説明

データ伝送装置及びデータ伝送方法

【課題】データ伝送装置及びデータ伝送方法に関し、バックドリル処理を省略して製造コスト削減を図る。
【解決手段】送信側PIU1と受信側PIU2とをBWB3を介してコネクタ6,7により接続し、装置監視・制御部11により、送信側PIU1及び受信側PIU2の監視及び制御を行うデータ伝送装置及びデータ伝送方法であって、装置監視・制御部11は、BWB3の複数の配線8対応に、その伝送特性を格納した回線品質テーブル13と、送信側PIU1の各回線の伝送速度と優先度との要求に従った伝送特性のBWB3の各配線8を、トラフィック管理部9により割り付ける処理を行うトラフィック管理制御部12とを含む構成を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信部と受信部との間を、バックワイヤリングボード(BWB)を介して接続し、サービス要求レベルに対応してバックワイヤリングボードの配線の割当てを行って高速データ伝送処理を行うデータ伝送装置及びデータ伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速且つ大容量のデータ伝送の要望に従った各種のデータ伝送システムやデータ伝送方法が提案されている。図7は、一般的なインターネット接続サービスを提供するデータ伝送システムの概略を示すもので、一般的な加入者を収容したアクセス網101とメトロ/コア網102との間をレイヤ2スイッチ(L2SW)103を介して接続し、このメトロ/コア網102とレイヤ2スイッチ104を介して上位レイヤ105,106との間を接続した概略構成を示す。アクセス網101は、G−PON等による10M/100M/1G(bps)の伝送速度の回線を含み、メトロ/コア網102は、ADM(Add Drop Multiplexer),WDM(Wavelength Division Multiplexing),ROADM(Reconfigurable Optical Add Drop Multiplexer)等の機能を有する伝送装置を含むものである。又上位レイヤ105は、ネットワーク サービス レイヤ(NSL;Network Service Layer)、上位レイヤ106は、アプリケーション サービス レイヤ(ASL;Application Service Layer)の場合を示す。
【0003】
又アクセス網101やメトロ/コア網102には各種のデータ伝送装置を含むものであり、図8はデータ伝送装置の説明図であり、同図の(A)はデータ伝送装置の要部の外観斜視図、(B)はデータ伝送装置の要部の内部斜視図を示す。データ伝送装置は、図8の(A)に示すように、複数のプリント基板をシェルフに搭載して構成する場合が一般的であり、各プリント基板は、各種の機能を有する半導体集積回路や他の回路部品を搭載して構成され、シェルフの所定の位置、又は任意の位置に挿入することにより、コネクタ接続が行われるプラグインユニット(PIU;Plug In Unit)構成を有し、バックワイヤリングボード(BWB;Back Wiring Board)の配線によって、プリント基板相互間の接続が行われる。
【0004】
例えば、図8の(B)に示すように、プリント基板上に半導体集積回路等による送信デバイス114とコネクタ115とを含む構成の送信側PIU111と、プリント基板上に半導体集積回路などによる受信デバイス116とコネクタ117とを含む構成の受信側PIU112とを、筐体のスロットに挿入することにより、バックワイヤリングボード(以下「BWB」と略称する)113に形成した配線118によって相互間を接続することができる。BWB113は、通常は多層配線構成を有し、Gbps程度の高速伝送を行う場合は、低誘電率且つ低誘電体損の絶縁基板により構成されている。
【0005】
図9は、従来例のデータ伝送装置の要部ブロック図であり、図8と同一符号は同一名称部分を示し、119は装置監視・制御部、121,122はトラフィック管理部、123はエラー監視部、124はトラフィック管理制御部、125はOPS(Operating System)部を示す。送信側PIU111と受信側PIUとはBWB113の配線118を介して接続され、送信デバイス114と受信デバイス116との間は、BWB113の配線118を介して5Gbpsの速度でデータ伝送可能の構成を有し、送信側PIU111に対して入力される回線1,2は、データ伝送速度2.5Gbpsの低優先、回線3は、データ伝送速度2.5Gbpsの高優先、回線4は、データ伝送速度600Mbpsの高優先とした場合を例示しており、BWB113を介して送信側PIU111から受信側PIU112に対してデータ伝送を行う。又装置監視・制御部119は、トラフィック管理制御部124を有し、保守端末としてのOPS部125から、各回線の帯域設定や回線制御情報等を入力し、装置監視・制御部119のトラフィック管理制御部124により、送信側PIU111のトラフィック管理部121を制御する。
【0006】
図10は、BWB接続構成の説明図であり、図8と同一符号は同一名称部分を示す。又(A),(B)は、BWB113の接続多層配線の位置が異なる場合を示し、又(C)は一部拡大説明図である。BWB113は、例えば、ガラス・エポキシ樹脂基板に40層程度の多層配線層を形成する場合が多く、コネクタ115,117の接続ピンを挿入して配線と接続させる為のスルーホール内面はメッキが施され、所望の位置のスルーホールのメッキ層と、所望の位置の配線層とが接続され、コネクタの接続ピンをスルーホールに挿入することにより、送信側PIU111と受信側PIU112との間の接続が行われる。その場合の配線層は、例えば、図10の(A)の配線層118aに比較して、(B)の配線層118bは裏面に近い位置の場合を示している。
【0007】
又同図(C)の一部拡大説明図に於いて、115aはコネクタ115の接続ピン、118−1〜118−4はBWB113の配線層、118Mはスルーホール内面に施したメッキ層を示し、このメッキ層118Mと配線層118−1とを接続している状態を示す。従って、コネクタ115の接続ピン115aが、メッキ層118を介して配線層118−1に接続していることになる。この接続構成に於いては、長さL1のスタブ(stub)が配線層118−1と接続ピン115aとの接続経路に形成されていることになる。又点線で示す配線層118−4がメッキ層118Mに接続されている場合は、長さL2のスタブが接続されていることになる。即ち、接続ピン115aによって、同図の(A)の配線層118aに接続した場合の構成は、同図の(B)の配線層118bに接続した場合の構成に比較してスタブが長くなる。
【0008】
一般的には、スタブが長くなると、数Gbps程度の高速伝送の場合、マイクロ波信号伝送の場合と同様に、伝送特性が低下して、受信信号の波形歪みの問題が発生し、BWB113による送信側PIU111と受信側PIU112との間のデータ伝送に於いて、エラー発生となる場合がある。従って、図8に示すように、エラー監視部123を設けて、監視することが必要となる。このBWB113に於けるスタブの影響を緩和する為に、バックドリルの手段を適用することが知られている。このバックドリル処理は、例えば、図10の(C)に於けるスルーホールのメッキ層118Mを裏面からドリルによって除去する処理で、スタブ長を0又は無視できる程度まで短くすることにより、伝送波形の歪み発生を抑制することができる。
【0009】
例えば、データ伝送速度が600Mbps,2.5Gbps,5Gbpsの場合について、図10の(A)に示す長いスタブの場合のエラーレートが、それぞれデータ伝送速度に応じて、10−12,10−11,10−9、又図10の(B)に示すような短いスタブの場合は、データ伝送速度に応じて、エラーレートが10−12,10−12,10−11の場合に、バックドリルを実施すると、各伝送速度に於いて、長いスタブであった場合も短いスタブであった場合も、それぞれ10−12のエラーレートとなり、伝送品質の改善を行うことができる。
【0010】
又データ伝送に於ける複数回線のそれぞれの要求品質(QoS;Quality of Service)に応じた伝送制御を行うシステムが各種知られている。その場合、QoSテーブルにより、LAN(Local Area Network)側からWAN(Wide Area Network)側へデータ伝送する場合、各回線の伝送帯域や重要度等の情報を管理し、そのQoSテーブルに従ってトラフィックの優先制御を行うデータ伝送装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−116284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前述の従来例のデータ伝送装置に於ける送信側PIU111と受信側PIU112との間を接続するBWB113の伝送特性を改善する為にバックドリルを施す手段は、コネクタの接続ピンと、BWB113の配線層との接続形態に応じた深さであることが必要であり、このような接続配線層の位置の情報を基に、バックドリルを施す深さを正確に設定制御することが必要である。従って、接続ピン数が多くなる程、バックドリル処理に要するコストが上昇する問題がある。このようなバックドリル処理による製品コストが約20%上昇する場合が一般的であって、データ伝送装置のコストアップの一つ要因となっている問題がある。又前述の特許文献1には、回線の要求品質に対応したトラフィックの優先制御を行うことにより、伝送特性の改善を図ることができるが、前述のBWBのバックドリル処理に於ける問題点については開示されていない。
【0013】
本発明は、前述のデータ伝送装置のBWBに於けるバックドリル処理を省略してコストダウンを図り、且つ要求回線品質を維持可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のデータ伝送装置は、送信側プラグインユニットと受信側プラグインユニットとをバックワイヤリングボードを介してコネクタ接続し、装置監視・制御部により、送信側プラグインユニット及び受信側プラグインユニットの監視及び制御を行うデータ伝送装置であって、装置監視・制御部は、バックワイヤリングボードの複数の配線の伝送特性を格納した回線品質テーブルと、送信側プラグインユニットの各回線の伝送速度と優先度との要求に従った伝送特性のバックワイヤリングユニットの配線を割り付ける処理を行うトラフィック管理制御部とを含む構成を備えている。
【0015】
又前記装置監視・制御部の回線品質テーブルは、バックワイヤリングボードの複数の配線対応の伝送速度とエラーレートとを記録したバックワイヤリングボード性能テーブルと、顧客要求サービスフロー対応の優先順位を設定した品質サービステーブルとを含む構成を有するものである。
【0016】
又前記送信側プラグインユニットのトラフィック管理制御部は、装置監視・制御部の制御により、バックワイヤリングボードの配線の伝送速度と優先度とに基づいて、同一優先度の複数の回線の伝送速度の和が、バックワイヤリングボードの配線の伝送速度を超えないように多重化設定を行う制御手段を含む構成を有するものである。
【0017】
又本発明のデータ伝送方法は、送信側プラグインユニットと受信側プラグインユニットとをバックワイヤリングボードを介してコネクタ接続し、装置監視・制御部により前記送信側プラグインユニット及び前記受信側プラグインユニットの監視及び制御を行うデータ伝送方法であって、バックワイヤリングボードの複数の配線の伝送特性を回線品質テーブルに格納し、送信側プラグインユニットの各回線の伝送速度と優先度との要求に従った伝送特性のバックワイヤリングボードの配線を割り付ける処理過程を含むものである。
【0018】
又前記装置監視・制御部の回線品質テーブルに、バックワイヤリングボードの複数の配線対応の伝送速度とエラーレートとを記録したバックワイヤリングボード性能テーブルと、顧客要求サービスフロー対応の優先順位を設定した品質サービステーブルとを形成し、送信側プラグインユニットの回線対応に、顧客要求サービスフローの優先順位と伝送速度とを基に、品質サービステーブルを参照して、バックワイヤリングボードの複数の配線と送信側プラグインユニットの回線を割り付ける処理過程を含むものである。
【発明の効果】
【0019】
送信側プラグインユニットと受信側プラグインユニットとを接続する為のバックワイヤリングボード(BWB)に対するバックドリル処理を実施しないことにより、製造コストを大幅に削減し、バックドリル処理を実施しないことによるバックワイヤリングボードの各配線の伝送特性は、実測又はシミュレーションにより求めることができるから、回線品質テーブルのBWB性能テーブルとして格納し、送信側プラグインユニットの回線対応に要求される伝送速度と優先度とを含む要求に従って、バックワイヤリングボードの配線を割り付けることにより、顧客の要求に従った伝送特性でデータ伝送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1の説明図である。
【図2】本発明の実施例1のバックワイヤリングボード接続の概略説明図である。
【図3】本発明の実施例1の回線品質デーブルの説明図である。
【図4】本発明の実施例1のフローチャートである。
【図5】本発明の実施例1のフローチャートである。
【図6】トラフィック管理部の機能の概要説明図である。
【図7】データ伝送システムの説明図である。
【図8】データ伝送装置の外観及び要部分解斜視図である。
【図9】従来例のデータ伝送装置の説明図である。
【図10】バックワイヤリングボードの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のデータ伝送装置は、図1を参照して説明すると、送信側プラグインユニット1と受信側プラグインユニット2とをバックワイヤリングボード3を介してコネクタ接続し、装置監視・制御部11により、送信側プラグインユニット1及び受信側プラグインユニット2の監視及び制御を行うデータ伝送装置であって、装置監視・制御部11は、バックワイヤリングボード3の複数の配線8の伝送特性を格納した回線品質テーブル13と、送信側プラグインユニットの各回線の伝送速度と優先度との要求に従った伝送特性のバックワイヤリングユニットの配線を割り付ける処理を行うトラフィック管理制御部12とを含む構成を備えている。
【0022】
本発明のデータ伝送方法は、送信側プラグインユニット1と受信側プラグインユニット2とをバックワイヤリングボード3を介してコネクタ接続し、装置監視・制御部11により送信側プラグインユニット1及び受信側プラグインユニット2の監視及び制御を行うデータ伝送方法であって、バックワイヤリングボード3の複数の配線8の伝送特性を回線品質テーブル13に格納し、送信側プラグインユニット1の各回線の伝送速度と優先度との要求に従った伝送特性のバックワイヤリングボード3の配線8を割り付ける処理過程を含むものである。
【実施例1】
【0023】
図1は、本発明の実施例1の説明図であり、1は送信側プラグインユニット(送信側PIU;Plug In Unit)、2は受信側プラグインユニット(受信側PIU;Plug In Unit)、3はBWB(バックワイヤリングボード;Back Wiring Board)、4は送信デバイス、5は受信デバイス、6,7はコネクタ、8は配線、9,10はトラフィック管理部、11は装置監視・制御部、12はトラフィック管理制御部、13は回線品質テーブル、14はOPS(Operating System)部を示す。回線品質テーブル13は、BWB性能テーブルと品質サービステーブルとを含み、BWB性能テーブルは、BWB3のバックドリル処理を行わない構成に於けるエラーレート等の伝送特性を、設計データを基にシミュレーションした結果を配線8対応に格納した構成を有し、品質サービステーブルは、高、中、低のサービスフローに対する品質優先順位を格納した構成を有する。又トラフィック管理部9は、送信側PIU1の回線とBWB3の配線8との間の選択接続制御手段を備え、又トラフィック管理部10は、伝送路側の回線とBWB3の配線8との間の選択接続制御手段を備えている
【0024】
送信側PIU1に接続された例えば図示の回線1〜回線6について、伝送速度と優先度とが、例えば、回線1は2.5Gbps且つエラーフリーの高優先、回線2は2.5Gbps且つ低優先(10−9程度のエラーレートを許容)、回線3は1Gbps且つ高優先、回線4は1Gbps且つ高優先、回線5は1Gbps且つ低優先、回線6は1Gbps且つ低優先の伝送特性の要求があった場合、この情報は、OPS部14による入力設定によって回線品質テーブル13に格納される。又トラフィック管理部9,10の選択接続制御手段は、装置監視・制御部11のトラフィック管理制御部12により、回線品質テーブル13の内容を参照して制御することにより、要求伝送品質を満足する伝送品質のBWB3の配線8を割り付ける。例えば、BWB3の5Gbpsの回線に、高優先の回線1,3,4を割り付けると、回線1,3,4の合計帯域は4.5Gbpsとなり、同様に、低優先の回線2,5,6を割り付けると、合計帯域は4.5Gbpsとなる。この場合、トラフィック管理部9は、回線品質テーブル13に設定された回線1〜6の要求伝送特性に対応して多重化伝送を行う構成を設けて、回線の割り付け処理を行うことができる。この場合、受信側PIU2のトラフィック管理部10は、伝送路側の回線に振り分ける構成を設ける。それにより、バックドリル処理を施さないBWB3の配線の特性に対応した送信側PIU1の回線を割り付けて受信側PIU2との間でデータ伝送が可能となる。
【0025】
図2は、バックワイヤリングボード接続の概略説明図であり、図1と同一符号は同一名称部分を示し、トラフィック管理部9と送信デバイス4とを含む構成の送信側PIU1と、トラフィック管理部10と受信デバイス5とを含む構成の受信側PIU2とをそれぞれコネクタ6,7により、BWB3に接続し、送信側PIU1の入力側の回線1〜回線nと、BWB3の配線LINE1〜LINEnとをトラフィック管理部9の選択接続制御手段により、伝送要求品質を満足するように選択接続し、受信側PIU2のトラフィック管理部10の選択接続制御手段によって、BWB3の配線LINE1〜LINEnと伝送路の回線との間を、送信側PIU1のトラフィック管理部9に於ける制御に対応した選択接続制御を行う。それにより、バックドリル処理を施さないBWB3の伝送特性に対応して、許容可能の伝送要求の回線1〜nを、BWB3の配線LINE1〜LINEnの伝送品質に基づいて選択接続することにより、回線対応の伝送要求品質を満足するデータ伝送装置を提供することができる。従って、バックドリル処理を施さないことにより、製造コストを大幅に削減し、顧客の要求する伝送速度を含む伝送品質を確保して、データを伝送を行うことができる。
【0026】
図3は、装置監視・制御部11の回線品質テーブル13(図1参照)の説明図であり、(A)は回線品質(エラーレート)とBWB疎通限界速度との関係曲線図、(B)は顧客のサービスフロー(品質レベルの要求)と品質確保の優先順位との関係曲線図を示す。又(C)はBWB性能テーブル、(D)は品質サービステーブルのそれぞれ内容の一例を示し、これらのBWB性能テーブルと品質サービステーブルとを、装置監視・制御部11の回線品質テーブル13(図1参照)に形成するもので、例えば、OPS部14からの入力操作によって回線品質テーブル13に各種データを設定制御することができる。なお、図示のエラーレートについて、例えば、10^−9は、10−9を示し、又10^−12は、10−12を示すものである。BWB3に対するバックドリル処理を施さない状態の伝送特性は、多層配線の配線層の位置に対応したスタブ長となり、通常は、スタブが長い程、伝送特性が低下するから、シミュレーションによって、配線LINE1〜LINEn対応の伝送特性を求めることができる。従って、図3の(C)に示すような配線(LINE1〜LINEn)対応の伝送特性を示すBWB性能テーブルを作成することができる。例えば、配線LINE1は、5Gbpsの伝送速度ではエラーレート10−11、又2.5Gbpsの伝送速度ではエラーレート10−12であり、配線LINE2は、5Gbpsの伝送速度ではエラーレート10−10、又2.5Gbpsの伝送速度ではエラーレート10−11となる場合を示している。又図3の(A)は、回線品質(エラーレート)を、10−9〜10−12とし、BWB疎通限界速度(bps)の5Gbps〜600Mbpsとの関係の一例を示し、又図3の(D)の品質サービステーブルは、サービスフロー(品質レベル要求)と優先順位との関係を示すテーブルで、顧客の回線が専用線の場合、最高の優先順位であり、又ベストエフォート型(BE型)の中でも、顧客の要求特性に応じた優先順位を割り付ける為のテーブル内容とするもので、それらの関係曲線は、図3の(B)に示すように、専用線型サービス要求は、エラーフリーの特性の配線を割り付けることになる。
【0027】
図4及び図5は、本発明の実施例1のフローチャートを示し、トラフィック管理制御部12と、回線品質テーブル13との処理内容を主とし、顧客の要求に対応した伝送特性のBWBの配線を割り付ける手順を、ステップ(A1)〜(A16)として示す。先ず、装置監視・制御部11のトラフィック管理制御部12は、OPS部14から帯域設定情報及び回線重要度情報の入力により(A1)、回線品質テーブル13の品質サービステーブル(図3の(D)参照)から、顧客サービスフロー(回線重要度)に対応するサービス優先度を抽出し(A2)、各回線のサービス優先度の総容量(同一優先度の回線の伝送速度の和)を算出し(A3)、BWB性能テーブル(図3の(C)参照)から、総容量が顧客サービスフローを満足するBWB配線を抽出し(A4)、その総容量が顧客サービスフローを満足するBWB配線の有無を判定する(A5)。その判定結果、満足できない場合は、一部の回線を別のBWB配線に割り付ける処理を行って(A6)、前のステップ(A4)に戻る。又ステップ(A5)の処理結果、満足する場合、次の優先度の回線の処理に移行し(A7)、ステップ(A3)と同様に、各回線のサービス優先度の総容量を算出する(A8)。
【0028】
次にステップ(A9)に移行する。このステップ(A9)は、ステップ(A4)と同様の処理ステップであり、それ以降のステップ(A10)〜(A15)は、優先度対応ではあるが、前述のステップ(A5)〜(A8)と同様のステップを繰り返す。そして、各優先度回線についての処理の完了により、装置監視・制御部11の回線品質テーブル13の設定が完了し、トラフィック管理部11のトラフィック管理制御部12は、設定完了の回線品質テーブル13の内容を基に、トラフィック管理部9,10を制御し、BWB3の配線8に対する回線の割付処理を実施する。
【0029】
図6は、トラフィック管理部の機能の概要説明図であり、パケット伝送を行う場合の機能であって、送信側PIUのトラフィック管理部9は、Classify部31とPolicer部32とQueuing部33とScheduling部34とを含む機能を備え、受信側PIUのトラフィック管理部10は、Queuing部35とScheduling部36とを含む機能を備えている。なお、各部で行う処理の要点は、図示のような内容であり、WREDは、Weighted Random Early Detectionの略であり、予め設定された閾値に従って、キューの輻輳が発生しそうな時に、パケットの優先度が低い方から順に廃棄処理し、優先度の高いパケットの伝送を確保する機能であって、パケット伝送手段の1機能として知られている。
【符号の説明】
【0030】
1 送信側PIU(Plug In Unit)
2 受信側PIU(Plug In Unit)
3 BWB(Back Wiring Board)
4 送信デバイス
5 受信デバイス
6,7 コネクタ
8 配線
9,10 トラフィック管理部
11 装置監視・制御部
12 トラフィック管理制御部
13 回線品質テーブル
14 OPS(Operating System)部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信側プラグインユニットと受信側プラグインユニットとをバックワイヤリングボードを介してコネクタ接続し、装置監視・制御部により前記送信側プラグインユニット及び前記受信側プラグインユニットの監視及び制御を行うデータ伝送装置に於いて、
前記装置監視・制御部は、前記バックワイヤリングボードの複数の配線の伝送特性を格納した回線品質テーブルと、前記送信側プラグインユニットの各回線の伝送速度と優先度との要求に従った伝送特性の前記バックワイヤリングボードの配線を割り付ける処理を行うトラフィック管理制御部とを備えた
ことを特徴とするデータ伝送装置。
【請求項2】
前記装置監視・制御部の前記回線品質テーブルは、前記バックワイヤリングボードの複数の配線対応の伝送速度とエラーレートとを記録したバックワイヤリングボード性能テーブルと、顧客要求サービスフロー対応の優先順位を設定した品質サービステーブルとを含む構成を有することを特徴とする請求項1記載のデータ伝送装置。
【請求項3】
前記送信側プラグインユニットのトラフィック管理制御部は、前記装置監視・制御部の制御により、前記バックワイヤリングボードの配線の伝送速度と優先度とに基づいて、同一優先度の複数の回線の伝送速度の和が、前記バックワイヤリングボードの配線の伝送速度を超えないように多重化設定を行う制御手段を含むことを特徴とする請求項1又は2記載のデータ伝送装置。
【請求項4】
送信側プラグインユニットと受信側プラグインユニットとをバックワイヤリングボードを介してコネクタ接続し、装置監視・制御部により前記送信側プラグインユニット及び前記受信側プラグインユニットの監視及び制御を行うデータ伝送方法に於いて、
前記バックワイヤリングボードの複数の配線の伝送特性を回線品質テーブルに格納し、前記送信側プラグインユニットの各回線の伝送速度と優先度との要求に従った伝送特性の前記バックワイヤリングボードの配線を割り付ける処理過程を含む
ことを特徴とするデータ伝送方法。
【請求項5】
前記装置監視・制御部の前記回線品質テーブルに、バックワイヤリングボードの複数の配線対応の伝送速度とエラーレートとを記録したバックワイヤリングボード性能テーブルと、顧客要求サービスフロー対応の優先順位を設定した品質サービステーブルとを形成し、前記送信側プラグインユニットの回線対応に、顧客要求サービスフローの優先順位と伝送速度とを基に、前記品質サービステーブルを参照して、前記バックワイヤリングボードの複数の配線と前記送信側プラグインユニットの回線を割り付ける処理過程を含むことを特徴とする請求項4記載のデータ伝送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−35527(P2011−35527A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177768(P2009−177768)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】