説明

トリプルタグ配列およびその使用方法

本開示は、6×ヒスチジンタグ、c-mycタグ、およびV5タグを含みうる新規なトリプルタグ配列に関する。本開示はまた、本開示のトリプルタグ配列を含むポリヌクレオチド、タンパク質、ベクター、および宿主細胞も提供し、このようなポリヌクレオチド、タンパク質、ベクター、および宿主細胞のライブラリーも含まれる。本開示の新規なトリプルタグ配列は、ファージディスプレイベクターおよびファージライブラリーにおいて、ならびにそれらが連結されている関心対象のタンパク質の検出、スクリーニング、捕捉、精製、定量、および/または回収のための方法において、使用され得る。関心対象のタンパク質には、単鎖抗体、単鎖抗体、および抗体のFab断片などの抗体、または非抗体ペプチドのようなペプチドが含まれる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、新規なトリプルタグ配列に関する。新規なタグ配列は、6×ヒスチジンタグ、c-mycタグ、およびV5タグを含んでよく、c-mycタグは、6×ヒスチジンタグとV5タグの間に位置する。トリプルタグ配列を含むポリヌクレオチド、タンパク質、ベクター、および宿主細胞もまた、本開示によって提供され、このようなポリヌクレオチド、タンパク質、ベクター、および宿主細胞のライブラリーも含まれる。本開示の新規なトリプルタグ配列は、ファージディスプレイベクターおよびファージライブラリーにおいて、ならびにそれらが連結されている関心対象のタンパク質の検出、スクリーニング、捕捉、精製、定量、および/または回収のための方法において、使用され得る。関心対象のタンパク質には、単鎖抗体(例えばscFv)、単一ドメイン抗体(例えば、VH、VL)、および抗体のFab断片などの抗体分子が含まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
エピトープタグは、既存の抗体に対して免疫反応性の遺伝子産物を作ることができる短いペプチド配列であり、したがって、その遺伝子産物の検出、捕捉、または精製を可能にする(JarvikおよびTelmer (1998) Annu. Rev. Genet. 32:601-618(非特許文献1))。このようなタグ(例えば、パラミクソウイルスのPタンパク質およびVタンパク質上に存在する小型エピトープに由来するV5;ヒトc-myc中のロイシンジッパーモチーフに由来するc-myc;ならびに/またはインフルエンザウイルス赤血球凝集素ペプチドに由来するHA)は、ウイルス遺伝子に由来してよく、それらの高い免疫反応性をもたらす。エピトープタグ化は、典型的には、タグアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を、コード領域とインフレームの関心対象の遺伝子中に挿入する段階、およびそのタグアミノ酸が関心対象のタンパク質中に組み入れられるように、適切な宿主においてその遺伝子を発現させる段階を含む。次いで、タグ化タンパク質は、そのエピトープタグに特異的な抗体とのタグの相互作用に基づいて、検出、固定、および/または精製され得る。このアプローチを用いて、タグ化タンパク質のサイズ、ならびにその存在量、細胞内位置、翻訳後修飾、および他のタンパク質との相互作用を解明することができる。特に、タグ配列を認識する抗体は、タグ化タンパク質の検出、精製、および/または単離を容易にする。
【0003】
タグ化タンパク質には、例えば、インタクト抗体に通常存在する抗体定常ドメインの一部または全部を欠く単鎖抗体(例えばscFv)およびFab断片などの抗体断片を含む抗体分子が含まれ得る。scFv断片およびFab断片の両方とも、バクテリオファージおよび細菌細胞または酵母細胞などのウイルスおよび細胞の表面に成功裡に提示されており、これにより、それらの二価の対応物と同じほど高い抗原結合親和性を有する抗体断片の選択が可能になった。抗体の評価は、抗体の固定または捕捉、および他のタンパク質との相互作用の解析によって大いに容易になる。完全長IgGは、抗Fc抗体を用いてFc領域を介して、またはプロテインA、プロテインG、プロテインA/G、もしくは他の抗体結合タンパク質などのタンパク質への結合によって、捕捉することができる。しかしながら、単鎖抗体(例えばScFv)または単一ドメイン抗体(例えばdAb)などのいくつかの抗体断片にはFcドメインが無いため、Fc捕捉反応物の使用は除外される。Fab断片はCH1/CL定常領域を含むが、このドメインは、抗体のサブクラスが異なると異なり、これは、単一のFc捕捉反応物による一貫した捕捉を可能にする領域は提供しない。さらに、抗Fab抗体による捕捉は、抗体がその抗原に結合するのを妨げる場合がある。したがって、タグ配列が、Fc領域の全部または一部を欠く抗体結合断片を捕捉するために使用されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】JarvikおよびTelmer (1998) Annu. Rev. Genet. 32:601-618
【発明の概要】
【0005】
概要
本開示は、新規なトリプルタグ配列に関する。本開示は、新規なトリプルタグ配列を含むかまたはコードするポリヌクレオチド、タンパク質、ベクター、および宿主細胞を提供し、このようなポリヌクレオチド、タンパク質、ベクター、および宿主細胞のライブラリーも含まれる。
【0006】
本開示は、トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドに連結された関心対象のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを提供し、このトリプルタグ配列は、6×ヒスチジン(HHHHHH、SEQ ID NO: 1)、c-myc(EQKLISEEDL、SEQ ID NO: 2)、および

を含み、c-mycタグが、6×ヒスチジンタグとV5タグの間に位置する場合を含む。いくつかの態様において、関心対象のタンパク質は、抗体、例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、またはFabである。いくつかの態様において、関心対象のタンパク質は、ペプチド、例えば、非抗体ペプチドである。
【0007】
いくつかの態様において、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)は、直接的に連結されている。いくつかの態様において、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)は、1つまたは複数のスペーサーを介して間接的に連結されている。いくつかの態様において、スペーサーは、3〜7アミノ酸長である。いくつかの態様において、スペーサーは、GAAまたはKAAである。
【0008】
いくつかの態様において、ポリヌクレオチドは、

によって表されるトリプルタグ配列をコードする。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドは、

によって表されるトリプルタグ配列をコードする。いくつかの態様において、トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドは、SEQ ID NO: 4もしくはSEQ ID NO: 5と90%同一であるトリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチド、SEQ ID NO: 4もしくはSEQ ID NO: 5であるトリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド、またはSEQ ID NO: 4もしくはSEQ ID NO: 5に相補的であるトリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドである。
【0009】
いくつかの態様において、関心対象のタンパク質をコードするポリヌクレオチドおよび/またはトリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドは、1つまたは複数の発現制御エレメントに機能的に連結されている。いくつかの態様において、発現制御エレメントは、プロモーターである。いくつかの態様において、プロモーターは、細菌プロモーターまたは酵母プロモーターである。
【0010】
いくつかの態様において、関心対象のタンパク質(例えば単鎖抗体)をコードするポリヌクレオチドおよび/またはトリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドは、

からなる群より選択されるシグナル配列をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結されている。
【0011】
いくつかの態様において、関心対象のタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、結合分子またはその断片をコードする。いくつかの態様において、結合分子は、抗体またはその断片である。いくつかの態様において、抗体またはその結合断片は、Fab、Fab'、Fab'-SH、Fv、scFv、およびF(ab')2からなる群より選択される。いくつかの態様において、抗体またはその結合断片は、単鎖抗体(例えばscFv)または単一ドメイン抗体(例えばdAb)である。いくつかの態様において、トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドの5'末端は、関心対象のタンパク質をコードするポリヌクレオチドの3'末端に機能的に連結されている。いくつかの態様において、トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドの3'末端は、関心対象のタンパク質をコードするポリヌクレオチドの5'末端に機能的に連結されている。
【0012】
本開示のベクターまたはポリヌクレオチドを含む宿主細胞もまた提供され、このような宿主細胞のライブラリーも含まれる。
【0013】
本開示はまた、トリプルタグ配列に機能的に連結された関心対象のタンパク質を作製する方法であって、そのようなタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列が発現され、トリプルタグ配列に連結された関心対象のタンパク質(例えば、タグ化タンパク質)が産生される条件下で、本開示の宿主細胞を培養する段階を含む方法も提供する。いくつかの態様において、これらの方法は、宿主細胞培養物を含む、宿主細胞に由来するタンパク質を検出、捕捉、および/または回収する段階をさらに含む。
【0014】
本開示はまた、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)を含むトリプルタグ配列に連結された関心対象のタンパク質、例えば、単鎖抗体またはペプチドを含む、タグ化タンパク質を提供する。
【0015】
いくつかの態様において、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)は直接的に連結されている。いくつかの態様において、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)は、1つまたは複数のスペーサーを介して間接的に連結されている。いくつかの態様において、スペーサーは、3〜7アミノ酸長である。いくつかの態様において、スペーサーは、GAAまたはKAAである。
【0016】
いくつかの態様において、トリプルタグ配列は、

によって表される。いくつかの態様において、トリプルタグ配列は、

によって表される。いくつかの態様において、トリプルタグ配列は、SEQ ID NO: 4またはSEQ ID NO: 5と70%同一である。いくつかの態様において、トリプルタグ配列は、SEQ ID NO: 4またはSEQ ID NO: 5と80%同一である。いくつかの態様において、トリプルタグ配列は、SEQ ID NO: 4またはSEQ ID NO: 5と90%同一である。
【0017】
本開示は、関心対象のタンパク質の検出、捕捉、および/または回収のための方法を提供する。このような方法は、トリプルタグ配列に連結された関心対象のタンパク質(例えば、タグ化タンパク質)をコードするポリヌクレオチドを含む複製可能な遺伝子パッケージ(例えば、細胞またはウイルス)の使用を含む。例えば、バクテリオファージおよび細菌細胞または酵母細胞などのウイルスまたは細胞を含む、それらの表面に本開示のタグ化タンパク質を提示する複製可能な遺伝子パッケージのライブラリーは、関心対象のタンパク質(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、またはFabなどの抗体)の検出(例えば、スクリーニングもしくは選択のため)、捕捉(例えば、定量もしくは親和性に基づいたスクリーニングのため)、およびまたは回収(例えば精製)のために使用され得る。
【0018】
いくつかの態様において、検出のための方法は、複製可能な遺伝子パッケージ(例えば、バクテリオファージ、細菌細胞、もしくは酵母細胞などのウイルスもしくは細胞、またはリボソーム)または複製可能な遺伝子パッケージの抽出物(例えば、細菌細胞からのペリプラズム抽出物のような、細胞培養物を含む細胞からの抽出物)を、6×ヒスチジン(例えばSEQ ID NO: 1)に対する抗体、c-myc(例えばSEQ ID NO: 2)に対する抗体、および/またはV5(例えばSEQ ID NO: 3)に対する抗体と接触させることによって、タグ化タンパク質を検出する方法であり、その際、タグ化タンパク質は、6×ヒスチジンに対する抗体、c-mycに対する抗体、および/またはV5に対する抗体によって検出される。このような抗体には、タグに結合し、koffが約10-2、および好ましくは約10-3またはそれ以下(例えば、より遅い解離定数(off rate))であるものが含まれる。
【0019】
いくつかの態様において、捕捉のための方法は、複製可能な遺伝子パッケージ(例えば、バクテリオファージ、細菌細胞、もしくは酵母細胞などのウイルスもしくは細胞、またはリボソーム)または複製可能な遺伝子パッケージの抽出物(例えば、細菌細胞からのペリプラズム抽出物のような、細胞培養物を含む細胞からの抽出物)を、6×ヒスチジン(例えばSEQ ID NO: 1)に対する抗体、c-myc(例えばSEQ ID NO: 2)に対する抗体、および/またはV5(例えば、SEQ ID NO: 3)に対する抗体と接触させることによって、タグ化タンパク質を捕捉する方法であり、その際、タグ化タンパク質は、6×ヒスチジンに対する抗体、c-mycに対する抗体、および/またはV5に対する抗体に結合する。このような捕捉抗体には、タグに結合し、koffが約10-4、および好ましくは約10-5、10-6、またはそれ以下(例えば、より遅い解離定数)であるものが含まれる。
【0020】
いくつかの態様において、回収するための方法は、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)を含むトリプルタグ配列に機能的に連結された関心対象のタンパク質を発現させ;6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、および/またはV5(SEQ ID NO: 3)に特異的な抗体への結合に基づいて複製可能な遺伝子パッケージをスクリーニングし;かつ、タグ化タンパク質を獲得するか、または1つもしくは複数の抗体に結合する複製可能な遺伝子パッケージを検出、捕捉、および/もしくは回収することによって、タグ化タンパク質、または、例えば、抗体もしくは結合相手に特異的なタンパク質などの結合分子もしくはその断片を含む関心対象のタンパク質を発現する1つもしくは複数の複製可能な遺伝子パッケージ(例えば、ウイルスもしくは細胞)を、抽出物から回収する(例えば、獲得する)方法である。
【0021】
例えば、バクテリオファージ、細菌細胞、もしくは酵母細胞などのウイルスもしくは細胞、またはリボソームを含む、本開示のタグ化タンパク質をそれらの表面に提示する複製可能な遺伝子パッケージのライブラリーが、提供される。本開示のタグ化タンパク質は、関心対象のタンパク質(例えば、単鎖抗体のような抗体または非抗体ペプチドのようなペプチド)のアミノ酸配列およびトリプルタグ配列(例えば、直接的に連結されるか(例えばSEQ ID NO: 4)、または1つもしくは複数のスペーサーを介して間接的に連結されている(例えばSEQ ID NO: 5)、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)を含む)を含む。
【0022】
本開示の複数のタグ化ポリヌクレオチドを含む核酸ライブラリーが提供される。本開示のタグ化ポリヌクレオチドは、関心対象のタンパク質(例えば、単鎖抗体のような抗体または非抗体ペプチドのようなペプチド)のアミノ酸配列およびトリプルタグ配列(例えば、直接的に連結されるか(例えばSEQ ID NO: 4)、または1つもしくは複数のスペーサーを介して間接的に連結されている(例えばSEQ ID NO: 5)、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)を含む)を含むタグ化タンパク質をコードする。
【0023】
本開示はまた、本開示のタグ化タンパク質を発現する宿主細胞から、細菌細胞ペリプラズム抽出物のような細胞抽出物を調製し;かつ、細菌細胞ペリプラズム抽出物のような細胞抽出物を、6×ヒスチジン、c-myc、またはV5に対する抗体と接触させることによって、タグ化タンパク質を捕捉する方法も提供し、その際、タグ化タンパク質は、6×ヒスチジン、c-myc、および/またはV5に対する抗体によって捕捉される。
【0024】
本開示はまた、本開示の宿主細胞から細菌細胞ペリプラズム抽出物のような細胞抽出物を調製し;6×ヒスチジンタグ、c-mycタグ、および/またはV5タグに結合する抗体または金属キレートマトリックスもしくは他のマトリックスなどのマトリックス(例えばニッケルカラム)とペリプラズム抽出物を接触させ(その際、タグ化タンパク質は、6×ヒスチジンタグ、c-mycタグ、および/またはV5タグに結合する抗体または金属キレートマトリックスもしくは他のマトリックスなどのマトリックス(例えばニッケルカラム)に結合する);抗体またはマトリックス(例えば、6×ヒスチジンタグ用のニッケルカラム)に結合したタグ化タンパク質を溶出させ;かつ、タグ化タンパク質を溶出液から回収することによって、タグ化タンパク質を回収するための方法も提供する。
【0025】
本開示はまた、本開示の複数のポリヌクレオチド(例えば、トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドに連結されている、関心対象のタンパク質をコードするポリヌクレオチド)を発現させ;発現されたタンパク質(例えば、関心対象のタンパク質およびトリプルタグを含む、タグ化タンパク質)を、V5、c-myc、または6×ヒスチジンに特異的な抗体への結合に基づいてスクリーニングし;かつ、結合する発現されたタンパク質を回収することによって、タンパク質のファージミドライブラリーをスクリーニングする方法も提供する。
【0026】
本開示は、単鎖抗体をコードし、

によって表されるトリプルタグ配列をコードする配列にその3'末端が連結されたDNA配列を含むポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
【0027】
いくつかの態様において、単鎖抗体をコードするDNA配列および/またはトリプルタグ配列をコードするDNA配列は、1つまたは複数の発現制御エレメントに機能的に連結されている。いくつかの態様において、発現制御エレメントは、細菌プロモーターまたは酵母プロモーターなどのプロモーターである。
【0028】
いくつかの態様において、

によって表されるシグナル配列をコードするDNA配列は、関心対象のタンパク質、例えば単鎖抗体をコードするDNA配列にその3'末端が連結されている。替りのシグナル配列には、

が含まれる。
【0029】
また、本開示のベクターまたはポリヌクレオチドを含む宿主細胞も提供され、抗体(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、もしくはFab)またはペプチド(例えば、非抗体ペプチド)などの関心対象のタンパク質、ならびに6×ヒスチジン配列、c-myc配列、およびV5配列を含むか、またはSEQ ID NO: 4もしくはSEQ ID NO: 5であるトリプルタグをコードするベクターまたはポリヌクレオチドによって宿主細胞がトランスフェクトまたは形質転換された場合を含む。
【0030】
本開示はまた、トリプルタグ配列に連結された単鎖抗体を作製する方法であって、そのような単鎖抗体をコードするポリヌクレオチド配列が発現され、トリプルタグ配列に連結された単鎖抗体が産生される条件下で、本開示の宿主細胞を培養する段階を含む方法も提供する。いくつかの態様において、これらの方法は、宿主細胞養物のような宿主細胞からタンパク質(例えば、トリプルタグ配列を含むまたは含まない単鎖抗体)を回収する段階をさらに含む。
【0031】
本開示はまた、

によって表されるトリプルタグ配列に連結されている単鎖抗体、単一ドメイン抗体、またはFabであるタグ化タンパク質を提供し、その際、トリプルタグ配列は、単鎖抗体のC末端に連結される。このようなタグ化タンパク質は、ポリヌクレオチドのライブラリーから、または細胞(例えば、細菌もしくは酵母)もしくはウイルス(例えばバクテリオファージ)などの複製可能な遺伝子パッケージもしくはリボソームのライブラリーから発現させることができ、検出、捕捉、および/または回収することができる。
【0032】
いくつかの態様において、トリプルタグ配列は、単鎖抗体のC末端に直接的に連結される。いくつかの態様において、トリプルタグ配列は、単鎖抗体のC末端にスペーサーを介して連結される。
【0033】
本開示のタグ化タンパク質を表面に提示するバクテリオファージのライブラリー、ならびにバクテリオファージおよび/またはタグ化タンパク質をライブラリーから検出、捕捉、および/または回収するための方法が、提供される。
【0034】
6×ヒスチジン配列、c-myc配列、およびV5配列を含む本開示のトリプルタグ配列(例えば、SEQ ID NO: 4またはSEQ ID NO: 5)に機能的に連結された複数のポリヌクレオチド(例えば、抗体、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、またはFabなどの関心対象のタンパク質をコードする)を含む核酸ライブラリーが提供される。
【0035】
本開示は、本開示の宿主細胞からペリプラズム抽出物を調製し;かつ、ペリプラズム抽出物を、V5に対する(または代わりに、c-mycもしくは6×ヒスチジンに対する)抗体と接触させることによって、タグ化単鎖抗体(例えば、SEQ ID NO: 4またはSEQ ID NO: 5などの6×ヒスチジン配列、c-myc配列、およびV5配列を含む)を捕捉する方法を提供し、その際、タグ化単鎖抗体は、V5に対する(または代わりに、c-mycもしくは6×ヒスチジンに対する)抗体によって捕捉される。任意で、捕捉されたタグ化単鎖抗体は、6×ヒスチジン、c-myc、またはV5に対する抗体を用いて検出および/または定量してよく、その際、検出および/または定量するための抗体は、捕捉するための抗体とは異なる。
【0036】
本開示はまた、本開示の宿主細胞からペリプラズム抽出物を調製し;ペリプラズム抽出物を、ニッケルカラムのような金属キレートマトリックスと接触させ(その際、タグ化単鎖抗体は、ニッケルカラムのようなマトリックスに結合する);カラムのようなマトリックスに結合したタグ化単鎖抗体を溶出させ;かつ、タグ化単鎖抗体を溶出液から回収することによって、タグ化単鎖抗体(例えば、SEQ ID NO: 4またはSEQ ID NO: 5などの6×ヒスチジン配列、c-myc配列、およびV5配列を含む)を回収するための方法も提供する。
【0037】
本開示はまた、本開示の複数のポリヌクレオチドを発現させ;発現されたポリヌクレオチドを、V5、c-myc、または6×ヒスチジンに特異的な抗体への結合に基づいてスクリーニングし;かつ、結合する発現されたポリヌクレオチドを回収することによって、単鎖抗体(例えば、SEQ ID NO: 4またはSEQ ID NO: 5などの6×ヒスチジン配列、c-myc配列、およびV5配列を含む)のファージミドライブラリーをスクリーニングする方法も提供する。
【0038】
その他の特徴および利点は、本明細書において説明し、以下の詳細な説明および図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】pXSHMのベクターマップを示す。
【図2】pXSHVのベクターマップを示す。
【図3】pXSVHのベクターマップを示す。
【図4】pXSVHMのベクターマップを示す。
【図5】pXSHMVのベクターマップを示す。
【図6】抗V5表面で捕捉された例示的なscFv-HMVへの抗原結合に関するセンサーグラムを示す。
【図7】抗V5表面で捕捉された例示的なscFv-VHへの抗原結合に関するセンサーグラムを示す。
【図8】抗V5表面で捕捉された例示的なscFv-HVへの抗原結合に関するセンサーグラムを示す。
【図9】例示的なIgGの動態解析に関するセンサーグラムを示す。
【図10】マルチタグ配列(例えば、HMV、HV、HM、またはVH)に連結され、ニッケルカラムによって精製された例示的なscFvのSDS-PAGEを示す。
【図11】1回、2回、および3回の選択後のpXHMV、pXHV、およびpXVHに由来するファージミドDNAのゲル電気泳動解析を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
詳細な説明
本開示は、新規なトリプルタグ配列を提供する。多数のタグが当技術分野において公知であり、タグが連結されているタンパク質(例えば、タグ化タンパク質)の検出および/または精製のために組み合わせて使用され得る。しかしながら、組み合わせて使用される場合、1つまたは複数のタグは、タンパク質の二次構造および/もしくは三次構造が原因で、抗体による結合に接近不可能である場合があり、かつ/または、タグがそのタンパク質の発現を改変する(例えば、有意に減少させるかもしくは妨害する)場合がある。さらに、タグは、タグ化タンパク質の様々なライブラリーおよびファージディスプレイライブラリー系を含むディスプレイ系におけるタンパク質の提示を改変する場合があり、かつ/またはファージディスプレイライブラリーのようなディスプレイ系の安定性を改変する場合がある。驚くべきことに、6×ヒスチジンタグ(HまたはHis)(例えばSEQ ID NO: 1)、c-mycタグ(MまたはMyc)(例えばSEQ ID NO: 2)、およびV5タグ(VまたはV5)(例えばSEQ ID NO: 3)を含むトリプルタグ配列は、例えば、抗体(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、もしくはFab)またはペプチド(例えば非抗体ペプチド)などの関心対象のタンパク質にトリプルタグ配列が連結された場合、6×ヒスチジンに対する抗体、c-mycに対する抗体、およびV5に対する抗体に結合できることが発見された。トリプルタグ配列(例えば、SEQ ID NO: 4またはSEQ ID NO: 5などの6×ヒスチジン配列、c-myc配列、およびV5配列を含む)に連結された関心対象のタンパク質を含むタグ化タンパク質は、6×ヒスチジン、c-myc、および/またはV5に対する抗体を用いて、本明細書において説明する方法に従って、検出(例えば、スクリーニングもしくは選択のため)、捕捉(例えば、定量もしくは親和性に基づいたスクリーニングのため)、および/または回収(例えば精製)することができる。検出のためには、6×ヒスチジンタグ、c-mycタグ、またはV5タグに結合する抗体が使用され得る。このような抗体には、タグ(例えば、his、myc、またはV5)に結合し、koffが約10-2、および好ましくは約10-3またはそれ以下(例えば、より遅い解離定数)であるものが含まれる。捕捉のためには、6×ヒスチジンタグ、c-mycタグ、またはV5タグに安定に結合する抗体が使用され得、V5または6×ヒスチジンに対する抗体が、好ましくは使用される。このような抗体には、タグ(例えば、V5、his、またはmyc)に結合し、koffが約10-4、および好ましくは約10-5もしくは約10-6またはそれ以下(例えば、より遅い解離定数)であるものが含まれる。例えば精製を介した回収のためには、6×ヒスチジンタグ、c-mycタグ、またはV5タグに結合する抗体が使用され得る。好ましくは、6×ヒスチジンタグが使用され得、金属キレートマトリックスまたは他のマトリックスなどのマトリックス(例えば、ニッケルキレート樹脂または銅キレート樹脂)が使用される。したがって、3種のタグはすべて接近可能であり、それぞれが、本明細書において説明する単鎖抗体、単一ドメイン抗体、および抗体のFab断片などの抗体を含む関心対象のタンパク質の検出、スクリーニング、捕捉、精製、定量、および/または回収のために有用である。さらに、驚くべきことに、このようなトリプルタグ配列は、タンパク質、例えば、単鎖抗体またはFabなどの抗体の発現に影響を及ぼさない。さらに、驚くべきことに、このようなトリプルタグ配列は、タグ化タンパク質(例えば、単鎖抗体およびFab)の様々なライブラリーならびにファージディスプレイライブラリー系を含むディスプレイ系におけるタンパク質の提示を改変しない。したがって、好ましい態様において、c-mycタグは、6×ヒスチジンタグとV5タグの間に位置する(例えば、

)。6×ヒスチジンタグおよび/またはV5タグは、スペーサー配列を介してc-mycタグに連結されてもよい(例えば、

)。スペーサーは、1〜7個またはそれ以上(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、またはそれ以上)のアミノ酸(例えば、GAAまたはKAA)を含んでよい。新規なトリプルタグ配列は、関心対象の1つまたは複数のタンパク質をコードする1つまたは複数の転写単位に、その転写単位の5’末端または3’末端のいずれかの位置で機能的に連結されてよい。驚くべきことに、本開示の新規なトリプルタグ配列に連結されたタンパク質の解離速度は、例えば、6×ヒスチジン、c-myc、および/またはV5に対する抗体を用いる親和性に基づいたスクリーニングにおけるそれらの使用を可能にするのに十分な遅さである。本開示の新規なトリプルタグ配列は、例えば、タンパク質がトリプルタグ配列に連結される場合、単鎖抗体(例えばscFv)、単一ドメイン抗体(例えば、VH、VL)、または抗体のFab断片を含む関心対象のタンパク質を検出、捕捉、精製、回収、および/または定量するための方法において使用され得る。
【0041】
核酸、タンパク質、ベクター、および宿主細胞
本開示は、ヒスチジンタグ(例えば、SEQ ID NO: 1によって表されるタグのような6×ヒスチジンタグ)、c-mycタグ(例えばSEQ ID NO: 2)、およびV5タグ(例えばSEQ ID NO: 3)を含む新規なトリプルタグ配列を提供する。トリプルタグ配列は、DNA配列またはアミノ酸配列でよい。
【0042】
6×ヒスチジンタグ(SEQ ID NO: 1)、c-mycタグ(SEQ ID NO: 2)、およびV5タグ(SEQ ID NO: 3)は直接的に連結されてよい。あるいは、6×ヒスチジンタグ(SEQ ID NO: 1)、c-mycタグ(SEQ ID NO: 2)、およびV5タグ(SEQ ID NO: 3)は、スペーサーを介して間接的に連結されてもよい。スペーサーは、3〜7アミノ酸長でよい(例えば、GAAまたはKAA)。
【0043】
トリプルタグDNA配列は、

によって表されるアミノ酸配列をコードしてよい。あるいは、トリプルタグDNA配列は、

によって表されるアミノ酸配列をコードしてよい。トリプルタグ配列をコードするDNA配列は、SEQ ID NO: 4もしくはSEQ ID NO: 5と90%同一であるDNA配列、SEQ ID NO: 4もしくはSEQ ID NO: 5によって表されるDNA配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA配列、またはSEQ ID NO: 4もしくはSEQ ID NO: 5に相補的であるDNA配列でよい。
【0044】
トリプルタグ配列は、関心対象のタンパク質をコードするDNA配列の5’末端または3’末端に機能的に連結されてよい。関心対象のタンパク質には、任意の公知のタンパク質(例えば抗体分子)、ペプチド、またはその断片が含まれ得る。抗体分子には、単鎖抗体(例えばscFv)、単一ドメイン抗体(例えば、VH、VL)、または抗体のFab断片が含まれる。
【0045】
本開示のトリプルタグ配列は、関心対象のタンパク質のC末端またはN末端に連結されてよい。いくつかの態様において、トリプルタグ配列は、関心対象のタンパク質に直接的に連結される。他の態様において、トリプルタグ配列は、リンカーを介して関心対象のタンパク質に連結される。いくつかの態様において、トリプルタグ配列は、抗体(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、またはFab断片)に連結される。関心対象のタンパク質が単鎖抗体である態様において、それは、VHドメインとVLドメインの間にリンカー(例えば、

)を含んでよい。いくつかの態様において、単鎖抗体は、5'から3'に向かってVH-リンカー-VLまたはVL-リンカー-VHを含み、このリンカーは、

によって表される。
【0046】
いくつかの態様において、トリプルタグ配列は、関心対象のタンパク質内(例えば、タンパク質のC末端またはN末端から内側の位置)に配置されてよい。
【0047】
いくつかの態様において、タンパク分解酵素(例えば、Xaまたはカスパーゼ-8)に特異的な認識部位を、関心対象のタンパク質中のトリプルタグ配列の近くに付加して、非タグ化タンパク質の回収を可能にしてよい。
【0048】
また、SEQ ID NO: 4およびSEQ ID NO: 5に対して、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%を含む80〜100%の配列同一性を有するポリペプチドおよびポリヌクレオチド、ならびにこれらのポリペプチドのいずれかをコードするヌクレオチドおよびこれらのヌクレオチドのいずれかの相補物も提供される。核酸配列同一性パーセントは、トリプルタグ配列中のヌクレオチドと同一である候補配列中のヌクレオチドの百分率であって、これらの配列を整列させ、必要な場合には、配列同一性パーセントの最大値を実現するためにギャップを導入した後の百分率を意味する。核酸配列同一性パーセントを決定するためのアライメントは、当技術分野の技能の範囲内である様々な方法において、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなど公的に利用可能なコンピューターソフトウェアを用いて、実現することができる。当業者は、比較される配列の全長に渡って最大限のアライメントを実現するために必要とされる任意のアルゴリズムを含む、アライメントを測定するための適切なパラメーターを決定することができる。
【0049】
本開示のトリプルタグ配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドもまた、提供される。相補的な断片にハイブリダイズする一本鎖ポリヌクレオチドの特異性は、反応条件のストリンジェンシーに基づいて決定される。DNA二重鎖を形成する傾向が低くなるにつれて、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは高くなる。核酸ハイブリダイゼーション反応において、ストリンジェンシーは、特異的ハイブリダイゼーションを促進するように選択することができ(例えば、高ストリンジェンシー)、これを用いて、例えば、完全長クローンをライブラリーから同定することができる。特異的が低いハイブリダイゼーション(例えば、低ストリンジェンシー)は、関連しているが厳密ではないDNA分子(例えば、相同であるが同一ではない)またはセグメントを同定するために使用され得る。
【0050】
DNA二重鎖は、(1)相補的塩基対の数、(2)塩基対のタイプ、(3)反応混合物の塩濃度(イオン強度)、(4)反応温度、および(5)DNA二重鎖の安定性を低下させるホルムアミドのような特定の有機溶媒の存在に基づいて安定化される。一般に、プローブが長いほど、適切なアニーリングに必要とされる温度は高い。一般的なアプローチは、温度を変更することである:相対的温度が高いほど、よりストリンジェントな反応条件が得られる。
【0051】
ストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることは、互いに少なくとも60%相同であるヌクレオチド配列がハイブリダイズしたままであるハイブリダイゼーションプロトコールを示す。一般に、ストリンジェントな条件は、所定のイオン強度およびpHにおける個々の配列の熱融点(Tm)より約5℃低くなるように選択される。
【0052】
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件により、プローブ、プライマー、ポリヌクレオチド、またはオリゴヌクレオチドがその標的配列にのみハイブリダイズすることが可能になる。ストリンジェントな条件は配列依存性であり、異なる。ストリンジェントな条件は、次のものを含む:(1)低イオン強度および高温洗浄(例えば、15mM塩化ナトリウム、1.5mMクエン酸ナトリウム、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム、50℃);(2)ハイブリダイゼーション中の変性剤(例えば、50%(v/v)ホルムアミド、0.1%ウシ血清アルブミン、0.1%フィコール(Ficoll)、0.1%ポリビニルピロリドン、50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5);750mM塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウム、42℃);または(3)50%ホルムアミド。典型的には、洗浄は、5×SSC(0.75M NaCl、75mMクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×デンハート液、超音波処理したサケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%SDS、および10%硫酸デキストラン、42℃も含み、0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)において42℃で、および50%ホルムアミドにおいて55℃で洗浄し、続いて、EDTA含有0.1×SSC、55℃からなる高ストリンジェンシー洗浄を行う。好ましくは、これらの条件は、互いに少なくとも約65%、70%、75%、85%、90%、95%、98%、または99%相同な配列が典型的には互いにハイブリダイズしたままであるようなものである。
【0053】
タグの機能を改変しない変更をトリプルタグ配列に導入することができる。例えば、「非重要」アミノ酸残基にアミノ酸置換をもたらすヌクレオチド置換を起こすことができる。「非重要」アミノ酸残基は、トリプルタグ配列の野生型配列からその生物活性を変えることなく改変できる残基であり、この生物活性には、例えば、トリプルタグ配列中のタグの内の1つ(例えば、6×ヒスチジン、c-myc、またはV5)に対する抗体に結合する能力が含まれる。一方、「重要」アミノ酸残基は、このような生物活性のために必要とされる。例えば、本開示のトリプルタグ配列において保存されているアミノ酸残基は、改変を特に受け入れにくいことが予測される。保存的置換を起こすことができるアミノ酸は、当技術分野において周知である。
【0054】
トリプルタグ配列は、ベクター中に挿入し、宿主細胞を形質転換するために使用することができる。本開示のトリプルタグ配列を含むベクターの例示的な構築方法を下記に提供する。
【0055】
多くのベクターが利用可能であり、適切なベクターの選択は、1)それがDNA増幅のために使用される予定か、またはタグ配列に機能的に連結された関心対象のポリヌクレオチドの発現のために使用される予定であるかどうか、2)ベクター中に挿入しようとするDNAのサイズ、および3)ベクターで形質転換しようとする宿主細胞に依存し得る。一般に、ベクターの構成要素には、次の内の1つまたは複数が含まれるが、それらに限定されるわけではない:シグナル配列、複製起点、1つまたは複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、および転写終結配列。
【0056】
タグ配列には、HMV(6×ヒスチジン-c-myc-V5またはHis-Myc-V5)、VHM(V5-6×ヒスチジン-c-mycまたはV5-His-Myc)、HV(6×ヒスチジン-V5またはHis-V5)、VH(V5-6×ヒスチジンまたはV5-His)、およびHM(6×ヒスチジン-c-mycまたはHis-Myc)が含まれ得る。
【0057】
例えば、本開示のトリプルタグ配列に連結された関心対象のタンパク質をコードするcDNAまたはゲノムDNAを、改変されたファージベクター(例えばファージミド)中に挿入することができる。ファージミドベクターから構築されたライブラリーを含むファージディスプレイライブラリーの構築では、バクテリオファージがそれらの表面、すなわち、カプシド上にペプチドおよびタンパク質を提示する能力を利用する。しばしば、M13、f1、またはfdなどの糸状ファージが使用される。糸状ファージは、メジャーコートタンパク質およびマイナーコートタンパク質、例えばpIIIをコードする複数の遺伝子コピーに取り囲まれた一本鎖DNAを含む。関心対象のタンパク質は、コートタンパク質、例えばpIIIの断片に融合されてよい。pIIIの断片(例えば、pIII断端)は、SEQ ID NO: 18によって表される配列を含んでよい。SEQ ID NO: 18のようなpIII断片をコードする配列を含むファージミドベクターは、ファージディスプレイライブラリーを構築するためのヘルパーファージと共に使用することができる。コートタンパク質は、カプシドの外表面上に提示される。カプシドタンパク質遺伝子とインフレームに挿入されたDNA配列は、同時に転写されて、ファージ表面に提示される融合タンパク質またはタンパク質断片を生じる。したがって、ペプチドファージライブラリーは、挿入されたゲノム配列の多様性を表すペプチドを提示し得る。意味のあることとしては、これらのエピトープは、天然の折り畳まれた立体構造で提示され得る。次いで、ファージディスプレイライブラリー上で発現されたペプチドは標的分子に結合することができる、すなわち、抗体(Petersen (1995) Mol. Gen. Genet. 249:425-31)、細胞表面受容体(Kay (1993) Gene 128:59-65)、ならびに細胞外タンパク質および細胞内タンパク質(Gram (1993) J. Immunol. Methods 161:169-76)などの結合相手分子と特異的に相互作用することができる。
【0058】
ファージカプシド表面上でペプチドを提示するためにM13、fd、またはflなどの糸状ファージを使用する概念は、Smith (1985) Science 228:1315-1317によって最初に導入された。多くの潜在的リガンドを同定するために、ペプチドがファージ表面に提示されている(例えば、Cwirla (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:6378-6382を参照されたい)。ファージディスプレイライブラリーを作製するための多数の系および方法が、科学文献および特許文献において説明されている(例えば、SambrookおよびRussell, Molecule Cloning: A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、第18章、2001;「Phage Display of Peptides and Proteins: A Laboratory Manual」、Academic Press, San Diego, 1996; Crameri (1994) Eur. J. Biochem. 226:53-58; de Kruif (1995) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:3938-42; McGregor (1996) Mol. Biotechnol. 6:155-162; Jacobsson (1996) Biotechniques 20:1070-1076; Jespers (1996) Gene 173:179-181; Jacobsson (1997) Microbiol Res. 152:121-128; Fack (1997) J. Immunol. Methods 206:43-52; Rossenu (1997) J. Protein Chem. 16:499-503; Katz (1997) Annu. Rev. Biophys. Biomol. Struct. 26:27-45; Rader (1997) Curr. Opin. Biotechnol. 8:503-508; Griffiths (1998) Curr. Opin. Biotechnol. 9:102-108を参照されたい)。
【0059】
典型的には、提示しようとする外因性核酸は、コートタンパク質遺伝子、例えば、ファージの遺伝子IIIまたは遺伝子VIII中に挿入される。結果として得られる融合タンパク質は、カプシドの表面に提示され得る。タンパク質VIIIは、タンパク質IIIが3〜5コピーであるのに対し、ファージ1個あたり約2700コピーが存在する。ファージミドのような多価発現ベクターは、外因性ゲノム挿入物または抗体をコードする挿入物の操作および細菌におけるファージ粒子の作製のために使用され得る(例えば、Felici (1991) J. Mol. Biol. 222:301-310を参照されたい)。
【0060】
しばしば、ファージミドベクターが、ファージライブラリーを構築するために使用される(例えば、図1〜5に示すファージミドベクター)。これらのベクターは、一本鎖糸状バクテリオファージ、例えば、M13、f1、またはfdのゲノムに由来するDNA複製起点を含む。ファージミドは、従来のプラスミドベクターと同じ方法で使用され得るが、クローニングされたDNAセグメントの一本鎖コピーを含む糸状バクテリオファージ粒子を作製するためにも使用され得る。例えば、成熟ファージ粒子上に提示された産生物が細胞溶解によって放出されるT7ベクターが使用され得る。
【0061】
ファージエピトープディスプレイライブラリーのほかに、類似のエピトープディスプレイライブラリーもまた、使用され得る。例えば、本開示の方法では、pYD1酵母発現ベクターのようなベクターを用いて構築できる、酵母表面に提示されるエピトープライブラリー(例えば、Boder (1997) Nat. Biotechnol. 15:553-557を参照されたい)も使用できる。他の有望なディスプレイ系には、哺乳動物ディスプレイベクターおよび大腸菌(E. coli)ライブラリーが含まれる。
【0062】
抗体または抗体断片、例えば、scFv、Fab、もしくはFvは、ファージディスプレイ技術を用いてファージの表面に提示することができる。例示的な抗体ファージディスプレイ法は当業者に公知であり、例えば、Methods in Molecular Biology: Antibody Phase Display: Methods and Protocols (2002) 178:1-37 (O'BrienおよびAitken編、Human Press, Totowa, N.J.)に掲載のHoogenboom, Overview of Antibody Phage-Display Technology and Its Applicationsにおいて説明されている。例えば、抗体または抗体断片(例えば、scFv、Fab、VH-VL対を安定させるために設計された分子間ジスルフィド結合を有するFv、およびダイアボディ)のライブラリーは、非溶菌性糸状ファージfdまたはM13などの糸状ファージの表面に提示され得る。次いで、所望の結合特異性を有する抗体または抗体断片を選択することができる。
【0063】
抗体ファージディスプレイライブラリーは、当業者に公知の方法を用いて調製することができる(例えば、Methods in Molecular Biology: Antibody Phage Display: Methods and Protocols (2002) 178:1-37 (O'BrienおよびAitken編、Human Press, Totowa, N.J.)に掲載のHoogenboom, Overview of Antibody Phage-Display Technology and Its Applicationsを参照されたい)。
【0064】
いくつかの態様において、cDNAは、ファージミドベクター(例えば、pCES1、pXOMA Fab、またはpXOMA Fab-gIII)のようなファージディスプレイベクター中にクローニングされる。例示的なファージミドベクターを図1〜5に示す。一定の態様において、重鎖および軽鎖の両方をコードするcDNAは、同じベクター上に存在してよい。いくつかの態様において、scFvをコードするcDNAは、マイナーファージコートタンパク質pIIIをコードする遺伝子IIIの全部または一部分とインフレームにクローニングされる。ファージミドは、ファージ表面におけるscFv-pIII融合物の発現を指示する。他の態様において、重鎖(または軽鎖)をコードするcDNAは、遺伝子IIIの全部または一部分とインフレームにクローニングされてよく、軽鎖(または重鎖)をコードするcDNAは、同じベクター中のシグナル配列の下流にクローニングされる。シグナル配列は、軽鎖もしくはその一部分(例えば、軽鎖可変領域)(または重鎖もしくはその一部分)の宿主細胞ペリプラズム中への発現を指示し、そこで、重鎖および軽鎖が組み合わさってFab断片を形成する。あるいは、一定の態様において、重鎖をコードするcDNAおよび軽鎖をコードするcDNAは、別々のベクター上に存在してもよい。一定の態様において、重鎖cDNAおよび軽鎖cDNAは別々に、一方がファージミド中に、他方がファージベクター中にクローニングされてよく、これらは両方とも、宿主細胞中でインビボ組換えをするためのシグナルを含む。
【0065】
ファージディスプレイライブラリーを構築および解析するための技術は、当業者に周知の組換え技術を使用する。一般的技術、例えば、関心対象の核(nucleic)コードライブラリー、エピトープ、抗体、およびベクターの操作、ライブラリー作製、発現ベクター中へのサブクローニング、プローブ標識、DNA配列決定、DNAハイブリダイゼーションは、科学文献および特許文献において説明されている。例えば、SambrookおよびRussell編、Molecular Cloning: a Laboratory Manual (第3版)、第1〜3巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press, (2001); Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel編、John Wiley & Sons, Inc., New York (1997-2001);ならびにLaboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology: Hybridization with Nucleic Acid Probes、パート1. Theory and Nucleic Acid Preparation, Tijssen編、Elsevier, N.Y. (1993)を参照されたい。配列決定方法は、典型的にはデオキシ配列決定を使用するが、他の方法論も利用可能であり、当業者に周知である。
【0066】
ウイルスゲノムから得られるウイルスプロモーターには、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス2または5)、単純ヘルペスウイルス(チミジンキナーゼプロモーター)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス(例えば、MoMLV、またはRSV LTR)、B型肝炎ウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルスプロモーター(MPSV)、VISNA、およびサルウイルス40(SV40)に由来するプロモーターが含まれる。異種性の哺乳動物プロモーターには、例えば、アクチンプロモーター、免疫グロブリンプロモーター、熱ショックタンパク質プロモーターが含まれる。
【0067】
SV40ウイルスの初期プロモーターおよび後期プロモーターは、SV40ウイルス複製起点も含む制限断片として便宜的に得られる(例えば、Fiers et al., Nature, 273:113 (1978); MulliganおよびBerg, Science, 209:1422-1427 (1980);ならびにPavlakis et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 78:7398-7402 (1981)を参照されたい)。ヒトサイトメガロウイルス(CMV)の最初期プロモーターは、Hind III E制限断片として便宜的に得られる(例えば、Greenaway et al., Gene, 18:355-360 (1982)を参照されたい)。SV40初期プロモーターまたはラウス肉腫ウイルスLTRなどの広宿主域プロモーターは、本発明の発現ベクターにおいて使用するのに適している。
【0068】
一般に、強力なプロモーターは、所望の産生物の高レベルな転写および発現を提供するために使用される。高レベル発現のための強力なプロモーターとして同定されている真核生物プロモーターとしては、SV40初期プロモーター、アデノウイルス主要後期プロモーター、マウスメタロチオネイン-Iプロモーター、ラウス肉腫ウイルス末端反復配列、およびヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーター(CMVまたはCMV IE)が挙げられる。ある態様において、プロモーターは、SV40初期プロモーターまたはCMV初期プロモーターである。
【0069】
使用されるプロモーターは、構成的または調節可能、例えば、誘導性でよい。例示的な誘導性プロモーターには、junプロモーター、fosプロモーター、ならびにメタロチオネインプロモーターおよび熱ショックプロモーターが含まれる。転写単位の1つまたは両方のプロモーターが誘導性プロモーターでよい。ある態様において、GFPが構成的プロモーターから発現されるのに対し、誘導性プロモーターは関心対象の遺伝子および/または増幅可能な選択マーカーの転写を駆動する。
【0070】
高等真核生物の転写調節領域は、エンハンサー配列を含んでよい。例えば、グロビン遺伝子、エラスターゼ遺伝子、アルブミン遺伝子、α-フェトプロテイン遺伝子、およびインスリン遺伝子に由来する、哺乳動物遺伝子に由来する多くのエンハンサー配列が公知である。適切なエンハンサーは、真核細胞ウイルスに由来するエンハンサーである。例には、複製起点の後期側のSV40エンハンサー(bp100〜270)、サイトメガロウイルス最初期プロモーターのエンハンサー(Boshart et al. Cell 41:521 (1985))、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサー(また、真核生物プロモーターの活性化のための促進エレメントに関するYaniv, Nature, 297:17-18 (1982)も参照されたい)が含まれる。エンハンサー配列は、ベクター中の関心対象の遺伝子に対して5'の位置または3'の位置に導入してよいが、好ましくは、プロモーターに対して5'の部位に配置される。
【0071】
時として、選択可能な遺伝子をコードするポリヌクレオチドおよび/または関心対象のポリヌクレオチドの前には、成熟タンパク質または成熟ポリペプチドのN末端に特異的切断部位を有するシグナル配列をコードするDNAがある。一般に、シグナル配列は、基本的な発現ベクター中に設計された構成要素でもよく、または、発現ベクター中に挿入される選択可能な遺伝子もしくは所望の産生物の遺伝子の一部分でもよい。異種シグナル配列が使用される場合、それは好ましくは、宿主細胞によって認識され加工される(例えば、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものである。哺乳動物細胞発現の場合、関心対象のタンパク質のネイティブなシグナル配列は、そのタンパク質が哺乳動物起源のものであれば、使用してよい。あるいは、ネイティブなシグナル配列は、同じ種または関連種の分泌ポリペプチドに由来するシグナル配列のような他の適切な哺乳動物シグナル配列、ならびにウイルス分泌リーダー、例えば、単純ヘルペスgDシグナルで置き換えてもよい。このような前駆体領域のためのDNAは、リーディングフレームにおいて選択可能な遺伝子または産生物遺伝子に機能的に連結されている。
【0072】
哺乳動物発現ベクターは、典型的には、細菌におけるベクターの増殖を促進する原核生物配列を含む。したがって、ベクターは、複製起点(例えば、1つまたは複数の選択された宿主細胞においてベクターが複製するのを可能にする核酸配列)、細菌において選択するための抗生物質耐性遺伝子、および/またはコドンを読み過ごす翻訳を許容し得るアンバー停止コドンなど他の構成要素を有してよい。その他の選択可能な真核生物遺伝子を組み入れてよい。一般に、ベクターにクローニングする際、複製起点は、宿主の染色体DNAとは無関係にベクターが複製することを可能にするものであり、複製起点または自律複製配列が含まれる。このような配列は周知であり、例えば、細菌のColE1複製起点がある。様々なウイルス起点(例えば、SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSV、またはBPV)が、哺乳動物細胞におけるベクターにクローニングするのに有用である。一般に、真核生物レプリコンは、染色体外の(エピソームの)複製が意図される場合を除いては、哺乳動物細胞において発現させる必要はない(例えば、初期プロモーターを含むという理由だけで、典型的にはSV40起点を使用することができる)。
【0073】
本発明の構築物、例えば、トリプルタグ配列(例えば、SEQ ID NO: 1、SEQ ID NO: 2、およびSEQ ID NO: 3またはSEQ ID NO: 4もしくはSEQ ID NO: 5)を含む構築物は、多種多様のヌクレオチド配列挿入物を受け入れることができる。本開示の構築物および発現ベクターからの関心対象の様々な遺伝子(例えば、関心対象のタンパク質をコードする)の挿入および発現を容易にするために、これらの構築物は、関心対象の任意の遺伝子(例えば、単鎖抗体またはFabなどの抗体を含む関心対象の任意のタンパク質をコードする)を挿入するための少なくとも1つのクローニング部位と共に設計される。好ましくは、クローニング部位は、例えば、複数の制限部位を含むマルチクローニング部位である。
【0074】
プラスミドを細菌宿主細胞において増殖させて、サブクローニング段階のため、または真核宿主細胞中に導入するためのDNAストックを調製することができる。真核宿主細胞のトランスフェクションは、当技術分野において周知である任意の方法によって実施することができる。トランスフェクション方法には、リポフェクション、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム共沈、塩化ルビジウムまたはポリカチオンを介したトランスフェクション、プロトプラスト融合、およびマイクロインジェクションが含まれる。好ましくは、トランスフェクションは、安定なトランスフェクションである。特定の宿主細胞株およびタイプにおいて最適なトランスフェクション頻度および構築物発現を提供するトランスフェクション方法が、好都合である。適切な方法は、ごく普通の手順によって決定することができる。安定なトランスフェクタントのために、構築物は、宿主染色体内で安定に維持されるように組み込まれる。
【0075】
選択された配列および増幅可能な選択マーカーを発現させるのに適した宿主細胞には、真核細胞、好ましくは哺乳動物細胞が含まれる。細胞のタイプは、所望のタンパク質をコードする構築物を発現し、タンパク質をプロセシングし、分泌のために細胞表面に分泌タンパク質を輸送することができなくてはならない。プロセシングには、リーダーペプチド切断、GPI結合、グリコシル化、ユビキチン化、およびジスルフィド結合形成などの共翻訳修飾および翻訳後修飾が含まれる。トランスフェクションを受け入れやすい不死化された宿主細胞培養物および遺伝子操作において典型的に使用される種類のインビトロ細胞培養物が好ましい。有用な哺乳動物宿主細胞株の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7、ATCC CRL 1651);ヒト胚性腎臓株(293または懸濁培養での増殖用に順応させた293派生物、Graham et al., J. Gen Virol., 36:59 (1977))仔ハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL 10);DHFR-チャイニーズハムスター卵巣細胞(ATCC CRL-9096);dp12.CHO細胞、CHO/DHFR-の派生物(1989年3月15日に公開されたEP 307,247);マウスセルトリ細胞(TM4、Mather, Biol. Reprod., 23:243-251 (1980));サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1587);ヒト子宮頸部癌細胞(HELA、ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝臓細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳房腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51);TRI細胞(Mather et al., Annals N.Y. Acad. Sci., 383:44-68 (1982));PEERヒト急性リンパ芽球細胞株(Ravid et al. Int. J. Cancer 25:705-710 (1980));MRC 5細胞;FS4細胞;ヒト肝癌株(Hep G2)、ヒトHT1080細胞、KB細胞、JW-2細胞、Detroit 6細胞、NIH-3T3細胞、ハイブリドーマ、および骨髄腫細胞である。トランスジェニック動物を作製するために使用される胚細胞もまた、適している(例えば、接合体および胚性幹細胞)。
【0076】
シグナルペプチド構成要素
シグナルペプチド(例えばシグナル配列)は、関心対象のタンパク質(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、もしくはFabなどの抗体または非抗体ペプチドのようなペプチド)のN末端にインフレームで融合されてよい。シグナルペプチドは、それが融合されたタンパク質を細菌の細胞周辺腔に方向付けるタンパク質配列でよい。いくつかの態様において、シグナルペプチドは、バクテリオファージタンパク質に由来してよい。本開示において有用なシグナルペプチドには、例えば、バクテリオファージタンパク質pIII、pVIII、pVII、およびpIXに由来するN末端シグナルペプチドが含まれる。バクテリオファージタンパク質は、糸状バクテリオファージであるλ、T4、またはMS2などのバクテリオファージに由来してよい。好ましい態様において、シグナルペプチドは、M13、Fd、Fl、またはKeなどの糸状バクテリオファージに由来してよい。
【0077】
シグナルペプチドをコードするDNA配列は、天然供給源から、例えば、バクテリオファージゲノムDNAからPCRによって増幅して得ることができ、または、合成オリゴヌクレオチドを用いて合成的に作製することができる。本開示において有用なシグナル配列は、WO03/004636に開示されている。
【0078】
また、コードされるシグナルペプチド配列が、それが結合されたポリペプチド配列を細菌のペリプラズムに方向付ける限り、部分的なシグナル配列および変異体を使用してもよい。いくつかの態様において、少なくとも2種の異なるシグナルペプチドに由来するアミノ酸配列を含むハイブリッドシグナルペプチドが使用され得る。
【0079】
シグナル配列には、例えば、ペクチン酸リアーゼシグナル配列(pelB)

のような原核生物シグナル配列が含まれ得る(例えば、米国特許第5,576,195号および同第5,846,818号を参照されたい)。原核生物発現のための真核生物シグナル配列には、例えば、

が含まれ得る(例えば、米国特許第7,094,579号および同第7,396,661号を参照されたい)。
【0080】
関心対象のタンパク質の構成要素
本開示のトリプルタグ配列は、関心対象のタンパク質に連結されてよい。関心対象のタンパク質は、当技術分野において公知の任意のタンパク質でよい。いくつかの態様において、関心対象のタンパク質は、抗体、例えば、単鎖抗体(例えばscFv)、単一ドメイン抗体、またはFab断片でよい。いくつかの態様において、単鎖抗体は、リンカーによってVLに連結されたVHを含む(例えば、VH-L-VLまたはVL-L-VH)。いくつかの態様において、関心対象のタンパク質は、ペプチドである。
【0081】
免疫グロブリン可変領域には、i)定常領域ドメインを含むまたは含まない、抗体重鎖可変ドメイン(VH)またはその抗原結合断片、ii)定常領域ドメインを含むまたは含まない、抗体軽鎖可変ドメイン(VL)またはその抗原結合断片、iii)定常領域ドメインを含むまたは含まない別の可変ドメイン(VHドメインポリペプチドまたはVLドメインポリペプチド)に連結された、定常領域ドメインを含まないVHドメインポリペプチドまたはVLドメインポリペプチド(例えば、VH-VH、VH-VL、またはVL-VL)、およびiv)単鎖Fv抗体(scFv)(すなわち、定常領域を含まない別のVHドメインポリペプチドに連結された、定常領域ドメインを含まないVLドメインポリペプチド(VH-VLまたはVL-VH)であり、これらの可変ドメインは一緒になって抗原結合部位を形成し、例えば、VHがリンカーによってVLに連結されたもの(例えば、VH-L-VLまたはVL-L-VH)を含む)が含まれる。選択肢(i)、(ii)、または(iii)の態様において、各可変ドメインは、他の任意の可変ドメインとは無関係に、抗原結合部位を形成する。選択肢(i)または(ii)を用いて、Fab断片抗体またはFv抗体を形成させることができる。したがって、免疫グロブリン可変領域ポリペプチドには、定常領域ドメインを含んでよいか、または含まなくてよい抗体が含まれる。さらに、免疫グロブリン可変領域ポリペプチドには、対応する重鎖定常領域または軽鎖定常領域の全体または一部分だけのいずれかを含んでよい抗原結合抗体断片が含まれる。さらに、免疫グロブリン可変領域ポリペプチドには、軽鎖、重鎖、重鎖および軽鎖(例えばscFv)、Fd(例えばVH-CH1)またはVL-CLが含まれる。さらに、免疫グロブリン可変領域ポリペプチドという用語は、対応する重鎖定常領域または軽鎖定常領域の全体または一部分だけのいずれかを含んでよい。
【0082】
単一ドメイン抗体(例えばdAb)には、i)他の任意の可変ドメインとは無関係に抗原結合部位を形成する、重鎖可変ドメイン(VH)を含む抗体またはその抗原結合断片、ii)他の任意の可変ドメインとは無関係に抗原結合部位を形成する、軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体またはその抗原結合断片、iii)各Vドメインが他の任意の可変ドメインとは無関係に抗原結合部位を形成する、別のVHドメインポリペプチドまたはVLドメインポリペプチドに連結されたVHドメインポリペプチド(例えば、VH-VHまたはVH-VL)を含む抗体、およびiv)各Vドメインが他の任意の可変ドメインとは無関係に抗原結合部位を形成する、別のVLドメインポリペプチドに連結されたVLドメインポリペプチド(例えばVL-VL)を含む抗体が含まれ得る。VLドメインは、κ型およびλ型の両方の軽鎖を意味し得る。
【0083】
いくつかの態様において、関心対象のタンパク質は、タンパク質骨格でよい。抗原に特異的に結合することができるタンパク質骨格のライブラリーは、当技術分野において入手可能である。これらには、アドネクチン(Adnectin)、アフィボディ(Affibody)、アンチカリン(Anticalin)、DARPin、操作されたクニッツ型インヒビター、テトラネクチン、Aドメインタンパク質、リポカリン、アンキリンリピートタンパク質のようなリピートタンパク質、免疫タンパク質、α2p8ペプチド、昆虫デフェンシンA、PDZドメイン、カリブドトキシン、PHDフィンガー、TEM-1、β-ラクタマーゼ、フィブロネクチンIII型ドメイン、CTLA-4、T細胞受容体、ノッティン(knottin)、ネオカルチノスタチン、炭水化物結合モジュール4-2、緑色蛍光タンパク質、チオレドキシン(GebauerおよびSkerra、Curr. Opin. Chem. Biol. 13:245-55 (2009);GillおよびDamle、Curr. Opin. Biotech 17: 653-58 (2006); Hosse et al, Protein Sci. 15:14-27 (2006); Skerra, Curr. Opin. Biotech 18: 295-3-4 (2007))が含まれる。
【0084】
リンカーは、ペプチドリンカー、ならびに化学結合連結、例えば、ジスルフィド結合または化学的架橋による連結を含んでよい。
【0085】
免疫グロブリン可変領域を多様な集団としてクローニングできるゲノムDNAの断片を調製するための方法は、当技術分野において周知である(例えば、Hermann et al., Methods in Enzymology, 152: 180-183, (1987); Frischauf, Methods in Enzymology, 152:183-190 (1987); Frischauf, Methods in Enzymology, 152:190-199 (1987);およびDiLella et al., Methods in Enzymology, 152: 199-212 (1987)を参照されたい)。
【0086】
例えば、モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を用いて(例えば、モノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)、抗体を分泌するハイブリドーマ細胞から単離し配列決定することができる。一般に、配列決定は、関心対象の遺伝子またはcDNAの少なくとも一部分の単離を必要とする。通常、これは、モノクローナル抗体をコードするDNA、または好ましくはmRNA(例えばcDNA)のクローニングを必要とする。クローニングは、標準的技術を用いて実施される(例えば、Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第1〜3巻、Cold Spring Harbor Pressを参照されたい)。例えば、ポリA+ mRNA、好ましくは膜結合mRNAの逆転写によってcDNAライブラリーを構築し、ヒト免疫グロブリンポリペプチド遺伝子配列に特異的なプローブを用いてライブラリーをスクリーニングすることができる。ヌクレオチドプローブ反応および他のヌクレオチドハイブリダイゼーション反応は、指定された条件下で互いにハイブリダイズするポリヌクレオチドの同定を可能にする条件で実施される。
【0087】
1つの例示的な一組の条件は、次のとおりである:50%ホルムアミド、5×SSC、20mM Na・PO4、pH6.8中、42℃でストリンジェントなハイブリダイゼーション;および1×SSC、55℃において30分間洗浄。同等のハイブリダイゼーション条件を算出するため、かつ/または所望のレベルのストリンジェンシーを実現するために他の条件を選択するための式は、周知である。同等のストリンジェンシーの条件は、Ausubel, et al. (編)、Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (1994), pp.6.0.3〜6.4.10において説明されているように、温度および緩衝液、または塩濃度の変化を通じて実現できることが、当技術分野において理解されている。ハイブリダイゼーション条件の変更は、実験的に決定するか、またはプローブの長さおよびグアノシン/シトシン(GC)塩基対の比率(%)に基づいて正確に算出することができる。ハイブリダイゼーション条件は、Sambrook, et al. (編)、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press: Cold Spring Harbor, New York (1989), pp. 9.47〜9.51において説明されているようにして算出することができる。
【0088】
いくつかの態様において、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)を用いて、関心対象の免疫グロブリン遺伝子セグメント(例えば、軽鎖可変セグメント)をコードするcDNA(または完全長cDNAの一部分)を増幅することができる。増幅された配列は、任意の適切なベクター、例えば、発現ベクター、ミニ遺伝子ベクター、またはファージディスプレイベクター中に容易にクローニングすることができる。使用される個々のクローニング方法は、関心対象の免疫グロブリンポリペプチドのある部分の配列を決定することが可能である限り、決定的に重要ではないことが理解されると考えられる。単離された核酸分子または単離された核酸配列は、(1)同定され、かつ核酸の天然供給源中では通常混在している少なくとも1つの混入核酸分子から分離されているか、または(2)関心対象の核酸の配列を決定できるように、クローニングされるか、増幅されるか、タグ化されるか、または別の方法でバックグラウンドの核酸から区別されたもののいずれかでよく、単離されたとみなされる核酸分子である。単離された核酸分子は、天然にそれが存在する形態でも設定でも存在しない。したがって、単離された核酸分子は、天然細胞中にそれが存在する際の核酸分子とは区別される。しかしながら、単離された核酸分子には、通常は抗体を発現する細胞に含まれる核酸分子が、例えば、その核酸分子が天然細胞のものとは異なる染色体位置に存在する場合、含まれる。
【0089】
クローニングおよび配列決定のために使用されるRNAの1つの供給源は、トランスジェニックマウスからB細胞を取得し、そのB細胞を不死細胞に融合することによって作製されるハイブリドーマである。あるいは、RNAは、免疫化動物のB細胞(または脾臓全体)から単離することもできる。ハイブリドーマ以外の供給源を使用する場合、特異的な結合特徴を有する免疫グロブリンまたは免疫グロブリンポリペプチドをコードする配列を求めてスクリーニングすることが望ましい場合がある。このようなスクリーニングのための1つの方法は、ファージディスプレイ技術の使用である。ファージディスプレイは、本明細書においてさらに説明し、また、当技術分野において周知である(例えば、Dower et al., WO 91/17271; McCafferty et al., WO 92/01047;ならびにCatonおよびKoprowski, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:6450-54 (1990)を参照されたい)。1つの態様において、免疫化したトランスジェニックマウスに由来するcDNA(例えば全脾臓cDNA)を単離し、ポリメラーゼ連鎖反応法を用いて、免疫グロブリンポリペプチドの一部分、例えば、CDR領域をコードするcDNA配列を増幅し、増幅された配列をファージベクター中に挿入する。関心対象のペプチド、例えば、所望の結合特徴を有する可変領域ペプチドをコードするcDNAは、パンニング法のような標準的なファージディスプレイ技術によって同定される。
【0090】
次に、増幅またはクローニングされた核酸の配列が決定される。典型的には、免疫グロブリンポリペプチドの可変領域全体をコードする配列が決定されるが、可変領域の一部分、例えば、CDRコード部分のみを配列決定することが適切である場合もある。典型的には、配列決定される部分は少なくとも30塩基長であり、より多くの場合では、可変領域の長さの少なくとも約3分の1または少なくとも約2分の1をコードする塩基(based)が配列決定される。
【0091】
配列決定は、cDNAライブラリーから単離されたクローンに対して、または、PCRが使用される場合、増幅された配列をサブクローニングした後、もしくは増幅されたセグメントの直接的なPCR配列決定によって、実施され得る。配列決定は、標準的技術を用いて実施される(例えば、Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Guide、第1〜3巻、Cold Spring Harbor Press、およびSanger, F. et al. (1977) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74: 5463-5467を参照されたい)。クローニングされた核酸の配列をヒト免疫グロブリン遺伝子およびcDNAの公開されている配列と比較することによって、当業者は、配列決定される領域に応じて、(i)ハイブリドーマ免疫グロブリンポリペプチド(重鎖のアイソタイプを含む)の生殖系列セグメント使用ならびに(ii)N領域付加および体細胞変異のプロセスに起因する配列を含む、重鎖可変領域および軽鎖可変領域の配列を容易に決定することができるであろう。1つの免疫グロブリン遺伝子配列情報源は、National Center for Biotechnology Information, National Library of Medicine, National Institutes of Health, Bethesda, Mdである。
【0092】
バクテリオファージコートタンパク質の構成要素
様々なバクテリオファージ系およびバクテリオファージコートタンパク質が、トリプルタグ配列(例えば、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)を含むトリプルタグ配列、またはSEQ ID NO: 4もしくはSEQ ID NO: 5)に連結された関心対象のタンパク質(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、もしくは抗体のFab断片を含む抗体、または非抗体ペプチドを含むペプチド)を提示するために使用され得る。適切なバクテリオファージコートタンパク質の例には、非限定的に、M13遺伝子III、遺伝子VIII;rdマイナーコートタンパク質pIII(Saggio et al., Gene 152:35, 1995);λDタンパク質(SternbergおよびHoess, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:1609, 1995; Mikawa et al., J. Mol. Biol. 262:21, 1996);λファージ尾部タンパク質pV(Maruyama et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:8273, 1994;米国特許第5,627,024号);frコートタンパク質(WO96/11947; DD 292928; DD 286817; DD 300652);φ29尾部タンパク質gp9(Lee, Virol. 69:5018, 1995);MS2コートタンパク質;T4小型外殻カプシドタンパク質(Ren et al., Protein Sci. 5:1833, 1996)、T4非必須カプシド裏打ちタンパク質IPIII(HongおよびBlack, Virology 194:481, 1993)、または延長されたT4フィブリチンタンパク質遺伝子(Efimov, Virus Genes 10:173, 1995);PRD-1遺伝子III;Qβ3カプシドタンパク質(二量体化が妨害されない限りにおいて);およびP22テイルスパイクタンパク質(CarbonellおよびVillayerde, Gene 176:225, 1996)が含まれる。ファージ遺伝子に外来コード配列を挿入するための技術は周知である(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, NY, 1989; Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Co., NY, 1995を参照されたい)。
【0093】
本開示のある態様において、糸状バクテリオファージコートタンパク質が使用され得る。シグナルペプチド、1つまたは複数の免疫グロブリン可変領域、およびトリプルタグ配列を含むポリペプチド融合タンパク質のインフレームライゲーションを可能にできる多くの糸状バクテリオファージベクターが市販されている。最も一般的なベクターは、遺伝子IIIもしくは遺伝子VIIIまたは短縮型の遺伝子IIIもしくは遺伝子VIIIとのインフレーム融合のためのDNA挿入物を受け入れる。短縮型のpIIIは、SEQ ID NO: 18によって表される配列を含んでよい。適切なベクターの非限定的な例には、M13mpベクター(Pharmacia Biotech)、pCANTAB 5e(Pharmacia Biotech)、pCOMB3およびM13KE(New England Biolabs)、pBluescriptシリーズ(Stratagene Cloning Systems, La Jolla, Calif.)が含まれる。これらのベクターはバクテリオファージシグナルペプチド配列を既に含んでいること、および各ベクターは、当技術分野において周知の方法によって、関心対象の代替のシグナルペプチド配列を含むように改変され得ることを理解すべきである(例えば、Sambrook et al., Molecular Biology: A laboratory Approach, Cold Spring Harbor, N.Y. 1989;およびAusubel, et al., Current protocols in Molecular Biology, Greene Publishing, Y, 1995を参照されたい)。
【0094】
ベクターの構築
本開示のトリプルタグ配列は、バクテリオファージタンパク質にインフレームで融合され得る関心対象のタンパク質とインフレームで融合され得る(例えば、実施例1および図1〜5を参照されたい)。これらのベクターは、標準的な方法を用い(例えば、Sambrook et al., Molecular Biology: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, N.Y. 1989;およびAusubel, et al., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing, Co. N.Y, 1995を参照されたい)、下記に考察する原理によって導いて、構築することができる。手短に言えば、従来のライゲーション技術を用いて、関心対象のタンパク質およびトリプルタグ配列をコードするDNA配列を発現ベクター中に挿入する。これらの配列は、構成要素がインフレーム融合物として発現されるように、ライゲーションされる。ある態様において、関心対象のタンパク質をコードするDNAは、関心対象のタンパク質がバクテリオファージ粒子の表面に提示され得るように、バクテリオファージコートタンパク質にインフレームでライゲーションされる。
【0095】
ベクターおよび宿主細胞
典型的には、関心対象のタンパク質およびトリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドを含む本開示のポリヌクレオチドの操作は、組換えベクターにおいて実施される。ファージミドベクターおよび非ファージミドベクターの両方が使用され得る。細菌プラスミド、バクテリオファージ、人工染色体、エピソームベクター、および遺伝子発現ベクターを含む多数のベクターが公的に入手可能であり、使用することができる。本開示に記載の有用なベクターは、所望のサイズのポリペプチドコード配列を受け入れるように選択され得る。適切な宿主細胞は、インビトロのクローニング操作の後にベクターで形質転換される。宿主細胞は、原核性、例えば、いくつかの細菌株のいずれかでもよく、または、真核性、例えば、酵母細胞もしくは他の真菌細胞、昆虫細胞もしくは両生類細胞、または、例えば、げっ歯動物細胞、サル細胞、もしくはヒト細胞を含む哺乳動物細胞でもよい。各ベクターは、クローニング部位、複製起点、および少なくとも1つの選択マーカー遺伝子を一般に含む様々な機能的構成要素を含む。所与のベクターが発現ベクターである場合、それは、次の内の1つまたは複数をさらに有する:エンハンサーエレメント、プロモーター、転写終結配列、およびシグナル配列。これらは、本開示に記載のポリペプチドレパートリーメンバーをコードする遺伝子に機能的に連結されるように、クローニング部位の近傍にそれぞれ位置づけられる。
【0096】
クローニングベクターおよび発現ベクターの両方とも、1つまたは複数の選択された宿主細胞においてベクターが複製するのを可能にする核酸配列を一般に含む。典型的には、クローニングベクターにおいて、この配列は、宿主の染色体DNAとは無関係にベクターが複製することを可能にし、複製起点または自律複製配列を含むものである。このような配列は、様々な細菌、酵母、およびウイルスに関して周知である。例えば、プラスミドpBR322に由来する複製起点は、大半のグラム陰性菌に適し、2ミクロンプラスミドの起点は酵母に適し、様々なウイルスの起点(例えば、SV40、アデノウイルス)は、哺乳動物細胞においてベクターをクローニングするのに有用である。一般に、COS細胞のような高レベルのDNAを複製できる哺乳動物細胞においてこれらが使用される場合を除いては、複製起点は、哺乳動物発現ベクターに必要とされない。
【0097】
クローニングベクターまたは発現ベクターは、選択マーカーとも呼ばれる選択遺伝子を含んでよい。この遺伝子は、選択的培地中で増殖させられる形質転換された宿主細胞の生存または増殖のために必要なタンパク質をコードする。したがって、選択遺伝子を含むベクターで形質転換されていない宿主細胞は、この培地中で生存しないと考えられる。典型的な選択遺伝子は、抗生物質および他の毒素、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサート、もしくはテトラサイクリンに対する耐性を与えるか、栄養要求性欠乏を補完するか、または増殖培地中で入手不可能な不可欠栄養素を供給するタンパク質をコードする。
【0098】
本開示に記載のベクターの複製は、大腸菌(例えば、TB1株またはTG1株)において最も簡便に実施されるため、大腸菌選択マーカー、例えば、抗生物質アンピシリンに対する耐性を与えるβ-ラクタマーゼ遺伝子が有用である。これらは、大腸菌プラスミド、例えば、pBR322プラスミドまたはpUCプラスミド、例えば、pUC18もしくはpUC19またはpUC119から得ることができる。
【0099】
通常、発現ベクターは、宿主生物によって認識され、かつ関心対象のコード配列に機能的に連結されたプロモーターを含む。このようなプロモーターは誘導性または構成的でよい。ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドが意図された様式でそれらが機能することを可能にする関係にある場合、機能的に連結されている。
【0100】
原核宿主と共に使用するのに適したプロモーターには、例えば、α-ラクタマーゼプロモーター系およびラクトースプロモーター系、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系、ならびにtacプロモーターのようなハイブリッドプロモーターが含まれる。また、一般に、細菌系で使用するためのプロモーターは、コード配列に機能的に連結されたシャイン・ダルガノ配列も含む。
【0101】
本開示の好ましい局面において、糸状バクテリオファージベクター系は、バクテリオファージ粒子の外表面に提示するために融合タンパク質をバクテリオファージ中に組み入れることができるように、シグナルペプチド、1つまたは複数の免疫グロブリン可変領域、およびトリプルタグ配列を含むポリペプチド融合タンパク質の発現のために使用される。免疫グロブリン可変領域ポリペプチド融合タンパク質をコードするDNAのバクテリオファージコートタンパク質へのインフレームライゲーションを可能にできる多くの糸状バクテリオファージベクター(ファージベクター)が、使用するために市販されている。最も一般的なベクターは、遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIとのインフレーム融合のためのDNA挿入物を受け入れる。適切なベクターの非限定的な例には、M13 mpベクター(Pharmacia Biotech)、pCANTAB 5e(Pharmacia Biotech)、pCOMB3およびM13KE(New England Biolabs)、ならびにWO00/29555に記載されている他のものが含まれる。これらのベクターはバクテリオファージシグナルペプチド配列を既に含んでいること、および各ベクターは、当技術分野において周知の方法によって、関心対象の代替のシグナルペプチド配列を含むように改変され得ることを理解すべきである(例えば、Sambrook et al., Molecular Biology: A laboratory Manual, Cold Spring Harbor, N.Y. 1989;およびAusubel, et al., Current protocols in Molecular Biology, Greene Publishing,Co. N.Y, 1995を参照されたい)。
【0102】
宿主細胞へのベクターの導入
本開示において有用なベクター(例えば、ファージミドまたはファージベクター)は、当業者に公知であるいくつかの適切な方法のいずれかによって、選択された宿主細胞に導入することができる。例えば、ベクター構築物は、λもしくはM13などの大腸菌バクテリオファージベクター粒子の場合は感染によって、またはプラスミドベクターもしくはバクテリオファージDNAの場合はいくつかの形質転換方法のいずれかによって、適切な細菌細胞に導入することができる。例えば、塩化カルシウムを介した標準的な細菌形質転換が、裸DNAを細菌に導入するために依然としてよく使用される(例えば、Sambrook et al., 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.を参照されたい)が、エレクトロポレーションもまた、使用され得る(例えば、Ausubel et al., 1988, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc., NY, N.Y.を参照されたい)。
【0103】
ベクター構築物を酵母細胞または他の真菌細胞に導入するためには、化学的形質転換法が一般に使用される(例えば、Rose et al., 1990, Methods in Yeast Genetics, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.)。例えば、S.セレビシエ(S. cerevisiae)の形質転換の場合、酢酸リチウムで細胞を処理して、約104個のコロニー形成単位(形質転換細胞)/(1μgのDNA)の形質転換効率を実現する。次いで、使用される選択マーカーに適した選択培地上で形質転換細胞を単離する。あるいは、またはさらに、プレートまたはプレートから引き上げたフィルターをGFP蛍光に関して調査して、形質転換されたクローンを同定してもよい。
【0104】
差次的に発現される配列を含むベクターを哺乳動物細胞に導入する場合、使用される方法は、ベクターの形態に依存する。プラスミドベクターは、例えば、脂質を介したトランスフェクション(「リポフェクション」)、DEAE-デキストランを介したトランスフェクション、エレクトロポレーション、またはリン酸カルシウム沈殿を含むいくつかのトランスフェクション法のいずれかによって導入することができる(例えば、Ausubel et al., 1988, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc., NY, N.Y.を参照されたい)。
【0105】
多種多様の形質転換された細胞および形質転換されていない細胞または初代細胞の一過性トランスフェクションに適したリポフェクション試薬および方法が幅広く利用可能であるため、リポフェクションは、真核細胞、および特に、培養状態の哺乳動物細胞に構築物を導入する魅力的な方法となっている。例えば、LipofectAMINE(商標)キット(Life Technologies)またはLipoTaxi(商標)キット(Stratagene)が利用可能である。リポフェクションのための試薬および方法を提供する他の会社には、Bio-Rad Laboratories、CLONTECH、Glen Research、InVitrogen、JBL Scientific、MBI Fermentas、PanVera、Promega、Quantum Biotechnologies、Sigma-Aldrich、およびWako Chemicals USAが含まれる。
【0106】
本明細書におけるベクター中でポリヌクレオチド(例えばDNA)をクローニングまたは発現させるのに適した宿主細胞は、原核生物細胞、酵母細胞、または高等真核生物細胞である。ポリヌクレオチドまたはベクターは、関心対象のタンパク質をコードするポリヌクレオチドおよびトリプルタグ配列を含む。この目的に適した原核生物には、真正細菌、例えば、グラム陰性生物またはグラム陽性生物、例えば、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)(例えば、エシェリキア属(Escherichia)(例えば大腸菌)、エンテロバクター属(Enterobacter)、エルウィニア属(Erwinia)、クレブシエラ属(Klebsiella)、プロテウス属(Proteus)、サルモネラ属(Salmonella)(例えばネズミチフス菌(Salmonella typhimurium))、セラチア属(Serratia)(例えばセラチア・マルセッセンス(Serratia marcescans))、および赤痢菌属(Shigella))、ならびにバチルス属(Bacilli)(例えば、枯草菌(B.subtilis)およびB.リケニフォルミス(B.licheniformis)(例えば、1989年4月12にに公開されたDD266,710において開示されているB.リケニフォルミス41P))、シュードモナス属(Pseudomonas)(例えばP.アエルギノーサ(P. aeruginosa))、およびストレプトマイセス属(Streptomyces)が含まれる。1つの好ましい大腸菌クローニング宿主は、大腸菌294(ATCC31,446)であるが、大腸菌B、大腸菌X1776(ATCC31,537)、および大腸菌W3110(ATCC 27,325)など他の株も適切である。
【0107】
原核生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核微生物も、抗体を含む関心対象のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むベクター(例えば、抗体をコードするベクター)のための適切なクローニング宿主または発現宿主である。サッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)または一般的なパン酵母が、下等真核宿主微生物のうちで最もよく使用される。しかしながら、いくつかの他の属、種、および株が一般に入手可能であり、本明細書において有用であり、例えば、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe);クルイベロミセス属(Kluyveromyces)宿主(例えば、K.ラクティス(K. lactis)、K.フラギリス(K. fragilis) (ATCC 12,424)、K.ブルガリカス(K. bulgaricus)(ATCC 16,045)、K.ウィケラミイ(K. wickeramii)(ATCC 24,178)、K.ワルチイ(K.waltii)(ATCC 56,500)、K.ドロソフィラルム(K. drosophilarum)(ATCC 36,906)、K.サーモトレランス(K. thermotolerans)、およびK.マルキシアヌス(K. marxianus)など);ヤロウイア属(yarrowia)(EP 402,226);ピキア・パストルス(Pichia pastors)(EP 183,070);カンジダ属(Candida);トリコデルマ・リージア(Trichoderma reesia)(EP 244,234);アカパンカビ(Neurospora crassa);シュワンニオミセス属(Schwanniomyces)(例えば、シュワンニオミセス・オシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis));および糸状菌(例えば、アカパンカビ属(Neurospora)宿主、ペニシリウム属(Penicillium)宿主、トリポクラジウム属(Tolypocladium)宿主、およびアスペルギルス属(Aspergillus) 宿主(例えば、A.ニデュランス(A. nidulans)およびクロコウジカビ(A. niger))などである。
【0108】
グリコシル化抗体の発現のために適した宿主細胞は、多細胞生物に由来する。無脊椎動物細胞の例には、植物細胞および昆虫細胞が含まれる。多数のバキュロウイルス株および変異体、ならびにスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(イモムシ)、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)(蚊)、ヒトスジシマカ(Aedes albopictus)(蚊)、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)(ショウジョウバエ)、およびカイコ(Bombyx mori)などの宿主に由来する、対応する許容的昆虫宿主細胞が同定されている。トランスフェクション用の様々なウイルス株、例えば、オートグラファカリフォルニカ(Autographa californica)NPVのL-1変異体およびカイコNPVのBm-5株が公的に入手可能であり、このようなウイルスは、特に、スポドプテラ・フルギペルダ細胞のトランスフェクションのために、本発明に従って、本明細書におけるウイルスとして使用され得る。
【0109】
綿、トウモロコシ、ジャガイモ、ダイズ、ペチュニア、トマト、タバコ、アオウキクサの植物細胞培養物および他の植物細胞もまた、宿主として利用され得る。
【0110】
有用な哺乳動物宿主細胞株の例は、CHOK1細胞(ATCC CCL61)、DXB-11、DG-44、およびチャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO、Urlaub et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77: 4216 (1980))を含むチャイニーズハムスター卵巣細胞;SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7、ATCC CRL 1651);ヒト胚性腎臓株(293細胞または懸濁培養での増殖用にサブクローニングされた293細胞、(Graham et al., J. Gen Virol. 36: 59, 1977));仔ハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL 10);マウスセルトリ細胞(TM4、Mather, (Biol. Reprod. 23: 243-251, 1980));サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1587);ヒト子宮頸部癌細胞(HELA、ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝臓細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳房腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51);TRI細胞(Mather et al., Annals N.Y Acad. Sci. 383: 44-68 (1982)); MRC5細胞;FS4細胞;およびヒト肝癌株(Hep G2)である。
【0111】
宿主細胞は、関心対象のタンパク質の産生、例えば、抗体産生のための前述の発現ベクターもしくはクローニングベクターで、または関心対象のタンパク質、例えば抗体をコードするポリヌクレオチドで、形質転換またはトランスフェクトされ、プロモーターの誘導、形質転換体の選択、または所望の配列をコードする遺伝子の増幅のために適宜改変した従来の栄養培地において培養される。さらに、選択マーカーによって分離された複数の転写単位コピーを有する新規なベクターおよびトランスフェクトされた細胞株は、所望の抗原に結合する抗体の発現のために特に有用であり、好ましい。
【0112】
例えば抗体を含む関心対象のタンパク質をコードする所望の核酸配列を含む宿主細胞は、様々な培地において培養され得る。ハムF10(Ham's F10)(Sigma)、最小必須培地(Minimal Essential Medium)((MEM), Sigma)、RPMI-1640(Sigma)、およびダルベッコ改変イーグル培地 ((DMEM), Sigma) などの市販されている培地が、宿主細胞を培養するのに適している。さらに、Ham et al., Meth. Enz. 58: 44, (1979); Barnes et al., Anal. Biochem. 102: 255 (1980);米国特許第4,767,704号;同第4,657,866号;同第4,927,762号;同第4,560,655号;もしくは同第5,122,469号;WO90103430; WO 87/00195;または米国再発行特許第30,985号に記載されている培地のいずれかが、宿主細胞用の培地として使用され得る。ホルモンおよび/または他の増殖因子(インスリン、トランスフェリン、または上皮増殖因子など)、塩(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびリン酸塩など)、緩衝液(例えばHEPES)、ヌクレオチド(アデノシンおよびチミジンなど)、抗生物質(例えばGENTAMYCIN(商標)薬)、微量元素(マイクロモル濃度範囲の最終濃度で通常存在する無機化合物と定義される)、ならびにグルコースまたは同等のエネルギー源を、これらの培地のいずれかに必要に応じて添加してもよい。当業者に公知であると思われる他の任意の必要な補給物もまた、適切な濃度で含めてよい。温度およびpHなどの培養条件は、発現のために選択された宿主細胞と共に前もって使用されたものであり、当業者には明らかになると考えられる。
【0113】
組換え技術を使用する場合、例えば、抗体(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、またはFab)を含む関心対象のタンパク質は、細胞周辺腔において細胞内で産生させるか、または微生物培養物からを含めて、培地中に直接分泌させることができる。抗体を細胞内で産生させる場合、第1段階として、粒子状破片、すなわち宿主細胞または溶解された断片のいずれかを、例えば、遠心分離または限外ろ過によって除去する。Better et al. (Science 240:1041-43, 1988; ICSU Short Reports 10:105 (1990);およびProc. Natl. Acad. Sci. USA 90:457-461 (1993))は、大腸菌の細胞周辺腔に分泌される抗体を単離するための手順を説明している(また、例えば、Carter et al., Bio/Technology 10:163-167 (1992)も参照されたい)。ペリプラズム抽出物は、当業者に公知の方法を用いて調製することができる(例えば、Methods in Molecular Biology: Antibody Phage Display: Methods and Protocols (2002) 178: 343-348 (O'BrienおよびAitken編、Human Press, Totowa, N.J.)に掲載のRaffa R.L., Periplasmic Expression and Purification of Recombinant Fabs; Barbas et al Phage Display: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York (2001)を参照されたい)。
【0114】
微生物細胞または哺乳動物細胞から調製した抗体組成物は、例えば、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、陽イオンまたは陰イオン交換クロマトグラフィー、およびアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製することができ、アフィニティークロマトグラフィーが好ましい精製技術である。親和性リガンドとしてのプロテインAの適性は、抗体中に存在する任意の免疫グロブリンFcドメインの種類およびアイソタイプに依存する。プロテインAを用いて、ヒトγ1重鎖、γ2重鎖、またはγ4重鎖をベースとする抗体を精製することができる(例えば、Lindmark et al., J. Immunol. Meth. 62: 1-13, 1983を参照されたい)。プロテインGは、マウスの全アイソタイプおよびヒトγ3の場合に推奨される(例えば、Guss et al., EMBO J. 5:15671575 (1986)を参照されたい)。親和性リガンドが結合されるマトリックスは、ほとんどの場合アガロースであるが、他のマトリックスも利用可能である。制御された細孔をもつ多孔質ガラスまたはポリ(スチレンジビニル)ベンゼンなど力学的に安定なマトリックスは、アガロースを用いて実現できるよりも速い流速および短い処理時間を可能にする。抗体がCH3ドメインを含む場合、Bakerbond ABX(商標)樹脂(J. T. Baker, Phillipsburg, N.J.)が精製のために有用である。イオン交換カラムを用いた分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカを用いたクロマトグラフィー、ヘパリンセファロース(SEPHAROSE)(商標)を用いたクロマトグラフィー、陰イオン交換樹脂または陽イオン交換樹脂(例えばポリアスパラギン酸カラム)を用いたクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、および硫酸アンモニウム沈殿法などタンパク質精製のための他の技術もまた、回収しようとする抗体に応じて利用可能である。
【0115】
ライブラリーの構築
例えば、トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドに連結された関心対象のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む、本開示のトリプルタグ配列に機能的に連結されたポリヌクレオチドのライブラリーが提供され、このトリプルタグ配列は、6×ヒスチジン(HHHHHH、SEQ ID NO: 1)、c-myc(EQKLISEEDL、SEQ ID NO: 2)、およびV5

を含み、c-mycタグが、6×ヒスチジンタグとV5タグの間に位置する場合を含む。いくつかの態様において、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)は、直接的に連結されている。いくつかの態様において、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)は、1つまたは複数のスペーサーを介して間接的に連結されている。いくつかの態様において、スペーサーは、3〜7アミノ酸長である。いくつかの態様において、スペーサーは、GAAまたはKAAである。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドは、

によって表されるトリプルタグ配列をコードする。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドは、

によって表されるトリプルタグ配列をコードする。いくつかの態様において、関心対象のタンパク質は、抗体、例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、またはFabである。いくつかの態様において、関心対象のタンパク質は、ペプチド、例えば、非抗体ペプチドである。ライブラリーは、ポリペプチドもしくは核酸の単純な混合物の形態をとってもよく、または、核酸ライブラリーを用いて形質転換された生物もしくは細胞、例えば、細菌、ウイルス、および動物細胞もしくは植物細胞などの形態であってもよい。典型的には、各生物または細胞はそれぞれ、ライブラリーの1つのメンバーのみを含む。特定の用途において、各生物または細胞はそれぞれ、ライブラリーの2つまたはそれ以上のメンバーを含んでよい。核酸は、それらの核酸にコードされるポリペプチドの発現を可能にするために、発現ベクター中に組み入れてよい。したがって、好ましい局面において、ライブラリーは、宿主生物の集団の形態をとってよく、その際、各生物は、発現されて対応するポリペプチドメンバーを産生し得る、核酸形態のライブラリーの単一のメンバーを含む発現ベクターの1つまたは複数のコピーを含む。したがって、宿主生物の集団は、遺伝学的に多様な変異体の大規模なレパートリーをコードする潜在能力を有する。
【0116】
ライブラリーの作製および選択のために有用ないくつかのベクター系が当技術分野において公知である。例えば、バクテリオファージλ発現系は、いずれも以前に説明されているように(例えば、Huse et al., Science, 246:1275-1281, 1989; CatonおよびKoprowski, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:6450-6454, 1990; Mullinax et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:8095-8099, 1990;ならびにPersson et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:2432-2436, 1991を参照されたい)、バクテリオファージプラークとして、または溶原菌のコロニーとして直接スクリーニングすることができ、本開示において有用である。このような発現系は、最高で106個の異なるライブラリーメンバーをスクリーニングするために使用できるが、多数(106個を超えるメンバー)のスクリーニングには実際には適していない。他のスクリーニング系は、例えば、ライブラリーメンバーの直接的化学合成に依拠している。WO 84/03564において説明されているような1つの初期の方法は、ひとそろいのピンまたは棒上でのペプチド合成を含む。各ビーズが個々のライブラリーメンバーであるペプチドライブラリーを形成する、ビーズ上でのペプチド合成を含む同様の方法が米国特許第4,631,211号で説明されており、関連する方法がWO 92/00091で説明されている。
【0117】
別の化学合成方法は、別個の各ライブラリーメンバー(例えば、独特なペプチド配列)をアレイ中の別々のあらかじめ定められた位置に配置する様式で、表面でペプチドアレイを合成すること、または予め形成させたポリペプチドをそのようなアレイ状にスポットすることを含む。各ライブラリーメンバーのアイデンティティは、アレイ中の空間的位置に基づいて決定される。所定の分子(例えば受容体)と反応性ライブラリーメンバーとの結合相互作用が起こるアレイ中の位置を決定し、それによって、空間的位置に基づいて反応性ライブラリーメンバーの配列を同定する(例えば、米国特許第5,143,854号;WO 90/15070およびWO 92/10092;Fodor et al., Science, 251:767-773, 1991;ならびにDowerおよびFodor, Ann. Rep. Med. Chem., 26:271-280, 1991を参照されたい)。
【0118】
任意の選択ディスプレイ系が、本開示によるライブラリーと組み合わせて使用され得る。ウイルス、酵母細胞、微生物細胞、および哺乳動物細胞の表面にポリペプチドを提示するための方法は当技術分野において周知である(例えば、米国特許第5,348,867号;同第5,723,287号;同第6,699,658号;Wittrup, Curr Op. Biotech. 12:395-99 (2001); Lee et al, Trends in Biotech. 21(1) 45-52 (2003);およびSurgeeva et al., Adv. Drug Deliv. Rev. 58: 1622-54 (2006)を参照されたい)。ポリペプチドライブラリーをアグルチニンのような酵母タンパク質に結合させて、免疫系でのB細胞による抗体の細胞表面提示を効果的に模倣することができる。
【0119】
ファージディスプレイ法のほかに、リボソームディスプレイおよびmRNAディスプレイを含むインビトロのディスプレイ方法を用いて抗体を単離することもできる(例えば、Amstutz et al., Curr. Op. Biotech. 12: 400-05 (2001)を参照されたい)。リボソームディスプレイを用いたポリペプチド選択は、Hanes et al., (Proc. Natl Acad Sci USA, 94:4937-4942 (1997))ならびにKawasakiに発行された米国特許第5,643,768号および同第5,658,754号において説明されている。また、リボソームディスプレイは、抗体の迅速な大規模変異解析にも有用である。選択的変異誘発アプローチもまた、リボソームディスプレイ技術を用いて選択できる、活性が改善された抗体を作製する方法を提供する。
【0120】
例えば、本開示の免疫グロブリン可変領域ポリペプチド融合タンパク質は、λファージカプシド(ファージボディ)上に提示され得る。本開示の好ましい選択系は、糸状バクテリオファージ系である。大型ライブラリーの所望のメンバーを単離するための選択プロトコールは当技術分野において公知であり、ファージディスプレイ技術が代表的である。ファージに基づいたディスプレイ系の利点は、それらが生物学的系であるため、選択されたライブラリーメンバーを含むファージを細菌細胞中で増殖させるだけで、選択されたライブラリーメンバーを増幅できることである。
【0121】
バクテリオファージ抗体ディスプレイライブラリーおよびλファージ発現ライブラリーを構築するための方法は、当技術分野において周知である(例えば、McCafferty et al., Nature, 348:552-554, 1990; Kang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:11120-11123, 1991; Clackson et al., Nature, 352:624-628, 1991; Lowman et al., Biochemistry, 30:10832-10838, 1991; Burton et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:10134-10137, 1991; Hoogenboom et al., Nucleic Acid Res., 19:4133-4137, 1991; Chang et al., J. Immunol., 147:3610-3614, 1991; Breitling et al., Gene, 104:147-153, 1991; Marks et al., J. Biol. Chem., 267:16007-16010, 1991; Barbas et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:10164-10168, 1992; HawkinsおよびWinter, Eur. J. Immunol., 22:867-870, 1992; Marks et al., J. Biol. Chem., 267:16007-16010, 1992;ならびにLemer et al., Science, 258:1313-1314, 1992を参照されたい)。手短に言えば、免疫グロブリン可変領域ポリペプチド融合タンパク質をコードする核酸を、バクテリオファージパッケージングシグナルおよびファージ粒子中への核酸の組入れを可能にする少なくとも1つのバクテリオファージコートタンパク質をコードする遺伝子を含むファージベクター中にクローニングする。
【0122】
タグ配列に対する結合分子
本明細書において説明するような、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、またはV5(SEQ ID NO: 3)を含むタグ配列に結合する、例えば、抗体またはその結合断片を含む結合分子は、本開示によって企図される。
【0123】
トリプルタグ配列またはトリプルタグ配列の構成要素に特異的な抗体またはその結合断片には、例えば、市販の抗体もしくは抗体断片が含まれてよく、または、組換えに基づいた方法によって作製された抗体もしくは抗体断片が含まれてよい。このような抗体またはその結合断片には、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(mAb)、組換え抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体、完全ヒト抗体、単鎖抗体、および/または二重特異性抗体、ならびに、限定されるわけではないが酵素的切断、ペプチド合成、または組換え技術を含む公知の技術によって提供される変異体およびその派生体を含む断片が含まれ得る。
【0124】
V5に対する例示的な市販の抗体には、マウスモノクローナル抗V5抗体(Invitrogen、カタログ番号R960-25);抗V5抗体(Invitrogen、カタログ番号460705);マウス抗V5抗体(Zymed、カタログ番号37-7500);マウス抗V5抗体(Accurate Chemical、カタログ番号MCA1360GA);マウス抗V5抗体、クローンV5.J9(Abcam、カタログ番号ab60188-100);マウス抗6×hisタグ抗体、クローン3H2201(Abcam、カタログ番号ab15145-50);ウサギポリクローナル抗V5抗体(Abcam、カタログ番号ab9116-100);ウサギ抗V5抗体(Chemicon、カタログ番号AB3792);およびニワトリ抗V5抗体(Abcam、カタログ番号ab9113-100)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。捕捉方法において使用するのに適した好ましい抗V5抗体は、マウスモノクローナル抗V5抗体(Invitrogen、カタログ番号R960-25)である。
【0125】
c-mycに対する例示的な市販の抗体には、抗c-mycマウスモノクローナル抗体(9E10)(Roche、カタログ番号11667149001);およびマウスモノクローナル抗c-myc抗体(Zymed、カタログ番号13-2500)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0126】
6×ヒスチジンに対する例示的な市販の抗体には、マウスモノクローナル抗ペンタhis抗体(Quiagen、カタログ番号34660);およびマウス抗6×his抗体、クローンAD1.1.10(R&D Systems、カタログ番号MAB050)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。捕捉方法において使用するのに適した好ましい抗6×his抗体は、マウス抗6×his抗体、クローンAD1.1.10(R&D Systems、カタログ番号MAB050)である。
【0127】
抗体またはその結合断片は、特定の用途(例えば、捕捉または検出)に適したトリプルタグ配列またはトリプルタグ配列の構成要素に対する結合親和性を有するように仕立てることができる。トリプルタグ配列またはトリプルタグ配列の構成要素を捕捉するための抗体またはその結合断片は、約10-4、好ましくは約10-5もしくは約10-6またはそれ以下(例えば、より遅い解離定数)のkoffを有してよい。トリプルタグ配列またはトリプルタグ配列の構成要素を検出するための抗体またはその結合断片は、約10-2、好ましくは約10-3またはそれ以下(例えば、より遅い解離定数)のkoffを有してよい。
【0128】
好ましくは、ポリクローナル抗体は、適切なタグおよびアジュバントを複数回皮下(sc)注射または腹腔内(ip)注射することによって、動物において産生させる。二価性物質または誘導体化物質、例えば、マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介した結合)、N-ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を介する)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、または当技術分野において公知である他の作用物質を用いて、免疫化しようとする種において免疫原性であるタンパク質、例えば、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシチログロブリン、またはダイズトリプシンインヒビターに適当なタグ配列を結合することによって、より優れた抗体応答を得ることができる。
【0129】
タグ免疫原性結合体または派生体を完全フロイントアジュバントと併用し、皮内の複数の部位に溶液を注射することによって、タグ免疫原性結合体または派生体に対して動物(例えば、ウサギまたはマウス)を免疫化することができる。続いて、例えば1ヶ月後に、完全フロイントアジュバントに溶かしたある量(例えば元の量より少ない)のタグ、タンパク質または結合体を複数の部位に皮下注射することによって、これらの動物に追加免疫する。続いて、例えばブースター注射後7〜14日目にこれらの動物から採血し、血清の抗体力価を分析する。力価が頭打ちになるまで、動物に追加免疫する。好ましくは、同じタグの結合体であるが、異なるタンパク質に、かつ/または異なる架橋試薬を介して結合されたもので動物に追加免疫する。結合体は、タンパク質融合物として組換え細胞培養において作製してもよい。また、ミョウバンのような凝集剤も、免疫応答を強化するために適宜使用される。
【0130】
本発明に従って使用され得るモノクローナル抗体は、Kohler et al., (Nature, 256:495-7, 1975)によって最初に説明されたハイブリドーマ法によって作製してよく、または組換えDNA法(例えば米国特許第4,816,567号を参照されたい)によって作製してよい。モノクローナル抗体はまた、例えば、Clackson et al., (Nature 352:624-628, 1991)およびMarks et al., (J. Mol. Biol. 222:581-597, 1991)において説明されている技術を用いて、ファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。
【0131】
ハイブリドーマ法では、マウス、またはハムスターもしくはマカクサルなど他の適切な宿主動物を、本明細書において説明するようにして免疫化して、免疫化のために使用されるタグに特異的に結合する抗体を産生するか、または産生できるリンパ球を誘発する。あるいは、インビトロでリンパ球を免疫化してもよい。次いで、ポリエチレングリコールのような適切な融合剤を用いて、リンパ球を骨髄腫細胞と融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成させる(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, pp. 59-103 (Academic Press, 1986))。
【0132】
融合されていない親骨髄腫細胞の増殖または生存を阻害する1種または複数種の物質を好ましくは含む適切な培地中で、このようにして調製したハイブリドーマ細胞を播種し、増殖させる。例えば、親骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチン・グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマ用の培地は、典型的には、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジンを含み(HAT培地)、これらの物質はHGPRT欠損細胞の増殖を妨げる。
【0133】
好ましい骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定な高レベル産生を支援し、培地に対して感受性であるものである。ヒト骨髄腫細胞株およびマウス-ヒトヘテロミエローマ細胞株もまた、ヒトモノクローナル抗体の作製のために説明されている(例えば、Kozbor, J. Immunol., 133: 3001 (1984); Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp. 51-63, Marcel Dekker, Inc., New York, (1987)を参照されたい)。例示的なマウス骨髄腫株には、Salk Institute Cell Distribution Center, San Diego, Calif. USAから入手可能なMOP-21マウス腫瘍およびM.C.-11マウス腫瘍に由来するもの、ならびにAmerican Type Culture Collection, Rockville, Md. USAから入手可能なSP-2細胞またはX63-Ag8-653細胞が含まれる。
【0134】
ハイブリドーマ細胞が増殖する培地を、タグを対象とするモノクローナル抗体の産生に関して分析する。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降法によって、または、ラジオイムノアッセイ法(RIA)もしくは酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)などのインビトロの結合アッセイ法によって、測定される。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、スキャッチャード解析によって測定することができる(例えば、Munson et al., Anal. Biochem., 107:220 (1980)を参照されたい)。
【0135】
タグに対して所望の特異性、親和性、および/または活性を有する抗体を産生するハイブリドーマ細胞が同定された後、これらのクローンを限界希釈手順によってサブクローニングし、標準的な方法によって増殖させてよい(例えば、Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, pp. 59-103 (Academic Press, 1986)を参照されたい)。この目的に適した培地には、例えば、DMEM培地またはRPMI-1640培地が含まれる。さらに、ハイブリドーマ細胞は、動物において腹水腫瘍としてインビボで増殖させてもよい。サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、例えば、プロテインA-セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、またはアフィニティークロマトグラフィーなど従来の免疫グロブリン精製手順によって、培地、腹水、または血清から適切に分離される。
【0136】
本開示はまた、本発明の抗体をコードし、宿主細胞によって認識される制御配列に任意で機能的に連結された単離された核酸、それらの核酸を含むベクターおよび宿主細胞、ならびに、その核酸が発現されるように宿主細胞を培養する段階、および任意で、宿主細胞培養物または培地から抗体を回収する段階を含んでよい、抗体を作製するための組換え技術も提供する。抗体作製のための様々な系および方法が、BirchおよびRacher (Adv. Drug Deliv. Rev. 671-685 (2006))によって概説されている。
【0137】
抗体の組換え作製の場合、それをコードする核酸が単離され、さらなるクローニング(DNAの増幅)または発現のために、複製可能なベクター中に挿入される。モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を用いて(例えば、抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)、容易に単離および配列決定される。多くのベクターが利用可能である。ベクター構成要素には、限定されるわけではないが、次の内の1つまたは複数が一般に含まれる:シグナル配列、複製起点、1つまたは複数の選択マーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、および転写終結配列。
【0138】
モノクローナル抗体をコードするDNAをクローニングまたは発現させるための適切な宿主細胞および抗体を精製するための方法は、本開示の全体を通して説明する。
【0139】
トリプルタグ配列に連結された関心対象のタンパク質の回収
本開示は、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)を含むトリプルタグ配列に機能的に連結された関心対象のタンパク質を発現させることによって、結合相手に特異的な関心対象のタンパク質を発現する1つまたは複数の複製可能な遺伝子パッケージを抽出物から回収する段階;6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、またはV5(SEQ ID NO: 3)に特異的な抗体への結合に関して、それらの複製可能な遺伝子パッケージをスクリーニングする段階;ならびに抗体に結合する複製可能な遺伝子パッケージを回収する段階を含む、検出するための方法を提供する。
【0140】
トリプルタグ配列は、タグに連結された関心対象のタンパク質を他の細胞性材料から単離(例えば精製)するためにさらに使用することができる。例えば、免疫沈降法によるか、または抗タグ抗体アフィニティーカラムもしくは抗タグ抗体を結合させたビーズを用いることによる。6×ヒスチジンタグが使用される場合、単離は、金属キレートカラムを用いて実施することができる(例えば、Hochuli、Genetic Engineering: Principles and Methods J K Setlow編、Plenum Press, NY、第8章、pp 87-96を参照されたい)。実施例6は、例示的なマトリックス(例えばニッケルカラム)を用いた、例示的なトリプルタグ化タンパク質の単離を示す。
【0141】
3種のアフィニティータグを含めることにより、最高で3回の連続したアフィニティー精製段階が可能になり、したがって、単一のタグまたはダブルダグによって実現し得るよりもはるかに高率の精製が実現する。
【0142】
本開示はまた、回収、単離、または精製されたタグ化タンパク質の量を定量するための方法も提供する。このような方法は、例えば、精製プロセスの効率を測定するために有用である。
【0143】
トリプルタグ配列に連結された関心対象のタンパク質の捕捉
トリプルタグ配列に連結された、抗体(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、もしくはFab、またはペプチド(例えば非抗体ペプチド))を含む関心対象のタンパク質は、タグの1つまたは複数の構成要素に特異的な捕捉物質を用いて表面で捕捉(例えば固定)することができる。これにより、タグ化タンパク質を、そのタンパク質の特異的結合相手を必要とすることなく捕捉することが可能になり、例えば、抗体の場合、抗原に依存しない抗体捕捉が可能になる。
【0144】
本明細書に含まれる表面の例には、ガラス(例えば、制御された細孔をもつ多孔質ガラス)、多糖(例えばアガロース)、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、シリコーン金属、金属合金、アノポル(anopol)、ポリマー、ナイロンで部分的もしくは全体的に形成されたもの、またはタンパク質チップのようなマイクロアレイが含まれる。一定の態様において、状況に応じて、表面は、アッセイプレートのウェル、フィルター、メンブレン、クロマトグラフィー樹脂、またはビーズを含んでよい。この用語はまた、米国特許第4, 275,149号に記載されているもののような、別々の粒子からなる不連続な固相、および細胞表面も含む。接着細胞表面または浮遊細胞表面が使用され得る。初代細胞培養物、細胞株、または操作された細胞株が使用され得る。適切な細胞型にはCHO、IM-9、HEK293、および3T3が含まれ得る。これらの細胞は、例えばホルムアルデヒドで固定されてもよく、または固定されなくてもよい。
【0145】
いくつかの態様において、トリプルタグ配列に連結された関心対象のタンパク質は、当技術分野において公知である任意の6×ヒスチジン捕捉物質、c-myc捕捉物質、またはV5捕捉物質を表面にコーティングまたは表面で発現させることによって、表面で捕捉される。これらの捕捉物質には、市販の抗タグ抗体(例えば、マウスモノクローナル抗V5抗体(Invitrogen、カタログ番号R960-25);抗V5抗体(Invitrogen、カタログ番号460705);マウス抗V5抗体(Zymed、カタログ番号37-7500);マウス抗V5抗体(Accurate Chemical、カタログ番号MCA1360GA);マウス抗V5抗体、クローンV5.J9(Abcam、カタログ番号ab60188-100);マウス抗6×ヒスタグ抗体、クローン3H2201(Abcam、カタログ番号ab15145-50);ウサギポリクローナル抗V5抗体(Abcam、カタログ番号ab9116-100);ウサギ抗V5抗体(Chemicon、カタログ番号AB3792);ニワトリ抗V5抗体(Abcam、カタログ番号ab9113-100);抗c-mycマウスモノクローナル抗体(9E10)(Roche、カタログ番号11667149001);マウスモノクローナル抗c-myc抗体(Zymed、カタログ番号13-2500);マウスモノクローナル抗ペンタhis抗体(Quiagen、カタログ番号34660);マウス抗6×his抗体、クローンAD1.1.10(R&DSystems、カタログ番号MAB050))のようなヒスチジン、c-myc、またはV5に対する抗体、および市販の銅カラムまたはニッケルカラムを含む、金属キレート化マトリックスのようなマトリックスまたは6×ヒスチジンタグ、c-mycタグ、もしくはV5タグに結合する他のマトリックスが含まれるが、それらに限定されるわけではない。一度捕捉されると、タンパク質は、アッセイ法、例えば、ハイスループットなアッセイ法を含む結合アッセイ法において試験するのに適している。このようなアッセイ法は、タグ化タンパク質の活性および/または量を測定するために使用され得る。
【0146】
結合アッセイ法のための様々な形式および技術は当技術分野において周知であり、例えば、ナイロンまたはニトロセルロースなどのフィルターへの固定;二次元アレイ、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ法(RIA)、競合的結合アッセイ法、直接的サンドイッチアッセイ法および間接的サンドイッチアッセイ法、免疫沈降アッセイ法、蛍光定量的微量容量分析技術(FMAT(商標))、Luminex(商標)システムアッセイ法、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)、バイオルミネセンス共鳴エネルギー転移(BRET)、電気的免疫測定法、AlphaScreen(商標)、ナノ粒子に由来する技術、および表面プラズモン共鳴(SPR)が含まれる。
【0147】
結合アッセイ法は、均質(homogeneous)または半均質(semi-homogeneous)でよい。均質なアッセイ法とは、すべての成分が一緒に混合され、インキュベートされ、次いで解析されるアッセイ法である。半均質なアッセイ法は、各成分が添加され、次いで、次の成分が添加される前に洗い流される典型的な段階的組立てサンドイッチアッセイ法とは対照的に、反応の大半は複合混合物として起こるが、最終反応物の添加および解析の前に洗浄段階が必要とされるものである。いくつかの態様において、このアッセイ法は、イムノアッセイ法である。一定の態様において、このアッセイ法は、半均質な酵素イムノアッセイ法(EIA)である。
【0148】
競合的結合アッセイ法は、標識された標準物質(例えば、ポリペプチド結合物質が結合する抗原またはその断片)が、ポリペプチド結合物質への結合を得るために試験試料中の抗原と競合する能力に依拠する。試験試料中の抗原の量は、抗体に結合される標準物質の量に反比例する。結合される標準物質の量の測定を容易にするために、典型的には、結合された抗原を未結合抗原から簡便に分離することができるように、競合の前または後に抗体を不溶化する。代替の態様において、競合的結合アッセイ法では、標識されたポリペプチド結合物質が、抗原またはその断片への結合を得るために未標識のポリペプチド結合物質と競合する能力を測定する。
【0149】
サンドイッチアッセイ法は、典型的には、検出および/または定量しようとするタンパク質の異なる免疫原性部分またはエピトープにそれぞれが結合できる2種の抗体の使用を含む。サンドイッチアッセイ法では、典型的には、固相上に固定された第1のポリペプチド結合物質が、試験試料中の分析物に結合し、その後、第2のポリペプチド結合物質がその分析物に結合し、それによって、3つの部分からなる不溶性の複合体を形成する(例えば、米国特許第4,376,110号を参照されたい)。第2のポリペプチド結合物質は、検出可能な部分でそれ自体が標識されてよく(直接的サンドイッチアッセイ法)、または、検出可能な部分で標識された抗免疫グロブリン抗体を用いて測定してよい(間接的サンドイッチアッセイ法)。例えば、1つのタイプのサンドイッチアッセイ法は酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)であり、この場合、検出可能な部分は酵素である(例えば、18章、Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel et al.編、John Wiley & Sons, New York, NY (1995)を参照されたい)。
【0150】
例えば、FMAT(商標)(fluorimetric microvolume assay technology; Applied Biosystems, Foster City, CA)システムでは、蛍光標識されたリガンドまたはビオチン標識されたリガンドのいずれかを有するビーズに結合されるタグ化タンパク質を使用し得る。これは、完全に均質なアッセイ形式として実行することができる。ほぼ同一の形式が、ビーズをベースとする同様のシステムが使用されるLuminex(商標)システム(Luminex Corp., Austin, TX)を用いて実施され得る。FMAT(商標)アッセイ形式とLuminex(商標)アッセイ形式の主な違いは、検出方法にある。Luminex(商標)プラットホームでは、ビーズに光学的フローセルを流過させて、ビーズからの蛍光発光を測定し、FMAT(商標)では、マイクロプレートのウェルの底に非常に近い狭い面における蛍光を画像化する。あるいは、電気化学発光システムも、感度が高く性能が均質であるため(homogenous capacity)、親和性調節物質をスクリーニングするために容易に適用可能であると思われる。Tricorder(商標)(BioVeris Corp., Washington D.C.)またはMesoScale Discovery Multi-spot Assay System (Meso Scale Discovery, Gaithersburg, MD) などのこれらのシステムでは、ルテニウムに由来する電気化学発光検出技術を使用する。このシステムのために最適化できるアッセイ形式は、他のシステムと非常に類似していると思われ、主な違いは、電気化学発光標識技術および検出計測手段の使用である。
【0151】
アッセイ法のさらに別の例では、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)発光を使用する。例えば、1つの化合物がFRETドナー分子で標識され、その結合相手がFRETアクセプター分子で標識されるか、または逆の場合も同じである。結合が結合相手間で起こる場合、FRETドナー分子とFRETアクセプター分子は接近し、特定の波長で蛍光を発する。狭い帯域フィルターを用いて、標識の波長以外の全波長を遮断することができる。FRET分子対は、当技術分野において(例えば、Invitrogenから)市販されており、製造業者のプロトコールに従って使用することができる。FRET発光は、CCDカメラのような光学的映像技術を用いて検出される。
【0152】
アッセイ法のさらなる例は、例えば、WO/06086883において説明されているバイオセンサーを用いたバイオルミネセンス共鳴エネルギー転移(BRET)である。
【0153】
別のタイプのアッセイ法は、電子ドナーによる標識を使用する。1つの分子が電子ドナーで標識され、相互作用する分子が電気的接触物に結合されるか、または逆の場合も同じである。結合が結合相手間で起こる場合、標識は、電気的接触物に電子を供与する(例えば、エレクトロイムノアッセイ法のための方法を説明している、Ghindilis, Biochem Soc Trans. 28:84-9, (2000);およびDai et al., Cancer Detect Prev. 29:233-40 (2005)を参照されたい)。次いで、電子接触が、AからDへの(アナログからデジタルへの)変換器によって読み取られ、定量される。電子計数値が高いほど、より多くの相互作用が起こったことになる。
【0154】
アッセイ法のその他の例は、ビーズをベースとする化学反応を使用してマイクロプレート形式で生体分子相互作用を研究するAlphaScreen(商標)(PerkinElmer, Waltham, MA)である。これは、ビーズ上に捕捉された分子の結合により、一方のビーズから他方のビーズへのエネルギー転移が起こり、最終的に、発光/蛍光シグナルを生じる、非放射性の均質な近接アッセイ法である(例えば、SeethalaおよびPrabhavathi, Homogeneous Assays: AlphaScreen Handbook of Drug Screening. Marcel Dekker Pub., 2001, pp.106-110を参照されたい)。
【0155】
また、分子相互作用は、ナノ粒子に由来する技術を用いて検出することもできる(例えば、金ナノ粒子クエンチングを説明しているAo et al., Anal Chem. 78:1104-6 (2006);抗体検出におけるSiO(2)/Auナノ粒子表面を説明しているTang et al., Biosens Bioelectron. 2005 Nov 30;および固体基板-室温リン光イムノアッセイ法(SS-RTP-IA)において使用するための、ジブロモフルオレセインを含む二酸化ケイ素ナノ粒子を説明しているLieu et al., J Immunol Methods. 307:34-40 (2005)を参照されたい)。
【0156】
単一分子を検出できる標識の1つの態様は、Schultz et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:996-1001 (2000)において説明されているような、光学的レポーターとしてのプラズモン共鳴粒子(PRP)の使用である。PRPは、例えば直径40〜100nmの金属性ナノ粒子であり、金属中の伝導電子の集団共鳴が原因で光を散乱する(表面プラズモン共鳴)。ナノ粒子に関連したプラズモン共鳴の大きさ、ピーク波長、およびスペクトルバンド幅は、粒子のサイズ、形状、および材料組成、ならびに局所的環境に依存する。調製期間中にこれらのパラメーターに影響を与えることによって、スペクトルの可視域の任意の場所で散乱ピークを有するPRPを形成させることができる。球形PRPの場合、ピーク散乱波長および散乱効率のいずれも、半径が大きいほど上昇するため、異なる色の標識を作製するための手段が提供される。例えば、標的とする波長から数ナノメートル以内にピーク散乱波長がある銀球体の集団は、調製期間中に球体の最終半径を調整することによって、再現可能に調製することができる。PRPは明るいがナノサイズであるため、単一分子検出のための指標として使用される;すなわち、視野中に結合されたPRPが存在する場合、単一の結合事象が示され得る。表面プラズモン共鳴検出器システムの例は、BIAcoreアッセイシステムである(例えば、Malmquist, J Molec Recognition, 7:1-7 (1994)を参照されたい)。本開示のトリプルタグ配列に連結された、例えば単鎖抗体を含む関心対象のタンパク質は、表面プラズモン共鳴(SPR)を介して検出し、結合相手(例えば抗原)に対する親和性を測定することができる。この方法は、金属/液体界面で表面プラズモン波長が励起された場合に起こる現象に基づいている。光は、試料と接触していない側の表面に向けられ、かつそれから反射され、SPRは、特定の組合せの角度および波長において、反射光の強度の低下を引き起こす。生体分子結合事象は、表面層における屈折率の変化を引き起こし、これらの変化がSPRシグナルの変化として検出される。結合事象は、受容体-リガンド対間の結合(binding association)または解離のいずれかでよい。屈折率の変化は、本質的に瞬間的に測定することができ、したがって、ある親和性定数を有する個々の構成要素を決定することが可能になる。より具体的には、この方法により、結合速度(kon)および解離速度(koff)の正確な測定が可能になる。表面プラズモン共鳴を用いて結合速度および解離速度を含む結合親和性を測定するための方法は当技術分野において周知であり、例えば、JonssonおよびMalmquist, Advances in Biosensors, 2:291-336 (1992)ならびにWu et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95:6037-6042 (1998)において説明されているのを見出すことができる。
【0157】
実施例5では、抗V5表面または抗his表面上に捕捉されたタグ化scFvの上を抗原に通過させることによって実施される例示的なSPRアッセイ法を説明する。
【0158】
アッセイ法において使用するために利用可能な多くの組換えタンパク質は、精製を容易にするために単一のタグ、一般に6×ヒスチジンとの融合物として発現され、タグが依然として存在するままで提供または販売される。2つの代替えタグ、例えば、c-mycタグおよびV5タグを捕捉および検出のために使用できるため、トリプルタグ化タンパク質は、このようなシングルタグ化タンパク質を含むアッセイ法において、アッセイ法の結果に干渉することなく有利に使用することができる。
【0159】
トリプルタグ配列に連結された関心対象のタンパク質の検出
抗体に対するエピトープを含むタグは、検出可能なマーカーに結合された抗タグ抗体を用いて、インビボまたはインビトロのいずれかで検出することができる。検出可能なマーカーは、試料中の結合された検出可能な部分または標識の量を定量するのに使用できる測定可能なシグナル、例えば、放射性シグナル、色素生産性シグナル、発光シグナル、または蛍光シグナルを直接的または間接的に生じることができる任意のものでよい。当技術分野において公知の検出可能な標識には、3H、14C、32P、35S、もしくは125Iなどの放射性同位体、電気化学発光標識(例えば、基質と組み合わせたルテニウム(Ru)ベースの触媒など)、発光標識もしくは生物発光標識(例えば、ユーロピウム、バナジウム)、蛍光化合物もしくは化学発光化合物、例えば、フルオレセインイソチオシアナート、ローダミン、もしくはルシフェリンなど、酵素(例えば、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、もしくは西洋ワサビペルオキシダーゼなどの酵素)、比色標識、例えば、コロイド金ビーズ、色ガラスビーズ、もしくはプラスチックビーズ(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)、常磁性原子もしくは磁性物質、高電子密度反応物、蛍光色素を含むナノビーズもしくはミクロビーズ、ナノ結晶、量子ドット、量子ビーズ、ナノタグ、蛍光標識付きのデンドリマー、マイクロトランスポンダー、電子ドナー分子もしくは分子構造体、または光反射粒子が含まれる。微粒子はナノ結晶または量子ドットでよい。ナノ結晶とは、光のフォトンを吸収し、次いで異なる波長でフォトンを再放出する物質である(蛍光体)。さらに、その他の蛍光(florescent)標識または二次抗体をナノ結晶に結合させてもよい。ナノ結晶は、InvitrogenおよびEvident Technologies (Troy, N.Y.)などの供給業者から市販されている。他の標識には、紫外線(UV)照射に供された場合、強い蛍光シグナルを提示する産生物3-β-D-リボフラノシル-2,7-ジオキソピリド[2、3-d]ピリミジンを生じる非蛍光分子であるE)-5-[2-(メトキシカルボニル)エテニル]シチジンが含まれる。バーコード標識は、米国特許公報第20070037195号において説明されている。
【0160】
c-myc、HA、VSV-G、HSV、V5、ヒスチジン、およびFLAGなどのタグに対する多くの市販の抗体がある。さらに、本開示において使用されるタグに対する抗体は、上記に説明し、かつ、例えば、モノクローナル抗体作製(Campbell, A. M., Monoclonal Antibodies Technology: Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, Elsevier Science Publishers, Amsterdam, the Netherlands (1984); St. Groth et al., J. Immunology. 35: 1-21 (1990);およびKozbor et al., Immunology Today 4:72 (1983))によるものを含む、抗体を作製するための標準的方法を用いて作製することができる。次いで、国際出願WO 00/70023ならびに(HarlowおよびLane (1989) Antibodies, Cold Spring Harbor Laboratory, pp. 1-726)において説明されているような当技術分野において周知の方法を用いて、放射性同位体、親和性標識(例えば、ビオチン、アビジンなど)、酵素標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなど)の使用を通じて、抗タグ抗体を検出可能に標識することができる。
【0161】
トリプルタグ配列に連結された関心対象のタンパク質のための検出アッセイ法には、ウェスタンブロット解析、免疫組織化学、ELISA、FACS解析、酵素アッセイ法、オートラジオグラフィー、および本明細書において言及する結合アッセイ法のいずれかが含まれるが、それらに限定されるわけではない。これらのアッセイ法を実施するための手段は当業者に周知である。例えば、放射性標識物質は、写真フィルムまたはシンチレーションカウンターを用いて検出することができ、蛍光マーカーは、放出された光を検出するための光検出器を用いて検出することができる。酵素標識は、典型的には、酵素を基質と共に提供し、基質に対する酵素作用によって産生された反応産物を検出することによって検出され、熱量測定(calorimetric)標識は、着色された標識を単に可視化することによって検出される。
【0162】
トリプルタグ配列に連結された関心対象のタンパク質のための検出方法は、直接的または間接的でよく、例えば、光放出、放射性同位体、熱量測定(calorimetric)色素、および蛍光色素の測定を含んでよい。直接的検出には、改変された抗体可変ドメインが結合する結合相手の量を評価するために介在物も二次的な測定手順もなしで機能する方法が含まれる。一般に、このような方法は、例えば、放射性部分、光放出部分、または蛍光部分によってそれら自体が標識されているリガンドを使用する。一方、間接的検出には、介在物または二次的な測定手順を介して機能する方法が含まれる。一般に、これらの方法は、結合相手と特異的に反応し、それら自体が直接標識され得るか、または二次的反応物によって検出され得る分子を使用する。例えば、結合相手に特異的な改変された抗体可変ドメインは、改変された抗体可変ドメインと相互作用できる抗体を用い、直接的検出に関して前述した検出方法を再び用いて、検出することができる。間接的な方法では、酵素標識による検出をさらに使用してもよい。さらに、触媒抗体をスクリーニングするための特殊な例の場合、基質の消失または産生物の出現が、結合親和性または触媒活性の間接的指標として使用され得る。
【0163】
トリプルタグ配列に連結された関心対象のタンパク質の定量
本開示は、タグ化タンパク質の量を定量するための方法を提供する。アッセイ法におけるタグ化タンパク質の量の定量は、例えば、ディスプレイライブラリー(例えばファージディスプレイライブラリー)の品質を確認するのに有用である。トリプルタグを用いると、試料の精製および濃縮も、ならびにタンパク質の結合相手の存在も必要とせずに、タグ化タンパク質の量をハイスループットな様式で定量することができる。したがって、例えば、抗体の場合、未精製のペリプラズム抽出物試料を抗原に依存しない方法で定量することができ、その際、試料は1つのタグを用いて捕捉され、別のタグを用いて検出される。タンパク質のC末端にトリプルタグを配置することは、完全長のタンパク質のみが検出されることを意味する。したがって、この方法を用いて、ライブラリー(例えばファージディスプレイライブラリー)において発現された関心対象のタンパク質(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、または抗体のFab断片などの抗体)の比率および量を測定することができる。
【0164】
また、アッセイ法におけるタグ化タンパク質の量の定量は、例えば、そのアッセイ法におけるタグ化タンパク質の量の変動を説明するためにアッセイ法の結果を正規化するのにも有用である。様々なタンパク質の発現、フォールディング、および安定性の変動は、同じ発現ベクターに由来するものでさえ、詳細に記録されている。例えば、Ewert et al.は、可溶性scFv断片の熱力学的安定性および収量が、それらのVH遺伝子ファミリーまたはVL遺伝子ファミリーおよびそれらの組合せによって変動することを確認した(例えば、Ewert et al., J. Mol. Biol. 325: 531-553 (2003)を参照されたい)。したがって、ペリプラズム抽出物中の未精製タグ化タンパク質(例えばscFv)の複数の試料をスクリーニングする場合、そのような変動を説明するために結果を正規化して、最も強力なタンパク質を同定するのを可能にできることが有用である。
【0165】
実施例10は、いくつかの試料中のscFv断片の定量を示し、その際、試料はV5タグを用いて捕捉され、6×ヒスチジンタグを用いて検出される。
【0166】
製品
例えばキットを含む製品が、本開示によって提供される。製品は、容器、および容器の上または容器に伴うラベルまたは添付文書を含んでよい。適切な容器には、例えば、瓶、バイアル、またはシリンジが含まれる。容器は、ガラスまたはプラスチックなど様々な材料から形成されてよい。容器は、本開示の1種または複数種のポリヌクレオチドおよび/またはベクターを収容する。ラベルまたは添付文書は、タグ化ペプチドの親和性に基づいたスクリーニングを実施するための指示を含んでよい。
【0167】
好ましくは、キットは、捕捉反応物のための固体支持体をさらに含み、この固体支持体は、単独の要素として提供されてもよく、または関心対象の1種もしくは複数種の抗原に特異的な抗体がその上に固定されてもよい。したがって、キット中の関心対象の1種もしくは複数種の抗原に特異的な抗体は、固体支持体上に固定されてもよく、または、キットと共に含まれるか、もしくはキットとは別に提供されるそのような支持体上に固定されてもよい。好ましくは、関心対象の1種または複数種の抗原に特異的な抗体は、マイクロタイタープレート上にコーティングされる。増幅する分子が酵素である場合、キットは、通常、酵素が必要とする基質および補助因子を含み、増幅する分子が蛍光体である場合は、検出可能な発色団を提供する色素前駆体を含む。
【0168】
また、典型的には、キットは、アッセイ法を実施するための取扱い説明書、ならびに安定化剤、洗浄用緩衝液、およびインキュベーション用緩衝液など他の添加物質を含む。キットの構成要素は、所定の比率で提供され、様々な反応物の相対量は、アッセイ法の感度を実質的に最大にする反応物の溶液中濃度を提供するように適切に変更される。特に、反応物は、賦形剤を含む通常は凍結乾燥された乾燥粉末として提供されてよく、賦形剤は、溶解の際、試験しようとする試料と混合するのに適した濃度を有する反応物溶液を提供すると考えられる。
【0169】
これ以上説明しなくても、当業者は、前述の説明および以下の例示的な実施例を用いて、本開示の作用物質を作製および利用し、特許請求の範囲の方法を実践できると考えられる。以下の実施例は、本開示の実践を容易にするために提供され、開示の残りの部分を何らかの方法で限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0170】
実施例1:タグ配列を有するベクターの構築
位置的順序が異なるタグ配列を含むベクター(例えば、pXscFv-HV、pXscFv-VH、pXscFv-VHM、pXscFv-HMV、およびpXscFv-HM)は、pXSHMを元の鋳型として用いて構築することができる(例えば、図1〜5を参照されたい)。組換えDNA技術を用いて、ベクター(例えばpXHM)においてタグ(例えば、6×ヒスチジン、V5、および/またはc-myc)を付加、除去、または再配置することができる。同様の様式で、組換えDNA技術を用いて、6×ヒスチジン、c-myc、および/またはV5を含むタグ配列の他の組合せを構築することができる。例えば、VHMタグ配列またはHMVタグ配列は、pXSHMベクターにV5タグ配列を導入するための組換えDNA技術を用いることによって構築することができる。同様の様式で、VHタグ配列またはHVタグ配列は、pXSHMベクターからc-mycタグ配列を除去することによって構築することができる。すべての構築物において、スタッファー配列(S)は、Sfi1でベクターを消化することによって除去される。次いで、Sfi1部位に隣接する任意のタンパク質(例えばscFv)を、組換え技術によってベクター中に導入することができる。本開示の方法において使用するための例示的なベクター(pXSHMV)の構造は、図5で説明する。f1起点部位から始めて時計回りに、このベクターは、アンピシリン遺伝子(AMP)、pUC起点、lacプロモーター、pelBシグナル配列、Sfi I部位にはさまれたスタッファー配列(S)、6×ヒスチジンタグ(H)、c-mycタグ(M)、V5タグ(V)、アンバー停止コドン、およびpIII遺伝子(例えば、SEQ ID NO: 18のような短縮型pIII遺伝子配列)を含む。
【0171】
例示的な方法において、単鎖(scFv)およびHMVタグ配列を含むベクターpXscFv-HMVを構築した。手短に言えば、pXSHM中にV5タグを導入するために入れ子プライマーを設計した。V5配列を含むプライマーを用いたオーバーラップ伸長PCRによってV5タグを導入した。2つのプライマーセットを設計した。一方のプライマーセットは、3'末端に修飾を有する(V5タグ配列を有する重複領域を含む)上流を増幅し、他方のプライマーセットは、5'末端に修飾を有する(V5タグ配列を有する重複領域を含む)下流を増幅する。例えば、以下の段階的反応のために十分な重複を作り出すために、2回の連続的な増幅が必要とされる場合がある。これらの断片をゲル精製した後、外部プライマーを用いたオーバーラップ伸長により、V5タグ配列を含む単一のDNA断片が得られた。次いで、XhoIおよびNdeIなどの隣接する制限部位を用いて、この断片を元のベクター鋳型(pXSHM)中にクローニングした。
【0172】
pXSHMVベクターの構築のために、以下のオリゴヌクレオチドを設計した:

【0173】
上流断片の場合、オリゴヌクレオチドRLMycLinkV5R1(SEQ ID NO: 11)およびIR26(SEQ ID NO: 14)を用いて、pXSHMから増幅し、N末端部分を作製した。この断片は、引き続いてのオーバーラップ伸長のために必要な変化全てを含むわけではなかったため、鋳型としてのこの上流断片ならびにオリゴヌクレオチドRLLinkV5R2(SEQ ID NO: 12)およびIR26(SEQ ID NO: 14)を用いて、もう1回増幅を実施した。この増幅により、上流断片の3'末端に完全長V5タグを生じさせた。下流断片の場合、オリゴヌクレオチドRLV5For(SEQ ID NO: 13)およびIR30(SEQ ID NO: 15)を用いて、pXSHMから増幅し、C末端部分を作製した。これら2つの断片、すなわち上流断片および下流断片を、外部オリゴヌクレオチドIR26(SEQ ID NO: 14)およびIR30(SEQ ID NO: 15)を用いたオーバーラップ伸長によって連結した。これらのオリゴヌクレオチドは、pXSHM中に単一断片を導入してpXSHMVを作製するために使用されるXhoI制限部位およびNdeI制限部位をそれぞれ含む。
【0174】
pXSHMVベクターを作製した後、隣接したSfiI部位を有する増幅されたscFv挿入物を、pXSHMVのスタッファー(S)DNA部分の代わりに導入した。下記のオリゴヌクレオチドを用いて、scFvを含むベクターからscFvを増幅した:

。次いで、pXSHMVベクターを、Sfi1を用いた制限エンドヌクレアーゼ消化に供し、増幅されたscFvをスタッファー(S)配列の代わりに挿入してpXscFv-HMVベクターを作製した。
【0175】
実施例2:ELISAによるタグ配列の検出
タグ配列に連結(例えば融合)された関心対象のタンパク質(例えばタグ化タンパク質)を、発現させることができるタグ化タンパク質を求めてスクリーニングすることができる。
【0176】
例示的な方法において、タグ配列に連結されたscFvを、scFv-タグタンパク質の発現を可能にするタグを求めてELISAによってスクリーニングした。HMVタグ配列、VHMタグ配列、HVタグ配列、VHタグ配列、またはHMタグ配列に連結されたscFvを試験した。タグ配列に連結されたscFvをTG1細胞において発現させた。ペリプラズム抽出物を調製し、抗原でコーティングしたプレートへの結合に関するELISAアッセイ法において結合を試験した。6×ヒスチジンタグに特異的な抗体、V5タグに特異的な抗体、またはc-mycタグに特異的な抗体を、scFv-HMVタグ化タンパク質を認識するために使用した。
【0177】
6×ヒスチジンに特異的な抗体、c-mycに特異的な抗体、およびV5に特異的な抗体によって、scFv-HMVタグ化タンパク質を検出した。これらのデータから、scFv-HMVタグ化タンパク質のタグ構成要素が、これら3種の抗タグ抗体のそれぞれとの結合に接近可能であることが示唆された。
【0178】
実施例3:Biacoreによるタグ配列の検出
実施例2で説明したELISAに加えて、またはその代わりに、タグ配列に連結された関心対象のタンパク質を、発現させることができるタグ化タンパク質を求めてBiacoreによってスクリーニングすることができる。
【0179】
例示的な方法において、様々なペプチド配列(例えば、HMV、HVM、HV、HM、およびVH)に連結されたscFvをファージミドベクターから発現させ、ペリプラズム抽出物を調製した。ペリプラズム抽出物を泳動用緩衝液(HBS-EP+、Biacoreカタログ番号BR-1006-69)に加えて10倍希釈し、製造業者の推奨に従って(Biacore, GE-Healthcare)固定した抗原を有するCM5センサーチップ上に注入した。次いで、6×ヒスチジン、c-myc、またはV5に特異的な二次抗体を、結合されたscFvの上に注入した。
【0180】
Biacore解析により、HMVタグに連結されたscFvは、タグ構成要素のいずれか一つに特異的な抗体を用いて同定されることが示された。
【0181】
実施例4:ウェスタンブロットによるタグ配列の検出
実施例2および3に加えて、またはその代わりに、タグ配列に連結された関心対象のタンパク質を、発現させることができるタグ化タンパク質を求めてスクリーニングすることができる。
【0182】
例示的な方法において、様々なペプチド配列(例えば、HMV、VHM、HV、HM、およびVH)に連結された関心対象のタンパク質をファージミドベクターから発現させ、精製し、非還元ゲル中を泳動させた。次いで、標準的技術によってタンパク質をニトロセルロースに移し、タグ配列中のペプチドに特異的であり検出可能な標識に結合された抗体を用いて免疫反応性について調べた。
【0183】
ウェスタン解析により、HMV(6×ヒスチジン-c-myc-V5)タグに連結されたscFvは、タグ構成要素のいずれか一つに対する抗体を用いて同定されることが示された。同様に、HVタグまたはVHタグに連結されたscFvは、V5または6×ヒスチジンのいずれかに対する抗体を用いて検出された。VHMに連結されたscFvは、6×ヒスチジンタグおよびV5タグを対象とする抗体を用いて検出した。しかしながら、c-mycタグは検出されなかった。これらのデータから、HMVタグは、それが連結されるscFvの検出に影響を及ぼさないこと、および、タグの各構成要素は、変性条件下で抗体結合に接近可能であることが示唆される。
【0184】
実施例5:タグ配列に連結された関心対象のタンパク質の動態解析
関心対象のタンパク質は、タグ配列に対する抗体による安定な捕捉を可能にする様々なタグ配列(例えば、HMV、VHM、HV、HM、およびVH)に連結されてよい。次いで、捕捉されたタグ化タンパク質を、関心対象の他分子との結合相互作用の動態について解析することができる。
【0185】
A V5タグを介した捕捉
例示的な方法において、様々なタグ化タンパク質、例えば、scFv-HMV、scFv-VH、scFv-HVを、抗V5表面において捕捉した。試験したこれらのタグ化タンパク質のそれぞれは、同じVH領域およびVL領域を含む。Biacore 2000を用いて以下の動態解析を実施した。これらの解析の結果を、同じVH領域およびVL領域を有する非タグ化IgGを用いて実施した以前の動態解析の結果と比較した。
【0186】
scFv評価のために、製造業者の推奨(Biacore, GE-Healthcare)に従い、アミンカップリングによって抗V5抗体をCM5センサーチップ上に固定した。scFv構築物を含むペリプラズム抽出物を泳動用緩衝液に加えて希釈し、抗V5表面上に注入して、タグ化scFvを表面で捕捉した。緩衝液ブランクおよび複数の濃度の抗原を注入した。結果として得られたセンサーグラムを動態解析ソフトウェアによって解析して、結合速度(on-rate)および解離速度(off-rate)を決定した(例えば、図6〜8を参照されたい)。
【0187】
精製IgGは、抗V5の代わりにプロテインA/G捕捉表面を用いて同様の様式で以前に評価した。結果として得られたセンサーグラムを図9に示す。
【0188】
V5タグ配列により、ペリプラズム抽出物からのV5タグ化scFv構築物の安定な捕捉が可能になった。捕捉されたscFv構築物への抗原の結合は、1:1結合モデルによく当てはまり、これにより、未精製抽出物からscFvの動態を決定することが可能になった(図6〜8)。抗V5捕捉表面を用いて測定した親和性の値は、プロテインA/Gによって捕捉したIgG型の親和性について以前に測定した値と一致していた(例えば、約20nMのKD)。表1に示す3種のscFv構築物およびIgGのKD値は、この方法論の実験誤差内であることから、V5捕捉が抗体/抗原結合相互作用に有意な影響を与えなかったことが示される。未精製試料からのscFv構築物の動態測定が可能となることにより、評価する各抗体候補物の精製および正確な定量の必要が回避されるため、抗体スクリーニングの間に著しくハイスループットな親和性解析をすることが可能になる。
【0189】
(表1)様々な形態の親和性測定値の比較

【0190】
B 6×ヒスチジンタグを介した捕捉
別の例示的な方法において、HMVタグ化scFvを抗6×ヒスチジン表面で捕捉した。Biacore A100を用いて動態解析を実施した。scFvを特徴付けるために、抗6×ヒスチジン抗体(R&D Systems MAb 050)をアミンカップリングによってシリーズS CM5センサーチップに固定した。scFv構築物を含むペリプラズム抽出物を泳動用緩衝液中で希釈し、抗6×ヒスチジン表面上に注入して、タグ化scFvを捕捉した。緩衝液ブランクおよび複数の濃度の抗原を捕捉scFv上に注入した。結果として得られたセンサーグラムを動態解析ソフトウェアによって解析して、結合速度および解離速度を決定した。6×ヒスチジンタグ配列により、ペリプラズム抽出物からのHMVタグ化scFv構築物の捕捉が可能になった。捕捉されたscFvは抗原に結合することができ、それらの結合速度および解離速度を測定した。
【0191】
実施例6:タグ配列に連結された関心対象のタンパク質のニッケルカラム精製
様々なペプチド配列(例えば、HMV、VHM、HV、HM、およびVH)に連結された関心対象のタンパク質は、当技術分野において公知である任意の手段によって精製することができる。
【0192】
例示的な方法において、タグ配列に連結されたscFvをニッケルカラムによって精製した。手短に言えば、トリプルタグ配列に融合されたscFvを、細菌系(例えばTG1細胞)においてベクター(例えば、pXHMA、pXHMVA、pXHVA、およびpXVHA) から発現させた。次に、標準的な方法によってペリプラズム抽出物を調製し、樹脂を適切な緩衝液(例えば、PBS+300mM NaCl)で平衡化することによてニッケル樹脂を調製した。平衡化したニッケル樹脂を抽出物に添加することによって、scFvタグ化タンパク質をペリプラズム抽出物から精製した。インキュベーション後、カラムを洗浄し、scFvタグ化タンパク質を溶出させた。
【0193】
scFvタグ化タンパク質のニッケル精製後、HMV配列およびHV配列を有するタグ化タンパク質の方が、VH配列およびHM配列を含むscFvタグ化タンパク質よりも高い回収率で精製された(図10)。
【0194】
実施例7:タグ配列に連結された関心対象のタンパク質の回収
様々なペプチド配列(例えば、HMV、VHM、HV、HM、およびVH)に機能的に連結され、結合相手に結合する関心対象のタンパク質の収量および回収率は、例えばBiacoreによって測定することができる。
【0195】
例示的な方法において、トリプルタグ配列に連結された関心対象のタンパク質の収量および回収率を、以下のようにBiacore2000機器を用いて測定した。CM-5チップ上に抗原を、高密度(例えば、結合が物質輸送律速(mass-transport limited)であり、したがって、結合動態よりむしろ濃度に依存する、密度)になるまで固定した。ペリプラズム抽出物を泳動用緩衝液に加えて希釈し、精製したscFv構築物を、推定濃度が約1μg/mLになるまで希釈した。これらの試料をろ過し、注入した。初期勾配は、BiaEval Software (Biacore, GE-Healthcare)を用いて、結合センサーグラムの結合相から算出した。濃度が公知である試料に対して初期勾配を用いて換算係数を算出し、未知試料に適用して濃度を概算した。次いで、これらの濃度および希釈率を用いて、収量および回収率(%)を概算した(表2)。試験した構築物のうちで、HMV配列に連結されたscFvが、最も高い発現レベルおよび最も高い精製後回収率を有していた。
【0196】
(表2)精製したScFv構築物の収量および回収率(%)

【0197】
実施例8:タグ配列を含むファージの産生能力(production)および安定性
様々なペプチド配列(例えば、HMV、VHM、HV、HM、およびVH)を含むファージの産生能力および安定性は、モック選択とそれに続くファージ力価測定およびファージミドDNAの制限酵素解析によって確認することができる。
【0198】
例示的な方法において、HMVペプチド配列、HVペプチド配列、またはVHペプチド配列に連結されたscFvを含む様々なファージミドベクターの産生能力および安定性を確認した。例えば、模擬された3回の選択(例えば、救出、感染、救出、感染、救出、感染)を通して、ファージミド構築物を別々に採取した。最後に、3種の単離物および各構築物の3回目から得たプールを、ファージミド精製および制限エンドヌクレアーゼ解析(例えばSfiI)のために処理した。
【0199】
これらのファージミド構築物は、同様のファージ力価産生および同じDNAサイズ解析を示した(例えば、図11を参照されたい)。これらのデータから、V5タグ、c-mycタグ、およびヒスチジンタグの導入がファージ力価産生およびファージミドDNAの完全性に影響を及ぼさないことが示唆された。
【0200】
実施例9:ライブラリースクリーニングによるタグ配列の使用
様々なペプチド配列(例えば、HMV、VHM、HV、HM、およびVH)を用いて、関心対象のタンパク質についてライブラリー (例えばファージミドライブラリー)をスクリーニングすることができる。例えば、関心対象のタンパク質の結合相手を用いて、関心対象のタンパク質を捕捉することができる。捕捉後、関心対象のタンパク質は、タグ配列に対する抗体を用いて検出することができる。
【0201】
例示的な方法において、大規模なファージミドライブラリー(例えば1011)を、scFvを含むpXscFv-HMVベクター中で構築した。この大規模なscFvファージミドライブラリーを用いて、様々な抗原に結合するscFvを選択した。抗原には、短いペプチド、可溶性タンパク質、細胞質内タンパク質、および2種の異なる膜結合型タンパク質の細胞外ドメインが含まれた。HMV配列を有する数千個の異なるscFvを細菌において発現させ、ELISAによってスクリーニングした。手短に言えば、ペリプラズム抽出物を調製し、抗原でコーティングしたELISAプレートに添加した。インキュベーション後、これらのプレートを洗浄し、タグ配列に特異的な抗体(例えば抗V5)をウェルに添加した。抗V5抗体を検出するための二次抗体の存在下で、2回目のインキュベーションを実施した。インキュベーション後、これらのプレートを洗浄し、分光光度計を用いて読み取った。
【0202】
短いペプチド、可溶性タンパク質、細胞質内タンパク質、および2種の膜結合型タンパク質の細胞外ドメインを用いて実施したスクリーニングから、いくつかの独特な重鎖および軽鎖の対が同定された。例えば、短いペプチド抗原を用いてスクリーニングを実施した場合、54個の独特な重鎖配列、55個の独特な軽鎖配列、ならびに60個の独特な重鎖および軽鎖の対が同定された。可溶性タンパク質抗原を用いてスクリーニングを実施した場合、63個の独特な重鎖配列、45個の独特な軽鎖配列、ならびに74個の独特な重鎖および軽鎖の対が同定された。細胞質内タンパク質抗原を用いてスクリーニングを実施した場合、44個の独特な重鎖配列、46個の独特な軽鎖配列、ならびに49個の独特な重鎖および軽鎖の対が同定された。第1の膜結合型タンパク質抗原を用いてスクリーニングを実施した場合、56個の独特な重鎖配列、87個の独特な軽鎖配列、ならびに98個の独特な重鎖および軽鎖の対が同定された。第2の膜結合型タンパク質抗原を用いてスクリーニングを実施した場合、74個の独特な重鎖配列、74個の独特な軽鎖配列、ならびに89個の独特な重鎖および軽鎖の対が同定された。これらのデータから、本開示のHMV配列がライブラリーのハイスループットなスクリーニングにおいて使用され得ることが示唆される。別の例において、抗V5 捕捉表面を用いたBiacore によって、ペリプラズム抽出物中のscFv-HMVクローンの抗原結合動態を解析した。未精製調製物に由来するscFvのこのような抗原結合動態解析は、V5のような安定な捕捉タグの使用によって可能になる。安定な捕捉タグとは、非常に遅い解離速度(例えば、1〜2×10-4以下)で抗体(例えば抗V5)が結合するものを意味する。ペリプラズム抽出物を用いてこれらの解析を実施できることにより、scFv ライブラリーのハイスループットな動態学的スクリーニングが可能になる。このタイプの解析は、特異的抗体が結合できる定常領域が存在するため、Fab断片およびIgG分子を用いて現在実施可能であるが、scFv、単一ドメイン抗体、および定常領域を有さない他のタンパク質は、この様式で解析することが以前はできなかった。
【0203】
実施例10:関心対象のペプチドの相対濃度の測定
様々なペプチド配列(例えば、HMV、VHM、HV、HM、およびVH)に連結された関心対象のタンパク質の捕捉および検出を用いて、ペリプラズム抽出物中の関心対象のタンパク質(例えばscFv)の相対濃度を測定し、タンパク質の機能活性の正規化を可能にすることができる。
【0204】
例示的な方法において、ペリプラズム抽出物中のscFvを、V5を介して捕捉し、6×ヒスチジンタグを介して検出した。関心対象のタンパク質の相対濃度(例えば、表3を参照されたい)を用いて、機能アッセイ法においてscFv活性を正規化することができる。このような機能アッセイ法には、抗原結合競合アッセイ法、リガンド-受容体遮断アッセイ法、または細胞ベースのシグナル伝達アッセイ法が含まれる。手短に言えば、抗V5抗体を96ウェルプレート上に固定した。ペリプラズム抽出物をウェルに添加した。インキュベーション後、これらのプレートを洗浄し、ヒスチジンタグ配列に対する抗体を添加した。インキュベーション後、これらのプレートを洗浄し、検出用反応物を添加し、分光光度計でプレートを読み取った。ELISAによって測定したペリプラズム抽出物中の発現されたscFvの相対濃度を示す、例示的な96ウェルプレートから得られた結果を、表3に例示する。
【0205】
(表3)ELISAによって測定した例示的な関心対象のタンパク質の相対濃度(バックグラウンドと比べた倍率として表す)*

*A1およびA2は陰性対照であり、H12は陽性対照である。
【0206】
実施例11:FRETを用いた、ペリプラズム抽出物中のタグ化scFv断片の定量
例示的な方法において、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)発光を用いて、溶液中の未精製のタグ化タンパク質試料を感度の高いハイスループットな様式で定量することができる。例えば、scFvを含むペリプラズム抽出物の複数の試料をマルチウェルプレート中に分注する。1種のタグ、例えばV5、もしくは2種のタグ、例えばV5およびc-mycを、例えば抗V5、もしくは例えば抗V5および抗c-mycの両方を用いて検出し、FRETドナー分子(例えば黄色蛍光タンパク質)および別のタグ、例えば6×ヒスチジンで標識した抗体を、FRETアクセプター分子(例えば緑色蛍光タンパク質)で標識した抗体で検出するか、または逆の場合も同じである。タグ構成要素に結合することにより、FRETドナー分子とFRETアクセプター分子が接近する(典型的には10〜100Å)。ドナー蛍光体が励起された場合、その発光がアクセプター分子を励起させて、特定の波長の蛍光を引き起こす。狭い帯域フィルターを用いて、標識の波長以外の全波長を遮断することができる。FRET励起は、溶液中の標識の場合は弱く、タグ化構成要素への結合によって接近することにより、FRETシグナルはバックグラウンドよりも著しく増大する。FRET分子ペアは当技術分野において市販されている。例示的なペアには、フルオレセインとテトラメチルローダミン;IAEDANSとフルオレセイン;EDANSとダブシル(dabcyl);フルオレセインとフルオレセイン;BODIPY FLとBODIPY FL;フルオレセインとQSY7色素およびQSY9色素が含まれ(すべて、Invitrogen Corp., Carlsbad CAから入手可能)、製造業者のプロトコールに従って使用することができる。FRET発光は、CCDカメラのような光学的映像技術を用いて検出される。FRET技術およびアッセイ設計の総説については、例えば、Osborn J. 「A review of radioactive and non-radioactive-based techniques used in life science applications- Part II: High-throughput screening」Life Science News, March 2001, Amersham Pharmacia Biotechを参照されたい。
【0207】
態様
1. 複数のポリヌクレオチドを含む核酸ライブラリーであって、該ポリヌクレオチドのそれぞれが、関心対象のタンパク質をコードし、トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドに連結され、該トリプルタグ配列が、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5 (SEQ ID NO: 3)を含む、核酸ライブラリー。
2. 6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)が直接的に連結されている、態様1記載の核酸ライブラリー。
3. 6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)がスペーサーを介して間接的に連結されている、態様1記載の核酸ライブラリー。
4. スペーサーが3〜7アミノ酸長である、態様3記載の核酸ライブラリー。
5. スペーサーがGAAまたはKAAである、態様4記載の核酸ライブラリー。
6. トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドが

によって表される、態様1記載の核酸ライブラリー。
7. トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドが

によって表される、態様1記載の核酸ライブラリー。
8. トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドが、
(a)SEQ ID NO: 4もしくはSEQ ID NO: 5と90%同一であるポリヌクレオチド、
(b)SEQ ID NO: 4もしくはSEQ ID NO: 5によって表されるポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド;または
(c)SEQ ID NO: 4もしくはSEQ ID NO: 5に相補的であるポリヌクレオチド
である、態様1記載の核酸ライブラリー。
9. 関心対象のポリヌクレオチドが1つまたは複数の発現制御エレメントに機能的に連結されている、態様1記載の核酸ライブラリー。
10. 発現制御エレメントがプロモーターである、態様9記載の核酸ライブラリー。
11. プロモーターが細菌プロモーターである、態様10記載の核酸ライブラリー。
12. 関心対象のタンパク質をコードするポリヌクレオチドが、シグナル配列をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結されている、態様1記載の核酸ライブラリー。
13. シグナル配列が

である、態様12記載の核酸ライブラリー。
14. シグナル配列が

である、態様12記載の核酸ライブラリー。
15. シグナル配列が

である、態様12記載の核酸ライブラリー。
16. シグナル配列が

である、態様12記載の核酸ライブラリー。
17. 関心対象のポリヌクレオチドが結合分子またはその断片をコードする、態様1記載の核酸ライブラリー。
18. 結合分子が抗体またはその断片である、態様17記載の核酸ライブラリー。
19. 結合分子が、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、または抗体のFab断片である、態様18記載の核酸ライブラリー。
20. 結合分子が、Fab、Fab'、Fab'-SH、Fv、scFv、およびF(ab')2からなる群より選択される、態様18記載の核酸ライブラリー。
21. 結合分子が5'から3'に向かってVH-リンカー-VLまたはVL-リンカー-VHを含み、リンカー配列が

であり、かつトリプルタグ配列がSEQ ID NO: 5によって表される、態様18記載の核酸ライブラリー。
22. トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドの5'末端が、関心対象のポリヌクレオチドの3'末端に機能的に連結されている、態様1記載の核酸ライブラリー。
23. 複数のポリペプチドを提示する複数のファージを含むバクテリオファージライブラリーであって、各ポリペプチドが、トリプルタグ配列に連結された関心対象のタンパク質を含み、該トリプルタグ配列が、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)を含む、バクテリオファージライブラリー。
24. 6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)が直接的に連結されている、態様23記載のバクテリオファージライブラリー。
25. 6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)がスペーサーを介して間接的に連結されている、態様23記載のバクテリオファージライブラリー。
26. スペーサーが3〜7アミノ酸長である、態様25記載のバクテリオファージライブラリー。
27. スペーサーがGAAまたはKAAである、態様26記載のバクテリオファージライブラリー。
28. トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドが

によって表される、態様23記載のバクテリオファージライブラリー。
29. トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドが

によって表される、態様23記載のバクテリオファージライブラリー。
30. 関心対象のタンパク質が結合分子またはその断片をコードする、態様23記載のバクテリオファージライブラリー。
31. 結合分子が抗体またはその断片である、態様30記載のバクテリオファージライブラリー。
32. 結合分子が、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、または抗体のFab断片である、態様31記載のバクテリオファージライブラリー。
33. 結合分子が、Fab、Fab'、Fab'-SH、Fv、scFv、およびF(ab')2からなる群より選択される、態様31記載のバクテリオファージライブラリー。
34. 関心対象のタンパク質が5'から3'に向かってVH-リンカー-VLまたはVL-リンカー-VHを含み、リンカー配列が

であり、かつトリプルタグ配列がSEQ ID NO: 5によって表される、態様23記載のバクテリオファージライブラリー。
35. トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドの5'末端が、関心対象のポリヌクレオチドの3'末端に機能的に連結されている、態様23記載のバクテリオファージライブラリー。
36. トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドに連結された関心対象のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むベクターであって、該トリプルタグ配列が、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)を含む、ベクター。
37. 6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)が直接的に連結されている、態様36記載のベクター。
38. 6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)がスペーサーを介して間接的に連結されている、態様36記載のベクター。
39. スペーサーが3〜7アミノ酸長である、態様38記載のベクター。
40. スペーサーがGAAまたはKAAである、態様39記載のベクター。
41. トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドが

によって表される、態様36記載のベクター。
42. トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドが

によって表される、態様36記載のベクター。
43. トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドが、
(a)SEQ ID NO: 4もしくはSEQ ID NO: 5と90%同一であるポリヌクレオチド、
(b)SEQ ID NO: 4もしくはSEQ ID NO: 5によって表されるポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド;または
(c)SEQ ID NO: 4もしくはSEQ ID NO: 5に相補的であるポリヌクレオチド
である、態様36記載のベクター。
44. 関心対象のポリヌクレオチドが1つまたは複数の発現制御エレメントに機能的に連結されている、態様36記載のベクター。
45. 発現制御エレメントがプロモーターである、態様44記載のベクター。
46. プロモーターが細菌プロモーターである、態様45記載のベクター。
47. 関心対象のタンパク質をコードするポリヌクレオチドが、シグナル配列をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結されている、態様36記載のベクター。
48. シグナル配列が

である、態様47記載のベクター。
49. シグナル配列が

である、態様47記載のベクター。
50. シグナル配列が

である、態様47記載のベクター。
51. シグナル配列が

である、態様47記載のベクター。
52. 関心対象のポリヌクレオチドが結合分子またはその断片をコードする、態様36記載のベクター。
53. 結合分子が抗体またはその断片である、態様52記載のベクター。
54. 結合分子が、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、または抗体のFab断片である、態様52記載のベクター。
55. 結合分子が、Fab、Fab'、Fab'-SH、Fv、scFv、およびF(ab')2からなる群より選択される、態様53記載のベクター。
56. 関心対象のタンパク質が5'から3'に向かってVH-リンカー-VLを含み、リンカー配列が

である、態様55記載のベクター。
57. トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドの5'末端が、関心対象のポリヌクレオチドの3'末端に機能的に連結されている、態様36記載のベクター。
58. 態様36〜57のいずれか一項記載のベクターを含む宿主細胞。
59. トリプルタグ配列に連結された関心対象のタンパク質を製造する方法であって、ポリヌクレオチド配列が発現され、かつトリプルタグ配列に連結された関心対象のタンパク質が産生される条件下で、態様58記載の宿主細胞を培養する段階を含む、方法。
60. 宿主細胞培養物からタンパク質を回収する段階をさらに含む、態様59記載の方法。
61. 6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)を含むトリプルタグ配列に連結された関心対象のタンパク質を含む、タグ化タンパク質。
62. 6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)が直接的に連結されている、態様61記載のタグ化タンパク質。
63. 6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)がスペーサーを介して間接的に連結されている、態様61記載のタグ化タンパク質。
64. スペーサーが3〜7アミノ酸長である、態様63記載のタグ化タンパク質。
65. スペーサーがGAAまたはKAAである、態様64記載のタグ化タンパク質。
66. トリプルタグ配列が

によって表される、態様62記載のタグ化タンパク質。
67. トリプルタグ配列が

によって表される、態様63記載のタグ化タンパク質。
68. トリプルタグ配列がSEQ ID NO: 4またはSEQ ID NO: 5と70%同一である、態様61記載のタグ化タンパク質。
69. トリプルタグ配列がSEQ ID NO: 4またはSEQ ID NO: 5と80%同一である、態様61記載のタグ化タンパク質。
70. トリプルタグ配列がSEQ ID NO: 4またはSEQ ID NO: 5と90%同一である、態様61記載のタグ化タンパク質。
71. タグ化タンパク質を捕捉する方法であって、
(a)態様58記載の宿主細胞からペリプラズム抽出物を調製する段階;および
(b)該ペリプラズム抽出物を、6×ヒスチジン、c-myc、またはV5に対する抗体と接触させる段階
を含み、
タグ化タンパク質が、6×ヒスチジン、c-myc、またはV5に対する該抗体によって捕捉される、方法。
72. タグ化タンパク質を回収するための方法であって、
(a)態様58記載の宿主細胞からペリプラズム抽出物を調製する段階;
(b)該ペリプラズム抽出物を、6×ヒスチジン、c-myc、もしくはV5に対する抗体またはニッケルカラムと接触させる段階であって、タグ化タンパク質が、6×ヒスチジン、c-myc、もしくはV5に対する該抗体またはニッケルカラムに結合する段階;
(c)抗体またはカラムに結合したタグ化タンパク質を溶出させる段階;および
(d)タグ化タンパク質を溶出液から回収する段階、
を含む方法。
73. 態様36記載の複数のベクターを含む、関心対象のタンパク質のファージミドライブラリーをスクリーニングする方法であって、
(a)態様36記載の複数のベクターから複数のポリヌクレオチドを発現させる段階;
(b)発現されたポリヌクレオチドを、V5、c-myc、または6×ヒスチジンに特異的な抗体への結合に基づいてスクリーニングする段階;および
(c)段階(b)で結合する発現されたポリヌクレオチドを回収する段階、
を含む方法。
74. 態様61〜70のいずれか一項記載の複数のポリペプチドを含むポリペプチドライブラリー。
75. 態様61〜70のいずれか一項記載のポリペプチドを表面に提示するバクテリオファージのライブラリー。
76. 複数のポリペプチドから、抗原に結合するポリペプチドを選択するための方法であって、
(a)態様74または態様75記載のポリペプチドライブラリーを抗原と接触させる段階;および
(b)該抗原に結合するポリペプチドを選択する段階、
を含む方法。
77. 複数のポリペプチドから、抗原に結合するポリペプチドを選択するための方法であって、
(a)態様1記載のライブラリーを発現させて複数のポリペプチドを産生させる段階;および
(b)発現させたポリペプチドを抗原と接触させる段階;および
(c)該抗原に結合するポリペプチドを選択する段階、
を含む方法。
78. 複数のベクターの各ベクターが、トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドに連結された関心対象のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含み、該トリプルタグ配列が、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)を含む、複数のベクター。
79. 態様36〜57のいずれか一項記載の複数のベクターまたはそれらの任意の組合せ。
80. 単鎖抗体が、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)を含むトリプルタグ配列に連結されている、単鎖抗体のライブラリー。
81. 6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)が直接的に連結されている、態様80記載のライブラリー。
82. 6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)がスペーサーを介して間接的に連結されている、態様80記載のライブラリー。
83. スペーサーが3〜7アミノ酸長である、態様82記載のライブラリー。
84. スペーサーがGAAまたはKAAである、態様83記載のライブラリー。
85. トリプルタグ配列が

によって表される、態様81記載のライブラリー。
86. トリプルタグ配列が

によって表される、態様82記載のライブラリー。
87. Fab断片が、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)を含むトリプルタグ配列に連結されている、Fab断片のライブラリー。
88. 6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)が直接的に連結されている、態様87記載のライブラリー。
89. 6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)がスペーサーを介して間接的に連結されている、態様87記載のライブラリー。
90. スペーサーが3〜7アミノ酸長である、態様89記載のライブラリー。
91. スペーサーがGAAまたはKAAである、態様90記載のライブラリー。
92. トリプルタグ配列が

によって表される、態様88記載のライブラリー。
93. トリプルタグ配列が

によって表される、態様89記載のライブラリー。
94. Fabライブラリーをコードする複数のポリヌクレオチドであって、該ライブラリーが複数のベクターを含み、該複数のベクターの各ベクターが、抗体重鎖可変領域、抗体重鎖定常領域、軽鎖可変領域、および軽鎖定常領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含み、かつ該ポリヌクレオチドが、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)を含むトリプルタグ配列をコードする配列をさらに含む、複数のポリヌクレオチド。
95. 単鎖抗体ライブラリーをコードする複数のポリヌクレオチドであって、該ライブラリーが複数のベクターを含み、該複数のベクターの各ベクターが、抗体重鎖可変領域および軽鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含み、かつ該ポリヌクレオチドが、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)を含むトリプルタグ配列をコードする配列をさらに含む、複数のポリヌクレオチド。
96. 6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)が直接的に連結されている、態様94〜95記載のライブラリー。
97. 6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)がスペーサーを介して間接的に連結されている、態様94〜95記載のライブラリー。
98. スペーサーが3〜7アミノ酸長である、態様97記載のライブラリー。
99. スペーサーがGAAまたはKAAである、態様98記載のライブラリー。
100. トリプルタグ配列が

によって表される、態様96記載のライブラリー。
101. トリプルタグ配列が

によって表される、態様97記載のライブラリー。
102. 6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)を含むトリプルタグ配列に連結された関心対象の複数のタンパク質を含む態様75記載のバクテリオファージのライブラリーをスクリーニングするための方法であって、
(a)ライブラリーの試料を6×ヒスチジン、c-mycタグ、またはV5タグに特異的な第1の結合分子と接触させる段階;
(b)6×ヒスチジンタグ、c-mycタグ、またはV5タグに特異的な該結合分子を用いて、トリプルタグ配列に連結された関心対象のタンパク質を捕捉する段階;
(c)結合された関心対象のタンパク質を6×ヒスチジンタグ、c-mycタグ、またはV5タグに特異的な第2の結合分子と接触させる段階;および
(d)6×ヒスチジンタグ、c-mycタグ、またはV5タグに特異的な結合分子を用いて、関心対象のタンパク質を検出する段階
を含み、
該第1の結合分子の特異性は、該第2の結合分子の特異性と異なる、方法。
103. V5に特異的な結合分子が段階(a)で使用され、6×ヒスチジンに特異的な結合分子が段階(c)で使用される、態様102記載の方法。
104. 6×ヒスチジンに特異的な結合分子が段階(a)で使用され、V5ヒスチジンに特異的な結合分子が段階(c)で使用される、態様102記載の方法。
105. 6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)を含むトリプルタグ配列に連結された関心対象の複数のタンパク質を含む態様75記載のバクテリオファージのライブラリーをスクリーニングするための方法であって、
(a)ライブラリーの試料を6×ヒスチジン、c-mycタグ、またはV5タグに特異的な第1の結合分子と接触させる段階;
(b)6×ヒスチジンタグ、c-mycタグ、またはV5タグに特異的な該結合分子を用いて、トリプルタグ配列に連結された関心対象のタンパク質を検出する段階;
(c)結合された関心対象の該タンパク質を6×ヒスチジンタグ、c-mycタグ、またはV5タグに特異的な第2の結合分子と接触させる段階;および
(d)6×ヒスチジンタグ、c-mycタグ、またはV5タグに特異的な結合分子を用いて、関心対象の該タンパク質を検出する段階
を含み、
該第1の結合分子の特異性は、該第2の結合分子の特異性と異なる、方法。
106. V5に特異的な結合分子が段階(a)で使用され、6×ヒスチジンに特異的な結合分子が段階(c)で使用される、態様105記載の方法。
107. 6×ヒスチジンに特異的な結合分子が段階(a)で使用され、V5ヒスチジンに特異的な結合分子が段階(c)で使用される、態様105記載の方法。
【0208】
様々な具体的な材料、手順、および実施例を参照して、本明細書において本開示を説明し例示してきたが、本開示は、その目的のために選択された材料および手順の特定の組合せに限定されないことが理解される。当業者には理解されるように、このような詳細の多数の変形が暗示され得る。明細書および実施例は、例示にすぎないとみなされ、本開示の真の範囲および精神は、以下の特許請求の範囲によって示されることが意図される。本出願において参照する参考文献、特許、および特許出願はすべて、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポリヌクレオチドを含む核酸ライブラリーであって、該ポリヌクレオチドのそれぞれが、関心対象のタンパク質をコードし、トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドに連結され、該トリプルタグ配列が、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5 (SEQ ID NO: 3)を含む、核酸ライブラリー。
【請求項2】
6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)が直接的に連結されている、請求項1記載の核酸ライブラリー。
【請求項3】
6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)がスペーサーを介して間接的に連結されている、請求項1記載の核酸ライブラリー。
【請求項4】
スペーサーが3〜7アミノ酸長である、請求項3記載の核酸ライブラリー。
【請求項5】
スペーサーがGAAまたはKAAである、請求項4記載の核酸ライブラリー。
【請求項6】
トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドが

によって表される、請求項1記載の核酸ライブラリー。
【請求項7】
トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドが

によって表される、請求項1記載の核酸ライブラリー。
【請求項8】
トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドが、
(a)SEQ ID NO: 4もしくはSEQ ID NO: 5と90%同一であるポリヌクレオチド、
(b)SEQ ID NO: 4もしくはSEQ ID NO: 5によって表されるポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド;または
(c)SEQ ID NO: 4もしくはSEQ ID NO: 5に相補的であるポリヌクレオチド
である、請求項1記載の核酸ライブラリー。
【請求項9】
関心対象のポリヌクレオチドが1つまたは複数の発現制御エレメントに機能的に連結されている、請求項1記載の核酸ライブラリー。
【請求項10】
発現制御エレメントがプロモーターである、請求項9記載の核酸ライブラリー。
【請求項11】
プロモーターが細菌プロモーターである、請求項10記載の核酸ライブラリー。
【請求項12】
関心対象のタンパク質をコードするポリヌクレオチドが、シグナル配列をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結されている、請求項1記載の核酸ライブラリー。
【請求項13】
シグナル配列が

である、請求項12記載の核酸ライブラリー。
【請求項14】
シグナル配列が

である、請求項12記載の核酸ライブラリー。
【請求項15】
シグナル配列が

である、請求項12記載の核酸ライブラリー。
【請求項16】
シグナル配列が

である、請求項12記載の核酸ライブラリー。
【請求項17】
関心対象のポリヌクレオチドが結合分子またはその断片をコードする、請求項1記載の核酸ライブラリー。
【請求項18】
結合分子が抗体またはその断片である、請求項17記載の核酸ライブラリー。
【請求項19】
結合分子が、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、または抗体のFab断片である、請求項18記載の核酸ライブラリー。
【請求項20】
結合分子が、Fab、Fab'、Fab'-SH、Fv、scFv、およびF(ab')2からなる群より選択される、請求項18記載の核酸ライブラリー。
【請求項21】
結合分子が5'から3'に向かってVH-リンカー-VLまたはVL-リンカー-VHを含み、リンカー配列が

であり、かつトリプルタグ配列がSEQ ID NO: 5によって表される、請求項18記載の核酸ライブラリー。
【請求項22】
トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドの5'末端が、関心対象のポリヌクレオチドの3'末端に機能的に連結されている、請求項1記載の核酸ライブラリー。
【請求項23】
複数のポリペプチドを提示する複数のファージを含むバクテリオファージライブラリーであって、各ポリペプチドが、トリプルタグ配列に連結された関心対象のタンパク質を含み、該トリプルタグ配列が、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)を含む、バクテリオファージライブラリー。
【請求項24】
6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)が直接的に連結されている、請求項23記載のバクテリオファージライブラリー。
【請求項25】
6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)がスペーサーを介して間接的に連結されている、請求項23記載のバクテリオファージライブラリー。
【請求項26】
スペーサーが3〜7アミノ酸長である、請求項25記載のバクテリオファージライブラリー。
【請求項27】
スペーサーがGAAまたはKAAである、請求項26記載のバクテリオファージライブラリー。
【請求項28】
トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドが

によって表される、請求項23記載のバクテリオファージライブラリー。
【請求項29】
トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドが

によって表される、請求項23記載のバクテリオファージライブラリー。
【請求項30】
関心対象のタンパク質が結合分子またはその断片をコードする、請求項23記載のバクテリオファージライブラリー。
【請求項31】
結合分子が抗体またはその断片である、請求項30記載のバクテリオファージライブラリー。
【請求項32】
結合分子が、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、または抗体のFab断片である、請求項31記載のバクテリオファージライブラリー。
【請求項33】
結合分子が、Fab、Fab'、Fab'-SH、Fv、scFv、およびF(ab')2からなる群より選択される、請求項31記載のバクテリオファージライブラリー。
【請求項34】
関心対象のタンパク質が5'から3'に向かってVH-リンカー-VLまたはVL-リンカー-VHを含み、リンカー配列が

であり、かつトリプルタグ配列がSEQ ID NO: 5によって表される、請求項23記載のバクテリオファージライブラリー。
【請求項35】
トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドの5'末端が、関心対象のポリヌクレオチドの3'末端に機能的に連結されている、請求項23記載のバクテリオファージライブラリー。
【請求項36】
トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドに連結された関心対象のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むベクターであって、該トリプルタグ配列が、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)を含む、ベクター。
【請求項37】
6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)が直接的に連結されている、請求項36記載のベクター。
【請求項38】
6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)がスペーサーを介して間接的に連結されている、請求項36記載のベクター。
【請求項39】
スペーサーが3〜7アミノ酸長である、請求項38記載のベクター。
【請求項40】
スペーサーがGAAまたはKAAである、請求項39記載のベクター。
【請求項41】
トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドが

によって表される、請求項36記載のベクター。
【請求項42】
トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドが

によって表される、請求項36記載のベクター。
【請求項43】
トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドが、
(a)SEQ ID NO: 4もしくはSEQ ID NO: 5と90%同一であるポリヌクレオチド、
(b)SEQ ID NO: 4もしくはSEQ ID NO: 5によって表されるポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド;または
(c)SEQ ID NO: 4もしくはSEQ ID NO: 5に相補的であるポリヌクレオチド
である、請求項36記載のベクター。
【請求項44】
関心対象のポリヌクレオチドが1つまたは複数の発現制御エレメントに機能的に連結されている、請求項36記載のベクター。
【請求項45】
発現制御エレメントがプロモーターである、請求項44記載のベクター。
【請求項46】
プロモーターが細菌プロモーターである、請求項45記載のベクター。
【請求項47】
関心対象のタンパク質をコードするポリヌクレオチドが、シグナル配列をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結されている、請求項36記載のベクター。
【請求項48】
シグナル配列が

である、請求項47記載のベクター。
【請求項49】
シグナル配列が

である、請求項47記載のベクター。
【請求項50】
シグナル配列が

である、請求項47記載のベクター。
【請求項51】
シグナル配列が

である、請求項47記載のベクター。
【請求項52】
関心対象のポリヌクレオチドが結合分子またはその断片をコードする、請求項36記載のベクター。
【請求項53】
結合分子が抗体またはその断片である、請求項52記載のベクター。
【請求項54】
結合分子が、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、または抗体のFab断片である、請求項52記載のベクター。
【請求項55】
結合分子が、Fab、Fab'、Fab'-SH、Fv、scFv、およびF(ab')2からなる群より選択される、請求項53記載のベクター。
【請求項56】
関心対象のタンパク質が5'から3'に向かってVH-リンカー-VLを含み、リンカー配列が

である、請求項55記載のベクター。
【請求項57】
トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドの5'末端が、関心対象のポリヌクレオチドの3'末端に機能的に連結されている、請求項36記載のベクター。
【請求項58】
請求項36〜57のいずれか一項記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項59】
トリプルタグ配列に連結された関心対象のタンパク質を製造する方法であって、ポリヌクレオチド配列が発現され、かつトリプルタグ配列に連結された関心対象のタンパク質が産生される条件下で、請求項58記載の宿主細胞を培養する段階を含む、方法。
【請求項60】
宿主細胞培養物からタンパク質を回収する段階をさらに含む、請求項59記載の方法。
【請求項61】
6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)を含むトリプルタグ配列に連結された関心対象のタンパク質を含む、タグ化タンパク質。
【請求項62】
6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)が直接的に連結されている、請求項61記載のタグ化タンパク質。
【請求項63】
6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)がスペーサーを介して間接的に連結されている、請求項61記載のタグ化タンパク質。
【請求項64】
スペーサーが3〜7アミノ酸長である、請求項63記載のタグ化タンパク質。
【請求項65】
スペーサーがGAAまたはKAAである、請求項64記載のタグ化タンパク質。
【請求項66】
トリプルタグ配列が

によって表される、請求項62記載のタグ化タンパク質。
【請求項67】
トリプルタグ配列が

によって表される、請求項63記載のタグ化タンパク質。
【請求項68】
トリプルタグ配列がSEQ ID NO: 4またはSEQ ID NO: 5と70%同一である、請求項61記載のタグ化タンパク質。
【請求項69】
トリプルタグ配列がSEQ ID NO: 4またはSEQ ID NO: 5と80%同一である、請求項61記載のタグ化タンパク質。
【請求項70】
トリプルタグ配列がSEQ ID NO: 4またはSEQ ID NO: 5と90%同一である、請求項61記載のタグ化タンパク質。
【請求項71】
タグ化タンパク質を捕捉する方法であって、
(a)請求項58記載の宿主細胞からペリプラズム抽出物を調製する段階;および
(b)該ペリプラズム抽出物を、6×ヒスチジン、c-myc、またはV5に対する抗体と接触させる段階
を含み、
タグ化タンパク質が、6×ヒスチジン、c-myc、またはV5に対する該抗体によって捕捉される、方法。
【請求項72】
タグ化タンパク質を回収するための方法であって、
(a)請求項58記載の宿主細胞からペリプラズム抽出物を調製する段階;
(b)該ペリプラズム抽出物を、6×ヒスチジン、c-myc、もしくはV5に対する抗体またはニッケルカラムと接触させる段階であって、タグ化タンパク質が、6×ヒスチジン、c-myc、もしくはV5に対する該抗体またはニッケルカラムに結合する段階;
(c)抗体またはカラムに結合したタグ化タンパク質を溶出させる段階;および
(d)タグ化タンパク質を溶出液から回収する段階、
を含む方法。
【請求項73】
請求項36記載の複数のベクターを含む、関心対象のタンパク質のファージミドライブラリーをスクリーニングする方法であって、
(a)請求項36記載の複数のベクターから複数のポリヌクレオチドを発現させる段階;
(b)発現されたポリヌクレオチドを、V5、c-myc、または6×ヒスチジンに特異的な抗体への結合に基づいてスクリーニングする段階;および
(c)段階(b)で結合する発現されたポリヌクレオチドを回収する段階、
を含む方法。
【請求項74】
請求項61〜70のいずれか一項記載の複数のポリペプチドを含むポリペプチドライブラリー。
【請求項75】
請求項61〜70のいずれか一項記載のポリペプチドを表面に提示するバクテリオファージのライブラリー。
【請求項76】
複数のポリペプチドから、抗原に結合するポリペプチドを選択するための方法であって、
(a)請求項74または請求項75記載のポリペプチドライブラリーを抗原と接触させる段階;および
(b)該抗原に結合するポリペプチドを選択する段階、
を含む方法。
【請求項77】
複数のポリペプチドから、抗原に結合するポリペプチドを選択するための方法であって、
(a)請求項1記載のライブラリーを発現させて複数のポリペプチドを産生させる段階;および
(b)発現させたポリペプチドを抗原と接触させる段階;および
(c)該抗原に結合するポリペプチドを選択する段階、
を含む方法。
【請求項78】
複数のベクターの各ベクターが、トリプルタグ配列をコードするポリヌクレオチドに連結された関心対象のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含み、該トリプルタグ配列が、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)を含む、複数のベクター。
【請求項79】
請求項36〜57のいずれか一項記載の複数のベクターまたはそれらの任意の組合せ。
【請求項80】
単鎖抗体が、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)を含むトリプルタグ配列に連結されている、単鎖抗体のライブラリー。
【請求項81】
6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)が直接的に連結されている、請求項80記載のライブラリー。
【請求項82】
6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)がスペーサーを介して間接的に連結されている、請求項80記載のライブラリー。
【請求項83】
スペーサーが3〜7アミノ酸長である、請求項82記載のライブラリー。
【請求項84】
スペーサーがGAAまたはKAAである、請求項83記載のライブラリー。
【請求項85】
トリプルタグ配列が

によって表される、請求項81記載のライブラリー。
【請求項86】
トリプルタグ配列が

によって表される、請求項82記載のライブラリー。
【請求項87】
Fab断片が、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)を含むトリプルタグ配列に連結されている、Fab断片のライブラリー。
【請求項88】
6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)が直接的に連結されている、請求項87記載のライブラリー。
【請求項89】
6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)がスペーサーを介して間接的に連結されている、請求項87記載のライブラリー。
【請求項90】
スペーサーが3〜7アミノ酸長である、請求項89記載のライブラリー。
【請求項91】
スペーサーがGAAまたはKAAである、請求項90記載のライブラリー。
【請求項92】
トリプルタグ配列が

によって表される、請求項88記載のライブラリー。
【請求項93】
トリプルタグ配列が

によって表される、請求項89記載のライブラリー。
【請求項94】
Fabライブラリーをコードする複数のポリヌクレオチドであって、該ライブラリーが複数のベクターを含み、該複数のベクターの各ベクターが、抗体重鎖可変領域、抗体重鎖定常領域、軽鎖可変領域、および軽鎖定常領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含み、かつ該ポリヌクレオチドが、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)を含むトリプルタグ配列をコードする配列をさらに含む、複数のポリヌクレオチド。
【請求項95】
単鎖抗体ライブラリーをコードする複数のポリヌクレオチドであって、該ライブラリーが複数のベクターを含み、該複数のベクターの各ベクターが、抗体重鎖可変領域および軽鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含み、かつ該ポリヌクレオチドが、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)を含むトリプルタグ配列をコードする配列をさらに含む、複数のポリヌクレオチド。
【請求項96】
6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)が直接的に連結されている、請求項94〜95記載のライブラリー。
【請求項97】
6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)がスペーサーを介して間接的に連結されている、請求項94〜95記載のライブラリー。
【請求項98】
スペーサーが3〜7アミノ酸長である、請求項97記載のライブラリー。
【請求項99】
スペーサーがGAAまたはKAAである、請求項98記載のライブラリー。
【請求項100】
トリプルタグ配列が

によって表される、請求項96記載のライブラリー。
【請求項101】
トリプルタグ配列が

によって表される、請求項97記載のライブラリー。
【請求項102】
6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)を含むトリプルタグ配列に連結された関心対象の複数のタンパク質を含む請求項75記載のバクテリオファージのライブラリーをスクリーニングするための方法であって、
(a)ライブラリーの試料を6×ヒスチジン、c-mycタグ、またはV5タグに特異的な第1の結合分子と接触させる段階;
(b)6×ヒスチジンタグ、c-mycタグ、またはV5タグに特異的な該結合分子を用いて、トリプルタグ配列に連結された関心対象のタンパク質を捕捉する段階;
(c)結合された関心対象のタンパク質を6×ヒスチジンタグ、c-mycタグ、またはV5タグに特異的な第2の結合分子と接触させる段階;および
(d)6×ヒスチジンタグ、c-mycタグ、またはV5タグに特異的な結合分子を用いて、関心対象のタンパク質を検出する段階
を含み、
該第1の結合分子の特異性は、該第2の結合分子の特異性と異なる、方法。
【請求項103】
V5に特異的な結合分子が段階(a)で使用され、かつ6×ヒスチジンに特異的な結合分子が段階(c)で使用される、請求項102記載の方法。
【請求項104】
6×ヒスチジンに特異的な結合分子が段階(a)で使用され、かつV5ヒスチジンに特異的な結合分子が段階(c)で使用される、請求項102記載の方法。
【請求項105】
6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 1)、c-myc(SEQ ID NO: 2)、およびV5(SEQ ID NO: 3)を含むトリプルタグ配列に連結された関心対象の複数のタンパク質を含む請求項75記載のバクテリオファージのライブラリーをスクリーニングするための方法であって、
(a)ライブラリーの試料を6×ヒスチジン、c-mycタグ、またはV5タグに特異的な第1の結合分子と接触させる段階;
(b)6×ヒスチジンタグ、c-mycタグ、またはV5タグに特異的な該結合分子を用いて、トリプルタグ配列に連結された関心対象のタンパク質を検出する段階;
(c)結合された関心対象の該タンパク質を6×ヒスチジンタグ、c-mycタグ、またはV5タグに特異的な第2の結合分子と接触させる段階;および
(d)6×ヒスチジンタグ、c-mycタグ、またはV5タグに特異的な結合分子を用いて、関心対象の該タンパク質を検出する段階
を含み、
該第1の結合分子の特異性は、該第2の結合分子の特異性と異なる、方法。
【請求項106】
V5に特異的な結合分子が段階(a)で使用され、かつ6×ヒスチジンに特異的な結合分子が段階(c)で使用される、請求項105記載の方法。
【請求項107】
6×ヒスチジンに特異的な結合分子が段階(a)で使用され、かつV5ヒスチジンに特異的な結合分子が段階(c)で使用される、請求項105記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2012−504424(P2012−504424A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530274(P2011−530274)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/059408
【国際公開番号】WO2010/040073
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(507417617)ゾーマ テクノロジー リミテッド (10)
【Fターム(参考)】