説明

トイレ装置

【課題】便器本体部や粉砕機構部等に汚物が固着されることを防止して、その固着による当該装置の各部の故障を防止することができるようにする。
【解決手段】便器本体部1の使用又は未使用に関する蓋開閉検知信号S4に基づいて、給水タンク電磁弁4a、給水弁4e、開閉蓋用モータ駆動部11、粉砕歯用モータ駆動部12、排出弁用モータ駆動部13及びエアーコンプレッサー6等を制御する制御ユニット7を備えるものである。これにより、定刻や、一定時間間隔等により、給水タンク4から便器本体部1へ洗浄水が給水されて、便器本体部1、粉砕機構部2及び圧送タンク3等の洗浄動作を実行できるので、当該粉砕機構部2等の機器の故障だけではなく、便器本体部1、粉砕機構部2及び圧送タンク3等からの臭いの発生や、カビ等の原因となる汚物の固着を防止できるようになる。この結果、トイレ装置100を清潔に保つことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器本体部の未使用時間や当該装置の停電時間等を検出して、自動洗浄動作の必要性を判断するトイレ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、介護を必要とする人のために、介護用のポータブルトイレ装置が使用されている。このポータブルトイレ装置は、便座に腰を掛ける腰掛式(所謂洋式)の形態が多い。ポータブルトイレ装置は、汚物を受け入れて排出するための容器を備えた形態や、汚物排水を自然流下で行う形態が一般的である。
【0003】
特許文献1には、排水管勾配を得られない場所において、強制的に汚物を排出する手段として攪拌手段及び圧縮空気タンクを備えたトイレ装置が開示されている。このトイレ装置によれば、便器本体内を密閉状態にして、便器本体内に設けられた攪拌手段により汚物を流動化して汚物流動体にし、便器本体内に圧縮空気タンクからの圧縮空気を送り込んで汚物流動体を圧送排出する。
【0004】
特許文献2には、エアーコンプレッサーを備えたトイレ装置が開示されている。このトイレ装置によれば、粉砕装置内を密閉状態にして、粉砕装置により汚物を粉砕して汚物流動体にした後、粉砕装置にエアーコンプレッサーからの圧縮空気を送り込んで汚物流動体を圧送排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−8442号公報
【特許文献2】特開2008−86880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1及び特許文献2のトイレ装置は、介護用のポータブルトイレとして使用することができるが、当該トイレ装置を長期的に使用しない場合(例えば、当該トイレ装置のユーザが、旅行や入院等で長期的に自宅を留守にする場合)に、当該トイレ装置の便器本体や粉砕装置等に残留した汚物が乾燥して固着する可能性がある。この場合、粉砕装置に設けられた粉砕歯に汚物が目詰まりしたり、各種排出弁が固着したりする可能性がある。また、長時間の停電や断水等によっても同様な不具合が生じる可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は、上述の課題を解決したものであって、便器本体部や粉砕機構部等に汚物が固着されることを防止して、その固着による当該装置の各部の故障を防止することができるトイレ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るトイレ装置は、洗浄水を給水する給水部と、給水部から給水される洗浄水が流入可能に設けられて、排泄された汚物と洗浄水を受容する便器本体部と、便器本体部の下部に設けられて、便器本体部から流出した汚物を粉砕して洗浄水と共に汚物流動体と成す粉砕機構部と、圧縮空気供給装置から供給される圧縮空気を充填可能に粉砕機構部の下部に設けられて、粉砕機構部から汚物流動体が流入する流入口と、該流入口に流入した汚物流動体を廃棄場所まで導く排出管部材が接続可能な排出口とを有し、流入口から流入した汚物流動体を圧縮空気で圧送して排出口から排出する圧送部と、便器本体部の使用又は未使用を検出して検出信号を生成する検出部と、検出部によって生成された検出信号に基づいて、給水部、粉砕機構部及び圧送部を制御する制御部とを備えることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明に係るトイレ装置は、洗浄水を給水する給水部と、給水部から給水される洗浄水が流入可能に設けられて、排泄された汚物と洗浄水を受容する便器本体部と、便器本体部の下部に設けられて、便器本体部から流出した汚物を粉砕して洗浄水と共に汚物流動体と成して流下する粉砕機構部と、便器本体部の使用又は未使用を検出して検出信号を生成する検出部と、検出部によって生成された検出信号に基づいて、給水部及び粉砕機構部を制御する制御部とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るトイレ装置によれば、便器本体部の使用又は未使用に関する検出信号に基づいて、給水部、粉砕機構部及び圧送部等を制御する制御部を備えるものである。
【0011】
これにより、定刻や、一定時間間隔等により、給水部から便器本体部へ洗浄水が給水されて、便器本体部、粉砕機構部及び圧送部等の洗浄動作を実行できるので、当該粉砕機構部等の機器の故障だけではなく、便器本体部、粉砕機構部及び圧送部等からの臭いの発生や、カビ等の原因となる汚物の固着を防止できるようになる。この結果、トイレ装置を清潔に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態に係るトイレ装置100の構成例を示す概略図である。
【図2】トイレ装置100の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図3】トイレ装置100の動作例を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施の形態に係るトイレ装置200の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図5】トイレ装置200の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施の形態の一例として、トイレ装置について説明する。トイレ装置は、排泄された汚物や使用済みのトイレットペーパー等を受容する便器本体部の下方に設けられた粉砕機構部で、便器本体部に供給される洗浄水と共に汚物及びトイレットペーパー等を粉砕して排出する、病院の病室や住宅の居間等に設置可能なものである。
【0014】
<第1の実施の形態>
[トイレ装置100の構成例及び通常洗浄例]
最初に、第1の実施の形態に係るトイレ装置100の構成例及び通常洗浄例について説明する。図1に示すように、トイレ装置100は、便器本体部1、粉砕機構部2、圧送タンク3、給水タンク4及び制御ユニット7等で構成される。
【0015】
給水タンク4は、給水部の一例であり、例えば1.5から3リットルの洗浄水を貯える。この洗浄水は、当該トイレ装置100が設置されている部屋とは別の部屋にある廃棄場所の一例である備え付けトイレ5(既設の通常のトイレ)から給水タンク4に給水される。
【0016】
備え付けトイレ5から給水タンク4へ給水する給水管5aには給水タンク電磁弁4a及び流量センサ4bが設けられる。例えば給水タンク4の前面に設けられた便蓋開閉検知センサ4dが便蓋1aの開閉を検知したり、ユーザによって洗浄ボタン4cが押されたりすると、制御ユニット7が給水タンク電磁弁4aを開状態にする。すると、備え付けトイレ5からの洗浄水が給水タンク電磁弁4aを介して給水タンク4に給水される。この給水時に給水管5aを流れる洗浄水の流量を、給水管5aに設けられた流量センサ4bが積算する。洗浄水が所定の流量だけ流れると、流量センサ4bから制御ユニット7へ信号を出力して、制御ユニット7は、給水タンク電磁弁4aを閉状態にして給水タンク4への給水を停止させる。このようにして、給水タンク4に所定量の洗浄水が貯えられる。なお、流量センサの代わりに給水管5aに流れる洗浄水の時間を積算するフローセンサを設けても構わない。
【0017】
給水タンク4の下部にある給水口には給水弁4eが設けられる。また、この給水口から便器本体部1の流水口1cに向けて給水管4fが設けられる。給水弁4eが開くと、給水タンク4に貯えられた洗浄水が給水管4fを通って、流水口1cから便器本体部1の内部に流れ込む。その後、給水タンク4に洗浄水を再び貯めるときには、給水弁4eを閉じて、備え付けトイレ5から洗浄水を供給する。
【0018】
便器本体部1の上方には便蓋1a及び便座1bが設けられる。便蓋1aの開閉を便蓋開閉検知センサ4dが検知することによりトイレ装置100の各種処理が行われる。便座1bには備え付けトイレ5に繋がる図示しない給水管と接続される。この給水管には備え付けトイレ5からの洗浄水が給水されて、便座1bから洗浄水が噴出して当該便座1bに腰掛けたユーザの臀部等を洗浄する。
【0019】
便器本体部1は、洗浄水が流入する流水口1cと、上部から汚物を受け入れる上部開口部1dと、下部から洗浄水及び汚物等を排出する下部開口部1eとを有する。便器本体部1は、便蓋1aを開けて便座1bに腰掛けたユーザから排泄された汚物を上部開口部1dにより受容する。そして、便器本体部1に受容された汚物は、流水口1cから流水する洗浄水と共に下部開口部1eから排出される。
【0020】
便器本体部1の下方には粉砕機構部2が設けられる。粉砕機構部2は、便器本体部1から流出した汚物及び洗浄水が流入する開口部2aを有する。また、粉砕機構部2は、略円盤状を成して回転する回転歯2bと、この回転歯2bの下側に設けられ、略円盤状を成して筐体2dと一体の固定歯2cとを有する。回転歯2b及び固定歯2cにより本発明に係る粉砕歯が形成される。
【0021】
粉砕機構部2は、便器本体部1から流出した汚物及び洗浄水を開口部2aから取り込んで、シャフト、プーリ及びベルト等を介して接続された粉砕歯用モータM2により回転歯2bを回転させる。すると、汚物及び洗浄水は、回転歯2bと固定歯2cとの間に流入して、回転歯2bと固定歯2cとの対面しあう凹部及び凸部により粉砕される。この粉砕により、汚物及び洗浄水は汚物流動体となる。
【0022】
また、粉砕機構部2には排出弁2eが設けられる。排出弁2eは、ウォームギア2fを介して排出弁用モータM3に接続される。排出弁用モータM3が回転すると共にウォームギア2fが回転して、排出弁2eが図1では左右に移動する。
【0023】
例えば、粉砕機構部2で汚物を粉砕する際には排出弁2eを左側に移動させて、粉砕機構部2から汚物流動体等が排出されないように排出弁2eを閉じておく。粉砕機構部2の粉砕動作が完了したら、排出弁2eを右側に移動させて、粉砕機構部2から汚物流動体が排出されるように排出弁2eを開いておく。
【0024】
便器本体部1と粉砕機構部2との間には仕切機構部10が設けられる。仕切機構部10は、開閉蓋用モータM1の作用によりクランク動作する開閉蓋10aによって開口部2aを開閉して、便器本体部1と粉砕機構部2とを仕切る。
【0025】
例えば、仕切機構部10は、ユーザが排泄を済まして便座1bから立ち上がり、便蓋1aを閉じると、開閉蓋用モータM1が回転して開閉蓋10aが移動(図1では左側に移動)して開口部2aを開状態にする。そして、仕切機構部10は、便器本体部1で受容した汚物及び洗浄水が開口部2aを通って粉砕機構部2に流入すると、開閉蓋用モータM1が更に回転して開閉蓋10aが移動(図1では右側に移動)して開口部2aを閉状態にする。
【0026】
粉砕機構部2の下部には圧送部の一例である圧送タンク3及びエアーコンプレッサー6が設けられる。圧送タンク3は、例えば、円筒形状に加工された金属又は樹脂等で構成されている。圧送タンク3の容量は3〜5リットル程度である。
【0027】
圧送タンク3は、圧縮空気供給装置であるエアーコンプレッサー6から供給される圧縮空気を充填可能に設けられ、エアーコンプレッサー6からの圧縮空気を取り入れるエアー供給口3aと、粉砕機構部2により粉砕された汚物流動体が流入する流入口3bと、この流入口3bに流入した汚物流動体を備え付けトイレ5まで導く排出管部材の一例であるチューブ53が接続可能な排出口3cとを有する。チューブ53は、屈曲可能な樹脂材料やゴム材料等で形成されている。
【0028】
圧送タンク3は、流入口3bから流入した汚物流動体をエアーコンプレッサー6による圧縮空気で圧送して、排出口3cから排出する。その後、排出口3cから排出された汚物流動体は、チューブ53を介して当該トイレ装置100が設置されている部屋と別の部屋にある備え付けトイレ5に排出される。
【0029】
[トイレ装置100の制御系の構成例]
続いて、トイレ装置100の制御系の構成例について説明する。図2に示すように、トイレ装置100は、制御部の一例である制御ユニット7で構成される。制御ユニット7は、演算機能を有するCPU7a(Central Processing Unit)と、各種プログラム等を記憶するメモリ7bと、当該トイレ装置の使用回数等をカウントするカウンタ7cと、I/Oインターフェース7dとを有して構成される。CPU7a、メモリ7b、カウンタ7c及びI/Oインターフェース7dは、システムバス7eを介してそれぞれ接続される。
【0030】
例えば、記憶部の一例であるメモリ7bにはトイレ装置100を制御するためのシステムプログラムの他に、給水制御や、排出制御、圧送制御等を実行する際の制御情報が一時格納される。電源がオンされると、電源オン情報を検出したCPU7aは、メモリ7bからシステムプログラムを読み出して、システムを起動して、当該トイレ装置100の全体を制御するようになされる。
【0031】
トイレ装置100の制御系は制御ユニット7の他に、給水タンク電磁弁4a、流量センサ4b、洗浄ボタン4c、便蓋開閉検知センサ4d、開閉蓋用モータ駆動部11、粉砕歯用モータ駆動部12、排出弁用モータ駆動部13及びエアーコンプレッサー6を有して構成される。
【0032】
制御ユニット7には、給水タンク電磁弁4a、流量センサ4b、洗浄ボタン4c及び便蓋開閉検知センサ4dがI/Oインターフェース7dを介して接続される。
【0033】
洗浄ボタン4cがユーザによって押されると、当該洗浄ボタン4cから洗浄信号S3が制御ユニット7に出力される。また、便蓋開閉検知センサ4dは、図1に示した便蓋1aの開動作を検知すると、便器本体部1の使用開始を示す蓋開閉検知信号S4を制御ユニット7に出力する。因みに、蓋開閉検知信号S4は、便蓋1aの開閉を示す信号でもある。便蓋開閉検知センサ4dには、例えば、透過型のセンサ等が使用される。便蓋開閉検知センサ4dは、当該トイレ装置100の使用開始及び使用終了や未使用状態を検出して検出信号を生成する検出部の一例である。
【0034】
制御ユニット7は、洗浄ボタン4cからの洗浄信号S3又は便蓋開閉検知センサ4dからの蓋開閉検知信号S4を受信すると、給水タンク電磁弁4aを開閉するための電磁弁制御信号S1を生成する。そして、制御ユニット7は、生成した電磁弁制御信号S1を給水タンク電磁弁4aに出力する。
【0035】
給水タンク電磁弁4aは、制御ユニット7から出力された電磁弁制御信号S1を受信すると閉状態から開状態になり、図1に示した備え付けトイレ5から給水管5aを介して洗浄水が給水タンク4に貯留するようになされる。このとき、給水管5aに流れる洗浄水の流量を流量センサ4bが積算して、所定の流量になったら給水停止信号S2を制御ユニット7へ出力する。
【0036】
制御ユニット7は、流量センサ4bから出力された給水停止信号S2を受信すると、電磁弁制御信号S1を給水タンク電磁弁4aに再度出力する。そして、給水タンク電磁弁4aは、制御ユニット7から出力された電磁弁制御信号S1を受信すると開状態から閉状態になり、備え付けトイレ5からの給水が遮断される。
【0037】
制御ユニット7には、更に、開閉蓋用モータ駆動部11、粉砕歯用モータ駆動部12、排出弁用モータ駆動部13及びエアーコンプレッサー6がI/Oインターフェース7dを介して接続される。また、開閉蓋用モータ駆動部11には開閉蓋用モータM1が接続され、粉砕歯用モータ駆動部12には粉砕歯用モータM2が接続され、排出弁用モータ駆動部13には排出弁用モータM3が接続される。
【0038】
開閉蓋用モータ駆動部11は、制御ユニット7から出力されるモータ駆動データD1を入力し、このモータ駆動データD1をデコードしてモータ制御信号S5を生成する。開閉蓋用モータ駆動部11は、生成したモータ制御信号S5を開閉蓋用モータM1に出力して開閉蓋用モータM1を駆動する。
【0039】
開閉蓋用モータM1は、モータ制御信号S5を受信すると所定の方向に回転駆動する。そして、開閉蓋用モータM1は、図1に示した開閉蓋10aを移動させて開口部2aを開閉する。
【0040】
例えば、開閉蓋10aが左側に移動すると開口部2aが開かれ、開閉蓋10aが右側に移動すると開口部2aが閉じられる。このような開閉蓋10aの動作により、便器本体部1から粉砕機構部2に流入するトイレットペーパー、汚物及び洗浄水等を通過又は停止させる。
【0041】
粉砕歯用モータ駆動部12は、制御ユニット7から出力されるモータ駆動データD2を入力し、このモータ駆動データD2をデコードしてモータ制御信号S6を生成する。粉砕歯用モータ駆動部12は、生成したモータ制御信号S6を粉砕歯用モータM2に出力して粉砕歯用モータM2を駆動する。
【0042】
粉砕歯用モータM2は、モータ制御信号S6を受信すると所定の方向に回転駆動する。そして、粉砕歯用モータM2の軸が回転すると共に、シャフト、プーリ及びベルト等を介して接続されている回転歯2bが回転する。この回転歯2bが回転することにより、当該回転歯2bと固定歯2cとの間に汚物や洗浄水等が流入し、該流入した汚物や洗浄水等が粉砕される。
【0043】
排出弁用モータ駆動部13は、制御ユニット7から出力されるモータ駆動データD3を入力し、このモータ駆動データD3をデコードしてモータ制御信号S7を生成する。排出弁用モータ駆動部13は、生成したモータ制御信号S7を排出弁用モータM3に出力して排出弁用モータM3を駆動する。
【0044】
排出弁用モータM3は、モータ制御信号S7を受信すると所定の方向に回転駆動する。そして、排出弁用モータM3の回転と共に、ウォームギア2fが回転してこのウォームギア2fに接続されている排出弁2eが開閉する。
【0045】
例えば、排出弁用モータM3が時計回りに回転すると、排出弁2eが図1では右側に移動して排出弁2eが開き、粉砕機構部2にある汚物流動体や洗浄水等が流入口3bから圧送タンク3に流れ込む。また、排出弁用モータM3が反時計回りに回転すると、排出弁2eが図1では左側に移動して排出弁2eが閉じ、粉砕機構部2にある汚物流動体や洗浄水等を貯留する。
【0046】
制御ユニット7は、圧送タンク3の内部の圧力を検出する図示しない圧力検出センサからの圧力検出信号に基づいて圧送タンク3への圧縮空気の充填を停止するようにエアーコンプレッサー6を制御する。エアーコンプレッサー6は、制御ユニット7からの圧力制御信号S8を入力し、この圧力制御信号S8に基づいて空気を圧縮して圧送タンク3内に送出する。これにより、例えば、圧送タンク3内の流動化された汚物や洗浄水、又は圧縮空気を排出口3cから排出することができる。
【0047】
[トイレ装置100の自動洗浄例]
本実施の形態に係るトイレ装置100では、当該トイレ装置100を清潔に保つために、所定の未使用時間が経過したら自動洗浄を行う機能を有する。以下、トイレ装置100の自動洗浄例について説明する。
【0048】
制御ユニット7は、便蓋開閉検知センサ4dにより生成される、便器本体部1の使用又は未使用を示す蓋開閉検知信号S4を受信する。制御ユニット7は、受信した蓋開閉検知信号S4に基づいて、給水タンク電磁弁4a、給水弁4e、開閉蓋用モータ駆動部11、粉砕歯用モータ駆動部12、排出弁用モータ駆動部13及びエアーコンプレッサー6等を制御する。
【0049】
制御ユニット7のカウンタ7cは、未使用時間算出部の一例であり、CPU7aは、未使用時間比較部の機能を有する。未使用時間算出部とは、便蓋開閉検知センサ4dによって生成された蓋開閉検知信号S4に基づいて、便器本体部1の未使用時間を算出するものである。未使用時間比較部とは、未使用時間算出部によって算出された便器本体部1の未使用時間と、メモリ7bに予め記憶される未使用時間とを比較するものである。
【0050】
例えば、ユーザがトイレ装置100で排泄を済ますと、便蓋1aを閉じる。すると、CPU7aは、便蓋開閉検知センサ4dから出力される蓋開閉検知信号S4を受信して、カウンタ7cの動作を開始させる。カウンタ7cは、動作を開始すると、トイレ装置100の未使用時間をカウントしていく。
【0051】
その後、ユーザが再びトイレ装置100を使用するときに、便蓋1aを開く。すると、CPU7aは、便蓋開閉検知センサ4dから出力される蓋開閉検知信号S4を再度受信して、カウンタ7cの動作を終了させる。つまり、カウンタ7cは、トイレ装置100の未使用時間のカウントを停止して、未使用時間を算出する。
【0052】
CPU7aは、カウンタ7cによって算出された未使用時間と、メモリ7bに予め記憶してある所定の未使用時間とを比較する。そして、CPU7aは、未使用時間の比較結果に基づいて、給水タンク電磁弁4a、給水弁4e、開閉蓋用モータ駆動部11、粉砕歯用モータ駆動部12、排出弁用モータ駆動部13及びエアーコンプレッサー6等を制御して、自動洗浄動作を行う。
【0053】
次に、自動洗浄による洗浄動作について説明する。トイレ装置100の未使用時間がメモリ7bに予め記憶された未使用時間をオーバーし、それをCPU7aが認識したことを前提として、まず、CPU7aは、給水タンク電磁弁4aに電磁弁制御信号S1を出力する。すると、給水タンク電磁弁4aが開状態になり給水タンク4に洗浄水が貯留される。
【0054】
CPU7aは、給水弁4eを開いて給水タンク4に貯留した洗浄水を便器本体部1に流入させて便器本体部1を洗浄する。便器本体部1が洗浄されたら(所定の時間経過したら)、開閉蓋用モータ駆動部11にモータ駆動データD1を出力して開閉蓋用モータ駆動部11を駆動させる。
【0055】
開閉蓋用モータ駆動部11は、CPU7aから出力されたモータ駆動データD1を受信して、開閉蓋用モータM1を駆動する。すると、開閉蓋10aが開状態になり、便器本体部1の洗浄水が粉砕機構部2に流入して粉砕機構部2が洗浄される。その際、CPU7aは、粉砕歯用モータ駆動部12にモータ駆動データD2を出力して、粉砕歯用モータ駆動部12を駆動させて粉砕歯用モータM2を駆動する。これにより、粉砕機構部2内部がよりきれいに洗浄される。
【0056】
その後、CPU7aは、排出弁用モータ駆動部13にモータ駆動データD3を出力して、排出弁用モータ駆動部13を駆動させる。排出弁用モータ駆動部13は、CPU7aから出力されたモータ駆動データD3を受信して、排出弁用モータM3を駆動する。すると、排出弁2eが開状態になり、粉砕機構部2の洗浄水が圧送タンク3に流入して圧送タンク3が洗浄される。
【0057】
圧送タンク3が洗浄水により洗浄されたら、CPU7aは、圧力制御信号S8をエアーコンプレッサー6に出力して、エアーコンプレッサー6を駆動させる。エアーコンプレッサー6は、CPU7aから出力された圧力制御信号S8を受信して、エアー供給口3aを介して圧送タンク3内に圧縮空気を供給する。すると、圧送タンク3内にある洗浄水が排出口3c及びチューブ53を介して備え付けトイレ5に排出される。このようにして自動洗浄による洗浄動作が行われる。
【0058】
なお、本実施の形態では、CPU7aが時間経過と共に、給水タンク電磁弁4a、給水弁4e、開閉蓋用モータ駆動部11、粉砕歯用モータ駆動部12、排出弁用モータ駆動部13及びエアーコンプレッサー6の順番でそれぞれを制御したが、これは自動洗浄動作の一例であってこれに限定されず、各部の動作順序は適宜変更可能である。
【0059】
また、本実施の形態では、未使用時間比較部の機能を有するCPU7aについて説明したが、これに限定されず、未使用時間比較部をCPU7aとは別体として設けても構わない。
【0060】
また、メモリ7bに予め記憶してある所定の未使用時間は、図示しない入力手段によって任意に入力して設定できるようになっていても良い。
【0061】
[トイレ装置100の動作例]
次に、トイレ装置100の全体の動作例についてフローチャートを用いて説明する。図3に示すように、ステップST1では、カウンタ7cでカウントされた未使用時間がクリアされる。
【0062】
ステップST2に移行して、CPU7aは、ユーザによって洗浄ボタン4cが押されたか否かを判断する。言い換えると、CPU7aは、洗浄ボタン4cから出力される洗浄信号S3が当該CPU7aに入力されたか否かを判断する。洗浄ボタン4cが押されたらステップST4に移行し、洗浄ボタン4cが押されていなかったらステップST3に移行する。
【0063】
ステップST3では、CPU7aは、便蓋開閉検知センサ4dによって便蓋1aが閉じられたことを検知したか否かを判断する。つまり、CPU7aは、便蓋開閉検知センサ4dから出力される蓋開閉検知信号S4が当該CPU7aに入力されたか否かを判断する。便蓋開閉検知センサ4dによって便蓋1aが閉じられたことを検知したらステップST4に移行し、便蓋開閉検知センサ4dによって便蓋1aが閉じられたことを検知していなかったらステップST5に移行する。
【0064】
ステップST4では、前述した通常洗浄を開始する。そして、通常洗浄が終了したら再びステップST1に戻る。
【0065】
ステップST5では、CPU7aは、便器本体部1の未使用時間が所定の未使用時間をオーバーしているか否かを判断する。つまり、CPU7aは、メモリ7bから予め記憶されている未使用時間に関するデータを読み出し、該読み出した未使用時間とカウンタ7cによって計測された未使用時間とを比較する。
【0066】
CPU7aは、カウンタ7cによって計測された未使用時間がメモリ7bに予め記憶されている未使用時間をオーバーしていると判断したらステップST6に移行する。また、CPU7aは、カウンタ7cによって計測された未使用時間がメモリ7bに予め記憶されている未使用時間をオーバーしていないと判断したらステップST7に移行する。
【0067】
ステップST6では、前述した自動洗浄を開始する。そして、自動洗浄が終了したら再びステップST1に戻る。
【0068】
ステップST7では、CPU7aは、カウンタ7cによる未使用時間を加算(カウントアップ)する。そして、ステップST2に移行する。
【0069】
このように、第1の実施の形態に係るトイレ装置100によれば、便器本体部1の使用又は未使用に関する蓋開閉検知信号S4に基づいて、給水タンク電磁弁4a、給水弁4e、開閉蓋用モータ駆動部11、粉砕歯用モータ駆動部12、排出弁用モータ駆動部13及びエアーコンプレッサー6等を制御する制御ユニット7(CPU7a)を備えるものである。
【0070】
これにより、定刻や、一定時間間隔等により、給水タンク4から便器本体部1へ洗浄水が給水されて、便器本体部1、粉砕機構部2及び圧送タンク3等の洗浄動作を実行できるので、当該粉砕機構部2等の機器の故障だけではなく、便器本体部1、粉砕機構部2及び圧送タンク3等からの臭いの発生や、カビ等の原因となる汚物の固着を防止できるようになる。この結果、トイレ装置100を清潔に保つことができる。
【0071】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態では、第1の実施の形態で説明したトイレ装置100にRTC7fを追加したトイレ装置200について説明する。第1の実施の形態と同じ名称及び符号のものは同じ機能を有するので、その説明を省略する。
【0072】
[トイレ装置200の構成例]
まずは、第2の実施の形態に係るトイレ装置200の制御系の構成例について説明する。図4に示すように、トイレ装置200は、制御ユニット7A、給水タンク電磁弁4a、流量センサ4b、洗浄ボタン4c、便蓋開閉検知センサ4d、開閉蓋用モータ駆動部11、粉砕歯用モータ駆動部12、排出弁用モータ駆動部13及びエアーコンプレッサー6で構成される。給水タンク電磁弁4a、流量センサ4b、洗浄ボタン4c、便蓋開閉検知センサ4d、開閉蓋用モータ駆動部11、粉砕歯用モータ駆動部12、排出弁用モータ駆動部13及びエアーコンプレッサー6は、制御ユニット7Aにそれぞれ接続される。
【0073】
給水タンク電磁弁4a、流量センサ4b、洗浄ボタン4c、便蓋開閉検知センサ4d、開閉蓋用モータ駆動部11、粉砕歯用モータ駆動部12、排出弁用モータ駆動部13及びエアーコンプレッサー6については、前述の第1の実施の形態(図2)で説明したトイレ装置100と同じ機能を有するので、その説明を省略する。
【0074】
制御ユニット7Aは、CPU7a、メモリ7b、I/Oインターフェース7d、RTC7f(Real Time Clock)及びバッテリー7gを有して構成される。CPU7a、メモリ7b、I/Oインターフェース7d及びRTC7fは、システムバス7eを介してそれぞれ接続される。RTC7fにはバッテリー7gが接続される。
【0075】
RTC7fは、時間管理部の一例であり、トイレ装置200への電源供給が停止されてから再び開始されるまでの時間である停電時間を計測する。RTC7fは、トイレ装置200が停電になっても、バッテリー7gからの電源供給によりOFFになることはない。
【0076】
CPU7aは、トイレ装置200への電源供給が停止されるときに、現在の日時(停電した日時)をRTC7fから受信して、該受信した現在の日時(停電の日時)をメモリ7bに記憶してからOFFになる。
【0077】
[トイレ装置200の動作例]
次に、トイレ装置200の動作例についてフローチャートを用いて説明する。図5に示すように、ステップST11では、CPU7aは、自動洗浄モードになっているか否かを判断する。自動洗浄モードは、自動洗浄が実施されるモードであって、制御ユニット7Aに接続された図示しない操作部によって通常洗浄のみが実施される通常モードから切り替えられるモードである。
【0078】
CPU7aは、自動洗浄モードになっていると判断したらステップST12に移行し、自動洗浄モードになっていない判断したらST14に移行する。
【0079】
ステップST12では、CPU7aは、停電時にメモリ7bに記憶した停電日時と、RTC7fから読み出した現在日時とを比較する。具体的には、CPU7aは、停電日時と現在日時との差がメモリ7bに予め記憶してある規定値以上であるか否かを判断する。停電日時と現在日時との差が、規定値以上であればステップST13に移行し、規定値未満であればステップST14に移行する。
【0080】
ステップST13では、前述した自動洗浄を開始する。そして、自動洗浄が終了したらトイレ装置200動作が終了する。
【0081】
ステップST14では、イニシャライズ動作が実行される。イニシャライズ動作とは、電源ON時に、CPU7aがメモリ7bからシステムプログラム等を読み出して行われる当該トイレ装置100の初期動作のことをいう。
【0082】
このように、第2の実施の形態に係るトイレ装置200によれば、トイレ装置200への電源供給が停止されてから再び開始されるまでの時間である停電時間を計測するRTC7fを備えるものである。
【0083】
これにより、停電時間が長い場合であっても、給水タンク4から便器本体部1へ洗浄水が給水されて、便器本体部1、粉砕機構部2及び圧送タンク3等の洗浄動作を実行できるので、当該粉砕機構部2等の機器の故障だけではなく、便器本体部1、粉砕機構部2及び圧送タンク3等からの臭いの発生や、カビ等の原因となる汚物の固着を防止できるようになる。この結果、トイレ装置200を清潔に保つことができる。
【0084】
なお、第1及び第2の実施の形態では、粉砕機構部2で汚物を粉砕後、汚物流動体を圧送タンク3により圧送して排出するトイレ装置について説明したが、これに限定されず、圧送タンク3による圧送を行わずに、粉砕機構部2から汚物流動体を直接トイレ装置外に排出するものであっても構わない。
【0085】
また、メモリ7bに予め記憶してある規定値は、図示しない入力手段によって任意に入力して設定できるようになっていても良い。
【符号の説明】
【0086】
1・・・便座本体部、1a・・・便蓋、1b・・・便座、2・・・粉砕機構部、3・・・圧送タンク(圧送部)、4・・・給水タンク(給水部)、4d・・・便蓋開閉検知センサ(検出部)、5・・・備え付けトイレ(廃棄場所)、6・・・エアーコンプレッサー(圧縮空気供給部)、7,7A・・・制御ユニット(制御部)、7a・・・CPU(未使用時間比較部)、7b・・・メモリ(記憶部)、7c・・・カウンタ(未使用時間算出部)、7d・・・I/Oインターフェース、7e・・・システムバス、7f・・・RTC(時間管理部)、7g・・・バッテリー、100,200・・・トイレ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水を給水する給水部と、
前記給水部から給水される洗浄水が流入可能に設けられて、排泄された汚物と前記洗浄水を受容する便器本体部と、
前記便器本体部の下部に設けられて、前記便器本体部から流出した前記汚物を粉砕して前記洗浄水と共に汚物流動体と成す粉砕機構部と、
圧縮空気供給装置から供給される圧縮空気を充填可能に前記粉砕機構部の下部に設けられて、前記粉砕機構部から前記汚物流動体が流入する流入口と、該流入口に流入した前記汚物流動体を廃棄場所まで導く排出管部材が接続可能な排出口とを有し、前記流入口から流入した汚物流動体を圧縮空気で圧送して前記排出口から排出する圧送部と、
前記便器本体部の使用又は未使用を検出して検出信号を生成する検出部と、
前記検出部によって生成された検出信号に基づいて、前記給水部、前記粉砕機構部及び前記圧送部を制御する制御部とを備えることを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
前記検出部によって生成された検出信号に基づいて、前記便器本体部の未使用時間を算出する未使用時間算出部と、
前記未使用時間算出部によって算出された前記未使用時間と、記憶部に予め記憶される所定の未使用時間とを比較する未使用時間比較部とを更に備え、
前記制御部は、
前記未使用時間比較部による未使用時間の比較結果に基づいて、前記給水部、前記粉砕機構部及び前記圧送部を制御することを特徴とする請求項1に記載のトイレ装置。
【請求項3】
当該装置への電源供給が停止されてから再び開始されるまでの停電時間を計測する時刻管理部を更に備え、
前記制御部は、
前記時刻管理部により計測された停電時間に基づいて、前記給水部、前記粉砕機構部及び前記圧送部を制御することを特徴とする請求項1に記載のトイレ装置。
【請求項4】
洗浄水を給水する給水部と、
前記給水部から給水される洗浄水が流入可能に設けられて、排泄された汚物と前記洗浄水を受容する便器本体部と、
前記便器本体部の下部に設けられて、前記便器本体部から流出した前記汚物を粉砕して前記洗浄水と共に汚物流動体と成して流下する粉砕機構部と、
前記便器本体部の使用又は未使用を検出して検出信号を生成する検出部と、
前記検出部によって生成された検出信号に基づいて、前記給水部及び前記粉砕機構部を制御する制御部とを備えることを特徴とするトイレ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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