説明

データ変換装置およびデータ変換プログラム

【課題】 本発明は入力された画像データを印刷用の画像データに変換するデータ変換装置等に関し、画像データを受け取った後ユーザに印刷する要否の判断の機会を与え、印刷の必要のない不要のページが除かれた印刷用の画像データに変換する。
【解決手段】 1レコード内に1又は複数ページ分の印刷データが記述された1又は複数レコードからなるPPMLファイルを受け取ってPDFファイルからなる表示用の画像データを生成する表示画像生成部610と、表示画像生成部610で生成されたPDFファイルに基づく画像を表示するとともに、ユーザ操作による、レコード単位およびページ単位の印刷の必要の有無の指定を受け付けるプレビュー表示部620と、プレビュー表示部620で印刷することが指定されたレコード又はページについて印刷用のラスタデータを生成する印刷画像生成部630とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は入力された画像データを印刷用の画像データに変換して出力するデータ変換装置、および、情報処理装置をデータ変換装置として動作させるデータ変換プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、印刷分野も電子化が進んでおり、印刷物のページを編集用のコンピュータ上で編集するDTP(Desktop Publishing)が普及している。オペレータがページを編集する際に使用するDTPソフトウェアは、PS(PostScript:登録商標)やPDF(Portable Document Format)などといったページ記述言語でページを記述するものが一般的であり、このDTPソフトウェアによって、文字や写真などといった要素の配置位置が確定された状態のページのイメージを表わした画像データが生成される。DTPソフトウェアによって生成された画像データは、ページ上に配置される要素それぞれを表わす要素データ部分を含むとともに、ページ上における要素の配置位置が記述されている。
【0003】
ところで、例えば複数の宛先に向けた葉書などを作成する際には、スタンプマークなどのように複数のページ間で共通して用いられるマスタ要素が記述された要素データ部分を流用し、宛名などのように個々のページで異なるバリアブル要素が記述された要素データ部分のみを差し替えた画像データを編集して出力するバリアブル印刷がしばしば行われている。近年、このようなバリアブル印刷用のページを効率よく編集することができるPPML(Personalized Print Markup Language)というデータ記述言語が広く知られてきている(例えば、特許文献1参照)。このPPMLは、複数のページ間でマスタ要素を共有することを予め宣言しておくことができる。PSやPDFなどを用いてバリアブル印刷用のページを記述する場合、複数のページ上に共通して出現するマスタ要素をその都度記述する必要があるが、PPMLを用いると、初めにマスタ要素を一度だけ記述しておき、ページ上にマスタ要素が出現したときには、既に記述したマスタ要素の再利用を指示することができる。したがって、PPMLを適用することによって、ページを見やすく簡素に記述することができるうえ、画像データの総量を削減することができる。
【0004】
ここで、特許文献2には、このPPMLで記述された画像データを、印刷用の画像データに変換する過程が開示されている。
【0005】
このPPMLで記述されたPPMLファイルには、通常、画像の要素がそのPPMLファイル内に全て直接に記述されている訳ではなく、PPMLファイルには、画像上に配置される文書や写真などの画像の要素を記述したファイルの名称等が記述されるとともに、その要素の画像上の配置位置等が記述されている。したがって画像データを組み立てるには、そのPPMLファイル内に記述された情報を基に要素のファイルを全て集めてきて画像を組み立てるという処理が行なわれる。
【0006】
具体的には、PPMLファイルを解釈して各要素のファイルを特定し、その特定した各ファイルをPSで記述された各PS要素データに変換するとともに、各要素の画像上の配置位置を表わす内部情報を作成する。次に、このようにして得られたPS要素データをそれぞれラスタライズしてラスタ要素データに変換する。さらに内部情報を基に、各ラスタ要素データで表わされる画像要素を画像上の決められた各位置に配置する編集処理を行って、ページ単位の画像を表わすラスタページデータを生成する。
【0007】
このようにして生成されたラスタページデータは印刷機に送られ、印刷機ではそのラスタページデータに基づく画像が印刷される。
【特許文献1】特開2003−316549号公報
【特許文献2】特開2005−208925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
PPMLファイルは、上述のように直接的には画像要素のファイル名等が記述されているのであつて、そのPPMLファイルから各ページごとの画像全体を知ることは難しい。また、このPPMLファイルを受け取って特許文献2のように処理すると、ラスタページデータに機械的に変換するだけとなり、印刷機で印刷してはじめて各ページごとの画像を知ることができる。このため、印刷する必要のないページがあっても、その不要のページまで印刷してしまうこととなり無駄を生じるおそれがある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み、画像データを受け取った後ユーザに印刷の要否の判断の機会を与え、印刷の必要のない不要のページが除かれた印刷用の画像データに変換することのできるデータ変換装置およびデータ変換プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する本発明のデータ変換装置は、1レコード内に1又は複数ページ分の印刷データが記述された1又は複数レコードからなるファイルを受信して表示用の画像データを生成する表示画像生成部と、表示画像生成部で生成された画像データに基づく画像を表示するとともに、ユーザ操作による、レコード単位およびページ単位の印刷の必要の有無の指定を受け付けるプレビュー表示部と、プレビュー表示部で印刷することが指定されたレコード又はページについて印刷用の画像データを生成する印刷画像生成部とを備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明のデータ変換装置は、上記のプレビュー表示部を備えているため、印刷前に画像を表示してレコード単位又はページ単位で印刷の必要の有無が指定され、印刷する必要があるページのみからなる印刷用の画像データが生成される。このため無駄な印刷が防止される。
【0012】
ここで、本発明のデータ変換装置において、上記プレビュー表示部が、
表示画像生成部で生成された表示用の画像データのうちの、指定されたレコードを構成する1又は複数ページの画像データに基づくサムネイル画像の一覧を表示する一覧表示欄と、一覧表示欄に表示されたサムネイル画像一覧の中からユーザ操作により指定された1ページ分の画像を表示する画像表示欄と、一覧表示欄に表示されるサムネイル画像のレコードの指定および一覧表示欄に表示されたサムネイル画像で表わされるレコードを構成する1又は複数ページの画像又は画像表示欄に表示された1ページの画像の印刷の要否を指定する操作欄とからなる画面を生成して表示し、ユーザによるレコードの指定に応じて一覧表示欄に新たに指定されたレコードのサムネイル画像一覧を表示するとともに、ユーザによる、一覧表示欄に表示されたサムネイル画像のうちの1つのサムネイル画像の新たな指定に応じて、画像表示欄に、新たに指定されたサムネイル画像に相当する新たな画像を表示する画像制御部と、
ユーザによるレコード又はページごとの印刷の要否の指定を受けて、印刷すべきレコード又はページの情報を印刷画像生成部に伝える印刷情報伝達部とを備えたものであることが好ましい。
【0013】
プレビュー表示部を上記のように構成すると、使い勝手の良いマンマシンインタフェースが実現する。
【0014】
また、本発明のデータ変換装置において、上記表示画像生成部が、
PPMLデータで記述された前記ファイルを受け取って、PSデータで画像の要素が記述されたPS要素データと、そのPS要素データで表わされる画像の要素の、ページ内の配置位置を表わす内部情報とを生成するPPML解釈部と、
PPML解釈部で生成されたPS要素データを、そのPS要素データで表わされる画像の要素と同一の要素をPDFデータで表わしたPDF要素データに変換するPDF変換部と、
PDF変換部で得られたPDF要素データをPPML解釈部で生成された内部情報に基づいて編集して、PDFデータで記述された、ページ単位の画像を表わす画像データを生成するPDF編集部とを備えたものであることが好ましい。
【0015】
特許文献2に開示されたデータ変換装置は、PPMLファイルからPS要素データを作成し、PS要素データをラスタ要素データに変換し、そのラスタ要素データをラスタページデータに編集するものであるが、このラスタ要素データやラスタページデータなどのラスタデータは、同じ画像を表現するにあたりデータ量が極めて大きい。このため、仮にラスタページデータに基づいて印刷の前に画像を表示しようとすると画像の表示や表示画像の更新に多大な時間がかかり、極めて非効率である。これに対し、上記のように、PDFで記述された画像データに変換した場合、同じ画像を表現するにあたりデータ量が少なくて済み、画像の表示や更新が高速に行なわれ、プレビュー表示部での作業性が大幅に向上する。
【0016】
さらに、本発明のデータ変換装置において、上記印刷画像生成部が、
表示画像生成部からPDFデータで記述された画像データを受け取るとともにプレビュー表示部から印刷すべきレコード又はページの情報を受け取って、表示画像生成部から受け取った画像データの中から印刷に不要な画像データを削除することにより印刷すべき画像データに編集する画像編集部と、
画像編集部で編集された画像データを、ラスタデータからなる、ページ単位の画像を表わすラスタページデータに変換するラスタページデータ生成部とを備えたものであることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、プレビュー表示部での画像表示用に作成したPDFデータを基に、印刷に不要なPDF画像データの削除および印刷に必要なPDF画像データをラスタページデータへの変換が高速に行なわれる。
【0018】
あるいは、本発明のデータ変換装置において、上記印刷画像生成部が、
PPMLデータで記述された上記ファイルを受け取るとともにプレビュー表示部から印刷すべきレコード又はページの情報を受け取って、上記ファイルから印刷不要なレコード又はページのPPMLデータを削除することにより印刷すべきレコード又はページの、PPMLデータで記述された新たなファイルを作成するファイル編集部と、
ファイル編集部で生成された、PPMLデータからなる新たなファイルを受け取って、PSデータで画像の要素が記述されたPS要素データと、そのPS要素データで表わされる画像の要素の、ページ内の配置位置を表わす内部情報とを生成する第2のPPML解釈部と、
第2のPPML解釈部で生成されたPS要素データを、そのPS要素データで表わされる画像の要素と同一の要素をラスタデータで表わしたラスタ要素データに変換するラスタ変換部と、
ラスタ変換部で得られたラスタ要素データを第2のPPML解釈部で生成された内部情報に基づいて編集して、ページ単位の画像を表わすラスタページデータを生成するラスタデータ編集部とを備えたものであってもよい。
【0019】
従来は、特許文献2に開示されているように、PSデータをラスタデータに変換することが一般的であって、ユーザがこの機能を持っている場合は、PDFデータをラスタデータに変換する機能を新たに備えなくても、上記のようにして、印刷用のラスタページデータに変換することができる。
【0020】
また、上記目的を達成する本発明のデータ変換プログラムは、プログラムを実行する情報処理装置内で実行され、その情報処理装置を、
1レコード内に1又は複数ページ分の印刷データが記述された1又は複数レコードからなるファイルを受信して表示用の画像データを生成する表示画像生成部と、表示画像生成部で生成された画像データに基づく画像を表示するとともに、ユーザ操作による、レコード単位およびページ単位の印刷の必要の有無の指定を受け付けるプレビュー表示部と、プレビュー表示部で印刷することが指定されたレコード又はページについて印刷用の画像データを生成する印刷画像生成部とを備えたデータ変換装置として動作させることを特徴とする。
【0021】
ここで、本発明のデータ変換プログラムにおいても、上記プレビュー表示部が、
表示画像生成部で生成された表示用の画像データのうちの、指定されたレコードを構成する1又は複数ページの画像データに基づくサムネイル画像の一覧を表示する一覧表示欄と、前記一覧表示欄に表示されたサムネイル画像一覧の中からユーザ操作により指定された1ページ分の画像を表示する画像表示欄と、一覧表示欄に表示されるサムネイル画像のレコードの指定および一覧表示欄に表示されたサムネイル画像で表わされるレコードを構成する1又は複数ページの画像又は画像表示欄に表示された1ページの画像の印刷の要否を指定する操作欄とからなる画面を生成して表示し、ユーザによるレコードの指定に応じて一覧表示欄に新たに指定されたレコードのサムネイル画像一覧を表示するとともに、ユーザによる、該一覧表示欄に表示されたサムネイル画像のうちの1つのサムネイル画像の新たな指定に応じて、画像表示欄に、新たに指定されたサムネイル画像に相当する新たな画像を表示する画像制御部と、
ユーザによるレコード又はページごとの印刷の要否の指定を受けて、印刷すべきレコード又はページの情報を印刷画像生成部に伝える印刷情報伝達部とを有することが好ましく、また
上記表示画像生成部が、
PPMLデータで記述された前記ファイルを受け取って、PSデータで画像の要素が記述されたPS要素データと、そのPS要素データで表わされる画像の要素の、ページ内の配置位置を表わす内部情報とを生成するPPML解釈部と、PPML解釈部で生成されたPS要素データを、そのPS要素データで表わされる画像の要素と同一の要素をPDFデータで表わしたPDF要素データに変換するPDF変換部と、PDF変換部で得られたPDF要素データをPPML解釈部で生成された内部情報に基づいて編集して、PDFデータで記述された、ページ単位の画像を表わす画像データを生成するPDF編集部とを有することが好ましい。
【0022】
さらに、本発明のデータ変換プログラムにおいても、上記印刷画像生成部は、表示画像生成部からPDFデータで記述された画像データを受け取るとともにプレビュー表示部から印刷すべきレコード又はページの情報を受け取って、印刷画像生成部から受け取った画像データの中から印刷に不要な画像データを削除することにより印刷すべき画像データに編集する画像編集部と、画像編集部で編集された画像データを、ラスタデータからなる、ページ単位の画像を表わすラスタページデータに変換するラスタページデータ生成部とを有することが好ましく、
あるいは、上記印刷画像生成部は、PPMLデータで記述された上記ファイルを受け取るとともにプレビュー表示部から印刷すべきレコード又はページの情報を受け取って、上記ファイルから印刷不要なレコード又はページのPPMLデータを削除することにより印刷すべきレコード又はページの、PPMLデータで記述された新たなファイルを作成するファイル編集部と、ファイル編集部で生成された、PPMLデータからなる新たなファイルを受け取って、PSデータで画像の要素が記述されたPS要素データと、そのPS要素データで表わされる画像の要素の、ページ内の配置位置を表わす内部情報とを生成する第2のPPML解釈部と、第2のPPML解釈部で生成されたPS要素データを、そのPS要素データで表わされる画像の要素と同一の要素をラスタデータで表わしたラスタ要素データに変換するラスタ変換部と、ラスタ変換部で得られたラスタ要素データを第2のPPML解釈部で生成された内部情報に基づいて編集してページ単位の画像を表わすラスタページデータを生成するラスタデータ編集部とを有していてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、印刷前に画像を表示して印刷の必要の有無の指定を受けることにより無駄な印刷を避けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態が組み込まれたRIP(Raster Image Processor)システムを示す図である。
【0026】
この図1には、編集装置301,302を構成するコンピュータと、RIP装置100を構成するコンピュータと、プリンタ200とが示されている。
【0027】
編集装置301,302では、印刷物を構成するページごとの画像を表わす画像データが編集され、その画像データが通信網300を介してRIP装置100に送られてくる。
【0028】
RIP装置100は、編集装置301,302から画像データを受け取り、その画像データを、プリンタ200用の、ラスタデータで画像を表現した画像データに変換し、プリンタ200に向けて出力する。なお画像データは、通信網300を介して受け取る以外に、CD(Compact Disc)やMO(光磁気)ディスク等といった記憶媒体を介して受け取ってもよい。
【0029】
プリンタ200は、RIP装置100から画像データが送られてくると、その画像データに基づく画像を印刷する。
【0030】
図1に示すRIPシステムにおける、本発明の一実施形態としての特徴は、RIP装置100として動作するコンピュータにおける動作内容にある。そこで、以下では、RIP装置100に着目して説明を行う。
【0031】
この図1に示すRIP装置100は、上述したようにコンピュータで構成されており、このコンピュータは、CPU、主記憶装置、ハードディスク、通信用ボード等が内蔵された本体101、この本体101からの指示により表示画面上に画像や文字列の表示を行うディスプレイ102、このコンピュータにユーザの指示や文字情報を入力するためのキーボード103、ディスプレイ102の表示画面上の任意の位置を指定することにより、その位置に表示されているアイコン等に応じた指示を入力するマウス104を備えている。
【0032】
本体101には、CD105(図1には図示せず;図2参照)やDVDが取り出し自在に装填され、装填されたCDやDVDに記憶された情報を再生するCD/DVDドライブが内蔵されている。また、本体101には、光磁気ディスク(MO)106(図1には図示せず;図2参照)が取り出し自在に装填され、装填されたMO106に対し情報の記録再生を行うMOドライブも内蔵されている。
【0033】
図2は、RIP装置100を構成するコンピュータのハードウェア構成図である。
【0034】
このハードウェア構成図には、CPU(中央演算処理装置)111、RAM112、HDD(ハードディスクドライブ)113、MOドライブ114、CD/DVDドライブ115、および通信用ボード116が示されており、それらはバス110で相互に接続されている。
【0035】
HDD113は、記録媒体の一種であるハードディスク120を内蔵しており、このハードディスク120に対し情報の記録再生を行う。
【0036】
通信用ボード116は、LAN(Local Area Network)等といった通信回線に接続される。図1に示すRIP装置100は、この通信用ボード116を介して接続される通信網300によって他のコンピュータシステムとの間でデータの送受信を行うことができ、プリンタ200に向けた画像データの出力を行うこともできる。
【0037】
また、図2には、図示しない複数のI/Oインターフェースそれぞれを介してバス110に接続された、図1にも示したマウス104、キーボード103、ディスプレイ102も示されている。
【0038】
ここでは、CD105に、本発明のデータ変換プログラムの一実施形態が記憶されている。このCD105は本体101内に装填され、そのCD105に記憶されたデータ変換プログラムがCD/DVDドライブ115によって読み込まれ、バス110を経由してハードディスク120内にインストールされる。
【0039】
このハードディスク120内にインストールされたデータ変換プログラムが起動されると、このハードディスク120内のデータ変換プログラムはRAM112にロードされ、CPU111により実行される。本発明のデータ変換プログラムの一実施形態が起動されて実行されると、RIP装置100は、本発明のデータ変換装置の一実施形態として動作する。
【0040】
図2では、データ変換プログラムを記憶する記憶媒体としてCD105が例示されているが、本発明のデータ変換プログラムを記憶する記憶媒体はCDに限られるものではなく、それ以外の光ディスク、MO、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどの記憶媒体であってもよい。また、本発明のデータ変換プログラムは、記憶媒体を介さずに、通信網を介して直接にコンピュータに供給されるものであってもよい。
【0041】
図3は、バリアブル印刷の説明図である。
【0042】
図3には、バリアブル印刷による印刷物の一例として、複数の宛先用に作成された葉書400_1,…,400_nが示されている。ここでは、葉書400_1,…,400_nを代表して、1番目の宛先用の葉書400_1について説明する。葉書400_1には、複数の葉書400_1,…,400_nにおいて共通して用いられるスタンプおよび製品案内の2つのマスタ要素411,412と、それら複数の葉書400_1,…,400_nそれぞれにおいて個別に用いられる、郵便番号、宛名、および住所の3つのバリアブル要素421_1,422_1,423_1が配置されている。
【0043】
本実施形態では、図1に示す編集装置301,302において、PPMLが適用されたDTPソフトウェアが用いられる。図3に示す印刷物の作成にあたっては、DTPソフトウェアによって、マスタ要素411,412を表現した要素データが複数の葉書400_1,…,400_nに共通して1度だけ記述され、バリアブル要素421_1,…,421_n;422_1,…,422_n;423_1,…,423_nそれぞれを表現した複数の要素データがページ1,…,nごとに記述されたPPML形式の画像データが生成される。
【0044】
尚、基本的には、PPMLは要素の配置などを記述するデータ記述言語であり、その要素を表わす要素データ自体は、例えば、PSやPDF等で記述されたり、PSやPDFで記述された要素データがASCII(American Standard Code for Information Intercharge)テキストに変換されて記述され、PPMLファイルとは別ファイルで用意される。
【0045】
ここで、本発明の実施形態からは一旦離れ、前掲の特許文献2に開示されたデータ変換装置について説明する。
【0046】
図4は、従来のデータ変換装置の機能ブロック図である。この図4に示すデータ変換装置は、本発明の実施形態と対比すべき比較例に相当する。
【0047】
このデータ変換装置400は、図1に示すRIP装置100で実行されるプログラムによりそのRIP装置100内に構築されるものであり、PPML解釈部401と、ラスタ変換部402と、ラスタ編集部403とで構成されている。
【0048】
図5は、図4に機能ブロック図で示した従来のデータ変換装置の機能説明図である。
【0049】
図4に示すデータ変換装置400(すなわち、図1に示すRIP装置100)には、図1に示す編集装置301,302からPPMLで記述されたPPMLファイルが入力され、このPPMLファイルは、PPML解釈部401でその内容が解釈される。PPMLファイルには、Tiff、JPEG、PDF、PSなど様々な形式の、画像の一部分を構成する要素データのファイル名等が記述され、さらにそれらのそのファイル名等で特定される画像要素の画像上の配置位置等が記述されている。
【0050】
PPML解釈部401では、PPMLファイルを解釈し画像の要素データを集めてきて各要素データのデータ形式をPS形式に変換することによりPS要素データを生成するとともに、各要素の配置位置等を表わす内部情報を生成する。ここでは、PS要素データには各ページごとに異なる画像要素であるバクアブル要素のPS要素データや複数のページで共通的に使用される画像要素であるリューザブル要素のPS要素データが存在する。
【0051】
これらのPS要素データは、ラスタ変換部402に入力されデータ形式がPS形式からラスタ形式にそれぞれ変換されてラスタ要素データが生成される。
【0052】
この段階では、ラスタ要素データは、画像の要素ごとに分かれたデータであり、これらのラスタ要素データが次にラスタ編集部403に入力される。このラスタ編集部403には、PPML解釈部401で得られた画像要素の配置位置等を表わす内部情報も入力され、ラスタ編集部403では、ラスタ変換部402から受け取ったラスタ要素データを内部情報に従って配置することによりページ単位の画像を表わすラスタページデータに編集する。このようにして得られたラスタページデータは、図1に示すプリンタ200に送られてラスタページデータに応じた印刷物が生成される。
【0053】
図4、図5に示すように、図1に示すRIP装置100では、従来はPPMLをラスタデータに変換する処理が行なわれ、印刷する必要のないページかどうかをRIP装置100で判断する余地はなく、編集装置301,302でPPMLファイルとして編集されたものがそのまま印刷される。仮に、このRIP装置100で印刷前に画像を表示して印刷ページを選択しようとしても、ラスタデータは同じ画像を表現するのにデータ量が極めて大きく、画像の表示や更新に多大の時間を要することになる。
【0054】
本発明の実施形態の説明に戻る。
【0055】
図6は、本発明の第1実施形態としてのデータ変換プログラムの概要を示す図である。
【0056】
この図6に示すデータ変換プログラム500は、図1に示すRIP装置100内で実行されるプログラムであって、表示画像生成部510と、プレビュー表示部520と、印刷画像生成部530との3つのプログラム部品から構成されている。ここで、表示画像生成部510は、さらに、PPML解釈部511と、PDF変換部512と、PDF編集部513との3つのプログラム部品から構成され、プレビュー表示部520は、さらに、画像制御部521と、印刷情報伝達部522との2つのプログラム部品で構成され、印刷画像生成部530は、さらに、画像編集部531と、ラスタページデータ生成部532との2つのプログラム部品で構成されている。これらの各プログラム部品の作用については、図7に示すデータ変換装置600の説明と合わせて説明する。
【0057】
図7は、本発明の第1実施形態としてのデータ変換装置の概要を示す機能ブロック図である。
【0058】
図7に示すデータ変換装置600は、表示画像生成部610と、プレビュー表示部620と、印刷画像生成部630から構成されている。ここで、表示画像生成部610は、さらにPPML解釈部611と、PDF変換部612と、PDF編集部613とから構成され、プレビュー表示部620は、さらに、画像制御部621と、印刷情報伝達部622とから構成され、印刷画像生成部630は、さらに、画像編集部631と、ラスタページデータ生成部632とから構成されている。ここで、図7に示すデータ変換装置600を構成する各部は、図6に示すデータ変換プログラム500を構成する、同一名称の各プログラム部品はにそれぞれ対応するが、図6の各プログラム部品としての各部は、ソフトウェアのみを指し、図7の各部は、RIP装置100内で図6のプログラム部品が実行されたときにそのRIP装置100内に実現する機能、すなわちRIP装置100のハードウェアと図6のプログラム部品との複合を指している。
【0059】
以下では、図7に示すデータ変換装置の各部の作用を説明することで図6を示すデータ変換プログラムの各プログラム部品の説明を兼ねるものとする。
【0060】
図7に示すデータ変換装置600には、図1に示す編集装置301,302から、1レコード内に1又は複数ページ分の印刷データが記述された1又は複数レコードからなる、PPMLで記述されたPPMLファイルが入力され、PPML解釈部611でその内容が解釈される。すなわち、このPPML解釈部611は、図4に示す従来のデータ変換装置400を構成するPPML解釈部401と同様であり、PPMLデータで記述されたPPMLファイルを受け取って、PSデータで画像の要素が記述されたPS要素データと、そのPS要素データで表わされる画像の要素の、ページ内の配置位置を表わす内部情報とを生成する。
【0061】
PPML解釈部611で得られたPS要素データは、PDF変換部612に入力される。このPDF変換部612では、PPML解釈部611で生成されたPS要素データが、そのPS要素データで表わされる画像の要素と同一の要素をPDFデータで表わしたPDF要素データに変換される。すなわち、従来のデータ変換装置400にはラスタ変換部402が備えられており、PPML解釈部401で得られたPS要素データがラスタ要素データに変換されたが、図7に示すデータ変換装置600にはPDF変換部612が備えられており、PPML解釈部611で得られたPS要素データがPDF要素データ、すなわち、PDF形式の要素データに変換される。さらに、図7のデータ変換装置600を構成する表示画像生成部610にはPDF編集部613が備えられており、このPDF編集部613では、PDF変換部612で得られたPDF要素データがPPML解釈部611で生成された内部情報に基づいて編集されて、PDFデータで記述された、ページ単位の画像を表わす画像データが生成される。この表示画像生成部610におけるデータ変換のフローは、図5においてラスタ変換部402、ラスタ編集部403をそれぞれPDF変換部612、PDF編集部613に置き換えたものに相当する。すなわち、データ形式がラスタ形式ではなくPDF形式に変更されることを除き、図5を参照して説明したことがそのまま成り立つ。
【0062】
図7の表示画像生成部610で得られたPDF形式の画像データは、プレビュー表示部620に入力される。このプレビュー表示部620の画像制御部621では、一覧表示欄と、画像表示欄と、操作欄とからなる画面を生成して表示する。一覧表示欄には、表示画像生成部610で生成された表示用の画像データのうちの、指定されたレコードを構成する1又は複数ページの画像データに基づくサムネイル画像の一覧が表示され、画像表示欄には、一覧表示欄に表示されたサムネイル画像一覧の中からユーザ操作により指定された1ページの画像が表示され、操作欄では、一覧表示欄に表示されるサムネイル画像のレコードの指定および一覧表示欄に表示されたサムネイル画像で表わされるレコードを構成する1又は複数ページの画像の印刷の安否、および画像表示欄に表示された1ページの画像の印刷の要否が指定される。ここで、この画像制御部621は、さらに、ユーザによるレコードの指定に応じて、一覧表示欄に、新たに指定されたレコードのサムネイル画像一覧を表示するとともに、ユーザによる、一覧表示欄に表示されたサムネイル画像のうちの1つのサムネイル画像の新たな指定に応じて、画像表示欄に、新たに指定されたサムネイル画像に相当する新たな1ページの画像を表示する。このプレビュー表示部620については、画面例を参照しながら、さらに後述する。
【0063】
また、このプレビュー表示部620は、印刷情報伝達部622を有し、この印刷情報伝達部622は、ユーザによる、レコードごと又はページごとの印刷の要否の指定を受けて、印刷すべきレコード又はページの情報を印刷画像生成部630に伝える役割りを担っている。
【0064】
さらに、印刷情報生成部630は、画像編集部631とラスタページデータ生成部632とを有する。画像編集部631は、表示画像生成部610からPDFデータで記述された画像データを受け取るとともにプレビュー表示部620から印刷すべきレコード又はページの情報を受け取って、表示画像生成部610から受け取った画像データの中から印刷に不要な画像データを削除することにより印刷すべき画像データに編集し、ラスタページデータ生成部632は、画像編集部631で編集された画像データを、ラスタデータからなる、ページ単位の画像を表わすラスタページデータに変換する。
【0065】
以下では、図7に示すデータ変換装置600の作用についてさらに詳細に説明する。
【0066】
図8は、PPMLファイルの一例を示した図である。
【0067】
この図8に示すPPMLファイルのうちの(a)の部分はリユーザブル要素の記述、(b),(c),(d)は、それぞれ、1レコード目、2レコード目、3レコード目のバリアブル要素の記述である。また、(b−1),(b−2),(b−3);(c−1);(d−1),(d−2)は各ページの記述である。すなわち、この図8に示す例では、1レコード目(b)には、3ページ(b−1),(b−2),(b−3)が含まれており、2レコード目(c)には、1ページ(c−1)が含まれており、3レコード目(d)には、2ページ(d−1),(d−2)が含まれている。
【0068】
リユーザブル部品(a)の、5行目の記術は、Reusable1.pdfの1ページ目からデータを取得すべきことを意味しており、9行目の記述は、リユーザブル部品をREUSE_00001という名前で登録すべきことを意味している。さらに、11行目の
記述は、参照データのうちの(0,486.96)〜(283,906.96)で定義される矩形領域内のデータが有効であることを意味している。
【0069】
また、1レコード目(b)の記述のうちの18行目の記述は、このレコードには3ページあり、Mr.A Infoという情報をもつことを意味している。また、20行目の記述は、このページ(b−1)は、(0,0)から(1275,906.96)の領域が有効であることを意味している。
【0070】
さらに、21〜23行目の記述は、REUSE_00001というリユーザブル部品を(28.3465,−28.3465)に配置ことを意味しており、24〜34行目の記述は、test.jpgというデータに、拡縮、平行移動等を行なうマトリックスを作用させて、(255.12,42.244)に配置することを意味している。
【0071】
尚、2ページ目以降の各ページについては、記述を省略している。
【0072】
また、2レコード目(c)の45行目の記述は、レコード(c)は1ページあり、Mr.B Infoという情報をもつことを意味しており、3レコード目(d)の52行目の記述は、レコード(d)は2ページあり、Mr.C Infoという情報をもつことを意味している。
【0073】
図9は、図8に示すPPMLファイルに記述された画像のイメージを表わした図である。
【0074】
1レコード目は、「Mr.A Info」と名づけられたレコードであって3ページで構成され、2レコード目は「Mr.B Info」と名づけられたレコードであって1ページで構成され、3レコード目は「Mr.C Info」と名づけられたレコードであって、2ページで構成され、ここでは全部で6ページで構成されている。
【0075】
図10は、図7に示すデータ変換装置600のプレビュー表示部620で表示されるプレビュー画面の一例を示す図である。
【0076】
このプレビュー画面は、一覧表示欄620Aと、画像表示欄620Bと、操作欄620Cとで構成されている。
【0077】
一覧表示欄620Aには、図9に示す画像の一覧、又は、指定されたレコードを構成する画像の一覧が表示される。操作欄620Cの(a)の「全て表示」の欄を指定すると、一覧表示欄620Aには全レコードを構成する全ページのサムネイル画像一覧が表示され、操作欄620Cの(b)の欄でレコードを指定すると、一覧表示欄620Aには、その指定されたレコードを構成する全ページの画像の一覧が表示される。この図10では「3レコード目」が指定されており、したがって一覧表示欄620Aには、図9に示す6ページ分の画像のうちの3レコード目を構成する2ページ分の画像がサムネイル表示され、さらに、操作欄620Cの(c)の欄に、その3レコード目に名づけられた「Mr.C Info」の名称が表示されている。
【0078】
一覧表示欄620Aに並んだサムネイル画像のうちのいずれかのサムネイル画像をマウスクリックにより指定すると、画像表示欄620Bに、そのマウスクリックにより指定された1ページ分の画像が表示される。図10では、3レコード目を構成する2ページ分の画像のうち、後の方のページのサムネイル画像がクリックされ、したがって画像表示欄620Bにはそのクリックされたサムネイル画像と同じ画像が大きく表示されている。
【0079】
さらに、操作欄620Cの(d)の欄の「このレコードを印刷」を指定すると、一覧表示欄620Aに一覧表示されているサムネイル画像に対応するレコード(ここでは3レコード目)の印刷が指示されたことを意味し、操作欄620Cの(e)の「このページを印刷」を指定すると、画像表示欄620Bに現在表示されている画像のページの印刷が指示されたことを意味する。
【0080】
操作欄620Cの(e)の欄は、画像表示欄620Bに表示される画像の拡大、縮小率を指定する欄である。
【0081】
ここで、ユーザ操作により、一覧表示欄620Aにサムネイル画像が一覧表示されるレコードの変更が指示されると、一覧表示欄620Aには指示により変更されたレコードを構成する全ページのサムネイル画像一覧が表示され、画像表示欄620Bにはそのレコードの中の1ページ目の画像が表示される。
【0082】
ユーザにより以上のようにして指定された印刷の要否の情報は、図7に示す印刷画像生成部630に伝達され、印刷画像生成部630では、前述のとおり、表示画像生成部610から受け取った全ページ分のPDF画像データの中から印刷不要のページのデータが削除され、印刷すべきページのみラスタページデータに変換される。このようにして得られたラスタページデータはプリンタ200(図1参照)に送られて、そのラスタページデータに基づく印刷物が生成される。
【0083】
ここで、表示画像生成部610では、上記のとおり、PDF形式の画像データに変換しているため、ラスタページと比べ画像データとしてのデータ量が少なくて済み、プレビュー表示部620における画像表示が高速に行なわれ、作業性良く、印刷の要否の指示を行なうことができる。
【0084】
図11は、本発明の第2実施形態のデータ変換プログラムの概要図である。
【0085】
この図11において、図6に示す第1実施形態のデータ変換プログラムを構成するプログラム部品と同一のプログラム部品には、図6に付した符号と同一の符号を付して示し、相違点について説明する。
【0086】
この図11に示すデータ変換プログラム700を構成するプログラム部品のうちの、表示画像生成部510およびプレビュー表示部520は、図6に示すデータ変換プログラム500を構成するプログラム部品のうちの、表示画像生成部510およびプレビュー画像部520とそれぞれ同一である。
【0087】
図11に示すデータ変換プログラム700は、図6に示すデータ変換プログラム500を構成するプログラム部品である印刷画像生成部530とは異なる構成の印刷画像生成部730を有する。この印刷画像生成部730は、ファイル編集部731を、PPML解釈部732と、ラスタ変換部733と、ラスタ編集部734とから構成されている。ここで、PPML解釈部732については、本実施形態では、表示画像生成部510を構成するPPML解釈部511と兼用されている。
【0088】
図12は、本発明の第2実施形態のデータ変換装置の概要を示す機能ブロック図である。
【0089】
この図12に示すデータ変換装置800を構成する各部は、図11に示すデータ変換プログラム700を構成するプログラム部品のうちの、図12と同一名称のプログラム部品にそれぞれ対応するが、図11のプログラム部品はソフトウェアのみを指しているのに対し、図12の各部は、RIP装置100(図1参照)内で図11に示すプログラム部品が実行されたときにそのRIP装置100内に実現する機能、すなわち、RIP装置100のハードウェアと図11のプログラム部品との複合からなるものである。
【0090】
したがって、図12に示すデータ変換装置800を構成する表示画像生成部610とプレビュー表示部620は、図6に示す第1実施形態のデータ変換装置600を構成する表示画像生成部610およびプレビュー表示部620とそれぞれ同一である。
【0091】
印刷画像生成部830は、図6に示すデータ変換装置600を構成する印刷画像生成部630とは異なり、ファイル編集部831と、PPML解釈部832と、ラスタ変換部833と、ラスタ編集部834とから構成される。この実施形態では、PPML解釈部832は、表示画像生成部610を構成するPPML解釈部611と兼用されている。
【0092】
このデータ変換装置800には、図1に示す編集装置301,302から例えば図8に示すようなPPMLファイルが入力されるが、この入力されてきたPPMLファイルは、プレビュー表示部620に画像を表示する段階では、後の処理のためにファイル編集部831に記憶されるとともに、さらにファイル編集部831を素通りしてPPML解釈部611にそのまま入力される。表示画像生成部610では、図7を参照して説明した第1実施形態と同様にしてPDF画像データに変換され、プレビュー表示部620では、これも図7を参照して説明した第1実施形態と同様にして印刷前の画像が表示され、印刷の要否の指示を受ける。
【0093】
プレビュー表示部620における各レコード又は各ページごとの印刷の要否の情報は、印刷画像生成部830を構成するファイル編集部831に伝達される。ファイル編集部831では、プレビュー表示の段階で記憶しておいたPPMLファイルを、プレビュー表示部620から受け取った印刷要否の情報に従って編集してPPML解釈部832に渡す。
【0094】
図13は、ファイル編集部の処理の説明図である。
【0095】
図13(A)は、図8に示すPPMLファイルを簡略化して示したものである。ここではプレビュー表示部620において、1レコード目と3レコード目のみ印刷し、2レコード目は印刷しない旨、指定されたものとする。ファイル編集部831では、この印刷要否の情報を受け取ると、図13(B)に示すように、PPMLファイルから2レコード目の記述が削除されて新たなPPMLファイルが作成される。
【0096】
図12に戻って説明を続ける。
【0097】
印刷の段階では、ファイル編集部831から、上記のようにして新たに作成されたPPMLファイルがPPML解釈部832に渡される。その後の、PPML解釈部832、ラスタ変換部833、およびラスタ編集部834におけるデータ変換の流れは、図4に示す従来例としてのデータ変換装置400におけるデータ変換の流れと同じである。すなわち、図5に示すように、PPML解釈部832では、ファイル編集部831から受け取ったPPMLファイルの内容に基づいて、PS要素データと内部情報が生成され、PS要素データはラスタ変換部831に入力されてラスタ要素データに変換され、ラスタ要素データがラスタ編集部834に入力される。ラスタ編集部834では、PPML解釈部831から受け取った内部情報に基づいてラスタ要素データが編集されてラスタページデータが生成される。このラスタページデータは図1に示すプリンタ200に送られて、ラスタページデータに基づく印刷が行なわれる。
【0098】
前述の第1実施形態の場合、PDFデータをラスタデータに変換する、いわゆるPDFRIPが必要であるが、従来はPSデータをラスタデータに変換しており、この設備を持っているユーザの場合、この第2実施形態の構成によれば、PDFRIPを新たに用意しなくても、プレビュー表示による印刷の要否の指定を行ない、必要なページのみ印刷するシステムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の一実施形態が組み込まれたRIPシステムを示す図である。
【図2】RIP装置を構成するコンピュータのハードウェア構成図である。
【図3】バリアブル印刷の説明図である。
【図4】従来のデータ変換装置の機能ブロック図である。
【図5】図4に機能ブロック図で示した従来のデータ変換装置の機能説明図である。
【図6】本発明の第1実施形態としてのデータ変換プログラムの概要を示す図である。
【図7】本発明の第1実施形態としてのデータ変換装置の概要を示す機能ブロック図である。
【図8】PPMLファイルの一例を示した図である。
【図9】図8に示すPPMLファイルに記述された画像のイメージを表わした図である。
【図10】図7に示すデータ変換装置のプレビュー表示部で表示されるプレビュー画面の一例を示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態のデータ変換プログラムの概要図である。
【図12】本発明の第2実施形態のデータ変換装置の概要を示す機能ブロック図である。
【図13】ファイル編集部の処理の説明図である。
【符号の説明】
【0100】
100 RIP装置
101 本体
102 ディスプレイ
103 キーボード
104 マウス
105 CD
111 CPU
115 CD/DVDドライブ
116 通信用ボード
200 プリンタ
300 通信網
301,302 編集装置
400 データ変換装置
401 PPML解釈部
402 ラスタ変換部
403 ラスタ編集部
400_1,…,400_n 葉書
411,412 マスタ要素
421_1,422_1,423_1 バリアブル要素
500,700 データ変換プログラム
510,610 表示画像生成部
511,611 PPML解釈部
512,612 PDF変換部
513,613 PDF編集部
520,620 プレビュー表示部
521,621 画像制御部
522,622 印刷情報伝達部
530,630 印刷画像生成部
531,631 画像編集部
532,632 ラスタページデータ生成部
600,800 データ変換装置
620A 一覧表示欄
620B 画像表示欄
620C 操作欄
630 印刷情報生成部
730,830 印刷画像生成部
731,831 ファイル編集部
732,832 PPML解釈部
733,833 ラスタ変換部
734,834 ラスタ編集部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1レコード内に1又は複数ページ分の印刷データが記述された1又は複数レコードからなるファイルを受信して表示用の画像データを生成する表示画像生成部と、
前記表示画像生成部で生成された画像データに基づく画像を表示するとともに、ユーザ操作による、レコード単位およびページ単位の印刷の必要の有無の指定を受け付けるプレビュー表示部と、
前記プレビュー表示部で印刷することが指定されたレコード又はページについて印刷用の画像データを生成する印刷画像生成部とを備えたことを特徴とするデータ変換装置。
【請求項2】
前記プレビュー表示部が、
前記表示画像生成部で生成された表示用の画像データのうちの、指定されたレコードを構成する1又は複数ページの画像データに基づくサムネイル画像の一覧を表示する一覧表示欄と、前記一覧表示欄に表示されたサムネイル画像一覧の中からユーザ操作により指定された1ページ分の画像を表示する画像表示欄と、前記一覧表示欄に表示されるサムネイル画像のレコードの指定および前記一覧表示欄に表示されたサムネイル画像で表わされるレコードを構成する1又は複数ページの画像又は前記画像表示欄に表示された1ページの画像の印刷の要否を指定する操作欄とからなる画面を生成して表示し、ユーザによるレコードの指定に応じて前記一覧表示欄に新たに指定されたレコードのサムネイル画像一覧を表示するとともに、ユーザによる、該一覧表示欄に表示されたサムネイル画像のうちの1つのサムネイル画像の新たな指定に応じて、前記画像表示欄に、新たに指定されたサムネイル画像に相当する新たな画像を表示する画像制御部と、
ユーザによるレコード又はページごとの印刷の要否の指定を受けて、印刷すべきレコード又はページの情報を前記印刷画像生成部に伝える印刷情報伝達部とを備えたことを特徴とする請求項1記載のデータ変換装置。
【請求項3】
前記表示画像生成部が、
PPMLデータで記述された前記ファイルを受け取って、PSデータで画像の要素が記述されたPS要素データと、当該PS要素データで表わされる画像の要素の、ページ内の配置位置を表わす内部情報とを生成するPPML解釈部と、
前記PPML解釈部で生成されたPS要素データを、該PS要素データで表わされる画像の要素と同一の要素をPDFデータで表わしたPDF要素データに変換するPDF変換部と、
前記PDF変換部で得られたPDF要素データを前記PPML解釈部で生成された内部情報に基づいて編集して、PDFデータで記述された、ページ単位の画像を表わす画像データを生成するPDF編集部とを備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のデータ変換装置。
【請求項4】
前記印刷画像生成部が、
前記表示画像生成部からPDFデータで記述された画像データを受け取るとともに前記プレビュー表示部から印刷すべきレコード又はページの情報を受け取って、前記表示画像生成部から受け取った画像データの中から印刷に不要な画像データを削除することにより印刷すべき画像データに編集する画像編集部と、
前記画像編集部で編集された画像データを、ラスタデータからなる、ページ単位の画像を表わすラスタページデータに変換するラスタページデータ生成部とを備えたことを特徴とする請求項3記載のデータ変換装置。
【請求項5】
前記印刷画像生成部が、
PPMLデータで記述された前記ファイルを受け取るとともに前記プレビュー表示部から印刷すべきレコード又はページの情報を受け取って、前記ファイルから印刷不要なレコード又はページのPPMLデータを削除することにより印刷すべきレコード又はページの、PPMLデータで記述された新たなファイルを作成するファイル編集部と、
前記ファイル編集部で生成された、PPMLデータからなる新たなファイルを受け取って、PSデータで画像の要素が記述されたPS要素データと、当該PS要素データで表わされる画像の要素の、ページ内の配置位置を表わす内部情報とを生成する第2のPPML解釈部と、
前記第2のPPML解釈部で生成されたPS要素データを、該PS要素データで表わされる画像の要素と同一の要素をラスタデータで表わしたラスタ要素データに変換するラスタ変換部と、
前記ラスタ変換部で得られたラスタ要素データを前記第2のPPML解釈部で生成された内部情報に基づいて編集してページ単位の画像を表わすラスタページデータを生成するラスタデータ編集部とを備えたことを特徴とする請求項3記載のデータ変換装置。
【請求項6】
プログラムを実行する情報処理装置内で実行され、該情報処理装置を、
1レコード内に1又は複数ページ分の印刷データが記述された1又は複数レコードからなるファイルを受信して表示用の画像データを生成する表示画像生成部と、
前記表示画像生成部で生成された画像データに基づく画像を表示するとともに、ユーザ操作による、レコード単位およびページ単位の印刷の必要の有無の指定を受け付けるプレビュー表示部と、
前記プレビュー表示部で印刷することが指定されたレコード又はページについて印刷用の画像データを生成する印刷画像生成部とを備えたデータ変換装置として動作させることを特徴とするデータ変換プログラム。
【請求項7】
前記プレビュー表示部が、
前記表示画像生成部で生成された表示用の画像データのうちの、指定されたレコードを構成する1又は複数ページの画像データに基づくサムネイル画像の一覧を表示する一覧表示欄と、前記一覧表示欄に表示されたサムネイル画像一覧の中からユーザ操作により指定された1ページ分の画像を表示する画像表示欄と、前記一覧表示欄に表示されるサムネイル画像のレコードの指定および前記一覧表示欄に表示されたサムネイル画像で表わされるレコードを構成する1又は複数ページの画像又は前記画像表示欄に表示された1ページの画像の印刷の要否を指定する操作欄とからなる画面を生成して表示し、ユーザによるレコードの指定に応じて前記一覧表示欄に新たに指定されたレコードのサムネイル画像一覧を表示するとともに、ユーザによる、該一覧表示欄に表示されたサムネイル画像のうちの1つのサムネイル画像の新たな指定に応じて、前記画像表示欄に、新たに指定されたサムネイル画像に相当する新たな画像を表示する画像制御部と、
ユーザによるレコード又はページごとの印刷の要否の指定を受けて、印刷すべきレコード又はページの情報を前記印刷画像生成部に伝える印刷情報伝達部とを有することを特徴とする請求項6記載のデータ変換プログラム。
【請求項8】
前記表示画像生成部が、
PPMLデータで記述された前記ファイルを受け取って、PSデータで画像の要素が記述されたPS要素データと、当該PS要素データを、該PS要素データで表わされる画像の要素の、ページ内の配置位置を表わす内部情報とを生成するPPML解釈部と、
前記PPML解釈部で生成されたPS要素データで表わされる画像の要素と同一の要素をPDFデータで表わしたPDF要素データに変換するPDF変換部と、
前記PDF変換部で得られたPDF要素データを前記PPML解釈部で生成された内部情報に基づいて編集して、PDFデータで記述された、ページ単位の画像を表わす画像データを生成するPDF編集部とを有することを特徴とする請求項6又は7記載のデータ変換プログラム。
【請求項9】
前記印刷画像生成部が、
前記表示画像生成部からPDFデータで記述された画像データを受け取るとともに前記プレビュー表示部から印刷すべきレコード又はページの情報を受け取って、前記印刷画像生成部から受け取った画像データの中から印刷に不要な画像データを削除することにより印刷すべき画像データに編集する画像編集部と、
前記画像編集部で編集された画像データを、ラスタデータからなる、ページ単位の画像を表わすラスタページデータに変換するラスタページデータ生成部とを有することを特徴とする請求項7記載のデータ変換プログラム。
【請求項10】
前記印刷画像生成部が、
PPMLデータで記述された前記ファイルを受け取るとともに前記プレビュー表示部から印刷すべきレコード又はページの情報を受け取って、前記ファイルから印刷不要なレコード又はページのPPMLデータを削除することにより印刷すべきレコード又はページの、PPMLデータで記述された新たなファイルを作成するファイル編集部と、
前記ファイル編集部で生成された、PPMLデータからなる新たなファイルを受け取って、PSデータで画像の要素が記述されたPS要素データと、当該PS要素データで表わされる画像の要素の、ページ内の配置位置を表わす内部情報とを生成する第2のPPML解釈部と、
前記第2のPPML解釈部で生成されたPS要素データを、該PS要素データで表わされる画像の要素と同一の要素をラスタデータで表わしたラスタ要素データに変換するラスタ変換部と、
前記ラスタ変換部で得られたラスタ要素データを前記第2のPPML解釈部で生成された内部情報に基づいて編集してページ単位の画像を表わすラスタページデータを生成するラスタデータ編集部とを有することを特徴とする請求項7記載のデータ変換プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−288884(P2009−288884A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−138418(P2008−138418)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】