説明

ドアユニット

【課題】外観意匠の点からさらなる改良を図り、室内の雰囲気を様々に変化させることができるドアユニットを提供する。
【解決手段】框材4及び該框材4で支持された透明又は半透明のパネル材5によって全体が構成される複合ドア2と、該複合ドア2を開閉自在に支持するドア枠3と、からなるドアユニット1であって、前記複合ドア2のパネル材5はその端面5Aが露出するように配置され、前記ドア枠3には、前記複合ドア2が閉位置にある場合に、前記パネル材5の端面5A側から該パネル材5の内部に向けて投光する発光部材10が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス、プラスチック等からなるパネル板を内部に組み合わせた複合ドアを有するドアユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の複合ドアとして、特許文献1に示される「扉」、特許文献2に示される「複合ドア」が提供されている。
これら特許文献1・2に示されるドアは、中央でかつ上下方向に配置されたパネル板を、木製の框材で両側から挟み込んだ構成とされるものであって、前記パネル板として、ガラス板の他、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂などからなるプラスチック板が使用される。また、このようなパネル材はクリアーな透明材の他に、着色された透明材が使用されることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4011043号公報
【特許文献2】特許第3959685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のように構成された複合ドアでは、ガラス等からなる透明なパネル材を、木製の框材で両側から挟み込んだだけの構成であり、外観意匠の点で改良の余地が残されていた。
【0005】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、外観意匠の点からさらなる改良を図り、室内の雰囲気を様々に変化させることができるドアユニットの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
すなわち、請求項1の発明は、框材及び該框材で支持された透明又は半透明のパネル材によって全体が構成される複合ドアと、該複合ドアを開閉自在に支持するドア枠と、からなるドアユニットであって、前記複合ドアのパネル材はその端面が露出するように配置され、前記ドア枠には、前記複合ドアが閉位置にある場合に、前記パネル材の端面側から該パネル材の内部に向けて投光する発光部材が設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、前記複合ドアの框材及びパネル材は正面視矩形に形成され、前記パネル材は、平行に配置された一対の前記框材間にて上下方向又は水平方向に配置されることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、前記発光部材は、非常時に点灯させることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、前記複合ドアの端部に位置する框材とパネル材との接合箇所には、該パネル材を框材に固定するための補強部材が取り付けられ、前記補強部材には、前記パネル材の端面を露出させて前記発光部材からの光線を通過させる開口部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、前記複合ドアのパネル材は、ガラス、プラスチック等の透明又は半透明材料によって形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、前記複合ドアの框材は木質材料により構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、複合ドアが閉位置にある場合に、該複合ドアのパネル材の端面側から該パネル材の内部に向けて投光する発光部材をドア枠に設けたので、該発光部材から投光された光線が、透明又は半透明のパネル材の内部で直進又は反射しながら進行する。そして、このような光線によって、該パネル材の色が変化し、室内の雰囲気を様々に変化させることが可能となる。
【0013】
また、複合ドアの框材及びパネル材を平面視、長方形等の矩形に形成し、かつ該パネル材を、平行に配置された一対の框材間にて上下方向又は水平方向に配置することによって、前記発光部材からパネル材に光線が投光された場合に、該パネル材を通じて、複合ドア内に上下方向、又は左右方向に光の帯を形成することができ、この点においても、室内の雰囲気を様々に変化させることが可能となる。
【0014】
また、前記パネル材の端面側から該パネル材の内部に向けて光線を投射する発光部材を、例えば、非常時に自動点灯させることによって、非難時の誘導灯として活用することもできる他、使用目的に応じて、様々なサイン表示を行わせることが可能となる。
【0015】
また、複合ドアの端部に位置する框材とパネル材との接合箇所に、該パネル材を框材に固定するための補強部材を取り付け、さらに該補強部材に、パネル材の端面を露出させて発光部材からの光線を通過させる開口部を形成することによって、複合ドアを構成している框材とパネル材との接合箇所の補強を図りつつ、開口部を通じて光線を通過させることができる。すなわち、複合ドアの端部を補強部材で強化したとしても、該補強部材の開口部を通じて、発光部材からの光線を支障なくパネル材に投光することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】は、本発明の実施態様として示したドアユニットの概略正面図である。
【図2】は、図1のI−I線視断面図である。
【図3】は、図2のドアユニットの上部拡大図である。
【図4】は、補強部材の付近を示す斜視図である。
【図5】は、補強部材の変形例を示す斜視図である
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態について図1〜図5を参照して説明する。
図1及び図2に符号1で示すものは本実施形態に係るドアユニットであって、複合ドア2と、該複合ドア2をヒンジ2Aによって開閉自在に支持するドア枠3とから構成されている。
【0018】
この複合ドア2は、木質材料から形成された一対の框材4と、該框材4で支持された透明又は半透明のパネル材5とによって全体形状が構成されるものであって、図1に示すように正面視、長方形(矩形)に形成されている。
また、この複合ドア2において、前記一対の框材4は上下方向に延在し、この一対の框材4が互いに間隔を置いて平行となるようにかつ、これら框材4間にて上下方向に向けてパネル材5が配置されており、該パネル材5は上端部及び下端部において、各端面5A・5Bは露出するように設けられている。
【0019】
なお、前記複合ドア2の框材4として、芯材が格子状に組まれかつその表面に板材が貼り合わされたフラッシュ構造体等が採用される。また、パネル材5として、透明又は半透明ガラス板、又はポリカーボネート、アクリルなどの透明又は半透明のプラスチック板が使用されている。また、框材4とパネル材5とは図示されていないが、框材4の側部に上下方向に形成された溝内に、パネル材5が嵌合される構造とされている。
【0020】
また、前記複合ドア2の上端部及び下端部に位置する框材4とパネル材5との各接合箇所には、図2〜図4に示すように、一対の補強部材6が取り付けられている。これら補強部材6は、両端を各框材4にそれぞれネジ7によりネジ止めすることで(図4参照)、該框材4間にパネル5を支持する構成とされ、その中央部には、前記パネル材5を嵌合するとともに、該パネル材5の端面5A・5Bを露出させて前記発光部材10(後述する)からの光線を通過させる開口部6Aが形成されている。
【0021】
ドア枠3は、図1に示すように、上下方向に延在する桟3a、3bと水平方向に延在する上部の桟3cとが建物又は部屋の出入り口となる開口壁部Bに設けられている。桟3a〜3cが形成する開口部11の上下方向の寸法は、複合ドア2の上下方向の長さ寸法よりも僅かに大寸法とされており、また開口部11の左右方向の寸法は、複合ドア2の水平方向の長さ寸法よりも僅かに大寸法とされ、図2に示すように複合ドア2が閉位置にある場合に該複合ドア2が矢印X方向に開閉自在にドア枠3内に収まる寸法とされている。
【0022】
このドア枠3の桟3a、3b、3cには、図2に示すように、該複合ドア2をドア枠3内に位置させ、矢印Xと反対方向に回動しないように支持する凸条12が、同一基準面上、すなわち複合ドア2の閉じた位置における面上に沿って延在するように形成されている。
【0023】
このドア枠3の上部の桟3cには、凹所13が形成されており、この凹所13に発光部材10が設けられている。この発光部材10は、前記複合ドア2が閉位置にある場合に、下方に位置する前記パネル材5の上側端面5A側から、該パネル材5の内部に向けて投光する。
【0024】
そして、このように構成されたドアユニット1では、発光部材10から発光された光線が、透明又は半透明のパネル材5の端部5Aから入射して、該パネル材5の内部で直進又は反射しながら進行する。そして、このような光線によって、該パネル材5の色が変化し、室内の雰囲気を様々に変化させることが可能となる。
【0025】
なお、このような発光部材10は、複合ドア2が閉じた位置にあるか否かを開閉センサ(図示略)で検出し、この検出信号によって、複合ドア2が閉位置にある場合に、発光部材10を常時又は一定時間(例えば10分程度)点灯させるようにする。又は、このような自動点灯ではなく、スイッチによってオン・オフするようにしても良い。これに加えて停電等の異常が発生したときに、複合ドア2が開位置にあるか、閉位置にあるかに係らず、予備電源(図示略)により自動点灯するようにしても良い。
【0026】
以上詳細に示したように本実施形態に示されるドアユニット1では、複合ドア2が閉位置にある場合に、該複合ドア2のパネル材5の上部端面5A側から、該パネル材5の内部に向けて投光する発光部材10をドア枠3に設けたので、該発光部材10から投光された光線が、透明又は半透明のパネル材5の内部で反射しながら進行する。そして、このような光線によって、該パネル材5の色が変化し、室内の雰囲気を様々に変化させることが可能となる。
また、発光部材10をドア枠3に設けたので、例えば複合ドア2のパネル材5が割れた場合などパネル材5又は複合ドア2を取り替える必要が生じた場合でも、発光部材10の設置に影響を与えることなく、パネル材5又は複合ドア2を取り替えるだけでドアユニット1とすることが可能となる。
【0027】
また、複合ドア2の框材4及びパネル材5を平面視、長方形等の矩形に形成し、かつ該パネル材5を、平行に配置された一対の框材4間にて上下方向に配置することによって、前記発光部材10からパネル材5に光線が投光された場合に、該パネル材5を通じて、複合ドア2内に上下方向に光の帯を形成することができ、この点においても、室内の雰囲気を様々に変化させることが可能となる。
【0028】
また、前記パネル材5の端面5A側から該パネル材5の内部に向けて光線を投射する発光部材10を、例えば、非常時に自動点灯させることによって、非難時の誘導灯として活用することもできる他、使用目的に応じて、様々なサイン表示を行わせることが可能となる。
【0029】
また、複合ドア2の上下端部に位置する框材4とパネル材5との接合箇所に、該パネル材5を框材4に固定するための補強部材6を取り付け、さらに該補強部材6に、パネル材5の端面5Aを露出させて発光部材10からの光線を通過させる開口部6Aを形成することによって、複合ドア2を構成している框材4とパネル材5との接合箇所の補強を図りつつ、開口部6Aを通じて光線を通過させることができる。すなわち、複合ドア2の端部を補強部材6で強化したとしても、該補強部材6の開口部6Aを通じて、発光部材10からの光線を支障なくパネル材5に投光することが可能となる。
【0030】
なお、上記実施形態によるドアユニットは、以下のように変形しても良い。
(変形例1)
図1〜図4に示される補強部材6は一定の厚みを有し、その中央に開口部6Aが形成された構成であるが、これに限定されず、図5に示されるように薄厚の材料を用い、中央部に切り目を入れ、これを折れ線6Bで折り曲げて開くことで開口部6Cを形成し、この開口部6C内に、前述のパネル材5の端部を挿入すると良い。このとき、折れ線6Bで折り曲げることで形成された折曲部6Dは、挿入されたパネル材5を支持する支持部材として機能させると良い。
【0031】
(変形例2)
上記実施形態では、複合ドア2の框材4を木質材料により構成したが、これに限定されず、プラスチック又は金属を框材4として使用しても良い。
【0032】
(変形例3)
上記実施形態では、複合ドア2の框材4及びパネル材5は正面視、長方形状(矩形)に形成され、かつパネル材5を、互いに離間する位置に左右に平行に配置された一対の框材4間にて上下方向に延在するように構成したが、このような框材4及びパネル材5の配置方向に限定されず、パネル材5が水平に延在するように配置して、この上下に框材4を配置し、パネル材5が露出する端部に対応するドア枠3の位置に発光体を設けて、水平の光の帯を形成しても良い。また、複合ドア2の框材4及びパネル材5の形状は、正面視、長方形状に限定されず、複合ドア2の形態によっては正方形状となる場合もある。
【0033】
(変形例4)
上記実施形態では、パネル材5の下側の端部5Bを、上側の端部5Aと同様に外方に露出される構成とし、これによりパネル材5を通過した光線を床に向けて照射することができる。しかし、これに限定されず、例えば、パネル材5の下側の端部5Bに、パネル材5内を通過した光線を上方に反射させるための反射材を貼り付けるようにし、このような反射材によって、パネル材5内を通過する光線をさらに変化させるようにしても良い。
【0034】
また、パネル材5となる透明又は半透明なガラス、プラスチックなどの構成材料内に、例えば、粉状の反射物質を混入させる、又は着色することで、透過する光の色を様々に変化させても良い。また、発光部材10から照射される光線は多色LEDなどにより、様々な色の光が使用される他、点滅光であっても良い。
【0035】
(変形例5)
上記実施形態では、補強部材6に一つの開口部6A・6Cを設ける例を示したが、この開口部6A・6Cの数は一つに限定されず、2つ以上の開口部を設けるようにしても良い。また、このような複数の開口部を形成するために、例えば、パネル材5の上側端部5Aの表面を部分的にマスクしても良い。
【0036】
(変形例6)
上記実施形態のドアユニット1は、複合ドア2とドア枠3との間に設けたヒンジ2Aによって、ドア枠3に対して複合ドア2を回動自在に支持する形式であるが、これに限定されず、ドア枠3に対して複合ドア2をスライド自在に支持される引き戸型のドアユニットであっても良い。
【0037】
(変形例7)
上記実施形態のドアユニット1では、框材4とパネル材5とを補強部材6により連結したが、強度上、問題ないのであれば、補強部材6を使用することなく、框材4とパネル材5とを接着剤で連結するようにしても良い。
また、本実施形態では、一対の框材4間にパネル材5を配置する構成としたが、これに限定されず、框材4とパネル材5とを1枚ずつ使用し、これらを隣接配置することで複合ドア2を構成しても良い。また、多数枚の框材4及びパネル材5を使用し、これらを交互に配置することにより複合ドア2を構成しても良い。
【0038】
(変形例8)
上記実施形態のドアユニット1では、ドア枠3は、開口壁部Bに別途設けられた桟3a〜3cにより構成されるものとしたが、複合ドア2を開口部11内に開閉自在に支持できる壁部により形成されるものとしても良く、更に凹所13を形成できるものであれば良い。
【0039】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0040】
1 ドアユニット
2 複合ドア
3 ドア枠
4 框材
5 パネル材
6 補強部材
10 発光部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
框材及び該框材で支持された透明又は半透明のパネル材によって全体が構成される複合ドアと、該複合ドアを開閉自在に支持するドア枠と、からなるドアユニットであって、
前記複合ドアのパネル材はその端面が露出するように配置され、
前記ドア枠には、前記複合ドアが閉位置にある場合に、前記パネル材の端面側から該パネル材の内部に向けて投光する発光部材が設けられていることを特徴とするドアユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のドアユニットにおいて、
前記複合ドアの框材及びパネル材は正面視矩形に形成され、
前記パネル材は、平行に配置された一対の前記框材間にて上下方向又は水平方向に配置されることを特徴とするドアユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のドアユニットにおいて、
前記発光部材は、非常時に点灯させることを特徴とするドアユニット。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のドアユニットにおいて、
前記複合ドアの端部に位置する框材とパネル材との接合箇所には、該パネル材を框材に固定するための補強部材が取り付けられ、
前記補強部材には、前記パネル材の端面を露出させて前記発光部材からの光線を通過させる開口部が形成されていることを特徴とするドアユニット。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のドアユニットにおいて、
前記複合ドアのパネル材は、ガラス、プラスチック等の透明又は半透明材料によって形成されていることを特徴とするドアユニット。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のドアユニットにおいて、
前記複合ドアの框材は木質材料により構成されていることを特徴とするドアユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−74644(P2011−74644A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226532(P2009−226532)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【出願人】(501195625)住友林業クレスト株式会社 (43)
【Fターム(参考)】