説明

トバモライト含有固化物、及び、その製造方法

【課題】特に、建材としての利用などを想定し、従来、添加されていたパーライトなどの軽量骨材を不要、又は、少量とする、PFBC灰の最適な利用法をも提案する。
【解決手段】PFBC灰とOPC(ポルトランドセメント)を含む原料混合物を原料とし、オートクレーブ養生を含む養生工程によってトバモライトを生成させた、トバモライト含有固化物とするものである。また、特に好適には、PFBC灰とポルトランドセメントの相対的な重量比を、PFBC灰:OPC=略67:略33(合計100とする)〜100未満:0より上(合計100とする)とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧流動床式複合発電方式(Pressurized Fluidized Bed Combustion Combined Cycle)(以下、単に、「PFBC」とする)の火力発電所で発生する石炭灰(以下、単に、「PFBC灰」とする)を利用する技術に関する。より詳しくは、PFBC灰を原料としてトバモライトを生成し、このトバモライトを含有する固化物、及び、その製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築材料などに使用されるトバモライトの製造方法は周知となっており、これについて開示する文献も存在する(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このトバモライト(Ca(Si16(OH))は、特許文献1に開示されるように、一般的に、石英、珪石などの溶融性の低い結晶性珪酸原料と、石灰質原料の混合物を原料とし、オートクレーブ反応によって合成される。このオートクレーブ反応は、反応初期において、結晶性珪酸原料から溶出する珪酸イオンと石灰質原料から溶出するカルシウムイオンが反応し、非結晶質の中間性生物であるCa−SiO−HOゲル(以下、単に「C−S−Hゲル」とする)が生成される。そして、さらに反応が進むと、C−S−Hゲルが結晶化してトバモライト結晶が生成される。特許文献1では、成分調整や促進剤を添加することで生成効率を向上することとしている。
【0004】
また、このようなトバモライトの原料となる石灰質原料として、火力発電所により排出されるフライアッシュなどの石炭灰の利用について開示する文献も存在する(例えば、特許文献3参照。)。このフライアッシュは、微粉炭燃焼ボイラを採用した火力発電所から大量に排出されるものであるが、近年、加圧流動床ボイラ(PFBC)を採用した火力発電所の稼働が開始され、この火力発電所からは、PFBC灰が大量に排出されており、このPFBC灰をいかに有効利用するかということが課題となっている。そして、特許文献3においては、トバモライトの生成に関連してPFBC灰を利用することについても示唆がされている。
【0005】
また、従来、トバモライトを含有する建築用パネル等の建材の製造においては、珪石粉(結晶性珪酸原料)とセメント(石灰質原料)からなるいわゆるバインダー部に対し、軽量骨材としてパーライトを原料に添加混合することが行われている(例えば、特許文献5参照3、4、5参照。)。
【0006】
ここで、建材の軽量化に関連し、窯業サイディング(建築用パネル)の軽量化技術としては、前述のパーライトや、シラスバルーン、フライアッシュバルーンなどの軽量骨材(軽量無機質骨材)を添加するものが周知となっている。また、ALC、軽量モルタルの軽量化技術として、気泡材、発泡剤、などを混入し、内部に小さな空隙を形成するものが周知となっている。
【特許文献1】特許第3456662号明細書
【特許文献2】特許第3026923号明細書
【特許文献3】特許第2863112号明細書
【特許文献4】特許第3448121号明細書
【特許文献5】特許第3482369号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1にも開示されるように、結晶性珪酸原料を用いることは、トバモライト結晶化反応が早い点で有効と考えられているが、反応性を確保するためには、高純度の結晶性珪酸原料を微粉砕する必要がある。ところが、高純度の結晶性珪酸原料は非常に硬いため、微粉砕に大きなエネルギーが必要とされることになる。
【0008】
また、結晶性珪酸原料の溶解速度(珪酸イオンの溶出速度)が反応の律速と関係するため、高いアルカリ性の状態として珪酸イオンを溶出させる必要がある。また、オートクレーブ反応においては、180℃を超える高温でのオートクレーブ反応が必要となる。このように、工業的利用の実現において課題が残されている。
【0009】
また、特許文献3においては、60℃〜80℃の湿潤養生を7日以上実施し、その後、180℃で2日以上のオートクレーブ養生を実施することとしているが、製造効率の観点から、工業的利用の実現において課題が残されている。
【0010】
また、特許文献3において、PFBC灰の利用について触れられてはいるものの、トバモライトを生成に関連しては、フライアッシュを用いた実施例を開示するに留まり、PFBC灰の特徴に関連した原料の配合などについては、具体的な説明はされていない。PFBC灰の特性は、フライアッシュの特性と異なるものであり、トバモライトの生成を検討するにあたっては、単なる原料の置き換えだけでは済むものではなく、PFBC灰の特性を十分に踏まえた検討が必要とされるのである。
【0011】
例えば、PFBC灰はフライアッシュと比較して、SiO成分が少ないことから、従来技術では、このことが工業的利用を実現する上で阻害要因となるものと考えられる。また、PFBC灰はフライアッシュと比較して、Al成分が少ないことから、フライアッシュのようなポラゾン活性も期待できず、このことも工業的利用を実現する上で阻害要因となるものと考えられる。
【0012】
他方、PFBC灰を利用してトバモライトを生成し、このトバモライトを含有する固化物を建築用パネル等の建材に利用することを想定した場合、まずは、上記の課題、即ち、トバモライトの効率の良い生成を実現することが課題となる。とはいえ、この課題を解決できれば、大量に排出されるPFBC灰を有効に利用することが可能となり、廃棄物の有効利用という観点から、社会的・工業的に大きな貢献を果たすことが可能となる。
【0013】
特に、建材としての利用が可能となれば、その適用範囲は広いため、PFBC灰の有効利用という観点でもたらされる効果は大きいものである。また、例えば、珪石粉(結晶性珪酸原料)をPFBC灰に置き換えることが可能となれば、それによって作製される建材を軽量なものとすることができ、パーライトといった軽量骨材を不要、又は、少量とすることができる。
【0014】
また、建材についての従来の軽量化の方法に関し、各種軽量骨材や発泡樹脂などを添加するものでは、これらの添加物が硬化後において内部にて構造的欠陥部となってしまう。添加量が少量であれば欠陥の発生は少ないものと考えられるが、添加量が多量であると、強度性能、耐水性能などにおいて十分な品質が得られないことが考えられる。また、抄造製法など水分を多く使用する製法では、軽量化のための添加剤が水に浮いてしまい、均一に混合ができないという問題も生じる。
【0015】
また、発泡性樹脂などは発熱性が高いため、不燃建材を作製する際にはその使用量が制約されてしまい、求める軽量化が実現できない場合がある。
【0016】
また、気泡材の利用は、界面活性剤などを用いて泡を発生させるものであり、発泡剤の利用は、アルミ粉末などを内部で反応させて泡を発生させるものであるが、いずれの場合も、気泡を均一に分散させるためには、反応条件、製造条件において、厳密な制御が必要となる。また、形成される空隙が小さい場合では、求められる軽量化が実現できない一方、形成される空隙が大きい場合では、この空隙が構造的欠陥部となり、強度性能、耐水性能などにおいて十分な品質が得られないことが考えられる。
【0017】
本発明は、以上の課題の解決を図るものである。
即ち、PFBC灰の有効利用に関し、PFBC灰の特性に着目することにより、トバモライトをより効率よく生成することを可能とする技術を提案するものである。また、特に、建材としての利用などを想定し、従来、添加されていたパーライトなどの軽量骨材を不要、又は、少量とする、PFBC灰の最適な利用法をも提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0019】
即ち、請求項1に記載のごとく、
PFBC灰とポルトランドセメントを含む原料混合物を原料とし、オートクレーブ養生を含む養生工程によってトバモライトを生成させた、トバモライト含有固化物とするものである。
【0020】
また、請求項2に記載のごとく、
前記原料混合物において、PFBC灰とポルトランドセメントの相対的な重量比を、PFBC灰:OPC=略67:略33(合計100とする)〜100未満:0より上(合計100とする)とするものである。
【0021】
また、請求項3に記載のごとく、前記原料混合物において、原料混合物中のカルシウム/珪素のモル比を略0.64〜略1.16とするものである。
【0022】
また、請求項4に記載のごとく、
前記原料混合物には、少なくとも、撥水剤、軽量骨材、微粉末珪石粉のいずれか一つが添加されていることとするものである。
【0023】
また、請求項5に記載のごとく、
PFBC灰とポルトランドセメントを含む原料混合物を原料とし、オートクレーブ養生を含む養生工程によってトバモライトを生成させる、トバモライト含有固化物の製造方法とするものである。
【0024】
また、請求項6に記載のごとく、
前記原料混合物において、PFBC灰とポルトランドセメントの相対的な重量比を、PFBC灰:OPC=略67:略33(合計100とする)〜100未満:0より上(合計100とする)とするものである。
【0025】
また、請求項7に記載のごとく、前記原料混合物において、原料混合物中のカルシウム/珪素のモル比を略0.64〜略1.16とするものである。
【0026】
また、請求項8に記載のごとく、
前記原料混合物には、少なくとも、撥水剤、軽量骨材、微粉末珪石粉のいずれか一つが添加されていることとするものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0028】
即ち、請求項1に記載の発明においては、廃棄物であるPFBC灰の有効利用を図ることができる。
【0029】
また、請求項2に記載の発明においては、混合物のPFBC灰の比率は高いことから、多くのPFBC灰を有効に利用することができる。また、効率よくトバモライトを生成することが可能となる。
【0030】
また、請求項3に記載の発明においては、混合物のPFBC灰の比率は高いことから、多くのPFBC灰を有効に利用することができる。また、効率よくトバモライトを生成することが可能となる。
【0031】
また、請求項4に記載の発明においては、各添加物の添加によって、トバモライト含有固化物の吸水特性向上、耐凍害性能向上、成型時におけるプレス圧力の確保、強度特性の向上が可能となる。
【0032】
また、請求項5に記載の発明においては、廃棄物であるPFBC灰の有効利用を図ることができる。
【0033】
また、請求項6に記載の発明においては、混合物のPFBC灰の比率は高いことから、多くのPFBC灰を有効に利用することができる。また、効率よくトバモライトを生成することが可能となる。
【0034】
また、請求項7に記載の発明においては、混合物のPFBC灰の比率は高いことから、多くのPFBC灰を有効に利用することができる。また、効率よくトバモライトを生成することが可能となる。
【0035】
また、請求項8に記載の発明においては、各添加物の添加によって、トバモライト含有固化物の吸水特性向上、耐凍害性能向上、成型時におけるプレス圧力の確保、強度特性の向上が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下では、PFBC灰とポルトランドセメント(以下、「OPC」とする)を原料としてトバモライトを生成し、建材として利用できるトバモライト含有固化物を製造する実施形態について説明する。
【0037】
ここで、本実施形態で利用するPFBC灰とOPCについては、次の試料を利用することとし、化学組成については、分析をしたところ、表1のごとくであった。尚、比較のために、トバモライト生成に利用され得る、微粉珪石粉、フライアッシュについても分析をし、その結果を示す。
【0038】
<試料>
・PFBC灰:中国電力株式会社 大崎発電所より排出
・普通ポルトランドセメント:太平洋セメント株式会社(以下、「OPC」とする)
・微粉末珪石粉:秩父鉱業製 7500ブレーン品(以下、「75Ks」とする)
・フライアッシュ:電源開発株式会社 磯子火力発電所より排出 JISII種品
(以下、「FA」とする)
※本明細書中において微粉末珪石粉とは、本実施例で例示する75Ksと化学組成の数値が完全に同一であるもののほか、実質的に同一の化学組成を有するもの(例えば、市販の一般的な測定器による誤差範囲内での数値に対応するもの)も含まれるものと解釈すべきである。また、「微粉末」の形態は、トバモライトの生成過程における珪酸イオン(Siイオン)の溶出、及び、反応表面積を広くする、という観点から好適なものである。
【0039】
<化学組成分析>
上記各試料の化学組成を参考例として下記の表1に示す。
【0040】
【表1】

【0041】
分析の結果、PFBC灰は、FAと比較して、CaO成分、及び、SO成分が多く、SiO成分、及び、Al成分は少ないことが確認された。
【0042】
なお、以上のような特徴的な化学組成を有するPFBC灰を用いる場合においては、次の条件により、トバモライトを短時間・低温度で効率よく生成できることが確認されている。即ち、PFBC灰とOPCを原料として利用する際における、PFBC灰とOPCの相対的な重量比を、PFBC灰:OPC=略81:略19〜略68:略32とする場合である。また、原料として利用するPFBC灰とOPCのカルシウム(Ca)と珪素(Si)のモル比(C/Sモル比と表記)を、略0.92〜略1.15とする場合である。尚、これらの比率は、トバモライトを生成する上での好ましい範囲であって、本実施形態(実施例1〜実施例8(表2、表3を参照)で説明するPFBC灰:OPC=略100:略0〜略67:略33、及び、モル比=略0.64〜略1.16とする範囲(表3を参照)での利用も、工業的な利用が可能である。
【0043】
<原料組成>
そして、本実施形態では、従来利用されてきた結晶性珪酸原料(微粉末珪石粉)の一つである75KsをPFBC灰で置き換えることを想定し、表2に示すごとく、PFBC灰を固化物の原料として用いるものを代表的な実施例1〜5とし、前記75Ksを原料として用いるものを比較例として検討した。また、この比較例の組成は、建築用パネルの製造を想定した原料組成である。
【0044】
【表2】

【0045】
また、実施例1〜5においては、比較例1と比較して、軽量骨材としてのパーライトを使用しないこととしている。
尚、PFBC灰、OPC、75Ksは、上述した仕入先から入手可能である。また、パーライト(東興パーライト社製 型番:5B)、バージンパルプ(カリブー社製 針葉樹系クラフトパルプ)、故紙(新聞残紙)、乾燥カレット(旭トステム外装社製 セメント製品粉砕粉)を利用した。
【0046】
また、この表2における数値は、全ての原料成分の重量和を100とした場合の百分率であり、重量%(wt%)を意味するものである。
【0047】
また、各実施例1〜4においては、下記の混合比率(重量比)としている。
実施例1 PFBC灰:OPC=51:25(※相対的な重量比=略67:略33)
実施例2 PFBC灰:OPC=56:20(※相対的な重量比=略73:略27)
実施例3 PFBC灰:OPC=61:15(※相対的な重量比=略80:略20)
実施例4 PFBC灰:OPC=75:0 (※相対的な重量比=100:0)
なお、括弧内の相対的な重量比は、PFBC灰とOPCの重量の相対的な重量比を意味し、実施例2、3においては、上述したように、トバモライトを効率よく生成する上で有効な比率が実現されるものとなっている。また、実施例5に関する説明は、後述する。
【0048】
<成形、養生条件>
補強繊維として用いるバージンパルプと故紙に固形分濃度が3.5%になるように水を添加してパルパーにより解繊しパルプ水とした。次いで、表2に示す配合割合にて他の原料を調合し、前述のパルプ水、割り水を添加し、ミキサーで混合し、固形分濃度25%のスラリーを得た。次いでスラリーを加圧脱水し、厚さ15mmの中間成形体を得た。該中間成形体を、次に示す養生条件にて養生を行い成形体を作製した。
養生条件:成形後5時間 常温(約25℃)にて静置
静置の後、60℃,8.5時間の相対湿度98%の湿潤養生
湿潤養生の後、170℃,8時間のオートクレーブ養生
【0049】
<軽量化効果>
軽量化効果は、厚みを15mmに制御する設定にてプレス成形した際におけるプレス圧力を指標として評価した。
ここでは、各実施例について、建築用パネルへの適用を想定した比較例と同等のプレス圧力が得られる場合には、表面パターンの形成や硬化を十分に行える圧力が確保され、比較例の代替として実施例を利用することができる、即ち、軽量骨材であるパーライトを利用せずに、プレス成形が行えることと考える。そして、このパーライトを利用せずにプレス成形が行えることをもって、PFBC灰が軽量化に貢献できる、即ち、軽量化効果を有することとした。
【0050】
図1(a)に、パーライトを実施例1の混合物に対し、4.0wt%、8.0wt%(実施例1の原料成分の全重量に対する重量%)を加え、比較例において呈されるプレス圧との比較を行った結果を示す。グラフにおいて横軸は、パーライトの添加率(%)、縦軸は、比較例において呈されるプレス圧を100とした場合の相対値である。この結果から解るように、パーライトの添加率が大きいほど、高いプレス圧となり、パーライトが成形のためのプレス圧を確保する上で有効に機能することが確認された。比較例との比較においては、実施例1では、パーライトを添加しない(添加率0%)と、プレス圧は比較例と比較して低くなり、成形性において劣ることになる。しかし、パーライトを添加すると、比較例と比較して、高いプレス圧を確保することができる。例えば、パーライトを2.0wt%といった少量添加することで、比較例と同等のプレス圧を確保することができ、成形性を担保することができる。また、例えば、2.0wt%(実施例1の原料成分の全重量に対する重量%)の添加量は、比較例の8%と比較すると、極めて少量である。このため、仮に、実施例1にてパーライトを利用してトバモライト含有固化物を製造する場合についても、パーライトの少量の添加によって十分な成形性を確保することができることになる。なお、パーライトの添加の他に、軽量骨材(軽量無機質骨材)であるシラスバルーン、ガラスバルーン、フライアッシュバルーンなどの利用も考えられる。
【0051】
さらに、図1(b)に、パーライトを添加しない、実施例1〜4おけるプレス圧と、パーライトが添加されている比較例のプレス圧についての結果を示す。グラフにおいて横軸は、PFBC灰の添加率(%)であり、縦軸は、比較例において呈されるプレス圧を100とした場合の各実施例におけるプレス圧の相対値である。
【0052】
この結果から明らかなように、PFBC灰の添加率が高い実施例ほどプレス圧が高くなることが確認された。特に、実施例3では、比較例と略同等のプレス圧を確保することができ、実施例4については、比較例を超えるプレス圧を確保することが確認された。このことから、パーライトを添加しない実施例の構成においても、プレス圧を比較例と同等、若しくは、それ以上確保することが可能であることが確認された。
【0053】
<強度特性評価>
曲げ試験(JIS A5422の曲げ破壊荷重試験)による破壊荷重の測定。
図2に、各実施例と比較例についての測定結果を示す。グラフにおいて横軸は、PFBC灰の添加率(%)であり、縦軸は、曲げ試験の際の破壊荷重(N:ニュートン)である。
測定結果から、PFBC灰の添加率が実施例3よりも低い範囲では、75Ksを用いた従来の比較例の強度の9割程度の強度を確保できることが確認された。一方、実施例3よりもPFBC灰の添加率が高くなると、例えば、実施例4のように、強度が下がることが確認された。
【0054】
<吸水特性>
水中に全没させて、1時間、4時間、24時間、72時間後の吸水率(重量増加率(%))を測定した(JIS A5430に準して測定)。
図3に、各実施例と比較例についての吸水率(重量増加率(%))の測定結果を示す。グラフにおいて横軸は、PFBC灰の添加率(%)であり、縦軸は、吸水率(重量の増加率(%))である。
測定結果から、各実施例は、比較例と比較して、吸水率が高いものと確認された。また、PFBC灰の添加率が高いほど、吸水率が高くなることが確認された。
【0055】
<耐炭酸化性能>
各試験板の表裏2箇所=合計4箇所における、炭酸化収縮率(%)の平均。
図4に、各実施例と比較例についての炭酸化収縮率(%)の測定結果を示す。グラフにおいて横軸は、PFBC灰の添加率(%)であり、縦軸は、炭酸化収縮率(%)である。この炭酸化収縮率(%)は、試験板を15mm×150mm×150mmに切断し、炭酸ガス濃度10vol%に維持した恒温恒湿槽(エスペック社製)で、相対湿度50%の状態で6時間の間に温度を5℃〜60℃に変化させたものを試験条件の1サイクルとして、50サイクル(13日間)実施したときの標点間距離(100mm)の変化をコンパレータ−にて測定し、収縮率を算出、各試験板の表裏2箇所=合計4箇所における平均の値である。
測定結果から、実施例1においても、比較例1と同等の耐炭酸化性能を得ることができ、PFBC灰の添加率が高いほど、優れた耐炭酸化性能が得られることが確認された。
【0056】
<耐凍害性能>
耐凍害性能の試験は、72時間吸水した試験板でASTMC666−A法に準ずる凍結融解サイクル試験を行い、50サイクル時点での体積膨張率(ΔV(%))を測定し評価した。
図5に、各実施例と比較例についての凍害膨張率(ΔV:体積膨張率(%))を示す。グラフにおいて横軸をPFBC灰の添加率(%)、縦軸を凍害膨張率(%)として示す。
測定結果から、いずれの実施例も15%の凍害膨張率(%)を示し、PFBC灰の添加率(%)が高いほど、凍害膨張率(%)が高くなることが確認された。
【0057】
<試験結果のまとめ>
上記各試験結果のまとめを次の表3に示す。
尚、表3において、性能として優れるものを◎、性能として良好なものを○、性能として可であるものを△、性能として不可なものを×、として表現する。
【0058】
【表3】

【0059】
この表3では、比較例との各性能等の比較の観点から、各実施例についてのトバモライト含有固化物の原料としての適正を検討することができる。比較例は、従来利用されてきた結晶性珪酸原料(微細珪石粉)の一つである75Ksを原料としてトバモライト含有固化物を生成し、建材としての利用がなされてきたものであり、この比較例と各実施例との比較において、各実施例の性能を評価することで、建材の材料としての利用価値を判断することができるものである。また、各実施例は、表1に示すごとく、比較例の75Ks、パーライト、の部位を、PFBC灰に置き換えたものであり、PFBC灰の75Ks、パーライトの代替としての利用可能性を、表2にて検討することができる。なお、仮に、各実施例において比較例と比較して性能に劣る点があるとしても、廃棄物であるPFBC灰を有効利用することができるものであり、コストの優位性からの市場性、工業的利用可能性は否定されるものではない。例えば、強度特性が×(不可)とされる実施例4においても、この評価はあくまでも建築用パネルを想定した比較例との相対比較であり、例えば、建材としての利用についても、その利用箇所において高い強度が求められない箇所においては、実施例4は適用できるものである。
【0060】
表3に関連し、各実施例について説明すると、実施例1は、PFBC灰の比率が51%のものである。
図1(b)に示すごとく、確保されるプレス圧が低いことから、建築用パネルの原料利用としては、成形性が劣り、この観点から、建築用パネル利用の場合での軽量化効果については、他の実施例と比較して劣ることがいえる。強度特性、耐炭酸化性能については、比較例と同等であり、吸水特性、耐凍害性能については、比較例と比較して劣ることがいえる。
【0061】
実施例2は、PFBC灰の比率が56%のものである。
図1(b)に示すごとく、確保されるプレス圧は概ね良好であり、建築用パネルの原料利用を想定したときの成形性は概ね確保できるものと考えられる。この観点から、建築用パネル利用の場合での軽量化効果(軽量骨材であるパーライトを利用せずに済むということ)については、良好なものと判断できる。なお、適宜、少量のパーライトを添加することによって(例えば、2.0wt%(実施例2の原料成分の全重量に対する重量%))、比較例と同等のプレス圧を確保することができる。強度特性については、比較例と同等である。耐炭酸化性能については、比較例と比較しても優れたものとなる。吸水特性、耐凍害性能については、比較例と比較して劣ることがいえる。
【0062】
実施例3は、PFBC灰の比率が61%のものである。
図1(b)に示すごとく、確保されるプレス圧は比較例と略同等であり、建築用パネルの原料利用を想定したときの成形性は十分に確保できるものと考えられる。この観点から、建築用パネル利用の場合での軽量化効果(軽量骨材であるパーライトを利用せずに済むということ)については、優れたものと判断できる。強度特性については、比較例と同等である。耐炭酸化性能については、比較例と比較して優れたものとなる。吸水特性、耐凍害性能については、比較例と比較して劣ることがいえる。
【0063】
実施例4は、PFBC灰の比率が75%のものである。
図1(b)に示すごとく、確保されるプレス圧は比較例よりも優れ、建築用パネルの原料利用を想定したときの成形性は十分に確保できるものと考えられる。この観点から、建築用パネル利用の場合での軽量化効果(軽量骨材であるパーライトを利用せずに済むということ)については、優れたものと判断できる。ただし、強度特性や吸水特性については、比較例と比較して大きく劣ることになるため、実質的に、建築用パネルとしての利用は不可能であると考えられる。また、耐炭酸化性能については、比較例と比較して、優れたものとなる。
【0064】
以上の実施例1〜4の特性において、建築用パネルの原料としての利用を想定した場合、実施例2、3における吸水性能、耐凍害性能、強度特性(実施例3)を改善することによれば、軽量化効果において極めて優れた性能を発揮しつつ、他の性能については、比較例と略同等の性能が得られることが考えられる。
【0065】
そこで、実施例3に撥水剤を添加したものを実施例5として、性能の改善について検討した。
撥水剤は、ペルトールC40K(東邦化学社製)を採用し、実施例3の原料成分の全重量に対する重量に対し、0.5wt%となる重量を添加した。
表4に、実施例3、5、及び、比較例のそれぞれについて、吸水率(重量増加率(%))、凍害膨張率(ΔV:体積膨張率(%))について測定した結果を示す。
【0066】
【表4】

この結果から解るように、撥水剤を少量加えるだけで、実施例5の吸水率については、実施例3と比較して大幅に減少し、1時間後の評価においては比較例に近い値を呈し、72時間後の評価においては、比較例よりも優れた値を呈することが確認された。また、実施例5の耐凍害性能については、実施例3と比較して大幅に減少し、比較例に近い値まで向上させることが確認された。耐凍害性能の試験は、72時間吸水した試験板でASTMC666−A法に準ずる凍結融解サイクル試験を行い、50サイクル時点での体積膨張率(ΔV(%))を測定し評価した。
【0067】
以上の検討結果から解るように、撥水剤を少量添加することにより、各種性能を比較例に近いものとすることが可能となる。そして、これによれば、実施例5を建築用パネルの原料として適用した場合、優れた性能特性を呈することができる。なお、撥水剤としては、ペルトールC40K(東邦化学社製)の他、ペルトールCS140(東邦化学社製)、セロゾールN378(中京油脂製)、タイトシラン(東洋インキ社製)、ドライシールS(東レ・ダウコーニング社製)、エンバイロシール20(BASF・ポゾリス社製)などの利用が考えられる。
【0068】
また、特に各実施例の原料組成においては、75Ksの代替としてPFBC灰を利用することができることから、廃棄物の有効利用が図られ、これにより、コスト削減も図ることが可能となる。
【0069】
また、特に実施例2、3、5の原料組成によれば、優れた性能特性を呈することができることから、建築用パネルの原料としての利用が期待される。また、これらの実施例においては、軽量骨材としてのパーライトを利用しない、若しくは、必要に応じて極少量のパーライトを使用することで、成形時において比較例と同等のプレス圧力を確保することが可能となり、成形性を確保することができることから、PFBC灰の利用に基づく軽量骨材の非利用、若しくは、少量利用という観点から、優れた軽量化効果を得ることが可能となる。
【0070】
また、特に実施例2、3、5の原料組成によれば、上述したごとく、トバモライトを短時間・低温度で効率よく生成することができる重量比、即ち、PFBC灰:OPC=略81:略19〜略68:略32の範囲内となるため、優れた製造効率を発揮する原料組成を実現することが可能となる。
【0071】
次に、実施例5を原料として利用した場合におけるトバモライト含有固化物の製造方法について、建築用パネルを製造する例を用いて説明する。
原料成分は、表2に示すごとく、OPCを15.0wt%、PFBC灰を61.0wt%、バージンパルプを3.0wt%、故紙を6.0wt%、乾燥カレットを15.0wt%とした。また、撥水剤を他の原料成分の全重量に対する重量に対し、0.5wt%となるように添加する。そして、これらの原料からなる原料混合物を、水に分散させてスラリーとする。このスラリーの固形分濃度は、約25wt%(全原料成分の重量和の水の重量に対する割合)とする。
【0072】
次に、前記スラリーを長網法、丸網法(ハチェック法)などの周知の抄造法によりグリーンマットを成形し、ロールプレスにより厚みを調整しつつ、表面パターンなどを成形する。また、脱水成形法により脱水と同時に厚みを調整しつつ、表面パターンなどを成形する。その後、常温(20℃前後)で約5時間静置し、60℃、相対湿度98%の条件で8.5時間の湿潤養生を行う。この湿潤養生の後、170℃、8時間オートクレーブ養生を実施する。
【0073】
以上のようにして、建築用パネルを製造することができる。
ここで、特記すべき点は、8時間という極めて短時間でオートクレーブ養生を実施することができるものであり、高効率・低コストでの建築用パネルの製造が可能となるものである。このことが実現されるのは、上述のごとく、実施例5におけるPFBC灰とOPCの重量比が、PFBC灰:OPC=略81:略19〜略68:略32の範囲内としており、この重量比によってトバモライトを効率よく生成されるためである。また、オートクレーブ養生を、170℃、8時間の代わりに、160℃、15時間実施することとしてもよい。このように、実施例5におけるPFBC灰とOPCの重量比によれば、低温度で高効率・低コストでの建築用パネルの製造が可能となる。
【0074】
次に、実施例5の性能の更なる改善について説明する。表2、表3、図2を参照すると、実施例5では、撥水剤の添加によって強度特性が低下することが確認されている。そこで、この強度特性の向上を75Ksの添加によって検討した。
【0075】
表2に示すごとく、実施例6〜実施例8は、原料として75Ksを添加するものである。ここで、添加される原料の75Ksは、PFBC灰、OPCと比較して少量であり、比較例と比較しても原料として使用する75Ksの量は少量である。なお、表3に示すごとく、実施例6〜実施例8におけるPFBC灰とOPCの重量比は、トバモライトが効率よく生成されるPFBC灰:OPC=略81:略19〜略68:略32の範囲内にあることとしている。
【0076】
表2、図2に示すごとく、実施例5では、破壊荷重(N)が1130であるのに比較して、実施例6、7、8では、それぞれ、1257、1460、1535というように向上することが確認された。破壊荷重(N)が1312である比較例と比較すると、実施例7、8においては、比較例と比較しても優れた強度特性を呈することができる。特に、実施例8では、全ての実施例において最も強度特性が優れるものとなり、性能的に極めて良好なものとなることが確認された。また、75Ksの添加量が多いほど強度特性が向上することが確認された。
【0077】
以上のように、原料に少量の75Ksを添加して利用することによって、強度特性の向上を図ることが可能となる。また、75Ksの添加量に応じて強度特性が変化することを利用して、75Ksによって強度特性を調整し、所望の性能を発揮する固化物を得ることが可能となる。
【0078】
以上が本発明の実施形態である。
即ち、PFBC灰とOPC(ポルトランドセメント)を含む原料混合物を原料とし、オートクレーブ養生を含む養生工程によってトバモライトを生成させた、トバモライト含有固化物とするものである。また、前記原料混合物において、PFBC灰とポルトランドセメントの相対的な重量比を、好ましくは、PFBC灰:OPC=略67:略33(合計100とする)〜100未満:0より上(合計100とする)、さらに好ましくは、PFBC灰:OPC=略81:略19〜略68:略32の範囲内とするものである。また、前記原料混合物において、原料混合物中のカルシウム/珪素のモル比を、好ましくは、略0.64〜略1.16、さらに好ましくは、略0.92〜略1.15とするものである。
【0079】
このトバモライト含有固化物においては、廃棄物であるPFBC灰の有効利用を図ることができる。また、混合物のPFBC灰の比率は高いことから、多くのPFBC灰を有効に利用することができる。また、上述の特定の重量比によって、効率よくトバモライトを生成することが可能となる。
【0080】
また、上述した実施例2、3、5のように、パーライト(軽量骨材)を利用しないものについては、これに起因する構造的欠陥部の発生を防止することができ、強度などの品質のバラツキを少なくすることができる。また、PFBC灰やOPCと比較して高価なパーライト(軽量骨材)を利用しないことによれば、コスト削減を図ることができる。また、原料混合物を水に分散させてスラリーとし抄造脱水を行う場合でも、パーライト(軽量骨材)の浮遊といったことがないので、強度的に優れた建材を製造することができる。また、パーライト(軽量骨材)を利用しないとことで、パーライト(軽量骨材)の製造に必要なエネルギー、コストを削減することができる。
【0081】
また、前記原料混合物には、少なくとも、撥水剤、軽量骨材、微粉末珪石粉(実施例では75Ks)のいずれか一つが添加されている、トバモライト含有固化物とするものである。
【0082】
撥水剤の添加によって、生成されたトバモライト含有固化物の吸水特性、耐凍害性能を向上させることができる。なお、この撥水剤の添加、及び、その添加率は、PFBC灰を原料として用いてなるトバモライト含有固化物の特性の検討によりもたらされる知見であり、単純に撥水剤を添加するというものではない。即ち、当業者が容易に想到できるものではない。
【0083】
また、パーライトの添加によって、成型時において、必要なプレス圧力を確保することができる。なお、上述のように、PFBC灰の混合比率の高い実施例3、5においては、パーライトの添加が不要であり、実施例2においても、少量のパーライトの添加によって、プレス圧の確保の課題を解決することができ、従来、建材などの原料で必要とされる軽量骨材であるパーライトを、不要、若しくは、少量とすることが可能となる。なお、このパーライトの添加、及び、その添加率は、PFBC灰の混合比率とプレス圧との関係の検討によりもたらされる知見であり、単純にパーライトを添加するというものではない。即ち、当業者が容易に想到できるものではない。なお、軽量骨材(軽量無機質骨材)としては、パーライトのほか、シラスバルーン、ガラスバルーン、フライアッシュバルーンなどの利用も考えられる。
【0084】
また、微粉末珪石粉(75Ks)を添加することによって、強度特性の向上を図ることが可能となる。なお、この微粉末珪石粉(75Ks)の添加、及び、その添加量は、撥水剤の添加と強度特性との関係の検討によりもたらされる知見であり、単純に微粉末珪石粉(75Ks)を添加するというものではない。即ち、当業者が容易に想到できるものではない。
【0085】
以上のように、本実施形態では、PFBC灰とOPC(ポルトランドセメント)を含む原料混合物を原料とし、オートクレーブ養生を含む養生工程によってトバモライトを生成させる、トバモライト含有固化物の製造方法とするものである。また、前記原料混合物において、PFBC灰とポルトランドセメントの相対的な重量比を、好ましくは、PFBC灰:OPC=略67:略33(合計100とする)〜100未満:0より上(合計100とする)、さらに好ましくは、PFBC灰:OPC=略81:略19〜略68:略32の範囲内とするものである。また、前記原料混合物において、原料混合物中のカルシウム/珪素のモル比を、好ましくは、略0.64〜略1.16、さらに好ましくは、略0.92〜略1.15とするものである。また、前記オートクレーブ養生は、170℃、8時間、又は、160℃、15時間実施することとするものである。
【0086】
また、前記原料混合物には、少なくとも、撥水剤、軽量骨材、微粉末珪石粉(実施例では75Ks)のいずれか一つが添加されている、トバモライト含有固化物とするものである。
【0087】
以上の製法により生成されるトバモライト含有固化物においては、廃棄物であるPFBC灰の有効利用を図ることができる。また、混合物のPFBC灰の比率は高いことから、多くのPFBC灰を有効に利用することができる。また、上述の特定の重量比によって、効率よくトバモライトを生成することが可能となる。また、建材などの製造においては、原料としてPFBC灰を利用することにより製造コストを削減することができる。また、75Ksなどを原料として多量に利用する場合には、その製造コストや、その製造のためにエネルギーが必要とされるが、PFBC灰の利用により、これらを削減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、廃棄物であるPFBC灰を有効利用してトバモライト含有固化物を生成することができ、例えば、このトバモライト含有固化物を建材として利用することができ、具体的には、トバモライト結晶を生成することで性能を確保しているALC、窯業サイディング(外壁パネル)などの分野での利用が想定される。また、原料の成分比率を適宜選定することによって、様々な特徴のあるトバモライト含有固化物を生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】(a)は、パーライトの添加率とプレス圧の関係について示す図。(b)は、PFBC灰の添加率とプレス圧との関係について示す図。
【図2】各実施例と比較例の曲げ試験の結果について示す図。
【図3】各実施例と比較例の吸水率の測定結果について示す図。
【図4】各実施例と比較例についての炭酸化収縮率の測定結果について示す図。
【図5】凍害膨張率について示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PFBC灰とポルトランドセメントを含む原料混合物を原料とし、オートクレーブ養生を含む養生工程によってトバモライトを生成させた、
トバモライト含有固化物。
【請求項2】
前記原料混合物において、PFBC灰とポルトランドセメントの相対的な重量比を、PFBC灰:OPC=略67:略33(合計100とする)〜100未満:0より上(合計100とする)とする、
ことを特徴とする請求項1に記載のトバモライト含有固化物。
【請求項3】
前記原料混合物において、原料混合物中のカルシウム/珪素のモル比を略0.64〜略1.16とする、
ことを特徴とする請求項1に記載のトバモライト含有固化物。
【請求項4】
前記原料混合物には、少なくとも、撥水剤、軽量骨材、微粉末珪石粉のいずれか一つが添加されている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のトバモライト含有固化物。
【請求項5】
PFBC灰とポルトランドセメントを含む原料混合物を原料とし、オートクレーブ養生を含む養生工程によってトバモライトを生成させる、
トバモライト含有固化物の製造方法。
【請求項6】
前記原料混合物において、PFBC灰とポルトランドセメントの相対的な重量比を、PFBC灰:OPC=略67:略33(合計100とする)〜100未満:0より上(合計100とする)とする、
ことを特徴とする請求項5に記載のトバモライト含有固化物の製造方法。
【請求項7】
前記原料混合物において、原料混合物中のカルシウム/珪素のモル比を略0.64〜略1.16とする、
ことを特徴とする請求項5に記載のトバモライト含有固化物の製造方法。
【請求項8】
前記原料混合物には、少なくとも、撥水剤、軽量骨材、微粉末珪石粉のいずれか一つが添加されている、
ことを特徴とする請求項5乃至請求項7に記載のトバモライト含有固化物の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−161384(P2009−161384A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341425(P2007−341425)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(302045705)トステム株式会社 (949)
【Fターム(参考)】