説明

データ復調装置、データ復調方法、およびプログラム

【課題】再生特性をより安定させることができるようにする。
【解決手段】データ復調装置1に対しては、特殊ビットを含む情報ビットが一定の間隔で挿入されたデータを、可変長変換規則を有する変調テーブルに従って変換したRLL符号であるチャネルビット列が入力される。特殊ビットの値は、信号処理の内容を表す値とされている。整形部31においては、初期整形部11から出力されたチャネルビット列を対象として特殊ビットの値に応じた整形処理が行われ、整形処理が施されたチャネルビット列からデータ列がチャネルビット復調部33において生成される。チャネルビット復調部33により生成されたデータ列が選択部34により選択され、再生データとして出力される。本発明は、ブルーレイディスクプレーヤに適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ復調装置、データ復調方法、およびプログラムに関し、特に、再生特性をより安定させることができるようにしたデータ復調装置、データ復調方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
データを所定の伝送路を介して伝送したり、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記録媒体に記録したりする際、伝送路や記録媒体に応じてデータの変調が行われる。
【0003】
このような変調方法の1つとしてブロック符号が知られている。ブロック符号は、データ列をm×iビットからなる単位(以下、データ語という)にブロック化し、データ語を適当な符号則に従ってn×iビットからなる符号語に変換するものである。以下、符号語のビットをチャネルビットとも称する。
【0004】
符号は、i=1のときには固定長符号となり、また、iを複数個選べるとき、すなわち1乃至imax(最大のi)のうちの所定のiを選択したときには可変長符号になる。ブロック符号化された符号は可変長符号(d,k;m,n;r)と表される。
【0005】
iは拘束長と称され、imaxは、最大拘束長rとなる。また、dは、連続する”1”の間に入る”0”の最小連続個数、すなわち”0”の最小ランを示し、kは、連続する”1”の間に入る”0”の最大連続個数、すなわち”0”の最大ランを示している。
【0006】
このようにして得られる符号語をCDなどの光ディスクやMDなどの光磁気ディスクに記録する場合、可変長符号列の”1”を反転とし、”0”を無反転とするNRZI(NonReturn to Zero Inverted)変調が行われ、NRZI変調後の可変長符号が記録される。このような記録方式はマークエッジ記録とよばれる。以下、適宜、記録対象となる可変長符号を記録符号列という。
【0007】
これに対して、ISO規格の3.5inch・230MB容量の光磁気ディスク等では、変調された符号列が、NRZI変調されずにそのまま記録される。このような記録方式はマークポジション記録とよばれる。現在のように高記録密度化された記録メディアでは、マークエッジ記録が多く用いられている。
【0008】
記録符号列の最小反転間隔をTminとし、最大反転間隔をTmaxとするとき、線速方向に高密度記録を行うためには、最小反転間隔Tminは長い方が、すなわち最小ランdは大きい方が良い。また、クロックの再生の面からは、最大反転間隔Tmaxは短い方が、すなわち最大ランkは小さい方が望ましい。
【0009】
また、オーバーライト特性を考慮する場合にはTmax/Tminは小さい方が望ましい。さらに、JitterやS/Nの点から検出窓幅Tw=m/nが大きいことが重要になるなど、メディアの条件と照らし合わせながら種々の変調方法が提案され、実用化されている。
【0010】
ここで、光ディスク、磁気ディスク、または光磁気ディスク等において、提案、あるいは実際に使用されている変調方式をあげる。
【0011】
CDやMDで用いられるEFM符号((2,10;8,17;1)とも表記される)、DVDで用いられる8-16符号((2,10;1,2;1)とも表記される)、PD(120mm650MB容量)で用いられるRLL(2,7)((2,7;m,n;r)とも表記される)は、最小ランd=2のRLL符号である。
【0012】
また、MD−DATA2、あるいはISO規格の3.5inchMO(640MB容量)で用いられるRLL(1,7)((1,7;2,3;r)とも表記される)は、最小ランd=1のRLL符号である。
【0013】
この他、現在開発研究されている記録密度の高い光ディスクや光磁気ディスク等においては、最小マークの大きさや変換効率のバランスの取れた、最小ランd=1のRLL符号(Run Length Limited code)がよく用いられている。さらに、記録再生特性によりマーク間隔が広く取れる記録方式が望ましい場合においては、マークポジション記録が採用され、記録密度に応じて最小ランd=1、d=2、そしてd=4などのRLL符号が用いられている。
【0014】
図1は、可変長のRLL(1,7)符号の変復調テーブルの例を示す図である。
【0015】
図1の変復調テーブルにおいては、例えば、拘束長i=1である場合、”11”のデータパターンは”00x”の符号パターンに変調される。また、拘束長i=2である場合、”0011”のデータパターンは”000 00x”の符号パターンに変調される。
【0016】
図1の変復調テーブルのxは、次に続くチャネルビットが”0”であるときに”1”とされ、次に続くチャネルビットが”1”であるときに”0”とされる。最大拘束長rは2である。
【0017】
可変長RLL(1,7)のパラメータは(1,7;2,3,2)であり、記録符号列のビット間隔をTとすると、(d+1)Tで表される最小反転間隔Tminは2(=1+1)Tとなる。データ列のビット間隔をTdataとすると、この(m/n)×2で表される最小反転間隔Tminは1.33(=(2/3)×2)Tdataとなる。
【0018】
また、(k+1)Tで表される最大反転間隔Tmaxは、Tmax = 8(=7+1)T(=(m/n)×8Tdata = (2/3)×8Tdata = 5.33Tdata) である。さらに、検出窓幅Twは、(m/n)×Tdataで表され、その値は、Tw = 0.67(=2/3)Tdata となる。
【0019】
ところで、図1の変復調テーブルに従って変調を行って得られたチャネルビット列においては、発生頻度としてはTminである2Tが一番多く、以下、3T,4T,5T,6T,...の順に多い。そして、最小ラン(Tmin)である2Tが繰り返すこと、すなわちエッジ情報が早い周期で多く発生することは、クロック再生には有利となる場合が多い。
【0020】
ところが、例えば光ディスクの記録再生において、さらに記録線密度を高くしていった場合、最小ランの部分はエラーが発生しやすい部分となる。なぜなら、光ディスクの再生時において、最小ランの波形出力は他のランよりも小さく、デフォーカスやタンジェンシャル・チルト等による影響を受けやすいからである。
【0021】
また、高線密度における最小マークの連続した記録再生は、ノイズ等の外乱の影響も受けやすく、データ再生の誤りを起こしやすくなる。この時のデータ再生の誤りのパターンとしては、連続する最小マークの先頭のエッジから最後のエッジまでが一斉にシフトして誤るといったパターンがある。すなわち、ビットエラーが、最小ランの連続する区間の先頭から最後まで伝搬することになる。従って、エラー伝搬が長くなってしまうことになる。
【0022】
したがって、高線密度にデータを記録再生する場合の安定化のためには、最小ランの連続を制限することが効果的である。
【0023】
一方、記録媒体へのデータの記録または伝送路を介したデータの伝送の際には、上述したように記録媒体や伝送路に適した変調が行われるが、変調符号に低域成分が含まれていると、ディスク再生装置におけるサーボ制御時にトラッキングエラーなどの各種のエラー信号の変動が生じ易くなったり、あるいはジッターが発生し易くなったりする。従って、変調符号においては低域成分がなるべく抑制されている方が望ましい。
【0024】
低域成分を抑制する方法としてDSV(Digital Sum Value)制御がある。DSVは、チャネルビット列をNRZI化(レベル符号化)して記録符号列とし、記録符号列のビットの”1”を「+1」、”0”を「−1」として、各ビットの値を加算していったときの総和を意味する。DSVは記録符号列の低域成分の目安となる。DSVの正負のゆれの絶対値を小さくすること、すなわちDSV制御を行うことは、記録符号列の直流成分を除き、低域成分を抑制することになる。
【0025】
図1の変復調テーブルを用いて得られる変調符号にはDSV制御が行われていない。このような場合のDSV制御は、変調後のチャネルビット列において所定の間隔でDSV計算を行い、DSVビットをチャネルビット列内に挿入することで実現される(例えば、特許文献1)。
【0026】
チャネルビット列内に挿入するDSVビットの数は最小ランdによって決まる。例えば、d=1である場合、最小ランの制限を守るようにチャネルビット列内に挿入する場合に必要になるDSVビットのビット数は2(=d+1)である。また、最大ランの制限を守るようにチャネルビット列内に挿入する場合に必要になるDSVビットのビット数は4(=2×(d+1))である。これらのビット数より少ない数のDSVビットでDSV制御を行うと、挟まれる前後のパターンによってはDSV制御を行うことができない場合が発生する。
【0027】
(d,k;m,n) = (1,7;2,3)であるRLL(1,7)符号において、DSVビットを、変換率に合わせてデータに換算すると、そのデータの数は次のようになる。
4チャネルビット×2/3 = 8/3 = 2.67データ相当(2.67 Tdata)
【0028】
ところで、DSVビットは、基本的には冗長ビットである。従って、符号変換の効率の観点からは、DSVビットはなるべく少ないほうが良い。
【0029】
また、挿入されるDSVビットによって最小ランdと最大ランkが変化しないほうが良い。(d,k)が変化すると、記録再生特性に影響を及ぼしてしまうからである。
【0030】
実際のRLL符号においては、最小ランは記録再生特性への影響が大きいために必ず守られる必要があるが、最大ランについては必ずしも守られてはいない。場合によっては最大ランを破るパターンを同期信号のパターンに用いるフォーマットも存在する。例えば、DVDの8-16符号における最大ランは11Tだが、同期信号部分においては、最大ランを超える14Tを与えることによって同期信号の検出能力の向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】特開平11−177431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
ところで、DSV制御を行うことがフォーマットにより規定されていたとしても、システムによってはDSV制御が不要な場合がある。
【0033】
システムとして予め決められたフォーマットに対し、直流成分の抑圧が必要なくなった場合は、所定間隔で挟まれたDSV制御のためのビットは冗長なビットとなる。
【0034】
また、直流成分の抑圧が必要な場合であっても、システムとして予め決められたフォーマットに対し、直流成分の抑圧が必要以上になされているときにも、所定間隔で挟まれたDSVビットは冗長なビットと考えることができる。
【0035】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、再生特性をより安定させることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0036】
本発明の一側面のデータ復調装置は、入力信号に含まれる、対象とする区間内のデータを復調するときの信号処理の内容を表す値を有する特殊ビットを含む情報ビットが一定の間隔で挿入されたデータ列を可変長変換規則を有する変調テーブルに従って変換して得られたRLL符号列を、前記変調テーブルに対応する復調テーブルに従って変換するデータ復調装置において、2以上の信号処理を施す整形手段と、前記情報ビットに基づいて、前記整形手段による前記信号処理の内容を選択する選択手段とを備える。
【0037】
前記RLL符号を、前記変調テーブルに対応する復調テーブルに従って第1のデータ列に変換する第1の変換手段と、前記情報ビットの対象となる制御区間を前記第1のデータ列に設定する設定手段と、前記整形手段により前記信号処理が施された前記RLL符号からなる前記RLL符号列を前記復調テーブルに従って第2のデータ列に変換する第2の変換手段とをさらに設けることができる。この場合、前記整形手段には、前記RLL符号列に含まれるRLL符号のうち、前記特殊ビットが対象とする前記制御区間に対応する区間の前記RLL符号に対して、前記特殊ビットの値に応じて異なる信号処理を施させ、前記選択手段には、前記特殊ビットが対象とする前記制御区間の再生データとして前記第2のデータ列を出力させ、他の前記制御区間の再生データとして前記第1のデータ列を出力させることができる。
【0038】
前記情報ビットには、対象とする区間のDSV制御に用いられるDSVビットと、一部の前記DSVビットに代えて挿入されている前記特殊ビットが含まれるようにすることができる。
【0039】
前記入力信号が記録媒体を再生して得られた信号である場合、前記特殊ビットの値は、対象とする区間内のデータを前記変調テーブルに従って変調して得られた前記RLL符号の前記記録媒体における記録位置に応じて異なるようにすることができる。
【0040】
前記特殊ビットの値は、対象とする区間内のデータを前記変調テーブルに従って変調して得られた前記RLL符号の0の連続または1の連続である最小ランの発生回数が閾値より多いか否かに応じて異なるようにすることができる。
【0041】
前記RLL符号列に合成されている、前記データ列に前記特殊ビットが挿入されているか否かを表す識別情報を含む同期信号を検出する検出手段をさらに設けることができる。この場合、前記選択手段には、前記同期信号に含まれる前記識別情報が、前記データ列に前記特殊ビットが挿入されていることを表している場合、前記第2のデータ列の出力を行わせることができる。
【0042】
前記情報ビットの値の変化に基づいて、前記データ列に前記特殊ビットが挿入されているか否かを判定する判定手段をさらに設けることができる。この場合、前記選択手段には、前記情報ビットの値の変化が一定の期間以上ないために前記データ列に前記特殊ビットが挿入されていると判定された場合、前記第2のデータ列の出力を行わせることができる。
【0043】
前記情報ビットに含まれる、対象とする区間のDSV制御に用いられるDSVビットと、一部の前記DSVビットに代えて挿入されている前記特殊ビットのうちの前記DSVビットに基づいて、前記DSVビットが対象とする前記設定手段により設定された前記制御区間のDSV演算を行う演算手段と、前記DSV演算の結果と閾値を比較することによって、前記データ列に前記特殊ビットが挿入されているか否かを判定する判定手段とをさらに設けることができる。この場合、前記選択手段には、前記DSV演算の結果が閾値より大きいために前記データ列に前記特殊ビットが挿入されていると判定された場合、前記第2のデータ列の出力を行わせる。
【0044】
本発明の一側面のデータ復調方法は、入力信号に含まれる、対象とする区間内のデータを復調するときの信号処理の内容を表す値を有する特殊ビットを含む情報ビットが一定の間隔で挿入されたデータ列を可変長変換規則を有する変調テーブルに従って変換して得られたRLL符号列を、前記変調テーブルに対応する復調テーブルに従って変換する、2以上の信号処理を施す整形手段を備えるデータ復調装置のデータ復調方法において、前記情報ビットに基づいて、前記整形手段による前記信号処理の内容を選択するステップを含む。
【0045】
本発明の一側面のプログラムは、入力信号に含まれる、対象とする区間内のデータを復調するときの信号処理の内容を表す値を有する特殊ビットを含む情報ビットが一定の間隔で挿入されたデータ列を可変長変換規則を有する変調テーブルに従って変換して得られたRLL符号列を、前記変調テーブルに対応する復調テーブルに従って変換する、2以上の信号処理を施す整形手段を備えるデータ復調装置の処理をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、前記情報ビットに基づいて、前記整形手段による前記信号処理の内容を選択するステップを含む処理をコンピュータに実行させる。
【0046】
本発明の一側面においては、入力信号に含まれる、対象とする区間内のデータを復調するときの信号処理の内容を表す値を有する特殊ビットを含む情報ビットに基づいて、整形手段による信号処理の内容が選択される。
【発明の効果】
【0047】
本発明の一側面によれば、再生特性をより安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】変復調テーブルの例を示す図である。
【図2】変復調テーブルの他の例を示す図である。
【図3】データ復調装置の基本的構成を示すブロック図である。
【図4】再生データ列の例を示す図である。
【図5】図3のデータ復調装置の再生処理について説明するフローチャートである。
【図6】図5のステップS6において行われる制御区間決定処理について説明するフローチャートである。
【図7】制御区間の例を示す図である。
【図8】DSV制御区間からなる制御区間の例を示す図である。
【図9】特殊演算区間からなる制御区間の例を示す図である。
【図10】特殊演算区間からなる制御区間の他の例を示す図である。
【図11】DSV制御区間と特殊演算区間からなる制御区間の例を示す図である。
【図12】DSV制御区間と特殊演算区間からなる制御区間の他の例を示す図である。
【図13】DSV制御区間と特殊演算区間からなる制御区間のさらに他の例を示す図である。
【図14】データ復調装置の構成の具体例を示すブロック図である。
【図15】図14のデータ復調装置の構成の変形例を示すブロック図である。
【図16】図14のデータ復調装置の再生処理について説明するフローチャートである。
【図17】データ復調装置の構成の他の具体例を示すブロック図である。
【図18】図17のデータ復調装置の構成の変形例を示すブロック図である。
【図19】図17のデータ復調装置の再生処理について説明するフローチャートである。
【図20】データ復調装置の構成のさらに他の具体例を示すブロック図である。
【図21】図20のデータ復調装置の構成の変形例を示すブロック図である。
【図22】図20のデータ復調装置の再生処理について説明するフローチャートである。
【図23】パーソナルコンピュータの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
<第1の実施の形態>
[復調テーブル]
図2に示す変復調テーブルは、図1の変復調テーブルと較べて、高記録密度に対応した最小ランd=1のRLL符号の変復調テーブルである。
【0050】
ここで、データ変調装置としては、図2のテーブルを変調テーブルとしてデータパターンを符号パターンに変換する。これに対して、データ復調装置は、図2のテーブルを復調テーブルとして、変調テーブルと実質的に同じテーブルにより、符号パターンをデータパターンに変換する。図2は、変調テーブルであり、復調テーブルでもある。
【0051】
図2の変復調テーブルは、変換パターンとして、基礎パターン、置換パターン、終端パターンを有している。
【0052】
基礎パターンは、それがないと変換処理ができない変換パターンである。図2の(11)から(000000)までのデータパターンの変換パターンが基礎パターンである。
【0053】
置換パターンは、それがなくても変換処理は可能であるが、その変換パターンを用いて変換を行うことによって、より効果的な変換処理を行うことができる変換パターンである。(110111),(00001000),(00000000)のデータパターンの変換パターンが置換パターンである。
【0054】
終端パターンは、データ列を任意の位置で終端させるための変換パターンである。(00),(0000)のデータパターンの変換パターンが終端パターンである。
【0055】
また、図2の変復調テーブルは、最小ランd=1、最大ランk=7の変復調テーブルであり、基礎パターンの要素に不確定符号(*で表される符号)を含んでいる。不確定符号は、直前および直後の符号語列の如何によらず、最小ランdと最大ランkを守るように、”0”か”1”に決定される。
【0056】
すなわち、図2の変復調テーブルにおいて、データパターンが(11)であったとき、その直前の符号語列(チャネルビット列)によって、"000"または"101"の符号パターンが選択され、そのいずれかに変換される。例えば、直前の符号語列の1チャネルビットが”1”である場合、最小ランdを守るように、データパターン(11)は符号パターン"000"に変換される。また、直前の符号語列の1チャネルビットが”0”である場合、最大ランkを守るように、データパターン(11)は符号パターン"101"に変換される。
【0057】
図2の変復調テーブルの基礎パターンは可変長構造を有している。すなわち、拘束長i=1における基礎パターンは、必要数の4つ(2^m = 2^2 = 4)よりも少ない3つ(*0*,001,010)で構成されている。その結果、データ列を変換する際に、拘束長i=1だけでは変換できないデータ列が存在することになる。結局、図2の変復調テーブルを用いて全てのデータ列を変換するには(変復調テーブルとして成り立たせるためには)、拘束長i=3までの基礎パターンを参照する必要がある。
【0058】
図2の変復調テーブルは最小ランdの連続を制限する置換パターンを有している。従って、データパターンが(110111)である場合、後ろに続く符号語列が参照され、それが"010"であるとき、(110111)のデータパターンは符号パターン"001 000 000"に置き換えられる。
【0059】
また、(110111)のデータパターンは、後ろに続く符号語列が"010"以外である場合、(11),(01),(11)の2データ単位で符号パターンに変換されるので、符号語"*0* 010 *0*"に変換される。これによって、符号語列は、最小ランの連続が制限されたものとなり、最大でも6回までの最小ランの繰り返しとなる。
【0060】
図2の変復調テーブルの最大拘束長rは4である。拘束長i=4の変換パターンは、最大ランk=7を実現するための置換パターン(最大ラン保証パターン)で構成されている。すなわち、データパターン(00001000)が符号パターン"000 100 100 100"に変換され、データパターン(00000000)が符号パターン"010 100 100 100"に変換されるように構成されている。この場合においても、最小ランd=1は守られている。
【0061】
さらに、図2の変復調テーブルにおいては、同期パターンを挟むために、データ列の任意の位置において終端させる場合、データ列が(00)または(0000)で終端位置となる際には終端パターンが用いられる。
【0062】
挿入される同期パターンは、先頭の1符号語が終端パターン使用識別ビットとなっており、終端パターンが用いられた時は、直後の同期パターン列の先頭符号語が”1”となる。また、終端パターンが用いられなかった時は、直後の同期パターン列の先頭符号語が”0”となる。
【0063】
なお、図2の変復調テーブルにおける同期パターンは、終端パターン使用識別ビットと、同期パターン検出のために最大ランk=7を超えるk=8の符号パターンを2回繰り返したビットとの合計24符号語で構成してある。
【0064】
図2の変復調テーブルは、データパターンの要素としての「1」の個数を2で割った時の余りと、変換される符号パターンの要素としての「1」の個数を2で割った時の余りが、どちらも1あるいは0で同一となるような変換規則を持っている。つまり、図2の変換パターンは、対応するいずれの要素も「1」の個数が奇数または偶数となるような変換規則を持っている。
【0065】
すなわち、図2の変復調テーブルは、変換前のデータと変換後の符号との関係において、偶奇性保存パターンを有する。例えば、データパターン(000001)は"010 100 100"の符号パターンに対応するが、それぞれの要素としての「1」の個数は、データパターンでは1個、対応する符号パターンでは3個であり、どちらも2で割ったときの余りが1(奇数)で一致する。同様に、データパターン(000000)は、"010 100 000"の符号パターンに対応するが、それぞれの要素としての「1」の個数は、データパターンでは0個、対応する符号パターンでは2個であり、どちらも2で割ったときの余りが0(偶数)で一致する。
【0066】
次に、DSV制御について説明する。
【0067】
上述したように、図1の変復調テーブルを用いて得られるRLL(1,7)符号においてはDSV制御が行われていない。このような場合の従来のDSV制御は、例えば、データ列を変調してチャネルビット列とした後、チャネルビット列にDSVビットを少なくとも(d+1)ビットだけ所定の間隔で付加することで行われている。
【0068】
図2の変復調テーブルを用いて得られるチャネルビット列に対しても従来と同様にしてDSV制御を行うことができるが、図2の変復調テーブルにおけるデータパターンと符号パターンの関係を生かして、さらに効率良くDSV制御を行うことが可能である。
【0069】
すなわち、図2の変復調テーブルは、データパターンの要素としての「1」の個数と符号パターンの要素としての「1」の個数を2で割った時の余りが、どちらも1あるいは0で同一となるような変換規則を持っている。この時、チャネルビット列内に「反転」を表す”1”、あるいは「非反転」を表す”0”のDSVビットを挿入することは、データビット列内に、「反転」するならば”1”の、「非反転」ならば”0”のDSVビットを挿入することと等価となる。
【0070】
例えば、図2の変復調テーブルにおいて、データ変換する3ビットが(001)と続いたときに、その後ろにDSVビットを挾むものとすると、データは(001x)(xは「0」又は「1」の1ビット)となる。
【0071】
ここで、xに「0」を与えた場合、図2の変復調テーブルによれば、データパターン(0010)は符号パターン“010 000”に変換される。xに「1」を与えた場合、データパターン(0011)は符号パターン“010 100”に変換される。
【0072】
符号語列をNRZI化してレベル符号列を生成すると、これらは、
データパターン 符号パターン レベル符号列
0010 010 000 011111
0011 010 100 011000
となり、レベル符号列の最後の3ビットが相互に反転したものになる。このことは、DSVビットxとして”1”と”0”を選択することによって、データ列内においても、DSV制御を行うことができることを意味する。
【0073】
冗長度を考えると、データ列内の1ビットでDSV制御を行うことは、チャネルビット列で表現すれば、図2の変換率(m:n=2:3)より、1.5チャネルビットでDSV制御を行うことに相当する。
【0074】
一方、図1の変復調テーブルにおいてDSV制御を行うためには、チャネルビット列においてDSV制御を行う必要がある。この時、最小ランを守るためには、少なくとも2チャネルビットが必要となり、図2の変復調テーブルにおけるDSV制御と比較すると、冗長度がより大きくなってしまう。すなわち、変復調テーブルが図2のような構造を持つ時は、データ列内でDSV制御を行うことによって、効率よくDSV制御を行うことができる。
【0075】
(d,k)=(1,7)の最小ランと最大ランを持った高記録密度に対応した、図2のような変復調テーブルは、例えば高密度光ディスクのフォーマットであるBlu-ray Disc(登録商標) ReWritable ver1.0に採用されている。
【0076】
今後、高密度光ディスクに対するさらなる高記録密度に対応した規格のデータとチャネルビットの変調方式においても、さらに安定したシステムが要求されるものと考えられる。
【0077】
その際、既にシステムとして採用されている変復調テーブルを用いた上で、さらに安定したシステムを実現すれば、従来の設計技術を流用することができるので、ハードウェア設計時の設計リスクを低減することができる。
【0078】
図2の変復調テーブルは、符号パターンをデータパターンに変換するのに用いられる場合、復調テーブルとなる。以下に説明するデータ復調装置においては、図2の復調テーブルが用いられる。
【0079】
[データ復調装置の構成]
図3は、本発明の一実施形態に係るデータ復調装置の基本的な構成例を示すブロック図である。
【0080】
図3に示すように、データ復調装置1は、初期整形部11、整形部12、同期信号検出部13、チャネルビット復調部14、制御区間決定部15、特殊情報処理部16、切替処理部17、および除去部18により構成される。
【0081】
初期整形部11に対しては、Blu-ray Disc(商標)等の記録媒体を再生して得られた信号が入力される。インターネット、LAN(local area network)などのネットワークを介して伝送されてきた信号が初期整形部11に入力されるようにしてもよい。
【0082】
初期整形部11は入力信号の初期整形を行う。初期整形にはたとえば、ゲインの小さなEQ(イコライザ)処理と、EQ処理によって得られた信号のA/D変換処理などが含まれる。規定値以上のサンプリング周波数でサンプリングし、EQ処理を行った後、デジタルPLL(Phase Lock Loop)をかける処理が初期整形として行われるようにしてもよい。初期整形部11は、初期整形によって得られた信号である多値のチャネルビット列を整形部12と切替処理部17に出力する。
【0083】
整形部12は、初期整形部11から供給されたチャネルビット列を対象として、たとえばEQ処理とPRML(Partial Response Maximum Likelihood)処理などを含む整形処理を行う。また、整形部12は、整形処理によって得られた信号を0または1の2値からなるチャネルビット列に変換する。
【0084】
以下、適宜、EQ処理とPRML処理などの処理を含む、整形部12により行われる整形処理を第1の整形処理という。整形部12により行われる第1の整形処理とは別に、適宜、第2の整形処理が切替処理部17において行われる。
【0085】
整形部12は、第1の整形処理を行った後、信号を所定の閾値と比較する2値変換や、ビタビアルゴリズム等の手法による最尤検出による2値変換を行うことによってチャネルビット列を生成する。整形部12は、生成したチャネルビット列を同期信号検出部13とチャネルビット復調部14に出力する。整形部12により生成されたチャネルビット列は、必要に応じて特殊情報処理部16にも供給される。
【0086】
同期信号検出部13は、図2の24ビットの同期パターン(#01 001 000 000 001 000 000 001)を検出することによって、整形部12から供給されたチャネルビット列に所定の間隔で挿入されている同期信号を検出する。同期信号検出部13は、同期信号の検出タイミングを表す情報を、チャネルビット復調部14、制御区間決定部15、特殊情報処理部16、および切替処理部17に供給する。各部における処理の同期が、同期信号検出部13により検出された同期信号に基づいて確保される。
【0087】
記録媒体が再生されることによってデータ復調装置1に入力信号として入力された記録符号列は、データ列の所定の位置に情報ビットを挿入することで生成されている。具体的にたとえば、45個のデータ毎に1個の情報ビットを挿入することでデータ列が生成されている。
【0088】
一定の間隔で挿入される情報ビットは、通常、DSV制御のためのDSVビットであるが、必要に応じて、その全部または一部が特殊ビットに置き換えられている。特殊ビットをどのようなビットにするかは任意であるが、例えば、復調時の信号処理の内容を指定するビットとすることができる。情報ビットとして一定の間隔で挿入される1ビットは、DSVビットであるときもあるし、特殊ビットであるときもある。
【0089】
ところでデータ変調装置においては、特殊ビットが含まれているか否かを表す情報である識別情報を同期信号内に配置することができるようになされている。
【0090】
例えば、同期信号が24ビットの同期パターンに6ビットの付加情報を加えた30ビットで構成される場合、6ビットの付加情報が、特殊ビットがデータ列に含まれているか否かを表す識別情報として用いることができる。同期信号検出部13は、同期信号に含まれる識別情報も検出する。同期信号検出部13により検出された識別情報は、制御区間決定部15、特殊情報処理部16、および切替処理部17に供給される。
【0091】
このような6ビットの付加情報によって、例えば次のような、より複雑な順序としたDSVビットと特殊ビットの構成が実現できる。
DSVビット−特殊ビット−特殊ビット−DSVビット−特殊ビット−特殊ビット−DSVビット・・・
この場合、DSVビットと特殊ビットの並びについて、エンコーダ(データ変調装置)側とデコーダ(データ復調装置)側とでルールが予め決められる。
【0092】
チャネルビット復調部14は、整形部12から供給されたチャネルビット列を、可変長構造を有する図2の復調テーブルに従って復調し、2値のデータ列を出力する。この際、整形部12からのチャネルビット列は、必要に応じてレベル符号を逆NRZI化することでエッジ符号に変換される。チャネルビット復調部14は、復調して得られたデータ列を特殊情報処理部16と切替処理部17に出力する。また、チャネルビット復調部14は、データ列を構成する各データの位置に関する情報を制御区間決定部15に出力する。
【0093】
制御区間決定部15は、チャネルビット復調部14から供給された情報に基づいてデータ変換の区切りを検出し、検出した区切りに基づいてデータ列の制御区間の位置と、それぞれの制御区間がDSV制御区間であるのか、特殊演算区間であるのかを決定する。図2の復調テーブルは可変長構造を持ったテーブルであるので、制御区間も可変長になる。制御区間決定部15は、決定した制御区間の情報を特殊情報処理部16に出力する。
【0094】
特殊情報処理部16は、制御区間決定部15により決定された制御区間の位置を基準として、チャネルビット復調部14から供給されたデータ列に挿入されている特殊ビットを取り出す。特殊情報処理部16は、取り出した特殊ビットの値と、特殊ビットが対象とする区間を表す情報を切替処理部17に出力する。同期信号に識別情報が含まれている場合、特殊情報処理部16による処理は、同期信号検出部13から供給された識別情報の値が、特殊ビットが含まれていることを表しているときにのみ行われるようにしてもよい。
【0095】
切替処理部17は、データ列に特殊ビットが含まれている場合、初期整形部11から供給されたチャネルビット列に対して、特殊情報処理部16から供給された情報に応じて第2の整形処理を施す。また、切替処理部17は、第2の整形処理を施して得られたチャネルビット列を復調して2値のデータ列を生成し、除去部18に出力する。
【0096】
切替処理部17により行われる第2の整形処理の内容は、特殊ビットの値が0である場合と1である場合とで切り替えられる。例えば、特殊ビットの値が0であることは、その特殊ビットが対象とする区間が、通常処理の対象になる区間であることを表す。一方、特殊ビットの値が1であることは、その特殊ビットを求めるのに用いられた区間が、特殊処理の対象になる区間であることを表す。
【0097】
例えば、第2の整形処理として行われる通常処理は、所定のEQ処理とPRML処理(PR121)を含む信号処理であり、特殊処理は、通常処理と半位相ずれる処理である所定のEQ処理とPRML処理(PR1221)を含む信号処理である。
【0098】
また、信号処理としてFIRフィルタを用いたフィルタリング処理が行われる場合、通常処理と特殊処理とで、フィルタリング処理に用いるFIRフィルタの特性が切り替えられるようにしてもよい。例えば、特殊処理においては、通常処理のときに用いられるFIRフィルタと較べて、高域成分をより強調する特性を有するFIRフィルタが用いられる。
【0099】
データ変調装置においては、特殊ビットの値として、例えば、その特殊ビットを求めるのに用いられた区間のレベル符号の記録位置が光ディスクの内周側の位置であるときには1が、外周側の位置であるときには0が選択される。例えば、記録符号列の記録先となる光ディスクの半径の長さRが二等分され、(1/2)Rの円の内側の位置が内周側の位置、(1/2)Rの円の外側の位置が外周側の位置とされる。
【0100】
また、特殊ビットを求めるのに用いられた区間のレベル符号のラン情報の解析が行われ、対象の区間が、最小ランである2Tの発生が閾値の頻度より多い区間であるときには1が、閾値の頻度より少ない区間であるときには0が選択される。
【0101】
これにより、データ変調装置により生成された記録符号列を処理するデータ復調装置1においては、記録媒体から読み出したデータの記録位置や2Tの発生頻度に応じて信号処理の内容が切り替えられることになる。特殊ビットの値は、特殊演算区間毎、ある同期信号から次の同期信号までの区間であるFS(Frame Sync)区間毎、図4を参照して後述するブロック単位のデータ毎などの所定のタイミングで切り替えられる。
【0102】
切替処理部17は、データ列に特殊ビットが含まれていない場合、チャネルビット復調部14から供給された2値のデータ列を除去部18に出力する。
【0103】
除去部18は、切替処理部17から供給されたデータ列に挿入されている冗長ビットを取り除く。冗長ビットは、例えば、同期信号、DSVビット、特殊ビットである。除去部18は、冗長ビットを取り除いたデータ列を再生データ列として出力する。
【0104】
なお、図示はしないが、タイミング信号を生成し、各部に供給してタイミングを管理するタイミング管理部が設けられている。
【0105】
図4は、変調対象のデータとしてデータ変調装置に入力されたデータ列の例を示す図である。
【0106】
図4に示すデータ列をデータ変調装置において変調して得られた信号がデータ復調装置1に対して入力され、データ復調装置1において復調されるから、図4に示すデータ列は、復調結果のデータとしてデータ復調装置1から出力される再生データ列でもある。
【0107】
例えば、所定のデータ量のデータ(ユーザデータ)が複数まとめられることによってデータブロックが構成され、データブロックに対してECC(Error-Correcting Code)が付加される。
【0108】
図4の例においては、データ#1乃至#4が処理対象の順に並べられることによって、白抜き矢印A1の先に示すようにデータブロック#11が構成されている。また、水平方向の矢印A2、垂直方向の矢印A3に示すように、データブロック#11を構成するデータのうち、水平方向に並ぶデータと、垂直方向に並ぶデータのそれぞれに対してECCが付加される。
【0109】
データ変調装置に対しては、データブロックとECCからなる図4の右側に示すようなブロック単位のデータが入力データ列として入力される。データ復調装置1においては、ブロック単位のデータを変調して得られたチャネルビット列を復調することによって、図4の右側に示すブロック単位のデータが再生データとして取得されることになる。
【0110】
[データ復調装置の動作]
図5のフローチャートを参照して、図3のデータ復調装置1の再生処理について説明する。
【0111】
ステップS1において、初期整形部11は入力信号の初期整形を行う。
【0112】
ステップS2において、整形部12は、初期整形が行われた入力信号に対して第1の整形処理を行い、さらに、2値変換を行うことによってチャネルビット列を生成する。
【0113】
ステップS3において、同期信号検出部13は、整形部12により生成されたチャネルビット列から同期信号を検出する。また、同期信号検出部13は、同期信号に含まれる識別情報を検出する。この例においては、同期信号に識別情報が含まれている。識別情報から、データ列が特殊ビットを含んでいるか否かを判定することが可能になる。
【0114】
ステップS4において、チャネルビット復調部14は、整形部12により生成されたチャネルビット列を復調し、2値のデータ列を出力する。
【0115】
ステップS5において、同期信号検出部13は、検出した識別情報に基づいて、特殊ビットがデータ列に含まれているか否かを判定する。
【0116】
特殊ビットが含まれているとステップS5において判定された場合、ステップS6において、制御区間決定部15は制御区間決定処理を実行する。制御区間決定処理により、データ列に特殊演算区間が設定される。制御区間決定処理の詳細については後述する。
【0117】
ステップS7において、特殊情報処理部16は、データ列から特殊ビットを取り出し、特殊ビットの値と、特殊ビットが対象とする区間を表す情報を切替処理部17に出力する。
【0118】
ステップS8において、切替処理部17は、初期整形部11から供給されたチャネルビット列に対して特殊ビットの値に応じた第2の整形処理を行い、第2の整形処理を施したチャネルビット列に復調処理を行うことによってデータ列を生成する。
【0119】
特殊ビットが含まれていないとステップS5において判定された場合、ステップS6乃至S8の処理はスキップされる。
【0120】
ステップS9において、切替処理部17はデータ列を選択する。すなわち、切替処理部17は、データ列に特殊ビットが含まれている場合、第2の整形処理と復調処理を行うことによって自ら生成したデータ列を選択する。一方、切替処理部17は、データ列に特殊ビットが含まれていないためにステップS6乃至S8の処理がスキップされた場合、チャネルビット復調部14から供給されたデータ列を選択する。
【0121】
ステップS10において、除去部18は、切替処理部17により選択されたデータ列から冗長ビットを除去し、冗長ビットを除去したデータ列を再生データ列として出力する。その後、処理は終了される。
【0122】
以上の処理により、データ列に特殊ビットが含まれている場合には、特殊ビットの値に応じた信号処理がデータ復調装置1において行われることになる。
【0123】
次に、図6のフローチャートを参照して、図5のステップS6において行われる制御区間決定処理について説明する。
【0124】
ステップS31において、制御区間決定部15は情報ビットの挿入位置である位置Pを取得する。この例においては45個のデータ毎に1個の情報ビットが挿入されるので、変換対象のデータのビット数をカウントすることで位置Pが取得される。
【0125】
ステップS32において、制御区間決定部15は、情報ビットの挿入位置Pの直前のデータパターンの最後のビットの位置Qを取得する。情報ビットの挿入位置Pの直前のデータパターンは、情報ビットを含まないデータパターンとされる。
【0126】
ステップS33において、制御区間決定部15は、データの制御区切りBを、ステップS32で決定した位置Qのビットと、位置Qのビットの次のビットの間に設定する。すなわち、データに挿入された情報ビットを基準として、情報ビットの直前のデータパターンの最後のビットとその次のビットの間に制御区切りBが設定される。
【0127】
ステップS34において、制御区間決定部15は、連続する任意の数の制御区切りBの間の区間を制御区間として決定する。その後、図5のステップS6に戻り、それ以降の処理が行われる。
【0128】
図7は、制御区間の例を示す図である。
【0129】
45個のデータ毎に1個の情報ビットを挿入する動作が繰り返される。すなわち、データ列を45個のデータ(45ビット)を単位として区分し、45個のデータ(第1ビット乃至第45ビット)の直後に1個の情報ビットを挿入する処理がデータ変調装置において繰り返されている。従って、情報ビット挿入後のデータは、図7に示すように、45個のデータの次の46個目のデータの位置である位置Pに情報ビットが挿入された、単位境界Tを区切りとする46ビット単位のデータ列となる。
【0130】
図2の復調テーブルに示されるように、データパターンのビット数は、2,4,6,8のいずれかである。図7Aの例の場合、第41ビット乃至第46ビットの6ビット(000011)が、データパターンを構成している。しかし、このパターンは、第46ビットの情報ビットを含んでいるので、挿入位置Pの直前のデータパターンから除外される。データパターン(000011)より前の第37ビット乃至第40ビットの4ビットのデータパターン(0001)が、挿入位置Pの直前のデータパターンとなる。従って、挿入位置Pの直前のデータパターンの最後のビットの位置Qは、第40ビットの位置となる。
【0131】
図7Aの例の場合、位置Qの第40ビットと次のビットである第41ビットの間に、データの制御区切りBが設定される。
【0132】
これに対して、図7Bに示す例の場合、第45ビットと第46ビットのデータ(00)は、次の単位の第1ビットと第2ビットのデータ(01)とともにデータパターン(0001)を構成する。従って、データパターン(0001)は位置Pの直前のデータパターンではない。それより前の第41ビット乃至第44ビットの4ビット(0011)が、挿入位置Pの直前のデータパターンである。従って、挿入位置Pの直前のデータパターンの最後のビットの位置Qは、データパターン(0011)の最後のビットである第44ビットの位置となる。
【0133】
図7Bの例の場合、位置Qの第44ビットと次のビットである第45ビットの間に、データの制御区切りBが設定される。
【0134】
このようにして設定された制御区間が、特殊演算区間またはDSV制御区間とされる。特殊演算区間は、データ列中に設定された区間であり、その区間を対象として挿入された特殊ビットの値に応じた信号処理が行われる区間である。DSV制御区間は、データ列中に設定された区間であり、その区間を対象として挿入されたDSVビットに基づいてDSV制御が行われる区間である。
【0135】
それぞれの制御区間を特殊演算区間とDSV制御区間のいずれの区間にするのかは、DSV制御区間と特殊演算区間が交互に並ぶようにするなど、所定の規則で予め決められている。制御区間決定部15は、その規則に基づいて、それぞれの制御区間を特殊演算区間とDSV制御区間のいずれの区間にするのかを決定することができる。
【0136】
DSV制御区間には、DSVビットが1ビットだけ含まれる。これにより良好にDSV制御を行うことができる。
【0137】
なお、DSV制御区間を固定の値とすることもできる。この場合、例えば情報ビットの位置から10データだけ前の位置が、各区間の制御区切りBとして指定される。すなわち、データに挿入された情報ビットを基準として、情報ビットから一定のビット数だけ前のビットの直後に制御区切りBが設定される。可変長変換なので変換後のずれが発生するが、固定にした区切り以降のチャネルビットに基づく情報を、次の区間に含ませるようにしてDSV制御を行うことができる。
【0138】
また、例えば91個のデータ毎に1個の情報ビットを挿入することもできる。挿入間隔は任意である。
【0139】
[制御区間の例]
図8は、DSV制御区間からなる制御区間の例を示す図である。
【0140】
図8の各段は、データ復調装置1に入力される記録符号列が図示せぬデータ変調装置において生成される過程を表している。図8に示すようにして生成された記録符号列の信号が入力信号としてデータ復調装置1に供給される。図9乃至図13に示すようにして生成された記録符号列の信号がデータ復調装置1に入力されることもある。
【0141】
図8の1段目のデータ列X1は変調前のデータ列である。データ列X1には、上述したようにユーザデータとECCが含まれる。データ列X1に対しては、45ビット間隔といったように一定の間隔で1ビットの情報ビットが挿入され、2段目に示すような情報ビット付きデータ列X2が生成される。
【0142】
データ列X1の先頭の区間は、同期信号(SYNC)を挿入することを前提として、他の区間より短い区間とされている。データ列X2中のDSV制御区間(DATA1,DATA2,DATA3)の長さを、それぞれ、a,b,bとする。変換率m:n = 2:3の変調テーブルを用いた変調により生成される3段目のチャネルビット列X3のDSV制御区間(DATA1,DATA2,DATA3)の長さCbitは、(a×3/2) = 1.5a、あるいは(b×3/2) = 1.5bとなる。
【0143】
同期信号(SYNC)をチャネルビット列X3に挿入することで、4段目に示すようなSYNC付きチャネルビット列X4が生成される。SYNC付きチャネルビット列X4の所定の位置(図8の例の場合、DATA1の前の先頭)には、同期信号ブロックがチャネルビット形式で挿入されている。同期信号のチャネルビット数をcとするとき、a,b,cの間には、次式(1)の関係が成り立つ。
1.5a + c = 1.5b (1)
これにより、同期信号を含んだフォーマットにおいても、等しい間隔でDSV制御が行われることとなる。
【0144】
1ビットのデータであるDSVビットは、チャネルビット内では、1.5チャネルビットに相当する。すなわち、データ列内に1ビット挿入されたDSVビットは、チャネルビットでは、以下のように変換率分だけ増加する。
1ビット × n/m = 1×3/2 = 1.5チャネルビット (2)
【0145】
制御区切りBは、情報ビット(図8の場合、DSVビットD)が挿入される単位の境界である単位境界Tに近いが、それとは異なる位置とされている。
【0146】
図8の4段目に示すように、例えば、連続する制御区切りBが選択され、選択された制御区切りBの間の区間がDSV制御区間とされる。図8の例の場合、制御区切りB0(図示せず)と次の制御区切りB1の間の区間がDSV制御区間W1とされ、制御区切りB1と次の制御区切りB2の間の区間がDSV制御区間W2とされている。また、制御区切りB2と次の制御区切りB3の間の区間がDSV制御区間W3とされている。
【0147】
DSVビットは、演算対象のDSV制御区間内に配置されている。例えばDSV制御区間W2を対象としたDSV演算の結果として得られたDSVは、DSVビットD1として、DSV制御区間W2内に配置される。同様に、DSV制御区間W3を対象としたDSV演算の結果として得られたDSVは、DSVビットD2として、DSV制御区間W3内に配置される。
【0148】
1つのDSV制御区間にはDSVビットが1ビットだけが含まれる。これによりDSV制御を良好に行うことができる。
【0149】
図8の下方に示すように、SYNC付きチャネルビット列X4がNRZI化され、記録符号列X5が生成される。記録符号列X5の信号が入力信号としてデータ復調装置1に入力される。
【0150】
データ復調装置1においては、整形部12により、記録符号列X5からSYNC付きチャネルビット列X4が生成される。また、同期信号検出部13により、SYNC付きチャネルビット列X4から同期信号が検出される。
【0151】
チャネルビット復調部14により、図2の復調テーブルに従って、SYNC付きチャネルビット列X4から情報ビット付きデータ列X2(実際には同期信号も付加されている)が生成される。また、DSV制御区間Wが制御区間決定部15により決定され、DSV制御区間Wの情報が特殊情報処理部16に供給される。
【0152】
この例においては、データ列に特殊ビットが含まれていないから、特殊ビットに基づく処理は特殊情報処理部16、切替処理部17においては行われず、除去部18により、情報ビット付きデータ列X2から同期信号、DSVビットDなどの冗長ビットが除去され、データ列X1が生成される。これが再生データ列となる。
【0153】
図9は、特殊演算区間からなる制御区間の例を示す図である。
【0154】
図9の例においては、制御区間の全てが特殊演算区間とされている。各制御区間に挿入される情報ビットのすべてが特殊ビットになる。図8の説明と重複する説明については適宜省略する。
【0155】
図9の4段目に示すように、ある制御区切りBと次の制御区切りBの間の区間が特殊演算区間Wとされる。図9の例の場合、制御区切りB10(図示せず)と次の制御区切りB11の間の区間が特殊演算区間W11とされ、制御区切りB11と次の制御区切りB12の間の区間が特殊演算区間W12とされている。また、制御区切りB12と次の制御区切りB13の間の区間が特殊演算区間W13とされている。
【0156】
特殊ビットは、対象の特殊演算区間外に配置されている。例えば特殊演算区間W11を対象とする特殊ビットは、特殊ビットS11として、特殊演算区間W11の外側であって、それより後の特殊演算区間W12内に配置される。同様に、特殊演算区間W12を対象とする特殊ビットは、特殊ビットS12として、特殊演算区間W12の外側であって、それより後の特殊演算区間W13内に配置される。
【0157】
図9の下方に示すように、SYNC付きチャネルビット列X14がNRZI化され、記録符号列X15が生成される。記録符号列X15の信号が入力信号としてデータ復調装置1に入力される。
【0158】
データ復調装置1においては、整形部12により、記録符号列X15からSYNC付きチャネルビット列X14が生成される。また、同期信号検出部13により、SYNC付きチャネルビット列X14から同期信号が検出される。
【0159】
チャネルビット復調部14により、図2の復調テーブルに従って、SYNC付きチャネルビット列X14から情報ビット付きデータ列X12が生成される。また、特殊演算区間Wが制御区間決定部15により決定され、特殊演算区間Wの情報が特殊情報処理部16に供給される。特殊情報処理部16においては、情報ビット付きデータ列X12から特殊ビットが取り出される。
【0160】
切替処理部17においては、特殊ビットの値に応じて信号処理が行われ、信号処理によって得られたチャネルビット列を復調することによって情報ビット付きデータ列X12が生成される。除去部18により、情報ビット付きデータ列X2から同期信号、特殊ビットSなどの冗長ビットが除去され、データ列X1が生成される。
【0161】
図10は、特殊演算区間からなる制御区間の他の例を示す図である。
【0162】
図10の例においては、制御区間の全てが特殊演算区間とされている。各制御区間に挿入される情報ビットのすべてが特殊ビットになる。図9の例においては対象の特殊演算区間外に特殊ビットが配置されているが、図10の例においては、対象の特殊演算区間内に特殊ビットが配置されている。図9の説明と重複する説明については適宜省略する。
【0163】
すなわち、図10の4段目に示すように、特殊演算区間W12を対象とする特殊ビットは、特殊ビットS11として特殊演算区間W12内に配置される。同様に、特殊演算区間W13を対象とする特殊ビットは、特殊ビットS12として特殊演算区間W13内に配置される。
【0164】
このように、特殊ビットの挿入位置は、対象とする特殊演算区間内の位置であってもよいし、区間外の位置であってもよい。
【0165】
図11は、DSV制御区間と特殊演算区間からなる制御区間の例を示す図である。
【0166】
図11の例においては、情報ビットのうちの一部が特殊ビットに置き換えられ、残りがDSVビットのままとされている。
【0167】
例えば、連続する制御区切りBが1個置きに選択され、選択された制御区切りBの間の区間がDSV制御区間とされる。また、DSV制御区間の制御区切りBとして選択されたものとは異なる制御区切りBが1個置きに選択され、選択された制御区切りBの間の区間が特殊演算区間とされる。
【0168】
図11の例においては、4段目に示すように、制御区切りB21と、次の制御区切りB22を置いてさらに次の制御区切りB23との間の区間がDSV制御区間W22とされ、制御区切りB23と、次の制御区切りB24を置いてさらに次の制御区切りB25(図示せず)との間の区間が次のDSV制御区間W23とされている。
【0169】
また、制御区切りB20(図示せず)と、次の制御区切りB21を置いてさらに次の制御区切りB22との間の区間が特殊演算区間W31とされ、制御区切りB22と、次の制御区切りB23を置いてさらに次の制御区切りB24との間の区間が次の特殊演算区間W32とされている。
【0170】
DSVビットは、演算対象とされるDSV制御区間内に配置される。例えばDSV制御区間W22を対象としたDSV演算の結果として得られたDSVは、DSVビットD21としてDSV制御区間W22内に配置される。同様に、DSV制御区間W23を対象としたDSV演算の結果として得られたDSVは、DSVビットD22としてDSV制御区間W23内に配置される。
【0171】
これに対して、特殊ビットは、対象とする特殊演算区間外に配置される。例えば特殊演算区間W31を対象とする特殊ビットは、特殊ビットS21として、特殊演算区間W31の外側であって、それより後の特殊演算区間W32内に配置される。同様に、特殊演算区間W32を対象とする特殊ビットは、特殊ビットS22として、特殊演算区間W32の外側であって、それより後の特殊演算区間W33内に配置される。
【0172】
図11の例においては、DSV制御区間と特殊演算区間が重ならないように設定される。
【0173】
図11の下方に示すように、SYNC付きチャネルビット列X24がNRZI化され、記録符号列X25が生成される。記録符号列X25の信号が入力信号としてデータ復調装置1に入力される。
【0174】
データ復調装置1においては、整形部12により、記録符号列X25からSYNC付きチャネルビット列X24が生成される。また、同期信号検出部13により、SYNC付きチャネルビット列X24から同期信号が検出される。
【0175】
チャネルビット復調部14により、図2の復調テーブルに従って、SYNC付きチャネルビット列X24から情報ビット付きデータ列X22が生成される。また、特殊演算区間WとDSV制御区間Wが制御区間決定部15により決定され、特殊演算区間Wの情報が特殊情報処理部16に供給される。特殊情報処理部16においては、情報ビット付きデータ列X22から特殊ビットが取り出される。
【0176】
後述するようにDSV制御を行う構成(図19のDSV制御処理部61)が切替処理部17に設けられる場合、制御区間決定部15により決定されたDSV制御区間Wの情報は切替処理部17に供給され、対象となるDSV制御区間のDSV制御に用いられる。
【0177】
切替処理部17においては、特殊ビットの値に応じて信号処理が行われ、信号処理によって得られたチャネルビット列を復調することによって情報ビット付きデータ列X22が生成される。除去部18により、情報ビット付きデータ列X22から同期信号、DSVビットD、特殊ビットSなどの冗長ビットが除去され、データ列X21が生成される。
【0178】
図12は、DSV制御区間と特殊演算区間からなる制御区間の他の例を示す図である。
【0179】
図12の例においても、図11と同様に、情報ビットのうちの一部が特殊ビットに置き換えられ、残りがDSVビットのままとされている。
【0180】
例えば、連続する制御区切りBが1個置きに選択され、選択された制御区切りBの間の区間がDSV制御区間とされるとともに、同じ区間が、特殊演算区間とされる。
【0181】
図12の例においては、4段目に示すように、制御区切りB41と、次の制御区切りB42を置いてさらに次の制御区切りB43との間の区間がDSV制御区間W42とされるとともに特殊演算区間W52とされる。同様に、制御区切りB43と、次の制御区切りB44を置いてさらに次の制御区切りB45(図示せず)との間の区間が次のDSV制御区間W43とされるとともに特殊演算区間W53とされる。
【0182】
DSVビットは、演算対象とされるDSV制御区間内に配置される。例えばDSV制御区間W42を対象としたDSV演算の結果として得られたDSVは、DSVビットD41として、DSV制御区間W42内に配置される。同様に、DSV制御区間W43を対象としたDSV演算の結果として得られたDSVは、DSVビットD42として、DSV制御区間W43内に配置される。
【0183】
これに対して、特殊ビットは、対象とする特殊演算区間外に配置される。例えば特殊演算区間W51を対象とする特殊ビットは、特殊ビットS41として、特殊演算区間W51の外側であって、それより後の特殊演算区間W52内に配置される。同様に、特殊演算区間W52を対象とする特殊ビットは、特殊ビットS42として、特殊演算区間W52の外側であって、それより後の特殊演算区間W53内に配置される。
【0184】
図12の例においては、DSV制御区間と特殊演算区間が重なるように設定されている。また、図12の例においては、対象とする特殊演算区間に対して、特殊ビットの挿入位置が、図11の場合と比較してより後方に配置されている。
【0185】
図12の方式によれば、DSV制御区間Wと特殊演算区間Wが同じ制御区切りBを基準として設定されるため、ハードウェア構成の簡易化を図ることができる。
【0186】
なお、図12の例ではDSVビットDの近傍の制御区切りBを制御区間の区切りとしたが、特殊ビットSの近傍の制御区切りBを区切りとして制御区間を設定することもできる。
【0187】
図13は、DSV制御区間と特殊演算区間からなる制御区間のさらに他の例を示す図である。
【0188】
図13の例においても、図12の場合と同様に、ある制御区切りBと次の制御区切りBの間の区間がDSV制御区間とされるとともに、同じ区間が特殊演算区間とされる。
【0189】
図13の例においては、制御区切りB61と次の制御区切りB62の間の区間がDSV制御区間W62とされるとともに特殊演算区間W72とされる。同様に、制御区切りB62と次の制御区切りB63の間の区間が次のDSV制御区間W63とされるとともに特殊演算区間W73とされる。
【0190】
DSVビットは、演算対象とされるDSV制御区間内に配置される。例えばDSV制御区間W62を対象としたDSV演算の結果として得られたDSVは、DSVビットD61としてDSV制御区間W62内に配置され、同様に、DSV制御区間W63を対象としたDSV演算の結果として得られたDSVは、DSVビットD62としてDSV制御区間W63内に配置される。
【0191】
これに対して、特殊ビットは、対象とする特殊演算区間外にまとめて配置される。例えば特殊演算区間W71,W72,W73をそれぞれ対象とする特殊ビットS61,S62,S63等は、データ列の最後にまとめて配置されている。このように、複数の特殊ビットをまとめて配置することも可能である。
【0192】
データ復調装置1に対しては、以上のようにして特殊ビットが適宜挿入されたデータ列を変調して得られたチャネルビット列の信号が入力される。
【0193】
以上においては、特殊ビットがデータ列に挿入されるものとしたが、同期信号に6ビットの付加情報が含まれる場合、付加情報である6ビットの全部または一部のビットを用いて特殊ビットが記述されるようにすることも可能である。
【0194】
この場合、特殊ビットの取り出しは例えば同期信号検出部13により行われる。整形部12から出力されたチャネルビット列から取り出された特殊ビットの情報は同期信号検出部13から特殊情報処理部16に供給され、切替処理部17における信号処理の制御に用いられる。
【0195】
同期信号ブロックに特殊ビットが含まれていることにより、同期信号に続くデータ列の処理を、同期信号ブロックに含まれる特殊ビットの値に応じて迅速に切り替えることが可能になる。
【0196】
複数の特殊ビットを組み合わせて信号処理の内容が指定されるようにすることも可能である。例えば2ビットの特殊ビットを用いることによって、データ変調装置は、データ復調装置1に対して4種類の信号処理を指定することが可能になる。
【0197】
以上においては、それぞれの特殊演算区間を対象として1ビットの特殊ビットが挿入されるものとしたが、FS区間全体を対象とする特殊ビットが挿入されるようにしてもよい。また、図4を参照して説明したブロック単位のデータ全体を対象とする特殊ビットが挿入されるようにしてもよい。
【0198】
特殊ビットが取得された場合の処理の切り替えタイミングは任意である。例えば、特殊演算区間を対象とする特殊ビットが取得された場合、特殊ビットが取得された直後に処理が切り替えられるようにしてもよいし、特殊ビットが挿入されていた特殊演算区間の次の特殊演算区間のチャネルビット列が処理対象になったタイミングで処理が切り替えられるようにしてもよい。
【0199】
また、FS区間を対象とする特殊ビットが取得された場合、特殊ビットが取得された直後に、いま処理対象になっているFS区間から処理が切り替えられるようにしてもよいし、特殊ビットが挿入されていたFS区間の次のFS区間のチャネルビット列が処理対象になったタイミングで処理が切り替えられるようにしてもよい。
【0200】
<第2の実施の形態>
[データ復調装置の構成]
図14は、データ復調装置1の構成の具体例を示すブロック図である。
【0201】
図14のデータ復調装置1においては、切替処理部17が、整形部31、同期信号検出部32、チャネルビット復調部33、および選択部34から構成されている。図14に示す他の構成は図3の構成と同じである。重複する説明については適宜省略する。
【0202】
初期整形部11から出力された多値のチャネルビット列は整形部31に供給され、同期信号検出部13により検出された同期信号のタイミングを表す情報と、データ列に特殊ビットが含まれているか否かを表す識別情報は選択部34に供給される。また、特殊情報処理部16により取得された特殊ビットの値と、特殊ビットが対象とする区間を表す情報は整形部31と選択部34に供給される。
【0203】
切替処理部17の整形部31は、初期整形部11から供給されたチャネルビット列に対して、特殊ビットの値に応じた第2の整形処理を行う。
【0204】
すなわち、特殊ビットの値が0である場合、整形部31は、通常処理である例えば所定のEQ処理とPRML処理(PR121)を行い、さらにFIRフィルタを用いたフィルタリング処理を行うときには、通常の特性を有するFIRフィルタを用いてフィルタリング処理を行う。
【0205】
一方、特殊ビットの値が1である場合、整形部31は、特殊処理である例えば所定のEQ処理とPRML処理(PR1221)を行い、さらにFIRフィルタを用いたフィルタリング処理を行うときには、高域成分をより強調する特性のFIRフィルタを用いてフィルタリング処理を行う。
【0206】
整形部31は、第2の整形処理を施した信号を、整形部12と同様に0または1の2値からなるチャネルビット列に変換し、同期信号検出部32とチャネルビット復調部33に出力する。
【0207】
同期信号検出部32は、整形部31から供給されたチャネルビット列に所定の間隔で挿入されている同期信号を同期信号検出部13と同様にして検出する。同期信号検出部32は、同期信号の検出タイミングを表す情報をチャネルビット復調部33に出力する。
【0208】
チャネルビット復調部33は、整形部31から供給されたチャネルビット列を、可変長構造を有する図2の復調テーブルに従って復調し、2値のデータ列を出力する。この際、整形部31からのチャネルビット列は、必要に応じてレベル符号を逆NRZI化することでエッジ符号に変換される。チャネルビット復調部33は、復調して得られたデータ列を選択部34に出力する。
【0209】
選択部34は、チャネルビット復調部14から供給されたデータ列と、チャネルビット復調部33から供給されたデータ列のうちの一方を、同期信号検出部13から供給された識別情報に基づいて選択する。
【0210】
例えば、選択部34は、特殊ビットが挿入されていることが識別情報により表されている場合、チャネルビット復調部33から供給されたデータ列を選択する。また、選択部34は、特殊ビットが挿入されていないことが識別情報により表されている場合、チャネルビット復調部14から供給されたデータ列を選択する。選択部34は、選択したデータ列を除去部18に出力する。
【0211】
図15は、図14のデータ復調装置1の構成の変形例を示す図である。
【0212】
図15に示すデータ復調装置1の構成は、切替処理部17に制御区間決定部35が追加して設けられている点で図14の構成と異なる。図15のデータ復調装置1においては、第2の整形処理が行われた信号に基づいて特殊ビットの有無が判定されるようになされている。重複する説明については適宜省略する。
【0213】
整形部31は、第2の整形処理を行うことよって得られた信号を2値のチャネルビット列に変換し、同期信号検出部32とチャネルビット復調部33に出力する。
【0214】
同期信号検出部32は、整形部31から供給されたチャネルビット列に挿入されている同期信号を検出するとともに、同期信号に含まれる識別情報を検出する。同期信号検出部32は、同期信号の検出タイミングを表す情報と識別情報を特殊情報処理部16、チャネルビット復調部33、および選択部34に供給する。
【0215】
チャネルビット復調部33は、整形部31から供給されたチャネルビット列を復調し、2値のデータ列を出力する。チャネルビット復調部33から出力されたデータ列は選択部34に供給されるとともに特殊情報処理部16にも供給される。また、チャネルビット復調部33は、データ列を構成する各データの位置に関する情報を制御区間決定部35に出力する。
【0216】
選択部34は、特殊ビットが挿入されている場合、チャネルビット復調部33から供給されたデータ列を選択し、特殊ビットが挿入されていない場合、チャネルビット復調部14から供給されたデータ列を選択する。
【0217】
制御区間決定部35は、チャネルビット復調部33から供給された情報に基づいてデータ変換の区切りを検出し、検出した区切りに基づいて制御区間を決定する。制御区間決定部35においては、制御区間決定部15による処理と同様の処理が行われることによって制御区間が決定される。制御区間決定部35は、特殊演算区間の情報を特殊情報処理部16に出力する。
【0218】
特殊情報処理部16は、同期信号検出部32から供給された識別情報がデータ列に特殊ビットが含まれていることを表している場合、チャネルビット復調部33から供給されたデータ列から特殊ビットを取り出す。特殊ビットの取り出しの基準となる特殊演算区間は制御区間決定部35により指定される。特殊情報処理部16は、特殊ビットの値と、特殊ビットが対象とする区間を表す情報を整形部31に出力し、整形部31による信号処理を制御する。
【0219】
このように、図15のデータ復調装置1においては、第2の整形処理が施されたチャネルビット列を復調して得られたデータ列に基づいて、データ列に特殊ビットが含まれているか否かが判定される。また、特殊ビットが含まれていると判定された場合、第2の整形処理が施されたチャネルビット列を復調して得られたデータ列から特殊ビットが取り出され、切替処理部17における信号処理が切り替えられる。
【0220】
なお、第1の整形処理が施されたチャネルビット列を復調して得られたデータ列から特殊ビットを取り出し、切替処理部17における信号処理を切り替えることと、第2の整形処理が施されたチャネルビット列を復調して得られたデータ列から特殊ビットを取り出し、切替処理部17における信号処理を切り替えることとは、その両方の処理が行われるようにしてもよいし、いずれか一方の処理が行われるようにしてもよい。
【0221】
[データ復調装置の動作]
図16のフローチャートを参照して、図14のデータ復調装置1の再生処理について説明する。
【0222】
図16の処理は、基本的には、図5を参照して説明した処理と同様の処理である。重複する説明については適宜省略する。
【0223】
ステップS51において、初期整形部11は入力信号の初期整形を行う。
【0224】
ステップS52において、整形部12は、初期整形が行われた入力信号に対して第1の整形処理を行い、さらに、2値変換を行うことによってチャネルビット列を生成する。
【0225】
ステップS53において、同期信号検出部13は、整形部12により生成されたチャネルビット列から同期信号を検出する。また、同期信号検出部13は、同期信号に含まれる識別情報を検出する。
【0226】
ステップS54において、チャネルビット復調部14は、整形部12により生成されたチャネルビット列を復調し、2値のデータ列を出力する。
【0227】
ステップS55において、同期信号検出部13は、検出した識別情報に基づいて、特殊ビットがデータ列に含まれているか否かを判定する。
【0228】
特殊ビットが含まれているとステップS55において判定された場合、ステップS56において、制御区間決定部15は制御区間決定処理を実行する。ここで行われる制御区間決定処理は、図6のフローチャートを参照して説明した処理と同じ処理である。
【0229】
ステップS57において、特殊情報処理部16は、チャネルビット復調部14から供給されたデータ列から特殊ビットを取り出す。
【0230】
ステップS58において、整形部31は、初期整形部11から供給されたチャネルビット列に対して特殊ビットの値に応じた第2の整形処理を行い、第2の整形処理を施した多値のチャネルビット列から2値のチャネルビット列を生成する。
【0231】
ステップS59において、同期信号検出部32は、整形部31により生成されたチャネルビット列に挿入されている同期信号を検出する。
【0232】
ステップS60において、チャネルビット復調部33は、整形部31により生成されたチャネルビット列を復調し、2値のデータ列を出力する。
【0233】
特殊ビットが含まれていないとステップS55において判定された場合、ステップS56乃至S60の処理はスキップされる。
【0234】
ステップS61において、選択部34はデータ列を選択する。すなわち、選択部34は、チャネルビット列に特殊ビットが含まれている場合、チャネルビット復調部33から供給されたデータ列を選択する。一方、選択部34は、チャネルビット列に特殊ビットが含まれていないためにステップS56乃至S60の処理がスキップされた場合、チャネルビット復調部14から供給されたデータ列を選択する。
【0235】
ステップS62において、除去部18は、切替処理部17により選択されたデータ列から冗長ビットを除去し、冗長ビットを除去したデータ列を再生データ列として出力する。その後、処理は終了される。
【0236】
このように、所定間隔で挿入されたDSVビットの一部を特殊ビットに置き換えて記録された記録媒体を再生するシステムは、DSVビットに代えて特殊ビットが埋め込まれていることを、識別情報から判断することができる。
【0237】
また、DSVビットに代えて挿入されている特殊ビットを利用することで、チャネルビット列の記録位置や2Tの発生頻度に応じて、より適した処理が行われるように、信号処理の内容を切り替えることができる。すなわち、再生特性をより安定させることが可能になる。
【0238】
<第3の実施の形態>
[データ復調装置の構成]
図17は、データ復調装置1の構成の他の具体例を示すブロック図である。
【0239】
図17のデータ復調装置1においては、切替処理部17が、整形部31、同期信号検出部32、チャネルビット復調部33、および選択部34に加えて、特殊ビット有無判定部51から構成されている。特殊ビット有無判定部51以外の構成は、基本的に、図14の構成と同じである。重複する説明については適宜省略する。
【0240】
特殊ビット有無判定部51は、特殊情報処理部16から出力された情報を蓄積し、特殊ビットの有無を判定する。これにより、同期信号に付加情報として識別情報が含まれていない場合であっても、特殊ビットがデータ列に挿入されているか否かを判定することが可能になる。
【0241】
特殊ビット有無判定部51による特殊ビットの有無の判定について説明する。
【0242】
この例においては、制御区間決定部15により決定された制御区間を基準として挿入位置が特定される情報ビットが、その情報ビットがDSVビットであったとしても特殊ビットであったとしても特殊情報処理部16によりデータ列から取り出される。特殊情報処理部16により取り出された情報ビットの値(DSVビットが挿入されている場合にはDSVビットの値、DSVビットに代えて特殊ビットが挿入されている場合には特殊ビットの値)の情報は特殊ビット有無判定部51に供給される。
【0243】
特殊ビット有無判定部51は、特殊情報処理部16から供給された情報を所定の数だけ蓄積し、情報ビットの値の変化のパターンに基づいて、データ列に特殊ビットが含まれているか否かを判定する。
【0244】
情報ビットがDSVビットである場合、情報ビットの値は、1と0とで、ある程度ランダムに変化するものと考えられる。これに対して、情報ビットが特殊ビットである場合、上述したようにデータの記録位置が光ディスクの内周側の位置であるか外周側の位置であるかに応じて情報ビットが挿入されているときには、情報ビットの値は、同じ値がある程度連続するものと考えられる。
【0245】
特殊ビット有無判定部51は、情報ビットの値として同じ値が所定の数以上続いている場合には特殊ビットが挿入されているものとして判定し、所定の数以上続いていない場合には特殊ビットが挿入されていないものとして判定する。
【0246】
情報ビットの値が1である割合と0である割合とが計算され、一方の割合が他方の割合より閾値以上高い場合には特殊ビットが挿入されているものとして判定され、閾値より低い場合には特殊ビットが挿入されていないものとして判定されるようにしてもよい。
【0247】
特殊ビット有無判定部51は、特殊ビットの有無の判定結果を表す情報を選択部34に出力する。
【0248】
選択部34は、特殊ビットが挿入されているとして特殊ビット有無判定部51により判定された場合、チャネルビット復調部33から供給されたデータ列を選択する。また、選択部34は、特殊ビットが挿入されていないとして特殊ビット有無判定部51により判定された場合、チャネルビット復調部14から供給されたデータ列を選択する。選択部34は、選択したデータ列を除去部18に出力する。
【0249】
図18は、図17のデータ復調装置1の構成の変形例を示す図である。
【0250】
図18に示すデータ復調装置1の構成は、切替処理部17に制御区間決定部35が追加して設けられている点で図17の構成と異なる。図18のデータ復調装置1においても、図15を参照して説明したように、必要に応じて、第2の整形処理が行われた信号に基づいて特殊ビットの有無が判定される。
【0251】
[データ復調装置の動作]
図19のフローチャートを参照して、図17のデータ復調装置1の再生処理について説明する。
【0252】
ステップS81において、初期整形部11は入力信号の初期整形を行う。
【0253】
ステップS82において、整形部12は、初期整形が行われた入力信号に対して第1の整形処理を行い、さらに、2値変換を行うことによってチャネルビット列を生成する。
【0254】
ステップS83において、同期信号検出部13は、整形部12により生成されたチャネルビット列から同期信号を検出する。また、同期信号に識別情報が含まれている場合、同期信号検出部13は識別情報を検出する。
【0255】
ステップS84において、チャネルビット復調部14は、整形部12により生成されたチャネルビットを復調し、2値のデータ列を出力する。
【0256】
ステップS85において、制御区間決定部15は制御区間決定処理を実行する。ここで行われる制御区間決定処理は、図6のフローチャートを参照して説明した処理と同じ処理である。
【0257】
ステップS86において、同期信号検出部13は、特殊ビットが含まれているか否かを識別情報に基づいて判定する。ここでは、同期信号に識別情報が含まれており、同期信号に含まれている識別情報が、特殊ビットが含まれていることを表している場合、特殊ビットが含まれているとして判定される。一方、同期信号に識別情報が含まれており、同期信号に含まれている識別情報が、特殊ビットが含まれていないことを表している場合、または、同期信号に識別情報が含まれていない場合、特殊ビットが含まれていないとして判定される。
【0258】
特殊ビットが含まれているとステップS86において判定された場合、ステップS87において、特殊情報処理部16は、チャネルビット復調部14から供給されたデータ列から特殊ビットを取り出す。
【0259】
ステップS88において、整形部31は、初期整形部11から供給されたチャネルビット列に対して特殊ビットの値に応じた第2の整形処理を行い、第2の整形処理を施した多値のチャネルビット列から2値のチャネルビット列を生成する。
【0260】
ステップS89において、同期信号検出部32は、整形部31により生成されたチャネルビット列に挿入されている同期信号を検出する。
【0261】
ステップS90において、チャネルビット復調部33は、整形部31により生成されたチャネルビット列を復調し、2値のデータ列を出力する。
【0262】
一方、特殊ビットが含まれていないとステップS86において判定された場合、ステップS91において、特殊情報処理部16は、チャネルビット復調部14から供給されたデータ列から情報ビットを取り出す。特殊情報処理部16により取り出される情報ビットは、DSVビットである場合もあるし、特殊ビットである場合もある。特殊情報処理部16により取り出された情報ビットの値を表す情報は特殊ビット有無判定部51に供給され、蓄積される。
【0263】
ステップS92において、特殊ビット有無判定部51は、蓄積していた情報に基づいて情報ビットの値の変化のパターンを特定し、データ列に特殊ビットが含まれているか否かを判定する。
【0264】
データ列に特殊ビットが含まれているとステップS92において判定された場合、ステップS88以降の処理が行われる。一方、データ列に特殊ビットが含まれていないとステップS92において判定された場合、ステップS88乃至S90の処理はスキップされる。
【0265】
ステップS93において、選択部34はデータ列を選択する。すなわち、選択部34は、データ列に特殊ビットが含まれている場合、チャネルビット復調部33から供給されたデータ列を選択し、データ列に特殊ビットが含まれていない場合、チャネルビット復調部14から供給されたデータ列を選択する。
【0266】
ステップS94において、除去部18は、切替処理部17により選択されたデータ列から冗長ビットを除去し、冗長ビットを除去したデータ列を再生データ列として出力する。その後、処理は終了される。
【0267】
以上の処理により、同期信号の付加情報として識別情報が含まれている場合はもとより、含まれていない場合においても、再生特性をより安定させることができる。
【0268】
<第4の実施の形態>
[データ復調装置の構成]
図20は、データ復調装置1の構成例を示すブロック図である。
【0269】
図20のデータ復調装置1においては、切替処理部17が、整形部31、同期信号検出部32、チャネルビット復調部33、選択部34、および特殊ビット有無判定部51に加えて、DSV制御処理部61から構成されている。図17の説明と重複する説明については適宜省略する。
【0270】
図20の同期信号検出部13は、整形部12が出力するチャネルビット列から同期信号を検出し、そのタイミングを表す情報を各部に出力する。同期信号検出部13は、図17等の同期信号検出部13とは異なり、同期信号に含まれている識別情報を検出する機能を有していない。
【0271】
DSV制御処理部61は、整形部12から供給されたチャネルビット列に基づいて、それぞれのDSV制御区間を対象としたDSVを演算する。具体的には、DSV制御処理部61は、チャネルビット列に含まれる”1”を+1、”0”を−1として積算を行う。DSV制御処理部61は、演算したDSVの情報を特殊ビット有無判定部51に出力する。
【0272】
特殊ビット有無判定部51は、DSV制御処理部61からの情報と、特殊情報処理部16からの情報を蓄積し、特殊ビットの有無を判定する。特殊情報処理部16からは、図17を参照して説明した場合と同様に、情報ビットの値を表す情報が供給される。
【0273】
ここで、情報ビットとして挿入されているビットのすべてがDSVビットであり、特殊ビットが存在しない場合、DSV制御処理部61により求められるDSVの絶対値は0に近くなる。従って、DSVの絶対値が第1の基準値より小さい場合、特殊ビットは存在しないと判定できる。
【0274】
一方、DSVビットの特殊ビットへの置換率が大きくなる程、DSVビットが少なくなるので、DSVの絶対値は大きくなる。従って、DSVの絶対値が第2の基準値より大きい場合、特殊ビットが存在すると判定できる。
【0275】
また、情報ビットの挿入間隔が45ビット毎のフォーマットだけでなく、例えば91ビット毎のフォーマットが存在する場合、DSVビットの特殊ビットへの置換率が同じであれば、DSVの絶対値は前者の方が小さくなる。
【0276】
このことから、特殊ビット有無判定部51は、DSV制御処理部61により求められたDSVの絶対値を第1または第2の基準値と較べることによって、データ列に特殊ビットが含まれているか否かを判定する。
【0277】
また、特殊ビット有無判定部51は、適宜、図17を参照して説明した場合と同様にして、情報ビットの値の変化のパターンに基づく判定をも組み合わせることによって、データ列に特殊ビットが含まれているか否かを判定する。例えば、情報ビットの値の変化のパターンが、特殊ビットが存在するパターンを示しており、かつ、DSV制御処理部61により求められたDSVの絶対値が第2の基準値より大きい場合に、データ列に特殊ビットが含まれていると判定されるようにしてもよい。
【0278】
図21は、図20のデータ復調装置1の構成の変形例を示す図である。
【0279】
図21に示すデータ復調装置1の構成は、切替処理部17に制御区間決定部35が追加して設けられている点で図20の構成と異なる。図21のデータ復調装置1においても、図15を参照して説明したように、必要に応じて、第2の整形処理が行われた信号に基づいて特殊ビットの有無が判定される。
【0280】
[データ復調装置の動作]
図22のフローチャートを参照して、図20のデータ復調装置1の再生処理について説明する。
【0281】
ステップS101において、初期整形部11は入力信号の初期整形を行う。
【0282】
ステップS102において、整形部12は、初期整形が行われた入力信号に対して第1の整形処理を行い、さらに、2値変換を行うことによってチャネルビット列を生成する。
【0283】
ステップS103において、同期信号検出部13は、整形部12により生成されたチャネルビット列から同期信号を検出する。上述したように、同期信号に含まれる識別情報を検出する機能を図20の同期信号検出部13は有していないため、ここでは、識別情報の検出は行われない。
【0284】
ステップS104において、チャネルビット復調部14は、整形部12により生成されたチャネルビットを復調し、2値のデータ列を出力する。
【0285】
ステップS105において、制御区間決定部15は制御区間決定処理を実行する。制御区間決定処理により、DSV演算の対象になるDSV制御区間と、特殊演算区間が決定される。ここで行われる制御区間決定処理は、図6のフローチャートを参照して説明した処理と同じ処理である。
【0286】
ステップS106において、特殊情報処理部16は、チャネルビット復調部14から供給されたデータ列から情報ビットを取り出す。特殊情報処理部16により取り出された情報ビットは、特殊ビットである場合もあるし、DSVビットである場合もある。
【0287】
ステップS107において、DSV制御処理部61は、整形部12から供給されたチャネルビット列のDSV制御区間毎のDSVを演算し、DSVの累積値を演算する処理であるDSV演算を行う。DSV制御区間は制御区間決定部15により指定される。
【0288】
ステップS108において、特殊ビット有無判定部51は、例えばDSV制御処理部61により求められたDSVと基準値を比較することによって、データ列に特殊ビットが含まれているか否かを判定する。
【0289】
データ列に特殊ビットが含まれているとステップS108において判定された場合、ステップS109において、整形部31は、初期整形部11から供給されたチャネルビット列に対して特殊ビットの値に応じた第2の整形処理を行う。また、整形部31は、第2の整形処理を行った多値のチャネルビット列を2値のチャネルビット列に変換する。
【0290】
ステップS110において、同期信号検出部32は、整形部31により生成されたチャネルビット列に挿入されている同期信号を検出する。
【0291】
ステップS111において、チャネルビット復調部33は、整形部31により生成されたチャネルビット列を復調し、2値のデータ列を出力する。
【0292】
特殊ビットがデータ列に含まれていないとステップS108において判定された場合、ステップS109乃至S111の処理はスキップされる。
【0293】
ステップS112において、選択部34はデータ列を選択する。すなわち、選択部34は、データ列に特殊ビットが含まれている場合、チャネルビット復調部33から供給されたデータ列を選択し、データ列に特殊ビットが含まれていない場合、チャネルビット復調部14から供給されたデータ列を選択する。
【0294】
ステップS113において、除去部18は、切替処理部17により選択されたデータ列から冗長ビットを除去し、冗長ビットを除去したデータ列を再生データ列として出力する。その後、処理は終了される。
【0295】
このような処理により、同期信号に含まれる識別情報の検出機能を有していないデータ復調装置1においても、特殊ビットの有無を判定し、特殊ビットが含まれている場合には、特殊ビットの値に応じて処理を行うことが可能になる。
【0296】
[変形例]
以上においては、同期信号ブロックに含まれる付加情報として、主に、特殊ビットの有無を表す識別情報が付加されるものとしたが、各種の情報を付加することも可能である。
【0297】
例えば、同期信号ブロックに含まれる付加情報として、制御区切りの手法について特定のパターンを記述することが可能である。この記述は、データに挿入された情報ビットの位置を基準として、情報ビットから一定のビット数だけ前のビットの直後の位置に制御区切りBを設定するようなものになる。この場合、固定にした区切り以降のチャネルビットに基づく情報を付加情報とすることができる。これにより、より確実に記録再生処理が行うことができる。
【0298】
また、以上においては、1ビットの特殊ビットによる例を示したが、複数ビットの特殊ビットによって、対象の特殊演算区間の信号処理の内容が指定される場合でも同様にして実現できる。例えば、2ビットの特殊ビットを用いて信号処理の内容を指定する場合、2ビットの特殊ビットの組み合わせによって4種類の処理を指定することが可能になる。
【0299】
このとき2ビットの位置は、あらかじめ定めた所定位置としておき、例えばSYNCから最初の特殊ビットと、その次に現れる特殊ビットを合わせて2ビットとしたとき、これを検出することで、本発明の復調装置を同様にして構成することができる。
【0300】
このときの構成について、2ビットを用いて4通りの切替とする場合は例えば、図3における切替処理部17の数を図3の1から3へ追加する。図14では、整形部31、同期信号検出部32、チャネルビット復調部33の数をそれぞれ、1から3へ追加するとともに、選択部34で結果を集めて選択を行う。図17では、整形部31、同期信号検出部32、チャネルビット復調部33、特殊ビット有無判定部51の数をそれぞれ、1から3へ追加するとともに、選択部34で結果を集めて選択を行う。
【0301】
さらに、以上においては、それぞれに特殊演算区間に対して1ビットの特殊ビットが挿入されるものとしたが、FS区間全体を対象とする特殊ビットが挿入される構成としてもよい。また、図4を参照して説明したブロック単位のデータ全体を対象とする特殊ビットが挿入される構成としてもよい。
【0302】
本発明は、ブルーレイディスクレコーダ、その他、記録媒体に記録されたデータを再生する装置に適用することができる。
【0303】
[コンピュータの構成]
図23は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0304】
CPU(Central Processing Unit)201,ROM(Read Only Memory)202,RAM(Random Access Memory)203は、バス204により相互に接続されている。
【0305】
バス204には、さらに、入出力インタフェース205が接続されている。入出力インタフェース205には、入力部206、出力部207、記憶部208、通信部209、及びドライブ210が接続されている。
【0306】
入力部206は、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる。出力部207は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記憶部208は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部209は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ210は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブルメディア211を駆動する。
【0307】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU201が、例えば、記憶部208に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース205及びバス204を介して、RAM203にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0308】
コンピュータ(CPU201)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア211に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0309】
コンピュータでは、プログラムは、リムーバブルメディア211をドライブ210に装着することにより、入出力インタフェース205を介して、記憶部208にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部209で受信し、記憶部208にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM202や記憶部208に、予めインストールしておくことができる。
【0310】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0311】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0312】
1 データ復調装置, 11 初期整形部, 12 整形部, 13 同期信号検出部, 14 チャネルビット復調部, 15 制御区間決定部, 16 特殊情報処理部, 17 切替処理部, 18 除去部, 31 整形部, 32 同期信号検出部, 33 チャネルビット復調部, 34 選択部, 51 特殊ビット有無判定部, 61 DSV制御処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号に含まれる、対象とする区間内のデータを復調するときの信号処理の内容を表す値を有する特殊ビットを含む情報ビットが一定の間隔で挿入されたデータ列を可変長変換規則を有する変調テーブルに従って変換して得られたRLL符号列を、前記変調テーブルに対応する復調テーブルに従って変換するデータ復調装置において、
2以上の信号処理を施す整形手段と、
前記情報ビットに基づいて、前記整形手段による前記信号処理の内容を選択する選択手段と
を備えるデータ復調装置。
【請求項2】
前記RLL符号を、前記変調テーブルに対応する復調テーブルに従って第1のデータ列に変換する第1の変換手段と、
前記情報ビットの対象となる制御区間を前記第1のデータ列に設定する設定手段と、
前記整形手段により前記信号処理が施された前記RLL符号からなる前記RLL符号列を前記復調テーブルに従って第2のデータ列に変換する第2の変換手段と
をさらに備え、
前記整形手段は、前記RLL符号列に含まれるRLL符号のうち、前記特殊ビットが対象とする前記制御区間に対応する区間の前記RLL符号に対して、前記特殊ビットの値に応じて異なる信号処理を施し、
前記選択手段は、前記特殊ビットが対象とする前記制御区間の再生データとして前記第2のデータ列を出力し、他の前記制御区間の再生データとして前記第1のデータ列を出力する
請求項1に記載のデータ復調装置。
【請求項3】
前記情報ビットには、対象とする区間のDSV制御に用いられるDSVビットと、一部の前記DSVビットに代えて挿入されている前記特殊ビットが含まれる
請求項1に記載のデータ復調装置。
【請求項4】
前記入力信号が記録媒体を再生して得られた信号である場合、
前記特殊ビットの値は、対象とする区間内のデータを前記変調テーブルに従って変調して得られた前記RLL符号の前記記録媒体における記録位置に応じて異なる
請求項1に記載のデータ復調装置。
【請求項5】
前記特殊ビットの値は、対象とする区間内のデータを前記変調テーブルに従って変調して得られた前記RLL符号の0の連続または1の連続である最小ランの発生回数が閾値より多いか否かに応じて異なる
請求項1に記載のデータ復調装置。
【請求項6】
前記RLL符号列に合成されている、前記データ列に前記特殊ビットが挿入されているか否かを表す識別情報を含む同期信号を検出する検出手段をさらに備え、
前記選択手段は、前記同期信号に含まれる前記識別情報が、前記データ列に前記特殊ビットが挿入されていることを表している場合、前記第2のデータ列の出力を行う
請求項2に記載のデータ復調装置。
【請求項7】
前記情報ビットの値の変化に基づいて、前記データ列に前記特殊ビットが挿入されているか否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記選択手段は、前記情報ビットの値の変化が一定の期間以上ないために前記データ列に前記特殊ビットが挿入されていると判定された場合、前記第2のデータ列の出力を行う
請求項2に記載のデータ復調装置。
【請求項8】
前記情報ビットに含まれる、対象とする区間のDSV制御に用いられるDSVビットと、一部の前記DSVビットに代えて挿入されている前記特殊ビットのうちの前記DSVビットに基づいて、前記DSVビットが対象とする前記設定手段により設定された前記制御区間のDSV演算を行う演算手段と、
前記DSV演算の結果と閾値を比較することによって、前記データ列に前記特殊ビットが挿入されているか否かを判定する判定手段と
をさらに備え、
前記選択手段は、前記DSV演算の結果が閾値より大きいために前記データ列に前記特殊ビットが挿入されていると判定された場合、前記第2のデータ列の出力を行う
請求項2に記載のデータ復調装置。
【請求項9】
入力信号に含まれる、対象とする区間内のデータを復調するときの信号処理の内容を表す値を有する特殊ビットを含む情報ビットが一定の間隔で挿入されたデータ列を可変長変換規則を有する変調テーブルに従って変換して得られたRLL符号列を、前記変調テーブルに対応する復調テーブルに従って変換する、2以上の信号処理を施す整形手段を備えるデータ復調装置のデータ復調方法において、
前記情報ビットに基づいて、前記整形手段による前記信号処理の内容を選択する
ステップを含むデータ復調方法。
【請求項10】
入力信号に含まれる、対象とする区間内のデータを復調するときの信号処理の内容を表す値を有する特殊ビットを含む情報ビットが一定の間隔で挿入されたデータ列を可変長変換規則を有する変調テーブルに従って変換して得られたRLL符号列を、前記変調テーブルに対応する復調テーブルに従って変換する、2以上の信号処理を施す整形手段を備えるデータ復調装置の処理をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、
前記情報ビットに基づいて、前記整形手段による前記信号処理の内容を選択する
ステップを含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−258293(P2011−258293A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134035(P2010−134035)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】