説明

データ通信システム及び通信制御方法

【課題】 端末装置からホストコンピュータへの接続要求の適/不適の迅速な確認を可能にし、且つ両者の接続性を継続的に確保できるようにする。
【解決手段】 発信者番号を通知するサービスを提供する電話回線50に端末装置100と、発信者番号検出通知手段200を介してホストコンピュータ100を接続し、ホストコンピュータ300には、各端末装置100の識別コードとそれに対応する電話番号を登録しておき、端末装置100からの接続要求時に、発信者番号検出通知手段200が検出して通知する発信者番号を登録されている電話番号と照合し、それが登録されていたときにのみ回線を接続して、その端末装置100とデータ通信を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電話回線(公衆通信回線)を介して接続される多数の端末装置とホストコンピュータとによって構成されるデータ通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔地に通信機能を有する端末装置を多数配置し、これらとホストコンピュータとを電話交換網を含む電話回線を介して接続して、データ通信システムを構成する場合がある。このようなデータ通信システムでは、遠隔地の端末装置からホストコンピュータに対して回線の接続要求があったとき、通信を開始する前にホストコンピュータ側で端末装置の正当性を確認しているが、その確認は、一旦回線を接続した後に通信上で行われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなデータ通信システムでは、多数の端末装置を配置し、各端末装置を必要な時にだけホストコンピュータと接続して情報を送受信しているが、接続を要求してきた端末装置が正規の端末装置とは限られないため、予定していない端末装置の接続要求にも応答せざるを得ない場合があった。
【0004】
また、データ通信システムの動作環境がシステムの管理範囲外に置かれている場合(例えば、顧客の環境など)がある。このような場合、電話番号の変更、電話回線のモード(ダイアル回線かプッシュ回線)変更、あるいはPBX(構内交換機)の挿入等による動作環境の変更は、データ通信システムの設定とは無関係に行われるのが一般的である。
【0005】
したがって、例えば、既存のFAX回線を利用してFAXが使用される時以外にデータ通信を行うようにしていた場合、会社の組織変更やシステムの機器構成の変更、あるいは回線の異動等による環境の変更があったときに、ホストコンピュータから相手の端末装置を呼び出せなくなることがある。
こうなると、ホストコンピュータは端末装置からの呼び出しを待つしかなく、その端末装置が故障で接続不能になったのか、回線の移動や撤去により接続できなくなったのかを判断することができなくなってしまう。
【0006】
この発明は、このような問題を解決するためになされたもので、電話回線を介して接続されるホストコンピュータと多数の端末装置とからなるデータ通信システムにおいて、端末装置側の動作環境の変更をホストコンピュータ側で認識できるようにし、システム環境の変更があっても、ホストコンピュータと端末装置との接続性を継続的に確保できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記の目的を達成するため、発信者番号を通知するサービスを提供する電話交換網を含む電話回線に接続する複数の端末装置と、その電話回線に接続し、該電話回線から通知される発信者番号を検出して通知する発信者番号検出通知手段と、該手段から検出した発信者番号の通知を受けた後、上記電話回線に接続されて端末装置とデータ通信するホストコンピュータとからなるデータ通信システムであって、上記各端末装置は、それぞれ他の端末装置と区別するための識別コードを有する。
【0008】
そして、上記ホストコンピュータは、システムを構成する複数の端末装置の各識別コードとその各識別コードに対応する電話番号とを登録する登録手段と、上記発信者番号検出通知手段から通知される発信者番号と上記登録手段に登録されている各電話番号とを比較して、一致する番号があるか否かを判別する判別手段と、その判別結果に応じて上記発信者番号検出通知手段を介しての通信を制御する通信制御手段とを備えたものである。
【0009】
さらに、上記端末装置は、上記電話回線に対して発信者番号の通知を有効にさせることを指示するための指示番号を、自己の電話番号である発信者番号に付加して送信する付加手段を備えているのが望ましい。
その付加手段は、自己の電話番号である発信者番号に上記指示番号を付加するか否かを選択的に切り替える手段を有するとよい。
【0010】
また、上記ホストコンピュータは、上記発信者番号検出通知手段から通知された発信者番号が上記登録手段に登録されている電話番号のいずれとも一致しないと上記判別手段が判別したときに、それを表示するか、印刷して出力するか、外部に通知するか、あるいは記録する手段を有するとよい。
【0011】
そして、上記ホストコンピュータは、前記発信者番号検出通知手段から通知された発信者番号が、上記登録手段に登録されている電話番号のいずれかと一致したことを上記判別手段が判別したときには、上記発信者番号検出通知手段を介して電話回線と接続して該端末装置とのデータ通信を開始させ、上記登録手段に登録されている電話番号のいずれとも一致しないと上記判別手段が判別したときには、上記発信者番号検出通知手段を介して電話回線との接続を拒否するように上記通信制御手段を動作させる手段を有することができる。
【0012】
上記ホストコンピュータの登録手段は、上記端末装置の1つの識別コードに対して複数の電話番号を登録し得るものであることが望ましい。
その場合、上記ホストコンピュータの判別手段は、上記発信者番号検出通知手段から通知された発信者番号が、上記登録手段に登録されている識別コードに対する一つ以上の電話番号のうちの一つと一致したら、該識別コードが登録されている端末装置からの通信要求であると判別する手段であるとよい。
【0013】
また、上記各端末装置は、上記ホストコンピュータとのデータ通信に先立って、自己の識別コードを送信する手段を有し、上記ホストコンピュータは、上記判別手段による判別結果にかかわらず、上記発信者番号検出通知手段を介して電話回線と接続して通信要求のあった端末装置との通信を開始させ、上記発信者番号検出通知手段から通知された発信者番号が上記登録手段に登録されている電話番号のいずれとも一致しないと上記判別手段が判別していた場合には、その端末装置から送信される識別コードを取得し、その識別コードが上記登録手段に登録されている識別コードのいずれかと一致するか否かをチェックし、一致したときには上記端末装置との通信を継続させ、いずれとも一致しなかったときには上記電話回線との接続を中止するように、上記通信制御手段を動作させる手段を有するようにしてもよい。
【0014】
この場合、上記ホストコンピュータは、上記端末装置から取得した識別コードが上記登録手段に登録されている識別コードのいずれとも一致しなかったときには、それを表示するか、印刷して出力するか、外部に通知するか、あるいは記録する手段を有するのが望ましい。
さらに、そのホストコンピュータは、上記端末装置から取得した識別コードが上記登録手段に登録されている識別コードのいずれかと一致したときには、上記発信者番号検出通知手段から通知された発信者番号を、その一致した識別コードに対する電話番号として上記登録手段に新たに登録させるか又は前に登録されていた電話番号に代えて変更登録させる手段を有するとよい。
【0015】
これらのデータ通信システムの場合も、上記ホストコンピュータの登録手段は、上記端末装置の1つの識別コードに対して複数の電話番号を登録し得るものであるのが望ましい。
その場合、上記ホストコンピュータの判別手段は、上記発信者番号検出通知手段から通知された発信者番号が、上記登録手段に登録されている識別コードに対する一つ以上の電話番号のうちの一つと一致したら、該識別コードが登録されている端末装置からの通信要求であると判別する手段であるとよい。
【0016】
さらにまた、これらののデータ通信システムにおいて、上記ホストコンピュータは、上記発信者番号検出通知手段から通知された発信者番号および前記端末装置から取得した識別コードの最終確認履歴の情報を記憶する手段を有するのが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
この発明によるデータ通信システムによれば、電話回線を介して接続されるホストコンピュータと多数の端末装置とからなるデータ通信システムにおいて、端末装置側の動作環境の変更をホストコンピュータ側で認識できるようにし、システム環境の変更があっても、ホストコンピュータと端末装置との接続性を継続的に確保できるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、この発明によるデータ通信システム全体の構成を示すブロック図である。図に示すように、この発明によるデータ通信システムは、多数の端末装置100と発信者番号検出通知手段200とを、発信者番号を通知するサービスを提供する電話交換網51を含む電話回線50を介して接続し、その発信者番号検出通知手段200に変復調装置(モデム)250を介してホストコンピュータ300を接続して構成されている。
また、発信者番号検出通知手段200とホストコンピュータ300とは、制御線210によっても接続されている。なお、この例では、そのホストコンピュータ300に外部システム400も接続している。
【0019】
各端末装置100は、ホストコンピュータ300からみて遠隔地に配置された通信機能を備えた端末装置である。この端末装置100は、図2に示すように、データの操作入力及び表示による出力を行う入出力手段101と、付加手段102と、他の端末装置と区別するための識別コード等を記憶する記憶手段103と、電話回線50との回線接続動作およびホストコンピュータ300との間での情報の送受信を制御する伝送制御手段104とを備えている。
【0020】
そして、各端末装置100は、図示したデータ通信システム上で管理されているシステム(管理システム)で必要な情報を送受信する機能を有している。すなわち、入出力手段101により入力した情報を伝送制御手段104を動作させることによって、電話回線50を介してホストコンピュータ300に宛てて送信し、あるいはホストコンピュータ300からの情報を受信して、その情報を入出力手段101の表示部に表示させたり、記憶手段103に記憶させることができる。 また、これらの各端末装置100は、ホストコンピュータ300との送受信を通して互いに情報の読み書きを行える。
【0021】
付加手段102は、入出力手段101の操作入力に従って伝送制御手段104に指示し、各端末装置100が使用する自己の電話番号(発信者番号ともいう)に、発信者番号通知を有効にするための指示をする番号(以下「指示番号」という)を付加して電話回線50に送信する手段である。また、この付加手段102には、発信者番号に指示番号を付加するか否かを入出力手段101によって選択的に切り替える切替手段102aが設けられている。
【0022】
図1に戻って、発信者番号検出通知手段200(以下単に「検出通知手段200」という)は、電話回線50を通じて通知される通信要求をしている端末装置100の発信者番号を検出してホストコンピュータ300に通知するとともに、電話回線50とホストコンピュータ300との回線の接続および切断を制御し、受信したデータをモデム250を通して復調してホストコンピュータ300へ送る。また、ホストコンピュータ300から送信されモデムを通して変調されたデータを電話回線50へ送出する。
【0023】
なお、発信者番号通知サービスは、電話交換網51を含む電話回線50を自ら設置するか、あるいは借り受けて電気通信サービスを提供する事業主体が、その加入者に対して提供するサービスであり、発信者番号の通知を有効とする設定がなされた電話回線からの発呼があったときに、その発信者番号(発信者の電話番号)を受信側に通知するサービスである。
【0024】
変復調装置(モデム)250は、電話回線50を利用してデータ通信を行う装置であって、検出通知手段200とホストコンピュータ300との間に接続され、ホストコンピュータ300が各端末装置100とデータの伝送ができるように、信号(データ)の変調/復調処理を実行する。
【0025】
ホストコンピュータ300は、図3に示すように、登録手段301、記憶手段302、操作入力表示部303、CPU304、ROM305、RAM306、および通信制御手段307とを備えており、図示しないが印刷手段としてプリンタが接続されている。
【0026】
その登録手段301は、ホストコンピュータ300と電話回線50を通じて通信を行うことが予定されている全ての端末装置100の各識別コードと、その各端末装置の発信者番号とを対応させて登録する。その登録は、記憶手段302に記憶させて行う。端末装置100が電話番号が異なる複数の回線に接続可能な場合(複数の外線と接続可能な内線電話を使用するような場合)には、その端末装置の一つの識別コードに対して、複数の電話番号を登録できるようにする。
【0027】
記憶手段302は、ハードディスクなどの記憶装置によって構成され、上述した各端末装置の識別コードとそれに対応する電話番号の他に、発信者番号処理に必要な恒久的なデータや処理に伴って発生する情報、各端末装置100に関する各種の管理情報や使用者に関する情報などを記憶することができる。
【0028】
操作入力表示部303は、操作者が情報を入力する入力部と、情報を表示する表示部とからなっている。その入力部は、キーボードやマウスなどによって、登録手段301に登録すべき情報や、CPU304によって実現される文書作成編集その他のアプリケーションプログラムを動作させるための情報、登録手段301を動作させるための操作情報などを入力する。表示部は、LCDなどからなり、入力部の入力操作によって入力される情報や、ホストコンピュータ300の動作状態や操作ガイダンス情報などを表示する。
【0029】
CPU304は、ホストコンピュータ300全体の制御を行う中央処理装置であって、ROM305、RAM306と共にマイクロコンピュータを構成し、ROM305に格納されたプログラムに従って、この発明による判別手段としての処理およびその他の処理を実行する。
ROM305は、CPU304が実行するプログラムや恒久的なデータを格納したプログラムメモリであり、RAM306は、CPUが実行するにあたって、必要とする情報や、処理実行動作中の一時的なデータなどを記憶する。
【0030】
通信制御手段307は、通信プロトコルにしたがって、図1に示した検出通知手段200との間で行われるデータ通信処理を制御する。つまり、この通信制御手段307は、CPU304の指示を受けて、モデム250および検出通知手段200を介して電話回線50との回線接続動作を制御し、ホストコンピュータ300と端末装置100とを接続する。
【0031】
次に、以上の構成を有するデータ通信システムの動作内容について、具体的に説明する。
まず、図1に示した端末装置100のいずれかにおいて、ホストコンピュータ300との通信を行う必要が生じた場合を想定する。その場合、その端末装置100は、入出力手段101からの操作入力があると、接続されている電話回線50が発信者番号通知サービスを提供し得るか否かにかかわらず、付加手段102が伝送制御手段104に指示を送る。すると、伝送制御手段104は、発信者番号の先頭に指示番号を付加した番号(付加発信者番号)を電話回線50に送出し、電話交換網51を介してホストコンピュータ300を呼び出して発呼する。
【0032】
一方、電話交換網51は、端末装置100から付加発信者番号が送出されたことを受けて、その発信者番号を検出通知手段200側に送信する。そして、検出通知手段200はそれを受信して発信者番号を検出し、それを制御線210を通してホストコンピュータ300に通知する。
【0033】
ホストコンピュータ300は、図3に示した通信制御手段307によってその発信者番号を受け取ると、それをCPU304に送る。すると、CPU304は、図4に示すフローチャートにしたがって、以下の処理を実行する。このフローチャートでは、ステップを「S」と略記している。
まず、ステップ1において、登録手段301に登録されている電話番号をサーチし、続くステップ2において、通知された発信者番号とサーチした電話番号を比較して一致する番号があるか、すなわちその発信者番号が登録されているか否かを判別する。
【0034】
ここで、一致する番号があると判別したときはステップ3へ進んで、回線の接続を許可する通知を、一致する番号がないと判別したときは、識別コードが登録されている端末装置からの通信要求ではないので、ステップ4へ進んで、回線の接続を許可しない通知を、それぞれ検出通知手段200に送るように通信制御手段307を動作させる。
【0035】
そして、ステップ3で接続許可が通知されると検出通知手段200がホストコンピュータ300を電話回線50に接続し、次のステップ5ではその検出通知手段200に回線接続動作を続行させるように、通信制御手段307を動作させる。
【0036】
ステップ4からはステップ6へ進んで、発信者番号が登録されていないことを示す所定の情報(例えば、その未登録発信者番号と、未登録であることを示すメッセージの情報)を操作入力表示部303に表示させる。この場合、その所定の情報を通信制御手段307から外部システム400に通知したり、図示しないプリンタによって用紙に印刷して出力したり、記憶手段302に記憶させるようにしてもよい。
【0037】
さらに、続くステップ7においてその未登録発信者番号を登録手段301に新たに登録させてステップ8に進み、ステップ8では、検出通知手段200に回線接続動作を拒否させて以後の接続動作を中止するように、通信制御手段307を動作させる。したがって、接続要求があった端末装置から識別番号を受け取って、それが登録されているか否かを判断することはせず、データ通信も行わない。
【0038】
このように、ホストコンピュータ300は、端末装置100からの接続要求があったときに、検出通知手段200から通知される発信者番号によるサーチにより、その端末装置の識別コードが登録されているか否かを確認することができ、相手先が正規の端末装置か否かを確認した上で回線の接続を行える。
【0039】
一般に、このようなデータ通信システムにおける相手先の妥当性の確認方法には、イ)電話の着呼の可否、ロ)ログインやパスワード等の認証時の確認、ハ)アプリケーション等による認証確認、などの階層(段階)があり、イ)、ロ)、ハ)の順に階層のレベルが高くなる。したがって、この発明のように電話回線からサービスとして通知される発信者番号を利用して、電話の着呼の可否を決める際に相手先の妥当性を判断すると、階層が低く早い段階での確認が可能になるし、電話の着呼(回線の接続)を拒否することも可能になる。
【0040】
また、電話番号である発信者番号により端末装置100の識別コードが登録済みか否かを確認しているので、使用する電話番号を変更した場合でも、その変更後の電話番号をその端末装置の識別コードに対応させて登録しておけば、電話番号等のシステム環境の変更があっても、正規の端末装置として回線を接続することができる。したがって、端末装置100とホストコンピュータ300との接続性を継続的に確保することができる。
【0041】
そして、図4のステップ6で、ホストコンピュータ300に接続要求のあった端末装置の発信者番号が未登録であるときには所定の情報を表示するので、その情報を参照すれば、接続要求のあった端末装置が正規のものであることが確認できた場合には、未登録の発信者番号を操作入力表示部303の操作入力によって登録するなど、その後の対応も容易に行える。また、ステップ7において、その未登録の発信者番号を自動的に登録しているので、その後の接続要求があった端末装置の確認などを行うのが容易になる。
【0042】
なお、このステップ6およびステップ7は、いずれも省略してもよく、いずれか一方のみ行うようにしてもよい。
さらに、接続要求があった端末装置の発信者番号が未登録であった場合には、識別コードが登録されているか否か判断を行うことなく、回線の接続動作を中止するので、通信を予定していない端末装置からの不正なアクセスを確実に防止することができる。
【0043】
一方、図2に示した端末装置100の付加手段102には、発信者番号に指示番号の付加をするか否かを選択的に切り替える切替手段102aが設けられている。したがって、上記のように、端末装置100から発呼する際に指示番号を付加するのか、あるいは指示番号を付加せずに発呼するのかを必要に応じて切り替えることができる。
【0044】
ところで、端末装置100が接続される電話回線50は、電話のみならずファクシミリ装置などと共用され、しかも、発信者番号通知サービスが常時利用されるようになっていない場合が考えられる。そのような場合、電話回線50が他人の回線である場合には、発信者番号通知サービスを利用できるか否かは、その電話回線50の加入者に委ねられるため、発信者番号通知サービスを常時利用できるとは限らない。
【0045】
しかし、切替手段102aが設けられていると、例えば、ファクシミリ通信等の通常の通信では、指示番号を付加せずに通信を行い、必要に応じてあるいは定期的に切替手段102aを切り替えて、指示番号を付加して発呼することができる。こうすると、発信者番号の通知をこの発明による通信を行う場合に限定し、その他の通信では行わないようにすることによって、常に発信者番号通知を相手先に通知することによる不都合を防ぐことができる。
【0046】
また、各端末装置100を含むシステム全体の中に、発信者番号通知サービスを利用していない回線があっても、各端末装置100に切替手段102aを設けることによって、その回線からの通信も必要に応じて発信者番号を利用したものとなる。これによって、システム全体での接続性を確保することができるようになる。
【0047】
一方、登録手段301は、一つの識別コードに対して電話番号を複数登録することができるようになっている。したがって、端末装置100が複数の電話番号(発信者番号)のいずれかによって回線の接続を要求してくることが想定される場合にも、その複数の電話番号を登録しておけば、いずれの番号でも正規の相手であると判断して回線の接続を行える。
【0048】
例えば、電話回線50が工場や事務所において、多数の内線電話機がPBXとともに構内に配置され、その各内線電話機がPBXを介して複数の電話回線(外線)のいずれかに接続することによって通信できるようになっており、その内線に端末装置が接続されているような場合がある。
【0049】
このとき、その内線に接続された端末装置からホストコンピュータ300に接続要求をするときは、複数ある回線のうち未使用の回線が割り当てられるので、電話番号が一定せずに変動することとなる。このような場合、ホストコンピュータ300側で、各端末装置の識別コードに対して使用可能な全ての電話番号を登録しておけば、いずれの回線からの発呼に対しても正規の端末装置であると判別して接続することが可能になる。
【0050】
以上の説明では、ホストコンピュータ300に接続を要求した端末装置の発信者番号が登録されていない場合には、回線の接続を拒否し、その端末装置100とのデータ通信を行わないようにした場合について説明した。
次に、ホストコンピュータ300に接続を要求した端末装置100の発信者番号が登録されていない場合にも、回線の接続を行ってその端末装置100との通信を行う場合の動作について、図5のフローチャートに従って説明する。このフローチャートでも、ステップを「S」と略記している。
【0051】
この場合も、図4によって説明した前述の場合と同様に、図3に示したCPU304が通信制御手段307から発信者番号を受け取ると、図5のフローチャートに示す処理を開始する。
【0052】
そして、まずステップ1による登録手段301に登録されている電話番号のサーチを行い、ステップ2で一致する番号があるか否かを判別する。
そして、一致する番号があったときはステップ3へ、一致する番号がなかったときはステップ10へ進むが、いずれも検出通知手段200に対して接続許可を通知するように、通信制御手段307を動作させる。それによって、検出通知手段200はホストコンピュータ300を電話回線50に接続する動作を行う。
【0053】
ステップ3の次はステップ5へ進み、検出通知手段200に回線接続動作を続行させるように通信制御手段307を動作させ、接続した端末装置100とデータ通信を行えるようにする。そして、ステップ17で発信者番号の最終確認履歴を記憶手段302に記憶させて、この処理を終了する。
【0054】
一方、ステップ10の次はステップ11へ進み、端末装置100との通信によってその識別コードを取得し、登録手段301に登録されている識別コードをサーチする。そして、ステップ12において、取得した識別コードと登録されている識別コードのいずれかが一致するか否かを判別する。
その結果、一致すればステップ13へ進んで、検出通知手段200に回線接続動作を続行させるように通信制御手段307を動作させ、接続要求があった端末装置100とデータ通信を行えるようにする。
【0055】
そして、ステップ16へ進み、検出通知手段200から通知された発信者番号を、ステップ12で一致した識別コードに対する電話番号として、登録手段301に新たに登録させるか又は前に登録されていた電話番号に代えて変更登録させる。その後、ステップ17で、発信者番号と識別コードの最終確認履歴を記憶手段302に記憶させて、この処理を終了する。
【0056】
ステップ12で、取得した識別コードが登録されている識別コードのいずれとも一致しないと判別されたときは、ステップ14へ進んで、それを知らせるための所定の表示を操作入力表示部303に表示させる。この場合、その所定の情報を通信制御手段307から外部システム400に通知したり、図示しないプリンタによって用紙に印刷して出力したり、記憶手段302に記憶させるようにしてもよい。
【0057】
次いで、ステップ15で、検出通知手段200に回線接続動作を中止させるように通信制御手段307を動作させ、その端末装置100とのデータ通信は行わない。そして、ステップ17で、その登録されていなかった識別コードと発信者番号を最終確認履歴として記憶手段302に記憶して、この処理を終了する。
【0058】
このように、接続要求のあった端末装置100との回線接続を確立した上で、その端末装置100とのデータ通信に先だって、発信者番号が登録されていない場合には識別コードを取得して、それが登録されているか否かを確認するようにすると、端末装置100の移転や使用する回線の変更などによって、その電話番号が登録されている電話番号と違ってしまったような場合でも、識別コードが登録されていれば回線を接続することができる。
そして、識別コードが登録されているか否かを確認してからデータ通信を行うので、正規の端末装置とだけ通信を行うことができ、不正な端末装置からのアクセスは排除される。
【0059】
そして、この場合ステップ16で、登録されていなかった発信者番号を、一致した識別コードに対応する電話番号として登録することにより、同じ端末装置からその後に接続要求があったときには、検出通知手段200から通知される発信者番号がホストコンピュータ300に登録されていることになるため、識別コードを確認することなく回線の接続を続行して、データ通信を開始することができるようになる。
【0060】
また、検出通知手段200から通知された発信者番号も回線接続後に取得した識別コードも登録されていなかった場合には、ステップ14で、そのことを知らせる所定の情報を表示したり、印刷して出力したりするので、その端末装置を別途確認する場合など、その後の対応が容易である。
【0061】
また、ステップ17で、発信者番号および識別コードを確認した場合(一致した場合も不一致の場合も)の最終履歴を記憶することにより、後にその履歴情報を記憶手段302から読み出して操作入力表示部303に表示させたり、図示しないプリンタで用紙に印刷して出力することなどができる。
【0062】
それによって、電話番号の変更の確認や、接続要求のあった未登録の端末装置の確認等を行うことが容易になる。その場合、ホストコンピュータから端末装置への接続要求をすることも可能になる。
また、システム環境の変化の状況をシステム全体からとらえることが可能となる。また、何らかの不具合が発生した場合には、その最終的な履歴情報を解析することによって、迅速に対応することも可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上説明してきたように、この発明によるデータ通信システムは、電話回線の発信者番号を通知するサービスを利用して、ホストコンピュータが端末装置からの接続要求時に、通知される発信者番号によって相手先が正規の端末装置か否かを確認した上で回線の接続を行うので、早い段階での確認が可能になり、正規の端末装置として確認できない場合には回線の接続を拒否することも可能になる。
【0064】
また、ホストコンピュータに発信者番号が登録されていなかった場合には、一旦端末装置との回線を接続してその識別コードを取得し、その識別コードが登録されていれば回線の接続を続行してデータ通信を開始するようにすれば、正規の端末装置が使用する電話番号が変更された場合でも、データ通信を行うことができる。そして、その変更された電話番号を登録されている識別コードに対応させて登録しておくようにすれば、電話番号等のシステム環境の変更があっても、正規の端末装置として回線を接続でき、端末装置とホストコンピュータとの接続性を継続的に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】この発明によるデータ通信システムの一実施形態の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1における端末装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】図1におけるホストコンピュータの内部構成を示すブロック図である。
【図4】ホストコンピュータにおけるこの発明に係る処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】同じくホストコンピュータにおけるこの発明にかかる処理の他の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
50:電話回線 51:電話交換網
100:端末装置 101:入出力手段
102:付加手段 102a:切替手段
103:記憶手段 104:伝送制御手段
200:発信者番号検出通知手段
250:変復調装置(モデム)
300:ホストコンピュータ
301:登録手段 302:記憶手段
303:操作入力表示部 304:CPU
305:ROM 306:RAM
307:通信制御手段
400:外部システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信者番号を通知するサービスを提供する電話交換網を含む電話回線に接続する複数の端末装置と、該電話回線に接続し、該電話回線から通知される発信者番号を検出して通知する発信者番号検出通知手段と、該手段から検出した発信者番号の通知を受けた後、前記電話回線に接続されて前記端末装置とデータ通信するホストコンピュータとからなるデータ通信システムであって、
前記各端末装置は、それぞれ他の端末装置と区別するための識別コードを有し、
前記ホストコンピュータは、システムを構成する前記複数の端末装置の各識別コードとその各識別コードに対応する電話番号とを登録する登録手段と、前記発信者番号検出通知手段から通知される発信者番号と前記登録手段に登録されている各電話番号とを比較して、一致する番号があるか否かを判別する判別手段と、その判別結果に応じて前記発信者番号検出通知手段を介しての通信を制御する通信制御手段とを備えたことを特徴とするデータ通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ通信システムにおいて、
前記端末装置は、前記電話回線に対して発信者番号の通知を有効にさせることを指示するための指示番号を、自己の電話番号である発信者番号に付加して送信する付加手段を備えていることを特徴とするデータ通信システム。
【請求項3】
前記付加手段は、自己の電話番号である発信者番号に前記指示番号を付加するか否かを選択的に切り替える手段を有することを特徴とする請求項2に記載のデータ通信システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のデータ通信システムにおいて、
前記ホストコンピュータは、前記発信者番号検出通知手段から通知された発信者番号が前記登録手段に登録されている電話番号のいずれとも一致しないと前記判別手段が判別したときに、それを表示するか、印刷して出力するか、外部に通知するか、あるいは記録する手段を有することを特徴とするデータ通信システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のデータ通信システムにおいて、
前記ホストコンピュータは、前記発信者番号検出通知手段から通知された発信者番号が、前記登録手段に登録されている電話番号のいずれかと一致したことを前記判別手段が判別したときには、前記発信者番号検出通知手段を介して電話回線と接続して該端末装置とのデータ通信を開始させ、前記登録手段に登録されている電話番号のいずれとも一致しないと前記判別手段が判別したときには、前記発信者番号検出通知手段を介して電話回線との接続を拒否するように前記通信制御手段を動作させる手段を有することを特徴とするデータ通信システム。
【請求項6】
前記ホストコンピュータの登録手段は、前記端末装置の1つの識別コードに対して複数の電話番号を登録し得るものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のデータ通信システム。
【請求項7】
前記ホストコンピュータの判別手段は、前記発信者番号検出通知手段から通知された発信者番号が、前記登録手段に登録されている識別コードに対する一つ以上の電話番号のうちの一つと一致したら、該識別コードが登録されている端末装置からの通信要求であると判別する手段である請求項6に記載のデータ通信システム。
【請求項8】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のデータ通信システムにおいて、
前記各端末装置は、前記ホストコンピュータとのデータ通信に先立って、自己の識別コードを送信する手段を有し、
前記ホストコンピュータは、前記判別手段による判別結果にかかわらず、前記発信者番号検出通知手段を介して電話回線と接続して通信要求のあった端末装置との通信を開始させ、前記発信者番号検出通知手段から通知された発信者番号が前記登録手段に登録されている電話番号のいずれとも一致しないと前記判別手段が判別していた場合には、前記端末装置から送信される識別コードを取得し、その識別コードが前記登録手段に登録されている識別コードのいずれかと一致するか否かをチェックし、一致したときには前記端末装置との通信を継続させ、いずれとも一致しなかったときには前記電話回線との接続を中止するように、前記通信制御手段を動作させる手段を有することを特徴とするデータ通信システム。
【請求項9】
請求項8に記載のデータ通信システムにおいて、
前記ホストコンピュータは、前記端末装置から取得した識別コードが前記登録手段に登録されている識別コードのいずれとも一致しなかったときには、それを表示するか、印刷して出力するか、外部に通知するか、あるいは記録する手段を有することを特徴とするデータ通信システム。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のデータ通信システムにおいて、
前記ホストコンピュータは、前記端末装置から取得した識別コードが前記登録手段に登録されている識別コードのいずれかと一致したときには、前記発信者番号検出通知手段から通知された発信者番号を、その一致した識別コードに対する電話番号として前記登録手段に新たに登録させるか又は前に登録されていた電話番号に代えて変更登録させる手段を有することを特徴とするデータ通信システム。
【請求項11】
前記ホストコンピュータの登録手段は、前記端末装置の1つの識別コードに対して複数の電話番号を登録し得るものであることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか一項に記載のデータ通信システム。
【請求項12】
前記ホストコンピュータの判別手段は、前記発信者番号検出通知手段から通知された発信者番号が、前記登録手段に登録されている識別コードに対する一つ以上の電話番号のうちの一つと一致したら、該識別コードが登録されている端末装置からの通信要求であると判別する手段である請求項11に記載のデータ通信システム。
【請求項13】
請求項8乃至12のいずれか一項に記載のデータ通信システムにおいて、
前記ホストコンピュータは、前記発信者番号検出通知手段から通知された発信者番号および前記端末装置から取得した識別コードの最終確認履歴の情報を記憶する手段を有することを特徴とするデータ通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−124689(P2007−124689A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−339563(P2006−339563)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【分割の表示】特願2000−261128(P2000−261128)の分割
【原出願日】平成12年8月30日(2000.8.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】