説明

トイレ装置

【課題】男性が小便にて便器を使用する際には便蓋とともに便座を開けるトイレ装置を提供する。
【解決手段】便蓋3と、便座4と、便器2の前に人がいることを検知する人体検知手段6と、便器2の前方床面に履物11があることを発光部7aからの光が履物に反射して受光部7bで受光することにより検知する履物検知手段7と、人体検知手段6と前記履物検知手段7の出力によって便蓋3と便座4の開閉を制御するようにし、人体検知手段6が人を検知すると便蓋3を開け履物検知手段7が履物を検知すると便座3を更に開ける構成としたもので、これによって、男性が小便にて便器2を使用するのか、女性かまたは男性が大便にて便器2を使用するのかを区別でき、男性が小便にて便器2を使用する際には便蓋3とともに便座4を開けることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器の使用者を検知し、自動的に便蓋および便座の開閉を行うトイレ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレ装置に人体検知センサを備え、使用者が便器の前に立ったときにこれを検知して便蓋を自動的に開くようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−93274号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の構成では、使用者が便器の前に立ったときに自動的に便蓋を開くようにしているだけで、便座を開けるには使用者がリモコンのスイッチを押す操作が必要である。一般に男性が小便にて便器を使用する場合は便座に着座しないので、便蓋とともに便座も開ける必要がある。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、使用者が男性で小便にて便器を使用するために便器の前に立ったのか、それ以外、即ち使用者が女性かまたは男性で大便にて便器を使用するために便器の前に立ったのかを区別して、男性で小便にて便器を使用する際には便蓋とともに便座を開けるトイレ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明のトイレ装置は、便器の前に人がいることを検知する人体検知手段と、便器の前方床面に履物があることを検知する履物検知手段と、人体検知手段と履物検知手段の出力によって便蓋と便座の開閉を制御する制御手段とを備え、制御手段は人体検知手段が人を検知すると便蓋を開け履物検知手段が履物を検知すると便座を更に開けるように制御するものである。
【0006】
これによって、男性で小便にて便器を使用する際には便蓋とともに便座を自動的に開けることができ、面倒な操作をすることなく用を足すことができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明のトイレ装置は、男性で小便にて便器を使用する際には便蓋とともに便座を自動的に開けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、便蓋と、便座と、便器の前に人がいることを検知する人体検知手段と、前記便器の前方床面に履物があることを検知する履物検知手段と、前記人体検知手段と前記履物検知手段の出力によって前記便蓋と前記便座の開閉を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は前記人体検知手段が人を検知すると便蓋を開け前記履物検知手段が履物を検知すると便座を更に開けるように制御するトイレ装置とすることにより、男性で小便にて便器を使用する際には便蓋とともに便座を自動的に開けることができ、面倒な操作をすることなく用を足すことができる。
【0009】
第2の発明は、特に、第1の発明において、制御手段は便蓋を開けてからの時間を計時する便蓋タイマーと、便座を開けてからの時間を計時する便座タイマーを有し、前記便蓋タイマーが所定時間を計時すると便蓋を閉じ、前記便座タイマーが所定時間を計時すると前記便蓋と前記便座を閉じるようにしたことにより、便蓋と便座とも開けて男性が小便にて便器を使用する場合には便座タイマーが所定時間を計時すると便蓋と便座を閉じ、便蓋を開けて便座を閉じ女性かまたは男性が大便にて便器を使用する場合には便蓋タイマーが所定時間を計時すると便蓋を閉じるので、使用者が閉じることを忘れていても確実に閉じることができる。
【0010】
第3の発明は、特に、第1の発明において、履物検知手段は便座前方部に設け、便座が閉じられた状態で床面を指向する角度に取り付けたことにより、履物検知手段は男性が小便にて便器を使用する場合に履物を検知でき、男性が小便にて便器を使用する場合を他と区別することができる。
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0012】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態におけるトイレ装置を示している。
【0013】
図に示すように、トイレ装置1は、便器2に装着されており、便蓋3、便座4、および各種の機能部品を収納したケース5を有する。ケース5内の各種機能部品としては、便座3を暖房する機能部品、肛門や局部を洗浄する機能部品、更には脱臭する機能部品や室内を冷暖房する機能部品、便器2を洗浄する機能部品などである。また、ケース5には便蓋3を開閉する便蓋開閉機構、便座4を開閉する便座開閉機構を収納している。そして、また便器2の前方部に人がいるかどうかを検知する人体検知手段6を設けている。
【0014】
人体検知手段6は赤外線センサであり非接触で温度を検出するものであり、赤外線を透過するフィルタを介してケース5内部に収納されている。人体検知手段6は便蓋3が閉じた状態で視野が便蓋3により遮られない位置と角度で取り付けられている。人体検知手段6は、視野の温度が変化したことを検出、また体温付近の温度を検出することにより、便器2の前に人が立ったことを検知する。
【0015】
また、便座4には履物検知手段7を設けている。履物検知手段7は発光部と受光部よりなり、便座4の底面に光を透過するフィルタを介して、便座4内部に収納されていて、発光部の発光が履物で反射し受光部で受光する構成であり、受光部が受光することで履物を検知するものである。履物検知手段7は下向きに指向を持つような位置と角度で便座4の前方に取り付けられている。
【0016】
図2は、男性が小便にて便器2を使用するときの人体検知手段6と履物検知手段7を説明し、図3は、女性が便器2を使用するか男性が大便にて便器2を使用するときの人体検知手段6と履物検知手段7を説明している。
【0017】
図2、図3において、便蓋開閉機構8は便蓋3を開閉する機構、便座開閉機構9は便座4を開閉する機構であり、それぞれモータやギアを含む構成で便蓋3、便座4を回転させることで開閉する機構でありケース5内部に収納している。履物検知手段7は発光部7aと受光部7bを備えている構成である。
【0018】
ここで、図2では、男性が小便にて便器2を使用するので、使用者の足10は便器2に向かって立っている。使用者が足10に履く履物11の爪先部分には反射部材12を備えている。反射部材12は、例えば、金属箔など反射率の高い材料を部分的あるいは全体に使用し、発光部7aからの発光が、反射部材12で反射して受光部7bに到達する。この構成でAは人体検知手段6の視野角であり、使用者の腰から太股部分を検知することができる位置および角度関係にある。また、Bは発光部7aからの光路であり、Cは反射部材12で反射した反射光の光路であり、発光部7a、受光部7bは便座4前方部床面を臨むような位置および角度関係にある。したがって、履物検知手段7は受光部7bが発光部7aから反射部材12で反射した光を検知することができ、また、人体検知手段6は使用者を検知することができる。
【0019】
図3においては、女性が便器2を使用するか、または男性が大便にて便器2を使用するので、便器2に背を向けて立っている。この状態で人体検知手段6の視野角Aは、図2と同様に使用者の腰から太股部分を検知することができる。また、履物検知手段7の発光部7aからの光路Bの先は足10であったり、または床面であったり、さらには下半身の衣類であったりして、履物11の反射部材12に到達することはない。したがって、反射光が受光部7bに到達することはなく、履物11を検知できない。
【0020】
図1〜図3で説明したように、この構成により、使用者が便器2前方に近づいたときには人体検知手段6が使用者を検知する。そして使用者が男性で小便にて便器2を使用するような便器2に向かって立ったときには履物検知手段7が履物11を検知するが、使用者が女性かまたは男性で大便にて便器2を使用するような便器2に向かって背を向けて立ったときには履物検知手段7は履物11を検知しない。
【0021】
次に、図4により、人体検知手段6および履物検知手段7の検知出力に応じて便蓋開閉機構8および便座開閉機構9を制御する制御手段13について説明する。
【0022】
制御手段13はCPUや電子回路により構成されるものでケース5内部に収納している。そして、制御手段13は便蓋開閉機構8により便蓋3の開閉を制御する便蓋開閉制御部14、便座開閉機構9により便座4の開閉を制御する便座開閉制御部15を備える。また、便蓋開閉制御部14からの出力により便蓋3を開けてからの時間をカウントする便蓋タイマー16と、便座開閉制御部15からの出力により便座4を開けてからの時間をカウントする便座タイマー17を備えている。
【0023】
この構成で、人体検知手段6が便器2の前に使用者がいることを検知すると、その出力により便蓋開閉制御部14が便蓋開閉機構8を制御して便蓋3を開ける。また、同時に便蓋開閉制御部14は便蓋タイマー16の時間カウントをスタートさせる。また、履物検知手段7が履物11の発光手段12を検知すると、その出力により便座開閉制御部15が便座開閉機構9を制御して便座9を開ける。また、同時に便座開閉制御部15は便座タイマー17の時間カウントをスタートさせる。便座タイマー17は予め定めた所定時間(例えば、5分)をカウントすると、便座開閉制御部15は便座開閉機構9を制御して便座4を閉じ、便蓋開閉制御部14が便蓋開閉機構8を制御して便蓋3を閉じる。また、便蓋タイマー16が予め定めた所定時間(例えば、20分)をカウントすると、便蓋開閉制御部14が便蓋開閉機構8を制御して便蓋3を閉じる。ここで、便蓋タイマー16の所定時間は便蓋3を開けている時間なので人が大便に要する時間より十分長めに、また便座タイマー17の所定時間は便座4を開けている時間なので人が小便に要する時間より十分長めに設定すればよい。
【0024】
次に、図5により、制御手段13をマイクロコンピュータのプログラムなどで実現するときの処理の流れを説明する。ステップS1で人体検知手段6が便器2の前に人体が検知できるかどうかを判定し、人体を検知するとステップS2に進む一方、人体を検知しなければステップS1を繰り返す。人体を検知するとステップS2において便蓋開閉機構8を制御して便蓋3を開け、ステップS3において便蓋タイマー16がカウントを開始する。
【0025】
次にステップS4において履物検知手段7が履物11を検知できるかどうかを判定し、履物11を検知できればステップS5に進む一方、検知できなければステップS10に進む。履物11を検知するとステップS5において便座開閉機構15を制御して便座4を開け、ステップS6において便座タイマー17がカウントを開始し、ステップS7へと進む。
【0026】
ステップS7においては便座タイマー17が所定時間(例えば5分)を経過したかどうかを判定し、経過すればステップS8に進む一方、経過していなければステップS7を繰り返す。経過するとステップS8において便座開閉機構15を制御して便座5を閉じ、ステップS9において便蓋開閉機構9を制御して便蓋3を閉じる。そして、ステップS1に戻り再び人体を検知するか判定する。また、ステップS4において履物11を検知しなければステップS10で便蓋タイマー16が経過したかどうかを判定し、経過すればステップS11に進む一方、経過していなければステップS10を繰り返す。ステップS11では便蓋開閉機構9を制御して便蓋3を閉じる。そして、ステップS1に戻り再び人体を検知するかを判定する。以上の処理を繰り返す。
【0027】
本実施の形態においては、図5に示すように、便器2の前に使用者がいることを検知した場合に限り、履物11があるかどうかを検知するものとしたが、これは便器2を使用した後、使用者が便器2前方に履物11を脱いでいった場合など、人体検知しないのに履物検知した場合に便座4を開けることがないようにしたものであり、これにより不要に便座4を開けることを防止できる。
【0028】
以上、説明した本実施の形態において、便蓋3や便座4を閉じることについては、便蓋タイマー16や便座タイマー17を用いて所定時間経過すれば閉じることとしたが、他にもセンサを追加して、例えば、便座4に着座しているかどうかを検知したり、便座4を開けた状態でも便器2の前に人がいるかどうかを検知したりして、着座していないし便器2の前に人がいないとなれば閉じるという方法もある。また便器2を使用すれば、その後便器2を洗浄するのが普通であり、その洗浄の操作を検知して便蓋3や便座4を閉じる方法もある。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上のように、本発明にかかるトイレ装置は、使用者が男性で小便にて便器を使用するのか、または使用者が女性かまたは男性で大便にて便器を使用するのかを区別することができるので、便座の開閉制御に利用できるほか、肛門洗浄や局部洗浄の自動化などにも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態におけるトイレ装置の外観斜視図
【図2】同トイレ装置を男性が小便にて使用する状態を説明する説明図
【図3】同トイレ装置を女性かまたは男性が大便にて使用する状態を説明する説明図
【図4】同トイレ装置の制御手段の構成を説明するブロック図
【図5】同トイレ装置の制御手段の動作流れを説明するフローチャート
【符号の説明】
【0031】
3 便蓋
4 便座
6 人体検知手段
7 履物検知手段
7a 発光部
7b 受光部
13 制御手段
16 便蓋タイマー
17 便座タイマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便蓋と、便座と、便器の前に人がいることを検知する人体検知手段と、前記便器の前方床面に履物があることを検知する履物検知手段と、前記人体検知手段と前記履物検知手段の出力によって前記便蓋と前記便座の開閉を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は前記人体検知手段が人を検知すると便蓋を開け前記履物検知手段が履物を検知すると便座を更に開けるように制御するトイレ装置。
【請求項2】
制御手段は便蓋を開けてからの時間を計時する便蓋タイマーと、便座を開けてからの時間を計時する便座タイマーを有し、前記便蓋タイマーが所定時間を計時すると便蓋を閉じ、前記便座タイマーが所定時間を計時すると前記便蓋と前記便座を閉じるようにした請求項1に記載のトイレ装置。
【請求項3】
履物検知手段は便座前方部に設け、便座が閉じられた状態で床面を指向する角度に取り付けた請求項1に記載のトイレ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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