説明

データ圧縮転送システム、伝送装置及びそれらに用いるデータ圧縮転送方法

【課題】 ルータや端末の負荷や遅延、圧縮効果に応じて、パケット単位で圧縮しないという選択をも可能とするデータ圧縮転送システムを提供する。
【解決手段】 データ圧縮転送システムは、低速回線(102)側の第1の伝送装置(拠点ルータ2)と高速回線(103)内の第2の伝送装置(ルータ3)との間に配設されかつパケット毎に圧縮アルゴリズムを適宜変えながらカプセル化する適応型データ圧縮トンネル(101)と、第1及び第2の伝送装置(拠点ルータ2及びルータ3)各々の少なくとも一方に設けられかつ同一フローパケットでありながらパケット単位で異なる圧縮アルゴリズム及び無圧縮の混在パケットを適応型データ圧縮トンネルを介して送受信する手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータ圧縮転送システム、伝送装置及びそれらに用いるデータ圧縮転送方法に関し、特にデータ圧縮等によるネットワークの高速化等に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連するインタネットにおけるWAN(Wide Area Network)の高速化等においては、TCP(Transmission Control Protocol)のパケットに対して代理のキャッシュサーバを用い、主要拠点間のデータを圧縮転送する(例えば、特許文献1参照)等して高速化する手法が採られてきている。
【0003】
しかしながら、一般的な安価なルータ等に実装するためには、データ圧縮のための処理時間や大規模なキャッシュメモリが必要となり、その実現が困難である。
【0004】
また、パケットに対してすべて一律に圧縮処理を実施した場合においても、WAN側インタフェースが低速な回線であれば効率が高くなるが、もともと高速な回線を利用していた場合には圧縮のための処理時間がボトルネックとなり、かえって転送効率が悪化する要因となる。
【0005】
さらに、どのような選択が最適であるかは、パケットの種類、負荷の状況等によりまちまちであり、限定された装置間、パケットの種類における利用に限られることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−171936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したネットワークの高速化手法においては、ルータや端末が日々CPU(中央処理装置)等の技術革新により、今後においても高速化を続けると予想される。しかしながら、ネットワークの回線速度は、ある程度の高速化が見込めるが、それ以上に使用されるデータ量が増加していき、回線速度のボトルネックが発生することが予想される。
【0008】
この状況下においては、同一能力を有する装置においては、回線速度が遅ければ遅いほどルータや端末が処理する内容がなくなり、高速なCPUを有効に利用できなくなることが予想される。
【0009】
また、上記のネットワークの高速化手法では、音声や映像といったストリーム系データの場合、予め決められた圧縮方法を用いることにより効率よく圧縮することができるが、TCP/IP(Internet Protocol)等の一般のパケットデータでは、もともと圧縮や暗号化されたデータで処理時間に対して効果がない場合があり、人為的にフローに対して効率的な圧縮方法を指定するのは不可能である。
【0010】
さらに、上記のネットワークの高速化手法では、特殊な圧縮方法でカプセル化されたデータが対向装置に届く時は元のパケットに戻す必要があるため、なんらかのプロトコルを用いて、対応装置を特定するか、対応装置間のデータに限定する必要がある。
【0011】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、ルータや端末の負荷や遅延、圧縮効果に応じて、パケット単位で圧縮しないという選択をも可能とすることができるデータ圧縮転送システム、伝送装置及びそれらに用いるデータ圧縮転送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によるデータ圧縮転送システムは、データを送受信する装置間に低速回線及び高速回線が存在し、回線速度がボトルネックとなる環境において、前記データを圧縮することでネットワークの高速化を図るデータ圧縮転送システムであって、
前記低速回線側の第1の伝送装置と前記高速回線内の第2の伝送装置との間に配設された適応型データ圧縮トンネルと、
前記第1及び第2の伝送装置各々の少なくとも一方に設けられかつ同一フローパケットでありながらパケット単位で異なる圧縮アルゴリズム及び無圧縮の混在パケットを前記適応型データ圧縮トンネルを介して送受信する送受信手段とを備えている。
【0013】
本発明による伝送装置は、データを送受信する装置間に低速回線及び高速回線が存在し、回線速度がボトルネックとなる環境において、前記データを圧縮することでネットワークの高速化を図る伝送装置であって、
前記低速回線及び前記高速回線を介して対向する装置との間に適応型データ圧縮トンネルを配設し、
同一フローパケットでありながらパケット単位で異なる圧縮アルゴリズム及び無圧縮の混在パケットを前記適応型データ圧縮トンネルを介して送受信する送受信手段を備えている。
【0014】
本発明によるデータ圧縮転送方法は、データを送受信する装置間に低速回線及び高速回線が存在し、回線速度がボトルネックとなる環境において、前記データを圧縮することでネットワークの高速化を図るシステムに用いるデータ圧縮転送方法であって、
前記低速回線側の第1の伝送装置と前記高速回線内の第2の伝送装置との間に適応型データ圧縮トンネルを配設し、
前記第1及び第2の伝送装置各々の少なくとも一方において、同一フローパケットでありながらパケット単位で異なる圧縮アルゴリズム及び無圧縮の混在パケットを前記適応型データ圧縮トンネルを介して送受信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、上記のような構成及び動作とすることで、ルータや端末の負荷や遅延、圧縮効果に応じて、パケット単位で圧縮しないという選択をも可能とすることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態によるデータ圧縮転送システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の拠点ルータの論理的構成を示すブロック図である。
【図3】図1のルータの論理的構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態によりカプセル化された圧縮パケットの構成例を示す図である。
【図5】図2のフローエントリデータベースの構成例を示す図である。
【図6】図2のアルゴリズムデータベースの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。まず、本発明によるデータ圧縮転送システムの概要について説明する。本発明によるデータ圧縮転送システムは、上述した課題を解決するための圧縮アルゴリズム選択方法や、プロトコルの一例を示し、解決方法を提供するものである。
【0018】
本発明による適応型データ圧縮転送システムは、ルータを代表とする伝送装置が自装置もしくは対向装置の負荷状況や回線状況を感知しながら、能動的に最適な圧縮選択やアルゴリズムの選択や学習をしながらデータを転送させることができることを特徴としている。
【0019】
本発明によるデータ圧縮転送システムでは、パケットをプロトコルやポート番号等のフローに分類し、フロー毎の圧縮効果やCPU(中央処理装置)負荷等を要素として最適と思われる圧縮アルゴリズムを逐次適応していくことにより、自動的に最適な転送効率を実現する。
【0020】
図1は本発明の実施の形態によるデータ圧縮転送システムの構成例を示すブロック図である。図1において、本発明の実施の形態によるデータ圧縮転送システムでは、端末1とサーバ4との間に低速回線102があり、回線速度がボトルネックとなる環境において、拠点ルータ2と高速回線103内にあるルータ3との間に本実施の形態である適応型データ圧縮トンネル(以下、トンネルとする)101を張っている。ここで、トンネル101は、パケット毎に圧縮アルゴリズムを適宜変えながらカプセル化するトンネルである。
【0021】
本実施の形態では、上記のトンネル101におけるカプセル化において、パケットをプロトコルやポート番号等のフローに分類し、フロー毎の圧縮効果やCPU負荷等を要素として最適と思われる圧縮アルゴリズムを逐次適応していくことになる。これによって、本発明の実施の形態によるデータ圧縮転送システムでは、拠点ルータ2やルータ3の負荷を改善し、パケット単位で効率のよい圧縮方法を学習しつつ、パケットの送受信を可能としている。
【0022】
図2は図1の拠点ルータ2の論理的構成を示すブロック図であり、図3は図1のルータ3の論理的構成を示すブロック図である。図4は本発明の実施の形態によりカプセル化された圧縮パケットの構成例を示す図であり、図5は図2のフローエントリデータベース25の構成例を示す図であり、図6は図2のアルゴリズムデータベース26の構成例を示す図である。
【0023】
図2は送信側の拠点ルータ2における圧縮処理の論理的構成を示し、拠点ルータ2は、フロー分割処理部21と、圧縮エンジン22と、カプセル化処理部23と、圧縮方式選択アルゴリズム24と、フローエントリデータベース25と、アルゴリズムデータベース26とを備えている。
【0024】
図3は受信側のルータ3における解凍処理の論理的構成を示し、ルータ3は、圧縮情報ヘッダ解析部31と、解凍処理部32とを備えている。
【0025】
本実施の形態では、図2に示すようなパケット圧縮において、音声のエコーキャンセラに代表される適応信号処理のように、処理→結果→方式計算→処理→結果→方式計算・・・というように、処理と結果とからより良い方式を逐次考え直す方法を組み込んでいる。
【0026】
図2のフロー分割処理部21で分割されたフローパケット毎に、フローエントリデータベース25を持ち、パケットを圧縮エンジン22で圧縮した結果やアルゴリズムデータベース26に格納された、自装置や対向装置の負荷情報、装置全体の圧縮アルゴリズム毎の効率データを用いて、圧縮方式選択アルゴリズム24にて計算し、次に来る同一フローパケットの圧縮方式を決定する。拠点ルータ2では、上記の動作を繰り返し行い、フローパケットに対する効率化を実現している。
【0027】
図1においては、拠点ルータ2とルータ3とがあるが、図2に示す送信側の拠点ルータ2の圧縮処理と図3に示す受信側のルータ3の解凍処理とは、パケットの流れる方向によって、拠点ルータ2及びルータ3のどちらのルータにおいても実行されることがある。本実施の形態では、特に、図1の端末1からサーバ4等の高速回線102上にパケットが送信される場合に限定して説明する。
【0028】
フロー分割処理部21は、端末1が送信したオリジナルパケットを、送信先アドレス、送信元アドレス、プロトコル、ポート番号等によってフローに分割する。これにより、送信されるデータは、音声・映像データ、テキストデータ、圧縮済みデータ等、比較的同一の特徴を示すパケットが連続するフローに分類される。
【0029】
圧縮エンジン22は、複数の圧縮方式[例えば、zip(ファイル圧縮形式)、もしくは無圧縮も含む]によりデータを圧縮する機能を持ち、圧縮方式選択アルゴリズム24によって選択された圧縮アルゴリズムによって、オリジナルパケットをIP(Internet Protocol)ヘッダごと圧縮する。
【0030】
カプセル化処理部23は、図4に示すように、圧縮エンジン22で圧縮されたオリジナルパケットに、ルータ3の送信先アドレス、拠点ルータ2の送信元アドレスのIPヘッダと、圧縮エンジン22で用いた圧縮情報を含む圧縮情報ヘッダとをつけることにより、拠点ルータ2とルータ3との間をトンネル化したトンネル101を通すパケットにする機能を有する。
【0031】
圧縮方式選択アルゴリズム24は、装置全体の情報が入ったアルゴリズムデータベース26、圧縮エンジン22によって圧縮されたパケットの圧縮率や圧縮負荷、フロー分割されたパケット毎に各圧縮方式の圧縮効率等を格納するフローエントリデータベース25を入力として、圧縮エンジン22で、次のフローパケットを圧縮する圧縮方式を選択する計算アルゴリズムと、その結果をアルゴリズムデータベース26やフローエントリデータベース25にフィードバックする機能とを有する。
【0032】
アルゴリズムデータベース26は、図6に示すように、拠点ルータ2全体での各圧縮方式の圧縮率等のデータや、拠点ルータ2の負荷情報等、ルータ3の負荷情報やルータ3で解凍可能な対応アルゴリズム等を格納する。尚、拠点ルータ2では、対向するルータ3のCPU使用率等負荷情報や解凍可能圧縮方式等、逐次ルータ3の情報が得られるものとする。また、情報取得に関する詳細方法については、直接、本実施の形態に関連しないので、その説明を省略する。
【0033】
フローエントリデータベース25は、図5に示すように、フロー分割処理部21で分割されたフロー毎に、複数ある圧縮方式それぞれの圧縮率等のデータを格納する機能を有する。
【0034】
続いて、拠点ルータ2では、カプセル化処理部23により、図4に示すようなパケットとし、ルータ3では、届いたカプセル化パケットを解凍処理部32にて元のオリジナルパケットに戻す。
【0035】
圧縮情報ヘッダ解析部31は、図4に示すカプセル化パケットの圧縮情報ヘッダを読み取り、圧縮されたオリジナルパケット部分と圧縮方式とを解凍処理部32に渡す機能を有する。
【0036】
解凍処理部32は、圧縮情報ヘッダ解析部31から渡された情報をもとに、圧縮されたオリジナルパケットを解凍し、オリジナルパケットに戻す機能を有する。
【0037】
端末1からサーバ4に送信されたパケットは、フロー分割処理部21にてフロー分割され、圧縮方式選択アルゴリズム24で選択された圧縮方式により圧縮エンジン22で圧縮され、カプセル化処理部23において圧縮情報とルータ3の宛先ヘッダにてカプセル化パケットとなり、トンネル101を通ってルータ3に届く。
【0038】
ルータ3に届いたカプセル化パケットは、圧縮情報ヘッダ解析部31にて情報が抽出され、解凍処理部32にて元のオリジナルパケットに戻り、その元のオリジナルパケットがサーバ4に届く。
【0039】
この一連の動作において、受信側のルータ3の解凍処理においては、拠点ルータ2によりパケット単位で異なる圧縮方式で圧縮されたパケットであっても、問題なく元のオリジナルパケットに戻せることが分かる。
【0040】
続いて、圧縮方式選択アルゴリズムについて述べる。圧縮エンジン22でフローパケットが圧縮されると、この圧縮に使用された圧縮方法でフローパケットがどのくらい圧縮できたのかの結果が、圧縮方式選択アルゴリズム24に通知される。
【0041】
これをトリガとして、圧縮方式選択アルゴリズム24は、フローエントリデータベース25より該当圧縮アルゴリズムのデータを読み取り、加重平均アルゴリズムを用いてデータを更新する。
【0042】
圧縮方式選択アルゴリズム24は、更新されたフローエントリデータベース25のデータ、アルゴリズムデータベース26に入っている、自装置や他装置の負荷情報、他装置で使用可能な圧縮方法、装置全体の各圧縮方法における圧縮効率のデータを加味して、次に選択すべき圧縮方式を確率的に導き出す。
【0043】
このとき、圧縮効率が高い圧縮方式を選択する確率は高く、装置全体の圧縮効率にくらべ圧縮効果がない場合や、自装置や他装置の負荷が高いような場合では、無圧縮を選択する確率が高くなるように調整する。
【0044】
また、フローエントリデータベース25で更新された圧縮効率データは、同様に、加重平均アルゴリズムを用いて、アルゴリズムデータベース26の該当圧縮方式の圧縮効率データを更新する。
【0045】
本実施の形態では、この一連の動作をフローパケットが通過するたびに、フロー単位のフローエントリデータベース25と装置全体のアルゴリズムデータベース26とが更新され、フロー単位の圧縮効率でより良いものが選択されやすく、装置全体の負荷状況によって無圧縮を選択することにより、CPU負荷を上げないという選択もされるようになる。
【0046】
このように、本実施の形態では、拠点ルータ2と高速回線103内にあるルータ3との間にトンネル101を張り、パケットをプロトコルやポート番号等のフローに分類し、フロー毎の圧縮効果やCPUの負荷等を要素として最適と思われる圧縮アルゴリズムを逐次適応していくことによって、ルータや端末の負荷や遅延、圧縮効果に応じて、パケット単位で圧縮しないという選択をも可能とすることができる。
【0047】
これによって、本実施の形態では、効率よく圧縮可能なパケットをより多く圧縮し、効率の悪いパケットを圧縮せずにCPUの負荷を下げるという選択をその時々に応じて自動的に選択することが可能となる。
【0048】
また、本実施の形態では、同一種類のルータや端末を利用した場合、回線速度が遅いほど効率よく転送できる可能性がある。この場合、転送できるデータ量が少ない装置では、より多くのCPUパワーを圧縮処理等に割り当てることができる。
【0049】
さらに、本実施の形態では、ユーザが設定する内容を対応端末間の設定のみに限ることができる。この場合、パケットの特徴毎の圧縮方法の選択等を細かく設定する必要はない。
【0050】
本発明は、上述した本発明の実施の形態において、パケットフローの分割に送信先アドレス、送信元アドレス、プロトコル、ポート番号で分割しているが、よりデータの特徴で分類できる方法があればそれを用いてもよい。
【0051】
また、本発明は、上述した本発明の実施の形態において、圧縮方式選択アルゴリズムに加重平均を用いているが、他のアルゴリズムを用いても構わない。
【0052】
上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下の記載に限定されない。
【0053】
[付記1]
データを送受信する装置間に低速回線及び高速回線が存在し、回線速度がボトルネックとなる環境において、前記データを圧縮することでネットワークの高速化を図る伝送装置であって、
前記低速回線及び前記高速回線を介して対向する装置との間に、パケット毎に圧縮アルゴリズムを適宜変えながらカプセル化する適応型データ圧縮トンネルを配設し、
同一フローパケットでありながらパケット単位で異なる圧縮アルゴリズム及び無圧縮の混在パケットを前記適応型データ圧縮トンネルを介して送受信する送受信手段を有し、
前記送受信手段は、前記パケットのフロー毎の情報を格納するデータベースと、前記データベースの格納内容を基づいて前記パケットの最適な圧縮方法の選択及びその選択の学習を行うとともにその結果に基づいて前記データベースの更新を行う手段を含むことを特徴とする伝送装置。
【0054】
[付記2]
自装置及び対向する装置各々の少なくとも一方の負荷情報を前記圧縮方法の選択アルゴリズムに組み込むことを特徴とする付記1記載の伝送装置。
【0055】
[付記3]
自装置及び対向する装置各々の少なくとも一方の負荷情報と前記低速回線及び前記高速回線の回線状況を検知しながら能動的に前記最適な圧縮方法の選択及びアルゴリズムの選択とそれらの学習とを行いながら前記データを転送させることを特徴とする付記1または付記2記載の伝送装置。
【0056】
[付記4]
前記パケットを少なくともプロトコル及びポート番号のフローに分類し、前記フロー毎の圧縮効果及び中央処理装置の負荷を要素として最適と思われる圧縮アルゴリズムを逐次適応していくことを特徴とする付記1から付記3のいずれか記載の伝送装置。
【0057】
[付記5]
データを送受信する装置間に低速回線及び高速回線が存在し、回線速度がボトルネックとなる環境において、前記データを圧縮することでネットワークの高速化を図るシステムに用いるデータ圧縮転送方法であって、
前記低速回線側の第1の伝送装置と前記高速回線内の第2の伝送装置との間に、パケット毎に圧縮アルゴリズムを適宜変えながらカプセル化する適応型データ圧縮トンネルを配設し、
前記第1及び第2の伝送装置各々の少なくとも一方において、同一フローパケットでありながらパケット単位で異なる圧縮アルゴリズム及び無圧縮の混在パケットを前記適応型データ圧縮トンネルを介して送受信し、
前記パケットのフロー毎の情報を格納するデータベースを前記第1及び第2の伝送装置各々の少なくとも一方に配設し、
前記混在パケットの送受信において、前記データベースの格納内容を基づいて前記パケットの最適な圧縮方法の選択及びその選択の学習を行うとともにその結果に基づいて前記データベースの更新を行うことを特徴とするデータ圧縮転送方法。
【0058】
[付記6]
前記第1及び第2の伝送装置各々の少なくとも一方の負荷情報を前記圧縮方法の選択アルゴリズムに組み込むことを特徴とする付記5記載のデータ圧縮転送方法。
【0059】
[付記7]
前記第1及び第2の伝送装置各々の少なくとも一方の負荷情報と前記低速回線及び前記高速回線の回線状況を検知しながら能動的に前記最適な圧縮方法の選択及びアルゴリズムの選択とそれらの学習とを行いながら前記データを転送させることを特徴とする付記5または付記6記載のデータ圧縮転送方法。
【0060】
[付記8]
前記パケットを少なくともプロトコル及びポート番号のフローに分類し、前記フロー毎の圧縮効果及び中央処理装置の負荷を要素として最適と思われる圧縮アルゴリズムを逐次適応していくことを特徴とする付記5から付記7のいずれか記載のデータ圧縮転送方法。
【符号の説明】
【0061】
1 端末
2 拠点ルータ
3 ルータ
4 サーバ
21 フロー分割処理部
22 圧縮エンジン
23 カプセル化処理部
24 圧縮方式選択アルゴリズム
25 フローエントリデータベース
26 アルゴリズムデータベース
31 圧縮情報ヘッダ解析部
32 解凍処理部
101 適応型データ圧縮トンネル
102 低速回線
103 高速回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを送受信する装置間に低速回線及び高速回線が存在し、回線速度がボトルネックとなる環境において、前記データを圧縮することでネットワークの高速化を図るデータ圧縮転送システムであって、
前記低速回線側の第1の伝送装置と前記高速回線内の第2の伝送装置との間に配設されかつパケット毎に圧縮アルゴリズムを適宜変えながらカプセル化する適応型データ圧縮トンネルと、
前記第1及び第2の伝送装置各々の少なくとも一方に設けられかつ同一フローパケットでありながらパケット単位で異なる圧縮アルゴリズム及び無圧縮の混在パケットを前記適応型データ圧縮トンネルを介して送受信する送受信手段とを有することを特徴とするデータ圧縮転送システム。
【請求項2】
前記送受信手段は、前記パケットのフロー毎の情報を格納するデータベースと、前記データベースの格納内容を基づいて前記パケットの最適な圧縮方法の選択及びその選択の学習を行うとともにその結果に基づいて前記データベースの更新を行う手段を含むことを特徴とする請求項1記載のデータ圧縮転送システム。
【請求項3】
前記第1及び第2の伝送装置各々の少なくとも一方の負荷情報を前記圧縮方法の選択アルゴリズムに組み込むことを特徴とする請求項2記載のデータ圧縮転送システム。
【請求項4】
前記第1及び第2の伝送装置各々の少なくとも一方の負荷情報と前記低速回線及び前記高速回線の回線状況を検知しながら能動的に前記最適な圧縮方法の選択及びアルゴリズムの選択とそれらの学習とを行いながら前記データを転送させることを特徴とする請求項2または請求項3記載のデータ圧縮転送システム。
【請求項5】
前記パケットを少なくともプロトコル及びポート番号のフローに分類し、前記フロー毎の圧縮効果及び中央処理装置の負荷を要素として最適と思われる圧縮アルゴリズムを逐次適応していくことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか記載のデータ圧縮転送システム。
【請求項6】
データを送受信する装置間に低速回線及び高速回線が存在し、回線速度がボトルネックとなる環境において、前記データを圧縮することでネットワークの高速化を図る伝送装置であって、
前記低速回線及び前記高速回線を介して対向する装置との間に、パケット毎に圧縮アルゴリズムを適宜変えながらカプセル化する適応型データ圧縮トンネルを配設し、
同一フローパケットでありながらパケット単位で異なる圧縮アルゴリズム及び無圧縮の混在パケットを前記適応型データ圧縮トンネルを介して送受信する送受信手段を有することを特徴とする伝送装置。
【請求項7】
データを送受信する装置間に低速回線及び高速回線が存在し、回線速度がボトルネックとなる環境において、前記データを圧縮することでネットワークの高速化を図るシステムに用いるデータ圧縮転送方法であって、
前記低速回線側の第1の伝送装置と前記高速回線内の第2の伝送装置との間に、パケット毎に圧縮アルゴリズムを適宜変えながらカプセル化する適応型データ圧縮トンネルを配設し、
前記第1及び第2の伝送装置各々の少なくとも一方において、同一フローパケットでありながらパケット単位で異なる圧縮アルゴリズム及び無圧縮の混在パケットを前記適応型データ圧縮トンネルを介して送受信することを特徴とするデータ圧縮転送方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−39198(P2012−39198A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174955(P2010−174955)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】