説明

トナー供給装置

【課題】電子写真印刷機用のトナー供給装置において、トナー濃度の計測精度を向上でき、絵柄濃度のコントロールを正確に行える技術の開発。
【解決手段】濃度調整用のメインタンク11から現像器51への液体トナー送給用のトナー送給用管路14の途中にトナー濃度計測用の濃度センサ15を設け、この濃度センサ15による計測濃度に基づいて、メインタンク11への高濃度トナー、希釈液の送給を制御して、メインタンク11内のトナー濃度を安定化させるトナー供給装置1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体トナーを用いる湿式の電子写真印刷機の現像器に液体トナーを供給するためのトナー調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体トナー(以下、単にトナーとも言う)を用いる湿式の電子写真印刷機では、トナー濃度が絵柄濃度を左右するため、トナー濃度を一定範囲に維持することは極めて重要である。このため、現像用トナーの濃度調整用のトナー調整装置が提案されている(例えば特許文献1)。
特許文献1に開示されるトナー調整装置は、トナー濃度調整用のトナー収容室(特許文献1の予備トナー収容室)と、このトナー収容室に希釈液を供給するための希釈液供給部と、前記トナー収容室に高濃度トナーを供給するための高濃度トナー供給部とを具備し、トナー収容室から、濃度調整したトナーを、現像ローラにトナーを接触、供給するためのトナー室(特許文献1の、図2中符号37Bのトナー収容室)に送給する構成になっている。また、トナー収容室には、トナー室からのトナー返送用の配管が接続されており、トナー収容室に戻されたトナーはトナー室へ循環供給される。
【0003】
現像ローラから該現像ローラが接する感光ドラムへのトナー供給によりトナー室内のトナーが消費されていくが、印刷する絵柄の大きさ、密度、濃度等によって希釈液、トナー粒子の消費比率が異なるため、トナー室内のトナー濃度が変化する。
そこで、このトナー調整装置では、トナー室内のトナー濃度の安定化を図るべく、希釈液供給部、高濃度トナー供給部からトナー収容室への送液、トナー収容室から現像ローラ側のトナー室への送液が、トナー収容室内のトナー濃度を一定範囲に維持するように制御される。また、これら送液の制御によって、トナー収容室内の液面レベルも一定範囲に維持する。
【特許文献1】特開2004−117687号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1のトナー調整装置では、以下の(a)〜(c)の問題があった。
(a)トナー収納室内のトナー濃度制御のために、トナー収容室の底部に濃度センサが設置される。しかしながら、濃度センサによる濃度計測が、トナー収容室内でのトナーの分散状態に影響を受けやすく、トナー濃度制御の精度低下の原因となる。例えば、トナー収容室内でのトナーの攪拌直後等、トナー収容室内にトナーが均一に分散していないときには、濃度センサが、現像器側のトナー室のトナー濃度とは相違する濃度を検出することになる。
(b)トナー収容室のトナー濃度が、トナー収容室から現像器のトナー室へのトナー供給用の配管やバルブを介して、現像器のトナー室に反映されるまでにタイムラグがある。
(c)前記濃度センサは、超音波が液体トナー中を伝播する間の減衰率を測定するタイプのものであるが、送受信部の温度特性が考慮されていないため、計測濃度に誤差を生じやすい。例えば、ローラニップの摩擦等でトナー温度が上昇すると、発信部が過剰発信し、受信部での受信レベルが上昇する結果、計測濃度が実際よりも薄い側に偏ってしまう。
【0005】
本発明は、前記課題に鑑みて、トナー濃度の計測精度を向上でき、絵柄濃度のコントロールを正確に行える、電子写真印刷機のトナー調整装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、電子写真印刷機の現像器に液体トナーを供給するトナー供給装置であって、液体トナーの濃度調整用のメインタンクと、このメインタンクに高濃度トナーを供給する高濃度トナー供給部と、前記メインタンクに希釈液を供給する希釈液供給部と、前記メインタンクから前記現像器への液体トナーの送給用のトナー送給用管路の途中に設けられ該トナー送給用管路内の液体トナーの濃度を計測する濃度センサと、前記メインタンク内の液体トナーの濃度を予め設定した濃度に維持するべく、前記濃度センサによる計測濃度に基づいて、前記希釈液供給部から前記メインタンクへの希釈液の供給、前記高濃度トナー供給部から前記メインタンクへの高濃度トナーの供給を制御する制御装置とを具備することを特徴とするトナー供給装置を提供する。
また、本発明は、前記メインタンクに、恒温装置が設けられていることを特徴とするトナー供給装置を提供する。
また、本発明は、前記メインタンクは細長に構成されており、その長手方向一端側に、前記希釈液供給部と、前記高濃度トナー供給部と、前記現像器のトナー収容室から前記メインタンクへのトナー返送用管路とが接続され、他端側に前記トナー送給用管路が接続されていることを特徴とするトナー供給装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るトナー供給装置によれば、前記高濃度トナー供給部から前記メインタンクへの高濃度トナーの供給、前記希釈液供給部から前記メインタンクへの希釈液の供給によるメインタンク内の液体トナー(以下、単にトナーとも言う)の濃度制御を、トナー送給用管路の途中に設けられた濃度センサによるトナーの計測濃度に基づいて行う構成であるため、従来に比べて、濃度センサによるトナー濃度の計測を正確に行え、その結果、メインタンク内のトナー濃度制御の精度を高めることができる。これにより、従来に比べて、メインタンク内のトナー濃度の安定維持を容易に実現でき、絵柄濃度のコントロールを正確に行えるようになる。
また、メインタンクに恒温装置を設けることにより、トナー温度上昇が抑えられ、濃度検出センサでの超音波による濃度検出誤差が低減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施したトナー供給装置の一例について、図面を参照して説明する。
図1は本発明に係るトナー供給装置1を適用した電子写真印刷機1Aの構成を示す正面図、図2はトナー供給装置1の構成を示す全体図、図3(a)、(b)はトナー供給装置1に適用される濃度センサの一例の構造を示す図である。
【0009】
図1に示すように、電子写真印刷機1Aは、感光ドラム2、帯電装置3、露光装置4、現像装置5、除電器6、感光体クリーナー7,転写ローラ8、バックアップローラ9を具備して構成されている。トナー供給装置1は現像装置5に設けられている。
【0010】
図1において、符号101は記録紙である。この記録紙101は長尺帯状であり、転写ローラ8とバックアップアップローラ9との間に挟み込まれている。転写ローラ8及びバックアップローラ9は、回転することで、記録紙101を送り移動するための送りローラとしての機能も果たす。
【0011】
感光ドラム2は、電子写真印刷機1のフレーム(図示略)に回転自在に軸支されており、図示略の駆動装置によって回転駆動される。この感光ドラム2は、記録紙101に対して回転する。
【0012】
帯電装置3は、感光ドラム2の表面を均一に帯電させるものである。
露光装置4は、前記帯電装置3によって帯電された前記感光ドラム2表面の電荷を露光によって除去して、静電潜像を形成するものである。露光装置4は、感光ドラム2表面の一部又は全体から、露光によって電荷を除去する。
【0013】
現像装置5は、前記感光ドラム2に接して回転する現像ローラ52及びトナー収容室53を有してなる現像器51と、前記トナー供給装置1とを具備している。
この現像装置5は、現像ローラ52から前記感光ドラム2にトナーを供給して前記感光ドラム2表面に前記静電潜像を可視像化したトナー像を形成するものである。
現像器51、トナー供給装置1の構成については後に述べる。
【0014】
除電器6は、感光ドラム2表面全体から電荷を除去して除電するものである。
感光体クリーナー7は、感光ドラム2表面の付着物(トナー等)を除去して、感光ドラム2表面を清掃するものである。
【0015】
転写ローラ8は、前記感光ドラム2に接して回転して前記感光ドラム2表面の前記トナー像を前記感光ドラム2から記録紙101に転写するものである。
バックアップローラ9は、転写ローラ8との間に記録紙101を挟み込んで、転写ローラ8の記録紙101に対する圧接力を確保するものである。
【0016】
現像装置5の現像器51は、トナー供給装置1からトナー収容室53に送給されたトナー10を現像ローラ52の表面に均一に付着させ、このトナー10を現像ローラ52から該現像ローラ52が接する感光ドラム2表面の静電潜像に静電吸着させることで、感光ドラム2表面の静電潜像を可視像化するものである。
図1では、現像器51について、模式的に、現像ローラ52の下部を、トナー収容室53内に貯留されているトナー10中に浸潰させた構成を例示しているが、現像器51としては、例えば、トナー収容室53内に貯留されているトナー10中に浸潰させたトナー供給ローラを介してトナー10を現像ローラ52に供給する構成等も採用可能であり、その具体的構成は図1のものに限定されるものではない。
【0017】
次に、トナー供給装置1について説明する。
図1、図2に示すように、トナー供給装置1は、トナー濃度調整用のメインタンク11と、このメインタンク11に高濃度トナーを供給する高濃度トナー供給部12と、前記メインタンク11に希釈液を供給する希釈液供給部13と、前記メインタンク11から前記現像器51のトナー収容室53へのトナー送給用の管路14(以下、トナー送給用管路)の途中に設けられ該トナー送給用管路14内のトナー濃度を計測する濃度センサ15と、この濃度センサ15による計測濃度に基づいて、前記希釈液供給部13から前記メインタンク11への希釈液の供給、前記高濃度トナー供給部12から前記メインタンク11への高濃度トナーの供給を制御する制御装置16を具備して構成されている。
【0018】
高濃度トナー供給部12は、高濃度の液体トナー(トナー原液)を収容する高濃度トナー収容室121(サブコンクトナータンク)と、この高濃度トナー収容室121からメインタンク11への送液用の管路122とを備え、この管路122の途中に設けられたポンプ123によって、高濃度トナー収容室121からメインタンク11へ高濃度のトナーを送給する。
図中、符号124はコンクトナーパック、125はポンプである。高濃度トナー収容室121には、ポンプ125を介して、コンクトナーパック124から高濃度トナーを補充できる。
【0019】
希釈液供給部13は、希釈液収容室131と、この希釈液収容室131からメインタンク11への送液用の管路132とを備え、この管路132の途中に設けられたポンプ133によって、希釈液タンク131からメインタンク11へ希釈液を送給する。
なお、希釈液収容室131には、キャリア液パックを接続するための接続用ポート131aが設けられており、適宜、キャリア液パックから希釈液を補充できる。
【0020】
メインタンク11とトナー収容室53とを接続する前記トナー送給用管路14の途中には、メインタンク11内のトナーをトナー収容室53へ送給するためのポンプ141が設けられている。
また、図中符号17は、前記トナー収容室53から前記メインタンク11へのトナー返送用の管路17(以下、トナー返送用管路)であり、その途中に設けられたポンプ171によって、メインタンク11とトナー収容室53内のトナーをメインタンク11へ返送する。
【0021】
トナー供給装置1(詳細にはメインタンク11)、トナー送給用管路14、トナー収容室53、トナー返送用管路17は、メインタンク11からトナー送給用管路14を介して現像器51のトナー収容室53に送給したトナーを、トナー収容室53からトナー返送用管路17を介してメインタンク11へ返送し、メインタンク11にて濃度調整後、再度、トナー送給用管路14を介して現像器51のトナー収容室53に送給する、循環型トナー供給システムを構成している。
【0022】
メインタンク11内のトナー濃度は、高濃度トナー供給部12からの高濃度トナーの送給量と、希釈液供給部13からの希釈液の送給量とによって調整される。
メインタンク11内のトナー濃度は、高濃度トナー供給部12の高濃度トナー収容室121内のトナー濃度よりも低く保たれる。
【0023】
制御装置16は、メインタンク11内のトナー濃度、トナー液面レベルを安定に保つべく、高濃度トナー供給部12、希釈液供給部13を制御する。
この制御装置16による希釈液供給部13、高濃度トナー供給部12の制御は、濃度センサ15の計測濃度に基づいて、希釈液収容室131からメインタンク11への送液、高濃度トナー収容室121からメインタンク11への送液を制御することによりなされる。
【0024】
高濃度トナー収容室121からメインタンク11への送液制御は、制御装置16が高濃度トナー供給部12のポンプ123の駆動を制御することによってなされる。
希釈液収容室131からメインタンク11への送液の制御は、制御装置16が希釈液供給部13のポンプ133の駆動を制御することによってなされる。
そして、このトナー供給装置1では、制御装置16の制御により、濃度センサ15による計測濃度が予め設定しておいた濃度(設定濃度)よりも低下した場合は高濃度トナー供給部12からメインポンプ11へ高濃度トナーを供給し、濃度センサ15による計測濃度が設定濃度よりも上昇した場合は希釈液供給部13からメインタンク11へ希釈液を供給する。これにより、メインタンク11内のトナー濃度を安定に保つ。
また、高濃度トナー供給部12、希釈液供給部13の制御、つまり、高濃度トナー供給部12からメインタンク11への高濃度トナーの送給量、希釈液供給部13からメインタンク11への希釈液の送給量の制御により、メインタンク11内の液体トナーの液面レベルも安定に保つようにする。液面レベルの安定維持は、トナー送給用管路14のトナー流量の安定化等に有効に寄与する。
【0025】
現像器51のトナー収容室53内のトナー10は、現像ローラ52から該現像ローラ52が接する感光ドラム2へのトナー供給により消費されていくが、印刷する絵柄の数、大きさ、密度、濃度等によって希釈液、トナー粒子の消費比率が異なる。例えば、印刷する絵柄が大きく、濃度も濃い場合はトナー粒子の消費比率が高いが、印刷する絵柄のサイズが小さく数も少ない場合は、希釈液の消費比率が上昇する。
希釈液、トナー粒子の消費比率の変動によって、トナー収容室53からトナー返送用管路17を介してメインタンク11に返送されるトナーの濃度にも変動が生じるが、このトナー供給装置1によれば、制御装置16が、濃度センサ15による計測濃度に基づいて、高濃度トナー供給部12からメインタンク11への高濃度トナーの送給、希釈液供給部13からメインタンク11への希釈液の送給を制御することにより、メインタンク11内のトナー濃度を安定に保つため、トナー送給用管路14を介してメインタンク11から現像器51のトナー収容室53へのトナー送給によって、トナー収容室53内のトナー濃度の安定化を図ることができる。その結果、絵柄濃度のコントロールを正確に行えるようになる。
【0026】
濃度センサ15は、トナー送給用管路14において、出来るだけトナー送給方向上流側に設けることがより好ましい。これにより、メインタンク11内のトナー濃度の変動を迅速に検出できる。また、トナー送給用管路14における濃度センサ15の設置位置がメインタンク11から近く、メインタンク11から濃度センサ15までの流路長(管路長)が短ければ、制御装置16が、濃度センサ15による計測濃度に基づいて、高濃度トナー供給部12からメインタンク11への高濃度トナーの送給、希釈液供給部13からメインタンク11への希釈液の送給を制御することにより、メインタンク11内のトナー濃度の変動を迅速に対応できるため、メインタンク11内のトナー濃度の安定化に有効に寄与する。
図示例では、濃度センサ15は、ポンプ141よりも上流側に設けられている。
【0027】
濃度センサ15は、ここでは超音波式の濃度センサである。
図3(b)に示すように、この濃度センサ15は、トナー送給用管路14を流れる液体トナーが導入される濃度検出室151を内部に有する筐体152と、濃度検出室151を介して対向配置して前記筐体152に取り付けられた超音波送受信器153a、153bとを具備し、対をなす超音波送受信器153a、153bの一方(ここでは符号153aが送信器。153bは受信器)から発信した超音波が濃度検出室151内の液体トナー中を伝播する間の減衰率を測定することで、トナー濃度を計測するものである。
【0028】
図3(a)、(b)中、符号154、155はトナー送給用管路14の配管を接続する接続ポートであり、154が入口側接続ポート、155が出口側接続ポートである。入口側接続ポート154、出口側接続ポート155は、それぞれ濃度検出室151に連通されている。
この濃度センサ15は、トナー送給用管路14の配管を入口側接続ポート154、出口側接続ポート155に接続することで、トナー送給用管路14の途中に介在配置される。つまり、濃度センサ15は、トナー送給用管路14にインラインで接続される。入口側接続ポート154には、トナー送給用管路14において濃度センサ15からメインタンク11側の配管が接続され、出口側接続ポート155にはトナー送給用管路14において濃度センサ15から現像器51側の配管が接続される。これにより、入口接続ポート154から導入されたトナーが濃度検出室151を介して出口側接続ポート155から流出するようになる。
【0029】
図2に示すように、メインタンク11には、該メインタンク11内のトナー温度を、予め設定した所望温度に安定に保つための恒温装置18が設けられている。
この恒温装置18によって、メインタンク11からトナー送給用管路14に導入されるトナーの温度の安定化も図ることができる。超音波式の濃度センサ15は温度による特性変化が生じるが、恒温装置18によって濃度センサ15に導入されるトナーの温度の安定化を図ることで、濃度センサ15の特性を安定に維持できる。このため、導入されるトナー温度に対応する濃度センサ15の特性を把握しておくことで、正確な濃度計測が可能となり、濃度計測精度を向上できる。
【0030】
図2に例示した恒温装置18は、具体的には、メインタンク内11に螺旋状に配置した通水管181(メインタンク側熱交換部)に、温度調整器付き循環装置182によって、一定温度の通水を常時行うことで、メインタンク11内のトナー温度の安定化を図る構成になっている。
これにより、感光ドラム2の熱や、感光ドラム2に対する現像ローラ52のローラニップによる摩擦熱等で加温されたトナーがトナー返送用管路17からメインタンク11に戻されることによるメインタンク11内のトナー温度の上昇を防ぐことができる。
なお、恒温装置18としては、図示例の通水方式のものに限定されず、様々な構成のものを採用できることは言うまでも無い。
【0031】
また、高濃度トナー供給部12、希釈液供給部13の制御、つまり、高濃度トナー供給部12からメインタンク11への高濃度トナーの送給量、希釈液供給部13からメインタンク11への希釈液の送給量の制御により、メインタンク11内の液体トナーの液面レベルも安定に保つようにすることは、メインタンク11内のトナー安定化にも有効に寄与する。
【0032】
図示例のメインタンク11は、細長(図示例では具体的には縦長)の筒状に形成されており、その長手方向の一端側(図示例では上端部)に、高濃度トナー供給部12の管路122、希釈液供給部13の管路132、トナー返送用管路17が接続されている。トナー送給用管路14は、メインタンク11の長手方向他端側(図示例では下端部)に接続されている。恒温装置18は、メインタンク側熱交換部(図示例では通水管181)を、メインタンク11の長手方向一端部付近を除いて長手方向のほぼ全長にわたって設けられている。
【0033】
高濃度トナー供給部12の管路122、希釈液供給部13の管路132、トナー返送用管路17からメインタンク11への送液は、メインタンク11の長手方向一端部(上端部)になされる。メインタンク11内のトナー10は、メインタンク11の長手方向他端部(下端部)付近に存在するものから、順次、トナー送給用管路14によって現像器51へ送給される。このため、メインタンク11中には、概ね、長手方向一端側から他端側へのトナーの移動が生じる。高濃度トナー供給部12の管路122、希釈液供給部13の管路132、トナー返送用管路17からメインタンク11内に送給された液は、メインタンク11の長手方向一端側から他端側への移動する過程で恒温装置18による温度調整が充分になされる。
【0034】
また、このメインタンク11中でのトナーの移動距離によって、トナー10中のトナー粒子の拡散が図られ、メインタンク11からトナー送給用管路14に導入されるトナーの濃度が安定する。さらに、トナーは、トナー送給用管路14におけるメインタンク11から濃度センサ15までの流路長(管路長)によっても、トナー粒子の拡散が図られる。このことも、濃度センサ15におけるトナー濃度の計測精度の向上に寄与する。
トナー送給用管路14において、メインタンク11と濃度センサ15との間に確保した流路長(管路長L。図1参照)はトナー粒子の拡散に有効に寄与するが、メインタンク11中でのトナーの移動距離の確保によって前記管路長Lを短くすることができる。
【0035】
なお、図示例のメインタンク11には、トナー攪拌用の攪拌装置を設けていないが、攪拌装置を設けても良い。これにより、メインタンク11からトナー送給用管路14に導入されるトナーの濃度を一層安定にすることができる。また、トナー送給用管路14におけるメインタンク11と濃度センサ15との間の流路長(管路長L)の短縮にも有効に寄与する。
【0036】
以上、説明したように、このトナー供給装置1によれば、濃度センサ15によるトナー濃度の計測を正確に行え、その結果、メインタンク11内のトナー濃度制御の精度を高めることができる。これにより、従来に比べて、メインタンク11内のトナー濃度の安定維持を容易に実現でき、絵柄濃度のコントロールを正確に行えるようになる。
また、トナー濃度上昇が抑えられる結果、濃度センサ15での濃度検出誤差が低減する。
【0037】
なお、本発明では、上述の実施形態に限定されず、適宜変更が可能である。
図1では、トナー送給用管路14及びトナー返送用管路17を、現像器51のトナー収容室53に接続して、循環型トナー供給システムを組み立てた構成を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、図4に示すように、現像器51として、現像ローラ52へのトナー供給用のトナー収容室53とは別に、現像ローラ52の感光ドラム2との接触点よりも現像ローラ52の回転方向下流側(かつ、トナー収容室53よりも回転方向上流側)にて、現像ローラ52からトナーを回収する現像ローラクリーナー54を設け、このクリーナー54にトナー返送用管路17を接続し、現像ローラクリーナー54にて現像ローラ52から回収したトナーをトナー返送用管路17を介してメインタンク11へ返送する構成としても良い。
この場合は、トナー収容室53内のトナー濃度が、印刷動作に伴うトナー消費の影響、つまり、トナーによる感光ドラム2の静電潜像の現像(可視像化)に伴う希釈液、トナー粒子の消費比率の影響を受けないため、トナー収容室53内のトナー濃度の安定化を容易に実現できる、といった利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係るトナー供給装置の一実施形態を示す図であり、トナー供給装置を適用した電子写真印刷機の構成を示す正面図である。
【図2】図1のトナー供給装置を示す図である。
【図3】図1のトナー供給装置の濃度センサの一例を示す図であり、(a)は接続ポートが設置されている面(底面)から見た図、(b)濃度センサの構造を示す断面図である。
【図4】現像ローラからトナーを回収する現像ローラクリーナーに接続したトナー返送用管路を介してメインタンクにトナーを返送するように構成したトナー供給装置、これを適用した電子写真印刷機を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1…トナー供給装置、1A…電子写真印刷機、2…感光ドラム、3…帯電装置、4…露光装置、5…現像装置、52…現像ローラ、6…除電器、7…感光体クリーナー、8…転写ローラ、9…バックアップローラ、10…液体トナー、11…メインタンク、12…高濃度トナー供給部、121…高濃度トナー収容室(サブコンクトナー収容室)、122…管路、123…ポンプ、13…希釈液供給部、131…希釈液収容室、132…管路、133…ポンプ、14…トナー送給用管路、141…ポンプ、15…濃度センサ、16…制御装置、17…トナー返送用管路、171…ポンプ、18…恒温装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真印刷機の現像器に液体トナーを供給するトナー供給装置であって、
液体トナーの濃度調整用のメインタンクと、このメインタンクに高濃度トナーを供給する高濃度トナー供給部と、前記メインタンクに希釈液を供給する希釈液供給部と、前記メインタンクから前記現像器への液体トナーの送給用のトナー送給用管路の途中に設けられ該トナー送給用管路内の液体トナーの濃度を計測する濃度センサと、前記メインタンク内の液体トナーの濃度を予め設定した濃度に維持するべく、前記濃度センサによる計測濃度に基づいて、前記希釈液供給部から前記メインタンクへの希釈液の供給、前記高濃度トナー供給部から前記メインタンクへの高濃度トナーの供給を制御する制御装置とを具備することを特徴とするトナー供給装置を提供する。
【請求項2】
前記メインタンクに、恒温装置が設けられていることを特徴とする請求項1記載のトナー供給装置。
【請求項3】
前記メインタンクは細長に構成されており、その長手方向一端側に、前記希釈液供給部と、前記高濃度トナー供給部と、前記現像器のトナー収容室から前記メインタンクへのトナー返送用管路とが接続され、他端側に前記トナー送給用管路が接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載のトナー供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−163124(P2009−163124A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−2375(P2008−2375)
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【出願人】(000161057)株式会社ミヤコシ (122)
【Fターム(参考)】