説明

ドキュメント処理の有料サービス・システムおよび方法

【課題】サービスに関連する費用等の正確な追跡を可能とするドキュメント処理の有料サービス・システムおよび方法を提供する。
【解決手段】先ず、ドキュメント処理装置は、ドキュメント処理要求を受信し、その実行に関連する料金を計算する。その後、取引識別データを受信し、共通識別子データと比較する。取引識別データと共通識別子データが整合するときは、ユーザにサービス・プロバイダ場所のカウンタでの支払いを促し、その後、要求された処理を実行する。その後、取引の詳細データをサーバに伝達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドキュメント処理の有料サービス・システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スタンドアローンのドキュメント処理装置、ドキュメント処理サービス店およびその他のドキュメント処理サービス・プロバイダは、通常、サービスのための支払いが収集できる形態において制約を受ける。通常、支払い方法は、クレジット・カード、プリペイド・カードまたはユーザ口座に対する請求等に限定される。これらの支払い方法が一部のユーザに受け入れ可能である一方、他のユーザは、支払いのための他の方法、例えば現金をサービス・プロバイダに支払い可能であることを必要とする。このような現金による支払いの要望に調和しないこととして、ドキュメント処理サービス・プロバイダは、費用および収益等の正確な追跡および修正が可能であることが必要になる点がある。したがって、ユーザが現金による支払いを行う場合に必要となる、取引に関係する取引のタイプ、使用されたリソース、使用された装置等を正確に追跡するための手段が存在しないために、ドキュメント処理サービス・プロバイダは、通常、売り場に現金による支払いのサービスを提供しない。別の言い方をすれば、前記のドキュメント処理サービス取引の重要な構成要素に対応する記録は、容易かつ自動的に維持されない。
【0003】
したがってサービスに関連する費用等の正確な追跡を可能とするドキュメント処理の有料サービス・システムおよび方法が望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の従来の問題点に鑑みてなされたもので、サービスに関連する費用等の正確な追跡を可能とするドキュメント処理の有料サービス・システムおよび方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるドキュメント処理の有料サービス・システムは、ドキュメントを処理するドキュメント処理ステーションと、このドキュメント処理ステーションのそれぞれに関連付けされ前記ドキュメント処理ステーションのそれぞれから料金請求データを受信する手段を含む支払いステーションとを備える。ドキュメント処理ステーションは、共通識別子データにアクセスする手段と、ポータブル・データ記憶手段から取引識別子データを受信する手段と、取引識別データと共通識別子データを比較する手段と、取引識別子データが共通識別子データと整合するときに料金請求データを出力する手段と、取引識別子データが共通識別子データと整合しないときにポータブル・データ記憶手段に関連付けされた引き落としデータを伝達する手段とを有する。
【0006】
本発明の一実施形態においては、本システムは、取引識別子データが不明なデータであるときにエラー信号を生成する手段を、さらに、有する。
【0007】
本発明の別の実施形態においては、本システムは、支払いステーションに料金請求データを出力する手段を、さらに、有する。
【0008】
本発明のさらに別の実施形態においては、ポータブル・データ記憶手段はデビット・カードである。
【0009】
本発明のさらなる実施形態においては料金請求データは完了したドキュメント処理動作に対応するデータを含む。
【0010】
本発明の一実施形態においては、支払いステーションは受信された料金請求データに対応する支払いを受け取る手段を含む。
【0011】
また、本発明によるドキュメント処理の有料サービス方法は、ドキュメント処理ステーションにおいて電子ドキュメントについてのドキュメント処理要求を受信するステップと、ドキュメント処理要求に関連する料金請求データを生成するステップと、共通識別子データにアクセスするステップと、ポータブル・データ記憶装置から取引識別データを受信するステップと、取引識別データと共通識別子データを比較するステップと、取引識別子データが共通識別子データと整合するときに関連する支払いステーションに料金請求データを出力するステップと、取引識別子データが共通識別子データと整合しないときにポータブル・データ記憶装置に関連付けされた引き落としデータを伝達するステップとを含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、サービスに関連する費用等の正確な追跡を可能とするドキュメント処理の有料サービス・システムおよび方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、適宜、図面を参照しながら本発明による実施形態の説明を行う。図1は本発明による実施形態にしたがったドキュメント処理の有料サービス・システム全体の構成例を示す。図に示したシステム100は、コンピュータ・ネットワーク102として表されている分散コンピューティング環境を利用している。コンピュータ・ネットワーク102は、複数の電子装置間におけるデータの交換を可能とする本技術分野で知られている任意の分散通信システムである。コンピュータ・ネットワーク102は、例えば、仮想ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク、パーソナル・エリア・ネットワーク、ローカル・エリア・ネットワーク、インターネット、イントラネット、またはそれらの任意の組み合わせを含む本技術分野で知られている任意のコンピュータ・ネットワークである。本発明による一実施形態において、コンピュータ・ネットワーク102は、例えば、トークン・リング、IEEE802.11(x)、Ethernet(登録商標)またはその他の無線ベースまたは有線ベースのデータ通信メカニズム等の既存の多数のデータ転送メカニズムによって例示されるような物理レイヤおよびトランスポート・レイヤから構成される。図1にはコンピュータ・ネットワーク102を示したが、本発明は、本技術分野において知られているスタンドアローンのシステムにおいても同様に実施できる。
【0014】
システム100は、さらに、様々なドキュメント処理を実行するために適切な多機能周辺装置(Multi-Function Peripheral;以下、MFPということがある。)として図に表されている、第1のドキュメント処理装置104および第2のドキュメント処理装置120を含む。しかし、MFPはドキュメント処理装置の一形態であって、本発明におけるドキュメント処理装置がMFPに限定されるものではない。ドキュメント処理装置における処理動作には、例えば、ファクシミリ通信、画像走査、コピー、印刷、電子メール、ドキュメント管理またはドキュメント保管等が含まれる。本発明による一形態においては、ドキュメント処理装置104および120は、リモート・ドキュメント処理サービスを外部装置あるいはネットワーク装置に対して提供する。ドキュメント処理装置104および120は、ユーザあるいはネットワークに接続された装置等とやり取りするように構成された、ハードウェア、ソフトウェアおよびこれらの任意の適切な組み合わせを含んでいる。ドキュメント処理装置104および120の機能等については、後ほど図2と図3を参照しながら説明を行う。
【0015】
また、本発明による一実施形態において、ドキュメント処理装置104および120は、例えば、IEEE 1394あるいはUSBインターフェイスを有する各種ドライブ、多様なICメモリカード等の、複数のポータブル記憶媒体を受け入れるためのインターフェイスを備える。本発明の実施形態においては、ドキュメント処理装置104および120のそれぞれは、さらに、タッチ・スクリーン、LCD、タッチ・パネルまたは英数字キーパッド等のユーザ・インターフェイス106および122を備え、ユーザは、このようなユーザ・インターフェイスを介して対応するドキュメント処理装置104または120と直接やり取りすることができる。本発明による一実施形態においては、ユーザ・インターフェイス106および122は、ユーザに対して情報を伝達するとともに、ユーザから選択内容を受け取るために用いられる。ユーザ・インターフェイス106および122は、本技術分野において知られているように、ユーザにデータを提示するために適切な多様なコンポーネントを含む。本発明の一実施形態によれば、ユーザ・インターフェイス106および122は、より詳細な説明を後述するとおり、それぞれ1つまたは複数のグラフィック要素、テキスト・データまたは画像等をユーザに表示し、ユーザから入力を受け取り、受け取ったユーザ入力をコントローラ108および124等のバックエンド・コンポーネントに伝達するために適切に適合されたディスプレイを含む。ドキュメント処理装置104および120は、それぞれ適切な通信リンク112および128を介して、コンピュータ・ネットワーク102に通信可能に接続されている。適切な通信リンクには、例えば、WiMax(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、IEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11(x)、Bluetooth(登録商標)、公衆交換電話網、専用通信ネットワーク、赤外線接続、光接続、または、本技術分野において知られている他の適切な有線または無線のデータ通信チャネルが含まれる。
【0016】
本発明による実施形態において、ドキュメント処理装置104および120は、さらに、対応するドキュメント処理装置104および120による処理動作を容易にする適切なコントローラ108および124を、それぞれ内蔵している。コントローラ108および124は、対応するドキュメント処理装置104および120の動作の制御、あるいはユーザ・インターフェイス106および122を介した画像の表示、または、電子画像データの操作の指示等の処理を容易にするように構成されたハードウェア、ソフトウェアあるいはこれらの適切な組み合わせによって実装される。以下の説明においては、コントローラ108および124という用語は、後述する動作を実行し、もしくは実行させ、もしくは制御し、またはその他の指示を行うように機能するハードウェア、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせを含む、対応するドキュメント処理装置104および120と関連する任意の多数のコンポーネントの意味で、使用する。なお、図および上記の説明において、コントローラ108および124を対応するドキュメント処理装置104および120に内蔵された形態としたが、コントローラ108および124は、それぞれ対応するドキュメント処理装置104および120に通信可能に接続された外部装置の形態であってもよい。コントローラ108および124との関連において説明を行う動作は、本技術分野において知られている任意の汎用コンピューティング・システムによって実行可能である。したがって、コントローラ108および124は、このような汎用的なコンピューティング装置を表しており、以下の説明において使用する際にも、そのように意図されている。さらに、以下の説明においてはコントローラ108および124を使用しているが、これは実施形態の例にすぎず、その他の実施形態においても、本発明によるドキュメント処理の有料サービス・システムおよび方法を利用することができる。コントローラ108および124の構成等については、後ほど図4と図5を参照しながら説明を行う。
【0017】
また、ドキュメント処理装置104および120には、それぞれデータ記憶装置110および126が通信可能に接続されている。データ記憶装置110および126は、例えば、ハードディスク・ドライブ、その他の磁気記憶装置、光学式記憶装置、フラッシュ・メモリまたはそれらの任意の組み合わせを含む本技術分野で知られている大容量記憶装置である。一実施形態において、データ記憶装置110および126は、ドキュメント・データ、画像データまたは電子データベースのデータ等を保存するように適切に適合されている。データ記憶装置110および126は、図においてはシステム100の独立したコンポーネントとして例示されているが、例えば、内蔵ハードディスク・ドライブ等のような、対応するドキュメント処理装置104および120の内部記憶装置、あるいは対応するコントローラ108および124のコンポーネント等として実装することができる。本発明の一実施形態によれば、データ記憶装置110および126は、ドキュメント処理装置104および120に関連付けされた共通識別子データおよび構成データを保存することができる。構成データは、例えば、口座情報、サービス・プロバイダ情報および利用可能なドキュメント処理能力等を含む。
【0018】
ドキュメント処理装置104および120には、それぞれ第1の支払いステーション‐ベースのキオスク114および第2の支払いステーション‐ベースのキオスク130が通信可能に接続されている。第1および第2のキオスク114および130は、それぞれドキュメント処理装置104および120を経由して、コンピュータ・ネットワーク102と通信可能である。キオスク114および130は、それぞれ対応するドキュメント処理装置104および120とは独立したコンポーネントとして、または対応するドキュメント処理装置に内蔵されたコンポーネントとして実装することができる。ここで、キオスク114および130の使用は例示目的だけのためであり、本発明は、キオスクの使用を伴うことなく具体化することができる。本発明の一実施形態によれば、キオスク114および130は、それぞれディスプレイ116および132、およびユーザ入力装置118および134を含む。キオスク114および130は、タッチ・スクリーン・インターフェイス等の、ユーザ入力装置とディスプレイを組み合わせた装置を実装できる。本発明の一実施形態によれば、キオスク114および130は、ユーザへのプロンプトの表示、ユーザからのインストラクションの受取り、および支払いデータの受取り等を実行する。例えば、キオスク114および130は、取引識別データが記録された磁気カード等のポータブル記憶媒体を受け取るように適合されている。このような実施形態においては、キオスク114および130は、ポータブル記憶媒体からデータを受け取り、読み取る、磁気カード・リーダを含む。また、キオスク114および130は、それぞれ関連するドキュメント処理装置104および120を経由する接続を使用して、コンピュータ・ネットワーク102を介して、サーバ136等のバックエンド・コンポーネントと通信することができる。
【0019】
システム100は、通信リンク140を介してコンピュータ・ネットワーク102とデータ通信可能なバックエンド・サーバ136を、さらに、含む。また、バックエンド・サーバ136は、それに接続されるデータ記憶装置138を、さらに、含む。本発明の一実施形態によれば、データ記憶装置138は、ドキュメント処理サービスのプロバイダ、ドキュメント処理サービス、ドキュメント処理装置、ユーザおよび支払い情報等に対応する複数のデータベースを保存することができる。通信リンク140は、例えば、Bluetooth(登録商標)、WiMax、IEEE802.11a、IEEE 802.11b、IEEE 802.11g、IEEE 802.11(x)、専用通信ネットワーク、赤外線接続、光接続、公衆交換電話網、または、本技術分野において知られている他の適切な有線または無線のデータ通信チャネルである。バックエンド・サーバ136の構成等については、後ほど図6を参照しながら説明を行う。
【0020】
システム100は、通信リンク144を介してコンピュータ・ネットワーク102とデータ通信を行うユーザ装置142も含む。図においてはユーザ装置142をノート形パーソナル・コンピュータとして示しているが、これは例示にすぎない。ユーザ装置142は、例えば、コンピュータ・ワークステーション、デスクトップ形パーソナル・コンピュータ、携帯情報端末(PDA)、ウェブ適合携帯電話、スマートフォン、専用通信ネットワーク用の装置、またはその他のウェブ適合電子装置を含む本技術分野において知られている任意のパーソナル・コンピューティング装置を表している。通信リンク144は、例えば、Bluetooth(登録商標)、WiMax、IEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11(x)、専用通信ネットワーク、赤外線接続、光接続、公衆交換電話網、または、本技術分野において知られている他の適切な有線または無線のデータ通信チャネルである。ユーザ装置142は、例えば、電子ドキュメント、ドキュメント処理インストラクション、ユーザ・インターフェイスの修正、アップグレード、更新、またはパーソナル化データ等を生成し、生成したデータを、ドキュメント処理装置104、ドキュメント処理装置120、サーバ136またはコンピュータ・ネットワーク102に接続されているその他の任意の類似装置に送信する。本発明の一実施形態によれば、ユーザ装置142は、ドキュメント処理装置104、ドキュメント処理装置120またはサーバ136等とセキュリティ面で安全にやり取りするために、適切なウェブ・ブラウザ・アプリケーションを含む。ユーザ装置142は管理装置として実装することも可能であり、その場合には装置142に関連付けされたユーザが、バックエンド・サーバ136に保存されたデータへのアクセス、削除、閲覧、またはその他の変更を行うことができる。
【0021】
次に、図2および図3を参照しながら、本発明による実施形態におけるシステムの動作が実行されるドキュメント処理装置のハードウェアおよび機能構成等を説明する。図2に本発明による実施形態においてシステム100の動作が実行されるドキュメント処理装置200(図1においては第1のドキュメント処理装置104および第2のドキュメント処理装置120として表されている。)のハードウェア・アーキテクチャの構成例を示す。ドキュメント処理装置200には、少なくとも一つのCPUから構成されるプロセッサ202が含まれている。プロセッサ202は、互いに協調して動作する複数のCPUから構成されることもある。また、ドキュメント処理装置200には、BIOS機能、システム機能、システム構成データおよびドキュメント処理装置200の動作に使用するその他のルーチンもしくはデータ等の静的または固定的なデータ、あるいはインストラクションのために有効に使用される、不揮発性または読出し専用メモリ(ROM)204が含まれている。
【0022】
また、ドキュメント処理装置200には、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ、または他の任意の適切なアドレス指定可能かつ書込み可能なメモリ・システムから構成されるRAM206が含まれている。RAM206は、プロセッサ202によって処理されるアプリケーションおよびデータ処理に関係するデータ・インストラクションのための記憶領域を提供する。
【0023】
ストレージ・インターフェイス208は、ドキュメント処理装置200に関連するデータの不揮発性保存、大容量保存または長期的な保存ためのメカニズムを提供する。ストレージ・インターフェイス208は、引用符号216として図示したディスク・ドライブ、あるいは光学式ドライブ、テープ・ドライブ等の適切な任意のアドレス指定可能、またはシリアル記憶装置等の大容量記憶装置の他、当業者に知られている適切な任意の記憶媒体を使用する。
【0024】
ネットワーク・インターフェイス・サブシステム210は、ネットワークとの間の入出力を適切にルーティングすることによって、ドキュメント処理装置200が他の装置と通信することを可能にする。ネットワーク・インターフェイス・サブシステム210は、ドキュメント処理装置200の外部装置との一つまたは複数のコネクションを確立する。図においては、一例として、Ethernet(登録商標)およびトークン・リング等といった固定または有線ネットワークとのデータ通信のための少なくとも一つのネットワーク・インターフェイス・カード214、およびWiFi(Wireless Fidelity)、WiMax、無線モデム、セルラ・ネットワークまたは適切な任意の無線通信システム等の手段を介した無線通信のために適切な無線インターフェイス218を示している。ネットワーク・インターフェイス・サブシステム210は、任意の物理的データ転送レイヤあるいは物理的データ転送レイヤではないデータ転送レイヤまたはプロトコル・レイヤを適切に利用する。図においては、ネットワーク・インターフェイス・カード214は、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワークまたはそれらの組合せから適切に構成される物理的ネットワーク220を介したデータ交換を行うために、相互接続されている。
【0025】
プロセッサ202、読出し専用メモリ(ROM)204、RAM206、ストレージ・インターフェイス208およびネットワーク・インターフェイス・サブシステム210の間のデータ通信は、バス212によって例示したバス・データ転送メカニズムを介して行われる。
【0026】
ドキュメント処理装置200における実行可能なインストラクションは、ワークステーション、他のドキュメント処理装置またはサーバ等の複数の外部装置との通信を円滑に実行する。動作の際、代表的な装置は自立的に動作するが、しばしば、ローカル・ユーザによる直接的な制御が望ましい場合もある。ローカル・ユーザによる直接的な制御は、ユーザ入出力(I/O)パネル224へのオプションの入出力(I/O)インターフェイス222を介して実行することができる。
【0027】
また、1つまたは複数のドキュメント処理エンジンへのインターフェイスも、バス212を介してデータ通信を行う。図に示した実施形態においては、印刷インターフェイス226、コピー・インターフェイス228、画像走査インターフェイス230およびファクシミリ・インターフェイス232は、それぞれ、印刷エンジン234、コピー・エンジン236、画像走査エンジン(スキャナ)238、およびファクシミリ・エンジン240との通信を容易にする。ドキュメント処理装置200は、1つまたは複数のドキュメント処理機能を適切に実行する。複数のドキュメント処理動作を実行するシステムは、前述したように一般に、多機能周辺装置(MFP)または多機能装置と呼ばれる。
【0028】
次に図3を参照しながらシステムの動作が実行されるドキュメント処理装置の機能ブロックを説明する。図3に、本発明による実施形態のシステム100の動作が実行されるドキュメント処理装置300の機能ブロックの構成例を示す。図3は、ソフトウェアおよびオペレーティング・システム機能と関連して、図2に示したハードウェアの機能性を例示している。
【0029】
ドキュメント処理装置300は、1つまたは複数のドキュメント処理動作を円滑に実行するドキュメント処理エンジン302を含んでいる。ドキュメント処理エンジン302は、印刷エンジン304、ファクシミリ・エンジン306、画像走査エンジン(スキャナ)308およびコンソール・パネル310を含む。印刷エンジン304は、ドキュメント処理装置300に伝達された電子ドキュメントを、物理的なドキュメント、すなわちハードコピーの出力を可能とする。ファクシミリ・エンジン306は、ファクシミリ・モデム等の装置を介して、外部のファクシミリ装置との間で相互にファクシミリ通信を行う。
【0030】
画像走査エンジン(スキャナ)308は、ハードコピー・ドキュメントを受け取り、このハードコピー・ドキュメントに対応する画像データに変換するように機能する。コンソール・パネル310等のユーザ・インターフェイスは、ユーザからのインストラクションの入力と、ユーザへの情報の表示を可能にする。画像走査エンジン308は、目に見える有形のドキュメントの入力を、ビットマップ・フォーマット、ベクター・フォーマットまたはページ記述言語(PDL)フォーマットの電子的な形態へ変換し、さらに、光学文字認識のためにも構成されている。また、実際の目に見える有形のドキュメントの画像走査は、ファクシミリ動作においても有効に機能する。
【0031】
図に示したドキュメント処理エンジン302は、ドライバ326を介したネットワークとのインターフェイス316も備え、例えばネットワーク・インターフェイス・カードから構成されている。ネットワークは、有線、無線あるいは光によるデータ通信のような任意の適切な物理的レイヤおよび物理的でないレイヤによって、十分なやり取りを実現している。
【0032】
ドキュメント処理エンジン302は、1つまたは複数のデバイス・ドライバ314と適切な通信を行う。デバイス・ドライバ314は、実際のドキュメント処理動作を実行するために、ドキュメント処理エンジン302と、1つまたは複数の物理的装置との間のデータ交換を可能とする。このようなドキュメント処理動作には、ドライバ318による印刷、ドライバ320によるファクシミリ通信、ドライバ322による画像走査、およびドライバ324によるユーザ・インターフェイス機能の中の1つまたは複数のものが含まれる。これらの多様な装置は、ドキュメント処理エンジン302と関連する1つまたは複数の対応したエンジンと結合されている。本発明においては、ドキュメント処理動作の任意のセットまたはサブセットが想定されている。複数の利用可能なドキュメント処理オプションを含むドキュメント処理装置はMFPと呼ばれている。
【0033】
次に、図4および図5を参照しながら、本発明による実施形態におけるシステムの動作が実行されるコントローラのハードウェアおよび機能構成等を説明する。図4に本発明による実施形態においてシステム100の動作が実行されるバックエンド・コンポーネント、すなわち、図1においてはコントローラ108および124として示したコントローラ400のハードウェア・アーキテクチャの構成例を説明するための図を示す。尚、図においては、コントローラの構成要素の意義をより明確にするため、参照符号432で表した、コントローラ以外のドキュメント処理装置の構成要素の一部を併せて示している。コントローラ400は、本明細書に記載する動作を円滑に実行する能力を有する、本技術分野において知られている任意の汎用的なコンピューティング装置を表している。コントローラ400には、少なくとも一つのCPUを含むプロセッサ402が含まれている。プロセッサ402は、互いに協調して動作する複数のCPUから構成されることもある。また、コントローラ400には、BIOS機能、システム機能、システム構成データおよびコントローラ400の動作に使用されるその他のルーチンもしくはデータ等の静的または固定的なデータ、あるいはインストラクションのために有効に使用される、不揮発性または読出し専用メモリ(ROM)404が含まれている。
【0034】
また、コントローラ400には、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ、または他の任意の適切なアドレス指定可能かつ書込み可能なメモリ・システムから構成されるRAM406が含まれている。RAM406は、プロセッサ402によって処理されるアプリケーションおよびデータ処理に関係するデータ・インストラクションのための記憶領域を提供する。
【0035】
ストレージ・インターフェイス408は、コントローラ400に関連するデータの不揮発性保存、大容量保存または長期的な保存ためのメカニズムを提供する。ストレージ・インターフェイス408は、416として図示したディスク・ドライブ、あるいは光学式ドライブ、テープ・ドライブ等の適切な任意のアドレス指定可能、またはシリアル記憶装置等の大量記憶装置の他、当業者に知られている適切な任意の記憶媒体を使用する。
【0036】
ネットワーク・インターフェイス・サブシステム410は、ネットワークとの間の入出力を適切にルーティングすることによって、コントローラ400が他の装置と通信することを可能にする。ネットワーク・インターフェイス・サブシステム410は、装置400に対する外部装置との一つまたは複数のコネクションのインターフェイスを適切にとる。図においては、例えば、Ethernet(登録商標)およびトークン・リング等といった固定または有線ネットワークとのデータ通信のための少なくとも一つのネットワーク・インターフェイス・カード414、およびWiFi、WiMax、無線モデム、セルラ・ネットワークまたは適切な任意の無線通信システム等の手段を介した無線通信のために適切な無線インターフェイス418とを示している。ネットワーク・インターフェイス・サブシステム410は、任意の物理的データ転送レイヤあるいは物理的データ転送レイヤではないデータ転送レイヤまたはプロトコル・レイヤを適切に利用する。図においては、ネットワーク・インターフェイス・カード414は、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワークまたはそれらの組合せから適切に構成される物理的ネットワーク420を介したデータ交換を行うために、相互接続されている。
【0037】
プロセッサ402、読出し専用メモリ(ROM)404、RAM406、ストレージ・インターフェイス408およびネットワーク・インターフェイス・サブシステム410の間のデータ通信は、バス412によって例示したバス・データ転送メカニズムを介して行われる。
【0038】
また、ドキュメント・プロセッサ・インターフェイス422もバス412を介してデータ通信を行う。ドキュメント・プロセッサ・インターフェイス422は、様々なドキュメント処理動作を実行するために、ドキュメント処理ハードウェア432との接続を提供する。そのようなドキュメント処理動作には、コピー・ハードウェア424によって実行されるコピー、画像走査ハードウェア426によって実行される画像走査、印刷ハードウェア428によって実行される印刷、およびファクシミリ・ハードウェア430によって実行されるファクシミリ通信がある。コントローラ400は、これらのドキュメント処理動作のいずれかまたは全部を適切に動作させる。複数のドキュメント処理動作を実行可能なシステムは、前述したように、MFPまたは多機能装置と呼ばれる。システム100の機能は、ドキュメント処理装置と関連するインテリジェント・サブシステムとして図4に示したコントローラ400(図1においてはコントローラ108および124として示されている。)を含む、ドキュメント処理装置104および120等の適切なドキュメント処理装置において実行される。
【0039】
次に図5を参照しながらシステムの動作が実行されるコントローラの機能ブロックと動作の概要を説明する。図5に、本発明による実施形態のシステム100の動作が実行されるコントローラの機能ブロックの構成例を説明するための図を示す。尚、図5においても、コントローラの機能要素の意義をより明確にするため、コントローラ以外のドキュメント処理装置の機能要素の一部を併せて示している。図5は、ソフトウェアおよびオペレーティング・システム機能と関連して、図4に示したハードウェアの機能性を例示している。
【0040】
コントローラの機能は、ドキュメント処理エンジン502を含む。一実施形態において、ドキュメント処理エンジン502は、印刷動作、コピー動作、ファクシミリ通信動作および画像走査動作を可能にする。これらの機能が一つの装置で実行できる装置は、産業界において一般に好まれているドキュメント処理周辺装置であるMFPである。しかし、コントローラが上記のドキュメント処理動作のすべてを可能にする必要は必ずしもない。コントローラは、上記のドキュメント処理動作の一部を実行する専用のドキュメント処理装置、あるいはより限定した目的のドキュメント処理装置においても有効に用いられる。
【0041】
ドキュメント処理エンジン502はユーザ・インターフェイス・パネル510と適切にインターフェイスされている。ユーザまたは管理者は、このユーザ・インターフェイス・パネル510を介して、ドキュメント処理エンジン502によって制御される機能にアクセスすることができる。アクセスは、コントローラにローカルに配置されているインターフェイスを介して行われるか、または遠隔のシン・クライアント(thin client)もしくはシック・クライアント(thick client)によって遠隔から行われる。
【0042】
ドキュメント処理エンジン502は、印刷機能部504、ファクシミリ通信機能部506および画像走査機能部508とデータ通信を行う。これらの機能部は、印刷、ファクシミリの送受信、およびドキュメント画像をコピーのために取得するか、またはドキュメント画像の電子バージョンを生成するための、ドキュメント画像走査の実際の処理動作を容易にする。
【0043】
ジョブ・キュー(job queue)512は、印刷機能部504、ファクシミリ通信機能部506および画像走査機能部508とデータ通信を行う。ビットマップ・フォーマット、ページ記述言語(PDL)フォーマットまたはベクター・フォーマット等の種々の画像形式は、画像走査機能部508からジョブ・キュー512を介して以降の処理のために中継される。
【0044】
ジョブ・キュー512は、また、ネットワーク・サービス機能部514ともデータ通信を行う。一実施形態において、ジョブ制御、状態データまたは電子ドキュメント・データが、ジョブ・キュー512とネットワーク・サービス機能部514との間で交換される。このように、任意の適切なシンまたはシック・クライアントとなるクライアント側ネットワーク・サービス機能520を介したコントローラ機能へのネットワーク・ベースのアクセスのために適切なインターフェイスが設けられている。一実施形態において、ウェブ・サービス・アクセスは、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)、ファイル転送プロトコル(FTP)、ユニフォーム・データ・ダイアグラム・プロトコルまたは他の任意の適切な交換メカニズムによって実行される。ネットワーク・サービス機能部514は、また、FTP、電子メールまたはテルネット(TELNET)等による通信のために、クライアント側ネットワーク・サービス機能520とのデータ交換も有効に提供する。このように、コントローラ機能は、種々のネットワーク・アクセス・メカニズムによって、電子ドキュメントおよびユーザ情報の出力あるいは受信を容易にする。
【0045】
ジョブ・キュー512は、また、画像プロセッサ516ともデータ通信を行う。画像プロセッサ516は、印刷機能部504、ファクシミリ通信機能部506または画像走査機能部508等の装置機能部と、電子ドキュメントを交換するために適したフォーマットに変換するラスタ画像処理(RIP)、ページ記述言語インタープリタまたは任意の適切な画像処理を行うメカニズムである。
【0046】
最後に、ジョブ・キュー512は、ジョブ解析部(job parser)518とデータ通信を行い、このジョブ解析部518はクライアント装置サービス部522等の外部装置からの印刷ジョブ言語(PJL)ファイルを受け取る働きをする。クライアント装置サービス部522は、電子ドキュメントの印刷、ファクシミリ通信、またはコントローラ機能による処理が有効である他の適切な電子ドキュメントの入力を含む。ジョブ解析部518は、受け取った電子ドキュメント・ファイルを解析し、前述した機能およびコンポーネントと関連する処理のために、解析した電子ドキュメント・ファイル情報をジョブ・キュー512に中継する働きをする。
【0047】
次に図6を参照しながら、本発明による実施形態におけるシステムの動作が実行され、図1にバックエンド・サーバ136として示した、サーバのハードウェア構成を説明する。図6に本発明による実施形態においてシステム100の動作が実行されるサーバ600のハードウェア・アーキテクチャの構成例を示す。サーバ600には、少なくとも一つのCPUを含むプロセッサ602が含まれている。プロセッサ602は、互いに協調して動作する複数のCPUから構成されることもある。また、サーバ600には、BIOS機能、システム機能、システム構成またはサーバ600の動作に使用する他のルーチンもしくはデータ等の静的または固定的なデータ、あるいは命令のために有効に使用される、不揮発性または読出し専用メモリ(ROM)604が含まれている。
【0048】
また、サーバ600には、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ、または他の任意の適切なアドレス指定可能かつ書込み可能なメモリ・システムから構成されるRAM606が含まれている。RAM606は、プロセッサ602により処理されるアプリケーションおよびデータ処理に関係するデータと命令のための記憶領域を提供する。
【0049】
ストレージ・インターフェイス608は、サーバ600に関連するデータの不揮発性保存、大容量保存または長期的な保存ためのメカニズムを提供する。ストレージ・インターフェイス608は、616として図示したディスク・ドライブ、あるいは光学式ドライブ、テープ・ドライブ等の適切な任意のアドレス指定可能、またはシリアル記憶装置等の大容量記憶装置の他、当業者に知られている適切な任意の記憶媒体を使用する。
【0050】
ネットワーク・インターフェイス・サブシステム610は、ネットワークとの間の入出力を適切にルーティングすることによって、サーバ600が他の装置と通信することを可能にする。ネットワーク・インターフェイス・サブシステム610は、サーバ600に対する外部装置との一つまたは複数のコネクションのインターフェイスを適切にとる。図においては、例えば、Ethernet(登録商標)およびトークン・リング等の固定または有線ネットワークとのデータ通信のための少なくとも一つのネットワーク・インターフェイス・カード614、およびWiFi、WiMax、無線モデム、セルラ・ネットワークまたは適切な任意の無線通信システム等の手段を介した無線通信のために適切な無線インターフェイス618を示している。ネットワーク・インターフェイス・サブシステム610は、任意の物理的データ転送レイヤあるいは物理的データ転送レイヤではないデータ転送レイヤまたはプロトコル・レイヤを適切に利用する。図においては、ネットワーク・インターフェイス・カード614は、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワークまたはこれらの組合せから適切に構成される物理的ネットワーク620を介したデータ交換を行うために、相互接続されている。
【0051】
プロセッサ602、読出し専用メモリ(ROM)604、RAM606、ストレージ・インターフェイス608およびネットワーク・インターフェイス・サブシステム610の間のデータ通信は、バス612によって例示したバス・データ転送メカニズムを介して行われる。
【0052】
サーバ600における適切な実行可能なインストラクションは、ワークステーション、ドキュメント処理装置あるいは他のサーバ等の複数の外部装置との通信を容易にする。動作において、一般的なサーバは自立的に動作するが、ユーザによる直接的な制御が望ましい場合もあり、このような直接的な制御は、オプションの入出力インターフェイス622を介して実行される。
【0053】
以下、本発明における動作の概要を説明する。先ず、共通的に制御される複数のドキュメント処理ステーションのうちの少なくとも1つが、電子ドキュメントに対するドキュメント処理動作の実行要求を受信する。次に、ドキュメント処理要求を受信したドキュメント処理ステーションによって、関連するポータブル・データ記憶装置から取引識別データ(transaction identification data)が受信される。そのステーションは、その後、要求された各ドキュメント処理動作に対応する料金請求データを生成する。次に、受信された取引識別データが共通識別子データ(common identification data)と比較される。受信された取引データが共通識別子データと整合する場合には、料金請求データが関連する支払いステーションに出力される。受信された取引データが共通識別子データと整合しない場合には、ポータブル・データ記憶装置に関連付けされた引き落としデータが出力される。
【0054】
本発明の例示的な一実施形態によれば、関連するキオスク114、130、ユーザ・インターフェイス106、122またはユーザ装置142等を介して、ドキュメント処理要求がドキュメント処理装置104または120によって受信される。次に、取引識別データが、ポータブル記憶媒体から受信される。本発明による一実施形態において、取引識別データは、例えば磁気記憶装置、例えば、クレジット・カード、デビット・カードまたはスマート・カード等のポータブル記憶媒体から受信される、口座番号または英数文字列等に対応する。ドキュメント処理要求を受け取ったドキュメント処理装置104または122は、その後、対応するコントローラ108または124によって、要求されたドキュメント処理動作の実行に関連する費用を計算する。計算結果に基づいて、ドキュメント処理要求を実行する費用に対応する料金請求データが生成される。
【0055】
次に、ドキュメント処理要求を受け取ったドキュメント処理装置104または120のそれぞれに対応するコントローラ108または124によって、受信された取引識別データが不明なデータ(unknown data)であるか否かの判断が行われる。すなわち、ポータブル・データ記憶装置から受信されたデータが、理解できない、改ざんされている、読み取りできない、認識不能な口座番号を表している、またはこれらの類であるか否かという判断が行われる。受信された取引識別データが不明な場合には、ドキュメント処理要求を受け取ったドキュメント処理装置104または120によってエラー信号が生成され、生成されたエラー信号は、例えば、ユーザ・インターフェイス106、122上の視覚表示器、ディスプレイ116、132、Eメール・メッセージング、テキスト・メッセージングまたは可聴警告等を含む本技術分野において知られている任意の適切な手段を介して、ドキュメント処理要求に関連付けされたユーザに伝達される。
【0056】
取引識別データが不明なタイプまたはフォーマット等ではないと判断されると、その取引識別データが共通識別子データと比較される。本発明の一実施形態によれば、共通識別子データは、ユーザが支払いステーションにおいてドキュメント処理サービスのための支払いを行うカウンタ支払いタイプの取引を示すローカル口座に対応する。本発明の一実施形態においては、共通識別子データは、バックエンド・サーバ136から受信され、ドキュメント処理要求を受け取ったドキュメント処理装置104または120の物理的な場所、ドキュメント処理要求を受け取ったドキュメント処理装置104または120に関連付けされたサービス・プロバイダ等に対応する。
【0057】
共通識別子データと取引識別データが整合するときには、料金請求データが支払いステーションに対して出力され、その結果ユーザに、要求されたドキュメント処理動作の実行に関連する費用に対応する支払いを促す。支払いステーションは、例えば、自動化された支払いステーション、補助付き支払いステーション、またはキャッシャ(cashier)等を含む。取引識別データと共通識別子データが整合しないときには、ポータブル・データ記憶装置に関連付けられた引き落としデータが出力される。すなわち、取引識別データによって表されるクレジット・カード口座、パーソナル口座、またはプリペイド口座、すなわち前払い口座等が、要求されたドキュメント処理動作の実行に関連する費用にしたがって引き落とされる。本明細書で使用される「引き落とし」という用語は、例えば、クレジット‐ベースの口座への請求、前払い口座からの差し引き、ビジネス口座への請求またはパーソナル口座への請求等を含む。
【0058】
本発明による例示的な一実施形態においては、バックエンド・サーバ136が、サービス・プロバイダに関連付けされた口座を表す口座データに対応する共通識別子データを受信する。サービス・プロバイダは、有料のドキュメント作成、管理、保管、通信および装置等に対応する施設およびサービスを提供する。本発明の一実施形態によれば、サービス・プロバイダは、それぞれドキュメント処理装置104および120に接続されたキオスク114および130を含み、それらを介してユーザはドキュメント処理動作の実行を要求することができる。例えば、キオスク、ドキュメント処理装置が、複数のその種のキオスク、ドキュメント処理装置を含めてサービス・プロバイダによって運営されている施設内に配置され、それによって複数のユーザにドキュメント処理サービスを提供する。共通識別子データは、この例示的な実施形態において、前払い口座に対応する16桁の口座番号を表すデータを含む。次に、サーバ136は、サービス・プロバイダの場所およびドキュメント処理装置104を表す、サービス・プロバイダの場所の識別データを受信する。
【0059】
次いで、受信された口座データは、サーバ136によって、関連するデータベース内にサービス・プロバイダ識別データに関連付けられて保存される。サーバ136は、次に、関連するデータをドキュメント処理装置104および120に伝達し、伝達したデータによって、それらのドキュメント処理装置に関連する構成データを選択的に修正する。構成データは、例えば、共通識別子データ、サービス・プロバイダに対応する口座データ、場所データおよびその他のドキュメント処理装置の構成データを含む。
【0060】
本発明による別な実施形態において、第1のドキュメント処理装置104が、コンピュータ・ネットワーク102を介して、サーバ136から構成更新データを受信する。次に、ドキュメント処理装置104に関連付けされたコントローラ108は、サーバ136から受信された構成データにしたがって構成データを更新する。本発明の一実施形態によれば、サーバ136から受信された構成データは共通識別子データを含む。本発明によるさらなる実施形態においては、構成データはドキュメント処理装置104が配置されているサービス・プロバイダの場所に関連付けされた口座番号も含む。別の実施形態においては、口座番号は、サービス・プロバイダの複数の場所において使用可能な口座に対応する。
【0061】
ユーザが、ユーザ・インターフェイス106または122、キオスク114または130、またはユーザ装置142等を介して、ドキュメント処理装置104または120にログインするときには、ユーザに、希望するドキュメント処理動作の選択が促される。ドキュメント処理動作には、例えば、電子メール送信動作、コピー動作、画像走査した後に保存する動作、画像走査した後に電子メールを送信する動作、ファクシミリ通信動作または印刷動作等がある。次に、ユーザが選択したドキュメント処理動作の要求に基づき、コントローラ108または124、キオスク114または130またはその他の適切な装置が、要求されたドキュメント動作の実行に関連する料金を計算する。次に、この費用が、ユーザ・インターフェイス106または122、ディスプレイ116または132またはユーザ装置142等を介して、ユーザに表示される。ユーザは、ユーザ装置142において、セキュリティ面で安全なウェブ・ポータルを介して、遠隔からドキュメント処理動作を要求することができ、したがってドキュメント処理動作を要求し、料金を認めることをユーザ装置142において実行することが可能である。
【0062】
次いで、取引識別データが、クレジット・カード、ユーザ名とパスワードの組合せ、またはプリペイド・カード等の形式で、ユーザから受信される。ユーザは、例えば、サービスの請求がなされる業務に関連する口座番号、クレジット・カード番号、または前払いアカウントに関連付けされた口座番号等を入力することができる。このようなデータの入力は、ドキュメント処理装置104、120、またはキオスク114、130等に関連付けされたカード・リーダ(図示せず)によって行うこともできるし、または、例えば、ユーザ装置142、ユーザ・インターフェイス106、122またはユーザ入力装置118、134等の適切なキーボードを介してマニュアルで入力することができる。受信された取引識別データについては、そのデータが不明なデータであるか否か、例えばそのデータが改ざんされているか、理解できないか、または認識できないか、またはそれらの類であるか否かの判断が最初に行われる。受信された取引識別データが不明なデータである場合には、ドキュメント処理要求を受け取ったドキュメント処理装置104または120は、それらの適切なコンポーネントによって、ユーザにエラーを示すエラー信号を生成する。
【0063】
取引識別データが不明なデータではない場合には、コントローラ108、124、キオスク114、130、またはその他のドキュメント処理要求を受け取ったドキュメント処理装置104または120に関連付けされた適切なコンポーネントが、ユーザから受信された取引識別データが前払い口座、クレジット・カード口座、または、例えば、ビジネス口座もしくはパーソナル口座等のユーザ口座等に対応するか否かを判断する。取引識別データがクレジット・カードまたはユーザ口座に対応する場合には、承認のために料金がユーザに提示される。料金の承認が受信されると、ドキュメント処理装置104は、要求された動作を実行し、対応する口座に料金を請求する。本発明による一実施形態においては、口座への料金請求は、データ記憶装置138に保存されているデータベースに保存するために、実行されたドキュメント処理動作に関連する取引詳細を、サーバ136に伝達することを含む。
【0064】
取引識別データが前払い口座に対応すると判断されると、コントローラ108、124、キオスク114、130またはその他のドキュメント処理要求を受け取ったドキュメント処理装置104または120に関連付けされた適切なコンポーネントが、ドキュメント処理要求を受け取ったドキュメント処理装置104または120が配置されているサービス・プロバイダの場所に関連付けされた口座番号に対応する共通識別子データを、構成ファイル内で検索する。すなわち、構成ファイルは、例えば16桁の口座番号といった口座番号を含み、この口座番号は、受信された支払いデータに関連付けされたユーザによって要求されたドキュメント処理動作に対して、サービス・プロバイダの場所内の売り場、例えばキャッシャにおいて、ユーザによって料金が支払われることを、ドキュメント処理要求を受け取ったドキュメント処理装置104または120に示す。本発明の他の実施形態においては、構成ファイルは、単一のサービス・プロバイダだけに関連付けされる前述した例とは対照的に、複数のサービス・プロバイダの場所で受け入れ可能なプリペイド・カードを示す第2の口座番号を含むことができる。
【0065】
ユーザから受信された取引識別データと構成ファイルに保存されている口座情報が整合する場合には、ユーザ・インターフェイス106または122、ディスプレイ116または132またはユーザ装置142が、その動作が『カウンタ支払い』動作であること、すなわちユーザが、サービス・プロバイダの場所内のサービス・カウンタの場所で、ドキュメント処理要求を受け取ったドキュメント処理装置104または120による処理に関連する料金を支払わなければならないことを示すプロンプトをユーザに表示する。その後、要求されたドキュメント処理動作がドキュメント処理要求を受け取ったドキュメント処理装置104または120によって実行され、取引の詳細、例えば動作のタイプ、使用されたリソース、費用等が、データベース内への保存のために、サーバ136に伝達される。
【0066】
受信された支払いデータと構成ファイル内の口座データが整合しないときは、取引識別データが、コンピュータ・ネットワーク102を介してサーバ136に伝達される。サーバ136は、データ記憶装置138から、受信された取引識別データに対応する口座残高およびユーザ情報等を表すデータを検索できる。ドキュメント処理装置104は、その後、コントローラ108またはキオスク114を介してサーバ136から前払い口座に残っている残高を受信し、それをユーザ・インターフェイス106またはディスプレイ116等を介してユーザに表示する。ユーザが請求料金を承認すると、ドキュメント処理要求を受け取ったドキュメント処理装置104によってドキュメント処理動作が実行され、データベース138内に保存するために口座の引き落としがサーバ136に伝達される。
【0067】
図1ないし図6を参照しながら説明を行ったシステム100および関連するコンポーネントの動作は、図7ないし図9を参照しながら行う以下の説明によって、より良好な理解が得られる。図7に、本発明による実施形態において、ドキュメント処理の有料サービス・システムの基本的な動作例を表すフローチャートを示す。先ず、S702で、ドキュメント処理装置104および120として図1に示した共通的に制御されるドキュメント処理ステーションが、電子ドキュメントに対してドキュメント処理動作を実行する要求を受信する。説明を簡潔かつ具体的にする目的のため、図7を参照しながら行う以下の説明においては、第1のドキュメント処理装置104および第1のキオスク114が選択されている場合について言及する。ここで、他のドキュメント処理装置およびキオスクが選択されている場合においても、図7に示した動作は同様である。
【0068】
次にS704において、ドキュメント処理装置104によって、取引識別データが、関連するポータブル・データ記憶装置から受信される。ユーザは、キオスク114またはドキュメント処理装置104等に関連付けられたカード・リーダによって読み取られる、磁気カードまたはICカードの形式のポータブル・データ記憶装置を用いて、取引識別データを提供することができる。このような実施形態においては、取引識別データがカード・リーダからドキュメント処理装置104に、後続の処理のために伝達される。S706においては、コントローラ108、キオスク114またはその他のドキュメント処理装置104に関連付けられた装置、コンポーネントが、要求されたドキュメント処理動作に対応する料金請求データを生成する。
【0069】
受信された取引識別データは、その後S708において、共通識別子データと比較される。好ましくは、共通識別子データは、例えばデータ記憶装置110内に、ドキュメント処理装置104に関連して保存される。本発明による一実施形態において、共通識別子データは口座情報に対応する。S710においては、取引識別データが共通識別子データに整合するか否かの判断が行われる。S710において、取引識別データが共通識別子データに整合しないと判断されると、処理はS712に進み、ポータブル・データ記憶装置に関連付けされた引き落としデータが出力される。例えば、ポータブル・データ記憶装置がクレジット・カードまたはプリペイド・カードのとき、カードに関連付けされた口座に、S706において生成された請求額が請求されるか、または引き落とされる。S710において、取引識別データが共通識別子データに整合すると判断されると、S706において計算された料金請求データが関連する支払いステーションに出力される(S714)。
【0070】
次に図8を参照しながら、本発明による例示的な実施形態において、ドキュメント処理の有料サービス・システムのサーバの視点からの動作を説明する。図8に、本発明による例示的な実施形態において、ドキュメント処理の有料サービス・システムのサーバの視点からの動作例を表したフローチャートを示す。先ず、S802で、ドキュメント処理要求が、ドキュメント処理装置104または120によって、関連するキオスク114、130、ユーザ・インターフェイス106、122またはユーザ装置142等を介して受信される。説明を簡潔かつ具体的にする目的のため、図8を参照しながら行う以下の説明においては、第1のドキュメント処理装置104およびそれに関連するコンポーネント、例えばキオスク114、ユーザ・インターフェイス106、コントローラ108およびデータ記憶装置110等に言及する。
【0071】
ドキュメント処理装置104は、次にS804において、ポータブル・データ記憶装置から取引識別データを受信する。本発明の一実施形態によれば、取引識別データが口座番号または英数文字列等を含む。このような本発明の実施形態において、ポータブル・データ記憶装置は、例えば、クレジット・カード、デビット・カードまたはスマート・カード等といった磁気カードまたはICカードを含む。次いでS806において、ドキュメント処理装置104は、コントローラ108またはキオスク114を介して、要求されたドキュメント処理動作の実行に関連する費用を計算することによって、料金請求データを生成する。
【0072】
次にS808において、コントローラ108により、受信された取引識別データが不明なデータであるか否かの判断が行われる。別のいい方をすれば、受信された取引識別データが改ざんされている、読み取りできない、理解できない、認識不能な口座番号を表している、またはこれらの類であるか否かの判断が行われる。S808において取引識別データが不明であると判断されると、処理はS810に進み、ドキュメント処理装置104によってエラー信号が生成される。本発明の一実施形態によれば、生成されたエラー信号は、例えば、ユーザ・インターフェイス106上の視覚表示器、ディスプレイ116、電子メール・メッセージング、テキスト・メッセージングまたは可聴警告等を含む本技術分野において知られている任意の適切な手段を介して、ドキュメント処理要求に関連するユーザに伝えられる。
【0073】
S808において取引識別データが不明でないと判断されると、処理はS812に進み、受信された取引識別データが共通識別子データと比較される。本発明の一実施形態によれば、共通識別子データが、カウンタ支払いタイプの取引、すなわちユーザが支払いステーションにおいてドキュメント処理サービスのための支払いを提供するタイプの取引を示すローカル口座に対応する。S814において共通識別子データと受信された取引識別データが整合しないと判断されると、処理はS816に進み、ポータブル・データ記憶装置に関連して引き落としデータが出力される。本発明の一実施形態によれば、取引識別データによって表されるクレジット・カード口座、パーソナル口座、または前払い口座等から、要求されたドキュメント処理動作の実行に関連する費用にしたがって引き落とされる。S814において共通識別子データと受信された取引識別データが整合すると判断されたときには、処理はS818に進み、料金請求データが支払いステーションに向けて出力される。その後ユーザは、要求したドキュメント処理動作の実行に関連する費用に対応する支払いを提供するように促される。支払いステーションは、例えば、自動化された支払いステーション、補助付き支払いステーションまたはキャッシャ等を包含することができる。
【0074】
次に図9を参照しながら、本発明による例示的な実施形態において、ドキュメント処理の有料サービス・システムのドキュメント処理装置の視点からの動作を説明する。図9に、本発明による例示的な実施形態において、ドキュメント処理の有料サービス・システムのドキュメント処理装置の視点からの動作例を表したフローチャートを示す。説明を簡潔かつ具体的にする目的のため、図9を参照しながら行う以下の説明においては、第2のドキュメント処理装置120によって実行される場合について述べる。先ず、S902で、ユーザ・インターフェイス122を介してコントローラ124が、または入力装置134を介してキオスク130がユーザのログイン・データを受信する。本発明の特定の一実施形態によれば、ログイン・データは、ユーザ名およびパスワードの一方または両方に対応し、バックエンド・サーバ136またはデータ記憶装置126のようなローカル・ストレージ等からユーザについてのデータを検索するために使用される。前払い口座を使用する場合は、例えば、前払い口座のカードをカード・リーダに通す等の何らかの形式のログイン・データを必要とする。尚、最初にユーザにドキュメント処理装置120へのログインを要求することは必ずしも必要なく、その場合にはS902はスキップされる。
【0075】
S904において、ドキュメント処理装置120は、ユーザ所望のドキュメント処理動作に対応するドキュメント処理要求を受信する。コントローラ124、キオスク130、またはドキュメント処理装置120に関連付けされたその他の適切なコンポーネントが、その後S906において、要求されたドキュメント処理動作の実行に関連する料金を計算する。要求されたドキュメント処理動作の実行に関連する料金は、例えば、ドキュメントのサイズ、動作のタイプ、使用されるトナーまたはインクの量、リソースの利用量、ストレージの使用量、ファイル・サイズ、および通信距離等に基づく。計算されたドキュメント処理料金は、その後、承認のためにユーザ・インターフェイス122またはディスプレイ132等を介してユーザに表示される。
【0076】
次にS908において、選択された支払いデータに対応する取引識別データが、ユーザから受信される。本発明の一実施形態によれば、適切な取引識別データは、本技術分野において知られているとおり、例えば、前払い口座データ、クレジット・カード・データ、ユーザ、業務または部門等に関連付けされた請求可能な口座データ、またはその他のデータを含む。次いでS910において、受信された取引データが不明なデータであるか否かの判断が行われる。データが不明である場合には、処理はS912に進み、エラー信号が生成されてユーザに伝えられる。受信された取引データが不明ではないときには、処理はS914に進み、受信された取引識別データが前払い口座に対応するか否か、すなわちサービスが請求される口座(クレジット・カード口座またはその他の請求可能な口座)に対応しないとしてコントローラ124またはキオスク130等によって認識される口座に対応するか否かの判断が行われる。
【0077】
S914において、受信された取引識別データが前払い口座に対応しないと判断されると、処理はS916に進み、要求されたドキュメント処理動作の実行に関連する料金をユーザが承認したか否かの判断が行われる。料金が承認されないときには、処理は終了する。料金が承認されたときは、S918においてドキュメント処理装置120が要求されたサービスを実行する。その後、コントローラ124、キオスク130、またはドキュメント処理装置120に関連付けされたその他の適切なコンポーネントが、S920において、クレジット・カード口座への請求、ユーザ、業務または部門の口座に対応する請求への追加等について、受信された支払いデータをバックエンド・サーバ136に伝達した後、処理は終了する。
【0078】
S914に戻り、キオスク130またはコントローラ124等が、ユーザから受信された取引識別データが前払い口座番号であって、クレジット・カード番号ではないとして認識可能な16桁の口座番号に対応すると判断されると、処理はS922に進み、共通識別子データが検索される。取引識別データは、その後S924において共通識別子データと比較され、S926において取引識別データと共通識別子データが整合するか否かの判断が行われる。すなわち、取引識別データによって表される16桁の口座番号が共通識別子データによって表される16桁の口座番号に対応するか否かが判断される。取引識別データと共通識別子データが整合するときには処理はS928に進み、ユーザ・インターフェイス122またはディスプレイ132等を介して、ユーザに要求したサービスの完了時に売り場でサービスに対する支払いを行うことを促す。次にS930において、ドキュメント処理装置120が要求された動作を実行する。取引に関する詳細データ、すなわち費用、リソース、デバイス識別情報、日時、サービス・プロバイダ識別情報等が収集され、S932において、収集された取引データが、データ記憶装置138に関連付けされたデータベース内に保存するために、コンピュータ・ネットワーク102を介して、サーバ136に伝達される。完了直後の取引に対応するデータが、その後の、例えばプロバイダ・ベースごとの取引の精算が可能となるように、サービス・プロバイダ識別データに関連付けされて保存される。
【0079】
S926に戻り、共通識別子データと取引識別データが整合しないと判断されたときは、S934において、コントローラ124またはキオスク130等は、受信された取引識別データをサーバ136に伝達する。本発明の一実施形態によれば、サーバ136が、取引識別データを受信し、データ記憶装置138に保存されたデータベースにアクセスし、ドキュメント処理装置120から受信された取引識別データに対応する口座情報を検索する。取引識別データに対応する口座情報には、例えば、口座に残存している金額に対応する口座残高が含まれる。次にS936において、口座残高がドキュメント処理装置120に伝達される。その後S938において、ユーザ・インターフェイス122またはディスプレイ132を介して、口座残高がユーザに表示され、プリペイド・カードに残されている金額を示す。
【0080】
次いでS940において、要求されたドキュメント処理動作の実行に関して、S906において計算された料金がユーザによって承認されたか否かの判断が行われる。言い換えると、ユーザが、そのドキュメント処理動作の実行について計算された額がプリペイド・カードによって指定される口座から引き落とされることに同意したか否かが判断される。料金がユーザによって承認されない場合には処理は終了する。本発明の一実施形態によれば、コントローラ124またはキオスク130等は、プリペイド・カードに残存している額が、要求された動作のための料金のカバーに十分であるか否かを判断する。プリペイド・カードのレベルが不十分なときは、ユーザに、動作をキャンセルするか、または新しい支払い方法を選択することが促される。S940においてユーザによって料金が承認された場合には、処理はS930に進み、ドキュメント処理装置120が要求されたドキュメント処理動作を実行する。次いで、取引に関する詳細データ、すなわち費用、リソース、デバイス識別情報、日時、サービス・プロバイダ識別情報等が収集され、S932において、収集された取引データが、データ記憶装置138に関連付けされたデータベース内に保存するために、コンピュータ・ネットワーク102を介して、サーバ136に伝達される。前述したとおり、取引に対応するデータがサービス・プロバイダ識別データに関連付けされて保存され、それによってその後の、例えば、プロバイダ・ベースごと、ドキュメント処理装置ベースごと、または場所ベースごと等の取引の精算が可能となる。
【0081】
本発明は、ソース・コード、オブジェクト・コード、部分的にコンパイルされた形のようなコード中間ソースおよびオブジェクト・コードの形、あるいは本発明の実施形態で使用するために適した任意の他の形のコンピュータ・プログラムをも含む。コンピュータ・プログラムは、スタンドアローンのアプリケーション、ソフトウェア・コンポーネント、スクリプトまたは他のアプリケーションへのプラグ・インとすることができる。本発明を実施するコンピュータ・プログラムは、例えば、ROMやRAM等の記憶媒体、CD−ROM等の光記録媒体、フロッピー(登録商標)ディスク等の磁気記録媒体等の、コンピュータ・プログラムを伝達することができる任意の実体または装置である担体上で具体化することができ、あるいは電気ケーブルまたは光ケーブルによって、または無線や他の手段によって伝えられる電気信号や光信号等の任意の担体によって伝達することができる。コンピュータ・プログラムは、サーバからインターネットを介してダウンロードすることもできる。また、コンピュータ・プログラムの機能は集積回路に組み込むこともできる。説明を行った本発明の原理を実質的にコンピュータまたはプロセッサに実行させるコードを含む任意およびすべての実施形態は、本発明の範囲内にある。
【0082】
本発明の好ましい実施形態の以上の説明は、例示と説明のために行った。説明は網羅的ではなく、本発明を開示した形態に限定しようとするものでもない。以上の開示を鑑みて明らかな修正または変形が可能である。例えば、本発明による実施形態の説明に記したシステムおよび方法は、例えば、通信、汎用コンピューティングまたはデータ処理等を含む、リモート取引監視を用いる複数の様々な分野に対しても適用可能であり、本発明がドキュメント処理への適用に限定されるものではない。実施形態は、本発明の原理とその実際的な応用例を最もよく示し、それにより当業者が、本発明を、意図された特定の使用に適した様々な実施形態において様々な修正で使用できるように選択され説明された。そのようなすべての修正と変形は、特許請求の範囲の記載に明示されるとおりの本発明の原理および範囲内において、当業者によって行われ得ることは明らかであり、特許請求の範囲の記載によって定められる本発明の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明による実施形態にしたがったドキュメント処理の有料サービス・システム全体の構成例である。
【図2】本発明による実施形態のシステムの動作が実行されるドキュメント処理装置のハードウェアの構成例である。
【図3】本発明による実施形態のシステムの動作が実行されるドキュメント処理装置の機能ブロックの構成例である。
【図4】本発明による実施形態のシステムの動作が実行されるコントローラのハードウェアの構成例を説明するための図である。
【図5】本発明による実施形態のシステムの動作が実行されるコントローラの機能ブロックの構成例を説明するための図である。
【図6】本発明による実施形態のシステムの動作が実行されるサーバのハードウェアの構成例である。
【図7】本発明による実施形態において、ドキュメント処理の有料サービス・システムの基本的な動作例を表すフローチャートである。
【図8】本発明による実施形態において、ドキュメント処理の有料サービス・システムのサーバの視点からの動作例を表したフローチャートである。
【図9】本発明による実施形態において、ドキュメント処理の有料サービス・システムのドキュメント処理装置の視点からの動作例を表したフローチャートである。
【符号の説明】
【0084】
100 システム
102 コンピュータ・ネットワーク、分散通信システム
104、120 ドキュメント処理装置、MFP
106、122 ユーザ・インターフェイス
108、124 コントローラ
110、126、138 データ記憶装置
112、128、140、144 通信リンク
114、130 キオスク
116、132 ディスプレイ
118、134 ユーザ入力装置
136 バックエンド・サーバ、サーバ
142 ユーザ装置
200、300 ドキュメント処理装置
202、402、602 プロセッサ
204、404、604 読出し専用メモリ、ROM
206、406、606 RAM
208、408、608 ストレージ・インターフェイス
210、410、610 ネットワーク・インターフェイス・サブシステム
212、412、612 バス
214、316、414、614 ネットワーク・インターフェイス・カード
216、416、616 ディスク・ドライブ
218、418、618 無線インターフェイス
220、420、620 物理的ネットワーク
222、622 オプションの入出力インターフェイス
224 ユーザ入出力パネル
226 印刷インターフェイス
228 コピー・インターフェイス
230 画像走査インターフェイス
232 ファクシミリ・インターフェイス
234、304 印刷エンジン
236 コピー・エンジン
238、308 画像走査エンジン
240、306 ファクシミリ・エンジン
310 コンソール・パネル
314 デバイス・ドライバ
318、320、322、324、326 ドライバ
400 コントローラ
422 ドキュメント・プロセッサ・インターフェイス
424 コピー・ハードウェア
426 画像走査ハードウェア
428 印刷ハードウェア
430 ファクシミリ・ハードウェア
432 ドキュメント処理ハードウェア
502、302 ドキュメント処理エンジン
504 印刷機能部
506 ファクシミリ通信機能部
508 画像走査機能部
510 ユーザ・インターフェイス・パネル
512 ジョブ・キュー
514 ネットワーク・サービス機能部
516 画像プロセッサ
518 ジョブ解析部
520 クライアント側ネットワーク・サービス機能
522 クライアント装置サービス部
600 サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドキュメントを処理するドキュメント処理ステーションと、
このドキュメント処理ステーションのそれぞれに関連付けされ前記ドキュメント処理ステーションのそれぞれから料金請求データを受信する手段を含む支払いステーションとからなり、
前記ドキュメント処理ステーションは、
電子ドキュメントについてのドキュメント処理要求を受信する手段と、
前記ドキュメント処理要求に関連する前記料金請求データを生成する手段と、
共通識別子データにアクセスする手段と、
ポータブル・データ記憶手段から取引識別子データを受信する手段と、
前記取引識別データと前記共通識別子データを比較する手段と、
前記取引識別子データが前記共通識別子データと整合するときに前記料金請求データを出力する手段と、
前記取引識別子データが前記共通識別子データと整合しないときに前記ポータブル・データ記憶手段に関連付けされた引き落としデータを伝達する手段と
を有することを特徴とするドキュメント処理の有料サービス・システム。
【請求項2】
前記取引識別子データが不明なデータであるときにエラー信号を生成する手段を、さらに、有することを特徴とする請求項1に記載のドキュメント処理の有料サービス・システム。
【請求項3】
前記支払いステーションに前記料金請求データを出力する手段を、さらに、有することを特徴とする請求項1に記載のドキュメント処理の有料サービス・システム。
【請求項4】
前記ポータブル・データ記憶手段はデビット・カードであることを特徴とする請求項1に記載のドキュメント処理の有料サービス・システム。
【請求項5】
前記料金請求データは完了したドキュメント処理動作に対応するデータを含むことを特徴とする請求項1に記載のドキュメント処理の有料サービス・システム。
【請求項6】
前記支払いステーションは受信された前記料金請求データに対応する支払いを受け取る手段を含むことを特徴とする請求項1に記載のドキュメント処理の有料サービス・システム。
【請求項7】
ドキュメント処理ステーションにおいて電子ドキュメントについてのドキュメント処理要求を受信するステップと、
前記ドキュメント処理要求に関連する料金請求データを生成するステップと、
共通識別子データにアクセスするステップと、
ポータブル・データ記憶装置から取引識別データを受信するステップと、
前記取引識別データと前記共通識別子データを比較するステップと、
前記取引識別子データが前記共通識別子データと整合するときに関連する支払いステーションに前記料金請求データを出力するステップと、
前記取引識別子データが前記共通識別子データと整合しないときに前記ポータブル・データ記憶装置に関連付けされた引き落としデータを伝達するステップと
を含むことを特徴とするドキュメント処理の有料サービス方法。
【請求項8】
前記取引識別子データが不明なデータであるときにエラー信号を生成するステップを、さらに、含むことを特徴とする請求項7に記載のドキュメント処理の有料サービス方法。
【請求項9】
前記支払いステーションに前記料金請求データを出力するステップを、さらに、含むことを特徴とする請求項7に記載のドキュメント処理の有料サービス方法。
【請求項10】
前記ポータブル・データ記憶装置はデビット・カードであることを特徴とする請求項7に記載のドキュメント処理の有料サービス方法。
【請求項11】
前記料金請求データは完了したドキュメント処理動作に対応するデータを含むことを特徴とする請求項7に記載のドキュメント処理の有料サービス方法。
【請求項12】
前記支払いステーションは受信された前記料金請求データに対応する支払いを受け取る手段を含むことを特徴とする請求項7に記載のドキュメント処理の有料サービス方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−287724(P2008−287724A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−133134(P2008−133134)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】