説明

トップローディング式反応物管を備えた分析装置

【課題】分析用の試料を受け入れて燃焼させるための元素分析装置のための燃焼炉を提供する。
【解決手段】燃焼管のための反応物組立体が、燃焼管の開口端に封止可能でかつ取り外し可能に結合された反応物管を有し、それにより、反応物管内の反応物を使い尽くしたときに、炉を分解したり燃焼管を交換したりせずに反応物を容易に取り外すことができる。反応物管は、反応物管の取り外しを容易にするためにツイストロックキャップを有する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、元素分析装置に関し、詳細には燃焼室から容易に取り外すことができる反応物組立体を使用する分析装置に関する。
【0002】
有機物試料中の炭素、水素、硫黄、窒素等の元素の濃度の決定が様々な理由で必要とされる。近年、食品市場は、特に、有機物試料中のタンパク質の量を決定することに関心を持っており、このタンパク質の量は、窒素含有率によって決定することができる。更に、石炭やコークスの試料の特性を決定するには、他の各種有機材料において炭素や水素、窒素の含有比が必要とされるように、水素に対する炭素の比率だけでなく硫黄含有量も必要になる。
【0003】
元素分析装置は、登録商標TRUSPECで販売されているCHN分析装置を製造している本出願の譲受人であるミシガン州セントジョーゼフのレコ社(Leco Corporation)から購入可能である。分析装置は、米国特許第7,070,738号に開示されたタイプの可変量バラストチャンバを使用することができ、この米国特許の開示内容は、本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。この特許に開示されている分析装置は、一般に、大きさが約0.25グラムからの試料のマクロ分析に使用される。そのような分析装置の燃焼システムは、米国特許第4,622,009号に開示されているタイプの概略U字型の石英燃焼管を使用しており、この米国特許の開示内容は、本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。この燃焼管は、試料の燃焼用のるつぼを収容する第1の垂直方向に延在する脚部と、第1の脚部の下流に結合され、幾つかの目的に使用できる反応物(reagent)を含む第2の垂直方向に延在する脚部とを有する。そのような目的には、好ましくない燃焼生成物の除去、困難な試料の完全燃焼の強化、及び/又は酸素等の過剰な反応物の除去がある。反応物の選択は、用途の特性に依存する。
【0004】
一般に、炭素、水素、硫黄及び窒素元素の分析は周知であり、Methods in Microanalysis, Vol.1, Mirra Osipovna Korshun, 1964、Instrumental Organic Elemental Analysis, R. Belcher, 1977、及びOrganic Elemental Analysis Ultramicro, Micro、and Trace Methods, Wolfgang J. Kirsten, 1983を含むいくつかの参考文献に開示されている。米国特許第4,525,328号は、引き続く分析のために約4.5Lのチャンバに分析物を収集する定量バラストチャンバを使用する分析装置を開示している。定量バラストチャンバを満たすために使用される燃焼酸素の量が重要であり、燃焼及びバラストチャンバを満杯にする必要があるため、分析にはかなりの長い時間がかかる。また、燃焼の副生成物(即ち、分析物ガス)は、比較的大容積のバラストチャンバ内である程度希釈される。米国特許第7,070,738号は、燃焼検出器と可動ピストンを備えた可変量バラストチャンバを開示しており、試料の燃焼中に、燃焼検出器が燃焼の完了を確認するまでチャンバが燃焼副生成物だけで満たされる。一般に、定量バラストチャンバの容積より極めて少ない量の分析物が濃縮した形で捕捉され、この分析物は、その後、可動ピストンを制御することによって可変量バラストチャンバから取り出すことができる。
【0005】
前述の公開された特許出願に開示された可変量バラストチャンバシステムの場合、0.10グラム以上の大型即ちマクロ分析サイズの試料が使用される。さらに小さい試料を利用する分析装置を提供し、できれば分析をオンザフライで(on-the-fly)で行うことが望ましい(即ち、燃焼試料を蓄えバラストチャンバから一定量試料(aliquot sample)を提供するのに対し、燃焼中に試料を検出する)。オンザフライ分析システムの一問題は、ヘリウムキャリアガスを利用するそのようなミクロ分析の場合、試料を完全に燃焼させるために過剰の酸素を流入させ、ガス状の燃焼副生成物を銅線ストリップ等の還元反応物中に通すことによって残留酸素を検出前に除去しなければならないことである。
【0006】
分析装置に使用されるU字型燃焼管において、そのような反応物は、U字型燃焼管の下流の脚部内に詰め込まれ、数回の分析(100個未満〜約1000個の試料)の後で、溶けて汚染された還元反応物を取り出し、それを新しい反応物と交換しなければならない。石英管に詰め込まれた反応物は、溶けて燃焼管自体にプラグとして付着しやすいため、炉の完全な分解と燃焼管自体の頻繁な交換が必要になる。燃焼は約1000℃の温度で行われるので、この作業を行うには、まず炉を冷却し、開け、燃焼管を分解し、そして、多くの場合、新しい反応物を入れた新しい燃焼管を取り付けなければならないので、かなりの時間と費用と労力を必要とする。
【0007】
従って、還元反応物を容易に交換できる燃焼システムを利用するオンザフライミクロ分析(即ち、試料2mg〜10mg)を可能にする改善されたシステムに対す
るニーズがある。
【0008】
【特許文献1】米国特許第7,070,738号
【特許文献2】米国特許第4,525,328号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のシステムは、燃焼管を備えた燃焼炉のための反応物組立体を提供することによって上記のニーズを満たす。反応物組立体は、反応物が詰め込まれ燃焼管内に同心で位置決めされる反応物管を使用する。この反応物管は、燃焼管の開口端に封止可能で且つ取り外し可能に結合され、その結果、反応物が使い尽くされたときに、炉を分解したり燃焼管を交換したりすることなく反応物管を容易に取り外すことができる。
【0010】
本発明の一実施形態においては、反応物管は、U字型燃焼管の一方の脚部内に上方から装填される。別の実施形態において、燃焼流路内の死容積(dead volume)を小さくするために、反応物管は、反応物管の外径より大きい内径を有する第2の管に挿入され、その結果、反応物管の外壁と第2の管の内壁の間の環状空間に流路ができる。第2の管は、概略円筒状であり、一方の端に閉じた底を有し、脚部内に挿入される。第2の管の外径は燃焼管の内径よりも小さい。反応物管と第2の管は、燃焼管に封止可能に取り付けられ、その結果、燃焼副生成物は、蛇行流路(tortious flow path)を流れるように強制され、この蛇行流路は、燃焼管と第2の管の外側面との間を通り、次に第2の管の内側面と反応物管の外側面の間を通り、次いで上方に延び反応物管の開口端を通って実質的に出口に至る同心空間を有する。
【0011】
何れの実施形態においても、反応物管に反応物が詰め込まれおり、取り付け部に結合されている。この取り付け部は、燃焼炉及び燃焼管から容易に取り外すことができ、使い尽くした反応物を収容する反応物管を燃焼管の頂部から外すことを可能にし、そのため、反応物を使い尽くした後、炉から燃焼管全体を取り外したり交換したりする必要がない。本発明の好ましい実施形態においては、取り付け器具は、取り外しを容易にするために反応物管に連結されたツイストロックキャップを有する。それにより、このようなシステムは、反応物を利用して過剰酸素を除去する試料のオンザフライミクロ分析を可能にし、既存のシステムにおいて必要とされる時間や労力なしに必要に応じて反応物を補充することを可能にする。
【0012】
本発明の上記及びその他の特徴、目的及び利点は、添付図面を参照すると共に以下の説明を読むことにより自ずから明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
最初に図1を参照すると、本発明の反応物組立体100を組み込んだ分析炉10が示されている。炉10は、概略円筒状で垂直方向に延在する第1の脚部、即ち燃焼脚部22、横方向の結合導管24、及び垂直方向上方に延在する第2の脚部、即ち反応物脚部26を備えた概略U字型の石英燃焼管20を有する抵抗加熱炉である。従って、燃焼管は、一般に、横導管24によって結合された円筒部分22及び26を有する。炉10は、一般に、米国特許第4,622,009号(この米国特許の開示内容は本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する)に開示されたタイプとすることができ、米国特許第6,291,802号(この米国特許の開示内容は本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する)に開示されたタイプの試料装填組立体30によって、酸素ランス及び試料導入管32を介してるつぼ34に滴下される試料36を加熱する。るつぼ34は、米国特許第6,270,727号で開示されたタイプとすることができ、この米国特許の開示内容は、本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0014】
燃焼るつぼ34は適切な石英多孔質プラグ35によって適所に保持される。このプラグは、燃焼副生成物が脚部22を通って下方に図1に矢印Aで示した方向に流れることを可能にする。管32は、試料落下経路を提供する他に、燃焼中にカップ状るつぼ34の開口に燃焼酸素を導入する酸素ランスとして働く。炉10はミクロ分析システムで使用されるが、約1000℃に加熱されたるつぼと炉に試料36が導入された後で、るつぼ34内に保持された1〜50mgの試料36の燃焼を完全なものにして、試料を完全に燃焼させるために一定量(aliquot)の酸素がランス32を介して導入(一実施形態では約5〜10秒間導入)されるまでヘリウムキャリヤガスが燃焼チャンバ20を通って流れる。次に、ヘリウムキャリヤガスは、燃焼副生成物を横導管24を介して送り、次に矢印Aで示したように上方に送り、反応物組立体100の反応物管110の開口部内に送る。
【0015】
反応物管110も、図1と図2に示したように、石英で製作されており、還元反応物42を所定の位置に保持する、内側に向けてテーパが付けられた部分114を有する開いた下側端112を備える。反応物管110は、概略円筒状であり、その開いた上側端117に環状取付フランジ116を有する(図3)。フランジ116は、図2において最もよく分かるように、取り付けブロック150の環状面154の上に乗り、Oリングシール152によって取り付けブロック150に対して封止される。
【0016】
本発明の好ましい実施形態においては、石英反応物管110の開口端112の直径は約0.5インチ(約1.3センチメートル)であり、管110の内径は約0.75インチ(約1.9センチメートル)であり、壁厚は約3mmであった。管110の外径は約1インチ(約2.5センチメートル)である。内側に向けてテーパが付けられた端部114は、長さ約0.70インチ(約1.8センチメートル)の長さにわたって約20°の角度でテーパが付けられており、管110の全長は約9.25インチ(約23.5センチメートル)であった。フランジ116は、直径が1.2インチ(約3.0センチメートル)であり、管110は、フランジ116がブロック150の環状面154(図5)と係合した状態で、取り付けブロック150の円形開口部153内に嵌っている。
【0017】
取り外し可能な内側反応物管110内には、好ましい実施形態においては、図1に示したように、反応物管110の内側に向けてテーパが付けられた下側端114においてプラグを形成する銅ウール40を含む反応物が詰め込まれている。銅ウールプラグ40の上には、細かく刻んだ銅線片からなる還元銅反応物42が配置されており、この銅線片は、真空炉内に銅線片を水素と一緒に入れて銅から全ての酸素を除去したものである。反応物は、ミシガン州セントジョーゼフのレコ社から入手可能である。
【0018】
管110は、取り付けブロック150に着脱自在に取り付けられた、ひねって外す方式の密閉固定キャップ140によって燃焼管20の第2の脚部26内に同心で取り外し可能に取り付けられており、取り付けブロック150は、後で詳しく説明するように炉壁12に取り付けられている。反応物管の寸法は、その外形と燃焼管脚部26の内径の間のデッドスペースを小さくするように決めることができるが、一実施形態においては、このデッドスペースは、次に説明するようなオプションの第2の同心管120を使用することにより減少されている。
【0019】
概略円筒形の石英外側管120は、図2で最もよく分かるように、燃焼管20の脚部26の底面23に乗っている閉じた下側端、即ち底122を有する。石英管120は、長さが約9インチ(約22.9センチメートル)であり、燃焼管の底に置かれたとき、脚部26は、反応物管の最上部まで完全には延在せず、燃焼管脚部26の内壁27と反応物管110の外壁115との間の領域において管120の上縁125の上に開放環状のすきま124(図2)が残る。
【0020】
第2の管、即ち外管120の外径は、燃焼管脚部26の内径が1.25インチ(約3.2センチメートル)であるのに対して、約1.18インチ(約3.0センチメートル)であり、それにより、燃焼ガスが矢印Aの方向に、内管120の外側面と燃焼管脚部26の内側面27のまわりを流れ、そして環状空間124に流入するための環状空間が残る。環状空間124は、図2で最もよく分かるように、燃焼管部分26を炉壁12に対して封止するOリングシール28によって封止されている。従って、ガスは、反応物管110の外径と外管120の内径の間の第2の環状空間128内を下方に流れる。外管120の内径は、約1.063インチ(2.7センチメートル)であり、その結果、反応物管110の外壁と外管120の内壁の間に約0.0315インチ(0.08センチメートル)の隙間ができ、それによりガス状の燃焼副生成物が、矢印Aで示したように下方に流れ、管110の開口端112より下方で且つ外管120の底122より上方の開放領域130に流れ込むことができる。次に、ガスは、矢印Aで示したように、反応物42を通って上方に流れ、着脱自在のキャップ140の出口142に流入する。
【0021】
キャップ140は、また、図4の分解図に詳細に示されており、図2で最もよく分かるように内管110の開口内において下方に延在し且つ密閉Oリング143によって管110の内側面に対して封止された第1の円筒部分141を有する。キャップ140は、また、取り付けブロック150の開口153(図5)内に封止可能に嵌まり且つOリング145によって封止された更に大きい径の第2の環状部分144を有する。キャップ140は、部分144より大きい直径を有する取り付けフランジ146を有する。フランジ146は、1対の鍵穴形の円弧状スロット147を有する。フランジ146の外縁148には、キャップをひねって取り付けブロック150から外すことができるようにローレットが付けられている。取り付けブロック150は、1対のキャップボルト160を備え、このボルト上でキャップ140を延長(extend)させたり、キャップ140を押し下げながら回転させて、燃焼管部分26及び反応物管110に封止可能に係合させることができる。反応物管110は、ユニットを組み立てる際にOリング143による締りばめによってキャップ140に結合される。図6に示したように、従来の構造のガスエルボ149が、分析装置の他の構成要素内に燃焼副生成物の出口流路149’を提供するために、開口142の反対側の端にねじ結合される。
【0022】
取り付けブロック150は、図5で分かるように、キャップボルト160を受け入れるめくらねじ穴151を有し、キャップボルト160は、キャップ140のフランジ146のスロット147を貫通するのに十分な距離だけ上方に突出する。図2で分かるように、取り付けブロック150は、また、従来の方法で、Oリング28を使用して封止可能にキャップを炉壁12に固定するための複数の穴155を有する。この取り付け構造の詳細は、図1と図2の流路断面図には示されていないが、炉壁12は、図3で分かるように、取り付けブロック150を炉壁12に固定するために取り付けブロック150の穴155を貫通する、キャップヘッドねじ等の従来の留め具を受け入れるねじ穴156を備えている。キャップ140と取り付けブロック150は、それを通して流れる燃焼副生成物の圧力と温度に耐えるようにアルミニウムや他の適切な金属を機械加工して作られる。キャップ140は、図4で分かるように、密閉Oリング145を収容する環状凹部145’を有し、Oリング145は、キャップ、及び取り付けブロック150のキャップ収容凹部153内のシール152とともに二重シールを形成する。
【0023】
図1から図5を見ると分かるように、組立体100の取り外し可能な反応物管110は、反応物を使い尽くすまで幾つかの試料を燃焼させるために炉10を使用することを可能とする。炉を開けて、燃焼管と取り外し可能な反応物組立体のキャップ140を露出させることができる。内管110に接近するためにキャップ140を回して持ち上げることができ、内管110は、外管120を適所に保持した状態で燃焼管反応物部分26から持ち上げることができ、新しく作成したか詰め直した反応物管を挿入するか、炉の外において既存の管を洗浄して反応物材料40及び42を詰め直すことによって、反応物内管110を容易に交換することができる。反応物管の上側端にフランジが設けられ、下側端にテーパが付けられ、燃焼管脚部26又は外管120の何れかと協働する直径を有しているため、反応物管を通る燃焼副生成物の流れが確保され、燃焼システムの反応物部分を容易に交換できるようになる。これにより、頻繁に燃焼管20自体を交換しなければならない先行技術のシステムにおいて必要とされた時間、労力及び費用が大幅に削減される。
【0024】
反応物組立体100は、最初に燃焼管20の脚部26内に外管120を置くことにより取り付けられるが、反応物管110(又は、管120)の外径と燃焼管20の脚部26の内径との間に隙間があるため、中心合わせの正確さに関係なくその間をガスが通過して流れることが可能になるので、外管120に中心を厳密に決める必要はない。同様に、外管120内に反応物管110を挿入したときそれらの間に概略環状の隙間ができ、それにより、燃焼副生成物が、外管即ち第2の管と反応物管との間の空間を下方に送られ、次に反応物管の開口端と反応物を通って上方に送られる。次に、本発明の独特な上部に装填され取り外し可能な反応物組立体100を含む分析装置が図6に示されているが、この分析装置の全体について簡潔に説明する。
【0025】
炉10の入口31(図6)は、酸素供給源15から燃焼ガス(O2)を受け取る。燃焼ガスは、酸素供給源から燃焼炉の入口31に至る導管16に設けられた並列の流量制御弁11、13及び17を選択的に作動させることによって、流量が毎分0.5、1、3、5、又は6リットルに調整される。O2の圧力は、圧力センサ18によって監視される。試料を燃焼させるために、酸素が、酸素ランス32を介して試料保持るつぼ34の開口内に噴射される。前述のように、燃焼副生成物(即ち、分析物)は、脚部26内に配置された反応物管110内の反応物42の中を通って流れ、出口149’を介して燃焼室20から流出する。導管41は、燃焼副生成物をヒータ43を介して送る。次に導管41を流れる燃焼副生成物は、H2O IRセルを含む燃焼検出器45内を通り、この燃焼検出器45は、るつぼ34内で試料36が燃焼することにより生じるガス流中の水素含有量を検出する。燃焼検出器45は、検出された水素レベルを記憶するために、前述の’738特許に記載されているようにCPUに結合されている。
【0026】
図6で分かるように、燃焼副生成物は、アンハイドロン(Anhydrone)スクラバ47、SO2測定IRセル49、及びCO2測定IRセル50(これらはすべて加熱チャンバ52内に収容されている)を含む流路に強制的に通される。
【0027】
次に、導管14内のキャリヤガスが、燃焼副生成物を導管51のピンチ弁19を介して導管バルブ76まで運ぶ。次に、試料ガスは、弁74を介して触媒還元ヒータ78に入り、アンハイドロンスクラバ80を通る。導管82によって、試料ガスが、300cc/分の流量コントローラ84を介して熱伝導モジュール60の窒素試料入口86に入り、熱伝導率測定装置88を通る。熱伝導率測定装置88は、検出した窒素濃度に関するデータを提供するためにCPUに結合されている。測定後に、ガスは、排出弁90を介して排出される。セル88による窒素濃度の測定の際に、T字型接合部68のHe(ヘリウム)キャリアガスも流れ制限器を介して熱伝導率基準セル92に流れる。
【0028】
供給源54からのHeキャリアガスは、He弁62の作動によって導管58のフィルタ56を通って熱伝導率モジュール60の入口59まで流れる。Heガスは、ポート63を介してモジュール60から流出し、12psiの圧力調整器64とスクラバ65を通って熱伝導率モジュール60のポート66に入る。ヒータ78は、残留酸素を除去しNOを自由窒素(N2)に変換するために約750℃に加熱された銅(Cu)が充填されており、この自由窒素は、CO2を除去するソジウムハイドレートシリケートと、ガス流から水を除去するアンハイドロンとを含むスクラバ80に通される。
【0029】
弁と燃焼炉の制御並びにガスの濃度の測定と検出は、CPU(図示せず)によって従来通りに制御される。CPUは、はかり12から試料の大きさに関する入力信号を受け取り、装填ヘッド30(図1)を制御して試料を燃焼室内に落下させる。また、CPUは、適切な電力制御モジュールによって炉10への電力の印加を制御する。CPUは、検出されたガス濃度の結果を印刷するためにプリンタに結合されていてもよい。CPUは、図6に示した赤外線検出器と熱伝導度検出器からのデータを利用し、標準的なASTM規格に基づいて試料を分析するために、従来のようにプログラムされている。周知のとおり、分析サイクル後に、分析装置は、引き続く分析のために状態を整えるためにパージされる。
【0030】
本明細書に記載した本発明の好ましい実施形態に対して、添付の特許請求の範囲によって定義されたような本発明の精神及び範囲から逸脱することなしに様々な変更を加え得ることは当業者に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の反応物組立体を有する抵抗燃焼炉及び燃焼組立体の部分断面図である。
【図2】本発明の反応物組立体の部分的に破断した拡大部分分解断面図である。
【図3】本発明の燃焼炉及び反応物組立体の分解部分斜視図である。
【図4】本発明の反応物組立体のひねって外すキャップ組立体の分解斜視図である。
【図5】キャップが固定された取り付けブロックの斜視図である。
【図6】本発明のトップローディング反応物組立体を組み入れた分析装置の流れ図である。
【符号の説明】
【0032】
10 分析炉
20 石英燃焼管
22 燃焼脚部
24 横導管
26 反応物脚部
30 試料装填組立体
32 試料導入管
34 るつぼ
100 反応物組立体
110 反応物管
120 外管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析用の試料を受け入れて燃焼させるための元素分析装置のための燃焼炉であって、
燃焼るつぼと反応物とを収容する燃焼管と、
反応物を保持する反応物管を有する反応物組立体とを有し、前記反応物管が前記燃焼管内に封止可能かつ取り外し可能に配置された燃焼炉。
【請求項2】
前記燃焼管は円筒状であり、前記反応物管は概略円筒状であり且つ前記管内に反応物を保持するために内側に向けてテーパが付けられた第1の開口端を有する、請求項1に記載の燃焼炉。
【請求項3】
前記反応物組立体は、更に前記反応物管に封止可能に結合されたキャップを有し、前記キャップがガス出口を有する、請求項2に記載の燃焼炉。
【請求項4】
前記燃焼管に封止可能に結合されると共に前記キャップに封止可能に結合された取り付けブロックを更に有し、前記取り付けブロックが、少なくとも1個の留め具を有し、前記キャップが、前記キャップを前記燃焼炉に取り外し可能に固定するための少なくとも1個の細長の開口部を有する、請求項3に記載の燃焼炉。
【請求項5】
前記燃焼管は概略U字型であり、燃焼るつぼを収容する第1の脚部と、前記反応物管を収容する第2の脚部と、前記第1と第2の脚部を結合する部分とを有する、請求項4に記載の燃焼炉。
【請求項6】
前記反応物組立体は、燃焼副生成物を前記反応物管を通して強制的に流すために、前記燃焼管の前記第2の脚部内において、前記反応物管と前記燃焼管との間に配置された第2の管を更に有する、請求項5に記載の燃焼炉。
【請求項7】
前記第2の管は、閉じた端と前記反応物管を収容する内径とを有する概略円筒形を有し、それにより前記第2の管の内径と前記反応物管の外径の間にガス流路ができる、請求項6に記載の燃焼炉。
【請求項8】
前記燃焼管、前記反応物管及び前記第2の管が石英で製作された、請求項7に記載の燃焼炉。
【請求項9】
ガス状燃焼副生成物中の化学元素を検出する元素分析装置であって、
燃焼させる試料を受け入れる燃焼炉であって、試料収容燃焼るつぼを収容する第1の脚部と、前記第1の脚部に結合され反応物を収容する第2の脚部とを備えた概略U字形燃焼管を有する燃焼炉と、
前記燃焼管の前記第2の脚部に取り外し可能に挿入された反応物保持用の反応物管を有する反応物組立体とを有する元素分析装置。
【請求項10】
前記反応物管は概略円筒状であり、前記管内に反応物を保持するために内側に向けてテーパが付けられた第1の開口端を有する、請求項9に記載の分析装置。
【請求項11】
前記反応物組立体は、前記燃焼管に取り外し可能に結合されると共に前記反応物管に封止可能に結合されたキャップを更に有し、前記キャップがガス出口を有する、請求項10に記載の分析装置。
【請求項12】
前記燃焼炉と前記燃焼管に封止可能に結合されると共に前記キャップに封止可能に結合された取り付けブロックを更に有し、前記取り付けブロックが、前記キャップを前記取り付けブロックに取り外し可能に固定するための少なくとも1個の留め具を有する、請求項11に記載の分析装置。
【請求項13】
前記反応物組立体は、前記燃焼管の前記第2の脚部内に配置され、前記反応物管を通して燃焼副生成物を強制的に流すように構成された第2の管を有する、請求項12に記載の分析装置。
【請求項14】
前記第2の管は、閉じた端と前記反応物管を収容する内径とを有する概略円筒状であり、それにより、前記第2の管の内径と前記反応物管の外径の間にガス流路ができる、請求項13に記載の分析装置。
【請求項15】
概略円筒部分を備えた燃焼管を有する分析炉で使用される反応物管であって、
内径と、外径と、前記内径より小さい直径の開口部を画定する第1の開口端とを有する円筒状部材であって、前記第1の端と反対側に第2の開口端を有し、前記反応物管の前記外径は燃焼管への挿入を可能にする径であって、前記第2の端に環状取り付けフランジを備えた円筒状部材とを有する反応物管。
【請求項16】
前記第1の開口端が、前記開口部の直径を小さくするように内側に向けてテーパが付けられた、請求項15に記載の反応物管。
【請求項17】
前記円筒状部材が石英で製作された、請求項16に記載の反応物管。
【請求項18】
前記円筒状部材に詰め込まれた反応物を更に有する、請求項17に記載の反応物管。
【請求項19】
前記反応物が銅線断片を含む、請求項18に記載の反応物管。
【請求項20】
概略U字型の燃焼管を有する分析炉で使用される石英反応物管であって、
第1の開口端を有する石英で形成された円筒管であって、前記第1の開口端には、前記円筒管の直径より小さい直径の円形開口部を画定するように内側に向けてテーパが付けられており、前記円筒管は前記第1の端と反対側の第2の端に取り付けフランジを有し、前記反応物管の外径は燃焼管の一方の脚部内への該反応物管の挿入を可能とする径である円筒管と、
前記反応物管に詰め込まれた反応物とを有する石英反応物管。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−212452(P2007−212452A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−13360(P2007−13360)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(592071853)レコ コーポレイション (19)
【氏名又は名称原語表記】LECO CORPORATION
【Fターム(参考)】