説明

トナークリーニング装置又は前記トナークリーニング装置を使用した画像形成装置

【課題】紙粉、ホコリやゴミケバ等の異物による画像不良を抑制し、トナーカートリッジや画像形成装置の大型化を抑制する。
【解決手段】中間転写ベルト11の回転方向において、一次転写ローラ10yの上流、且つ二次転写ローラ14の下流に配置され、中間転写ベルト11上のトナーを除去するトナークリーニング装置100において、中間転写ベルト11からトナーを剥がすクリーニングブレード101と、クリーニングブレード101で除去したトナーを収納する収納部105と、中間転写ベルト11の回転方向においてクリーニングブレード101より下流側に設けられており、電圧を印加することで、収納部105に収納したトナーを中間転写ベルト11に吐き出す帯電ローラ108とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、及び複合機等の画像形成装置に用いられるトナークリーニング装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置のトナークリーニング装置として、機械的な力や静電気的な力を利用して中間転写体をクリーニングするものがある。機械的な力を利用するクリーニング手段は、中間転写体に圧接された清掃部材であるクリーニングブレードで中間転写体上のトナーを掻き取った後に、画像形成装置内部に設けている廃トナー容器に回収する。静電気的な力を利用するクリーニング手段は、導電ゴム層を有したクリーニングローラに中間転写体上の転写残トナーと逆極性のバイアス電圧を印加する。これにより、中間転写体上の転写残トナーの極性を変えることで転写残トナーを感光体に移動させて、トナーカートリッジ内に回収する。
【0003】
その他、特許文献1のように、クリーニングブレードとクリーニングローラの両方を備えたものもある。特許文献1では、転写残トナーをクリーニングローラから中間転写体に吐き出し、吐き出した転写残トナーと共に中間転写体上の潤滑剤を同時にクリーニングブレードで除去することにより、中間転写ベルトの表面エネルギーを上げて、画像の中抜けを防止する。
【0004】
また、特許文献2のように、クリーニングブレードとブラシを備えたものもある。クリーニングブレードは、感光体表面に残留したトナーを除去するクリーニング部において、感光体に当接している。ブラシは、残留トナーを除去して保持する機能と残留トナーを感光体に吐き出す機能を有する。
【0005】
特許文献2では、一部の感光体上でのみトナー像が形成されている場合に、トナー像が形成されない複数の感光体のうち、相対的に上流側に位置する感光体に対応するブラシから残留トナーを吐き出して、相対的に下流側に位置するトナーカートリッジ内に回収する。トナーカートリッジ内への回収は、感光体に当接しているクリーニングブレードで、感光体表面に残留したトナーを掻き取ることで行っている。
【0006】
具体的には、最下流に位置している黒画像用トナーカートリッジにおける白黒画像形成時に、白黒画像形成には使用されないカラー画像用カートリッジの中で相対的に下流側に位置するトナーカートリッジの感光体を駆動させておく。これにより、次にカラー画像を形成する際に遅延が生じないように準備させておく。白黒画像形成には使用されないカラー画像用カートリッジの中で、相対的に上流に位置したトナーカートリッジで発生した残留トナーを、相対的に下流に位置したトナーカートリッジに向けて吐き出す。吐き出されたトナーは、相対的に下流に位置したトナーカートリッジの感光体と、感光体に接しているクリーニングブレードとの摩擦を低下させる潤滑剤として機能し、クリーニングブレードと感光体の寿命を向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−030358号公報
【特許文献2】特開2007−192987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般的に、機械的な力を利用するクリーニング方式の場合、クリーニングブレードで掻き取った転写残トナーを回収する容器を画像形成装置内に設ける必要がある。このため、画像形成装置が大型化したり、ユーザーが一定期間ごとにトナー回収容器を交換する手間がかかる。
【0009】
静電気的な力を利用するクリーニング方式の場合、トナーカートリッジ内部に備えている感光体表面に残留したトナーを回収する容器に転写残トナーも回収する。そのため、前述のトナー回収容器が不要となり、面倒なトナー回収容器の交換手間を無くせる利点がある。
【0010】
その反面、クリーニングローラへの転写残トナーの付着が進行することで発生するクリーニング不良を防止するために、クリーニングローラに付着した転写残トナーを定期的に中間転写体に吐き出す必要がある。このため、トナーを吐き出すために転写残トナーと逆極性のバイアス電圧を印加している間は画像形成ができない。そのため、連続画像形成の最中に画像形成を一時中止して、クリーニングローラから転写残トナーを吐き出すモードを実行する場合があった。
【0011】
特許文献1は、クリーニングブレードとクリーニングローラの両方を備えた構成であるが、クリーニングブレードはクリーニングローラよりも中間転写体の移動方向に関して下流側に位置している。つまり、クリーニングローラから吐き出したトナーは必ずクリーニングブレードで再度除去する必要がある。このため、機械的な力を利用するクリーニング方式の場合と同様トナー回収容器を必要とする。そのため、画像形成装置が大型化したり、ユーザーが一定期間ごとにトナー回収容器を交換する手間がかかる。
【0012】
特許文献2は、相対的に上流に位置するトナーカートリッジで発生した残留トナーを吐き出し、相対的に下流側に位置するトナーカートリッジ内に残留トナーを回収する。この構成の場合、下流側に位置するトナーカートリッジに異物を含んだ残留トナーが回収される可能性があり、異物による画像への影響が懸念される。また、異物を含んだ残留トナーが、下流側に位置するトナーカートリッジの現像ローラを通過する構成となっているため、クリーニング手段を備えない現像ローラに異物が付着したままになってしまう可能性が非常に高く、画像不良への懸念がさらに増大する。
【0013】
そこで本発明は、以下の効果を発揮できるトナークリーニング装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。クリーニングローラへの転写残トナーの付着が進行することで発生するクリーニング不良を抑制できる。最上流に位置したトナーカートリッジへのトナー回収量が増え過ぎないようにするために設けている連続画像形成の一時中止を無くすことができる。紙粉、ホコリやゴミケバ等の異物による画像不良を抑制できる。トナーカートリッジや画像形成装置の大型化を抑制できる。ユーザーが一定期間ごとにトナー回収容器を交換する手間を省くことができる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために本発明に係るトナークリーニング装置及び画像形成装置の代表的な構成は、複数の像担持体上にトナー像を形成する複数の現像手段と、前記像担持体上のトナー像を中間転写体に転写する複数の一次転写手段と、前記中間転写体上のトナー像をシートに転写する二次転写手段と、を有する画像形成装置に使用される前記中間転写体上のトナー像を除去するトナークリーニング装置であって、前記中間転写体の回転方向において、前記一次転写手段の上流、且つ前記二次転写手段の下流に配置され、前記中間転写体上のトナーを除去するトナークリーニング装置において、前記中間転写体からトナーを剥がす剥離部材と、前記剥離部材で除去したトナーを収納する収納部と、前記中間転写体の回転方向において前記剥離部材より下流側に設けられており、電圧を印加することで、前記収納部に収納したトナーを前記中間転写体に吐き出す吐き出し部材と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、クリーニングローラへの転写残トナーの付着が進行することで発生するクリーニング不良を抑制できる。最上流に位置したトナーカートリッジへのトナー回収量が増え過ぎないようにするために設けている連続画像形成の一時中止を無くすことができる。紙粉、ホコリやゴミケバ等の異物による画像不良を抑制できる。トナーカートリッジや画像形成装置の大型化を抑制できる。ユーザーが一定期間ごとにトナー回収容器を交換する手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【図2】第1実施形態に係るトナークリーニング装置の構成図である。
【図3】吐き出し部材周辺の斜視図である。
【図4】吐き出し部材と中間転写体の当接離間の構成の説明図である。
【図5】連続画像形成中におけるトナー像、転写残トナーの流れを説明する図である。
【図6】連続画像形成中におけるトナー像、転写残トナーの流れを説明する図である。
【図7】第2実施形態に係るトナークリーニング装置、トナー搬送ユニット、回収容器の構成図である。
【図8】第2実施形態に係るトナークリーニング装置、トナー搬送ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
本発明に係る画像形成装置のトナークリーニング装置及び画像形成装置の第1実施形態について、図を用いて説明する。図1は本実施形態に係る画像形成装置1の構成図である。
【0018】
図1に示すように、画像形成装置1において、帯電装置6y、6m、6c、6kによって帯電された複数の感光ドラム(像担持体)5y、5m、5c、5k上に、スキャナユニット9が画像情報に基づいてレーザービームを照射して静電潜像が形成される。静電潜像は、現像ローラ7y、7m、7c、7kによってトナーカートリッジ4y、4m、4c、4k内のトナーを用いてトナー像として現像される。現像後、感光ドラム5に残っている残留トナーは、感光体クリーニングブレード8y、8m、8c、8kによって除去される。像担持体上の現像されたトナー像は、駆動ローラ12、従動ローラ13に張架された中間転写ベルト11上(中間転写体上)に、一次転写ローラ(一次転写手段)10y、10m、10c、10kによって一次転写される。
【0019】
一方、カセット2、手差し給送部3に積載されたシートは、二次転写ローラ(二次転写手段)14と駆動ローラ12とのニップ部(二次転写部)に搬送され、二次転写部にて、一次転写されたトナー像を二次転写される。トナー像を二次転写されシートは、定着装置15によりトナー像を定着され、排出ローラ対17により積載部19に排出される。両面画像形成の場合には、スイッチバックローラ対18で反転搬送され、再度二次転写部、定着装置15を通過した後、積載部19に排出される。
【0020】
(トナークリーニング装置100)
図2はトナークリーニング装置100の説明図である。図2に示すように、トナークリーニング装置100は、中間転写ベルト11の移動方向(図2の矢印B方向)において、最上流側にある一次転写部よりも上流で、且つ二次転写部よりも下流に配置されている。最上流側にある一次転写部は、感光ドラム5yと一次転写ローラ10yとで形成される。
【0021】
トナークリーニング装置100は、クリーニングブレード(剥離部材)101、保持部材102、トナー搬送部材103、収納部105、帯電ローラ(吐き出し部材)108、トナー規制部材109、漏れ防止シート110を有している。
【0022】
クリーニングブレード101は、変形可能な弾性ゴム(弾性体)からなる板状部材であり、板金で形成された保持部材102に接着されている。クリーニングブレード101は、長手方向でLTR紙サイズ以上の幅を有しており、中間転写ベルト11に圧接することで中間転写ベルト11上の転写残トナーを除去している。クリーニングブレード101は、従動ローラ13に対して押圧されている。クリーニングブレード101は、転写残トナーを除去可能な所望の線圧を得るために、中間転写ベルト11内側に設けられている各種ローラに対して押圧されるのが一般的である。
【0023】
本実施形態では、画像形成する際にトナーをマイナス帯電している。そのため、一次転写及び二次転写の際にはトナーの帯電極性と逆のプラス電圧を印加している。一次転写及び二次転写の際にプラス特性に変化するトナーは幾分存在するものの、二次転写後に中間転写ベルト11上に残留している転写残トナーのほとんどはマイナス帯電したままである。
【0024】
中間転写ベルト11からクリーニングブレード101によって掻き取られた転写残トナーは、トナー搬送部材103によってトナー搬送路104を移動する。そして、保持部材102とトナークリーニング装置100のフレームとで形成される溝106を自由落下して、収納部105に収納される。
【0025】
トナー搬送部材103は、収納部内に配置され、すのこ形状しており、偏心して回転する軸107に保持されている。軸107は偏心して回転しているため、トナー搬送部材103全体として図2の矢印C1方向、矢印C2方向に略往復運動を行っている。往動時にはトナー搬送部材103がトナー搬送路104の底面を沿って略水平に移動することで、転写残トナーを図2の矢印C1方向に搬送させる。復動時にはトナー搬送部材103がトナー搬送路104の底面から斜め上方に浮き上がることにより、押し動かした転写残トナーから離れてクリーニングブレード101側に戻さないようにしている。
【0026】
帯電ローラ108は、中間転写ベルト11の回転方向においてクリーニングブレード101より下流側に設けられている。転写残トナーがある程度収納部105に収納されると、転写残トナーは帯電ローラ108と接触し始める。その後、帯電ローラ108に一次転写ローラ10yに印加しているバイアス電圧と同極性(プラス)のバイアス電圧を印加して、転写残トナーに対して放電を行う。これにより、転写残トナーは、プラスに帯電する。
【0027】
例えば、高湿環境下において最良の転写性能を得ようと二次転写電圧を高めると、転写残トナーの帯電極性は非常に不安定になる場合がある。このような場合においても、帯電ローラ108にプラス電圧を印加して放電を行うことで、転写残トナーがプラスであろうがマイナスであろうが、帯電ローラ108表面に付着した転写残トナーを問題無くプラスに帯電することができる。
【0028】
マイナス極性からプラス極性に反転した転写残トナーは、帯電ローラ108と接地している従動ローラ13の電位差により中間転写ベルト11に移動する。帯電ローラ108から中間転写ベルト11に移動した転写残トナーは、一次転写ローラ10yに印加しているプラスのバイアスと、帯電装置6yによってマイナス帯電された感光ドラム5y表面との電位差を利用することで、感光ドラム5yに移動する。その後、感光ドラム5yに当接している感光体クリーニングブレード8yにて掻き取られ、トナーカートリッジ4y内に回収される。
【0029】
なお、トナー規制部材109が帯電ローラ108表面に当接しており、帯電ローラ108上の転写残トナーを薄く均一に延ばしている。このように、吐き出し部材上のトナーを厚さを規制することで、一度に大量の転写残トナーが中間転写ベルト11に吐き出されることを防止している。トナー規制部材109は、金属製であり、保持部材102に固定されている。
【0030】
中間転写ベルト11上には転写残トナー以外にも、シートから剥離した紙粉、ホコリやゴミケバ等の異物が残留している。それら異物も転写残トナーに混在して、クリーニングブレード101によって回収され、収納部105に搬送され、帯電ローラ108に付着する。しかし、トナー規制部材109が帯電ローラ108上の転写残トナーを薄く均一に延ばす際に、それらの異物を帯電ローラ108から除去し、中間転写ベルト11に吐き出されることを抑制している。
【0031】
また、漏れ防止シート110が、トナークリーニング装置100と中間転写ベルト11との間に設けられており、中間転写ベルト11と軽接触している。これにより、転写残トナーが収納部105から流出することを防止している。
【0032】
また、従動ローラ13と帯電ローラ108とをギア(不図示)で連結しており、従動ローラ13を駆動源として帯電ローラ108を回転させている。これにより、中間転写ベルト11(従動ローラ13)と帯電ローラ108が同じ速度で回転する。よって、薄く均一に延ばした転写残トナーを安定して中間転写ベルト11に吐き出すことができる。
【0033】
図3は帯電ローラ108周辺の斜視図である。図3に示すように、帯電ローラ108は、金属の芯金108aと導電ゴム層108bで構成されており、両端を樹脂製の軸受111で回転可能に保持されている。軸受111の少なくとも1つに導電性の樹脂を使用している。
【0034】
軸受111をバネ112で従動ローラ13に向けて押圧することで、帯電ローラ108と中間転写ベルト11とを所望の圧で接触させている。帯電ローラ108の両端を押圧しているため、帯電ローラ108は長手方向で中間転写ベルト11に対して均一に押圧されている。
【0035】
また、バネ112は電気接点の機能も有しており、接点部112aを画像形成装置本体側に設けている接点(不図示)と接触させることで、バイアス電圧をバネ112に印加することが可能となっている。バネ112にバイアス電圧を印加すると、導電性を有した軸受111を経由して、帯電ローラ108の導電ゴム層108bまでバイアス電圧が流れる。
【0036】
図4は帯電ローラ108と中間転写ベルト11の当接離間の構成の説明図である。図4に示すように、帯電ローラ108を保持している軸受111近傍に離間部材113を設けている。離間部材113は、カム113aとギア113bとが一体に形成されている。カム113aは、帯電ローラ108と中間転写ベルト11とを当接離間させる。
【0037】
帯電ローラ108の上部に位置する駆動軸114の両端には、ギア114aが設けられており、画像形成装置本体内に備えているモータ(不図示)で駆動軸114とギア114aを回転させている。ギア114aからの回転駆動がギア113bに伝達することでカム113aは回転し、軸受111が図4の矢印D1方向及び矢印D2方向にスライド移動する。
【0038】
軸受111が矢印D1方向にスライド移動した時、帯電ローラ108、中間転写ベルト11が離間状態になる。軸受111が矢印D2方向にスライド移動した時、帯電ローラ108、中間転写ベルト11が当接状態になる。
【0039】
本実施形態においては、トナー規制部材109が塑性変形しない量だけ帯電ローラ108を中間転写ベルト11から離間させており、その離間量は0.5〜1mmである。中間転写ベルト11上の転写残トナーのクリーニングはクリーニングブレード101で行っている。このため、帯電ローラ108の中間転写ベルト11への当接離間が可能になると、自由なタイミングで選択的に転写残トナーを中間転写ベルト11に吐き出すことが可能になる。
【0040】
(トナーカートリッジ4m〜4kでの転写残トナーの回収)
次に、連続画像形成中における、最上流に位置するトナーカートリッジ4y以外のトナーカートリッジ4m〜4kに転写残トナーを回収する動作説明を説明する。図5、図6は連続画像形成中におけるトナー像、転写残トナーの流れを説明する図である。図5、図6において、トナーの種類を判別しやすくするため、画像形成のためのトナーを丸、転写残トナーを四角で表現している。
【0041】
図5(a)に示すように、トナー像の中央付近を一次転写している際は、感光ドラム5y、5m上にはトナー像が現像されており、感光ドラム5y、5mの一次転写ニップ部で一次転写が行われている。この時、帯電ローラ108は中間転写ベルト11から離間した状態にあり、転写残トナーの吐き出しを行っていない。
【0042】
図5(b)に示すように、トナー像の後端T1を一次転写している際は、帯電ローラ108は、プラスのバイアス電圧を印加され、中間転写ベルト11に当接する。これにより、転写残トナーは、プラスに帯電した状態で帯電ローラ108から中間転写ベルト11に移動する。
【0043】
また、現像されたトナー像の後端T1が一次転写ニップ部に到達するまで一次転写は行われているが、感光ドラム5yの画像後端後の領域は静電潜像されておらず、トナー像の現像も行われていない。そのため、現像されたトナー像の後端T1と、吐き出された転写残トナーの先端T2とが重なり合わないタイミングで、転写残トナーの吐き出しを行っている。
【0044】
図6(a)に示すように、トナー像を一次転写していない画像間では、帯電装置6yによって感光ドラム5y表面はプラスに帯電されている。そして、一次転写ローラ10yにはマイナスのバイアス電圧を印加している。中間転写ベルト11上に吐き出された転写残トナーはプラス帯電しているため、転写残トナーが一次転写ニップ部に到達した際に感光ドラム5y側に移動することはなく、そのまま中間転写ベルト11に担持された状態で下流側へと移動する。この時、現像ローラ7yから感光ドラム5yにトナーが移動することを防止するために、現像ローラ7yは感光ドラム5yから離間している。
【0045】
その後、感光ドラム5mに到達した転写残トナーは、一次転写ローラ10mに印加しているプラスのバイアスと、帯電装置6mによってマイナス帯電された感光ドラム5m表面との電位差を利用して、感光ドラム5mに移動する。そして、感光体クリーニングブレード8mにて掻き取られ、トナーカートリッジ4m内に回収される。
【0046】
図6(b)に示すように、トナー像の先端T3を一次転写する直前においては、現像されたトナー像の先端T3が一次転写ローラ10yと感光ドラム5yとで形成される一次転写ニップ部に到達するよりも前のタイミングで帯電ローラ108を離間する。そして、転写残トナーの吐き出しを停止する。これにより、吐き出された転写残トナーの後端T4と現像されたトナー像の先端T3とが重なり合うことを防止している。感光ドラム5yの表面は帯電装置6yによってマイナス帯電されており、現像ローラ7yによって静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像し、一次転写へと進んでいく。
【0047】
図5、図6の動作は、制御部B(図1参照)によって制御されている。この動作を繰り返し行うことで、連続画像形成中、最上流に位置したトナーカートリッジ4y以外のトナーカートリッジ4mに転写残トナーを回収している。ここではトナーカートリッジ4mに振り分け回収する説明を行った。しかし、例えば、転写残トナーが感光ドラム5mと一次転写ローラ10mとで形成される一次転写ニップ部に転写残トナーが存在している間、一次転写ローラ10mにマイナスのバイアス電圧を印加し、感光ドラム5m表面をプラスに帯電させておく。そうすることで、転写残トナーをより下流側に位置するトナーカートリッジ4cに振り分け回収することが可能となる。同様にして、トナーカートリッジ4kへの振り分け回収も可能となる。
【0048】
上述のごとく、本実施形態では、中間転写ベルト11上の転写残トナーの除去はクリーニングブレード101で行い、中間転写ベルト11への転写残トナーの吐き出しは帯電ローラ108で行っている。このように、クリーニング機能と吐き出し機能をそれぞれ分離することで、連続画像形成中の一時中止を設ける必要を無くせるため、連続画像形成を頻繁に行うユーザーに与えるストレスを低減することが可能である。
【0049】
また、クリーニングブレード101の材料に弾性体であるゴムを用いているため、中間転写ベルト11との密着性が向上し、中間転写ベルト11上の転写残トナーを確実に除去することが可能である。
【0050】
また、トナー規制部材109で転写残トナーを薄く引き延ばす際に異物を同時に除去できることで、中間転写ベルト11への異物の吐き出しを抑制し、感光ドラム5の表面が傷つくことで発生する画像不良を抑制できる。
【0051】
また、転写残トナーがトナーカートリッジ4y〜4kに回収されるため、画像形成装置内に設けている転写残トナー回収容器(収納部105)を、ユーザーが一定期間ごとに交換する手間を省略できる。
【0052】
また、帯電ローラ108が中間転写ベルト11に対して当接離間動作を行う。そして、感光ドラム5y上に形成されたトナー像が感光ドラム5yと一次転写ローラ10yとで形成される一次転写ニップ部に存在していない間に、転写残トナーがその一次転写ニップ部に存在するよう帯電ローラ108から吐き出す。これにより、連続画像形成中にトナーカートリッジ4y以外のトナーカートリッジ4m〜4kに転写残トナーを回収することができため、トナーカートリッジ4y〜4kや画像形成装置1の大型化を抑制できる。
【0053】
[第2実施形態]
次に本発明に係る画像形成装置のトナークリーニング装置及び画像形成装置の第2実施形態について図を用いて説明する。上記第1実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0054】
図7は本実施形態に係るトナークリーニング装置100、トナー搬送ユニット200、回収容器300の構成図である。図7に示すように、本実施形態の画像形成装置1は、上記第一実施形態の画像形成装置1にトナー搬送ユニット200、回収容器300を設けた者である。
【0055】
トナー搬送ユニット200は、トナークリーニング装置100から転写残トナーを受け取り、回収容器300まで転写残トナーを搬送する。トナー搬送ユニット200は、中間転写ユニットAと分離可能に画像形成装置本体側に設けられている。
【0056】
中間転写ユニットAは、画像形成装置1に対して図7の矢印E方向に挿抜可能である。トナークリーニング装置100の排出口115とトナー搬送ユニット200のトナーの流入口201が接続されている。流入口201に流入した転写残トナーは、トナー搬送ユニット200の排出口202へ搬送され、自由落下して、回収容器300へ収容される。
【0057】
図8に示すように、トナークリーニング装置100は、シャッタ116、トナー搬送スクリュー117を有している。シャッタ116は、排出口115の鉛直方向下方に設けられており、排出口115を開閉する。トナー搬送スクリュー117は、モータ(不図示)などの駆動手段により、所定の方向(矢印F1方向)に回転し、転写残トナーを排出口115へ搬送し、流入口201へ排出する。
【0058】
中間転写ユニットAを交換作業等で着脱する際には、シャッタ116を閉じて排出口115を閉じる。これにより、転写残トナーが漏れ落ち画像形成装置内を汚してしまうことを抑制している。
【0059】
中間転写ユニットAが画像形成装置に装着されると、シャッタ116を開き、排出口115と流入口201とが接続する。排出口115と流入口201との隙間からトナーが漏れるのを防止するために、流入口201の周囲をシール部材203で覆い囲っている。シール部材203にはポリウレタン等の弾性部材を用いている。
【0060】
トナー搬送スクリュー117は、帯電ローラ108と別駆動を有しているため、それぞれ独立に回転駆動させることができる。そのため、帯電ローラ108とトナー搬送スクリュー117を自由なタイミングで切り替えることができる。
【0061】
トナー搬送ユニット200には、トナー搬送部材204が配置されている。排出口115から排出した転写残トナーは、自由落下した後にトナー搬送部材204に導入され、トナー搬送部材204を所定の方向(矢印F2方向)に回転させることによって、流入口201から排出口202方向に搬送される。排出口202まで搬送された転写残トナーは、回収容器300へ逐次収容される。
【0062】
本実施形態によれば、帯電ローラ108からの吐き出しによる転写残トナー回収と、収納部105内に設けたトナー搬送スクリュー117による転写残トナー回収とを制御部Bにより切り替えることができる。具体的には、帯電ローラ108により転写残トナーを中間転写ベルト11に吐き出して、収納部105内の転写残トナーを少なくする。そして、帯電ローラ108に当接しているトナー規制部材109で分別され収納部105内に溜まった紙粉やホコリやゴミケバ等の異物を、画像形成装置側に設けている回収容器300に搬送する。これにより、収納部105内が異物で満杯になることなくなり、帯電ローラ108へのスムーズな転写残トナーの受け渡しを、画像形成装置の寿命を通して行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0063】
A …中間転写ユニット
1 …画像形成装置
5 …感光ドラム(像担持体)
6 …帯電装置
10 …一次転写ローラ(一次転写手段)
11 …中間転写ベルト
12 …駆動ローラ
13 …従動ローラ
14 …二次転写ローラ(二次転写手段)
100 …トナークリーニング装置
101 …クリーニングブレード(剥離部材)
102 …保持部材
103 …トナー搬送部材
104 …トナー搬送路
105 …収納部
106 …溝
107 …軸
108 …帯電ローラ
109 …トナー規制部材
110 …漏れ防止シート
111 …軸受
112 …バネ
113 …離間部材
114 …駆動軸
115 …排出口
116 …シャッタ
117 …トナー搬送スクリュー
200 …トナー搬送ユニット
201 …流入口
300 …回収容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の像担持体上にトナー像を形成する複数の現像手段と、前記像担持体上のトナー像を中間転写体に転写する複数の一次転写手段と、前記中間転写体上のトナー像をシートに転写する二次転写手段と、を有する画像形成装置に使用される前記中間転写体上のトナー像を除去するトナークリーニング装置であって、前記中間転写体の回転方向において、前記一次転写手段の上流、且つ前記二次転写手段の下流に配置され、前記中間転写体上のトナーを除去するトナークリーニング装置において、
前記中間転写体からトナーを剥がす剥離部材と、
前記剥離部材で除去したトナーを収納する収納部と、
前記中間転写体の回転方向において前記剥離部材より下流側に設けられており、電圧を印加することで、前記収納部に収納したトナーを前記中間転写体に吐き出す吐き出し部材と、を有することを特徴とするトナークリーニング装置。
【請求項2】
前記吐き出し部材に印加される電圧は、前記中間転写体から除去したトナーと逆の極性であることを特徴とする請求項1に記載のトナークリーニング装置。
【請求項3】
前記剥離部材は、弾性体からなる板状部材であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナークリーニング装置。
【請求項4】
前記吐き出し部材の表面に当接して、前記吐き出し部材上のトナーを厚さを規制するとともに、前記吐き出し部材上の異物を除去するトナー規制部材を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトナークリーニング装置。
【請求項5】
前記吐き出し部材は、前記中間転写体に対して当接離間が可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のトナークリーニング装置。
【請求項6】
前記吐き出し部材は、吐き出すトナーが前記一次転写手段が前記中間転写体に一次転写するトナー像と重ならないように、トナーを吐き出すことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のトナークリーニング装置。
【請求項7】
前記収納部内に配置され、トナー及び前記トナー規制部材で除去した異物を搬送するトナー搬送部材と、
前記トナー搬送部材によって搬送されたトナー及び異物を回収する回収容器と、を有することを特徴とする請求項4に記載のトナークリーニング装置。
【請求項8】
トナー像を担持する複数の像担持体と、
前記像担持体に担持されたトナー像が転写される中間転写体と、
前記中間転写体上のトナー像を除去する請求項1乃至7のいずれかに記載のトナークリーニング装置と、を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−177745(P2012−177745A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39547(P2011−39547)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】