説明

トラヒック制御装置およびトラヒック制御方法

【課題】 網においてトラヒック制御を適切な場所で確実に行うことにより、網の共用リソースの無駄な使用を防止する。
【解決手段】 複数のユーザが共用する第1および第2の共用リソースならびに加入者交換機を備えた網の第1の共用リソース(例えば、移動無線網における無線基地局)において、第2の共用リソース(例えば、無線基地局・加入者交換機間伝送路)を介して加入者交換機に伝送するデータのトラヒック制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ伝送、例えば非同期転送モード(Asynchronous Transfer Mode:ATM)網でのセル伝送におけるトラヒック制御装置およびトラヒック制御方法に関する。より具体的には、網においてトラヒック制御を適切な場所で確実に行うことにより、網の共用リソースの無駄な使用を防止するトラヒック制御装置およびトラヒック制御方法に関する。また、データに固有の周期でバースト的に発生するデータに対して、その固有の周期を考慮したトラヒック監視周期を選び、制御を行うことにより、適切な制御を行うトラヒック制御装置およびトラヒック制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
BISDN(Broadband Integrated Service Digital Network)におけるトラヒック制御の主要目的は、セル遅延変動等について、あらかじめ決められた網のパフォーマンス目標を達成するために網やユーザを保護するものであるといわれている(ITU-T Recommendation I.371, “Traffic control and congestion control in B-ISDN”参照)。このトラヒック制御とは、基本的には輻輳を避けるために網が行う一連の処理のことを指し、網の効率を達成するために網の資源(網リソース)の利用を最適化する機能を有する。このような機能を果たすために、ATM網のトラヒックを管理し制御する機能として、コネクション受付制御(connection admission control:CAC)と利用パラメータ制御(Usage Parameter Control:UPC)機能が定義されている。
【0003】
コネクション受付制御(CAC)とは、呼設定段階で網が行う一連の処理のことである。ATM伝送方式では通信コネクションの品質保証を提供しており、そのために通信開始時に通信コネクションのトラヒック条件をユーザと網とで交換している。この際、ユーザと網との間でトラヒック契約仕様に盛り込まれた情報(例えば、トラヒック・パラメータ等の申告パラメータ)についての交渉が行われ、合意がなされる必要がある。この申告パラメータに基づき、網側では現状の網リソースの使用状況を踏まえて、ユーザの通信を許容するか、拒否するか判定する。この処理をコネクション受付制御(CAC)という。
【0004】
利用パラメータ制御(UPC)はユーザ・ネットワーク間インタフェース(User Network Interface:UNI)で行われるものであり、ATMコネクション上のトラヒックを、セルのトラヒック量等の観点から、網が監視したり制御したりするために行う一連の処理を指している。網がユーザの通信開始を許容した場合に、その通信は通信状態に遷移する。通信状態において、網はユーザの申告パラメータに従ったユーザ・セルのトラヒック監視(ポリシング)を行う。このポリシングの具体的実現方法として利用パラメータ制御(UPC)機能が有る。UPC機能は、申告パラメータに違反してそれ以上のセルが入力された場合に、1.スムージング、2.セル破棄、3.バイオレーション表示等を行う。一方、ユーザ端末側では申告したトラヒック条件(トラヒック・パラメータ)を満たすために、申告を超えるバースト的なトラヒックを平均化して送出するトラヒック・シェーピング(Traffic Shaping : TS)制御が行われる。
【0005】
申告パラメータには、ピーク・セル・レート(Peak Cell Rate:PCR)、平均セル・レート(Sustainable Cell Rate : SCR)、最大バースト・サイズ(Maximum Burst Size:MBS)等が有り、ATMフォーラムやITU−Tで標準仕様化され、一般的に知られている(ITU-T Recommendation I.371, “Traffic control and congestion control in B-ISDN”参照)。なお、制御対象のデータがセルに限られない場合には、「セル」の代わりに「トラヒック」を用いて、ピーク・トラヒック・レート(Peak Traffic Rate:PTR)、平均トラヒック・レート(Sustainable Traffic Rate : STR)等という。
【0006】
上述の網で備えるUPC機能は、従来の固定網では加入者交換機の加入者線入力ポートに配置しており、ユーザが申告に違反して申告以上のトラヒックを送出してきた場合に違反トラヒックの破棄等を行っていた。
【0007】
図11は、従来の固定網にUPC装置およびTS装置を設置した状態を示す図である。図11に示すように、加入者(ATM)交換機930からATM端末900等のユーザ端末側は、加入者(ユーザ)個別に施設された個別光ファイバ等910である。他のユーザとそのリソースを共用される加入者ATM交換機930に入力する前の入力ポートにUPC装置920を設置してトラヒック制御(UPC制御)を行えば、申告パラメータに対して超過するトラヒックがあっても他のユーザに問題が生じない。一方、ユーザ端末側では申告したトラヒック条件を満たすために、申告を超えるバースト的なトラヒックを平均化して送出するトラヒック制御(TS制御)を行うためにTS装置905を設置している。
【0008】
しかし、移動通信では、図11に示されるような従来の固定網と異なり、ユーザ端末から加入者交換機までの間に無線リソースや基地局伝送路などのリソースを他のユーザと共用している。従って、違反トラヒックの破棄等のトラヒック制御を上述の固定網のように加入者交換機で行った場合には、破棄されたトラヒックに係る無線リソースや基地局伝送路などの共用リソースが無駄に使用されたことになり、非効率であるという問題があった。この問題は、加入者アクセス伝送路に多重伝送路(例えば、LAN(Local Area Network)およびPBX(Private Branch Exchange)を備えた網)等の共用リソースを適用した場合であっても同様に生じる。一方、トラヒック制御を網における非共用リソース(例えば、ユーザ端末)で行った場合には、悪意か否かを問わずユーザの改造によりトラヒック制御を緩和するなどの懸念が有り得る。したがって、データの伝送に共用リソースが使用される前にトラヒック制御を行い、ユーザの手の及ばない網における共用リソースでトラヒック制御を行うことが好ましい。
【0009】
図12は、従来のトラヒック制御例を示す図である。図12の制御では、セル監視周期(8[セル時間])内における累積のデータ伝送量がセル・レート(3/8[セル/セル時間])に基づく許容伝送量(3[セル])を超える場合に、超えたセルを非適合セルとする処理を行っている。図12の例では、7セル時間目のセルが非適合セルとされている。非適合セルとされたセルは、例えば破棄される。セル・レートとしては、PCR、SCR等が考えられる。
【0010】
しかし、従来のトラヒック制御では、データに固有の周期でバースト的に発生するデータに対して、その固有の周期を考慮したトラヒック監視周期を選び、制御を行っていなかったため、適切な制御ができないという問題があった。例えば、移動無線網において、移動機が発信する無線フレームを無線基地局でATMセル化し、生成されたATMセル(データ)のトラヒック制御を行う場合を考える。無線フレームからATMセルを生成するときに、1無線フレームからATMセルが複数生成される場合、ATMセルは無線フレーム周期ごとにバースト的に発生する。このとき、無線フレーム周期に対してバースト性のあるトラヒックが発生し、一般にトラヒック制御装置によって判定されるPCR(PTR)はセル間隔の逆数によるものであるため、トラヒック監視周期を適切に選ばなかった場合(例えば、トラヒック監視周期が無線フレーム周期に比べて十分小かった場合)、移動機側で入力したときのPCRに比べ、無線基地局では過大なPCRとなり、トラヒック条件を満たさないものとして多くのデータが破棄等されてしまう。したがって、トラヒック制御では、制御の対象となるデータに固有の周期(例えば、無線フレーム周期)を考慮してトラヒック監視周期を適切に選び、制御を行うことが好ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、網においてトラヒック制御を適切な場所で確実に行うことにより、網の共用リソースの無駄な使用を防止することを目的とする。
【0012】
また、データに固有の周期でバースト的に発生するデータに対して、その固有の周期を考慮したトラヒック監視周期を選び、制御を行うことにより、適切な制御を行うことも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の第1の側面において、複数のユーザが共用する第1および第2の共用リソースならびに加入者交換機を備えた網の前記第1の共用リソースにおいてデータのトラヒック制御を行うトラヒック制御装置は、データを受信する受信手段と、前記受信手段により受信したデータのうち、前記第2の共用リソースを介して前記加入者交換機に伝送するデータのトラヒック制御を行うトラヒック制御手段と、前記トラヒック制御手段によりトラヒック制御を行ったデータを伝送する伝送手段とを備える。
【0014】
ここで、前記網は、無線基地局と、前記無線基地局と前記加入者交換機との間でデータを伝送するための無線基地局・加入者交換機間伝送路とを備え、前記第1の共用リソースは前記無線基地局であり、前記第2の共用リソースには前記無線基地局・加入者交換機間伝送路が含まれるものとすることができる。
【0015】
ここで、前記データは該データに固有の周期でバースト的に発生し、前記トラヒック制御装置は、前記受信手段により受信したデータに対して、前記固有の周期を考慮したトラヒック監視周期内における累積のデータ伝送量がトラヒック・レートに基づく量を超えないようにトラヒック制御を行うものとすることができる。
【0016】
本発明の第2の側面において、データに固有の周期でバースト的に発生するデータのトラヒック制御を行うトラヒック制御装置は、データを受信する受信手段と、前記受信手段により受信したデータに対して、前記固有の周期を考慮したトラヒック監視周期内における累積のデータ伝送量がトラヒック・レートに基づく許容伝送量を超えないようにトラヒック制御を行うトラヒック制御手段と、前記トラヒック制御手段により制御したデータを伝送する伝送手段とを備える。
【0017】
ここで、前記トラヒック制御手段は、前記受信手段により受信したデータに対して、前記固有の周期を考慮したピーク・トラヒック監視周期内における累積のデータ伝送量がピーク・トラヒック・レートに基づく許容伝送量を超えないようにピークトラヒック制御を行い、および前記固有の周期を考慮した平均トラヒック監視周期内における累積のデータ伝送量が平均トラヒックレートに基づく許容伝送量を超えないように平均トラヒック制御を行うものとすることができる。
【0018】
ここで、前記平均トラヒック制御は、前記ピークトラヒック監視周期ごとに、前記平均トラヒック監視周期をスライドさせて行うものとすることができる。
【0019】
ここで、前記ピーク・トラヒック制御周期は前記固有の周期であり、前記平均トラヒック制御周期は前記固有の周期のn倍(n:自然数)であるものとすることができる。
【0020】
ここで、前記データは無線フレームから生成されるATMセルであり、前記固有の周期は無線フレーム周期であるものとすることができる。
【0021】
本発明の第3の側面において、複数のユーザが共用する第1および第2の共用リソースならびに加入者交換機を備えた網の前記第1の共用リソースにおいてデータのトラヒック制御を行うトラヒック制御方法は、データを受信するステップと、前記受信したデータのうち、前記第2の共用リソースを介して前記加入者交換機に伝送するデータのトラヒック制御を行うステップと、前記トラヒック制御を行ったデータを伝送するステップとを備える。
【0022】
本発明の第4の側面において、データに固有の周期でバースト的に発生するデータのトラヒック制御を行うトラヒック制御方法は、データを受信するステップと、前記受信したデータに対して、前記固有の周期を考慮したトラヒック監視周期内における累積のデータ伝送量がトラヒック・レートに基づく許容伝送量を超えないようにトラヒック制御を行うステップと、前記トラヒック制御を行ったデータを伝送するステップとを備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るトラヒック制御装置の構成例を示す図である。本実施形態に係るトラヒック制御装置10は、受信部12、トラヒック制御部14および伝送部16を備える。受信部12で受信したデータに対して、トラヒック制御部14でトラヒック制御を行う。本実施形態では、トラヒック制御においてトラヒック条件(申告パラメータ)に違反するデータの破棄を行うが、バッファを設けてトラヒック条件を満たすようにデータの伝送を調節してもよい。伝送部16はトラヒック制御を行ったデータを伝送する。本実施形態においては、トラヒック制御部14をハードウェアにより実現しているが、ソフトウェアにより実現してもよい。
【0025】
図2は、本実施形態に係るトラヒック制御装置を、LANおよびPBXを備えた網に設置した例を示す図である。ATM端末100、105、110から発信されたデータは、LAN140およびPBX160を介して加入者交換機170に伝送される。LAN140とPBX160とはLAN・PBX間伝送路により結ばれており、データの伝送を行うことができる。また、PBX160と加入者交換機170とはPBX・加入者交換機間伝送路により結ばれており、データの伝送を行うことができる。
【0026】
図2においては、LAN・PBX間伝送路にトラヒック制御装置10を設置している。これにより、共用リソースであるPBX160およびPBX・加入者交換機間伝送路の無駄な使用を防止することができる。また、共用リソースであるLAN・PBX間伝送路についても、トラヒック制御装置10からPBX160までの部分については、無駄な使用を防止することができる。さらに、共用リソースであるLAN・PBX間伝送路でトラヒック制御を行っているので、ユーザによりトラヒック制御が緩和等される可能性も少ない。
【0027】
なお、トラヒック制御装置10を、共用リソースであるLAN140、PBX160、またはPBX・加入者交換機間伝送路に設置することも考えられる。
【0028】
図3は、本実施形態に係るトラヒック制御装置を、移動機および無線基地局を備えた移動無線網に設置した例を示す図である。ATM端末200、210から発信されたデータは、移動機240、245および無線基地局250を介して加入者交換機270に伝送される。移動機240、245と無線基地局250とは無線通信によりデータの伝送を行う。また、無線基地局250と加入者交換機270とは無線基地局・加入者交換機間伝送路により結ばれており、データの伝送を行うことができる。
【0029】
図3においては、無線基地局250にトラヒック制御装置10を設置している。これにより、共用リソースである無線基地局・加入者交換機間伝送路の無駄な使用を防止することができる。また、共用リソースである無線基地局250においても、トラヒック制御により破棄等されたデータに関して、無駄な処理を回避することができる。さらに、共用リソースである無線基地局250でトラヒック制御を行っているので、ユーザによりトラヒック制御が緩和等される可能性も少ない。
【0030】
なお、トラヒック制御装置10を、共用リソースである無線基地局・加入者交換機間伝送路に設置することも考えられる。
【0031】
図4は、本実施形態に係るトラヒック制御装置を、他網および関門交換機を備えた網に設置した例を示す図である。非ATM区間440にある他網(網全体から見れば部分網)430は、例えばインタネット・サービス・プロバイダ(Internet Service Provider :ISP)などにより接続を提供される網である。この場合、ISPにおいてトラヒック制御がサポートされていない場合には、ユーザ端末との通信状況により申告トラヒックを超えるバースト的なトラヒックが生じる場合があり得る。従って、他網430と関門交換機410との間に設置したトラヒック制御装置10で予め申告値以内にトラヒックを整形することにより、網内のリソースの有効利用を図ることができる。
【0032】
他網430から伝送されてきたデータは、関門交換機410を介して加入者交換機470に伝送される。他網430と関門交換機410とは他網・関門交換機間伝送路により結ばれており、データの伝送を行うことができる。また、関門交換機410と加入者交換機470とは関門交換機・加入者交換機間伝送路により結ばれており、データの伝送を行うことができる。
【0033】
図4においては、他網・関門交換機間伝送路にトラヒック制御装置10を設置している。これにより、共用リソースである関門交換機410および関門交換機・加入者交換機間伝送路の無駄な使用を防止することができる。また、共用リソースである他網・関門交換機間伝送路についても、トラヒック制御装置10から関門交換機410までの部分については、無駄な使用を防止することができる。さらに、共用リソースである他網・関門交換機間でトラヒック制御を行っているので、ユーザによりトラヒック制御が緩和等される可能性も少ない。
【0034】
なお、トラヒック制御装置10を、共用リソースである関門交換機410または他網・関門交換機間伝送路に設置することも考えられる。
【0035】
本実施形態のように、網においてトラヒック制御を適切な場所で確実に行うことにより、網の共用リソースの無駄な使用を防止することができる。
【0036】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態に係るトラヒック制御装置の構成例を示す図である。本実施形態に係るトラヒック制御装置60は、第1実施形態に係るトラヒック制御装置10と同様、受信部62、トラヒック制御部64および伝送部66を備える。本実施形態においては、トラヒック制御部64をハードウェアにより実現しているが、ソフトウェアにより実現してもよい。トラヒック制御部64は、以下で説明するように、ピーク・トラヒック制御および平均トラヒック制御を行う。
【0037】
図6は、本実施形態に係るトラヒック制御装置を設置した移動無線網を示す図である。本実施形態に係るトラヒック制御装置60は、図3と同様に移動無線網の無線基地局に設置され、無線フレームから生成されるATMセル(データ)のトラヒック制御を行う。トラヒック制御装置60を無線基地局650に設置することにより、トラヒック制御を確実に行い、網の共用リソースの無駄な使用を防止することができることは、第1実施形態のところで述べた通りである。
【0038】
ATM端末600、610から発信されたデータは、移動機640、645を介して無線基地局650に伝送される。無線基地局650では、無線フレームからATMセルを生成し、生成したATMセルのトラヒック制御をトラヒック制御装置60により行う。トラヒック制御が行われたATMセルは加入者交換機670に伝送される。
【0039】
図7は、本実施形態におけるトラヒック制御装置の制御処理の一例を示すフローチャートである。図7において、TPCRはピーク・セル(トラヒック)監視周期を示し、本実施形態では無線フレーム周期としている。これによりATMセルのバースト的発生による多くのATMセルの破棄等を回避することができる。TSCRは平均セル(トラヒック)監視周期を示し、本実施形態では無線フレーム周期(=TPCR)のn倍(n:自然数)である。XPCRはPCRに基づく許容伝送量、すなわち、ピーク・セル監視周期内おいて伝送することができるセル数である。XSCRはSCRに基づく許容伝送量、すなわち、平均セル監視周期内おいて伝送することができるセル数である。CPCRおよびCSCRはセル数のカウンタである。
【0040】
トラヒック制御処理として、まずステップS101でカウンタCPCRおよびCSCRを0にし、監視周期TPCRおよびTSCRをリセットする。次にステップS102のアイドル(idle)状態に入る。セル入力があると、ステップS103で現在のピーク・セル監視周期における累積セル伝送量(セル数カウンタ)CPCRに新たな入力分の1つを加えても、許容伝送量XPCRを超えないか否か判断する。超える場合にはステップS104で新たな入力セルを非適合セルとする。超えない場合にはステップS105で現在の平均セル監視周期における累積セル伝送量CSCRに新たな入力分の1つを加えても、許容伝送量XSCRを超えないか否か判断する。超える場合にはステップS104で新たな入力セルを非適合セルとする。超えない場合にはステップS106で新たな入力セルを適合セルとし、ステップS107でCPCRおよびCSCRに1を加える。
【0041】
新たな入力セルの適合・非適合を判断した後、再びステップS102のアイドル状態に戻り、ピーク・セル監視周期TPCRが満了したか否かを判断し、満了した場合はステップS108に進む。この満了の判断はセル入力がない場合にも行われる。ステップS108で平均セル監視周期TSCRが満了したか否かを判断し、満了した場合にはステップS101に戻る。満了していない場合にはステップS109に進み、CPCRを0にし、TPCRをリセットしてステップS102に戻る。
【0042】
図8は、図7のトラヒック制御処理を伝送されてきたセルに適用した例を示す図である。図8では、TPCR=4[セル時間]、TSCR=16[セル時間](n=4)、XPCR=2[セル]、XSCR=5[セル]としている。伝送されてきたセルに対して制御処理を行っていくと、CPCRおよびCSCRは図に示すように変化していき、7セル時間目のセルがXPCR<CPCR+1のため、14セル時間目のセルがXSCR<CSCR+1のため、セル非適合とされる。
【0043】
図9は、本実施形態におけるトラヒック制御装置の制御処理の別の一例を示すフローチャートである。本制御処理では、ピークトラヒック監視周期ごとに平均トラヒック監視周期をスライドさせて、平均トラヒック制御を行う。TPCR、TSCR等は図7の場合と同様である。
【0044】
トラヒック制御処理として、まずステップS201でカウンタCPCRおよびNSCRを0にし、監視周期TPCRおよびTSCRをリセットする。次にステップS202のアイドル状態に入る。セル入力があると、ステップS203で現在のピーク・セル監視周期における累積セル伝送量CPCRに新たな入力分の1つを加えても、許容伝送量XPCRを超えないか否か判断する。超える場合にはステップS204で新たな入力セルを非適合セルとする。超えない場合にはステップS205で現在の平均セル監視周期における累積セル伝送量NSCRに新たな入力分の1つを加えても、許容伝送量XSCRを超えないか否か判断する。超える場合にはステップS204で新たな入力セルを非適合セルとする。超えない場合にはステップS206で新たな入力セルを適合セルとし、ステップS207でCPCRおよびNSCRに1を加える。
【0045】
新たな入力セルの適合・非適合を判断した後、再びステップS202のアイドル状態に戻り、ピーク・セル監視周期TPCRが満了したか否かを判断し、満了した場合はステップS208に進む。この満了の判断はセル入力がない場合にも行われる。ステップS208でCPCRを0にし、TPCRをリセットし、さらにNSCRを調整する。NSCRの調整は、平均トラヒック監視周期をスライドさせ、スライドにより周期内に含まれなくなったセル数をNSCRから引くことにより行う。その後ステップS202に戻る。
【0046】
図10は、図9のトラヒック制御処理を伝送されてきたセルに適用した例を示す図である。図10では、TPCR=4[セル時間]、TSCR=16[セル時間](n=4)、XPCR=2[セル]、XSCR=5[セル]としている。伝送されてきたセルに対して制御処理を行っていくと、CPCRおよびNSCRは図に示すように変化していき、7セル時間目のセルがXPCR<CPCR+1のため、14セル時間目のセルがXSCR<NSCR+1のため、18セル時間目のセルがXSCR<NSCR+1のため、セル非適合とされる。
【0047】
本実施形態におけるトラヒック制御では、PCRおよびSCRの双方に基づき制御を行ったが、一方にのみ基づき制御を行うこともできる。また、セル(トラヒック)・レートとしてPCRおよびSCR以外のレートを用いることもできる。
【0048】
本実施形態のように、データに固有の周期でバースト的に発生するデータに対して、その固有の周期を考慮したトラヒック監視周期を選び、制御を行うことにより、適切な制御を行うことができる。
【0049】
以上、本発明を主としてATM伝送を用いて説明してきたが、本発明を他の伝送方式に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1実施形態に係るトラヒック制御装置の構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るトラヒック制御装置を、LANおよびPBXを備えた網に設置した例を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るトラヒック制御装置を、移動機および無線基地局を備えた移動無線網に設置した例を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るトラヒック制御装置を、他網および関門交換機を備えた網に設置した例を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るトラヒック制御装置の構成例を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るトラヒック制御装置を設置した移動無線網を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態におけるトラヒック制御装置の制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】図7のトラヒック制御処理を伝送されてきたセルに適用した例を示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態におけるトラヒック制御装置の制御処理の別の一例を示すフローチャートである。
【図10】図9のトラヒック制御処理を伝送されてきたセルに適用した例を示す図である。
【図11】従来の固定網にUPC装置およびTS装置を設置した状態を示す図である。
【図12】従来のトラヒック制御例を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
10、60 トラヒック制御装置
12、62 受信部
14、64 トラヒック制御部
16、66 伝送部
100、105、110、200、210、600、610、900 ATM端末
140 LAN
160 PBX
170、270、470、670、930 加入者交換機
240、245、640、645 移動機
250、650 無線基地局
410 関門交換機
430 他網
905 TS装置
910 個別光ファイバ等
920 UPC装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザが共用する第1および第2の共用リソースならびに加入者交換機を備えた網の前記第1の共用リソースにおいてデータのトラヒック制御を行うトラヒック制御装置であって、
データを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信したデータのうち、前記第2の共用リソースを介して前記加入者交換機に伝送するデータのトラヒック制御を行うトラヒック制御手段と、
前記トラヒック制御手段によりトラヒック制御を行ったデータを伝送する伝送手段と
を備えたことを特徴とするトラヒック制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のトラヒック制御装置において、前記網は、
無線基地局と、
前記無線基地局と前記加入者交換機との間でデータを伝送するための無線基地局・加入者交換機間伝送路と
を備え、前記第1の共用リソースは前記無線基地局であり、前記第2の共用リソースには前記無線基地局・加入者交換機間伝送路が含まれることを特徴とするトラヒック制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のトラヒック制御装置において、前記データは該データに固有の周期でバースト的に発生し、前記トラヒック制御装置は、前記受信手段により受信したデータに対して、前記固有の周期を考慮したトラヒック監視周期内における累積のデータ伝送量がトラヒック・レートに基づく量を超えないようにトラヒック制御を行うことを特徴とするトラヒック制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のトラヒック制御装置において、前記トラヒック制御手段は、各ユーザのデータについて、そのデータがそのユーザのトラヒック条件を満たしているか否かを判定し、トラヒック条件に違反するデータの破棄を行い、またはトラヒック条件に違反するデータの伝送をトラヒック条件を満たすように調節することにより、トラヒック制御を行うことを特徴とするトラヒック制御装置。
【請求項5】
複数のユーザが共用する第1および第2の共用リソースならびに加入者交換機を備えた網の前記第1の共用リソースにおいてデータのトラヒック制御を行うトラヒック制御方法であって、
データを受信するステップと、
前記受信したデータのうち、前記第2の共用リソースを介して前記加入者交換機に伝送するデータのトラヒック制御を行うステップと、
前記トラヒック制御を行ったデータを伝送するステップと
を備えることを特徴とするトラヒック制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載のトラヒック制御方法において、前記第1の共用リソースは、LAN、またはLANと前記加入者交換機との間でデータを伝送するためのLAN・加入者交換機間伝送路であり、前記第2の共用リソースには、少なくとも、LANと前記加入者交換機との間でデータを伝送するためのLAN・加入者交換機間伝送路の一部が含まれることを特徴とするトラヒック制御方法。
【請求項7】
請求項5に記載のトラヒック制御方法において、前記第1の共用リソースは、PBX、またはPBXと前記加入者交換機との間でデータを伝送するためのPBX・加入者交換機間伝送路であり、前記第2の共用リソースには、少なくとも、PBXと前記加入者交換機との間でデータを伝送するためのPBX・加入者交換機間伝送路の一部が含まれることを特徴とするトラヒック制御方法。
【請求項8】
請求項5に記載のトラヒック制御方法において、前記第1の共用リソースは、無線基地局、または無線基地局と前記加入者交換機との間でデータを伝送するための無線基地局・加入者交換機間伝送路であり、前記第2の共用リソースには、少なくとも、無線基地局と前記加入者交換機との間でデータを伝送するための無線基地局・加入者交換機間伝送路の一部が含まれることを特徴とするトラヒック制御方法。
【請求項9】
請求項5に記載のトラヒック制御方法において、前記第1の共用リソースは、関門交換機、関門交換機と前記加入者交換機との間でデータを伝送するための関門交換機・加入者交換機間伝送路、または関門交換機と前記網以外の他網との間でデータを伝送するための関門交換機・他網間伝送路であり、前記第2の共用リソースには、少なくとも、関門交換機と前記加入者交換機との間でデータを伝送するための関門交換機・加入者交換機間伝送路の一部が含まれることを特徴とするトラヒック制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−14368(P2006−14368A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−240408(P2005−240408)
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【分割の表示】特願平11−541350の分割
【原出願日】平成11年3月5日(1999.3.5)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】