説明

トルク伝達装置

【目的】 押圧板と対応押圧板とを有するトルク伝達装置において、トルク伝達装置の部分を簡単にかつ経済的に製作すること。
【構成】 押圧板又は対応押圧板が打抜き部分として構成されているか又は鍛造部分として構成されていること。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はトルク伝達装置、例えば摩擦クラッチであって、押圧板と対応押圧板とを有し、この場合、この押圧板と対応押圧板との間にクラッチ円板が蓄力器の作用を受けて軸方向に締込まれている形式のものに関する。
【0002】
【従来の技術】前記形式の摩擦クラッチ、例えば自動車の駆動系に変速伝動装置の伝達比を変化させるために設けられ、内燃機関の出力軸と伝動装置入力軸とが分離される摩擦クラッチは、例えばDE−AS2758366号によれば皿ばねで作動されるクラッチとしてかつUS−PS2217078号によればレバーで作動されるクラッチとして公知である。
【0003】
【発明の課題】前記形式のトルク伝動装置の部分を簡単にかつ経済的な形式で製作できるようにし、これによって製造費用に良い影響を及ぼし、このようなトルク伝動装置の維持性及び寿命を高めることである。
【0004】
【課題を解決する手段】本発明の課題は部分の少なくとも1つ、押圧板又は対応押圧板が内実の打抜き部分として構成され、押圧板が内実変形によって一体成形されるかこれに固定されたトルク伝達手段を有していることによって解決された。この場合には対応押圧板が打抜かれかつ加工された又は内実変形されたトルク伝達手段を有していると有利である。
【0005】本発明の別の基本思想はトルク伝達装置、例えば摩擦クラッチであって、押圧板と対応押圧板とを有し、この場合、この押圧板と対応押圧板との間にクラッチ円板が蓄力器の作用を受けて軸方向に締込まれている形式のものにおいて、少なくとも1つの部分、押圧板又は対応押圧板を鍛造部分として構成することである。
【0006】特に有利であるのは、押圧板及び(又は)対応押圧板が乾式摩擦のクラッチの構成部分であることである。
【0007】本発明の別の基本思想によれば、内燃機関に固定可能な第1のはずみ質量体と、摩擦クラッチを介して伝動装置に接続・遮断可能な第2のはずみ質量体とを有し、これらのはずみ質量体が転がり軸受を介して互いに相対回動可能に支承されており、はずみ質量体の間に緩衝装置が設けられており、クラッチ円板が摩擦クラッチの押圧板と対応押圧板との間に締込まれているトルク伝達装置において、押圧板及び(又は)対応押圧板が請求項1から4までの1つに従って構成されていることを特徴とすることができる。
【0008】全体的には鍛造又は打抜き部分が圧刻された範囲を有し、この場合、圧刻された範囲がトルク伝達に役立つようになっていることが合目的的であることが証明されている。有利な1実施例においては鍛造又は打抜き部分が打抜かれた切欠きを有し、この場合、この切欠きが固定部材又は工具又はその両方の受容部又は貫通部として構成されていると有利である。さらに切欠きは通気開口として用いることもできる。
【0009】特に有利であるのは、押圧板が打抜かれていてもよい、圧刻された固定範囲を離反行程部材又はトルク伝達部材のために有していることである。この場合、例えば板ばね部材が同時に離反行程作用とトルク伝達作用を充たすことができる。したがって特に有利であるのは押圧板が板ばね部材を介してクラッチカバー又はクラッチケーシングと結合されていることである。
【0010】有利な実施例においては、押圧板が蓄力器のための負荷範囲を有している。この場合には蓄力器が皿ばねとして形成されていると合目的的である。特に有利であるのは皿ばねが圧刻された転動支持部を有し、該転動支持部が押圧板と協働することである。この場合には押圧板に転動支持部を設けておくこともできる。
【0011】特に有利であるのは対応押圧板がクラッチケーシングと結合するための装置を有していることである。この場合には、この結合装置が半径方向又は軸方向の支持面又はこれらの組合せを有していることが合目的的である。構成部分の熱的な負荷を軽減させるためには、対応押圧板が半径方向外方に打抜かれた通気開口を有していることが特に有利である。
【0012】本発明の特に有利な応用は、対応押圧板がツウマスはずみ車の2次円板である場合である。この場合にはこの対応押圧板は有利な形式で半径方向外方に蓄力器のための負荷範囲を有していることができる。特に有利であることは前記負荷範囲を対応押圧板と一体に例えば負荷範囲が圧刻されることによって構成することである。負荷範囲は半径方向に延びる面を有していると有利である。この場合、負荷範囲はクラッチカバーの半径方向外側に配置することが有利である。有利には蓄力器の負荷範囲は周方向に配置することができる。
【0013】本発明のトルク伝達装置の特に有利な構成によれば、蓄力器はツウマスはずみ車の一次はずみ質量体の区分を関与させて形成されている中空室により取囲まれている。このような配置においては蓄力器は少なくとも遠心力の作用を受けて、半径方向外方で支持される。この場合に特に有利であるのは、蓄力器と半径方向外方にあるその支持範囲との間に摩耗防止手段が取付けられていることである。
【0014】さらに有利であることはクラッチカバーが対応押圧板と結合されていることである。シールダイヤフラムも有利な形式で対応押圧板と結合されていることができる。構造的な構想に応じてシールダイヤフラムはクラッチカバーと結合されていてもよい。このシールダイヤフラムは半径方向内方に位置する範囲で軸方向に弾性的に一次はずみ質量体に接触していると有利である。この場合、有利な1実施例においてはシールダイヤフラムは摩擦装置の1部として構成されている。
【0015】本発明の有利な1実施例においてはクラッチカバー、対応押圧板及びシールダイヤフラム又はこれらの1つ又はこれらの若干のものの間の結合は周方向で形状接続によって形成されている。この場合には前記部分は部分的な軸方向のオーバラップを伴って同軸的に配置されると有利である。さらに有利であることは、前記部分、クラッチカバー、シールダイヤフラム及び対応押圧板の少なくとも2つが互いに溶接されていることである。この場合には前記部分のすべてを溶接することが合目的的である。この場合に特に有利であるのは前記部分が唯一の溶接過程で結合されることである。何故ならばこれによって例えば前記部分は互いに正確に軸方向で位置決めされるからである。有利な実施例では前記部分はレザー溶接法を用いて結合されている。溶接結合は前記部分が周方向で見て互いに間隔をおいたセグメントで溶接されて行われていると有利である。特に有利であることは溶接が半径方向外方で行われることである。
【0016】
【実施例】図1には分割されたはずみ車1が示されている。このはずみ車1は図示されていない内燃機関のクラッチ軸に固定可能な第1又は一次はずみ質量体2及び本発明に応じて形成された第2又は二次はずみ質量体3を有している。この第2のはずみ質量体3の上には同様に本発明に従って構成された摩擦クラッチ4がクラッチ円板5を介して固定されている。このクラッチ円板5を介して同様に図示されていない伝動装置が接続・遮断される。この場合にはこのクラッチ円板5は剛性に構成されており、単に1例であるに過ぎない。したがってこのクラッチ円板5は例えば緩衝及び(又は)摩擦部材を有するか又は負荷ばね装置をも備えている別の構造形態を有していることもできる。さらに図示のリベット止めはボスフランジからの材料を関与させて直接的に行うこともできる。
【0017】はずみ質量体2と3は軸受6を介して互いに相対回動可能に支承されている。この軸受6はこの実施例の構成では第1のはずみ質量体2を内燃機関の出力軸に取付けるための固定ねじ8を通すための孔7の、半径方向内方に配置されている。この実施例で示された単列の球軸受6は潤滑剤蓄え室を有するシールキャップ6aを有している。この場合、シールキャップ6aは発生する熱ブリッヂを中断することにより、両方のはずみ質量体の間の断熱部材としても用いることができる。両方のはずみ質量体2と3との間にはトルソ状の範囲12を形成するリング状の室11内に配置されたコイル圧縮ばね10を有する緩衝装置9が有効である。この場合、リング状の室11は少なくとも部分的に粘性の媒体、例えばオイル又はグリースで充たされている。
【0018】一次はずみ質量体2は主として、薄板材料から製造されるか又は深絞りされる1つの構成部分13により形成されている。この構成部分13は第1のはずみ質量体2もしくは分割されたはずみ車1全体を内燃機関の出力軸に固定するために役立ち、半径方向外方の範囲にリング状の室11を保持している。さらに構成部分13はほぼ半径方向に延びるフランジ状の範囲14を有し、該範囲14は半径方向内方に、一体成形された軸方向の付加部15を保持している。該付加部15は固定ねじ8を受容する孔又は切欠き7で取囲まれている。軸受装置6の単列の転がり軸受は内レース16で軸方向の付加部15の端区分における外側の支持肩の上に受容されている。軸受装置6の転がり軸受の外レース17はほぼ平らな円板状の部体として構成された第2のはずみ質量体3を保持している。このためにはずみ質量体3は中央に切欠きを有している。この切欠きは転がり軸受6をシールキャップ6aと一緒に受容するために適している。
【0019】ほぼ半径方向に延びる範囲14は半径方向外方で、内燃機関側から離れて延びる範囲18に移行している。該範囲18は蓄力器10をその外周において少なくとも部分的に周囲から掴みかつ案内又は支持する。薄板体13の半径方向外方へ延びる区分はコイル圧縮ばね10の軸方向に延びる外側の区分を少なくとも部分的に上から掴み、リング状の室11もしくはそのトルソ状の範囲を半径方向外方へ制限している。薄板体13は、内燃機関とは反対の端部に、同様に薄板から形成された部体19を保持している。該部体19はほぼ半径方向に延びかつ軸方向の変形部を有しかつ同様にリング状の室11又はそのトルソ状の範囲12を形成又は制限するために役立つ。この薄板体19も同様に部分的に蓄力器10の周囲を囲んでいる。図示の実施例では前記範囲18はほぼ半径方向に延びる部体19よりも、蓄力器10の軸方向の延びの大きな部分に亙って延びている。部体19は薄板体13と溶接ビード20を介して結合され、ほぼ半径方向内方へ延びる区分もしくは壁19aを有している。該区分もしくは壁19はこの場合には、半径方向に対して軽い傾斜を有している。部体19と薄板体13の範囲18とによって形成されたトルソ状の範囲12は周方向で見て蓄力器10が設けられている個々の切欠き内に分割されている。これらの個々の切欠きの間には周方向で見て互いに、蓄力器10の負荷範囲により間隔が保たれている。これらの負荷範囲は薄板部分13及び部体19に圧刻された軸方向の変形又はポケットによって形成することができる。ばね10の受容部は薄板部分18と19に設けられた膨出部によって形成することができる。
【0020】第2のはずみ質量体3に設けられた蓄力器10の負荷範囲21は、二次はずみ質量体3に固定された少なくとも1つの負荷部材22によって形成されている。この負荷部材22は蓄力器10とはずみ質量体3との間のトルク伝達部材として役立つ。負荷部材22はばねの配置に応じて外周に分配されて配置された半径方向の張出し部21を有している。この張出し部21は足範囲23で二次はずみ質量体3と一体に構成され、そこから半径方向外方へ、蓄力器10の間を延び、はずみ車1の静止状態で、すなわち、トルクが伝達されないと、軸方向で薄板部分13における負荷範囲もしくはポケットと部体19との間に位置する。もちろん負荷部材22は別個の部分によって形成することができるが、二次はずみ質量体3が鍛造又は打抜き部分として構成されている本発明の構成では、この負荷範囲をはずみ質量体と一体に構成することが特に有利である。なぜならばこの場合にはこの負荷範囲は1つの圧刻過程ではずみ質量体3の材料から形成でき、その根元範囲に問題になる結合個所、例えば溶接ビード又はリベット結合を有する必要がなくなるからである。圧刻の材料流れ過程において発生し得る材料強度の上昇によって、負荷部材22の根元範囲23において高い機能性及び耐久度が達成される。
【0021】しかしながら負荷部材22の張出し部21は、この負荷部材22をまず全材料厚さでかつ張出し部21の範囲における半径方向の過剰寸法で打抜き、別の後続作業で半径方向にも、少なくとも片側から軸方向にも切削加工し、最終的な外形を与える製造方法を用いて製作することもできる。この切削加工は例えばはずみ質量体の摩擦面を旋削することと関連して行うことができる。鋼、有利にはパーライトが球状のセメントタイトに混入するように焼かれる、精密打抜き可能な鋼から製造された二次はずみ質量体3と一体に構成された蓄力器10のための張出し部21は焼入れ、有利には誘導焼入れすることができる。
【0022】二次はずみ質量体3の熱の導出もしくは冷却を改善するためにははずみ質量体3の、摩擦面3aとは反対側の表面は拡大しておくこともできる。面の拡大のためにははずみ円板の背面側に、例えば寸法調整過程においてひし形模様又はそれに類似したものを圧刻することができる。さらに螺旋状の凹部を機械的な加工によって設けるか又は円形リングフライスを用いて多重の偏心的な凹部を設け、冷却作用を改善することができる。
【0023】部分的に粘性の媒体で充たされたリング状の室11をシールするためには2つのシール部材24と25が設けられている。図示の実施例においてはシール部材24はダイヤフラム状に構成されておりかつ一体に製作されている。シール部材24はそれに一体成形された、内燃機関から遠ざかった軸方向の範囲で、負荷部材22の根元範囲23においてセンタリングされて保持されかつそこから半径方向内方へ、構成部分13の半径方向に延びる範囲14と二次はずみ質量体3の摩擦面3aとは反対側の面とによって制限された軸方向の中間室内へ延びている。シール部材24は半径方向の延びの大部分に亙って平らで、内側の直径においてのみ、軸方向の変形部又は内燃機関に向かう鉢形部を有している。シール部材24はこの変形部又は鉢形部で軸方向に弾性的に一次はずみ質量体2の薄板成形体13に接触している。図示の実施例ではシール部材24は半径方向できわめて遠く内方へ、固定ねじ8の外側輪郭によって半径方向外方へ制限されている範囲まで、延びている。しかし、シール部材24の弾性的な接触は他の範囲、例えば半径方向でさらに外側にある位置で行うこともできる。さらに一次はずみ質量体2はフランジ範囲の半径方向の延長部における半径方向外側の範囲で、始動歯環26を保持している。この始動歯環26は一次はずみ質量体2の上に収縮嵌めされるか溶接される又はその他の形式で第1のはずみ質量体2と不動に固定されていることができる。
【0024】第2のシール装置25は2部分から構成され、主としてほぼL字形の横断面を有する構成部分27と軸方向に弾性的な部材、例えば皿ばね28とから成っている。皿ばね28は半径方向外側の範囲で、薄板体19の壁19aの、トルソ状の範囲12に面した側に支えられ、半径方向内方の範囲でシール構成部分27を内燃機関に向かって負荷している。この構成部分27は既に述べたようにほぼL字形の横断面を有している。この場合、Lの開放角は有利には90°よりも小さく、構成部分27の軸方向で内燃機関に向かって延びる範囲又は脚部で、半径方向で、すなわち互いに協働する直径に関して、摩擦クラッチ4のクラッチカバー30の軸方向に延びる範囲29に適合させられかつこれによって保持されている。このシールは第1のはずみ質量体の内室が部分的にしか粘性の媒体、例えばペースト状の媒体、例えば潤滑グリース又はそれに類似したもので充たされていないので、実施においては汚れの侵入に対するある程度のシール作用だけを発揮し、きわめて稀な場合に、すなわちグリースが液状になっていて付加的に半径方向でシール縁部まで達した場合に、グリースが外へ流出することに対するある程度のシールを保証するだけで十分である。
【0025】クラッチ4とクラッチ円板5とから成るクラッチ装置と協働して、ツウマスはずみ車1は前もって組立てられ、発送され、ストックされ、内燃機関のクランク軸にきわめて簡単でかつ経済的な形式で取付けることのできる構成ユニットを形成する。何故ならば前記構成によって種々の作業過程、例えばいままで必要であったクラッチ円板のセンタリング過程、クラッチ円板を挿入する作業過程、クラッチの装着、センタリングマンドレルの導入、クラッチ円板自体のセンタリング並びに場合によってはねじの差込み並びにクラッチのねじ固定及びセンタリングマンドレルの取出しが省略されるからである。
【0026】前記構成ユニットはすでに統合されて、第1のはずみ質量体又は一次はずみ質量体2に設けられかつこれと一体に構成された軸方向の付加部15の上に位置せしめられた軸受6を有している。さらにフランジ範囲14の孔には固定ねじ8がすでに前もって取付けられるかもしくは保持される。この場合には有利には内6角ねじ又はインボスねじを使用することが有利である。この場合、ねじ8はこの位置で紛失しないように、例えば可撓性の手段(例えば図5と図6に示されたような)によってユニットに保持される。この場合、この可撓性の手段は、その保持力がねじ8を締める場合に克服されるように設定されている。クラッチ円板5はクランク軸の回転軸線に対してあらかじめセンタリングされた位置で押圧板31と二次はずみ質量体3の摩擦面3aとの間に締込まれかつそのうえクラッチ円板5に設けられた開口32が、装置もしくは構成ユニットを内燃機関の出力軸に固定する場合にねじ締め工具を通すことのできる位置に位置するように配置されている。さらに、図示の実施例においては開口32はねじ8のヘッド33よりは小さく、これによって申し分のない、紛失することのないねじ8の保持が装置内において保証される。
【0027】皿ばね34においてもその舌状部34aの範囲に切欠きもしくは開口35がねじ締め工具を通すために設けられている。この場合、切欠き35は舌状部34aの間にあるスリットの拡幅部又は拡大部が形成することができる。クラッチ円板5,36における開口32、皿ばね34における開口35、はずみ質量体3における開口36は互いに軸方向で重なり合い、軸方向に整合する配置で、ねじ8を締め、ひいては装置を内燃機関のクランク軸に固定するために組立工具を通すことを可能にする。
【0028】選ばれた実施例においてはクラッチ4が押し型クラッチとして示されているが、本発明はこの構造形式に限定されるものではなく、引張り型のクラッチにも同様に応用できる。皿ばね34を介して作動可能なクラッチ4はクラッチカバー30に、一方ではカバー側に旋回支承部37を有し、カバーとは反対側に旋回支承部38を有している。旋回支承部38の、カバー30とは反対側には板ばね部材39が配置されている。この板ばね部材39は両方の旋回支承部37,38と皿ばね34と一緒にリベット40で、クラッチカバー30の、ほぼ半径方向に延びる区分と結合されている。周方向に分配された複数の板ばね部材39の代わりに、板ばね39をまとめて保持する唯一の部材が設けられていてもよい。この部材は押圧板31とクラッチカバー30との間のトルク伝達機能にも押圧板31の押し離し行程機能にも役立つ。クラッチ円板5の摩擦ライニングの半径方向内方に配置された範囲においては、板ばね部材39はリベット41で押圧板31と結合されている。このためには押圧板31は半径方向内方へ向いた付加部を有している。該付加部はリベット41の受容範囲を形成する。しかしながら、例えば盲リベット結合を用いて、リベット止め範囲を、クラッチ円板5の摩擦ライニングの半径方向の延在範囲におくこともできる。このような構成は押圧板31が二次はずみ質量体3との関連で記述したような鍛造又は打抜き部分として構成されている場合に特に有利である。押圧板31における、皿ばね34のために必要な負荷範囲は、簡単な形式で、別個の円形リング状の部分42が押圧板31に設けられた溝に挿入され、そこで場合によっては固定されることで形成される。引張り型のクラッチの場合には板ばね部材39が押圧板31に係合する範囲を半径方向外方へずらし、場合によっては別個の固定部材を板ばね部材39とクラッチカバー30との結合のために設けておくことができる。はずみ質量体3との切欠き36はクラッチ円板5における切欠き32の横には、装置全体の冷却にも役立つ別の開口43がクラッチカバー30にかつ開口44,45が鋼から打抜かれたはずみ質量体3に設けられている。装置全体の十分な冷却によっては、トルソ状の範囲12にあるペースト状の媒体、例えばグリースが許容される以上に加熱され、媒体が液状になるまで媒体の粘性が低下することが阻止される。さらに高められた熱的負荷は構成ユニット全体に不都合な作用を及ぼす。
【0029】構成ユニットを組立てるためにはまず、クラッチ4、シール部材24、第2のはずみ質量体3がクラッチ円板5を間挿した状態で互いに結合される。そのあとでクラッチ4、はずみ質量体3、シール24、クラッチ円板5から成るこの下位ユニットは、一次はずみ質量体2の構成部分13と軸向方向で合わせられる。この場合、一次はずみ質量体2は既に軸受装置6を保持しかつ固定ねじ8を有していることができる。コイルばね10がトルソ状の範囲12に挿入されたあとで、クラッチカバー30の軸方向に延びる範囲29に受容された薄板成形体19が、構成部分13の外側範囲に接触させられ、溶接ビード20でこれと結合される。溶接ビード20を形成する場合の正確な位置決めを行うために前記部分が締込まれるまで前記部分を軸方向に組立てる場合に、薄板成形部分19は壁19aの、トルソ状の範囲12に向いた側で、シール装置25を、クラッチカバー30の軸方向に延びる範囲29に沿って正しい位置へ押す。この場合、薄板部分19aの内側の壁と皿ばね28とシール部材27の半径方向外方へ向いた自由な脚は互いに接触させられる。溶接ビード20を形成したあとで皿ばね28は場合によって構成ユニットが弾性的に弛んだことを、皿ばね28が図1に示したのと同じ様に部分的に弛緩され、範囲19aの内側の壁とシール部材27の自由な脚部との間に生じるギャップが閉じられることで補償する。したがってシール装置25のシール作用は完全に維持される。さらにこの構成ユニットは既に前もって組立てられてパイロット軸受を、軸方向に延びるフランジ15の半径方向内方の範囲に有していることができる。しかしながらこれは詳細には図示していない。さらに、作用的に一次及び二次側の間に、異なって構成された摩擦装置、すなわち、両方のはずみ質量体の間の所定の相対運動のあとではじめて有効になる摩擦装置を設けておくこともできる。
【0030】図3から図5までには打抜かれるか又は鍛造されたはずみ円板又は二次はずみ質量体3、シール装置24、軸方向に延びる範囲29を有するクラッチカバー30が組立て前と組立て後の状態で示されている。組立てる前には既に述べたように、摩擦クラッチ4のほかの部分は組立てられている。図示の実施例では押圧板31はその旋回支承部42と一緒に、押圧板31にリベット41で取付けられた板ばね部材39を介してクラッチカバー30と結合されている。この結合は皿ばね34のための旋回支承部37,38を保持し、ひいては前述の構成部分をクラッチカバー30の半径方向に延びる区分において該クラッチカバー30と結合するリベット40で行われる。前述の部分を有するクラッチカバー30とはずみ円板3とを軸方向でまとめる前に、押圧板30とはずみ円板3の摩擦面3aに対して前もってセンタリングされた位置でクラッチ円板5が挿入される。該クラッチ円板5はあとで伝動装置の入力軸に対して又は伝動装置と結合された中間軸に対して結合される。
【0031】特に図5に示されているように蓄力器10のための負荷範囲又は半径方向の張出し部21は材料厚さにおいてはずみ質量体3に対して減少させられており、二次はずみ質量体3よりもわずかな軸方向の寸法を有している。さらに張出し部21は内燃機関から離れるように軸方向にずらされ、もはやはずみ車3に対して中央に配置されていない。二次はずみ質量体3は鋼板もしくはコイル材料又は帯状材料から打抜かれ、半径方向の張出し部で負荷部材22を形成するためには種々の製造可能性を有している。例えば張出し部は1つの圧刻過程で、中間圧刻過程をも使用して一体にはずみ質量体3に成形することができる。図示の実施例においては、この負荷部材22はまず半径方向の過剰寸法を有する一杯の寸法と一杯の材料厚さで、残ったはずみ質量体3と一緒に打抜かれ、次いで例えば旋削過程により切削加工され、最終的な形状にもたらされる。この場合のはもちろん材料の除去は、これが例えば他の構造形態を必要とする場合には両方の軸方向から行うかもしくは必要な表面質を達成するために同様に切削加工されるはずみ質量体の摩擦面3aの側からだけ行うことができる。はずみ質量体3の摩擦面3aに対向した面はこれに対して、高められた精度を必要とする別の機能を充たす必要がない場合には加工する必要はない。負荷部材22は加圧変形される適当な熱間又は冷間変形法、例えば鍛造又は型鍛造で形成することができる。この場合にはずみ円板3の他の区分又は範囲又ははずみ円板3全体もこの方法で製造することができるので、例えば打抜かれた中間製品から鍛造部分を製造することができる。さらに同様に押圧板31を製造することもできる。
【0032】打抜かれたはずみ質量体3は種々の形状と配置位置とを有する切欠きを有している。該切欠きはずみ質量体の回転軸に対して平行に延びている。この切欠きは例えば半径方向外方に位置する、冷却に役立つ切欠き又は切除部44である。さらに半径方向内側に、はずみ円板3の摩擦面3aの内側の直径よりも小さい直径の上に配置されて、切欠き45と36がある。この場合には後者はさらに半径方向内方に配置され、クラッチ円板5における切欠き32、一次はずみ質量体2における切欠き7、皿ばね34における切欠き35と整合している。はずみ円板3の中央の切欠きも同様に打抜かれていることができ、同様にシールキャップ6aを備えている軸受装置6の外側直径に応じて仕上げ加工される。前述の切欠き並びに場合によっては付加的に配置された開口は打抜かれるか前もって打抜かれることができるが、少なくともその若干は他の作業法、例えば孔あけによって製作することもできる。
【0033】クラッチカバー30とはずみ質量体3とシール装置24とを軸方向で部分的に重なる位置で組立てることができるようにするためには、クラッチカバー30は切欠き又は切除部47を有し、この切除部は周方向で見てはずみ質量体3の張出し部21を有する負荷部材22に相応して配置されている。さらにこの切除部47,48は前記部分の周方向での相対位置の正確な位置決めを保証する。クラッチカバー30の軸方向に延びる範囲29における切除部47は軸方向で深く構成され、すなわち内燃機関側から適当に離れて延びており、軸方向ではずみ円板3と押圧板31との間にクラッチ円板5が配置されている場合に皿ばね34が十分な圧着力を生ぜしめるバイアスを有するようにはずみ円板3とクラッチカバー30とに軸方向の相対位置が与えられてはずみ車とクラッチカバー30とが固定されている。
【0034】図示の実施例においてはまず結合された部分で補完されたクラッチカバー30は内燃機関側とは反対側で、クラッチ円板5を介在させられて軸方向ではずみ円板3の上に被せ嵌められ、そこで外周でセンタリングされ、次いでシール装置24が内燃機関側から、すなわち反対の軸方向からクラッチカバー30の、はずみ円板3の外周にセンタリングされた、軸方向に延びる範囲29の上に被せ嵌められかつそこでセンタリングされる。部分をセンタリングし、かつ互いに正確な軸方向の位置を与えたあとで部分は溶接過程で符号46で示したところで結合される。有利には1つの溶接過程だけで、すべての3つの部分、すなわちはずみ円板又は二次はずみ質量体3、シールダイヤフラム24とクラッチカバー30は軸方向に延びる区分29において互いに溶接される。特に図3から判るように、周方向で見て閉じられた溶接ビード46が設けられるのではなく、溶接は個々の、周方向で互いに間隔をおいたセグメントで行われる。溶接ビード46を形成するためには、溶接ビードの形成をクラッチカバー30の材料とシールダイヤフラム24の材料とによって可能にする溶接法が適している。しかも溶接はシールダイヤフラム24の軸方向に延びる外側の周面から出発して行われる。この場合にはレーザ光線溶接法が使用されると有利であるが、他の溶接法、例えば点溶接又はコンデンサ放電溶接を使用することもできる。さらにはずみ円板3とシールダイヤフラム24とクラッチカバー30との間の軸方向に不動でかつ回動不能な結合は適当な形状接続による結合部材、例えばピン又はリベットで達成される。この結合もしくは溶接ビード又は溶接セグメント46を形成したあとで、この構成ユニットはすでに述べたように、さらに補完され、分割されたはずみ車に結合される。
【0035】このはずみ車は総装置として内燃機関のクランク軸又は出力軸に固定可能である。
【0036】図2においては鍛造部分として構成された二次はずみ車を有するツウマスはずみ車が示されている。この図示の実施例ではシール24は軸方向で二次はずみ質量体3に接触し、クラッチカバー30の、軸方向で延びる範囲29の周面でセンタリングされている。半径方向内方に位置する範囲でシール部材24は軸方向で弾性的に薄板成形部分13に接触している。この場合、この接触面の半径方向内方では薄板成形部分13のほぼ半径方向に延びる範囲14に通気開口が設けられている。この場合には、図1と関連して記述した、クラッチカバー30の軸方向に延びる範囲29における切除部は周方向に負荷部材22もしくはその半径方向の張出し部21に対して遊びをおいて設けられている。トルソ状の範囲12の内方へのシールを保証するためには、二次はずみ質量体3は負荷部材の足範囲23に、軸方向に内燃機関から離れる方向に延びる突起セグメント3bを有している。この突起セグメント3bの上にはクラッチカバー30の軸方向に延びる範囲29が支持されている。摩擦面3aの半径方向に延びる範囲においては、はずみ質量体3の、摩擦面3aとは反対側にバランス孔3cが示されている。はずみ質量体3が鍛造部分として構成されている場合には通常はバランシング過程が不可欠である。この場合には貫通孔36の範囲においては切欠き36の周囲に亙って分配された圧刻部36aが示されている。該圧刻部36aは半径方向内方に延び、貫通孔36の直径を縮小し、固定ねじ8が組立ユニットから離脱することを確実に阻止する。半径方向内方では二次質量体3は軸受装置6によって軸方向にも固定されているのに対し、ツウマスはずみ車の全二次側は実質的にその半径方向外方の範囲において両方のシール装置24,25により軸方向に弾性的に支えられている。これによって二次側は一次側に対して運転中に軽い揺動運動を行うか又は一次側の相応の揺動運動が補償される。これは特に一次はずみ質量体と内燃機関の出力軸との結合範囲の負荷に好ましい影響を及ぼす。
【0037】図6には本発明のトルク伝達装置の別の実施例が示されている。この場合には、作用について図1との関連ですでに記述した部分と同じであるか又は類似した部分には、図1で用いた符号に100を加えた符号が付けられている。
【0038】ここに示した構造でも、分割されたはずみ車101は、クラッチ104とクラッチ円板105とから成るクラッチ装置と構成ユニットを成している。この構成ユニットも、このようなユニットとして前もって完全に組立てられ、発送され、ストックされ、内燃機関の出力軸に簡単にかつ合理的な形式で取付けることができる。ここに示された配置では負荷部材22は半径方向の張出部121で、内燃機関の方向へ、はずみ質量体3の中心から軸方向へずらされている。したがって緩衝装置109の蓄力器110の中心線は、一次はずみ質量体102を形成する薄板成形部分113の、ほぼ半径方向に延びるフランジ範囲114の、半径方向外方へ延長された延長部の軸方向の範囲にほぼ位置している。この薄板成形部分113はほぼ平らな範囲114の半径方向外方において、内燃機関に向かって鉢形に構成され、ほぼC字形の範囲を形成している。このC字形の範囲の開放端部は内燃機関とは反対に向いており、ほぼ軸方向に延びる範囲118で蓄力器110を少なくともその外周の1部に亙って取囲んでいる。この範囲118は内燃機関とは反対側で、ほぼ半径方向に延び、軸方向に変形された薄板成形部分119と溶接ビード120によって結合されている。薄板成形部分119の1部分は始動歯環126を受容する支持肩を形成している。この支持肩に始動歯環126は溶接されている。壁区分119aの、内室112に向いた壁には、既に図1と関連して記述したようにシール装置125が設けられている。
【0039】別のシール装置124は皿ばね状の構成部分によって形成され、該構成部分は、対応押圧板103と一体に構成された負荷部材の根元範囲123において半径方向外方へセンタリングされ、半径方向内方で、薄板成形部分113の半径方向に延びる範囲114に軸方向で弾性的に支持されている。
【0040】クラッチカバー130の軸方向に延びる範囲129は二次はずみ質量体を半径方向で取囲み、これを少なくとも部分的に軸方向でも覆っている。この場合にも、クラッチカバー130には、切除部47と同様に図1から図4までに示した負荷部材22と協働する切除部を設けておくことができる。クラッチカバー130と二次はずみ質量体103との軸方向に不動でかつ回動不能な結合は、図示の実施例の場合には、両方の部分が符号146で示されたところでかしめられることで行われる。しかしながら両方の部分の他の手段で、先の図面と関連して記述したように溶接又はピン止めで結合することも可能である。
【0041】図6に示されたユニットもすでに固定ねじ108を有し、該固定ねじ108は例えばクラッチ円板105における受容部に対するねじヘッド133の直径比及びこの場合には略示されている弾性的な手段を介して紛失しないように総構成ユニットに保持されている。固定ねじの図示された位置は、固定ねじが構成ユニット全体を内燃機関の出力軸に固定したあとでとる位置に相応している。
【0042】図示のクラッチ円板105のボスは、この場合には部分的に軸方向で、薄板成形部分113の軸方向に延びる付加部115と重なっている。すなわち、クラッチ円板105のボスは軸方向で内燃機関に向かって、付加部115によって取囲まれた軸方向の範囲に突入しており、軸方向の構成スペースをできるだけわずかにする、特にコンパクトな構成形式を可能にする。
【0043】図7には本発明の別の構成の可能性が示されている。この場合には似た符号が、この場合にも100を加えられて、使用されている。ここに図示されたツウマスはずみ車201は図6と関連して記述した分割されたはずみ車と似ている。これまで記述した実施例とは異なってこの場合には半径方向の張出し部221を有する負荷部材222は、別個の成形部分として構成され、溶接ビード223aで、分割されたはずみ車201の二次はずみ質量体203と結合されている。この場合、コイル圧縮ばね210のための負荷部材22は他の適当な固定手段ではずみ質量体203に取付けることもできる。さらに、この場合にも皿ばね状の構成部分によって形成されたシール装置224は、二次はずみ質量体203の、クラッチ円板205の摩擦ライニングの半径方向の延びの半径方向内方に配置された段部に保持もしくはセンタリングされかつ半径方向外方に位置する範囲で軸方向に弾性的に、一次はずみ質量体202を形成する薄板成形部分213の、ほぼ半径方向に延びる範囲214に支持されている。この図面の構成においては、二次はずみ質量体203は材料消費量の少ない打抜き部分として製作することができる。さらにこの場合には、先きの実施例で場合によっては必要であった、張出し部221の範囲における軸方向の材料厚さの減少が不要になる。負荷部材が別個に製作された部分として構成された図示の実施例においては、負荷部材はずみ質量体203の材料とは異なる材料、例えば摩耗特性の良い材料から製作することもできるので、半径方向の張出し部の負荷範囲域における負荷部材の、場合によっては必要であった焼入れは不要になる。
【0044】図8には本発明の摩擦クラッチ又はトルク伝達装置の別の実施例が示されている。摩擦クラッチ又はトルク伝達装置はツウマスはずみ車と結合されているが、このツウマスはずみ車はクラッチと一緒にあるかじめ組立てられた完成ユニットとして内燃機関のクランク軸にねじ結合可能ではなく、まずツウマスはずみ車が出力軸に固定され、次いでクラッチ円板を間挿したあとではじめてツウマスはずみ車が出力軸に固定される。類似した形式で本発明のトルク伝達装置は一般的な、すなわち打抜き部分によって形成できる一体のはずみ車と結合することもできる。これまで記載した作用に似ているか又はこれと同じである作用の詳細をはっきりさせるために、100を加えた同じ符号がこの場合にも使用されている。
【0045】分割されたはずみ車301は一次はずみ質量体302と本発明によって打抜き部分として構成された二次はずみ質量体303とを有している。第2のはずみ質量体303の上には摩擦クラッチ304がクラッチ円板305を間挿して固定可能であり、符号349で示された個所でツウマスはずみ車301とねじ350を用いて結合される。はずみ質量体302,303は軸受装置306を介して互いに回動可能に支承されている。軸受装置306はこの実施例では第1のはずみ質量体302を内燃機関のクランク軸の上に取付けられるための固定ねじを通すための孔307の半径方向外側に配置されている。この場合に示された単列の転がり軸受は2部分から成るシールキャップ306aを有している。該シールキャップ306aは同時に一次および二次はずみ質量体の間の断熱部材としても役立つ。はずみ質量体302と303との間には緩衝装置309が配置されている。この場合、緩衝装置309を受容するリング状の室311もしくはそのトルソ状の範囲312は少なくとも部分的に粘性の媒体で充たされている。さらに軸受装置306の半径方向の延びの範囲には摩擦装置Rが示されている。該摩擦装置Rは両方のはずみ質量体が相対的に運動する場合に有効になる。
【0046】一次はずみ質量体302はまず薄板材料から製作された構成部分313によって形成される。該構成部分313は半径方向外方の範囲に始動歯環326を保持しており、該始動歯環326は構成部分313と溶接されている。構成部分313は軸方向に延びるフランジ315と一緒に用いられる。このフランジ315は構成部分313と同様に第1のはずみ質量体302もしくは分割されたはずみ車301を内燃機関の出力軸に固定する固定ねじを受容する孔又は切欠き307を有し、半径方向外方の範囲でリング状の室311を制限している。さらに構成部分313はほぼ半径方向に延びるフランジ状の範囲314を有している。転がり軸受306は内レース316でフランジ315の軸方向の範囲を取囲み、外レース317で、場合によっては2部分から成るシールキャップ306aを介在させて、鋼から打抜かれるか又は鍛造部分として構成された二次はずみ質量体303を保持している。
【0047】半径方向に延びる範囲は半径方向外方で、内燃機関から離れる方向へ軸方向に延びる範囲に移行しており、そこに形成されたフランジにおいて溶接ビード320で、同様に有利には薄板から成形された、ほぼC字形の横断面を有する構成部分319と結合されている。この構成部分319は半径方向内方に延びるフランジの半径方向内方に、ダイヤフラム状に構成されたシール325を保持している。
【0048】二次はずみ質量体303に取付けられた、緩衝装置309の蓄力器のための負荷範囲321は、二次はずみ質量体303に固定された少なくとも1つの負荷部材322によって形成されている。負荷部材322は根元範囲又は半径方向内方範囲323においてリベット323aを介して二次はずみ質量体303と結合されている。二次はずみ質量体303の、摩擦面303aとは反対側の壁と、負荷部材の323の軸方向の制限部とによって形成された軸方向の中間室内には、すでに述べたたシール325が配置されている。このシール325は半径方向内方の範囲で内燃機関に向かって鉢形に形成され、該範囲で負荷部材322の半径方向内方の範囲に軸方向に弾性的に接触している。
【0049】二次はずみ質量体303の半径方向外方には、この場合には分割されて構成されたクラッチカバー330の軸方向に延びる範囲329が受容されている。該クラッチカバー330は溶接ビード又はかしめ又は他の適当な結合方法で、符号346で示された個所で二次はずみ質量体303と結合されている。内部に組立てられて軸受306を保持しかつクラッチ304を範囲349においてねじ結合するフランジを備えている前記ツウマスはずみ車は、したがって内燃機関のクランク軸に取付けることができる。
【0050】皿ばね334を介して操作可能なクラッチ、この場合にはいわゆる押し型クラッチは、クラッチカバー330に一方ではカバー側にカバーと一体に構成された旋回支承部337を有しかつカバーとは反対側に、板ばね部材339と一体に構成された旋回支承部338を有している。板ばね部材339は一方ではリベット340でクラッチカバー330に固定され、他方ではリベット341を用いて押圧板331に固定されている。押圧板331はこの場合には精密打抜き可能な鋼から打抜かれるか又は鍛造過程で製造されている。板ばね部材339は押圧板331とクラッチカバー330との間のトルク伝達作用と、皿ばね334がクラッチを押し離す方向に旋回させられた場合の押圧板331の離反行程作用との両方を発揮する。皿ばね334は半径方向外方に位置する範囲に軸方向の変形部又は膨出部342を有している。この変形部又は膨出部342は押圧板331に向けられ、押圧板のための転動支承部として役立つ。しかしながらこの実施例においても図1と関連して記述したような別個の円形リング状の部分を押圧板331の溝に挿入し、場合によってはそこに固定することができる。
【0051】クラッチ円板305を間挿してクラッチ304はクラッチカバー330に固定された部分と一緒に、クラッチカバー330の半径方向に延びるフランジ範囲で、分割されたクラッチカバー330の部分330aの、半径方向外方へ延びるフランジに軸方向に接触させられ、範囲349においてねじ350を用いてツウマスはずみ車301と結合される。このように形成された完成ユニットは先きの図面と関連して記述したように、このようなユニットとして前もって組立られる。この場合にはクラッチ円板305における開口332と皿ばね334における、前記開口332と整合する開口とにはねじ締め工具もしくは固定ねじが通される。さらに前もって組立てられた前記ユニットはすでに、内燃機関のクランク軸に固定するためのねじをあらかじめ組立てられて有していることもできる。この場合、固定ねじは組立ての前にとる位置で適当な手段を用いて確保しておくことができる。
【0052】本発明は図示されかつ記述された実施例に限定されるものではなく、例えば明細書全般においてかつ実施れにおいてかつ請求の範囲においてかつ図面に開示した特徴もしくは部材又は方法段階の組合せ又は変更によって得られるヴァリエーションも本発明の範囲に含まれるものであり、特徴の組合せによって新しい装置又は方法が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】前もって組立てられた、取付け準備の完了した構成ユニットを形成するために本発明のトルク伝達装置が統合されているツウマスはずみ車の第1実施例の概略的断面図。
【図2】前もって組立てられた、取付け準備の完了した構成ユニットを形成するために本発明のトルク伝達装置が統合されているツウマスはずみ車の第2実施例の概略的断面図。
【図3】図1を矢印IIの方向から見た図。
【図4】図3を矢印IIIの方向から見た図。
【図5】図3の個々の部分を組立てる前の状態で示した図。
【図6】本発明のトルク伝達装置の別の実施例を示した図。
【図7】本発明のトルク伝達装置の別の実施例を示した図。
【図8】本発明のトルク伝達装置の別の実施例を示した図。
【符号の説明】
1 はずみ車、 2 一次はずみ質量体、 3 二次はずみ質量体、 4 摩擦クラッチ、 5 クラッチ円板、 6 軸受装置、 7 孔、 8 固定ねじ、 9 緩衝装置、 10 コイル圧縮ばね、 11 リング状の室、 12トルソ状の範囲、 13 構成部分、 14 フランジ状の範囲、 15 付加部、 16 内レース、 17 外レース、 18 範囲、 19 薄板体、20 溶接ビード、 21 負荷範囲、 22 負荷部材、 23 足範囲、24 シール、 25 シール、 28 皿ばね、 30 クラッチカバー、31 押圧板、 32 開口、 33 ヘッド、 皿ばね、 35 開口、 36 クラッチ円板、 37 旋回支承部、 38 旋回支承部、 39 板ばね部材、 40 リベット、 41 リベット、 43 開口、 44 開口、45 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】 トルク伝達装置、例えば摩擦クラッチであって、押圧板と対応押圧板とを有し、この場合、この押圧板と対応押圧板との間にクラッチ円板が蓄力器の作用を受けて軸方向に締込まれている形式のものにおいて、前記部分の少なくとも1つ、押圧板又は対応押圧板が内実の打抜き部分として構成されており、押圧板が一体に内実変形されているか又はこれに固定されたトルク伝達手段を有していることを特徴とする、トルク伝達装置。
【請求項2】 対応押圧板が打抜かれかつ加工されているか又は内実成形されたトルク伝達手段を有している、請求項1記載のトルク伝達装置。
【請求項3】 トルク伝達装置、例えば摩擦クラッチであって、押圧板と対応押圧板とを有し、この場合、この押圧板と対応押圧板との間にクラッチ円板が蓄力器の作用を受けて軸方向に締込まれている形式のものにおいて、前記部分の少なくとも1つ、押圧板又は対応押圧板が鍛造部分として構成されていることを特徴とする、トルク伝達装置。
【請求項4】 押圧板及び(又は)対応押圧板が乾式摩擦クラッチの構成部分である、請求項1から3までのいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項5】 内燃機関に固定可能な第1のはずみ質量体と、摩擦クラッチを介して伝動装置に接続・遮断可能な第2のはずみ質量体とを有し、これらのはずみ質量体が転がり軸受を介して互いに相対回動可能に支承されており、はずみ質量体の間に緩衝装置が設けられており、クラッチ円板が摩擦クラッチの押圧板と対応押圧板との間に締込まれているトルク伝達装置において、押圧板及び(又は)対応押圧板が請求項1から4までの1つに従って構成されていることを特徴とする、トルク伝達装置。
【請求項6】 鍛造又は打抜き部分が圧刻された範囲を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項7】 圧刻された範囲がトルク伝達に役立つ、請求項6記載のトルク伝達装置。
【請求項8】 鍛造又は打抜き部分が打抜かれた切欠きを有している、請求項1から7までのいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項9】 前記切欠きが固定部材及び(又は)工具の受容部又は貫通部として構成されている、請求項8記載のトルク伝達装置。
【請求項10】 切欠きが通気開口である、請求項8又は9記載のトルク伝達装置。
【請求項11】 押圧板が離反行程及び(又は)トルク伝達部材(板ばね部材)のために圧刻及び(又は)打抜かれた固定範囲を有している、請求項1から10までのいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項12】 押圧板が板ばね部材を介してクラッチカバー又はクラッチケーシングと結合されている、請求項1から11までのいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項13】 押圧板が蓄力器のための負荷範囲を有している、請求項1から12までのいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項14】 蓄力器が皿ばねにより形成されている、請求項13記載のトルク伝達装置。
【請求項15】 皿ばねが押圧板と協働する圧刻された転動支持部を有している、請求項13又は14記載のトルク伝達装置。
【請求項16】 転動支持部が押圧板に設けられている、請求項1から15までのいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項17】 対応押圧板がクラッチケーシングと結合するための装置を有している、請求項1から16までのいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項18】 前記結合装置が半径方向及び(又は)軸方向の支持面を有している、請求項17記載のトルク伝達装置。
【請求項19】 対応押圧板が半径方向外方に打抜かれた通気切欠きを有している、請求項1から18までのいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項20】 対応押圧板がツウマスはずみ質量体の2次円板である、請求項1から19までのいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項21】 対応押圧板が半径方向外方に蓄力器のための負荷範囲を有している、請求項20記載のトルク伝達装置。
【請求項22】 負荷範囲が対応押圧板と一体に構成されている、請求項21記載のトルク伝達装置。
【請求項23】 負荷範囲が圧刻されている、請求項21記載のトルク伝達装置。
【請求項24】 負荷範囲が半径方向に延びる面を有している、請求項21から23までのいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項25】 負荷範囲がクラッチカバーの半径方向外側に配置されている、請求項20から24までのいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項26】 蓄力器の負荷範囲が周方向に配置されている、請求項1から25までのいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項27】 蓄力器がツウマスはずみ質量体の一次はずみ質量体の区分を関与させて形成された中空室により取囲まれている、請求項1から26までのいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項28】 蓄力器が遠心力の作用で半径方向外方へ支持されている、請求項27記載のトルク伝達装置。
【請求項29】 蓄力器とその外方にある支持範囲との間に摩耗防止手段が配置されている、請求項28記載のトルク伝達装置。
【請求項30】 クラッチカバーが対応押圧板と結合されている、請求項1から29までのいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項31】 シールダイヤフラムが対応押圧板と結合されている、請求項1から30までのいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項32】 シールダイヤフラムがクラッチカバーと結合されている、請求項1から31までのいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項33】 シールダイヤフラムが半径方向内方に位置している範囲で軸方向に弾性的に一次はずみ質量体に接触している、請求項31又は32記載のトルク伝達装置。
【請求項34】 シールダイヤフラムが摩擦装置の1部として構成されている、請求項30から32までのいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項35】 結合が少なくとも周方向で形状接続で行われている、請求項30から32までのいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項36】 部分が部分的な軸方向のオーバラップで同軸に配置されている、請求項30から35までのいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項37】 部分の少なくとも2つが互いに溶接されている、請求項30から36までのいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項38】 すべての部分が互いに溶接されている、請求項37記載のトルク伝達装置。
【請求項39】 部分が唯一の溶接過程で結合されている、請求項37又は38記載のトルク伝達装置。
【請求項40】 部分がレザー溶接法を用いて結合されている、請求項37から39までのいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項41】 部分が周方向で見て互いに間隔をおいたセグメントで溶接されている、請求項37から40までのいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項42】 溶接が半径方向外方から行われる、請求項37から41までのいずれか1項記載のトルク伝達装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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