説明

トライボロジー特性を改善するための潤滑油用添加剤、新規潤滑油、それらの製造方法、およびそれらの使用

【課題】トライボロジー特性を改善するための潤滑油用添加剤、これらの添加剤を含有する新規潤滑油、それらの製造方法を提供する。
【解決手段】ナノ粒子を含有する潤滑油であって、前記ナノ粒子が、好ましくは特定の形状と特定の粒径を有し、また、特定の熱伝導率を有することを特徴とするセラミック粒子であり、前記ナノ粒子が、天然油、鉱油、および/もしくは合成油、または、エステル油等からなる基材流体に分散されていることを特徴とする潤滑油、および前記潤滑油の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トライボロジー特性を改善するための新規潤滑油用添加剤、これらの添加剤を含有する新規潤滑油、これらの製造方法およびこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
潤滑油は、天然油〔例えば、ヒマシ油もしくは菜種油、鉱油(例えば、ナフテン系鉱油など)など〕、および/または、合成油(例えば、ポリ−アルファ−オレフィンもしくはエステル油など)である。これらは、騒音および特に材料摩耗を引き起こす、摩擦を低減するために役立つ。その上、潤滑油の使用は、除熱も可能にする。
使用目的に応じて、潤滑油は、非常に多種多様な添加剤で処理される。
【0003】
腐食防止、熱安定性、粘度指数、および流動点に加えて、トライボロジー特性も潤滑油の場合に決定的に重要である。トライボロジー特性には主として、摩擦および摩耗の低減、除熱機能を含む潤滑効果の改善、ならびに耐荷重能が含まれる。耐荷重能は、材料の焼付き(溶着)を防ぐ能力の尺度である。
【0004】
摩耗を防ぐために使用される合成潤滑油用添加剤は、亜鉛ジチオホスフェート(ZnDTP)、亜鉛4−メチルペンチル−2−ジチオホスフェート、または、他の摩耗防止添加剤(アルキルホスフェートもしくはアミンホスフェートもしくは無灰ジチオホスフェートなど)である。それらのトライボロジー効果は、摺動面上での金属との激しい化学反応によって生み出される。これは、極圧下にこの表面を摩耗および焼付きから保護する反応層の形成をもたらす。これらの潤滑油組成物の不利点は、それらが室温より高い温度でのみ有効であり得ることである。さらに、先行技術から公知である潤滑油組成物は、比較的高い温度では、十分な高温安定性を持たず、その高い分解速度に起因して、「蓄積効果(depot effect)」が非常に迅速に使い果たされる。加えて、これらの添加剤は、余りにも低い温度では、その過度に低い分解速度に起因して、十分に活性ではない。
【0005】
さらに、(非特許文献1)には、表面改質ナノ粒子の使用が開示されている。この改質は高価であり、複雑である。その上、これらの粒子は、これらの縁が鋭いために研磨性である。
【0006】
(非特許文献2)には、ナノ粒子のボールベアリング効果が記載されている。しかし、100nmより実質的に小さいナノ粒子は、小さすぎるため、通例のスチール表面に、すなわち、磨かれた、重ね合わせたスチール表面にこの効果を効果的に及ぼすことができずない。実際に、これらの粒子は、スチール表面の「μサイズの山」の谷の中に隠れてしまう。このように、この効果には深刻に疑問を投げ掛けなければならず、むしろ、これらのナノ粒子は表面を磨き、それ故に表面を滑らかにし、これによって摩擦を最小限にしていると推測されるべきである。真のおよび長続きする効果(「摩耗防止」)はここでは確保することができない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Teng,Jin−liら、「Characterization and tribological propeties of surface modified SiO2 nanoparticles」、Gongcheng Xuebao(2006)、24(6)、874−876ページ
【非特許文献2】Tao,Xuら、「The ball−bearing effect of diamond nanoparticles as an oil additive」、Journal of Physics D:Applied Physics(1996)、29(11)、2932−2937ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この先行技術から出発して、トライボロジー特性を改善するための新規潤滑油であって、広い温度範囲にわたって、特に低温度でトライボロジー様の作用があり、かつ、経済的に供給することができる潤滑油を提供することが本発明の目的であった。特に、前述したとおりの非常に低い温度、例えば、自動車の始動過程中に効果を示す一方、標準的な添加剤が完全な熱分解を受けそれ故効果を有さない高温でも効果を示す組成物を見いだすことが意図された。
【0009】
加えて、潤滑油用添加剤が増強された機械的および熱的安定性を有し、それ故、今まで知られている従来の潤滑油用添加剤が通常役に立たない、好ましくは1000℃までの高温で使用できることが好ましい。
【0010】
さらに、これらの添加剤は、好ましくは、純粋に機械的な態様で、かつ、化学反応することなく、トライボロジー効果を有するべきである。
さらに、化学的に不活性であり、トライボロジー特性を有する潤滑油であって、潤滑性を改善するための添加剤パッケージ中に通常存在する他の成分と反応しない潤滑油が必要とされている。これによって他の添加剤の性能への不利な影響が防止される。
【0011】
さらに、これらの代替手段は、性能に関して、亜鉛ジチオホスフェートをベースとする従来の潤滑油用添加剤組成物および無灰潤滑油用添加剤組成物と少なくとも同等であるべきであり、そして従来のAW添加剤および/またはEP(極圧)添加剤によってカバーされていない有効性のギャップを埋めるべきである。
【0012】
最終的に、潤滑油用添加剤が比較的高い熱伝導率を有し、それ故それらが使用される潤滑ギャップから熱を非常に容易に導くことができることが好ましい。加えて、これらから製造された潤滑油が、向上した耐荷重能を有しているべきである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、実質的に球形であるナノ粒子を含有する新規潤滑油用添加剤によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、実質的に球形であるナノ粒子の形態の添加剤の形態を3つの半軸a、b、およびcによって表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
潤滑油は、天然油(例えば、ヒマシ油もしくは菜種油など)、鉱油(例えば、ナフテン系鉱油など)、および/または、合成油(例えば、ポリ−アルファ−オレフィンもしくはエステル油など)である。用語「潤滑油」は、全ての通例のおよび商業的に入手可能な潤滑油を含む。
【0016】
これらは、例えば、大豆油、パーム油、パーム核油、ヒマワリ油、トウモロコシ胚芽油、アマニ油、菜種油、サフラワー油、小麦胚芽油、米油、ココナッツ油、アーモンド油、杏仁油、アボガド油、ホホバ油、ヘーゼルナッツ油、クルミ油、ピーナッツ油、ピスタチオ油、中鎖植物脂肪酸(いわゆるMCT油)およびPUFA油(PUFA=ポリ不飽和脂肪酸)(例えば、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)およびα−リノレン酸など)のトリグリセリド;半合成トリグリセリド(例えば、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドなど、例えば、ミグリオール型のものなど);オレオステアリン、液状パラフィン、ステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、2−エチルヘキサン酸アセチルステアリル、液状水素化ポリイソブテン、スクアラン、スクアレン;魚油などの動物の油および脂肪(例えば、サバ、スプラット、マグロ、ハリバ、タラ、およびサケ油など)、ラノリン、ケシの実油、キリ油、トール油、木油、樹脂およびワックス、液状テルペンおよびテルペン油、天然油から得られる吹込天然油(blown native oil)、複合エステル、アルコキシル化製品、ラード油、牛脂、羊脂、植物および動物ワックス、マッコウクジラ油、シリコーン油、および/またはカルナバである。
【0017】
したがって、本発明は、実質的に球形であるナノ粒子の形態の添加剤を含有する新規潤滑油に関する。
【0018】
本発明による潤滑油用添加剤は、20〜1000℃、好ましくは室温〜400℃、特に好ましくは250℃以下の温度でトライボロジー効果を有する。
【0019】
本発明との関連でのナノ粒子は、好ましくはセラミックナノ粒子である。特に好ましくは、これらは、Al、AlN、SiO、TiO、ZrO、Y、WO、Ta、V、Nb、CeO、炭化ホウ素、チタン酸アルミニウム、BN、MoSi、SiC、Si、TiC、TiN、ZrB、粘土鉱物(例えばモンモリロナイト)、および/またはこれらの混合物、ならびに、熱的な安定な炭酸塩および/または硫酸塩(例えば、炭酸亜鉛および/または硫酸亜鉛など)からなる群から選択される。
【0020】
本発明との関連で実質的に球形は、粒子が3つの半軸a、bおよびcを有する楕円体を表すことを意味し、a≠b≠cかまたはa=b=cである。半軸の比は好ましくはa:b=1〜100、a:c=1〜1000、b:c=1:100である(図1を参照されたい)。
【0021】
本発明による球形ナノ粒子は、一次粒子として測定される、1〜5000nm、好ましくは10〜500nm、非常に特に好ましくは50〜300nmの粒径を好ましくは有する。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、ナノ粒子は、表面改質、例えば、化学結合したシロキサンおよび/またはシランによる表面改質が、全くされていない。
【0023】
ナノ粒子が、1〜100W/mKの、より好ましくは20〜80W/mKの、特に好ましくは40〜60W/mKの熱伝導率を有するならば、それはさらに好ましい。
【0024】
本発明のさらに好ましい実施形態では、ナノ粒子は室温から1000℃、より好ましくはRT〜400℃、特に好ましくはRT〜250℃で熱安定性を有する。
【0025】
潤滑油中のナノ粒子の含有率は、潤滑油を基準として、好ましくは0.05〜95質量%、より好ましくは0.1〜50質量%、特に好ましくは0.5〜5質量%である。
【0026】
本発明のさらなる実施形態では、ナノ粒子は基材流体中に分散される。本発明のさらに好ましい実施形態では、基材流体は、その後意図される潤滑剤(油)に相当していてもよい。しかし、分散のために水を使用することも可能である。
【0027】
基材流体は好ましくは、大豆油、パーム油、パーム核油、ヒマワリ油、トウモロコシ胚芽油、アマニ油、菜種油、サフラワー油、小麦胚芽油、米油、ココナッツ油、アーモンド油、杏仁油、アボガド油、ホホバ油、ヘーゼルナッツ油、クルミ油、ピーナッツ油、ピスタチオ油、中鎖植物脂肪酸(いわゆるMCT油)およびPUFA油(PUFA=ポリ不飽和脂肪酸)(例えば、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)およびα−リノレン酸など)のトリグリセリド;半合成トリグリセリド(例えば、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドなど、例えば、ミグリオール型などのもの);オレオステアリン、液状パラフィン、ステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、2−エチルヘキサン酸アセチルステアリル、液状水素化ポリイソブテン、スクアラン、スクアレン;動物油および脂肪(例えば、魚油など、例えば、サバ、スプラット、マグロ、ハリバ、タラおよびサケ油など)、ラノリン、ケシの実油、キリ油、トール油、木油、樹脂およびワックス、液状テルペンおよびテルペン油、天然油から得られる吹込天然油、複合エステル、アルコキシル化製品、ラード油、牛脂、羊脂、植物および動物ワックス、マッコウクジラ油、シリコーン油、カルナバ、ならびに/または水からなる群から選択される。
【0028】
ナノ粒子が化学的に不活性であり、微生物学的に分解性ではなく、かつ、被酸化性ではないことが有利であることがさらに判明した。
【0029】
本発明による添加剤に加えて、粘度指数向上剤、界面活性剤、分散剤、消泡剤、EP添加剤、流動点降下剤、腐食防止添加剤、非鉄金属阻害剤、摩擦改良剤、潤滑性改良剤、酸化防止剤、粘着剤、乳化破壊剤、乳化剤、脱気剤、湿潤剤、エマルジョンの形態の水、固体潤滑剤、増粘剤(例えば、石鹸増粘剤など);ポリウレア、ベントナイト、多形シリカ、可溶化剤、防炎剤、チキソ性付与剤、膨張剤(dilation agent)、摩耗防止(AW)添加剤、染料、顔料、トレーサー、および/または香料からなる群から選択されるさらなる成分を、潤滑油にさらに使用することができる。
【0030】
潤滑油中のさらなる成分の含有率は、各場合に潤滑油を基準として、好ましくは0.001〜50.00質量%、より好ましくは0.50〜20質量%、特に好ましくは1.00〜5.00質量%である。
【0031】
本発明は、以下のプロセス工程:
(a)基材流体中の実質的に球形のナノ粒子を任意選択的にさらなる添加剤と混合する工程と;
(b)プロセス工程(a)に由来する混合物に機械的作用を与えることによって分散させる工程と、任意選択的に
(c)さらなる添加剤を加える(計量供給する)工程と
によって特徴づけられる、潤滑油の製造方法にも関する。
【0032】
(b)で上述した機械的作用が、ロール、Ultraturrax、超音波、噴霧乾燥、静電法、pH変化、分散剤の使用、攪拌機および(湿式)ミリング用のミル、特にボールミルを用いて実施することが好ましい。
【0033】
これらは商業的に入手可能な装置であり、商業的に入手可能な出発原料である。
【0034】
本発明はさらに、前述した本方法によって得られる潤滑油用添加剤に関する。
【0035】
本発明はさらに、実質的に球形であるナノ粒子を含有する潤滑油に関する。さらに上述した定義および実施形態ならびに図1は、このナノ粒子に適用することができる。
【0036】
本発明のさらなる実施形態では、潤滑油はさらに、粘度指数向上剤、界面活性剤、分散剤、消泡剤、EP添加剤、流動点降下剤、腐食防止添加剤、非鉄金属阻害剤、摩擦改良剤、潤滑性改良剤、酸化防止剤、粘着剤、乳化破壊剤、乳化剤、脱気剤、湿潤剤、エマルジョンの形態の水、固体潤滑剤、増粘剤(例えば、石鹸増粘剤など);ポリウレア、ベントナイト、多形シリカ、可溶化剤、防炎剤、チキソ性付与剤、膨張剤、摩耗防止添加剤、染料、顔料、トレーサーおよび/または香料からなる群から選択されるさらなる成分を含有する。
【0037】
さらなる成分の含有率が、各場合に潤滑油を基準として、0.001〜50.00質量%、より好ましくは0.50〜20質量%、特に好ましくは1.00〜5.00質量%であることが好ましい。
【0038】
本発明は、トライボロジー特性を改善するため、および耐荷重能を改善するための本発明による潤滑油用添加剤の使用にも関する。これらには主として、摩擦および摩耗の低減、除熱機能を含む潤滑効果の改善が含まれる。耐荷重能は、材料の焼付き(welding)を防ぐ能力の尺度である。
【0039】
本発明による添加剤のおかげで、本発明による潤滑油は、広範囲にわたって使用することができる。特に言及すべき使用の分野は、潤滑ペーストの高温用途、例えば、滑り軸受ブシュおよびローラー軸受リングでの圧締のための、歯車および鎖車上での圧締のための、ガイド、ジョイント、およびスレッドの潤滑のための、ならびに取り付け補助物としての用途;エンジンオイル中およびギヤ油中、脂肪および離型剤中、ならびに、難燃性を目指した熱媒液および油圧油(力伝播流体)中での使用のための用途である。
【0040】
加えて、これらの潤滑油は、金属加工および金属成形において発生する可能性がある強い力を低減するための金属加工液として、および冷却用潤滑油として使用することができる。
【0041】
さらに、本発明によるナノ粒子の大部分は、健康に有害ではなく、したがって食品用の成分として使用することができるため、これらを用いて、FDA申請、すなわち、食品安全申請をすることができる。
【0042】
本発明による添加剤を含有する潤滑油は、これらの添加剤が、水中生物に対して毒性がなく、かつ、温血動物に対しても毒性がないため、エコラベルをその上獲得することができる。
【0043】
本発明を、以下の実施例を参照しながらより詳細に説明するが、これらにより限定されることはない。
【実施例】
【0044】
実施例:
100nmの粒径を有する90%の球形SiOナノ粒子を、基材油としての10%の純DITA(アジピン酸ジイソトリデシル)または10%の純菜種油と撹拌してペーストを得る。ナノ粒子は、このペーストではまだ分離しておらず、このことは、ペーストが不透明であるという事実から明らかである。ペーストを最も狭いニップのロールミルに1回通した後、透明な、または少なくとも半透明のゲルが得られる。これにより、ナノ粒子が完全に分散されている明白な証拠が提示される。
【0045】
次いで、純DITAまたは菜種油を用いるこれらのコンセントレートを使用して、これらから、潤滑油または潤滑グリースを製造する。
【0046】
表1から明らかなとおり、それぞれの基材油中の1%のナノ粒子濃度を実現する。摩耗防止(AW)特性を、DIN 51350に従った4ボール装置、および往復摩擦試験機(SRV試験機)でのテストランによって、添加剤を加えなかった潤滑油と比較して試験した。結果を下に示す。
【0047】
【表1】

【0048】
本発明による潤滑油の場合には、球形摩耗キャップの値が実質的に半分であるため、明白なAW効果が明らかである。
【0049】
【表2】

【0050】
菜種油で(表2を参照されたい)、SRV合格負荷(油の耐荷重能および摩耗の尺度)を実質的に2倍にすることができるため、往復摩擦(SRV)試験において著しい効果が観察可能である。
【0051】
より高い温度(80℃以上)で、液体の一部または全部が蒸発されるかまたは分解される場合でさえ、本発明による球形ナノ粒子のトライボロジー特性は、依然として観察可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
添加剤としてセラミックナノ粒子を含有する潤滑油であって、前記ナノ粒子が、Al、AlN、SiO、TiO、ZrO、Y、WO、Ta、V、Nb、CeO、炭化ホウ素、チタン酸アルミニウム、BN、MoSi、SiC、Si、TiC、TiN、ZrB、粘土鉱物、および/またはこれらの混合物、ならびに、熱的に安定な炭酸塩および/または硫酸塩からなる群から選択され、前記ナノ粒子が、3つの半軸a、b、およびcを有する楕円体を表し、a≠b≠cかまたはa=b=cであり、かつ半軸の比がa:b=1〜100、a:c=1〜1000、b:c=1:100である、潤滑油。
【請求項2】
前記ナノ粒子が、1〜5000nmの粒径を有することを特徴とする、請求項1に記載の潤滑油。
【請求項3】
前記ナノ粒子が、1〜100W/mKの熱伝導率を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の潤滑油。
【請求項4】
前記ナノ粒子が、基材流体に分散されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の潤滑油。
【請求項5】
前記基材流体が、水、ならびに/または、大豆油、パーム油、パーム核油、ヒマワリ油、トウモロコシ胚芽油、アマニ油、菜種油、サフラワー油、小麦胚芽油、米油、ココナッツ油、アーモンド油、杏仁油、アボガド油、ホホバ油、ヘーゼルナッツ油、クルミ油、ピーナッツ油、ピスタチオ油、中鎖植物脂肪酸およびPUFA油(PUFA=ポリ不飽和脂肪酸)のトリグリセリド、エイコサペンタエン酸(EPA)トリグリセリド、ドコサヘキサエン酸(DHA)トリグリセリド、およびα−リノレン酸トリグリセリド;半合成トリグリセリド(例えば、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ミグリオール型のトリグリセリドなど);オレオステアリン、液状パラフィン、ステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、2−エチルヘキサン酸アセチルステアリル、液状水素化ポリイソブテン、スクアラン、スクアレン;動物の油および脂肪(例えば、魚油など、例えば、サバ、スプラット、マグロ、ハリバ、タラおよびサケ油など)、ラノリン、ケシの実油、キリ油、トール油、木油、樹脂およびワックス、液状テルペンおよびテルペン油、天然油から得られる吹込天然油、複合エステル、アルコキシル化製品、ラード油、牛脂、羊脂、植物および動物ワックス、マッコウクジラ油、シリコーン油、および/もしくはカルナバからなる群から選択される少なくとも1種の油であることを特徴とする、請求項4に記載の潤滑油。
【請求項6】
ナノ粒子の含有率が、潤滑油を基準として0.05〜95質量%であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の潤滑油。
【請求項7】
以下のプロセス工程:
(a)基材流体中のナノ粒子を、任意選択的にさらなる添加剤と混合する工程と;
(b)プロセス工程(a)から得られた混合物に機械的作用を与えることによって分散させる工程と、任意選択的な
(c)さらなる添加剤を加える工程、
(d)潤滑油に撹拌しながら入れる工程と
によって特徴づけられる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の潤滑油の製造方法。
【請求項8】
天然油、鉱油および/もしくは合成油、またはエステル油を含有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の潤滑油。
【請求項9】
粘度指数向上剤、界面活性剤、分散剤、消泡剤、EP添加剤、流動点降下剤、腐食防止添加剤、非鉄金属阻害剤、摩擦改良剤、潤滑性改良剤、酸化防止剤、粘着剤、乳化破壊剤、乳化剤、脱気剤、湿潤剤、エマルジョンの形態の水、固体潤滑剤、増粘剤、石鹸増粘剤;ポリウレア、ベントナイト、多形シリカ、可溶化剤、防炎剤、チキソ性付与剤、膨張剤、摩耗防止(AW)添加剤、染料、顔料、トレーサー、および/または香料からなる群から選択されるさらなる成分をさらに含有することを特徴とする、請求項8に記載の潤滑油。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の潤滑油を使用することによって、潤滑ペーストの高温用途におけるトライボロジー特性および耐荷重能を改善する方法。
【請求項11】
改善されたトライボロジー特性および耐荷重能が求められる用途における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の潤滑油の使用であって、潤滑ペーストの高温用途における、滑り軸受ブシュおよびローラー軸受リングでの圧締のための、歯車および鎖車上での圧締のための、ガイド、ジョイントおよびスレッドの潤滑のための、ならびに取り付け補助剤としての;エンジンオイル中およびギヤ油中、脂肪および離型剤中、ならびに難燃性を目指した熱媒液および油圧油(力伝播流体)中で使用するための、使用。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−80065(P2011−80065A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−228556(P2010−228556)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(509286422)ライン・ケミー・ライノー・ゲーエムベーハー (13)
【Fターム(参考)】