説明

トンネル管撤去装置

【課題】 トンネル破壊量の制御を容易になし得るトンネル管撤去装置を提供する。
【解決手段】 撤去すべきトンネルTの端部の外周を止水用フード2で覆い、そのトンネルTの端部の内周面をカッタ装置3で切断したのち、切断部トンネル壁4を破壊し、止水用フード2を撤去方向に進めてトンネルTを順次撤去するトンネル管撤去装置1において、止水用フード2の内周面に切断したトンネル壁4の外周を当接させると共にそのトンネル壁4を内周側に折り曲げて破壊するテーパ部材26を設けると共に、そのテーパ部材26を進退させる駆動手段27を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設トンネルを撤去するトンネル管撤去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
既設トンネルを撤去するトンネル管撤去装置としては、特許文献1記載のように、撤去すべきトンネルの端部の外周を止水用フードで覆い、そのトンネルの端部の内周面をカッタ装置で切断したのち、その切断したトンネルを破壊し、止水用フードを撤去方向に進めてトンネルを順次撤去するものが知られている。このトンネル管撤去装置は、主に推進管やコンクリート管などのトンネル管を連ねて形成したトンネルを撤去するものであり、分解が困難なトンネルであっても順次破壊して撤去することができる。
【0003】
また、特許文献2には、止水用フードの内側に固定式のテーパ部材を設け、止水用フードを撤去方向に進めることで既設トンネルを破壊するように構成した既設管路更新用トンネル掘削装置が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−173400号公報
【特許文献2】特開2001−73672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1記載のトンネル管撤去装置は、円形カッタにより軸方向と周方向とにトンネル内面を切断する必要があり、切断量が多く、かつ、トンネル管の厚さや強度等の条件によっては良好に破壊できないことも考えられた。この場合、人力で破壊せざるを得ないこともあるという課題があった。
【0006】
また、特許文献2記載の既設管路更新用トンネル掘削装置は、止水用フードを進行させることで固定式のテーパ部材を既設トンネルに押し当て、既設トンネルを破壊するものであるため、トンネル掘削装置の進退が自由にできず、テーパ部材をトンネルを壊しすぎないように進退させることが難しく、トンネル破壊量の制御が難しいという課題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、トンネル破壊量の制御を容易になし得るトンネル管撤去装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、撤去すべきトンネルの端部の外周を止水用フードで覆い、そのトンネルの端部の内周面をカッタ装置で切断したのち、切断部トンネル壁を破壊し、止水用フードを撤去方向に進めてトンネルを順次撤去するトンネル管撤去装置において、止水用フードの内周面に切断したトンネル壁の外周を当接させると共にそのトンネル壁を内周側に折り曲げて破壊するテーパ部材を設けると共に、そのテーパ部材を進退させる駆動手段を設けたものである。
【0009】
テーパ部材は、トンネルの外周を覆うように環状に形成され、止水用フードに移動自在に設けられるとよい。
【0010】
また、止水用フードは、撤去すべきトンネルを通して設けた複数本の鋼線に連結され、トンネル破壊・撤去に応じて上記鋼線で止水用フードが撤去方向に移動され、トンネル内面を切断するカッタ装置が、上記鋼線に移動自在に支持されて、トンネル内面を軸方向に切断するとよい。
【0011】
カッタ装置が、複数の鋼線に案内されて軸方向に移動する移動フレームと、その移動フレームに回転自在に設けられる回転フレームと、その回転フレームに設けられると共にトンネルの軸方向に沿って移動自在なカッタフレームと、そのカッタフレームに設けられトンネルの径方向に移動自在なカッタ部材とからなるとよい。
【0012】
また、カッタフレームは回転フレームにトンネルの径方向で180度対向するように設けられ、これらカッタフレームにカッタ部材がトンネルの径方向に沿って移動自在に設けられ、カッタ部材のトンネル切断時の反力を他方の切断時のカッタ部材で相殺するようにされるとよい。
【0013】
テーパ部材は、環状に形成され、鋼線に位置した部分が軸方向平板面に形成され、鋼線間に位置した部分にテーパ面が形成されるとよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、トンネル破壊量の制御を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1及び図6に示すように、トンネル管撤去装置1は、撤去すべきトンネルTの端部の外周を止水用フード2で覆い、そのトンネルTの端部の内周面をカッタ装置3で軸方向に切断したのち、切断部のトンネル壁4を破壊し、止水用フード2を撤去方向に進めてトンネルTを順次撤去するように構成されている。
【0016】
止水用フード2は有底筒体状に形成されており、トンネルTの端部を止水用フード2内に収容するようになっている。また、止水用フード2は、立坑5内に設置された牽引装置6に複数本の鋼線7を介して連結されており、牽引装置6で鋼線7を引くことで撤去方向に進むようになっている。鋼線7は、PC鋼線からなり、それぞれ撤去すべきトンネルTを通して張設されている。図2に示すように、鋼線7は4本であり、互いに上下左右に離間すると共にトンネルTの内周面に接触しない程度に近づいて張設されている。
【0017】
図1及び図2に示すように、カッタ装置3は、それぞれの鋼線7に移動自在に支持されると共に、それぞれの鋼線7に囲まれるように配置されている。また、カッタ装置3は、トンネルTの直径方向に離間して配置される2つのカッタ部材8を有し、これらカッタ部材8を同時にトンネル壁4に押し当ててトンネル壁4を切断することで切断時の反力を互いに得るように構成されている。図3、図4及び図5に示すように、カッタ装置3は、複数の鋼線7に案内されて軸方向に移動する移動フレーム9と、移動フレーム9に鋼線7と平行な軸回り回転自在に設けられる回転フレーム10と、回転フレーム10に設けられると共にトンネルTの軸方向に沿って移動自在なカッタフレーム11と、そのカッタフレーム11に設けられトンネルTの径方向に移動自在なカッタ部材8とを備えて構成されている。
【0018】
移動フレーム9には、上側の鋼線7に係合されるローラ12が設けられると共に、下側の鋼線7に係合されるガイド13が設けられている。ローラ12は、鋼線7を上下から挟むように複数移動フレーム9に回転自在に設けられている。ガイド13は、移動フレーム9の下端に軸方向に延びる溝を形成してなるものであり、鋼線7上に摺動可能に乗るように構成されている。
【0019】
回転フレーム10は、移動フレーム9に略トンネルTの軸上で回転するように枢支される回転軸14と、回転軸14に径方向に延びるアーム部15を介して設けられカッタフレーム11を支持するためのレール部16とを備えて構成されており、移動フレーム9に設けられた回転駆動装置17に減速機18を介して連結されている。レール部16は、回転軸14から直径方向に離間する位置にそれぞれ回転軸14と平行に延びて配置されており、それぞれカッタフレーム11を支持するようになっている。また、レール部16には軸方向に延びるラックギア(図示せず)が設けられており、後述するカッタフレーム11のピニオンギア(図示せず)に噛合されるようになっている。アーム部15は、回転したときに鋼線7に干渉しない程度の長さに形成されており、4本の鋼線7に囲まれる位置でトンネルTの軸回りに回転するようになっている。
【0020】
図3及び図5に示すように、カッタフレーム11は、レール部16に軸方向スライド可能に係合される台車部19と、台車部19に設けられ径方向内側へ向けて延びる柱部20とを備えて構成されており、それぞれのレール部16にスライド移動可能に設けられている。そして、カッタフレーム11は回転フレーム10にトンネルTの径方向で180度対向するように設けられている。台車部19は、レール部16を跨ぐように略断面コ字状に形成されており、レール部16のラックギアに噛合されるピニオンギアを有する。ピニオンギアは、台車部19に設けられたスライド用駆動装置21に連結されており、スライド用駆動装置21の駆動力で回転駆動されるようになっている。柱部20は、略門型に形成されている。
【0021】
カッタ部材8は、それぞれのカッタフレーム11にトンネルTの径方向に沿って移動自在に設けられており、カッタ部材8のトンネル切断時の反力を他方の切断時のカッタ部材8で相殺するようにされている。カッタ部材8は、カッタフレーム11にトンネルTの径方向に沿って移動自在に設けられるカッタ駆動部22と、カッタ駆動部22に設けられる回転自在なカッタ刃23とからなる。カッタ駆動部22は、それぞれの柱部20にスライド可能に設けられると共に柱部20に送りネジ24を介して連結されている。送りネジ24は、柱部20に沿って延びると共に柱部20に螺合されており、一端をカッタ駆動部22に回転自在に連結されている。また、送りネジ24の他端には、ハンドル25が設けられており、ハンドル25を回転させることで送りネジ24がハンドル25と一体に回転し、カッタ駆動部22を柱部20に沿って移動させるようになっている。カッタ刃23は、円盤状に形成されており、外周端に形成された刃先でトンネル壁4を切断するようになっている。また、カッタ装置3は、トンネル切断時に鋼線7近傍両側の位置を含めて周方向の複数の位置を切断するように構成されており、トンネル壁4を短冊状に切断するようになっている。
【0022】
図1及び図2に示すように、止水用フード2の内周面には、切断したトンネル壁4の外周を当接させると共にそのトンネル壁4を内周側に折り曲げて破壊するテーパ部材26が設けられると共に、テーパ部材26を進退させる駆動手段27が設けられている。
【0023】
テーパ部材26は、トンネルTの外周を覆うように環状に形成され、止水用フード2に軸方向に移動自在に設けられている。また、テーパ部材26は、鋼線7に位置した部分が軸方向平板面28に形成され、鋼線7間に位置した部分にテーパ面29が形成されている。テーパ面29は、テーパ部材26の撤去方向後方側の内径を縮径して形成されており、平板面28は、テーパ面29を軸方向に延びる溝状に切り欠いて形成されている。これによりテーパ部材26は、トンネル壁4を折り曲げて破壊するとき鋼線7近傍のトンネル壁4を押さないように構成されている。平板面28は、トンネル壁4の鋼線7近傍両側の切断間隔よりも周方向に広い幅に形成されており、テーパ面29に当接して折り曲げられるトンネル壁4から鋼線7近傍のトンネル壁4を逃がすようになっている。駆動手段27は、止水用フード2の周方向に沿って複数設けられており、テーパ部材26の周方向の複数の位置に駆動力を伝達するようになっている。駆動手段27は、それぞれ油圧ジャッキからなり、一端を止水用フード2に連結されると共に、他端をテーパ部材26に連結されている。駆動手段27は、無線コントローラ(図示せず)にて駆動制御されるように構成されており、トンネルT内の作業員が目視しながら操作できるようになっている。
【0024】
また、止水用フード2の後端隔壁30には、進行方向後方のトンネル穴31に充填材32を注入するための充填材注入口33が設けられており、トンネル穴31を充填材32で埋め戻すようになっている。後端隔壁30は、筒状の止水用フード本体34に対する向きを調整できるように屈曲自在に設けられている。具体的には、後端隔壁30は、止水用フード本体34内に液密に嵌入されると共に修正ジャッキ35を介して連結される内筒部材36の後端に設けられている。修正ジャッキ35は、止水用フード2の周方向に沿って複数設けられており、適宜伸縮することで後端隔壁30の向きを調整するようになっている。
【0025】
次に本実施の形態の作用を述べる。
【0026】
図6に示すように、トンネルTを撤去する場合、一方の立坑5内に鋼線7を牽引する牽引装置6を設置すると共に、止水用フード2を他方の立坑37に搬入し、撤去すべきトンネルTの端に被せ、止水用フード2と牽引装置6を鋼線7で連結する。
【0027】
この後、図1に示すように、鋼線7にカッタ装置3を取り付けると共に、カッタ装置3を止水用フード2を被せたトンネルTの端部に移動させ、このカッタ装置3でトンネル端部の周方向の複数箇所を所定の長さに渡って軸方向に切断する。具体的には、移動フレーム9を鋼線7に沿って走行させてカッタ装置3をトンネルTの端部に移動させ、カッタ刃23を予め定めた切断位置に向けるように回転フレーム10を回転させ、カッタ刃23を回転させながらそれぞれのカッタ部材8をカッタフレーム11に沿って径方向外方に移動させる。このとき、カッタフレーム11は、予めレール部16の一方の端に移動させておき、カッタフレーム11をレール部16に沿って走行させることでトンネル壁4を軸方向に切断する。カッタフレーム11はトンネルTの径方向で180度対向されているため、カッタ部材8のトンネル切断時の反力を他方の切断中のカッタ部材8からとることができ、鋼線7に反力が及ぶことはない。
【0028】
このようにしてトンネル壁4を所定の長さに渡って切断したら、カッタ部材8をカッタフレーム11の柱部20に沿って径方向内方に移動させ、カッタ刃23を次の切断位置に合わせるように回転フレーム10を回転軸14を中心に回転させ、上述と同様の手順でトンネル壁4を所定の長さに渡って切断する。以降、同様のトンネル切断作業を繰り返してトンネル壁4の周方向の複数箇所を所定の長さに渡って切断する。このとき、図3に一点鎖線で示すように、特に鋼線7近傍両側のトンネル壁4を全て切断し、鋼線7近傍のトンネル壁4を細長い短冊状に切断しておく。また、切断する箇所は、トンネルTの強度等に応じて予め決定しておく。切断箇所は、少な過ぎるとトンネル壁4を効率よく破壊・撤去できない虞があり、多すぎると切断作業の効率を低下させる。このため、切断箇所は、トンネル壁4の破壊・撤去作業を効率よく行うことができる最小限の数に抑えることが好ましい。
【0029】
トンネル壁4の周方向の全ての切断箇所を切断したら、カッタ部材8を径方向内方に移動させると共に、図1に一点鎖線で示すように、カッタ装置3をトンネル撤去方向後方に移動させ、カッタ装置3をトンネルT外、具体的には、止水用フード2の後部に形成された退避スペースSに退避させる。これにより、トンネル壁4を破壊するときに破砕ガラ(図示せず)がカッタ装置3に当たるのを防ぐと共に、作業員がカッタ装置3の後側に回り込まなくとも破砕ガラを回収できるようにする。この後、駆動手段27たる油圧ジャッキをそれぞれ伸張させ、切断したトンネル壁4にテーパ部材26を押し当てる。トンネル壁4は、外周面をテーパ部材26のテーパ面29に押され、径方向内側に折り曲げられて破壊されることとなる。このとき、図2に示すように、テーパ部材26の鋼線7近傍の位置には、平板面28が形成されており、鋼線7近傍のトンネル壁4がテーパ面29に押されることはない。鋼線7近傍のトンネル壁4は、軸方向に延びる平板面28に沿ってそのまま軸方向に逃がされることとなる。図1に示すように、駆動手段27の操作は、トンネルT内の作業員がトンネル壁4を目視しながら行い、トンネル壁4が予め切断した長さを超えて壊れそうになったら駆動手段27を止め、トンネル壁4が壊れすぎないようにする。トンネル壁4が止水用フード2に覆われていない部分まで壊れると、トンネルT内に浸水したりトンネルTの強度が低下したりしてトンネル撤去作業の続行が難しくなるためである。駆動手段27の伸張を途中で止めた場合、一旦駆動手段27を縮退させてテーパ部材26を後退させ、適宜手作業でトンネル壁4を崩したのち、再度駆動手段27を伸張させてテーパ部材26でトンネル壁4を破壊し直すとよい。テーパ部材26を途中で停止させたことで完全に破壊できなかったトンネルTの切断部分を良好に破壊し直すことができる。
【0030】
このようにしてトンネル壁4を所定の長さに渡って破壊したら、破壊したトンネル壁4を手作業で崩して撤去し、予めトンネルT内に延ばしたバキュームポンプ38でトンネル壁4の破砕クズ(図示せず)をトンネルT外に吸い出しつつ、比較的大きな破砕ガラをトンネルT外に搬出する。この後、牽引装置6で鋼線7を引きつつ充填材注入口33から進行方向後方のトンネル穴31に充填材32を注入し、止水用フード2をトンネル撤去方向に前進させつつトンネル穴31を埋め戻す。
【0031】
以降、上述の一連の作業、すなわち、トンネル壁4の周方向の複数箇所を所定の長さに渡って切断し、テーパ部材26でトンネル壁4を内周側に折り曲げて破壊し、破壊したトンネル壁4を手作業で崩して撤去し、止水用フード2を前進させつつ後方のトンネル穴31を埋め戻すという作業を繰り返してトンネルTを撤去する。
【0032】
このように、止水用フード2の内周面に切断したトンネル壁4の外周を当接させると共にそのトンネル壁4を内周側に折り曲げて破壊するテーパ部材26を設けると共に、そのテーパ部材26を進退させる駆動手段27を設けてトンネル管撤去装置1を構成したため、テーパ部材26を容易に進退させることができ、トンネルTを壊しすぎるのを容易に防ぐことができ、トンネルTの破壊量を容易に制御できる。
【0033】
テーパ部材26は、トンネルTの外周を覆うように環状に形成され、止水用フード2に移動自在に設けられるものとしたため、比較的小さな径のトンネルTを破壊する場合であっても止水用フード2内を安定して進退させることができ、簡易な構造にできる。
【0034】
また、止水用フード2は、撤去すべきトンネルTを通して設けた複数本の鋼線7に連結され、トンネル破壊・撤去に応じて鋼線7で止水用フード2が撤去方向に移動され、トンネル内面を切断するカッタ装置3が、鋼線7に移動自在に支持されて、トンネル内面を軸方向に切断するものとしたため、トンネル内面を切断した後でカッタ装置3を容易に止水用フード2内に移動させてトンネルT外に退避させることができ、手作業によるトンネル壁4の撤去作業を容易かつ安全に行うことができる。そして、カッタ装置3を走行させるためのレール(図示せず)を別途トンネルT内に布設する必要がなく、トンネル管撤去装置1を簡易かつ安価なものにできる。
【0035】
カッタ装置3が、複数の鋼線7に案内されて軸方向に移動する移動フレーム9と、その移動フレーム9に回転自在に設けられる回転フレーム10と、その回転フレーム10に設けられると共にトンネルTの軸方向に沿って移動自在なカッタフレーム11と、そのカッタフレーム11に設けられトンネルTの径方向に移動自在なカッタ部材8とからなるものとしたため、容易にカッタ部材8をトンネルTの軸回りに回転させたり、軸方向に移動させたり、径方向に移動させることができ、カッタ装置3を簡易で安価なものにできる。
【0036】
また、カッタフレーム11は回転フレーム10にトンネルTの径方向で180度対向するように設けられ、これらカッタフレーム11にカッタ部材8がトンネルTの径方向に沿って移動自在に設けられ、カッタ部材8のトンネル切断時の反力を他方の切断時のカッタ部材8で相殺するようにしたため、互いに他方のカッタ部材8からトンネル切断時の反力を得ることができ、トンネル切断時の反力を受けるための反力受(図示せず)を省略することができ、カッタ装置3を簡易で安価なものにできる。
【0037】
テーパ部材26は、環状に形成され、鋼線7に位置した部分が軸方向平板面28に形成され、鋼線7間に位置した部分にテーパ面29が形成されるものとしたため、テーパ部材26でトンネル壁4を内周側に折り曲げたとき、トンネル壁4が鋼線7に干渉するのを防ぐことができる。そして、鋼線7をトンネル壁4に近づけて配置できることから、トンネルT内に広い作業空間を確保でき、カッタ部材8を軸回りに回転させるためのスペースを容易に確保することができる。
【0038】
なお、カッタ装置3は、それぞれの鋼線7に移動自在に支持され、鋼線7に沿って走行するものとしたが、これに限るものではない。例えばカッタ装置は、トンネルTの床面上、又はトンネルTに敷設したレール上を走行する台車を備えたものであってもよく、止水用フード2に片持ち梁等を介して支持されるものであってもよい。
【0039】
送りネジ24はハンドル25で回転させるものとしたが、モータ等の駆動装置で回転させるものとしてもよい。
【0040】
また、テーパ部材26は環状に形成するものとしたが、止水用フード2の内周面に沿って弧状のテーパ部材(図示せず)を複数設け、その各テーパ部材に駆動手段27をそれぞれ連結するものとしてもよい。周方向に隣接するテーパ部材同士をタイミングをずらして移動させることで径方向内側に折り曲げられるトンネル壁4同士が互いに周方向に押し合うのを防ぐことができ、比較的小さな力でトンネル壁4を破壊できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の好適実施の形態を示すトンネル管撤去装置の側断面図である。
【図2】図1のA−A線矢視断面図である。
【図3】図1のB−B線矢視断面図である。
【図4】図1のC−C線矢視断面図である。
【図5】図3のD−D線矢視断面図である。
【図6】トンネル管撤去装置でトンネルを撤去している状態を示す概略説明図である。
【符号の説明】
【0042】
T トンネル
1 トンネル管撤去装置
2 止水用フード
3 カッタ装置
4 トンネル壁
7 鋼線
8 カッタ部材
9 移動フレーム
10 回転フレーム
11 カッタフレーム
26 テーパ部材
27 駆動手段
28 平板面
29 テーパ面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撤去すべきトンネルの端部の外周を止水用フードで覆い、そのトンネルの端部の内周面をカッタ装置で切断したのち、切断部トンネル壁を破壊し、止水用フードを撤去方向に進めてトンネルを順次撤去するトンネル管撤去装置において、止水用フードの内周面に切断したトンネル壁の外周を当接させると共にそのトンネル壁を内周側に折り曲げて破壊するテーパ部材を設けると共に、そのテーパ部材を進退させる駆動手段を設けたことを特徴とするトンネル管撤去装置。
【請求項2】
テーパ部材は、トンネルの外周を覆うように環状に形成され、止水用フードに移動自在に設けられる請求項1記載のトンネル管撤去装置。
【請求項3】
止水用フードは、撤去すべきトンネルを通して設けた複数本の鋼線に連結され、トンネル破壊・撤去に応じて上記鋼線で止水用フードが撤去方向に移動され、トンネル内面を切断するカッタ装置が、上記鋼線に移動自在に支持されて、トンネル内面を軸方向に切断する請求項1又は2記載のトンネル管撤去装置。
【請求項4】
カッタ装置が、複数の鋼線に案内されて軸方向に移動する移動フレームと、その移動フレームに回転自在に設けられる回転フレームと、その回転フレームに設けられると共にトンネルの軸方向に沿って移動自在なカッタフレームと、そのカッタフレームに設けられトンネルの径方向に移動自在なカッタ部材とからなる請求項3記載のトンネル管撤去装置。
【請求項5】
カッタフレームは回転フレームにトンネルの径方向で180度対向するように設けられ、これらカッタフレームにカッタ部材がトンネルの径方向に沿って移動自在に設けられ、カッタ部材のトンネル切断時の反力を他方の切断時のカッタ部材で相殺するようにされる請求項4記載のトンネル管撤去装置。
【請求項6】
テーパ部材は、環状に形成され、鋼線に位置した部分が軸方向平板面に形成され、鋼線間に位置した部分にテーパ面が形成される請求項3〜5いずれかに記載のトンネル管撤去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−299547(P2006−299547A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−119385(P2005−119385)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(000000099)石川島播磨重工業株式会社 (5,014)
【出願人】(000174943)三井住友建設株式会社 (346)
【出願人】(000158769)機動建設工業株式会社 (41)
【Fターム(参考)】