説明

データ再生装置およびデータ再生方法

【課題】シーク後から安定して再生可能となるまでの時間を容易に短縮することができるデータ再生装置およびデータ再生方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るデータ再生装置10は、周波数誤差検出器21、位相比較器22、フィルタ手段としてのループフィルタ23、積算器31、積算器31の値を第1の変換値に変換する第1の変換部32、積算器31の値を第2の変換値に変換する第2の変換部33、第1の変換テーブル34、第2の変換テーブル35、第1のD/A変換器(DAC)36、第2のD/A変換器(DAC)37、電圧制御発振器(VCO)38および予測テーブル41などを備える。第1の変換テーブル34は、VCO38の特性を考慮して積算器31の値と第1の変換値とを関連付けて記憶する。また、第2の変換テーブルは、VCO38の特性を考慮して積算器31の値と第2の変換値とを関連付けて記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクなどの記録媒体に記録されたデータを再生するデータ再生装置およびデータ再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクをはじめとする記録媒体に記録されたデータを再生するデータ再生装置は、一般に、記録媒体に記録されたデータから再生信号を生成する際に、まず、記録媒体に記録されたデータに内在するチャネルビットクロックを取得し、このチャネルビットクロックをできるだけ忠実に再現したクロック(再生クロック)を生成して、この再生クロックを用いて再生信号を標本化する。
【0003】
記録媒体に記録されたデータは、読み取り位置によってチャネルビットクロックが異なる場合がある。たとえば、光ディスクには、一般に、線記録密度が一定となるようにデジタル変調データが記録されている。このため、デジタル変調データに内在するチャネルビットクロックは、ディスクの回転数が一定の場合、読み取り位置により異なる。したがって、データ再生装置は、チャネルビットクロックが変化してもデータを正しく再生することができるように、再生クロックをチャネルビットクロックに常に追従させる必要がある。
【0004】
従来、再生クロックをチャネルビットクロックに追従させるために、種々の技術が提案されている(たとえば特許文献1参照)。一般に、データ再生装置は、電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)の出力周波数を再生クロックの周波数として利用する。特許文献1に開示された光ディスク再生装置は、VCOの発振特性を決定する合成抵抗の数をテーブルにもとづいて変更可能に構成され、このテーブルにもとづいてVCOの発振特性を切り替えることにより、VCOの適応可能な周波数帯域を広くすることができる。このため、この光ディスク再生装置によれば、読み取り位置によらず、再生クロックをチャネルビットクロックに追従させることができるようになっている。
【特許文献1】特開2001−6297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、光ディスクの内周側から外周側、または外周側から内周側に読み取り位置をジャンプさせる(読み取り位置をシークする)場合、チャネルビットクロックは、短時間のうちに大きく変化する。この場合、VCOの出力周波数も、短時間で大きく変化させる必要がある。
【0006】
VCOの出力周波数を短時間で大きく変化させるためには、VCOの制御電圧も大きく変化させる必要がある。しかし、一般に、VCOの発振特性は、所定の入力電圧および出力周波数の近傍で最適となるよう設計されている。このため、VCOの制御電圧が大きく変化すると、VCOの特性が最適な特性から外れてしまう。この結果、入力電圧の変化に対して出力周波数が敏感になってしまい、出力周波数が不安定となり、安定した再生を行うことが難しくなってしまう。したがって、従来の技術では、シークを行うと、シーク後から安定した再生を行うまでに時間がかかってしまう問題がある。
【0007】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、シーク後から安定して再生可能となるまでの時間を容易に短縮することができるデータ再生装置およびデータ再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るデータ再生装置は、上述した課題を解決するために、第1の入力電圧に応じた周波数で信号を出力するとともに、第2の入力電圧に応じて前記第1の入力電圧に対する出力周波数特性が変化する電圧制御発振器と、記録媒体から読み出されたデータと前記電圧制御発振器の出力信号との周波数の誤差を検出し、この周波数の誤差に応じた値を出力する周波数誤差検出手段と、前記周波数誤差検出手段の出力値を積算する積算手段と、前記積算手段の値に応じて第1の変換値を出力する第1の変換手段と、前記積算手段の値に応じて第2の変換値を出力する第2の変換手段と、前記第1の変換値を電圧に変換し、この電圧を前記電圧制御発振器に対して前記第1の入力電圧として与える第1のD/A変換器と、前記第2の変換値を電圧に変換し、この電圧を前記電圧制御発振器に対して前記第2の入力電圧として与える第2のD/A変換器と、を備え、前記第1の変換手段は、前記積算手段の値が所定の範囲で変化した場合に、前記第1の入力電圧値が前記電圧制御発振器に固有の最適範囲内となるよう前記第1の変換値を出力する、ことを特徴とするものである。
【0009】
一方、本発明に係るデータ再生方法は、上述した課題を解決するために、第1の入力電圧に応じた周波数で信号を出力するとともに、第2の入力電圧に応じて前記第1の入力電圧に対する出力周波数特性が変化する電圧制御発振器により、前記第1の入力電圧に応じた周波数で信号が出力されるステップと、記録媒体から読み出されたデータと前記電圧制御発振器の出力信号との周波数の誤差を検出し、この周波数の誤差に応じた値を取得するステップと、前記周波数の誤差に応じた出力値が積算手段により積算されるステップと、前記積算手段の値に応じて第1の変換値を取得するステップと、前記積算手段の値に応じて第2の変換値を取得するステップと、前記第1の変換値を電圧に変換し、この電圧を前記電圧制御発振器に対して前記第1の入力電圧として与えるステップと、前記第2の変換値を電圧に変換し、この電圧を前記電圧制御発振器に対して前記第2の入力電圧として与えるステップと、を有し、前記第1の変換値を取得するステップは、前記積算手段の値が所定の範囲で変化した場合に、前記第1の入力電圧値が前記電圧制御発振器に固有の最適範囲内となるよう前記第1の変換値を取得するステップである、ことを特徴とする方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るデータ再生装置およびデータ再生方法によれば、シーク後から安定して再生可能となるまでの時間を容易に短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係るデータ再生装置およびデータ再生方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明に係るデータ再生装置およびデータ再生方法の一実施形態を示す概略的な全体構成図である。
【0013】
なお、本実施形態においては、光ディスク1に記録されたデジタルデータを再生可能に構成された光ディスク1再生装置をデータ再生装置10の一例として示す。
【0014】
図1に示すように、データ再生装置10は、プリアンプ11、A/D変換器(ADC)12、オフセット・ゲイン制御器13、適応等化器14、最尤復号器15、同期検出器16、制御手段としてのシステムコントローラ17、周波数誤差検出器21、位相比較器22、フィルタ手段としてのループフィルタ23、第1の加算器24、第2の加算器25、積算手段としての積算器31、第1の変換部32、第2の変換部33、第1の変換テーブル34、第2の変換テーブル35、第1のD/A変換器(DAC)36、第2のD/A変換器(DAC)37、電圧制御発振器(VCO)38および予測テーブル41を備える。
【0015】
プリアンプ11は、光ディスク1から取得された再生信号を増幅する。
【0016】
ADC12は、VCO38により生成される再生クロックを用いて、プリアンプ11から与えられる再生信号を標本化して多値のデジタル信号に変換する。
【0017】
オフセット・ゲイン制御器13は、平均値と振幅が所望の値になるよう多値再生信号を調整し、適応等化器14に与える。
【0018】
適応等化器14は、オフセット・ゲイン制御器13から受けた多値再生信号を波形等化処理する。
【0019】
最尤復号器15は、波形等化処理後の多値再生信号を、’1’または’0’の2値のバイナリデータとして出力する。
【0020】
最尤復号器15が出力するバイナリデータは、図示しない復調回路にて、例えばETM(Eight to Twelve Modulation)規則に基づく復調処理が行われ、図示しないエラー訂正回路により誤り訂正された後、コンピュータ等のホストに出力される。
【0021】
同期検出器16は、最尤復号器15からバイナリデータを、VCO38から再生クロックを、それぞれ受ける。そして、同期検出器16は、バイナリデータが予め決められた所定の形式に従っているか否かを検出し、位相誤差が所要の範囲内にあり位相同期しているかどうかを判定して、この判定結果をシステムコントローラ17に与える。
【0022】
システムコントローラ17は、シーク等の動作を制御するほか、周波数誤差検出器21および位相比較器22の動作を制御する。また、システムコントローラ17は、ループフィルタ23および積算器31の値を所定の値に書きかえる(初期化する)機能を有する。
【0023】
周波数誤差検出器21は、光ディスク1から読み出されたデータとVCO38の出力信号(再生クロック信号)との周波数の誤差を検出し、この周波数の誤差に応じた値を出力して、この値をシステムコントローラ17および第2の加算器25に与える。より具体的には、周波数誤差検出器21は、オフセット・ゲイン制御器13より受けた多値再生信号からチャネルビットクロックを取得し、チャネルビットクロックと再生クロックとの周波数の誤差を検出する。
【0024】
位相比較器22は、光ディスク1から読み出されたデータとVCO38の出力信号との位相の誤差を検出し、この誤差に応じた信号を出力する。より具体的には、位相比較器22は、オフセット・ゲイン制御器13より受けた多値再生信号からチャネルビットクロックを取得し、チャネルビットクロックと再生クロックとの位相の誤差を検出する。
【0025】
フィルタ手段としてのループフィルタ23は、位相比較器22から受けた信号を平滑化し、位相比較器22から受けた信号に応じた第1の出力値を出力して、第1の加算器24に与える。位相比較器22は、チャネルビットクロックの位相が再生クロックの位相より進んでいる場合(チャネルビットクロックの周波数が再生クロックの周波数よりわずかに高い場合を含む)、負の値を出力する。
【0026】
第1の出力値は、チャネルビットクロックと再生クロックとの位相の誤差に応じた値であり、第1の出力値の個々の値は、一般に、短期的に見ると振動する。一方、再生クロックの位相は、データ再生装置10により、チャネルビットクロックの位相に追従するように制御される。このため、長期的に見れば、第1の出力値の平均値(中心値)は緩やかにゼロに向かう。
【0027】
この、第1の出力値の平均値の動きを捉えるため、ループフィルタ23は、第2の出力値を出力し、第2の加算器25に与える。第2の出力値は、第1の出力値の平均値の時間変化を捉えるために利用される。
【0028】
第2の出力値は、第2の加算器25を介して積算器31で加算される。このため、たとえば、第2の出力値としては、第1の出力値よりも小さい値を用いることができる。第1の出力値よりも小さい場合、積算器31に積算される値のうち第2の出力値による成分は、短期的に見れば微々たるものであるとともに、長期的に見れば第1の出力値の平均値の傾向を反映したものとなる。本実施形態においては、第2の出力値として、第1の出力を1000分の1倍した値を用いる場合の例について説明する。
【0029】
第1の加算器24は、ループフィルタ23から受けた第1の出力値と、第1の変換部32から受けた第1の変換値とを加算し、この加算した値を第1のDAC36に与える。
【0030】
第2の加算器25は、ループフィルタ23から受けた第2の出力値を符号反転した値と、周波数誤差検出器21の出力値とを加算し、この加算した値を積算器31に与える。なお、ループフィルタ23の第2の出力値が、たとえば第1の出力値を1000分の1倍した値でありかつ符号反転した値である場合は、ループフィルタ23は、この第2の値と周波数誤差検出器21の出力値とを加算する。
【0031】
積算器31は、第2の加算器25から受けた値を積算し、第1の変換部32および第2の変換部33に与える。
【0032】
第1の変換部32は、第1の変換テーブル34から積算器31の値に関連付けられた第1の変換値を取得し、この第1の変換値を第1の加算器24に与える。
【0033】
第2の変換部33は、第2の変換テーブル35から積算器31の値に関連付けられた第2の変換値を取得し、この第2の変換値を第2のDAC37に与える。
【0034】
第1のDAC36は、第1の加算器24から受けた値を電圧に変換し、この電圧をVCO38に対して第1の入力電圧として与える。
【0035】
第2のDAC37は、第2の変換値を電圧に変換し、この電圧をVCO38に対して第2の入力電圧として与える。
【0036】
次に、VCO38について説明する。
【0037】
図2は、図1に示した2つの入力を持つVCO38として適用可能な、ディレイラインによるリングオシレータタイプのVCO38の一例を示す図である。
【0038】
図2に示すディレイラインによるリングオシレータタイプのVCO38は、CMOSのLSI内部で広く用いられるものである。図2に示したVCO38によれば、PチャネルMOSトランジスタ(P−ch)のゲート電圧、およびNチャネルMOSトランジスタ(N−ch)のゲート電圧をそれぞれ変化させることにより、この一対のトランジスタの等価的なオン抵抗値を変化させ、リングオシレータの発振周波数(VCO38の出力信号の周波数)を変化させることができる。
【0039】
リングオシレータは、ソース/ドレインを接続した1対のPチャネル/NチャネルMOSトランジスタを複数対有し、各対間にインバータが挿入されている。
【0040】
VCO38の第1の入力電圧V1を高くすると、P−chトランジスタのゲート電圧が高くなるため、P−chトランジスタの等価抵抗が上がり発振周波数が低くなる。逆に、V1を低くすると、P−chトランジスタの等価抵抗が下がり発振周波数が高くなる。
【0041】
一方、第2の入力電圧V2を高くすると、N−chトランジスタのゲート電圧が高くなるため、N−chトランジスタの等価抵抗が下がり発振周波数が高くなる。逆に、V2を低くすると、N−chトランジスタの等価抵抗が上がり発振周波数が低くなる。
【0042】
つまり、VCO38の発振周波数は、簡略的にいうと、V1が高くなると低くなり、V2が高くなると高くなる。
【0043】
続いて、VCO38の出力信号とV1とV2の関係についてより詳細に説明する。
【0044】
図3は、VCO38の第2の入力電圧値V2により、第1の入力電圧値に対する出力信号の周波数特性が変化する様子を示す説明図である。
【0045】
VCO38は、V1に応じた周波数で信号を出力する。VCO38が出力する信号は、再生クロック信号であり、データ再生装置10を構成する要素のうち、アナログ機器を除く全ての要素に与えられる。なお、図1に示したデータ再生装置10では、アナログ機器はプリアンプ11およびVCO38である。
【0046】
また、図3に示すように、VCO38は、V2に応じて、V1に対するVCO38の出力信号の周波数特性(発振周波数特性)が変化する。
【0047】
たとえば、V2が基準中心電圧VREFに等しい場合、V1に対する発振周波数特性は図3のV2=VREFで示した実線となり、VCO38の発振周波数はV1の変化に応じて図3のV2=VREFで示した経路を辿り変化する。また、V2の電圧をVREFより高くした場合、V1に対する発振周波数特性は図3のV2>VREFで示した実線となる。V2の電圧をVREFより低くした場合、V1に対する発振周波数特性は図3のV2<VREFで示した実線となる。
【0048】
図3から明らかなように、V1が高くなるとVCO38の発振周波数は低くなる。また、V2を高くすると、V1に対する出力信号の周波数特性が変化し、V1が同一(たとえばV1=VREF)である場合、V2が高くなるとVCO38の発振周波数は高くなる。
【0049】
したがって、2つの入力をもつVCO38によれば、1つの入力しかもたない電圧制御発振器を用いる場合(2つの入力を持つVCO38のV2を固定した場合)にくらべ、VCO38の適応可能な周波数帯域をより広範囲にすることができる。
【0050】
予測テーブル41は、光ディスク1の種別と、光ディスク1からのデータの読み取り位置と、光ディスク1の回転数と、読み取り位置および回転数において最適と予測される積算器31の値と、を関連付けてあらかじめ記憶しておく。この予測テーブル41は、システムコントローラ17によって、シークが行われる際などに、読み取り位置および回転数にもとづいて最適と予測される値で積算器31の値を書きかえる(初期化する)ために利用される。
【0051】
なお、以下の説明では、ADC12、オフセット・ゲイン制御器13、位相比較器22、ループフィルタ23、第1のDAC36、VCO38の第1の入力電圧が入力される入力端子およびVCO38の出力端子により構成される閉回路を、位相制御ループ(位相ロックループ)という。
【0052】
次に、本実施形態に係るデータ再生装置10の動作の一例について説明する。
【0053】
一般に、通常再生時は、チャネルビットクロックに対して再生クロックが位相同期(ロック)した場合、VCO38の発振周波数の可変幅は、ロック状態における発振周波数に対して数%あれば十分である。しかし、シーク時のチャネルビットクロックの変動を吸収するためには、VCO38の発振周波数の可変幅は、外周から内周へシークを行う場合は約−60%、内周から外周にシークを行う場合は約+260%と、非常に広い幅が必要となる。
【0054】
VCO38の発振周波数の可変幅を広くする方法として、VCO38の変換ゲインを上げる方法が考えられる。しかし、この方法では、VCO38の変換ゲインが上がることにより、再生クロックのジッタが悪化し、通常再生時のデータのエラー率が悪化してしまう。
【0055】
通常再生時の条件と高速再生時におけるシークタイムを最適化するための条件とを両立させるために、2つの入力を持つVCO38と、アクティブワイド制御フィルタとを導入する方法が考えられる。VCO38の第1の入力端子は位相制御ループの一部をなし、第2の入力端子にはチャネルビットクロックの変化に追従するようなゆっくりとした変化電圧を入力する。
【0056】
2つの入力を持つVCO38においては、V1、V2の電圧を制御することにより所望の周波数を発振することができるが、同じ周波数を発振する動作点はV1、V2の組み合わせにより複数ある(図3の動作点bおよびc参照)。一方、動作点によってVCO38の周波数感度特性が異なるため、同一の周波数でも動作点により再生性能に差が出る。
【0057】
一般に、VCO38の特性は、V1の電圧がVCO38に固有の最適値である基準中心電圧VREFから離れるにつれ、所望の特性から外れていくことが多い。このため、シーク直後には、短い時間で、V1がVCO38に固有の最適範囲内(VREF近傍)の動作点に達することが、再生性能を向上させる上で重要である。
【0058】
たとえば、図2に示す発振周波数特性を有するVCO38の場合、動作点aおよびbにおいては傾きが小さいため、V1の変化に対する発振周波数の変化が小さい。しかし、動作点cにおいては傾きが大きいため、V1の変化に対する発振周波数の変化が大きくなるため、再生クロックのジッタが悪化してしまう。つまり、V1がVREFから離れると、安定して再生することが難しい。
【0059】
次に、積算器31、第1の変換テーブル34および第2の変換テーブル35について簡単に説明する。
【0060】
図4は、第1の変換テーブル34に記憶された積算器31の値(入力値)と第1の変換値(出力値)との関係および第2の変換テーブル35に記憶された積算器31の値(入力値)と第2の変換値(出力値)との関係の一例について示す説明図である。
【0061】
図4には、入力値を0から512、出力値を0から256とした場合の例について示した。なお、各テーブル34および35の出力値について、ゼロは第1のDAC36および第2のDAC37の出力電圧の最低電圧に対応し、128はVREFに対応し、256は最大電圧に対応するものとする。
【0062】
ループフィルタ23の出力が0である場合、積算器31の値が0のとき、第1の変換部32は、第1の変換テーブル34にもとづいて第1の変換値として256を出力し、第2の変換部33は、第2の変換テーブル35にもとづいて第2の変換値として0を出力する。このため、電圧V1は第1のDAC36の出力電圧のうちで最も高くなり、電圧V2は第2のDAC37の出力電圧のうち最も低くなる。この結果、VCO38の出力信号(再生クロック信号)は最も低い周波数で発振する。
【0063】
積算器31の値が0から128に向かって変化すると、第1の変換値は減少し、第2の変換値は変わらない。このため、電圧V1が減少し、発振周波数が上昇する。
【0064】
積算器31の値が128から384に向かって変化すると、第1の変換値は128で変わらず、第2の変換値は増加する。このため、V2が増加することによりVCO38の発振周波数特性が変化し(図3参照)、発振周波数がさらに上昇する。
【0065】
積算器31の値が512に向かって変化すると、第1の変換値は減少し、第2の変換値は変わらない。このため、V1が減少し、発振周波数がさらに上昇する。
【0066】
図4に示すような第1の変換テーブル34および第2の変換テーブル35を作成することにより、V1およびV2とVCO38の発振周波数との関係は、V1およびV2が増加すればVCO38の発振周波数が単調に増加する関係となる。
【0067】
また、図4に示すような第1の変換テーブル34を用いることにより、積算器31の値が所定の範囲(図4では128から384)で変化した場合に、第1の入力電圧値V1がVCO38に固有の最適範囲内(VREFの近傍)である期間を長くとることが可能になる。
【0068】
図5は、図1に示すデータ再生装置10により、チャネルビットクロックに対して再生クロックを追従させる際の手順を示すフローチャートである。図5において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。
【0069】
この手順は、ユーザにより、または光ディスク1がデータ再生装置10に装填されて自動的に、光ディスク1の再生の開始要求があった時点でスタートとなる。また、この手順は、ユーザにより再生終了要求があった時点で、または光ディスク1のデータの最終データに到達した時点で終了となる。
【0070】
まず、ステップS1において、システムコントローラ17は、再生が開始されるデータの、または再生中におけるシーク後のデータの、読み取り位置、光ディスク1の種別、および回転数にもとづいて、予測テーブル41を検索し、この位置および回転数において最適と予測される積算器31の値を抽出する。そして、システムコントローラ17は、この抽出した値で積算器31の値を初期化する。予測テーブル41を用いることにより、VCO38の動作点は、より高速に所望の動作点に達することができる。
【0071】
なお、最適と予測される積算器31の値は、光ディスク1の種別、データの読み取り位置および回転数において予測されるチャネルビットクロックに対応する値である。VCO38の特性には、一般に、個体差が存在することが多い。したがって、最適と予測される積算器31の値としては、データ再生装置10に用いられるVCO38の特性を反映するため、あらかじめVCO38の発振周波数と積算器31の値との関係をあらかじめ測定しておき、この関係を反映した値を用いるとよい。
【0072】
また、予測されるチャネルビットクロックの値は、データの読み取り位置および回転数の関数としてのチャネルビットクロックの式を、光ディスク1の種別ごとに用意しておき、この式にもとづいて算出してもよい。この式を用いる場合、予測テーブル41の内容は、算出されたチャネルビットクロックの値に対して最適と予測される積算器31の値を関連付けたものとするとよい。この場合も、最適と予測される積算器31の値としては、データ再生装置10に用いられるVCO38の特性を反映するため、あらかじめVCO38の発振周波数と積算器31の値との関係をあらかじめ測定しておき、この関係を反映した値を用いるとよい。
【0073】
さらに、予測テーブル41を用いない場合、システムコントローラ17は、あらかじめ定められた所定の値(たとえば256など)で積算器31の値を初期化してもよい。この場合、予測テーブル41を用いる場合に比べ、VCO38の動作点が所望の動作点に達するまでにかかる時間はやや遅くなるものの、リソースを削減しコストを下げることができる。
【0074】
次に、ステップS2において、データ再生装置10は、周波数制御処理を実行し、チャネルビットクロックと再生クロックとの周波数の誤差を、位相制御処理を行うために十分小さい所定の範囲内にする。
【0075】
次に、ステップS3において、データ生成装置は、位相制御処理を実行し、チャネルビットクロックと再生クロックとの位相を同期させる。位相同期が外れた場合は、ステップS1に戻る。
【0076】
続いて、チャネルビットクロックと再生クロックとの周波数の誤差を、位相制御処理を行うことができるほど十分小さい所定の範囲内にするために実行される周波数制御処理の手順について説明する。
【0077】
図6は、図5のステップS2で実行される周波数制御処理の手順を示すサブルーチンフローチャートである。図6において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。
【0078】
なお、以下の説明では、再生クロックの周波数の初期値がほぼf2であり、シークによってチャネルビットクロックの周波数がf2からf3に変化し、かつ、図5のステップS1において積算器31の初期値が256に設定された場合の例について示す。再生クロックの初期値がf2であったときには、VCO38の動作点は、図3のaである。VCO38の動作点が図3のbに移動すれば、データ再生装置10は、再生クロックの周波数がf3で安定して再生を行うことができる。
【0079】
なお、この手順は、ユーザにより再生終了要求があった時点で、または光ディスク1のデータの最終データに到達した時点で終了となる。
【0080】
まず、ステップS21において、システムコントローラ17は、位相比較器22の動作を停止させる。
【0081】
次に、ステップS22において、システムコントローラ17は、ループフィルタ23の値をゼロに初期化する。この結果、ループフィルタ23の出力はゼロとなり、第1の加算器24に与えられる値は第1の変換部32から与えられる値のみとなり、かつ第2の加算器25に与えられる値は周波数誤差検出器21から与えられる値のみとなる。
【0082】
次に、ステップS23において、周波数誤差検出器21は、チャネルビットクロックと再生クロックとの周波数の誤差を検出し、この周波数の誤差に応じた値をシステムコントローラ17および第2の加算器25に与える。
【0083】
次に、ステップS24において、システムコントローラ17は、周波数誤差検出器21から受けた値が所定の範囲内にあるかどうか判定する。所定の範囲内にある場合は、周波数誤差検出器21から受けた値が位相制御処理を行うことができるほど十分小さいと判定し、図5のステップS3に進む。一方、所定の範囲内にない場合は、ステップS25に進む。
【0084】
次に、ステップS25において、積算器31は、第2の加算器25を介して周波数誤差検出器21からチャネルビットクロックと再生クロックとの周波数の誤差に応じた値を受け、この値を初期値である256に対して積算する。
【0085】
次に、ステップS26において、第1の変換部32および第2の変換部33は、第1の変換テーブル34および第2の変換テーブル35にもとづいて、積算器31の値に関連付けられた第1の変換値および第2の変換値をそれぞれ抽出し、第1の加算器24および第2のDAC37に与える。
【0086】
たとえば、積算器31が第2の加算器25を介して受けた値の積算値がプラス14である場合、積算器31の値は260となり、第1の変換値は128のまま変わらない(図4参照)。一方、第2の変換値は、シーク前(チャネルビットクロックの周波数がf2であったとき)に比べ、142とやや大きくなる。
【0087】
次に、ステップS27において、第1のDAC36は、第1の加算器24を介して第1の変換値(128)を受け、第2のDAC37は第2の変換値(142)を受ける。そして、第1のDAC36および第2のDAC37は、第1の変換値および第2の変換値をそれぞれ電圧V1(=VREF)およびV2(>VREF)に変換し(図3参照)、VCO38に対して第1の入力電圧および第2の入力電圧として与える。
【0088】
次に、ステップS28において、 VCO38は、第1および第2の入力電圧V1(=VREF)およびV2(>VREF)にもとづいて再生クロック信号を出力し、ステップS23にもどる。
【0089】
第1の入力電圧V1はVREFに等しいまま変化しない一方、第2の入力電圧V2がVREFより大きくなることにより、V1の電圧がVCO38に固有の最適値である基準中心電圧VREFから離れることなく、VCO38の動作点を図3のaからbへと移動させることができる。
【0090】
以上の手順によれば、チャネルビットクロックと再生クロックとの周波数の誤差を、位相制御処理を行うことができるほど十分小さい所定の範囲内にすることができる。
【0091】
従来の技術では、再生クロックをf3に追従させる際、一度図3の動作点cを経由する必要があった。しかし、動作点cでは、V1の電圧がVREFから大きく離れてしまっているため、VCO38のV1の電圧に対する発振周波数の傾きが大きくなる。このため、再生クロックのジッタが悪化してしまい、安定した再生を行うことができない。したがって、従来の技術では、シーク後に安定した再生を行うまでに、VCO38の動作点を図3のcからbに移動させるまでの時間が必要となってしまう。
【0092】
本実施形態に係るデータ再生装置10によれば、第1の変換テーブル34および第2の変換テーブル35を用いることにより、V1の電圧をVCO38に固有の最適範囲内に維持したままVCO38の動作点を変更することができる。このため、従来の技術に比べ、VCO38の動作点をすばやく理想の動作点に移動することができる。したがって、本実施形態に係るデータ再生装置10によれば、シーク後に安定した再生を行うまでの時間を容易に短縮することができる。
【0093】
続いて、チャネルビットクロックと再生クロックとの位相を同期させるために実行される位相制御処理の手順について説明する。
【0094】
図7は、図5のステップS3で実行される位相制御処理の手順を示すサブルーチンフローチャートである。図7において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。
【0095】
なお、以下の説明では、再生クロックの周波数の初期値がほぼf2であり、チャネルビットクロックが、f2から、f2よりもわずかに高い周波数であるf4に変化し、かつ図5のステップS2により積算器31の値が256となった場合の例について示す。また、この手順は、ユーザにより再生終了要求があった時点で、または光ディスク1のデータの最終データに到達した時点で終了となる。
【0096】
まず、ステップS31において、システムコントローラ17は、周波数誤差検出器21の動作を停止させる。この結果、第2の加算器25に与えられる値は、ループフィルタ23により与えられる第2の出力値のみとなる。
【0097】
次に、ステップS32において、同期検出器16は、バイナリデータが予め決められた所定の形式に従っているか否かを検出し、この位相誤差が所要の範囲内にあるかどうかを判定する。所要の範囲内にない場合は、位相制御処理を中断して周波数制御処理に移行すべく、図5のステップS1に進む。このような場合として、たとえば、ユーザからシークすべき旨の指示があった場合が挙げられる。一方、所要の範囲内にある場合は、位相制御処理を続行すべくステップS33に進む。なお、以下のチャネルビットクロックがf2からf4に上昇した場合の例においては、位相誤差が所要の範囲内にあるものとし、この周波数上昇を以下の位相制御処理で吸収する。
【0098】
次に、ステップS33において、位相比較器22は、チャネルビットクロックと再生クロックとの位相誤差を検出し、この誤差に応じた信号を出力する。
【0099】
次に、ステップS34において、ループフィルタ23は、位相比較器22から受けた信号を平滑化し、位相比較器22から受けた信号に応じた第1の出力値を第1の加算器24に与える。また、ループフィルタ23は、第1の出力を1000分の1倍した値である第2の出力値を第2の加算器25に与える。この第2の出力値は、積算器31に与えられる前に符号反転されることに注意する。
【0100】
第1の出力値は、位相誤差のいわゆる瞬時値である。以下の説明では、第1の出力値が−3である場合の例について示す。
【0101】
次に、ステップS35において、第1の変換部32および第2の変換部33は、第1の変換テーブル34および第2の変換テーブル35にもとづいて、積算器31の値に関連付けられた第1の変換値および第2の変換値をそれぞれ抽出し、第1の加算器24および第2のDAC37に与える。
【0102】
たとえば、第1の出力値が−3である場合、積算器31が第2の加算器25を介して受ける第2の出力値は符号反転された結果、+0.003となる。この結果、積算器31の内部値は256.003となる。ただし、積算器31の出力値は整数部分のみ有効とするため、第2の変換値は128と短期的には変化しない。しかし、この過程を繰り返すことにより積算器の内部値が257以上になると、第2の変換値は129に増加する。
【0103】
次に、ステップS36において、第1の加算器24は、ループフィルタ23から受けた第1の出力値(−3)と、第1の変換部32から受けた第1の変換値(128)とを加算し、この加算した値(125)を第1のDAC36に与える。
【0104】
次に、ステップS37において、第1のDAC36は、第1の加算器24を介して第1の変換値(125)を受け、第2のDAC37は第2の変換値(128)を受ける。そして、第1のDAC36および第2のDAC37は、第1の変換値および第2の変換値をそれぞれ電圧V1およびV2に変換し(図3参照)、VCO38に対して第1の入力電圧および第2の入力電圧として与える。
【0105】
次に、ステップS38において、VCO38は、第1および第2の入力電圧V1およびV2にもとづいて再生クロック信号を出力し、ステップS32にもどる。
【0106】
第1の入力電圧V1は、第1の出力値と第1の変換値に影響される。チャネルビットクロックの周波数上昇はわずかであるため、ループフィルタ23の第1の出力値は、位相制御動作で上下に震動しつつ平均的して小さな負の値となる。また、積算値の初期値が256であり、かつこの初期値に積算される第2の出力値の符号反転値が非常に小さな値であるため、第1の変換値は128のままである。このため、第1の出力値が振動する影響により、第1の入力電圧V1は、VREFよりもわずかに低い値で振動する。
【0107】
一方、第2の入力電圧V2は、第2の変換値のみに影響される。チャネルビットクロックの周波数上昇はわずかであるため、ループフィルタ23の第2の出力値の符号反転値は、非常に小さな正の値(たとえば+0.003など)となる。
【0108】
しかし、第2の出力値は、積算器31により積算されため、第2の出力値が積算器31の値に与える影響は徐々に大きくなる。このため、第2の出力値が負の状態が継続した場合、一定時間後に積算器31の出力値は1増加する。この時、第2の変換値は1増加し、第2の入力電圧V2も僅かに増加する。この結果、VCO38の動作点は、V1がVREF近傍で振動しながらも、徐々に図3の上方へと移動する。
【0109】
したがって、図7に示した手順によれば、ゆっくりとチャネルビットクロックの周波数が変化した場合でも、チャネルビットクロックと再生クロックとの位相誤差を所定の範囲内にロックし続けながら、V1の電圧をVCO38に固有の最適範囲内(VREFの近傍)に維持したままVCO38の動作点を移動させることができる。
【0110】
ゆっくりとチャネルビットクロックの周波数が変化する場合として、通常再生時の読み取り位置変化が挙げられる。このため、図7に示した手順によれば、通常再生時において、V1の電圧をVREF近傍に維持し続けることができる。図3に示すように、V1がVREFの近傍では、発振周波数特性の傾きが小さいため、V1の変化に対する発振周波数の変化が小さい。したがって、図7に示した手順によれば、再生クロックのジッタを良好に保ったまま、安定して通常再生を継続できる。
【0111】
本実施形態に係るデータ再生装置10は、シーク動作により大きくチャネルビットクロックの周波数が変化した場合、図2に示した手順により、V1の電圧をVCO38に固有の最適範囲内に維持したまま、VCO38の動作点を高速に所望の動作点に移動させることができる。このため、本実施形態に係るデータ再生装置10によれば、シーク後から安定して再生可能となるまでの時間を容易に短縮することができる。
【0112】
また、本実施形態に係るデータ再生装置10は、チャネルビットクロックの周波数がゆっくり変化した場合、V1の電圧をVCO38に固有の最適範囲内(VREFの近傍)に維持したままVCO38の動作点を移動させることができる。このため、本実施形態に係るデータ再生装置10によれば、通常再生中の性能を維持したまま、シーク後から安定して再生可能となるまでの時間を容易に短縮することができる。
【0113】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0114】
たとえば、本実施形態においては、ループフィルタ23が第2の出力値を出力する場合の例について説明したが、これは、位相制御処理において積算器31に対して第1の出力値の平均値の長期的な動きを反映するための一例にすぎない。このため、ループフィルタ23は第1の出力値のみを出力し、たとえば積算器31の直前に、第1の出力値にもとづいて第1の出力値の平均値の長期的な動きに応じた出力を行う手段を新たに加えても構わない。
【0115】
また、第2の出力値は、第1の出力値の平均値の長期的な動きに応じた値であればよく、第1の出力値を単に正の実数で割ったものに限らず、たとえば第1の出力値の直近10個の平均としてもよい。
【0116】
さらに、図4に示した第1の変換テーブル34および第2の変換テーブル35は、あくまで一例に過ぎない。たとえば、第1の変換テーブル34は、V1がVCO38に固有の最適範囲内である期間を長く取ることができればよく、VCO38の発振周波数特性に応じて作成すればよい。
【0117】
また、本発明の実施形態では、フローチャートの各ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明に係るデータ再生装置およびデータ再生方法の一実施形態を示す概略的な全体構成図。
【図2】図1に示した2つの入力を持つVCOとして適用可能な、ディレイラインによるリングオシレータタイプのVCOの一例を示す図。
【図3】VCOの第2の入力電圧値V2により、第1の入力電圧値に対する出力信号の周波数特性が変化する様子を示す説明図。
【図4】第1の変換テーブルに記憶された積算器の値(入力値)と第1の変換値(出力値)との関係および第2の変換テーブルに記憶された積算器の値(入力値)と第2の変換値(出力値)との関係の一例について示す説明図。
【図5】図1に示すデータ再生装置により、チャネルビットクロックに対して再生クロックを追従させる際の手順を示すフローチャート。
【図6】図5のステップS2で実行される周波数制御処理の手順を示すサブルーチンフローチャート。
【図7】図5のステップS3で実行される周波数制御処理の手順を示すサブルーチンフローチャート。
【符号の説明】
【0119】
1 光ディスク
10 データ再生装置
11 プリアンプ
12 A/D変換器(ADC)
13 オフセット・ゲイン制御器
14 適応等化器
15 最尤復号器
16 同期検出器
17 システムコントローラ
21 周波数誤差検出器
22 位相比較器
23 ループフィルタ
24 第1の加算器
25 第2の加算器
31 積算器
32 第1の変換部
33 第2の変換部
34 第1の変換テーブル
35 第2の変換テーブル
36 第1のD/A変換器
37 第2のD/A変換器
38 VCO
41 予測テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の入力電圧に応じた周波数で信号を出力するとともに、第2の入力電圧に応じて前記第1の入力電圧に対する出力周波数特性が変化する電圧制御発振器と、
記録媒体から読み出されたデータと前記電圧制御発振器の出力信号との周波数の誤差を検出し、この周波数の誤差に応じた値を出力する周波数誤差検出手段と、
前記周波数誤差検出手段の出力値を積算する積算手段と、
前記積算手段の値に応じて第1の変換値を出力する第1の変換手段と、
前記積算手段の値に応じて第2の変換値を出力する第2の変換手段と、
前記第1の変換値を電圧に変換し、この電圧を前記電圧制御発振器に対して前記第1の入力電圧として与える第1のD/A変換器と、
前記第2の変換値を電圧に変換し、この電圧を前記電圧制御発振器に対して前記第2の入力電圧として与える第2のD/A変換器と、
を備え、
前記第1の変換手段は、
前記積算手段の値が所定の範囲で変化した場合に、前記第1の入力電圧値が前記電圧制御発振器に固有の最適範囲内となるよう前記第1の変換値を出力する、
ことを特徴とするデータ再生装置。
【請求項2】
前記電圧制御発振器の特性を考慮して前記積算手段の値と前記第1の変換値とを関連付けて記憶する第1の変換テーブルと、
前記電圧制御発振器の特性を考慮して前記積算手段の値と前記第2の変換値とを関連付けて記憶する第2の変換テーブルと、
をさらに備え、
前記第1の変換手段および前記第2の変換手段は、前記積算手段の値を受け、それぞれ前記第1の変換テーブルおよび前記第2の変換テーブルにもとづいて、前記第1の変換値および前記第2の変換値を出力し、
前記第1の変換テーブルは、
少なくとも、前記積算手段の値が所定の範囲で変化した場合に、前記第1の入力電圧値が前記電圧制御発振器に固有の最適範囲内となるよう、前記積算手段の値と前記第1の変換値とを関連付けて記憶する、
請求項1記載のデータ再生装置。
【請求項3】
前記記録媒体から読み出されたデータと前記電圧制御発振器の出力信号との位相の誤差を検出し、この誤差に応じた信号を出力する位相比較手段と、
前記位相比較手段の出力信号に応じて第1の出力値および第2の出力値を出力するフィルタ手段と、
前記フィルタ手段の第1の出力値および前記第1の変換値を加算し、この加算した値を前記第1のD/A変換器に与える第1の加算器と、
前記フィルタ手段の第2の出力値および前記周波数誤差検出手段の出力値を加算し、この加算した値を前記積算手段に与える第2の加算器と、
をさらに備え、
前記積算手段は、
前記第2の加算器から受けた前記第2の出力値および前記周波数誤差検出手段の出力値値を加算した値を積算し、
前記フィルタ手段の第2の出力値は、
前記フィルタ手段の第1の出力値の平均値に応じた値である、
請求項2記載のデータ再生装置。
【請求項4】
前記周波数誤差検出手段および前記位相比較手段を制御する制御手段、
をさらに備え、
前記制御手段は、
前記位相の誤差が所要の範囲内になく位相同期していないと、前記周波数誤差検出手段を動作させるとともに前記位相比較手段の動作を停止させて前記フィルタ手段の出力をゼロにし、前記周波数誤差検出手段の出力値が所定の範囲内であると、前記周波数誤差検出手段の動作を停止させるとともに前記位相比較手段を動作させる、
請求項3記載のデータ再生装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記記録媒体から読み出されたデータと前記電圧制御発振器の出力信号との位相の誤差が所定の範囲外であると、さらに前記積算手段の値を所定の値に書きかえる、
請求項4記載のデータ再生装置。
【請求項6】
前記記録媒体は光ディスクであり、
前記光ディスクの種別と、前記光ディスクからのデータの読み取り位置と、前記光ディスクの回転数と、前記読み取り位置および前記回転数において最適と予測される積算手段の値と、を関連付けてあらかじめ記憶しておく予測テーブル、
をさらに備え、
前記制御手段は、
前記記録媒体から読み出されたデータと前記電圧制御発振器の出力信号との位相の誤差が所定の範囲外であると、前記予測テーブルを検索して前記最適と予測される積算手段の値を抽出し、前記積算手段の値を前記最適と予測される積算手段の値に書きかえる、
請求項4記載のデータ再生装置。
【請求項7】
前記予測テーブルに記憶された最適と予測される積算手段の値は、前記電圧制御発振器の特性を考慮したものである、
請求項6記載のデータ再生装置。
【請求項8】
第1の入力電圧に応じた周波数で信号を出力するとともに、第2の入力電圧に応じて前記第1の入力電圧に対する出力周波数特性が変化する電圧制御発振器により、前記第1の入力電圧に応じた周波数で信号が出力されるステップと、
記録媒体から読み出されたデータと前記電圧制御発振器の出力信号との周波数の誤差を検出し、この周波数の誤差に応じた値を取得するステップと、
前記周波数の誤差に応じた出力値が積算手段により積算されるステップと、
前記積算手段の値に応じて第1の変換値を取得するステップと、
前記積算手段の値に応じて第2の変換値を取得するステップと、
前記第1の変換値を電圧に変換し、この電圧を前記電圧制御発振器に対して前記第1の入力電圧として与えるステップと、
前記第2の変換値を電圧に変換し、この電圧を前記電圧制御発振器に対して前記第2の入力電圧として与えるステップと、
を有し、
前記第1の変換値を取得するステップは、
前記積算手段の値が所定の範囲で変化した場合に、前記第1の入力電圧値が前記電圧制御発振器に固有の最適範囲内となるよう前記第1の変換値を取得するステップである、
ことを特徴とするデータ再生方法。
【請求項9】
前記電圧制御発振器の特性を考慮して前記積算手段の値と前記第1の変換値とを関連付けて第1の変換テーブルに記憶させるステップと、
前記電圧制御発振器の特性を考慮して前記積算手段の値と前記第2の変換値とを関連付けて第2の変換テーブルに記憶させるステップと、
をさらに有し、
前記第1の変換値を取得するステップは、
前記積算手段の値を受け、前記第1の変換テーブルにもとづいて前記第1の変換値を取得するステップであり、
第2の変換値を取得するステップは、
前記積算手段の値を受け、前記第2の変換テーブルにもとづいて前記第2の変換値を取得するステップであり、
前記第1の変換テーブルは、
少なくとも、前記積算手段の値が所定の範囲で変化した場合に、前記第1の入力電圧値が前記電圧制御発振器に固有の最適範囲内となるよう、前記積算手段の値と前記第1の変換値とを関連付けて記憶する、
請求項8記載のデータ再生方法。
【請求項10】
前記記録媒体から読み出されたデータと前記電圧制御発振器の出力信号との位相の誤差を検出し、この誤差に応じた信号を取得するステップと、
前記位相の誤差に応じた信号に応じて第1の出力値および第2の出力値を出力するステップと、
前記第1の出力値および前記第1の変換値を加算するステップと、
この加算した値を電圧に変換して前記電圧制御発振器に対して前記第1の入力電圧を与えるステップと、
前記第2の出力値および前記周波数の誤差に応じた値を加算するステップと、
前記第2の出力値および前記周波数の誤差に応じた値を加算した値を前記積算手段に与えるステップと、
をさらに有し、
前記積算手段は、前記第2の出力値および前記周波数の誤差に応じた値を加算した値を受けて積算し、
前記第2の出力値は、前記第1の出力値の平均値に応じた値である、
請求項9記載のデータ再生方法。
【請求項11】
前記記録媒体は光ディスクであり、
前記光ディスクの種別と、前記光ディスクからのデータの読み取り位置と、前記光ディスクの回転数と、前記読み取り位置および前記回転数において最適と予測される積算手段の値と、を関連付けてあらかじめ予測テーブルに記憶しておくステップと、
前記記録媒体から読み出されたデータと前記電圧制御発振器の出力信号との位相の誤差が所定の範囲外であると、前記予測テーブルを検索して前記最適と予測される積算手段の値を抽出し、前記積算手段の値を前記最適と予測される積算手段の値に書きかえるステップと、
をさらに有する請求項10記載のデータ再生方法。
【請求項12】
前記予測テーブルに記憶された最適と予測される積算手段の値は、前記電圧制御発振器の特性を考慮したものである、
請求項11記載のデータ再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−205763(P2009−205763A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−48405(P2008−48405)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】