説明

データロガー及び測定器

【課題】 簡易な構成により時刻合わせが可能なデータロガーを提供する。
【解決手段】 データ制御部20は、入力部12により時刻設定操作を行うことにより、外部メモリ30を検索して時刻設定ファイルを抽出し、該時刻設定ファイルに基づき時刻発生部18が出力する時刻データを補正し、測定データの入力に基づき、時刻発生部18から時刻データを取得して測定データとの対応付けを行い、時刻データ及び測定データを外部メモリ30に記録するデータロガー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データロガー及び測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の測定器として、対象物の各種物理量を測定して得られた測定データを、測定時刻と共にメモリに記録することができるデータロガー機能を有するものが知られている。このような測定器において、測定時刻の出力は一般には内属されたクロック回路により行われるが、実際の時刻との誤差が生じやすいことから、時刻の補正が必要となる。そこで、特許文献1には、GPS衛星からの時刻信号を受信してクロック信号に基づく時刻を補正し、現在の時刻信号として出力することが開示されている。
【特許文献1】特開平11−281779号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、特許文献1の構成は、時刻信号の電波を受信するためのGPS受信機が必要になるだけでなく、受信のための電力消費が避けられないため、時刻補正を簡易に行える測定器が求められていた。
【0004】
そこで、本発明は、簡易な構成により時刻合わせが可能なデータロガー及び測定器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の前記目的は、入力操作を行うための入力部と、発振器からのクロック信号をカウントして時刻データを出力する時刻発生部と、外部メモリを装着可能な装着部と、前記外部メモリに対するデータの書き込み及び読み出しを行うデータ制御部とを備え、外部から入力された測定データを前記外部メモリに記録するデータロガーであって、前記データ制御部は、前記入力部により時刻設定操作を行うことにより、前記外部メモリを検索して時刻設定ファイルを抽出し、該時刻設定ファイルに基づき前記時刻発生部が出力する前記時刻データを補正し、前記測定データの入力に基づき、前記時刻発生部から前記時刻データを取得して前記測定データとの対応付けを行い、前記時刻データ及び測定データを前記外部メモリに記録するデータロガーにより達成される。
【0006】
また、本発明の前記目的は、対象物を測定して測定データを出力する測定部と、入力操作を行うための入力部と、発振器からのクロック信号をカウントして時刻データを出力する時刻発生部と、外部メモリを装着可能な装着部と、前記外部メモリに対するデータの書き込み及び読み出しを行うデータ制御部とを備え、前記データ制御部は、前記入力部により時刻設定操作を行うことにより、前記外部メモリを検索して時刻設定ファイルを抽出し、該時刻設定ファイルに基づき前記時刻発生部が出力する前記時刻データを補正し、前記入力部の測定操作による前記測定部からの測定データの入力に基づき、前記時刻発生部から前記時刻データを取得して前記測定データとの対応付けを行い、前記時刻データ及び測定データを前記外部メモリに記録する測定器により達成される。
【0007】
この測定器において、前記入力部は、前記測定操作及び時刻設定操作を同一の入力スイッチで行うように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡易な構成により時刻合わせが可能なデータロガー及び測定器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】

以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る測定器の概略構成を示すブロック図である。
【0010】
図1に示すように、測定器1は、測定部10、入力部12、表示部14、装着部16、時刻発生部18及びデータ制御部20を備えている。
【0011】
測定部10は、本実施形態では対象物の質量を秤量する電子天秤であり、ロードセル方式や電磁力平衡方式により、荷重の大きさに応じた電気信号を測定データとして出力する。測定部10は、対象物の測定データを出力するものであれば特に限定されず、例えば、温湿度計、pH計、血糖値計などのように、環境や医療など種々の分野における測定機器を使用することができる。
【0012】
入力部12は、単一のプッシュスイッチから構成されており、スイッチが押圧されている間、操作信号がデータ制御部20に入力される。
【0013】
表示部14は、発光色がそれぞれ異なる時刻設定LED14a、スタンバイLED14b、アクセスLED14cの3種類のLEDを備えている。表示部14は、液晶表示パネルなどであってもよい。
【0014】
装着部16は、SDメモリカードなどのフラッシュメモリやHDD(ハードディスクドライブ)など公知の外部メモリ30を着脱可能なスロットからなる。
【0015】
時刻発生部18は、内蔵する発振器18aから発生するクロック信号をカウントすることにより実際の時刻を計測し、時刻データを出力する。
【0016】
データ制御部20は、装着部16に外部メモリ30が装着された状態で、外部メモリ30へのデータの書き込みや、外部メモリ30からのデータの読み取りを行う。
【0017】
このように構成された測定器1によれば、まず装着部16に外部メモリ30を装着した後、入力部12のプッシュスイッチを押圧すると、データ制御部20は、スタンバイLED14bを点灯させて、測定部10から出力される測定データの記録を開始する。測定部10からの測定データの出力は、所定の時間間隔で行われ、データ制御部20は、測定データ受信のタイミングに合わせてアクセスLED14cを点灯させると共に、受信した測定データを、時刻発生部18により生成された時刻データに対応付けて、CSVなどのファイル形式で測定データファイルを生成し、外部メモリ30に格納する。なお、測定データファイルのファイル名となるファイル番号に空きがない場合や、外部メモリ30が装着されていない場合には、データ制御部20は、スタンバイLED14b及びアクセスLED14cを点滅させて、エラー表示を行う。
【0018】
そして、入力部12のプッシュスイッチを再び押圧すると、データ制御部20は、測定データの記録を終了し、スタンバイLED14bを消灯する。なお、入力部12のプッシュスイッチを更に押圧した場合には、測定データファイルが新たに作成され、測定データの記録が最初から行われる。
【0019】
この後、外部メモリ30を取り出し、パーソナルコンピュータ等において測定データファイルを所定のアプリケーションで開くことにより、データの閲覧や加工を行うことができる。
【0020】
図2は、測定データをパーソナルコンピュータに表示した表示画面の一例を示しており、秤量の測定データが、測定日時を表す時刻データに対応付けられて、表形式で表示されている。測定データには、時刻データ以外に、使用者(使用者番号)、使用量、対象物名(対象物番号)などの関連データを付加することも可能であり、これらの入力を可能にするため、入力部12は、テンキーなどを備えていてもよい。
【0021】
ところで、時刻発生部18が生成する時刻データは、クロック信号のカウントにより行われるため、時間の経過と共に実際の時刻とのずれが大きくなるおそれがある。このため本実施形態の測定器は、時刻データの時刻合わせを、以下のようにして行うことができる。
【0022】
まず、外部メモリ30には、時刻設定を行うための時刻設定ファイルをパーソナルコンピュータなどで作成して、予め格納しておく。時刻設定ファイルは、例えばテキスト形式で作成することができ、年月日時分秒を14個の数字で表したものである。例えば、ある時点での時刻から10分後である2008年4月25日15時40分00秒に時刻設定する場合、データ制御部20は、「20080425154000」のデータを時刻設定ファイルとして外部メモリ30に格納する。
【0023】
そして、この外部メモリ30を装着部16に装着し、腕時計やテレビ・電話の時報などを利用して、実際の時刻が時刻設定ファイルの設定時刻になると同時に入力部12のプッシュスイッチを3秒以上長押しすると、データ制御部20は、時刻設定LED14aを点灯させると共に、外部メモリ30から時刻設定ファイルを読み出して、時刻発生部18が出力する時刻データが、入力部12の押圧開始時点で設定時刻と一致するように補正する。こうして、測定器1内に特別な装置を設けることなく、時刻合わせを行うことができる。なお、外部メモリ30に時刻設定ファイルが存在しない場合や、時刻設定ファイルのデータが正常でない等、時刻データの補正ができない場合には、データ制御部20は、時刻設定LED14aを点滅させてエラー表示を行う。
【0024】
この後は、上記のように入力部12のプッシュスイッチを押圧し、測定データの記録を開始することにより、測定データが正確な測定時刻に対応付けられた測定データファイルを得ることができる。
【0025】
本実施形態においては、時刻設定のための時刻設定操作を入力部12の3秒以上の長押しで行う一方、測定開始または終了のための測定操作を入力部12の3秒未満の短押しで行うように構成しているが、データ制御部20が両者の操作目的を判別可能である限り、他の操作であってもよい。例えば、入力部12が所定時間内に複数回押圧された場合を時刻設定操作として、一回の押圧による測定操作と判別できるように構成してもよい。これらの構成によれば、単一の入力スイッチからなる入力部12によって、測定操作及び時刻設定操作の双方を行うことができるので、構成を簡素化することができる。但し、入力部12は、測定操作及び時刻設定操作をそれぞれ別のスイッチで行うように構成されていてもよい。
【0026】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されない。例えば、図3に示すデータロガー40は、図1に示す測定器1が有する入力部12、表示部14、装着部16、時刻発生部18及びデータ制御部20と同様の機能を有する構成要素を備えており、外部装置である測定装置50が有するRS−232C端子などの出力端子にケーブルを介して着脱自在とされている。このように構成されたデータロガー40は、図1に示す測定器と同様に、簡易な構成による時刻合わせを可能にしつつ、種々の測定器に対して使用可能な汎用性の高いものとすることができる。
【0027】
外部の測定装置50としては、電子天秤などの各種計測機器を挙げることができ、何らかの測定データを出力可能なものであれば特に限定されない。更に、データロガー40への測定データの入力は、必ずしも外部の測定装置から行う必要はなく、入力部12を介して手動で行うように構成することも可能である。例えば、図4に示す入退室用のデータロガー40は、入力部12として、入退室切替スイッチ121及びテンキー122を備えており、入退室者が、入退室切替スイッチ121を入室または退室のいずれかに操作し、ID及びパスワードをテンキー122の操作により入力して、最後にエンターキーを押圧すると、図3に示すデータ制御部20は、入力されたID及びパスワードを測定データとして、エンターキーが押圧された測定時刻と共に外部メモリ30に格納する。このデータロガー40によれば、外部メモリ30に格納された時刻設定ファイルに基づき、テンキー122の操作により時刻合わせを行うことができ、入退室者の正確な入退室時刻を外部メモリ30に記録することができる。
【0028】
外部メモリ30は、セキュリティ保護のため、専用鍵(図示せず)で装着部16にロックできるように構成することが好ましい。また、このような入退室用のデータロガー40は、鍵管理ボックスや薬品庫などの内容物の履歴管理に用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係る測定器の概略構成を示すブロック図である。
【図2】測定データを外部装置で表示した画面の一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るデータロガーの概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るデータロガーの外観図である。
【符号の説明】
【0030】
1 測定器
10 測定部
12 入力部
14 表示部
16 装着部
18 時刻発生部
20 データ制御部
30 外部メモリ
40 データロガー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力操作を行うための入力部と、
発振器からのクロック信号をカウントして時刻データを出力する時刻発生部と、
外部メモリを装着可能な装着部と、
前記外部メモリに対するデータの書き込み及び読み出しを行うデータ制御部とを備え、
外部から入力された測定データを前記外部メモリに記録するデータロガーであって、
前記データ制御部は、
前記入力部により時刻設定操作を行うことにより、前記外部メモリを検索して時刻設定ファイルを抽出し、該時刻設定ファイルに基づき前記時刻発生部が出力する前記時刻データを補正し、
前記測定データの入力に基づき、前記時刻発生部から前記時刻データを取得して前記測定データとの対応付けを行い、前記時刻データ及び測定データを前記外部メモリに記録するデータロガー。
【請求項2】
対象物を測定して測定データを出力する測定部と、
入力操作を行うための入力部と、
発振器からのクロック信号をカウントして時刻データを出力する時刻発生部と、
外部メモリを装着可能な装着部と、
前記外部メモリに対するデータの書き込み及び読み出しを行うデータ制御部とを備え、
前記データ制御部は、
前記入力部により時刻設定操作を行うことにより、前記外部メモリを検索して時刻設定ファイルを抽出し、該時刻設定ファイルに基づき前記時刻発生部が出力する前記時刻データを補正し、
前記入力部の測定操作による前記測定部からの測定データの入力に基づき、前記時刻発生部から前記時刻データを取得して前記測定データとの対応付けを行い、前記時刻データ及び測定データを前記外部メモリに記録する測定器。
【請求項3】
前記入力部は、前記測定操作及び時刻設定操作を同一の入力スイッチで行うように構成されている請求項2に記載の測定器。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−66010(P2010−66010A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−229800(P2008−229800)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(397069868)アズワン株式会社 (23)
【出願人】(591083978)大阪マイクロコンピュータ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】