説明

データ送信装置

【課題】画像の読み取りを画像読取装置に指示したユーザを、画像データを受信した端末において特定することができる画像読取装置を提供する。
【解決手段】MFD10(画像読取装置)は、MFD10のユーザを特定するユーザIDを取得する(S2)。MFD10は、読み取った画像を含む画像ファイルを作成する(S6)。MFD10は、ユーザ特定情報と画像ファイルを特定するデータを含む履歴ファイルを作成する(S10)。MFD10は、画像ファイルと履歴ファイルを端末へ送信する。履歴ファイルは、画像ファイルとは別個に作成される。端末のユーザは、履歴ファイルを開くことによって、画像の読み取りをMFDに指示したユーザを確認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して複数の端末と通信可能に接続され、読み取った画像データを前記複数の端末の内の一つに送信する画像読取装置に関する。特に、ユーザによる画像データの管理を容易にする画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像を読み取るとともに、読み取った画像データをネットワークを介して端末に送信する画像読取装置が知られている(例えば特許文献1)。そのような機能の代表的なものは、TCP/IPプロトコルに準拠したネットワーク通信において「Scan to CIFS(Common Internet File System)」という名称で知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−60499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像読取装置は、ネットワークを介して接続された複数の端末各々が設定している共有フォルダを、読み取った画像データの送信先として設定し、その共有フォルダに画像データを格納することができる。「共有フォルダ」は、フォルダが設定されている記憶装置を有する端末以外の端末(外部端末)からもアクセス可能なフォルダを意味している。即ち、共有フォルダが存在する場合、外部端末は、その共有フォルダに格納されているファイルにアクセスしたり、その共有フォルダに新たなファイルを格納したりすることができる。
画像読取装置のユーザが、意図して又は意図せずに他のユーザの端末の共有フォルダに画像データを格納する場合がある。かかる場合、送信先の端末のユーザに予め画像データを格納する旨を伝えておけば、いずれのユーザにより画像データが共有フォルダに格納されたのか判断できる。しかしながら、送信先の端末のユーザに予め画像データを送信する旨を伝えていない場合や、意図せずに、つまり、誤って送信先を設定してしまった場合などには、一方的に画像データを格納された端末のユーザは、その画像データがいずれのユーザにより格納されたか特定できず、その格納された画像データの処理に困惑していた。本明細書は、画像の読み取りを画像読取装置に指示したユーザ、即ち、読み取った画像データを送信することを画像読取装置に指示したユーザを、画像データを受信した端末において特定することができるように工夫された画像読取装置を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する画像読取装置は、取得手段と第1ファイル作成手段と第2ファイル作成手段とファイル送信手段を備えている。取得手段は、画像読取装置のユーザを特定するユーザ特定データを取得する。第1ファイル作成手段は、読み取った画像データを含む第1ファイルを作成する。第2ファイル作成手段は、ユーザ特定データと第1ファイルを特定するデータを含む第2ファイルを作成する。ファイル送信手段は、作成された第1ファイルと第2ファイルを端末へ送信する。ユーザ特定データは、典型的にはユーザIDでよい。ユーザIDは、ユーザが画像読取装置のコンソールを使って画像読取装置へ入力されてよい。上記の手段は、プログラムで実現されてよいしハードウエアで実現されてもよい。
【0006】
上記の画像読取装置は、第1ファイルと第2ファイルを端末に送信する。第2ファイルは、第1ファイルとは別個に作成される。従って、端末のユーザは、送信された第2ファイルを確認することによって、画像の読み取りを画像読取装置へ指示したユーザ、即ち、画像データを端末へ送信したユーザを容易に特定することができる。
【0007】
第2ファイル作成手段は、第1ファイルの格納先を特定する格納先データと読み取った画像データを縮小した縮小画像データの少なくとも一方のデータをさらに含む第2ファイルを作成することが好ましい。「格納先」とは、典型的には、端末の記憶領域に割り当てられている、いわゆる「フォルダ」でよい。格納先データは、フォルダ名、或いは、パスを含むフォルダ名でよい。第2ファイルが格納先データを含んでいれば、端末のユーザは、第2ファイルを開くだけで、第1ファイルの格納先を知ることができる。第2ファイルが、読み取った画像データを縮小した縮小画像データを含んでいれば、端末のユーザは第2ファイルを開くだけで、読み取った画像データを確認することができる。
【0008】
格納先データは、第1ファイルが格納されたことを条件として端末から送られてくるものであってもよいし、画像読取装置が予め記憶している第1ファイルの送信先情報に含まれていてもよい。前者の場合、画像読取装置はさらに、ファイル送信手段による第1ファイルの端末への送信を条件として、送信先の端末から第1ファイルの格納先を特定する格納先データを受信する受信手段を備えていることが好ましい。このとき、第2ファイル作成手段は、受信した前記格納先データに基づき、前記第1ファイルへのリンク情報を含む第2ファイルを作成することが好ましい。
【0009】
第2ファイル作成手段は、第1ファイルを特定するデータとして、第1ファイルへのリンク情報を含む第2ファイルを作成することが好ましい。リンク情報は、典型的には、第1ファイルにハイパーリンクされたテキスト、或いはハイパーリンクされた縮小画像でよい。ハイパーリンクされたテキストは、第1ファイルのファイル名でよい。端末装置のユーザがハイパーリンクされたテキスト或いは縮小画像をクリックすると、第1ファイルを表示するアプリケーションが起動される。端末のユーザは、開いた第2ファイルの上で、第1ファイルを表示させる指示を端末に与えることができる。
【0010】
画像読取装置はさらに、ユーザ特定データに対応付けられた端末を特定するユーザ端末データを記憶する記憶手段を備えていることが好ましい。記憶手段は、ユーザ特定データと一の端末とを対応付けて記憶していてもよい。第2ファイル作成手段は、取得手段により取得したユーザ端末データによって特定される端末(或いは、ユーザ特定データに対応付けられた端末)へメッセージを送信することができるアプリケーションへのリンク情報をさらに含む第2ファイルを作成することが好ましい。「アプリケーションへのリンク情報」は、「アプリケーションを起動するための情報」と換言してよい。ユーザ端末データは、典型的にはユーザのメールアドレスでよい。アプリケーションへのリンク情報は、メールアプリケーションにハイパーリンクされたユーザのメールアドレスでよい。ユーザがハイパーリンクされたメールアドレスをクリックすると、ユーザのメールアドレスをセットしたメールアプリケーションが起動される。メールアプリケーションにハイパーリンクされたユーザのメールアドレスを含んでいる第2ファイルを生成することによって、画像読取装置は、画像データの送信を画像読取装置へ指示したユーザにメッセージを送るための端末操作を簡略化することができる。
【0011】
第2ファイル作成手段は、ファイル送信手段による第1ファイルの送信が成功したことを条件として第2ファイルを作成することが好ましい。画像読取装置は、第2ファイルのみを送信することがなく、必ず第1ファイルと第2ファイルを送信する。ファイル送信手段は、第2ファイル作成手段により作成された第2ファイルを、第1ファイルの送信先端末と同じ端末に送信することが好ましい。さらにファイル送信手段は、第1ファイルと第2ファイルを同一の格納先へ送信することが好ましい。第1ファイルと第2ファイルが同一の格納先に格納されることによって、端末のユーザは画像ファイルを管理し易くなる。
【0012】
画像読取装置はさらに、判断手段と第2ファイル取得手段を備えることが好ましい。判断手段は、第2ファイルの送信先の端末が過去の第2ファイルを保存しているか否かを判断する。第2ファイル取得手段は、判断手段により端末が過去の第2ファイルを保存していると判断された場合、その端末から過去の第2ファイルを取得する。この場合、第2ファイル作成手段は、第2ファイル取得手段により取得された過去の第2ファイルに記述された内容を含む新たな第2ファイルを作成する。ファイル送信手段は、新たな第2ファイルを送信する。新たな第2ファイルは、過去の第2ファイルと同ファイル名であることが好ましい。そのような構成によって、画像データを含む第1ファイルの数が多くなっても第2ファイルは自動的にひとつにまとめられる。つまり、過去の第2ファイルが上書きされる。ユーザは、ひとつの第2ファイルを開いて確認するだけで、新たな画像データを送信したユーザと過去の画像データを送信したユーザを知ることができる。
【0013】
或いは第2ファイル作成手段とファイル送信手段は次の機能を有していることが好ましい。第2ファイル作成手段は、判断手段により端末が過去の第2ファイルを保存していると判断された場合、新たに作成しようとする第2ファイルの内容を端末が保存している過去の第2ファイルに追加することを端末に要求するコマンドを作成する。ファイル送信手段は、第2ファイル作成手段が生成したコマンドを送信する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、画像の読み取りを画像読取装置に指示したユーザ、即ち、読み取った画像データを送信することを画像読取装置に指示したユーザを、画像データを受信した端末において特定することができるように工夫された画像読取装置を実現することができる。
【実施例】
【0015】
図面を参照して実施例の画像読取装置を説明する。本実施例の画像読取装置は、画像読取機能の他、ファクシミリ機能、コピー機能、プリンタ機能を兼ね備えた複合機(MFD:Multi Function Device)である。以下では、複合機をMFD10と称する。
【0016】
1.システム構成
図1は、MFD10のブロック図である。図1にはまた、ローカルエリアネットワーク50を介してMFD10と接続されている複数の端末(PC1、PC2、PC3、及びPC4)が描かれている。以下では、「ローカルエリアネットワーク50」を「LAN50」と称する。MFD10と端末は、LAN50を介して相互に通信することができる。
【0017】
MFD10は、CPU12、ストレージ14、コンソール22、ディスプレイ24、ネットワークインタフェイス26、PSTN(Public Switched Telephone Networks)インタフェイス28、プリントユニット30、ファクシミリユニット32、及びスキャナユニット34を備えている。図1に記された「I/F」の文字は「インタフェイス」を意味する。また、図1に記された「PGM」の文字は、「プログラム」を意味する。
【0018】
CPU12は、ストレージ14に格納された制御プログラム16に従ってMFD10を制御する。ストレージ14にはまた、各種のデータ20が格納されている。データ20には、プロファイルと呼ばれるデータが含まれる。プロファイルには、ユーザの情報と画像の読み取りに関する情報が含まれている。プロファイルの具体例は後述する。コンソール22は、ユーザの操作を受け付けるためのハードウエアである。すなわち、コンソール22は、ユーザから所望の指示、例えば画像の読み取り指示を受け付ける。
【0019】
ネットワークインタフェイス26は、LAN50を介して、端末と通信するためのハードウエアウエアである。PSTNインタフェイス28は、MFD10を公衆回線(不図示)に接続しているハードウエアである。MFD10は、公衆回線を通じてファクシミリのデータを授受する。プリントユニット30は印刷機能のためのハードウエアである。ファクシミリユニット32はファクシミリ機能のためのハードウエアである。スキャナユニット34はスキャナ機能(画像読取機能)のためのハードウエアである。
【0020】
2.MFD10が実行する処理の概要
MFD10がユーザの指示に基づいて画像を読み取り、読み取った画像データをユーザが希望する端末へ送信する処理の概要を説明する。図2に、MFD10が実行する処理のフローチャートを示す。なお、図2の処理は、制御プログラム16に記述されている。ユーザは、画像の読み取り指示とともに、ユーザIDを入力する。別言すれば、MFD10は、ユーザの画像の読み取り指示とともにユーザIDを取得する(S2)。ユーザIDは、MFD10のユーザを特定するデータである。MFD10は、ユーザIDとともにユーザを認証するためのパスワードを受け付ける場合もある。
【0021】
MFD10は、取得したユーザIDに基づいて、ユーザに関する情報、画像を読み取る際の設定、及び、画像データの送信先の端末を特定する。これらの情報は、プロファイルに記述されている。プロファイルの一例を図3に示す。プロファイルには、ユーザIDに、ユーザのメールアドレス、及び、画像を読み取る際の設定(図3の「Option」の項目)が対応付けられている。図3のプロファイルでは、「User_1」というIDに、「User_1@xxx.yyy」というメールアドレスと、「カラー」というオプションが対応付けられている。すなわち、MFD10は、ユーザIDに、ユーザの端末(メールアドレス)を対応付けたデータ(プロファイル)を記憶している。オプションの項目に記述された「カラー」は、画像の読み取りをカラーモードで実行する指示を示している。オプションの項目には、読み取った画像データを含むファイルのファイル形式や、解像度などの情報も記述されている。プロファイルに記述されたメールアドレスは、ユーザIDに対応付けられた端末を特定するユーザ端末データと換言することができる。さらに換言すれば、プロファイルは、ユーザIDに一の端末(メールアドレスによって特定される端末)を対応付けている。
【0022】
MFD10は、ユーザの画像読み取り指示に基づいて、プロファイルに記述された設定で画像を読み取る(S4)。MFD10は、読み取った画像データを含む画像ファイル(第1ファイル)を作成する(S6)。画像ファイルはjpeg形式やTIFF形式のファイルでよい。MFD10は、画像ファイルの名称として、画像ファイル作成日時や任意の文字列が含まれる名称を設定する。次に説明するステップS8とS10の処理は、実際には送信処理(S12)の中で実行される。図1は、理解を助けるために、便宜上ステップS8とS10を送信処理(S12)の前に記述している。MFD10は、ステップS4で取得した画像データのサムネイル(縮小画像)を作成する(S8)。次いでMFD10は、ユーザID、画像ファイルのファイル名(画像ファイルを特定するデータ)、及びサムネイルを含む履歴ファイル(第2ファイル)を作成する(S10)。履歴ファイルは、画像ファイルとは別個のファイルである。
【0023】
MFD10は、複数の端末の宛先を記述した宛先リストを記憶している。宛先リストはいわゆる「アドレス帳」でよい。ユーザは、宛先リストから画像ファイルの送信先の端末を指定する。MFD10は、ユーザによって指定された送信先へ、画像ファイルと履歴ファイルを送信する(S12)。なお、宛先は、宛先端末特定データとその宛先端末が有する共有フォルダを特定するデータとから構成される。例えば、宛先は、「PC1¥Folder」と記載される。「PC1」が宛先端末特定データを示しており、「Folder」が共有フォルダを示している。
【0024】
MFD10が作成する履歴ファイルを説明する。図4に、履歴ファイルの一例を示す。今回読み取った画像データに関する情報は、履歴ファイルの「履歴1」の項目に記述されている(a1)。履歴ファイルの「履歴2」の項目には、前回に読み取った画像データに関する情報が記述されている(a7)。即ちひとつの履歴ファイルに、今回読み取った画像データに関する情報と過去に読み取った画像データに関する情報が記述されている。履歴ファイルには、ステップS8で作成されたサムネイルが含まれている(a2)。履歴ファイルには、画像ファイルのファイル名と、画像ファイルの格納先も記述されている(a3)。履歴ファイルには、ステップS2で取得したユーザID、即ち、MFD10のユーザを特定するユーザ特定データも記述されている(a4)。履歴ファイルには、ユーザIDに対応付けられたメールアドレス、換言すれば、ユーザ特定データに対応付けられている端末を特定するユーザ端末識別子も記述されている(a5)。履歴ファイルには、画像を読み取った日時、即ち、画像ファイルの送信日時も記述されている(a6)。メールアドレス(a5)は、プロファイルから特定される。履歴ファイルに含まれる格納先(a3)については後述する。
サムネイル(a2)と格納先(a3)には、画像ファイルの格納先(a3)に基づき、画像ファイルへのハイパーリンクが設定されている。
【0025】
3.送信処理の説明
図2のフローチャートの送信処理(S12)について説明する。図5に、送信処理のフローチャートを示す。MFD10はまず、ステップS6(図2)で作成した画像ファイルを、ユーザによって指定された宛先の端末へ送信する(S30)。送信先の端末は、画像ファイルを受信すると、ファイルの受信に成功した旨のメッセージをMFD10へ返信する。メッセージを受信することによって、MFD10は、画像ファイルの送信が成功したと判断する(S32)。メッセージには、画像ファイルの格納先の情報が含まれている。すなわち、メッセージは、画像ファイルの格納先を特定する格納先データと換言することができる。前述した履歴ファイルに含まれている格納先(図4のa3)は、このメッセージに基づいて記述される。すなわち、MFD10は、画像ファイルの格納先を特定する格納先データを送信先から受信し、受信した格納先データに基づいて、画像ファイルへのハイパーリンクを含む履歴ファイルを作成する。
なお、画像ファイルの送信先の端末が、画像ファイルの受信に成功した場合に、画像ファイルの受信を完了した旨のメッセージは返信するが、上記のメッセージ(画像ファイルの格納先を特定する格納先データ)を返信しない端末の場合には、履歴ファイルの格納先(図4のa3)には、指定された宛先とステップS6で作成した画像ファイルのファイル名とに基づくデータが記述されるとよい。いずれのデータ(宛先及びファイル名)もMFD10が備えるデータであるため、上述のように、送信先の端末から格納先データが返信されない場合であっても、MFD10は、履歴ファイルに格納先(図4のa3)を記述することができる。さらに、MFD10は、格納先(図4のa3)に基づき画像ファイルへのハイパーリンクを含む履歴ファイルを作成するとよい。
【0026】
画像ファイルの送信に失敗した場合(S32:NO)、MFD10は、プロファイルにおいてユーザIDに対応付けられているメールアドレスへ、画像データの送信が失敗した旨のメッセージを送信する(S46)。
画像ファイルの送信に成功した場合(S32:YES)、MFD10は、送信先の端末が過去の履歴ファイルを保存しているか否かを確認する(S34)。履歴ファイルのファイル名には予め決められた文字列(例えば、「History」)が割り当てられている。MFD10は、その文字列を含むファイルが存在するか否かを確認することによって、過去の履歴ファイルの存在を確認することができる。その文字列は、ストレージ14に記憶されている。送信先の端末が過去の履歴ファイルを保存している場合(S34:YES)、MFD10は、端末から過去の履歴ファイルを取得する(S36)。MFD10は、過去の履歴ファイルに、今回送信が成功した画像データに関する情報を付加した新しい履歴ファイルを作成する(S38)。新しい履歴ファイルには、過去の履歴ファイルと同じファイル名が付される。今回の画像データに関する情報とは、図4に示した履歴1(a1)を指す。送信先の端末が過去の履歴ファイルを保存していない場合(S34:NO)、MFD10は、今回の画像データに関する情報を含んだ全く新しい履歴ファイルを作成する(S38)。MFD10は、その作成した履歴ファイルのファイル名をストレージ14に記憶しておく。なお、ステップS38において、MFD10は、画像データを縮小したサムネイルを作成する。
MFD10は、ステップS2(図2)により取得したユーザIDによらず、ストレージ14に記憶した履歴ファイル名に基づいて履歴ファイルを作成する(ステップS38)。つまり、MFD10は、ユーザIDが異なることにより、ユーザID毎に履歴ファイルを作成することがない。そのような処理により、格納先に履歴ファイルがむやみに生成されることが防止される。
【0027】
なお、MFD10は、ステップS36で履歴ファイルを取得するとき、履歴ファイルの属性も取得する。MFD10は、履歴ファイルの属性を参照し、過去の履歴ファイルに「書き込み禁止」が設定されているか否かを確認する。「書き込み禁止」が設定されている場合、ステップS38においてMFD10は、全く新しい履歴ファイルを作成する。全く新しい履歴ファイルには、過去の履歴ファイルのファイル名に番号を追加したファイル名が付される。
【0028】
次にMFD10は、ステップS38で作成した履歴ファイルを、ユーザによって指定された宛先の端末へ送信する(S40)。即ち、MFD10は、画像ファイルの格納先と同じ格納先に、履歴ファイルを送信する。履歴ファイルの送信に成功した場合(S42:YES)、MFD10は、ユーザIDに対応付けられているメールアドレスへ、画像ファイルと履歴ファイルの送信に成功した旨のメッセージを自動的に送信する(S44)。他方、履歴ファイルの送信に失敗した場合(S42:NO)、MFD10は、ユーザIDに対応付けられているメールアドレスへ、履歴ファイルの送信が失敗した旨のメッセージを自動的に送信する(S46)。
【0029】
MFD10は、以下の利点を有している。
(1)MFD10は、画像ファイルとは独立した履歴ファイルを作成する。履歴ファイルと画像ファイルは、同一の格納先に送信される。端末のユーザは、履歴ファイルを開くことによって、画像ファイルを送ったユーザを確認することができる。履歴ファイルには画像データのサムネイル(縮小画像)が含まれている。履歴ファイルは画像ファイルとは独立しているが、ユーザは履歴ファイルを開くだけで画像データを確認することができる。
(2)履歴ファイルには画像データのサムネイル(a2)と画像ファイルのファイル名(a3)が含まれている。サムネイル(a2)と画像ファイルのファイル名(a3)には、画像ファイルへのハイパーリンク(リンク情報)が設定されている。履歴ファイルと画像ファイルが格納された端末のユーザが履歴ファイルに記述されたサムネイル(a2)またはファイル名(a3)をクリックすると、画像ファイルが端末に表示される。このハイパーリンクによって、端末のユーザは履歴ファイルの上から画像ファイルを開くことが可能となる。
(3)ユーザIDに対応付けられたメールアドレス(a5)には、メールアプリケーションへのハイパーリンクが設定されている。メールアドレスに設定されたハイパーリンクは、ユーザIDに対応した端末へメッセージを送信することができるアプリケーションを起動するための情報である。履歴ファイルが格納された端末においてユーザが履歴ファイルに記述されたメールアドレス(a5)をクリックすると、そのメールアドレスが設定されたメールアプリケーションが起動される。このハイパーリンクは、端末のユーザが画像ファイルを送信したユーザにメッセージを送るための操作を簡略化する。
(4)MFD10は、ユーザIDに、メールアドレスと画像ファイルの格納先を対応付けているプロファイルを記憶している。ユーザは、ユーザIDを入力するだけで、画像ファイルの格納先を指定することができる。
(5)MFD10は、画像ファイルの送信に成功したことを条件として、履歴ファイルを送信する(図5のステップS32、及びS40)。画像ファイルの送信が失敗したにも関わらず、履歴ファイルが送信される事態が生じることはない。
(6)MFD10は、画像ファイル送信先の端末に既に過去の履歴ファイルが保存されている場合、その過去の履歴ファイルに、新たな画像ファイルを特定するデータ(ファイル名)とユーザIDを追加する。MFD10は、画像ファイルの数が増えても履歴ファイルの数を増やすことがない。
【0030】
MFD10は、次の機能を備えていてもよい。
端末に過去の履歴ファイルが保存されている場合(図5のステップS32)、MFD10は、ステップS36、S38、及びS40を実行する代わりに、次の処理を実行してもよい。その処理とは、新たに作成しようとする履歴ファイルの内容(画像ファイルを特定する情報とユーザ特定情報)を端末が既に保存している過去の履歴ファイルに追加することを端末に要求するコマンドを端末に送信する処理である。
【0031】
上記した実施例のMFD10は、画像ファイルの格納先を示す格納先データと、読み取った画像データを縮小した縮小画像データ(サムネイル)の両方を含む履歴ファイルを作成する。MFD10は、格納先データとサムネイルの少なくとも一方のデータを含む履歴ファイルを作成してもよい。
【0032】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】MFDのブロック図を示す。
【図2】MFDの処理のフローチャートを示す。
【図3】プロファイルデータの一具体例を示す。
【図4】履歴ファイルの一具体例を示す。
【図5】送信処理のフローチャートを示す。
【符号の説明】
【0034】
10:MFD(画像読取装置)
12:CPU
14:ストレージ
16:制御プログラム
22:コンソール
24:ディスプレイ
34:スキャナユニット
50:ローカルエリアネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して複数の端末と通信可能に接続され、読み取った画像データを前記複数の端末の内の一つに送信する画像読取装置であり、
当該画像読取装置のユーザを特定するユーザ特定データを取得する取得手段と、
読み取った画像データを含む第1ファイルを作成する第1ファイル作成手段と、
前記ユーザ特定データと第1ファイルを特定するデータとを含む第2ファイルを作成する第2ファイル作成手段と、
第1ファイルと第2ファイルを端末へ送信するファイル送信手段と、
を備えていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
第2ファイル作成手段は、第1ファイルの格納先を特定する格納先データと読み取った画像データを縮小した縮小画像データの少なくとも一方のデータをさらに含む第2ファイルを作成することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
ファイル送信手段による第1ファイルの端末への送信を条件として、送信先の端末から第1ファイルの格納先を特定する格納先データを受信する受信手段を備えており、
第2ファイル作成手段は、受信した前記格納先データに基づき、前記第1ファイルへのリンク情報を含む第2ファイルを作成することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
ユーザ特定データに対応付けられた端末を特定するユーザ端末データを記憶する記憶手段を備え、
第2ファイル作成手段は、前記取得手段により取得したユーザ特定データのユーザ端末データによって特定される端末へメッセージを送信することができるアプリケーションへのリンク情報を含む第2ファイルを作成することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記第2ファイル作成手段は、前記ファイル送信手段による第1ファイルの送信が成功したことを条件として第2ファイルを作成し、
前記ファイル送信手段は、前記第2ファイル作成手段により作成された第2ファイルを、前記第1ファイルの送信先端末と同じ端末に送信することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
ファイル送信手段は、第1ファイルと第2ファイルを同一の格納先へ送信することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記第2ファイルの送信先の端末が第2ファイルを保存しているか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記端末が第2ファイルを保存していると判断された場合、当該端末から当該第2ファイルを取得する第2ファイル取得手段と、
を備え、
第2ファイル作成手段は、前記第2ファイル取得手段により取得された第2ファイルに記述された内容を含む新たな第2ファイルを作成し、
ファイル送信手段は、新たな第2ファイルを送信することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記第2ファイルの送信先の端末が第2ファイルを保存しているか否かを判断する判断手段を備え、
第2ファイル作成手段は、前記判断手段により前記端末が第2ファイルを保存していると判断された場合、新たに作成しようとする第2ファイルの内容を前記端末が保存している第2ファイルに追加することを端末に要求するコマンドを作成し、
ファイル送信手段は、前記第2ファイル作成手段が生成したコマンドを送信することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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