、光学シグナルを測定し、次いで、該測定された光学シグナルをカットオフ値と比較する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記試験サンプルが、血液、血液製剤および血清からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
試験サンプルがデングウイルスを含むか否かを判定するための方法であって、以下の工程:
(a)該試験サンプルから核酸を取得する工程;
(b)増幅用の鋳型として工程(a)において取得された該核酸をプライマーセットとともに用いてインビトロ核酸増幅反応を実施し、それにより、該試験サンプルが、デングウイルス血清型1〜4のうちのいずれかの核酸を50コピー/mlもの低濃度であったとしても含む場合、増幅産物が生成される工程であって、
ここで、該プライマーセットの第1メンバーの塩基配列は、必要に応じて上流のプロモーター配列に連結され、さらに必要に応じてタグ配列に連結される、配列番号1および配列番号10からなる群より選択される標的ハイブリダイズ配列からなり、ここで、該随意の上流のプロモーター配列も、該随意のタグ配列も、該標的ハイブリダイズ配列に連結されていない限り、デングウイルス血清型1〜4のうちのいずれの核酸にもハイブリダイズしないことにより、該インビトロ核酸増幅反応に参加せず、
ここで、該プライマーセットの第2メンバーの塩基配列は、RNA等価塩基およびDNA等価塩基の置換を考慮に入れた配列番号19からなる、工程;および
(c)該インビトロ核酸増幅反応において生成された可能性のある該増幅産物のうちのいずれかを検出し、それにより、該増幅産物の検出によって、該試験サンプルはデングウイルス血清型1〜4のうちの少なくとも1つを含むと判定され、該増幅産物が検出されないことによって、該試験サンプルはデングウイルスを含まないと判定される工程
を包含する、方法。
【請求項16】
前記プライマーセットの前記第1メンバーの塩基配列が、配列番号1の前記標的ハイブリダイズ配列からなる請求項15に記載の方法であって、該ハイブリダイズ配列は、必要に応じて前記上流のプロモーター配列に連結され、さらに必要に応じて該標的ハイブリダイズ配列と該上流のプロモーター配列との間の前記タグ配列に連結される、方法。
【請求項17】
前記プライマーセットの前記第1メンバーの塩基配列が、前記上流のプロモーター配列に連結され、さらに前記タグ配列に連結された、配列番号1の前記標的ハイブリダイズ配列からなり、該タグ配列が、配列番号1の該標的ハイブリダイズ配列と該上流のプロモーター配列との間に位置する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記プライマーセットが、前記インビトロ核酸増幅反応に参加する該プライマーセットの前記第2メンバーの伸長産物中に含まれる前記タグ配列の相補体にハイブリダイズするタグ化プロモータープライマーをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記インビトロ核酸増幅反応が、等温核酸増幅反応である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記インビトロ核酸増幅反応が、等温核酸増幅反応である、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
取得工程(a)が、前記試験サンプルからの核酸を固体支持体上に捕捉し、次いで、該固体支持体を洗浄することにより、その上に捕捉されていない材料を除去する工程を包含する、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
検出工程(c)が、前記増幅産物を、検出可能に標識されたハイブリダイゼーションプローブと接触させる工程を包含する、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記検出可能に標識されたハイブリダイゼーションプローブが、配列番号1の前記標的ハイブリダイズ配列と相補的である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
核酸増幅反応においてデングウイルス血清型1〜4の核酸を増幅するための組成物であって、該組成物は:
少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドであって、該少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの塩基配列は、必要に応じて上流のプロモーター配列に連結され、さらに必要に応じて上流のタグ配列に連結される、配列番号1および配列番号10からなる群より選択される標的ハイブリダイズ配列からなり、ここで、該随意の上流のプロモーター配列も、該随意のタグ配列も、該標的ハイブリダイズ配列に連結されていない限り、いずれのデングウイルス核酸にもハイブリダイズできず、かつ該核酸増幅反応に参加できない、少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチド;および
少なくとも1つの第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドであって、該少なくとも1つの第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドのうちの1つの塩基配列が、配列番号13からなる、少なくとも1つの第2鎖プライミングオリゴヌクレオチド
を含み、ここで、該組成物は、該核酸増幅反応の開始時に反応容積100μlあたり10コピーもの少量であったとしても存在する場合にデングウイルス血清型1〜4の核酸を検出可能に増幅する、組成物。
【請求項25】
前記少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドが、2つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドを含み、
該2つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドのうちの一方の塩基配列が、必要に応じて前記上流のプロモーター配列に連結される配列番号1からなり、および
該2つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドのうちの他方の塩基配列が、必要に応じて該上流のプロモーター配列に連結される配列番号10からなる、
請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記2つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの各々が、前記上流のプロモーター配列を含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記少なくとも1つの第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドが、追加の第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドをさらに含み、該追加の第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドの塩基配列が配列番号16からなる、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記少なくとも1つの第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドが、追加の第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドをさらに含み、該追加の第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドの塩基配列が配列番号16からなる、請求項24に記載の組成物。
【請求項29】
核酸増幅反応においてデングウイルス血清型1〜4の各々の核酸を検出する際に使用するためのキットであって、1つ以上の容器のパッケージングされた組み合わせにおいて以下のもの:
少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドであって、該少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの塩基配列は、必要に応じて上流のプロモーター配列に連結され、さらに必要に応じて上流のタグ配列に連結される、配列番号1および配列番号10からなる群より選択される標的ハイブリダイズ塩基配列からなり、ここで、該上流のプロモーター配列も、該タグ配列も、該標的ハイブリダイズ塩基配列に連結されていない限り、いずれのデングウイルス核酸にもハイブリダイズせず、かつ該核酸増幅反応に参加しない、少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチド;および
第2のオリゴヌクレオチドであって、該第2のオリゴヌクレオチドの塩基配列は、RNA等価塩基およびDNA等価塩基の置換を考慮に入れた配列番号19からなる、第2のオリゴヌクレオチド
を備える、キット。
【請求項30】
前記少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの塩基配列が、前記上流のプロモーター配列と前記上流のタグ配列の両方に連結された配列番号1からなり、該上流のタグ配列が、該少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの標的ハイブリダイズ塩基配列の間に位置し、前記第2のオリゴヌクレオチドが、DNA骨格を含むプライミングオリゴヌクレオチドである、請求項29に記載のキット。
【請求項31】
前記上流のプロモーター配列に連結された前記タグ配列からなるタグ化プロモーターオリゴヌクレオチドをさらに備える、請求項30に記載のキット。
【請求項32】
第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドをさらに備える請求項29に記載のキットであって、
該第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドの塩基配列が、配列番号13からなり、
前記第2のオリゴヌクレオチドが、ハイブリダイゼーション検出プローブであり、
前記少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドおよび該第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドが、前記核酸増幅反応において組み合わされるとき、該核酸増幅反応の開始時に反応容積100μlあたり10コピーもの少量であったとしても存在する場合にデングウイルス血清型1〜4の核酸を検出可能に増幅する、
キット。
【請求項33】
追加の第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドをさらに備える請求項32に記載のキットであって、該追加の第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドの塩基配列が、配列番号16からなる、キット。
【請求項34】
前記少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドが、2つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドを含む請求項29に記載のキットであって、
該2つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドのうちの一方の塩基配列が、必要に応じて前記上流のプロモーター配列に連結される配列番号1からなり、および
該2つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドのうちの他方の塩基配列が、必要に応じて該上流のプロモーター配列に連結される配列番号10からなる、
キット。
【請求項35】
前記2つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの各々が、前記上流のプロモーター配列を含む、請求項34に記載のキット。
【請求項36】
第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドおよび追加の第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドをさらに備える請求項35に記載のキットであって、該第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドの塩基配列が、配列番号13からなり、該追加の第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドの塩基配列が、配列番号16からなり、配列番号19の塩基配列を含む前記第2のオリゴヌクレオチドが、ハイブリダイゼーション検出プローブである、キット。
【請求項37】
プローブオリゴヌクレオチドをさらに備える、請求項30に記載のキット。
【請求項38】
前記プローブオリゴヌクレオチドの塩基配列が、配列番号25からなる、請求項37に記載のキット。
【請求項39】
第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドをさらに備える請求項34に記載のキットであって、該第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドの塩基配列が、配列番号13からなり、前記第2のオリゴヌクレオチドが、ハイブリダイゼーション検出プローブである、キット。
【請求項40】
核酸増幅反応においてデングウイルス血清型1〜4の各々の核酸を検出する際に使用するためのキットであって、該キットは、1つ以上の容器のパッケージングされた組み合わせにおいて以下のもの:
最大73塩基長の少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドであって、該少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの3’末端の塩基配列は、必要に応じて上流のプロモーター配列に連結され、さらに必要に応じて上流のタグ配列に連結される、配列番号1、配列番号10および配列番号42〜47からなる群より選択される標的ハイブリダイズ塩基配列からなり、ここで、該上流のプロモーター配列も、該上流のタグ配列も、該標的ハイブリダイズ塩基配列に連結されていない限り、いずれのデングウイルス核酸にもハイブリダイズせず、かつ該核酸増幅反応に参加しない、少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチド;および
鋳型として配列番号36〜39のいずれかを用いたときの該少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの伸長産物にハイブリダイズする少なくとも1つの第2鎖プライミングオリゴヌクレオチド
を備え、ここで、該第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドと該第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドとが組み合わされて、該核酸増幅反応の開始時に反応容積100μlあたり10コピーもの少量であったとしても存在する場合にデングウイルス血清型1〜4の核酸を検出可能に増幅する、キット。
【請求項41】
前記少なくとも1つの第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドの塩基配列が、RNA等価塩基およびDNA等価塩基の置換を考慮に入れた配列番号19からなる、請求項40に記載のキット。
【請求項42】
前記少なくとも1つの第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドの塩基配列が、配列番号13からなる、請求項40に記載のキット。
【請求項43】
前記少なくとも1つの第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドの塩基配列が、配列番号16からなる、請求項40に記載のキット。
【請求項44】
前記少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの前記標的ハイブリダイズ塩基配列の10位が、イノシンである、請求項40に記載のキット。
【請求項45】
核酸増幅反応においてデングウイルス血清型3の核酸を検出する際に使用するためのキットであって、該キットは、1つ以上の容器のパッケージングされた組み合わせにおいて以下のもの:
最大73塩基長の少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドであって、該少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの3’末端の塩基配列は、必要に応じて上流のプロモーター配列に連結され、さらに必要に応じて上流のタグ配列に連結される、配列番号48〜55からなる群より選択される標的ハイブリダイズ塩基配列からなり、ここで、該上流のプロモーター配列も、該タグ配列も、該標的ハイブリダイズ塩基配列に連結されていない限り、いずれのデングウイルス核酸にもハイブリダイズせず、かつ該核酸増幅反応に参加しない、少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチド;および
鋳型として配列番号38のいずれかを用いたときの該少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの伸長産物にハイブリダイズする少なくとも1つの第2鎖プライミングオリゴヌクレオチド
を備え、ここで、該第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドと該第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドとが組み合わされて、該核酸増幅反応の開始時に反応容積100μlあたり10コピーもの少量であったとしても存在する場合にデングウイルス血清型3の核酸を検出可能に増幅する、キット。
【請求項46】
前記少なくとも1つの第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドの塩基配列が、RNA等価塩基およびDNA等価塩基の置換を考慮に入れた配列番号19からなる、請求項45に記載のキット。
【請求項47】
前記少なくとも1つの第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドの塩基配列が、配列番号13からなる、請求項45に記載のキット。
【請求項48】
前記少なくとも1つの第2鎖プライミングオリゴヌクレオチドの塩基配列が、配列番号16からなる、請求項45に記載のキット。
【請求項49】
前記少なくとも1つの第1鎖プライミングオリゴヌクレオチドの前記標的ハイブリダイズ塩基配列の10位が、イノシンである、請求項45に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−502936(P2013−502936A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527109(P2012−527109)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【国際出願番号】PCT/US2010/047399
【国際公開番号】WO2011/026139
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(500169900)ジェン−プローブ・インコーポレーテッド (32)
【Fターム(参考)】