説明

ドキュメント処理操作を支援するシステムおよび方法

【課題】ドキュメント処理操作のユーザ・フレンドリな支援システムまたは方法を提供する。
【解決手段】ドキュメント処理装置のユーザに対応するユーザ識別データを受け取り、ドキュメント処理セッションを開く。ドキュメント処理指示を受け取り、ユーザ識別データにしたがって、処理指示に関連するデータをログ・データとして記録する。ログ・データは、関連する記憶装置に保存される。ログ・データに対応する選択可能な入力を生成する要求に対応する要求データを受け取り、現在のセッションでデータがログ・データとして記録されたか否かを判断する。ログ・データとして記録されたデータは、選択可能な入力に関連付けられる。データが記録されなかったときは、保存されているログ・データが記憶装置から読み出され、選択可能な入力に関連付けられる。ユーザによる選択にしたがって、選択されたドキュメント処理指示シーケンスが開始される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドキュメント処理操作を支援するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ドキュメント処理装置には、コピー機、スキャナ、ファクシミリ装置およびプリンタ等がある。また、これらのドキュメント処理装置が備える機能の複数を1台の装置で実行させることが、一般的になってきている。このような装置は、多機能周辺装置またはMFPと呼ばれ、一般に、業務用と個人用の両方に見られる。
【0003】
ドキュメント処理装置がより高性能になってきており、ユーザはより多くの機能とオプションを利用可能である。例えば、プリンタ等の装置には、様々な用紙サイズや種類等の出力媒体を選択するオプションとともに、丁合、孔開け、ステープル、装丁等の仕上げオプションがある。MFP等の装置においては、ユーザは、1つまたは複数のドキュメントを単一の動作シーケンスで、コピーし、画像走査し、保存し、電子メールで送信するように選択することができる。
【0004】
多くのユーザは、繰り返し使用される1つまたは複数の操作を行うことがしばしばある。例えば、経理部のスタッフは、紙の伝票を受け取る。受け取ったすべての伝票を、コピーし、光学式文字認識形式に画像走査し、本社にファクシミリで送信する1セットの手順を実行する必要がある場合がある。
【0005】
繰り返しタスクをプログラムし、毎回、実行指示を入力しなくてもよいようにすることが望ましい場合がある。しかしながら、多くの通常のユーザには、そのようなプログラムを作成できるほどの知識はない。さらに、多くのタスクは比較的短期間しか使用されず、繰り返し処理のより永久的なプログラムは保証されない。したがって、プログラムを作成うる知識を必要としない、ドキュメント処理操作の支援システムまたは方法が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のニーズに鑑みてなされたもので、ドキュメント処理操作のユーザ・フレンドリな支援システムまたは方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるドキュメント処理操作を支援するシステムは、ドキュメント処理装置のユーザ識別データを受け取る識別データ受取り手段と、受け取ったユーザ識別データにしたがって、ドキュメント処理セッション開くセッション開始手段とを備える。本システムは、また、開かれたドキュメント処理セッションの間にドキュメント処理指示シーケンスを受け取る指示シーケンス受取り手段と、受け取ったユーザ識別データにしたがって、選択されたドキュメント処理指示シーケンスに関連するデータをログ・データとして記録するログ・データ記録手段とを備える。本システムは、さらに、ドキュメント処理セッションが開かれた後に、ログ・データ記録手段からのログ・データを保存する記憶手段と、ログ・データに対応する選択可能な入力を生成する要求に対応する要求データを受け取る要求データ受取り手段と、現在のセッションにおいてデータが記録されたか否かをテストするテスト手段とを備える。本システムは、また、テスト手段が現在のセッションでデータが記録されたことを示すときに、現在のセッションで記録されたデータを選択可能な入力と関連付ける関連付け手段と、テスト手段が現在のセッションでデータが記録されていないことを示すときに、保存されているログ・データを記憶装置から読み出すログ・データ読出し手段とを備える。ここで、関連付け手段は、記憶手段から読み出されたログ・データを選択可能な入力に関連付ける手段を含む。本システムは、さらに、選択可能な入力のユーザ選択にしたがって、ドキュメント処理指示シーケンスの実行を開始する指示シーケンス開始手段を備える。
【0008】
本発明の一実施形態において、システムは、選択可能な標章および選択可能な入力に対応する選択可能な制御標章を表示するグラフィカル・ユーザ・インターフェイスを備える。また、所定のドキュメント処理指示シーケンスは、制御標章の選択により開始される。
【0009】
本発明の別の実施形態において、システムは、さらに、ドキュメント処理セッションと関連して保存されている記憶手段内のログ・データを、現在のドキュメント処理セッションからのログ・データで上書きする手段を備える。
【0010】
本発明のさらに別の実施形態において、グラフィカル・ユーザ・インターフェイスは、また、ドキュメント処理指示シーケンスに対応する標章を表示する。
【0011】
本発明のさらなる実施形態では、システムは、また、受け取ったドキュメント処理指示シーケンスの承認に対応する承認データを受け取る承認データ受取り手段を備える。関連付け手段は、受け取った承認データにしたがってログ・データを選択可能な入力と関連付ける。
【0012】
また、本発明によるドキュメント処理操作を支援する方法は、ドキュメント処理装置のユーザ識別データを受け取るステップと、受け取ったユーザ識別データにしたがって、ドキュメント処理セッション開くステップと、開かれたドキュメント処理セッションの間にドキュメント処理指示シーケンスを受け取るステップと、受け取ったユーザ識別データにしたがって、選択されたドキュメント処理指示シーケンスに関連するデータをログ・データとして記録するステップと、ドキュメント処理セッションが開かれた後に、ログ・データを関連する記憶装置に保存するステップと、ログ・データに対応する選択可能な入力を生成する要求に対応する要求データを受け取るステップと、現在のセッションにおいてデータが記録されたか否かをテストするテスト・ステップと、このテスト・ステップの出力が前記現在のセッションでデータが記録されたことを示すときに、現在のセッションで記録されたデータを前記選択可能な入力と関連付けるステップと、テスト・ステップの出力が現在のセッションでデータが記録されていないことを示すときに、保存されているログ・データを記憶装置から読み出すステップと、記憶装置から読み出されたログ・データを選択可能な入力に関連付けるステップと、選択可能な入力のユーザ選択にしたがって、ドキュメント処理指示シーケンスの実行を開始するステップとを含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ドキュメント処理操作のユーザ・フレンドリな支援システムおよび方法を提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による実施形態が適用されるドキュメント処理操作を支援するシステム全体の構成例である。
【図2】本発明による実施形態のシステムの動作が実行されるコントローラのハードウェアの構成例を説明するための図である。
【図3】本発明による実施形態のシステムの動作が実行されるコントローラの機能ブロックの構成例を説明するための図である。
【図4】本発明による実施形態におけるドキュメント処理操作を支援する基本的な動作例を表すフローチャートである。
【図5】本発明による実施形態における、ドキュメント処理操作を支援する動作例を詳細に表したフローチャートである。
【図6】本発明による実施形態において使用されるグラフィカル・ユーザ・インターフェイスの例である。
【図7】本発明による実施形態において使用されるグラフィカル・ユーザ・インターフェイスの例である。
【図8】本発明による実施形態において使用されるグラフィカル・ユーザ・インターフェイスの例である。
【図9】本発明による実施形態において使用されるグラフィカル・ユーザ・インターフェイスの例である。
【図10】本発明による実施形態において使用されるグラフィカル・ユーザ・インターフェイスの例である。
【図11】本発明による実施形態において使用されるグラフィカル・ユーザ・インターフェイスの例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、適宜、図面を参照しながら本発明による実施形態の説明を行う。図1は本発明による実施形態が適用されるシステム100全体の構成例である。図に示したシステム100は、コンピュータ・ネットワーク102として表されている分散コンピューティング環境を利用している。コンピュータ・ネットワーク102は、複数の電子装置間におけるデータの交換を可能とする本技術分野で知られている任意の分散通信システムである。コンピュータ・ネットワーク102は、例えば、仮想ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク、パーソナル・エリア・ネットワーク、ローカル・エリア・ネットワーク、インターネット、イントラネット、またはそれらの任意の組み合わせを含む本技術分野で知られている任意のコンピュータ・ネットワークである。本発明による一実施形態において、コンピュータ・ネットワーク102は、例えば、トークン・リング、IEEE802.11(x)、Ethernet(登録商標)またはその他の無線ベースまたは有線ベースのデータ通信メカニズム等の既存の多数のデータ転送メカニズムによって例示されるような物理レイヤおよびトランスポート・レイヤから構成される。尚、図にはコンピュータ・ネットワーク102を示したが、本発明は、本技術分野で知られているようなスタンドアローンの形態でも同様に実施可能である。
【0016】
システム100は、さらに、様々なドキュメント処理を実行するために適切な多機能周辺装置(Multi-Function Peripheral;以下、MFPということがある。)として図に表されている、少なくとも1つのドキュメント処理装置104を含む。しかし、MFPはドキュメント処理装置の一形態であって、本発明におけるドキュメント処理装置がMFPに限定されるものではない。ドキュメント処理装置における処理動作には、例えば、ファクシミリ通信、画像走査、コピー、印刷、電子メール、ドキュメント管理、ドキュメント保存等がある。本発明による一形態においては、ドキュメント処理装置104は、リモート・ドキュメント処理サービスを外部装置あるいはネットワーク装置に対して提供する。ドキュメント処理装置104は、ユーザあるいはネットワーク装置等とやり取りするように構成された、ハードウェア、ソフトウェアおよびこれらの任意の適切な組み合わせを含む。
【0017】
また、本発明による一実施形態において、ドキュメント処理装置104は、例えば、IEEE 1394あるいはUSBインターフェイスを有する各種ドライブ、多様なICメモリカード等の、複数のポータブル記憶媒体を受け入れるためのインターフェイスを備える。本発明の実施形態においては、ドキュメント処理装置104は、さらに、タッチスクリーン、LCD、タッチパネル、英数字キーパッド等のユーザ・インターフェイス106を備え、ユーザは、このようなユーザ・インターフェイスを介してドキュメント処理装置104と直接やり取りすることができる。本発明による実施形態において、ユーザ・インターフェイス106は、ユーザに対して情報を伝達するとともに、ユーザから選択内容を受け取るために有効に用いられる。ユーザ・インターフェイス106は、本技術分野で知られているように、ユーザにデータを提供するために適切な種々のコンポーネントを含む。本発明における一実施形態においては、ユーザ・インターフェイス106は、1つまたは複数のグラフィック要素、テキスト・データまたは画像等をユーザに表示し、ユーザから入力を受け取り、その入力を、さらに後ほど説明するコントローラ108等のバックエンド・コンポーネントに伝達するディスプレイ装置を有する。ドキュメント処理装置104は、適切な通信リンク112を介して、コンピュータ・ネットワーク102に通信可能に接続されている。適切な通信リンク112としては、例えば、WiMax(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、IEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11(x)、Bluetooth(登録商標)、公衆交換電話網、専用通信ネットワーク、赤外線接続、光接続、または本技術分野において知られている他の適切な有線または無線のデータ通信チャネルがある。
【0018】
本発明による実施形態において、ドキュメント処理装置104は、さらに、ドキュメント処理装置104による処理動作を容易にする、コントローラ108として示した、適切なバックエンド・コンポーネントを内蔵する。コントローラ108は、ドキュメント処理装置104の動作を制御し、あるいはユーザ・インターフェイス106を介した画像の表示を容易にし、電子画像データの操作の指示等の処理を容易にするように構成されたハードウェア、ソフトウェアあるいはこれらの適切な組み合わせによって実装される。以下の説明においては、コントローラ108という用語は、後に述べる動作を実行し、もしくは実行させ、もしくは制御し、または指示するように機能する、ハードウェア、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせを含むドキュメント処理装置104と関連する任意の多数のコンポーネントの意味で、使用する。なお、図および上記の説明において、コントローラ108をドキュメント処理装置104に内蔵された形態としたが、コントローラ108は、ドキュメント処理装置104に通信可能に接続された外部装置の形態であってもよい。コントローラ108との関連において説明を行う処理動作は、本技術分野において知られている任意の汎用的なコンピューティング・システムによって実行可能である。したがって、コントローラ108は、このような汎用的なコンピューティング装置を表しており、以下の説明において使用する際にも、そのように意図されている。さらに、以下におけるコントローラ108の使用は、例としての実施形態にすぎず、当業者には明らかな他の実施形態も、本発明の一実施形態による、ドキュメント処理操作を支援するシステムおよび方法を用いることができる。コントローラ108の構成等については、後ほど図2と図3を参照しながら説明を行う。
【0019】
また、ドキュメント処理装置104にはデータ記憶装置110が通信可能に接続されている。データ記憶装置110は、例えば、ハードディスク・ドライブ、その他の磁気記憶装置、光学式記憶装置、フラッシュ・メモリまたはそれらの任意の組み合わせを含む本技術分野で知られている大容量記憶装置である。一実施形態において、データ記憶装置110は、ドキュメント・データ、画像データまたは電子データベースのデータ等を保存するように適切に適合されている。データ記憶装置110は、図においてはシステム100の独立したコンポーネントとして例示されているが、例えば、内蔵ハードディスク・ドライブ等のような、ドキュメント処理装置104の内部記憶装置、あるいはコントローラ108のコンポーネント等として実装することができる。
【0020】
システム100は、さらに、通信リンク116を介してコンピュータ・ネットワーク102とデータ通信可能なユーザ装置114を含む。図においてはユーザ装置114をノート形パーソナル・コンピュータとして示しているが、これは例示にすぎない。ユーザ装置114は、例えば、コンピュータ・ワークステーション、デスクトップ形パーソナル・コンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant、携帯情報端末)、ウェブ適合携帯電話、スマート・フォン、専用通信ネットワーク用の電子装置、またはその他のウェブ適合電子装置を含む本技術分野において知られている任意のパーソナル・コンピューティング装置を表す。通信リンク116は、例えば、Bluetooth(登録商標)、WiMax、IEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11(x)、専用通信ネットワーク、赤外線接続、光接続、公衆交換電話網、または本技術分野において知られている他の適切な無線または有線のデータ通信チャネルである。ユーザ装置114は、電子ドキュメント、ドキュメント処理指示データ、ユーザ・インターフェイスの修正、アップグレード、更新、パーソナル化データ等を生成し、生成したデータ等を、ドキュメント処理装置104あるいはコンピュータ・ネットワーク102に接続された他の類似装置に送る。
【0021】
次に、図2および図3を参照しながら、本発明による実施形態におけるシステムの動作が実行されるコントローラのハードウェアおよび機能構成等を説明する。図2に本発明による実施形態においてシステム100の動作が実行されるバックエンド・コンポーネント、すなわち、図1においてはコントローラ108として示したコントローラ200のハードウェア・アーキテクチャの構成例を説明するための図を示す。尚、図においては、コントローラの構成要素の意義をより明確にするため、参照符号232で示した、コントローラ以外のドキュメント処理装置の構成要素の一部を併せて示している。コントローラ108は、本明細書に記載する動作を円滑に実行する能力を有する、本技術分野において知られている任意の汎用的なコンピューティング装置を表す。コントローラ200には、少なくとも1つのCPUを含むプロセッサ202が含まれる。プロセッサ202は、互いに協調して動作する複数のCPUから構成されることもある。また、コントローラ200には、BIOS機能、システム機能、システム構成データおよびコントローラ200の動作に使用する他のルーチンもしくはデータ等の静的または固定的なデータ、あるいはインストラクションのために有効に使用される、不揮発性または読出し専用メモリ(ROM)204が含まれる。
【0022】
また、コントローラ200には、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ、または他の任意の適切なアドレス指定可能かつ書込み可能なメモリ・システムから構成されるRAM206が含まれる。RAM206は、プロセッサ202により処理されるアプリケーションおよびデータ処理に関係するデータと指示データのための記憶領域を提供する。
【0023】
ストレージ・インターフェイス208は、コントローラ200に関連するデータの不揮発性保存、大容量保存または長期的な保存のためのメカニズムを提供する。ストレージ・インターフェイス208は、参照符号216で示したディスク・ドライブ、あるいは光学式ドライブ、テープ・ドライブ等の適切な任意のアドレス指定可能、またはシリアル記憶装置等の大容量記憶装置の他、当業者に知られている適切な任意の記憶媒体を使用する。
【0024】
ネットワーク・インターフェイス・サブシステム210は、ネットワークとの間の入出力を適切にルーティングすることによって、コントローラ200が他の装置と通信することを可能にする。ネットワーク・インターフェイス・サブシステム210は、コントローラ200に対する外部装置との1つまたは複数のコネクションのインターフェイスを適切にとる。図においては、例えば、Ethernet(登録商標)およびトークン・リング等の固定または有線ネットワークとのデータ通信のための少なくとも1つのネットワーク・インターフェイス・カード214、およびWiFi(Wireless Fidelity)、WiMax、無線モデム、セルラ・ネットワークまたは適切な任意の無線通信システム等の手段を介した無線通信のために適切な無線インターフェイス218を示している。ネットワーク・インターフェイス・サブシステム210は、任意の物理的データ転送レイヤあるいは物理的データ転送レイヤではないデータ転送レイヤまたはプロトコル・レイヤを適切に利用する。図においては、ネットワーク・インターフェイス・カード214は、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワークまたはそれらの組合せから適切に構成される物理的ネットワーク220を介したデータ交換を行うために、相互接続されている。
【0025】
プロセッサ202、読出し専用メモリ(ROM)204、RAM206、ストレージ・インターフェイス208およびネットワーク・インターフェイス・サブシステム210の間のデータ通信は、バス212によって例示したバス・データ転送メカニズムを介して行われる。
【0026】
また、ドキュメント・プロセッサ・インターフェイス222もバス212を介してデータ通信を行う。ドキュメント・プロセッサ・インターフェイス222は、様々なドキュメント処理動作を実行するために、ドキュメント処理ハードウェア232との接続を提供する。そのようなドキュメント処理動作には、コピー・ハードウェア224によって実行されるコピー、画像走査ハードウェア226によって実行される画像走査、印刷ハードウェア228によって実行される印刷、およびファクシミリ・ハードウェア230によって実行されるファクシミリ通信がある。コントローラ200は、これらのドキュメント処理動作のいずれかまたは全部を適切に動作させる。複数のドキュメント処理動作を実行可能なシステムは、通常、MFP(多機能周辺装置)または多機能装置と呼ばれる。システム100の機能は、ドキュメント処理装置と関連するインテリジェント・サブシステムとして図2に示したコントローラ200(図1におけるコントローラ108に対応)を含む、ドキュメント処理装置104等の適切なドキュメント処理装置において実行される。
【0027】
次に図3を参照しながらシステムの動作が実行されるコントローラの機能ブロックと動作の概要を説明する。図3に、本発明による実施形態のシステム100の動作が実行されるコントローラの機能ブロックの構成例を説明するための図を示す。尚、図3においても、コントローラの機能要素の意義をより明確にするため、コントローラ以外のドキュメント処理装置の機能要素の一部を併せて示している。図3は、ソフトウェアおよびオペレーティング・システム機能と関連して、図2に示したハードウェアの機能性を例示している。
【0028】
コントローラ機能はドキュメント処理エンジン302を含む。一実施形態において、ドキュメント処理エンジン302は、印刷動作、コピー動作、ファクシミリ通信動作および画像走査動作を可能にする。これらの機能は、産業界において一般に好まれるドキュメント処理周辺装置であるMFPと関連付けられることが多い。しかし、コントローラが上記のドキュメント処理動作のすべてを可能にする必要は必ずしもない。コントローラは、上記のドキュメント処理動作のサブセットである、専用のドキュメント処理装置、あるいはより限定した目的のドキュメント処理装置においても有効に用いられる。
【0029】
ドキュメント処理エンジン302はユーザ・インターフェイス・パネル310と適切にインターフェイスされており、ユーザまたは管理者は、このユーザ・インターフェイス・パネル310を介して、ドキュメント処理エンジン302によって制御される機能にアクセスすることができる。アクセスは、コントローラにローカル接続されたインターフェイスを介して行われるか、遠隔のシン・クライアント(thin client)またはシック・クライアント(thick client)によって遠隔から行われる。
【0030】
ドキュメント処理エンジン302は、印刷機能部304、ファクシミリ通信機能部306および画像走査機能部308とデータ通信を行う。これらの機能部は、印刷、ファクシミリの送受信、およびドキュメント画像をコピーのために取得するか、またはドキュメント画像の電子バージョンを生成するための、ドキュメント画像走査の実際の処理動作を容易にする。
【0031】
ジョブ・キュー(job queue)312は、印刷機能部304、ファクシミリ通信機能部306および画像走査機能部308とデータ通信を行う。ビットマップ・フォーマット、ページ記述言語(PDL)フォーマットまたはベクター・フォーマット等の種々の画像形式は、画像走査機能部308からジョブ・キュー312を介して以降の処理のために中継される。
【0032】
ジョブ・キュー312は、また、ネットワーク・サービス機能部314ともデータ通信を行う。一実施形態において、ジョブ制御信号、状態データまたは電子ドキュメント・データが、ジョブ・キュー312とネットワーク・サービス機能部314との間で交換される。このように、クライアント側ネットワーク・サービス機能320を介したコントローラへのネットワーク・ベースのアクセスに適切なインターフェイスが提供され、このインターフェイスは任意の適切なシン・クライアントまたはシック・クライアントである。一実施形態において、ウェブ・サービス・アクセスは、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)、ファイル転送プロトコル(FTP)、ユニフォーム・データ・ダイアグラム・プロトコルまたは他の任意の適切な交換メカニズムによって実行される。ネットワーク・サービス機能部314は、また、FTP、電子メール、テルネット(TELNET)等による通信のために、クライアント側ネットワーク・サービス機能320とのデータ交換も有効に提供する。このように、コントローラ機能は、種々のネットワーク・アクセス・メカニズムによって、電子ドキュメントおよびユーザ情報のやり取りを容易にする。
【0033】
ジョブ・キュー312は、また、画像プロセッサ316ともデータ通信を行う。画像プロセッサ316は、印刷機能部304、ファクシミリ通信機能部306または画像走査機能部308等の装置機能部と、電子ドキュメントを交換するために適したフォーマットに変換するラスタ画像処理(RIP)、ページ記述言語インタープリタまたは任意の適切な画像処理を行うメカニズムである。
【0034】
さらに、ジョブ・キュー312はジョブ解析部(job parser)318とデータ通信を行い、このジョブ解析部318はクライアント装置サービス部322等の外部装置からの印刷ジョブ言語ファイルを受け取る働きをする。クライアント装置サービス部322は、電子ドキュメントの印刷、ファクシミリ通信、またはコントローラ機能による処理が有効である他の適切な電子ドキュメントの入力を含む。ジョブ解析部318は、受け取った電子ドキュメント・ファイルを解析し、前述した機能およびコンポーネントに関連する処理のために、解析した電子ドキュメント・ファイル情報をジョブ・キュー312に中継する働きをする。
【0035】
次に、本発明における動作の概要を説明する。先ず、ドキュメント処理装置のユーザに対応するユーザ識別データが受け取られる。次に、受け取った識別データにしたがって、ドキュメント処理セッションが開かれる。ドキュメント処理セッションの間、ドキュメント処理指示シーケンスが受け取られ、受け取ったユーザ識別データにしたがって、受け取った選択されたドキュメント処理指示シーケンスに関連するデータをログ・データとして記録する。次に、記録されたログ・データが、ドキュメント処理セッションが開かれた後に、関連する記憶装置に保存される。次に、ログ・データに対応する選択可能な入力を生成する要求に対応する要求データが受け取られる。次いで、現在のセッションにおいて、データがログ・データとして記録されたか否かを判断するために、テストが実行される。現在のセッションにおいて、データがログ・データとして記録されたことがテストで示された場合、現在のセッションでログ・データとして記録されたデータは選択可能な入力に関連付けられる。現在のセッションにおいて、データがログ・データとして記録されていないことがテストで示された場合には、保存されているログ・データが関連する記憶装置から読み出される。記憶装置から読み出されたログ・データは、選択可能な入力に関連付けられる。次に、選択可能な入力のユーザによる選択にしたがって、選択されたドキュメント処理指示シーケンスの実行が開始される。
【0036】
本発明の1つの例示的実施形態においては、先ず、ユーザ識別データが、例えば、ドキュメント処理装置104のユーザ・インターフェイス106を介してユーザから受け取られるか、またはユーザ装置114を介してドキュメント処理装置104とのやり取りから、受け取られる。ユーザ識別データは、例えば、ユーザ名/パスワード、生体認証読み取りデータ、スマート・カード、および磁気カード等を含む、本技術分野で知られている任意の適切な識別データに対応する。ユーザ識別データを受け取ると、コントローラ108またはドキュメント処理装置104に関連する適切な他のコンポーネントは、受け取ったユーザ識別データに対応するグラフィカル・ユーザ・インターフェイス(以下、GUIということがある。)の表示を促進する。すなわち、例えば、ホームページのようなカスタムGUIが、ユーザ・インターフェイス106またはユーザ装置114等を介して表示される。
【0037】
次に、コントローラ108またはドキュメント処理装置104に関連する適切な他のコンポーネントは、受け取ったユーザ識別データにしたがってドキュメント処理セッションを開く。コントローラ108またはドキュメント処理装置104に関連する適切な他のコンポーネントは、ユーザ・インターフェイス106またはユーザ装置114等とのやり取りを介して、ドキュメント処理セッションの間にドキュメント処理指示シーケンスを受け取る。ドキュメント処理指示は、ドキュメント処理要求の実行においてドキュメント処理装置104によって行われる一連のアクションまたは動作に対応する。次に、受け取ったユーザ識別データにしたがって、受け取ったドキュメント処理指示シーケンスに関連するデータがログ・データとして記録される。次に、ログ・データは、ドキュメント処理セッションを開いた後、関連する記憶装置に保存される。本発明の一実施形態によれば、記憶装置は、例えば、データ記憶装置110、ドキュメント処理装置104に関連するシステム・メモリ、またはユーザ装置114等に対応する。次に、記憶装置に記録されているデータが、現在のセッションからのログ・データと連動して上書きされる。
【0038】
次に、ユーザ・インターフェイス106、ユーザ装置114、またはドキュメント処理装置104に関連する他の適切なコンポーネントを介して、GUI上に選択可能な標章(indicia)が表示される。本発明の一実施形態によれば、ユーザ・インターフェイス106のGUI上に、テンプレートの生成またはカスタム化されたワークフローに対応する適切なアイコン、画像または他の選択可能な標章が表示される。選択可能な標章を、さらに、ユーザ・インターフェイス106のハードウェア・インターフェイス(例えば、ボタンまたはトグル・スイッチ等)に対応させることもできる。次に、コントローラ108またはドキュメント処理装置104に関連する適切な他のコンポーネントは、選択可能な入力を生成する要求がユーザから既に受け取られているか否か、すなわち、ユーザがユーザ・インターフェイス106上の選択可能な標章を選択したか否かを判断する。ユーザが、受け取ったドキュメント処理指示シーケンスに関連して選択可能な入力を生成させることを所望しないときには、ドキュメント処理装置104は、ドキュメント処理指示シーケンスを実行し、ユーザ・インターフェイス106上にユーザ識別に対応するGUIを表示する状態に戻る。
【0039】
選択可能な標章の選択に対応する要求がユーザから受け取られている場合、現在のドキュメント処理セッションの間にデータがログ・データとして記録されたか否かを判断するテストが行なわれる。例えば、ドキュメント処理指示シーケンスが受け取られない場合のように、現在のセッションの間にデータがログ・データとして記録されなかった場合、以前のドキュメント処理セッションに対応し、保存されたログ・データが関連する記憶装置から読み出される。読み出された過去のドキュメント処理セッションのドキュメント処理指示シーケンスは、現在のドキュメント処理セッションと関連付けられたユーザに対応する。本発明の他の実施形態においては、シーケンスを入力したユーザに関係なく、所定の過去の数のシーケンスが記憶装置から読み出される。次に、以前に保存された指示シーケンスが、現在のセッションに関係するユーザに表示され、このユーザは、選択可能な入力と関連付けられる少なくとも1つの指示シーケンスを選択するように促される。次いで、ユーザ・インターフェイス106またはユーザ装置114等のGUI上に、選択された指示シーケンスに対応する標章が表示される。
【0040】
現在のセッションの間にデータがログ・データとして記録された場合には、ログ・データは、ユーザ・インターフェイス106またはユーザ装置114等のGUI上に表示される、例えば、選択可能なアイコンのような選択可能な入力に関連付けられる。次に、記憶装置内のログ・データが、現在のドキュメント処理セッションに対応するドキュメント処理指示シーケンスと連動して上書きされる。次に、ドキュメント処理指示シーケンスに対応する標章が、GUI上に表示される。例えば、現在のドキュメント処理セッションと関連付けられた選択されたドキュメント処理指示シーケンスを表すアイコンまたは画像がユーザ・インターフェイス106上に表示される。
【0041】
次に、ユーザ・インターフェイス106上に示されるような、指示シーケンスと関連付けられ、表示された標章の承認に対応する、承認データがユーザから受け取られる。次に、コントローラ108またはドキュメント処理装置104に関連する適切な他のコンポーネントによって、ログ・データは、受け取った承認データにしたがって、選択可能な入力と関連付けられる。次に、ユーザ・インターフェイス106またはユーザ装置114等のGUI上に、選択されたシーケンスに関連付けられた選択可能な入力に対応する選択可能な制御標章(control indicia)が表示される。選択可能な入力がユーザによって選択されると、ドキュメント処理装置104は、選択可能な入力に関連付けられた指示シーケンスの実行を開始する。すなわち、選択可能な入力はGUIによってユーザに表示されたアイコンに対応し、選択可能な入力の選択によって、ドキュメント処理装置104は関連付けられたドキュメント処理指示シーケンスを実行する。
【0042】
以上、図1ないし図3を参照しながらシステム100とその構成コンポーネントについて説明を行ったが、図4ないし図11を参照しながら以降行う説明によって、理解がより深まるであろう。図4に、本発明による実施形態における、ドキュメント処理操作を支援する基本的な動作例を表すフローチャートを示す。先ず、S402で、ドキュメント処理装置104のユーザからユーザ識別データが受け取られる。そのようなユーザ識別情報としては、例えば、ユーザ名、パスワード、生体認証情報、およびスマート・カード識別情報等がある。ユーザは、例えば、ドキュメント処理装置104のユーザ・インターフェイス106とのやり取り、またはユーザ装置114のシン・クライアント・インターフェイス、またはデバイス・ドライバ等を介して、そのようなログイン・データを直接入力することができる。
【0043】
次にS404で、コントローラ108またはドキュメント処理装置104に関連する適切な他のコンポーネントは、受け取ったユーザ識別データに関連付けられたドキュメント処理セッションを開く。次にS406で、開かれたドキュメント処理セッションの間に、ユーザ・インターフェイス106またはユーザ装置114等を介したやり取りによって、ユーザからドキュメント処理指示シーケンスを受け取る。次にS408で、受け取ったユーザ識別データにしたがって、ドキュメント処理指示シーケンスに関連するデータがログ・データとして記録される。S410で、ドキュメント処理セッションが開かれた後、ログ・データは、コントローラ108またはドキュメント処理装置104に関連する適切な他のコンポーネントによって、関連する記憶装置に保存される。データは、例えば、システム・メモリまたはデータ記憶装置110等のドキュメント処理装置104に関連する記憶装置に記録される。
【0044】
次にS412で、コントローラ108は、ユーザ・インターフェイス106やユーザ装置114等を介して、ログ・データに対応する選択可能な入力を生成する要求に対応する要求データがユーザから受け取られる。次にS414で、コントローラ108またはドキュメント処理装置104に関連する適切な他のコンポーネントは、データをテストして、現在のセッションの間または1回前のセッションの間にデータがログ・データとして記録されたか否かを判断する。次にS416で、現在のドキュメント処理セッションの間にログ・データとして記録されたデータは、コントローラ108またはドキュメント処理装置104に関連する適切な他のコンポーネントによって、選択可能な入力に関連付けられる。S414で、現在のドキュメント処理セッションの間にデータがログ・データとして記録されなかったことがテスト結果から分かったときは、S418で、保存されているログ・データが、関連する記憶装置、例えば、データ記憶装置110から読み出される。次に、読み出されたログ・データは、S420で、コントローラ108またはドキュメント処理装置104に関連する適切な他のコンポーネントによって、選択可能な入力に関連付けられる。次にS422で、選択可能な入力をユーザが選択すると、ドキュメント処理指示シーケンスの実行が開始される。
【0045】
次に図5を参照しながら、本発明による実施形態における、ドキュメント処理操作を支援する動作を詳細に説明する。図5に、本発明による実施形態における、ドキュメント処理操作を支援する動作例を詳細に表したフローチャートを示す。先ず、S502で、ユーザ識別データが、ドキュメント処理装置104のユーザ・インターフェイス106を介して、ユーザから受け取られる。ユーザとドキュメント処理装置104とのやり取りは、例えば、ウェブ・ポータル、シン・クライアント・インターフェイス、デバイス・ドライバ等の、コンピュータ・ネットワーク102によって通信するユーザ装置114を介して、遠隔的に実行することもできる。また、ユーザから受け取られる識別データとしては、例えば、ユーザ名とパスワードの組み合わせ、スマート・カード・データ、生体認証データ、適切な英数字列および磁気カード・データ等がある。
【0046】
次にS504で、受け取ったユーザ識別データにしたがって、ユーザ・インターフェイス106上にGUIが表示される。GUIは、例えば、ホームページのような、ユーザが選択した設定やパーソナル化等を盛り込む。図6に示したユーザ・インターフェイス600に、そのようなGUIの一例を示す。図6に示したように、ユーザ・インターフェイス600は、タッチスクリーン・パネル602を含み、タッチスクリーン・パネル602上には、ユーザとドキュメント処理装置104間のやり取りを容易にするGUIが表示される。タッチスクリーン・パネル602上には、ドキュメント処理装置104と関連する設定、機能、動作等に対応する様々なアイコン604が表示される。ユーザ・インターフェイス600は、さらに、ユーザによる選択のために、図6にテンプレート標章606として示した選択可能な標章を含む。テンプレート標章606の選択については、後ほど説明する。
【0047】
GUIを表示した後、処理はS506に進み、受け取った識別データとドキュメント処理装置104とのユーザ相互作用とに対応するドキュメント処理セッションが開かれる。ドキュメント処理セッションは、ユーザによるログイン後の、ドキュメント処理装置104とユーザとの間のやり取りを表す。S508で、コントローラ108またはドキュメント処理装置104に関連する適切な他のコンポーネントが受けるユーザ・インターフェイス106またはユーザ装置114等とのやり取りに応じて、ドキュメント処理セッションの間に、ドキュメント処理指示シーケンスが受け取られる。ドキュメント処理指示は、ドキュメント処理要求中にドキュメント処理装置104によって実行される一連のアクションまたは動作に対応する。
【0048】
次にS510で、受け取った指示シーケンスに関連するデータは、受け取ったユーザ識別データにしたがって、コントローラ108またはドキュメント処理装置104に関連する適切な他のコンポーネントによって、ログ・データとして記録される。次いでS512で、ドキュメント処理セッションが開かれた後、ログ・データが、関連する記憶装置に保存される。本発明の一実施形態によれば、記憶装置は、例えば、データ記憶装置110、またはドキュメント処理装置104に関連するシステム・メモリ等に対応する。次に処理はS514に進み、記憶装置に記録されているデータが、現在のセッションからのログ・データと連動して上書きされる。
【0049】
次にS516で、ユーザ・インターフェイス106、ユーザ装置114、またはドキュメント処理装置104に関連する他の適切なコンポーネントを介して、GUI上に、選択可能な標章が表示される。本発明の一実施形態によれば、ユーザ・インターフェイス106のGUI上に、テンプレートの生成またはカスタム化されたワークフローに対応するアイコン、画像または他の選択可能な標章が表示される。選択可能な標章を、図6に示した選択可能な標章606等の、ユーザ・インターフェイス106のハードウェア・インターフェイス(例えば、ボタン、トグル・スイッチ等)に対応させることもできる。次にS518で、選択可能な入力を生成する要求がユーザから受け取られている否か、すなわち、ユーザが、図6に示したように選択可能な標章606を選択したか否かが判断される。コントローラ108がそのような要求を、ユーザ・インターフェイス106を介して、受け取っていないとき、処理はS518からS520に進み、ドキュメント処理装置104は、ドキュメント処理指示シーケンスの実行を開始する。その後、処理はS504に戻り、受け取ったユーザ識別データに対応するGUIが、ユーザ・インターフェイス106によって、ユーザに表示される。
【0050】
S518で、例えばユーザが選択可能な標章606を選択した場合のように、選択可能な標章の選択に対応する要求がユーザから受け取られた旨の判断が行われると、処理はS522に進む。S522で、現在のドキュメント処理セッションの間にデータがログ・データとして記録されたか否かを判断するテストが実行される。次にS524で、S522で行われたテストにしたがって、データが現在のセッションの間に記録されたか否かが判断される。S524で、現在のセッション(例えば、S506で開かれたセッション)の間にデータが記録されなかったと判断された場合は、S526で、保存されているログ・データが関連する記憶装置から読み出される。別の言い方をすると、ドキュメント処理指示シーケンスが受け取られなかった場合には、過去のドキュメント処理指示シーケンスがデータ記憶装置110から読み出され、ユーザ選択のためにユーザに表示される。図7に、タッチスクリーン・パネル702によって過去のドキュメント処理指示シーケンスを表示するユーザ・インターフェイス700の例を示す。図7に示されるように、タッチスクリーン・パネル702は3つの過去の指示シーケンス704を示しており、これら3つのシーケンスから、ユーザは、選択可能な入力(例えば、アイコン(図示せず))と関連付けるために所望の指示シーケンスを選択することができる。ユーザによって所望の指示シーケンスが選択された後、処理はS526からS528に進み、読み出されたログ・データが、選択可能な入力と関連付けられる。次に処理はS532に進み、ユーザ・インターフェイス106のGUI上に、ユーザによって選択されたドキュメント処理指示シーケンスに対応する標章が表示される。そのようなGUIの例を、後ほど説明を行う図9に示す。
【0051】
S524に戻り、現在のドキュメント処理セッションの間にデータがログ・データとして記録されたと判断された場合には、処理はS530に進み、現在のセッションの間にログ・データとして記録されたデータが、選択可能な入力と関連付けられる。図8に、現在のドキュメント処理セッションの間にデータがログ・データとして記録されたと判断された場合のユーザ・インターフェイス800の例を示す。図8に示したユーザ・インターフェイス800は、現在のログ・データ804が表示されたタッチスクリーン・パネル802を含む。図8に示したように、現在のログ・データ804は、現在のドキュメント処理セッションの間にユーザによって選択された設定と動作を表す。次にS532で、ドキュメント処理指示シーケンスに対応する標章が、GUI上に表示される。本発明の一実施形態によれば、ユーザ・インターフェイス106のGUI上に、選択されたドキュメント処理指示シーケンスに対応するアイコン、画像または他のグラフィック表現が表示される。
【0052】
図9に、標章の表示に対応するユーザ・インターフェイス900の例を示す。図9に示されるように、ユーザ・インターフェイス900は、タッチスクリーン・パネル902を含み、タッチスクリーン・パネル902上に、ドキュメント処理指示シーケンスに対応する生成された選択可能な入力904および906が表示される。本技術分野で知られているように、アイコン904および記述906はユーザによって変更可能である。次に、「次へ」アイコン908を選択することによって、シーケンスおよび関連する選択可能な標章のユーザによる承認が入力される。ユーザによる承認が入力された後、ユーザ・インターフェイスは、ユーザに「自動開始」アイコン1004または「手動開始」アイコン1006を選択するように促すタッチスクリーン・パネル1002を含み、図10に示す例示的なユーザ・インターフェイス1000に変化する。図10における選択は単なる例として示しており、ユーザによって指定される他の指示を受け取り、本技術分野で知られているように、ドキュメント処理指示シーケンスに対応する選択可能な入力と関連付けることができる。次に、ユーザは、図11に示すユーザ・インターフェイス1100の表示を促す「次へ」アイコン1008を選択することにより承認を行う。図11に、ユーザがドキュメント処理指示シーケンスを開始させることができる設定の要約1104を表示するタッチスクリーン・パネル1102を示す。タッチスクリーン・パネル1102に表示されている「次へ」アイコン1106を選択することによって、ユーザ承認が受け取られる。
【0053】
次に処理はS532からS534に進み、指示シーケンスおよび関連する選択可能な入力のユーザ承認を表す承認データが受け取られているか否かの判断が行われる。承認が受け取られていない場合、例えば、ユーザが操作を取り消した場合、処理はS504のGUIの表示状態に戻る。S534で承認データがユーザから受け取られていると判断された場合は、S536で、例えば、ドキュメント処理指示シーケンス等のログ・データが、例えば、選択されたアイコン等の選択可能な入力と関連付けられる。好ましくは、この選択可能な入力および関連する指示シーケンスは、ユーザ識別データに関連付けて保存され、このことによってドキュメント処理装置104またはコンピュータ・ネットワーク102に接続された他の装置等に対して将来ログインするときにユーザが利用できる。次にS538で、ユーザ・インターフェイス106のGUI上に、選択されたシーケンスに関連付けられた選択可能な入力に対応する選択可能な制御標章が表示される。
【0054】
次にS540で、ユーザが選択可能な入力を選択したか否か、すなわち、ユーザが、ドキュメント処理装置104のユーザ・インターフェイス106のGUIを介してドキュメント処理指示シーケンスに関連付けられたアイコンを選択したか否かの判断が行われる。S540でユーザによって選択可能な入力が選択されたと判断されると、処理はS542に進み、ドキュメント処理装置104は選択可能な入力に関連付けられた指示シーケンスの実行を開始する。
【0055】
本発明は、ソース・コード、オブジェクト・コード、部分的にコンパイルされた形のようなコード中間ソースおよびオブジェクト・コードの形、あるいは本発明の実施形態で使用するために適した任意の他の形のコンピュータ・プログラムをも含む。コンピュータ・プログラムは、スタンドアローンのアプリケーション、ソフトウェア・コンポーネント、スクリプトまたは他のアプリケーションへのプラグ・インとすることができる。本発明を実施するコンピュータ・プログラムは、例えば、ROMやRAM等の記憶媒体、CD−ROM等の光記録媒体、フロッピー(登録商標)ディスク等の磁気記録媒体等の、コンピュータ・プログラムを伝達することができる任意の実体または装置である担体上で具体化することができ、あるいは電気ケーブルまたは光ケーブルによって、または無線や他の手段によって伝えられる電気信号や光信号等の任意の担体によって伝達することができる。コンピュータ・プログラムは、サーバからインターネットを介してダウンロードすることもできる。また、コンピュータ・プログラムの機能は集積回路に組み込むこともできる。説明を行った本発明の原理を実質的にコンピュータまたはプロセッサに実行させるコードを含む任意およびすべての実施形態は、本発明の範囲内にある。
【0056】
本発明の好ましい実施形態の以上の説明は、例示と説明のために行った。説明は網羅的ではなく、本発明を開示した形態に限定しようとするものでもない。以上の開示を鑑みて明らかな修正または変形が可能である。実施形態は、本発明の原理とその実際的な応用例を最もよく示し、それにより当業者が、本発明を、意図された特定の使用に適した様々な実施形態において様々な修正で使用できるように選択され説明された。そのようなすべての修正と変形は、特許請求の範囲の記載に明示されるとおりの本発明の原理および範囲内において、当業者によって行われ得ることは明らかであり、特許請求の範囲の記載によって定められる本発明の範囲内にある。
【符号の説明】
【0057】
100 システム
102 コンピュータ・ネットワーク、分散通信システム
104 ドキュメント処理装置、MFP
106 ユーザ・インターフェイス
108 コントローラ
110 データ記憶装置
112、116 通信リンク
114 ユーザ装置
200 コントローラ
202 プロセッサ
204 読み出し専用メモリ、ROM
206 RAM
208 ストレージ・インターフェイス
210 ネットワーク・インターフェイス・サブシステム
212 バス
214 ネットワーク・インターフェイス・カード
216 ディスク・ドライブ
218 無線インターフェイス
220 物理的ネットワーク
222 ドキュメント・プロセッサ・インターフェイス
224 コピー・ハードウェア
226 画像走査ハードウェア
228 印刷ハードウェア
230 ファクシミリ・ハードウェア
232 ドキュメント処理ハードウェア
302 ドキュメント処理エンジン
304 印刷機能部
306 ファクシミリ通信機能部
308 画像走査機能部
310 ユーザ・インターフェイス・パネル
312 ジョブ・キュー
314 ネットワーク・サービス機能部
316 画像プロセッサ
318 ジョブ解析部
320 クライアント側ネットワーク・サービス機能
600、700、800、900、1000、1100 ユーザ・インターフェイス
602、702、802、902、1002、1102 タッチスクリーン・パネル
604 アイコン
704 過去の指示シーケンス
804 現在のログ・データ
904、906 選択可能な入力
1104 設定の要約

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドキュメント処理装置のユーザ識別データを受け取る識別データ受取り手段と、
この識別データ受取り手段によって受け取ったユーザ識別データにしたがって、ドキュメント処理セッションを開くセッション開始手段と、
このセッション開始手段によって開かれたドキュメント処理セッションの間にドキュメント処理指示シーケンスを受け取る指示シーケンス受取り手段と、
受け取った前記ユーザ識別データにしたがって、選択されたドキュメント処理指示シーケンスに関連するデータをログ・データとして記録するログ・データ記録手段と、
ドキュメント処理セッションが開かれた後に、前記ログ・データ記録手段からのログ・データを保存する記憶手段と、
ログ・データに対応する選択可能な入力を生成する要求に対応する要求データを受け取る要求データ受取り手段と、
現在のセッションにおいてデータが記録されたか否かをテストするテスト手段と、
このテスト手段が前記現在のセッションで前記データが記録されたことを示すときに、前記現在のセッションで記録されたデータを前記選択可能な入力と関連付ける関連付け手段と、
前記テスト手段が前記現在のセッションで前記データが記録されていないことを示すときに、保存されているログ・データを前記記憶手段から読み出すログ・データ読出し手段と、
前記選択可能な入力のユーザ選択にしたがって、前記ドキュメント処理指示シーケンスの実行を開始する指示シーケンス開始手段とを備え、
前記関連付け手段は、前記記憶手段から読み出されたログ・データを前記選択可能な入力に関連付ける手段を含むことを特徴とするドキュメント処理操作を支援するシステム。
【請求項2】
前記システムは、
選択可能な標章および前記選択可能な入力に対応する選択可能な制御標章を表示するグラフィカル・ユーザ・インターフェイスを、さらに、備え、
前記所定のドキュメント処理指示シーケンスは、前記制御標章の選択により開始されることを特徴とする請求項1に記載のドキュメント処理操作を支援するシステム。
【請求項3】
前記システムは、
ドキュメント処理セッションと関連して保存されている前記記憶手段内のログ・データを、現在のドキュメント処理セッションからのログ・データで上書きする手段を、さらに、備えることを特徴とする請求項1に記載のドキュメント処理操作を支援するシステム。
【請求項4】
前記グラフィカル・ユーザ・インターフェイスは、さらに、前記ドキュメント処理指示シーケンスに対応する標章を表示することを特徴とする請求項2に記載のドキュメント処理操作を支援するシステム。
【請求項5】
前記システムは、
受け取った前記ドキュメント処理指示シーケンスの承認に対応する承認データを受け取る承認データ受取り手段を、さらに、備えることを特徴とする請求項4に記載のドキュメント処理操作を支援するシステム。
【請求項6】
前記関連付け手段は、受け取った承認データにしたがってログ・データを前記選択可能な入力と関連付けることを特徴とする請求項5に記載のドキュメント処理操作を支援するシステム。
【請求項7】
ドキュメント処理装置のユーザ識別データを受け取るステップと、
受け取ったユーザ識別データにしたがって、ドキュメント処理セッション開くステップと、
開かれたドキュメント処理セッションの間にドキュメント処理指示シーケンスを受け取るステップと、
受け取った前記ユーザ識別データにしたがって、選択されたドキュメント処理指示シーケンスに関連するデータをログ・データとして記録するステップと、
ドキュメント処理セッションが開かれた後に、前記ログ・データを関連する記憶装置に保存するステップと、
ログ・データに対応する選択可能な入力を生成する要求に対応する要求データを受け取るステップと、
現在のセッションにおいてデータが記録されたか否かをテストするテスト・ステップと、
このテスト・ステップの出力が前記現在のセッションで前記データが記録されたことを示すときに、前記現在のセッションで記録されたデータを前記選択可能な入力と関連付けるステップと、
前記テスト・ステップの出力が前記現在のセッションで前記データが記録されていないことを示すときに、保存されているログ・データを前記記憶装置から読み出すステップと、
前記記憶装置から読み出されたログ・データを前記選択可能な入力に関連付けるステップと、
前記選択可能な入力のユーザ選択にしたがって、前記ドキュメント処理指示シーケンスの実行を開始するステップと
を含むことを特徴とするドキュメント処理操作を支援する方法。
【請求項8】
前記方法は、
グラフィカル・ユーザ・インターフェイス上に選択可能な標章を表示するステップと、
前記グラフィカル・ユーザ・インターフェイス上に前記選択可能な入力に対応する選択可能な制御標章を表示するステップとを、さらに、含み、
前記所定のドキュメント処理指示シーケンスは、前記制御標章の選択により開始されることを特徴とする請求項7に記載のドキュメント処理操作を支援する方法。
【請求項9】
前記方法は、
ドキュメント処理セッションと関連して保存されている前記記憶装置内のログ・データを、現在のドキュメント処理セッションからのログ・データで上書きするステップを、さらに、含むことを特徴とする請求項7に記載のドキュメント処理操作を支援する方法。
【請求項10】
前記ドキュメント処理指示シーケンスに対応する標章を前記グラフィカル・ユーザ・インターフェイス上に表示するステップを、さらに、含むことを特徴とする請求項8に記載のドキュメント処理操作を支援する方法。
【請求項11】
前記方法は、
受け取った前記ドキュメント処理指示シーケンスの承認に対応する承認データを受け取るステップを、さらに、含むことを特徴とする請求項10に記載のドキュメント処理操作を支援する方法。
【請求項12】
ログ・データは、受け取った承認データにしたがって前記選択可能な入力と関連付けられることを特徴とする請求項11に記載のドキュメント処理操作を支援する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−193582(P2009−193582A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−30042(P2009−30042)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】