説明

トリペプチドの製造方法

【課題】血圧降下剤、抗ストレス剤等として有用なトリペプチドVal-Pro-Pro、Ile-Pro-Proを酵素法により製造する方法において、収率が向上し、製造工程が容易で且つ安定化する製造方法を提供する。
【解決手段】乳カゼインを含む材料に、プロテイナーゼ及びペプチダーゼを作用させトリペプチドVal-Pro-Pro及び/又はIle-Pro-Proを得るトリペプチドの製造方法であって、前記プロテイナーゼが、乳カゼインに作用させた際に、配列表に記載された特定のペプチドを含む中間体ペプチドを生成する、パパイン、アスペルギルス由来のプロテイナーゼから選択される1種又は2種以上のプロテイナーゼを含み、前記ペプチダーゼが、アミノペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼ及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるペプチダーゼを含むことを特徴とするトリペプチドの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリペプチドVal-Pro-Pro及び/又はIle-Pro-Proを効率的に製造することができるトリペプチドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特定の配列を有する各種のペプチドが、種々の生理活性を有する等の有用性を有していることが知られている。そのようなペプチドの例として、トリペプチドVal-Pro-Pro及びIle-Pro-Proが挙げられる。これらのトリペプチドは、乳酸菌発酵乳に見出すことができ、強いACE阻害活性を有し、自然発症高血圧ラット(SHR)において強い高血圧抑制作用を有し、また、高血圧患者に対する高血圧抑制効果があることが示されている。(非特許文献1)。さらに、トリペプチドVal-Pro-Pro及びIle-Pro-Proは、抗ストレス作用を有することも報告されている(特許文献1)。
【0003】
トリペプチドVal-Pro-Pro及び/又はIle-Pro-Proの製造方法に関しては、乳酸菌発酵法による高効率生産例が報告されている(特許文献2)。しかしながら、乳酸菌発酵を行った場合は、乳酸発酵に伴うpH低下のために発酵は途中で停止し、多くの未分解のカゼインが残る。また、乳酸菌発酵により得られた培養液中には、多くの乳酸が生成するために、各種の製品形態へ加工する際に支障が生じる。例えば、乾燥粉末に加工する際には、共存する乳酸のために粉末化は困難であり、脱酸処理が必須となる。
【0004】
トリペプチドVal-Pro-Pro及び/又はIle-Pro-Proの他の製造方法として、酵素を用いる方法が考えられる。例えば、特許文献1に示唆されるように、乳カゼインをプロテイナーゼで処理し、さらにカルボキシペプチダーゼで処理することによりトリペプチドVal-Pro-Pro及び/又はIle-Pro-Proを得ることが考えられる。
【0005】
酵素法による生産の場合は、上記乳酸発酵法と比較して、ペプチド収率の向上、製造工程の安定化、生産工数及び人手等の節減、並びに乳酸生成を伴わない等のメリットが得られうることが期待される。しかしながら、酵素法によるタンパクの切断においては、Xaa-ProあるいはPro-Xaa(Xaaは任意のアミノ酸を示す)のようにProを含むアミノ酸の配列の部位で、ペプチダーゼによる分解反応性が極めて低くなってしまう。従って、トリペプチドVal-Pro-Pro及び/又はIle-Pro-Proの酵素法による製造においては、配列Pro-Xaaの切断が困難であることが問題となる。そのため、乳酸発酵法よりも収率が向上し、製造工程が安定化する等のメリットの得られる、トリペプチドVal-Pro-Pro及び/又はIle-Pro-Proの酵素法による製造方法は、実際には見出されていない。
【0006】
なお、タンパク質をプロテイナーゼ及びペプチダーゼを組み合わせた分解によりトリペプチドVal-Pro-Pro及び/又はIle-Pro-Pro以外の有用ペプチドを生産する方法として、γゼインよりACE阻害活性を有するトリペプチドLeu-Pro-Proを得る方法(特許文献3)、βカゼインよりペプチドTyr-Pro-Phe-Pro-Gly-Pro-Ile-Xaa-Asn等を得る方法(特許文献4)等が提案されているが、これらも、工業的に有用な製造方法とすることができる程度の収率や安定性が得られるものではなく、実用化されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11-100328号公報
【特許文献2】特開平11-98978号公報
【特許文献3】特許第2873327号明細書
【特許文献4】特開平6-128287号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】J. Dairy Sci. 1995, 78:777-783;J.Dairy Sci. 1995, 78:1253-1257; Am. J. Clin. Nutr. 1996, 64:767-771
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、血圧降下剤、抗ストレス剤等として有用なトリペプチドVal-Pro-Pro、Ile-Pro-Proを酵素法により製造する方法において、収率が向上し、製造工程が容易で且つ安定化する製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、乳カゼインを含む材料に、プロテイナーゼ及びペプチダーゼを作用させトリペプチドVal-Pro-Pro及び/又はIle-Pro-Proを酵素処理法により得るトリペプチドの製造方法であって、前記プロテイナーゼが、乳カゼインに作用させた際に、配列表に記載された配列番号1〜27の少なくとも1つのペプチドを含む中間体ペプチドを生成する、パパイン、アスペルギルス(Aspergillus)由来のプロテイナーゼから選択される1種又は2種以上のプロテイナーゼを含み、前記ペプチダーゼが、アミノペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼ及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるペプチダーゼを含むことを特徴とするトリペプチドの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明のトリペプチドの製造方法は、血圧降下剤、抗ストレス剤等として有用なトリペプチドVal-Pro-Pro及びIle-Pro-Proを酵素処理法により、高い収率で安価に容易に製造することができ、工業的にも極めて価値が高い。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のトリペプチドの製造方法では、乳カゼインを含む材料に、特定のプロテイナーゼ及びペプチダーゼを作用させトリペプチドVal-Pro-Pro及び/又はIle-Pro-Proを得る。
前記乳カゼインを含む材料としては、トリペプチド含量・素材価格・工業化容易性等を考慮し、獣乳、脱脂乳、脱脂粉乳、乳カゼイン及びその加工品等の、βカゼイン及びκカゼイン等の乳カゼインを多く含む素材を適宜選択して用いることができる。
乳カゼインのうち、アミノ酸配列Val-Pro-Pro及びIle-Pro-Proを含むのは特にβカゼイン及びκカゼインであるので、前記乳カゼインを含む材料はこれらを含むものが好ましい。
【0013】
一般的な乳カゼイン中には、βカゼインは25〜30重量%、κカゼインは10〜15重量%含まれており、βカゼインのほうが多く含まれている。従って、本発明の製造方法においては、βカゼインを主たる基質源とすることができる。
【0014】
前記特定のプロテイナーゼは、乳カゼインに作用させた際に特定の中間体ペプチドを生成するプロテイナーゼである。
【0015】
前記特定の中間体ペプチドとは、配列表に記載された配列番号1〜27の少なくとも1つのペプチドを含むものであって、βカゼインの配列に含まれる配列を有するペプチドGln-Asn-Ile-Pro-Pro-Leu-Thr-Gln-Thr若しくはこのペプチドからアミノ末端あるいはカルボキシ末端のアミノ酸を1個づつ除いたIle-Pro-Proに至るまでのペプチドのうちいずれかのもの(下記配列番号1〜15)、又はβカゼインの配列に含まれる配列を有するペプチドVal-Val-Val-Pro-Pro-Phe-Leu-Gln若しくはこのペプチドからアミノ末端あるいはカルボキシ末端のアミノ酸を1個づつ除いたVal-Pro-Proに至るまでのペプチド(下記配列番号16〜27)を含むものである。
【0016】
Gln-Asn-Ile-Pro-Pro-Leu-Thr-Gln-Thr(配列番号1)
Asn-Ile-Pro-Pro-Leu-Thr-Gln-Thr(配列番号2)
Ile-Pro-Pro-Leu-Thr-Gln-Thr(配列番号3)
Gln-Asn-Ile-Pro-Pro-Leu-Thr-Gln(配列番号4)
Asn-Ile-Pro-Pro-Leu-Thr-Gln(配列番号5)
Ile-Pro-Pro-Leu-Thr-Gln(配列番号6)
Gln-Asn-Ile-Pro-Pro-Leu-Thr(配列番号7)
Asn-Ile-Pro-Pro-Leu-Thr(配列番号8)
Ile-Pro-Pro-Leu-Thr(配列番号9)
Gln-Asn-Ile-Pro-Pro-Leu(配列番号10)
Asn-Ile-Pro-Pro-Leu(配列番号11)
Ile-Pro-Pro-Leu(配列番号12)
Gln-Asn-Ile-Pro-Pro(配列番号13)
Asn-Ile-Pro-Pro(配列番号14)
Ile-Pro-Pro(配列番号15)
Val-Val-Val-Pro-Pro-Phe-Leu-Gln(配列番号16)
Val-Val-Pro-Pro-Phe-Leu-Gln(配列番号17)
Val-Pro-Pro-Phe-Leu-Gln(配列番号18)
Val-Val-Val-Pro-Pro-Phe-Leu(配列番号19)
Val-Val-Pro-Pro-Phe-Leu(配列番号20)
Val-Pro-Pro-Phe-Leu(配列番号21)
Val-Val-Val-Pro-Pro-Phe(配列番号22)
Val-Val-Pro-Pro-Phe(配列番号23)
Val-Pro-Pro-Phe(配列番号24)
Val-Val-Val-Pro-Pro(配列番号25)
Val-Val-Pro-Pro(配列番号26)
Val-Pro-Pro(配列番号27)
【0017】
前記プロテイナーゼとしては、具体的には例えば、パパイン、プロテアーゼA(天野製薬(株)製)、プロテアーゼM(天野製薬(株)製)、プロテアーゼP(天野製薬(株)製)、又はこれらの組み合わせ等を挙げることができる。
【0018】
前記ペプチダーゼとしては、カゼインを直接分解することができないが、前記プロテイナーゼにより生成した前記中間体ペプチドを分解し、トリペプチドVal-Pro-Pro及び/又はIle-Pro-Proを産生することができる各種のペプチダーゼを用いることができる。具体的には例えば、アミノペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼ等のエキソ型ペプチダーゼ、オリゴペプチダーゼ等のエンド型ペプチダーゼ、及びこれらの組み合わせ等を用いることができる。
【0019】
前記ペプチダーゼとしては、カルボキシペプチダーゼ及び/又はエンド型ペプチダーゼであって、配列Val-Pro-Pro-Xaa及び/又はIle-Pro-Pro-XaaにおけるProとXaaとの間の結合を切断するものを含むものを用いることが特に好ましい。より具体的には例えば、乳カゼインに含まれる配列Ile-Pro-Pro-Leu及び/又はVal-Pro-Pro-PheのPro-Leu及び/又はPro-Pheの結合を切断することができるものが好ましく、この結合に対する特異性を有するペプチダーゼを用いることがさらに好ましい。
【0020】
前記ペプチダーゼは、併せて用いる前記プロテイナーゼの基質特異性等に応じて適宜選択できる。例えば、プロテイナーゼの基質特異性によっては、アミノペプチダーゼ又はカルボキシペプチダーゼの何れかのみを用いてもよいが、一般には、アミノペプチダーゼ等のペプチドをN末端から切断するペプチダーゼと、カルボキシペプチダーゼ等のペプチドをC末端から切断するペプチダーゼ及び/又はオリゴペプチダーゼとを組み合わせて用いることが好ましい。具体的には例えば、プロテイナーゼとしてパパイン、プロテアーゼA(天野製薬(株)製)、プロテアーゼM(天野製薬(株)製)、プロテアーゼP(天野製薬(株)製)、又はこれらの混合物等を用いる場合は、ペプチダーゼとして、アミノペプチダーゼと、カルボキシペプチダーゼ及び/又はオリゴペプチダーゼとを併用することが好ましい。
【0021】
前記アミノペプチダーゼとしては、例えばストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)由来アミノペプチダーゼI(シグマ社製)、アエロモナス・プロテオリティカ(Aerononas proteolytica)由来アミノペプチダーゼ(シグマ社製)、ブタ腎臓細胞質由来ロイシンアミノペプチダーゼ、ブタ腎臓小胞体由来ロイシンアミノペプチダーゼ等を挙げることが出来る。
【0022】
前記カルボキシペプチダーゼとしては、カルボキシペプチダーゼY(シグマ社製)、カルボキシペプチダーゼA(シグマ社製)、カルボキシペプチダーゼB(シグマ社製)、カテプシンG(シグマ社製)等を挙げることができる。
【0023】
また、前記ペプチダーゼとしては、上に例示したものの他に、乳酸菌、大腸菌若しくは枯草菌等の微生物、又は動物組織若しくは植物由来の酵素を用いることが出来る。
【0024】
例えば、乳酸菌ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)由来のペプチダーゼを用いることができる。ラクトバチルス・ヘルベティカス由来のペプチダーゼは、例えば、乳酸菌ラクトバチルス・ヘルベティカスの培養液から菌体を遠心分離法等により集菌した後に、超音波処理等の細胞摩砕処理により菌体を破砕し、遠心分離を行い沈殿を除き上清を粗酵素抽出液として回収し、粗抽出液をDEAE-sepharose(ファルマシア社製)等の吸着分離カラムを用いて分画することにより、得ることができる。
【0025】
乳酸菌ラクトバチルス・ヘルベティカス由来のペプチダーゼは、他のペプチダーゼと組み合わせることなしに、前記中間体ペプチドへ作用させ、トリペプチドIle-Pro-Pro及び/又はVal-Pro-Proを高収率にて得ることができるが、更に他のアミノペプチダーゼ及び/又はカルボキシペプチダーゼ等のペプチダーゼを併用することもできる。
【0026】
前記プロテイナーゼ及び前記ペプチダーゼを前記乳カゼインを含む材料に作用させる工程は、前記乳カゼインを含む材料に前記プロテイナーゼを作用させた後に前記ペプチダーゼを作用させる二段階の分解、又は前記プロテイナーゼ及び前記ペプチダーゼを同時に作用させる一段階の分解により行うことができる。
【0027】
前記二段階の分解を行う場合、前記乳カゼインを含む材料に前記プロテイナーゼを作用させる一段階目の分解は、前記乳カゼインに対する前記プロテイナーゼの添加割合が1/100〜1/10000、pH及び温度がそれぞれ5〜9及び20〜40℃、好ましくはその酵素の至適pH及び至適温度にて、3〜24時間反応させて行うことが好ましい。
【0028】
前記二段階の分解を行う場合、前記一段階目の分解を行った後、得られた中間体ペプチドに前記ペプチダーゼを作用させる二段階目の分解を行う前に、必要に応じて、プロテイナーゼの不活化、未分解蛋白質の除去、中間体ペプチドの濃縮、溶媒の除去等の各種の操作を行うことができる。
【0029】
前記プロテイナーゼの不活化は、通常60℃〜100℃の加熱処理により行うことができる。このような不活化を行うことにより、続くペプチダーゼによる反応を効率的に行うことができる。
【0030】
前記未分解蛋白質の除去は、例えば回転数5,000から20,000回転/分において、3〜10分間遠心分離することにより沈殿物を除去することにより行える。
【0031】
前記中間体ペプチドの濃縮は、疎水性樹脂等を用いて行うことができる。例えば、疎水性樹脂として具体的には、プロピオニトリル基等のシアノ基を含む基、フェニル基、又は炭素数1〜18個のアルキル基等を結合したシリカ系樹脂、具体的には商品名「アンバーライトXAD-7」、「アンバーライトXAD-2」(いずれもオルガノ株式会社製)、Sep-Pakカートリッジ(ウォーターズ社製)等が使用できる。これらの疎水性樹脂は、カラム法又はバッチ法等により中間体ペプチドを吸着した後、例えばメタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、アセトニトリル等の極性溶媒等の溶媒を用いて溶出することにより、中間体ペプチドを濃縮し、次の酵素反応をより効率的に行うことができる。
前記溶媒の除去は、減圧濃縮処理等により行うことができる。
【0032】
前記一段階目の分解を行い、さらに必要に応じてプロテイナーゼの不活化、未分解蛋白質の除去、中間体ペプチドの濃縮、溶媒の除去等の各種の操作を行った後、前記ペプチダーゼを作用させる二段階目の分解を行うことができる。二段階目の分解は、pH 4.0〜7.0、更に好ましくは4.5〜6.5、温度25〜50℃、更に好ましくは30〜45℃とすることにより、好ましく行うことができる。また、ペプチダーゼとして複数の酵素を用いる場合、二段階目の分解を、さらに用いる酵素ごとに複数に分けて、それぞれの酵素の至適な条件における反応を行っても良い。
【0033】
前記プロテイナーゼ及び前記ペプチダーゼを前記乳カゼインを含む材料に作用させる工程を、前記プロテイナーゼ及び前記ペプチダーゼを同時に作用させる一段階の分解により行う場合、反応条件は、pH4.5〜7.0、温度25〜50℃で行うことができる。
【0034】
前記プロテイナーゼ及びペプチダーゼを作用させた後の反応混合物は、通常、トリペプチドVal-Pro-Pro及びIle-Pro-Proに加えて他のペプチド成分をも含む混合物となる。この反応混合物は、そのまま、又はトリペプチドVal-Pro-Pro及びIle-Pro-Proを濃縮精製することにより製品とすることができる。またトリペプチドVal-Pro-Pro及びIle-Pro-Proを、塩酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩等の工業上許容される塩を付加したトリペプチドとして、製品とすることもできる。
【0035】
本発明の製造方法により得られるトリペプチドを含む製品は、そのまま、又は他の食品用又は医薬用の材料と混合し、必要に応じて液体、粉末、顆粒状、錠剤等の形態とし、血圧降下作用及び抗ストレス作用を有する、ヨーグルト、乳性飲料等の乳製品、一般飲食品、特定保健用食品、健康食品、医薬品等とすることができる。
【実施例】
【0036】
以下本発明を実験例及び実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】
実験例1-1〜1-21
(中間体ペプチドからトリペプチドIle-Pro-Pro及びVal-Pro-Proを生成するペプチダーゼ製剤の選択及び至適反応条件の検討)
βカゼインのアミノ酸配列に基づいた合成ペプチドであって、アミノ酸配列中にIle-Pro-Pro及びVal-Pro-Proを含み、その他の部位にProのないものを化学合成した(表1)。これらの合成ペプチドは、全て自動ペプチド合成機PPSM-8(島津製作所)により合成した。
【0038】
これらの合成ペプチドに対する市販の各種ペプチダーゼ製剤の酵素反応性を調べた(表1)。合成ペプチドを、実験例1-1〜1-4、1-10〜1-12、1-16及び1-21については100mMリン酸緩衝液pH5.3に、他の実験例では50mMトリス塩酸pH8.0に、10μg/mlとなるよう溶解した。これに各種ペプチダーゼ製剤を0.01μg/mlとなるように添加して37℃、3時間反応した。酵素反応後に、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分析し、溶出時間11.0分に検出されるトリペプチドVal-Pro-Proに由来するピーク及び13.7分に検出されるトリペプチドIle-Pro-Proに由来するピークを分析した。検出されたピークは分取して、自動ペプチド分析機型式PPSQ-10 (島津製作所)にてアミノ酸配列分析を行い、分取ピーク中のペプチドのアミノ酸配列がIle-Pro-Pro又はVal-Pro-Proであることを確認した。HPLC分析条件は以下の通りとした。
ポンプ: L6200インテリジェントポンプ(日立製作所製)L6000ポンプ(日立製作所製)
検出器: L4000UV検出器(日立製作所製)
カラム:マイクロボンダスフェアー、5μC18(Φ3.9x150mm) (ウォーターズ社製)
溶出液: A液; 0.1重量%トリフルオロ酢酸(TFA)水溶液
B液; 0.1重量%TFA含有アセトニトリル
溶出条件:B液0% (A液100%)からB液40% (A液60%)の直線濃度勾配溶出(40分)
流速: 1ml/分
【0039】
【表1】


【0040】
なお、表1中の酵素の略号は、それぞれ以下の酵素を示す。
A:アミノペプチダーゼ(シグマ社製)
LC:ロイシンアミノペプチダーゼ、サイトゾール(ブタ腎臓細胞質由来アミノペプチダーゼ、シグマ社製)
LM:ロイシンアミノペプチダーゼ、ミクロゾーマル(ブタ腎臓小胞体由来アミノペプチダーゼ、シグマ社製)
I:アミノペプチダーゼI(シグマ社製)
Y:カルボキシペプチダーゼY(シグマ社製)
B:カルボキシペプチダーゼB(シグマ社製)
A:カルボキシペプチダーゼA(シグマ社製)
G:カテプシンG(シグマ社製)
表1に示される通り、いずれのアミノペプチダーゼも、アミノ末端のアミノ酸を、Pro残基のアミノ酸1残基の手前の配列まで分解除去しうることが認められた。また、カルボキシペプチダーゼとしてカルボキシペプチダーゼYをpH5.3で作用させた場合、-Pro-Pro-LeuのPro-Leuの結合及び-Pro-Pro-PheのPro-Pheの結合を、特に良好に分解しうることが認められた。
【0041】
より長いペプチドであるGln-Asn-Ile-Pro-Pro-Leu-Thr-Gln-Thr及びVal-Val-Val-Pro-Pro-Phe-Leu-Glnを用いて、アミノペプチダーゼとカルボキシペプチダーゼYで酵素処理を行った場合(実験例1-11及び1-21)も、トリペプチドIle-Pro-ProとVal-Pro-Proの生成が確認された。すなわち、配列Ile-Pro-Pro-又はVal-Pro-Proを内部配列に含み、それ以外にはProを含まないカゼイン配列を持つペプチドにアミノペプチダーゼとカルボキシペプチダーゼを併用して作用させることにより、トリペプチドIle-Pro-Pro及び/又はVal-Pro-Proが生成されることが示された。
【0042】
実験例2
(プロテイナーゼによる中間体ペプチドの生成)
カゼイン配列のなかでIle-Pro-Pro及びVal-Pro-Proの配列を含む28アミノ酸からなる合成ペプチドを自動ペプチド合成機型式PPSQ-10により化学合成した。合成ペプチドの配列は以下のとおりとした。
Leu Pro Gln Asn Ile Pro Pro Leu Thr Gln Thr Pro Val Val Val Pro Pro PheLeu Gln Pro Glu Val Met Gly Val Ser Lys (配列番号28)
この合成ペプチドに市販の各種プロテイナーゼ製剤を作用させ、配列Ile-Pro-Pro又はVal-Pro-Proをペプチドのアミノ酸配列に含み、その他の部位にPro残基を含まない短鎖ペプチドを生成するプロテイナーゼを探索した。
【0043】
反応は上記合成ペプチド10μg/ml(100mMリン酸緩衝液、pH6.1)に各種酵素を0.1μg/mlとなるように添加し、37℃、5時間反応させ、反応液を得た。反応液を逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分析して、検出されたペプチドのピークを分取し、アミノ酸配列を自動ペプチド分析機型式PPSQ-10にて分析した。
【0044】
その結果、パパイン(シグマ社)を用いた場合に、配列Val-Pro-Proを含むペプチドとしてVal-Pro-Pro-Phe-Leuが、また配列Ile-Pro-Proを含むペプチドとしてAsn-Ile-Pro-Pro-Leu-Thr及びIle-Pro-Pro-Leu-Thrが反応液中に生成されていることが確認された。
【0045】
実験例3
(ペプチダーゼによるペプチド中間体の処理反応)
実験例2において、プロテイナーゼとしてパパインを用いて得られた反応液を100℃で5分間加熱処理することにより、プロテイナーゼを不活化処理した。その後、アミノペプチダーゼA(シグマ社製)を0.1μg/mlとなるように添加し、37℃にて3時間反応した。反応終了後に、1N塩酸を添加してpH5.3に調製し、カルボキシペプチダーゼYを0.1μg/m1となるように添加後、37℃にて10時間反応させた。得られた反応液を実験例1と同様の条件にて逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分析した結果、トリペプチドVal-Pro-Pro及びIle-Pro-Proと思われるペプチドピークが検出されたので、検出ピークを分取し、アミノ酸配列を自動ペプチド分析機PPSQ-10にて行い、トリペプチドIle-Pro-Pro及びVal-Pro-Proであることを確認した。
【0046】
実験例4
(中間体ペプチドからトリペプチドIle-Pro-Pro及びVal-Pro-Proを生成する乳酸菌ペプチダーゼのスクリーニング)
乳酸菌ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)に含まれる各種のペプチダーゼ中から、本発明の方法に用いることができるものを、以下に述べる方法によりスクリーニングした。
(ラクトバチルス・ヘルベティカス酵素の抽出、分画)9重量%の脱脂粉乳を含む乳培地に乳酸菌ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)CM4株(特許微生物寄託センター 寄託番号:FERM BP-6060)を接種して、37℃、24時間培養した。この培養物を、新しい9重量%の乳培地500mlに5重量%接種し、pHを6.5に維持しながら37℃でpHスタット培養を行った。スタット培養開始から5時間後に、クエン酸ナトリウムを終濃度2重量%となるように添加し、室温にて30分間撹祥した。培養液が透明化されたことを確認し、5,000gで10分間の遠心分離を行い菌体を回収した。50mMリン酸緩衝液、150mM NaCl、pH6.8で2回洗浄後、20mlの50mMトリス塩酸、pH8.0に懸濁し、超音波破砕機(メーカー大嶽製作所、型式5203)にて菌体を破砕した。15,000gで10分間の遠心分離を行い沈殿を除き上清を粗抽出液として回収した。粗抽出液5mlを予め上記トリス緩衝液にて平衡化したDEAE-sepharose(ファルマシア社製)1mlに通し、5mlのトリス緩衝液にてカラムを洗浄後、順次50mM、100mM、150mM、200mM、300mM及び500mMのNaClを含む3mlのトリス緩衝液にて洗浄・分画し、表2に示す6つの画分(画分1〜6)を得た。
(中間体ペプチドの切断)
中間体ペプチドVal-Pro-Pro-Phe-Leuを化学合成した。100mMリン酸緩衝液(pH6.1)にこの合成ペプチドを10μg/mlとなるように溶解した。この溶液と、上記画分1〜6のいずれかを、容量比9:1となるよう混合し、37℃で30分間反応させた。反応終了後に、反応液を逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分析し、トリペプチドVal-Pro-Proの生成を確認した。トリペプチドVal-Pro-Pro生成量は、HPLC溶出時間11.0分に検出されるトリペプチドVal-Pro-Proに由来するペプチドピークの高さ(mm)と溶出液量(ml)を乗じて相対的単位として求めた。結果を表2に示す。
【0047】
【表2】


【0048】
その結果、画分2〜5を用いて反応させた液の分析において、トリペプチドVal-Pro-Proを生成するペプチダーゼ活性を有するペプチドのピークが認められた。これらの画分には、ペプチドVal-Pro-Pro-Phe-LeuからトリペプチドVal-Pro-Proを生成する反応に関与するエンド型ペプチダーゼが含まれており、特に、画分4には、約0.01μgのエンド型ペプチダーゼが含まれていた。
【0049】
次に、最もペプチダーゼ活性が強かった画分4について、他の化学合成した各種の合成中間体ペプチドを基質として用い、上と同様に反応させ、反応液をHPLC分析し、トリペプチドIle-Pro-Pro又はVal-Pro-Proの生成を確認した。その結果、ペプチドVal-Pro-Pro-Phe-Leu及びVal-Pro-Pro-Phe-Leu-GlnからトリペプチドVal-Pro-Proが生成されることが確認された。また、ペプチドIle-Pro-Pro-Leu-Thr-Gln-Thr及びIle-Pro-Pro-Leu-ThrからトリペプチドIle-Pro-Proの生成が確認された(表3)。
【0050】
【表3】


【0051】
実験例5
(プロテイナーゼとヘルベティカス由来ペプチダーゼ酵素との組み合わせによるトリペプチドIle-Pro-Pro及びVal-Pro-Proの生成)
実験例2で使用したアミノ酸28個から成る合成ペプチド10μg/ml(100mMリン酸緩衝液、pH6.1)に、表4に示す食品加工用の市販プロテイナーゼ酵素をそれぞれ0.1μg/mlとなるように添加し、37℃で5時間反応させた。反応終了後に、反応液を100℃で5分間加熱してプロテイナーゼの不活化処理を行った後に、実験例4で得た画分4と反応させ、HPLC分析にてトリペプチドIle-Pro-Pro又はVal-Pro-Proの生成を分析した。各反応液中のトリペプチド生成の有無を表4に示す。
【0052】


【表4】


【0053】
その結果、プロテイナーゼとして、パパインの他に、プロテアーゼA(Aspergillus oryzae起源、天野製薬(株)製)、プロテアーゼM(Aspergillus oryzae起源、天野製薬(株)製)、プロテアーゼP(Aspergillus melleus起源、天野製薬(株)製)を作用させた場合、実験例4で得た画分4との二段階反応を行うことにより、トリペプチドIle-Pro-Pro及びVal-Pro-Proの生成が確認できた。その他のプロテイナーゼを用いた場合は、トリペプチドIle-Pro-Pro及びVal-Pro-Proの生成は認められなかった。
【0054】
実施例1
(カゼインからのトリペプチドVal-Pro-Pro及びIle-Pro-Proの生成-1)
カゼイン(サンラクトS、太陽化学(株)製) 50mgを50mMリン酸緩衝液(pH6.5) 10mlに溶解し、パパイン(シグマ社製) 0.2mgを添加し、37℃で12時間反応させた。反応終了液を100℃で3分間熱処理後、急冷し酵素を失活させた。Sep-pak C18カートリッジ(ウォーターズ社)に反応終了液10mlを通した後に、30容量%アセトニトリル5mlで吸着ペプチドを溶出した。溶出ペプチド画分からアセトニトリルを留去乾燥後、1mlの50mMトリス塩酸(pH8.0)に溶解し、アミノペプチダーゼI(天野製薬(株)製)、カルボキシペプチダーゼY(天野製薬(株)製)をそれぞれ0.1μg/mlの濃度で加え37℃で12時間反応させた。反応終了液中に含まれるトリペプチドVal-Pro-Pro及びIle-Pro-Proを定量するために以下のHPLCによる方法にて分析した。
(HPLCによるVal-Pro-Pro及びIle-Pro-Proの定量法)
サンプルをHPLCの溶離液(0.3M NaCl、0.05重量% TFA水溶液)にて順次希釈し、合成ペプチドをスタンダードとして用いてトリペプチドIle-Pro-Pro及びVal-Pro-Proに相当するピークの高さを測定することで定量分析した。
【0055】
定量分析のためのHPLC分析条件は、以下の通りとした。
使用機種:日立 L4000 UVディテクター(215nm)L6200インテリジェントポンプ。
L5030カラムオーヴン(35℃)
分離条件:流速;0.5ml/min
溶離液:0.3M NaCl, 0.05重量% TFA水溶液
カラム: Asahipak GS320 (Φ3.9x600mm) (昭和電工(株)製)
その結果、反応終了液中には、カゼイン50mgあたり50μgのトリペプチドVal-Pro-Proと50μgのトリペプチドIle-Pro-Proが含まれていることが分かった。カゼインにはVal-Pro-ProとIle-Pro-Proの配列が主にβカゼインに1つづつ存在し、それらの配列から100%の効率でトリペプチドIle-Pro-Pro及びVal-Pro-Proが生産されたとするとその理論値はカゼイン1gあたり約4mgであることから、この理論値に対する本実験の回収率は
回収率=(実測値/理論値)x100(%)
Val-Pro-Pro=0.05mg/(4mgx50mg/1000mg)x100(%)=25%
Ile-Pro-Pro=0.05mg/(4mgx50mg/1000mg)x100(%)=25%であった。
【0056】
実施例2
(カゼインからのトリペプチドVal-Pro-Pro及びIle-Pro-Proの生成-2)
カゼイン(サンラクトS、太陽化学(株)製)50mgを50mMリン酸緩衝液(pH 6.5)10mlに溶解し、パパイン(シグマ社製)0.2mgを添加し、37℃で12時間反応させた。反応終了液を100℃で3分間熱処理後、急冷し酵素を失活させた。Sep-pak C18カートリッジ(ウォーターズ社)に反応終了液10mlを通した後に、30容量%アセトニトリル5mlで吸着ペプチドを溶出した。溶出ペプチド画分からアセトニトリルを留去乾燥後、実験例4で得たラクトバチルス・ヘルベティカス抽出精製酵素画分(画分4)を1ml添加し、37℃で12時間反応させた。反応終了液中には、カゼイン50mgあたりトリペプチドVal-Pro-Pro 50μg(回収率25%)及びトリペプチドIle-Pro-Pro 195μg(回収率97.5%)が含まれていた。
【0057】
実施例3
(カゼインからのトリペプチドVal-Pro-Pro及びIle-Pro-Proの生成-3)
カゼイン(サンラクトS、太陽化学(株)製)50mgを50mMリン酸緩衝液(pH 6.5)10mlに溶解し、パパイン(シグマ社製) 0.2mgを添加し、37℃で12時間反応させた。反応終了液を100℃で3分間熱処理後、急冷し酵素を失活させた。実験例4で得たラクトバチルス・ヘルベティカス抽出精製酵素画分(画分4)を1ml添加し、37℃で12時間反応させた。反応終了液中には、カゼイン50mgあたりトリペプチドVal-Pro-Pro 50μg(回収率25%)及びトリペプチドIle-Pro-Pro50μg(回収率25%)が含まれていた。
【0058】
実施例4〜6
(カゼインからのトリペプチドVal-Pro-Pro及びIle-Pro-Proの生成-4)
カゼイン(サンラクトS、太陽化学(株)製)150mgを50mMリン酸緩衝液(pH 6.5)30mlに溶解した後、10mlづつに分けた。これらに、それぞれプロテアーゼA(実施例4)、プロテアーゼM(実施例5)又はプロテアーゼP(実施例6)(いずれも商品名、天野製薬(株)製)のいずれかを0.2mg添加し、37℃で12時間反応させた。反応終了液を100℃で3分間熱処理後、急冷し酵素を失活させた。実験例4で得たラクトバチルス・ヘルベティカス抽出精製酵素画分(画分4)を1ml添加し、37℃で12時間反応させた。反応終了液中の、カゼイン50mgあたりのトリペプチドVal-Pro-Pro及びIle-Pro-Proの含有割合は、実施例4ではそれぞれ40μg(回収率20%)及び45μg(回収率22.5%)であり、実施例5では37μg(回収率18.5%)及び50μg(回収率25%)であり、実施例6では42μg(回収率21%)及び45μg(回収率22.5%)であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳カゼインを含む材料に、プロテイナーゼ及びペプチダーゼを作用させトリペプチドVal-Pro-Pro及び/又はIle-Pro-Proを酵素処理法により得るトリペプチドの製造方法であって、
前記プロテイナーゼが、乳カゼインに作用させた際に、配列表に記載された配列番号1〜27の少なくとも1つのペプチドを含む中間体ペプチドを生成する、パパイン、アスペルギルス(Aspergillus)由来のプロテイナーゼから選択される1種又は2種以上のプロテイナーゼを含み、前記ペプチダーゼが、アミノペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼ及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるペプチダーゼを含むことを特徴とするトリペプチドの製造方法。
【請求項2】
前記ペプチダーゼが、カルボキシペプチダーゼであって、配列Val-Pro-Pro-Xaa及び/又はIle-Pro-Pro-Xaa(Xaaは任意のアミノ酸を示す)におけるProとXaaとの間の結合を切断するものを含むことを特徴とする請求項1記載のトリペプチドの製造方法。
【請求項3】
前記ペプチダーゼが、乳酸菌ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)生菌体由来のペプチダーゼを含むことを特徴とする請求項1又は2記載のトリペプチドの製造方法。
【請求項4】
前記乳カゼインを含む材料に前記プロテイナーゼを作用させ、得られた中間体ペプチドを疎水性樹脂により濃縮し、次いで前記ペプチダーゼを作用させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のトリペプチドの製造方法。

【公開番号】特開2010−183918(P2010−183918A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126322(P2010−126322)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【分割の表示】特願平11−321084の分割
【原出願日】平成11年11月11日(1999.11.11)
【出願人】(000104353)カルピス株式会社 (35)
【Fターム(参考)】