説明

データ・ロガー

【課題】
【課題】外乱による加速度を測定する加速度センサを用いて人為的動作で表示等の命令を入力するデータ・ロガーを提供すること。
【解決手段】データ・ロガーは、加速度センサと温度センサ等の物理量を測定するセンサと表示体とメモリとマイクロプロセッサと電源と外部接続端子らなる。測定された物理量は、メモリに記憶され、外部接続端子を介して外部のパソコン等に送信されると共に表示体に表示できる。メモリには、データ・ロガーの操作命令に対応した加速度モデルが記憶されている。予め定められた前後左右上下の移動、傾斜又は回転等の人為的操作により生じる加速度信号が加速度モデルに相当するかどうかを判断して、データ・ロガーの人為的動作により表示体への表示内容の変更及び操作モードの変更等を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作で命令を入力するデータ・ロガーに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末に加速度センサを設けて、携帯端末の動きで操作命令を入力する技術が、特開2003−162371号公報、特開平6−4208号公報、特開平5−7302号公報等に開示されている。これらは、ボタンスイッチの代わりに加速度センサを設けた技術で、新規に複数の加速度センサを追加しなければならない欠点があり、更に、連続で測定している外乱による加速度の測定モードから人為的動作による加速度の測定モードへの切替方法、測定の低消費電力化方法、測定データの代表値化等によるメモリ量の削減方法等のデータ・ロガーに必要な技術を開示していない。加えて、防水に関する開示もなされていない。
【0003】
また、温度データを時系列的にメモリーに記憶する防水構造のデータ・ロガーが特開平9−115084号公報に開示されている。しかし、この測定ユニットは、命令をボタンスイッチ等で入力する機構を取り除いたために、測定ユニットのみで温度表示を例えば平均温度、最低温度や最高温度等に変更することができない問題がある。更に、この測定ユニットは、測定する物理量が温度の1種類であるが、測定ユニットの同一筐体内に加速度、温度等のセンサを配した場合、測定ユニット自身で表示対象を切り替えられない問題もある。
【特許文献1】特開平5−7302号公報
【特許文献2】特開平6−4208号公報
【特許文献3】特開平9−115084号公報
【特許文献4】特開2003−162371号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする第1の課題は、外乱による加速度を時系列に測定し記憶するために設けた加速度センサを、マイクロプロセッサへの命令入力手段として共用するデータ・ロガーを提供することにある。
【0005】
本発明が解決しようとする第2の課題は、加速度センサを含むデータ・ロガーの測定モードや表示モードの変更を予め定められた前後左右上下の移動、傾斜又は回転等の人為的操作により行うデータ・ロガーを提供することにある。
【0006】
本発明が解決しようとする第4の課題は、加速度センサを含む防水構造のデータ・ロガーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、物理量を測定するセンサと、センサが測定した物理量を表示する表示体と、センサが測定した物理量を記憶するメモリと、マイクロプロセッサと、電源と、外部接続端子を有するデータ・ロガーであって、外乱と人為的動作による加速度を測定するセンサを用いて人為的動作によりマイクロプロセッサに命令を入力することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、物理量を測定するセンサと、センサが測定した物理量を表示する表示体と、センサが測定した物理量を記憶するメモリと、マイクロプロセッサと、電源と、外部接続端子を有するデータ・ロガーであって、マイクロプロセッサへの命令に対応する命令モデルを記憶する機能と、温度と加速度を測定する機能と、外乱による加速度信号と人為的動作による加速度信号を所定時間間隔でサンプリングする機能と、加速度信号が命令モデルに相当するかどうかを判断する機能と、人為的動作によりマイクロプロセッサに命令を入力する機能を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記データ・ロガーにおいて、センサが加速度センサの他に、温度センサ、湿度センサ、近接センサ、圧力センサ、電場センサ、磁場センサ、ガスセンサ、紫外線センサ及び放射線センサの1つ又は複数からなることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記データ・ロガーにおいて、センサと表示体とメモリとマイクロプロセッサと電源と外部接続端子が防水筐体に収納されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、加速度の測定と命令の入力を同一の加速度センサで行うことにより、キーボードや押しボタン等の入力装置を無くしたデータ・ロガーを提供できる。
【0012】
また、本発明は、データ・ロガーをパソコンと接続しないで、人為的動作により測定モードや表示モードを変更できるデータ・ロガーを提供できる。
【0013】
また、本発明は、筐体の表面にボタンスイッチ等の機械的スイッチを配設しないので、単純で且つ完全な防水構造を有するデータ・ロガーを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
データ・ロガーは、センサにより測定されたデータを時系列的に記憶する測定ユニットである。先ず、データ・ロガーに設けられているモードと命令について、簡潔に説明する。
【0015】
データ・ロガーに設けられている測定モードは、加速度を測定するデータ・ロガー本来の機能である加速度測定モードと、動作で命令を入力するための命令測定モードとからなる。命令測定モードは、データ・ロガーを操作するために人為的に加えられた加速度を測定するモードであり、操作モードと同義である。操作モードには、命令移行モードと、選択モードと、決定モードがある。命令移行モードは、加速度測定モードと命令測定モードとの移行を実行するモードである。選択モードは、命令移行モードと決定モード以外のモードを選択するモードである。決定モードは、選択モードで選択されたモードを確定するモードである。表示モードは、種々の命令やデータを表示体3に表示するモードであり、また入出力モードは、データや命令の入出力を有効・無効にするモードで、それぞれ選択モードの1種である。
【0016】
データ・ロガーに設けられている命令は、モードに対応している。動作により入力できる命令には、加速度測定モードと命令測定モードとの移行を実行する操作移行命令と、命令測定モードに移行後に命令を選択する選択命令と、選択された命令を決定する決定命令が設定されている。選択命令は、データ・ロガーへの種々の命令を選択する命令である。選択された選択命令は、決定命令が入力されて始めて確定されるように設定されている。
【0017】
図1は、本発明になるデータ・ロガーの斜視図である。データ・ロガー1の筐体には、データや命令等を表示する表示体2と、パソコンと通信するUSB端子3が配され、キーボードやボタンスイッチ等は配設されていない。また、データ・ロガーを輸送ケース等に取付けるための孔4が4箇所設けられている。これらの孔を突起状の係止部材とし、輸送ケースに係止孔を設けても良い。
【0018】
図2は、データ・ロガー1の回路ブロックを示す。データ・ロガー1は、マイクロプロセッサ5、メモリ6、加速度センサ7、温度センサ8a、圧力センサ8b、表示体9、タイマー10、ブザー11、電池12とUSB端子(3、13)からなる。
【0019】
マイクロプロセッサ5は、入力、記憶、演算、制御、出力を行うデバイスで、センサの出力信号をサンプリングして処理するための信号処理手段が搭載されている。信号処理手段は、外乱によるセンサ出力信号をサンプリングして記憶する手段と、サンプリングし記憶したデータを代表値(例えば、最高温度、平均温度、最低温度、異常値等)に圧縮し記憶する手段と、動作による加速度出力信号をサンプリングして加速度パターンを作成する手段と、加速度パターンを予め設定されている複数の命令パターンの中の1つの命令パターンと同一であると認定する手段と、動作に基づく命令を実行させる手段等からなる。
【0020】
また、マイクロプロセッサ5は、パソコンとデータの入出力を制御すると共に、パソコンから入力された測定条件に基づいて、データ・ロガー1に設けられた各種センサの出力信号をサンプリングしてメモリ6に送信する。なお、センサの測定条件は、マイクロプロセッサ5あるいはメモリ6にデフォルト値として設定されており、パソコンからの測定条件の変更命令がない場合は、デフォルト値でセンサの測定を行うようになっている。
【0021】
メモリ6は、EEPROMを含むROMと、RAMからなる。また、マイクロプロセッサ5がMCU(Microcontroller Unit)の場合、メモリ6は、EEPROMである。
【0022】
センサは、物理量と化学量を測定するセンサであり、本発明のデータ・ロガーは、加速度を測定する加速度センサ7をセンサとして必ず備えている。加速度センサ7は、マイクロマシニング技術で半導体シリコン基板に製作された容量型加速度センサで、3個の加速度センサが直交して配設された3次元加速度センサである。3次元加速度センサは、3軸分の加速度センサが1つのパッケージに実装されたタイプを用いても良い。本発明に適する加速度センサは、静的加速度を測定できるタイプで、その原理や構造は限定されない。
【0023】
データ・ロガー1の筐体1aは、直方体で、加速度センサは、それらの面に平行に設置されている。そして、この加速度センサ6は、データ・ロガーが取付けられた輸送ケース等に加えられた加速度を測定するとともに、予め定められた人為的動作をデータ・ロガーの命令に変換する信号を出力するものである。加速度センサを筐体1aの3面にそれぞれ平行に設置することにより、人為的動作の解析計算を大幅に単純化することができる。
【0024】
センサには、加速度センサの他に、温度センサ8aと圧力センサ8bが配設されている。更に、湿度センサ、近接センサ、圧力センサ、電場センサ、磁場センサ、ガスセンサ、紫外線センサ、照度センサ又は放射線センサ等を追加しても良い。センサ群の中に、加速度センサ7は不可欠であるが、他のセンサは必要に応じて追加するようになっている。なお、温度センサは、サーミスタ温度センサであり、圧力センサは、半導体気圧センサである。
【0025】
測定ユニットには、測定データの累積値のみを測定する装置が多い。例えば、放射性物質取扱者の健康管理に欠かせない放射線センサは、放射線の累積値を測定するデバイスが慣用されているが、時系列の放射線被爆を測定することにより、より細かく正確な管理が可能となる。
【0026】
表示体9は、液晶表示体である。タイマー10は、動作時間の設定等に用いられ、プログラムソフトからなるマイコンタイマーでも良い。ブザー11は、予め設定された時間が経過したこと等を知らせるための装置で、音で知らせるものである。振動で知らせる場合、ブザー11は、振動装置である。電池12は、リチューム電池である。外部端子としてUSB端子13を用いたが、外部端子の規格は特段に限定されない。
【0027】
図3は、システムとしてのデータ・ロガーを示す。データ・ロガー1は、パソコン16とUSBケーブル14を介してデータの入出力を直接行う場合と、データ・ポッド15を介して行う場合がある。やり取りするデータは、測定する物理量の測定項目、測定条件、測定データ、測定時刻や、取扱者等である。また、データ・ロガー1とデータ・ポッド15のドライバーをパソコン16に予めインストールしておく。データ・ロガーが測定した各種センサのデータは、パソコンにグラフやデータ表として測定時刻と共に表示される。データ・ロガーを輸送管理に使用する場合、パソコン16とデータ・ポッド15は、営業所等に配された物を使用し、営業所毎に異なる物である。
【0028】
データ・ロガー1がパソコン16と離れているためにUSBケーブル14で接続できない場合、データ・ポッド15を介して、データや命令の入出力を行う。データ・ポッド15には、マイクロプロセッサ、メモリ、ボタンスイッチ15a、表示体15bと電池等が配設されている。
【0029】
パソコン16とデータ・ロガー1との間でデータ・ポッド15を介してデータや命令の入出力を行う例を以下に示す。データ・ポッド15をパソコン16に接続し、パソコン16から測定項目、測定条件、取扱者等のデータをデータ・ポッド15に入力する。次に、データや命令が入力されたデータ・ポッド15のUSB端子13をデータ・ロガー1に接続し、パソコン16で入力されたデータや命令をデータ・ロガー1に入力する。このようにして、データ・ロガー1に必要な設定条件が入力される。また、取扱者のデータは、測定途中や輸送途中に関係した測定者や荷取扱者の名前を随時入力するようになっている。
【0030】
逆に、センサが測定したデータ等をデータ・ロガー1からデータ・ポッド15に出力し、更にデータ・ポッド15からそれらのデータをパソコン16に入力する。データ・ポッド15を介して、測定途中や輸送途中の測定データをパソコン16に取込むことができる。このようなことにより、異常な測定値を早く知ることが可能になり、素早い事故対応ができるようになる。また、ポータブルパソコンを用いると、データの入出力をUSBカーブル14で直接接続して行うこともできる。
【0031】
データ・ポッド15は、ボタンスイッチ15aが設けられており、スイッチをONすることにより、データの入出力が可能状態となり、OFFにすることにより入出力が禁止状態になる。また、データ・ポッド15の表示体15bは、ボタンスイッチ15aの状態や、パソコン16やデータ・ポッド1からのデータ入出力の開始・終了等の状態等を表示する。この表示により、測定者や取扱者は状態を確認しながら操作ができるので操作ミスを防止することができる。
【0032】
加速度測定モードでは、先ず加速度センサからの出力信号を予め定められた時間間隔でサンプリングする。次に、所定時間内でサンプリングされた出力信号の最大値もしくは、予め定められた限界値を外れた出力信号を検出された異常値として記録する。演算時間に余裕があれば、加速度変化あるいは振動加速度の周波数分析も行いこれも同時に記録する。周波数の分析は、加速度が所定時間内の平均値を中心として何回大小に振れたかという簡易的な方法や、FFT演算による周波数分析等による。温度センサの場合、所定時間内でサンプリングされた出力信号の代表値として、最大値、平均値、最小値や異常値等を記憶する。更に、サンプリングされた出力信号をデータ化し圧縮して記憶しても良い。なお、代表値あるいは異常値を定義する限界値は、センサ毎に任意に設定できるようになっている。
【0033】
人為的動作で入力する命令は、データ・ロガー1に配設されているマイクロプロセッサ5への命令で、操作移行命令と選択命令と決定命令からなる。また、測定モードに加速度測定モードと命令測定モードがあるが、操作移行命令と選択命令と決定命令は、命令測定モードで実行される。
【0034】
操作移行命令は、加速度測定モードと命令測定モードとの移行を行う命令である。選択命令は、命令測定モードが有効となった後に実行できる命令で、表示項目の検索やデータ・ロガー1の入出力モードの有効と無効の命令等である。
【0035】
また、命令測定モードは、加速度測定モードと命令測定モードとを切り替える操作移行モードと、命令を選択する選択モードと、選択されたモードを決定する決定モードからなるが、命令を選択する選択モードは、単独では有効とならないで、操作移行モードに移行した後に有効となる。また、決定モードも、単独では有効とならないで、選択モード中で有効となる。
【0036】
人為的に加えられたシーケンシャルな動作は、加速度パターンに整形され、命令に対応して予め定められ命令パターンと比較される。人為的加速度パターンが命令パターンと同一と判断された場合、データ・ロガー1のマイクロプロセッサ5にその命令が入力されたものとマイクロプロセッサ5が認知する。データ・ロガー1にはいろいろの振動が加わるので、外乱を命令と間違えて判断しないように、命令パターンは、外乱では生じ難いパターンに設定されている。
【0037】
命令測定モードでは、命令に対応した加速度パターンを生成するために数秒の間の加速度信号を時系列的に測定して記憶する必要があるが、しかし、予め定められた時間内の最大加速度データ等の記憶は必要がない。このように、加速度測定モードと命令測定モードは、同一の加速度センサを使用しているが、異なる構成要素からなるモードである。
【0038】
図4は、人為的動作をデータ・ロガーに加えて、データ・ロガーを操作モードに移行させる方法の1例を示す。データ・ロガー1に人為的動作で入力する命令は、操作移行命令と選択命令と決定命令がある。加速度測定モードから命令測定モードへの操作移行命令と、命令測定モードから加速度測定モードへの操作移行命令は、同一の人為的動作で良い。選択命令は、データや命令をスクロールし、必要とする事項を検索する命令である。選択された命令は、決定命令が入力されて確定した命令となる。
【0039】
説明のため、データ・ロガー1の6つの面をサイコロに対応させ、各面に丸の個数で数を付してある。表示体2を設けている面が「1」(黒丸1個)で、その対面が「3」(黒丸3個)で、左側面が「2」(黒丸2個)で、右側面が「4」(黒丸4個)で、USB端子3のある面が「5」(黒丸5個)で、その対面が「6」(黒丸6個)である。
【0040】
データ・ロガー1を机の天板上に置いた状態を図4に示す。データ・ロガーは、「1」を上にした状態(図4(a))に2秒、その後「2」を上にした状態(図4(b))で2秒、そして「3」を上にした状態(図4(c))にされる動作により操作モードに入る。これらの状態を保持する時間は、2秒以上で5秒以内である。保持している時間は、1〜2秒前後が実用的であるが、0.5〜10秒の間でもよい。放置時間は、短くなると誤動作する確率が増加し、10秒を超えると待ち時間が長すぎる欠点が生じる。
【0041】
図4(a)は、重力による加速度信号がZ軸の加速度センサから出力される。重力による加速度が2秒間継続してZ軸の加速度センサから検出され、X軸とY軸の加速度センサの出力信号が実質的にゼロの場合、データ・ロガー1が「1」を上にしたと認知される。同様に、図4(b)は、重力による加速度信号がY軸の加速度センサから出力され、図4(c)は、重力による極性の異なる加速度信号がZ軸の加速度センサから出力され、データ・ロガー1が「2」、「3」を上にしたと認知される。なお、測定値は、1Gの±30%以内にあれば重力が印加されていると判断する。
【0042】
動作シーケンスは、「1」、「2」、「3」、「4」、「5」と「6」の2つ以上の組み合わせ(例えば、1→2、1→4、1→5、1→6、1→2→3、1→4→3、1→5→3、1→6→3、1→2→3→4→1)が好ましいが、条件によると1個のみであっても良い。1→2は、データ・ロガーの「1」を上にして2秒保持させた後に右に回転し「2」を上にして2秒待つ動作である。1→5は、データ・ロガーの「1」を上にして2秒保持させた後に前に回転し「5」を上にして2秒待つ動作である。1→2→3は、図4に対応しており、データ・ロガーの「1」を上にして2秒後に右に回転し「2」を上にして2秒後に、更に右へ回転して「3」を上にして2秒待つ動作である。
【0043】
ブザーは、2秒継続すると鳴るように設定されているが、加速度測定モードでは鳴らない。命令移行モードで、例えば1→2→3の動作の場合、「3」を上にして2秒経過するとブザーが鳴るが、「1」と「2」の状態ではブザーはならない。初め水平にする面は、「1」に限ることなく予め定めることができる。操作モードに入ると表示体2に操作モードの表示が表示されるので、最後に「1」が上にくるように設定し、操作モードに入ったかどうかを表示体で確認できるようにしても良い。
【0044】
図5は、操作モードへの移行命令の他の1例を示す。図5(a)は、データ・ロガーの左側を上げた状態を示す。図5(b)は、データ・ロガーの右側を上げた状態を示す。図5(c)は、データ・ロガーの手前(USB端子のある面)を上げた状態を示す。図5(d)は、データ・ロガーの先端を上げた状態を示す。傾けた角度は、何れも45度である。図5(a)、(b)、(c)と(d)の状態に2秒保持する動作を2以上組み合わせることにより、操作モードに入ることができる。角度を一定に保持することは困難なので、30度〜60度の範囲にあれば45度に傾斜していると判断する。
【0045】
操作モードへの入り方は、上記1,2,3,4,5,6、(a)、(b)、(c)と(d)との組み合わせでも良い。更に、図6と図7に示す動作を組み合わせた動作でも良い。なお、実施例の人為的動作は、操作する人に連想ができ且つ簡単な動作である。
【0046】
図6は、選択モードの動作を示す。選択モードは、予め設定された手順で表示データをスクロールさせる。表示体には、測定データの他に、異常値が発生した場合、「異常値発生」やモード等の表示項目を表示することができる。データ・ロガーは、大半の時間を無人で稼動しており、取扱者が表示体を見る時間は極めて短いので、選択モードに、表示をOFFにするモードを設けてある。このモードにより、消費電力を小さくしてデータ・ロガーの使用時間を伸ばすことができる。なお、異常値が発生した場合は、取扱者が異常事態の発生を見逃さないように、表示体に「異常値発生」を表示すると良い。
【0047】
データ・ロガーを前方に傾けると、表示項目がスクロールされ、後方に傾けると、表示項目が戻って表示される。前後に回転させることにより、表示体には、加速度モード、温度モードと圧力モードの測定データが順に表示される。目的とする表示項目が温度の場合、例えば「温度モード」が表示された時に、データ・ロガーを水平にするとスクロールが停止する。この状態で次の動作として、データ・ロガーを左に回転させると、異常温度、最高温度、平均温度、最低温度等を切替えて順次表示する。回転の角度が大きい程、スクロールの速度が速くなる。右に回転するとスクロールの方向が逆転する。しかし、手で持って操作する時、命令の動作以外の動作をゼロにすることは困難である。そのため、選択された状態を固定する決定命令を設ける。
【0048】
図7は、決定命令の一例である。人がデータ・ロガーを動かす場合、動かし易い方向は、左右が最も容易で、次に上下、前後の順である。左右又は上下に往復運動させることにより検索され選択されている状態を決定させる。動作の速度は、手を振る速さで、往復回数は2回或いは2回以上で良いように設定されている。データ・ロガーを左右、上下と前後に手で振る場合、左と右、上と下、前と後の方向は、加速度信号の極性により区別する。
【0049】
データ・ロガーを前後に回転させて、所定の表示モードを表示させた後、左右の往復運動を2回するとブザーが鳴りスクロールが停止する。この状態でデータ・ロガーを前後に移動しても、表示モードは移動しない。表示モードの固定を開放するには、再度、左右の往復運動を2回以上行う。
【0050】
次に、データ・ロガーを右へ回転させることにより、平均値、最小値と最大値等に表示を切り替えることができる。加速度では、最大値や異常値の表示である。温度では、異常温度、最高温度、平均温度、最低温度に表示が切り替わる。表示は、測定データと共にサンプリングした時刻も表示する。
【0051】
図8は、防水構造の一例である。防水ケース17は、ポリカーボネート樹脂製の防水容器20と防水フタ18からなり、シリコンゴム製の防水パッキン19がそれらの間に設けられている。データ・ロガー1は防水ケース17の中に収められている。これらの固定方法については、慣用されているネジ留めで固定されるようになっている。防水ケース17の中に吸湿剤を入れると、データ・ロガーを低温度にした場合でも防水フタの内側が曇ることがなくなる。
【0052】
図9は、USB端子の防水構造を示す。防水板21が防水パッキン22を介してUSB端子3を保護する構造となっている。
【0053】
本発明において、加速度センサ以外のセンサの測定条件や代表値は、加速度センサと同様に設定できる。本発明において、センサ信号のサンプリングと代表値の記憶により、消費電力を削減でき、更に、命令モードを設けることにより必要な時のみに表示して、消費電力を減少させるこができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明のデータ・ロガーは、輸送用コンテナや輸送貨物、自動車、電車や航空機の機体、搭乗者、または建物や機械装置に取付けて、外乱の物理量を時系列的に測定することができる。輸送する物は、野菜、鮮魚、壊れやすい物品(うどん、そば、スパゲッティ)に有効で、半導体基板の運搬容器や液晶基板の運搬等にも有効である。本発明の用途は、流通管理、在庫管理や工程管理等に広く有効である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】データ・ロガーの斜視図である。
【図2】データ・ロガーの回路ブロック図である。
【図3】データ・ロガーを用いた測定システムを示す図である。
【図4】データ・ロガーの測定モードを変更する操作を示す図である。
【図5】データ・ロガーの測定モードを変更する操作を示す図である。
【図6】データ・ロガーの表示モードを変更する操作を示す図である。
【図7】データ・ロガーの表示モードを変更する操作を示す図である。
【図8】防水ケースの断面図である。
【図9】USB端子部の防水構造の断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1・・・データ・ロガー、1a・・・データ・ロガー筐体、2・・・表示体、3・・・USB端子、4・・・固定孔、5・・・マイクロプロセッサ、6・・・メモリ、7・・・加速度センサ、8a・・・温度センサ、8b・・・圧力センサ、9・・・表示体、10・・・タイマー、11・・・ブザー、12・・・電池、13・・・USB端子、14・・・USBケーブル、15・・・データ・ポッド、15a・・・ボタンスイッチ、15b・・・表示体、16・・・パソコン、17・・・防水ケース、18・・・防水フタ、19・・・防水パッキン、20・・・防水容器、21・・・防水板、22・・・防水パッキン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理量を測定するセンサと、このセンサが測定した上記物理量を表示する表示体と、上記センサが測定した上記物理量を記憶するメモリと、マイクロプロセッサと、電源と、外部接続端子を有するデータ・ロガーにおいて、
外乱と人為的動作による加速度を測定する上記センサを用いて上記人為的動作によりマイクロプロセッサに命令を入力することを特徴とするデータ・ロガー。
【請求項2】
物理量を測定するセンサと、このセンサが測定した上記物理量を表示する表示体と、上記センサが測定した上記物理量を記憶するメモリと、マイクロプロセッサと、電源と、外部接続端子を有するデータ・ロガーにおいて、
上記マイクロプロセッサへの命令に対応する命令パターンを記憶する機能と、
温度と加速度を測定する機能と
外乱による加速度信号と人為的動作による加速度信号を所定時間間隔でサンプリングする機能と、
上記加速度信号が上記命令パターンに相当するかどうかを判断する機能と、
上記人為的動作により上記マイクロプロセッサに命令を入力する機能を有することを特徴とするデータ・ロガー。
【請求項3】
前記センサは、加速度センサの他に、温度センサ、湿度センサ、近接センサ、圧力センサ、電場センサ、磁場センサ、ガスセンサ、紫外線センサ、照度センサ又は放射線センサからなることを特徴とする請求項1又は2記載のデータ・ロガー。
【請求項4】
前記センサと前記表示体と前記メモリと前記マイクロプロセッサと前記電源と前記外部接続端子が防水筐体に収納されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載のデータ・ロガー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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