説明

データ記録装置及び方法

【課題】ユーザの操作性を損なうことなく、通信メモリカードに関する操作メニューを提供可能にする。
【解決手段】操作メニューを利用した操作環境をユーザに提供するユーザインタフェースを有し、着脱が可能な記録媒体へデータの記録を行うデータ記録装置において、データ記録装置への記録媒体の装着と種別を検出し、無線通信機能を有する記録媒体が装着されていることが検出された場合には無線通信機能の設定に関わる操作メニューを有効化し、無線通信機能を持たない記録媒体の装着が検出されたことに応じて無線通信機能の設定に関わる操作メニューを無効化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリカード等の着脱可能な記録媒体へ情報を記録するデータ記録装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、デジタルカメラの記録媒体として半導体のメモリカードが使用される。デジタルカメラのユーザの多くは、撮影により得られた画像ファイルをメモリカードからパーソナルコンピュータ(PC)のハードディスクドライブ(HDD)などの記憶装置へ転送する。しかしながら、このファイル転送作業は、ケーブルを接続したり、保存先のディレクトリを毎回指定したりする作業が発生するため面倒である。これらの問題点を解決するため、無線通信機能を備えたメモリカード(以下:通信メモリカード)が知られている。通信メモリカードの中には、撮影した画像ファイルを事前に指定した外部の記憶装置へ無線通信にて自動転送してくれるメモリカードもある。
【0003】
通信メモリカードの中には、ホスト機器へ装着すると同時に電波の発射を開始するものもある。しかしながら、病院や航空機内、また、無線機器の使用が認証されていない地域など、電波の発射を制限している場所では、機器の電源を投入する前に電波の発射を禁止する必要がある。対策として、特許文献1では、複数の操作スイッチを同時に押下しながら電源を投入することで、当該携帯通信端末からの電波の発射を制限する発明が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−311956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法では、電源投入のたびにユーザが複数の操作スイッチを押下する必要があり、煩雑であった。そこで、メニュー設定にて通信メモリカードからの電波の発射を禁止する方法が考えられる。この場合、予め電波の発射を禁止するためには、カードを装着していない状態でも、電波の発射をオフするための操作用のメニューが操作可能である必要がある。一方、通信メモリカードに関するメニューを常に表示すると、通信メモリカードを使用しないユーザの操作性を悪くするおそれがある。したがって、通信メモリカードを使用しない場合におけるメニューの操作性を維持しながら、通信メモリカードに関する操作が行えるための工夫が必要であるが、そのような課題を解決するような構成は現在のところ提案されていない。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、ユーザの操作性を損なうことなく、通信メモリカードに関する操作メニューを提供可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の一態様によるデータ記録装置は以下の構成を備える。すなわち、
着脱が可能な記録媒体へデータの記録を行うデータ記録装置であって、
操作メニューを利用した操作環境をユーザに提供するユーザインタフェースと、
前記データ記録装置への記録媒体の装着と種別を検出する検出手段と、
前記検出手段により無線通信機能を有する記録媒体が装着されていることが検出された場合に、無線通信機能の設定に関わる操作メニューを有効にする有効化手段と、
前記検出手段により無線通信機能を持たない記録媒体の装着が検出されたことに応じて、前記無線通信機能の設定に関わる操作メニューを無効にする無効化手段とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、本発明の目的は、ユーザの操作性を損なうことなく、通信メモリカードに関するメニューを表示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態によるデジタルカメラの構成例を示すブロック図。
【図2】実施形態のユーザインタフェース表示の切替えタイミング図。
【図3】実施形態のユーザインタフェース表示例を示す図。
【図4】第1実施形態によるメニュー切替処理を示すフローチャート。
【図5】第2実施形態によるメニュー切替処理を示すフローチャート。
【図6】第3実施形態によるメニュー切替処理を示すフローチャート。
【図7】第4実施形態によるメニュー切替処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明である記録装置として、デジタルカメラを例に挙げ、図面を用いて実施の形態の詳細を説明する。
【0011】
<第1実施形態>
第1実施形態では、着脱が可能な記録媒体へデータの書き込みを行うデータ記録装置として、装着されているメモリカードの種別情報に応じて、無線機能設定メニュー表示状態を制御するデジタルカメラを説明する。
図1は、第1実施形態であるデジタルカメラ100および、通信メモリカード160の構成例を示すブロック図である。なお、ブロック図では、デジタルカメラ100に、通信メモリカード160が装着されているが、デジタルカメラ100へは、自動転送機能を有さない一般的なメモリカード(以後、一般メモリカード)も装着が可能である。すなわちデジタルカメラ100は、記録媒体としての通信メモリカード或いは一般メモリカードを着脱可能なメモリスロットを有するものである。
【0012】
撮影部110は不図示の撮像素子及び光学系を有し、光学系により撮像素子の撮像面に形成された光学像を電気信号に変換し、画像データを得ることにより撮影を行う。画像ファイル作成部120は、撮影部110で撮影された画像を画像ファイル化する。カード制御部130は、画像ファイル作成部120で作成された画像ファイルをメモリカードへ書き込む。カード制御部130において、カード検出部131は、メモリスロットへのカードの装着を検出するとともに、メモリカードの情報を取得するコマンドを装着されているメモリカードに対して送信し、受信した情報を基に装着されているカードの種別を検出する。更に、カード制御部130は、メモリカードへ書き込みを行うときに作成するファイルを制御するファイル制御部132、通信メモリカードが装着された場合に無線通信機能の有効・無効を切替えるための無線機能制御部133を備える。
【0013】
システムコントローラ140は、ROM141及びRAM142と接続し、ROM141に格納された制御プログラムにしたがってデジタルカメラ100における各種処理を実行する。表示部150は、例えば液晶表示器により構成され、システム情報の表示、記録されている画像の再生画像の表示、無線機能設定に関するメニューの表示など、各種情報を表示するために用いられる。ユーザは、不図示の操作部と表示部150に表示された操作用のメニューを用いて各種操作の入力を行い、システムコントローラ140へ命令を伝えることができる。
【0014】
通信メモリカード160は、NAND型フラッシュメモリ素子161、カードコントローラ162、RF回路163を具備する。カードコントローラ162は、ホストであるデジタルカメラ100のカード制御部130から書き込みコマンドを受付けると、記憶素子であるNAND型フラッシュメモリ素子161へ画像ファイルを書き込む。また、カードコントローラ162は定期的に書き込まれたファイルを監視する。カードコントローラ162は、ファイル制御部132から画像ファイルの書き込みが行われたことを検出すると、RF回路163を通して、外部の記憶装置へ無線通信を介して画像ファイルの転送を行う。なお、カードコントローラ162はプロセッサ、ROM、RAMを有し、プロセッサがROMに格納された各種プログラムを実行することにより、通信メモリカード160における各処理が実行される。
【0015】
なお、デジタルカメラ100の制御は1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。通信メモリカード160の制御も同様である。
【0016】
図2の(a)は第1実施形態のデジタルカメラにおける、メモリカードの装着状態に応じた無線津新機能設定メニューの表示状態の切替えタイミングを表す図である。図の上段はカード制御部130へ装着されるメモリカードの状態と種別、下段はメニュー一覧における無線機能設定メニューの表示状態を示す。デジタルカメラの工場出荷状態では、無線機能設定メニューは非表示状態となっている(タイミング202より前)。カード検出部131により一般メモリカードの装着が検出された場合(タイミング202)、無線機能設定メニューは非表示状態、すなわち無効な状態となる(タイミング202〜203の区間)。また、メモリカードを取り外しても(タイミング203)、無線機能設定メニューの表示状態は維持され、無線機能設定メニューは非表示状態のままとなる(203〜204の区間)。
【0017】
カード検出部131により通信メモリカードの装着が検出されると(タイミング204)、無線機能設定メニューは表示状態、すなわち有効な状態となる(タイミング204〜205の区間)。その後、通信メモリカードを取り外しても(タイミング205)、無線機能設定メニューの表示状態が維持される(タイミング205〜206の区間)。そして、一般メモリカードの装着が検出されると(タイミング206)、再び無線機能設定メニューは非表示となる。
【0018】
図3の(a)(b)(c)は本実施形態による操作メニューの一例を示す図である。本実施形態では、このような操作メニューを利用した操作環境をユーザに提供する。図3の(a)は、無線機能設定メニューが非表示状態である場合の表示部150におけるメニュー表示例を示す図である。また、図3の(b)は、無線機能設定メニューが表示状態である場合の表示部150におけるメニュー表示例を示す図である。無線機能設定メニューが表示状態となった場合、図3の(b)に示したように、タブ311の選択によってなされるメニュー一覧表示に無線機能設定メニュー301が追加される。ユーザにより無線機能設定メニュー301が選択されると、図3の(c)に示すように、無線機能の設定を切替えるための画面が表示され、無線機能について「入/切(ON/OFF)」を設定することができる。この画面で、「切」に設定された場合、無線機能制御部133は、通信メモリカードからの一切の電波の発射を禁止するモードへと移行する。従って、電波の発射を禁止している場所で、本デジタルカメラおよび、通信メモリカードを使用するユーザは、無線機能を「切」へ設定することができる。
【0019】
図4は、システムコントローラ140における、無線通信機能設定メニューの有効/無効の切り替え処理を示すフローチャートである。カード検出部131が、メモリカードの装着を検出すると(S401)、カード検出部131にてメモリカードの種別情報を取得する(S402)。システムコントローラ140は、カード検出部131が取得した種別情報に基づいて装着されているメモリカードの種別が通信メモリカードであるか否かを判定し(S403)、通信メモリカードであった場合は、無線機能設定メニューを有効とする(S404)。S103の判定がNoの場合、無線機能設定メニューを無効とする(S405)。なお、無線機能設定メニューを有効にするということは、タブ311等の選択によりメニューの一覧が表示された際に、無線機能設定メニューが表示状態となり、ユーザ操作により選択が可能な状態となることである。また、無線機能設定メニューを無効にするということは、メニューの一覧が表示された際に、無線機能設定メニューが非表示状態となり、ユーザ操作により選択ができない状態となることである。なお、本実施形態では無効な状態においてメニューを非表示とするが、これに限られるものではなく、例えば、メニューをグレーアウト表示するようにしても良い。
【0020】
以上述べた通り、第1の実施の形態では、装着されているメモリカードの種別に応じて、無線機能設定メニューの表示状態を切替え、メモリカードが取り外されても、無線機能設定メニューの表示状態を保持する。なお、メニュー状態を保持するためのメモリ機能は、無線機能制御部133内部に持ち、システムの電源OFFを経由しても、メモリ機能は揮発しない構成とする。
【0021】
以上のように第1実施形態では、無線通信機能を有する記録媒体が装着されていることが検出されている期間においては無線通信機能の設定に関わる操作メニューが有効となるようにする。そして、無線通信機能の設定に関わる操作メニューが有効となった後は、単に無線通信機能を有する記録媒体が装着されていないことのみをもってその操作メニューを無効にすることはせず、更に特定のイベントの発生が検出されることを条件としている。すなわち、無線通信機能を有する記録媒体が装着されていない状態で予め定められたイベント(第1実施形態では通信機能を持たない一般メモリカードの装着)を検出したことに応じて、無線通信機能の設定に関わる操作メニューが非表示となる。
【0022】
以上のような第1実施形態によれば、前回装着されたメモリカードの種別に応じて無線機能設定メニューの表示状態が制御されることになる。したがって、通信メモリカードを使用しているユーザが、無線機能をOFFするべき場所へ移動した場合、一旦メモリカードを取り外しても無線機能設定メニューが表示される。従って、このメニューにより無線機能をOFF設定へ変更した後、通信メモリカードを装着することで、電波を発射することなく、単なるメモリカードとして使用することが可能となる。また、通信メモリカードを使用しないユーザにとっては、無線機能設定メニューは常に非表示状態となるため、不要なメニュー表示に因って操作性が悪化するということが無い。
【0023】
<第2実施形態>
第2実施形態では、第1実施形態による無線機能設定メニューの有効/無効の切り替えに加えて、メモリカードが装着されていないことが検出された場合にも無線機能設定メニューを表示する(有効にする)構成を説明する。すなわち、第2実施形態では、一般メモリカードが装着されている期間のみ、無線機能設定メニューが非表示状態となる。なお、第2実施形態のデジタルカメラ及びメモリカードの構成は、第1実施形態(図1)と同様であり、その図示及び説明は省略する。
【0024】
図2の(b)は第2実施形態におけるデジタルカメラの、メモリカードの装着状態に応じた無線機能設定メニューの表示状態の切替えタイミングを表す図である。図の上段はカード制御部130へ装着されるメモリカードの種類、下段はメニュー一覧における無線機能設定メニューの表示状態を示す。第2実施形態では、初期状態において無線機能設定メニューを表示状態とする(タイミング212より前)。一般メモリカードの装着が検出されると(タイミング212)、無線機能設定メニューは非表示状態(無効な状態)となる(タイミング112〜213の区間)。そして、メモリカードが取り外され、メモリカードの非装着状態が検出されると(タイミング213)、無線機能設定メニューが表示状態(有効な状態)となる(タイミング213〜214の区間)。
【0025】
通信メモリカードの装着が検出されると(タイミング404)、無線機能設定メニューは表示状態(有効な状態)が維持される(タイミング214〜215の区間)。そして、この通信メモリカードが取り外されても(タイミング215)、無線機能設定メニューは表示状態(有効な状態)が維持される(タイミング215〜216の区間)。図2の(b)の例では、タイミング213〜216の区間では、常に無線機能設定メニューが表示されることになる。
【0026】
図5は、第2実施形態による、システムコントローラ140における無線通信機能設定メニューの有効/無効の切り替え処理を示すフローチャートである。カード検出部131は、メモリカードの装着を検出すると(S501)、メモリカードの種別情報を取得する(S502)。システムコントローラ140は、種別情報に基づいて装着されているメモリカードの種別が通信メモリカードであるか否かを判定し(S503)、一般メモリカードと判定された場合は無線機能設定メニューを無効な状態とする(S505)。S501にて、カード装着が検出されない、つまり、カードが取り外されている状態であることを検出した場合、システムコントローラ140は無線機能設定メニューを有効な状態とする(S507)。なお、S503で通信メモリカードの装着が検出された場合も、システムコントローラ140は無線機能設定メニューを有効な状態とする(S504)。これは、電源がオフの状態で一般メモリカードから通信メモリカードへの交換が行われ、その後デジタルカメラ100の電源がオンされた場合に対応するためである。
【0027】
以上述べた通り、第2実施形態における無線機能設定メニューが表示状態となる期間は、第1実施形態において規定される期間に、カード検出部131がカードの未装着を検出している期間が加わったものとなる。すなわち、一般メモリカードが装着されている期間のみ、無線機能設定メニューが無効な状態となる。したがって、第1実施形態では、電源オフ時にメニュー状態を保持するためのメモリ機能が必要であったが、第2実施形態では、そのようなメモリ機能は不要となる。
【0028】
以上のような第2実施形態によれば、一般メモリカードを使用しているユーザにとっては、無線機能設定メニューの表示は無効な状態となるため、不要なメニュー表示によって操作性が悪化するということが防止される。また、通信メモリカードを使用しているユーザが、無線機能をOFFするべき場所へ移動した場合、メモリカードを取り外しても無線機能設定メニューの有効状態が維持される。従って、このメニューにより無線機能をOFF設定へ変更した後、通信メモリカードを装着することで、電波を発射することなく、単なるメモリカードとして使用することが可能となる。また、一般メモリカードを使用中に通信メモリカードを単なるメモリカードとして使用しようとする場合にも対応できる。この場合、カード交換のため、一般メモリカードを取り外すことになり、その時点で無線機能設定メニューが表示されるからである。従って、無線機能をOFF設定へ変更した後、通信メモリカードを装着することで、電波を発射することなく、単なるメモリカードとして使用することができる。
【0029】
<第3実施形態>
第3実施形態では、上述の特定のイベントとして、無線機能設定メニューを無効にする旨のユーザの明示的な指示を用いる。すなわち、第3実施形態では、通信メモリカードが装着されるまでは、無線機能設定メニューを無効な状態とし、一度、通信メモリカードが装着されると、無線機能設定メニューを有効な状態とする。そして、無線機能設定メニューが有効な状態であり、通信メモリカードが装着されていない時は、当該無線機能設定メニューを非表示状態へ戻すための操作メニューを提供する。なお、第3実施形態のデジタルカメラ及び通信メモリカードの構成は、第1実施形態(図1)と同様であるため、それらの構成の図示及び説明は省略する。
【0030】
図2の(c)は、第3実施形態における、メモリカードの装着状態に応じた通信機能設定メニューの有効/無効状態の切替えタイミングを表す図である。図の上段はカード制御部130へ装着されるメモリカードの種類、中段はメニュー一覧における無線機能設定メニューの表示状態、下段は無線機能設定メニューを選択したときの消去メニュー表示状態を示す。
【0031】
通信メモリカードが装着されるまで(タイミング224まで)、無線機能設定メニューは非表示状態とする(タイミング221〜224の区間)。通信メモリカードが装着された場合(タイミング224)、無線機能設定メニューは表示状態となる。通信メモリカードが取り外されると(タイミング225)、無線機能設定メニューを非表示へ戻すためのメニューである、無線機能設定メニューの消去メニューが表示される。
【0032】
図3の(b)は、無線機能設定メニューが表示する状態である場合の表示部150におけるメニュー表示例である。一旦、通信メモリカードが装着されると、図3の(b)で示されるように、メニュー一覧表示において無線機能設定メニュー303が表示状態となる。その後、通信メモリカードが取り外されると、無線機能設定メニュー303の操作画面が、無線機能設定メニューを消去するための消去メニューを含むようになる。つまり、図3の(b)において、ユーザにより無線機能設定メニュー303が選択されると、設定を切替える画面(図3の(d))が提示され、無線機能の設定を「入/切/メニュー消去(ON/OFF/Silent)」から選択することができるようになる。図3の(c)と異なる点は、無線機能設定メニューの消去を指示するためのメニュー消去304が追加されている点である。メニュー消去を選択した場合、無線機能設定メニュー303がメニューリストから消去され、図3(a)の表示へ変更される。なお、第3実施形態において、通信メモリカードを装着したままユーザが無線機能設定メニュー303を選択した場合は、図3の(c)に示したようにメニュー消去304を含まない画面が提供される。
【0033】
図6は、第3実施形態による、システムコントローラ140における、無線通信機能設定メニューの有効/無効の切り替え処理を示すフローチャートである。カード検出部131は、メモリカードの装着を検出すると(S601)、メモリカードの種別情報を取得する(S602)。システムコントローラ140は、取得された種別情報に基づいて、装着されているメモリカードの種別が通信メモリカードであるか否かを判定し(S603)、通信メモリカードであった場合は、無線機能設定メニューを有効とする(S604)。この時点では、通信メモリカードが装着されているので、システムコントローラ140は、メニュー項目から無線機能設定メニューを消去するための消去メニューを無効状態とする(S608)。
【0034】
装着されているメモリカードが一般メモリカードである場合(S603)、あるいは、カード装着がされていない場合(S601)、システムコントローラ140は無線機能設定メニューが有効か否かを判定する(S606)。無線機能設定メニューが無効な状態の場合は、そのまま本処理を終了する。一方、S606において、無線機能設定メニューが有効な状態であると判定された場合、システムコントローラ140は、上述した消去メニューを有効な状態へ変更する(S609)。これにより、無線機能設定メニュー303が選択された場合に、図3の(c)の右側に示すようなメニュー消去304が追加された操作画面が表示されることになる。この状態で、ユーザがメニュー消去304を選択したことが検出されると(S610)、システムコントローラ140は、無線機能設定メニュー303及びメニュー消去304を無効な状態へ変更する(S611,S612)。
【0035】
以上述べた通り、第3の実施の形態では、無線機能設定メニューが有効な状態において通信メモリカードが装着されていないことが検出されると、無線機能設定メニューを消去するための操作メニューが有効となり、追加表示される。第3実施形態では、第1実施形態と同様に、装着されているメモリカードの種別に応じて、無線機能設定メニューの表示状態を切替え、メモリカードが取り外されても、無線機能設定メニューの有効状態が保持される。よって、通信メモリカードが装着されたかどうかの情報を保持するためのメモリ機能を無線機能制御部133内部に持ち、システムの電源OFFを経由しても、記憶内容は揮発しない構成とする。そして、ユーザが無線機能設定メニューの消去メニューを選択すると、メモリ機能の状態をクリアすることで、通信メモリカードをはじめて装着するより前の状態へ戻すことが可能となる。
【0036】
第3実施形態によれば、ユーザの明示的な操作で無線通信機能設定メニューの無効化が行われるので、ユーザにとってわかりやすいユーザインタフェースを提供できる。
【0037】
<第4実施形態>
第4実施形態では、上述した特定のイベントとして、電源オフ操作を用いる。すなわち、第4実施形態においては、システムの電源がONされてから、通信メモリカードが装着されるまでの期間は、無線機能設定メニューが非表示状態となる。そして、一度、通信メモリカードが装着されると、システムの電源をOFFするまでの間、無線機能設定メニューは表示状態が維持される。第4形態は、第3実施形態に類似しているが、システム電源をOFFしている期間、メニューの表示状態を保持する必要が無いため、実装が簡略化できる。
【0038】
第4実施形態では、第1の実施の形態であるデジタルカメラと同一のブロック構成であるため、ブロック図の説明は省略する。
【0039】
図2の(d)は、第4本実施形態のデジタルカメラにおける、メモリカードの種類に応じた無線通信機能設定メニューの表示状態の切替えタイミングを表す図である。図の上段はカード制御部130へ装着されるメモリカードの種類、中段はメニュー一覧における無線機能設定メニューの表示状態、下段はシステムの電源状態を示す。図2の(d)の例では、システムの電源がOFFからONへ変化したときに(タイミング231)、通信メモリカードが装着されていないため、無線機能設定メニューは、非表示状態となる。一旦、通信メモリカードが装着されると(タイミング234)、無線機能設定メニューは表示状態となり、以降はシステムの電源がOFFになる(タイミング237)まで、メモリカードの装着状態に関わらず表示状態が保持される(タイミング234〜237)。無線機能設定メニューは、システムの電源がOFFになり、次回の電源ON時には、電源ONに伴う初期化処理の実行時に非表示(無効)となる(238)。なお、図には示していないが、システムの電源がOFFからONへ変化したときに通信メモリカードが装着されている場合、無線機能設定メニューは即座に表示状態となる。
【0040】
図7は、第4実施形態による、システムコントローラ140における、無線通信機能設定メニューの有効/無効の切り替え処理を示すフローチャートである。初期化処理が終了していない場合は、システムコントローラ140は、無線機能設定メニューを無効状態にする(S701)。なお、初期化処理とは、システム電源がOFFを経由したときに最初に行われる処理である。初期化処理が終了すると、カード検出部131はメモリカードの装着を検出し(S703)、メモリカードの種別情報を取得する(S704)。システムコントローラ140は、装着されているメモリカードの種別が通信メモリカードであるか否かを判定し(S705)、通信メモリカードであった場合は、無線機能設定メニューを有効状態とする(S706)。一方、装着されているメモリカードが一般メモリカードであると判定された場合(S705)、あるいは、カード装着が検出されていない(カードが取り外されている状態)場合(S703)は、本処理を終了する。
【0041】
以上のように、第4実施形態によれば、無線機能設定メニューの表示を開始するタイミングは通信メモリカードが装着されたときとなる。そして、無線機能設定メニューの表示を終了するタイミングは、システム電源がOFFを経由した後の電源投入時における初期化処理の実行タイミングということになる。
【0042】
尚、第1実施形態および、第3、第4実施形態において、初めて通信メモリカード装着するより前は、無線機能設定メニューが表示されない。初めて通信メモリカードを装着する場所が、電波発射を禁止している場所で有る可能性がある。このようなシーンに対処するため、無線機能設定メニューの表示状態が非表示の状態で通信メモリカードが装着された場合には、デフォルトで(すなわち、自動的に)電波の発射を禁止する設定で起動させるようにしてもよい。この場合、無線通信機能をONするためのメニューが即座に立ち上がるように構成することがさらに好ましい。
【0043】
なお、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
また、上記実施形態では、カードスロットが1つの場合を説明したが、カードスロットが複数の場合にも適用できることはいうまでもない。例えば、カードスロット毎に無線機能設定メニューの有効、無効を切り替えるようにし、各実施形態で説明した処理をカードスロット毎に行えばよい。或いは、例えば第1実施形態のS403の判定を、「いずれかのカードスロットに通信メモリカードが装着されているか?」として、複数のスロットの状態を総合的に判定するようにしても良い。この場合、1つでも通信メモリカードを装着したカードスロットが存在すれば、無線機能設定メニューを有効化することになる。
【0044】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱が可能な記録媒体へデータの記録を行うデータ記録装置であって、
操作メニューを利用した操作環境をユーザに提供するユーザインタフェースと、
前記データ記録装置への記録媒体の装着と種別を検出する検出手段と、
前記検出手段により無線通信機能を有する記録媒体が装着されていることが検出された場合に、無線通信機能の設定に関わる操作メニューを有効にする有効化手段と、
前記検出手段により無線通信機能を持たない記録媒体の装着が検出されたことに応じて、前記無線通信機能の設定に関わる操作メニューを無効にする無効化手段とを備えることを特徴とするデータ記録装置。
【請求項2】
前記有効化手段は、さらに、前記検出手段によって前記データ記録装置に記録媒体が装着されていないことが検出された場合に、前記無線通信機能の設定に関わる操作メニューを有効にすることを特徴とする請求項1に記載のデータ記録装置。
【請求項3】
着脱が可能な記録媒体へデータの記録を行うデータ記録装置であって、
操作メニューを利用した操作環境をユーザに提供するユーザインタフェースと、
前記データ記録装置への記録媒体の装着と種別を検出する検出手段と、
前記検出手段により無線通信機能を有する記録媒体が装着されていることが検出された場合に、無線通信機能の設定に関わる操作メニューを有効にする有効化手段と、
前記無線通信機能の設定に関わる操作メニューが有効な状態において、前記検出手段によって無線通信機能を有する記録媒体が装着されていないことが検出された場合に、前記無線通信機能の設定に関わる操作メニューを無効にする指示を行うための操作メニューを提示する提示手段と、
前記無効にする指示を行うための操作メニューからの指示の入力に応じて、前記無線通信機能の設定に関わる操作メニューを無効にする無効化手段とを備えることを特徴とするデータ記録装置。
【請求項4】
着脱が可能な記録媒体へデータの記録を行うデータ記録装置であって、
操作メニューを利用した操作環境をユーザに提供するユーザインタフェースと、
前記データ記録装置への記録媒体の装着と種別を検出する検出手段と、
電源投入時における初期化処理の実行時に、無線通信機能の設定に関わる操作メニューを無効にする無効化手段と、
前記検出手段により無線通信機能を有する記録媒体が装着されていることが検出された場合に、前記無線通信機能の設定に関わる操作メニューを有効にする有効化手段とを備えることを特徴とするデータ記録装置。
【請求項5】
前記無線通信機能の設定に関わる操作メニューが無効な状態において、無線通信機能を有する記録媒体の装着が検出された場合は、当該記録媒体の無線通信機能を無効に設定する設定手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のデータ記録装置。
【請求項6】
前記有効化手段では前記操作メニューを表示して操作が可能な状態とし、
前記無効化手段では前記操作メニューを非表示又はグレーアウト表示にして操作ができない状態とすることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のデータ記録装置。
【請求項7】
操作メニューを利用した操作環境をユーザに提供するユーザインタフェースを有し、着脱が可能な記録媒体へデータの記録を行うデータ記録装置におけるデータ記録方法であって、
検出手段が、前記データ記録装置への記録媒体の装着と種別を検出する検出工程と、
有効化手段が、前記検出工程で無線通信機能を有する記録媒体が装着されていることが検出された場合に、無線通信機能の設定に関わる操作メニューを有効にする有効化工程と、
無効化手段が、前記検出工程で無線通信機能を持たない記録媒体の装着が検出されたことに応じて、前記無線通信機能の設定に関わる操作メニューを無効にする無効化工程とを有することを特徴とするデータ記録方法。
【請求項8】
操作メニューを利用した操作環境をユーザに提供するユーザインタフェースを有し、着脱が可能な記録媒体へデータの記録を行うデータ記録装置におけるデータ記録方法であって、
検出手段が、前記データ記録装置への記録媒体の装着と種別を検出する検出工程と、
有効化手段が、前記検出工程で無線通信機能を有する記録媒体が装着されていることが検出された場合に、無線通信機能の設定に関わる操作メニューを有効にする有効化工程と、
提示手段が、前記無線通信機能の設定に関わる操作メニューが有効な状態において、前記検出工程で無線通信機能を有する記録媒体が装着されていないことが検出された場合に、前記無線通信機能の設定に関わる操作メニューを無効にする指示を行うための操作メニューを提示する提示手段と、
無効化手段が、前記無効にする指示を行うための操作メニューからの指示の入力に応じて、前記無線通信機能の設定に関わる操作メニューを無効にする無効化工程とを有することを特徴とするデータ記録方法。
【請求項9】
操作メニューを利用した操作環境をユーザに提供するユーザインタフェースを有し、着脱が可能な記録媒体へデータの記録を行うデータ記録装置におけるデータ記録方法であって、
検出手段が、前記データ記録装置への記録媒体の装着と種別を検出する検出工程と、
無効化手段が、電源投入時における初期化処理の実行時に、無線通信機能の設定に関わる操作メニューを無効にする無効化工程と、
有効化手段が、前記検出工程で無線通信機能を有する記録媒体が装着されていることが検出された場合に、前記無線通信機能の設定に関わる操作メニューを有効にする有効化工程とを有することを特徴とするデータ記録装置。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のデータ記録装置の各手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−128910(P2011−128910A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286963(P2009−286963)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】