説明

トラックボール

【課題】本発明は、回転データを分解能切替スイッチによって自在に異なる分解能に変更し、1台のトラックボールで異なる分解能に適用可能とすることを目的とする。
【解決手段】本発明によるトラックボールは、ケース(1)に分解能切替スイッチ(12)を設け、回転データ(5)の分解能を変更するための分解能変更手段(20)を有し、分解能切替スイッチ(12)の操作により回転データ(5)の分解能を変えた複数の分解能変更後回転データ(5a)として出力する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラックボールに関し、特に、回転データを分解能切替スイッチによって自在に異なる分解能に変更し、1台のトラックボールで異なる分解能に適用可能とするための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種のトラックボールとしては、例えば、ボールを内蔵したマウス装置として、特許文献1及び2に開示された構成を挙げることができる。
前述の各特許文献1及び2に開示されたマウス装置は、基本的には図3で示されるように構成され、トラックボール1Aのケース1のポート2には、パソコン等の外部装置3の外部ポート4がライン5を介して接続されている。
【0003】
前述の構成においては、1台のトラックボール1Aと外部装置3は1対1で対応し、複数の外部装置3を作動させるには、各々トラックボールを接続させる必要があった。
【0004】
【特許文献1】特開平11−353105号公報
【特許文献2】特開平11−149346号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のトラックボールは、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、1個のトラックボールは、1種類の分解能の回転データのみを出力していたため、外部装置であるパソコン等が、異なる分解能の回転データを必要とする場合には、異なる分解能のトラックボールと交換しなければならず、その都度、交換することは極めて不便であった。
また、例えば、1台のパソコンを使用中に、何度か異なる分解能の回転データを必要とする場合には、実際には、使用中に交換することは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるトラックボールは、ケースに設けたボールの回転を回転検出器で検出し、回転データを得るようにしたトラックボールにおいて、前記ケースに分解能切替スイッチを設け、前記回転データの分解能を変更するための分解能変更手段を有し、前記分解能切替スイッチの操作により前記回転データの分解能を変えた複数の分解能変更後回転データとして出力するようにした構成であり、また、前記分解能変更手段は、演算により互いに異なる複数のてい倍を選択できるてい倍機能からなる構成であり、また、前記各てい倍は、1てい倍、2てい倍及び4てい倍からなる構成である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によるトラックボールは、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、トラックボールには、回転検出器から得られた回転データは、分解能切替スイッチを操作することにより、分解能変更手段によって処理された異なるてい倍の回転データを得ることができ、1対1で接続されたトラックボールからパソコンに対して異なるてい倍の複数の回転データを送り、自在な画面処理等を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、回転データを分解能切替スイッチによって自在に異なる分解能に変更し、1台のトラックボールで異なる使用用途に適用可能とするトラックボールを提供することを目的とする。
【実施例】
【0009】
以下、図面と共に本発明によるトラックボールの好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分については、同一符号を用いて説明する。
図1において符号1Aで示されるものはトラックボールであり、このトラックボール1Aのケース1内には、ボール2が回転自在に設けられ、このボール2の回転は2軸の第1、第2回転検出器3,4によって検出されて回転データ5が得られるように構成されている。
【0010】
前記ケース1には、マウスとしての機能を形成するための周知の第1、第2スイッチ10,11が設けられ、各スイッチ10,11の間には、分解能切替スイッチ12が設けられ、前記回転データ5は図3に示されるように、分解能変更手段20を介して分解能変更後回転データ5aとして外部装置3へ送られるように構成されている。
【0011】
前記分解能変更手段20は、例えば、1てい倍20a、2てい倍20b、4てい倍20cの波形処理を行う(てい倍機能20A)ことができるように構成され、前記分解能切替スイッチ12の操作回数に応じて前記各てい倍20a〜20cの何れかを選択することができるようにソフトウェアにより構成され、何れかの分解能が得られるように構成されている。
【0012】
次に、前述の構成において、トラックボール1Aを用いる場合、ボール2を回転させると、各回転検出器3,4からの回転量を示す回転データ5は、前記分解能変更手段20により、分解能切替スイッチ12で選択された分解能の分解能変更後回転データ5aが外部装置3へ送られる。
【0013】
従って、本発明によるトラックボール1Aを用いることにより、トラックボール1Aを外部装置3に接続したままの状態で、回転データ5の分解能を自在に変更でき、パソコンの操作等の処理を自在に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明によるトラックボールを示す平面図である。
【図2】図1のトラックボールの回転データの流れを示す説明図である。
【図3】図2の回転データの処理を示すフロー図である。
【図4】従来のトラックボールの構成を示す構成図である。
【符号の説明】
【0015】
1 ケース
1A トラックボール
2 ボール
3,4 第1、第2回転検出器
5 回転データ
5a 分解能変更後回転データ
10,11 第1、第2スイッチ
20 分解能変更手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース(1)に設けたボール(2)の回転を回転検出器(3,4)で検出し、回転データ(5)を得るようにしたトラックボールにおいて、
前記ケース(1)に分解能切替スイッチ(12)を設け、前記回転データ(5)の分解能を変更するための分解能変更手段(20)を有し、
前記分解能切替スイッチ(12)の操作により前記回転データ(5)の分解能を変えた複数の分解能変更後回転データ(5a)として出力するように構成したことを特徴とするトラックボール。
【請求項2】
前記分解能変更手段(20)は、演算により互いに異なる複数のてい倍(20a〜20c)を選択できるてい倍機能(20A)からなることを特徴とする請求項1記載のトラックボール。
【請求項3】
前記各てい倍(20a〜20c)は、1てい倍、2てい倍及び4てい倍からなることを特徴とする請求項1又は2記載のトラックボール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−280117(P2007−280117A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−106517(P2006−106517)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)
【Fターム(参考)】