説明

トレーニング装置、プログラムおよびトレーニングシステム

【課題】トレーニング用のコンテンツファイルを簡易に作成する。
【解決手段】入力装置における操作の対象となる操作対象情報と、操作の契機となる契機事象を表した動画像データまたは静止画像データと音声データとを含むコンテンツファイルと、を有して前記入力装置における操作が正しいことの判定に用いるデータレコードに従って、入力装置における操作をユーザにトレーニングさせるトレーニング装置において、入力装置における操作に用いる操作対象情報を選択可能に表示する表示制御手段と、選択された操作対象情報に対して音声合成を施し、音声データに対する部分的な差し替え対象となる合成音声データを生成する音声合成手段と、音声データに対して合成音声データを差し替える音声差し替え手段と、操作対象情報および合成音声データを部分的に差し替えた音声データを含むコンテンツファイルを、データレコードとして記憶する情報記憶手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、トレーニング装置、プログラムおよびトレーニングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばファミリーレストランや居酒屋等の多くの飲食店では、メニュー品目の注文の受付業務や会計業務などの種々の業務に関する処理を実行する処理装置が利用されている。このような処理装置では、店員等のユーザの操作を入力装置で入力し、その入力された操作に応じた処理を実行する。
【0003】
具体的には、飲食店で使用されるシステムの場合、上記の入力装置および処理装置はそれぞれ、例えばオーダー端末およびステーション(サーバ)である。そしてこの場合にオーダー端末では、顧客により注文されたメニュー品目を指定する操作を入力する。オーダー端末は、入力した操作に基づいて注文されたメニュー品目のリストを含んだ受注情報を生成し、それをステーションに送信する。ステーションは、受注情報に基づいて、調理指示伝票の作成や売上管理処理などを行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来、ユーザの入力装置での操作に関する習熟は、実際の業務の中で図られるか、あるいは別の店員が顧客を演ずるなどして形成された模擬的な業務の中で図られていた。
【0005】
このような事情から、入力装置における操作の習熟を簡易に図ることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のトレーニング装置は、入力装置における操作の対象となる操作対象情報と、操作の契機となる契機事象を表した動画像データまたは静止画像データと音声データとを含むコンテンツファイルと、を有して前記入力装置における操作が正しいことの判定に用いるデータレコードに従って、前記入力装置における操作をユーザにトレーニングさせるトレーニング装置において、前記操作対象情報を選択可能に表示する表示制御手段と、選択された前記操作対象情報に対して音声合成を施し、前記音声データに対する部分的な差し替え対象となる合成音声データを生成する音声合成手段と、前記音声データに対して前記合成音声データを差し替える音声差し替え手段と、前記操作対象情報および前記合成音声データを部分的に差し替えた音声データを含む前記コンテンツファイルを、前記データレコードとして記憶する情報記憶手段と、を備える。
【0007】
また、実施形態のプログラムは、入力装置における操作の対象となる操作対象情報と、操作の契機となる契機事象を表した動画像データまたは静止画像データと音声データとを含むコンテンツファイルと、を有して前記入力装置における操作が正しいことの判定に用いるデータレコードに従って、前記入力装置における操作をユーザにトレーニングさせるトレーニング装置を制御するコンピュータを、前記操作対象情報を選択可能に表示する表示制御手段と、選択された前記操作対象情報に対して音声合成を施し、前記音声データに対する部分的な差し替え対象となる合成音声データを生成する音声合成手段と、前記音声データに対して前記合成音声データを差し替える音声差し替え手段と、前記操作対象情報および前記合成音声データを部分的に差し替えた音声データを含む前記コンテンツファイルを、前記データレコードとして記憶する情報記憶手段と、として機能させる。
【0008】
また、実施形態のトレーニングシステムは、少なくとも1つのサーバ装置と端末装置とを含み、入力装置における操作の対象となる操作対象情報と、操作の契機となる契機事象を表した動画像データまたは静止画像データと音声データとを含むコンテンツファイルと、を有して前記入力装置における操作が正しいことの判定に用いるデータレコードに従って、前記入力装置における操作をユーザにトレーニングさせるトレーニングシステムであって、前記入力装置における操作に用いる操作対象情報を選択可能に表示する表示制御手段と、選択された前記操作対象情報に対して音声合成を施し、前記音声データに対する部分的な差し替え対象となる合成音声データを生成する音声合成手段と、前記音声データに対して前記合成音声データを差し替える音声差し替え手段と、前記操作対象情報および前記合成音声データを部分的に差し替えた音声データを含む前記コンテンツファイルを、前記データレコードとして記憶する情報記憶手段と、を備え、かつ前記サーバ装置は、前記表示制御手段と、前記音声合成手段と、前記音声差し替え手段と、前記情報記憶手段との少なくとも一つを備え、前記端末装置は、前記表示制御手段と、前記音声合成手段と、前記音声差し替え手段と、前記情報記憶手段とのうちの前記サーバ装置に備えられないものを備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本実施形態に係る注文処理システムの構成を示すシステム構成図である。
【図2】図2は、情報端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、メニュー品目に関するデータベースのデータ構造を示す図である。
【図4】図4は、トレーニングコースデータベースの一例を模式的に示す図である。
【図5】図5は、トレーニング状況データベースの一例を模式的に示す図である。
【図6】図6は、トレーニング処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図7は、コース選択画像を含んだ表示画面の一例を示す正面図である。
【図8】図8は、トレーニング画像を含んだ表示画面の一例を示す正面図である。
【図9】図9は、再表示されたコース選択画像を含んだ表示画面の一例を示す正面図である。
【図10】図10は、コンテンツファイル作成処理における機能構成を示す機能ブロック図である。
【図11】図11は、コンテンツファイル作成画面の一例を示す正面図である。
【図12】図12は、コンテンツファイル作成処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】図13は、コンテンツファイル作成の具体例を示す模式図である。
【図14】図14は、クラウドシステムを利用するトレーニングシステムの構成を示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る注文処理システム100の構成を示すシステム構成図である。この注文処理システム100は、飲食店や販売店などのような顧客の注文に応じて飲食サービスや商品販売サービスを提供する様々な施設で利用可能である。ただし以下においては、飲食店での利用に適応するものとして構成された注文処理システム100について説明することとする。
【0012】
注文処理システム100は、複数の情報端末1、複数のハンディ端末2、複数の伝票プリンタ3およびステーション4をLAN(Local Area Network)5にそれぞれ接続している。ただし、ハンディ端末2は、無線アクセスポイント6を介してLAN5に接続される。情報端末1、ハンディ端末2および伝票プリンタ3は、図1では2つずつを図示しているが、その数はそれぞれに任意である。情報端末1、ハンディ端末2および伝票プリンタ3は、1つのみが設けられても良い。
【0013】
情報端末1は、PC(Personal Computer)やPOS(Point of Sales)端末などであり、例えば接客フロアやチェックアウトカウンタに設置される。情報端末1は、顧客に対する案内業務、受注業務、給仕(配膳)業務、あるいは会計業務など各種の業務に関する処理を行う。そして、接客フロアに設置された情報端末1においては、案内業務、受注業務および給仕(配膳)業務に関する処理が主として利用される。また、チェックアウトカウンタに設置された情報端末1においては、さらに会計業務に関する処理が利用される。なお、情報端末1は、上記の業務の一部のみに関する処理を行うことにより、特定の用途に特化したものとしても良い。情報端末1のうちの少なくとも1つは、後述するトレーニング処理を実行する機能を備え、トレーニング装置として機能する。
【0014】
ハンディ端末2は、ソフトキーやハードキーなどの操作キーが複数配列されたユーザインタフェースを備え、このユーザインタフェースによりオーダー入力のためのユーザの操作を入力する入力装置として機能する。ハンディ端末2は、入力した操作に従ってオーダー情報を生成し、このオーダー情報を無線送信する。ハンディ端末2から無線送信されたオーダー情報は、無線アクセスポイント6およびLAN5を介してステーション4に伝送される。
【0015】
伝票プリンタ3は、例えば接客フロアやキッチンに設置される。接客フロアに設置された伝票プリンタ3は、受注情報に基づく注文伝票を顧客のために印刷する。すなわち、接客フロアに設置された伝票プリンタ3は、いわゆるカスタマープリンタとして利用される。またキッチンに設置された伝票プリンタ3は、受注情報に基づく調理指示伝票を調理人のために印刷する。すなわち、キッチンに設置された伝票プリンタ3は、いわゆるキッチンプリンタとして利用される。
【0016】
ステーション4は、例えばバックヤードに設置され、情報端末1から送信された各種の情報を集計処理し、飲食店の営業に拘わる管理業務に関する処理を行う。また、ステーション4は、複数の情報端末1で共通に利用される情報の管理処理も行う。
【0017】
概略的には、注文処理システム100においては、情報端末1やハンディ端末2でオーダー入力のための操作をユーザが行うと、その操作に応じて情報端末1やハンディ端末2で生成されたオーダー情報がLAN5を介してステーション4に伝送される。ステーション4は、到来したオーダー情報を、会計処理や集計処理などのために管理する。またステーション4は、LAN5を介して伝票プリンタ3へとオーダー情報を送信する。伝票プリンタ3は、到来したオーダー情報に応じた内容の調理指示伝票や注文伝票を印刷する。
【0018】
次に、情報端末1について詳述する。ここで、図2は情報端末1のハードウェア構成を示すブロック図である。図2に示すように、情報端末1は、表示器である液晶ディスプレイ(LCD)1a、表示コントローラ1b、スピーカ1c、サウンドコントローラ1d、タッチパネル1e、タッチパネルコントローラ1f、周辺機器インタフェース(周辺機器I/F)1g、通信インタフェース(通信I/F)1h、ROM(Read Only Memory)1i、RAM(Random Access Memory)1j、HDD(Hard Disk Drive)1kおよびCPU(Central Processing Unit)1mを含む。
【0019】
表示コントローラ1b、サウンドコントローラ1d、タッチパネルコントローラ1f、周辺機器インタフェース1g、通信インタフェース1h、ROM1i、RAM1j、HDD1kおよびCPU1mは、バスラインにそれぞれ接続されている。LCD1a、スピーカ1cおよびタッチパネル1eは、表示コントローラ1b、サウンドコントローラ1dおよびタッチパネルコントローラ1fにそれぞれ接続されている。
【0020】
表示コントローラ1bは、CPU1mの制御の下に転送されてくる画像データに応じた画像が表示されるようにLCD1aを駆動する。LCD1aは、表示コントローラ1bにより駆動されて画像を表示する。
【0021】
サウンドコントローラ1dは、CPU1mの制御の下に転送されてくる音声データに応じた音声が再生されるようにスピーカ1cを駆動する。スピーカ1cは、サウンドコントローラ1dにより駆動された音声を再生する。
【0022】
タッチパネル1eは、LCD1aの表示面に積層配置されている。タッチパネル1eは、LCD1aの表示画面へのユーザによるタッチがなされた際に、そのタッチ位置に応じた検出信号を出力する。タッチパネルコントローラ1fは、タッチパネル1eから出力された検出信号に基づいて上記のタッチ位置を表す座標情報を求め、この座標情報をCPU1mへ送る。このようなタッチパネル1eは、トレーニングの実行時には、トレーニングのためのユーザの操作を入力する入力デバイスの1つとして利用される。
【0023】
周辺機器インタフェース1gには、プリンタ7や客面表示装置8などの周辺機器が必要に応じて接続される。周辺機器インタフェース1gは、接続されている周辺機器と通信する。周辺機器インタフェース1gとしては、USB(Universal Serial Bus)の汎用規格に準拠したインタフェース回路などを利用できる。なお、プリンタ7は、受注伝票、領収伝票あるいは各種のジャーナルなどを印刷するために利用される。客面表示装置8は、会計結果や広告情報などを顧客に提示するための画像を表示するために利用される。プリンタ7および客面表示装置8の少なくとも一方は、情報端末1に内蔵されていても良い。
【0024】
通信インタフェース1hは、伝票プリンタ3およびステーション4とLAN5を介して通信する。通信インタフェース1hとしては、イーサネット(登録商標)などの汎用規格に準拠したインタフェース回路などを利用できる。
【0025】
ROM1iは、CPU1mの処理手順を記述したプログラムや、CPU1mが各種の処理を実行する上で必要なデータなどを記憶している。
【0026】
RAM1jは、CPU1mが各種の処理を実行する上で必要なデータを必要に応じて記憶する。例えばRAM1jには、LCD1aで表示する画像を表す画像情報を記憶する。またRAM1jは、CPU1mが各種の処理を行う際のワークエリアとしても利用される。
【0027】
HDD1kは、CPU1mの処理手順を記述したプログラムや、CPU1mが各種の処理を実行する上で必要なデータなどを記憶する。HDD1kは、注文処理システム100が設置されている飲食店で提供されるメニュー品目に関するデータベース60(図3参照)を記憶する。また、CPU1mが各種の処理を実行する上で必要なデータとして、HDD1kは、詳細は後述するが、ハンディ端末2におけるユーザインタフェースを摸した入力インタフェース画像22(図7参照)のデータを記憶する。
【0028】
ここで、図3はメニュー品目に関するデータベース60のデータ構造を示す図である。図3に示すように、メニュー品目に関するデータベース60は、コード60aに対応させて、部門60b、割付60c、メニュー名60d、単価60e、メニュー名(カナ)60fを記憶している。部門60b、割付60c、メニュー名60d、単価60eは、ハンディ端末2においてメニュー品目のオーダーを受け付けるために表示されるメニューボタン(図示せず)を定義する定義情報であるとともに、入力インタフェース画像22(図7参照)においてメニュー品目のオーダーを受け付けるために表示されるメニューボタン72a(図7参照)を定義する定義情報である。また、メニュー名(カナ)60fは、後述する音声合成に用いる情報である。このメニュー品目に関するデータベース60は、複数の属性を有するメニュー品目の属性をメニュー品目毎に記憶した記憶部である。
【0029】
コード60aに登録されているレコードは、4桁の数字で表現されている。部門60bに登録されているレコードは、部門ファイル(図示せず)中の部門に登録されているレコードで定義されている部門を表している。割付60cには、コード60aに登録されているレコードで定義されるハンディ端末2のメニューボタンおよび入力インタフェース画像22のメニューボタン72aの割付位置が登録されている。なお、割付60cに割付位置が登録されていないコード60aにより定義された部門60bのメニュー品目は、ハンディ端末2のメニューボタンおよび入力インタフェース画像22のメニューボタン72aに表示されないものとする。メニュー名60dには、コード60aに登録されているレコードで定義されるメニュー品目の品名のテキストが登録されている。また、単価60eには、コード60aに登録されているレコードで定義されるメニュー品目の単価のレコードが定義されている。メニュー名(カナ)60fには、コード60aに登録されているレコードで定義されるメニュー品目の品名の読み仮名のテキスト情報が登録されている。
【0030】
これまで説明した図3を参照すると分かるように、コード「0008」は、部門「01」の「冷奴」を定義しており、メニューボタン「1」に割り付けられていて、「¥380」という単価を設定している。コード「0013」は、部門「01」の「皮つきポテトフライ」を定義しており、メニューボタン「9」に割り付けられていて、「¥380」という単価を設定している。また、「皮つきポテトフライ」は、「カワツキポテトフライ」という読み仮名である。
【0031】
加えて、HDD1kは、トレーニングコースデータベース、トレーニング状況データベース、後述するトレーニング処理に際して再生する複数のコンテンツファイルを記憶する。コンテンツファイルは、多数の画像フレームで構成される動画像データを含む動画像ファイルと、当該動画像データに同期する音声データを含む音声ファイルとを含んでいる。
【0032】
CPU1mは、ROM1iやHDD1kに記憶されたプログラムに従って、前述した各種の業務に関する各種の処理や、後述するトレーニング処理およびトレーニング処理に際して再生するコンテンツファイル作成処理を実行する。
【0033】
なお、情報端末1は、ROM1iやHDD1kにプログラムが記憶された状態にて販売や譲渡がなされても良いし、記憶媒体に記憶された状態や通信回線を介した通信により販売または譲渡されたプログラムが任意に情報端末1にインストールされても良い。なお、上記の記憶媒体としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、あるいは半導体メモリなどのあらゆる種類のものを利用できる。
【0034】
次に、HDD1kに記憶されるトレーニングコースデータベースについて説明する。ここで、図4はトレーニングコースデータベースの一例を模式的に示す図である。
【0035】
図4に示すように、トレーニングコースデータベースは、複数のトレーニングコースのそれぞれに対応する内容を記述したデータレコードを含む。各データレコードには、タイトル、所要時間、クラス、コンテンツファイル名および規定注文品目に関する情報フィールドが含まれる。タイトルに関する情報フィールドに記述される情報は、トレーニングコースを識別するためのタイトルを表す。所要時間に関する情報フィールドに記述される情報は、各トレーニングの所要時間を表す。クラスに関する情報フィールドに記述される情報は、難易度などを表す情報を表す。コンテンツファイル名に関する情報フィールドに記述される情報は、使用するべきコンテンツファイルの識別名を表す。規定注文品目に関する情報フィールドに記述される情報は、注文品目として入力されるべき品目を表す。
【0036】
次に、HDD1kに記憶されるトレーニング状況データベースについて説明する。ここで、図5はトレーニング状況データベースの一例を模式的に示す図である。
【0037】
図5に示すようにトレーニング状況データベースは、複数のユーザ(ここでは店員)のそれぞれに対応するトレーニング状況を記述したデータレコードを含む。各データレコードは、ユーザ名、トレーニングコース毎の済みフラグ、習熟レベルに関する情報フィールドを含む。ユーザ名に関する情報フィールドに記述される情報は、ユーザを識別するための名称を表す。済みフラグは、トレーニングコース毎のトレーニングの終了状況を0(未終了)および1(終了)のいずれかで表す。習熟レベルに関する情報フィールドに記述される情報は、ハンディ端末2の操作についての習熟度合いを表す習熟レベルを表す。
【0038】
次に、情報端末1のCPU1mがROM1iやHDD1kに記憶されたプログラムに従って実行する各種の処理のうち、トレーニング処理を中心に、注文処理システム100の動作について説明する。
【0039】
一般的に、飲食店のオーダー業務で使われるようなハンディ端末2の操作に関する習熟は、実際の業務の中で図られるか、あるいは別の店員が顧客を演ずるなどして形成された模擬的な業務の中で図られていた。一方で、実際の業務中や別の店員が顧客を演ずるなど以外の方法で、ハンディ端末2の操作に関する操作の習熟を簡易に図るとともに、操作の習熟度を継続的に維持することが望まれていた。そこで、情報端末1は、オーダー用の動画とハンディ端末2の操作画面を表示し、動画に沿ってハンディ端末2の操作画面を操作し、動画に従った操作を行っているか否かを判断し、判断の結果を表示するようにしたものである。
【0040】
さて、ハンディ端末2での操作をトレーニングしたい場合にユーザは、情報端末1が備えるトレーニング機能を利用できる。このトレーニング機能の起動がユーザにより要求された情報端末1では、CPU1mが図6に示すようなトレーニング処理を実行する。
【0041】
情報端末1のCPU1mは、ユーザを認証すると(ステップSa1)、コース選択画像を生成し、このコース選択画像を表示するように表示コントローラ1bに対して指示する(ステップSa2)。この指示に応じて表示コントローラ1bは、該当するコース選択画像を表示するようにLCD1aを駆動する。
【0042】
ここで、図7はコース選択画像20を含んだ表示画面の一例を示す正面図である。図7に示すように、コース選択画像20は、コース一覧画像21、入力インタフェース画像22および案内画像23を含む。
【0043】
コース一覧画像21は、トレーニングコースデータベースに登録されているトレーニングコースの一覧を示す。図7の例においてコース一覧画像21は、各トレーニングコースの動画サムネイル21a,21b,21c,21d,21e,21f,21g,21h,21iを含む。コース一覧画像21は、動画サムネイル21a〜21iのそれぞれの下方に、各トレーニングコースのタイトルおよび所要時間を表すテキストを含む。そしてコース一覧画像21は、各動画サムネイル21a〜21iを、各トレーニングコースのクラス毎に区分けして示す。
【0044】
さらに、コース一覧画像21には、ステップSa1で認証したユーザに関してトレーニング状況データベースに記述された済みフラグが「1」となっているトレーニングコースの動画サムネイルに重ねた状態で、トレーニングが終了していることを表す済みマーク21jを含む。図4に示すトレーニング状況データベースでは、「店員A」なるユーザに関して済みフラグが「1」となっているのが「1人客」「テイクアウト」「ファミリー」および「身だしなみ」の各トレーニングコースである。図7においてはこれに従って、「1人客」「テイクアウト」「ファミリー」および「身だしなみ」の各トレーニングコースに関する動画サムネイル21a,21b,21c,21hにそれぞれ重ねた状態の済みマーク21jを含む。
【0045】
入力インタフェース画像22は、ハンディ端末2におけるユーザインタフェースの外観を摸した画像である。案内画像23は、ユーザの習熟レベルを表す文字列23aおよびマーク23bを含む。
【0046】
図6のフローチャートに戻り、情報端末1のCPU1mは、ユーザ操作に応じてトレーニングコースの1つを選択する(ステップSa3)。具体的には、コース一覧画像21に含まれた動画サムネイルのうちの1つをタッチする操作をユーザが行ったことに応じて、CPU1mはそのタッチされた動画サムネイルに関するトレーニングコースを選択する。例えば図7中の動画サムネイル21dの表示領域をタッチする操作がユーザにより行われたならば、CPU1mはタイトルが「2人客」であるトレーニングコースを選択する。
【0047】
続いて、情報端末1のCPU1mは、選択したトレーニングコースに対応する動画像の表示を開始する(ステップSa4)。例えばタイトルが「2人客」であるトレーニングコースを選択しているならば、CPU1mはトレーニングコースデータベースに従って動画像ファイルおよび音声ファイルのコンテンツファイル名として「Futari」を取得し、このファイル名でHDD1kに記憶されているコンテンツファイル(動画像ファイル)に基づく動画像を含んだトレーニング画像を生成し、このトレーニング画像を表示するように表示コントローラ1bに対して指示する。この指示に応じて表示コントローラ1bは、該当するトレーニング画像を表示するようにLCD1aを駆動する。なおCPU1mは、コンテンツファイル(音声ファイル)に含まれた音声データに応じた音声を再生するようにサウンドコントローラ1dに対して指示する。この指示に応じてサウンドコントローラ1dは、該当する音声を再生するようにスピーカ1cを駆動する。
【0048】
ここで、図8はトレーニング画像30を含んだ表示画面の一例を示す正面図である。図8に示すように、トレーニング画像30は、コース選択画像20に、コース一覧画像21に重なる状態でプレーヤ画像31を含む。プレーヤ画像31は、動画像31aを含む。なお、CPU1mは、コンテンツファイルを構成する多数の画像フレームを一定の時間間隔で1つずつ順次に表示対象として選択し、動画像31aをその表示対象とした画像フレームに自動的に変更して行く。コンテンツファイルが表す動画像および音声は、ハンディ端末2においてメニュー品目の入力のための操作をユーザが行うべき契機となる経時的な複数の事象を表したものである。当該動画像および音声は具体的には、顧客が注文する様子を撮影したものや、同様な様子を表したアニメーションなどである。
【0049】
ユーザは、LCD1aで表示される動画像およびスピーカ1cで再生される音声に応じて、入力インタフェース画像22上に配置されたメニュー品目のボタンをタッチすることによって注文されたメニュー品目を入力するための品目入力操作を行う。品目入力操作は、既に入力したメニュー品目をキャンセルする操作も含む。そしてユーザは、注文されたメニュー品目の全ての入力を完了したと考えるときに、入力インタフェース画像22中に配置された送信ボタン22aをタッチするなどの終了操作を行う。
【0050】
そこでステップSa5およびステップSa6においてCPU1mは、品目入力操作または終了操作がなされるのを待ち受ける。そして品目入力操作が行われたならば、CPU1mはステップSa5からステップSa7へ進む。なお、動画像の再生が終了した時点またはそれから一定時間が経過した時点として予め定めた終了タイミングまでに終了操作がなされなかった場合にも、CPU1mはステップSa5からステップSa7へ進むようにしても良い。
【0051】
ステップSa7においてCPU1mは、品目入力操作に応じて注文品目リストを更新する。すなわちCPU1mは、メニュー品目の追加を指定する品目入力操作が行われたならば、該当するメニュー品目を追加するように注文品目リストを更新する。またCPU1mは、メニュー品目のキャンセルを指定する品目入力操作が行われたならば、該当するメニュー品目を除外するように注文品目リストを更新する。
【0052】
ステップSa8においてCPU1mは、操作履歴情報を更新する。なおCPU1mは、今回のトレーニング処理の中で初めてステップSa8に進んだ場合には、操作履歴情報を新たに生成する。操作履歴情報は、ユーザが行った操作のそれぞれに関する操作情報を含んだ情報である。操作情報は、操作の内容と、操作が行われたタイミングとを少なくとも示す。つまり操作情報は例えば、入力インタフェース画像22中のどのボタンが、トレーニング中のどのタイミングで押されたのかを表す。CPU1mは、操作履歴情報をRAM1jまたはHDD1kに記憶させる。そしてこののちにCPU1mは、ステップSa5およびステップSa6の待ち受け状態に戻る。
【0053】
ステップSa5およびステップSa6の待ち受け状態にあるときに終了操作がなされたならばCPU1mは、ステップSa6からステップSa9へ進む。
【0054】
ステップSa9においてCPU1mは、注文品目リストに含まれているメニュー品目の全てが、現在選択しているトレーニングコースに関してトレーニングコースデータベースに記述された規定注文品目に含まれているメニュー品目と一致するか否かを確認する。そして全てのメニュー品目が一致したならば、CPU1mはステップSa9からステップSa10へ進む。
【0055】
ステップSa10においてCPU1mは、現在選択しているトレーニングコースおよびステップSa1で認証したユーザに関してトレーニング状況データベースに含まれた済みフラグを「1」にする。
【0056】
ステップSa11においてCPU1mは、ステップSa1で認証したユーザに関するトレーニングの進捗度を算出する。進捗度は、予め定められた任意のルールに基づいて算出されれば良い。例えば、進捗度は、済みフラグが「1」となっているトレーニングコースの数として求めることができる。この場合、トレーニング状況データベースが図4に示す状態であるならば、ユーザ「店員A」についての進捗度は「4」となる。あるいは、トレーニングコースの難易度に応じた係数を済みフラグに乗じて求まる値の総和として進捗度を求めることができる。すなわち、例えば各トレーニングコースのクラスに応じて、「初級」「中級」「上級」「マナー」に関する係数をそれぞれ「1」「2」「3」「1」とするならば、トレーニング状況データベースが図4に示す状態であるならば、「店員A」なるユーザについての進捗度は「5」となる。
【0057】
ステップSa12においてCPU1mは、進捗度に応じて習熟レベルを判定し、それをトレーニング状況データベースに反映する。具体的には、進捗度と習熟レベルとの対応関係を予め定めておく。なお習熟レベルとは、「アルバイト初級」や「アルバイト中級」などのように習熟の度合いをユーザが認識できるような指標である。そしてCPU1mは例えば、進捗度が上昇しても習熟レベルが変化しないならば、トレーニング状況データベースには何ら変更を加えない。しかしながらCPU1mは例えば、進捗度が上昇したことによって新たな習熟レベルに到達したならば、トレーニング状況データベースの習熟レベルに関する情報フィールドの記述を変更する。より具体的には、ユーザ「店員A」がトレーニングコース「2人客」を正しく完了したことによって当該ユーザの習熟レベルが「アルバイト中級」であるとCPU1mが判定したとする。この場合にCPU1mは、ユーザ名の情報フィールドに「店員A」と記述されたデータレコードにおける習熟レベルに関する情報フィールドの記述を、例えば図4に示す「アルバイト初級」から「アルバイト中級」に変更するようにトレーニング状況データベースを更新する。
【0058】
こののちにCPU1mは、ステップSa2に戻り、コース選択画像を再表示する。このときにCPU1mは、最新のトレーニング状況データベースに記述された情報に基づいてコース選択画像を生成する。このため、例えば上記具体例のようにトレーニング状況データベースが更新されているならば、再表示されるコース選択画像は図9に示すような画像である。図9に示すコース選択画像40は、コース一覧画像41が、動画サムネイル21dに重ねた状態の済みマーク21jを含む点でコース一覧画像21とは異なる。またコース選択画像40は、案内画像42が、変化後の習熟レベルを表す文字列42aおよびマーク42bを含む点で案内画像23と異なる。
【0059】
ところで、ステップSa9においてメニュー品目の不一致が見つかったならば、CPU1mはステップSa9からステップSa2へ戻る。この場合には、トレーニング状況データベースが更新されないため、例えば図7に示すコース選択画像20が再表示される。
【0060】
以上のように、飲食店等のオーダー業務で使われるハンディ端末2の操作方法などを学習するための方法として、オーダー用の動画とハンディ端末2におけるユーザインタフェースを摸した入力インタフェース画像22(操作画面)を情報端末1に表示し、動画に沿ってハンディ端末2の操作画面を操作し、動画に従った操作を行っているか否かを判断し、判断の結果を表示することで、ユーザは、他人に手間を掛けること無しに、ハンディ端末2の操作をトレーニングすることができる。
【0061】
次に、情報端末1のCPU1mがROM1iやHDD1kに記憶されたプログラムに従って実行する各種の処理のうち、情報端末1の特徴的な機能を実現するトレーニング処理に際して再生するコンテンツファイル作成処理について説明する。
【0062】
上述したように、注文処理システム100(情報端末1)においては、トレーニング画像30のプレーヤ画像31によって注文するメニューを読み上げ、その注文メニューに従って情報端末1に表示された入力インタフェース画像22を用いて実際に操作を行うことでトレーニングを実施している。しかしながら、トレーニング画像30のプレーヤ画像31となる動画像31aや音声の基となるコンテンツファイルを作成する場合、店舗毎の運用に合わせて店舗毎にトレーニング用のコンテンツファイルを作成するのはマンパワー面、コスト面から現実的ではない。
【0063】
そこで、上述したような問題を解決するために、注文処理システム100(情報端末1)においては、トレーニングシーンに応じて動画像や音声を録るのではなく、音声合成エンジンを用いて生成した合成音声をベースとなる音声データに嵌め込み、当該音声データとベースとなる映像データと同期させることにより、店舗毎の運用に合わせたトレーニング用のコンテンツファイルを簡易に作成することができるようにしている。
【0064】
ここで、図10はコンテンツファイル作成処理における機能構成を示す機能ブロック図である。情報端末1のCPU1mで実行されるプログラムは、図10に示すような各部(音声合成手段52、音声割当位置決定手段53、音声差し替え手段54、表示制御手段55、情報記憶手段56)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU1mがROM1iまたはHDD1kからプログラムを読み出して実行することにより上記各部がRAM1j上にロードされ、音声合成手段52、音声割当位置決定手段53、音声差し替え手段54、表示制御手段55、情報記憶手段56がRAM1j上に生成されるようになっている。
【0065】
音声合成手段52は、テキスト情報を音声波形に変換出力する音声合成処理を実行する音声合成エンジンである。より詳細には、音声合成手段52は、例えば、テキスト情報に含まれる単語に発音記号を割り当て、発音記号と韻律情報を組み合わせて記号化言語表現を作成する。加えて、音声合成手段52は、記号化言語表現を元に、より自然な音声にするため韻律などの音声の調整を行い、実際の音声データを出力する。
【0066】
音声割当位置決定手段53は、ベースとなるコンテンツファイルの動画像データに同期する音声データに対する部分的な差し替え対象となる音声合成手段52によって音声合成される音声データの割り当て位置を決定する。なお、ベースとなるコンテンツファイルにおいては、シナリオの中でカスタマイズが見込まれる部分(時間情報)を予め決めておく。
【0067】
音声差し替え手段54は、音声割当位置決定手段53によって決定されたベースとなるコンテンツファイルの動画像データに同期する音声データの割り当て位置に対して、音声合成手段52によって音声合成された音声データを部分的に差し替える。
【0068】
情報記憶手段56は、ハンディ端末2における操作の対象となる操作対象情報となるメニューおよび音声合成された音声データを部分的に差し替えた音声データを含むコンテンツファイルを、データレコードとしてトレーニングコースデータベースに記憶する。
【0069】
表示制御手段55は、図11に示すようなトレーニング処理に際して再生するコンテンツファイル作成画面70をLCD1aに表示させる。図11に示すように、コンテンツファイル作成画面70には、画像フレーム表示部71と、音声位置表示部72と、追加ボタン73と、メニュー表示部74と、割り当て一覧表示部75と、音声表示部76と、プレビュー領域77と、指定部として機能する時間バー78とが含まれる。
【0070】
画像フレーム表示部71は、ベースとなるコンテンツファイルの動画像を構成する多数の画像フレームを一定の時間間隔で順次に表示する。
【0071】
音声位置表示部72は、ベースとなるコンテンツファイルの動画像(画像フレーム表示部71に表示されている多数の画像フレーム)に同期する音声データに対する音声合成による音声データの嵌め込み位置を表示する。音声位置表示部72には、音声データを割り当てる少なくとも1以上の時間情報が示されている。各時間情報には、それぞれを識別する識別情報が付与されている。
【0072】
追加ボタン73および時間バー78は、音声位置表示部72に示される時間情報を追加するために用いられる。時間バー78を画像フレーム表示部71および音声位置表示部72上でスライドさせ、追加ボタン73に対する最初の操作で時間情報のイン時間が指定され、追加ボタン73に対する次の操作で時間情報のアウト時間が指定される。こうして画像フレーム表示部71上において決められた2箇所の時間バー78の位置の間である時間情報にも、識別情報が付与される。
【0073】
メニュー表示部74は、音声合成の対象となるメニューを一覧表示する。メニュー表示部74に一覧表示されるメニューは、操作対象情報となるものであって、メニュー品目に関するデータベース60のメニュー名60dから取得される。また、メニュー表示部74は、スクロール機能により、多数のメニューを表示可能となっている。
【0074】
割り当て一覧表示部75は、音声位置表示部72に示される時間情報に対してメニュー表示部74に一覧表示されるメニューのいずれかを割り当てることに用いられる。音声割当位置決定手段53は、メニュー表示部74に一覧表示される所望のメニューを、タッチパネル1eによるタッチ指定により割り当て一覧表示部75における所望の時間情報の識別情報にドラッグ&ドロップすることで、音声位置表示部72に示される時間情報に対してメニューを割り当てる。また、音声差し替え手段54は、音声割当位置決定手段53によって決定されたベースとなるコンテンツファイルの動画像データに同期する音声データの割り当て位置である時間情報に対して、割り当てられたメニューのメニュー名(カナ)60fに含まれるテキスト情報に基づいて音声合成手段52によって合成された音声データに差し替える。
【0075】
音声表示部76は、音声差し替え手段54により差し替えられた合成音声データの波形を表示する。
【0076】
プレビュー領域77は、画像フレーム表示部71に表示されている多数の画像フレームで構成される動画像データと、音声差し替え手段54により差し替えられた合成音声データとを同期させたコンテンツをプレビュー再生する。
【0077】
SAVEボタン79は、プレビュー領域77において再生されたコンテンツをコンテンツファイル(動画像ファイルおよび音声ファイル)としてHDD1kに蓄えることを宣言する。
【0078】
次に、図12を用いてコンテンツファイル作成処理について説明する。図12は、コンテンツファイル作成処理の流れを示すフローチャートである。
【0079】
図12に示すように、まず、表示制御手段55が、ベースとなるコンテンツファイルを取り込み(ステップS1)、コンテンツファイル作成画面70をLCD1aに表示して、操作対象情報であるメニューの選択に待機する(ステップS2)。
【0080】
メニューの選択があると(ステップS2のYes)、音声割当位置決定手段53が、ベースとなるコンテンツファイルの動画像データに同期する音声データに対して音声合成手段52によって音声合成される音声データの差し替え対象となる割り当て位置を決定する(ステップS3)。
【0081】
続いて、音声合成手段52が、割り当てられたメニューのメニュー名(カナ)60fに含まれるテキスト情報に基づいて音声データを合成する(ステップS4)。
【0082】
そして、音声差し替え手段54が、音声割当位置決定手段53によって決定されたベースとなるコンテンツファイルの動画像データに同期する音声データの割り当て位置である時間情報に対して、割り当てられたメニューのメニュー名(カナ)60fに含まれるテキスト情報に基づいて音声合成手段52によって合成された音声データに差し替える(ステップS5)。
【0083】
最後に、情報記憶手段56は、ベースとなるコンテンツファイルの動画像データと、音声差し替え手段54により差し替えられた合成音声データとを同期させたコンテンツを新たなコンテンツファイル(動画像ファイルおよび音声ファイル)としてHDD1kに蓄えるとともに(ステップS6)、操作対象情報であるメニュー、および合成音声データを部分的に差し替えた音声データを含むコンテンツファイルを、データレコードとしてトレーニングコースデータベースに記憶して更新する(ステップS7)。例えば、ベースとなるコンテンツファイルとして「Futari」(図4参照)を用い、コンテンツファイル「Futari」の動画像データと音声差し替え手段54により差し替えられた合成音声データとを同期させたコンテンツを新たなコンテンツファイルとする場合、コンテンツファイル名は「Futari2」のように生成される。
【0084】
情報記憶手段56は、図4に示すトレーニングコースデータベースに対して、割り当てられた操作対象情報であるメニュー、および合成音声データを部分的に差し替えた音声データを含むコンテンツファイルを、データレコードとしてトレーニングコースデータベースに記憶する。より詳細には、例えば図4に示す「Futari」の音声データを差し替えた場合、タイトル、所要時間、クラスに関する情報フィールドに記述される情報は変わらないが、コンテンツファイル名および規定注文品目に関する情報フィールドに記述される情報は変更される。具体的には、コンテンツファイル名に関する情報フィールドにはコンテンツファイル名「Futari2」が記述され、規定注文品目に関する情報フィールドには割り当てられたメニューのメニュー名60dが差し替えられて記述される。
【0085】
図13は、コンテンツファイル作成の具体例を示す模式図である。図13に示すように、ベースコンテンツにおける音声データは「イチゴのショートケーキ」および「紅茶」を注文する音声であったが、コンテンツファイル作成画面70を介し、音声合成エンジンを用いて生成した合成音声(「バナナのムース」および「チャイ」)をベースとなる音声データに嵌め込み、当該音声データとベースとなる映像データと同期させることにより、店舗毎の運用に合わせたトレーニング用のコンテンツファイル(動画像ファイルおよび音声ファイル)を簡易に作成することができる。
【0086】
このように本実施形態によれば、ユーザのトレーニングの対象となる入力装置における操作に用いる操作対象情報(メニュー)を選択可能に表示し、選択された操作対象情報(メニュー)に対して音声合成を施し、入力装置に対する操作の契機となる契機事象を表した音声データに対する部分的な差し替え対象となる合成音声データを生成し、音声データに対する合成音声データの割り当て位置を決定し、決定された割り当て位置に対して、合成音声データを差し替えることにより、トレーニングシーンに応じて動画像や音声を録るのではなく、音声合成エンジンを用いて生成した合成音声をベースとなる音声データに嵌め込み、当該音声データとベースとなる映像データと同期させることにより、店舗毎の運用に合わせたトレーニング用のコンテンツファイルを簡易に作成することができる。
【0087】
なお、この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
【0088】
注文品目リストに含まれたメニュー品目と規定注文品目との比較により、入力漏れのメニュー品目や誤入力されたメニュー品目を判別し、それをユーザに対して提示する画像を表示しても良い。
【0089】
入力インタフェース画像22に代えて、情報端末1がPOS端末として機能する際にLCD1aにて表示する入力インタフェース画像を用いても良い。そして、その入力インタフェース画像上での操作を入力することとすれば、当該POS端末の操作のトレーニングをユーザに行わせることが可能である。
【0090】
動画像に代えて、複数の静止画像をスライドショー形式で連続表示しても良い。すなわち、複数の静止画像を順次に、かつ一定の時間間隔で自動的に表示対象として選択し、その表示対象とされた静止画像をLCD1aに表示させても良い。
【0091】
上記のトレーニング機能を備える情報端末1は、案内業務、受注業務、給仕(配膳)業務、あるいは会計業務など各種の業務の全てに関する処理を行うものである必要はないし、それらの処理とは異なる処理を行うものであっても良い。
【0092】
トレーニングの対象とするユーザ操作は、注文入力のための操作には限らない。なお、トレーニングの対象とするユーザ操作が異なれば、その操作の契機となる事象も当然異なる。そこで、トレーニングの対象とするユーザ操作に応じた契機事象を表した動画像または静止画像を表示するようにする。また、ユーザインタフェース画像も、トレーニングの対象とするユーザ操作に応じたものとする。
【0093】
トレーニング結果は、入力された操作と規定操作とが完全一致したか否かにより判定するものには限らない。例えば、入力操作と規定操作とが一致する割合としてトレーニング結果を判定することができる。また例えば、入力操作が行われる順番やタイミングなどのような別の情報も加味してトレーニング結果を判定しても良い。
【0094】
端末装置とサーバ装置とを含んだトレーニングシステムにより上記のような動作を実現することもできる。この場合、1つのサーバ装置が1つまたは複数の端末装置におけるユーザのトレーニングを実現するための処理を行っても良いし、複数のサーバ装置が1つまたは複数の端末装置におけるユーザのトレーニングを実現するための処理を分担して行っても良い。
【0095】
このようなトレーニングシステムの実現には、クラウドコンピューティングを利用できる。より具体的には、Software as a Service(SaaS)と称されるソフトウェア提供形態が適する。
【0096】
図14はクラウドシステムを利用するトレーニングシステム200の構成を示す図である。
【0097】
このトレーニングシステム200は、クラウド21、複数の注文処理システム100および複数の通信ネットワーク23を含む。なお、注文処理システム100および通信ネットワーク23は、それぞれ1つのみでも良い。
【0098】
クラウド21はさらに、複数のサーバ装置21aを含む。これら複数のサーバ装置21aは互いに通信可能に構成される。ただしサーバ装置21aは、1つのみであっても良い。
【0099】
注文処理システム100の情報端末1は、通信ネットワーク23を介してクラウド21と通信可能である。情報端末1としては、デスクトップタイプやノートブックタイプなどの種々のPC(Personal Computer)やPOS(Point of Sales)端末のほか、携帯電話装置、携帯情報端末(PDA)、あるいはスマートフォンなどを適宜に利用できる。通信ネットワーク23としては、インターネット、プライベートネットワーク、次世代ネットワーク(NGN)、あるいはモバイルネットワークなどを適宜に利用できる。
【0100】
トレーニングシステム200においては、クライアントとなる情報端末1の画面にグラフィカルユーザインタフェースとしてコンテンツファイル作成画面70が配置されている。すなわち、クライアントとなる情報端末1は、例えばウェブブラウザのプラグインであるMicrosoft Silverlight(商標)によって、コンテンツファイル作成画面70を制御するUIコントロールとして機能する。このようなUIコントロールには、コンテンツファイル作成画面70の初期化時にメニュー品目に関するデータベース60のマスタデータがセットされ、メニュー表示部74として利用される。このUIコントロールにセットするマスタデータは、サーバ装置21aから情報端末1に対して送信される。
【0101】
そしてトレーニングシステム200は、図6に示す各処理のうちのステップSa1についてはクラウド21にて実行するが、図6に示すステップSa2〜Sa12、図12に示すステップS1〜S7についてはクラウド21および注文処理システム100の情報端末1のいずれにおいて実行しても良い。ただし、ステップSa1においてユーザを認証するために使用する認証情報の入力などは注文処理システム100の情報端末1にて実行されても良い。
【0102】
ステップSa1〜Sa12、ステップS1〜S7のうちの複数の処理をクラウド21にて実行する場合、それらの処理を単一のサーバ装置21aにおいて実行しても良いし、複数のサーバ装置21aにおいて分散処理しても良い。
【0103】
ステップSa1〜Sa12、ステップS1〜S7うちの少なくとも1つの処理を注文処理システム100の情報端末1にて実行する場合、その処理を情報端末1が有するコンピュータに実行させるためのプログラムを予め情報端末1が有する記憶ユニットに記憶させておいても良いし、上記のプログラムをクラウド21が有する記憶ユニットに記憶しておき、必要に応じてクラウド21から情報端末1へと与えるようにしても良い。上記のプログラムをクラウド21から情報端末1へと与える場合には、サーバ装置21aのうちの少なくとも1つに、上記のプログラムを情報端末1へと送信する機能を備える。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0105】
1 情報端末
1a 液晶ディスプレイ(LCD)
1b 表示コントローラ
1c スピーカ
1d サウンドコントローラ
1e タッチパネル
1f タッチパネルコントローラ
1g 周辺機器インタフェース
1h 通信インタフェース
1i ROM
1j RAM
1k HDD
1m CPU
2 ハンディ端末
3 伝票プリンタ
4 ステーション
5 LAN
6 無線アクセスポイント
7 プリンタ
8 客面表示装置
21 クラウド
21a サーバ装置
22 入力インタフェース画像
23 通信ネットワーク
52 音声合成手段
53 音声割当位置決定手段
54 音声差し替え手段
55 表示制御手段
56 情報記憶手段
71 画像フレーム表示部
78 指定部
100 注文処理システム
200 トレーニングシステム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0106】
【特許文献1】特開2009−199188号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力装置における操作の対象となる操作対象情報と、操作の契機となる契機事象を表した動画像データまたは静止画像データと音声データとを含むコンテンツファイルと、を有して前記入力装置における操作が正しいことの判定に用いるデータレコードに従って、前記入力装置における操作をユーザにトレーニングさせるトレーニング装置において、
前記操作対象情報を選択可能に表示する表示制御手段と、
選択された前記操作対象情報に対して音声合成を施し、前記音声データに対する部分的な差し替え対象となる合成音声データを生成する音声合成手段と、
前記音声データに対して前記合成音声データを差し替える音声差し替え手段と、
前記操作対象情報および前記合成音声データを部分的に差し替えた音声データを含む前記コンテンツファイルを、前記データレコードとして記憶する情報記憶手段と、
を備えるトレーニング装置。
【請求項2】
前記音声データに対する前記合成音声データの割り当て位置を決定する音声割当位置決定手段を更に備え、
前記音声差し替え手段は、前記音声割当位置決定手段によって決定された割り当て位置に対して、前記合成音声データを差し替える、
請求項1記載のトレーニング装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、音声合成の対象となる前記操作対象情報と、前記音声データに対する前記合成音声データの前記割り当て位置とを表示し、所望の前記割り当て位置に対する所望の前記操作対象情報との関係付けを許容し、
前記音声割当位置決定手段は、所望の前記割り当て位置と所望の前記操作対象情報との関係付けに従って前記合成音声データの前記音声データに対する割り当て位置を決定する、
請求項1または2記載のトレーニング装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、動画像データまたは静止画像データである多数の画像フレームを一定の時間間隔で順次に表示する画像フレーム表示部と、前記画像フレーム表示部上の所望の前記合成音声データの割り当て位置を指定するための指定部と、を表示し、前記画像フレーム表示部上において決められた2箇所の前記指定部の位置の間を、前記音声データに対する前記合成音声データの割り当て位置として追加可能である、
請求項1ないし3のいずれか一記載のトレーニング装置。
【請求項5】
入力装置における操作の対象となる操作対象情報と、操作の契機となる契機事象を表した動画像データまたは静止画像データと音声データとを含むコンテンツファイルと、を有して前記入力装置における操作が正しいことの判定に用いるデータレコードに従って、前記入力装置における操作をユーザにトレーニングさせるトレーニング装置を制御するコンピュータを、
前記操作対象情報を選択可能に表示する表示制御手段と、
選択された前記操作対象情報に対して音声合成を施し、前記音声データに対する部分的な差し替え対象となる合成音声データを生成する音声合成手段と、
前記音声データに対して前記合成音声データを差し替える音声差し替え手段と、
前記操作対象情報および前記合成音声データを部分的に差し替えた音声データを含む前記コンテンツファイルを、前記データレコードとして記憶する情報記憶手段と、
として機能させるプログラム。
【請求項6】
少なくとも1つのサーバ装置と端末装置とを含み、入力装置における操作の対象となる操作対象情報と、操作の契機となる契機事象を表した動画像データまたは静止画像データと音声データとを含むコンテンツファイルと、を有して前記入力装置における操作が正しいことの判定に用いるデータレコードに従って、前記入力装置における操作をユーザにトレーニングさせるトレーニングシステムであって、
前記入力装置における操作に用いる操作対象情報を選択可能に表示する表示制御手段と、
選択された前記操作対象情報に対して音声合成を施し、前記音声データに対する部分的な差し替え対象となる合成音声データを生成する音声合成手段と、
前記音声データに対して前記合成音声データを差し替える音声差し替え手段と、
前記操作対象情報および前記合成音声データを部分的に差し替えた音声データを含む前記コンテンツファイルを、前記データレコードとして記憶する情報記憶手段と、
を備え、
かつ前記サーバ装置は、前記表示制御手段と、前記音声合成手段と、前記音声差し替え手段と、前記情報記憶手段との少なくとも一つを備え、
前記端末装置は、前記表示制御手段と、前記音声合成手段と、前記音声差し替え手段と、前記情報記憶手段とのうちの前記サーバ装置に備えられないものを備える、
トレーニングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−221410(P2012−221410A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89253(P2011−89253)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】