説明

トウモロコシの収穫量を増加する方法

本発明は、収穫量の増加に必要な量のイソキサジフェン又はそのエステルを植物、植物の部分、植物の種子又は栽培地に施用することにより、収穫量増加を必要とするトウモロコシのような有用植物の作物収穫量を増加する方法を提供する。更に、除草剤として有効量の1又はそれ以上の除草剤及び/又は殺虫剤、並びに収穫量増加に必要な量のイソキサジフェン又はそのエステルを植物、植物の部分、植物の種子又は栽培地に施用することにより、収穫量増加を必要とする有用植物の作物収穫量を増加する方法を提供する。好適な除草剤には、例えば、リムスルフロン、ニコスルフロン、ホラムスルフロン、ジフルフェンゾピル、メソトリオン又はジカンバが含まれる。イソキサジフェンと1以上の除草剤との収穫量増加のための施用の典型的な組合せとしては、イソキサジフェンとジフルフェンゾピル及びジカンバとの組合せによろう収穫量増加のための施用がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作物保護製品、殊に有用植物の作物栽培において競合する有害植物に対する使用に好適な薬害軽減剤及び除草剤との組合せにおける薬害軽減剤の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
雑草の生長を抑制するために必要な除草剤の施用量において作物植物を損傷する多くの除草剤が知られている。このことにより、或る種の作物に直面している雑草の防除に対しては多くの除草剤が不適切なものとなっている。この影響により、殊にトウモロコシ、イネ又は穀類のような作物において、そして第一には除草剤の発生後処理においてかなりの数の除草剤の使用が困難となっている。しかしながら、雑草の生長が抑制されない場合は、雑草が栄養、光及び水を作物と競合するために、作物の収穫量が減少しかつ品質が低下する結果となる。許容されない除草剤活性の減少を伴わない作物に対する除草剤損傷の減少は、「薬害軽減剤」として知られそしてときには「解毒剤」又は「拮抗剤」とも称される作物保護剤の使用によって達成することができる。それ故、ある実例においては薬害軽減剤又は解毒剤を用いることにより、有害生物に対する有害生物防除剤の活性に悪影響を与えることなく、有害生物防除剤の作物損傷特性から有用植物を保護することができる。
【0003】
芳香族カルボン酸のオーキシン系の除草剤活性化合物は良好な使用特性を有し、そしてイネ科雑草及び/又は広葉雑草のある範囲に対し比較的少量の施用量において使用することができる。例えば、米国特許第3,013,054号; 米国特許第3,014,063号; 米国特許第3,174,842号; 米国特許第3,081,162号 及び米国特許第2,848,470号を参照されたい。しかしながら、これらの化合物は、小麦、大麦、稲、トウモロコシ及びモロコシのような穀類、又は大豆、ヒマワリ及びサトウキビのような双子葉作物(グルホシネート耐性品種、例えばLIBERTY LINK(登録商標)トウモロコシ、又はグリホサート耐性品種、例えばROUND−UP−READY(登録商標)トウモロコシ若しくは大豆のような遺伝子変換の選択的除草剤耐性品種を含む。)のような重要な作物植物に常に完全に適用できるものではなく、それ故、それらの選択的除草剤としての使用は、ある場合には制限される。この場合、除草剤は使用され得るとしても作物にとって許容される低量の施用量においてのみ使用することができ、その結果、望ましい範囲の有害植物に対する除草剤活性は期待されない。
【0004】
ジクロロアセトアミド系及びその他の種々の薬害軽減剤の添加により、安息香酸系の除草剤の作物に対する植物毒性が減少することは、EP−A−0480902 から既知である。
【0005】
EP−A−0795269 には、クロキントセト−メキシル又はキノリンオキシアセテート系の同様の薬害軽減剤との組合せが、作物に対するジカンバの植物毒性を減少させることが記載されている。
【0006】
WO 98/47356 は、ジカンバと、フリラゾール、ベノキサコール、AD97のようなヘテロ環リングを有する特定のジクロロアセトアミド系薬害軽減剤、又はヘテロ環リングを有する特定のジカルボン酸系の薬害軽減剤との組合せに関連している。
【0007】
これまでに薬害軽減剤として開示された化合物は種々の化学構造式を有している。例えば、米国特許第4,902,340号には、キノリン−8−オキシアルカン酸誘導体が、ジフェニルエーテル系及びピリジルオキシフェノキシプロピオン酸の群からの除草剤に対する薬害軽減剤として開示されている;そして EP−A 0 520 371には、イソキサゾリン及びイソチアゾリンが、アリールオキシフェノキシカルボン酸、スルホニルウレア及びイミダゾリノンのような種々の除草剤に対する薬害軽減剤として開示されているが、これらは後者の刊行物において好適な除草剤として言及されている。
【0008】
しかしながら、有害生物防除剤による損傷から有用植物を保護するために薬害軽減剤を使用するときは、多くの場合既知の薬害軽減剤はある程度の不利益をもたらすことが知られている。これらの不利益には、薬害軽減剤が有害生物防除剤、殊に有害植物に対する除草剤の活性を減少させること;作物保護の特性が当該除草剤との組合せにおいて不十分であること;使用すべき薬害軽減剤/除草剤における有用植物のスペクトルが満足できるほどには広くないこと;又は当該薬害軽減剤は満足できるほどの多くの除草剤とは組み合わせることができないこと、が含まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それ故、作物の収穫量増加のために有用植物に適用する有害生物防除剤が原因となる損傷を低く抑えることができる改善された薬害軽減剤活性を有する化合物を含んでいる作物保護剤で、有用植物の広範囲の品種に使用することができるものを提供することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、トウモロコシのような有用植物の作物収穫量を驚くべきことに大幅に増加することができるイソキサジフェン又はそのエステルを含む作物保護薬害軽減剤の提供により、この要求を満足することができる。
【0011】
殊に、本発明は、収穫量増加に必要な量のイソキサジフェン又はそのエステルを植物、植物の部分、植物の種子又は栽培地に施用することによって、トウモロコシのような作物の収穫量増加を必要とする有用植物の作物栽培における収穫量を増加する方法を提供する。特定の実施態様においては、収穫量増加に必要な量のイソキサジフェン、イソキサジフェンのエステル及びそれらの混合物を、本発明の方法に従って施用することができる。
【0012】
更に、本発明は、収穫量増加に必要な量のイソキサジフェン又はそのエステルと有効量の1又はそれ以上の除草剤及び/又は殺虫剤とを、植物、植物の部分、植物の種子又は栽培地に施用することにより、収穫量増加を必要とする有用植物の作物栽培における収穫量を増加する方法を提供する。
【0013】
本発明の方法において使用される好適な除草剤には、例えばそして限定的ではなく、リムスルフロン、ニコスルフロン、ホラムスルフロン、ジフルフェンゾピル、メソトリオン又はジカンバが含まれる。イソキサジフェンと1以上の除草剤との収穫量増加のための施用のひとつの典型的な組合せには、ジフルフェンゾピル及びジカンバと組み合わせたイソキサジフェンの収穫量増加のための施用がある。
【0014】
イソキサジフェン又はそのエステルの施用量は、広範囲において変えることができ、そして一般的には、ヘクタール当たり0.001から5キログラム、好ましくは0.005から0.5キログラム、さらに好ましくは0.015から0.1キログラムのイソキサジフェンの活性化合物(a.i.)、又は種子処理としての使用の場合は、例えば、種子1キログラム当たり0.01から10グラムa.i.、好ましくは種子1キログラム当たり0.05から1グラムa.i.、殊に0.1から0.5グラムa.i.までの範囲である。
【0015】
本発明の方法において使用される除草剤及び/又は殺虫剤の施用量は、広範囲において変えることができ、最適量は問題としている除草剤及び/又は殺虫剤、有害植物及び作物植物のスペクトルの如何による。一般的には、施用量はヘクタール当たり0.001グラムから12キログラム、好ましくは10グラムから3キログラム、極めて好ましくは20グラムから2キログラムa.i.の範囲である。
【0016】
除草剤活性化合物及び/又は殺虫剤並びにイソキサジフェン又はそのエステルは、一緒に(最終製剤として又はタンク混合法により)、又はいかなる順序であれ連続的に施用することができる。除草剤:イソキサジフェンの質量比率は広範囲において変えることができ、そして例えば、1:200から200:1、好ましくは1:100から100:1、殊に、1:20から20:1、最も好ましくは1:10から10:1の範囲である。イソキサジフェン又はそのエステルは作物植物種子の前処理(種子粉衣)、又は播種前の種子の畝間(furrow)に取り込ませるために幼苗の前処理としても使用することができる。幼苗の前処理においては、例えば、イソキサジフェンの溶液を根部若しくは幼苗全体に噴霧するか、又はそれらをそのような溶液中に浸しておくことも可能である。次いで1又はそれ以上の除草剤を発生前処理法又は発生後処理法によって使用することができる。
【0017】
別法としては、イソキサジフェンを除草剤と一緒に植物の発生前又は発生後に処理することも可能である。発生前処理法には、播種前の栽培地の処理及び作物は播種されてはいるがまだ出芽していない栽培地の処理の両方が含まれる。連続処理の場合は、イソキサジフェンの処理を最初に行い、次いで、好ましくは直後に、除草剤の処理を行うことも可能である。個々の場合においては、除草剤の処理の後にイソキサジフェンの処理を行う方が好都合な場合もある。
【0018】
一般的に、イソキサジフェンと少なくとも1つの除草剤とをタンク混合又は最終製剤の形態として同時に施用することが好ましい。
【0019】
イソキサジフェン溶液中に種子を浸す種子処理法でイソキサジフェン溶液を使用するときは、当該溶液中の薬害軽減剤の濃度は、例えば、質量基準で1から10,000、好ましくは100から1,000ppmである。
【0020】
本発明の方法に係るイソキサジフェン及びイソキサジフェンと組み合わせて使用する除草剤には、立体異性体及びそれらの混合物並びにそれらの塩の全てを含むものと理解される。
【0021】
我々はここで、収穫量増加に必要な量の薬害軽減剤イソキサジフェン又はそのエステルを植物、植物の部分、植物の種子又は栽培地に施用することによって、驚くべきことに、作物の収穫量を大幅に増加させることができることを示す。
【0022】
即ち、本発明は、収穫量増加に必要な量のイソキサジフェン又はそのエステルを植物、植物の部分、植物の種子又は栽培地に施用することによる、収穫量増加を必要とするトウモロコシのような有用植物の作物収穫量を増加する方法を提供する。特定の実施例においては、収穫量増加に必要な量のイソキサジフェン、そのエステル及びそれらの混合物が本発明の方法に従って施用される。
【0023】
更に、イソキサジフェン又はそのエステルを、例えば、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、除草剤、殺菌剤、肥料及び/又は植物成長調節剤のような有害生物防除剤として活性な物質と一緒に、例えば最終製剤として又はタンク混合法によって施用することにより、有用植物の作物収穫量を大幅に増加させることができることをも示している。
【0024】
好ましい追加的な1又はそれ以上の活性化合物は除草剤である。
【0025】
それ故、本発明はまた、除草剤として有効量の1又はそれ以上の除草剤及び収穫量増加に必要な量のイソキサジフェン又はそのエステルを植物、植物の部分、植物の種子又は栽培地に施用することにより、収穫量増加を必要とするな有用植物の作物収穫量を増加する方法を提供する。
【0026】
本発明の方法において使用される好適な除草剤には、限定的ではなく、リムスルフロン、ニコスルフロン、ホラムスルフロン、ジフルフェンゾピル、メソトリオン又はジカンバが含まれる。
【0027】
個々の場合において、イソキサジフェン又はそのエステルの一つを複数の除草剤と組み合わせることが有利なこともある。イソキサジフェンと1以上の除草剤との収穫量増加のための施用の典型的な組合せの一つとしては、ジフルフェンゾピル及びジカンバと組み合わせたイソキサジフェンの収穫量増加のための施用がある。
【0028】
イソキサジフェン又はそのエステルの施用量は、広範囲において変えることができ、そして一般的には、ヘクタール当たり0.001から5キログラム、好ましくは0.005から0.5キログラム、さらに好ましくは0.015から0.1キログラムのイソキサジフェンの活性化合物(a.i.)、又は種子処理としての使用の場合は、例えば、種子1キログラム当たり0.01から10グラムa.i.の薬害軽減剤、好ましくは種子1キログラム当たり0.05から1グラムa.i.の薬害軽減剤、殊に0.1から0.5グラムa.i.の薬害軽減剤の範囲である。
【0029】
本発明の方法において使用される除草剤の施用量は、広い範囲において変えることができ、最適量は問題としている除草剤、有害植物及び作物植物スペクトルの如何による。一般的には、施用量はヘクタール当たり0.001グラムから12キログラム、好ましくは10グラムから3キログラム、極めて好ましくは20グラムから2キログラムa.i.の範囲である。
【0030】
除草剤として活性な化合物及びイソキサジフェン又はそのエステルは、一緒に(最終製剤として又はタンク混合法により)、又はいかなる順序であれ連続的に施用することができる。除草剤:イソキサジフェンの質量比率は1:200から200:1、好ましくは1:100から100:1、殊に1:20から20:1、最も好ましくは1:10から10:1の範囲で変えられる。イソキサジフェン又はそのエステルは作物植物の種子の前処理(種子粉衣)、又は播種前の種子の畝間に取り込ませるために幼苗の前処理としても使用することができる。幼苗の前処理においては、例えば、イソキサジフェンの溶液を根部又は幼苗全体に噴霧するか、又はそれらをそのような溶液中に浸しておくことが可能である。次いで1又はそれ以上の除草剤を発生前処理法又は発生後処理法によって使用することができる。
【0031】
別法としては、イソキサジフェンを除草剤と一緒に植物の発生前又は発生後に処理することも可能である。発生前処理法には、播種前の栽培地の処理及び作物は播種されてはいるがまだ出芽していない栽培地の処理の両方が含まれる。連続処理の場合は、薬害軽減剤の処理を最初に行い、次いで、好ましくは直後に、除草剤の処理を行うことも可能である。個々の場合においては、除草剤の処理の後に薬害軽減剤の処理を行う方が好都合な場合もある。
【0032】
一般的に、当該薬害軽減剤と少なくとも1つの除草剤とをタンク混合又は最終製剤の形態として同時に施用することが好ましい。
【0033】
薬害軽減剤の溶液を、薬害軽減剤の溶液中に種子を浸す種子処理法で使用するときは、当該溶液中の薬害軽減剤の濃度は、例えば、質量基準で1から10,000、好ましくは100から1,000ppmである。
【0034】
薬害軽減剤イソキサジフェン及びイソキサジフェンと組み合わせて使用する除草剤には、立体異性体及びそれらの混合物並びにそれらの塩の全てを含むものと理解される。
【0035】
イソキサジフェン及び除草剤の施用の有利な収穫量増加の効果は、イソキサジフェンと少なくとも一つの除草剤とを同時に施用したときに観察される。しかしながら、収穫量増加の効果はまた、イソキサジフェンと少なくとも一つの除草剤とを異なる時に(分割的に)施用したときにも観察される。更に、活性化合物を複数の区分(連続的処理)、例えば、発生前処理後に続く発生後処理、又は、初期の発生後処理に続く中期若しくは後期の発生後処理に施用することも可能である。更に、イソキサジフェンを作物植物の種子又は植物幼苗の前処理のために粉衣剤として使用することも可能である。
【0036】
本発明のイソキサジフェン−除草剤混合物は、有害植物に対するこれら活性化合物の活性にいかなる実質的な悪影響を与えることなく、除草剤を有用植物に使用したときに起こる植物毒性効果を減少するか又は除去する。加えて、当該イソキサジフェン−除草剤混合物は、有用植物の作物栽培において除草剤の個々の施用に比較して除草剤のより高い施用量(施用率)を可能とし、そしてそれ故、競合する有害植物に対するより効果的な防除を可能とする。このより高い効果が、未だ防除することができない種(gaps)の防除を可能とし、施用期間の拡張及び/又は必要な個々の施用回数を少くすることを可能とし、そしてその結果、使用者にとっては経済的にまた環境的により有利な雑草防除システムを可能とする。
【0037】
本発明の方法によって使用される薬害軽減剤イソキサジフェン及び好適な除草剤は既知のものである。そのような化合物の合成は、例えば、上記に言及した刊行物に記載されているか、又はこれらの刊行物に記載されている方法に似せて行うことができる。
【0038】
好適な化合物について、それらの合成及びそれらを使用するための一般的な条件そして、殊に、特定の実施例化合物については、言及した刊行物の記載を引用することができ、そしてこれらの記載はまた本発明の一部を構成するものである。
【0039】
イソキサジフェン単独又は本発明の方法に係る少なくとも一つの除草剤との組合せで使用するときは、多くの作物植物、例えば、穀類である小麦、大麦、稲、トウモロコシ及びモロコシのような経済的に重要な作物、又は大豆、ヒマワリ及びサトウキビのような双子葉作物(LIBERTY LINK(登録商標)トウモロコシ、及びROUND−UP−READY(登録商標)トウモロコシ又は大豆を含む。)において作物収穫量を増加するために好適なものである。殊に興味あるものは、イソキサジフェンのトウモロコシにおける使用である。
【0040】
イソキサジフェン又はそのエステルは本発明の方法に係る好適な除草剤とは、例えばWeed Research 26, 441-445 (1986)、又は「The Pesticide Manual」 12版、 The British Crop Protection Council and the Royal Soc. of Chemistry, 1997 及びそこに引用されている文献に記載されているように、混合剤として又はタンク混合法により、混合することができる。
【0041】
本発明の方法に係るイソキサジフェン−除草剤混合物は、経済的に重要な単子葉及び双子葉の有害植物の広いスペクトルに対して優れた除草剤活性を有している。当該混合物はまた、根茎から出芽し、塊茎、根茎その他の多年性器官を生成して容易に防除することができない多年生雑草に対しても有効に作用する。
【0042】
本発明に係るイソキサジフェン−除草剤混合物を発芽前に土壌表面に施用した場合は、雑草幼苗の発生を完全に抑制するか、又は雑草は子葉期に達するまで生育するがしかしながらやがて生育は停止して3ないし4週間後には雑草は完全に枯死する。
【0043】
当該イソキサジフェン−除草剤混合物を発生後処理により植物の緑色部に施用したときは、施用後直ちに生育を強烈に停止させそして雑草は施用時の生育状態に止まり、又は或る時間経過後に完全に枯死し、それ故この態様で、作物植物にとって有害な雑草との競合は極めて早期の段階で除去することができそしてそれを持続させることができる。
【0044】
イソキサジフェン又はイソキサジフェン−除草剤混合物の収穫量増加及び作物損傷の減少の故に、本発明の方法には、既知の作物における又は引き続き開発されるべき遺伝的に修飾された植物における有害植物の防除が含まれる。一般的に、トランスジェニック植物(遺伝子修飾植物)は、例えば、或る種の有害生物防除剤、特に或る種の除草剤に対して耐性であり、植物病に対して又は或る種の昆虫又は真菌、細菌若しくはウイルスのような微生物で植物病の原因となるものに対して耐性であるという特別に有利な特性によって区別される。その他の特別な特性としては、例えば、収穫物の収量、品質、貯蔵安定性、組成及び特殊成分に関するものがある。このように、トランスジェニック植物はデンプン含量の増加若しくはデンプンの質の変化、又は収穫物の脂肪酸組成の相異を有することが知られている。
【0045】
本発明の方法に係るイソキサジフェン又はイソキサジフェン−除草剤混合物は、有用植物又は観賞用植物の経済的に重要なトランスジェニック作物、例えば小麦、大麦、ライムギ、エンバク、アワ、キビ、稲、キャッサバ及びトウモロコシのような穀物類、又は他の作物、砂糖大根、棉、大豆、菜種、ジャガイモ、トマト、エンドウ、及びその他の野菜の種にも好適に施用することができる。好ましくは、イソキサジフェン又はイソキサジフェン−除草剤混合物は、トウモロコシのトランスジェニック作物に使用することができる。
【0046】
本発明の方法に係るイソキサジフェン−除草剤の組合せは、混合製剤としても両立することができ;場合によっては更なる活性化合物、添加物及び/又は慣用的な製剤補助剤を加えて製造することができ、その混合剤は次いで慣用的方法により水で希釈し、又は別々に製剤化又は半製剤化した個々の成分を一緒に水で希釈するタンク混合法として調製することができる。
【0047】
イソキサジフェン若しくはそのエステル、又は1又はそれ以上の除草剤と組み合わせたイソキサジフェンは、一般的な生物学的及び/又は化学物理的パラメーターに依存して種々の方法で製剤することができる。可能性のある好適な製剤の例としては:水和剤(WP)、乳剤(EC)、水溶性溶液(SL)、水中油型及び油中水型エマルションのようなエマルション剤(EW)、噴霧用溶液若しくはエマルション、油又は水ベースの分散剤、サスポエマルション、粉剤(DP)、種子粉衣組成物、拡散用及び土壌処理用粒剤、若しくは水−分散性粒剤(WG)、ULV製剤、マイクロカプセル剤又はワックス剤がある。
【0048】
これら個々の製剤型は基本的には既知のものであり、そして例えば、Winnacker−Kuechler, 「Chemische Technologie」(Chemical Technology)、7巻、C. Hauser Verlag Munich、4版、1986;Wade van Valkenburg、「Pesticide Formulaions」、Marcel Dekker, N.Y., 1973; K. Martens, 「Spray Drying Handbook」、3版、1979、G. Goodwin Ltd. London に記載されている。
【0049】
不活性物質、界面活性剤、溶剤及びその他の添加物のような必要な製剤補助剤もまた既知のものであり、例えば、Watkins、「Handbook of Insecticide Dust Diluents and Carriers」、2版、Darland Books, Caldwell N.J.; H. v. Olphen, 「Introduction to Clay Colloid Chemistry」、2版、J. Wiley & Sons, N.Y.; C. Marsden 「Solvents Guide」、2版、 Interscience, N.Y. 1950; McCutcheon’s 「Detergents and Emulsifiers Annual」、MC Publ. Corp., Ridgewood N,J,; Sisley and Wood、「Encyclopedia of Surface Active Agents」、Chem. Publ. Co. Inc., N.Y. 1964; Schoenfeldt、「Grenzflaechenaktive Athylenoxidaddukte」(Surface−active ethyleneoxide adducts)、Wiss. Verlagsgesell., Stuttgart 1976; Winnacker−Kuechler、「Chemische Technologie 」(Chemical Technology)、7巻、 C. Hauser Verlag Munich、4版、1986 に記載されている。
【0050】
これらの製剤を基礎として、他の除草剤、殺菌剤若しくは殺虫剤のような他の有害生物防除剤としての活性物質、並びに薬害軽減剤、肥料及び/又は植物成長調節剤を、例えば調合済の形態で又はタンク混合において組み合わせることができる。
【0051】
水和剤は、水中に均一に分散できる製剤であり、活性化合物に加えて、希釈剤又は不活性物質及びイオン性及び/又は非イオン性界面活性剤(湿潤剤、分散剤)、例えばポリエトキシル化アルキルフェノール、ポリエトキシル化脂肪アルコール、ポリエトキシル化脂肪アミン、アルカンスルホナート、アルキルベンゼンスルホナート、リグニンスルホン酸ナトリウム、2、2’−ジナフチルメタン−6,6’−ジスルホン酸ナトリウム、ジブチルナフタレン−スルホン酸ナトリウム、又はオレオイルメチルタウリン酸ナトリウムを含んでいる。
【0052】
乳剤は、本発明の化合物を、例えば、ブタノール、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、キシレン又はその他の比較的高沸点の芳香族若しくは炭化水素に1又はそれ以上のイオン性又は非イオン性の界面活性剤(乳化剤)を追加的に含んでいる有機溶媒に溶解させることによって調製される。使用することができる乳化剤の例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムのようなアルキルアリールスルホン酸カルシウム、又は脂肪酸ポリグリコールエステル、アルキルアリールポリグリコールエーテル、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、プロピレンオキシド−エチレンオキシド縮合物、アルキルポリエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタンエステルのような非イオン性の乳化剤がある。
【0053】
粉剤は、本発明の化合物を、細かく粉砕した固形物質、例えば、タルク、又はカオリン、ベントナイト及びパイロフィライトのような天然の粘土、又は珪藻土と一緒に粉砕して得ることができる。
【0054】
粒剤は、吸着性の造粒された不活性物質の上に活性化合物を吹き付けることにより、又は砂、カオリナイト若しくは造粒された不活性物質のような担体の表面に活性化合物の濃縮物を、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム又は鉱油のような粘着剤の助けを得て噴霧することにより調製することができる。本発明の化合物はまた、もしも望まれる場合には、肥料粒剤の製造に通常用いられる仕方で、本発明の化合物を肥料との混合物として造粒することができる。水−分散性粒剤は、噴霧乾燥法、流動床造粒法、デイスク造粒法、高速撹拌機を用いた混合法、及び固形不活性物質を用いない押出し法のような工程によって一般的に調製される。
【0055】
当該農薬製剤は一般的にイソキサジフェン又は1又はそれ以上の除草剤と組み合わせたイソキサジフェンを、0.1から99質量%、殊に2から95質量%含んでいて、製剤のタイプの如何によって以下の濃度が慣用的である:水和剤の場合は、当該化合物の濃度は、例えば、約10から95質量%であって、残部は慣用的な製剤構成物により100質量%としている。乳剤の場合は、当該化合物の濃度は、例えば、約5から80質量%である。
【0056】
粉剤の形態の製剤の場合は、本発明の化合物を通常は5から20質量%含んでいて;一方噴霧用溶液は当該化合物を約0.2から25質量%含んでいる。
【0057】
分散性粒剤のような粒剤の場合は、当該化合物の濃度は、当該化合物が液状か固形かにより、また使用する造粒補助剤及び増量剤に部分的に依存している。水−分散性粒剤の場合は、当該濃度は一般的に10から90質量%の間である。
【0058】
付言するに、本発明の化合物の当該製剤は、べと付き防止剤、湿潤剤、分散剤、乳化剤、浸透剤、保存剤、不凍剤、溶媒、増量剤、着色剤、担体、消泡剤、蒸発防止剤、pH及び粘度調節剤、増粘剤及び/又は肥料を含むことができるが、それらはそれぞれの場合において慣用的なものである。
【0059】
商業的に入手可能な製剤の使用に際し、水和剤、乳剤、分散剤及び水−分散性粒剤の場合は、場合により、例えば水を用いて通常の仕方で稀釈する。粉剤、土壌粒剤、散布用粒剤、噴霧用溶液の製剤を使用するときは、通常は使用前に他の不活性物質で更に稀釈する必要はない。
【0060】
イソキサジフェン又は1又はそれ以上の除草剤と組み合わせたイソキサジフェンは、植物、植物の部分、植物の種子又は栽培地(耕作した土壌)、好ましくは緑色植物及び植物の部分、そして場合によっては追加的に耕作した土壌に施用することができる。
【0061】
一つの可能な使用は、タンク混合の態様におけるイソキサジフェン又は1又はそれ以上の除草剤との共施用であり、ここにおいては個々の化合物をそれらの最適な製剤型で製剤化した濃縮製剤を、タンク中で水と一緒に混合し、そして得られた噴霧用混合物を施用することである。
【0062】
本発明は以下の限定的ではない実施例においてより詳細に記載しているが、これらは説明のためのみを目的としたものであり、そこには多くの修飾及び変形が可能であることは、当業者にとっては明白なことである。
【実施例】
【0063】
実施例1.発生後トウモロコシ除草剤と組み合わせたトウモロコシ耐性に対するイソキサジフェンの効果
発生後トウモロコシ除草剤と組み合わせて施用したときのトウモロコシ損傷及び収穫量に対するイソキサジフェンの効果を試験するために圃場試験を行った。
材料及び方法
本試験はイソキサジフェンを発生後トウモロコシ除草剤と一緒に使用したときの作物の反応を評価するために、米国イリノイ州ブルーミントン市(Bloomington)、デカルブ市(DeKalb)及び アーバナ市(Urbana)において行った。この試験では、耐性程度の相異する2種の交雑トウモロコシ品種:即ち、植物成長調節剤(PGRs)、イソキサゾール、アミド及びスルホニルウレア(SUs)に対して感受性品種であるパイオニア(Pioneer) 33K81、並びに耐性品種であるパイオニア(Pioneer) 33P66を用いた。各プロットは、雑草からのいかなる競合をも避けるために雑草の無い状態を維持した。
当該試験においては、以下の除草剤及びそれらの個々の圃場使用量を用いた:
リムスルフロン−26g/hag;ニコスルフロン+リムスルフロン−39g/ha; ホラムスルフロン−37g/ha; ジフルフェンゾピル+ジカンバ−294g/ha; メソトリオン−105g/ha; 並びに、ジカンバ−560g/ha。1又はそれ以上の除草剤をイソキサジフェン−37g/haと一緒に又は単独で用いた。全ての除草剤は、1X標識の圃場使用量で施用した。
当該化合物の施用時期は、V6生長期(即ち、トウモロコシの6個の目に見える葉(collars)が存在するとき。)である。追加的に、メチル化種子油 (MSO) +28% 尿素、及び硫酸アンモニウム (UAN) も 1% v/v+2.5% v/v. の濃度で施用した。
【0064】
実施結果
ジカンバ、ジカンバ+イソキサジフェン、ジカンバ+ジフルフェンゾピル又はジカンバ+ジフルフェンゾピル+イソキサジフェンの7日目の発生後処理のトウモロコシの損傷は、図1及び表1に示している。33K81 トウモロコシでは、イソキサジフェン及びジカンバを一緒に施用したときは、ジカンバ単独の施用に比較して有意義にトウモロコシの損傷を減少し、そしてイソキサジフェンをジカンバ及びジフルフェンゾピルと一緒に施用したときは、ジカンバ及びジフルフェンゾピルの施用に比較して有意義にトウモロコシの損傷を減少した。33P66 トウモロコシでは、イソキサジフェン及びジカンバを一緒に施用したときは、ジカンバ単独の施用に比較して有意義にトウモロコシの損傷を減少した。イソキサジフェンをジカンバ及びジフルフェンゾピルと一緒に施用したときは、ジカンバ及びジフルフェンゾピルの施用に比較して、トウモロコシ損傷の減少に対して有意義な相異はなかった。
【0065】
【表1】

【0066】
ジカンバ、ジカンバ+イソキサジフェン、ジカンバ+ジフルフェンゾピル又はジカンバ+ジフルフェンゾピル+イソキサジフェンの7日目の発生後処理の対照に対する百分率としてのトウモロコシ収穫量は、図2及び表2に示している。33K81トウモロコシでは、イソキサジフェン及びジカンバを一緒に施用したときは、ジカンバ単独の施用に比較して有意義にトウモロコシ収穫量を増加し、そしてイソキサジフェンをジカンバ及びジフルフェンゾピルと一緒に施用したときは、ジカンバ及びジフルフェンゾピルの施用に比較して有意義にトウモロコシ収穫量を増加した。33P66 トウモロコシでは、イソキサジフェン及びジカンバを一緒に施用したときは、ジカンバ単独の施用に比較して、有意義にトウモロコシ収穫量を増加し、そしてイソキサジフェンをジカンバ及びジフルフェンゾピルと一緒に施用したときは、ジカンバ及びジフルフェンゾピルの施用に比較して有意義にトウモロコシ収穫量を増加した。
【0067】
検討
両方の交雑種を用いた7日目の発生後処理において、試験した除草剤のなかでは、ジカンバ及びジカンバにジフルフェンゾピルを加えたものをイソキサジフェンと一緒にタンク混合したとき、イソキサジフェンなしの当該除草剤に比べて、より低度の作物損傷が見られた。33K81交雑種トウモロコシでは、イソキサジフェンの添加が、リムスルフロンと一緒にタンク混合したとき、より低度の作物損傷が見られた(データは表示していない。)。メソトリオンにイソキサジフェンを添加したもの又はニコスルフロンにリムスルフロンを添加したものには有意義な相異はなかった(データは表示していない。)。
【0068】
【表2】

【0069】
実施例2.クロルピリホス及び発生後処理トウモロコシ除草剤と一緒にタンク混合したときのイソキサジフェンの効果
有機リン系殺虫剤クロルロピリホスと発生後処理トウモロコシ除草剤とを組み合わせて施用したときの、トウモロコシ損傷及び収穫量に対するイソキサジフェンの効果を試験するために圃場試験を行った。
材料及び方法
本試験は、有機リン系殺虫剤クロルピリホスと一緒に、薬害軽減剤イソキサジフェンの存在下又は存在なしで、タンク混合したときのホラムスルフロンの効果を評価するために、米国イリノイ州ブルーミントン市(Bloomington)、デカルブ市(DeKalb)及び アーバナ市(Urbana)において行った。当該試験においてはトウモロコシ交雑種「Golden Harvest」を使用した。
本試験では、以下の除草剤及びそれらの個々の圃場使用量を用いた:
リムスルフロン−26g/ha; ニコスルフロン+リムスルフロン−39g/ha; ホラムスルフロン−37g/ha; ジフルフェンゾピル+ジカンバ−294g/ha; メソトリオン−105g/ha; 及びジカンバ−560g/ha。イソキサジフェン−37g/haの存在下又は存在なしで、1又はそれ以上の除草剤を殺虫剤クロルピリホス−841g/ha と組み合わせて使用した。
当該化合物の施用時期は、V6生長期で、そしてトウモロコシが25cmの草高のときである。当該化合物を施用するために、CO2 バックパック噴霧器を247 kPaにおいて187L/ha で使用した。
【0070】
実施結果
トウモロコシ損傷及びトウモロコシ収穫量の百分率は、図3〜8及び表3に示している。イソキサジフェン及びジカンバを一緒に施用したときは、ジカンバ単独の施用に比較して有意義にトウモロコシ収穫量を増加した。そしてイソキサジフェンをジカンバ及びジフルフェンゾピルと一緒に施用したときは、ジカンバ及びジフルフェンゾピルの施用に比較して有意義にトウモロコシ収穫量を増加した。
【0071】
除草剤ジカンバ及びジフルフェンゾピルをクロルピリホスと組み合わせて施用したときは、上記の組合せとイソキサジフェンの施用に比較して、有意義にトウモロコシ損傷をより大きくした。そしてジカンバ及びジフルフェンゾピルをクロロピリホスと組み合わせて施用したときは、上記の組合せ及びイソキサジフェンの施用に比較して、有意義にトウモロコシ収穫量をより少なくした(図3)。
【0072】
除草剤ジカンバをクロロピリホスと組み合わせて施用したときは、上記の組合せとイソキサジフェンの施用に比較して、有意義にトウモロコシの損傷をより大きくし;そしてジカンバをクロルピリホスと組み合わせて施用したときは、上記の組合せとイソキサジフェンの施用に比較して、有意義にトウモロコシ収穫量をより少なくした(図4)。
【0073】
リムスルフロンをクロルピリホスと組み合わせて施用したときは、リムスルフロンをクロルピリホス及びイソキサジフェンと組み合わせて施用したときに比較して、トウモロコシ損傷の百分率において有意義な差異はなかった。リムスルフロンをクロルピリホスと組み合わせて施用したときは、リムスルフロンをクロルピリホス及びイソキサジフェンと組み合わせて施用したときに比較して、有意義にトウモロコシ収穫量をより少なくした(図5)。
【0074】
除草剤ニコスルフロン及びリムスルフロンをクロルピリホス及びイソキサジフェンと組み合わせて施用したときは、ニコスルフロン及びリムスルフロンをクロルピリホスと組み合わせて施用ときに比較して、有意義にトウモロコシ損傷をより大きくした。ニコスルフロン及びリムスルフロンをクロルピリホスと組み合わせて施用したときは、上記の組合せとイソキサジフェンの施用に比較して、有意義にトウモロコシ収穫量をより少なくした(図6)。
【0075】
メソトリオンをクロルピリホスと組み合わせて施用したときは、上記の組合せとイソキサジフェンの施用に比較して、有意義にトウモロコシ損傷をより大きくした。メソトリオンをクロルピリホスと組み合わせて施用したときは、リムスルフロンをクロルピリホス及びイソキサジフェンと組み合わせて施用したときに比較して、トウモロコシ収穫量の百分率において有意義な差異はなかった(図7)。
【0076】
除草剤ホラムスルフロンをクロルピリホスと組み合わせて施用したときは、上記の組合せとイソキサジフェンの施用に比較して、有意義にトウモロコシの損傷をより大きくし;そしてホラムスルフロンをクロルピリホスと組み合わせて施用したときは、上記の組合せとイソキサジフェンの施用に比較して、有意義にトウモロコシの収穫量をより少なくした(図8)。
【0077】
【表3】

【0078】
検討
当該試験の結果から、イソキサジフェンの添加によって、有機リン系殺虫剤クロルピリホスを含んで施用したとき、メソトリオン、ニコスルフロン混合リムスルフロン、ジカンバ、ジカンバ混合ジフルフェンゾピル及びリムスルフロンの作用からトウモロコシを部分的に保護できることが実証された。多くの発生後処理トウモロコシ除草剤は、典型的には、少なくとも除草剤の施用前7日目又は施用後3日目において有機リン系殺虫剤と組み合わせて施用される。当該試験の結果から、イソキサジフェンの使用によって、トウモロコシ除草剤の施用時期に必要とされる殺虫剤を施用したときの作物損傷の程度を低く抑えることができることが実証された。根食い虫防除のためのトランスジェネック(遺伝子変換)トウモロコシ交雑種の増加につれて、有機リン系殺虫剤の茎葉処理の使用もまた二次有害生物の防除のために増加すると思われる。それ故、これらの殺虫剤をトウモロコシにおける発生後処理除草剤と組み合わせて使用するときは、第一次茎葉処理のトウモロコシ薬害軽減剤であるイソキサジフェンの使用もまたより良い施用適合性をもたらすものと思われる。
【0079】
上記の実施例は、その広範囲の発明概念から逸脱することなく、上記に記載されている実施例に対する変更が可能であるということは、当業者にとって十分に認識される。それ故、当該発明は、記載されている特定の実施例に制限されず、付随する特許請求の範囲によって明示されるように、当該発明の趣旨及び範囲内における変更を包含するものであることが了解される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】イソキサジフェンを含む及び含まない、種々の除草剤の7日目の発生後処理におけるトウモロコシ損傷の百分率を表示する棒グラフである。
【図2】イソキサジフェンを含む及び含まない、種々の除草剤の7日目の発生後処理におけるトウモロコシ収穫量の対照に対する百分率を表示する棒グラフである。
【図3】イソキサジフェンを含む及び含まない、ジカンバ及びジフルフェンゾピル並びに有機リン系殺虫剤クロルピリホス混合剤の7日目の発生後処理におけるトウモロコシ損傷及びトウモロコシ収穫量の対照に対する百分率を表示する棒グラフである。
【図4】イソキサジフェンを含む及び含まない、ジカンバ及びクロルピリホス混合剤の7日目の発生後処理におけるトウモロコシ損傷及びトウモロコシ収穫量の対照に対する百分率を表示する棒グラフである。
【図5】イソキサジフェンを含む及び含まない、リムスルフロン及びクロルピリホス混合剤の7日目の発生後処理におけるトウモロコシ損傷及びトウモロコシ収穫量の対照に対する百分率を表示する棒グラフである。
【図6】イソキサジフェンを含む及び含まない、ニコスルフロン、リムスルフロン及びクロルピリホス混合剤の7日目の発生後処理におけるトウモロコシ損傷及びトウモロコシ収穫量の対照に対する百分率を表示する棒グラフである。
【図7】イソキサジフェンを含む及び含まない、メソトリオン及びクロルピリホスの混合剤の7日目の発生後処理におけるトウモロコシ損傷及びトウモロコシ収穫量の対照に対する百分率を表示する棒グラフである。
【図8】イソキサジフェンを含む及び含まない、ホラムスルフロン及びクロルピリホスの混合剤の7日目の発生後処理におけるトウモロコシ損傷及びトウモロコシ収穫量の対照に対する百分率を表示する棒グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫量増加に必要な量のイソキサジフェン又はそのエステルを植物、植物の部分、植物の種子又は栽培地に施用することからなる、収穫量増加を必要とする有用植物の作物収穫量を増加する方法。
【請求項2】
イソキサジフェンのエチルエステルを施用する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
有用植物がトウモロコシである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
収穫量増加に必要な量のイソキサジフェン又はそのエステルを植物、植物の部分又は栽培地に、ヘクタール当たり有効成分約0.001キログラムから約5キログラムまでを施用することからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
収穫量増加に必要な量のイソキサジフェン又はそのエステルを植物、植物の部分又は栽培地に、ヘクタール当たり有効成分約0.005キログラムから約0.5キログラムまでを施用することからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
収穫量増加に必要な量のイソキサジフェン又はそのエステルを植物、植物の部分又は栽培地に、ヘクタール当たり有効成分約0.0015キログラムから約0.1キログラムまでを施用することからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
収穫量増加に必要な量のイソキサジフェン又はそのエステルを植物の種子に、種子1キログラム当たり有効成分約0.01グラムから約10グラムまでの範囲で施用することからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
収穫量増加に必要な量のイソキサジフェン又はそのエステルを植物の種子に、種子1キログラム当たり有効成分約0.05グラムから約1.0グラムまでの範囲で施用することからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
収穫量増加に必要な量のイソキサジフェン又はそのエステルを植物の種子に、種子1キログラム当たり有効成分約0.1グラムから約0.5グラムまでの範囲で施用することからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
収穫量増加に必要な量のイソキサジフェン又はそのエステルと1又はそれ以上の除草剤及び/又は殺虫剤とを植物、植物の部分、植物の種子又は栽培地に施用することからなる、収穫量増加を必要とする有用植物の作物収穫量を増加する方法。
【請求項11】
有用植物がトウモロコシである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
除草剤として有効な量の1又はそれ以上の除草剤を、ヘクタール当たり有効成分約0,001キログラムから約12キログラムまでの範囲で施用することからなる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
除草剤として有効な量の1又はそれ以上の除草剤を、ヘクタール当たり有効成分約10グラムから約3キログラムまでの範囲で施用することからなる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
除草剤として有効な量の1又はそれ以上の除草剤を、ヘクタール当たり有効成分約10グラムから約3キログラムまでの範囲で施用することからなる、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
除草剤として有効な量の1又はそれ以上の除草剤を、ヘクタール当たり有効成分約20グラムから約2キログラムまでの範囲で施用することからなる、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
除草剤:イソキサジフェンの質量比率が、約1:200から200:1の範囲である、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
除草剤:イソキサジフェンの質量比率が、約1:100から100:1の範囲である、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
除草剤:イソキサジフェンの質量比率が、約1:10から10:1の範囲である、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
除草剤が、リムスルフロン、ニコスルフロン、ホラムスルフロン、ジフルフェンゾピル、メソトリオン及びジカンバからなる群から選択されるものである、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
トウモロコシ植物、トウモロコシ植物の種子、トウモロコシ植物の栽培及びそれらの組合せたものに、イソキサジフェン、イソキサジフェンのエステル及びそれらの組合せから選択される化合物の有効量を施用することからなる、収穫量増加を必要とするトウモロコシの収穫量を増加する方法。
【請求項21】
収穫量増加に必要な量のイソキサジフェン又はそのエステルと1又はそれ以上の除草剤とを、植物、植物の部分、植物の種子又は栽培地に施用することからなる、収穫量増加を必要とする有用植物の作物収穫量を増加する方法。
【請求項22】
収穫量増加に必要な量のイソキサジフェン又はそのエステルと、1又はそれ以上の殺虫剤とを、植物、植物の部分、植物の種子又は栽培地に施用することからなる、収穫量増加を必要とする有用植物の作物収穫量を増加する方法。
【請求項23】
収穫量増加に必要な量のイソキサジフェン又はそのエステルと、1又はそれ以上の殺虫剤及び1又はそれ以上の除草剤とを、植物、植物の部分、植物の種子又は栽培地に施用することからなる、収穫量増加を必要とする有用植物の作物収穫量を増加する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−523150(P2008−523150A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546829(P2007−546829)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/045074
【国際公開番号】WO2006/065815
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(507124988)バイエル クロップサイエンス エルピー (5)
【氏名又は名称原語表記】BAYER CROPSCIENCE LP
【Fターム(参考)】