説明

トナー製造用ノズルプレート、トナー製造方法およびトナー製造装置

【課題】均一な液滴の形成により、トナーの生産効率を向上し、更に流動性や帯電特性の変動の幅が極めて少ないトナーを安定的に得ることができるノズルプレートの提供、このノズルプレートを用いたトナーの製造方法およびトナー製造装置の提供。
【解決手段】樹脂及び着色剤を含むトナー組成物を分散ないし溶解させたトナー材料液を貯留する液貯留部に設けられる、ノズルが形成されたノズルプレートであって、前記ノズルプレートは、前記ノズルが設けられた前記液貯留部及び前記複数の液貯留部に前記トナー材料液を送液または前記トナー材料液中のガス抜きをするための流路がシリコンまたはシリコンとその酸化物の層を有する複合体を用いて一体に形成されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトナー製造用ノズルプレート、トナー製造方法、トナー製造装置に関し、特に噴射造粒法によってトナーを製造するためのトナー製造用ノズルプレート、トナー製造方法およびトナーの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真、静電記録、静電印刷等の静電荷像を現像するための現像剤に使用されるトナーとしては、いわゆる粉砕型トナー、懸濁重合法、乳化重合凝集法などの重合型トナーが知られている。この他に重合型トナーとして、ポリマー溶解懸濁法も知られている(特許文献1参照)。このポリマー溶解懸濁法はトナー材料を低沸点有機溶媒などの揮発性溶剤に分散、溶解させ、これを分散剤の存在する水系媒体中で乳化、液滴化した後に揮発性溶剤を除去してトナーを製造するものである。この方法によるトナーは、懸濁重合法、乳化重合凝集法と異なり、用いることのできる樹脂に汎用性が広く、特に透明性や定着後の画像部の平滑性が要求されるフルカラープロセスに有用なポリエステル樹脂を用いることができる点で優れている。
【0003】
しかしながら、上記の重合型トナーにおいては、水系媒体中で分散剤を使用することを前提としているために、トナーの帯電特性を損なう分散剤がトナー表面に残存する問題がある。またこの分散剤により環境安定性が損なわれるなどの不具合が発生したり、分散剤を除去するために大量の洗浄水を必要とするなど、問題がある。
【0004】
一方、水系媒体を用いないトナーの製造方法として、噴霧造粒法が知られている(特許文献2参照)。これはトナーの溶融液又は溶解液を、アトマイザを用いて微粒子化して放出し、乾燥させてトナー粒子を得る方法である。このため、この製造方法は水系媒体を用いることによる不具合は生じない。
【0005】
しかしながら、従来の噴霧造粒法により得られるトナー粒子は比較的粗く大きなものであり、また、粒度分布も広いため、トナーそのものの特性を劣化させる原因となっている。
【0006】
そこで、これに代わるトナーの製造方法として、圧電パルスを利用して微小液滴を形成し、さらにこれを乾燥固化してトナー化する方法が知られ、またその製造装置も提案されている(特許文献3参照)。更に、ノズル内の熱膨張を利用して微小液滴を形成し、これを造粒空間において乾燥固化してトナー化する工法が提案されている(特許文献4参照)。
【0007】
しかしながら、上述した特許文献3、4に記載のトナーの製造方法及び装置の発明では、一つの圧電体を用い一つのノズルからの液滴吐出を行うので、単位時間当たりに吐出できる液滴数が少なく、トナーの生産性が悪いという問題がある。
【0008】
その他のトナーの製造方法として、トナー溶融液または溶解液を貯留する液貯留部を加圧してノズル部から液柱を発生させ、微弱な超音波振動によってこの液柱を分断し、液滴化し、これを乾燥固化して、トナーを製造する方法及び装置が提案されている(特許文献5参照)。
【0009】
しかしながら、上述した特許文献5に記載のトナーの製造方法及び装置は、トナー溶融液または溶解液が常にノズル排出方向に一方的に加圧され、着色材(顔料)や離型材などの超微粒子がノズルを閉塞するというトナー製造に特有の問題がある。
【0010】
トナーの生産性を増大するにはノズルの数を多く設定することが望ましいが、そのためには液貯留部及び薄膜状ノズルプレートの寸法を、従前の特許技術3又は4に記載のトナーの製造装置よりも極めて大きくする必要がある。またこれらに加え、液共振現象を効率的に液貯留部内で発生するために、前記液貯留部を構成する構成部材、特に前記した複数のノズルを有する薄膜の剛性を高く保つ必要がある。
さらに、ノズルと液貯留部が別体で構成されている場合、これらを接合するため位置決め工程が必要で、歩留まりが低下し、接合部からの漏れ、接着剤の溶出等、不安定要因を増加させている。
【0011】
さらに、上述した特許文献3〜4に記載の発明では、液のしみだしや気泡巻き込みにより安定な液滴吐出が阻害されるため、トナーの生産性が上がらないという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記した従来技術が有する課題に鑑みてなされたものであり、トナーの生産効率を向上し、更に流動性や帯電特性といったトナーに求められる多くの特性値において、従前の製造方法にみられた粒子に比較して変動の幅が極めて少ないトナーを安定的に得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、液貯留部におけるノズルの配置数を増大しても均一な液滴の形成を実現できるようなノズル構成などについて鋭意検討し、本発明の完成に至った。
本発明の上記課題は、以下のような解決手段により解決される。
【0014】
(1)樹脂及び着色剤を含むトナー組成物の分散液ないし溶解液であるトナー材料液を貯留する液貯留部に設けられノズルが形成されたトナー製造用ノズルプレートであって、
前記ノズルプレートは、前記ノズルが設けられた前記液貯留部に前記トナー材料液の送液または前記トナー材料液中のガス抜きをするための流路がシリコンまたはシリコンとその酸化物の層を有する複合体を用いて前記ノズルと一体に形成されたことを特徴とする。
(2)前記(1)に記載のトナー製造用ノズルプレートにおいて、前記複合体はSOI(Silicon on insulator)ウエハーであり、前記シリコンまたは前記SOIウエハーの第1の面に前記ノズルが形成され、第2の面に前記流路が形成されることを特徴とする。
(3)前記(2)に記載のトナー製造用ノズルプレートにおいて、前記第1の面にシリコン酸化膜が形成され、さらにそのシリコン酸化膜上にフッ素系材料膜が形成されていることを特徴とする。
(4)前記(2)又は(3)に記載のトナー製造用ノズルプレートにおいて、前記第2の面にシリコン酸化膜が形成されていることを特徴とする。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載のトナー製造用ノズルプレートにおいて、前記トナー材料液を貯留する液溜からノズルへ、径が縮径していることを特徴とする。
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載のトナー製造用ノズルプレートにおいて、前記液貯留部はノズルを有する液室部に隣接して流路が配設されることを特徴とする。
(7)前記(1)〜(6)のいずれかに記載のトナーの製造用ノズルプレートにおいて、前記ノズルが設けられる液室部が前記流路の液供給用流路と連結され、前記液室と前記液供給用流路が交互に配設されることを特徴とする。
(8)前記(1)〜(7)のいずれかに記載のトナー製造用ノズルプレートを用い、前記ノズルプレートに設けられたノズルのサイズが4〜15μmであり、前記ノズルプレートに振動発生手段により20kHz以上2.0MHz未満の振動周波数を印加して前記ノズルプレートの各前記ノズルから少なくとも樹脂及び着色剤を含有するトナー材料を分散ないし溶解させた前記トナー材料液を液滴化し、前記液滴化したトナー材料液を乾燥させてトナー粒子を形成することによりトナーを製造することを特徴とするトナーの製造方法。
(9)前記(8)に記載のトナーの製造方法において、前記トナー材料液を貯留する液貯留部ごとに設けられるノズルの数は、100ないし40,000個であることを特徴とする。
(10)前記(1)〜(7)のいずれかに記載のトナー製造用ノズルプレートと、前記ノズルプレートに振動を印加させて液滴を形成する振動印加手段と、前記液滴を放出させた空間で液滴を乾燥させて固化する固化部とを有するトナー製造装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るノズルプレート、このノズルプレートを有するトナーの製造方法およびトナーの製造装置によれば、硬質部材からなるノズルを有する複数の液貯留部と前記液貯留部同士を接続し、またはトナー材料液を送液するための流路が一体に形成されたノズルプレートからトナー材料液を液滴化して放出させるようにしたので、ガス抜きされた液滴を均一なサイズで安定的に形成することが大面積において可能となり、これによってトナーを効率よく生産することができ、更にこれまでにない粒度の単一分散性を有したトナーを得ることができる。
また、本発明のトナーの製造方法および装置によれば、製造されるトナーは、流動性や帯電特性などのトナーに求められる特性値において粒子間の変動の幅が極めて少ないので、トナー粒子間の特性がほぼ均一なトナーが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のトナー製造装置の1例を示す模式図である。
【図2】図1に示したトナー製造装置に用いられる液滴吐出ユニットを示す図である。
【図3】本発明のノズルプレートを製造する製造過程を説明するための図である。
【図4】本発明のノズルプレートにおけるノズルを有する液室の4つの構成例を示す図である。
【図5】本発明のノズルプレートにおけるノズルを有する液室をテーパ状に形成した構成例を示す図である。
【図6】本発明のノズルプレートにおけるノズルを有する液室に流路214または215を形成した構成例を示す図である。
【図7】本発明のノズルプレートにおけるノズルを有する液室を流路214および流路215により連結して構成した例を示す図である。
【図8】本発明のノズルプレートにおけるノズルを有する液室を流路214および流路215により連結したノズル列と、流路列216とを設けた構成例を示す図であり、(A)はその平面図、(B)はその斜視図である。
【図9】図2の振動印加部材13を示す斜視図である。
【図10】超音波ホーンの3例の形状を示す断面図である。
【図11】図1の液滴吐出ユニットが複数個からなる液滴吐出ユニットが乾燥塔に保持されている構成を示す断面図である。
【図12】液滴吐出ユニットで液滴が形成されるメカニズムを示す断面図である。
【図13】図1に示したトナー製造装置に用いられる別の液滴吐出ユニットを示す断面図である。
【図14】図13に示す液滴吐出ユニットが複数個、乾燥塔に保持されている構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態により、添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係るトナーの製造装置について、図1に示す例を参照して説明する。
【0018】
図1に示すトナー製造装置1は、液滴吐出ユニット2と、粒子形成部3と、トナー捕集部4と、チューブ(トナー貯留配管チューブ)5と、トナー貯留部6とを有して構成される。液滴吐出ユニット2は、少なくとも樹脂及び着色剤を有するトナー材料液10を液滴化して放出する液滴化手段としての機能を有している。この液滴吐出ユニット2はトナー製造装置1の上方に配置されている。液滴吐出ユニット2から放出されたトナー材料液の液滴は、この液滴を粒子化手段としての粒子形成部3で固化してトナー粒子Tを形成する。形成されたトナー粒子Tはトナー捕集部4で捕集され、このトナー粒子Tがチューブ5を介して移送される。移送されたトナー粒子Tはトナー貯留手段としてのトナー貯留部6で貯留される。また、トナー製造装置1は、トナー材料液10を収容する原料収容部(トナー材料液収容タンク)7と、この原料収容部7内から液滴吐出ユニット2に対してトナー組成液10を送液する配管(送液管)8−1と、稼動時などにトナー材料液10を圧送供給するためのポンプ(トナー材料液供給手段)9と、液滴吐出ユニット2からの過剰なトナー組成液を原料収容部7に回収する配管(回収管)8−2を備えている。
【0019】
原料収容部7から前記したトナー材料液10が、液滴吐出ユニット2による液滴化により自給的に液滴吐出ユニット2に供給される。トナー材料液10は、装置稼働時等に、上述したように補助的にポンプ9を用いて液滴吐出ユニット2に液供給が行われる構成としている。なお、トナー材料液10は、少なくとも樹脂及び着色剤を含有するトナー組成物を、溶剤に溶解又は分散した溶液または分散液である。トナー材料液10については後述する。このようなトナー材料液10を、図示してあるように、原料収容部7からポンプ9により配管8−1を通って液滴吐出ユニット2に送液し、余剰のトナー材料液10は配管8−2を通って原料収容部7に至る循環系を構築することが最も好ましい。
以下に、トナー製造装置の液滴吐出ユニットを含む各構成を、個々に説明する。
【0020】
<液滴吐出ユニット>
1全体構成
まず液滴吐出ユニット2について図2、図8〜9を参照して説明する。図2(A)は液滴吐出ユニット2の概略断面図であり、(B)は(A)に示す液滴吐出ユニット2の各部を用いた組立図である。
【0021】
液滴吐出ユニット2は、図2に示すように、複数のノズル(吐出口)11が形成された薄膜状のノズルプレート12を有し、トナー材料液10を貯留する貯留部材111と、貯留部材111と、ノズルプレート12に所定の周波数の超音波振動を印加する振動手段13と、ノズルプレート12と振動手段13との間にトナー材料液10を供給する貯留部14を備えている。
【0022】
振動手段13と貯留部壁との間には、図7などに示すように、振動を伝達させないための、振動分離部材116bにより位置を固定されている構成が望ましい。また図2に示すように、振動手段の振動振幅の小さい節の部分17を介して壁に直接固定する形態を採用してもよい。液貯留部14には、液供給、及び液循環に用いる配管18(18−1、18−2)によりトナー材料液10が供給され、また排出される。液貯留領域19は複数の液貯留壁部14により分割されている。
【0023】
2−1:ノズルを有する薄膜
複数のノズルを有する薄膜であるノズルプレート12は、トナー材料液10に溶解しない樹脂によって貯留部材111に接合固定される。このノズルプレート12の材質には、Niもしくはシリコン、シリコンとシリコン酸化物を含む複合体(SOIを含む)などを挙げることができる。Si系材料を用いることにより、既存の半導体プロセスを用いて形状精度が高く、アスペクト比の大きいノズルを形成することが可能となる。具体的には、ノズルプレート12は、厚さが10〜600μm、吐出口の開口径が4〜15μmである。これにより、吐出口から均一な液滴Lを発生させることができる。
【0024】
厚さが10μm未満であると、剛性が小さくなって、ノズルプレート12の共振周波数が小さくなることがあり、600μmを超えると、液滴Lを吐出するためのノズル製作等を行うためのシリコンプロセスにおいて製造に時間を要することがある。また、ノズルの開口径が4μm未満であると、トナー材料液に含まれる着色剤が吐出口に沈着して、安定的に液滴Lを吐出し続けることが困難になることがあり、15μmを超えると粉体粒子形成効率が落ちる。なお、前記ノズルの開口径は、真円であれば直径を意味し、楕円であれば短径を意味する。
【0025】
このようなシリコンプロセスとしては、以下のようなノズルの断面形状を2段型とする形成方法を採用することにより、形成することができる。このような方法を実施するために用いられる材料として、シリコン基板、特にSOI(Silicon on Insulator)基板を用いることが最も望ましい。この方法を図3により、説明する。
前記した基板(好ましくはSOI基板)210の両面にレジスト220をコートする(図3の(A))。SOI基板210として、例えばシリコン層(支持層)211上に誘電体層(SiO2)212と活性層213を有する基板を用い、この基板の両面にレジスト層220をコートしたものを用意する。次いでレジスト層220がコートされたSi支持層面211上にノズルパターンが形成されたフォトマスクで覆い、紫外線で露光し、レジスト層220をノズルパターンとして形成する(図3(B))。このノズルパターンが形成されたレジスト層220の面側である支持層112の面側からICP(Induced Coupled Plasma)放電を用いた異方性ドライエッチングを行い、第1のノズル孔211aを形成し、同様な手法を用いて、レジスト層220が設けられた活性層213の面側を同様の異方性ドライエッチングを行って第2のノズル213aを活性層213に形成する(図3(C))。最後に誘電体層212の露出部(支持層211と活性層213とが誘電体層113を介して接合している部分を除く部分)を、たとえばフッ酸系エッチング液によりエッチング処理して取り除き、2段の貫通孔(211aと213aの2段構造を有するノズル)を得る(図3(D))。このような方法を採用することによって、深堀りノズル形状を均等に形成できるので、最も好ましい。なおエッチングされて形成される211側を液室側とし、活性層213側をノズルの外側と言うことにする。
【0026】
また、上記したSOI基板の代わりに、シリコン基板を用いても、同様にして、複数のノズルが形成された薄膜であるノズルプレート12を製造することができる。この場合、エッチング時間を調整することにより、開口部の深さtを調整することができる。このようにして得られたシリコン薄膜も剛性が大きいので、ノズルプレート12の共振周波数が大きくなる。なお、一般に、薄膜の剛性を大きくするためには、ノズルプレート12の厚さを大きくし、表面積を小さくすることが好ましい。
【0027】
貯留隔壁部111bは、トナー材料液10に用いられる溶剤に対して、耐溶剤性を有する樹脂等により、ノズルプレート12に接合されている。貯留隔壁部111bの材質としては、トナー材料液10に用いられる溶剤に対して、耐溶剤性を有するものであれば、特に限定されないが、金属、セラミックス、プラスチック等が挙げられる。
【0028】
一つの液室ごとの構造を、図4を用いて説明する。
図4(A)は基本的な形状であり、φLは液室(ノズル液室)211aとなる構造体の径でかつ液室(液貯留部)211aの深さtLの1/2〜1/15であり、φ(ノズル径)は4〜15μmであり、この時のt(ノズル部の厚さ)は10〜30μmが望ましい。図4(B)は撥液剤(吐出液の撥液剤)300をノズル面に塗布もしくは蒸着により形成した例を示す。また図4(C)はドライエッチングにより、活性層213を除去し、ノズル表面側の誘電体層であるSiO2層の酸化膜212を残した上に撥液剤300をノズル面に塗布もしくは蒸着により形成した例を示す。212はSiO2層の酸化膜212に形成されたノズルである。図4(D)は、裏面部(シリコン211上)にシリコン酸化膜(SiO2膜)400をデポジットして形成した構成を示している。
【0029】
また、図5は、エッチング条件を調整することにより、液室211aのφL部をテーパー状に設けた例であり、より詳細には、ノズル213aに向かって径が狭くなるように構成した例を示す。前記エッチング条件の調整は、たとえばエッチング液の温度を徐々に高く(あるいは徐々に低く)していくことによってエッチング速度を変化させたり、エッチングとデポの時間比を変えることによって制御したり、後述するハーフエッチングを行う手法を用いることによって形成することができる。このように、本発明では、液室211aを円錐台のように、円錐台に形成された液室211aの側壁をテーパー状に形成して液室を設けることができる。
【0030】
なお、シリコン酸化膜(SiO2膜)をデポジットして形成した後にあるいは誘電体層であるSiO2層212を残した場合に、これらのSiO2層またはSiO2膜上にCVDによりフッ素膜を設けたり、フッ素樹脂を用いてフッ素系材料で層を容易に形成することもできる。このようなフッ素を用いた材料を形成させることでノズル表面は表面自由エネルギーが低下させることができるので、ノズル表面に沁み出しが発生しにくく、気泡の巻き込みも抑制できる。このため、このようなノズルプレートを用いるトナー製造装置によって、安定的にトナー材料液の吐出を続行することができ、トナー製造の歩留まりを向上することができる。
【0031】
2−2:ノズルと流路と液室との一体形成
図6は液室壁面にハーフエッチングを施して流路214(215)を構成した例を示している。図7はこのようなハーフエッチングにより形成した流路を配置した一例を流路側から見た図であり、紙面左からトナー材料液を供給し(図7中の液室211aへ流入する矢印参照)、中央部の流路215を形成することにより気泡の排出効率が上がる。図8(A)はノズルプレート12の全体像を液室面からみた平面図、図8(B)はその斜視図であり、液流路214、215とノズル211a列が交互に配置されている。また図8では2段に形成されたノズル構造(液室211aとノズル213aとから構成されるノズル構造)の列と流路216との列が、交互に配置された例を示している。このようなノズルプレート12は、流路も一体に形成され、余分な接合部を省略できるため、トナー製造における歩留まりの向上を図ることができる。
【0032】
1つの液貯留部14に配置されるノズル213aは、1,000ないし40,000個とすることで、コンパクトな構成で、生産量を十分に確保することができる。なお、本発明のノズルプレートを用いたトナー製造装置により、得られるトナーの粒度分布(重量平均粒径/数平均粒径)が1.00〜1.15の範囲にあることが好ましく、トナーの重量平均粒径が1〜20μmの範囲にあることが好ましい。
【0033】
[振動手段]
振動手段13は、例えば積層型PZT(Lead Zirconium Titanate:チタン酸-ジルコン酸鉛)や、後述する超音波振動子と超音波ホーンを組み合わせたものなど、高い振幅において機械的超音波振動を液に与えることができるものであればどのようなものでも構わない。
【0034】
図2に示すように、例えば、振動を発生する振動発生手段21と、この振動発生手段21で発生した振動を増幅する振動増幅手段22とで構成され、駆動回路(駆動信号発生源)23から所要周波数の駆動電圧(駆動信号)が振動発生手段21の電極21a、21b間に印加されることによって、振動発生手段21に振動が励起され、この振動が振動増幅手段22で増幅され、ノズルプレート12と平行に配置される振動面13aが周期的に振動し、この振動面13aの振動による貯留部液の周期的な圧力振動を行う。
【0035】
ここで、振動手段13は、図9に示すように、振動発生手段21と振動増幅手段22とを結合する結合面13bの面積よりも振動増幅手段22の結合面13bと反対側の面である振動面13aの面積を広く形成している。また、振動面13aは、矩形状(ここでは「長方形」)としている。この場合、振動面113aの短辺aと長辺bの比(長辺b/短辺a)が大きいほど振動面積が大きくなる。したがって、生産性の観点から、(長辺b/短辺a)>2.0の関係で形成することが好ましい。
【0036】
[振動発生手段]
図10に示すように、振動発生手段21を構成する圧電体21Aとしては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックスが挙げられるが、一般に変位量が小さい為、積層して使用されることが多い。この他にも、圧電体21Aとして、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電高分子や、水晶、LiNbO、LiTaO、KNbO等の単結晶、などが挙げられる。
【0037】
この振動発生手段21としては、液貯留部14内トナー材料液に対して確実な縦振動を一定の周波数で与えることができるものであれば特に制限はなく、適宜選択して使用することができるが、低電圧で大面積の振動面13aを励振させることから、振動発生手段21には圧電体21Aが好ましい。
圧電体21Aは、電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換する機能を有する。
【0038】
また、振動発生手段21としては、特に高強度なボルト締めランジュバン型振動子を用いることがより好ましい。このボルト締めランジュバン型振動子は圧電体が機械的に結合されており、高振幅励振時に破損することがない。このような振動発生手段21で発生させるその振動周波数が、20kHz以上2.0MHz未満であることによって、トナー材料液内部の分散微粒子(例えば顔料微粒子)がノズル部213aに沈着することがないため好ましい。
【0039】
[振動増幅手段]
上述したような振動発生手段21と結合される振動増幅手段22としては、例えばホーン型振動増幅子を用いることができる。ホーン型振動子は、圧電素子などの振動発生手段21により発生させた振幅を振動増幅手段22としてのホーン22Aで増幅することができるため、機械的振動を発生する振動発生手段21自体による振動は小さな振動でよく、機械的負荷が軽減できるため、長寿命化につながる。
【0040】
ここで、ホーン型振動子としては、公知の代表的なホーン形状でよく、例えば図10(a)に示すようなステップ型、図10(b)に示すようなエクスポネンシャル型、図10(c)に示すようなコニカル型などを挙げることができる。これらのホーン型振動子は、ホーン22Aの面積の大きい面に圧電体21Aが配置され、圧電体21Aは縦振動を利用し、ホーン22Aの効率的な振動を誘起し、ホーン22Aに面積の小さい面を振動面13aとして、この振動面13aが最大振動面となるように設計されている。
【0041】
[液貯留部及び液貯留領域]
液貯留部の隔壁を構成する部材は金属やセラミックス、プラスチックなど一般的な材質のうち、噴霧液(トナー組成液)に溶解しない、かつ噴霧液の変性を起こさないようなもので構成される。また、液貯留部14は複数の隔壁111bによって、複数の液貯留領域14に分割される。
【0042】
[流路部]
流路部15には液貯留部14にトナー材料液を供給する液供給チューブ18−1及び気泡排出用の気泡排出チューブ(又は液循環用チューブ)18−2がそれぞれ少なくとも1箇所に接続されている。この流路部材13に取付けた図示しない支持部材によって液滴吐出ユニット2が粒子形成部3の天面部に設置保持されている。なお、ここでは図1に示すように、粒子形成部3の天面部に液滴吐出ユニット2を配置している例で説明するが、場合によっては粒子形成部3となる乾燥部側面壁などに液滴噴射ユニット2を設置する構成とすることもできる。
【0043】
[ユニット全体構成(連結)]
上記の説明では、液滴吐出ユニット2が1個だけ粒子形成部3に取付けられている例を図1で示している。また図11及び図14に示すように、複数個(4個であるが、その個数は例示であり、複数であればよい)を、液滴吐出ユニット2を粒子形成部3(乾燥塔)上部に並列に設けることが、生産性向上の観点から好ましく、その個数は100〜1,000個の範囲であることが、制御性の観点から好ましい。この場合、液滴吐出ユニット2の各液貯留部14には配管8を介して原料収容部(共通液溜め)7に通じ、トナー材料液10が供給される構成とする(図1参照)。トナー材料液10は、液滴化に伴って自給的に供給される構成とすることもできるし、また、装置稼働時等、補助的にポンプ9を用いて液循環を行う構成とすることもできる。
【0044】
(動作メカニズム)
次に、この液滴化手段としての液滴吐出ユニット2による液滴形成のメカニズムについて図12を参照して説明する。振動手段により振動面13aに発生した振動は貯留部内の液に伝達し、貯留部内の液は液共振現象を起こす。ノズルプレート12に設けられた複数のノズルにおいて、液は均質に加圧された状態で気体側(粒子形成部3(乾燥塔))に放出される。この液全体の共振の作用によって、全てのノズル11から均等に液が所定の大きさの範囲で噴出され、更には、トナー材料液に多く含有される、分散微粒子が前記薄膜の貯留部面に沈着することなく貯留部を浮遊するため、安定的に液を噴射しつづけることができる構成となっている。
【0045】
[粒子形成部]
次に、図1に戻り、トナー材料液10の液滴31を固化してトナー粒子Tを形成する粒子形成部3について説明する。ここでは、トナー材料液10として、前述したように、少なくとも樹脂及び着色剤を含有するトナー組成物を溶剤に溶解又は分散した溶液あるいは分散液を用いて液滴31を得ている。この液滴31を乾燥して固化することでトナー粒子Tを形成している。つまり、この実施形態では、粒子形成部3は液滴31の溶媒を除去することによって液滴から溶媒を発散させて固化してトナー粒子Tを形成する溶媒除去部としている(以下では、粒子形成部3を「溶媒除去部」あるいは「乾燥部」とも称する。)。
【0046】
具体的には、この粒子形成部3は、液滴吐出ユニット2の複数のノズル11から放出される液滴31を、この液滴31の飛翔方向と同方向に流れる乾燥した気体(乾燥気体)35によって搬送することで、液滴31の溶媒を除去してトナー粒子Tを形成する。なお、乾燥気体35とは、大気圧下の露点温度が−10℃以下の状態の気体を意味する。このような乾燥気体35としては、液滴31を乾燥可能な気体であればよく、例えば、空気、窒素などを用いることができる。
【0047】
次に、この粒子形成部3で形成されたトナー粒子Tを捕集するトナー捕集手段としてのトナー捕集部4について説明する。このトナー捕集部4は、粒子形成部3の粒子飛翔方向下流側に粒子形成部3に連続して設けられ、開口径が入口側(液体吐出ユニット2側)から出口側に向けて漸次縮小するテーパ面41を有している。そして、例えば、図示しない吸引ポンプなどでトナー捕集部4内から吸引を行うことによってトナー捕集部4内に下流側に向かう渦流である気流42を発生させ、この気流42によってトナー粒子Tを捕集するようにしている。このように渦流(気流42)によって遠心力を発生させてトナー粒子Tを捕集することで確実にトナー粒子Tを捕集して下流側のトナー貯留部6に移送することができる。
【0048】
このトナー捕集部4で捕集されたトナー粒子Tは、渦流(気流42)によってそのままチューブ5を介してトナー貯留部6に移送されて貯留される。この場合、トナー捕集部4、チューブ5、トナー貯留部6を導電性の材料で形成し、これらが接地されている(アースに接続されている)ことが好ましい。なお、トナー製造装置1は全体が防爆仕様であることが好ましい。また、トナー捕集部4からトナー粒子Tをトナー貯留部6に向けて圧送したり、あるいは、トナー貯留部6側からトナー粒子Tを吸い込む構成とすることもできる。
【0049】
(トナーの製造方法)
次に、このように構成したトナー製造装置1を用いて本発明に係るトナーの製造方法について説明する。前述したように液滴吐出ユニット2の液貯留部14に少なくとも樹脂及び着色剤を含有するトナー組成物を分散ないし溶解させたトナー材料液10を液貯留部14に供給した状態で、振動発生手段21に所要の駆動周波数の駆動信号を印加することによって、振動発生手段21に振動が発生し、この振動が振動増幅手段22によって増幅されて液貯留部14内のトナー材料液が共振する。
この振動手段13の振動面13aの振動が液貯留部14内のトナー材料液10に伝播されて周期的圧力変動を発生し、これによって複数のノズル11から加圧時にトナー材料液が周期的に液滴化されて液滴31として溶媒除去部としての粒子形成部3(図1参照)内に放出される。
【0050】
そして、粒子形成部3内に放出された液滴31は、粒子形成部3内で液滴31の飛翔方向と同方向に流れる乾燥気体35によって搬送される過程で、溶媒が揮発して除去され、トナー粒子Tが形成される。この粒子形成部3にて形成されたトナー粒子Tは下流側のトナー捕集部4にて気流42にて捕集され、チューブ5を介してトナー貯留部6に送られて貯留される。
【0051】
なお、この実施形態では、トナー材料液10として、少なくとも樹脂及び着色剤を含有するトナー組成物を溶剤に溶解又は分散した溶液あるいは分散液を用いて、液滴を固化する手段として、液滴に含まれる有機溶媒を溶媒除去部(粒子化手段)において乾燥気体中へ蒸発させ、乾燥による収縮固化を行ってトナー粒子を形成しているが、これに限られるものではない。
【0052】
例えば、加熱した貯留部内にトナー組成物を溶融し液状化してトナー材料液とし、これを液滴として吐出、放出した後、この液滴を冷却固化してトナー粒子を形成する構成とすることもできる。また、熱硬化性物質を含むトナー組成液を使用して、液滴として放出させた後、加熱し硬化反応させて固化してトナー粒子を形成する構成とすることもできる。
【0053】
更に、図13を参照して液滴吐出ユニットに、液滴分散用の気流を供給する気流路を設けた例を説明する。なお、図13は同液滴吐出ユニットの模式的断面説明図である。この液滴吐出ユニットは、前述した例と同様に、ホーン型振動子を振動発生手段13に用いて、この振動発生手段13の周囲を囲んでトナー材料液10を供給する流路部材15を配置し、振動発生手段13のホーン22にノズルプレート12と対向する部分に液貯留部14を形成している。さらに、流路部材15の周囲に所要の間隔を置いて気流35を流す気流路37を形成する気流路形成部材36を配置している。なお、図示を簡略化するため、ノズルプレート12のノズル11は1個で示しているが、前述したように複数個設けられている。
【0054】
また、図14に示すように、気流路を設けたユニットにおいて、複数並べることが生産性の観点から望ましい。そして、好ましくは例えば制御性の観点からは1,000〜10,000個のこの液滴吐出ユニット2を、粒子形成部3を構成する乾燥塔貯留部に並べて配置する。これにより、より生産性の向上が図れる。
【0055】
このように、液滴吐出ユニット2には複数のノズル11が設けられているので、同時に複数の液滴化されたトナー材料液の液滴31が連続的に多数放出されることから、トナーの生産効率が飛躍的に向上する。ノズルプレート12内の領域に複数のノズル11を配置することによって一度に多くの液滴31を放出することができ、液貯留部内の液が振動によってトナー材料液に存在する分散微粒子の沈着を防ぎ、ノズル11の目詰まりが発生することなく安定して効率的なトナー製造が可能になる。さらに、これまでにない粒度の単一分散性を有したトナーを得ることができるようになることが確認された。
【0056】
次に、本発明で使用できるトナー材料であるトナー組成物について説明する。
トナー組成物としては、従来の電子写真用トナーと全く同じ物が使用できる。すなわち、スチレンアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオール系樹脂、エポキシ系樹脂、等の樹脂(トナーバインダー)と、着色剤とを少なくとも有し、さらにし、離型剤などのトナー材料であるトナー組成物を有機溶剤に溶解または分散させてトナー材料液とし、前記したトナー製造方法により微小液滴をノズル11から粒子形成部3に吐出し、乾燥固化させることで、目的とするトナー粒子を作製することが可能である。また、上記トナー材料を熱溶融して混練し、得られた混練物を各種溶媒に一度溶解乃至分散してトナー材料液とし、このトナー材料液を前記トナー製造方法により微小液滴とし乾燥固化させることで、目的のトナーを得ることも可能である。
【0057】
〔トナー組成物(トナー材料)〕
前記トナー組成物としては、少なくとも樹脂と着色剤とを含有し、必要に応じて、キャリア、ワックス等のその他の成分を含有する。
【0058】
(樹脂)
トナー材料に用いられる樹脂としては、少なくとも結着樹脂が挙げられる。
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、通常使用される樹脂を適宜選択して使用することができるが、例えば、スチレン系単量体、アクリル系単量体、メタクリル系単量体等を重合したビニル重合体、これらの単量体の2種類以上を重合した共重合体、ポリエステル系重合体、ポリオール樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂、などが挙げられる。
【0059】
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−アミルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−へキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロロスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン、又はその誘導体、などが挙げられる。
【0060】
アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸、あるいはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸、又はそのエステル類、などが挙げられる。
【0061】
メタクリル系単量体としては、例えば、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸又はそのエステル類、などが挙げられる。
【0062】
前記ビニル重合体、又は共重合体を形成するのに用いられる他のモノマーの例としては、以下の(1)〜(18)が挙げられる。(1)エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフィン類;(2)ブタジエン、イソプレン等のポリエン類;(3)塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;(4)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;(5)ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;(6)ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;(7)N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;(8)、ビニルナフタリン類;(9)アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体等;(10)マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;(11)マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物などの不飽和二塩基酸無水物;(12)マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、シトラコン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノエチルエステル、シトラコン酸モノブチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、アルケニルコハク酸モノメチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、メサコン酸モノメチルエステルなどの不飽和二塩基酸のモノエステル;(13)ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸などの不飽和二塩基酸エステル;(14)クロトン酸、ケイヒ酸などのα,β−不飽和酸;(15)クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物などのα,β−不飽和酸無水物;(16)該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物、アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルなどのカルボキシル基を有するモノマー;(17)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;(18)4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルへキシル)スチレンなどのヒドロキシ基を有するモノマー。
【0063】
本発明に係るトナーにおいて、結着樹脂に用いられるビニル重合体、又は共重合体は、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。この場合に用いられる架橋剤としては、以下のものが挙げられる。ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ジビニル化合物、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、これらの化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものなどのアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、これらの化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたものなどのエーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類。
【0064】
その他、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物またはジメタクリレート化合物も挙げられる。さらに、商品名MANDA(日本化薬社製)などのポリエステル型ジアクリレート類も挙げられる。
【0065】
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のトリアクリレートをトリメタクリレート、トリアリルシアヌレートまたはトリアリルトリメリテートに代えたものが挙げられる。
【0066】
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100質量部に対して、0.01〜10質量部用いることが好ましく、0.03〜5質量部用いることがより好ましい。これらの架橋剤のうち、トナー用樹脂に定着性、耐オフセット性を上げる観点から、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を1つ含む結合鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が好適に挙げられる。これらの中でも、スチレン系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体となるようなモノマーの組み合わせが好ましい。
【0067】
本発明のトナーに使用される結着樹脂においてビニル重合体又は共重合体の製造に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート、1,1'−アゾビス(1−シクロへキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2',4'−ジメチル−4'−メトキシバレロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパ−オキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロへキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジークミルパーオキサイド、α−(tert−ブチルパーオキシ)イソプロピルべンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルへキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−エトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロへキシルスルホニルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサレート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルオキシベンゾエ−ト、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキアリルカーボネート、イソアミルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキシへキサハイドロテレフタレート、tert−ブチルパーオキシアゼレート、などが挙げられる。
【0068】
結着樹脂がスチレン−アクリル系樹脂の場合、樹脂成分のテトラヒドロフラン(THF)に可溶分のGPC(Gel Permeation Chromatography)による分子量分布で、分子量3千〜5万(数平均分子量換算)の領域に少なくとも1つのピークが存在し、分子量10万以上の領域に少なくとも1つのピークが存在する樹脂が、定着性、オフセット性、保存性の点で好ましい。また、THF可溶分としては、分子量分布10万以下の成分が50〜90重量%となるような結着樹脂が好ましく、分子量5千〜3万の領域にメインピークを有する結着樹脂がより好ましく、5千〜2万の領域にメインピークを有する結着樹脂が最も好ましい。
【0069】
本発明のトナーに用いられる結着樹脂及び結着樹脂を含む組成物は、トナー保存性の観点から、ガラス転移温度(Tg)が35〜80℃であるのが好ましく、40〜75℃であるのがより好ましい。Tgが35℃より低いと高温雰囲気下でトナーが劣化しやすく、また定着時にオフセットが発生しやすくなることがある。また、Tgが80℃を超えると、定着性が低下することがある。
【0070】
本発明のトナーは、磁性トナーであるか非磁性トナーであり、磁性トナーの場合は磁性体が含有されている。
使用できる磁性体としては、例えば、(1)マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄、(2)鉄、コバルト、ニッケル等の金属、又は、これらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、錫、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等の金属との合金。(3)及びこれらの混合物、などが用いられる。
【0071】
磁性体として具体的に例示すると、Fe4、γ−Fe、ZnFe、YFe12、CdFe、GdFe12、CuFe、PbFe12O、NiFe、NdFeO、BaFe1219、MgFe、MnFe、LaFeO、鉄粉、コバルト粉、ニッケル粉、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも特に、四三酸化鉄、γ−三二酸化鉄の微粉末が好適に挙げられる。
【0072】
また、異種元素を含有するマグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄、又はその混合物も使用できる。異種元素を例示すると、例えば、リチウム、ベリリウム、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、ゲルマニウム、ジルコニウム、錫、イオウ、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、などが挙げられる。好ましい異種元素としては、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、又はジルコニウムから選択される。異種元素は、酸化鉄結晶格子の中に取り込まれていてもよいし、酸化物として酸化鉄中に取り込まれていてもよいし、又は表面に酸化物あるいは水酸化物として存在していてもよいが、酸化物として含有されているのが好ましい。
【0073】
前記異種元素は、磁性体生成時にそれぞれの異種元素の塩を混在させ、pH調整により、粒子中に取り込むことができる。また、磁性体粒子生成後にpH調整、あるいは各々の元素の塩を添加しpH調整することにより、粒子表面に析出することができる。
【0074】
前記磁性体の使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、磁性体10〜200質量部が好ましく、20〜150質量部がより好ましい。これらの磁性体の個数平均粒径としては、0.1〜2μmが好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましい。前記個数平均径は、透過電子顕微鏡により拡大撮影した写真をデジタイザー等で測定することにより求めることができる。
【0075】
また、磁性体の磁気特性としては、10Kエルステッド印加での磁気特性がそれぞれ、抗磁力20〜150エルステッド、飽和磁化50〜200emu/g、残留磁化2〜20emu/gのものが好ましい。
前記磁性体は、着色剤としても使用することができる。
【0076】
(着色剤)
トナー用材料として用いられる着色剤としては、特に制限はなく、通常使用される樹脂を適宜選択して使用することができるが、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びこれらの混合物、などが挙げられる。
【0077】
前記着色剤の含有量としては、トナー材料(固形分換算)に対して1〜15質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。
【0078】
本発明に係るトナーで用いる着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチの形態で用いることもできる。マスターバッチの製造またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、先にあげた変性、未変性ポリエステル樹脂の他に、例えば、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0079】
前記マスターバッチは、マスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練して得ることができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いることができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを、樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法により作成されるマスターバッチも、着色剤のウエットケーキをそのまま用いる事ができるため、乾燥する必要がなく、好適に使用される。混合混練するには、3本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に使用される。
【0080】
前記マスターバッチの使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましい。
【0081】
また、前記マスターバッチ用の樹脂は、酸価が30mgKOH/g以下、アミン価が1〜100mgKOH/gで、着色剤を分散させて使用することが好ましく、酸価が20mgKOH/g以下、アミン価が10〜50mgKOH/gで、着色剤を分散させて使用することがより好ましい。酸価が30mgKOH/gを超えると、高湿下での帯電性が低下し、顔料分散性も不十分となることがある。また、アミン価が1mgKOH/g未満であるとき、及び、アミン価が100mgKOH/gを超えるときにも、顔料分散性が不十分となることがある。なお、酸価はJIS K0070に記載の方法により測定することができ、アミン価はJIS K7237に記載の方法により測定することができる。
【0082】
(分散剤)
またトナー用材料に、分散剤を用いることができ、このような分散剤としては、顔料分散性の点で、結着樹脂との相溶性が高いことが好ましく、具体的な市販品としては、「アジスパーPB821」、「アジスパーPB822」(味の素ファインテクノ社製)、「Disperbyk−2001」(ビックケミー社製)、「EFKA−4010」(EFKA社製)、などが挙げられる。
【0083】
前記分散剤は、トナー中に、着色剤に対して0.1〜10質量%の割合で配合することが好ましい。配合割合が0.1質量%未満であると、顔料分散性が不十分となることがあり、10質量%より多いと、高湿度下での帯電性が低下することがある。
【0084】
前記分散剤の重量平均分子量は、GPCにおけるスチレン換算分子量における、メインピークの分子量で、500〜100000が好ましく、顔料分散性の観点から、3000〜100000がより好ましい。特に、5000〜50000が好ましく、5000〜30000が最も好ましい。分子量が500未満であると、極性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがあり、分子量が100000を超えると、溶剤との親和性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがある。
【0085】
〔その他の成分〕
<キャリア>
本発明に係るトナーは、キャリアと混合して2成分現像剤として使用してもよい。前記キャリアとしては、通常のフェライト、マグネタイト等のキャリアも樹脂コートキャリアも使用することができる。
前記樹脂コートキャリアは、キャリアコア粒子とキャリアコア粒子表面を被覆(コート)する樹脂である被覆材からなる。
【0086】
該被覆材に使用する樹脂としては、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン−アクリル系樹脂、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素含有樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂が好適に挙げられる。この他にも、アイオモノマー樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等のキャリアの被覆(コート)材として使用できる樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、樹脂中に磁性粉が分散されたバインダー型のキャリアコアも用いることができる。
【0087】
樹脂コートキャリアにおいて、キャリアコアの表面を少なくとも樹脂被覆剤で被覆する方法としては、樹脂を溶剤中に溶解若しくは懸濁せしめて塗布したキャリアコアに付着せしめる方法、あるいは単に粉体状態で混合する方法が適用できる。
【0088】
前記樹脂コートキャリアに対する樹脂被覆材の割合としては、適宜決定すればよいが、樹脂コートキャリアに対し0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜1質量%がより好ましい。
【0089】
2種以上の混合物の被覆(コート)剤で磁性体を被覆する使用例としては、(1)酸化チタン微粉体100質量部に対してジメチルジクロロシランとジメチルシリコーンオイル(質量比1:5)の混合物12質量部で処理したもの、(2)シリカ微粉体100質量部に対してジメチルジクロロシランとジメチルシリコーンオイル(質量比1:5)の混合物20質量部で処理したものが挙げられる。
【0090】
前記樹脂中、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、含フッ素樹脂とスチレン系共重合体との混合物、シリコーン樹脂が好適に使用され、特にシリコーン樹脂が好ましい。
含フッ素樹脂とスチレン系共重合体との混合物としては、例えば、ポリフッ化ビニリデンとスチレン−メタクリ酸メチル共重合体との混合物、ポリテトラフルオロエチレンとスチレン−メタクリル酸メチル共重合体との混合物、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合(共重合体質量比10:90〜90:10)とスチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体(共重合質量比10:90〜90:10)とスチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体質量比20〜60:5〜30:10:50)との混合物が挙げられる。
【0091】
シリコーン樹脂としては、含窒素シリコーン樹脂及び含窒素シランカップリング剤と、シリコーン樹脂とが反応することにより生成された、変性シリコーン樹脂が挙げられる。
キャリアコアの磁性材料としては、例えば、フェライト、鉄過剰型フェライト、マグネタイト、γ−酸化鉄等の酸化物や、鉄、コバルト、ニッケルのような金属、又はこれらの合金を用いることができる。
【0092】
また、これらの磁性材料に含まれる元素としては、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムが挙げられる。これらの中でも特に、銅、亜鉛、及び鉄成分を主成分とする銅−亜鉛−鉄系フェライト、マンガン、マグネシウム及び鉄成分を主成分とするマンガン−マグネシウム−鉄系フェライトが好適に挙げられる。
【0093】
前記キャリアの抵抗値としては、キャリアの表面の凹凸度合い、被覆する樹脂の量を調整して10〜1010Ω・cmにするのがよい。
【0094】
前記キャリアの粒径としては、4〜200μmのものが使用できるが、10〜150μmが好ましく、20〜100μmがより好ましい。特に、樹脂コートキャリアは、50%粒径が20〜70μmであることが好ましい。
【0095】
2成分系現像剤では、キャリア100質量部に対して、本発明のトナー1〜200質量部で使用することが好ましく、キャリア100質量部に対して、トナー2〜50質量部で使用するのがより好ましい。
【0096】
<ワックス>
また、本発明では、結着樹脂、着色剤とともに離型剤として、ワックスを含有させることもできる。
ワックスとしては、特に制限はなく、通常使用されるものを適宜選択して使用することができるが、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス、酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合体、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、木ろう、ホホバろう等の植物系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス、オゾケライト、セレシン、ペテロラタム等の鉱物系ワックス、モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類。脱酸カルナウバワックスの等の脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの、などが挙げられる。
【0097】
前記ワックスの例としては、更に、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に直鎖のアルキル基を有する直鎖アルキルカルボン酸類等の飽和直鎖脂肪酸、プランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸等の不飽和脂肪酸、ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウピルアルコール、セリルアルコール、メシリルアルコール、あるいは長鎖アルキルアルコール等の飽和アルコール、ソルビトール等の多価アルコール、リノール酸アミド、オレフィン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド、メチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N'−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N'−ジオレイルセパシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド類、m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸等のビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス、ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化合物、植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
【0098】
より好適な離型剤の例としては、オレフィンを高圧下でラジカル重合したポリオレフィン、高分子量ポリオレフィン重合時に得られる低分子量副生成物を精製したポリオレフィン、低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒の如き触媒を用いて重合したポリオレフィン、放射線、電磁波又は光を利用して重合したポリオレフィン、高分子量ポリオレフィンを熱分解して得られる低分子量ポリオレフィン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ジントール法、ヒドロコール法、アーゲ法等により合成される合成炭化水素ワックス、炭素数1個の化合物をモノマーとする合成ワックス、水酸基又はカルボキシル基の如き官能基を有する炭化水素系ワックス、炭化水素系ワックスと官能基を有する炭化水素系ワックスとの混合物、これらのワックスを母体としてスチレン、マレイン酸エステル、アクリレート、メタクリレート、無水マレイン酸の如きビニルモノマーでグラフト変性したワックスが挙げられる。
【0099】
また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は溶液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたもの(分子量分布の狭いもの)や、低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも好ましく用いられる。
【0100】
前記ワックス(離型剤)の融点としては、定着性と耐オフセット性のバランスを取るために、70〜140℃であることが好ましく、70〜120℃であることがより好ましい。70℃未満では耐ブロッキング性が低下することがあり、140℃を超えると耐オフセット効果が発現しにくくなることがある。
【0101】
また、2種以上の異なる種類のワックスを併用することにより、ワックスの作用である可塑化作用と離型作用を同時に発現させることができる。
【0102】
可塑化作用を有するワックスの種類としては、例えば、融点の低いワックス、分子の構造上に分岐のあるものや極性基を有する構造のもの、などが挙げられる。
【0103】
離型作用を有するワックスとしては、融点の高いワックスが挙げられ、その分子の構造としては、直鎖構造のものや、官能基を有さない無極性のものが挙げられる。使用例としては、2種以上の異なるワックスの融点の差が10℃〜100℃のものの組み合わせや、ポリオレフィンとグラフト変性ポリオレフィンの組み合わせ、などが挙げられる。
【0104】
2種のワックスを選択する際には、同様構造のワックスの場合は、相対的に、融点の低いワックスが可塑化作用を発揮し、融点の高いワックスが離型作用を発揮する。この時、融点の差が10〜100℃の場合に、機能分離が効果的に発現する。10℃未満では機能分離効果が表れにくいことがあり、100℃を超える場合には相互作用による機能の強調が行われにくいことがある。このとき、機能分離効果を発揮しやすくなる傾向があることから、少なくとも一方のワックスの融点が70〜120℃であることが好ましく、70〜100℃であることがより好ましい。
【0105】
前記ワックスは、相対的に、枝分かれ構造のものや官能基などの極性基を有するものや主成分と異なる成分で変性されたものが可塑作用を発揮し、より直鎖構造のものや官能基を有さない無極性のものや未変性のストレートなものが離型作用を発揮する。好ましい組み合わせとしては、エチレンを主成分とするポリエチレンホモポリマー又はコポリマーとエチレン以外のオレフィンを主成分とするポリオレフィンホモポリマー又はコポリマーの組み合わせ、ポリオレフィンとグラフト変成ポリオレフィンの組み合わせ、アルコールワックス、脂肪酸ワックス又はエステルワックスと炭化水素系ワックスの組み合わせ、フィッシャートロプシュワックス又はポリオレフィンワックスとパラフィンワックス又はマイクロクリスタルワックスの組み合わせ、フィッシャートロプシュワックスとポリオレフィンワックスの組み合わせ、パラフィンワックスとマイクロクリスタルワックスの組み合わせ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス又はモンタンワックスと炭化水素系ワックスの組み合わせが挙げられる。
【0106】
いずれの場合においても、トナー保存性と定着性のバランスをとりやすくなることから、トナーのDSC測定において観測される吸熱ピークにおいて、70〜110℃の領域に最大ピークのピークトップ温度があることが好ましく、70〜110℃の領域に最大ピークを有しているのがより好ましい。
【0107】
前記ワックスの総含有量としては、結着樹脂100質量部に対し、0.2〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
【0108】
本発明では、DSC(Differential Scanning Calorimetry)において測定されるワックスの吸熱ピークの最大ピークのピークトップの温度をもってワックスの融点とする。
【0109】
前記ワックス又はトナーのDSC測定機器としては、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定することが好ましい。測定方法としては、ASTM D3418−82に準じて行う。本発明に用いられるDSC曲線は、1回昇温、降温させ前履歴を取った後、温度速度10℃/minで、昇温させた時に測定されるものを用いる。
【0110】
<流動性向上剤>
本発明に係るトナーには、流動性向上剤を添加してもよい。該流動性向上剤は、トナー表面に添加することにより、トナーの流動性を改善(流動しやすく)するものである。
【0111】
前記流動性向上剤としては、例えば、カーボンブラック、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末、湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉未酸化チタン、微粉未アルミナ、それらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤若しくはシリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカ,処理酸化チタン,処理アルミナ、などが挙げられる。これらの中でも、微粉末シリカ、微粉未酸化チタン、微粉未アルミナが好ましい。また、これらをシランカップリング剤やシリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカが更に好ましい。
【0112】
前記流動性向上剤の粒径としては、平均一次粒径として、0.001〜2μmであることが好ましく、0.002〜0.2μmであることがより好ましい。
【0113】
前記微粉末シリカは、ケイ素ハロゲン化含物の気相酸化により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。
【0114】
ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば、AEROSIL(日本アエロジル社商品名、以下同じ)−130、−300、−380、−TT600、−MOX170、−MOX80、−COK84:Ca−O−SiL(CABOT社商品名、以下同じ)−M−5、−MS−7、−MS−75、−HS−5、−EH−5、Wacker HDK(WACKER−CHEMIE社商品名、以下同じ)−N20 V15、−N20E、−T30、−T40:D−CFineSi1ica(ダウコーニング社商品名):Franso1(Fransi1社商品名)、などが挙げられる。
【0115】
さらに、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体を疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が好ましくは30〜80%の値を示すシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。疎水化は、シリカ微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的あるいは物理的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する方法がよい。
【0116】
有機ケイ素化合物としては、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルビニルクロロシラン、ジビニルクロロシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、へキサメチルジシラン、トリメチルシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルフェニルジクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ブロモメチルジメチルクロロシラン、α−クロルエチルトリクロロシラン、β−クロロエチルトリクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、へキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン及び1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し、未端に位置する単位にそれぞれSiに結合した水酸基を0〜1個含有するジメチルポリシロキサン等が挙げられる。更に、ジメチルシリコーンオイルの如きシリコーンオイルが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0117】
流動性向上剤の個数平均粒径としては、5〜100nmになるものが好ましく、5〜50nmになるものがより好ましい。
【0118】
BET法で測定した窒素吸着による比表面積としては、30m/g以上が好ましく、60〜400m/gがより好ましい。
表面処理された微粉体としては、20m/g以上が好ましく、40〜300m/gがより好ましい。
【0119】
これらの微粉体の適用量としては、トナー粒子100質量部に対して0.03〜8質量部が好ましい。
【0120】
本発明に係るトナーには、他の添加剤として、静電潜像担持体・キャリアの保護、クリーニング性の向上、熱特性・電気特性・物理特性の調整、抵抗調整、軟化点調整、定着率向上等を目的として、各種金属石けん、フッ素系界面活性剤、フタル酸ジオクチルや、導電性付与剤として酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化アンチモン等や、酸化チタン、酸化アルミニウム、アルミナ等の無機微粉体などを必要に応じて添加することができる。これらの無機微粉体は、必要に応じて疎水化してもよい。また、ポリテトラフルオロエチレン、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデン等の滑剤、酸化セシウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム等の研磨剤、ケーキング防止剤、更に、トナー粒子と逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子とを、現像性向上剤として少量用いることもできる。
これらの添加剤は、帯電量コントロール等の目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物等の処理剤、又は種々の処理剤で処理することも好ましい。
【0121】
現像剤を調製する際には、現像剤の流動性や保存性、現像性、転写性を高めるために、先に挙げた疎水性シリカ微粉末等の無機微粒子などを外添剤として添加混合してもよい。このような外添剤の混合は、一般の粉体の混合機を適宜選択して使用することができるが、ジャケット等を装備して、内部の温度を調節できるもので混合することが好ましい。外添剤に与える負荷の履歴を変えるには、途中でまたは漸次、外添剤を加えていけばよいし、混合機の回転数、転動速度、時間、温度などを変化させてもよく、はじめに強い負荷を、次に比較的弱い負荷を与えても良いし、その逆でも良い。
【0122】
使用できる混合機の例としては、例えば、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、などが挙げられる。
【0123】
使用するトナーの形状をさらに調節する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ハイブリタイザー、メカノフュージョン等を用いて、機械的にトナーの形状を球形化する方法などが挙げられる。
【0124】
前記外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。
前記無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、などを挙げることができる。
前記無機微粒子の一次粒子径は、5nm〜2μmであることが好ましく、5nm〜500nmであることがより好ましい。
【0125】
前記BET法による比表面積は、20〜500m/gであることが好ましい。
【0126】
前記無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5質量%であることが好ましく、0.01〜2.0質量%であることがより好ましい。
【0127】
この他、高分子系微粒子たとえばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
【0128】
このような外添剤は、表面処理剤により、疎水性を上げ、高湿度下においても外添剤自身の劣化を防止することができる。
【0129】
前記表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、などが好適に挙げられる。
【0130】
前記無機微粒子の一次粒子径としては、5nm〜2μmであることが好ましく、5nm〜500nmであることがより好ましい。また、BET法による比表面積としては、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合としては、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、0.01〜2.0重量%であることがより好ましい。
【0131】
静電潜像担持体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合によって製造されたポリマー微粒子、などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01から1μmのものが好ましい。
【0132】
本発明におけるトナーを用いた現像方法は、従来の電子写真法に使用する静電潜像担持体が全て使用できるが、例えば、有機静電潜像担持体、非晶質シリカ静電潜像担持体、セレン静電潜像担持体、酸化亜鉛静電潜像担持体、などが好適に使用可能である。
【実施例】
【0133】
以下、実施例により本発明について詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に何ら限定されるものではない。
【0134】
〔実施例1〕
−着色剤分散液の調製−
先ず、着色剤としての、カーボンブラックの分散液を調製した。
カーボンブラック(Regal400;Cabot社製)17質量部と、顔料分散剤3質量部を、酢酸エチル80質量部に、攪拌羽を有するミキサーを使用し、一次分散させた。該顔料分散剤として、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ社製)を使用した。得られた一次分散液を、ダイノーミルを用いて強力なせん断力により細かく分散し、5μm以上の凝集体を完全に除去した二次分散液である着色剤分散液を調製した。
【0135】
−ワックス分散液の調整−
次にワックス分散液を以下のように調整した。
カルナウバワックス18質量部と、ワックス分散剤2質量部を、酢酸エチル80質量部に攪拌羽を有するミキサーを使用し、一次分散させた。この一次分散液を攪拌しながら80℃まで昇温しカルナウバワックスを溶解した後、室温まで液温を下げ最大径が3μm以下となるようワックス粒子を析出させた。ワックス分散剤として、ポリエチレンワックスにスチレン−アクリル酸ブチル共重合体をグラフト化したものを使用した。得られた分散液を、更にダイノーミルを用いて強力なせん断力により細かく分散し、最大径が2μm以下になるようワックス分散液を調整した。
【0136】
−トナー組成物分散液(トナー材料液)の調製−
次に、結着樹脂としての樹脂、上記着色剤分散液及び上記ワックス分散液を添加した下記組成からなるトナー組成分散液を調製した。
結着樹脂としてのポリエステル樹脂100質量部と、前記着色剤分散液30質量部と、ワックス分散液30質量部を、酢酸エチル840質量部に、攪拌羽を有するミキサーを使用して10分間攪拌を行い、均一に分散させた。溶媒希釈によるショックで顔料やワックス粒子が凝集することはなかった。なお、このトナー組成物分散液の電気伝導度は1.8×10−7S/mであった。
【0137】
−トナーの作製−
得られたトナー組成物分散液(トナー組成液)を、前述したトナーの製造装置の液滴吐出ユニット2に供給した。上述の方法により500μm厚のSOI基板に、図3(D)に示す2段形状(凸形状)のものとして形成し、開口部213aの直径が8.5μmとし、開口部213aの直径を100μmとし、開口部213aを液が放出される側として用いた。各吐出孔間の距離が100μmとなるように千鳥格子状にノズルを設けた。液貯留部は均等分割された液貯留領域で構成されているものを用いた。本実施例で用いた加振周波数及び液貯留部の構成を以下に示す。尚、振動手段に与えた電圧波形は全てサイン波であった。また、図2に示した液滴吐出ユニットは、1つのみ設けたものを用い、評価を行なった。
<液貯留部構成及び駆動周波数>
加振周波数:32.7kHz
液貯留部分割数(液貯留領域の個数(液室の個数)):6
液貯留部長手方向寸法A:8mm
液貯留部短手方向寸法B:8mm
1の液貯留領域当りのノズル数:480
気流路より供給される気流の流量:ノズル近傍における平均線速度
20m/s
【0138】
トナー組成物分散液調製後、装置内乾燥窒素ガスを30.0L/分とした条件で液滴を吐出させた後、該液滴を乾燥固化することにより、トナー母体粒子を作製した。
乾燥固化したトナー母体粒子は、サイクロン捕集した後、疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)1.0質量%をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて外添処理を行い、ブラックトナーを得た。
トナー粒子を捕集し、このトナー粒子の粒度分布をフロー式粒子像解析装置(FPIA−2000)で下記に示す測定条件において測定した。その結果、重量平均粒径(D4)は5.3μm、個数平均粒径(Dn)が5.1μmであった。また、1時間の運転で得られたトナー粒子の量は9.8gであった。
【0139】
−トナーの評価−
得られたトナーについて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
<粒度分布>
フロー式粒子像分析装置(Flow Particle Image Analyzer)を使用した測定方法に関して以下に説明する。
トナー、トナー粒子及び外添剤のフロー式粒子像分析装置による測定は、例えば、東亜医用電子社製のフロー式粒子像分析装置FPIA−2000を用いて測定することができる。
測定は、フィルターを通して微細なごみを取り除き、その結果として10−3cmの水中に測定範囲(例えば、円相当径0.60μm以上159.21μm未満)の粒子数が20個以下の水10ml中にノニオン系界面活性剤(和光純薬社製、コンタミノンN)を数滴加え、更に、測定試料を5mg加え、超音波分散器(STM社製、UH−50)で20kHz、50W/10cmの条件で1分間分散処理を行い、さらに、合計5分間の分散処理を行い測定試料の粒子濃度が4000〜8000個/10−3cm(測定円相当径範囲の粒子を対象として)の試料分散液を用いて、0.60μm以上159.21μm未満の円相当径を有する粒子の粒度分布を測定する。
試料分散液は、フラットで偏平な透明フローセル(厚み約200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させる。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するために、ストロボとCCDカメラがフローセルを挟むように、このフローセルに対して、相互に反対側に位置するように装着される。試料分散液が流れている間に、ストロボ光が1/30秒間隔で照射され、その結果、フローセルを流れているそれぞれの粒子は、フローセルに平行な一定範囲(の面積)を有する2次元画像として撮影される。それぞれの粒子の2次元画像の面積から、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。
上記した方法により、約1分間で、1200個以上の粒子の円相当径を測定することができ、円相当径分布に基づく数及び規定された円相当径を有する粒子の割合(個数%)を測定できる。結果(頻度%及び累積%)は、表1に示す通り、0.06−400μmの範囲を226チャンネル(1オクターブに対し30チャンネルに分割)に分割して得ることができる。実際の測定では、円相当径が0.60μm以上159.21μm未満の範囲で粒子の測定を行う。
【0140】
<細線再現性>
現像剤を、市販の複写機(イマジオネオ271;リコー社製)の現像器部分を改良した改造機に入れ、画像占有率7%の印字率でリコー社製6000ペーパーを用いてランニングを実施した。そのときの初期10枚目の画像と3万枚目の画像の細線部を原稿と比較し、光学顕微鏡を用い100倍で拡大観察し、ラインの抜けの状態を段階見本と比較しながら4段階(◎、○、△および×)で評価した。
◎>○>△>×の順に画像品質が高い。特に「×」の評価は製品として採用できないレベルである。
負帯電極性のトナーの場合には有機静電潜像担持体を使用し、正帯電極性のトナーの場合には非晶質シリコーン静電潜像担持体を使用した。
【0141】
現像方法において、現像剤としてトナーとキャリアからなる2成分現像剤を用いた。すなわち、この現像剤の搬送手段であるキャリアとして、従来の電子写真で使用される樹脂コートキャリアを使用した。キャリアとしては以下のものを用いた。
〔キャリア〕
芯材:平均粒径50μmの球形フェライト粒子
コート材構成材料:シリコーン樹脂
シリコーン樹脂をトルエンに分散した分散液を調整後、加温状態にて上記芯材にこの分散液をスプレーコートし、焼成、冷却後、平均コート樹脂膜の厚みが0.2μmのキャリア粒子を作成した。
【0142】
〔実施例2〕
実施例1において、ノズルを100μmピッチで格子状に配置し、1の液貯留領域あたりのノズルの数を6,400とした以外はすべて実施例1と同じ条件で目的トナーを得た。
【0143】
実施例1と同様にしてトナー粒子の粒度分布を測定したところ、重量平均粒径(D4)は5.4μm、個数平均粒径(Dn)が5.2μmであった。また、1時間当たりに生産されたトナーの量は320gであった。
【0144】
〔実施例3〕
実施例1において、ノズルを100μmピッチで千鳥状配置し、1の液貯留領域あたりのノズルの数を7,390とした以外はすべて実施例1と同じ条件で目的トナーを得た。
<液貯留部構成及び駆動周波数>
加振周波数:32.7kHz
液貯留部分割数(液貯留領域の個数(液室の個数?)):6
液貯留部長手方向寸法A:8mm
液貯留部短手方向寸法B:8mm
1の液貯留領域当りのノズル数:7,390
気流路より供給される気流の流量:ノズル近傍における平均線速度
20m/s
【0145】
実施例1と同様にしてトナー粒子の粒度分布を測定したところ、重量平均粒径(D4)は5.4μm、個数平均粒径(Dn)が5.2μmであった。また、1時間当たりに生産されたトナーの量は382gであった。
【0146】
〔実施例4〕
実施例3において、加振周波数を40.2kHzとした以外はすべて実施例3と同じ条件で目的トナーを得た。
【0147】
実施例1と同様にしてトナー粒子の粒度分布を測定したところ、重量平均粒径(D4)は5.2μm、個数平均粒径(Dn)が5.0μmであった。また、1時間当たりに生産されたトナーの量は465gであった。
【0148】
〔実施例5〕
実施例3において、加振周波数を57.3kHzとした以外はすべて実施例3と同じ条件で目的トナーを得た。
【0149】
実施例1と同様にしてトナー粒子の粒度分布を測定したところ、重量平均粒径(D4)は5.2μm、個数平均粒径(Dn)が5.0μmであった。また、1時間当たりに生産されたトナーの量は668gであった。
【0150】
〔比較例1〕
実施例3において、ノズルプレートを、ノズル出口径がΦ10μmとなるように電鋳法により形成した50μm厚さのニッケルとし、加振周波数を60kHzとした以外はすべて実施例3と同じ条件で目的トナーを得た。
【0151】
実施例1と同様に、トナー粒子の粒度分布を測定したところ、重量平均粒径(D4)は5.6μm、個数平均粒径(Dn)が5.0μmであった。また、1時間当たりに生産されたトナーの量は227gであった。
【0152】
【表1】

【0153】
表1に示すように、本発明により効率よくトナー化することが可能となり、またそのトナー特性も極めて良好なことが判った。
比較例1においては、実施例3と同じノズル数を、極めて薄いニッケル製のノズルに形成したが、ニッケル製の薄膜が振動モードを持ち、まばらな液吐出となってしまっただけでなく、液滴のサイズもばらつきを持った。その結果、粒度分布が悪化したものと考えられる。
【0154】
本発明で作製したトナーを用いて現像を行い得られた画像は、静電潜像に忠実な極めて画像品質に優れたものであった。
本発明のトナーの製造方法は、トナーを効率よく生産することができ、更に製造されたトナーは、これまでにない粒度の単一分散性を有した粒子であることにより、流動性や帯電特性などのトナーに求められる多くの特性値において、これまでの製造方法にみられた粒子による変動の幅が全くないか、非常に少ない、電子写真、静電記録、静電印刷等における静電荷像を現像するための現像剤に使用可能である。
【符号の説明】
【0155】
1 トナー製造装置
2 液滴吐出ユニット
3 粒子形成部(乾燥塔)
4 トナー捕集部
5 トナー貯留配管チューブ
6 トナー貯留部
7 トナー材料液貯留タンク
8 配管
8−1 配管(入力側配管)
8−2 配管(排出側配管)
9 トナー材料液供給手段(ポンプ)
10 トナー材料液
11 ノズル
12 ノズルプレート
13 振動手段
13a 振動面
13b 結合面
14 液貯留部
15 流路部
17 節
18 配管
18−1 入力側配管
18−2 排出側配管
19 貯留部
21 振動発生手段(超音波振動子)
22 超音波ホーン
23 超音波用電源部
31 液滴
35 乾燥気体
36 固定部材
37 気流路
111 貯留部材
111b 貯留隔壁部
113 振動分離部材
114 固定部材
210 SOI基板
211 支持層
211a 液室(ノズル液室)
212 誘電体層
213 活性層
213a 開口部(ノズル)
214、215、216 流路
300 撥液剤
400 シリコン酸化膜
T トナー母体粒子
【先行技術文献】
【特許文献】
【0156】
【特許文献1】特開平7−152202号公報
【特許文献2】特開昭54−80752号公報
【特許文献3】特許第3786034号公報
【特許文献4】特許第3786035号公報
【特許文献5】特開2007−199463号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂及び着色剤を含むトナー組成物の分散液ないし溶解液であるトナー材料液を貯留する液貯留部に設けられノズルが形成されたトナー製造用ノズルプレートであって、
前記ノズルプレートは、前記ノズルが設けられた前記液貯留部に前記トナー材料液の送液または前記トナー材料液中のガス抜きをするための流路がシリコンまたはシリコンとその酸化物の層を有する複合体を用いて前記ノズルと一体に形成されたことを特徴とするトナー製造用ノズルプレート。
【請求項2】
請求項1に記載のトナー製造用ノズルプレートにおいて、前記複合体はSOI(Silicon on insulator)ウエハーであり、前記シリコンまたは前記SOIウエハーの第1の面に前記ノズルが形成され、第2の面に前記流路が形成されることを特徴とするトナー製造用ノズルプレート。
【請求項3】
請求項2に記載のトナー製造用ノズルプレートにおいて、前記第1の面にシリコン酸化膜が形成され、さらにそのシリコン酸化膜上にフッ素系材料膜が形成されていることを特徴とするトナー製造用ノズルプレート。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のトナー製造用ノズルプレートにおいて、前記第2の面にシリコン酸化膜が形成されていることを特徴とするトナー製造用ノズルプレート。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のトナー製造用ノズルプレートにおいて、前記トナー材料液を貯留する液溜からノズルへ、径が縮径していることを特徴とするトナー製造用ノズルプレート。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のトナー製造用ノズルプレートにおいて、前記液貯留部はノズルを有する液室部に隣接して流路が配設されることを特徴とするトナー製造用ノズルプレート。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のトナーの製造用ノズルプレートにおいて、前記ノズルが設けられる液室部が前記流路の液供給用流路と連結され、前記液室と前記液供給用流路が交互に配設されることを特徴とするトナー製造用ノズルプレート。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のトナー製造用ノズルプレートを用い、前記ノズルプレートに設けられたノズルのサイズが4〜15μmであり、前記ノズルプレートに振動発生手段により20kHz以上2.0MHz未満の振動周波数を印加して前記ノズルプレートの各前記ノズルから少なくとも樹脂及び着色剤を含有するトナー材料を分散ないし溶解させた前記トナー材料液を液滴化し、前記液滴化したトナー材料液を乾燥させてトナー粒子を形成することによりトナーを製造することを特徴とするトナーの製造方法。
【請求項9】
請求項8のトナーの製造方法において、前記トナー材料液を貯留する液貯留部ごとに設けられるノズルの数は、100ないし40,000個であることを特徴とするトナーの製造方法。
【請求項10】
請求項1ないし7のいずれかに記載のトナー製造用ノズルプレートと、前記ノズルプレートに振動を印加させて液滴を形成する振動印加手段と、前記液滴を放出させた空間で液滴を乾燥させて固化する固化部とを有することを特徴とするトナー製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図4】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−204449(P2010−204449A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50697(P2009−50697)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】