説明

データ送受信経路制御装置及び方法

【課題】本発明は、既存のサーバシステムの修正を最小限しながら移動端末機のネットワーク環境が変わる時に発生する遅延時間及びデータ損失を最小限にし、サービス継続性を保障することができるデータ送受信経路制御装置及び方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかるサーバと異機種ネットワーク環境に位置する移動端末機との間のデータ送受信経路を制御する方法は、移動端末機が異機種ネットワーク環境で使用可能な少なくとも一の実IPと、少なくとも一の仮想IPとをマッピングして経路マッピングテーブルを生成し、生成された経路マッピングテーブルを参照してサーバと移動端末機との間のデータ送受信経路を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ送受信経路制御装置及び方法に関するものであって、より詳細には、移動ノードの移動性とは無関係にサービスに対する連続性を保障し、マルチホーミングを支援することができるデータ送受信経路制御装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク技術の発展及び普及により異機種網が混在されたり重畳されたネットワーク環境が増加したりしており、このようなネットワーク環境を最大に活用するための多様な方案が提示されている。しかしながら、モバイル環境においてサービスを提供する既存のサーバシステムはこのようなネットワーク環境を考慮せず、単一送受信経路及び単一IP経路を基盤に動作する場合が殆どである。
【0003】
また、移動端末機の移動性により移動端末機が属するネットワーク(または利用するIP)が変更される場合、移動端末機は新しいネットワークに登録してデータサービスを受けることになる。この時、移動端末機にはネットワーク変更によりデータ損失及び遅延時間の増加のような現象が発生する。よって異機種ネットワークが重畳されたモバイル環境において、移動端末機で利用可能なネットワークを最大に活用することができ、移動端末機の移動性により発生するネットワーク接続が途切れた状況でも、サービス継続性を保障しなければならない。そして、このような要求事項に加えて既存のサービスを提供するサーバシステムの修正を最小限にし、投資コストを抑制しながらサービス継続性の保障、遅延時間及びデータ損失を最小限にすることのできる対応が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとすると課題】
【0004】
本発明は、既存のサーバシステムの修正を最小限しながら移動端末機のネットワーク環境が変わる時に発生する遅延時間及びデータ損失を最小限にし、サービス継続性を保障することができるデータ送受信経路制御装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態によれば、サーバと異機種ネットワーク環境に位置する移動端末機との間のデータ送受信経路をエージェントで制御する方法は、前記移動端末機が前記異機種ネットワーク環境で使用可能な少なくとも一の実IPと、少なくとも一の仮想IPとをマッピングして経路マッピングテーブルを生成する段階、及び前記生成された経路マッピングテーブルを参照して、前記サーバと前記移動端末機との間のデータ送受信経路を決める段階を含む。
【0006】
この時、前記少なくとも一の仮想IPは、前記サーバが移動端末機に提供するサービス等別に割当される。
【0007】
前記少なくとも一の仮想IPは、前記サービス等に割当されたサービス優先順位を考慮して割当される。
【0008】
前記サービス等に割当された前記サービス優先順位のうち、少なくとも一部が変更されると、前記エージェントは前記サービス等別に割当される、前記少なくとも一の仮想IPを前記変更された優先順位を参照してアップデートする。
【0009】
前記データ送受信経路を決める段階は、高いサービス優先順位を有するサービスが、高い経路優先順位を有する実IPに提供されるよう、データ送受信経路を決めるように構成される。
【0010】
前記データ経路を決める段階は、前記移動端末機から前記サーバに伝送されるデータに含まれる実IPを、前記実IPにマッピングされた仮想IPに代置した後、前記サーバに伝送する段階を含む。
【0011】
前記データ経路を決める段階は、前記サーバから前記移動端末機に伝送されるデータに含まれた仮想IPを、前記仮想IPにマッピングされた実IPに代置した後、前記移動端末機に伝送する段階を含む。
【0012】
前記データ経路を決める段階は、前記代置された実IPの接続が解除されると、前記接続が解除された実IPを他の実IPに変更した後、前記データを前記移動端末機に伝送する段階を含む。
【0013】
前記データ経路を決める段階は、前記仮想IPにマッピングされた実IPが複数存在する場合、前記サーバから前記移動端末機に伝送されるデータに含まれる仮想IPを、前記複数の実IPに代置して前記データを前記移動端末機にマルチホーミング(multihoming)する段階を含む。
【0014】
一方、本発明の一実施形態によれば、サーバと異機種ネットワーク環境に位置する移動端末機との間のデータ送受信経路を制御するための装置は、前記移動端末機が前記異機種ネットワーク環境で使用可能な少なくとも一の実IPと、少なくとも一の仮想IPとをマッピングして経路マッピングテーブルを作成するテーブル作成部、及び前記作成された経路マッピングテーブルを参照して前記サーバと前記移動端末機との間のデータ送受信経路を決める制御部を含む。
【0015】
前記装置は、前記サービス等に割当されたサービス優先順位を考慮して前記少なくとも一の仮想IPを割当する仮想IP割当部を更に含む。
【0016】
一方、本発明の一実施形態によれば、ハードウェア装置は、処理回路及び前記処理回路で遂行するための命令が格納されている非揮発性メモリを備え、前記命令は、上位デバイスのアドレスを格納する段階、下位デバイスの実アドレスを格納する段階、及び連関されているサービス優先順位により、前記上位デバイスのアドレスに対応する前記下位デバイスの実アドレスを仮想化する段階を含む。
【0017】
この時、前記仮想化は、経路マッピングテーブルに基づいて遂行され、前記経路マッピングテーブルは、それぞれの前記下位デバイスの実アドレス、一以上の対応する下位デバイスの仮想アドレス、及び前記サービス優先順位を連関して格納することができる。
【0018】
そして前記命令は、受信した上位データのソースアドレスを前記経路マッピングテーブルにより、前記ソースアドレスと連関されている下位デバイスの仮想アドレスのうち一に置換することで前記上位データを修正する段階、及び受信した下位データの目的地アドレスを、前記経路マッピングテーブルにより、前記目的地アドレスと連関されている下位デバイスの実アドレスのうち一に置換することで前記下位データを修正する段階を更に含むことができる。
【0019】
また、前記経路マッピングテーブルの前記目的地アドレスが一以上の下位デバイスの実アドレスとマッピングされる場合、前記下位データは、前記目的地アドレスを前記対応する全ての下位デバイスの実アドレスに置換することで修正することができる。
【0020】
そして前記命令は、いずれの下位デバイスの実アドレスの解除通知に応答し、前記経路マッピングテーブルで解除された前記下位デバイスの実アドレスを他の下位デバイスの実アドレスに置換することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の実施形態によれば、移動ノードの移動性と無関係にサービスの連続性を保障することで、シームレス垂直ハンドオーバー(seamless vertical handover)を支援することができる。すなわち、仮想IPを利用してサービスを提供することで、移動ノードの移動によるネットワーク接続の変更またはIPの変更などが生じた場合にも低い遅延時間、サービス継続性及び継続的な接続を保障することができる。
【0022】
また、本発明の実施形態によれば、移動ノードで使用可能な複数の実際ネットワーク経路等を同時に活用してサービスを提供することができ、経路マッピングテーブルにより利用可能な資源を迅速に判断することで、ABC(Always Best Connection)環境及び迅速なサービス、低いネットワークコストなどの効果を提供することができる。
【0023】
また、本発明の実施形態によれば、既存のネットワークシステムにインフラを追加的に構築したり、サーバシステムのソフトウェア及び移動ノードのカーネルを修正したりする必要がないので、技術普及が容易である。
【0024】
また、本発明の実施形態によれば、仮想ネットワーク経路を活用することで、サービスサーバ、エージェント、RANなどの全体的なインフラが普及されなくても、単一サービス事業者が垂直ハンドオーバーを独自的に支援することができる。
【0025】
また、本発明の実施形態によれば、既存の垂直ハンドオーバーに利用されるMobile IPとノード等との間のトンネル要素を排除してもシームレス垂直ハンドオーバーを支援することができ、それ故に垂直ハンドオーバーに対する追加的なネットワーク負担またはコストを要しない。
【0026】
また、本発明の実施形態によれば、高いQoSに対して優れた経路を割当することで、高いQoSが要求されるサービスも相対的かつ安定的に移動ノードに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明が適用される通信システムの一例を示す図である。
【図2】本発明の実施形態によるデータ送受信経路制御装置を示すブロック図である。
【図3】テーブル作成部で作成されたネットワーク管理テーブルの一例を示す図である。
【図4】テーブル作成部で作成されたサービス管理テーブルの一例を示す図である。
【図5】テーブル作成部で作成された経路マッピングテーブルの一例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態によるエージェントのデータ送受信経路制御方法を説明するためのフローチャットである。
【図7】本発明の実施形態によるエージェントのマルチホーミング支援方法を説明するためのフローチャットである。
【図8】本発明の実施形態によるエージェントのシームレス垂直ハンドオーバー支援方法を説明するためのフローチャットである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の上記目的、他の目的、特徴及び利点等は、添付の図面と関連する以下の好ましい実施形態等により容易に理解されるであろう。しかしながら、本発明は、ここで説明する実施形態等に限定されず、他の形態に具体化することができる。むしろ、ここで紹介する実施形態等は開示された内容が徹底して完全になるように、そして当業者に本発明の思想が十分に伝達されるようにするために提供するものである。本明細書で、ある構成要素が他の構成要素上に存在すると表現される場合、それは他の構成要素上に直接形成することができるか、或いはそれらの間に第3の構成要素が存在し得るということを意味する。
【0029】
本明細書で使用される用語は実施形態等を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。本明細書で、単数形は文句で特に言及しない限り複数形も含む。明細書で使用される「含む(comprises)」及び/または「含む(comprising)」が言及される構成要素は、一以上の他の構成要素の存在または追加を排除するものではない。
【0030】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。以下の特定の実施形態等を記述するにあたり、さまざまの特定的な内容等は、発明を具体的に更に説明して理解を助けるために記載した。しかしながら、本発明が理解される程のこの分野の知識を有している者は、このようなさまざまの特定的な内容等がなくても用いられるということを認識することができる。場合によって、発明を記述するにあたりよく公に知られており、発明とあまり関係のない部分等は、本発明を説明するにあたり、理由もなく混沌することを防ぐためにあえて記述していないことを予め言及しておく。
【0031】
まず、本発明の実施形態で用いられる用語を説明すれば、次のとおりである。
‐ 実IP(Internet Protocol):移動端末機30が異種間ネットワーク環境で使用可能な実ネットワークアドレス
‐ 仮想IP:移動端末機30に提供されるサービス等に与えられる仮想ネットワークアドレス
‐ サーバIP:第1のないし第3のサービスサーバ等11、12、13がサービス別に利用するネットワークアドレス
‐ サービス:第1のないし第3のサービスサーバ等11、12、13から移動端末機30に提供されるサービス
‐ 経路優先順位:実IP等別に与えられる優先順位
‐ サービス優先順位:サービス等に与えられる優先順位
【0032】
図1は、本発明が適用される通信システムの一例を示す図である。図1を参照すれば、通信システムは、第1のないし第3のサービスサーバ等11、12、13、データ送受信経路制御装置20、及び移動端末機30を含む。
【0033】
第1のないし第3のサービスサーバ等11、12、13は、それぞれ第1のないし第3のサービスを提供する。図面にはサービス別にそれぞれ別途のサーバを有するように示しているが、第1のないし第3のサービスサーバ等11、12、13は物理的に一のサーバに属することができる。このような場合、第1のないし第3のサービスサーバ等11、12、13を含むサーバシステムは、サーバ制御部(未図示)を更に含むことができる。サーバ制御部は、データ送受信経路制御装置20から提供される仮想IPアドレス等を利用して第1のないし第3のサービスサーバ等11、12、13のサービスの提供を管掌することができる。仮想IPアドレスは、データ送受信経路制御装置20から付与され、以下、「仮想IP」と称する。
【0034】
第1のないし第3のサービスサーバ等11、12、13は、それぞれのサーバIPアドレスを利用してサービスを提供する。例えば、第1のサービスサーバ11は、「1.1.1.11」というIPアドレスを利用してサービスを提供する。以下、サーバIPアドレスを「サーバIP」と称する。
【0035】
データ送受信経路制御装置20は、ネットワーク機能を搭載した移動端末機30を対象にサービスを提供し、移動端末機30と無線接続ネットワーク(RAN:Radio Access Network)との接続生成及び解除が発生する時、垂直ハンドオーバー(Vertical Handover)ソリューションを提供することができる。垂直ハンドオーバーソリューションにより、データ送受信経路制御装置20はRANとの接続及びサービス継続性を保障し、移動端末機30が異種間無線ネットワーク環境で使用可能なすべてのRAN等を送受信に活用することのできるマルチホーミング(multihoming)機能を提供することができる。
【0036】
データ送受信経路制御装置20は、第1のないし第3のサービスサーバ等11、12、13からなるサーバシステムと外部ネットワークとの間に位置することができる。これは、データ送受信経路制御装置20がサーバシステムから受信されるデータまたは移動端末機30からサーバシステムに送信されるデータの送受信経路すべてを制御するためである。
【0037】
また、データ送受信経路制御装置20は、既存のスィッチ、ルータまたはサーバシステム内部にソフトウェア的に具現され得る。すなわち、データ送受信経路制御装置20は、既存のネットワークエレメントに追加される、新しい機能(function)の形態で存在することができる。換言すると、データ送受信経路制御装置20は、処理回路(processing unit)及び前記処理回路が遂行する命令が格納されている非揮発性メモリーを含む装置に含まれ得り、格納されている前記命令は、データ送受信経路制御装置20の機能を遂行するためのものであり得る。この場合、前記非揮発性メモリーは、前記経路マッピングテーブル及び他の情報等を共に格納することができる。
【0038】
外部ネットワークは、例えば、インターネットなどの通信網40、第1のRAN51、及び第2のRAN52を含むことができる。第1のRAN51及び第2のRAN52は互いに異なる無線ネットワーク環境を提供することができ、例えば、第1のRAN51はWCDMA網を、第2のRAN52はWiFi網を提供することができる。第1のRAN51及び第2のRAN52は、それぞれ基地局及び基地局制御装置を含むことができる。
【0039】
移動端末機30は、第1のRAN51及び第2のRAN52を含む異機種ネットワークと接続され、複数の実IPアドレスを同時にまたはそれぞれ利用することができる。IPアドレスは、例えば、第1のRAN51及び第2のRAN52により割当される。移動端末機30の例としては、スマートフォン、ラップトップ、タブレットPCなど、通信機能を有するすべての電子機器があり得る。以下、実IPアドレスを「実IP」と称する。
【0040】
移動端末機30には、サービスモジュールであるクライアント31を搭載することができ、クライアント31はアプリケーションの形態で具現化可能である。クライアント31は、第1のRAN51または第2のRAN52により電話サービスを提供するか、或いはVPN(Virtual Private Network)のようにセキュリティ保護が必要な接続サービスを提供するなど、多様なサービスを提供することができる。クライアント31は、第1のRAN51及び第2のRAN52のうち少なくとも一に、通信網40及びデータ送受信経路制御装置20を経由して、第1のないし第3のサービスサーバ等11、12、13のうち少なくとも一に、サービスを要求するかサービスを提供することができる。
【0041】
図2は、本発明の実施形態によるデータ送受信経路制御装置20を示すブロック図である。
【0042】
図2を参照すれば、データ送受信経路制御装置20は、通信部210、第1の格納部220、優先順位判断部230、仮想IP割当部240、テーブル作成部250、第2の格納部260、及び制御部270を含む。
【0043】
通信部210は、第1のないし第3のサービスサーバ等11、12、13及び移動端末機30と通信する。例えば、通信部210は、第1のないし第3のサービスサーバ等11、12、13のうちいずれから提供されるサービスのデータ(下位データ)を移動端末機30に伝送するか、或いは移動端末機30から受信されるデータ(上位データ)を第1のないし第3のサービスサーバ等11、12、13のうちいずれかに伝送する。
【0044】
第1の格納部220は、移動端末機30から受信するネットワーク属性情報及びユーザデータ、優先順位判断部230によって決定される経路優先順位及びサービス優先順位、そして仮想IP割当部240からサービス等に割当された仮想IP等を格納する。ネットワーク属性情報及びユーザデータの具体的な説明は、図3を参照して後述する。
【0045】
経路優先順位及びサービス優先順位がサーバ制御部(未図示)またはクライアント31から提供される場合、第1の格納部220は、提供された経路優先順位及びサービス別優先順位を臨時格納することができる。
【0046】
優先順位判断部230は、第1の格納部220に格納されているネットワーク属性及びユーザデータを分析して実IP等の経路優先順位を判断することができる。優先順位判断部230はTraditional、Function based、User Centric、Fuzzy Logic based、Neural Networks based、Multiple Attribute、Context-awareなどの周知の多様な方法を利用して経路優先順位を判断することができる。特定な実IPの経路優先順位が高いということは、[表1]のネットワークコスト(cost)、速度、安全性などの項目が、他の実IPに比べて優れているということを意味する。
【0047】
また、優先順位判断部230は、移動端末機30が提供されているサービス等の優先順位(以下、「サービス優先順位」と称する)を判断することができる。前記サービス優先順位は、移動端末機30に提供されるサービス等に対する相対的な優先順位であって、サービスの重要度により優先順位が変更され得る。特定サービスのサービス優先順位が高いということは、該当サービスを提供するために他のサービス等より高いQoS(Quality of Service)が要求されることを意味する。
【0048】
優先順位判断部230は、サービス数と同様、サービス優先順位を分類することができるが、必ずしもそうではない。例えば、サービス数が図4に示すように3個であっても、優先順位判断部230は、H(high)とL(low)との二つのサービス優先順位を各サービス等に割当することができる。
【0049】
経路優先順位は移動端末機30で決定することもでき、サービス優先順位はサーバ制御部(未図示)または移動端末機30で決定することもできる。このような場合、データ送受信経路制御装置20は優先順位判断部230を具備しないことも可能である。
【0050】
また、経路優先順位及びサービス優先順位は、サーバ制御部(未図示)と移動端末機30との協議(negotiation)により決定することもできる。この場合、サーバ制御部(未図示)及び移動端末機30は、第1のないし第3のサービスサーバ等11、12、13のうちいずれが有している情報(例えば、図3に示すネットワーク属性情報等の一部)及び移動端末機30が有している情報(例えば、図3のユーザデータ)を共有し、共有する情報を用いた協議により経路優先順位またはサービス優先順位を決定するか、或いは優先順位の設定を要求することができる。
【0051】
経路優先順位が移動端末機30により決定される場合、通信部210は移動端末機30により各実IP別に決定された経路優先順位に対する情報を受信し、第2の格納部260は受信した実IP別経路優先順位が記録されるテーブルを格納することができる。このような場合、通信部210はネットワーク属性及びユーザデータを収集せず、テーブル作成部250は図3のようなネットワーク管理テーブル300を作成しなくてもよい。
【0052】
サービス優先順位がサーバ制御部(未図示)により決定される場合、サーバ制御部(未図示)は第1のないし第3のサービスサーバ等11、12、13が提供するすべてのサービス等に対してサービス優先順位を決定することができる。移動端末機30によりサービス優先順位が決定される場合、移動端末機30は、複数のデータ送受信経路制御装置等により提供されるすべてのサービス等に対して優先順位を決定することができる。また、優先順位判断部230によりサービス優先順位が決定される場合、優先順位判断部230はデータ送受信経路制御装置20が関与するすべてのサービス等を対象に優先順位を決定することができる。以下、優先順位判断部230が経路優先順位及びサービス優先順位を決定する一例について説明する。
【0053】
仮想IP割当部240は、サービス等に決められたサービス優先順位を参照して実IP等に仮想IP等を割当する。仮想IP割当部240は、サービス等に決められたサービス優先順位の分類個数の分だけ仮想IP等を生成し、生成した仮想IP等をサービス等(またはサービス優先順位等、または実IP)に割当することができる。この時、仮想IP割当部240は、同一のサービス優先順位を有するサービス等には同一の仮想IPを割当することができる。また仮想IP割当部240は、少なくとも一の実IPに対して少なくとも一の仮想IPを割当することができる。
【0054】
例えば、後述する図4に示すように、サービス個数は3個であっても、決定されたサービス優先順位の分類数は2個(H及びL)である場合、仮想IP割当部240は2個のサービス優先順位等をサービス等に割当することができる。また、サービス個数は3個であり、決められたサービス優先順位の分類数は4個である場合、仮想IP割当部240は4個のサービス優先順位等のうち一部をサービス等に割当することができる。仮想IP割当部240は、サービス等に割当された仮想IP等をサービス等のIDにマッピングして第1の格納部220に格納することができる。
【0055】
仮想IP割当部240は、サービス等に決定されたサービス優先順位が変更されると、サービス等に割当された仮想IP等を、変更されたサービス優先順位を参照して変更することもできる。例えば、現在、2個のサービス(S1、S2)にはHのサービス優先順位が決定されており、1個のサービス(S3)にはLのサービス優先順位が決定されていると仮定する。時間が経過してサービス(S1)のサービス優先順位がLに変更されると、仮想IP割当部240はサービス(S1)の仮想IPをサービス(S3)の仮想IPと同一に変更することもできる。
【0056】
一方、テーブル作成部250は、ネットワーク管理テーブル300、サービス管理テーブル400、及び経路マッピングテーブル500を作成することができる。
【0057】
先ず、ネットワーク管理テーブル300について説明する。
【0058】
テーブル作成部250は、第1の格納部220に格納されているネットワーク属性、ユーザデータ、及び実IP等に対して、判断された経路優先順位を利用してネットワーク管理テーブル300を作成することができる。
【0059】
図3は、テーブル作成部250で作成されたネットワーク管理テーブル300の一例を示す図である。
【0060】
図3を参照すれば、ネットワーク管理テーブル300は、移動ノードID項目、実IP項目、ネットワーク属性項目、ユーザデータ項目、及び経路優先順位項目を含む。図3の各項目はサーバシステム別に追加されるか、或いは削除することができる。
【0061】
テーブル作成部250は、移動ノードID項目にクライアント31のIDまたは移動端末機30のIDを記録し、実IP項目には移動端末機30またはクライアント31が異機種ネットワーク環境で使用可能な実IP等を記録する。移動ノードはクライアント31または移動端末機30を意味し、以下、移動ノードとして移動端末機30を例にして説明する。
【0062】
テーブル作成部250は、ネットワーク属性項目に移動端末機30がデータを送受信するにあたり、利用可能な実IPに対する集合情報を示すネットワーク属性等を記録する。テーブル作成部250は、ユーザデータ項目に移動端末機30のユーザにより設定される情報を記録するので、ユーザデータはユーザの選好度でも表現することができる。
【0063】
ネットワーク属性等及びユーザデータに含まれる情報は、次の[表1]のように分類することができる。
【表1】

【0064】
優先順位判断部230は、移動端末機30のネットワーク属性またはユーザデータが受信される度に各IPの経路優先順位を判断する。そしてテーブル作成部250は、優先順位判断部230により経路優先順位が新たに判断される度にネットワーク管理テーブル300をアップデートする。
【0065】
次に、サービス管理テーブル400について説明する。テーブル作成部250は、サービス等に決定されたサービス優先順位と、サービス等に割当された仮想IP等を利用してサービス管理テーブル400を作成することができる。サービス管理テーブル400は、移動端末機30に提供されるサービス等の集合情報であって、サービス別サービス優先順位は第1の格納部220に格納され得る。
【0066】
図4は、テーブル作成部250で作成されたサービス管理テーブル400の一例を示す図である。図4を参照すれば、サービス管理テーブル400は、移動ノードID項目、サービスID項目、サービス優先順位項目、及び仮想IP項目を含む。
【0067】
テーブル作成部250は、移動ノードID項目に移動端末機30のIDを記録し、サービスID項目に移動端末機30に提供されるサービス等のIDを記録する。
【0068】
また、テーブル作成部250は、サービス優先順位項目にサービス等の重要度によるサービス優先順位を記録し、仮想IP項目にサービス等に割当された仮想IP等を記録する。仮想IP割当部240で説明したように、仮想IP割当部240は、サービス等に決定されたサービス優先順位が変更されると、サービス等に割当された仮想IP等を、変更されたサービス優先順位を参照して変更する。よってテーブル作成部250はサービス等の仮想IPが変更される都度、サービス管理テーブル400をアップデートする。
【0069】
最後に、経路マッピングテーブル500について説明する。
【0070】
テーブル作成部250は、実IP等、サービス優先順位を参照してサービス等に割当される仮想IP等、及びサービス等を提供する第1のないし第3のサービスサーバ等11、12、13に割当されたサーバIP等をマッピングして経路マッピングテーブル500を作成することができる。
【0071】
図5は、テーブル作成部250で作成された経路マッピングテーブル500の一例を示す図である。
【0072】
図5を参照すれば、経路マッピングテーブル500は、サービス優先順位項目、仮想IP項目、実IP項目、及びサーバIP項目を含む。
【0073】
テーブル作成部250は、サービス優先順位項目に図4のサービス等にマッピングされたサービス優先順位を記録し、仮想IP項目に図4のサービス優先順位にマッピングされた仮想IPを記録する。また、テーブル作成部250は、実IP項目に移動端末機30等の利用可能な実IP等を記録し、サーバIP項目に各サービスを提供するサーバのIPを記録する。
【0074】
詳細に説明すれば、テーブル作成部250は、図4の仮想IP等のうち、高いサービス優先順位にマッピングされた仮想IP経路に、経路優先順位の高い実IPとサービスサーバのIPとをマッピングさせて経路マッピングテーブル500を作成することができる。これは、サービス等のうち高い優先順位が決定されたサービスは、実IP等のうち高い経路優先順位が決定された実IPにより提供されるためである。この時、「マッピングされるサービスサーバのIP」は、図4において高いサービス優先順位のサービスを提供するサーバのIPである。
【0075】
テーブル作成部250で作成したネットワーク管理テーブル300、サービス管理テーブル400、及び経路マッピングテーブル500は、第2の格納部260に格納され得る。テーブル作成部250は、移動端末機30で使用可能な実IPが追加されるか或いは解除されると、第2の格納部260に格納されているネットワーク管理テーブル300及び経路マッピングテーブル500をアップデートすることができる。
【0076】
例えば、移動端末機30の移動により、移動端末機30が新しいネットワーク環境に接続されると、移動端末機30は、新しいネットワーク環境のRANから新規実IPが付与される。移動端末機30は、新規実IPのネットワーク属性及びユーザデータをデータ送受信経路制御装置20に伝送しながら新規実IPの登録を要求する。これにより、優先順位判断部230は、追加された新規実IP及び既存の実IP等に対して経路優先順位を再度判断し、テーブル作成部250は、再度判断された経路優先順位を参照してネットワーク管理テーブル300及び経路マッピングテーブル500をアップデートすることができる。
【0077】
また、移動端末機30の移動により使用中のネットワーク環境の接続が解除されると、移動端末機30は使用中の実IPの登録解除をデータ送受信経路制御装置20に要求する。これにより、優先順位判断部230は、解除された実IPを除く実IP等に対して経路優先順位を再度判断し、テーブル作成部250は、再度判断された経路優先順位を参照してネットワーク管理テーブル300及び経路マッピングテーブル500をアップデートすることができる。
【0078】
一方、制御部270は、サービス等のうち高い優先順位が決定されたサービスが、実IP等のうち高い経路優先順位が決定された実IPにより提供されるようにすることができる。すなわち、制御部270は、このような要求に適合するよう、経路マッピングテーブル500を作成するようにテーブル作成部250を制御することができる。
【0079】
また、制御部270は、作成された経路マッピングテーブル500を利用して第1のないし第3のサービスサーバ等11、12、13のうち少なくとも一と移動端末機30との間のデータ送受信経路を制御することができる。以下、第1のないし第3のサービスサーバ等11、12、13のうちの少なくとも一として、第1のサービスサーバ11を例に説明する。
【0080】
先ず、移動端末機30から第1のサービスサーバ11にデータが伝送される場合について説明する。移動端末機30からデータを受信すると、制御部270は、受信されたデータに含まれる第1のソースIPと第1の目的地IPを確認する。第1のソースIPは、移動端末機30がデータ伝送時に利用した実IPであり、第1の目的地IPはサービスを提供されようとする第1のサービスサーバ11のサーバIPである。制御部270は、経路マッピングテーブル500を利用して第1のソースIPを、すなわち、実IPを実IPにマッピングされた仮想IPに切り替えることができる。そして、制御部270は、切り替えられた仮想IPを第1のソースIPとし、仮想IPを利用して移動端末機30からのデータを第1のサービスサーバ11に伝送するように通信部210を制御する。これにより、第1のサービスサーバ11は第1のソースIPとして移動端末機30の実IPとは異なる、実IPにマッピングされた仮想IPのデータを受信するようになり、サービスの提供時、受信された仮想IPを第2の目的地IPとしてデータを移動端末機30に伝送する。
【0081】
図5を参照すれば、「10.1.1.10」という実IP(すなわち、第1のソースIP)により移動端末機30からデータを受信すると、制御部270は、「10.1.1.10」にマッピングされた仮想IPを経路マッピングテーブル500で確認する。確認された仮想IPが「100.1.1.1」であるので、制御部270は実IPである「10.1.1.10」を仮想IPである「100.1.1.1」に切り替える。
【0082】
これにより、第1のサービスサーバ11は、第1のソースIPが「100.1.1.1」であるデータを、データ送受信経路制御装置20を経由して受信するようになり、データは「100.1.1.1」をIPと利用する移動端末機30から受信されたものであると判断する。そして、第1のサービスサーバ11はサービスの提供時、「100.1.1.1」を目的地IPと決めてデータを移動端末機30に伝送する。
【0083】
次に、第1のサービスサーバ11から移動端末機30にデータが伝送される場合について説明する。
【0084】
制御部270は、第1のサービスサーバ11から仮想IPによりデータを受信すると、データに含まれる第2のソースIP及び第2の目的地IPを確認する。第2のソースIPは、第1のサービスサーバ11が移動端末機30にサービスのデータを伝送する時に利用するサーバIPである。第2の目的地IPは、サービスのデータを受信する移動端末機30の仮想IPであって、以前に移動端末機30からデータを受信する時、データに含まれた第1のソースIPであり得る。
【0085】
制御部270は、第1のサービスサーバ11から受信されたデータに含まれる第2の目的地IPを仮想IPと認識する。制御部270は、第2の目的地IP(すなわち、仮想IP)にマッピングされた実IPを経路マッピングテーブル500で確認し、仮想IPをマッピングされた実IPに復旧(または代置)する。そして、制御部270は、復旧された実IPを第2の目的地IPとし、移動端末機30にデータを伝送するように通信部210を制御する。これにより、通信部210は、第2のソースIPが第1のサービスサーバ11のサーバIPであり、第2の目的地IPが移動端末機30の実IPであるといったデータを移動端末機30に伝送することができる。移動端末機30のネットワーク環境に変化が発生しないと、移動端末機30が第1のサービスサーバ11にデータを伝送する時に利用される第1のソースIPと、データを移動端末機30に伝送する時に利用される第2の目的地IPとは同一であり得る。
【0086】
換言すると、移動端末機がサーバにデータを伝送する時、データ送受信経路制御装置は、サービス優先順位を考慮して前記データのソースIPを仮想IPに置換する。同様に、サーバが移動端末機にデータを伝送する時、データ送受信経路制御装置は、前記データの目的地IP、すなわち、決められたサービス優先順位により割当された仮想IPを前記移動端末機の実IPに置換する。これを再び説明すると、移動端末機は第1のソースIPを含むデータを送信し、データ送受信経路制御装置は前記第1のソースIPを第2のソースIPに置換する。また、サーバは第1の目的地IPを含むデータを送信し、データ送受信経路制御装置は前記第1の目的地IPを第2の目的地IPに置換する。これを一般的に表現すれば、データ送受信経路制御装置は、複数のサーバに対して移動端末機またはクライアントのアドレスをサービス優先順位により仮想化する。より一般的に表現すれば、データ送受信経路制御装置は、一以上の上位デバイス(例えば、サーバ)のアドレス等を格納し、下位デバイス(例えば、移動端末機)の一以上の実アドレス等を含む信号を受信して一以上のサービス優先順位により前記下位デバイスの前記一以上の実アドレス等を仮想化する。
【0087】
図5を参照すれば、第1のサービスサーバ11から「100.1.1.2」という仮想IP(すなわち、第2の目的地IP)によりデータを受信すると、制御部270は、「100.1.1.2」にマッピングされた実IPを経路マッピングテーブル500で確認する。確認された実IPが「20.1.1.20」であるので、制御部270は、仮想IPである「100.1.1.2」を実IPである「20.1.1.20」に復旧する。
【0088】
これにより、移動端末機30は第2の目的地IPである「20.1.1.20」よりデータを受信するようになる。一方、制御部270は、経路マッピングテーブル500を利用してデータのマルチホーミングまたはシームレス垂直ハンドオーバー(seamless vertical handover)に利用することができる。
【0089】
先ず、マルチホーミングについて説明する。
【0090】
制御部270は、第1のサービスサーバ11から目的地IP(すなわち、仮想IP)によりデータを受信すると、目的地IPにマッピングされる実IPを経路マッピングテーブル500で確認する。確認の結果、目的地IPにマッピングされる実IPが複数である場合、制御部270は、複数の実IP等をデータの目的地IPに切り替えることができる。そして、制御部270は、複数の実IP等を利用してデータを移動端末機30に伝送するように通信部210を制御する。これにより、データ送受信経路制御装置20はマルチホーミングサービスを提供し、移動端末機30が使用可能な複数のネットワークを最大に活用するようにするABC(Always Best Connection)を支援することができる。
【0091】
次に、シームレス垂直ハンドオーバーについて説明する。
【0092】
第1のサービスサーバ11から移動端末機30に実IPによりサービスのデータが伝送される中、移動端末機30から実IPの接続解除が通知されると、テーブル作成部250は、ネットワーク管理テーブル300及び経路マッピングテーブル500をアップデートする。例えば、テーブル作成部250は「10.1.1.10」という実IPの接続が解除されると、図5の仮想IPが「100.1.1.1」にマッピングされる実IPを他の実IP「20.1.1.20」に変更することができる。制御部270は、アップデートした経路マッピングテーブル500を利用してデータ伝送のための目的地IPを「10.1.1.10」から「20.1.1.20」に変更する。そして、制御部270は、変更された実IP「20.1.1.20」を利用してデータを移動端末機30に伝送するように通信部210を制御する。すなわち、移動端末機30が他のネットワークに移動することで、使用中の実IPの接続が解除されて他の実IPを利用しても、第1のサービスサーバ11は仮想IPを目的地IPと利用することで、他の実IPが分からなくてもサービスを継続的に提供することができる。
【0093】
以下では、図6ないし図8を参照して、本発明の実施形態によるエージェントのデータ送受信経路制御方法を説明する。図6ないし図8において、移動端末機、エージェント、及びサービスサーバは、それぞれ図1の移動端末機30、データ送受信経路制御装置20、及び第1のサービスサーバ11であり得る。
【0094】
図6は、本発明の実施形態によるエージェントのデータ送受信経路制御方法を説明するためのフローチャットである。
【0095】
図6を参照すれば、移動端末機は、異機種ネットワーク環境で使用可能な実IP等の情報登録をエージェントに要求する(S605)。移動端末機は、各実IPのネットワーク属性情報及びユーザデータをエージェントに伝送しながら実IPの登録を要求することができる。経路優先順位がサービスサーバまたは移動端末機で決定される場合、S605段階において、移動端末機は実IP等別経路優先順位をエージェントに提供することができる。
【0096】
エージェントは、受信された実IP等のネットワーク属性情報及びユーザデータを利用して経路優先順位を判断する(S610)。S610段階で、エージェントは、ユーザの選好度が高いか、相対的にデータ送受信の安全性が高いか、低コストであるか、伝送速度が早いか、或いはセキュリティ保護性が高い実IPに、より高い経路優先順位を決定することができる。
【0097】
エージェントは、実IP等のネットワーク属性情報、ユーザデータ、及びS610段階で判断された経路優先順位を利用して、図3のようなネットワーク管理テーブルを作成して格納することができる(S615)。エージェントは、移動端末機別にそれぞれのネットワーク管理テーブルを作成する。
【0098】
また、エージェントは、移動端末機に提供されるサービス等のサービス優先順位を、QoSを考慮して判断することができる(S620)。サービス優先順位が移動端末機またはサービスサーバで決定される場合、S620段階ではサービス別サービス優先順位を移動端末機またはサービスサーバから受信することができる。
【0099】
エージェントは、サービス等のサービス優先順位を参照して各サービスに仮想IPを割当することができる(S625)。S625段階においてエージェントは、サービス優先順位の数だけ仮想IPを生成し、生成した仮想IP等をサービス優先順位を参照して各サービスに割当することができる。
【0100】
エージェントは、S620段階で判断されたサービス等のサービス優先順位及びS625段階で割当された仮想IP等を利用して、図4のようなサービス管理テーブルを作成かつ格納することができる(S630)。
【0101】
そして、エージェントは、S615段階及びS630段階で作成したネットワーク管理テーブル及びサービス管理テーブルを利用して、図5のような経路マッピングテーブルを作成かつ格納することができる(S635)。エージェントは、ネットワーク管理テーブルに登録されている実IP等、サービス管理テーブルに記録されているサービス等(またはサービスを受信する実IP等)に割当される仮想IP及びサービスサーバのサーバIP等をマッピングして経路マッピングテーブルを作成することができる。エージェントは、仮想IP等のうち、高いサービス優先順位にマッピングされた仮想IP経路に、経路優先順位が高い実IPとサービスサーバのIPとをマッピングさせて経路マッピングテーブルを作成することができる。
【0102】
S635段階が完了すると、エージェントは移動端末機にアック情報(ack)を伝送して実IPの登録が完了されたことを通知する(S640)。移動端末機は、サービスサーバからサービスが提供されるためのサービス要求メッセージを生成し(S645)、生成されたサービス要求メッセージをエージェントに伝送してサービスを要求することができる(S650)。S650段階で伝送されるサービス要求メッセージには、ソースIPとして移動端末機が利用する実IP、及び目的地IPとしてサービスサーバのIPが記録されている。
【0103】
エージェントは、受信したサービス要求メッセージのソースIPを確認し、確認されたソースIP、すなわち、実IPにマッピングされた仮想IPを経路マッピングテーブルで確認し、ソースIPを確認された仮想IPに変更する(S655)。
【0104】
そして、エージェントは、ソースIPがS655段階で変更された仮想IPであるサービス要求メッセージをサービスサーバに伝送してサービスを要求する(S660)。
【0105】
サービスサーバは、受信したサービス要求メッセージのソースIPを確認し、移動端末機が要求したサービスのデータを生成する(S665)。
【0106】
サービスサーバは、生成されたデータをエージェントに伝送する(S670)。サービスサーバから伝送されるデータはソースIPとしてサーバIPを、目的地IPとしてS665段階で確認されたIPを有する。すなわち、サービスサーバは、S665段階で確認されたソースIPを移動端末機のIPと認識して移動端末機に送信するデータを生成するものである。
【0107】
エージェントは、サービスサーバから受信したデータの目的地IPを確認し、確認された目的地IPにマッピングされた実IPを経路マッピングテーブルで確認して、目的地IPを確認された実IPに変更する(S675)。エージェントは、サービスサーバから受信したデータの目的地IPが仮想IPであることを予め認識しているのである。エージェントは、目的地IPがS675段階で変更された実IPであるデータを移動端末機に伝送する(S680)。これにより、移動端末機が要求したサービスは仮想IPを利用して送受信される。
【0108】
図7は、本発明の実施形態によるエージェントのマルチホーミング支援方法を説明するためのフローチャットである。
【0109】
図7を参照すれば、移動端末機は、現在位置から新しいネットワーク接続が追加されると(S710)、新しいネットワーク環境のRANから新規実IPが割当される。
【0110】
移動端末機は、ネットワーク属性情報及びユーザデータをエージェントに伝送しながら新規実IPの情報登録をエージェントに要求する(S720)。
【0111】
エージェントは、受信された新規実IPのネットワーク属性情報及びユーザデータを利用して経路優先順位を再度判断し、S615段階で作成されたネットワーク管理テーブルをアップデートする(S730)。
【0112】
エージェントは、アップデートしたネットワーク管理テーブルの実IP等を利用してS635段階で作成された経路マッピングテーブルをアップデートする(S740)。
【0113】
S740段階が完了すると、エージェントは、移動端末機にアック情報(ack)を伝送して新規実IPの登録が完されしたことを通知する(S750)。
【0114】
そして、図6で提供中のサービスのデータを、サービスサーバから目的地IP(すなわち、仮想IP)を受信すると(S760)、エージェントは、目的地IPにマッピングされる実IP等が複数であるか否かを経路マッピングテーブルで確認する(S770)。
【0115】
確認の結果、目的地IPにマッピングされる実IPが複数である場合(S770−Y)、複数の実IP等を利用してデータを移動端末機に伝送するマルチホーミングサービスを提供することができる(S780)。S780段階で、エージェントは、S770段階で確認された複数の実IP等をデータの目的地IPに切り替えることで、マルチホーミングサービスを提供する。
【0116】
図8は、本発明の実施形態によるエージェントのシームレス垂直ハンドオーバー支援方法を説明するためのフローチャットである。
【0117】
図8を参照すれば、移動端末機は、実IPによりサービスのデータを受信中に、実IPと関連するネットワークとの接続が解除されると(S810)、エージェントに実IPの接続が解除されたことを通知する(S820)。図8では、説明の便宜のために、解除された実IPを「解除IP」と称する。
【0118】
エージェントは、移動端末機からの通知によりネットワーク管理テーブルに記録されている実IP等のうち、解除IPを削除してS615段階で作成されたネットワーク管理テーブルをアップデートする(S830)。
【0119】
エージェントは、アップデートしたネットワーク管理テーブルに残っている実IP等を利用してS635段階で作成された経路マッピングテーブルをアップデートする(S840)。すなわち、エージェントは、経路マッピングテーブルで仮想IPにマッピングされた解除IPがあれば、解除IPを削除して残った実IP等のうち一に、解除IPを切り替えることができる。
【0120】
S840段階が完了すると、エージェントは、移動端末機にアック情報(ack)を伝送して解除IPが削除されたことを通知する(S850)。
【0121】
図6で提供中のサービスのデータを、サービスサーバから目的地IP(すなわち、仮想IP)を受信すると(S860)、エージェントは、目的地IPにマッピングされる実IPがS840段階で切り替えられた実IPであれば、目的地IPを切り替えられた実IPに変更する(S870)。
【0122】
そして、エージェントは、S870段階で変更された実IPを利用してデータを移動端末機に伝送する(S880)。これにより、エージェントは、サービスサーバから提供される目的地IPにマッピングされた仮想IPを利用することで、シームレス垂直ハンドオーバーを支援することができる。
【0123】
上述の本発明の実施形態等は、次のような多様な分野において活用することができる。
【0124】
1.移動ノードを対象にサービスを提供するサーバシステムに適用し、垂直ハンドオーバー及びマルチホーミング価値を提供するように変更するサーバチューニング、新規サーバシステム設計及び具現などのSI(System Integration)事業に活用することができる。特に、本実施形態等は、ストリーミングサービスを提供するmVoIPサービスのようなサーバシステムに適用することができる。
【0125】
2.上記1に加えて、サービス別優先順位を分離支援して高順位サービスに対する相対的安全性を向上するか、マルチホーミング環境に対する分析、判断及び選択過程により移動ノードのネットワークコストを抑制することのできるサーバチューニング、新規サーバシステム設計及び具現などのSI事業に活用することができる。
【0126】
3.また、上述の本実施形態等のアルゴリズムが定義されたエージェントの機能をソフトウェア形態に具現して既存のルータ及びスィッチに組み込むことで、ネットワーク装備に活用することができる。
【0127】
4.また、データセンターのようにサーバが集積された場所に上述の実施形態を適用することで、アウトソーシング(outsourcing)された、顧客に提供されるサービスの価値を向上することができ、これにより既存事業の競争力を高めることができる。
【0128】
上記のように、本発明は、例として限定された実施形態及び図面により説明されたが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明が属する分野において通常の知識を有する者であれば、このような記載から多様な修正及び変形が可能である。したがって、本発明の思想は説明された実施形態に限定して解釈すべきではなく、後述する特許請求の範囲の記載のみならず、この特許請求の範囲と等価な範囲等であると解釈すべきである。
【符号の説明】
【0129】
11、12、13: 第1のないし第3のサービスサーバ等
20: データ送受信経路制御装置
30: 移動端末機
210: 通信部
220: 第1の格納部
230: 優先順位判断部
240: 仮想IP割当部
250: テーブル作成部
260: 第2の格納部
270: 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと異機種ネットワーク環境に位置する移動端末機との間のデータ送受信経路制御方法において、
前記移動端末機が前記異機種ネットワーク環境で使用可能な少なくとも一の実IPと、少なくとも一の仮想IPとをマッピングして経路マッピングテーブルを生成する段階、及び
前記生成された経路マッピングテーブルを参照して前記サーバと前記移動端末機との間のデータ送受信経路を決定する段階
を含むデータ送受信経路制御方法。
【請求項2】
前記少なくとも一の仮想IPは、前記サーバが移動端末機に提供するサービス等別に割当される、請求項1に記載のデータ送受信経路制御方法。
【請求項3】
前記少なくとも一の仮想IPは、前記サービス等に割当されたサービス優先順位を考慮して割当される、請求項2に記載のデータ送受信経路制御方法。
【請求項4】
前記サービス等に割当された前記サービス優先順位のうち少なくとも一部が変更されると、前記サービス等別に割当される、前記少なくとも一の仮想IPを前記変更された優先順位を参照してアップデートする段階を更に含む、請求項3に記載のデータ送受信経路制御方法。
【請求項5】
前記データ送受信経路を決定する段階は、高いサービス優先順位を有するサービスが高い経路優先順位を有する実IPに提供されるよう、データ送受信経路を決定するように構成される、請求項3に記載のデータ送受信経路制御方法。
【請求項6】
前記データ経路を決定する段階は、前記移動端末機から前記サーバに伝送されるデータに含まれる実IPを、前記実IPにマッピングされた仮想IPに代置した後、前記サーバに伝送する段階を含む、請求項1に記載のデータ送受信経路制御方法。
【請求項7】
前記データ経路を決定する段階は、前記サーバから前記移動端末機に伝送されるデータに含まれる仮想IPを、前記仮想IPにマッピングされた実IPに代置した後、前記移動端末機に伝送する段階を含む、請求項1に記載のデータ送受信経路制御方法。
【請求項8】
前記データ経路を決定する段階は、前記代置された実IPの接続が解除されると、前記接続が解除された実IPを他の実IPに変更した後、前記データを前記移動端末機に伝送する段階を含む、請求項7に記載のデータ送受信経路制御方法。
【請求項9】
前記データ経路を決定する段階は、前記仮想IPにマッピングされた実IPが複数である場合、前記サーバから前記移動端末機に伝送されるデータに含まれる仮想IPを、前記複数の実IPに代置して前記データを前記移動端末機にマルチホーミング(multihoming)する段階を含む、請求項1に記載のデータ送受信経路制御方法。
【請求項10】
サーバと異機種ネットワーク環境に位置する移動端末機との間のデータ送受信経路を制御するための装置において、
前記移動端末機が前記異機種ネットワーク環境で使用可能な少なくとも一の実IPと、少なくとも一の仮想IPとをマッピングして経路マッピングテーブルを作成するテーブル作成部、及び
前記作成された経路マッピングテーブルを参照して前記サーバと前記移動端末機との間のデータ送受信経路を決定する制御部
を含むデータ送受信経路制御装置。
【請求項11】
前記少なくとも一の仮想IPは、前記サーバが移動端末機に提供するサービス等別に割当される、請求項10に記載のデータ送受信経路制御装置。
【請求項12】
前記サービス等に割当されたサービス優先順位を考慮して前記少なくとも一の仮想IPを割当する仮想IP割当部を更に含む、請求項11に記載のデータ送受信経路制御装置。
【請求項13】
前記仮想IP割当部は、前記サービス等に割当された前記サービス優先順位のうち少なくとも一部が変更されると、前記サービス等別に割当される、前記少なくとも一の仮想IPを前記変更された優先順位を参照してアップデートする、請求項12に記載のデータ送受信経路制御装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記サービス等のうち、高いサービス優先順位を有するサービスが、複数の実IP等のうち、高い経路優先順位を有する実IPに提供されるようにする、請求項12に記載のデータ送受信経路制御装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記移動端末機から前記サーバに伝送されるデータに含まれる実IPを、前記実IPにマッピングされた仮想IPに代置した後、前記サーバに伝送する、請求項10に記載のデータ送受信経路制御装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記サーバから前記移動端末機に伝送されるデータに含まれる仮想IPを、前記仮想IPにマッピングされた実IPに代置した後、前記移動端末機に伝送する、請求項10に記載のデータ送受信経路制御装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記代置された実IPの接続が解除されると、前記接続が解除された実IPを他の実IPに変更した後、前記データを前記移動端末機に伝送する、請求項16に記載のデータ送受信経路制御装置。
【請求項18】
前記制御部は、前記仮想IPにマッピングされた実IPが複数である場合、前記サーバから前記移動端末機に伝送されるデータに含まれる仮想IPを、前記複数の実IPに代置して前記データを前記移動端末機にマルチホーミング(multihoming)する、請求項10に記載のデータ送受信経路制御装置。
【請求項19】
処理回路及び前記処理回路で遂行するするための命令が格納されている非揮発性メモリーを含むハードウェア装置であって、前記命令は、
上位デバイスのアドレスを格納する段階、
下位デバイスの実アドレスを格納する段階、及び
連関されているサービス優先順位により、前記上位デバイスのアドレスに対応する前記下位デバイスの実アドレスを仮想化する段階
を含むハードウェア装置。
【請求項20】
前記仮想化は、経路マッピングテーブルに基づいて遂行され、
前記経路マッピングテーブルは、それぞれの前記下位デバイスの実アドレス、一以上の対応する下位デバイスの仮想アドレス、及び前記サービス優先順位を連関して格納する、請求項19に記載のハードウェア装置。
【請求項21】
前記命令は、
受信した上位データのソースアドレスを前記経路マッピングテーブルにより、前記ソースアドレスと連関されている下位デバイスの仮想アドレスのうち一に置換することで前記上位データを修正する段階、及び
受信した下位データの目的地アドレスを、前記経路マッピングテーブルにより、前記目的地アドレスと連関されている下位デバイスの実アドレスのうち一に置換することで前記下位データを修正する段階
を更に含む、請求項20に記載のハードウェア装置。
【請求項22】
前記経路マッピングテーブルの前記目的地アドレスが、一以上の下位デバイスの実アドレスとマッピングされた場合、前記下位データは、前記目的地アドレスを前記対応するすべての下位デバイスの実アドレスに置換されることで修正される、請求項21に記載のハードウェア装置。
【請求項23】
前記命令は、
いずれの下位デバイスの実アドレスの解除通知に応答し、前記経路マッピングテーブルで解除された前記下位デバイスの実アドレスを他の下位デバイスの実アドレスに置換する、請求項20に記載のハードウェア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−253764(P2012−253764A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−123454(P2012−123454)
【出願日】平成24年5月30日(2012.5.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
【出願人】(510294195)サムソン エスディーエス カンパニー リミテッド (33)
【Fターム(参考)】