説明

トイレ用表示手段の課金システム

【課題】情報の垂れ流しを防止し、スポンサーにとっては、資金面において無駄なく広告や宣伝ができるトイレ用表示手段の課金システムを提供すること。
【解決手段】トイレ1内に設けられた情報発信手段6と、トイレに設置されているドア5のロック状態を検知するドアセンサ5aと、トイレ使用者が便器3の使用にあたり所定の場所に位置したことを検知する位置センサ31aと、前記各センサからの出力信号により前記情報発信手段の作動を制御する制御部7と、を備え、前記制御部は、トイレ使用者がトイレに入室したときから着座するまでの第1段階、排便中の第2段階、排便終了から退室までの第3段階の各段階に合わせて内容の異なる情報を前記情報発信手段に行わせると共に、各段階に見合った課金制御を行うことを特徴とするトイレ用表示手段の課金システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトイレ用表示手段の課金システムに関し、詳しくは、トイレ使用者に対して発信される映像や音声等の情報を表示するトイレ用表示手段のスポンサーへの課金システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にトイレは、情報の授受という機能についての考慮がなされていない。例外的に大型店舗や催事場あるいは空港のトイレの天井部分には、館内放送を流すためのスピーカ62が設置されている。しかし、視覚に訴えるものではないため、有用な情報がトイレ使用者に十分活用されない場合もあり得る。
【0003】
ところで、大型店舗や催事場等においては、商品の情報や催事のインフォメーションを客に積極的に知らせたいという要請があり、トイレの使用者にあっても例外ではない。またトイレ内にあっては、トイレ使用者はある意味手持ち無沙汰な状態といえる。よって、顧客が情報を受け付け易い環境にあるといえるため、トイレ内でのインフォメーションの提供は、ある種、有益な顧客サービスと考えられる。
【0004】
そして、地震や火災が生じた場合には、すべての客に非常口の位置等をいち早く知らせる必要がある。
【0005】
ところがこれまで、トイレ内における顧客への情報提供は、トイレ内にポスターを貼り付けたり、パンフレットを置いたりすることで行われることが多かった。
【0006】
ポスターやパンフレット等の印刷物では内容の更新に手間が掛かる。また、情報の価値は精度と鮮度にあるが、印刷物の掲示では、時勢や時期にあったタイムリーな情報提供に欠けるという問題がある。
【0007】
そこで、トイレに設置された画像表示パネル及び音声発生器を備えることにより、タイムリーな情報をトイレ利用者に提供することが考えられる。
【特許文献1】特許第3773312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、トイレは常時使用されているものではなく、使用されていない場合もある。よって、情報の垂れ流しは無駄である。また、提供される情報が商業放送の場合、広告主であるスポンサーは、拠出した資金に見合うよう、顧客に対し情報伝達が確実に実施される環境を整えることを望む。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みて発明されたものであり、その解決しようとする課題は、情報の垂れ流しを防止し、無駄なく広告や宣伝を行えるトイレ用表示手段の課金システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のトイレ用表示手段の課金システムは前述した技術的課題を解決するために以下のように構成されている。
【0011】
本発明のトイレ用表示手段の課金システムは、トイレ内に設けられた情報発信手段と、
トイレへの入退室を検知する入退室センサと、トイレ使用者が便器の使用にあたり所定の場所に位置したことを検知する位置センサと、洗浄水が流されたことを検知する洗浄水排出センサと、前記各センサからの出力信号により前記情報発信手段の作動を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、トイレ使用者がトイレに入室してから着座するまでを前記入退室センサ及び前記位置センサにより検知する第1段階、排便中であることを前記位置センサ又は/及び洗浄水排出センサにより検知する第2段階、排便終了から退室までを前記位置センサ及び前記入退室センサにより検知する第3段階の各段階に合わせて、異なる情報を前記情報発信手段によりトイレ使用者に提供し、少なくとも第2段階での情報に対しては当該情報の提供希望者に対して課金請求するためのデータを生成することを特徴とする。
【0012】
本発明は上記の構成であるので、制御部は、トイレ使用者がトイレに入室したときから着座するまでの第1段階、排便中の第2段階、排便終了から退室までの第3段階の各段階に合わせて、異なる情報の発信を前記情報発信手段により実行させる。
【0013】
第1段階では、トイレに入ったばかりで用を足すための脱衣に注意が向く傾向にある。第3段階は、用を足した後であり、第1段階よりも気持ちに余裕がある。第2段階は、用を足している状態であり、手持ちぶさたの状態となる可能性が3つの段階のうちで一番高い。よって、第2段階−第3段階−第1段階の順で、トイレ使用者が、情報を取得し易い環境にあると考えられる。
【0014】
トイレ使用者が情報を一番取得し易い環境にあると思われる第2段階では、スポンサーが一番望む情報、例えば宣伝・広告を行い、用を足す前の第1段階では、例えば、トイレ使用についての注意事項の情報発信を行う。
【0015】
そして、第3段階では、使用者の注意は着衣に向かうものの用を足した後であるから、第1段階よりも心の余裕が生じることが考えられる。また、第2段階において映像による情報がトイレ使用者に既に提供されているので、映像による情報に興味を持つ者もいると考えられる。よって、第3段階では映像による情報提供を第2段階に引き続き実施してもよい。また、第3段階は退出するときであるから、例えば、忘れ物がないかなどのアナウンスをするようにしてもよい。
【0016】
また、情報の取得をし易い第2段階における情報に対しての課金請求を情報の提供希望者であり課金対象者であるスポンサーに対して行うので、スポンサーは納得した支払いができる。
【0017】
前記制御部は、前記第2段階で提供される情報を、他の段階で提供される情報よりも重要度の高い内容で提供するようにしてもよい。
【0018】
さらに、第2段階−第3段階−第1段階の順で課金率が高くなるようにしてもよい。
【0019】
課金請求するためデータとしては、第2段階での利用時間や利用回数などが挙げられる。
【発明の効果】
【0020】
既述のように第2段階で情報をトイレ使用者に提供することで、スポンサーにとっては、情報の垂れ流しを防止することができる。また、資金面においても無駄なく広告や宣伝ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態)を実施例に基づいて例示的に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状その相対配置などは、特に特定的に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらに限定する趣旨ではない。
【実施例1】
【0022】
図1〜図3を参照して、実施例1に係る本発明のトイレ用表示手段の課金システムについて説明する。
【0023】
図1は本システムを使用したトイレ1を示す。トイレ1は複数あるが、この実施形態では一つのみ示す。
【0024】
トイレ1は、床部分2と、床部分2に設置された洋式便器3と、洋式便器3を囲繞する壁4と、回転式ドア5とを含む。回転式ドア5は、半自動であり、閉まる場合だけ自動である。なお、ドア5はその閉鎖状態を維持するための図示しない内鍵を備えており、トイレ使用者によってロックされる。
【0025】
そして、壁4のうち、トイレ使用者が洋式便器3の便座31に着座したときに、その正面又は側面にあたる部分に情報発信手段6が設けられている。
【0026】
情報発信手段6としては、液晶パネルあるいはプラズマディスプレイのような薄型表示パネル61が、音声発生器としてのスピーカ62と共に設置されている。薄型表示パネル61やスピーカ62は、これらを単独で設置するようにし、画像情報だけ又は音声情報だけをトイレ使用者に向けて発信するようにしてもよい。
【0027】
情報発信手段6は、トイレから離れた箇所に設置されている制御部7に電気回線8を介して連結され、制御部7によりその駆動が制御される。
【0028】
なお、情報発信手段6は回転ドア5に設けてもよい。
【0029】
制御部7は、中央処理装置(CPU)、発信される情報のデータの読み出し/書き込みメモリ(RAM)、本システム実行用のプログラムを記憶する読み出し専用メモリ(ROM)、入出力装置(I/O)と、これらを接続するバスを有するように構成される。また、制御部7には情報発信手段6の動作時間を設定するタイマー7aが内装されている。タイマー7aは、時間変更が可能なプログラマブルタイマーが好適である。
【0030】
情報発信手段6から発信される映像及び音声のソースは、制御部7の外部から入力してもよいし、前記RAMに内部データとして収容しておくこともできる。この実施形態では、情報発信手段6に入力される映像信号や音声信号は、外部に接続された情報ソース10から供給されるものを例示する。
【0031】
またトイレ1には、ドア5のロック状態、すなわち使用者の入室を検出するための入退室センサとしてドアセンサ5aが設置されている。ドアセンサ5aは、例えば回転ドア5が閉められたときに回転ドア5と壁4とが対向する箇所に設けられている。具体例としては、ドア5の閉鎖状態を維持する内鍵の動作状態を検出する電気接点式スイッチやマグネットスイッチ等を挙げられる。
【0032】
そして、便座31には着座センサ31aが設けられている。着座センサ31aは便座に使用者が座したか否か、換言するとトイレ使用者が便器の使用にあたって所定の場所に位置したことを検知する位置センサである。
【0033】
着座センサ31aとして、例えば、通常はバネで便座を最低位置から僅かに上方で支持させておき、着座により加圧された便座を電気接点式スイッチで検出するものを挙げられる。
【0034】
着座センサ31aにより、トイレ使用者が用を足し便座から立ち上がったことが検出される。この場合、トイレ使用者が着座したことにより加圧されていた便座が、着座による圧力から解放されて、着座前の状態にあることを検知する。
【0035】
なお、便座に使用者が座したか否かを検出できればよいので、洋式便器3の近傍に光センサを設け、トイレ使用者が着座したことにより光が遮断されることをもって、使用者が着座していることを検出するようにしてもよい。
【0036】
さらに、洋式便器3の後部には、洗浄水を流すためのレバー32と、レバー32の動きに連動する洗浄水排出センサ32aが設けられている。洗浄水排出センサ32aは、電気接点を有しており、レバー32を動かすと、これをトリガーに信号を出力する。当該出力により洗浄水が排出されたと制御部7は判断する。
【0037】
洗浄水排出センサ32aとしては、例えば、レバー32の位置を検出するタイプ、図示しない貯水タンクのフラッシュ弁の作動状態を検出するタイプ、貯水タンクの給水管に設けられた電磁弁への通電を検出するタイプなどがある。
【0038】
前記ドアセンサ5a、着座センサ31a、洗浄水排出センサ32aは、いずれも使用者の挙動を検出する。これらセンサからの出力信号により、情報発信手段6の作動を制御部7に行わせる。
【0039】
まずドアセンサ5aから発信があると、制御部7は、トイレ使用者の入室があったと判断する。そして着座センサ31aからの発信があると、制御部7はトイレ使用者が着座したものと判断し、これをトリガに情報発信手段6を起動する制御を行い、情報発信手段6からトイレ使用者に向けて広告等のインフォメーションが発信される。
【0040】
その後、使用者の排便が終わり、洗浄水を流すためのレバー32を使用者が動かすと、洋式便器3内に洗浄水が噴出されるようになっているとともに、洗浄水排出センサ32aが作動して制御部7に対し発信する。これをトリガに情報発信手段6は情報発信手段6に対し情報の発信を停止するための信号を送る。
【0041】
また、トイレ使用者の着座を示唆する着座センサ31aからの発信が制御部7に送信された後、洗浄水排出センサ32aからの発信が制御部にあるまでの間、タイマー7aが作動して、着座時間をカウントする。
【0042】
なお、トイレ使用者によっては、複数回、洗浄水を流す者もいるので、着座センサ31aが作動している状態でレバー32が操作された場合は、タイマー7aは継続して時間をカウントする。
【0043】
タイマー7aにより着座時間がカウントされている間、制御部7は情報発信手段6に作動信号を送信し、情報発信手段6は広告等のインフォメーションを発信し続ける。
【0044】
排便を終わり使用者が洋式便器3から離れると、着座センサ31aがオフとなる。そしてこれをトリガに情報発信手段6が停止状態となる。当該停止制御の実行は、洗浄水排出センサ32aからの信号をトリガにしてもよい。
【0045】
ここで、センサからの信号を検出することで、トイレの使用状態をトイレ入室から着座までの第1段階、排便中の第2段階、排便から退室までの第3段階として判断できる。
【0046】
次に図3に示すフローチャートに基づき、これら各段階に応じて表示手段の動作を制御する例について説明する。
【0047】
本システムでは、上記各段階に応じて、課金制御が行われ、スポンサーに対して課金を行う。
【0048】
まず、ステップ101においてドアセンサ5aからの信号に基づき、ドア5がトイレ使用者によりロックされたか否かを判断する。ステップ101の否定枝はステップ101の循環ルーチンとなり、肯定枝はステップ102に移行して、第1段階として前記スピーカ62のみを作動させ、使用者に音声による情報提供を行う。
【0049】
第1段階で提供される情報としては、例えば、既述のようにトイレ使用についての注意事項等の内容に係る情報を挙げられる。第1段階では、使用者がトイレに入り脱衣を行うことに注意が向く。このため、視覚用の薄型表示パネル61を注視する可能性は低い。よって第1段階では、スポンサーが望むような宣伝や広告等を内容とする情報提供は、好ましくない状態にある。
【0050】
したがって、第1段階では、スポンサーにとって重要度の低い内容の情報が提供される。当該情報提供にあたっては、制御部7が、情報発信手段である薄型表示パネル61及びスピーカ62から発信される情報を制御する。
【0051】
スポンサーにとって重要度の低い内容の情報が提供されるならば、第1段階では、課金対象から除外するか、課金対象にするとしても他の段階に比べて課金率を低くする。また第1段階に係る所要時間の多寡にかかわらず、課金額を一定にするのが好ましい。
【0052】
なお、低い課金率で課金する場合、所要時間の起点は、ドアセンサ5aによりトイレ使用者の入室が検出された時間であり、終点は着座センサ31aが発信された時間であり、タイマー7aによって計測する。
【0053】
ステップ103において着座センサ31aからの信号に基づき、使用者が便器に着座したか否かを判断する。ステップ103の否定枝はステップ103の循環ルーチンとなり、肯定枝はステップ104に移行して第1段階で実行の情報提供の停止をスピーカ62を停止することで実行する。
【0054】
次に第2段階では薄型表示パネル61を作動させる(ステップ105)。
【0055】
この第2段階おいて、使者者は、着座したときに、薄型表示パネル61に対して、正対するか又は薄型表示パネル61を見易い位置関係になる。このため使用者は、薄型表示パネル61を比較的注視し易くなる。また排便にはある程度のまとまった時間を要するのが普通である。したがって、第2段階は、スポンサーにとって重要度の高い内容の情報を提供するのに好ましい状態といえる。
【0056】
スポンサーにとって重要度の高い内容とは、例えばスポンサーに係る商品等の宣伝や広告であり、映像や文字で演出した情報を挙げられる。また薄型表示パネル61に表示される映像情報と共に、当該映像に関係する音声や音楽をスピーカ62から流してもよい。
【0057】
次に、ステップ106において、着座センサ31aからの信号に基づき、使用者が便器から離れたか否かを判断する。ステップ106の否定枝は、ステップ106の循環ルーチンとなる。また、肯定枝はステップ107において情報発信手段6の作動を停止させる。
【0058】
ここまでが第2段階である。第2段階の所要時間は、トイレ使用者が着座してから排便が終わり起立するまでの時間であって、タイマー7aにより計測され、当該計測値が課金請求するためのデータになる。当該所要時間に応じて課金額が定まる。第2段階の課金額は、スポンサーとの間で締結される基本金額に課金率と各段階における所要時間を掛けて求める。
【0059】
なお、排便途中で使用者が便座から起立したとしても、当該起立後所定時間内に再度着座した場合、又は着座した状態で洗浄水排出センサ32aが作動した場合でも、タイマー7aは継続してカウントする。前記起立後所定時間内に着座があったと検知できなかった場合は、排便が終了したと制御部7は判断する。なお、立て続けに所定回数、洗浄水排出センサ32aが洗浄水の流れたことを検知した場合も排便終了と制御部7は判断する。
【0060】
そして、排便終了から退室までを第3段階とし、この第3段階で制御部7は再びスピーカ62を作動させる(ステップ108)。第3段階では、使用者は着衣するため、使用者の注意は着衣し、退室することに向かう。よって前記第1段階と同様に音声のみによる表示を行う。第3段階に係る情報の内容としは、スポンサーのプロフィールや忘れ物防止の注意を行う音声による情報提供が考えられる。
【0061】
但し、第2段階において、映像による情報がトイレ使用者に既に提供されており、映像による情報に興味を持つ者もいると思われる。このため、第3段階においても映像による情報提供を第2段階に引き続き実施してもよい。
【0062】
このような事情から、第3段階において提供される情報は、スポンサーにとっての重要性が、第2段階において提供される情報よりも低いが、第1段階よりも高いものが適当と考えられる。
【0063】
さらに、ステップ109においてドアセンサ5aからの信号に基づき、ドアロックが解除されたか否か、すなわち、使用者が退室したか否かを判断する。ステップ109の否定枝はステップ109の循環ルーチンとなる。そして、肯定枝はステップ110に移行してスピーカ62(及び薄型表示パネル61)の作動を停止させ、本制御を終了する。
【0064】
第3段階の所要時間は、着座センサ31aによってトイレ使用者が起立したことが検知された後、ドアセンサ5aからの発信がありトイレ使用者が退出することが検知されるまでの時間であり、タイマー7aによって計測され、ここでも課金請求するためデータが生成される。当該所要時間に応じて課金額が定まる。
【0065】
第3段階の課金額も、基本金額に課金率と各段階における所要時間を掛けて求める。課金請求するために生成されたデータは、スポンサーへの課金請求を実際に行うため、制御手段を経由して、例えば課金センターのサーバに送信され、そこで課金額が計算され、その後、スポンサーに請求される。
【0066】
第3段階における課金率は、第2段階よりも低いが第1段階よりも高くするか又は第1段階と同様課金をしない。すなわち課金率をゼロとすることが考えられる。
【0067】
課金額の合計は例えば月毎に集計し、スポンサーに請求できるようになっている。
【0068】
既述したいずれかのセンサによってトイレ使用者の出入りを検出することができるから、制御部7は、これらセンサの組みあわせによって、トイレ使用者がトイレ内に居るときには表示手段1を動作させ、退室したときには表示手段1を停止させるよう制御するようにしてもよい。
【0069】
本実施例ではこのような構成であるので、制御部7は、トイレ使用者がトイレ1に入室したときから着座するまでの第1段階、排便中の第2段階、排便終了から退室までの第3段階の各段階に合わせて、異なる情報を情報発信手段6に実行させる。
【0070】
第1段階では、トイレ1に入ったばかりで用を足すための脱衣に注意が向く傾向にある。第3段階は、用を足した後であり、第1段階よりも気持ちに余裕がある。第2段階は、用を足している状態であり、手持ちぶさたの状態となる可能性が3つの段階のうちで一番高い。よって、第2段階−第3段階−第1段階の順で、トイレ使用者が、情報を取得し易い環境にあると考えられる。
【0071】
トイレ使用者が情報を一番取得し易い環境にあると思われる第2段階では、スポンサーが一番望む情報、例えば宣伝・広告を行い、用を足す前の第1段階では、例えば、トイレ使用についての注意事項の情報発信を行う。
【0072】
そして、第3段階では、使用者の注意は着衣に向かうものの用を足した後であるから、第1段階よりも心の余裕が生じることが考えられる。また、第2段階において映像による情報がトイレ使用者に既に提供されているので、映像による情報に興味を持つ者もいると考えられる。
【0073】
よって、第3段階では映像による情報提供を第2段階に引き続き実施してもよい。また、第3段階は退出するときであるから、例えば、忘れ物がないかなどのアナウンスをするようにしてもよい。
【0074】
また、情報の取得をし易い第2段階における情報に対しての課金請求を情報の提供希望者であり課金対象者であるスポンサーに対して行うので、スポンサーは納得した支払いができる。よって、各段階にあった適正な情報を提供することができる。また各段階に見合った課金制御を行うことができるので、課金対象者であるスポンサーは納得して支払いができる。
【0075】
さらに、既述のように第2段階で情報をトイレ使用者に提供することで、スポンサーにとっては、情報の垂れ流しを防止することができる。また、資金面においても無駄なく広告や宣伝ができる。
【実施例2】
【0076】
次に、図4を参照して、和式便器に本発明のトイレ用表示手段の課金システムを適用した場合について述べる。
【0077】
実施例2が実施例1と相違する点は、和式便器には便座がないため、トイレ使用者が和式便器30にしゃがんだとき(便宜上、この明細書では着座として取り扱う)、又はしゃがむ前に便器3を跨いだときに、洋式便器の着座センサ31aに代わり、トイレ使用者を検出する位置センサ311aを便器3周りに設置しておく点、トイレ使用者が用を足すために便器3にしゃがんだときに情報を取得し易いように、使用者の正面の壁4又は側面の壁4に、情報発信手段6である薄型表示パネル61やスピーカ62を設置した点である。
【0078】
位置センサとしては、例えば便器の近傍に光センサを設け、光の遮断等により使用者の
有無を検出するものが挙げられる。そして、トイレ使用者が用を足すために便器にしゃがんだときに、トイレ使用者が情報発信手段6から情報を取得し易い正面又は側面にあたる部分とは、例えば図のように洋式の場合とは反対方向の壁面を挙げられる。
【0079】
実施例2にあってもその効果は実施例1の場合と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施例1に係るトイレ用表示手段の課金システムを適用したトイレの全体斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態であるトイレ用表示手段の課金システムのブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態であるに係る第1段階から第3段階に応じて表示手段の動作を制御することを説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の実施例2に係るトイレ用表示手段の課金システムを適用したトイレの全体斜視図である。
【符号の説明】
【0081】
S トイレ用表示手段の課金システム
1 トイレ
2 床部分
3 便器
4 壁
5 ドア
5a ドアセンサ(入退室センサ)
6 情報発信手段
7 制御部
7a タイマー
8 電気回線
10 情報ソース
31 便座
31a 着座センサ(位置センサ)
32 レバー
32a 洗浄水排出センサ
61 薄型表示パネル
62 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ内に設けられた情報発信手段と、
トイレへの入退室を検知する入退室センサと、
トイレ使用者が便器の使用にあたり所定の場所に位置したことを検知する位置センサと、
洗浄水が流されたことを検知する洗浄水排出センサと、
前記各センサからの出力信号により前記情報発信手段の作動を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
トイレ使用者がトイレに入室してから着座するまでを前記入退室センサ及び前記位置センサにより検知する第1段階、
排便中であることを前記位置センサ又は/及び洗浄水排出センサにより検知する第2段階、
排便終了から退室までを前記位置センサ及び前記入退室センサにより検知する第3段階の各段階に合わせて、
異なる情報を前記情報発信手段によりトイレ使用者に提供し、少なくとも第2段階での情報に対しては、当該情報の提供希望者に対して課金請求するためのデータを生成することを特徴とするトイレ用表示手段の課金システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2段階で提供される情報を、他の段階で提供される情報よりも重要度の高い内容で提供することを特徴とする請求項1に記載のトイレ用表示手段の課金システム。
【請求項3】
第2段階−第3段階−第1段階の順で課金率が高くなることを特徴とする請求項1又は2に記載のトイレ用表示手段の課金システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−289128(P2009−289128A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142530(P2008−142530)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000155333)株式会社木村技研 (29)
【Fターム(参考)】