データ通信方式
【課題】Ack応答を削減することにより無線ネットワーク上のトラフィックを軽減したデータ通信方式を提供する。
【解決手段】送信側では、無線データフレーム(DATA)中に設けたAck要求を有効(ON)にして送信し、該Ack要求に対するAckを、該Ack要求を送信する周期(P1〜P3)内の一定時間(タイムアウト時間To)内に受信したとき、該Ack要求周期を延長し、受信しなかったときは短縮する。受信側では、Ack要求の順番を示すフレーム識別子が期待通りになっており且つAck要求受信間隔時間が前回の値より今回の値が大きくなっていることが判明したときのみ、該Ack要求に対するAckの冗長送信回数を減少させると共にいずれの場合でも該Ack要求受信間隔時間を今回の値に更新する。
【解決手段】送信側では、無線データフレーム(DATA)中に設けたAck要求を有効(ON)にして送信し、該Ack要求に対するAckを、該Ack要求を送信する周期(P1〜P3)内の一定時間(タイムアウト時間To)内に受信したとき、該Ack要求周期を延長し、受信しなかったときは短縮する。受信側では、Ack要求の順番を示すフレーム識別子が期待通りになっており且つAck要求受信間隔時間が前回の値より今回の値が大きくなっていることが判明したときのみ、該Ack要求に対するAckの冗長送信回数を減少させると共にいずれの場合でも該Ack要求受信間隔時間を今回の値に更新する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータ通信方式に関し、特にネットワークやプロトコルに関わらず全ての無線ネットワーク環境に適用されるデータ送信方法及びデータ受信方法並びにデータ送信装置及びデータ受信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、送信フレームに対するAck(送達確認)応答フレームを利用し、次の無線端末(ノード)まで正常に通信が行われたことを認識することによってAck応答(以下、単にAckと称することがある。)フレームを用いたコネクション型通信が行われて来た。これについて図10及び図11を参照して以下に説明する。
【0003】
まず、図10に示すように、無線端末10は、送信制御部20と受信制御部30とで構成され、これらの制御部20及び30は相互接続されている。送信制御部20は、Ack要求を送信制御するAck要求制御部40と、Ack応答を送信制御するAck応答制御部50と、送信したフレームが次端末で未到達の場合に再送を行う再送制御部60とで構成されている。また、受信制御部30は、受信したフレームからAck要求を検出するAck要求監視部70と、送信したフレームに対するAck応答を検出するAck受信監視部80とで構成されている。
【0004】
このような無線端末を用いたデータ通信例が図11に示されており、この例では、無線端末10aがデータ送信側のノードであり、無線端末10bがデータ受信側のノードとなっている。
【0005】
このような無線端末10a-10b間でデータを送信しようとする場合、無線端末10aにおいて送信要求が発生したことに伴い、無線端末10aが無線端末10b宛のデータフレームDATAを送信する(ステップS101,S103)。このときこのデータフレームDATAにはAck要求制御部40によってAck要求が含まれている。
【0006】
従って、このようなデータフレームDATAに応答して無線端末10bにおいては、Ack要求監視部70が、受信したデータフレームDATAからAck要求を抽出し、送信制御部20におけるAck応答制御部50がAck応答を無線端末10aに対して送信する(ステップS102,S104)。これによって、無線端末10aにおける受信制御部30内のAck受信監視部30が、送信したデータフレームDATAに対するAck応答と認識し、送信完了する。
【0007】
また、無線端末10aがデータフレームDATAを送信したとき(ステップS105)、一定時間(Ack待ちタイムアウト時間To)内でAck応答が返って来なかった場合には(ステップS106)、データフレームDATAが無線端末10bに到達しなかったと認識し、無線端末10aの送信制御部20における再送制御部60がデータフレームDATAの再送を行う(ステップS107)。
【0008】
これに対して、無線端末10bから無線端末10aに対してAck応答が与えられると(ステップS108)、続いて上記のステップS101〜S104と同様にデータフレームDATAが無線端末10aから無線端末10bへ送られ(ステップS109)、Ack応答が返されることになる(ステップS110)。
【0009】
一方、下りデータ及び下りデータに対する応答の送受信状況に基づき、無線基地局が無線端末との間の無線通信路の伝送品質を評価し、評価結果を示す情報をフィードバック情報として無線ネットワーク制御装置へ送信し、無線ネットワーク制御装置はフィードバック情報に基づき無線端末との間で実施される各レイヤの通信パラメータの制御を行う通信システム及び通信制御方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003-319458号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図10及び図11に示した従来例においては、データフレームの送信毎にデータフレームに対するAck応答を利用することで信頼性の高い通信の確立を図っているが、各データフレーム毎にAck応答が送信されるため、Ack応答の送信占有時間によるデータ転送の効率低下やAck応答分だけのネットワーク上のトラフィック増加が起こり、資源の有効活用に支障が生ずる。これは特に、中継無線端末が多いネットワーク(電波)環境下やネットワーク内のデータ転送量が増加すると深刻な問題となる。
【0011】
従って本発明は、Ack応答を削減することにより無線ネットワーク上のトラフィックを軽減しつつ信頼性の高いデータ通信方式を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記の目的を達成するため、本発明に係るデータ送信方法(又は装置)は、無線データフレーム中に設けたAck要求を有効にして送信する第1ステップ(又は手段)と、該Ack要求に対するAckを、該Ack要求を送信する周期内の一定時間内に受信したか否かにより、それぞれ、該周期を延長又は短縮する第2ステップ(又は手段)と、を備えたことを特徴としている。
【0013】
すなわち、本発明に係るデータ送信方法(又は装置)によれば、送信側から送られる無線データフレーム中にはAck要求のフィールドが設けられており、第1ステップ(又は手段)は、このAck要求のフィールドを有効にして無線データフレームを受信側に送信する。このAck要求に応答して受信側からAck応答が送られて来るが、第2ステップ(又は手段)は、このAck応答が、Ack要求を送信する周期内の一定時間内にあるか否かを判定し、この一定時間内にAck応答がある場合には送受信間の無線ネットワーク(電波)環境が良好であると判断してAck要求を送信する周期を延長する。或いは、Ack応答が一定時間内に受信できなかったときには、無線ネットワーク環境が良好でないと判断してAck要求を送信する周期を短縮する。
【0014】
このようにして、無線ネットワーク環境が良好な場合にはACK要求を送信する周期を延長しAck応答の頻度を減らすことで不要な通信を削減しながら信頼性の高いコネクション型通信を確立することができる。
【0015】
(2)また、本発明に係るデータ受信方法(又は装置)は、受信した無線データフレーム中に設けられたAck要求の順番を示すフレーム識別子が期待通りになっているか否か、及び前回のAck要求受信間隔時間より今回のAck要求受信間隔時間が大きくなっているか否かを判定する第1ステップ(又は手段)と、該第1ステップ(又は手段)で、該フレーム識別子が期待通りになっており且つ該Ack要求受信間隔時間が前回の値より今回の値が大きくなっていることが判明したときのみ、該Ack要求に対するAckの冗長送信回数を減少させ、それ以外の場合には該冗長送信回数を増加させると共にいずれの場合でも該Ack要求受信間隔時間を今回の値に更新する第2ステップ(又は手段)と、を備えたことを特徴としている。
【0016】
すなわち、本発明に係るデータ受信方法(又は装置)では、第1ステップ(又は手段)が、例えば上記のデータ送信方法(又は装置)によって無線データフレーム中に設けられて送信されて来るAck要求の順番を示すフレーム識別子が期待通りになっているか否かを判定する。これと同時に、今回のAck要求の受信間隔が前回の値より大きくなっているか否かも判定する。
【0017】
この判定の結果を受けて、第2ステップ(又は手段)は、該フレーム識別子が期待通りになっており、且つAck要求の受信間隔が前回の値より今回の値の方が大きくなっていることが分かったときには、無線ネットワーク環境が良好であると判断してAck要求に対するAckの冗長送信回数を減少させる。これ以外の場合には、無線ネットワーク環境が良好でないと判断してAckの冗長送信回数を増加させる。そして、これらのいずれの場合でもAck要求の受信間隔を今回の値に更新しておく。
【0018】
このようにすることにより、無線ネットワーク環境が良好な場合にはAck要求に対するAckの冗長送信回数を減少させるので、やはり同様にして不要な通信を削減することが可能となる。
【0019】
(3)なお、上記のフレーム識別子は、該Ack要求が有効なときのみ、該無線データフレーム中に設定すればよい。
【0020】
(4)また、無線データフレームを受信した時、該Ack要求を無効にする第3ステップ(又は手段)をさらに備えることもできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、各無線端末が無線ネットワーク環境の監視を周期的に行い、無線ネットワーク環境が安定している場合には送信側の無線端末は、Ack要求のデータフレームを送信する間隔を広げることで無線ネットワーク上のAck応答フレームを削減することができる。そして、各無線端末間のAck応答フレームおよびAck応答フレーム送信時間を削減することで、無線ネットワーク上のトラフィックを削減し、データ転送の効率を向上させ、以て信頼性の高さを維持したデータ通信を実現している。
【0022】
さらに本発明によれば、各無線端末が無線ネットワーク環境の監視を周期的に行い、無線ネットワーク環境が安定している場合には、今度は、受信側の無線端末がAck応答フレームの冗長送信回数を減らすことで無線ネットワーク上のAck応答フレームを削減することができ、同様にして無線ネットワーク上のトラフィックを削減し、データ転送の効率を向上させ、以て信頼性の高さを維持したデータ通信を実現している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
・構成例
図1は、本発明に係るデータ通信方式に用いる各無線端末の構成例を示す。この構成例における無線端末1は、相互接続された送信制御部2と受信制御部3とで構成され、この送信制御部2を構成するAck要求制御部4とAck応答制御部5と再送制御部6は、図10に示した無線端末10の送信制御部20におけるAck要求制御部40とAck応答制御部50と再送制御部60にそれぞれ対応している。
【0024】
但し、本発明の構成例では、Ack要求制御部4が、Ack要求周期を制御するAck要求周期制御部11と、該Ack要求周期を無線端末毎に管理するためのAck要求周期管理テーブル110とを有し、また、Ack応答制御部5が、冗長Ack送信回数を制御するAck回数制御部12と、該Ack回数を無線端末毎に管理するためのAck回数管理テーブル120とを備えている点が異なっている。
【0025】
また、受信制御部3におけるAck要求監視部7及びAck受信監視部8は、図10に示した無線端末10における受信制御部3におけるAck要求監視部70及びAck受信監視部80に対応している。
【0026】
但し、本発明の構成例では、Ack要求監視部7が、受信したAck要求受信間隔を制御するAck要求受信間隔制御部13と、該Ack要求受信間隔を受信端末毎に管理するためのAck要求受信間隔管理テーブル130とを備えている点が異なっている。
【0027】
図2は、図1に示した各無線端末において使用されるフレームフォーマットを示したもので、このフレームフォーマットにおいて網掛けで示すように、Ack要求フラグF及びフレーム識別子IDを、送信元アドレスと宛先アドレスとデータdataとで構成される従来のフレームに付加している点が異なっている。
【0028】
以下、図1及び2に示した本発明の実施例により実行されるデータ通信方式の動作例を図3〜図9に示したシーケンスによって以下に説明する。
【0029】
・動作実施例[1](電波環境が良い場合):図3
まず、無線端末1aは、無線端末1bへデータフレームDATAを送信するとき、現在、Ack要求周期として“5秒”毎に図2に示したAck要求フラグFを“ON”とし、且つデータフレームDATAを送信する毎にフレーム識別子IDをインクリメントして行く。これに対し、データフレームDATAを受信する無線端末1bは、無線端末1aに対して、現在、(1)冗長Ack送信回数=3回、及び(2)Ack要求受信間隔時間=4秒に設定されているものとする。なお、かかる前提は以下の本実施例[1](電波環境が悪い場合)においても同様である。また、各無線端末は互いに電波到達範囲にあるものとする。
【0030】
ステップS1:まず、無線端末1aは送信要求が発行された際、無線端末1bに対するAck要求周期をAck要求周期制御部11のAck要求周期管理テーブル110により確認し、無効であるならば、図2に示したAck要求フラグFを無効にしてデータフレームDATAを送信する。またこのデータフレームDATAを受信した無線端末1bは無線端末1aに対して何も応答を返さない。
【0031】
ステップS2:無線端末1aは送信要求が発行された際、無線端末1bに対するAck要求周期を確認し、有効であるならばAck要求フラグFを有効に、またユニークなAck要求フレーム識別子ID(本例では初期値を“1”とする。)を付与し、Ack要求のデータフレームDATAを送信する。
【0032】
ステップS3:Ack要求のデータフレームDATAを受信した無線端末1bは、Ack応答制御部12が、無線端末1aに対してAck応答を返す。
【0033】
ステップS4:無線端末1bからの前記Ack応答を、Ack待ちタイムアウト時間To内で受信した無線端末1aは、無線ネットワーク環境が安定していると認識し、無線端末1bに対するAck要求周期の変更(本例ではP1=5秒→P2=6秒)を、Ack要求周期制御部11がAck要求周期管理テーブル110において行う。なお、Ack待ちタイムアウト時間Toは、全てのAck要求周期より短い期間に設定されている。
【0034】
この後、無線端末1bは、Ack回数制御部12のテーブル120により、Ack応答フレームの冗長送信回数が“3”であるため、予め設定されている冗長Ack間隔毎に2回目及び3回目のAckを送信する。
【0035】
ステップS5:その後、無線端末1aは無線端末1bに対してP2=6秒周期でAck要求フラグF=“ON”のデータフレームDATAを生成して送信する。このときのフレーム識別子IDは“1”だけインクリメントされて“2”となる
【0036】
ステップS6:無線端末1bでは、上述の如く冗長Ack送信回数(本例では3回)だけAck応答を送信するが、この例では、その内の1回目と2回目は無線端末1aにおいて受信されない。
【0037】
ステップS7:
無線端末1aでは、Ack待ちタイムアウト時間To内で3回目のAck応答を受信する。
【0038】
ステップS8:無線端末1aは、無線ネットワーク環境が安定していると認識し、無線端末1bに対するAck要求周期をさらに変更(P2=6秒→P3=7秒)し、これをAck要求周期管理テーブル110に登録する。
【0039】
ステップS9:無線端末1aでは無線端末1bに対して以降のAck要求を7秒毎に送信する。
【0040】
以上により無線端末1aは、無線ネットワーク環境が安定している場合、無線端末1bへのAck要求周期を延長し不要なAck応答フレームを減らして信頼性の高いコネクション型のデータ通信を実現している。
【0041】
・実施例[1](電波環境が悪い場合):図4
この場合には、以下の通りAck要求周期を短縮する。
【0042】
ステップS11:まず、無線端末1aは、送信要求が発行された際、無線端末1bに対するAck要求周期を確認し、無効であるならAck要求フラグFを“OFF”にしてデータフレームDATAを送信する。またこのデータフレームDATAを受信した無線端末1bは何も応答を返さない。
【0043】
ステップS12:無線端末1aは、送信要求が発行された際、無線端末1bに対するAck要求周期をAck要求周期管理テーブル110により確認し、有効であるならばAck要求フラグFを“ON”にし、またユニークなAck要求フレーム識別子ID(本例では“1”とする。)を付与し、Ack要求のデータフレームDATAを送信する。
【0044】
ステップS13:Ack要求のデータフレームDATAを受信した無線端末1bは、無線端末1aに対してAck応答を返す。この場合、無線端末1bでは上述の場合と同様に、予め設定されているAck応答間隔時間毎に冗長Ack回数(本例では3回)だけAck応答を送信する。
【0045】
ステップS14:無線端末1aでは3回のAck応答をいずれも受信できずAck待ちタイムアウト時間Toを超過したとき、無線ネットワーク環境が不安定であると認識し、無線端末1bに対するAck要求周期の変更(本例ではP11=5秒→P12=4秒)をAck要求周期管理テーブル110において行う。
【0046】
ステップS15:無線端末1aでは無線端末1bに対して以降のAck要求を4秒毎に送信する。
【0047】
以上により無線端末1aは無線ネットワーク環境が不安定な場合、無線端末1bへのAck要求周期を短縮しAck応答を増やして信頼性の高いコネクション型のデータ送信を実現している。
【0048】
・実施例[2](電波環境が良い場合):図5
この実施例においても、無線端末1aから無線端末1bに対してのAck要求周期の初期値を5秒、無線端末1aからのAck要求受信間隔時間を4秒、無線端末1aに対しての冗長Ack送信回数を3回とし、無線端末1aからのAck要求間隔が長く、無線端末1aからのAck要求フレーム識別子が期待通りである場合に、冗長Ack送信回数を減らし、無線端末1aへのAck要求受信間隔時間を延長する例を示す。
【0049】
ステップS21:まず、無線端末1aよりAck要求フラグFを“ON”とし、フレーム識別子IDを“1”としたデータフレームDATAを無線端末1bに送信する。
【0050】
ステップS22:このデータフレームDATAを受信した無線端末1bは、無線端末1aに対し冗長Ack送信回数(本例では3回)だけAck応答を送信する。
【0051】
ステップS23:無線端末1aはAck応答を受信したことで、次のデータフレームDATAを無線端末1bに送信する。この場合のデータフレームDATAは、Ack要求フラグFが“ON”で、フレーム識別子IDが“2”である。
【0052】
ステップS24:無線端末1bでは、ステップS21でAck要求フレーム識別子ID=“1”のデータフレームDATAを受信してから、ステップS23で次のデータフレームDATAを受信するまでの時間を計測する。
【0053】
そして、無線端末1bでは、(1)前記計測時間(今回のAck要求受信間隔時間)と無線端末1aに対してAck要求受信間隔管理テーブル130で管理しているAck要求受信間隔時間(前回のAck要求受信間隔時間)とを比較し、今回のAck要求受信間隔時間=5秒>前回のAck要求受信間隔時間=4秒であり、かつ(2)Ack要求フレーム識別子IDが期待する順番通りのもの(本例では“2”)である場合は、無線ネットワーク環境が安定しているものと認識する。
【0054】
ステップS25:そして、無線端末1bは、無線端末1a対するAck要求受信間隔時間を5秒とするようにAck要求受信間隔管理テーブル130を更新し、冗長Ack送信回数を2回に減らすようにAck回数管理テーブル120を更新する。
【0055】
ステップS26:無線端末1bでは、無線端末1aに対して以降のAck要求受信間隔時間を5秒、冗長Ack送信回数を2回にしてAckを無線端末1aに送信する。
【0056】
以上により無線端末1bは無線ネットワーク環境が安定している場合、無線端末1aへのAck要求受信間隔時間を延長し、不要なAck送信回数を減らして信頼性の高いコネクション型のデータ通信を行うことができる。
【0057】
・実施例[2](電波環境が悪い場合(1)):図6
この場合には、無線端末1aから無線端末1bに対してのAck要求周期の初期値を3秒としている点が図5の例と異なっており、無線端末1aからのAck要求間隔が短い場合のAck要求受信間隔時間の短縮および冗長Ack回数を増やす例を示す。
【0058】
ステップS31,32:まず、無線端末1aよりデータフレームDATA(本例ではAck要求フラグF=“ON”でAck要求フレーム識別子ID=“1”)を受信した無線端末1bは、無線端末1aに対し冗長Ack送信回数(本例では3回)分だけAck応答を返す。
【0059】
ステップS33,34:無線端末1bでは、ステップS31でAck要求フレーム識別子ID=“1”のデータフレームDATAを受信してから、ステップS33で次のデータフレームDATAを受信するまでの時間を計測(本例では3秒)すると共に、フレーム識別子ID=“2”を抽出する。そして、計測時間(今回のAck要求受信間隔時間)と無線端末1aに対して管理しているAck要求受信間隔時間(前回のAck要求受信間隔時間)とを比較し、今回のAck要求受信間隔時間=3秒<前回のAck要求受信間隔時間=4秒であることが分かるので、フレーム識別子IDが順番通りであっても、無線ネットワーク環境が不安定であると認識する。
【0060】
ステップS35:そして、無線端末1bは、無線端末1a対するAck要求受信間隔時間を3秒に更新し、冗長Ack回数を4回に増加する。これらはそれぞれテーブル130及び120に登録される。
【0061】
ステップS36:無線端末1bでは無線端末1aに対して以降のAck要求受信間隔時間を3秒、冗長Ack回数を4回にしてAckを送信する。
【0062】
以上により無線端末1bは無線ネットワーク環境が不安定な場合、無線端末1aへのAck要求受信間隔時間を短縮し、冗長Ack回数を増やして信頼性の高いコネクション型のデータ通信を実現している。
【0063】
・実施例[2](電波環境が悪い場合(2)):図7
この場合には、無線端末1aから無線端末1bに対してのAck要求周期の初期値を4秒とした点が図6の例と異なっており、無線端末1aからのAck要求フレーム識別子IDが期待通りでない場合のAck要求受信間隔時間の短縮および冗長Ack送信回数を増やす例を示す。
【0064】
ステップS41,S42:まず、無線端末1aよりデータフレームDATA(本例では、Ack要求フラグF=“ON”でAck要求フレーム識別子ID=“1”)を受信した無線端末1bは、無線端末1aに対し冗長Ack送信回数(本例では3回)分だけAck応答を返す。
【0065】
ステップS43:無線端末1aは、Ack応答を受けて次のデータフレームDATA(本例では、Ack要求フラグF=“ON”でAck要求フレーム識別子ID=“2”)を無線端末1bに送信するが、無線端末1bは何らかの電波異常により受信できない。
【0066】
ステップS44:無線端末1aは、無線端末1bからのAck応答が無い場合には、例えば図4の例のようにAck待ちタイムアウト時間To経過時に次のデータフレームDATA(本例では、Ack要求フラグF=“ON”でAck要求フレーム識別子ID=“3”)を送信し、無線端末1bはこれを今度は受信する。
【0067】
ステップS45:無線端末1bでは、ステップS41でAck要求フレーム識別子ID=“1”のデータフレームDATAを受信してから、ステップS44で次のデータフレームDATA(フレーム識別子ID=“3”)を受信するまでの時間を計測する。この結果、前回のAck要求受信間隔時間=7秒>今回のAck要求受信間隔時間=4秒で間隔が広がっているが、Ack要求フレーム識別子ID=“3”であり、期待するもの(本例では“2”)でないので、無線ネットワーク環境が不安定であると認識する。
【0068】
ステップS46:そして、無線端末1bは、無線端末1aに対するAck要求受信間隔時間を3秒に変更し、冗長Ack送信回数を4回に増加する。これらは、それぞれ、テーブル130及び120に登録される。
【0069】
ステップS47:無線端末1bでは無線端末1aに対して以降のAck要求受信間隔時間を3秒とし、冗長Ack回数を4回にしてAckを送信する。
【0070】
以上により無線端末1bは無線ネットワーク環境が不安定な場合、無線端末1aへのAck要求受信間隔時間を短縮し、冗長Ack回数を増やして信頼性の高いコネクション型のデータ通信を行うことができる。
【0071】
・実施例[2](電波環境に変化が無い場合):図8
この場合も、無線端末1aから無線端末1bに対してのAck要求周期の初期値を4秒、無線端末1aからのAck要求受信間隔時間を4秒、無線端末1aに対しての冗長Ack回数を3回とし、無線端末1aからのAck要求間隔と無線端末1aに対してのAck要求受信間隔時間が等しく、Ack要求フレーム識別子が期待するものである場合のAck要求受信間隔時間および冗長Ack回数を変更しない例を示す。
【0072】
ステップS51,S52:まず、無線端末1aよりデータフレームDATA(本例では、Ack要求フラグF=“ON”でAck要求フレーム識別子ID=“1”)を受信した無線端末1bは、無線端末1aに対し冗長Ack送信回数(本例では3回)分だけAck応答を送信する。
【0073】
ステップS53,S54,S55:無線端末1bでは前記Ack要求フレーム識別子ID=“1”のデータフレームDATAを受信してから、次のデータフレームDATAを受信するまでの時間を計測する。この結果、前記計測時間と無線端末1aに対して管理しているAck要求受信間隔時間とが一致しており、かつAck要求フレーム識別子IDが期待するもの(本例では“2”)であるので、無線ネットワーク環境に変化がないものと認識し、無線端末1aに対するAck要求受信間隔時間および冗長Ack回数を変更しない。
【0074】
ステップS56:無線端末1bでは無線端末1aに対して以降のAck要求受信間隔時間を4秒、冗長Ack回数を3回のままにしてAckを送信する。
【0075】
以上により無線端末1bは無線ネットワーク環境に変化がない場合、無線端末1aへのAck要求受信間隔時間と冗長Ack回数を変更せず信頼性の高いコネクション型のデータ通信を行う。
【0076】
・実施例[3]:図9
この場合には、無線端末1aから無線端末1bに対してのAck要求周期の初期値を5秒とし、前記Ack要求周期カウント中に無線端末1bよりフレームを受信すると、カウント中の前記Ack要求周期をリセットして0からカウントし直し、無線端末1bに対するAck要求周期を延長する例を示す。
【0077】
ステップS61:まず、無線端末1aは、無線端末1bに対してAck要求周期T1(本例では5秒)をカウント中、無線端末1bより自分宛データフレームDATAを受信する。
【0078】
ステップS62,S63:自分宛データフレームDATAを受信した無線端末1aは、無線端末1bに対する前記Ack要求周期T2のカウントをリセットし、0からカウントし直す。そして、無線端末1aは、自分から送信するデータフレームDATAの中のAck要求フラグFを“OFF”とする。
【0079】
ステップS64,S65:その後、無線端末1bより自分宛データフレームDATAを受信した場合、無線端末1aは再度前記Ack要求周期のカウントをリセットし、0からカウントする。
【0080】
ステップS66:その後、無線端末1aでは、Ack要求周期のカウント値が設定値T3になる前に無線端末1bに対してフレームを送信する場合は、Ack要求フラグF=“OFF”にして送信する。
【0081】
ステップS67:無線端末1aでは、Ack要求周期のカウント値が設定値T3になり無線端末1bに対してフレームを送信する場合は、Ack要求フラグF=“ON”とし、Ack要求フレーム識別子ID=“1”としたデータフレームDATAを送信する。
【0082】
以上により無線端末1aは任意のノードから連続してデータを受信している場合、前記任意ノードとは通信可能と判断し、不要なAck要求は行わずに信頼性の高いコネクション型のデータ通信を実現している。
【0083】
なお、本発明は、上記実施例によって限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づき、当業者によって種々の変更が可能なことは明らかである。
【0084】
(付記1)
無線データフレーム中に設けたAck要求を有効にして送信する第1ステップと、
該Ack要求に対するAckを、該Ack要求を送信する周期内の一定時間内に受信したか否かにより、それぞれ、該周期を延長又は短縮する第2ステップと、
を備えたことを特徴とするデータ送信方法。
(付記2)
受信した無線データフレーム中に設けられたAck要求の順番を示すフレーム識別子が期待通りになっているか否か、及び前回のAck要求受信間隔時間より今回のAck要求受信間隔時間が大きくなっているか否かを判定する第1ステップと、
該第1ステップで、該フレーム識別子が期待通りになっており且つ該Ack要求受信間隔時間が前回の値より今回の値が大きくなっていることが判明したときのみ、該Ack要求に対するAckの冗長送信回数を減少させ、それ以外の場合には該冗長送信回数を増加させると共にいずれの場合でも該Ack要求受信間隔時間を今回の値に更新する第2ステップと、
を備えたことを特徴とするデータ受信方法。
(付記3)付記2において、
該フレーム識別子は、該Ack要求が有効なときのみ、該無線データフレーム中に設定されることを特徴とするデータ受信方法。
(付記4)付記1において、
該無線データフレームを受信した時、該Ack要求を無効にする第3ステップをさらに備えたことを特徴とするデータ送信方法。
(付記5)
無線データフレーム中に設けたAck要求を有効にして送信する第1手段と、
該Ack要求に対するAckを、該Ack要求を送信する周期内の一定時間内に受信したか否かにより、それぞれ、該周期を延長又は短縮する第2手段と、
を備えたことを特徴とするデータ送信装置。
(付記6)
受信した無線データフレーム中に設けられたAck要求の順番を示すフレーム識別子が期待通りになっているか否か、及び前回のAck要求受信間隔時間より今回のAck要求受信間隔時間が大きくなっているか否かを判定する第1手段と、
該第1手段で、該フレーム識別子が期待通りになっており且つ該Ack要求受信間隔時間が前回の値より今回の値が大きくなっていることが判明したときのみ、該Ack要求に対するAckの冗長送信回数を減少させ、それ以外の場合には該冗長送信回数を増加させると共にいずれの場合でも該Ack要求受信間隔時間を今回の値に更新する第2手段と、
を備えたことを特徴とするデータ受信装置。
(付記7)付記2において、
該フレーム識別子は、該Ack要求が有効なときのみ、該無線データフレーム中に設定されることを特徴とするデータ受信装置。
(付記8)付記1において、
該無線データフレームを受信した時、該Ack要求を無効にする第3手段をさらに備えたことを特徴とするデータ送信装置。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明に用いる各無線端末の構成例を示したブロック図である。
【図2】本発明で使用するデータフレームのフォーマット図である。
【図3】本発明における動作実施例[1](電波環境が良い場合)を示したシーケンス図である。
【図4】本発明における動作実施例[1](電波環境が悪い場合)を示したシーケンス図である。
【図5】本発明における動作実施例[2](電波環境が良い場合)を示したシーケンス図である。
【図6】本発明における動作実施例[2](電波環境が悪い場合(1))を示したシーケンス図である。
【図7】本発明における動作実施例[2](電波環境が悪い場合(2))を示したシーケンス図である。
【図8】本発明における動作実施例[2](電波環境に変化が無い場合)を示したシーケンス図である。
【図9】本発明に係る動作実施例[3]を示したシーケンス図である。
【図10】従来から知られている無線端末の構成例を示したブロック図である。
【図11】従来例の動作を示したシーケンス図である。
【符号の説明】
【0086】
1, 1a, 1b 無線端末
2 送信制御部
3 受信制御部
4 Ack要求制御部
5 Ack応答制御部
6 再送制御部
7 Ack要求監視部
8 Ack受信監視部
11 Ack要求周期制御部
12 Ack回数制御部
13 Ack要求受信間隔制御部
110 Ack要求周期管理テーブル
120 Ack回数管理テーブル
130 Ack要求受信間隔管理テーブル
図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明はデータ通信方式に関し、特にネットワークやプロトコルに関わらず全ての無線ネットワーク環境に適用されるデータ送信方法及びデータ受信方法並びにデータ送信装置及びデータ受信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、送信フレームに対するAck(送達確認)応答フレームを利用し、次の無線端末(ノード)まで正常に通信が行われたことを認識することによってAck応答(以下、単にAckと称することがある。)フレームを用いたコネクション型通信が行われて来た。これについて図10及び図11を参照して以下に説明する。
【0003】
まず、図10に示すように、無線端末10は、送信制御部20と受信制御部30とで構成され、これらの制御部20及び30は相互接続されている。送信制御部20は、Ack要求を送信制御するAck要求制御部40と、Ack応答を送信制御するAck応答制御部50と、送信したフレームが次端末で未到達の場合に再送を行う再送制御部60とで構成されている。また、受信制御部30は、受信したフレームからAck要求を検出するAck要求監視部70と、送信したフレームに対するAck応答を検出するAck受信監視部80とで構成されている。
【0004】
このような無線端末を用いたデータ通信例が図11に示されており、この例では、無線端末10aがデータ送信側のノードであり、無線端末10bがデータ受信側のノードとなっている。
【0005】
このような無線端末10a-10b間でデータを送信しようとする場合、無線端末10aにおいて送信要求が発生したことに伴い、無線端末10aが無線端末10b宛のデータフレームDATAを送信する(ステップS101,S103)。このときこのデータフレームDATAにはAck要求制御部40によってAck要求が含まれている。
【0006】
従って、このようなデータフレームDATAに応答して無線端末10bにおいては、Ack要求監視部70が、受信したデータフレームDATAからAck要求を抽出し、送信制御部20におけるAck応答制御部50がAck応答を無線端末10aに対して送信する(ステップS102,S104)。これによって、無線端末10aにおける受信制御部30内のAck受信監視部30が、送信したデータフレームDATAに対するAck応答と認識し、送信完了する。
【0007】
また、無線端末10aがデータフレームDATAを送信したとき(ステップS105)、一定時間(Ack待ちタイムアウト時間To)内でAck応答が返って来なかった場合には(ステップS106)、データフレームDATAが無線端末10bに到達しなかったと認識し、無線端末10aの送信制御部20における再送制御部60がデータフレームDATAの再送を行う(ステップS107)。
【0008】
これに対して、無線端末10bから無線端末10aに対してAck応答が与えられると(ステップS108)、続いて上記のステップS101〜S104と同様にデータフレームDATAが無線端末10aから無線端末10bへ送られ(ステップS109)、Ack応答が返されることになる(ステップS110)。
【0009】
一方、下りデータ及び下りデータに対する応答の送受信状況に基づき、無線基地局が無線端末との間の無線通信路の伝送品質を評価し、評価結果を示す情報をフィードバック情報として無線ネットワーク制御装置へ送信し、無線ネットワーク制御装置はフィードバック情報に基づき無線端末との間で実施される各レイヤの通信パラメータの制御を行う通信システム及び通信制御方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003-319458号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図10及び図11に示した従来例においては、データフレームの送信毎にデータフレームに対するAck応答を利用することで信頼性の高い通信の確立を図っているが、各データフレーム毎にAck応答が送信されるため、Ack応答の送信占有時間によるデータ転送の効率低下やAck応答分だけのネットワーク上のトラフィック増加が起こり、資源の有効活用に支障が生ずる。これは特に、中継無線端末が多いネットワーク(電波)環境下やネットワーク内のデータ転送量が増加すると深刻な問題となる。
【0011】
従って本発明は、Ack応答を削減することにより無線ネットワーク上のトラフィックを軽減しつつ信頼性の高いデータ通信方式を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記の目的を達成するため、本発明に係るデータ送信方法(又は装置)は、無線データフレーム中に設けたAck要求を有効にして送信する第1ステップ(又は手段)と、該Ack要求に対するAckを、該Ack要求を送信する周期内の一定時間内に受信したか否かにより、それぞれ、該周期を延長又は短縮する第2ステップ(又は手段)と、を備えたことを特徴としている。
【0013】
すなわち、本発明に係るデータ送信方法(又は装置)によれば、送信側から送られる無線データフレーム中にはAck要求のフィールドが設けられており、第1ステップ(又は手段)は、このAck要求のフィールドを有効にして無線データフレームを受信側に送信する。このAck要求に応答して受信側からAck応答が送られて来るが、第2ステップ(又は手段)は、このAck応答が、Ack要求を送信する周期内の一定時間内にあるか否かを判定し、この一定時間内にAck応答がある場合には送受信間の無線ネットワーク(電波)環境が良好であると判断してAck要求を送信する周期を延長する。或いは、Ack応答が一定時間内に受信できなかったときには、無線ネットワーク環境が良好でないと判断してAck要求を送信する周期を短縮する。
【0014】
このようにして、無線ネットワーク環境が良好な場合にはACK要求を送信する周期を延長しAck応答の頻度を減らすことで不要な通信を削減しながら信頼性の高いコネクション型通信を確立することができる。
【0015】
(2)また、本発明に係るデータ受信方法(又は装置)は、受信した無線データフレーム中に設けられたAck要求の順番を示すフレーム識別子が期待通りになっているか否か、及び前回のAck要求受信間隔時間より今回のAck要求受信間隔時間が大きくなっているか否かを判定する第1ステップ(又は手段)と、該第1ステップ(又は手段)で、該フレーム識別子が期待通りになっており且つ該Ack要求受信間隔時間が前回の値より今回の値が大きくなっていることが判明したときのみ、該Ack要求に対するAckの冗長送信回数を減少させ、それ以外の場合には該冗長送信回数を増加させると共にいずれの場合でも該Ack要求受信間隔時間を今回の値に更新する第2ステップ(又は手段)と、を備えたことを特徴としている。
【0016】
すなわち、本発明に係るデータ受信方法(又は装置)では、第1ステップ(又は手段)が、例えば上記のデータ送信方法(又は装置)によって無線データフレーム中に設けられて送信されて来るAck要求の順番を示すフレーム識別子が期待通りになっているか否かを判定する。これと同時に、今回のAck要求の受信間隔が前回の値より大きくなっているか否かも判定する。
【0017】
この判定の結果を受けて、第2ステップ(又は手段)は、該フレーム識別子が期待通りになっており、且つAck要求の受信間隔が前回の値より今回の値の方が大きくなっていることが分かったときには、無線ネットワーク環境が良好であると判断してAck要求に対するAckの冗長送信回数を減少させる。これ以外の場合には、無線ネットワーク環境が良好でないと判断してAckの冗長送信回数を増加させる。そして、これらのいずれの場合でもAck要求の受信間隔を今回の値に更新しておく。
【0018】
このようにすることにより、無線ネットワーク環境が良好な場合にはAck要求に対するAckの冗長送信回数を減少させるので、やはり同様にして不要な通信を削減することが可能となる。
【0019】
(3)なお、上記のフレーム識別子は、該Ack要求が有効なときのみ、該無線データフレーム中に設定すればよい。
【0020】
(4)また、無線データフレームを受信した時、該Ack要求を無効にする第3ステップ(又は手段)をさらに備えることもできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、各無線端末が無線ネットワーク環境の監視を周期的に行い、無線ネットワーク環境が安定している場合には送信側の無線端末は、Ack要求のデータフレームを送信する間隔を広げることで無線ネットワーク上のAck応答フレームを削減することができる。そして、各無線端末間のAck応答フレームおよびAck応答フレーム送信時間を削減することで、無線ネットワーク上のトラフィックを削減し、データ転送の効率を向上させ、以て信頼性の高さを維持したデータ通信を実現している。
【0022】
さらに本発明によれば、各無線端末が無線ネットワーク環境の監視を周期的に行い、無線ネットワーク環境が安定している場合には、今度は、受信側の無線端末がAck応答フレームの冗長送信回数を減らすことで無線ネットワーク上のAck応答フレームを削減することができ、同様にして無線ネットワーク上のトラフィックを削減し、データ転送の効率を向上させ、以て信頼性の高さを維持したデータ通信を実現している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
・構成例
図1は、本発明に係るデータ通信方式に用いる各無線端末の構成例を示す。この構成例における無線端末1は、相互接続された送信制御部2と受信制御部3とで構成され、この送信制御部2を構成するAck要求制御部4とAck応答制御部5と再送制御部6は、図10に示した無線端末10の送信制御部20におけるAck要求制御部40とAck応答制御部50と再送制御部60にそれぞれ対応している。
【0024】
但し、本発明の構成例では、Ack要求制御部4が、Ack要求周期を制御するAck要求周期制御部11と、該Ack要求周期を無線端末毎に管理するためのAck要求周期管理テーブル110とを有し、また、Ack応答制御部5が、冗長Ack送信回数を制御するAck回数制御部12と、該Ack回数を無線端末毎に管理するためのAck回数管理テーブル120とを備えている点が異なっている。
【0025】
また、受信制御部3におけるAck要求監視部7及びAck受信監視部8は、図10に示した無線端末10における受信制御部3におけるAck要求監視部70及びAck受信監視部80に対応している。
【0026】
但し、本発明の構成例では、Ack要求監視部7が、受信したAck要求受信間隔を制御するAck要求受信間隔制御部13と、該Ack要求受信間隔を受信端末毎に管理するためのAck要求受信間隔管理テーブル130とを備えている点が異なっている。
【0027】
図2は、図1に示した各無線端末において使用されるフレームフォーマットを示したもので、このフレームフォーマットにおいて網掛けで示すように、Ack要求フラグF及びフレーム識別子IDを、送信元アドレスと宛先アドレスとデータdataとで構成される従来のフレームに付加している点が異なっている。
【0028】
以下、図1及び2に示した本発明の実施例により実行されるデータ通信方式の動作例を図3〜図9に示したシーケンスによって以下に説明する。
【0029】
・動作実施例[1](電波環境が良い場合):図3
まず、無線端末1aは、無線端末1bへデータフレームDATAを送信するとき、現在、Ack要求周期として“5秒”毎に図2に示したAck要求フラグFを“ON”とし、且つデータフレームDATAを送信する毎にフレーム識別子IDをインクリメントして行く。これに対し、データフレームDATAを受信する無線端末1bは、無線端末1aに対して、現在、(1)冗長Ack送信回数=3回、及び(2)Ack要求受信間隔時間=4秒に設定されているものとする。なお、かかる前提は以下の本実施例[1](電波環境が悪い場合)においても同様である。また、各無線端末は互いに電波到達範囲にあるものとする。
【0030】
ステップS1:まず、無線端末1aは送信要求が発行された際、無線端末1bに対するAck要求周期をAck要求周期制御部11のAck要求周期管理テーブル110により確認し、無効であるならば、図2に示したAck要求フラグFを無効にしてデータフレームDATAを送信する。またこのデータフレームDATAを受信した無線端末1bは無線端末1aに対して何も応答を返さない。
【0031】
ステップS2:無線端末1aは送信要求が発行された際、無線端末1bに対するAck要求周期を確認し、有効であるならばAck要求フラグFを有効に、またユニークなAck要求フレーム識別子ID(本例では初期値を“1”とする。)を付与し、Ack要求のデータフレームDATAを送信する。
【0032】
ステップS3:Ack要求のデータフレームDATAを受信した無線端末1bは、Ack応答制御部12が、無線端末1aに対してAck応答を返す。
【0033】
ステップS4:無線端末1bからの前記Ack応答を、Ack待ちタイムアウト時間To内で受信した無線端末1aは、無線ネットワーク環境が安定していると認識し、無線端末1bに対するAck要求周期の変更(本例ではP1=5秒→P2=6秒)を、Ack要求周期制御部11がAck要求周期管理テーブル110において行う。なお、Ack待ちタイムアウト時間Toは、全てのAck要求周期より短い期間に設定されている。
【0034】
この後、無線端末1bは、Ack回数制御部12のテーブル120により、Ack応答フレームの冗長送信回数が“3”であるため、予め設定されている冗長Ack間隔毎に2回目及び3回目のAckを送信する。
【0035】
ステップS5:その後、無線端末1aは無線端末1bに対してP2=6秒周期でAck要求フラグF=“ON”のデータフレームDATAを生成して送信する。このときのフレーム識別子IDは“1”だけインクリメントされて“2”となる
【0036】
ステップS6:無線端末1bでは、上述の如く冗長Ack送信回数(本例では3回)だけAck応答を送信するが、この例では、その内の1回目と2回目は無線端末1aにおいて受信されない。
【0037】
ステップS7:
無線端末1aでは、Ack待ちタイムアウト時間To内で3回目のAck応答を受信する。
【0038】
ステップS8:無線端末1aは、無線ネットワーク環境が安定していると認識し、無線端末1bに対するAck要求周期をさらに変更(P2=6秒→P3=7秒)し、これをAck要求周期管理テーブル110に登録する。
【0039】
ステップS9:無線端末1aでは無線端末1bに対して以降のAck要求を7秒毎に送信する。
【0040】
以上により無線端末1aは、無線ネットワーク環境が安定している場合、無線端末1bへのAck要求周期を延長し不要なAck応答フレームを減らして信頼性の高いコネクション型のデータ通信を実現している。
【0041】
・実施例[1](電波環境が悪い場合):図4
この場合には、以下の通りAck要求周期を短縮する。
【0042】
ステップS11:まず、無線端末1aは、送信要求が発行された際、無線端末1bに対するAck要求周期を確認し、無効であるならAck要求フラグFを“OFF”にしてデータフレームDATAを送信する。またこのデータフレームDATAを受信した無線端末1bは何も応答を返さない。
【0043】
ステップS12:無線端末1aは、送信要求が発行された際、無線端末1bに対するAck要求周期をAck要求周期管理テーブル110により確認し、有効であるならばAck要求フラグFを“ON”にし、またユニークなAck要求フレーム識別子ID(本例では“1”とする。)を付与し、Ack要求のデータフレームDATAを送信する。
【0044】
ステップS13:Ack要求のデータフレームDATAを受信した無線端末1bは、無線端末1aに対してAck応答を返す。この場合、無線端末1bでは上述の場合と同様に、予め設定されているAck応答間隔時間毎に冗長Ack回数(本例では3回)だけAck応答を送信する。
【0045】
ステップS14:無線端末1aでは3回のAck応答をいずれも受信できずAck待ちタイムアウト時間Toを超過したとき、無線ネットワーク環境が不安定であると認識し、無線端末1bに対するAck要求周期の変更(本例ではP11=5秒→P12=4秒)をAck要求周期管理テーブル110において行う。
【0046】
ステップS15:無線端末1aでは無線端末1bに対して以降のAck要求を4秒毎に送信する。
【0047】
以上により無線端末1aは無線ネットワーク環境が不安定な場合、無線端末1bへのAck要求周期を短縮しAck応答を増やして信頼性の高いコネクション型のデータ送信を実現している。
【0048】
・実施例[2](電波環境が良い場合):図5
この実施例においても、無線端末1aから無線端末1bに対してのAck要求周期の初期値を5秒、無線端末1aからのAck要求受信間隔時間を4秒、無線端末1aに対しての冗長Ack送信回数を3回とし、無線端末1aからのAck要求間隔が長く、無線端末1aからのAck要求フレーム識別子が期待通りである場合に、冗長Ack送信回数を減らし、無線端末1aへのAck要求受信間隔時間を延長する例を示す。
【0049】
ステップS21:まず、無線端末1aよりAck要求フラグFを“ON”とし、フレーム識別子IDを“1”としたデータフレームDATAを無線端末1bに送信する。
【0050】
ステップS22:このデータフレームDATAを受信した無線端末1bは、無線端末1aに対し冗長Ack送信回数(本例では3回)だけAck応答を送信する。
【0051】
ステップS23:無線端末1aはAck応答を受信したことで、次のデータフレームDATAを無線端末1bに送信する。この場合のデータフレームDATAは、Ack要求フラグFが“ON”で、フレーム識別子IDが“2”である。
【0052】
ステップS24:無線端末1bでは、ステップS21でAck要求フレーム識別子ID=“1”のデータフレームDATAを受信してから、ステップS23で次のデータフレームDATAを受信するまでの時間を計測する。
【0053】
そして、無線端末1bでは、(1)前記計測時間(今回のAck要求受信間隔時間)と無線端末1aに対してAck要求受信間隔管理テーブル130で管理しているAck要求受信間隔時間(前回のAck要求受信間隔時間)とを比較し、今回のAck要求受信間隔時間=5秒>前回のAck要求受信間隔時間=4秒であり、かつ(2)Ack要求フレーム識別子IDが期待する順番通りのもの(本例では“2”)である場合は、無線ネットワーク環境が安定しているものと認識する。
【0054】
ステップS25:そして、無線端末1bは、無線端末1a対するAck要求受信間隔時間を5秒とするようにAck要求受信間隔管理テーブル130を更新し、冗長Ack送信回数を2回に減らすようにAck回数管理テーブル120を更新する。
【0055】
ステップS26:無線端末1bでは、無線端末1aに対して以降のAck要求受信間隔時間を5秒、冗長Ack送信回数を2回にしてAckを無線端末1aに送信する。
【0056】
以上により無線端末1bは無線ネットワーク環境が安定している場合、無線端末1aへのAck要求受信間隔時間を延長し、不要なAck送信回数を減らして信頼性の高いコネクション型のデータ通信を行うことができる。
【0057】
・実施例[2](電波環境が悪い場合(1)):図6
この場合には、無線端末1aから無線端末1bに対してのAck要求周期の初期値を3秒としている点が図5の例と異なっており、無線端末1aからのAck要求間隔が短い場合のAck要求受信間隔時間の短縮および冗長Ack回数を増やす例を示す。
【0058】
ステップS31,32:まず、無線端末1aよりデータフレームDATA(本例ではAck要求フラグF=“ON”でAck要求フレーム識別子ID=“1”)を受信した無線端末1bは、無線端末1aに対し冗長Ack送信回数(本例では3回)分だけAck応答を返す。
【0059】
ステップS33,34:無線端末1bでは、ステップS31でAck要求フレーム識別子ID=“1”のデータフレームDATAを受信してから、ステップS33で次のデータフレームDATAを受信するまでの時間を計測(本例では3秒)すると共に、フレーム識別子ID=“2”を抽出する。そして、計測時間(今回のAck要求受信間隔時間)と無線端末1aに対して管理しているAck要求受信間隔時間(前回のAck要求受信間隔時間)とを比較し、今回のAck要求受信間隔時間=3秒<前回のAck要求受信間隔時間=4秒であることが分かるので、フレーム識別子IDが順番通りであっても、無線ネットワーク環境が不安定であると認識する。
【0060】
ステップS35:そして、無線端末1bは、無線端末1a対するAck要求受信間隔時間を3秒に更新し、冗長Ack回数を4回に増加する。これらはそれぞれテーブル130及び120に登録される。
【0061】
ステップS36:無線端末1bでは無線端末1aに対して以降のAck要求受信間隔時間を3秒、冗長Ack回数を4回にしてAckを送信する。
【0062】
以上により無線端末1bは無線ネットワーク環境が不安定な場合、無線端末1aへのAck要求受信間隔時間を短縮し、冗長Ack回数を増やして信頼性の高いコネクション型のデータ通信を実現している。
【0063】
・実施例[2](電波環境が悪い場合(2)):図7
この場合には、無線端末1aから無線端末1bに対してのAck要求周期の初期値を4秒とした点が図6の例と異なっており、無線端末1aからのAck要求フレーム識別子IDが期待通りでない場合のAck要求受信間隔時間の短縮および冗長Ack送信回数を増やす例を示す。
【0064】
ステップS41,S42:まず、無線端末1aよりデータフレームDATA(本例では、Ack要求フラグF=“ON”でAck要求フレーム識別子ID=“1”)を受信した無線端末1bは、無線端末1aに対し冗長Ack送信回数(本例では3回)分だけAck応答を返す。
【0065】
ステップS43:無線端末1aは、Ack応答を受けて次のデータフレームDATA(本例では、Ack要求フラグF=“ON”でAck要求フレーム識別子ID=“2”)を無線端末1bに送信するが、無線端末1bは何らかの電波異常により受信できない。
【0066】
ステップS44:無線端末1aは、無線端末1bからのAck応答が無い場合には、例えば図4の例のようにAck待ちタイムアウト時間To経過時に次のデータフレームDATA(本例では、Ack要求フラグF=“ON”でAck要求フレーム識別子ID=“3”)を送信し、無線端末1bはこれを今度は受信する。
【0067】
ステップS45:無線端末1bでは、ステップS41でAck要求フレーム識別子ID=“1”のデータフレームDATAを受信してから、ステップS44で次のデータフレームDATA(フレーム識別子ID=“3”)を受信するまでの時間を計測する。この結果、前回のAck要求受信間隔時間=7秒>今回のAck要求受信間隔時間=4秒で間隔が広がっているが、Ack要求フレーム識別子ID=“3”であり、期待するもの(本例では“2”)でないので、無線ネットワーク環境が不安定であると認識する。
【0068】
ステップS46:そして、無線端末1bは、無線端末1aに対するAck要求受信間隔時間を3秒に変更し、冗長Ack送信回数を4回に増加する。これらは、それぞれ、テーブル130及び120に登録される。
【0069】
ステップS47:無線端末1bでは無線端末1aに対して以降のAck要求受信間隔時間を3秒とし、冗長Ack回数を4回にしてAckを送信する。
【0070】
以上により無線端末1bは無線ネットワーク環境が不安定な場合、無線端末1aへのAck要求受信間隔時間を短縮し、冗長Ack回数を増やして信頼性の高いコネクション型のデータ通信を行うことができる。
【0071】
・実施例[2](電波環境に変化が無い場合):図8
この場合も、無線端末1aから無線端末1bに対してのAck要求周期の初期値を4秒、無線端末1aからのAck要求受信間隔時間を4秒、無線端末1aに対しての冗長Ack回数を3回とし、無線端末1aからのAck要求間隔と無線端末1aに対してのAck要求受信間隔時間が等しく、Ack要求フレーム識別子が期待するものである場合のAck要求受信間隔時間および冗長Ack回数を変更しない例を示す。
【0072】
ステップS51,S52:まず、無線端末1aよりデータフレームDATA(本例では、Ack要求フラグF=“ON”でAck要求フレーム識別子ID=“1”)を受信した無線端末1bは、無線端末1aに対し冗長Ack送信回数(本例では3回)分だけAck応答を送信する。
【0073】
ステップS53,S54,S55:無線端末1bでは前記Ack要求フレーム識別子ID=“1”のデータフレームDATAを受信してから、次のデータフレームDATAを受信するまでの時間を計測する。この結果、前記計測時間と無線端末1aに対して管理しているAck要求受信間隔時間とが一致しており、かつAck要求フレーム識別子IDが期待するもの(本例では“2”)であるので、無線ネットワーク環境に変化がないものと認識し、無線端末1aに対するAck要求受信間隔時間および冗長Ack回数を変更しない。
【0074】
ステップS56:無線端末1bでは無線端末1aに対して以降のAck要求受信間隔時間を4秒、冗長Ack回数を3回のままにしてAckを送信する。
【0075】
以上により無線端末1bは無線ネットワーク環境に変化がない場合、無線端末1aへのAck要求受信間隔時間と冗長Ack回数を変更せず信頼性の高いコネクション型のデータ通信を行う。
【0076】
・実施例[3]:図9
この場合には、無線端末1aから無線端末1bに対してのAck要求周期の初期値を5秒とし、前記Ack要求周期カウント中に無線端末1bよりフレームを受信すると、カウント中の前記Ack要求周期をリセットして0からカウントし直し、無線端末1bに対するAck要求周期を延長する例を示す。
【0077】
ステップS61:まず、無線端末1aは、無線端末1bに対してAck要求周期T1(本例では5秒)をカウント中、無線端末1bより自分宛データフレームDATAを受信する。
【0078】
ステップS62,S63:自分宛データフレームDATAを受信した無線端末1aは、無線端末1bに対する前記Ack要求周期T2のカウントをリセットし、0からカウントし直す。そして、無線端末1aは、自分から送信するデータフレームDATAの中のAck要求フラグFを“OFF”とする。
【0079】
ステップS64,S65:その後、無線端末1bより自分宛データフレームDATAを受信した場合、無線端末1aは再度前記Ack要求周期のカウントをリセットし、0からカウントする。
【0080】
ステップS66:その後、無線端末1aでは、Ack要求周期のカウント値が設定値T3になる前に無線端末1bに対してフレームを送信する場合は、Ack要求フラグF=“OFF”にして送信する。
【0081】
ステップS67:無線端末1aでは、Ack要求周期のカウント値が設定値T3になり無線端末1bに対してフレームを送信する場合は、Ack要求フラグF=“ON”とし、Ack要求フレーム識別子ID=“1”としたデータフレームDATAを送信する。
【0082】
以上により無線端末1aは任意のノードから連続してデータを受信している場合、前記任意ノードとは通信可能と判断し、不要なAck要求は行わずに信頼性の高いコネクション型のデータ通信を実現している。
【0083】
なお、本発明は、上記実施例によって限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づき、当業者によって種々の変更が可能なことは明らかである。
【0084】
(付記1)
無線データフレーム中に設けたAck要求を有効にして送信する第1ステップと、
該Ack要求に対するAckを、該Ack要求を送信する周期内の一定時間内に受信したか否かにより、それぞれ、該周期を延長又は短縮する第2ステップと、
を備えたことを特徴とするデータ送信方法。
(付記2)
受信した無線データフレーム中に設けられたAck要求の順番を示すフレーム識別子が期待通りになっているか否か、及び前回のAck要求受信間隔時間より今回のAck要求受信間隔時間が大きくなっているか否かを判定する第1ステップと、
該第1ステップで、該フレーム識別子が期待通りになっており且つ該Ack要求受信間隔時間が前回の値より今回の値が大きくなっていることが判明したときのみ、該Ack要求に対するAckの冗長送信回数を減少させ、それ以外の場合には該冗長送信回数を増加させると共にいずれの場合でも該Ack要求受信間隔時間を今回の値に更新する第2ステップと、
を備えたことを特徴とするデータ受信方法。
(付記3)付記2において、
該フレーム識別子は、該Ack要求が有効なときのみ、該無線データフレーム中に設定されることを特徴とするデータ受信方法。
(付記4)付記1において、
該無線データフレームを受信した時、該Ack要求を無効にする第3ステップをさらに備えたことを特徴とするデータ送信方法。
(付記5)
無線データフレーム中に設けたAck要求を有効にして送信する第1手段と、
該Ack要求に対するAckを、該Ack要求を送信する周期内の一定時間内に受信したか否かにより、それぞれ、該周期を延長又は短縮する第2手段と、
を備えたことを特徴とするデータ送信装置。
(付記6)
受信した無線データフレーム中に設けられたAck要求の順番を示すフレーム識別子が期待通りになっているか否か、及び前回のAck要求受信間隔時間より今回のAck要求受信間隔時間が大きくなっているか否かを判定する第1手段と、
該第1手段で、該フレーム識別子が期待通りになっており且つ該Ack要求受信間隔時間が前回の値より今回の値が大きくなっていることが判明したときのみ、該Ack要求に対するAckの冗長送信回数を減少させ、それ以外の場合には該冗長送信回数を増加させると共にいずれの場合でも該Ack要求受信間隔時間を今回の値に更新する第2手段と、
を備えたことを特徴とするデータ受信装置。
(付記7)付記2において、
該フレーム識別子は、該Ack要求が有効なときのみ、該無線データフレーム中に設定されることを特徴とするデータ受信装置。
(付記8)付記1において、
該無線データフレームを受信した時、該Ack要求を無効にする第3手段をさらに備えたことを特徴とするデータ送信装置。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明に用いる各無線端末の構成例を示したブロック図である。
【図2】本発明で使用するデータフレームのフォーマット図である。
【図3】本発明における動作実施例[1](電波環境が良い場合)を示したシーケンス図である。
【図4】本発明における動作実施例[1](電波環境が悪い場合)を示したシーケンス図である。
【図5】本発明における動作実施例[2](電波環境が良い場合)を示したシーケンス図である。
【図6】本発明における動作実施例[2](電波環境が悪い場合(1))を示したシーケンス図である。
【図7】本発明における動作実施例[2](電波環境が悪い場合(2))を示したシーケンス図である。
【図8】本発明における動作実施例[2](電波環境に変化が無い場合)を示したシーケンス図である。
【図9】本発明に係る動作実施例[3]を示したシーケンス図である。
【図10】従来から知られている無線端末の構成例を示したブロック図である。
【図11】従来例の動作を示したシーケンス図である。
【符号の説明】
【0086】
1, 1a, 1b 無線端末
2 送信制御部
3 受信制御部
4 Ack要求制御部
5 Ack応答制御部
6 再送制御部
7 Ack要求監視部
8 Ack受信監視部
11 Ack要求周期制御部
12 Ack回数制御部
13 Ack要求受信間隔制御部
110 Ack要求周期管理テーブル
120 Ack回数管理テーブル
130 Ack要求受信間隔管理テーブル
図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線データフレーム中に設けたAck要求を有効にして送信する第1ステップと、
該Ack要求に対するAckを、該Ack要求を送信する周期内の一定時間内に受信したか否かにより、それぞれ、該周期を延長又は短縮する第2ステップと、
を備えたことを特徴とするデータ送信方法。
【請求項2】
受信した無線データフレーム中に設けられたAck要求の順番を示すフレーム識別子が期待通りになっているか否か、及び前回のAck要求受信間隔時間より今回のAck要求受信間隔時間が大きくなっているか否かを判定する第1ステップと、
該第1ステップで、該フレーム識別子が期待通りになっており且つ該Ack要求受信間隔時間が前回の値より今回の値が大きくなっていることが判明したときのみ、該Ack要求に対するAckの冗長送信回数を減少させ、それ以外の場合には該冗長送信回数を増加させると共にいずれの場合でも該Ack要求受信間隔時間を今回の値に更新する第2ステップと、
を備えたことを特徴とするデータ受信方法。
【請求項3】
請求項2において、
該フレーム識別子は、該Ack要求が有効なときのみ、該無線データフレーム中に設定されることを特徴とするデータ受信方法。
【請求項4】
無線データフレーム中に設けたAck要求を有効にして送信する第1手段と、
該Ack要求に対するAckを、該Ack要求を送信する周期内の一定時間内に受信したか否かにより、それぞれ、該周期を延長又は短縮する第2手段と、
を備えたことを特徴とするデータ送信装置。
【請求項5】
受信した無線データフレーム中に設けられたAck要求の順番を示すフレーム識別子が期待通りになっているか否か、及び前回のAck要求受信間隔時間より今回のAck要求受信間隔時間が大きくなっているか否かを判定する第1手段と、
該第1手段で、該フレーム識別子が期待通りになっており且つ該Ack要求受信間隔時間が前回の値より今回の値が大きくなっていることが判明したときのみ、該Ack要求に対するAckの冗長送信回数を減少させ、それ以外の場合には該冗長送信回数を増加させると共にいずれの場合でも該Ack要求受信間隔時間を今回の値に更新する第2手段と、
を備えたことを特徴とするデータ受信装置。
【請求項1】
無線データフレーム中に設けたAck要求を有効にして送信する第1ステップと、
該Ack要求に対するAckを、該Ack要求を送信する周期内の一定時間内に受信したか否かにより、それぞれ、該周期を延長又は短縮する第2ステップと、
を備えたことを特徴とするデータ送信方法。
【請求項2】
受信した無線データフレーム中に設けられたAck要求の順番を示すフレーム識別子が期待通りになっているか否か、及び前回のAck要求受信間隔時間より今回のAck要求受信間隔時間が大きくなっているか否かを判定する第1ステップと、
該第1ステップで、該フレーム識別子が期待通りになっており且つ該Ack要求受信間隔時間が前回の値より今回の値が大きくなっていることが判明したときのみ、該Ack要求に対するAckの冗長送信回数を減少させ、それ以外の場合には該冗長送信回数を増加させると共にいずれの場合でも該Ack要求受信間隔時間を今回の値に更新する第2ステップと、
を備えたことを特徴とするデータ受信方法。
【請求項3】
請求項2において、
該フレーム識別子は、該Ack要求が有効なときのみ、該無線データフレーム中に設定されることを特徴とするデータ受信方法。
【請求項4】
無線データフレーム中に設けたAck要求を有効にして送信する第1手段と、
該Ack要求に対するAckを、該Ack要求を送信する周期内の一定時間内に受信したか否かにより、それぞれ、該周期を延長又は短縮する第2手段と、
を備えたことを特徴とするデータ送信装置。
【請求項5】
受信した無線データフレーム中に設けられたAck要求の順番を示すフレーム識別子が期待通りになっているか否か、及び前回のAck要求受信間隔時間より今回のAck要求受信間隔時間が大きくなっているか否かを判定する第1手段と、
該第1手段で、該フレーム識別子が期待通りになっており且つ該Ack要求受信間隔時間が前回の値より今回の値が大きくなっていることが判明したときのみ、該Ack要求に対するAckの冗長送信回数を減少させ、それ以外の場合には該冗長送信回数を増加させると共にいずれの場合でも該Ack要求受信間隔時間を今回の値に更新する第2手段と、
を備えたことを特徴とするデータ受信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−42311(P2008−42311A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−210800(P2006−210800)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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