説明

トリガー式液体噴出器

【課題】トリガー操作によるプランジャFの後退で、シリンダ30内の液が吐出弁55、射出筒64を通ってノズルEから噴出され、トリガー開放によるプランジャFの前進で、容器体2内液体がパイプC、吸込み弁53を通ってシリンダ30内に流入する如く構成したトリガー式液体噴出器であって、極力部材数を制限するとともに、各部材の成形性を考慮し、また、組み付け操作も容易な構造を備えたトリガー式液体噴出器を提案する。
【解決手段】パイプCを介して容器体2内よりシリンダ30内に至る第1縦流路p1と、シリンダ30内より射出筒64に至る第2縦流路p2とを本体B内に備え、シリンダ30内後端部に嵌着した弁部材Dにより、第1縦流路p1とシリンダ30内との間に吸込み弁53を、シリンダ30内と第2縦流路との間に吐出弁55をそれぞれ形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトリガー式液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
トリガー式液体噴出器として、容器体にトリガー式ポンプを装着させて構成され、トリガー操作により容器体内の液をノズルより噴出する如く構成したものが種々提案されている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
特許文献1に記載されたトリガー式液体噴出器は、垂直筒の中間部からシリンダを、上端部から射出筒をそれぞれ前方へ突出し、また、上面及び左右側面、更に後面を、カバー壁で覆合した本体を備え、本体下端に介在部材を介して容器体口頸部外面へ螺合させる装着筒を垂下し、射出筒前端には、ノズル連結部材を介してノズルを嵌合させている。更に、シリンダ内にはコイルスプリングにより前方付勢させたプランジャを嵌合させ、射出筒前部から揺動可能に垂下するトリガーの上部後面へ、プランジャ前端を係合させている。垂直筒内には吸込み弁を構成する玉状弁体を装着し、また、吐出弁を構成する弾性板付きの吐出弁部材を嵌着している。そして、上記トリガー操作によるプランジャの後退で、シリンダ内の液体が吐出弁、射出筒を通ってノズルから噴出され、またトリガー開放によるプランジャの前進で、吸上げパイプ、吸込み弁を通って容器体内液体がシリンダ内へ流入する如く構成している。
【0004】
上記トリガー式液体噴出器の構造は、装着筒と、垂直筒、シリンダ、射出筒及びカバー壁を一体化した本体と、本体と装着筒を連結する介在部材と、ノズルと、ノズルと射出筒を連結する連結部材と、トリガーと、トリガーを付勢するコイルスプリングと、プランジャと、垂直筒内で吸込み弁を形成する玉状弁体と、吐出弁を形成する弁部材と、吸上げパイプ等から構成されており、その部材数も多く、また、各部材の組み付けの煩雑さも改良の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−249252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、極力部材数を制限するとともに、各部材の成形性を考慮し、また、組み付け操作も容易な構造を備えたトリガー式液体噴出器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、容器体2と、容器体2の口頸部12に装着キャップAを嵌合させて装着するトリガー式ポンプ3とを備え、トリガー式ポンプ3は、上部より前方へ射出筒64を、その下方より前方へシリンダ30をそれぞれ突設した本体Bと、射出筒64先端に嵌着したノズルEと、本体B下部に回動可能に装着して容器体2の口頸部12に嵌合させた装着キャップAと、射出筒64前部から揺動可能に垂下するトリガーHと、シリンダ30に前方付勢状態で嵌合させたプランジャFとを備え、トリガー操作によるプランジャFの後退で、シリンダ30内の液が吐出弁55、射出筒64を通ってノズルEから噴出され、トリガー開放によるプランジャFの前進で、容器体2内液体がパイプC、吸込み弁53を通ってシリンダ30内に流入する如く構成したトリガー式液体噴出器に於いて、パイプCを介して容器体2内よりシリンダ30内に至る第1縦流路p1と、シリンダ30内より射出筒64に至る第2縦流路p2とを本体B内に備え、シリンダ30内後端部に嵌着した弁部材Dにより、第1縦流路p1とシリンダ30内との間に吸込み弁53を、シリンダ30内と第2縦流路との間に吐出弁55をそれぞれ形成した。
【0008】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、先端を吸込み弁座33とするとともに、シリンダ30内と縦筒28内とを連通する筒部32をシリンダ30内後端に突設し、その周囲に筒状の吐出弁座36を突設し、弁部材Dは、筒部32外方に嵌着した装着筒部50の先端に、弾性板51で支持して吸込み弁座33に圧接した吸込み弁体52を張設し、吐出弁座36内周に後端縁を圧接するスカート状の吐出弁体54を装着筒部50外周より突設して構成した。
【0009】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段に於いて、吐出弁座36の内面にシリンダ30内と第2縦流路p2との間を連通するバックサクション用の凹溝43を設けた。
【0010】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第3手段に於いて本体Bを、シリンダ30を備えた下部部材B1と、射出筒64を備えた上部部材B2とで構成し、下部部材B1に装着キャップAとパイプCとプランジャFとを、上部部材B2にノズルEとトリガーHと、本体Bの上面、両側面、後面を覆合するカバーIとを、それぞれ装着する構成とし、プランジャF先端をトリガーHに枢着させてトリガーHの揺動とプランジャFの前後動を連係させ、別に装着したバネ部材GでトリガーHを前方付勢することでプランジャFを前方付勢する如く構成した。
【0011】
第5の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第4の手段に於いて、バネ部材Gは、射出筒64の上に嵌着した取付基部80と、取付基部80の両側からそれぞれ垂設した一対のバネ板81とを備え、取付基部80にトリガーHの上部を枢着するとともに、バネ板81とトリガーHとを連係させてトリガーHを前方へ押圧付勢させている。
【0012】
第6の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第3の手段又は第4の手段に於いて、下部部材B1は、周囲に装着キャップAを回動可能に嵌合させた基筒部25と、基筒部25内の後部偏心位置に基筒部頂壁27を貫通して支持されるとともに、下部にパイプCを嵌着した縦筒28と、縦筒28の前部に突設したシリンダ30とを備え、上部部材B2は、縦筒28上端部に嵌着した嵌着筒60より前方へ射出筒を突設し、射出筒64先端にノズルEを嵌着して構成し、縦筒28内所定位置に上下を遮断する遮断壁34を設けて、その下方を、パイプCを介して容器体2内よりシリンダ30内に至る第1縦流路p1として構成し、その上方を、シリンダ30内より射出筒64に至る第2縦流路p2として構成した。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、パイプCを介して容器体2内よりシリンダ30内に至る第1縦流路p1と、シリンダ30内より射出筒64に至る第2縦流路p2とを本体B内に備え、シリンダ30内後端部に嵌着した弁部材Dにより、第1縦流路p1とシリンダ30内との間に吸込み弁53を、シリンダ30内と第2縦流路との間に吐出弁55をそれぞれ形成したので、吸込み弁53及び吐出弁55を一つの弁部材Dで形成できるため、成形性の向上を図れるとともに、製造コストも低下し、また、その組み付け操作も容易となる利点がある。
【0014】
先端を吸込み弁座33とするとともに、シリンダ30内と縦筒28内とを連通する筒部32をシリンダ30内後端に突設し、その周囲に筒状の吐出弁座36を突設し、弁部材Dは、筒部32外方に嵌着した装着筒部50の先端に、弾性板51で支持して吸込み弁座33に圧接した吸込み弁体52を張設し、吐出弁座36内周に後端縁を圧接するスカート状の吐出弁体54を装着筒部50外周より突設して構成した場合には、シリンダ30前方からの弁部材Dの嵌着が容易に行えるため、組み付け操作がより簡便となる。
【0015】
吐出弁座36の内面にシリンダ30内と第2縦流路p2との間を連通するバックサクション用の凹溝43を設けた場合には、トリガーHを操作後のトリガーH開放時にノズルE先端の液を吸引する作用があるため、液ダレ等の不都合を確実に解消できる利点があり、そのための構造も極めて簡単である。
【0016】
本体Bを、シリンダ30を備えた下部部材B1と、射出筒64を備えた上部部材B2とで構成し、下部部材B1に装着キャップAとパイプCとプランジャFとを、上部部材B2にノズルEとトリガーHと、本体Bの上面、両側面、後面を覆合するカバーIとを、それぞれ装着する構成とし、プランジャF先端をトリガーHに枢着させてトリガーHの揺動とプランジャFの前後動を連係させ、別に装着したバネ部材GでトリガーHを前方付勢することでプランジャFを前方付勢する如く構成した場合には、細かいコイルスプリングを使用しないで済む点からも組み付け操作が容易となり、また、本体Bを分離成形しているにも拘わらず、例えば、従来の介在部材や連結部材を削除できているため、部材数も多くならず、しかもそれぞれの組み付け操作がより容易となる利点がある。
【0017】
バネ部材Gは、射出筒64の上に嵌着した取付基部80と、取付基部80の両側からそれぞれ垂設した一対のバネ板81とを備え、取付基部80にトリガーHの上部を枢着するとともに、バネ板81とトリガーHとを連係させてトリガーHを前方へ押圧付勢させている場合には、その構造も簡単で容易な製造が可能であるとともに、更に組み付け操作が容易となる。
【0018】
下部部材B1は、周囲に装着キャップAを回動可能に嵌合させた基筒部25と、基筒部25内の後部偏心位置に基筒部頂壁27を貫通して支持されるとともに、下部にパイプCを嵌着した縦筒28と、縦筒28の前部に突設したシリンダ30とを備え、上部部材B2は、縦筒28上端部に嵌着した嵌着筒60より前方へ射出筒を突設し、射出筒64先端にノズルEを嵌着して構成し、縦筒28内所定位置に上下を遮断する遮断壁34を設けて、その下方を、パイプCを介して容器体2内よりシリンダ30内に至る第1縦流路p1として構成し、その上方を、シリンダ30内より射出筒64に至る第2縦流路p2として構成した場合には、複雑な本体をそれぞれ簡単構造で組付け易く分離形成しているため、各部材の製造も容易となり、また、組み付けも容易である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】トリガー式液体噴出器の縦断面図である。(実施例1)
【図2】弁部材部分の要部縦断面図である。(実施例1)
【図3】弁部材の正面図である。(実施例1)
【図4】トリガー取付部分の要部説明図である。(実施例1)
【図5】トリガー式液体噴出器の縦断面図である。(実施例2)
【図6】図5のx−x線部分の連結状態を説明する縦断面図である。(実施例2)
【図7】弁部材装着部分の要部縦断面図である。(実施例3)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の形態を図面を参照して説明する。
【0021】
図1はトリガー式液体噴出器1の一例を示すもので、トリガー式液体噴出器1は、容器体2と、トリガー式ポンプ3とを備えている。
【0022】
容器体2は、胴部10より肩部11を介して口頸部12を起立したボトルタイプのものが使用できる。
【0023】
トリガー式ポンプ3は、装着キャップAと、本体Bと、パイプCと、弁部材Dと、ノズルEと、プランジャFと、バネ部材Gと、トリガーHと、カバーIとを備えている。
【0024】
装着キャップAは、容器体2の口頸部12外周に螺着させる周壁20の上端より内方へフランジ21を延設して構成している。
【0025】
本体Bは、下部部材B1と、上部部材B2とで構成している。
【0026】
下部部材B1は、外周に装着キャップAを回動可能に嵌合させた基筒部25を備えている。基筒部25外周に突設したフランジ26上に装着キャップAのフランジ21を遊嵌させて回動可能に装着キャップAを嵌合させている。基筒部25には頂壁27を架設し、頂壁27の後部偏心位置を貫通して縦筒28を支持している。
【0027】
縦筒28の下部にはパイプCの上端部を嵌着し、その下端を容器体2内に垂下させている。また、縦筒28の前部で、基筒部頂壁27上にシリンダ30を突設している。シリンダ30と基筒部頂壁27とは一部を共有している。シリンダ30の下部には容器体2内への外気の導入に寄与する透孔31を穿設している。
【0028】
また、シリンダ30内後端には筒部32を突設している。筒部32は、図2に示す如く、先端を吸込み弁座33とするとともに、シリンダ30内と縦筒28内とを連通する。縦筒28の所定位置には上下を遮断する遮断壁34を設けており、この遮断壁34の下方の縦筒28内と筒部32内を介してシリンダ30内とを連通する如く構成しており、また、シリンダ30内に於ける筒部32上方の縦筒28に穿設した透孔35を介してシリンダ30内と遮断壁34上方の縦筒28内を連通している。また、シリンダ30内後端の上記透孔35外周位置に、筒状の吐出弁座36を突設している。
【0029】
また、縦筒28の上部はシリンダ30の上方へ突設し、その上端前部には上部部材B2の射出筒との連通用の透孔37を穿設している。また、縦筒28の後部には、下面にカバーIを係止する係止突起38を、上面に上部部材B2を係止する係止突起39を、それぞれ突設した突部40を設けており、シリンダ30の上部には射出筒64を支持する支持板41を起立している。
【0030】
本発明では、特殊構成の弁部材Dを用いて、一つの弁部材Dで吸込み弁及び吐出弁を構成している。弁部材Dは、図2に示す如く、筒部32外周に嵌着した装着筒部50の先端に、図3に示す如き弾性板51で支持した吸込み弁体52を張設し、この吸込み弁体52を筒部32前面の吸込み弁座33に圧接することで吸込み弁53を構成している。また、装着筒部50外周より突設するとともに、後方へ広がるスカート状をなす吐出弁体54を突設し、吐出弁体54の後端縁を吐出弁座36の内周に圧接することで吐出弁55を構成している。
【0031】
上部部材B2は、縦筒28の上端部外周に嵌着した有頂の嵌着筒60を備え、嵌着筒60の頂部より垂設したシール筒61を縦筒28の上端部内周に嵌着している。嵌着筒60の後部下端に突設した係合突部62を下部部材B1の係止突起39と係合させて上部部材B2の上方への抜け出しを防止している。シール筒61の前部に射出筒64内に連通するための透孔63を穿設している。また、嵌着筒60の前部より前方へ、支持板41上に嵌合してその前方へ先端を突出した射出筒64を突設している。射出筒64の先端には大径の嵌合筒部65を備え、嵌合筒部65の中央に中心軸部66を突設している。そして、遮断壁34の下部に、パイプCを介して容器体2内よりシリンダ30内に至る第1縦流路p1を画成し、遮断壁34の上部に、シリンダ30内より射出筒64に至る第2縦流路p2を画成している。
【0032】
射出筒64の先端には直接ノズルEを嵌着している。ノズルEは嵌合筒部65外周に回動可能に嵌合させた嵌合筒70内に噴出口71を備えた前板72を架設し、前板72の後面から中心軸部66外周に遊嵌させた筒部73を突設し、筒部73内と射出筒64内を連通するとともに、筒部73内前部に回動により中心軸部66先端の凹溝67と連通する凹溝74を備えた肉厚部を設けている。そして、凹溝相互が連通する位置にノズルEを回動させることで、液の噴出が可能となり、また、凹溝相互の位置がずれた位置では流路が遮断される如く構成している。
【0033】
プランジャFは、シリンダ30の内周に摺動する摺動部75を本体部76の外周より突設し、シリンダ30内より先端部を突設してシリンダ30内を前後動可能に装着している。
【0034】
バネ部材Gは、射出筒64の上に嵌着した取付基部80と、取付基部80の両側からそれぞれ垂設した一対のバネ板81とを備えている。取付基部80は、射出筒64上の上板80aの両側から射出筒64両側にそれぞれ垂下嵌合する一対の側板80bを延設し、各側板80bの前部両側に上部を固定して、前方へ突出湾曲する形態の一対のバネ板81を垂設している。各バネ板81の下端部からは係止用突部82をそれぞれ垂設している。また、各バネ板81の後方の各側板80b下端にはトリガーHを枢着するための軸受け83をそれぞれ垂設している。
【0035】
トリガーHは、一対の側板部85間前部を前板部86で連結し、側板部85の上部に突設した軸87を軸受け83にそれぞれ軸着して本体Bに対して揺動可能に装着している。また、各側板部85には、バネ部材Gを係止するための拡幅部分85aを設けている。この拡幅部分85aは、外側方へ広がり、下面が湾曲し、上面及び後面を開放した形態をなしており、この幅広部分1内にバネ部材Gの係止用突部82を嵌入している。更に、トリガーHの側板部85内面に回動軸88をそれぞれ突設しており、各回動軸88をプランジャFの前部両側に凹設した軸受け凹部77にそれぞれ枢着している。
【0036】
そして、トリガーHを引くことでプランジャFが後方へ移動してシリンダ30内を加圧するとともに、バネ部材Gは係止用突部82が拡幅部分85aの前面に当接して弾性変形し、トリガーHの押圧を開放するとバネ部材Gの弾性復元でトリガーHが前方へ揺動するとともに、プランジャFが前方へ移動する如く構成している。
【0037】
カバーIは、本体Bの両側及び上面及び後面を覆合するもので、頂部下面に設けた係合凸部90を上部部材B2の上面に設けた係合凹部68に係合し、また、後部下方に穿設した係合孔91に本体Bの下方の係止突起38を係合させて装着係止している。
【0038】
図5及び図6は他の例を示すもので、図1の例に於いて、弁部材Dの形態が相違し、また、下部部材B1と上部部材B2との係止形態が相違している。
【0039】
本例に於いて、下部部材B1に於ける筒部32を前方へ長く形成し、筒部32の外周に嵌合用筒42を立設し、また、シリンダ30の後端部内周に一体に筒状の吐出弁座36を突設している。弁部材Dは、嵌合用筒42の外周に装着筒部50を嵌着し、装着筒部50の頂部より前方へ螺旋状の弾性板51を延設し、その先端に、筒部32先端の吸込み弁座33に圧接する吸込み弁体52を連結し、吸込み弁体52と吸込み弁座33とで吸込み弁53を構成している。また、装着筒部50外周より突設するとともに、後方へ広がるスカート状をなす吐出弁体54を吐出弁座36の内周に圧接することで吐出弁55を構成している。この場合に吐出弁座36には一部にシリンダ内外を連通する凹溝43を凹設しており、この凹溝43は、図7に示す如く、前後を貫通するものであっても良い。凹溝43の存在でバックサクション効果を生じる。
【0040】
また、本例では、シリンダ30の上面の支持板41に変えて、射出筒64の後部両側から一対の支持用板69を垂設してシリンダ30の両側上面に下面を当接係止させており、また、シリンダ30の後部上面にそれぞれ透孔44を備えた一対の係止板45を立設し、射出筒64の後部下面より、両側に突起96を備えた係止用突部97を垂設し、各突起96を各透孔44に嵌合することで上部部材B2の上方への抜け出しを防止している。また、カバーIの係合孔91に代えてカバー後部下面に起立した係合突起92と係止突起38とを係合させている。その他の構成は図1の例と実質的に同様であるため、説明を省略する。
【0041】
尚、上記各部材は主として合成樹脂により形成され、必要に応じて金属或いは柔軟性のあるエラストマー等を併用することも可能である。
【符号の説明】
【0042】
1:トリガー式液体噴出器
2:容器体
10…胴部、11…肩部、12…口頸部
3:トリガー式ポンプ
A:装着キャップ
20…周壁、21…フランジ
B:本体
B1:下部部材
25…基筒部、26…フランジ、27…頂壁、28…縦筒、30…シリンダ、
31…透孔、32…筒部,33…吸込み弁座、34…遮断壁、35…透孔,
36…吐出弁座、37…透孔、38…係止突起、39…係止突起、40…突部、
41…支持板、42…嵌合用筒、43…凹溝、44…透孔、45…係止板
B2:上部部材
60…嵌着筒、61…シール筒、62…係合突部、63…透孔、64…射出筒、
65…嵌合筒部、66…中心軸部、67…凹溝、68…係合凹部、69…支持用板、
96…突起、97…係止用突部
C:パイプ
D:弁部材
50…装着筒部、51…弾性板、52…吸込み弁体、53…吸込み弁、54…吐出弁体、55…吐出弁
E:ノズル
70…嵌合筒、71…噴出口、72…前板、73…筒部、74…凹溝
F:プランジャ
75…摺動部,76…本体部、77…軸受け凹部
G:バネ部材
80…取付基部、80a…上板、80b…側板、81…バネ板、82…係止用突部、
83…軸受け H:トリガー
85…側板部、85a…拡幅部分、86…前板部、87…軸、88…回動軸
I:カバー
90…係合凸部、91…係合孔、92…係合突起
p1:第1縦流路
p2:第2縦流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体(2)と、容器体(2)の口頸部(12)に装着キャップ(A)を嵌合させて装着するトリガー式ポンプ(3)とを備え、トリガー式ポンプ(3)は、上部より前方へ射出筒(64)を、その下方より前方へシリンダ(30)をそれぞれ突設した本体(B)と、射出筒(64)先端に嵌着したノズル(E)と、本体(B)下部に回動可能に装着して容器体(2)の口頸部(12)に嵌合させた装着キャップ(A)と、射出筒(64)前部から揺動可能に垂下するトリガー(H)と、シリンダ(30)に前方付勢状態で嵌合させたプランジャ(F)とを備え、トリガー操作によるプランジャ(F)の後退で、シリンダ(30)内の液が吐出弁(55)、射出筒(64)を通ってノズル(E)から噴出され、トリガー開放によるプランジャ(F)の前進で、容器体(2)内液体がパイプ(C)、吸込み弁(53)を通ってシリンダ(30)内に流入する如く構成したトリガー式液体噴出器に於いて、パイプ(C)を介して容器体(2)内よりシリンダ(30)内に至る第1縦流路(p1)と、シリンダ(30)内より射出筒(64)に至る第2縦流路(p2)とを本体(B)内に備え、シリンダ(30)内後端部に嵌着した弁部材(D)により、第1縦流路(p1)とシリンダ(30)内との間に吸込み弁(53)を、シリンダ(30)内と第2縦流路との間に吐出弁(55)をそれぞれ形成したことを特徴とするトリガー式液体噴出器。
【請求項2】
先端を吸込み弁座(33)とするとともに、シリンダ(30)内と縦筒(28)内とを連通する筒部(32)をシリンダ(30)内後端に突設し、その周囲に筒状の吐出弁座(36)を突設し、弁部材(D)は、筒部(32)外方に嵌着した装着筒部(50)の先端に、弾性板(51)で支持して吸込み弁座(33)に圧接した吸込み弁体(52)を張設し、吐出弁座(36)内周に後端縁を圧接するスカート状の吐出弁体(54)を装着筒部(50)外周より突設して構成した請求項1に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項3】
吐出弁座(36)の内面にシリンダ(30)内と第2縦流路(p2)との間を連通するバックサクション用の凹溝(43)を設けた請求項2に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項4】
本体(B)を、シリンダ(30)を備えた下部部材(B1)と、射出筒(64)を備えた上部部材(B2)とで構成し、下部部材(B1)に装着キャップ(A)とパイプ(C)とプランジャ(F)とを、上部部材(B2)にノズル(E)とトリガー(H)と、本体(B)の上面、両側面、後面を覆合するカバー(I)とを、それぞれ装着する構成とし、プランジャ(F)先端をトリガー(H)に枢着させてトリガー(H)の揺動とプランジャ(F)の前後動を連係させ、別に装着したバネ部材(G)でトリガー(H)を前方付勢することでプランジャ(F)を前方付勢する如く構成した請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項5】
バネ部材Gは、射出筒(64)の上に嵌着した取付基部(80)と、取付基部(80)の両側からそれぞれ垂設した一対のバネ板(81)とを備え、取付基部(80)にトリガー(H)の上部を枢着するとともに、バネ板(81)とトリガー(H)とを連係させてトリガー(H)を前方へ押圧付勢させている請求項4に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項6】
下部部材B1は、周囲に装着キャップ(A)を回動可能に嵌合させた基筒部(25)と、基筒部(25)内の後部偏心位置に基筒部頂壁(27)を貫通して支持されるとともに、下部にパイプ(C)を嵌着した縦筒(28)と、縦筒(28)の前部に突設したシリンダ(30)とを備え、上部部材(B2)は、縦筒(28)上端部に嵌着した嵌着筒(60)より前方へ射出筒を突設し、射出筒(64)先端にノズル(E)を嵌着して構成し、縦筒(28)内所定位置に上下を遮断する遮断壁(34)を設けて、その下方を、パイプ(C)を介して容器体(2)内よりシリンダ(30)内に至る第1縦流路(p1)として構成し、その上方を、シリンダ(30)内より射出筒(64)に至る第2縦流路(p2)として構成した請求項3又は請求項4に記載のトリガー式液体噴出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−176381(P2012−176381A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41646(P2011−41646)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】