説明

トリガー式液体噴出器

【課題】レバーがボディから外れることがなく、レバーを確実に牽曳及び復帰させることができる、新規なトリガー式液体噴出器を提供する。
【解決手段】容器20の口部23に装着される本体を有し当該本体の内側に形成された通路r1に通じるシリンダが設けられたボディ2と、シリンダに配置されるピストン3と、ピストン3に係合してボディ2に対して牽曳及び復帰が可能なレバー4とを有し、レバー4の牽曳及び復帰の繰り返しによってピストン3を動作させることで、噴出口A4から内容物を噴出させるトリガー式液体噴出器1である。ボディ本体に、その内側に形成された通路r1に通じる内部通路r2を有して前方向に延在する延長流路部2cを設け、レバー4に、延長流路部2cを通す開口部A3を形成し、当該開口部A3に配置された延長流路部2cにレバー4を回転可能に軸支させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバーの牽曳及び復帰の繰り返しによって容器内の内容物を外界に噴出させるトリガー式液体噴出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トリガー式液体噴出器としては、容器の口部に装着されるボディにシリンダを設け、このシリンダに配置したピストンをレバーの牽曳及び復帰の繰り返しによって動作させることで、容器の内容物を外界に噴射させるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平03−23321号公報
【特許文献2】実公平06−47587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のトリガー式液体噴出器は、レバー本体の上部に、2つのアーム部分を幅方向に間隔を空けて設け、これらのアーム部分で当該ボディを挟み込むように、当該アーム部分をそれぞれ、ボディの側面に回転可能に軸支させている。このため、アーム部分をボディに対して凹凸嵌合のみで軸支する場合、アーム部分が大きく外向きに変形すると、レバーがボディから外れてしまうことが考えられる。この場合、使用者は、再びレバーをボディに対して凹凸嵌合させなければならず、使い勝手に改善の余地がある。
【0005】
本発明の目的とするところは、レバーがボディから外れることがなく、レバーを確実に牽曳及び復帰させることができる、新規なトリガー式液体噴出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、容器の口部に装着される本体を有し当該本体の内側に形成された通路に通じるシリンダが設けられたボディと、当該ボディに設けられたシリンダに配置されるピストンと、当該ピストンに係合してボディに対して牽曳及び復帰が可能なレバーとを有し、当該レバーの牽曳及び復帰の繰り返しによってピストンを動作させることで、噴出口から内容物を噴出させるトリガー式液体噴出器であって、ボディ本体に、その内側に形成された通路に通じる内部通路を有して前方向に延在する延長流路部を設け、レバーに、延長流路部を通す開口部を形成し、当該開口部に配置された延長流路部に前記レバーを回転可能に軸支させたことを特徴とするものである。
【0007】
本発明によれば、レバーに形成された開口部を形作って延長流路部の上側に配置されるフレーム部分を、延長流路部との軸支部分を覆うように前後方向に延在させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、レバーに開口部を形成し、この開口部に通したボディの延長流路部にレバーを軸支したことで、当該レバーは、開口部を形作ることで剛性が高められた側壁を延長流路部に対して軸支されることになる。即ち、レバーは、外向きに変形し難い側壁によって延長流路部に対して軸支される。
【0009】
従って、本発明によれば、レバーがボディから外れることがなく、レバーを確実に牽曳及び復帰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明である、トリガー式液体噴出器の一形態である、トリガー式噴霧器をボトル型容器に採用した状態で示す要部斜視図である。
【図2】同形態に係る噴霧器を示す正面図である。
【図3】同噴霧器を示す左側面図である。
【図4】同噴霧器を示す平面図である。
【図5】同形態を図4のX−X断面で示す要部断面図である。
【図6】同形態をレバー、弾性部材及びポンプ本体に分解して示す分解図である。
【図7】(a)は、同形態に係るストッパの正面図であり、(b)は、同形態に係るストッパの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の一形態である、トリガー式噴霧器1を詳細に説明する。
【0012】
図1に示すトリガー式噴霧器1は、合成樹脂製のボトル型の容器20に装着されている。容器20は、例えば、整髪料等を内溶液とし、この内溶液の充填空間C1を形成する胴部21を有する。容器20は、図5に示すように、胴部21に肩部22を介して一体に繋がる口部23を有し、この口部上端23eに、充填空間C1に通じる開口部A1を形作る。
【0013】
トリガー式噴霧器1は、開口部A1を通して充填空間C1の内溶液を噴出させる。トリガー式噴霧器1は、口部上端23eとの間が、Oリング等の、環状のシール部材8を介して封止されるボディ2を有する。
【0014】
ボディ2は、本体(以下、「ボディ本体」)2aを有し、このボディ本体2aに、内溶液を吸引、加圧、圧送するためのシリンダ2bが前方に指向するように一体に設けられている。シリンダ2bは、ボディ本体2aの内側に形成された通路r1に対して開口部A2を通して繋がり、通路r1に配置された、ボール弁に代表される、吸入弁Vからの内溶液が導入される。また、ボディ本体2aには、前方向に延在する延長流路部2cが一体に設けられている。
【0015】
また、シリンダ2bの内側には、ピストン3が配置されている。ピストン3は、シリンダ2bとの間にポンプ室C2を形成する。ピストン3は、レバー4の牽曳及び復帰の繰り返しによって動作する。ピストン3には、ピストンシャフト3aが一体に設けられている。ピストンシャフト3aの先端には、フック部3bが設けられている。ピストン3は、フック部3bによって、レバー4に設けた軸部4sに対して回転可能に支持されている。また、レバー4は、延長流路部2cに設けられた軸部2sを介してボディ2に対して回動可能に保持されている。
【0016】
ボディ2とレバー4との間には、レバー4の牽曳に対する復元力を与える付勢部材5が配置されている。付勢部材5は、ボディ2に固定される固定部5aを有し、この固定部5aと一体に繋がる弾性片5bによってレバー4を牽曳可能な初期位置に付勢する。
【0017】
レバー4には更に、延長流路部2cを通す開口部A3が形成されている。開口部A3は、レバー4の幅方向に間隔を空けて配置されて開口部A3の側縁部を形作る2つの側壁4aと、これら側壁4aの相互間に掛け渡されて開口部A3の下側縁部を形作るパネル4bと、これら側壁4aの相互間に掛け渡されて開口部A3の上側縁部を形作るフレーム4cとで形作られている。これにより、レバー4は、開口部A3に配置された延長流路部2cに回転可能に軸支させることができる。
【0018】
レバー4は、その側壁4aのうち、開口部A3を形作る側壁4a1に、延長流路部2cに設けた軸部2sを回転可能に嵌合させる凹部4dが形成されている。これにより、レバー4は、延長流路部2cに対して回転可能に保持されることで、ボディ2に対して牽曳及び復帰が可能になる。なお、本形態では、側壁4a1に更に、凹部4dに軸部2sを案内するための溝部4eが形成されている。
【0019】
延長流路部2cの先端には、ノズル6が固定されている。ノズル6は、延長流路部2cと共に、流路r1を外界に通じさせる内部通路r2を形成する。ノズル6の先端には、内溶液を噴出させるための噴出口A4が形成されている。ノズル6の先端内側には、内溶液を噴霧させるためのエレメント7が設けられている。なお、レバー4には、八角形状の複数の滑り止めが設けられているが、図1では省略する。
【0020】
ボディ2は、その肩部2dで、口部上端23eとの間にシール部材8を挟んで封止する。肩部2dには、口部上端23eに形作られた開口部A1を通して充填空間C1を外界に通じさせる貫通孔(以下、「空気置換孔」)A5が設けられている。
【0021】
更に、シール部材8は、図5に示すように、その内周縁8aが口部上端23eから開口部A1の内側に延在している。即ち、シール部材8の内周縁8aは、口部上端23eを基点に、変形及び復元の可能な環状の弾性片(以下、「弾性弁」)として構成されている。これにより、弾性弁8aは、口部上端23eを基点に、空気置換孔A5を開閉可能に閉じることができる。
【0022】
トリガー式噴霧器1は、レバー4の牽曳及び復帰の繰り返しによって、ピストン3が動作することで、ポンプ室C2に吸入されて加圧された内溶液は、通路r1,r2を通して噴出口A4から噴霧される。このように、内容物を噴出させるのに伴い充填空間C1内の圧力が低下すれば、その負圧によって、シール部材8の内周縁で構成された環状の弾性片8aが変形して空気置換孔A5を開くことで、外界との空気置換を行うことができる。しかも、外界との空気置換によって、充填空間C1内の圧力が上昇すれば、弾性片8aの復元が復元して空気置換孔A5を閉じることで、再び、充填空間C1が外界に開放されることがない。なお、図5において、符号9は、充填空間C1から内溶液を吸入するための吸入パイプである。
【0023】
本発明では、レバー4に開口部A3を形成したことで、この開口部A3を形作る2つの側壁4a1は、レバー4の幅方向に沿って上下に掛け渡されて開口部A3の上下を形作るパネル部4b及びフレーム部4cによって、横方向に対する剛性(強度)が向上する。このため、本形態のように、開口部A3に通した延長流路部2cにレバー4を軸支すれば、当該レバー4は、開口部A3を形作ることで剛性が高められた側壁4a1を延長流路部2cに対して軸支されることになる。
【0024】
即ち、レバー4は、外向きに変形し難い側壁4a1によって延長流路部2cに対して軸支される。従って、本形態によれば、レバー4がボディ2から外れることがなく、レバー4を確実に牽曳及び復帰させることができる。
【0025】
また、本形態では、レバー4に形成された開口部A3を形作って延長流路部2cの上側に配置されるフレーム部分4cを、図5に示すように、延長流路部2cとの軸支部分(2s,4d)を覆うように前後方向に延在させている。この場合、2つの側壁4a1は、フレーム部4cとの結合面積が増大することで、更に外向きに変形し難くなる。従って、かかる構成によれば、レバー4の脱落防止に有効である。
【0026】
ここで、符号10は、レバー4の牽曳を阻止するストッパである。ストッパ10は、レバー4の背面4gに接触する接触部F1と、ボディ2に設けたシリンダ2bの先端2fに接触する接触部F2とを有し、シリンダ2bとレバー4との間に介在して、レバー4の牽曳を阻止する。
【0027】
本形態では、シリンダ2bとレバー4との間を前後方向に延在するフランジ部11と、このフランジ部11から一体に起立する基部12で構成されている。接触部F1は、フランジ部11の前後端11aとしてなり、接触部F2は、基部12の前後端としてなる。これにより、ストッパ10は、ボディ2に設けたシリンダ2bの先端2fとレバー4の背面4gとの間に介在させることで、レバー4の牽曳を阻止する。なお、本形態では、基部10bは、板状をなしてその前後方向に段部Sが形成されており、この段部Sを形作る側縁が接触部F2として構成されているが、段部Sを設けることなく、接触部F2として構成することもできる。
【0028】
更に、ストッパ10には、ピストンシャフト5aを着脱可能に挟み込む2つの弾性片13が一体に設けられている。弾性片13は、ピストンシャフト5aを保持する円弧部13aを有する。円弧部13aは、その内周面がピストンシャフト5aを取り囲むように形作られている。更に、円弧部13aの自由端側端部13bをそれぞれ、互いの端縁13eが遠ざかるように傾斜させることで外向きに延在させている。
【0029】
本形態では、ストッパ10は、ピストンシャフト5aに挟み込まれることで、ボディ2に設けたシリンダ2bの先端2fとレバー4の背面4gとの間に介在して、このレバー4の牽曳を阻止する。そして、使用時には、ピストンシャフト5aから取り外すことができる。即ち、ストッパ10は、トリガー式噴出器1とは別体で構成されているため、トリガー式噴出器1から取り外せば、トリガー式噴出器1としてはすっきりした外観印象を与える。また、2つの弾性片13で着脱可能に挟み込めるため、様々なトリガー式噴出器1に流用することができて、トリガー式噴出器1に対する組み付け作業も容易である。
【0030】
従って、本形態によれば、トリガー式液体噴出器1としてはすっきりとした外観印象を与えつつ、汎用性に優れ、組み付け作業も容易になる。
【0031】
更に、本形態のように、弾性片13が、ピストンシャフト5aを保持する円弧部13aを有し、この円弧部13aの自由端側端部13bをそれぞれ、互いの端縁13eが遠ざかるように傾斜させることで外向きに延在させれば、組み付け作業も更に容易になる。
【0032】
上述したところは、本発明の一形態を示したにすぎず、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。例えば、本形態に係る、ボディ2では、シリンダ2bが前方に指向するように一体に設けたが、ボディ本体2aに内蔵して通路r1の間に介在させることで、本発明を特許文献1に開示されたトリガー式噴出器に適用させることもできる。また、開口部A3の下側縁部を形作るパネル4bは、開口部A3の上側縁部を形作るフレーム4cと同様、フレーム(リブ)として置き換えることもできる。更に、パネル4bは、従来のレバーの上端部を構成するフレーム4cのみとすることで、省略することもできる。
【0033】
加えて、ボディ本体2aの上部に設けられた凹部は、省略することができる。また、ボディ2は、口部23に対して、別体のリングキャップを介して連結することできるが、本形態では、口部23に装着するための装着部2eを一体に設けている。装着部2eは、口部23に螺合するものや、アンダーカット嵌合するもの等、口部23に対する装着方法はこれに限定されるものではない。装着部2eを一体に設ける場合、ボディ2と口部23との間を効果的に密封することで、更に良好な噴出を実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、容器の口部に装着されるボディと、当該ボディに設けられたシリンダに配置されるピストンと、当該ピストンに設けられたピストンシャフトに回転可能に係合するレバーとを有し、当該レバーの牽曳及び復帰の繰り返しによって噴出口から内容物を噴出させるトリガー式液体噴出器であれば、内容物を霧状に噴出させるものに限定されることなく、泡状に噴出させるものにも適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 トリガー式噴霧器
2 ボディ
3 ピストン
3a ピストンシャフト
3b フック部
4 レバー
4a 側壁
4a1 開口部側壁
4b パネル
4c フレーム
4d 軸支用凹部
4e 案内溝
4f レバー本体上端フレーム
5 付勢部材
5a 固定部
5b 弾性片
6 ノズル
7 噴霧エレメント
8 シール部材
9 吸入パイプ
10 ストッパ
11 フランジ部
12 ストッパ基部
13 弾性片
13a 円弧部
13b 円弧部の自由端側端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に装着される本体を有し当該本体の内側に形成された通路に通じるシリンダが設けられたボディと、当該ボディに設けられたシリンダに配置されるピストンと、当該ピストンに係合してボディに対して牽曳及び復帰が可能なレバーとを有し、当該レバーの牽曳及び復帰の繰り返しによってピストンを動作させることで、噴出口から内容物を噴出させるトリガー式液体噴出器であって、
ボディ本体に、その内側に形成された通路に通じる内部通路を有して前方向に延在する延長流路部を設け、
レバーに、延長流路部を通す開口部を形成し、当該開口部に配置された延長流路部に前記レバーを回転可能に軸支させたことを特徴とするトリガー式液体噴出器。
【請求項2】
請求項1において、レバーに形成された開口部を形作って延長流路部の上側に配置されるフレーム部分を、延長流路部との軸支部分を覆うように前後方向に延在させたことを特徴とするトリガー式液体噴出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−179519(P2012−179519A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42912(P2011−42912)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】