説明

データ処理装置、データ処理方法およびプログラム

【課題】空間的な広がりを有するデータを、その特徴を適切に反映したデータに縮小できる、データ処理装置、データ処理方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】n(n:2以上の自然数)次元のデータテーブルを読出し(ステップS102)、データテーブル上で第1次元方向のデータ配列毎に最頻値を求め(ステップS103)、第1次元方向を除くn−1次元方向のデータ配列毎に第1次元方向のデータ配列毎の最頻値の存在数を求め(ステップS104)、最頻値の存在数が最大となるn−1次元方向のデータ配列をデータテーブルから抽出する(ステップS106)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理装置、データ処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、平面データ、立体データ、時系列データ等、空間的な広がり(時空間的な広がりも含む。)を有するデータを縮小することが知られている。例えば、2次元の画像データの場合、2次元データとしてそのまま縮小すると、空間的な広がりを伴う(画像)データとして取扱うことになり、データ量や表示領域の面等で好ましくない場合があった。一方、1次元データとして縮小すると、空間的な広がりを伴わない(線分)データとして取扱い可能となり、データ量や表示領域を縮小できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、データの統計的な代表値としては、しばしば最頻値や平均値等が用いられている。このため、例えば、画像データのデータ列毎に最頻値や平均値等を代表値として求め、データ列毎の代表値を横方向に並べて線分データを生成する場合がある。しかし、この場合、互いに関連しないデータ列毎の代表値を横方向に並べてしまい、画像データの特徴を適切に反映した線分データを生成できない場合がある。
【0004】
そこで、本発明は、空間的な広がりを有するデータを、その特徴を適切に反映したデータに縮小できる、データ処理装置、データ処理方法およびプログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある観点によれば、n(n:2以上の自然数)次元のデータテーブルを読出す読出し部と、データテーブル上で第1次元方向のデータ配列毎に最頻値を求める最頻値算出部と、第1次元方向を除くn−1次元方向のデータ配列毎に第1次元方向のデータ配列毎の最頻値の存在数を求める存在数算出部と、最頻値の存在数が最大となるn−1次元方向のデータ配列をデータテーブルから抽出する抽出部とを備えるデータ処理装置が提供される。
【0006】
データ処理装置は、データテーブルのデータが所定条件を満たす場合に、データを級数低減した修正テーブルを生成する級数低減部をさらに備え、最頻値算出部は、修正テーブル上で第1次元方向のデータ配列毎に最頻値を再び求めてもよい。
【0007】
データ処理装置は、データテーブルのデータが所定条件を満たす場合に、データの前後値からなる拡張テーブルを生成する拡張部をさらに備え、最頻値算出部は、データテーブルと拡張テーブル上で第1次元方向のデータ配列毎に最頻値を再び求め、存在数算出部は、データテーブルと拡張テーブル上でそれぞれに、第1次元方向を除くn−1次元方向のデータ配列毎に第1次元方向のデータ配列毎の最頻値の存在数を求め、データテーブルについて求めた最頻値の存在数に拡張テーブルについて求めた最頻値の存在数を合わせてもよい。
【0008】
データ処理装置は、第1次元方向のデータ配列毎に同一最頻値の存在数を求め、所定条件として、第1次元方向の全てのデータ配列で同一最頻値の存在数が所定閾値未満であるかを判定する最頻値判定部をさらに備えてもよい。
【0009】
データ処理装置は、所定条件として、n−1次元方向の全てのデータ配列で最頻値の存在数が所定閾値未満であるかを判定する存在数判定部をさらに備えてもよい。
【0010】
存在数算出部は、データテーブルについて求めた最頻値の存在数と、拡張テーブルについて求めた最頻値の存在数とを異なる重み付けで合わせてもよい。
【0011】
存在数算出部は、第1次元方向のデータ配列毎に最頻値を第1値とし、最頻値以外を第2値とする集計テーブルを用いて、n−1次元方向のデータ配列毎に最頻値の存在数を求めてもよい。
【0012】
存在数判定部は、n−1次元方向のデータ配列毎に最頻値が連続して存在する数を示す連続存在数をさらに求め、抽出部は、最頻値の存在数が最大となるn−1次元方向のデータ配列のうち、最頻値の連続存在数が最大となるデータ配列を抽出してもよい。
【0013】
存在数判定部は、n−1次元方向のデータ配列毎に最頻値の分布をさらに求め、抽出部は、最頻値の存在数が最大となるn−1次元方向のデータ配列のうち、最頻値が特定の分布を示すデータ配列を抽出してもよい。
【0014】
抽出部は、最頻値の存在数が最大となるn−1次元方向のデータ配列以外のデータ配列をさらに抽出してもよい。
【0015】
抽出部は、最頻値の存在数が最大となるn−1次元方向のデータ配列に隣接するデータ配列をさらに抽出してもよい。
【0016】
データ処理装置は、2次元画像のデータテーブルから1次元画像のデータ配列を抽出してもよい。
【0017】
データ処理装置は、2次元画像の時間分布を示すデータテーブルから2次元画像のデータ配列を抽出してもよい。
【0018】
データ処理装置は、3次元画像のデータテーブルから2次元画像のデータ配列を抽出してもよい。
【0019】
本発明の他の観点によれば、n(n:2以上の自然数)次元のデータテーブルを読出し、データテーブル上で第1次元方向のデータ配列毎に最頻値を求め、第1次元方向を除くn−1次元方向のデータ配列毎に第1次元方向のデータ配列毎の最頻値の存在数を求め、最頻値の存在数が最大となるn−1次元方向のデータ配列をデータテーブルから抽出することを含むデータ処理方法が提供される。
【0020】
本発明の他の観点によれば、上記データ処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。ここで、プログラムは、コンピュータ読取り可能な記録媒体を用いて提供されてもよく、通信手段等を介して提供されてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、空間的な広がりを有するデータを、その特徴を適切に反映したデータに縮小できる、データ処理装置、データ処理方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係るデータ処理方法の概要を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るデータ処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態に係るデータ処理方法を示すフロー図である。
【図4】第1実施形態に係るデータ処理方法を説明する図である。
【図5】第1実施形態に係るデータ処理方法を説明する図である。
【図6】第1実施形態に係るデータ処理方法の結果を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るデータ処理装置の構成を示すブロック図である。
【図8】第2実施形態に係るデータ処理方法を示すフロー図である。
【図9】第2実施形態に係るデータ処理方法を説明する図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係るデータ処理装置の構成を示すブロック図である。
【図11】第3実施形態に係るデータ処理方法を示すフロー図である。
【図12A】第3実施形態に係るデータ処理方法を説明する図である。
【図12B】第3実施形態に係るデータ処理方法を説明する図である。
【図13】第3実施形態に係るデータ処理方法を説明する図である。
【図14】本発明の第4実施形態に係るデータ処理装置の構成を示すブロック図である。
【図15】第4実施形態に係るデータ処理方法を示すフロー図である。
【図16】第4実施形態に係るデータ処理方法を説明する図である。
【図17】第4実施形態に係るデータ処理方法を説明する図である。
【図18】第4実施形態に係るデータ処理方法を説明する図である。
【図19】本発明の実施形態に係るデータ処理方法の応用例を示す図である。
【図20】本発明の実施形態に係るデータ処理方法の応用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
[1.データ処理方法の概要]
まず、図1を参照して本発明の実施形態に係るデータ処理方法の概要について説明する。データ処理方法は、平面データ、立体データ、時系列データ等、空間的な広がり(時空間的な広がりも含む)を有するデータを、その特徴を適切に反映したデータに縮小するものである。
【0025】
データ処理方法では、n(n:2以上の自然数)次元のデータテーブルが読み出され、データテーブル上で第1次元方向のデータ配列毎に最頻値が求められる。つぎに、第1次元方向を除くn−1次元方向のデータ配列毎に第1次元方向のデータ配列毎の最頻値の存在数が求められる。そして、最頻値の存在数が最大となるn−1次元方向のデータ配列がデータテーブルから抽出される。
【0026】
以下では、データテーブルが画像情報を表す場合について説明するが、データテーブルが他の情報を表してもよい。また、以下では、2次元データを処理する場合について主に説明するが、3次元データまたは4次元以上のデータを処理してもよい。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係るデータ処理方法の概要を示す図である。図1に示す例では、Y行X列の2次元データ行列T11が処理される。以下では、データ行列がy方向を第1次元、x方向を第2次元として処理される場合について説明するが、x方向を第1次元、y方向を第2次元として処理されてもよい。
【0028】
データテーブルT11上では、y方向のデータ配列毎、つまりx=1〜Xのデータ列毎に最頻値が求められる。例えば、最頻値は、x=1のデータ列で4、x=2のデータ列で1、x=3のデータ列で2、x=4のデータ列で3、x=5のデータ列で5、…、x=Xのデータ列で1と求められる。なお、T11では、データ列毎の最頻値にハッチングが施されている。
【0029】
つぎに、x方向のデータ配列毎、つまりy=1〜Yのデータ行毎にデータ列毎の最頻値の存在数が求められる。例えばy=3のデータ行では、x=1〜5のデータ列を含む12のデータ列で最頻値が存在し、存在数が12と求められるとする。同様に、y=1、2、4、5、…、Yのデータ行では、最頻値の存在数が12未満として求められるとする。
【0030】
そして、最頻値の存在数が最大となるx方向のデータ配列、つまりデータ行がデータテーブルT11から抽出される。例えばy=3のデータ行L11で最頻値の存在数が最大となるので、y=3のデータ行L11がデータテーブルT11から抽出される。
【0031】
これにより、2次元データは、2次元データのデータ行のうち、データ列の最頻値が最も多く存在する特定のデータ行、つまり、2次元データのデータ行方向の関連性を維持しつつ、2次元データの特徴を表す1次元データに縮小される。よって、空間的な広がりを有する2次元データを、その特徴を適切に反映した1次元データに縮小することができる。
【0032】
[2.第1実施形態]
つぎに、図2から図6を参照して本発明の第1実施形態について説明する。第1実施形態は、2次元の画像データを、その特徴を適切に反映した線分データに縮小するものである。
【0033】
図2は、本発明の第1実施形態に係るデータ処理装置10の構成を示すブロック図である。データ処理装置10は、パーソナルコンピュータ、PDA、携帯電話、デジタルカメラ等の画像処理装置である。図2に示すように、データ処理装置10は、2次元データ生成部11(生成部11)、2次元データ記憶部12(記憶部12)、2次元データ読出部13(読出部13)、最頻値算出部14、存在数算出部15、存在数判定部16および1次元データ抽出部17(抽出部17)を含んでいる。
【0034】
生成部11は、画像データから2次元のデータテーブルを生成する。画像データは、一般に、x−y画像平面上の画素毎のR(赤)、G(緑)、B(青)の組値からなる。生成部11では、例えば、R、G、B値がH(色相)、S(彩度)、V(明度)の組値またはY(輝度)、U(色差)、V(色差)の組値に変換され、H値またはY値をデータとして、x−y画像平面上のデータ分布を示す2次元のデータテーブルが生成される。なお、生成部11では、RGB値からH値またはY値への変換とは異なる変換が行われてもよく、例えばG値のみが用いられてもよい。また、線分データの用途と計算量に応じては、この段階で画像データが縮小されてもよい。
【0035】
記憶部12は、生成部11により生成されたデータテーブルを記憶する。読出部13は、線分データを生成するために、記憶部12に記憶されたデータテーブルを読出す。
【0036】
最頻値算出部14は、データテーブル上で第1次元方向のデータ配列毎に最頻値を求める。以下では、x−y画像平面上のy方向を第1次元、x方向を第2次元として説明するが、x方向を第1次元、y方向を第2次元としてもよい。よって、データテーブル上でy方向のデータ配列毎、つまりデータ列毎に最頻値が求められる。
【0037】
存在数算出部15は、第2次元方向のデータ配列毎に第1次元方向のデータ配列毎の最頻値の存在数を求める。よって、データテーブル上でx方向のデータ配列毎、つまりデータ行毎に、最頻値算出部14により求められたデータ列毎の最頻値の存在数が求められる(集計される)。
【0038】
存在数判定部16は、存在数算出部15により求められたデータ行毎の最頻値の存在数を判定する。なお、存在数の判定処理の詳細については後述する。抽出部17は、最頻値の存在数が最大となるデータ行をデータテーブルから抽出する。
【0039】
なお、データ処理装置10の構成要素は、電気回路等のハードウェアおよび/またはプログラム等のソフトウェアとして構成される。データ処理装置10は、CPU、ROM、RAM等からなる制御部(不図示)を有し、CPUは、後述するデータ処理方法を実行するためのプログラムをROM等から読出し、RAM上に展開して実行することで、データ処理装置10の動作を実現する。なお、データ処理装置10の各構成要素は、他の構成要素と一体に構成されてもよく、複数の構成要素に分けて構成されてもよい。
【0040】
図3は、第1実施形態に係るデータ処理方法を示すフロー図である。図3に示すように、生成部11は、画像データから2次元のデータテーブルを生成し、記憶部12に記憶させる(ステップS101)。読出部13は、線分データを生成するためにデータテーブルを記憶部12から読出す(ステップS102)。
【0041】
図4には、データテーブルの一例が示されている。図4のT41に示すように、データテーブルは、画像データの画素値(データ)を格納する5行5列の2次元データ行列である。データは、例えば1〜5の範囲の値である。なお、以下の説明では、簡略化されたデータテーブルを用いて、本発明の実施形態に係るデータ処理方法が説明されている。しかし、実際のデータテーブルは、例えば1920×1080の画像データの画素値を格納する2次元データ行列となる。
【0042】
最頻値算出部14は、データテーブル上でx=1〜5のデータ列毎に最頻値を求める(ステップS103)。図4のT42に示すように、x=1のデータ列(1、4、4、2、4)からy=2、3、5で最頻値4が求められ、x=2のデータ列(1、1、1、1、1)からy=1、2、3、4、5で最頻値1が求められる。同様に、x=3のデータ列(1、2、2、2、4)からy=2、3、4で最頻値2、x=4のデータ列(1、3、3、3、5)からy=2、3、4で最頻値3、x=5のデータ列(1、2、5、5、5)からy=3、4、5で最頻値5が求められる。
【0043】
なお、例えばデータ列(1、1、2、2、3)のデータ1、2のように、最頻値が2つ以上ある場合、2つ以上の最頻値(この場合、最頻値1、2)が求められる。最頻値の算出結果は、データ列毎の最頻値または最頻値の位置として一時的に記憶される。
【0044】
存在数算出部15は、データテーブル上でy=1〜5のデータ行毎にx=1〜5のデータ列毎の最頻値の存在数を求める(集計する)(ステップS104)。図4のT43に示すように、最頻値の存在数は、y=(1、2、3、4、5)のデータ行での最頻値の存在数は、(1、4、5、4、3)となる。
【0045】
ここで、T43に示すように、データテーブル上で最頻値に相当するデータを第1値(例えば1)、最頻値に相当しないデータを第2値(例えば0)とする集計テーブルが用いられてもよい。これにより、集計テーブル上でデータ行毎に第1値および第2値を合計することで、データ行毎の最頻値の存在数を簡単に集計できる。一方、集計テーブルを用いずに、最頻値の算出結果に基づき、データ列毎の最頻値または最頻値の位置を参照しながら、データ行毎に最頻値の存在数を集計してもよい。
【0046】
存在数判定部16は、最頻値の存在数が最大となるデータ行が複数存在するかを判定する(ステップS105)。図4に示す例では、y=3のデータ行でのみ最頻値の存在数が最大となるので、処理がステップS106に移行する。なお、最頻値の存在数が最大となるデータ行が複数存在する場合の処理については後述する。
【0047】
抽出部17は、最頻値の存在数が最大となるデータ行をデータテーブルから抽出する(ステップS106)。図4に示す例では、T41に示すように、最頻値の存在数が最大となるy=3のデータ行(4、1、2、3、5)が抽出される。抽出したデータ行は、画像データを縮小した線分データとして出力される(ステップS107)。
【0048】
図5には、最頻値の存在数の算出結果について他の例が示されている。図5には、データテーブル上で最頻値に相当するデータを1、最頻値に相当しないデータを0とする集計テーブルが示されている。
【0049】
図5のT51に示す算出結果1では、y=(1、2、3、4、5)のデータ行での最頻値の存在数は、(1、4、4、3、3)と求められている。この場合、存在数判定部16は、y=2、3のデータ行で最頻値の存在数が最大となると判定し、以下の処理をする。
【0050】
存在数判定部16では、最頻値の存在数が最大となるy=2、3のデータ行について、最頻値がデータ列間で連続して存在する数を示す最頻値の連続存在数が求められる(ステップS108)。算出結果1では、最頻値の分布は、y=2のデータ行で(1、1、1、1、0)、y=3のデータ行で(1、1、0、1、1)となり、最頻値の連続存在数は、y=2のデータ行で4、y=3のデータ行で2と求められる。存在数算出部15は、最頻値の連続存在数の算出結果を抽出部17に通知する。そして、抽出部17は、最頻値の存在数が最大となるy=2、3のデータ行のうち、最頻値の連続存在数が最大となるy=2のデータ行をデータテーブルから抽出する(ステップS109)。
【0051】
図5のT52に示す算出結果2では、y=(1、2、3、4、5)のデータ行での最頻値の存在数は、(1、3、3、3、3)と求められている。この場合、存在数判定部16は、y=2、3、4、5のデータ行で最頻値の存在数が最大となると判定し、以下の処理をする。
【0052】
存在数判定部16では、最頻値の存在数が最大となるy=2、3、4、5のデータ行について、最頻値の連続存在数が求められる。算出結果2では、最頻値の分布は、y=2のデータ行で(1、1、1、0、0)、y=3のデータ行で(1、1、0、0、1)、y=4のデータ行で(0、1、1、1、0)、y=5のデータ行で(1、1、0、0、1)となる。よって、最頻値の連続存在数は、y=2のデータ行で3、y=3のデータ行で2、y=4のデータ行で3、y=5のデータ行で2と求められる。
【0053】
この場合、y=2、4のデータ行で最頻値の連続存在数が最大となるので、y=2、4のデータ行で最頻値の分布がさらに検証される。そして、y=4のデータ行では、最頻値の分布がデータ行の中央に偏っていると判定される。存在数算出部15は、最頻値の分布の検証結果を抽出部17に通知する。そして、抽出部17は、最頻値の存在数が最大となるy=2、3、4、5のデータ行のうち、最頻値の連続存在数が最大となり、かつ最頻値の分布がデータ行の中央に偏っているy=4のデータ行をデータテーブルから抽出する。なお、「画像の画素的中央」を評価(距離算出)の基点としているが、顔画像認識結果等、外部から評価の基点が与えられる場合には、その結果を利用してもよい。
【0054】
図6には、2次元の画像データを縮小した線分データの抽出例が示されている。図6の抽出例1では、x−y画像平面上のy方向を第1次元、x方向を第2次元として、画像データD6が線分データL61に縮小されている。画像データD6は、画像データD6のデータ行(x方向)のうち、データ列(y方向)毎の最頻値が最も多く存在する特定のデータ行、つまり、画像データD6のデータ行方向の関連性を維持しつつ、画像データD6の特徴を適切に反映した線分データL61に縮小される。
【0055】
図6の抽出例2では、画像データD6が3つの線分データL61、L62、L63に縮小されている。3つの線分データL61〜L63は、最頻値が最も多く存在するデータ行と、その上下に隣接するデータ行とを示す線分データL61〜L63からなる。なお、線分データの数は、画像データD6のデータ行数(例えば1080行)に比べて十分に少なければ、2つでもよく、4つ以上でもよい。また、複数の線分データは、最頻値が最も多く存在するデータ行と、最頻値が2番目に多く存在するデータ行でもよい。
【0056】
図6の抽出例3では、x−y画像平面上のx方向を第1次元、y方向を第2次元として、画像データD6が線分データL64に縮小されている。画像データD6は、画像データD6のデータ列(y方向)のうち、データ行(x方向)毎の最頻値が最も多く存在する特定のデータ列、つまり、画像データD6のデータ列方向の関連性を維持しつつ、画像データD6の特徴を適切に反映した線分データL64に縮小される。
【0057】
以上説明したように、第1実施形態に係るデータ処理方法によれば、データテーブル上で第1次元方向のデータ配列毎に最頻値が求められ、第2次元方向のデータ配列毎に第1次元方向のデータ配列毎の最頻値の存在数が求められ、最頻値の存在数が最大となる第2次元方向のデータ配列がデータテーブルから抽出される。これにより、空間的な広がりを有する2次元の画像データを、その特徴を適切に反映した1次元の画像(線分)データに縮小することができる。
【0058】
[3.第2実施形態]
つぎに、図7から図9を参照して本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態では、データテーブルの値をそのまま用いて最頻値の存在数を求めた。しかし、データのばらつきが大きいと、画像データの特徴を適切に反映した線分データを生成できない場合がある。例えば、自然物やグラデーションが大きな領域を占めている画像データでは、これらの領域に代えて単一色の領域が画像データの特徴を表す領域として捉えられてしまう。
【0059】
このため、第2実施形態は、第1次元方向や第2次元方向での最頻値の存在数に応じて、データテーブル(データ配列の値)を級数低減するものである。なお、以下では、第1実施形態と重複する説明を省略する。
【0060】
図7は、本発明の第2実施形態に係るデータ処理装置20の構成を示すブロック図である。図7に示すように、データ処理装置20は、2次元データ生成部21(生成部21)、2次元データ記憶部22(記憶部22)、2次元データ読出部23(読出部23)、最頻値算出部24、存在数算出部25、最頻値判定部26、存在数判定部27、データ級数低減部28(級数低減部28)および1次元データ抽出部29(抽出部29)を含んでいる。
【0061】
第1実施形態と同様に、最頻値算出部24は、データ列毎に最頻値を求め、存在数算出部25は、データ行毎にデータ列毎の最頻値の存在数を求める(集計する)。
【0062】
最頻値判定部26は、データ列毎に最頻値算出部24により求められた同一最頻値の存在数を求め、全てのデータ列でデータ列毎の同一最頻値の存在数が所定閾値未満であるかを判定し、条件に該当する場合、データテーブルの級数低減を級数低減部28に指示する。
【0063】
存在数判定部27は、存在数算出部25により求められたデータ行毎の最頻値の存在数が全てのデータ行で所定閾値未満であるかを判定し、条件に該当する場合、データテーブルの級数低減を級数低減部28に指示する。
【0064】
級数低減部28は、最頻値判定部26または存在数判定部27から級数低減を指示されると、記憶部22からデータテーブルを読出し、データテーブルを級数低減した修正テーブルを生成する。そして、級数低減部28は、修正テーブルを用いてデータ列毎に最頻値を再び求めるように、最頻値算出部24に指示する。
【0065】
図8は、第2実施形態に係るデータ処理方法を示すフロー図である。図8に示すように、データ処理装置20では、第1実施形態と同様に、2次元のデータテーブルが生成・記憶され(ステップS201)、線分データを生成するために読出される(ステップS202)。
【0066】
図9には、データテーブルの一例が示されている。図9のT91に示すように、データテーブルは、画像データのデータを格納する5行5列の2次元データ行列である。データは、例えば0〜255の範囲の値である。
【0067】
最頻値算出部24は、データテーブル上でx=1〜5のデータ列毎に最頻値を求める(ステップS203)。最頻値判定部26は、x=1〜5のデータ列毎に同一最頻値の存在数を求め(ステップS204)、全てのデータ列で同一最頻値の存在数が所定閾値未満であるかを判定する(ステップS205)。
【0068】
ここで、データ列毎の同一最頻値の存在数の閾値が3であるとするが、閾値は、データテーブルのサイズやデータの値の範囲に応じて適切に設定される。図9に示す例では、x=1〜5のデータ列毎に全てのデータの頻度が1であるので、最頻値を有意に求めることができない。よって、最頻値判定部26では、全てのデータ列で同一最頻値の存在数が閾値3未満であると判定され、級数低減が級数低減部28に指示される。
【0069】
級数低減部28は、級数低減を指示されると、データテーブルを記憶部22から読出し、データテーブルを級数低減した修正テーブルを生成する(ステップS210)。図9に示す例では、T92に示すように、データテーブルの値を2で級数低減し、つまり2=16で除算して商を求めることで、修正テーブルが生成される。これにより、データは、0〜255の範囲の値から0〜15の範囲の値に変換される。
【0070】
ここで、級数低減は、最頻値判定部26および存在数判定部27により最頻値の存在数が閾値を満たすと判定されるまで、例えば2、2、2、2、2、…の値でデータテーブルを順次に除算して商を求めることで行われる。なお、級数低減は、2、2、2、2、2、…の値以外で行われてもよい。また、級数低減は、データの値の範囲を等間隔に区分する代わりに、特定の範囲を狭く、他の範囲を広く区分してもよい。
【0071】
そして、最頻値算出部24は、修正テーブルをデータテーブルとみなしてx=1〜5のデータ列毎に最頻値を再び求め(ステップS203)、最頻値判定部26は、データ列毎に同一最頻値の存在数を再び求める(ステップS204)。同一最頻値の存在数は、T92に示すように、x=2のデータ列で最頻値1が2つ、x=3のデータ列で最頻値9が2つ、x=4のデータ列で最頻値15が3つとなる。この場合、最頻値判定部26は、x=4のデータ列で最頻値の存在数が閾値3以上であると判定する(ステップS205)。
【0072】
すると、存在数算出部25は、修正テーブルをデータテーブルとみなしてy=1〜5のデータ行毎にx=1〜5のデータ列毎の最頻値の存在数を求める(集計する)(ステップS206)。図9に示す例では、T93に示すように、最頻値の存在数は、y=(1、2、3、4、5)のデータ行で(5、4、3、2、3)となる。
【0073】
存在数判定部27は、全てのデータ行でy=1〜5のデータ行毎の最頻値の存在数が所定閾値未満であるかを判定する(ステップS207)。ここで、データ行毎の最頻値の存在数の閾値が4であるとするが、閾値は、データテーブルのサイズやデータの値の範囲に応じて適切に設定される。
【0074】
図9に示す例では、最頻値の存在数がy=1のデータ行で5、y=2のデータ行で4である。よって、存在数判定部27では、y=1、2のデータ行で最頻値の存在数が閾値4以上であると判定される。最頻値の存在数の判定結果は、抽出部29に通知される。なお、全てのデータ行で最頻値の存在数が閾値未満であると判定されると、級数低減が級数低減部28に指示される。そして、前述した場合と同様に、ステップS203以降の処理が繰返される。
【0075】
抽出部29は、データテーブルから最頻値の存在数が最大となるデータ行、T91に示すように、y=1のデータ行(151、22、154、246、65)を抽出する(ステップS208)。抽出したデータ行は、画像データを縮小した線分データとして出力される(ステップS209)。
【0076】
以上説明したように、第2実施形態に係るデータ処理方法によれば、第1次元方向や第2次元方向での最頻値の存在数に応じて、データテーブル(データ配列の値)が級数低減される。これにより、データのばらつきが大きい画像データでも、空間的な広がりを有する2次元の画像データを、その特徴を適切に反映した1次元の画像(線分)データに縮小することができる。
【0077】
[4.第3実施形態]
つぎに、図10から図13を参照して本発明の第3実施形態について説明する。第2実施形態では、データテーブルの値を級数低減して最頻値の存在数を求めた。しかし、級数低減によりデータを適切に区分しないと、画像データの特徴を適切に反映した線分データを生成できない場合がある。例えば、本来区分されるべきではない複数のデータを区分してしまうと、区分された各データの頻度が小さくなり、画像データの特徴を表すデータとして捉えられなくなってしまう。
【0078】
このため、第3実施形態は、第1次元方向や第2次元方向での最頻値の存在数に応じて、データテーブルを拡張するものである。なお、以下では、第1実施形態と重複する説明を省略する。
【0079】
図10は、本発明の第3実施形態に係るデータ処理装置30の構成を示すブロック図である。図10に示すように、データ処理装置30は、2次元データ生成部31(生成部31)、2次元データ記憶部32(記憶部32)、2次元データ読出部33(読出部33)、最頻値算出部34、存在数算出部35、最頻値判定部36、存在数判定部37、データ拡張部38(拡張部38)および1次元データ抽出部39(抽出部39)を含んでいる。
【0080】
第2実施形態と同様に、最頻値判定部36は、全てのデータ列でデータ列毎の同一最頻値の存在数が所定閾値未満であるかを判定し、存在数判定部37は、全てのデータ行でデータ行毎の最頻値の存在数が所定閾値未満であるかを判定する。そして、第3実施形態では、最頻値判定部36および存在数判定部37は、上記条件に該当する場合、データテーブルの拡張を拡張部38に指示する。
【0081】
拡張部38は、最頻値判定部36または存在数判定部37からデータテーブルの拡張を指示されると、記憶部32からデータテーブルを読出し、データ配列の値の前後値からなる拡張テーブルを生成する。そして、拡張部38は、データテーブルと拡張テーブルを用いてデータ列毎に最頻値を再び求めるように、最頻値算出部34に指示する。
【0082】
図11は、第3実施形態に係るデータ処理方法を示すフロー図である。図11に示すように、データ処理装置30では、第1実施形態と同様に、2次元のデータテーブルが生成・記憶され(ステップS301)、線分データを生成するために読出される(ステップS302)。
【0083】
図12A、12Bには、データテーブルの一例が示されている。図12AのT121に示すように、データテーブルは、画像データを格納する5行5列の2次元データ行列である。データは、例えば1〜7の範囲の値である。
【0084】
最頻値算出部34は、データテーブル上でx=1〜5のデータ列毎に最頻値を求める(ステップS303)。最頻値判定部36は、x=1〜5のデータ列毎に同一最頻値の存在数を求め(ステップS304)、全てのデータ列で同一最頻値の存在数が所定閾値未満であるかを判定する(ステップS305)。図12Aに示す例では、T122に示すように、x=1のデータ列で最頻値3の存在数が閾値3以上であると判定される。
【0085】
存在数算出部35は、y=1〜5のデータ行毎にx=1〜5のデータ列毎の最頻値の存在数を求める(集計する)(ステップS306)。図12Aに示す例では、T128に示すように、y=(1、2、3、4、5)のデータ行での最頻値の存在数は、(2、3、3、3、3)と求められる。存在数判定部37は、全てのデータ行でy=1〜5のデータ行毎の最頻値の存在数が所定閾値未満であるかを判定する(ステップS307)。図12Aに示す例では、全てのデータ行で最頻値の存在数が閾値4未満であると判定される。よって、存在数判定部37は、データテーブルの拡張を拡張部38に指示する。
【0086】
拡張部38は、データテーブルの拡張を指示されると、データテーブルを記憶部32から読出し、データ配列の値の前後値からなる拡張テーブルを生成する(ステップS310)。これにより、図12BのT122、T123、T124に示すように、データテーブル(テーブル1)と、データテーブルの値を1だけ減じた値からなる拡張テーブル(テーブル2)と、1だけ増した値からなる拡張テーブル(テーブル3)とが準備される。
【0087】
最頻値算出部34は、テーブル1〜3をまとめてデータテーブルとみなして、x=1〜5のデータ列毎に最頻値を再び求め(ステップS303)、最頻値判定部36は、データ列毎に同一最頻値の存在数を再び求める(ステップS304)。例えばx=1のデータ列については、テーブル1、2、3のx=1のデータ列、つまり15のデータから最頻値4が求められる。同様に、x=2のデータ列で最頻値1、2、3、5、6、7、x=3のデータ列で最頻値2、3、x=4のデータ列で最頻値1、2、x=5のデータ列で最頻値5、6が求められる。そして、最頻値判定部36では、x=1、3、4、5のデータ列で同一最頻値の存在数が閾値3以上であると判定される(ステップS305)。
【0088】
存在数算出部35は、y=1〜5のデータ行毎にx=1〜5のデータ列毎の最頻値の存在数を再び求める(ステップS306)。図12BのT125、T126、T127は、テーブル1〜3上の最頻値を1、最頻値以外を0として生成された集計テーブルである。そして、集計テーブルのデータを合計することで、T129に示すように、データ行毎にデータ列毎の最頻値の存在数が再び求められる。
【0089】
T125、T126、T127に示すように、例えばy=1のデータ行では、テーブル1のx=2、3、4のデータ列、テーブル2のx=2、3、4、5のデータ列、テーブル3のx=2のデータ列で最頻値が存在する。よって、T129のy=1のデータ行では、x=2の値が3、x=3、4の値が2、x=5の値が1となり、最頻値の存在数が8と求められる。
【0090】
同様に、最頻値の存在数は、y=2のデータ行で7、y=3のデータ行で5、y=4のデータ行で9、y=5のデータ行で7と求められる。これにより、y=(1、2、3、4、5)のデータ行での最頻値の存在数は、(8、7、5、9、7)となる。そして、存在数判定部37では、y=1〜5のデータ行で最頻値の存在数が閾値4以上であると判定される(ステップS307)。存在数算出部35は、最頻値の存在数の判定結果を抽出部39に通知する。
【0091】
抽出部39は、図12BのT122に相当するテーブル1から、最頻値の存在数が最大となるy=4のデータ行(4、1、3、1、6)を抽出する(ステップS308)。抽出したデータ行は、画像データを縮小した線分データとして出力される(ステップS309)。
【0092】
なお、最頻値判定部36で全てのデータ列で同一最頻値の存在数が閾値未満であると判定されると、データテーブルの拡張が拡張部38に指示され、ステップS303以降の処理が繰返される。また、テーブル1〜3を用いても、上記条件に該当する場合には、さらにデータテーブルの値を2だけ減じたテーブル4、2だけ増したテーブル5を準備し、テーブル1〜5を用いてステップS303以降の処理を繰返してもよい。
【0093】
図13には、最頻値の存在数の算出結果について他の例が示されている。図13のT122、T123、T124、T126、T127は、図12BのT122、T123、T124、T126、T127と同様である。しかし、図13のT131に示すように、データテーブル(テーブル1)に最頻値が存在する場合、存在数が2として計数され、拡張テーブル(テーブル2、3)に最頻値が存在する場合、存在数が1として計数される。これにより、最頻値の存在数は、テーブルに応じて重み付けされる。
【0094】
例えば、y=1のデータ行では、テーブル1のx=2、3、4のデータ列で最頻値が存在し、テーブル2のx=2、3、4、5のデータ列で最頻値が存在し、テーブル3のx=2のデータ列で最頻値が存在する。このため、T132に示すように、y=1のデータ行では、x=2のデータ列の値が4、x=3、4のデータ列の値が3、x=5のデータ列の値が1となり、最頻値の存在数が11と求められる。
【0095】
同様に、最頻値の存在数は、y=2のデータ行で9、y=3のデータ行で7、y=4のデータ行で14、y=5のデータ行で9と求められる。これにより、y=(1、2、3、4、5)のデータ行での最頻値の存在数は、(11、9、7、14、9)となり、図13のT122に相当するテーブル1から最頻値の存在数が最大となるy=4のデータ行が抽出される。
【0096】
以上説明したように、第3実施形態に係るデータ処理方法によれば、第1次元方向や第2次元方向での最頻値の存在数に応じて、データテーブル(データ配列の値)が拡張される。これにより、データの区分にかかわらずに、空間的な広がりを有する2次元の画像データを、その特徴を適切に反映した1次元の画像(線分)データに縮小することができる。
【0097】
[5.第4実施形態]
つぎに、図14から図18を参照して本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態は、3次元の画像データを、その特徴を適切に反映した2次元の画像データに縮小するものである。3次元の画像データは、画像の時間分布を示すデータでもよく、画像の空間分布を示すデータでもよい。なお、以下では、第1実施形態と重複する説明を省略する。
【0098】
図14は、本発明の第4実施形態に係るデータ処理装置40の構成を示すブロック図である。図14に示すように、データ処理装置40は、3次元データ生成部41(生成部41)、3次元データ記憶部42(記憶部42)、3次元データ読出部43(読出部43)、最頻値算出部44、存在数算出部45および2次元データ抽出部46(抽出部46)を含んでいる。
【0099】
生成部41は、画像データから3次元のデータテーブルを生成する。画像の時間分布を示すデータを処理する場合、x−y画像平面上のデータのt(時間)方向分布を示す3次元のデータテーブルが生成される。同様に、画像の空間分布を示すデータを処理する場合、x−y画像平面上のデータのz方向分布を示す3次元のデータテーブルが生成される。
【0100】
最頻値算出部44は、データテーブル上でt方向のデータ配列毎に最頻値を求める。以下では、x−y画像平面上のデータのt方向分布を示す3次元データを処理する場合について説明するが、z方向分布を示す3次元データを処理する場合についても同様に説明される。よって、x−y画像平面に沿ったデータ配列の同一位置でt方向の最頻値が求められる。
【0101】
存在数算出部45は、x−y画像平面に沿ったデータ配列毎にt方向のデータ配列毎の最頻値の存在数を求める。よって、x−y画像平面に沿ったデータ配列毎に、最頻値算出部44により求められたt方向のデータ配列毎の最頻値の存在数が求められる(集計される)。抽出部46は、最頻値の存在数が最大となるx−y画像平面に沿ったデータ配列をデータテーブルから抽出する。
【0102】
図15は、第4実施形態に係るデータ処理方法を示すフロー図である。図15に示すように、生成部41は、画像(動画)データから3次元のデータテーブルを生成し、記憶部42に記憶させる(ステップS401)。読出部43は、画像(静止画)データを生成するためにデータテーブルを記憶部42から読出す(ステップS402)。
【0103】
図16には、データテーブルの一例が示されている。図16のT161〜T165に示すように、データテーブルは、x−y画像平面のデータ分布のt方向分布を示す5×5×5の3次元データ行列である。
【0104】
最頻値算出部44は、データテーブル上でt方向のデータ配列毎に最頻値を求める(ステップS403)。図16に示す例では、最頻値は、(x、y)=(1、5)のデータ配列(4、1、4、1、4)から4と求められ、(x、y)=(2、5)のデータ配列(0、1、1、0、1)から1と求められる。同様に、x=1〜5、y=1〜5の合計25のデータ配列についてデータ配列毎に最頻値が求められる。
【0105】
存在数算出部45は、データテーブル上でx−y方向のデータ配列毎にt方向のデータ配列毎の最頻値の存在数を求める(集計する)(ステップS404)。例えば、図16のT166に示すように、t=1のデータ配列(T161)上の最頻値を1、最頻値以外を0とする集計テーブルT166が生成され、t=1のデータ配列について最頻値の存在数が12と集計される。
【0106】
同様にして、図16に示す例では、最頻値の存在数は、t=2のデータ配列で15、t=3のデータ配列で16、t=4のデータ配列で14、t=5のデータ配列で12と求められる。これにより、t=(1、2、3、4、5)のデータ配列での最頻値の存在数は、(12、15、16、14、12)となる。
【0107】
抽出部46は、最頻値の存在数が最大となるデータ配列をデータテーブルから抽出する(ステップS405)。図16に示す例では、最頻値の存在数が最大となるt=3のデータ配列が抽出される。抽出したデータ配列は、3次元の画像(動画)データを縮小した2次元の画像(静止画)データとして出力される(ステップS406)。
【0108】
図17および図18には、3次元の画像データを縮小した2次元の画像データの抽出例が示されている。図17の抽出例1は、被写体の動きを撮影したフレーム画像の一例である。抽出例1では、画像平面の時間分布を示す画像データD171〜D175、…、D176から画像平面の画像データD174が抽出される。この場合は、画像データD174は、画像データD171〜D175、…、D176のうち共通するデータを最も多く含むフレーム画像に相当する。
【0109】
画像平面の時間分布を示す画像データは、時間方向に分布する画像平面のうち、時間方向のデータの最頻値が最も多く存在する特定の画像平面、つまり、画像平面方向の関連性を維持しつつ、時間方向に分布する画像平面の特徴を適切に反映した画像平面(フレーム)の画像データに縮小される。
【0110】
図18の抽出例2は、人体の胴部に沿って撮影したCTスキャン画像の一例である。抽出例2では、画像平面の空間分布を示す画像データD181〜D185、…、D186から画像平面の画像データD184が抽出される。この場合は、画像データD184は、画像データD181〜D185、…、D186のうち共通するデータを最も多く含むCT画像に相当する。
【0111】
画像平面の空間分布を示す画像データは、垂直方向に分布する画像平面のうち、垂直方向のデータの最頻値が最も多く存在する特定の画像平面、つまり、画像平面方向の関連性を維持しつつ、垂直方向に分布する画像平面の特徴を適切に反映した画像平面の画像データに縮小される。
【0112】
以上説明したように、第4実施形態に係るデータ処理方法によれば、データテーブル上でt方向(またはz方向)のデータ配列毎に最頻値が求められ、x−y平面のデータ配列毎にt方向(またはz方向)のデータ配列毎の最頻値の存在数が求められ、最頻値の存在数が最大となるx−y平面のデータ配列がデータテーブルから抽出される。これにより、空間的な広がり(時空間的な広がりを含む)を有する3次元の画像データを、その特徴を適切に反映した2次元の画像データに縮小することができる。
【0113】
[6.応用例]
つぎに、図19および図20を参照して本発明の実施形態の応用例について説明する。
【0114】
図19は、2次元の画像データの一部を、その特徴を適切に反映した線分データに縮小するものである。図19に示す例では、画像データD191の中央領域の画像データD192が2次元の画像データとして抽出され、中央領域の左側領域の画像データD193を縮小した線分データL193と、右側領域のデータD194を縮小した線分データL194とともに配置されている。
【0115】
このために、第1実施形態と同様に、まず、左側領域の画像データD193からY行X列(画像データD193の画素領域に相当)の2次元のデータテーブルが生成される。つぎに、データテーブル上でx=1〜Xのデータ列毎に最頻値が求められ、y=1〜Yのデータ行毎にx=1〜Xのデータ列毎の最頻値の存在数が求められる。そして、最頻値の存在数が最大となるデータ行がデータテーブルから抽出され、左側領域の画像データD193を縮小した線分データL193として中央領域の画像データD192に添って配置される。線分データL193は、例えば、中央領域の画像データD192の左下に添って配置される。
【0116】
なお、右側領域の画像データD194についても、同様に線分データL194に縮小されて中央領域の画像データD192の右上に添って配置される。また、中央領域の上下の領域についても、同様に線分データに縮小されて中央領域の画像データD192に合成されてもよい。
【0117】
図20は、時間方向に分布する画像データの一部を、その特徴を適切に反映した線分データに縮小するものである。図20に示す例では、フレーム画像の一部が代表フレームとして抽出され、代表フレーム以外の非代表フレームを縮小した線分データが代表フレームの間に配置されている。図20に示す例では、D201、D203、D205、D206、D208が代表フレームの画像データに相当し、D202、D204、D207が非代表フレームの画像データに相当する。
【0118】
このために、第1実施形態と同様に、まず、非代表フレームの画像データ、例えば画像データD202からY行X列(画像データD202の画素領域に相当)の2次元のデータテーブルが生成される。つぎに、データテーブル上でx=1〜Xのデータ列毎に最頻値が求められ、y=1〜Yのデータ行毎にx=1〜Xのデータ列毎の最頻値の存在数が求められる。そして、最頻値の存在数が最大となるデータ行がデータテーブルから抽出され、非代表フレームの画像データD202を縮小した線分データL202として代表フレームの画像データD201、D203の間に配置される。
【0119】
同様に、非代表フレームの画像データD204、D207から線分データL204、L207が抽出され、代表フレームの画像データD203とD205の間、画像データD206とD208の間にそれぞれ配置される。
【0120】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0121】
例えば、上記実施形態の説明では、2次元または3次元データを処理する場合について説明したが、本発明は、4次元以上のデータを処理する場合にも同様に適用することができる。例えば、時間方向に分布するx−y−z立体画像を表す四次元のデータテーブルについて、時間方向に最頻値を求め、x−y−z立体画像毎に最頻値の存在数を求めてもよい。そして、最頻値の存在数が最大となる立体画像をデータテーブルから抽出し、時間方向に分布する立体画像の特徴を適切に反映した立体画像に縮小してもよい。
【0122】
また、上記実施形態の説明では、データ処理装置10、20、30、40がデータテーブルを生成する場合について説明した。しかし、データ処理装置10、20、30、40は、他の装置により生成されたデータテーブルを取得して処理するようにしてもよい。
【0123】
また、上記実施形態の説明では、第1実施形態でのみ、最頻値の存在数が最大となるデータ配列を抽出するために、最頻値の連続存在数や分布傾向を検討する場合について説明した。しかし、他の実施形態でも、同様に、最頻値の連続存在数や分布傾向を検討してもよい。また、第2、3実施形態でのみ、最頻値や最頻値の存在数を判定する場合について説明した。しかし、他の実施形態でも、同様に、最頻値や最頻値の存在数を判定してもよい。
【符号の説明】
【0124】
10、20、30、40 データ処理装置
11、21、31、41 生成部
12、22、32、42 記憶部
13、23、33、43 読出部
14、24、34、44 最頻値算出部
15、25、35、45 存在数算出部
16、27、37 存在数判定部
17、29、39、46 抽出部
26、36 最頻値判定部
28 級数低減部
38 拡張部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
n(n:2以上の自然数)次元のデータテーブルを読出す読出し部と、
前記データテーブル上で第1次元方向のデータ配列毎に最頻値を求める最頻値算出部と、
前記第1次元方向を除くn−1次元方向のデータ配列毎に前記第1次元方向のデータ配列毎の最頻値の存在数を求める存在数算出部と、
前記最頻値の存在数が最大となる前記n−1次元方向のデータ配列を前記データテーブルから抽出する抽出部と
を備えるデータ処理装置。
【請求項2】
前記データテーブルのデータが所定条件を満たす場合に、前記データを級数低減した修正テーブルを生成する級数低減部をさらに備え、
前記最頻値算出部は、前記修正テーブル上で前記第1次元方向のデータ配列毎に最頻値を再び求める、請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記データテーブルのデータが所定条件を満たす場合に、前記データの前後値からなる拡張テーブルを生成する拡張部をさらに備え、
前記最頻値算出部は、前記データテーブルと前記拡張テーブル上で前記第1次元方向のデータ配列毎に最頻値を再び求め、
前記存在数算出部は、前記データテーブルと前記拡張テーブル上でそれぞれに、前記第1次元方向を除くn−1次元方向のデータ配列毎に前記第1次元方向のデータ配列毎の最頻値の存在数を求め、前記データテーブルについて求めた最頻値の存在数に前記拡張テーブルについて求めた最頻値の存在数を合わせる、請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記第1次元方向のデータ配列毎に同一最頻値の存在数を求め、前記所定条件として、前記第1次元方向の全てのデータ配列で前記同一最頻値の存在数が所定閾値未満であるかを判定する最頻値判定部をさらに備える、請求項2または3に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記所定条件として、前記n−1次元方向の全てのデータ配列で前記最頻値の存在数が所定閾値未満であるかを判定する存在数判定部をさらに備える、請求項2または3に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記存在数算出部は、前記データテーブルについて求めた最頻値の存在数と、前記拡張テーブルについて求めた最頻値の存在数とを異なる重み付けで合わせる、請求項3から5のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記存在数算出部は、前記第1次元方向のデータ配列毎に前記最頻値を第1値とし、前記最頻値以外を第2値とする集計テーブルを用いて、前記n−1次元方向のデータ配列毎に前記最頻値の存在数を求める、請求項1から6のうちいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記存在数判定部は、前記n−1次元方向のデータ配列毎に前記最頻値が連続して存在する数を示す連続存在数をさらに求め、
前記抽出部は、前記最頻値の存在数が最大となるn−1次元方向のデータ配列のうち、前記最頻値の連続存在数が最大となるデータ配列を抽出する、請求項1から7のうちいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項9】
前記存在数判定部は、前記n−1次元方向のデータ配列毎に最頻値の分布をさらに求め、
前記抽出部は、前記最頻値の存在数が最大となるn−1次元方向のデータ配列のうち、前記最頻値が特定の分布を示すデータ配列を抽出する、請求項1から8のうちいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項10】
前記抽出部は、前記最頻値の存在数が最大となるn−1次元方向のデータ配列以外のデータ配列をさらに抽出する、請求項1から9のうちいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項11】
前記抽出部は、前記最頻値の存在数が最大となるn−1次元方向のデータ配列に隣接するデータ配列をさらに抽出する、請求項10に記載のデータ処理装置。
【請求項12】
2次元画像のデータテーブルから1次元画像のデータ配列を抽出する、請求項1から11のうちいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項13】
2次元画像の時間分布を示すデータテーブルから2次元画像のデータ配列を抽出する、請求項1から11のうちいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項14】
3次元画像のデータテーブルから2次元画像のデータ配列を抽出する、請求項1から13のうちいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項15】
n(n:2以上の自然数)次元のデータテーブルを読出し、
前記データテーブル上で第1次元方向のデータ配列毎に最頻値を求め、
前記第1次元方向を除くn−1次元方向のデータ配列毎に前記第1次元方向のデータ配列毎の最頻値の存在数を求め、
前記最頻値の存在数が最大となる前記n−1次元方向のデータ配列を前記データテーブルから抽出すること
を含むデータ処理方法。
【請求項16】
n(n:2以上の自然数)次元のデータテーブルを読出し、
前記データテーブル上で第1次元方向のデータ配列毎に最頻値を求め、
前記第1次元方向を除くn−1次元方向のデータ配列毎に前記第1次元方向のデータ配列毎の最頻値の存在数を求め、
前記最頻値の存在数が最大となる前記n−1次元方向のデータ配列を前記データテーブルから抽出すること
を含むデータ処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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