説明

トレーニング支援装置

【課題】低コストにて、身体トレーニングマシンによるトレーニング走行速度に追従させて違和感の無い風景映像を表示することが可能なトレーニング支援装置を提供する。
【解決手段】移動体上に設置したカメラで外部風景を撮影して撮影映像信号を得て、この移動体の移動速度に応じて、撮影映像信号に対して上記移動体の単位移動距離あたりのフレーム数を一定にすべきフレーム補間処理を施すことにより等速化撮影映像信号を求める。そして、この等速化撮影映像信号に基づく映像を、トレーニングマシンによる走行速度に追従させた速度で表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車走行、ランニング、或いはボート漕ぎ等の移動運動を、実際の道路又は水路コースを走行することなく模擬的に実施できるようにしたトレーニングマシンの使用者に対して、画像による支援を行うトレーニング支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記したトレーニングマシンとして、無限走行のベルト(又はローラ)上をベルトの走行方向とは逆方向に、ランニング又は自転車走行させるようにした、いわゆるトレッドミル(treadmill)を用いたものが知られている。又、かかるトレーニングマシンとして、ボート漕ぎの動作を負荷を与えた状態で陸上実施できるようにした、いわゆるローイングマシンが知られている。
【0003】
又、このようなトレーニングマシンを支援するトレーニング支援装置として、実際の道路コースの風景を使用者の視点で予め撮影して録画しておき、この録画された実写映像を、トレーニングマシンの使用者に向けて表示することにより、現実に近い感覚を得られるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。かかるトレーニング支援装置では、録画された実写映像を再生表示するにあたり、使用者による模擬トレーニングマシン上での走行速度(以下、トレーニング速度と称する)に追従させて、その映像の再生速度を調整するようにしている。よって、その再生速度が撮影時の映像のフレームレート(例えば30fps)に対してかなり遅くなってしまった場合には、コマ送りが生じ、違和感を与える映像が表示されてしまうという問題が生じた。
【0004】
又、上記した如き道路コースを撮影するには、ビデオカメラを自動車などの移動体に設置し、この移動体をコースに沿って移動させつつコース上の風景を撮影するようにしているので、必ずしも一定の移動速度でコース上の風景が撮影されているわけではない。よって、トレーニング走行速度に追従させて映像の再生速度を調整しても、このトレーニング走行速度に対して、表示されている風景の変化速度が合致しないという問題が生じた。
【0005】
そこで、移動体が所定の一定距離だけ移動する度にこの移動体に搭載されているカメラでコース上の風景を撮影(1フレーム分)し、一定距離毎に撮影された画像の系列を表示させることにより、上記した如きコマ送りの無い且つトレーニング走行速度に風景の変化速度が合致した表示を可能とした映像の収録装置が提案された(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、このような収録装置を実現する為には、一定時間毎に複数回分のシャッターを切るという、いわゆる通常のビデオカメラに、移動体が一定距離移動する度にシャッターが切れるような改造を施す、或いはこのような機能を有するビデオカメラを製造する必要があり、コストが高くなるという問題が生じた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭63−26362号公報
【特許文献2】特許第3046235号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、低コストにて、トレーニングマシンによるトレーニング走行速度に追従させて違和感の無い風景映像を表示することが可能なトレーニング支援装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載によるトレーニング支援装置は、移動運動用のトレーニングマシンの前方に設置された表示装置に風景映像を表示させるトレーニング支援装置であって、移動体に設置されており、前記移動体外部の風景を撮影して撮影映像信号を得るカメラと、前記移動体の移動速度を検出する移動体速度センサと、前記撮影映像信号に対して、前記移動速度に応じて前記移動体による単位移動距離あたりのフレーム数を一定にすべきフレーム補間処理を施すことにより等速化撮影映像信号を得るフレーム補間部と、を含む風景撮影処理手段と、前記等速化撮影映像信号に基づく映像を前記トレーニングマシンによるトレーニング速度に追従させた速さで表示せしめる風景映像表示処理手段と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明によるトレーニング支援装置の全体構成を示す図である。
【図2】撮影映像処理部4の内部構成の一例を示す図である。
【図3】撮影映像処理部4の内部動作を説明する為の図である。
【図4】コース撮影データFMDにおける撮影映像信号VS、撮影移動速度CS及び音声信号AU各々の多重化形態の一例を示す図である。
【図5】再生処理部7の内部構成の一例を示す図である。
【図6】再生処理部7の内部動作を説明する為の図である。
【図7】再生速度調整を間引き処理によって行う場合の動作を説明する為の図である。
【図8】図1に示すトレーニング支援装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
移動体上に設置したカメラで外部風景を撮影して撮影映像信号を得て、この移動体の移動速度に応じて、撮影映像信号に対して上記移動体の単位移動距離あたりのフレーム数を一定にすべきフレーム補間処理を施すことにより等速化撮影映像信号を求める。そして、この等速化撮影映像信号に基づく映像を、トレーニングマシンによる走行速度に追従させた速度で表示させる。かかる動作によれば、上記等速化撮影映像信号によって表される映像において、移動体が単位移動距離だけ移動した間に含まれるフレーム数は一定となり且つ上記撮影映像信号に比して単位移動距離あたりのフレーム数を多くすることが可能となる。これにより、トレーニングマシンによるトレーニング走行速度に追従させた表示を行うべく、等速化撮影映像信号に対してフレーム間引き処理を施しても、コマ送りが生じない違和感の無い映像を表示することが可能となる。更に、外部風景を撮影するカメラとして、撮影時のフレームレートが固定となる市販のビデオカメラを用いることができるので、コスト低減を図ることが可能となる。
【実施例】
【0012】
図1は、本発明によるトレーニング支援装置の概要を示す図である。
【0013】
図1に示すように、かかるトレーニング支援装置は、移動体としての車両1に搭載されている風景撮影部100と、風景撮影部100にて撮影された風景映像をトレーニングマシン10上でのトレーニング走行速度に追従させて表示する風景映像表示部200と、からなる。
【0014】
尚、図1に示すトレーニングマシン10は、自転車走行用のトレーニングマシンであり、このトレーニングマシン10上に固定設置された自転車を使用者が漕ぐことにより、実際の道路上のコースを走行した際にかかるであろう負荷(道路の勾配、高度差等による負荷)と等価な負荷が車輪に掛かるようになっている。車両1は、トレーニングの対象となる道路コース上の風景を風景撮影部100にて撮影させるべくこの道路コース上を走行する。
【0015】
風景撮影部100は、カメラ2、車両走行センサ3、撮影映像処理部4及びメモリ5からなる。
【0016】
カメラ2は、自転車の乗り手(サイクリスト)の視線で車両1前方における道路コース上の風景を撮影し得る高さ位置に設置されており、その風景を、一定のフレームレートFIN(例えば30fps)で撮影して得られた撮影映像信号VDを撮影映像処理部4に供給する。更に、この間、カメラ2は、その内蔵マイク(図示せぬ)で集音した音を表す音声信号AUを撮影映像処理部4に供給する。
【0017】
車両走行センサ3は、車両1の現時点での走行速度、走行距離、走行中道路の勾配、風速を常時検出し、夫々の検出結果を表す車両走行データRDを撮影映像処理部4に供給する。
【0018】
図2は、撮影映像処理部4の内部構成を示す図である。
【0019】
図2に示すように、撮影映像処理部4は、速度情報抽出部40、速度比算出部41、等速化フレームレート算出部42、動ベクトル検出部43、フレーム内挿補間部44、セレクタ45及び出力部46を含む。
【0020】
速度情報抽出部40は、車両走行データRD中から、移動体としての車両1の現時点での走行速度を表す情報を抽出し、これを撮影移動速度CSとして速度比算出部41及び出力部46に供給する。
【0021】
速度比算出部41は、所定の一定速度である等速化基準速度VREF(例えば5km/h)と、上記撮影移動速度CSとの速度比FSを以下の如く算出し、これを等速化フレームレート算出部42に供給する。
FS=CS/VREF
【0022】
等速化フレームレート算出部42は、撮影映像信号VDのフレームレート、つまり撮影時のフレームレートFINと、上記速度比FSとに基づく下記の演算にて、等速化フレームレートFESを算出して、これをフレーム内挿補間部44に供給する。
ES=FS×FIN
【0023】
動ベクトル検出部43は、撮影映像信号VDにおける各フレーム毎に、そのフレーム内の移動物体に対する動きベクトルを検出し、その動きベクトルを表す動ベクトル信号MVをフレーム内挿補間部44に供給する。
【0024】
フレーム内挿補間部44は、撮影映像信号VDを取り込み、この取り込んだ撮影映像信号VDに対して、等速化フレームレートFES及び動ベクトル信号MVに基づくフレーム内挿補間処理を施す。すなわち、先ず、フレーム内挿補間部44は、撮影映像信号VDのフレームレートFINを等速化フレームレートFESに変換する際に必要となるフレーム数、つまり撮影映像信号VDにおける各フレーム間に挿入すべきフレーム数Nを以下の如く求める。
N=INT[(FES/FIN)−1]
【0025】
次に、フレーム内挿補間部44は、動ベクトル信号MVを参照した内挿補間演算により、撮影映像信号VDにおける各フレーム間に挿入すべきN個のフレームを夫々求め、これらを撮影映像信号VDの各フレーム間に挿入してなる系列を、撮影時の固定のフレームレートFINにて出力したものを等速化撮影映像信号CVDとしてセレクタ45に供給する。この際、等速化撮影映像信号CVDは、車両1を所定の一定速度である等速化基準速度VREFで走行させた際にカメラ2において撮影して得られるであろう映像信号(フレームレートFIN)を表す。尚、等速化基準速度VREFは、トレーニングマシン10における自転車のトレーニング走行速度として許容されている最低速度(例えば、5Km/h)と同一速度である。
【0026】
例えば、カメラ2においてフレームレート(FIN):30fpsでコース上の風景を撮影するにあたり、図3に示すように、車両1の走行速度(CS)が15km/hとなる区間T1では、等速化基準速度VREF:5km/hに対する速度比(FS)は、3.0倍となる。よって、等速化フレームレートFESは、30fpsの3.0倍である90fpsとなる。従って、フレーム内挿補間部44は、図3に示す区間T1内では、撮影映像信号VDにおける互いに隣接する一対のフレーム毎に、2フレーム分の映像信号を補間することになる。この際、フレーム内挿補間部44は、動ベクトル信号MVを参照することにより、撮影映像信号VDにおける互いに隣接する一対のフレーム間に挿入すべき2フレーム分の補間フレームを夫々求める。そして、フレーム内挿補間部44は、この区間T1内において、撮影映像信号VDにおける互いに隣接する一対のフレーム毎に、上記した2フレーム分の補間フレームを挿入した4フレーム分を30fpsの固定フレームレートで出力したものを等速化撮影映像信号CVDとする。
【0027】
又、図3において、車両1の走行速度(CS)が20km/hとなる区間T2では、速化基準速度VREF:5km/hに対する速度比(FS)は、4.0倍となる。よって、等速化フレームレートFESは、30fpsの4.0倍である120fpsとなる。従って、フレーム内挿補間部44は、区間T2内では、撮影映像信号VDにおける互いに隣接する一対のフレーム毎に、3フレーム分の映像信号を補間することになる。この際、フレーム内挿補間部44は、動ベクトル信号MVを参照することにより、撮影映像信号VDにおける互いに隣接する一対のフレーム間に挿入すべき3フレーム分の補間フレームを夫々求める。そして、フレーム内挿補間部44は、この区間T2内では、撮影映像信号VDにおける互いに隣接する一対のフレーム毎に上記した3フレーム分の補間フレームを挿入した5フレーム分を30fpsの固定フレームレートで出力したものを等速化撮影映像信号CVDとする。
【0028】
又、図3において、車両1の走行速度(CS)が10km/hとなる区間T3では、上記した如き等速化基準速度VREF:5km/hに対する速度比(FS)は、2.0倍となる。よって、等速化フレームレートFESは、30fpsの2.0倍である60fpsとなる。従って、フレーム内挿補間部44は、区間T3内では、撮影映像信号VDにおける互いに隣接する一対のフレーム毎に、1フレーム分の映像信号を補間することになる。この際、フレーム内挿補間部44は、動ベクトル信号MVを参照することにより、撮影映像信号VDにおける互いに隣接する一対のフレーム間に挿入すべき1フレーム分の補間フレームを求める。そして、フレーム内挿補間部44は、この区間T3内では、撮影映像信号VDにおける互いに隣接する一対のフレーム毎に上記した1フレーム分の補間フレームを挿入した3フレーム分を30fpsの固定フレームレートで出力したものを等速化撮影映像信号CVDとする。
【0029】
ここで、上述したように、フレーム内挿補間部44において生成された等速化撮影映像信号CVDは、この車両1が等速化基準速度(VREF)で走行した場合に得られるであろう映像信号である。よって、車両1がトレーニング対象となる道路コースを走行した際に、等速化撮影映像信号CVDによって得られる単位移動距離あたりのフレーム数は一定となる。尚、この単位移動距離あたりのフレーム数は、トレーニングマシン10における自転車の走行速度として許容されている最低速度(例えば、5Km/h)に基づく数となる。
【0030】
例えば、図3において、区間T1では、車両1は15km/hで走行しており、且つカメラ2が30fpsのフレームレートで撮影を行う為、車両1が1m移動している間に撮影映像信号VDによって得られるフレーム数は、
30(3600/15000)=7.2フレーム
となる。
【0031】
この際、区間T1では、30fpsのフレームレートFINから、90fpsの等速化フレームレートFESへとフレームレートを高めるべき処理、つまり撮影映像信号VDにおける各フレーム間に2フレーム分を補間することによりフレームレートを3倍に高めるべき処理が為される。よって、この処理によって得られた等速化撮影映像信号CVDにて表される、車両1が1m移動している間に得られるフレーム数は、
3×30(3600/15000)=21.6フレーム
となる。
【0032】
又、区間T2では、車両1は20km/hで走行しており、且つカメラ2が30fpsのフレームレートで撮影を行う為、車両1が1m移動している間に撮影映像信号VDによって得られるフレーム数は、
30(3600/20000)=5.4フレーム
となる。
【0033】
この際、区間T2では、30fpsのフレームレートFINから、120fpsの等速化フレームレートFESへとフレームレートを高めるべき処理、つまり撮影映像信号VDにおける各フレーム間に3フレーム分を補間することによりフレームレートを4倍に高めるべき処理が為される。よって、この処理によって得られた等速化撮影映像信号CVDにて表される、車両1が1m移動している間に得られるフレーム数は、
4×30(3600/20000)=21.6フレーム
となる。
【0034】
又、区間T3では、車両1は10km/hで走行しており、且つカメラ2が30fpsのフレームレートで撮影を行う為、車両1が1m移動している間に撮影映像信号VDによって得られるフレーム数は、
30(3600/10000)=10.8フレーム
となる。
【0035】
この際、区間T3では、30fpsのフレームレートFINから、60fpsの等速化フレームレートFESへとフレームレートを高めるべき処理、つまり撮影映像信号VDにおける各フレーム間に1フレーム分を補間することによりフレームレートを2倍に高めるべき処理が為される。よって、この処理によって得られた等速化撮影映像信号CVDにて表される、車両1が1m移動している間に得られるフレーム数は、
2×30(3600/10000)=21.6フレーム
となる。
【0036】
従って、等速化撮影映像信号CVDによれば、車両1の1m移動毎に得られるフレーム数は、車両1の走行速度(CS)に拘わらず21.6フレーム一定となる。
【0037】
以上の如く、速度比算出部41、等速化フレームレート算出部42、動ベクトル検出部43及びフレーム内挿補間部44は、カメラ2にて撮影して得られた撮影映像信号VDに対して、車両1を一定の速度(VREF)で走行させた際に得られるであろう等速化撮影映像信号CVDを求めるべき等速化処理を施すのである。
【0038】
フレーム内挿補間部44は、上記した如く生成した等速化撮影映像信号CVDをセレクタ45に供給する。
【0039】
セレクタ45は、使用者によって指定されたモードが[等速化モード]である場合には、撮影映像信号VD及び等速化撮影映像信号CVDの内から等速化撮影映像信号CVDを選択し、これを撮影映像信号VSとして出力部46に供給する。一方、使用者によって指定されたモードが[スルーモード]である場合には、撮影映像信号VD及び等速化撮影映像信号CVDの内から撮影映像信号VDを選択し、これを撮影映像信号VSとして出力部46に供給する。
【0040】
等速化情報生成部47は、上記した等速化基準速度VREF、及び使用者によって指定されたモードが[等速化モード]及び[スルーモード]の内のいずれのモードであるのかを示すモード識別データMSを含む等速化情報ESを生成し、これを出力部46に供給する。
【0041】
出力部46は、セレクタ45から供給された撮影映像信号VSの各フレームに対応づけして、図4に示す如く、そのフレームに対応した撮影移動速度CS、音声信号AU及び撮影映像信号VSを多重化し、更に等速化情報ESを付加したものをコース撮影データFMDとして出力する。
【0042】
メモリ5は、例えば、半導体メモリ、光学式又は磁気式のディスク状記録媒体等からなり、出力部46から供給されたコース撮影データFMDを記憶する。
【0043】
ここで、車両1及び風景撮影部100による道路コースの撮影が終了すると、コース撮影データFMDが格納されたメモリ5を、図1に示すように風景映像表示部200に装着する。
【0044】
風景映像表示部200は、速度センサ6、再生処理部7、表示装置8及び再生操作部9からなる。
【0045】
速度センサ6は、トレーニングマシン10上に固定設置された自転車を使用者が実際に漕いだ際のタイヤの回転数(単位時間あたりの回転数)を測定することにより、この自転車によるトレーニング走行速度SSを求め、これを再生処理部7に供給する。
【0046】
再生操作部9は、使用者からのモード指定操作、すなわち[トレーニングモード]及び[ダイジェスト再生モード]の内の一方を指定する操作を受け付け、この操作によって指定されたモードを示すモード指定信号MODを再生処理部7に供給する。又、再生操作部9は、使用者からの再生速度指定操作を受け付け、この操作によって指定された再生速度に対応した走行速度を示すダイジェスト再生走行速度RSを再生処理部7に供給する。
【0047】
再生処理部7は、上記した[トレーニングモード]が指定されている場合には、メモリ5から読み出されたコース撮影データFMDに対して、上記トレーニング走行速度SSに対応した再生速度でその撮影映像を表示装置8の画面上で再生表示させるべき再生処理(後述する)を施す。これにより、トレーニングマシン10上に固定設置された自転車を使用者が実際に漕いだ際のトレーニング走行速度SSに追従した速度で、表示装置8の画面上に表示された道路コース上の風景が推移して行く。一方、[ダイジェスト再生モード]が指定されている場合には、再生処理部7は、メモリ5から読み出されたコース撮影データFMDに対して、使用者が指定したダイジェスト再生走行速度RSに対応した再生速度でその撮影映像を表示装置8の画面上で再生表示させるべき再生処理を施す。すなわち、[ダイジェスト再生モード]により、コース撮影データFMDに基づく撮影映像を、使用者が指定した任意の再生速度(早送り再生、スロー再生)で表示できるようになる。よって、使用者は、この[ダイジェスト再生モード]によって早送り再生又はスロー再生を行うことにより、コース撮影データFMDに基づく道路コースの撮影映像中から、トレーニングを実施したい区間を迅速に検索することが可能となる。これにより、使用者は、上記した[トレーニングモード]を利用して、表示映像中の道路コースの任意の区間だけを繰り返し、トレーニングの走行対象とする反復トレーニングを容易に実施することが可能となる。
【0048】
図5は、再生処理部7の内部構成の一例を示す図である。
【0049】
図5に示すように、再生処理部7は、データ分離部71、等速化処理部72、セレクタ73、速度比算出部74、速度追従フレームレート算出部75、動ベクトル検出部76、及び再生速度調整部77を含む。
【0050】
データ分離部71は、メモリ5から読み出されたコース撮影データFMD中から、上記した如き撮影映像信号VS、撮影移動速度CS、音声信号AU及び等速化情報ESを夫々分離する。データ分離部71は、かかる音声信号AUを再生速度調整部77に供給する。又、データ分離部71は、上記等速化情報ESにて示されるモード識別データMSをセレクタ73に供給すると共に、この等速化情報ESにて示される等速化基準速度VREFを速度比算出部74に供給する。更に、データ分離部71は、上記撮影映像信号VSを等速化処理部72及びセレクタ73に供給すると共に、上記撮影移動速度CSを等速化処理部72に供給する。
【0051】
等速化処理部72は、撮影移動速度CSに基づき、撮影映像信号VS及び対して、図2に示す速度比算出部41、等速化フレームレート算出部42、動ベクトル検出部43及びフレーム内挿補間部44による等速化処理と同様な処理を施す。
【0052】
すなわち、等速化処理部72は、先ず、所定の一定速度である等速化基準速度VREF(例えば5km/h)と、上記撮影移動速度CSとの速度比FSを以下の如く算出する。
FS=CS/VREF
【0053】
次に、等速化処理部72は、撮影映像信号VSのフレームレート、つまり撮影時のフレームレートFINと、上記速度比FSとに基づく下記の演算にて、等速化フレームレートFESを算出する。
ES=FS×FIN
【0054】
次に、等速化処理部72は、撮影映像信号VSにおける各フレーム毎に、そのフレーム内の移動物体に対する動きベクトルを検出し、その動きベクトルを表す動ベクトル信号MVを検出する。次に、等速化処理部72は、撮影映像信号VSに対して、等速化フレームレートFES及び動ベクトル信号MVに基づくフレーム内挿補間処理を施す。すなわち、先ず、撮影映像信号VSのフレームレートFINを等速化フレームレートFESに変換する際に必要となるフレーム数、つまり撮影映像信号VSにおける各フレーム間に挿入すべきフレーム数Nを以下の如く求める。
N=INT[(FES/FIN)−1]
【0055】
そして、等速化処理部72は、動ベクトル信号MVを参照した内挿補間演算により、撮影映像信号VSの各フレーム間に挿入すべきN個のフレームを夫々求め、これらを撮影映像信号VSの各フレーム間に挿入してなる系列を、撮影時の固定のフレームレートFINにて出力したものを等速化撮影映像信号VSDとし、これをセレクタ73に供給する。尚、等速化撮影映像信号VSDとは、車両1を等速化基準速度VREFで走行させた際にカメラ2において撮影して得られるであろう映像信号である。
【0056】
セレクタ73は、等速化情報ESに含まれるモード識別データMSに基づき、上記等速化撮影映像信号VSD及び撮影映像信号VSの内の一方を選択し、これを等速化映像信号VVとして動ベクトル検出部76及び再生速度調整部77に供給する。すなわち、セレクタ73は、モード識別データMSが[等速化モード]を示す場合、つまり、上記撮影映像信号VSが、前述した撮影映像処理部4において等速化処理済みのものである場合には、撮影映像信号VSの方を選択し、これを等速化映像信号VVとして動ベクトル検出部76及び再生速度調整部77に供給する。一方、モード識別データMSが[スルーモード]を示す場合、つまり上記撮影映像信号VSに等速化処理が施されていない場合には、セレクタ73は、等速化処理部72にて等速化処理の施された等速化撮影映像信号VSDの方を選択し、これを等速化映像信号VVとして動ベクトル検出部76及び再生速度調整部77に供給する。
【0057】
動ベクトル検出部76は、撮影映像信号VDにおける各フレーム毎に、そのフレーム内の移動物体に対する動きベクトルを検出し、その動きベクトルを表す動ベクトル信号MMVを再生速度調整部77に供給する。
【0058】
速度比算出部74は、再生操作部9から[ダイジェスト再生モード]を示すモード指定信号MODが供給された場合には、この再生操作部9から供給されたダイジェスト再生走行速度RSと、前述した如き等速化基準速度VREFとの速度比QSを以下の如く算出し、これを速度追従フレームレート算出部75に供給する。
QS=RS/VREF
【0059】
一方、再生操作部9から[トレーニングモード]を示すモード指定信号MODが供給された場合には、速度比算出部74は、図1に示す速度センサ6から供給されたトレーニング走行速度SSと、前述した如き等速化基準速度VREFとの速度比QSを以下の如く算出し、これを速度追従フレームレート算出部75に供給する。
QS=SS/VREF
【0060】
すなわち、速度比算出部74は、使用者によって[ダイジェスト再生モード]が指定された場合にはダイジェスト再生走行速度RSと等速化基準速度VREFとの速度比、[トレーニングモード]が指定された場合にはトレーニング走行速度SSと等速化基準速度VREFとの速度比を、速度比QSとして、速度追従フレームレート算出部75に供給するのである。
【0061】
速度追従フレームレート算出部75は、撮影映像信号VSのフレームレート、つまりフレームレートFINと、上記速度比QSとに基づく下記の演算にて、速度追従フレームレートQESを算出し、これを再生速度調整部77に供給する。
ES=QS×FIN
【0062】
すなわち、速度追従フレームレート算出部75は、トレーニングマシン10上の自転車によるトレーニング走行速度SS、または使用者によって指定されたダイジェスト再生走行速度RSに追従させた速度で、撮影映像を表示装置8の画面に表示させるべきフレームレートを表す速度追従フレームレートQESを再生速度調整部77に供給するのである。
【0063】
再生速度調整部77は、速度追従フレームレートQES及び動ベクトル信号MMVに基づき、上記した等速化映像信号VV及び音声信号AUに対して、映像の再生速度及び音声の再生速度を調整すべき再生速度調整処理を施し、この際得られた音声信号を出力音声信号AQ、映像信号を出力映像信号VQとして夫々表示装置8に供給する。表示装置8は、出力音声信号AQに応じた音声を音響出力させつつ、出力映像信号VQに応じた画像を表示する。
【0064】
以下に、再生速度調整部77による速度調整動作について説明する。
【0065】
再生速度調整部77は、先ず、上記した速度追従フレームレートQESに基づき、等速化映像信号VVにおけるフレーム系列中から、連続するK個のフレーム毎に「間引く」べきフレームの数Dを以下の如く求める。
K=INT[QES/FIN
D=K−1
【0066】
次に、再生速度調整部77は、等速化映像信号VVにおけるフレーム系列中から、連続するK個のフレーム毎にD個のフレームを間引き、残されたフレーム系列を固定のフレームレートFINにて出力したものを出力映像信号VQとして表示装置8に供給する。すなわち、再生速度調整部77は、等速化映像信号VVにおけるフレーム系列中から、連続するK個のフレーム毎に1つのフレームを抽出し、この抽出されたフレーム系列を固定のフレームレートFINにて出力したものを出力映像信号VQとして表示装置8に供給するのである。
【0067】
このような間引き処理により、等速化映像信号VVに対して、トレーニングマシン10上の自転車によるトレーニング走行速度SS、または使用者によって指定されたダイジェスト再生走行速度RSに追従した速度で撮影映像を表示装置8に表示させるべき再生速度調整処理が為される。
【0068】
例えば、図6に示すように、トレーニング走行速度SS(ダイジェスト再生走行速度RS)が20km/hとなる区間T1では、上記した如き等速化基準速度VREF:5km/hに対する速度比QSは、4.0倍となる。よって、速度追従フレームレートQESは、30fpsの4.0倍である120fpsとなる。そこで、再生速度調整部77は、図6に示す区間T1内では、図7(A)に示すように等速化映像信号VVによるフレーム系列中において連続する4フレーム毎に3フレーム分の間引きを行い、残ったフレームの系列をフレームレートFIN、つまり30fpsで出力したものを出力映像信号VQとして表示装置8に供給する。つまり、出力映像信号VQに応じて表示装置8で表示される映像は、等速化映像信号VVに基づく映像の4倍速映像となる。この際、等速化映像信号VVは、車両1が5km/hの速度で走行している際に撮影して得られることになる映像信号を表すものなので、その4倍速の映像とは20km/hの速度で走行している際に撮影された映像に相当する。従って、トレーニング走行速度SS(ダイジェスト再生走行速度RS)が20km/hとなる区間T1では、この20km/hの速度で走行している際に視覚されるであろう風景の映像が表示装置8において表示されるのである。
【0069】
又、図6において、トレーニング走行速度SS(ダイジェスト再生走行速度RS)が25km/hとなる区間T2では、上記した如き等速化基準速度VREF:5km/hに対する速度比QSは、5.0倍となる。よって、速度追従フレームレートQESは、30fpsの5.0倍である150fpsとなる。そこで、再生速度調整部77は、図6に示す区間T2内では、図7(B)に示すように等速化映像信号VVによるフレーム系列中において連続する5フレーム毎に4フレーム分の間引きを行い、残ったフレームの系列をフレームレートFIN、つまり30fpsで出力したものを出力映像信号VQとして表示装置8に供給する。つまり、出力映像信号VQに応じて表示装置8で表示される映像は、等速化映像信号VVに基づく映像の5倍速映像となる。この際、等速化映像信号VVは、車両1が5km/hの速度で走行している際に撮影して得られることになる映像信号を表すものなので、その5倍速の映像とは25km/hの速度で走行している際に撮影された映像に相当する。従って、トレーニング走行速度SS(ダイジェスト再生走行速度RS)が25km/hとなる区間T2では、この25km/hの速度で走行している際に視覚されるであろう風景の映像が表示装置8において表示されるのである。
【0070】
又、図6において、トレーニング走行速度SS(ダイジェスト再生走行速度RS)が10km/hとなる区間T3では、上記した如き等速化基準速度VREF:5km/hに対する速度比QSは、2.0倍となる。よって、速度追従フレームレートQESは、30fpsの2.0倍である60fpsとなる。そこで、再生速度調整部77は、図6に示す区間T3内では、図7(C)に示すように等速化映像信号VVによるフレーム系列中において連続する3フレーム毎に2フレーム分の間引きを行い、残ったフレームの系列をフレームレートFIN、つまり30fpsで出力したものを出力映像信号VQとして表示装置8に供給する。つまり、出力映像信号VQに応じて表示装置8で表示される映像は、等速化映像信号VVに基づく映像の2倍速映像となる。この際、等速化映像信号VVは、車両1が5km/hの速度で走行している際に撮影して得られることになる映像信号を表すものなので、その2倍速の映像とは10km/hの速度で走行している際に撮影された映像に相当する。従って、トレーニング走行速度SS(ダイジェスト再生走行速度RS)が10km/hとなる区間T3では、この10km/hの速度で走行している際に視覚されるであろう風景の映像が表示装置8において表示されるのである。
【0071】
ここで、再生速度調整部77は、音声信号AU中から、上記した如く間引いた映像フレーム各々に対応した部分を省いたものを、出力音声信号AQとして出力する。
【0072】
よって、上記再生速度調整部77を含む再生処理部7の動作によれば、[トレーニングモード]の場合、使用者がトレーニングマシン10上において自転車を漕いだ際のトレーニング走行速度SSと同一の走行速度で、撮影映像中に含まれる道路上を走行した場合に視覚されるであろう風景映像及び音声が表示及び音響出力される。一方、[ダイジェスト再生モード]の場合、使用者が指定した任意の再生速度(RS)にて、撮影された風景映像及び音声が表示及び音響出力される。
【0073】
この際、図1に示すトレーニング支援装置では、カメラ2にて撮影して得られた撮影映像信号VDに対して、その撮影時の移動速度(CS)に基づき、所定の一定速度(等速化基準速度VREF)で移動した場合に得られるであろう撮影映像信号(CVD又はVSD)を求めるべき等速化処理を施すようにしている。例えば、トレーニングマシン10において許容されているトレーニング走行速度、或いはダイジェスト再生で指定可能な最低速度が5km/hである場合、上記等速化基準速度VREFをこの最低速度である5km/hに設定する。これにより、撮影時の移動速度(CS)に拘わらず、単位距離移動あたりの撮影フレーム数が一定となり、そのフレーム数自体も比較的多めとなる。
【0074】
例えば、フレームレートFINが30fpsのカメラ2で道路上の風景を撮影するにあたり、その移動速度(CS)が15km/hとなる区間では、1mの移動毎に得られる撮影映像信号VDのフレーム数は7.2フレームとなり、移動速度(CS)が20km/hとなる区間ではそのフレーム数が5.4フレームに減少する。
【0075】
ところが、本発明によるトレーニング支援装置における等速化処理後の撮影映像信号(CVD又はVSD)では、撮影時の移動速度に拘わらず、1mの移動毎に得られるフレーム数は、前述したように21.6フレーム固定となる。
【0076】
よって、トレーニング走行速度、或いは使用者によって指定された任意の再生速度に追従させて撮影映像の再生速度を調整すべくフレームの間引き処理を行っても、コマ送りが生じない滑らかな映像を表示させることが可能となる。更に、道路コースの撮影を行うカメラとしては、例えば30fpsの固定フレームレートで撮影を行う、いわゆる市販のビデオカメラを改造することなくそのまま用いることができるので、トレーニング支援システム全体のコストを抑えることが可能となる。
【0077】
尚、上記実施例における再生速度調整部77では、映像の再生速度を高める調整として、等速化映像信号VVにフレームの間引き処理を施すようにしているが、この間引き処理を行わずに、等速化映像信号VVの出力フレームレートを変更するようにしても良い。すなわち、この際、再生速度調整部77は、等速化映像信号VVのフレームレートを、速度追従フレームレートQESに変換したものを出力映像信号VQとして表示装置8に供給する。
【0078】
又、上記実施例においては、自転車走行用のトレーニングマシン10を用いてその動作を説明したが、このトレーニングマシン10としては、トレッドミルによるランニング用トレーニングマシン、或いはローイングマシンであっても良い。
【0079】
又、上記実施例においては、風景撮影部100を搭載する移動体として車両1を採用しているが、自動車に限定されず、例えば、自転車又はモーターサイクルの如き二輪車又は三輪車であっても良い。この際、カメラ2で進行方向の風景が撮影できるように、風景撮影部100を自転車又はモーターサイクルのハンドル部に装着する。尚、車両走行センサ3としては、例えばタイヤの回転速度に基づき走行速度を検出するものを採用する。又、トレーニングマシン10がローイングマシンである場合には、風景撮影部を搭載する移動体として船舶を採用し、この船舶の先頭部に風景撮影部100のカメラ2を設置する。この際、車両走行センサ3としては、例えば水圧に基づき水上走行時の走行速度を検出し得るものを採用する。
【0080】
又、図1に示す実施例では、カメラ2による風景撮影中に得られた撮影映像信号VDを撮影映像処理部4によってリアルタイムで等速化処理を施すようにしているが、この撮影映像処理部4による等速化処理をリアルタイムではなく、撮影終了後の後処理として実施するようにしても良い。
【0081】
図8は、かかる点に鑑みて為されたトレーニング支援装置の変形例を示す図である。
【0082】
図8に示されるトレーニング支援装置では、図1に示す風景撮影部100に代えて風景撮影部300を採用し、撮影映像処理部4で実施される処理と同一処理を行う為のプログラムが記憶されている処理装置(例えばコンピュータ)400を備えた点を除く他の構成は図1に示すものと同一である。
【0083】
図8において、移動体としての車両1に搭載されている風景撮影部300は、カメラ2、車両走行センサ3、及びメモリ5からなる。
【0084】
カメラ2は、自転車の乗り手の視線で車両1前方における道路コース上の風景を、一定のフレームレートFIN(例えば30fps)で撮影して得られた撮影映像信号VDをメモリ5に供給する。更に、この間、カメラ2は、その内蔵マイク(図示せぬ)で集音した音を表す音声信号AUをメモリ5に供給する。
【0085】
車両走行センサ3は、車両1の現時点での走行速度、走行距離、走行中道路の勾配、風速を常時検出し、夫々の検出結果を表す車両走行データRDをメモリ5に供給する。
【0086】
メモリ5は、上記撮影映像信号VD、音声信号AU、及び車両走行データRDの各々を、同一の時間軸に対応づけした状態で記憶する。車両1及び風景撮影部300による道路コースの撮影が終了すると、撮影映像信号VD、音声信号AU及び車両走行データRDが格納されたメモリ5は、図8に示すように処理装置400に接続される。処理装置400は、メモリ5から、撮影映像信号VD、音声信号AU、及び車両走行データRD各々を読み出すと共に、撮影映像処理部4で実施される処理と同一処理を行うプログラムを起動する。これにより、処理装置400は、メモリ5から読み出された撮影映像信号VD、音声信号AU、及び車両走行データRD各々に対して前述した如き等速化処理を施し、コース撮影データFMDを得る。そして、処理装置400は、コース撮影データFMDをメモリ5に記憶させる。ここで、処理装置400による等速化処理の終了後、コース撮影データFMDが格納されたメモリ5を、図1に示すように風景映像表示部200に装着する。
【0087】
従って、図8に示す構成によれば、風景撮影部300の内部には図1に示す如き撮影映像処理部4が存在しないので、風景撮影部300の回路規模が小規模化すると共にその電力消費量が小となる。特に、風景撮影部300を搭載する移動体として、電源供給能力が無い自転車等が用いられる場合には、図1に示す構成を採用する場合に比して、バッテリの持続期間が長くなる、或いはバッテリの小型化を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0088】
2 カメラ
3 車両走行センサ
4 撮影映像処理部
5 メモリ
6 速度センサ
7 再生処理部
8 表示装置
41 速度比算出部
42 等速化フレームレート算出部
44 フレーム内挿補間部
77 再生速度調整部
100 風景撮影部
200 風景映像表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動運動用のトレーニングマシンの前方に設置された表示装置に風景映像を表示させるトレーニング支援装置であって、
移動体に設置されており、前記移動体外部の風景を撮影して撮影映像信号を得るカメラと、前記移動体の移動速度を検出する移動体速度センサと、前記撮影映像信号に対して、前記移動速度に応じて前記移動体による単位移動距離あたりのフレーム数を一定にすべきフレーム補間処理を施すことにより等速化撮影映像信号を得るフレーム補間部と、を含む風景撮影処理手段と、
前記等速化撮影映像信号に基づく映像を前記トレーニングマシンによるトレーニング速度に追従させた速さで表示せしめる風景映像表示処理手段と、を有することを特徴とするトレーニング支援装置。
【請求項2】
前記風景撮影処理手段は、前記移動速度と所定の基準速度との速度比を第1速度比として求める第1速度比算出部と、前記第1速度比に所定フレームレートを乗算した結果を等速化フレームレートして算出する等速化フレームレート算出部と、を更に備え、
前記フレーム補間部は、前記等速化フレームレートが大なるほど前記撮影映像信号における隣接フレーム間に挿入すべきフレーム数を多くすることを特徴とする請求項1記載のトレーニング支援装置。
【請求項3】
前記単位移動距離あたりのフレーム数は、前記トレーニングマシンの走行速度として許容されている最低速度に基づくフレーム数であることを特徴とする請求項1記載のトレーニング支援装置。
【請求項4】
前記所定フレームレートは、前記カメラによる撮影時のフレームレートと同一であることを特徴とする請求項2記載のトレーニング支援装置。
【請求項5】
前記風景映像表示処理手段は、前記トレーニングマシン上での走行速度を前記トレーニング速度として検出するトレーニング速度センサと、
前記トレーニング速度に応じて前記等速化撮影映像信号による映像の再生速度を調整したものを出力映像信号として前記表示装置に供給する再生速度調整部と、を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載のトレーニング支援装置。
【請求項6】
前記再生速度調整部は、前記トレーニング速度に応じて前記等速化撮影映像信号に対してフレーム間引き処理を施して得られたフレーム系列を所定フレームレートで出力したものを前記出力映像信号とすることを特徴とする請求項5記載のトレーニング支援装置。
【請求項7】
前記風景映像表示処理手段は、前記トレーニング速度と前記基準速度との速度比を第2速度比として求める第2速度比算出部と、前記第2速度比に前記所定フレームレートを乗算した結果を速度追従フレームレートして算出する速度追従フレームレート算出部と、を更に備え、
前記再生速度調整部は、前記等速化撮影映像信号中において前記速度追従フレームレートに基づく数だけ連続したフレーム毎に1つのフレームを抽出してなるフレーム系列を、前記所定フレームレートで出力したものを前記出力映像信号とすることを特徴とする請求項6記載のトレーニング支援装置。
【請求項8】
前記風景映像表示処理手段は、前記トレーニング速度と前記基準速度との速度比を第2速度比として求める第2速度比算出部と、前記第2速度比に所定フレームレートを乗算した結果を速度追従フレームレートして算出する速度追従フレームレート算出部と、を更に備え、
前記再生速度調整部は、前記等速化撮影映像信号における各フレームを前記速度追従フレームレートで出力したものを前記出力映像信号とすることを特徴とする請求項5記載のトレーニング支援装置。
【請求項9】
前記所定フレームレートは、前記カメラによる撮影時のフレームレートと同一であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1に記載のトレーニング支援装置。
【請求項10】
任意の再生速度を指定する再生速度指定操作を受け付ける再生操作部を更に備え、
前記風景映像表示処理手段は、前記等速化撮影映像信号に基づく映像を前記再生速度指定操作によって指定された再生速度で表示せしめることを特徴とする請求項1記載のトレーニング支援装置。
【請求項11】
前記再生操作部は、トレーニングモード及びダイジェスト再生モードの内の一方のモードを指定するモード指定操作を更に受け付け、
前記風景映像表示処理手段は、前記モード指定操作によって前記トレーニングモードが指定された場合には前記等速化撮影映像信号に基づく映像を前記トレーニング速度に追従させた再生速度で表示せしめる一方、前記モード指定操作によって前記ダイジェスト再生モードが指定された場合には前記等速化撮影映像信号に基づく映像を前記再生速度指定操作によって指定された再生速度で表示せしめることを特徴とする請求項11記載のトレーニング支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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