データ記憶システム用の読取等化器
情報を読み取る記録担体でトラックを走査する装置は、読取信号を生成するヘッドを有する。トラックのマークは、情報を表す複数の異なる形態を有する。装置は、線形等化器(81)と非線形等化器(89)との結合により読取信号を処理する。線形等化器(81)は、単一の所定の形態を有するマークに基づいて投下するように構成され、非線形等化器(89)は、その所定の形態と異なる形態を有するマークについての読取信号におけるシンボル間干渉を低減するように構成される。その線形等化器(81)がその単一の所定の形態で最適化されているという事実に基づいて最適化されているため、読取信号に残るシンボル間干渉は、非線形等化器(89)により効率的に低減される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を読み取る記録担体でトラックを走査する装置に関し、その装置は、トラックでマークを走査する放射ビームを介して読取信号を生成するヘッドを有し、そのマークは、情報を表す複数の異なる形態を有する。
【0002】
本発明は、記録担体のトラックで情報を読み取る間に読取信号を等化する方法に更に関し、その方法は、トラックのマークにより生成された読取信号を受信することを有し、そのマークは情報を表す複数の異なる形態を有する。
【背景技術】
【0003】
記録担体は記録可能形式でもよく、情報を読み取るトラック(例えばディスク状担体のらせん状トラック)を有する。トラックを走査するために、光ヘッドは、位置決定ユニットによりトラックに位置決定される。ヘッドは、レーザと、マークを読取る放射ビームを生成する光学素子とを有する。マークは情報を表す物理パターンであり、光学的に検出可能である。このような記録担体から読取信号を等化する装置及び方法はEP0585095から既知である。再生等化器は、記録媒体から読み取られたソース信号を線形的に等化する線形等化器と、再生信号に含まれるシンボル間干渉(ISI:inter symbol interference)を取り消す非線形取消手段とを有する。非線形取消手段は、ISIデータを格納する参照テーブルと、参照テーブルからISIデータを読み出すアドレスを生成する回路と、等化されたソース信号からの読み取られたISIデータを減算する回路とを有する。その装置は、等化されたソース信号に基づいて非線形取消手段に保持されたISIデータを自動的に計算及び/又は更新する計算手段を有する。初期段階で、計算手段はISIデータを計算し、通常の動作モードで、計算されたISIデータが使用される。問題は、高密度記録では既知の等化システムがシンボル間干渉を十分に低減することができない点にある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、シンボル間干渉を抑制する読取装置及び対応する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、冒頭パラグラフに記載された装置は、読取信号を処理する読取手段を有し、読取手段は、読取信号を等化するための線形等化器と非線形等化器との結合を有し、線形等化器は、単一の所定の形態を有するマークに基づいて等化するように構成され、非線形等化器は、その所定の形態と異なる形態を有するマークについての読取信号におけるシンボル間干渉を低減するように構成され、その線形等化器によって読取信号に残るシンボル間干渉はその単一の所定の形態に基づく。
【0006】
冒頭パラグラフに記載された方法は、読取信号を等化するための線形等化器と非線形等化器との結合により、読取信号を処理することを有し、線形等化器は、単一の所定の形態を有するマークに基づいて等化するように構成され、非線形等化器は、その所定の形態と異なる形態を有するマークについての読取信号におけるシンボル間干渉を低減するように構成され、その線形等化器によって読取信号に残るシンボル間干渉はその単一の所定の形態に基づく。
【0007】
それらの手段の効果は、線形等化器が、区別されるマーク形態のうち1つの所定の選択に基づき、非線形等化器が、線形等化器がその最初の形態に適しているという事実に基づいて、異なる形態を有するマークについてのシンボル間干渉を低減するように適合される点にある。
【0008】
本発明はまた、以下の認識に基づく。最近の光記録システムでは、多レベル符号が使用される。多レベル符号は、単一のマークから異なる信号レベルでの読取信号を必要とし、記録媒体に書き込まれたマークは、しばしば異なるレベルのグレーとして考えられる。グレーレベルは読取信号のレベルに対応する。しかし、物理的には、記録媒体の性質のため(例えば、相変化物質は定形状態又は無定形状態にあるため、磁化が磁気システムで上方向又は下方向であるため等)、グレーを書き込むことができない。本発明者は、多レベル記録の情報が、反射率ではなく、マークの形態に含まれることを見出した。特に、情報は、異なる読取信号レベルを生じるマークの長さに含まれる。マークの長さは、読出時間で必要な信号レベルを実現するために変更されるため、他の関連する時期(すなわち、前のシンボル及び次のシンボルの読出時間)での読取信号もまた、いわゆるシンボル間干渉により影響を受ける。必要な信号レベルを回復し、シンボル間干渉を低減するために、等化が受信機に適用される。まず、本発明者は、予想される読取信号の形態のうち選択されたものに対して線形等化器を最適化した。次に、その最適化された線形等化器が異なる形態のマークにより実際に生成される読取信号に使用されることを考慮した新しい記述チャネルモデルに基づいて、未処理のシンボル間干渉を決定した。線形等化器が多数の異なるマーク形態のうち所定のもので最適化されるということを認識したチャネルモデルに基づいて、非線形等化器が最適化される。
【0009】
その装置の実施例では、読取手段は、その複数の異なる形態の読出時間で、対応する数の異なるレベルの処理された読取信号を生成するために、読取信号を処理する。等化器の機能は、多レベル記録システムで読取信号を回復するのに特に適している。しかし、等化器はまた、例えばバイナリの読出信号でゼロ交差を最適化するために、異なる読出システムで使用されてもよい。
【0010】
その装置の実施例では、その複数の異なる形態は、長い形態と短い形態とを有し、線形等化器は、長い形態を有するマークに基づいて等化するように構成される。本発明者は、線形等化器が長い形態に最適化されるときに、短い形態についての未処理のシンボル間干渉が小さくなることを見出した。これは、シンボル間干渉が非線形等化器により更に低減され得るという利点を有する。
【0011】
その装置の実施例では、線形等化器は、その異なる形態のうち最も長い形態を有するマークに基づいて等化するように構成される。実用的な実施例では、最も長い形態は、最も小さい未処理のシンボル間干渉を有する選択肢であることがわかる。
【0012】
更なる実施例は、従属項に設けられている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の前記及び他の態様は、一例として以下の説明に記載された実施例を参照して、また、添付図面を参照して明らかになり、更に説明する。
【0014】
異なる図面で対応する要素は、同一の参照番号を有する。
【0015】
図1は、光記録処理を図面で示している。回転台1と、矢印5で示す方向に軸3に関してディスク状記録担体4を回転する駆動モータ2とを含み、記録装置の関連する要素が図示されている。記録担体は、マーク8を記録するトラック11を有し、トラックは、トラックの反対に光ヘッドを位置決定するサーボトラッキング信号を生成するサーボパターンにより位置決定される。例えば、サーボパターンは、通常ではプリグルーブ(pre-groove)と呼ばれる浅い傾きの溝でもよく、及び/又は通常ではプリピット(pre-pit)又はサーボピット(servo pit)と呼ばれる窪みパターンでもよい。記録担体4は、十分に高度の放射に照射されると、情報を表す記録パターンを構成するマーク8を作るために、光学的に検出可能な変化(例えば反射率の変化等)を受ける放射感受記録レイヤを有する。記録パターンでは、マークは特定の形態を有し、その特定の形態は情報を表す。その表示は、通常ではチャネルコードと呼ばれる変調方式に従ってもよい。
【0016】
放射感受レイヤは、放射感受色素又は相変化物質のような物質で構成されてもよく、その構造は、放射の影響で無定形から定形に又はその逆に変化され得る。光書込ヘッド6は、(回転)記録担体のトラックの反対に構成される。光書込ヘッド6は、書込ビーム13を生成する放射源(例えば固体レーザ)を有する。書込ビーム13の強度Iは、従来の方法で制御信号に従って調整される。書込ビーム13の強度は、マークを作るために放射感受記録担体の光特性において検出可能な変化をもたらすのに適した書込強度と、更にスペースと呼ばれるマーク間の中間領域との間で変化する。書込システムでは、検出可能な変化をもたらさない低(又はゼロ)強度がスペースを生成するために使用されてもよい。相変化物質を使用した高密度再書込システムは、通常では直接上書き(DOW:direct overwrite)の書込みに基づく。従って、スペースが書き込まれる場合、ディスクで考えられる前のデータを削除するために、何らかの書込パルスが必要になる。通常では、前の融解領域に定形領域の(部分的)再生を得るために、特定の期間の低レベルに続いて、融解(高出力)が与えられる。マークは、如何なる光学読取可能な形式(例えば、色素、合金又は相変化物質のように物質に記録するときに得られる周囲と異なる反射係数を備えた領域の形式、又は光磁気物質に記録するときに得られる周囲と異なる磁化方向を備えた領域の形式)でもよい。
【0017】
読み取りについて、記録レイヤは、光特性における検出可能な変化を除外するのに十分小さい一定の強度の読取レベルの強度であるビーム13で走査される。走査中に、記録単体から反射される読取ビームは、走査される情報パターンに従って調整される。読取ビームの調整は、ビーム調整を示す読取信号を生成する放射感受検出器を用いて従来通りに検出され得る。
【0018】
図2は、記録単体11で情報を書き込む及び/又は読取る走査装置を示している。記録単体は読取専用形式(例えばCD又はDVD-ROMのようにプレスにより製造されるもの)でもよく、記録単体は書込可能又は再書込可能な形式(例えば記録可能DVD又はBD(Blue-rayディスク))でもよい。その装置は、記録単体でトラックを走査する走査手段を備えており、その手段は、記録担体11を回転する駆動ユニット21と、光ヘッド及び更なる回路を有する走査ユニット22と、トラックの半径方向に光ヘッドを粗く位置決定する位置決定ユニット25と、制御ユニット20とを有する。光ヘッドは、記録担体の情報レイヤのトラックの放射スポット23にフォーカスされた光学素子を通じて導かれる放射ビーム24を生成する既知の形式の光システムを有する。光ヘッド及び更なる回路は、放射ビームから検出された信号を生成する走査ユニットを構成する。放射ビーム24は、放射源(例えば半導体レーザ)により生成される。ヘッドは、そのビームの光軸に沿って放射ビーム24のフォーカスを移動するフォーカス作動装置と、トラックの中心の半径方向にスポット23の細かい位置決定を行うトラッキング作動装置とを更に有する(図示せず)。トラッキング作動装置は、半径方向に光学素子を移動するコイルを有してもよく、代替として反射素子の角度を変更するように構成されてもよい。
【0019】
図2は、情報を読み書きする走査装置を示している点に留意すべきである。代替として、再生専用装置は、以下に説明する読取要素のみを有してもよい。情報の書き込みについて、記録レイヤに光学的に検出可能なマークを生成するように、放射が制御される。読み取りについて、情報レイヤにより反射された放射は、読取信号と、トラッキング及びフォーカス作動装置を制御するトラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号を含む更なる検出器の信号とを生成する光ヘッドで、通常の形式の検出器(例えば4クワドラント・ダイオード)により検出される。読み取り信号は、本発明による等化器と、復調器と、逆フォーマッタと、情報を取り出す通常の形式の出力ユニットとを有する読取処理ユニット30により処理される。従って、情報を読み取る要素は、駆動ユニット21と、光ヘッドと、位置決定ユニット25と、読取処理ユニット30とを有する。その装置は、入力情報を処理し、書込信号を生成し、光ヘッドを駆動する書込処理手段を有し、その手段は、入力ユニット27と、フォーマッタ28と、レーザ出力ユニット29とを有する。制御ユニット20は、情報の記録及び取り出しを制御し、ユーザ又はホストコンピュータからコマンドを受信するように構成されてもよい。制御ユニット20は、制御ライン26(例えばシステムバス)を介して、その入力ユニット27と、フォーマッタ28と、レーザ出力ユニット29と、読取処理ユニット30と、駆動ユニット21と、位置決定ユニット25とに接続されている。制御ユニット20は、書込及び/又は読取機能を実行するために、制御回路(例えばマイクロプロセッサ)と、プログラムメモリと、制御ゲートとを有する。制御ユニット20はまた、論理回路の状態機械として実装されてもよい。
【0020】
制御ユニット20は、制御ライン26(例えばシステムバス)を介して、その入力ユニット27と、フォーマッタ28と、レーザ出力ユニット29と、読取処理ユニット30と、駆動ユニット21と、位置決定ユニット25とに接続されている。制御ユニット20は、制御回路(例えばマイクロプロセッサ)と、プログラムメモリと、制御ゲートとを有する。制御ユニット20はまた、論理回路の状態機械として実装されてもよい。
【0021】
一実施例では、記録装置は、記憶システムのみ(例えばコンピュータで使用される光ディスクドライブ)である。制御ユニット20は、標準インタフェースを介してホストコンピュータシステムの処理ユニットと通信するように構成される。デジタルデータは、フォーマッタ38及び読取処理ユニット30に直接インタフェース接続される。
【0022】
一実施例では、その装置は、スタンドアローンユニット(例えば消費者用のビデオ記録又は再生装置)として構成される。制御ユニット20又はその装置に含まれる更なるホスト制御ユニットは、ユーザによって直接制御され、ファイル管理システムの機能を実行するように構成される。その装置は、アプリケーションデータ処理(例えばオーディオ及び/又はビデオ処理回路)を有する。ユーザ情報は、入力ユニット27で提示され、その入力ユニット27は、アナログオーディオ及び/又はビデオ又はデジタル非圧縮オーディオ/ビデオのような入力信号用の圧縮手段を有してもよい。例えば、適切な圧縮手段は、オーディオではWO98/16014-A1(PHN16452)に記載されており、ビデオではMPEG2標準に記載されている。入力ユニット27は、情報単位にオーディオ及び/又はビデオを処理し、その情報単位がフォーマッタ28に渡される。読取処理ユニット30は、適切なオーディオ及び/又はビデオデコードユニットを有してもよい。
【0023】
フォーマッタ28は、例えばエラー訂正符号(ECC:error correction code)を追加してインターリーブしてチャネル符号化することにより、制御データを追加し、記録フォーマットに従ってデータをフォーマット及びエンコードする。更に、フォーマッタ28は、変調信号に同期パターンを含める同期手段を有する。フォーマットされた単位はアドレス情報を含み、制御ユニット20の制御で記録担体の対応するアドレス可能位置に書き込まれる。フォーマッタ28の出力からのフォーマットされたデータは、レーザ出力ユニット29に渡される。
【0024】
レーザ出力ユニット29は、書き込まれるマークを示すフォーマットされたデータを受信し、光ヘッドの放射源を駆動するレーザ出力制御信号を生成する。多レベル記録では、特定の読出時間での読出し中に異なるレベルの読出信号を生成するために、異なるマークが使用される。トラックは一定の長さのセルに再分割され、各セルは、複数の信号レベルのうち1つを表すマークを有する。もともとは、マークはグレーとして考えられている。しかし、マークを作るために使用される物理現象の性質により、グレーはマスクの物理構成ではない。実際に、従来の多レベルシステムの読取信号レベルは、異なる形態のマーク(特に長さ)により生成される。レーザ出力ユニット29は、好ましい形態のマークを正確に書き込む出力パターンを生成するように構成される。異なる長さのマークは、それ自体で検出されず、セルのシンボルの異なるレベルの読取信号値として検出される。その理由は、セルの内容を検出する放射スポットの大きさは、おおよそセル自体の大きさであるためである。換言すると、シンボル(セル)の大きさは、検出システムに関してできるだけ小さく選択される。実際に、放射スポットはまた、いくらか周囲のセルの内容を検出し、シンボル間干渉(ISI)を引き起こす。ナイキスト要件が満たされると仮定すると、線形ISIは線形等化により補償され得る。この要件は、シンボルレートがシステムの帯域の2倍より小さいことを述べる。我々の場合には、シンボルレートはfsymbolであり、帯域は、fc=2NA/lambdaである光カットオフであるため、fsymbol<4NA/lambdaであると仮定すると、ISIが完全に除去され得ることを見出した(すなわち、フルレスポンスシステム)。実用的な高密度システムで非線形ISIが生じる。
【0025】
シンボル間干渉を理解するために、マークの書込み及び読取りのチャネルのモデルについて説明する。まず、パルス幅(又は持続時間)変調(PWM:pulse width modulated)システムの非線形動作による未処理のISIが計算される。未処理のISIは無視できないことがわかる。ISIの影響は、書込み中の手段(書込チャネルの前歪み、ここでは説明しない)により低減され得るが、等化によるリードバックでも低減され得る。本発明による等化器は、以下のモデルに基づく。
【0026】
図3は、多レベル記憶システムのチャネルのモデルを示している。チャネル51は、a[k]で示す入力シンボルが与えられており、その入力シンボルは、パルス変調器52を通過することにより離散時間型波形に変換される。パルス変調器52は、フーリエのペアcp(t)←→Cp(f)で記述される。振幅変調の場合、唯一のパルス形態が使用され、それはakで振幅変調される。パルス幅変調の場合、伝送されるシンボルakに応じて、異なる持続時間の異なるパルスが使用される。パルスはフーリエの対で与えられる。
【0027】
【数1】
前記で使用されているブロック関数Πは以下のように定められる。
【0028】
【数2】
パルス幅変調では、持続時間Dは、例えば
【0029】
【数3】
に従って、伝送されるシンボルに依存する。Mはアルファベットサイズであり、
【0030】
【数4】
はシンボル時間であり、pはパルスインデックスである。光チャネルは、その変調伝達関数(MTF:modulation transfer function)により特定される。
【0031】
【数5】
ただし、
【0032】
【数6】
は、チャネルの光カットオフである(NAはレンズの開口数であり、λは波長である)。
等化器EQは、ISIのない(フルレスポンス又はFRとして知られる)システムを得るように選択される。図3に示すモデルから、全応答がRCβ(f)を満たさなければならないため、FR等化器はパルス変調器に依存することが明らかである。インデックスeは、等化器がパルスeに属することを強調するために使用される。パルスが事前に知られていないため、受信機で対応する等化器を使用することは不可能である。従って、パルス幅変調システムはFRにはなり得ない。その代わりに、システムは非線形であり、未処理のISIを示す。適切な補償により、非線形性及びISIは小さくされ得る。補償は、書込チャネルの前補償を介して適用されてもよい。しかし、補償はまた、読取チャネルで行われてもよい。それは、正確に書込チャネルを制御することができないときに、有利である(ROM及びRのような読取専用ディスク又はエージング後のRWのような書込ディスク)。まず線形システムを仮定すると、チャネルは、(ナイキストに従って)シンボルレートの約半分の残留シンメトリー(vestigial symmetry)を示す伝達関数を使用することにより、ISIのないものにされる。その後、いわゆる二乗余弦応答(又は略してRC応答)で、この目的の一般関数は以下により得られる。
【0033】
【数7】
パラメータβは、超過帯域を定める(0≦β≦1、β=0は超過帯域でないもの(すなわちシンク応答(sinc response)チャネル)に対応し、β=1は100%超過帯域に対応する)。RC関数のカットオフは、MTFカットオフになる(その他の選択肢も可能であるが、これはMTFのHF部分のいくらかを捨てることを意味する)。従って、βはもはや独立パラメータではなく、ディスクの密度に直接結びついている。それは以下により得られる。
【0034】
【数8】
βは独立パラメータではないため、前記の値が使用される場合には、表記から落とされる。置換により、以下になる。
【0035】
【数9】
パルスpについてISIのない応答を生じる等化器は以下により得られる。
【0036】
【数10】
異なるパルス(すなわち等化器がISIのないものなるパルス)を適用する場合、未処理のISIが生じる。パルスpが適用されたときに等化器がパルスeでISIのないものになったことを仮定すると、出力パルス応答関数は、以下のように記述され得る。
【0037】
【数11】
この結果は、p≠eについてISIから影響を受ける。
【0038】
図4は、等化後のパルスを示している。パルスは、非線形性及びISIの形式の印象を得るようにプロットされている。このため、多レベルシステムはM=8を使用するとみなされている。
【0039】
図4aは、最小長のパルスに最適化された等化器を使用したパルスを示している。等化器は、前記の式を使用してp=1で最適化されている。8の異なるパルスのパルス応答y(t)が図示されており、y軸は公称読出時間61である。距離Tの信号の値は、近接セル(次の隣62及びその次の隣63)の読出時間での未処理のISIである。公称最大信号レベル64は、y軸に示されており、レベル=8に対応する。レベル=1のパルス応答66は、等化器がそのパルスで定められるため、y軸に1の公称値を有することがわかる。レベル=8のパルス応答65は、最大レベル64から実質的に逸脱する。
【0040】
図4bは、中間長のパルスに最適化された等化器を使用したパルスを示している。等化器は、前記の式を使用してp=4.5で最適化されている。8の異なるパルスのパルス応答y(t)が図6aのように図示されている。レベル=1のパルス応答68は、等化器がそのパルスで定められないため、y軸に1より大きい公称値を有することがわかる。レベル=8のパルス応答67は、最大レベル64から逸脱するが、図6aに満たない。
【0041】
図4cは、最大長のパルスに最適化された等化器を使用したパルスを示している。等化器は、前記の式を使用してp=8で最適化されている。8の異なるパルスのパルス応答y(t)が図6aのように図示されている。レベル=1のパルス応答70は、等化器がそのパルスで定められないため、y軸に実質的に1より大きい公称値を有することがわかる。レベル=8のパルス応答69は、まさに最大レベル64になる。
【0042】
図5は、等化器に依存するシンボル間干渉の値を示している。テーブルは、e=1、e=4.5、e=8について最適化された3つの等化器のISIの値を提供する。図7のテーブルの値は、図6に示すパルス応答に対応することに留意すべきである。テーブルは、等化器毎に、8の異なる信号レベル(p=1〜p=8のパルス長)での公称読出時間(n=0)での信号の値と、次の3つの近接(n=1,2,3)でのISIの値とを示している。
【0043】
モデルは、長さで変調されたパルスの等化による非線形の影響のみを記述している点に留意すべきである。非線形の影響以外のものも存在する(例えば光ディスクの読出しが本質的に非線形である)。しかし、調査中の影響は非常に厳しいため、線形MTFを用いた現在のチャネルモデルが実用的なツールになる。更に、モデルは、マークが長さでのみ変調されており、振幅又は形態で変調されていないことを仮定する。(例えば高速クーリング且つ高速発展の相変化物質を使用して)現在の高密度媒体では長さの変調が主な影響になるということを、測定が確かめる。
【0044】
前記から、線形性及びISI補償の組み合わせが必要になるという結論になる。従って、まず、線形等化器は、図7を参照して説明するように、マークの単一の長さについて最適化される。次に、非線形等化器は、例えば図5に示すモデルに基づいて、最適化された線形等化器を考慮して最適化される。非線形性及びISIは、密度に非常に依存しないように思われるが、その影響は密度でわずかに減少する傾向にある。非線形性及びISIの影響は、主にパルス長変調システムの特性であり、提案の等化によりうまく補われ得る。
【0045】
読取信号の等化では、提案した補償スパンは少なくとも最寄りの近接(3タップ)であるが、更にシステム性能を向上し得るように、もう1つの近接(5タップ)でもよい。ISIが厳しくすぎない場合、ISIの近似は、単一のサンプル(更にISIが軽減される)に続いて、近接の信号サンプルからこの近似値を減算することで行われる。より厳しいISIを有するシステムでは、近接のサンプルはまた、ISI補正値を計算するために含まれてもよい。補正値は計算されてもよく、有限インパルス応答(FIR:finite impulse response)等化器でテーブル索引又は非線形関数を提供するために参照テーブルが含まれてもよい。概念は、図6及び9に示す非線形等化器に実装される。
【0046】
図6は、線形等化器と非線形等化器との結合による読取信号の等化を示している。読取信号は、入力80で線形等化器81に入力される。線形等化器は、前記の所定のパルスに最適化されており、図7に図示されている。シンボル間干渉を低減する非線形等化器89は、線形等化器81に結合されており、リニアライザ(linearlizer)88に出力信号を提供する。非線形等化器は、前及び次のシンボル読出時間で前及び次の信号を決定するために、1シンボルの遅延Dを有する複数の遅延素子82、83、84を有する。前及び次の信号は、補正値を計算するISI計算機85、86に結合される。補正値は、加算ユニット87で主信号から減算される。ISI計算機は、前記のチャネルのモデルに基づき、図10に図示されている。
【0047】
図7は、線形等化器を示している。等化器は、有限インパルス応答(FIR)構造を使用した離散時間型デジタルフィルタとして実装される。読取信号は、一連の遅延素子33への入力32で受信される。入力信号は、乗算ユニット34の第1の入力に結合されており、乗算ユニット34は、第2の入力でC0と呼ばれるフィルタ係数35を有する。入力信号の遅延したものは、対応する係数(C1、C2、C3、C4)を有する各乗算ユニットに結合される。乗算からの結果は、加算ユニット36に結合され、出力信号37を生成する。線形等化器の係数は、マーク長pの特定の選択値について、出力結果がISIのないように選択される。前述のように、全てのpについてISIのない動作は、パルス幅変調システムでは不可能である。所定の記憶システムでは、チャネル応答は既知であり、係数は事前に決定可能である。代替として、又は更なる較正として、適応等化法により係数が適応的に決定される。
【0048】
図8は、線形等化器及び係数の適応を示している。線形等化ユニット40は、図7を参照して前述した線形等化器に対応し、矢印45で示すように、係数35は、最小平均二乗ユニット44の出力に基づいて適応可能である。線形等化器40の出力37は、シンボル検出器41に結合されており、シンボル検出器41は受信したシンボルを検出する。シンボル検出器41の出力は、目標応答ユニット42に結合されており、目標応答ユニット42は、検出されたシンボルについて等化後の所望の応答信号を提供する。加算ユニット43は、所望の応答と、出力37での実際の信号とを比較し、最小平均二乗ユニット44の入力信号を提供する。LMS等化器は、ISI及びノイズを受けるチャネルを等化するために使用されるときに、等化器の出力と、等化器の選択された目標応答にチャネルを加えたものとの間の平均二乗誤差を最小化することを目的とする(例えば、文献:J.W.M.Bergmans:Digital baseband transmission and recording、Kluwer、Boston、1996 ISBN0-7923-9775-4参照)。目標応答は、フルレスポンス関数(離散時間型:ビット同期実装の場合のデルタインパルス)である。しかし、本発明によれば、適応は特定のパルス長に制限される点に留意すべきである。例えば、8のパルス長で線形等化器が設定された場合、その長さのシンボルのみが、アルゴリズムで使用するために選択される。他のパルス長が適応を構成しないように、更新アルゴリズムが構成される。
【0049】
図9は、読取信号の等化用の代替回路を示している。線形等化器81、ISI計算機85、加算ユニット87及びリニアライザ88は、図6に対応する。非線形等化器は、異なる数の遅延素子を有し、第1のチェーンの遅延素子91、92、93は単一のISI計算機85の補正値を遅延させる。第2のチェーンの遅延素子94、95は入力信号を遅延させる。補正値は、加算ユニット87で主信号から減算される。
【0050】
図10は、ISI計算機の補正値を示している。曲線101は、入力と出力との関係を示している。テーブル102は、入力から出力に対する数値関係を示している。補正値は、p=4.5及び次の隣接n=1での等化器について図5に示した値に基づいている。
【0051】
図11は、リニアライザの補正値を示している。曲線103は、入力と出力との関係を示している。テーブル104は、入力から出力に対する数値関係を示している。補正値は、p=4.5及び公称信号n=0での等化器について図5に示した値に基づいている。リニアライザはまた、等化後の読取信号の出力値を受信し、シンボル毎に多レベル読取信号をデジタル値(例えば3ビット値)に変換する検出器/弁別器と結合してもよい。
【0052】
前述の等化器は、光記録における多レベルシステムでの使用に特に適している点に留意すべきである。しかし、そのシステムはまた、異なるパルス形態を使用した他の形式の記録にも適しており、その場合、等化器はパルス形態のうち1つについてのみ最適化可能であり、更なるパルスは未処理のISIを生じる。また、書込チャネルの影響が利用可能でなく、等化が読取チャネルにのみ適用可能であるため、そのシステムは読取専用システムに適している。
【0053】
一実施例では、前述のモデルにより定められた補正値は、読取較正で補われる。記録担体は、既知のテストパターンを備えてもよく、そのテストパターンは、等化器のパラメータを適合させるために読取られて分析され得る。また、ディスクの他の学習パターン又はデータから検出される信号も、実際の記録担体に等化器のパラメータを適合させるために使用されてもよい。例えば、読取信号では、等化器を較正するために、所定の要素が選択的に使用されてもよい。線形等化器が最適化される所定の長さを有するマークによる読取信号のみが、線形等化器を較正するために使用される。
【0054】
等化器の選択と未処理のISIとの間に関係が存在する点に留意すべきである。等化器の特定の選択が読取チャネルで予め定められると、書込方式の出力パターンの最適化は、その等化器に適合可能である。従って、異なるマークについて定められる出力パターンは、推定される読取信号及び等化器に適合する。図5のテーブルから、等化器が最長パルス長に最適化される場合、主な非線形ISI及び非線形性は、中間長のパルスに関連すると考えられる。通常では、中間長のパルスの書込方式は、短いパルス又は長いパルスの書込方式より適合の自由度が大きくなる。従って、等化器は長いマーク(特に最長のマーク)に最適化されることが好ましい。最長のマークを書き込む出力パターンは、最大読取信号に最適化され得る。すなわち、ISIを低減する更なる要件は書込方式では必要ない。その理由は、読取等化器はそのようなパルスに最適化されているからである。
【0055】
本発明について、主に多レベル光記録システムを使用する実施例で説明したが、本発明は、例えば読取信号のゼロ交差の位置を取り出すために、バイナリ記録システムにも使用可能である。この文献では、記録可能という用語は、一回再書込可能及び一回記録可能を含む点に留意すべきである。また、情報担体について、光ディスクが記載されているが、光カード又は磁気テープのような他の媒体が使用されてもよい。この文献では、‘有する’という用語は、記載のもの以外の要素又はステップの存在を除外するものではなく、単数の要素はそのような要素の複数の存在を除外するものではく、如何なる参照符号も請求項の範囲を限定するものではなく、本発明は、ハードウェアとソフトウェアとの双方を用いて実装されてもよく、複数の‘手段’は同一のハードウェアのアイテムで表されてもよい点に留意すべきである。更に、本発明の範囲は実施例に限定されず、本発明は、前記のそれぞれの及び全ての新規な特徴又は特徴の組み合わせにある。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】光記録処理の図である。
【図2】走査装置である。
【図3】多レベル記憶システムのチャネルのモデルである。
【図4】等化後のパルスである。
【図4a】最小長のパルスに最適化された等化器を使用したパルスである。
【図4b】中間長のパルスに最適化された等化器を使用したパルスである。
【図4c】中間長のパルスに最適化された等化器を使用したパルスである。
【図5】等化器に依存するシンボル間干渉の値である。
【図6】読取信号の等化である。
【図7】線形等化器である。
【図8】線形等化器及び係数の適応である。
【図9】読取信号の等化用の代替回路である。
【図10】ISI計算機用の補正値である。
【図11】リニアライザ用の補正値である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を読み取る記録担体でトラックを走査する装置に関し、その装置は、トラックでマークを走査する放射ビームを介して読取信号を生成するヘッドを有し、そのマークは、情報を表す複数の異なる形態を有する。
【0002】
本発明は、記録担体のトラックで情報を読み取る間に読取信号を等化する方法に更に関し、その方法は、トラックのマークにより生成された読取信号を受信することを有し、そのマークは情報を表す複数の異なる形態を有する。
【背景技術】
【0003】
記録担体は記録可能形式でもよく、情報を読み取るトラック(例えばディスク状担体のらせん状トラック)を有する。トラックを走査するために、光ヘッドは、位置決定ユニットによりトラックに位置決定される。ヘッドは、レーザと、マークを読取る放射ビームを生成する光学素子とを有する。マークは情報を表す物理パターンであり、光学的に検出可能である。このような記録担体から読取信号を等化する装置及び方法はEP0585095から既知である。再生等化器は、記録媒体から読み取られたソース信号を線形的に等化する線形等化器と、再生信号に含まれるシンボル間干渉(ISI:inter symbol interference)を取り消す非線形取消手段とを有する。非線形取消手段は、ISIデータを格納する参照テーブルと、参照テーブルからISIデータを読み出すアドレスを生成する回路と、等化されたソース信号からの読み取られたISIデータを減算する回路とを有する。その装置は、等化されたソース信号に基づいて非線形取消手段に保持されたISIデータを自動的に計算及び/又は更新する計算手段を有する。初期段階で、計算手段はISIデータを計算し、通常の動作モードで、計算されたISIデータが使用される。問題は、高密度記録では既知の等化システムがシンボル間干渉を十分に低減することができない点にある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、シンボル間干渉を抑制する読取装置及び対応する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、冒頭パラグラフに記載された装置は、読取信号を処理する読取手段を有し、読取手段は、読取信号を等化するための線形等化器と非線形等化器との結合を有し、線形等化器は、単一の所定の形態を有するマークに基づいて等化するように構成され、非線形等化器は、その所定の形態と異なる形態を有するマークについての読取信号におけるシンボル間干渉を低減するように構成され、その線形等化器によって読取信号に残るシンボル間干渉はその単一の所定の形態に基づく。
【0006】
冒頭パラグラフに記載された方法は、読取信号を等化するための線形等化器と非線形等化器との結合により、読取信号を処理することを有し、線形等化器は、単一の所定の形態を有するマークに基づいて等化するように構成され、非線形等化器は、その所定の形態と異なる形態を有するマークについての読取信号におけるシンボル間干渉を低減するように構成され、その線形等化器によって読取信号に残るシンボル間干渉はその単一の所定の形態に基づく。
【0007】
それらの手段の効果は、線形等化器が、区別されるマーク形態のうち1つの所定の選択に基づき、非線形等化器が、線形等化器がその最初の形態に適しているという事実に基づいて、異なる形態を有するマークについてのシンボル間干渉を低減するように適合される点にある。
【0008】
本発明はまた、以下の認識に基づく。最近の光記録システムでは、多レベル符号が使用される。多レベル符号は、単一のマークから異なる信号レベルでの読取信号を必要とし、記録媒体に書き込まれたマークは、しばしば異なるレベルのグレーとして考えられる。グレーレベルは読取信号のレベルに対応する。しかし、物理的には、記録媒体の性質のため(例えば、相変化物質は定形状態又は無定形状態にあるため、磁化が磁気システムで上方向又は下方向であるため等)、グレーを書き込むことができない。本発明者は、多レベル記録の情報が、反射率ではなく、マークの形態に含まれることを見出した。特に、情報は、異なる読取信号レベルを生じるマークの長さに含まれる。マークの長さは、読出時間で必要な信号レベルを実現するために変更されるため、他の関連する時期(すなわち、前のシンボル及び次のシンボルの読出時間)での読取信号もまた、いわゆるシンボル間干渉により影響を受ける。必要な信号レベルを回復し、シンボル間干渉を低減するために、等化が受信機に適用される。まず、本発明者は、予想される読取信号の形態のうち選択されたものに対して線形等化器を最適化した。次に、その最適化された線形等化器が異なる形態のマークにより実際に生成される読取信号に使用されることを考慮した新しい記述チャネルモデルに基づいて、未処理のシンボル間干渉を決定した。線形等化器が多数の異なるマーク形態のうち所定のもので最適化されるということを認識したチャネルモデルに基づいて、非線形等化器が最適化される。
【0009】
その装置の実施例では、読取手段は、その複数の異なる形態の読出時間で、対応する数の異なるレベルの処理された読取信号を生成するために、読取信号を処理する。等化器の機能は、多レベル記録システムで読取信号を回復するのに特に適している。しかし、等化器はまた、例えばバイナリの読出信号でゼロ交差を最適化するために、異なる読出システムで使用されてもよい。
【0010】
その装置の実施例では、その複数の異なる形態は、長い形態と短い形態とを有し、線形等化器は、長い形態を有するマークに基づいて等化するように構成される。本発明者は、線形等化器が長い形態に最適化されるときに、短い形態についての未処理のシンボル間干渉が小さくなることを見出した。これは、シンボル間干渉が非線形等化器により更に低減され得るという利点を有する。
【0011】
その装置の実施例では、線形等化器は、その異なる形態のうち最も長い形態を有するマークに基づいて等化するように構成される。実用的な実施例では、最も長い形態は、最も小さい未処理のシンボル間干渉を有する選択肢であることがわかる。
【0012】
更なる実施例は、従属項に設けられている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の前記及び他の態様は、一例として以下の説明に記載された実施例を参照して、また、添付図面を参照して明らかになり、更に説明する。
【0014】
異なる図面で対応する要素は、同一の参照番号を有する。
【0015】
図1は、光記録処理を図面で示している。回転台1と、矢印5で示す方向に軸3に関してディスク状記録担体4を回転する駆動モータ2とを含み、記録装置の関連する要素が図示されている。記録担体は、マーク8を記録するトラック11を有し、トラックは、トラックの反対に光ヘッドを位置決定するサーボトラッキング信号を生成するサーボパターンにより位置決定される。例えば、サーボパターンは、通常ではプリグルーブ(pre-groove)と呼ばれる浅い傾きの溝でもよく、及び/又は通常ではプリピット(pre-pit)又はサーボピット(servo pit)と呼ばれる窪みパターンでもよい。記録担体4は、十分に高度の放射に照射されると、情報を表す記録パターンを構成するマーク8を作るために、光学的に検出可能な変化(例えば反射率の変化等)を受ける放射感受記録レイヤを有する。記録パターンでは、マークは特定の形態を有し、その特定の形態は情報を表す。その表示は、通常ではチャネルコードと呼ばれる変調方式に従ってもよい。
【0016】
放射感受レイヤは、放射感受色素又は相変化物質のような物質で構成されてもよく、その構造は、放射の影響で無定形から定形に又はその逆に変化され得る。光書込ヘッド6は、(回転)記録担体のトラックの反対に構成される。光書込ヘッド6は、書込ビーム13を生成する放射源(例えば固体レーザ)を有する。書込ビーム13の強度Iは、従来の方法で制御信号に従って調整される。書込ビーム13の強度は、マークを作るために放射感受記録担体の光特性において検出可能な変化をもたらすのに適した書込強度と、更にスペースと呼ばれるマーク間の中間領域との間で変化する。書込システムでは、検出可能な変化をもたらさない低(又はゼロ)強度がスペースを生成するために使用されてもよい。相変化物質を使用した高密度再書込システムは、通常では直接上書き(DOW:direct overwrite)の書込みに基づく。従って、スペースが書き込まれる場合、ディスクで考えられる前のデータを削除するために、何らかの書込パルスが必要になる。通常では、前の融解領域に定形領域の(部分的)再生を得るために、特定の期間の低レベルに続いて、融解(高出力)が与えられる。マークは、如何なる光学読取可能な形式(例えば、色素、合金又は相変化物質のように物質に記録するときに得られる周囲と異なる反射係数を備えた領域の形式、又は光磁気物質に記録するときに得られる周囲と異なる磁化方向を備えた領域の形式)でもよい。
【0017】
読み取りについて、記録レイヤは、光特性における検出可能な変化を除外するのに十分小さい一定の強度の読取レベルの強度であるビーム13で走査される。走査中に、記録単体から反射される読取ビームは、走査される情報パターンに従って調整される。読取ビームの調整は、ビーム調整を示す読取信号を生成する放射感受検出器を用いて従来通りに検出され得る。
【0018】
図2は、記録単体11で情報を書き込む及び/又は読取る走査装置を示している。記録単体は読取専用形式(例えばCD又はDVD-ROMのようにプレスにより製造されるもの)でもよく、記録単体は書込可能又は再書込可能な形式(例えば記録可能DVD又はBD(Blue-rayディスク))でもよい。その装置は、記録単体でトラックを走査する走査手段を備えており、その手段は、記録担体11を回転する駆動ユニット21と、光ヘッド及び更なる回路を有する走査ユニット22と、トラックの半径方向に光ヘッドを粗く位置決定する位置決定ユニット25と、制御ユニット20とを有する。光ヘッドは、記録担体の情報レイヤのトラックの放射スポット23にフォーカスされた光学素子を通じて導かれる放射ビーム24を生成する既知の形式の光システムを有する。光ヘッド及び更なる回路は、放射ビームから検出された信号を生成する走査ユニットを構成する。放射ビーム24は、放射源(例えば半導体レーザ)により生成される。ヘッドは、そのビームの光軸に沿って放射ビーム24のフォーカスを移動するフォーカス作動装置と、トラックの中心の半径方向にスポット23の細かい位置決定を行うトラッキング作動装置とを更に有する(図示せず)。トラッキング作動装置は、半径方向に光学素子を移動するコイルを有してもよく、代替として反射素子の角度を変更するように構成されてもよい。
【0019】
図2は、情報を読み書きする走査装置を示している点に留意すべきである。代替として、再生専用装置は、以下に説明する読取要素のみを有してもよい。情報の書き込みについて、記録レイヤに光学的に検出可能なマークを生成するように、放射が制御される。読み取りについて、情報レイヤにより反射された放射は、読取信号と、トラッキング及びフォーカス作動装置を制御するトラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号を含む更なる検出器の信号とを生成する光ヘッドで、通常の形式の検出器(例えば4クワドラント・ダイオード)により検出される。読み取り信号は、本発明による等化器と、復調器と、逆フォーマッタと、情報を取り出す通常の形式の出力ユニットとを有する読取処理ユニット30により処理される。従って、情報を読み取る要素は、駆動ユニット21と、光ヘッドと、位置決定ユニット25と、読取処理ユニット30とを有する。その装置は、入力情報を処理し、書込信号を生成し、光ヘッドを駆動する書込処理手段を有し、その手段は、入力ユニット27と、フォーマッタ28と、レーザ出力ユニット29とを有する。制御ユニット20は、情報の記録及び取り出しを制御し、ユーザ又はホストコンピュータからコマンドを受信するように構成されてもよい。制御ユニット20は、制御ライン26(例えばシステムバス)を介して、その入力ユニット27と、フォーマッタ28と、レーザ出力ユニット29と、読取処理ユニット30と、駆動ユニット21と、位置決定ユニット25とに接続されている。制御ユニット20は、書込及び/又は読取機能を実行するために、制御回路(例えばマイクロプロセッサ)と、プログラムメモリと、制御ゲートとを有する。制御ユニット20はまた、論理回路の状態機械として実装されてもよい。
【0020】
制御ユニット20は、制御ライン26(例えばシステムバス)を介して、その入力ユニット27と、フォーマッタ28と、レーザ出力ユニット29と、読取処理ユニット30と、駆動ユニット21と、位置決定ユニット25とに接続されている。制御ユニット20は、制御回路(例えばマイクロプロセッサ)と、プログラムメモリと、制御ゲートとを有する。制御ユニット20はまた、論理回路の状態機械として実装されてもよい。
【0021】
一実施例では、記録装置は、記憶システムのみ(例えばコンピュータで使用される光ディスクドライブ)である。制御ユニット20は、標準インタフェースを介してホストコンピュータシステムの処理ユニットと通信するように構成される。デジタルデータは、フォーマッタ38及び読取処理ユニット30に直接インタフェース接続される。
【0022】
一実施例では、その装置は、スタンドアローンユニット(例えば消費者用のビデオ記録又は再生装置)として構成される。制御ユニット20又はその装置に含まれる更なるホスト制御ユニットは、ユーザによって直接制御され、ファイル管理システムの機能を実行するように構成される。その装置は、アプリケーションデータ処理(例えばオーディオ及び/又はビデオ処理回路)を有する。ユーザ情報は、入力ユニット27で提示され、その入力ユニット27は、アナログオーディオ及び/又はビデオ又はデジタル非圧縮オーディオ/ビデオのような入力信号用の圧縮手段を有してもよい。例えば、適切な圧縮手段は、オーディオではWO98/16014-A1(PHN16452)に記載されており、ビデオではMPEG2標準に記載されている。入力ユニット27は、情報単位にオーディオ及び/又はビデオを処理し、その情報単位がフォーマッタ28に渡される。読取処理ユニット30は、適切なオーディオ及び/又はビデオデコードユニットを有してもよい。
【0023】
フォーマッタ28は、例えばエラー訂正符号(ECC:error correction code)を追加してインターリーブしてチャネル符号化することにより、制御データを追加し、記録フォーマットに従ってデータをフォーマット及びエンコードする。更に、フォーマッタ28は、変調信号に同期パターンを含める同期手段を有する。フォーマットされた単位はアドレス情報を含み、制御ユニット20の制御で記録担体の対応するアドレス可能位置に書き込まれる。フォーマッタ28の出力からのフォーマットされたデータは、レーザ出力ユニット29に渡される。
【0024】
レーザ出力ユニット29は、書き込まれるマークを示すフォーマットされたデータを受信し、光ヘッドの放射源を駆動するレーザ出力制御信号を生成する。多レベル記録では、特定の読出時間での読出し中に異なるレベルの読出信号を生成するために、異なるマークが使用される。トラックは一定の長さのセルに再分割され、各セルは、複数の信号レベルのうち1つを表すマークを有する。もともとは、マークはグレーとして考えられている。しかし、マークを作るために使用される物理現象の性質により、グレーはマスクの物理構成ではない。実際に、従来の多レベルシステムの読取信号レベルは、異なる形態のマーク(特に長さ)により生成される。レーザ出力ユニット29は、好ましい形態のマークを正確に書き込む出力パターンを生成するように構成される。異なる長さのマークは、それ自体で検出されず、セルのシンボルの異なるレベルの読取信号値として検出される。その理由は、セルの内容を検出する放射スポットの大きさは、おおよそセル自体の大きさであるためである。換言すると、シンボル(セル)の大きさは、検出システムに関してできるだけ小さく選択される。実際に、放射スポットはまた、いくらか周囲のセルの内容を検出し、シンボル間干渉(ISI)を引き起こす。ナイキスト要件が満たされると仮定すると、線形ISIは線形等化により補償され得る。この要件は、シンボルレートがシステムの帯域の2倍より小さいことを述べる。我々の場合には、シンボルレートはfsymbolであり、帯域は、fc=2NA/lambdaである光カットオフであるため、fsymbol<4NA/lambdaであると仮定すると、ISIが完全に除去され得ることを見出した(すなわち、フルレスポンスシステム)。実用的な高密度システムで非線形ISIが生じる。
【0025】
シンボル間干渉を理解するために、マークの書込み及び読取りのチャネルのモデルについて説明する。まず、パルス幅(又は持続時間)変調(PWM:pulse width modulated)システムの非線形動作による未処理のISIが計算される。未処理のISIは無視できないことがわかる。ISIの影響は、書込み中の手段(書込チャネルの前歪み、ここでは説明しない)により低減され得るが、等化によるリードバックでも低減され得る。本発明による等化器は、以下のモデルに基づく。
【0026】
図3は、多レベル記憶システムのチャネルのモデルを示している。チャネル51は、a[k]で示す入力シンボルが与えられており、その入力シンボルは、パルス変調器52を通過することにより離散時間型波形に変換される。パルス変調器52は、フーリエのペアcp(t)←→Cp(f)で記述される。振幅変調の場合、唯一のパルス形態が使用され、それはakで振幅変調される。パルス幅変調の場合、伝送されるシンボルakに応じて、異なる持続時間の異なるパルスが使用される。パルスはフーリエの対で与えられる。
【0027】
【数1】
前記で使用されているブロック関数Πは以下のように定められる。
【0028】
【数2】
パルス幅変調では、持続時間Dは、例えば
【0029】
【数3】
に従って、伝送されるシンボルに依存する。Mはアルファベットサイズであり、
【0030】
【数4】
はシンボル時間であり、pはパルスインデックスである。光チャネルは、その変調伝達関数(MTF:modulation transfer function)により特定される。
【0031】
【数5】
ただし、
【0032】
【数6】
は、チャネルの光カットオフである(NAはレンズの開口数であり、λは波長である)。
等化器EQは、ISIのない(フルレスポンス又はFRとして知られる)システムを得るように選択される。図3に示すモデルから、全応答がRCβ(f)を満たさなければならないため、FR等化器はパルス変調器に依存することが明らかである。インデックスeは、等化器がパルスeに属することを強調するために使用される。パルスが事前に知られていないため、受信機で対応する等化器を使用することは不可能である。従って、パルス幅変調システムはFRにはなり得ない。その代わりに、システムは非線形であり、未処理のISIを示す。適切な補償により、非線形性及びISIは小さくされ得る。補償は、書込チャネルの前補償を介して適用されてもよい。しかし、補償はまた、読取チャネルで行われてもよい。それは、正確に書込チャネルを制御することができないときに、有利である(ROM及びRのような読取専用ディスク又はエージング後のRWのような書込ディスク)。まず線形システムを仮定すると、チャネルは、(ナイキストに従って)シンボルレートの約半分の残留シンメトリー(vestigial symmetry)を示す伝達関数を使用することにより、ISIのないものにされる。その後、いわゆる二乗余弦応答(又は略してRC応答)で、この目的の一般関数は以下により得られる。
【0033】
【数7】
パラメータβは、超過帯域を定める(0≦β≦1、β=0は超過帯域でないもの(すなわちシンク応答(sinc response)チャネル)に対応し、β=1は100%超過帯域に対応する)。RC関数のカットオフは、MTFカットオフになる(その他の選択肢も可能であるが、これはMTFのHF部分のいくらかを捨てることを意味する)。従って、βはもはや独立パラメータではなく、ディスクの密度に直接結びついている。それは以下により得られる。
【0034】
【数8】
βは独立パラメータではないため、前記の値が使用される場合には、表記から落とされる。置換により、以下になる。
【0035】
【数9】
パルスpについてISIのない応答を生じる等化器は以下により得られる。
【0036】
【数10】
異なるパルス(すなわち等化器がISIのないものなるパルス)を適用する場合、未処理のISIが生じる。パルスpが適用されたときに等化器がパルスeでISIのないものになったことを仮定すると、出力パルス応答関数は、以下のように記述され得る。
【0037】
【数11】
この結果は、p≠eについてISIから影響を受ける。
【0038】
図4は、等化後のパルスを示している。パルスは、非線形性及びISIの形式の印象を得るようにプロットされている。このため、多レベルシステムはM=8を使用するとみなされている。
【0039】
図4aは、最小長のパルスに最適化された等化器を使用したパルスを示している。等化器は、前記の式を使用してp=1で最適化されている。8の異なるパルスのパルス応答y(t)が図示されており、y軸は公称読出時間61である。距離Tの信号の値は、近接セル(次の隣62及びその次の隣63)の読出時間での未処理のISIである。公称最大信号レベル64は、y軸に示されており、レベル=8に対応する。レベル=1のパルス応答66は、等化器がそのパルスで定められるため、y軸に1の公称値を有することがわかる。レベル=8のパルス応答65は、最大レベル64から実質的に逸脱する。
【0040】
図4bは、中間長のパルスに最適化された等化器を使用したパルスを示している。等化器は、前記の式を使用してp=4.5で最適化されている。8の異なるパルスのパルス応答y(t)が図6aのように図示されている。レベル=1のパルス応答68は、等化器がそのパルスで定められないため、y軸に1より大きい公称値を有することがわかる。レベル=8のパルス応答67は、最大レベル64から逸脱するが、図6aに満たない。
【0041】
図4cは、最大長のパルスに最適化された等化器を使用したパルスを示している。等化器は、前記の式を使用してp=8で最適化されている。8の異なるパルスのパルス応答y(t)が図6aのように図示されている。レベル=1のパルス応答70は、等化器がそのパルスで定められないため、y軸に実質的に1より大きい公称値を有することがわかる。レベル=8のパルス応答69は、まさに最大レベル64になる。
【0042】
図5は、等化器に依存するシンボル間干渉の値を示している。テーブルは、e=1、e=4.5、e=8について最適化された3つの等化器のISIの値を提供する。図7のテーブルの値は、図6に示すパルス応答に対応することに留意すべきである。テーブルは、等化器毎に、8の異なる信号レベル(p=1〜p=8のパルス長)での公称読出時間(n=0)での信号の値と、次の3つの近接(n=1,2,3)でのISIの値とを示している。
【0043】
モデルは、長さで変調されたパルスの等化による非線形の影響のみを記述している点に留意すべきである。非線形の影響以外のものも存在する(例えば光ディスクの読出しが本質的に非線形である)。しかし、調査中の影響は非常に厳しいため、線形MTFを用いた現在のチャネルモデルが実用的なツールになる。更に、モデルは、マークが長さでのみ変調されており、振幅又は形態で変調されていないことを仮定する。(例えば高速クーリング且つ高速発展の相変化物質を使用して)現在の高密度媒体では長さの変調が主な影響になるということを、測定が確かめる。
【0044】
前記から、線形性及びISI補償の組み合わせが必要になるという結論になる。従って、まず、線形等化器は、図7を参照して説明するように、マークの単一の長さについて最適化される。次に、非線形等化器は、例えば図5に示すモデルに基づいて、最適化された線形等化器を考慮して最適化される。非線形性及びISIは、密度に非常に依存しないように思われるが、その影響は密度でわずかに減少する傾向にある。非線形性及びISIの影響は、主にパルス長変調システムの特性であり、提案の等化によりうまく補われ得る。
【0045】
読取信号の等化では、提案した補償スパンは少なくとも最寄りの近接(3タップ)であるが、更にシステム性能を向上し得るように、もう1つの近接(5タップ)でもよい。ISIが厳しくすぎない場合、ISIの近似は、単一のサンプル(更にISIが軽減される)に続いて、近接の信号サンプルからこの近似値を減算することで行われる。より厳しいISIを有するシステムでは、近接のサンプルはまた、ISI補正値を計算するために含まれてもよい。補正値は計算されてもよく、有限インパルス応答(FIR:finite impulse response)等化器でテーブル索引又は非線形関数を提供するために参照テーブルが含まれてもよい。概念は、図6及び9に示す非線形等化器に実装される。
【0046】
図6は、線形等化器と非線形等化器との結合による読取信号の等化を示している。読取信号は、入力80で線形等化器81に入力される。線形等化器は、前記の所定のパルスに最適化されており、図7に図示されている。シンボル間干渉を低減する非線形等化器89は、線形等化器81に結合されており、リニアライザ(linearlizer)88に出力信号を提供する。非線形等化器は、前及び次のシンボル読出時間で前及び次の信号を決定するために、1シンボルの遅延Dを有する複数の遅延素子82、83、84を有する。前及び次の信号は、補正値を計算するISI計算機85、86に結合される。補正値は、加算ユニット87で主信号から減算される。ISI計算機は、前記のチャネルのモデルに基づき、図10に図示されている。
【0047】
図7は、線形等化器を示している。等化器は、有限インパルス応答(FIR)構造を使用した離散時間型デジタルフィルタとして実装される。読取信号は、一連の遅延素子33への入力32で受信される。入力信号は、乗算ユニット34の第1の入力に結合されており、乗算ユニット34は、第2の入力でC0と呼ばれるフィルタ係数35を有する。入力信号の遅延したものは、対応する係数(C1、C2、C3、C4)を有する各乗算ユニットに結合される。乗算からの結果は、加算ユニット36に結合され、出力信号37を生成する。線形等化器の係数は、マーク長pの特定の選択値について、出力結果がISIのないように選択される。前述のように、全てのpについてISIのない動作は、パルス幅変調システムでは不可能である。所定の記憶システムでは、チャネル応答は既知であり、係数は事前に決定可能である。代替として、又は更なる較正として、適応等化法により係数が適応的に決定される。
【0048】
図8は、線形等化器及び係数の適応を示している。線形等化ユニット40は、図7を参照して前述した線形等化器に対応し、矢印45で示すように、係数35は、最小平均二乗ユニット44の出力に基づいて適応可能である。線形等化器40の出力37は、シンボル検出器41に結合されており、シンボル検出器41は受信したシンボルを検出する。シンボル検出器41の出力は、目標応答ユニット42に結合されており、目標応答ユニット42は、検出されたシンボルについて等化後の所望の応答信号を提供する。加算ユニット43は、所望の応答と、出力37での実際の信号とを比較し、最小平均二乗ユニット44の入力信号を提供する。LMS等化器は、ISI及びノイズを受けるチャネルを等化するために使用されるときに、等化器の出力と、等化器の選択された目標応答にチャネルを加えたものとの間の平均二乗誤差を最小化することを目的とする(例えば、文献:J.W.M.Bergmans:Digital baseband transmission and recording、Kluwer、Boston、1996 ISBN0-7923-9775-4参照)。目標応答は、フルレスポンス関数(離散時間型:ビット同期実装の場合のデルタインパルス)である。しかし、本発明によれば、適応は特定のパルス長に制限される点に留意すべきである。例えば、8のパルス長で線形等化器が設定された場合、その長さのシンボルのみが、アルゴリズムで使用するために選択される。他のパルス長が適応を構成しないように、更新アルゴリズムが構成される。
【0049】
図9は、読取信号の等化用の代替回路を示している。線形等化器81、ISI計算機85、加算ユニット87及びリニアライザ88は、図6に対応する。非線形等化器は、異なる数の遅延素子を有し、第1のチェーンの遅延素子91、92、93は単一のISI計算機85の補正値を遅延させる。第2のチェーンの遅延素子94、95は入力信号を遅延させる。補正値は、加算ユニット87で主信号から減算される。
【0050】
図10は、ISI計算機の補正値を示している。曲線101は、入力と出力との関係を示している。テーブル102は、入力から出力に対する数値関係を示している。補正値は、p=4.5及び次の隣接n=1での等化器について図5に示した値に基づいている。
【0051】
図11は、リニアライザの補正値を示している。曲線103は、入力と出力との関係を示している。テーブル104は、入力から出力に対する数値関係を示している。補正値は、p=4.5及び公称信号n=0での等化器について図5に示した値に基づいている。リニアライザはまた、等化後の読取信号の出力値を受信し、シンボル毎に多レベル読取信号をデジタル値(例えば3ビット値)に変換する検出器/弁別器と結合してもよい。
【0052】
前述の等化器は、光記録における多レベルシステムでの使用に特に適している点に留意すべきである。しかし、そのシステムはまた、異なるパルス形態を使用した他の形式の記録にも適しており、その場合、等化器はパルス形態のうち1つについてのみ最適化可能であり、更なるパルスは未処理のISIを生じる。また、書込チャネルの影響が利用可能でなく、等化が読取チャネルにのみ適用可能であるため、そのシステムは読取専用システムに適している。
【0053】
一実施例では、前述のモデルにより定められた補正値は、読取較正で補われる。記録担体は、既知のテストパターンを備えてもよく、そのテストパターンは、等化器のパラメータを適合させるために読取られて分析され得る。また、ディスクの他の学習パターン又はデータから検出される信号も、実際の記録担体に等化器のパラメータを適合させるために使用されてもよい。例えば、読取信号では、等化器を較正するために、所定の要素が選択的に使用されてもよい。線形等化器が最適化される所定の長さを有するマークによる読取信号のみが、線形等化器を較正するために使用される。
【0054】
等化器の選択と未処理のISIとの間に関係が存在する点に留意すべきである。等化器の特定の選択が読取チャネルで予め定められると、書込方式の出力パターンの最適化は、その等化器に適合可能である。従って、異なるマークについて定められる出力パターンは、推定される読取信号及び等化器に適合する。図5のテーブルから、等化器が最長パルス長に最適化される場合、主な非線形ISI及び非線形性は、中間長のパルスに関連すると考えられる。通常では、中間長のパルスの書込方式は、短いパルス又は長いパルスの書込方式より適合の自由度が大きくなる。従って、等化器は長いマーク(特に最長のマーク)に最適化されることが好ましい。最長のマークを書き込む出力パターンは、最大読取信号に最適化され得る。すなわち、ISIを低減する更なる要件は書込方式では必要ない。その理由は、読取等化器はそのようなパルスに最適化されているからである。
【0055】
本発明について、主に多レベル光記録システムを使用する実施例で説明したが、本発明は、例えば読取信号のゼロ交差の位置を取り出すために、バイナリ記録システムにも使用可能である。この文献では、記録可能という用語は、一回再書込可能及び一回記録可能を含む点に留意すべきである。また、情報担体について、光ディスクが記載されているが、光カード又は磁気テープのような他の媒体が使用されてもよい。この文献では、‘有する’という用語は、記載のもの以外の要素又はステップの存在を除外するものではなく、単数の要素はそのような要素の複数の存在を除外するものではく、如何なる参照符号も請求項の範囲を限定するものではなく、本発明は、ハードウェアとソフトウェアとの双方を用いて実装されてもよく、複数の‘手段’は同一のハードウェアのアイテムで表されてもよい点に留意すべきである。更に、本発明の範囲は実施例に限定されず、本発明は、前記のそれぞれの及び全ての新規な特徴又は特徴の組み合わせにある。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】光記録処理の図である。
【図2】走査装置である。
【図3】多レベル記憶システムのチャネルのモデルである。
【図4】等化後のパルスである。
【図4a】最小長のパルスに最適化された等化器を使用したパルスである。
【図4b】中間長のパルスに最適化された等化器を使用したパルスである。
【図4c】中間長のパルスに最適化された等化器を使用したパルスである。
【図5】等化器に依存するシンボル間干渉の値である。
【図6】読取信号の等化である。
【図7】線形等化器である。
【図8】線形等化器及び係数の適応である。
【図9】読取信号の等化用の代替回路である。
【図10】ISI計算機用の補正値である。
【図11】リニアライザ用の補正値である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を読み取る記録担体でトラックを走査する装置であって、
前記トラックでマークを走査する放射ビームを介して読取信号を生成し、前記マークは、前記情報を表す複数の異なる形態を有するヘッドと、
前記読取信号を等化するための線形等化器と非線形等化器との結合を有し、前記読取信号を処理する読取手段と、
単一の所定の形態を有するマークに基づいて等化するように構成された線形等化器と、
前記所定の形態と異なる形態を有するマークについての前記読取信号におけるシンボル間干渉を低減するように構成され、前記線形等化器によって前記読取信号に残る前記シンボル間干渉は、前記単一の所定の形態に基づく非線形等化器と
を有する装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記読取手段は、前記複数の異なる形態の読出時間で、対応する数の異なるレベルの処理された読取信号を生成するために、前記読取信号を処理する装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置であって、
前記複数の異なる形態は、長い形態と短い形態とを有し、
前記線形等化器は、長い形態を有するマークに基づいて等化するように構成される装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、
前記線形等化器は、前記異なる形態のうち最も長い形態を有するマークに基づいて等化するように構成される装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、
前記線形等化器は、乗算素子に結合された遅延素子を有する有限インパルス応答を有し、
前記乗算素子は、前記単一の所定の形態に基づく乗算係数を有する装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、
前記非線形等化器は、シンボル間干渉計算機に結合された遅延素子を有し、
前記シンボル間干渉計算機は、マークのシーケンスを表す読取信号値のシーケンスに基づいて前記シンボル間干渉を計算するように構成される装置。
【請求項7】
記録単体のトラックで情報を読み取る間に読取信号を等化する方法であって、
前記トラックでマークにより生成された読取信号を受信し、前記マークは、前記情報を表す複数の異なる形態を有し、
前記読取信号を等化するための線形等化器と非線形等化器との結合により、前記読取信号を処理し、
前記線形等化器は、単一の所定の形態を有するマークに基づいて等化するように構成され、
前記非線形等化器は、前記所定の形態と異なる形態を有するマークについての前記読取信号におけるシンボル間干渉を低減するように構成され、前記線形等化器によって前記読取信号に残る前記シンボル間干渉は、前記単一の所定の形態に基づくことを有する方法。
【請求項1】
情報を読み取る記録担体でトラックを走査する装置であって、
前記トラックでマークを走査する放射ビームを介して読取信号を生成し、前記マークは、前記情報を表す複数の異なる形態を有するヘッドと、
前記読取信号を等化するための線形等化器と非線形等化器との結合を有し、前記読取信号を処理する読取手段と、
単一の所定の形態を有するマークに基づいて等化するように構成された線形等化器と、
前記所定の形態と異なる形態を有するマークについての前記読取信号におけるシンボル間干渉を低減するように構成され、前記線形等化器によって前記読取信号に残る前記シンボル間干渉は、前記単一の所定の形態に基づく非線形等化器と
を有する装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記読取手段は、前記複数の異なる形態の読出時間で、対応する数の異なるレベルの処理された読取信号を生成するために、前記読取信号を処理する装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置であって、
前記複数の異なる形態は、長い形態と短い形態とを有し、
前記線形等化器は、長い形態を有するマークに基づいて等化するように構成される装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、
前記線形等化器は、前記異なる形態のうち最も長い形態を有するマークに基づいて等化するように構成される装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、
前記線形等化器は、乗算素子に結合された遅延素子を有する有限インパルス応答を有し、
前記乗算素子は、前記単一の所定の形態に基づく乗算係数を有する装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、
前記非線形等化器は、シンボル間干渉計算機に結合された遅延素子を有し、
前記シンボル間干渉計算機は、マークのシーケンスを表す読取信号値のシーケンスに基づいて前記シンボル間干渉を計算するように構成される装置。
【請求項7】
記録単体のトラックで情報を読み取る間に読取信号を等化する方法であって、
前記トラックでマークにより生成された読取信号を受信し、前記マークは、前記情報を表す複数の異なる形態を有し、
前記読取信号を等化するための線形等化器と非線形等化器との結合により、前記読取信号を処理し、
前記線形等化器は、単一の所定の形態を有するマークに基づいて等化するように構成され、
前記非線形等化器は、前記所定の形態と異なる形態を有するマークについての前記読取信号におけるシンボル間干渉を低減するように構成され、前記線形等化器によって前記読取信号に残る前記シンボル間干渉は、前記単一の所定の形態に基づくことを有する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2007−503665(P2007−503665A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524476(P2006−524476)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051425
【国際公開番号】WO2005/022532
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051425
【国際公開番号】WO2005/022532
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】
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