説明

データ伝送装置およびデータ伝送システム

【課題】レーン数を変更可能なマルチレーン伝送において、障害耐性の向上を実現可能なデータ伝送システムを提供する。
【解決手段】例えばx本の伝送レーンLN1,LN2で接続された送受信機3−1,3−2を備える。送受信機3−1内の送信機1は、使用レーン通知の内容に基づいてLN1内の正常レーンに送信データを、障害レーンに特定の擬似ランダムデータを送信する。送受信機3−2内の受信機2は、正常レーンにおける送信データの例えばBER等を監視し、また、障害レーンにおける擬似ランダムデータの受信状況を監視する。受信機2は、この監視結果に基づいて障害レーン通知を行い、この障害レーン通知が、LN2を介して送受信機3−1内の受信機2に転送され、当該受信機2が障害レーン通知に基づいて使用レーン通知の内容を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送路を介してデータを伝送するデータ伝送装置およびデータ伝送システムに関し、特に、伝送路のレーン数を変更可能なデータ伝送装置およびデータ伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、データを長距離間で伝送する分野では、単一の伝送チャネル(又はレーンともいう)を介してデータを伝送する方法における伝送速度の高速化が頭打ちになっている。そこで通信帯域を向上させるために、複数のレーンを束ねて1本のリンクとして見せる技術(レーン結合、マルチレーン間スキュー補正)が開発されてきた(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、複数のレーンを用いた伝送方式が記載されている。マルチレーンを用いた伝送方式ではレーン間の伝送距離の差、又は光伝送による伝送方式では各レーンの光波長の差によって発生するデータの到着時間差(以下、スキュー)の補正が課題となる。また、伝送メディアに応じて、レーン数を変更する必要がある。特許文献1では、データ列を符号ブロック単位に複数本の仮想レーンに分割し、中継器においてレーン数を変換する度にレーン間のスキューを補正することで、伝送容量を一定としながら、伝送レーンの本数を変更可能とした。
【0004】
非特許文献1では、100ギガビットイーサネット(登録商標)の標準化された技術として、複数のレーンを用いた伝送方式が記載されている。100ギガビットイーサネット(登録商標)では、5Gbpsの仮想レーンのデータを20レーン束ねて100Gbpsの伝送速度を実現するマルチレーン伝送に関する記載がある。マルチレーンを用いた伝送方式ではレーン間の伝送距離の差、又は光伝送による伝送方式では各レーンの光波長の差によって発生するデータの到着時間差(以下、スキュー)の補正が課題となる。また、伝送メディアに応じて、レーン数を変更する必要がある。100ギガビットイーサネット(登録商標)では、100Gbpsのデータ列を符号ブロック単位に20本の仮想レーンに分割し、20本の仮想レーンをビット単位に多重/分割することによって、伝送容量を一定としながら、伝送レーンの本数を変更可能とした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−253852号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】IEEE P802.3ba,Clause 82, ”Physical Coding Sublayer (PCS) for 64B/66B, type 40GBASE−R and 100GBASE−R”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1及び非特許文献1には、一部のレーンにおいて障害が発生した場合、リンク全体の障害とみなして、リンク全体を切断することが示されている。この場合、伝送効率の急激な低下が避けられず、高い障害耐性の実現が困難となる。また、特許文献1及び非特許文献1では、障害によって停止したレーンが障害から復旧した場合、リンク全体を再構築しない限り、そのレーンを復帰させることはできない。つまり、レーン数を動的に増やす切り替えには対応していない。さらに、レーン数の切り替え制御で誤りがあるとリンクが切断してしまうので、切り替え制御には高い信頼性が要求されるが、特許文献1及び非特許文献1では、切り替え制御の信頼性を高める技術については記載されていない。
【0008】
そこで、本発明の目的の一つは、レーン数を変更可能なマルチレーン伝送において、障害耐性の向上を実現可能なデータ伝送装置およびデータ伝送システムを提供することにある。また、本発明の目的の他の一つは、レーン数を変更可能なマルチレーン伝送において、信頼性の向上を実現可能なデータ伝送装置およびデータ伝送システムを提供することにある。本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態の概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0010】
本実施の形態によるデータ伝送システムは、第1送信機と、第1受信機と、第1送信機から第1受信機に向けた通信経路となるN本の第1伝送レーンと、第1受信機から第1送信機に向けた通信経路となる第1通信手段とを備えるものとなっている。ここで、第1送信機は、障害レーン情報に基づいて、N本の第1伝送レーン中の正常レーンを対象として第1受信機に向けて所定の送信データを出力し、N本の第1伝送レーンの中の障害レーンを対象として第1受信機に向けて特定の第1データパターンを出力する第1手段を備える。また、第1受信機は、正常レーンを介して伝送される送信データの受信状態を監視し、この受信状態が正常か否かを判別する第2手段と、障害レーンを介して伝送される第1データパターンの受信状態を監視し、この受信状態が正常か否かを判別する第3手段とを備える。そして、第1受信機および第1送信機のいずれか一方が、第2手段の判別結果と第3手段の判別結果に基づいて正常レーンの位置と障害レーンの位置を更新し、この更新結果を反映して前述した障害レーン情報を生成することが特徴となっている。
【0011】
このような構成を用いると、障害が生じた場合には、当該障害レーン以外の正常レーンを用いて通信を持続し、障害から復帰した場合には、当該レーンを正常レーンに加えることで通信を持続しながら通信容量の拡大が図れる。これによって高い障害耐性が実現可能になる。
【発明の効果】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態の概要を簡単に説明すれば、レーン数を変更可能なマルチレーン伝送において、障害耐性の向上が実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1によるデータ伝送システムにおいて、その構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1のデータ伝送システムにおいて、その送信機の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図3】図1のデータ伝送システムにおいて、その受信機の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図4】図2におけるPRBS発生部よび図3におけるPRBS検査部の詳細な構成例を示す回路図である。
【図5】図1のデータ伝送システムにおいて、その主要な処理内容の一例を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態2によるデータ伝送システムにおいて、それに含まれる受信機の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態3によるデータ伝送システムにおいて、その主要な処理内容の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1によるデータ伝送システムにおいて、その構成の一例を示すブロック図である。図1に示すデータ伝送システムは、それぞれが送信機1及び受信機2を含む2個の送受信機(データ伝送装置)3−1,3−2を備える。送受信機3−1の送信機1は、複数(ここではx本)の伝送レーンLN1を介して送受信機3−2の受信機2に接続され、送受信機3−2の送信機1は、複数(ここではx本)の伝送レーンLN2を介して送受信機3−1の受信機2に接続される。このx本の伝送レーンは、束ねて構成されることで、見かけ上(概念上)は、1本の伝送路として取り扱われる。
【0016】
このデータ伝送システムでは、対向する逆方向の伝送レーンLN1,LN2と、各送受信機3−1,3−2における受信機2から送信機1に向けた通知(障害レーン通知や使用レーン通知)を利用して各伝送レーンLN1,LN2で使用する伝送レーンの本数(m(≦x)本)が定められる。送信機1には、受信機2へ送信される送信データフレーム(以下、送信データと記載する)が入力される。送信機1は、前述した受信機2からの通知に基づいて、入力された送信データを、m本の伝送レーンLNに分割して出力する。受信機2には、前述した送信機1からの送信データがm本の伝送レーンLNを介して入力される。受信機2は、入力されたデータを受信データフレーム(以下、受信データと記載する)として出力する。また、受信機2は、詳細は後述するが、x本の伝送レーンLNの状態を監視する。そして、前述した伝送レーンLNの本数(m本)は、この監視結果を用いて定められる。
【0017】
図5は、図1のデータ伝送システムにおいて、その主要な処理内容の一例を示す説明図である。まず、送受信機3−1内の受信機2は、x本の伝送レーンLN2の状態を監視し、その結果を障害レーン通知を介して送受信機3−1内の送信機1に転送依頼する(S501)。この障害レーン通知には、x本の伝送レーンLN2の内、障害が発生した伝送レーンの情報と、障害から復帰した伝送レーンの情報が含まれる。この障害レーン通知を受け取った送信機1は、障害レーン通知が示す障害レーン情報をアラインマーカに埋め込み、伝送レーンLN1を介して送受信機3−2内の受信機2に転送する(S502)。
【0018】
アラインマーカを受け取った受信機2は、アラインマーカから障害レーン情報を抽出する(S503)。そして、ここでは、抽出した障害レーン情報が全会一致かを判定し(S504)、全会一致の場合に、この障害レーン情報を使用レーン情報とし、使用レーン通知を介して送受信機3−2内の送信機1に通知する(S505)。ここでは、前述したS502において、同じ内容のアラインマーカが現在使用している全ての伝送レーンLN1を介して送信され、S504では、この各伝送レーンLN1のアラインマーカが全て同じか否かが判定される。これによって、誤ったレーン切り替えが起きる確率を減らすことができる。
【0019】
使用レーン通知を受け取った送受信機3−2内の送信機1は、現在設定されている使用レーン情報と使用レーン通知が示す使用レーン情報とを比較し、変更があるか否かを判定する(S506)。変更がある場合、当該送信機1は、現在の設定を使用レーン通知が示す使用レーン情報で更新し、MAC層にて使用レーン数に応じた通信容量となるように、必要に応じて送信データの加工を行う(S507)。すなわち、場合によってはアイドルデータ(空データ)を交えた送信データを生成する。また、当該送信機1は、物理層にて、更新された使用レーン情報に基づく伝送レーンを対象に送信データを振り分け(S508)、更新された使用レーン情報をアラインマーカに埋め込み、伝送レーンLN2を介して送受信機3−1内の受信機2に送信する(S509)。当該アラインマーカを受け取った受信機2は、アラインマーカから使用レーン情報を抽出し、S504と同様に全会一致かを判定し(S510、S511)、使用レーン情報に応じた伝送レーンLN2を対象に復号化等を行うように切り替えを行う(S512)。
【0020】
このように、本実施の形態によるデータ伝送システムは、受信機2が伝送レーンLNの障害および障害からの復帰を逐次監視することで、障害が生じた場合には、当該障害レーン以外の正常レーンを用いて通信を持続し、障害から復帰した場合には、当該レーンを正常レーンに加えることで通信を持続しながら通信容量の拡大を行うものとなっている。これによって高い障害耐性が実現可能になる。以下、このような機能を実現するための送信機1および受信機2の詳細内容について説明する。
【0021】
図2は、図1のデータ伝送システムにおいて、その送信機1の詳細な構成例を示すブロック図である。図2に示す送信機1(データ転送装置)は、フレームバッファ4、容量変換部5、伝送符号化部6、ラウンドロビン部7、マーカ挿入部8(8−1〜8−p)、マーカ管理部9、PRBS発生部10、セレクタ部11(11−1〜11−p)、マルチプレクサ部12、及び障害管理部13を備える。
【0022】
まず、送信機1のデータフローを説明する。送信データは、フレームバッファ4に入力される。また、受信機2からのデータ列がマーカ管理部9と障害管理部13に入力される。フレームバッファ4は、送信データの出力元と容量変換部5へそれぞれデータ列を出力する。容量変換部5は、フレームバッファ4と伝送符号化部6へそれぞれデータ列を出力する。伝送符号化部6は、ラウンドロビン部7へデータ列を出力する。
【0023】
ラウンドロビン部7は、マーカ挿入部(8−1〜8−p)へデータ列を出力する。マーカ挿入部(8−1〜8−p)は、p個のセレクタ部(11−1〜11−p)へデータ列を出力する。PRBS発生部10は、p個のセレクタ部(11−1〜11−p)へデータ列を出力する。障害管理部13は、p本の出力部を介してp個のセレクタ部(11−1〜11−p)へデータ列を出力し、また、容量変換部5とラウンドロビン部7とマーカ管理部9へそれぞれデータ列を出力する。p個のセレクタ部(11−1〜11−p)は、それぞれ、マルチプレクサ部12へデータ列を出力する。マルチプレクサ部12は、x本の伝送レーンLNへデータ列を出力する。
【0024】
次に送信機1の各部の詳細な動作例を説明する。障害管理部13は、受信機2からの使用レーン通知を受けて、現在使用している使用レーン情報と比較し、変更の有無を判定する。変更があった場合、障害管理部13は、容量変換部5、ラウンドロビン部7、マーカ管理部9、およびセレクタ部(11−1〜11−p)に対してその旨の通知を行う。これによって、図5のS506の処理が可能となる。一方、フレームバッファ4には、送信データが入力される。ここで、フレームバッファ4は、フレームバッファ4に蓄積されたデータのバッファ量に応じて、送信データの送信元に対しバッファ量通知を送信する。送信データの送信元は、受信したバッファ量通知に基づいて、送信データの送信を停止する。フレームバッファ4は、容量変換部5からの読み出し要求を受けて、送信データを出力する。
【0025】
容量変換部5は、前述した障害管理部13からの使用レーン情報に基づいて、伝送レーンLN上で使用可能なレーンを用いて伝送可能な伝送容量を算出する。例えば、一つのレーンにおいて伝送可能な伝送容量に、使用可能なレーンの数を乗じることによって伝送可能な伝送容量を算出できる。ここで、容量変換部5は、フレームバッファ4が出力する送信データの容量が算出された伝送容量と等しくなるように、送信データの読み出し要求を用いてフレームバッファ4の読み出しを制御する。これによって、図5のS507の処理が可能となる。
【0026】
伝送符号化部6は、容量変換部5から入力された伝送データのデータ列を伝送符号(例えば、64B/66B符号)に変換して、伝送データをラウンドロビン部7に出力する。なお、伝送符号の種類は、特に限定されず、64B/66B符号以外のものであってもよい。ラウンドロビン部7は、障害管理部13からの使用レーン情報に基づいて、p本の仮想レーンのうち正常な仮想レーンに対して、送信データを巡回的に割り振る。このとき、最適には伝送符号化部6で符号化されたデータの符号ブロック(64B/66B符号であれば66ビットのデータ列)を単位として分配する。
【0027】
なお、ここでは、このラウンドロビン部7の出力からマルチプレクサ部12の入力までのp本の経路を仮想レーンと呼び、マルチプレクサ部12の出力からのx本の経路を伝送レーン(物理レーン)LNと呼ぶ。マルチレーン伝送では、送信データがp本(例えば20本等)の仮想レーンに振り分けられ、その後、マルチプレクサ部12を介してx本(例えば10本等)の伝送レーンLNに多重化される。また、場合によっては、更にその先で、光送信信号の波長を各伝送レーン毎に変更する等で更なる多重化が行われることもある。ここで、p本の仮想レーンとx本の伝送レーンLNは、例えば、p本中の2本がマルチプレクサを介してx本中の1本に多重化されるなどのように、それぞれ対応関係が定まっており、障害管理部13は、この対応関係を把握している。したがって、ある伝送レーンの障害は、それに対応する仮想レーンの障害とみなすこともでき、また、前述した障害レーン情報や使用レーン情報は、伝送レーンに基づく情報であっても仮想レーンに基づく情報であってもよい。
【0028】
仮想レーンに分割され、同時に送信された送信データは、伝送レーンLNでの伝送時間の差などによって生じる到着時間差(スキュー)を持って受信機2で受信されることになる。そこで、マーカ挿入部8(8−1〜8−p)は、受信機2で仮想レーン毎のスキューを検出可能とするアラインマーカを、送信データのデータ列に挿入する。更に、マーカ挿入部8(8−1〜8−p)は、障害レーン情報や使用レーン情報を表したアラインマーカを、送信データのデータ列に挿入する。ここでは、マーカ管理部9が、受信機2からの障害レーン通知と障害管理部13からの使用レーン通知を受け、障害レーン通知に基づく障害レーン情報か使用レーン通知に基づく使用レーン情報かを選択してマーカ挿入部8(8−1〜8−p)に出力する。マーカ挿入部8(8−1〜8−p)は、この選択された情報をアラインマーカとして挿入する。これによって、図5のS502の処理とS509の処理が可能となる。
【0029】
PRBS発生部10は、DCバランスと有限ランレングスとが保障された擬似ランダム・ビット列を発生し、該ビット列をp個のセレクタ部(11−1〜11−p)へ出力する。これによって、障害が発生した仮想レーンからのデータ列が入力された受信機2の誤作動等を回避することができる。また、詳細は図3および図4で述べるが、受信機2が特定の擬似ランダム・ビット列を検出することによって、仮想レーン(伝送レーン)の障害からの復帰を検出することができる。ここで、前述したDCバランスと有限ランレングスとが保障された擬似ランダム・ビット列は、例えば、「0」と「1」とから構成されるビット列の場合、所定の時間間隔に受信したデータ列に含まれる「0」と「1」との数が同一のものになるようなビット列である。
【0030】
p個のセレクタ部(11−1〜11−p)は、それぞれ、障害管理部13からの使用レーン情報に基づいて、レーンが正常状態であればマーカ挿入部(8−1〜8−p)から入力されたデータ列を、レーンが異常状態であればPRBS発生部10から入力されたランダム・ビット列を選択し、マルチプレクサ部12へ出力する。マルチプレクサ部12は、p個のセレクタ部(11−1〜11−p)から出力されたデータ列を、伝送レーンの数(x本)に多重化し、多重化されたデータ列を伝送レーンLNに出力する。このようなラウンドロビン部7からマルチプレクサ部12までの仮想レーンの分割処理によって、図5のS508の処理が可能となる。
【0031】
次にマーカ挿入部8において挿入されるアラインマーカの例について説明する。本実施の形態では、挿入されるアラインマーカとして66ビット長の固定パターンを定義し、マーカ挿入部(8−1〜8−p)は100ギガイーサネット(登録商標)標準のアラインマーカとレーン状態を表すマーカを一定の間隔でデータ列に挿入する。なお、100ギガイーサネット(登録商標)標準アラインマーカは、66ビットのうち、2ビットをヘッダ情報、24ビットをアライン情報、8ビットをBER(ビットエラーレート)測定用のパリティ情報(誤り検出符号)、残りの32ビットをアライン情報の反転値とBER測定用のパリティ情報の反転値とする。
【0032】
図3は、図1のデータ伝送システムにおいて、その受信機2の詳細な構成例を示すブロック図である。図3に示す受信機2(データ転送装置)は、x本の伝送レーンLNからデータ列が入力され、受信フレームデータ(以下、受信データ)と使用レーン情報と障害レーン情報を出力する。受信機2は、信号検出部(14−1〜14−x)、PRBS検査部(15−1〜15−x)、PRBS監視部16、デマルチプレクサ部17、ブロック同期部(18−1〜18−p)、BER検査部(19−1〜19−p)、BER監視部20、使用レーン決定部21、マーカ検査部(22−1〜22−p)、マーカ監視部23、位相差検出部24、デスキュー部25、マーカ削除部26、伝送復号化部27、及び容量変換部28を備える。
【0033】
まず、受信機2のデータフローを説明する。伝送レーンLNを介して送信機1から出力されたデータ列は、それぞれ信号検出部(14−1〜14−x)に入力される。信号検出部(14−1〜14−x)は、デマルチプレクサ部17へデータ列を出力する。デマルチプレクサ部17は、デマルチプレクサ部17が備えるp本の出力部から、それぞれp個のPRBS検査部(15−1〜15−x)と、p個のブロック同期部(18−1〜18−p)へとデータ列を出力する。
【0034】
PRBS検査部(15−1〜15−x)は、PRBS監視部16へデータ列を出力する。PRBS監視部16は、使用レーン決定部21へデータ列を出力する。ブロック同期部(18−1〜18−p)は、BER検査部(19−1〜19−p)と、マーカ検査部(22−1〜22−p)と、デスキュー部25とへデータ列を出力する。BER検査部(19−1〜19−p)は、それぞれBER監視部20へデータ列を出力する。BER監視部20は使用レーン決定部21へデータ列を出力する。使用レーン決定部21は、送信機1とマーカ監視部23へデータ列を出力する。マーカ検査部(22−1〜22−p)は、マーカ監視部23と位相差検出部24へデータ列を出力する。
【0035】
マーカ監視部23は、容量変換部28と送信機1へデータ列を出力する。位相差検出部24はデスキュー部25へデータ列を出力する。デスキュー部25は、デスキュー部25が備えるp本の出力部を介して、マーカ削除部26へデータ列を出力する。マーカ削除部26は、伝送復号化部27へデータ列を出力する。伝送復号化部27は容量変換部28へデータ列を出力する。容量変換部28は最終的に受信データを出力する。
【0036】
なお、受信機2においても、送信機1の場合と同様に、デマルチプレクサ部17の入力までのx本の経路を伝送レーン(物理レーン)と呼び、デマルチプレクサ部17の出力からのp本の経路を仮想レーンと呼ぶ。
【0037】
次に受信機2の動作を詳しく説明する。送信機1から送信された送信データ列は、伝送レーンLNを介して、受信機2に備えられた複数の信号検出部(14−1〜14−x)に入力される。信号検出部(14−1〜14−x)は、データ列のクロック同期処理を実行し、受信データ列をデマルチプレクサ部17へ出力する。デマルチプレクサ部17は、信号検出部(14−1〜14−x)からデータ列が入力され、入力されたデータ列をp本の仮想レーンに分離し、分離化されたデータ列をPRBS検査部(15−1〜15−x)と、ブロック同期部(18−1〜18−p)へ出力する。
【0038】
PRBS検査部(15−1〜15−x)は、受信データ列におけるPRBS(擬似ランダム・ビット列)を検出し、検出結果をPRBS監視部16に通知する。PRBS監視部16は、PRBS検査部(15−1〜15−x)から通知された検出結果を監視し、p本の仮想レーン(言い換えればx本の伝送レーン)における停止中のレーンを対象に、障害からの復帰の可否を使用レーン決定部21に通知する。すなわち、図2で述べたように、停止中のレーンには、PRBS発生部10から所定の擬似ランダム・ビット列が出力されており、PRBS検査部(15−1〜15−x)がその擬似ランダム・ビット列の受信状況を把握してPRBS監視部16に通知する。受信状況に問題がない場合、当該レーンを障害復帰レーンとする。なお、PRBSの詳細に関しては、図4で説明する。
【0039】
ブロック同期部(18−1〜18−p)は、図2の送信機1における伝送符号化部6で符号化された送信データの符号ブロックに同期し、仮想レーン毎に符号ブロックを整列させ、整列化された符号ブロックのデータ列をBER検査部(19−1〜19−p)とマーカ検査部(22−1〜22−p)とデスキュー部25とにそれぞれ出力する。BER検査部(19−1〜19−p)は、ブロック同期部(18−1〜18−p)から出力されたデータ列からBER測定用のパリティ情報を検出し、ビットエラーレートを算出し、BER監視部20に通知する。BER監視部20は、BER検査部(19−1〜19−p)から通知されたビットエラーレートを監視し、ビットエラーレートが所定の値よりも高い仮想レーンがあった場合、当該仮想レーン(言い換えれば伝送レーン)を使用不可能なレーンとして使用レーン決定部21に通知する。
【0040】
使用レーン決定部21は、BER監視部20からの使用不可能なレーンの情報と、PRBS監視部16からの障害復帰レーンの情報を受け、これらの情報に基づいて送信機1に向けて障害レーン通知を行う。すなわち、障害レーン通知の中には、現時点で使用可能である最新のレーンの情報(言い換えれば現時点で障害が継続しているレーンの情報)が含まれている。これによって、前述した図5のS501の処理が行われ、信頼性が著しく低下した仮想レーン(言い換えれば伝送レーン)を回避するための通知が行えると共に、障害から回復した伝送レーン(言い換えれば仮想レーン)を使用させるための通知を行うことが可能となる。
【0041】
マーカ検査部(22−1〜22−p)は、アラインマーカを検査し、送信機1のマーカ挿入部(8−1〜8−p)で挿入された使用レーン情報や障害レーン情報を抽出し、抽出された情報をマーカ監視部23へ通知する。また、マーカ検査部(22−1〜22−p)は、仮想レーン番号と検出タイミングとを位相差検出部24へ通知する。マーカ監視部23は、マーカ検査部(22−1〜22−p)から通知された使用レーン情報を監視し、その結果から、送信機1において伝送容量が変更されたことを検出し、送信機1が現在使用している仮想レーン数、即ち伝送容量を決定し、容量変換部28へ伝送容量の情報を通知する。これによって、図5のS510〜S512の処理が実現可能となる。さらに、マーカ監視部23は、マーカ検査部(22−1〜22−p)から通知された障害レーン情報を監視し、その結果から、使用レーン情報を導出して送信機1に向けて使用レーン通知を出力する。これによって、図5のS503〜S505の処理が実現可能となる。
【0042】
位相差検出部24は、マーカ検査部(22−1〜22−p)から通知された仮想レーン番号と検出タイミングとに基づいて、仮想レーン間の位相差、即ちスキュー量と仮想レーンの受信位置とを特定し、デスキュー部25へ通知する。デスキュー部25は、位相差検出部24から通知されるスキュー量と仮想レーンの受信位置とに基づいて、仮想レーン毎の到着時間差、及び受信された位置のずれを補正し、マーカ削除部26へ正しい仮想レーンの順番に受信データ列を出力する。マーカ削除部26は送信機1のマーカ挿入部(8−1〜8−p)でデータ列に挿入されたアラインマーカを削除し、伝送復号化部27へ受信データ列を出力する。
【0043】
伝送復号化部27は、送信機1の伝送符号化部6によって伝送符号化されたデータ列を、元のデータ列に復号化し、容量変換部28へ受信データ列を出力する。容量変換部28は、マーカ監視部23が決定した伝送容量に応じて、使用中の仮想レーンを介して伝送されるデータ列を結合し、データフレーム間の無効信号の間隔を広げるなどの手段を用いて、伝送レーンの最大伝送容量のデータ列に変換して受信フレームデータを出力する。
【0044】
次に障害レーンの復帰判定方式の一例ついて説明する。図4は、図2におけるPRBS発生部10および図3におけるPRBS検査部15の詳細な構成例を示す回路図である。図4に示すように、PRBS発生部10は、複数段(ここでは31段)のシフトレジスタ(S0〜S30)と特定位置(ここではS27とS30)でのタップを備えたスクランブラによって、DCバランスと有限ランレングスとが保障された擬似ランダム・ビット列を生成し、これを障害レーンに対して送信する。一方、PRBS検査部15(15−1〜15−x)は、PRBS発生部10と同じ段数のシフトレジスタならびに同じ位置でのタップと、比較判定用のEXOR回路40を備えたデスクランブラを用いて、擬似ランダム・ビット列を検出する。
【0045】
このような構成例において、例えば、時刻t=t0において、PRBS発生部10から論理値‘A’が出力され、同じくt=t0において、この論理値‘A’がPRBS検査部15に入力されたとする。そうすると、例えば時刻t=t31において、PRBS発生部10からは論理値‘A’を特定位置のタップを介して変換した論理値‘B’が出力され、この論理値‘B’がPRBS検査部15のEXOR回路40における2入力の一方に入力される。ここで、このt=t31において、EXOR回路40における2入力の他方には、t=t0においてPRBS検査部15に入力された論理値‘A’が、PRBS検査部15における特定位置のタップ(PRBS発生部10と同じ位置)を介して変換されるため、論理値‘B’が入力されることになる。したがって、PRBS検査部15(15−1〜15−x)からは、PRBS発生部10で送り出したパターンと一致するパターンが入力された場合にオール0が出力され、不一致の場合には一部で1が出力される。このオール0を検出することによって、停止中の障害レーンが障害から復帰したことを検出する。
【0046】
以上のように、本実施の形態1のデータ伝送システムを用いることで、伝送レーン(仮想レーン)の一部に障害が発生しても、正常な伝送レーン(仮想レーン)を使用し、且つ通信容量を低減することで、リンク全体の接続を維持することができる。さらに、障害によって停止した伝送レーン(仮想レーン)が障害から復旧した場合も、リンク全体の接続を維持しながら正常レーンとして復帰させることができる。これによって、代表的には、通信容量が有効に使用可能になると共に、障害耐性の向上が実現可能となる。
【0047】
(実施の形態2)
本実施の形態2のデータ伝送システムは、実施の形態1で述べたデータ伝送システムと比較して、仮想レーンで発生した障害を検出する方法が異なっている。図6は、本発明の実施の形態2によるデータ伝送システムにおいて、それに含まれる受信機2の詳細な構成例を示すブロック図である。図6に示す受信機2(データ転送装置)は、前述した図1のデータ伝送システムにおける受信機2に対応するものであり、当該受信機に対応する送信機は、前述した図2の構成例を用いることができる。以下、実施の形態1で述べた図3の受信機との差異を中心に説明を行う。
【0048】
図6に示す受信機2は、x本の伝送レーンからデータ列が入力され、受信フレームデータ(受信データ)と使用レーン情報と障害レーン情報を出力する。当該受信機2は、信号検出部(14−1〜14−x)、PRBS検査部(15−1〜15−x)、PRBS監視部16、デマルチプレクサ部17、ブロック同期部(18−1〜18−p)、同期監視部29、使用レーン決定部21、マーカ検査部(22−1〜22−p)、マーカ監視部23、位相差検出部24、デスキュー部25、マーカ削除部26、伝送復号化部27、及び容量変換部28を備える。
【0049】
まず、受信機2のデータフローを説明する。x本の伝送レーンを介して送信機1から出力されたデータ列は、それぞれ信号検出部(14−1〜14−x)に入力される。信号検出部(14−1〜14−x)は、デマルチプレクサ部17へデータ列を出力する。デマルチプレクサ部17は、デマルチプレクサ部17が備えるp本の出力部から、それぞれp個のPRBS検査部(15−1〜15−x)と、p個のブロック同期部(18−1〜18−p)へデータ列を出力する。
【0050】
PRBS検査部(15−1〜15−x)は、PRBS監視部16へデータ列を出力する。PRBS監視部16は使用レーン決定部21へデータ列を出力する。ブロック同期部(18−1〜18−p)は、同期監視部29と、マーカ検査部(22−1〜22−p)と、デスキュー部25とへデータ列を出力する。同期監視部29は使用レーン決定部21へデータ列を出力する。使用レーン決定部21は送信機1とマーカ監視部23へデータ列を出力する。
【0051】
マーカ検査部(22−1〜22−p)は、マーカ監視部23と位相差検出部24とへデータ列を出力する。マーカ監視部23は、容量変換部28と送信機1へデータ列を出力する。位相差検出部24はデスキュー部25へデータ列を出力する。デスキュー部25は、デスキュー部25が備えるp本の出力部を介して、マーカ削除部26へデータ列を出力する。マーカ削除部26は伝送復号化部27へデータ列を出力する。伝送復号化部27は容量変換部28へデータ列を出力する。容量変換部28は最終的に受信データを出力する。
【0052】
次に受信機2の詳細な動作例について説明する。送信機1から送信された送信データ列は、x本の伝送レーンを介して受信機2に備えられた複数の信号検出部(14−1〜14−x)に入力される。信号検出部(14−1〜14−x)は、データ列のクロック同期処理を実行し、受信データ列をデマルチプレクサ部17に出力する。デマルチプレクサ部17は、信号検出部(14−1〜14−x)からデータ列が入力され、入力されたデータ列をp本の仮想レーンに分離し、分離化されたデータ列をPRBS検査部(15−1〜15−x)とブロック同期部(18−1〜18−p)に出力する。
【0053】
PRBS検査部(15−1〜15−x)は、受信データ列における擬似ランダム・ビット列を検査し、その検査結果をPRBS監視部16に通知する。PRBS監視部16は、PRBS検査部(15−1〜15−x)から通知された検査結果を監視し、停止中の仮想レーン(言い換えれば伝送レーン)における障害からの復帰の可否を使用レーン決定部21に通知する。
【0054】
ブロック同期部(18−1〜18−p)は、送信機1の伝送符号化部6で符号化された送信データの符号ブロックに同期し、仮想レーン毎に符号ブロックを整列させ、整列化された符号ブロックのデータ列を同期監視部29とマーカ検査部(22−1〜22−p)とデスキュー部25とにそれぞれ出力する。更に、ブロック同期部(18−1〜18−p)は、ブロック同期の状況を同期監視部29に通知する。すなわち、符号ブロックの同期が完了しない、または同期がはずれた、などの情報を同期監視部29に通知する。同期監視部29は、ブロック同期部(18−1〜18−p)から通知された符号ブロック同期結果を監視し、伝送レーン(仮想レーン)で生じた障害を使用レーン決定部21に通知する。
【0055】
例えば、ブロック同期部(18−1〜18−p)ならびに同期監視部29は、各仮想レーンから出力されるデータ列に含まれる符号ブロックの先頭位置を示すビット列を監視し、当該ビット列が正しく受信されない場合、当該仮想レーンに障害が発生していると判定する。すなわち、仮想レーンから出力されるデータ列には、同期を行うためのビット列が含まれ、所定の時間間隔に前述したビット列が受信されない場合、仮想レーンに障害が発生していると判定される。
【0056】
マーカ検査部(22−1〜22−p)は、アラインマーカを検査し、送信機1のマーカ挿入部(8−1〜8−p)で挿入された使用レーン情報と障害レーン情報を抽出し、抽出された情報をマーカ監視部23へ通知する。また、マーカ検査部(22−1〜22−p)は、仮想レーン番号と検出タイミングとを位相差検出部24へ通知する。マーカ監視部22は、マーカ検査部(22−1〜22−p)から通知された伝送容量情報を監視し、送信機1において、伝送容量が変更されたことを検出し、送信機1が現在使用している仮想レーン数、即ち伝送容量を決定し、容量変換部28へ伝送容量の情報を通知する。
【0057】
位相差検出部24は、マーカ検査部(22−1〜22−p)から通知された仮想レーン番号と検出タイミングとに基づいて、仮想レーン間の位相差、即ちスキュー量と仮想レーンの受信位置とを特定し、デスキュー部25へ通知する。デスキュー部25は、位相差検出部24から通知されるスキュー量と仮想レーンの受信位置とに基づいて、仮想レーン毎の到着時間差、及び受信された位置のずれを補正し、マーカ削除部26へ正しい仮想レーンの順番に受信データ列を出力する。マーカ削除部26は送信機1のマーカ挿入部(8−1〜8−p)でデータ列に挿入されたアラインマーカを削除し、伝送復号化部27へ受信データ列を出力する。
【0058】
伝送復号化部27は、送信機1の伝送符号化部6によって伝送符号化されたデータ列を、元のデータ列に復号化し、容量変換部28へ受信データ列を出力する。容量変換部28は、マーカ監視部23が決定した伝送容量に応じて、使用中の仮想レーンを介して伝送されるデータ列を結合し、データフレーム間の無効信号の間隔を広げるなどの手段を用いて、伝送路の最大伝送容量のデータ列に変換して受信フレームデータを出力する。
【0059】
使用レーン決定部21は、同期監視部29からの使用不可能なレーンの情報と、PRBS監視部16からの障害復帰レーンの情報を受け、これらの情報に基づいて送信機1に向けて障害レーン通知を行う。すなわち、障害レーン通知の中には、現時点で使用可能である最新のレーンの情報(言い換えれば現時点で障害が継続しているレーンの情報)が含まれている。これによって、信頼性が著しく低下した仮想レーン(言い換えれば伝送レーン)を回避するための通知が行えると共に、障害から回復した伝送レーン(言い換えれば仮想レーン)を使用させるための通知を行うことが可能となる。
【0060】
また、使用レーン決定部21は、64B/66B符号が用いられている場合、同期監視部29からの障害監視の結果に基づいて、例えば、仮想レーンから誤りを示すヘッダを持つビット列が所定の時間間隔に継続して入力され、ビットエラーレートが予め設定されたしきい値より高くなった場合、ブロック同期をはずし、当該仮想レーンを使用不可と判定する。あるいは、使用レーン決定部21は、例えば、仮想レーンにおけるブロック同期のはずれの回数が予め設定されている値より大きい場合に当該仮想レーンを使用不可と決定する。
【0061】
以上のように、本実施の形態2のデータ伝送システムを用いることで、実施の形態1の場合と同様に、伝送レーン(仮想レーン)の一部に障害が発生しても、正常な伝送レーン(仮想レーン)を使用し、且つ通信容量を低減することで、リンク全体の接続を維持することができる。さらに、障害によって停止した伝送レーン(仮想レーン)が障害から復旧した場合も、リンク全体の接続を維持しながら正常レーンとして復帰させることができる。これによって、代表的には、通信容量が有効に使用可能になると共に、障害耐性の向上が実現可能となる。
【0062】
なお、本実施の形態2では、符号ブロック同期結果を監視することにより、仮想レーン(伝送レーン)で発生した障害を検出したが、勿論、実施の形態1で説明したビットエラーレートの検査結果と組み合わせて障害レーンの検出を行うことも可能である。この場合、図3の構成例に対して図6の同期監視部29を追加すればよい。そして、使用レーン決定部21が、同期監視部29からの符号ブロック同期結果とBER監視部20からのビットエラーレートの監視結果の両方を用いて障害レーンを検出することで、より信頼性が高い障害レーンの検出が実現可能になる。
【0063】
(実施の形態3)
本実施の形態3のデータ伝送システムは、実施の形態1および実施の形態2のデータ伝送システムと比較して、仮想レーンの障害を検出してからレーン数を切り替えるまでの制御方法が異なる。すなわち、図5の変形例に該当する。本実施の形態3のデータ伝送システムのブロック構成は、図1と同様であり、図1の送信機に図2の送信機を用い、図1の受信機に図3の受信機あるいは図6の受信機を用いることで実現できる。
【0064】
図7は、本発明の実施の形態3によるデータ伝送システムにおいて、その主要な処理内容の一例を示す説明図である。まず、送受信機3−1内の受信機2は、使用レーン決定部21を用いて各仮想レーン(各伝送レーン)における障害レーンならびに障害復帰レーンを決定し、その内容を反映した障害レーン情報を障害レーン通知として送受信機3−1内の送信機1に転送依頼する(S701)。障害レーン通知を受け取った送信機1は、マーカ挿入部8等を用いて障害レーン情報をアラインマーカに埋め込み送受信機3−2内の受信機2に転送する(S702)。アラインマーカを受け取った受信機2は、マーカ検査部22等を用いて障害レーン情報を抽出し、それを障害情報確認通知として送受信機3−2内の送信機1に伝える(S703)。
【0065】
障害情報確認通知を受け取った送受信機3−2内の送信機1は、この通知が示す障害レーン情報が現在設定されている障害レーン情報を基準として変更が有るか否かを障害管理部13を用いて判定する(S704)。変更がある場合、当該送信機1は、障害情報確認通知が示す障害レーン情報をアラインマーカに埋め込み、送受信機3−1内の受信機2に送る(S705)。送受信機3−1内の受信機2は、マーカ検査部22等を用いてアラインマーカから障害レーン情報を抽出し、マーカ監視部23等を用いて現時点の障害レーン情報と比較する(S706,S707)。なお、この現時点の障害レーン情報は、使用レーン決定部21から取得する。当該受信機2は、この比較結果が一致した場合、レーン切り替えを許可する情報をレーン切替許可通知として送受信機3−1内の送信機1に送る(S708)。レーン切替許可通知を受けた送信機1は、レーン切り替えを許可する情報をマーカ挿入部8等を用いてアラインマーカに埋め込み、送受信機3−2内の受信機2に送る(S709)。
【0066】
送受信機3−2内の受信機2は、マーカ検査部22等を用いてアラインマーカからレーン切り替えを許可する情報を検出し、それを使用レーン通知として送受信機3−2内の送信機1に伝える(S710)。使用レーン通知を受けた送信機1は、MAC層(容量変換部5等)にて使用レーン数に応じた通信容量となるように、データをアイドルに置き換える(S711)。送信機1の物理層では、ラウンドロビン部7等を用いて使用可能な仮想レーンに対してデータを振り分け(S712)、マーカ挿入部8等を用いてレーンを切り替えるタイミングの情報をアラインマーカに埋め込み、送受信機3−1内の受信機2に送る(S713)。この際に、当該送信機1は、PRBS発生部10等を用いて、停止するレーンを対象に障害からの復帰判定用の擬似ランダム・ビット列を出力する。送受信機3−1内の受信機2は、マーカ検査部22等を用いてレーンを切り替えるタイミングの情報を検出し(S714)、使用可能な仮想レーンに対して復号化を行うように切り替えを行う(S715)。
【0067】
以上のように、本実施の形態3のデータ伝送システムを用いることで、実施の形態1、2の場合と同様に、伝送レーン(仮想レーン)の一部に障害が発生しても、正常な伝送レーン(仮想レーン)を使用し、且つ通信容量を低減することで、リンク全体の接続を維持することができる。さらに、障害によって停止した伝送レーン(仮想レーン)が障害から復旧した場合も、リンク全体の接続を維持しながら正常レーンとして復帰させることができる。これによって、代表的には、通信容量が有効に使用可能になると共に、障害耐性の向上が実現可能となる。
【0068】
ここで、図5のフローと図7のフローを比較すると、図5における全会一致判定(S504,S511)では、全会一致しない場合に伝送過程でエラーが発生しているものとし、当該情報は信用できないものとして破棄が行われている。すなわち、この処理は、正確な情報と比較している訳ではなく、相対的に信用できる情報か否かを判断している。一方、図7における障害レーン一致判定(S707)では、送った障害レーン情報を送り返してもらい正しい情報と比較することで正確な情報伝送の確認が行われている。すなわち、この処理は、正確な情報と比較し、絶対的に信用できる情報か否かを判断している。図5のフローを用いると、レーンの切り替えを早期に行える反面、レーンの切り替えに伴う信頼性が若干低下し、図7のフローを用いると、レーンの切り替えが若干遅くなる反面、より信頼性が高いレーンの切り替えを行うことが可能となる。ただし、図5のフローと図7のフローのいずれを用いても、実用上は、誤ったレーン切り替えが起きる確率を十分に減らすことができ、信頼性の高いデータ伝送システムを実現可能になる。
【0069】
続いて、前述した各実施の形態によって得られるデータ伝送システムの特徴的な構成について、以下に列記する。
【0070】
(1)本実施の形態によるデータ伝送システムは、受信機に送信データを送信する送信機、前記送信機から前記送信データを受信する受信機を備える伝送システムであって、前記送信機、及び前記送信機から送信データを受信する受信機は第1伝送路によって接続され、前記第1伝送路は、第1の数の伝送レーンを束ねて構成され、前記送信機、及び前記受信機は、前記第1の数の伝送レーンに多重化することができる数の仮想レーンを備える。
【0071】
ここで、前記送信機は、前記受信機から送信され、使用可能な仮想レーンに関する情報を含む使用レーン情報に基づいて、使用可能な前記仮想レーンの数のデータ列に前記送信データを分割し、前記データ列が出力される前記仮想レーンを識別するための識別情報と、前記使用可能レーン情報とを前記仮想レーンから出力されるデータ列に挿入し、前記仮想レーンから出力されたデータ列を前記第1伝送路の伝送レーン数に基づいて多重化し、前記多重化されたデータ列を前記第1伝送路を構成する各伝送レーンから前記受信機に出力することによって前記受信機に前記送信データを送信し、使用不可能な仮想レーンにはDCバランスのとれたデータ列を送信する。
【0072】
一方、前記受信機は、前記第1伝送路を構成する伝送レーンから前記多重化されたデータ列を受信し、前記受信したデータ列に挿入された前記使用可能レーン情報に基づいて、前記使用可能な仮想レーン数のデータ列に前記受信したデータ列を分割し、前記第1伝送路の各伝送レーン、及び前記各仮想レーンのBERを監視し、前記伝送レーンのビットエラーレートの監視結果に基づいて、障害レーンと使用レーン判定し、前記判定結果に基づいて、使用可能な仮想レーンを決定し、前記決定された使用可能な仮想レーンに関する情報を含む使用レーン情報を前記送信機に送信し、前記検出された識別情報に基づいて、前記各伝送レーン間における前記データ列の到着時間差によって生じる、前記受信したデータ列の到着順序のずれと前記仮想レーンにおける受信位置のずれを補正し、前記分割されたデータ列を前記送信データに復元する。
【0073】
(2)また、本実施の形態によるデータ伝送システムは、(1)のデータ伝送システムにおいて、前記送信機が、前記各仮想レーンから出力されるデータ列に基づいて、稼働中のレーンのビットエラーレートを測定するためのパリティを算出し、前記算出されたパリティを前記仮想レーンから出力されるデータ列に挿入し、前記障害レーンと判定された仮想レーンから送信されるデータ列に、DCバランスのとれたデータ列を停止中のレーンの障害からの復帰検出用パターンとして挿入するものとなっている。
【0074】
(3)また、本実施の形態によるデータ伝送システムは、(2)のデータ伝送システムにおいて、前記受信機が、前記第1伝送路の各伝送レーンから出力されるデータ列の信号を監視し、前記送信機によって算出され、前記仮想レーンから出力されるデータ列に挿入されたパリティに基づいて、前記仮想レーンのビットエラーレートを算出し、前記算出された誤り率に基づいて、前記仮想レーンにおける前記障害レーンを判定し、停止中の仮想レーンから出力されるDCバランスのとれたデータ列に基づいて、停止中の仮想レーンの障害からの復帰の可否を判定し、前記使用可能な仮想レーンを決定する場合、前記判定結果に基づいて、前記障害レーンが使用されず、且つ障害から復帰したレーンが使用されるように、前記使用可能な仮想レーンを決定し、前記決定された使用可能な仮想レーンに関する情報を含む前記使用可能レーン情報を生成し、前記生成された使用可能レーン情報を前記送信機に送信するものとなっている。
【0075】
(4)また、本実施の形態によるデータ伝送システムは、(1)のデータ伝送システムにおいて、前記受信機が、前記第1伝送路の各仮想レーンから出力されるデータ列に含まれる符号ブロックの先頭位置を示すビット列を監視し、当該ビット列が正しく受信されない場合、当該仮想レーンに障害が発生していると判定し(すなわち、仮想レーンから出力されるデータ列には、同期するためのビット列が含まれ、所定の時間間隔に前述したビット列が受信されない場合、仮想レーンに障害が発生していると判定し)、停止中の仮想レーンから出力されるDCバランスのとれたデータ列に基づいて、停止中の仮想レーンの障害からの復帰の可否を判定し、前記使用可能な仮想レーンを決定する場合、前記判定結果に基づいて、前記障害レーンが使用されず、且つ障害から復帰したレーンが使用されるように、前記使用可能な仮想レーンを決定し、前記決定された使用可能な仮想レーンに関する情報を含む前記使用可能レーン情報を生成し、前記生成された使用可能レーン情報を前記送信機に送信するものとなっている。
【0076】
(5)更に、本実施の形態によるデータ伝送システムは、次のような制御方法を持つものとなっている。まず、受信機2が各仮想レーンのビットエラーレートを監視し、障害レーン情報を送信機1に送り、障害レーン情報を受け取った送信機1は、障害レーン情報をアラインマーカに埋め込み受信機2に送り、アラインマーカを受け取った受信機2は障害レーン情報を抽出し、送信機1に伝え、送信機1のMAC層では使用レーン数に応じた通信容量となるように、データをアイドルに置き換え、送信機1の物理層では使用可能な仮想レーンに対してデータを振り分け、使用したレーン情報をアラインマーカに埋め込み受信機2に送り、停止するレーンには障害からの復帰判定用のランダム・ビット列を出力し、使用レーン情報を含むアラインマーカを受け取った受信機2は、使用レーン情報を抽出し、使用可能な仮想レーンに対して復号化を行うように切り替えを行う。
【0077】
(6)また、本実施の形態によるデータ伝送システムは、次のような制御方法を持つものとなっている。まず、受信機2が各仮想レーンのビットエラーレートを監視し、障害レーン情報を送信機1に送り、障害レーン情報を受け取った送信機1は、障害レーン情報をアラインマーカに埋め込み受信機2に送り、アラインマーカを受け取った受信機2は障害レーン情報を抽出し、送信機1に伝え、送信機1は障害レーン情報をアラインマーカに埋め込み、受信機2に送り、受信機2はアラインマーカから障害レーン情報を抽出し、現在の障害レーン情報と比較し、受信機2は送信機1から送られてきた障害レーン情報と現在の障害レーン情報が一致した場合、レーン切り替えを許可する情報を送信機1に送り、送信機1はレーン切り替えを許可する情報をアラインマーカに埋め込み、受信機2に送り、受信機2はアラインマーカからレーン切り替えを許可する情報を検出し、送信機1に伝え、送信機1のMAC層では使用レーン数に応じた通信容量となるように、データをアイドルに置き換え、送信機1の物理層では使用可能な仮想レーンに対してデータを振り分け、レーンを切り替えるタイミングの情報をアラインマーカに埋め込み受信機2に送り、停止するレーンには障害からの復帰判定用のランダム・ビット列を出力し、受信機2は、レーンを切り替えるタイミングの情報を検出し、使用可能な仮想レーンに対して復号化を行うように切り替えを行う。
【0078】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0079】
例えば、前述した各実施の形態では、図3や図6の受信機2が、使用レーン決定部21を用いて、障害レーンと障害復帰レーンを反映した使用可能なレーンを決定し、それを障害レーン通知として出力したが、この決定を行う処理は、必ずしも受信機2である必要はない。すなわち、送信機1が受信機2から障害レーンの情報と障害復帰レーンの情報をそれぞれ得れば、送信機1によって使用可能なレーンを決定することも可能である。ただし、この場合、受信機2から送信機1に通知する情報量が増加するので、この観点からは受信機2が決定する方が望ましい。
【0080】
また、ここでは、障害復帰レーンを検出するため擬似ランダムデータ列を用いたが、データパターンが固定的に定まっているものであれば、必ずしも擬似ランダムデータ列である必要はない。ただし、符号間干渉等のデータパターン依存性も考慮し、伝送レーンの状態をより正確に判別するためには、擬似ランダムデータ列を用いることが望ましい。
【0081】
また、前述した各実施の形態では、仮想レーンをそれよりも本数が少ない物理レーンに多重化して通信を行うデータ伝送システムを例に説明を行ったが、必ずしも、このようなシステムに限られるものではなく、複数本の物理レーンを用いて並行にデータ列を伝送するデータ伝送システムであれば、同様に適用可能である。
【0082】
さらに、前述した実施の形態では、図1に示したように、2個の送受信機3−1,3−2をx本からなる2系統の伝送レーンLN1,LN2で接続したデータ伝送システムを用いたが、これに限らず、場合によっては、1個の送信機1と1個の受信機2からなるデータ伝送システムを用いることも可能である。この場合、例えば、送信機1と受信機2をx本からなる伝送レーンLN1で接続し、受信機2から送信機1に向けては使用レーン通知や障害レーン通知等を行う専用の通信回線を設ければよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本実施の形態によるデータ伝送システムおよびデータ伝送装置は、特に、送信機と受信機の間で複数の低速信号を束ねることで速度増加を行うマルチレーン伝送システムに適用して有益なものであり、これに限らず、送信機と受信機の間で通信条件の共通認識を行うデータ伝送システム全般に対して広く適用可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 送信機
2 受信機
3 送受信機
4 フレームバッファ
5 容量変換部
6 伝送符号化部
7 ラウンドロビン部
8 マーカ挿入部
9 マーカ管理部
10 PRBS発生部
11 セレクタ部
12 マルチプレクサ部
13 障害管理部
14 信号検出部
15 PRBS検査部
16 PRBS監視部
17 デマルチプレクサ部
18 ブロック同期部
19 BER検査部
20 BER監視部
21 使用レーン決定部
22 マーカ検査部
23 マーカ監視部
24 位相差検出部
25 デスキュー部
26 マーカ削除部
27 伝送復号化部
28 容量変換部
29 同期監視部
40 EXOR回路
LN 伝送レーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1送信機と、第1受信機と、前記第1送信機から前記第1受信機に向けた通信経路となるN本の第1伝送レーンと、前記第1受信機から前記第1送信機に向けた通信経路となる第1通信手段とを備え、
前記第1送信機は、障害レーン情報に基づいて、前記N本の前記第1伝送レーンの中から障害が生じていない正常レーンを対象として前記第1受信機に向けて送信データを出力し、前記N本の前記第1伝送レーンの中から障害が生じている障害レーンを対象として前記第1受信機に向けて特定の第1データパターンを出力する第1手段を備え、
前記第1受信機は、
前記正常レーンを介して伝送される前記送信データの受信状態を監視し、この受信状態が正常か否かを判別する第2手段と、
前記障害レーンを介して伝送される前記第1データパターンの受信状態を監視し、この受信状態が正常か否かを判別する第3手段とを備え、
前記第1受信機および前記第1送信機のいずれか一方は、前記第2手段の判別結果と前記第3手段の判別結果に基づいて前記N本の前記第1伝送レーンの中の前記正常レーンの位置と前記障害レーンの位置を更新し、この更新結果を反映して前記障害レーン情報を生成することを特徴とするデータ伝送システム。
【請求項2】
請求項1記載のデータ伝送システムにおいて、
前記第1手段は、複数段のシフトレジスタと特定段のタップを持ったスクランブラを備え、前記第1データパターンとして前記スクランブラを用いて擬似ランダムデータを生成し、
前記第3手段は、前記第1手段と同じ段数のシフトレジスタと同じ特定段のタップを持ったデスクランブラを備え、前記デスクランブラを用いて前記擬似ランダムデータが正しく伝送されたか否かを判別することを特徴とするデータ伝送システム。
【請求項3】
請求項1記載のデータ伝送システムにおいて、
前記送信データには、エラー検出符号が含まれ、
前記第2手段は、前記送信データに含まれる前記エラー検出符号を判定することで前記送信データの受信状態を判別することを特徴とするデータ伝送システム。
【請求項4】
請求項1記載のデータ伝送システムにおいて、
前記送信データには、同期用のビット列が含まれ、
前記第2手段は、前記送信データに含まれる前記同期用のビット列の受信状態を監視することで前記送信データの受信状態を判別することを特徴とするデータ伝送システム。
【請求項5】
請求項2記載のデータ伝送システムにおいて、
前記第1送信機は、さらに、
上位階層から入力された送信フレームを伝送符号化する伝送符号化部と、
前記伝送符号化部から出力されたビット列を分離して並行に伝送するX本(X>N)の第1仮想レーンと、
前記X本の前記第1仮想レーンを介して伝送されたビット列を前記N本の前記第1伝送レーンに多重化して出力するマルチプレクサ部とを備え、
前記第1受信機は、さらに、
前記N本の前記第1伝送レーンを介して伝送されたビット列を前記X本に分離するデマルチプレクサ部と、
前記デマルチプレクサ部によって分離された前記X本のビット列を並行に伝送する前記X本の第2仮想レーンとを備え、
前記第1手段は、さらに、2入力の一方に前記X本の前記第1仮想レーンの出力がそれぞれ接続され、2入力の他方に前記スクランブラの出力が共通に接続された前記X個のセレクタ回路を備え、
前記デスクランブラは、前記X本の前記第2仮想レーン上のそれぞれに備わっていることを特徴とするデータ伝送システム。
【請求項6】
請求項1記載のデータ伝送システムにおいて、
さらに、第2送信機と、第2受信機と、前記第2送信機から前記第2受信機に向けた通信経路となる前記N本の第2伝送レーンとを備え、
前記第1送信機と前記第2受信機は、第1送受信機に実装され、
前記第2送信機と前記第1受信機は、第2送受信機に実装され、
前記第1送受信機は、前記第2受信機から前記第1送信機に向けた第1通信経路を備え、
前記第2送受信機は、前記第1受信機から前記第2送信機に向けた第2通信経路を備え、
前記第1通信手段は、前記第2通信経路と、前記N本の前記第2伝送レーンと、前記第1通信経路によって実現されることを特徴とするデータ伝送システム。
【請求項7】
請求項6記載のデータ伝送システムにおいて、
前記第1送信機は、さらに、
上位階層から入力された送信フレームを伝送符号化する第1伝送符号化部と、
前記第1伝送符号化部から出力されたビット列を分離して並行に伝送するX本(X>N)の第1A仮想レーンと、
前記X本の前記第1A仮想レーン内にそれぞれ挿入され、前記X本の前記第1A仮想レーン上を伝送するビット列に対してそれぞれ第1マーカを挿入して出力する前記X個の第1マーカ挿入部と、
前記X個の前記第1マーカ挿入部を介して伝送されたビット列を前記N本の前記第1伝送レーンに多重化して出力する第1マルチプレクサ部とを備え、
前記第1受信機は、さらに、
前記N本の前記第1伝送レーンを介して伝送されたビット列を前記X本に分離する第1デマルチプレクサ部と、
前記第1デマルチプレクサ部によって分離された前記X本のビット列を並行に伝送する前記X本の第1B仮想レーンと、
前記X本の前記第1B仮想レーン上にそれぞれ設けられ、前記X本の前記第1B仮想レーン上を伝送するビット列から前記第1マーカをそれぞれ抽出する前記X個の第1マーカ検査部とを備え、
前記第2送信機は、
上位階層から入力された送信フレームを伝送符号化する第2伝送符号化部と、
前記第2伝送符号化部から出力されたビット列を分離して並行に伝送する前記X本の第2A仮想レーンと、
前記X本の前記第2A仮想レーン内にそれぞれ挿入され、前記X本の前記第2A仮想レーン上を伝送するビット列に対してそれぞれ第2マーカを挿入して出力する前記X個の第2マーカ挿入部と、
前記X個の前記第2マーカ挿入部を介して伝送されたビット列を前記N本の前記第2伝送レーンに多重化して出力する第2マルチプレクサ部とを備え、
前記第1受信機は、
前記N本の前記第2伝送レーンを介して伝送されたビット列を前記X本に分離する第2デマルチプレクサ部と、
前記第2デマルチプレクサ部によって分離された前記X本のビット列を並行に伝送する前記X本の第2B仮想レーンと、
前記X本の前記第2B仮想レーン上にそれぞれ設けられ、前記X本の前記第2B仮想レーン上を伝送するビット列から前記第2マーカをそれぞれ抽出する前記X個の第2マーカ検査部とを備えることを特徴とするデータ伝送システム。
【請求項8】
請求項7記載のデータ伝送システムにおいて、
前記第1受信機の前記第2手段および前記第3手段による判別結果は、前記第2通信経路を介して前記第2送信機に伝送されたのち、前記第2送信機の前記第2マーカを用いて前記第2受信機に伝送され、その後、前記第1通信経路を介して前記第1送信機に伝送されることを特徴とするデータ伝送システム。
【請求項9】
N本の第1伝送レーンに送信を行う第1送信機と、
前記N本の第2伝送レーンから受信を行う第1受信機と、
前記第1受信機から前記第1送信機に向けた第1通信経路とを備え、
前記第1送信機は、第1障害レーン情報に基づいて、前記N本の前記第1伝送レーンの中から障害が生じていない第1正常レーンを対象として第1送信データを出力し、前記N本の前記第1伝送レーンの中から障害が生じている第1障害レーンを対象として特定の第1データパターンを出力する第1手段を備え、
前記第1受信機は、
前記N本の第2伝送レーンの中から障害が生じていない第2正常レーンを介して伝送された第2送信データの受信状態を監視し、この受信状態が正常か否かを判別する第2手段と、
前記N本の第2伝送レーンの中から障害が生じている第2障害レーンを介して伝送された特定の第2データパターンの受信状態を監視し、この受信状態が正常か否かを判別する第3手段と、
前記第2手段と前記第3手段の判別結果に基づいて、前記N本の前記第2伝送レーンの中の前記正常レーンの位置と前記障害レーンの位置を更新し、この更新結果を反映した第2障害レーン情報の転送依頼を前記第1通信経路を介して前記第1送信機に対して行う第4手段とを備え、
前記第1送信機は、更に、前記第1通信経路を介して転送依頼された前記第2障害レーン情報を前記N本の前記第1伝送レーンに転送する第5手段を備え、
前記第1受信機は、更に、前記N本の前記第2伝送レーンを介して転送されてきた前記第1障害レーン情報の通知を前記第1通信経路を介して前記第1送信機に対して行う第6手段とを備えることを特徴とするデータ伝送装置。
【請求項10】
請求項9記載のデータ伝送装置において、
前記第1データパターンと前記第2データパターンは、同一の規則性を備え、
前記第1手段は、複数段のシフトレジスタと特定段のタップを持ったスクランブラを備え、前記第1データパターンとして前記スクランブラを用いて擬似ランダムデータを生成し、
前記第3手段は、前記第1手段と同じ段数のシフトレジスタと同じ特定段のタップを持ったデスクランブラを備え、前記デスクランブラを用いて前記第2データパターンが正しく伝送されたか否かを判別することを特徴とするデータ伝送装置。
【請求項11】
請求項9記載のデータ伝送装置において、
前記第2送信データには、エラー検出符号が含まれ、
前記第2手段は、前記第2送信データに含まれる前記エラー検出符号を判定することで前記第2送信データの受信状態を判別することを特徴とするデータ伝送装置。
【請求項12】
請求項9記載のデータ伝送装置において、
前記第2送信データには、同期用のビット列が含まれ、
前記第2手段は、前記第2送信データに含まれる前記同期用のビット列の受信状態を監視することで前記第2送信データの受信状態を判別することを特徴とするデータ伝送装置。
【請求項13】
請求項10記載のデータ伝送装置において、
前記第1送信機は、さらに、
上位階層から入力された送信フレームを伝送符号化する伝送符号化部と、
前記伝送符号化部から出力されたビット列を分離して並行に伝送するX本(X>N)の第1仮想レーンと、
前記X本の第1仮想レーンを介して伝送されたビット列を前記N本の前記第1伝送レーンに多重化して出力するマルチプレクサ部とを備え、
前記第1受信機は、さらに、
前記N本の前記第2伝送レーンを介して伝送されたビット列を前記X本に分離するデマルチプレクサ部と、
前記デマルチプレクサ部によって分離された前記X本のビット列を並行に伝送する前記X本の第2仮想レーンとを備え、
前記第1手段は、さらに、2入力の一方に前記X本の前記第1仮想レーンの出力がそれぞれ接続され、2入力の他方に前記スクランブラの出力が共通に接続された前記X個のセレクタ回路を備え、
前記デスクランブラは、前記X本の前記第2仮想レーン上のそれぞれに備わっていることを特徴とするデータ伝送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−211532(P2011−211532A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77913(P2010−77913)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、独立行政法人情報通信研究機構、ユニバーサルリンク技術の研究開発 委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】