説明

ドクターブレード

長手方向に作用エッジ領域(13)が構成された平坦かつ細長い本体部分(11)を備える、特に印刷版の表面から印刷インキを掻き取るためのドクターブレード(1)であって、作用エッジ領域(13)が、無電解めっきにより施されたニッケルリン合金を主成分とする第1の被膜(20)により覆われ、硬質材料粒子(20.1)が、第1の被膜(20)中に分散されている、ドクターブレード(1)は、第1の被膜(20)が、直流電流により電着されたニッケルを主成分とする第2の被膜(21)により覆われることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長手方向に作用エッジ領域が形成された平坦かつ細長い本体部分を備え、この作用エッジ領域が無電解めっきニッケルリン合金を主成分とする第1の被膜により覆われ、硬質材料粒子がこの第1の被膜中に分散されている、特に印刷版の表面から印刷インキを掻き取るためのドクターブレードに関する。さらに、本発明は、ドクターブレードを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷産業において、ドクターブレードは、とりわけ印刷シリンダおよび印刷用ロールの表面から余分な印刷インキを拭い取るために使用される。特にグラビア印刷およびフレキソ印刷の場合には、ドクターブレードの品質は、印刷結果に決定的な影響を有する。例としては、印刷シリンダと接触状態にあるドクターブレードの作用エッジに凹凸または不規則形状がある場合には、印刷シリンダの巻取紙からの印刷インキの拭い取りが、不完全になる。これにより、印刷基材上に印刷インキが制御されずに放出される結果となるおそれがある。
【0003】
拭い取り作業の際に、ドクターブレードの作用エッジは、印刷シリンダまたは印刷用ロールの表面上に押し付けられ、その表面に対して移動される。したがって、特に輪転印刷プレスの場合には、作用エッジは、高い機械応力にさらされ、この応力は、それ相応の磨耗をもたらす。したがって、原則的には、ドクターブレードは、定期的な交換を要する消耗品である。
【0004】
通常、ドクターブレードは、特定の形状になされた作用エッジを有するスチール製本体部分を基本として形成される。ドクターブレードの耐用寿命を向上させるために、ドクターブレードの作用エッジに、金属および/またはプラスチックからなる被膜または被覆を追加的に施すことが可能である。金属被膜は、しばしばニッケルまたはクロムを含み、これらは、適切な場合には、他の原子および/または化合物と混合または合金化された形態をとる。この点に関連して、被膜の材料特性は、特にドクターブレードの機械特性およびトライボロジー特性に対して著しい影響を有する。
【0005】
WO2003/064157(Nihon New Chrome Co. Ltd.社)は、例えば、中に硬質材料粒子が分散された化学ニッケルからなる第1の層と、表面エネルギーの低い第2の層とを有する、印刷分野用のドクターブレードについて記載している。この第2の層は、好ましくは、フッ素ベース樹脂の粒子を含む化学ニッケルから、または純有機樹脂からなる被覆より構成される。
【0006】
このように被膜を施されたドクターブレードは、被膜を施されないドクターブレードに比較して耐磨耗性が向上するが、耐用寿命は、依然として十分に満足のゆくものとはならない。さらに、かかるドクターブレードを使用した場合に、とりわけならし運転段階において印刷縞を制御できない事例が生じるおそれがあることが判明しており、これもまた同様に望ましいものではない。
【0007】
したがって、とりわけ比較的長い耐用寿命を有し、それと同時に最適な拭い取りが可能な、改良されたドクターブレードが、依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2003/064157
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の1つの目的は、耐磨耗性が向上し、その耐用寿命の間中にわたってとりわけ印刷インキの正確な拭い取りが可能な、冒頭に述べられた技術分野に属するドクターブレードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1に記載の構成要件により達成される。本発明によれば、第1の被膜が、電着ニッケルを主成分とする第2の被膜により覆われる。
【0011】
このコンテクストにおいては、第1の被膜の主成分を形成する無電解めっきニッケルリン合金は、リン含有量がとりわけ1〜15重量%であるニッケルおよびリンの混合物を意味するものとして理解される。かかる合金は、無電解めっきされるか、または外部電流を用いずに析出され、化学ニッケルとも呼ばれる。「無電解めっきニッケルリン合金を主成分とする」という表現は、無電解めっきニッケルリン合金が、第1の被膜の主要成分を成すことを意味する。この場合に、第1の被膜が、無電解めっきニッケルリン合金に加えて、無電解めっきニッケルリン合金よりも低い比率の他のタイプの原子および/または化合物を含むことも、当然ながら可能である。第1の被膜中における無電解めっきニッケルリン合金の比率は、好ましくは少なくとも50重量%であり、特に好ましくは少なくとも75重量%であり、非常に特に好ましくは少なくとも95重量%である。理想的には、不可避な不純物は別として、第1の被膜は、硬質材料粒子が中に分散された無電解めっきニッケルリン合金のみから構成される。
【0012】
本発明によれば、硬質材料粒子は、好ましくは少なくとも1000HVの硬度を有する、金属炭化物、金属窒化物、セラミック、および金属間化合物相をとりわけ含む。これらは、例としては、ダイヤモンド(C)、立方晶窒化ホウ素(BN)、炭化ホウ素(BC)、酸化クロム(Cr2O3)、二ホウ化チタン(TiB2)、窒化ジルコニウム(ZrN)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化チタン(TiC)、炭化ケイ素(SiC)、窒化チタン(TiN)、コランダム(Al2O3)、炭化タングステン(WC)、炭化バナジウム(VC)、炭化タンタル(TaC)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、および/または窒化ケイ素(Si3N4)を含む。
【0013】
「電着ニッケルを主成分とする」という表現は、電流の補助により電解質槽から析出される電着ニッケルが、第2の被膜の主要成分を成すことを意味する。この場合に、第2の被膜が、電着ニッケルに加えて、電着ニッケルよりも低い比率の他のタイプの原子および/または化合物を含むことも、当然ながら可能である。特に、他のタイプの原子および/または化合物を含むニッケル合金が存在してもよい。第2の被膜中における電着ニッケルの比率は、好ましくは少なくとも50重量%であり、特に好ましくは少なくとも75重量%であり、非常に特に好ましくは少なくとも95重量%である。
【0014】
本発明の第1の変形形態においては、第2の被膜は、とりわけリンを実質的に含まない。しかし、この場合に、リンが、非常に少量において、特に0.1重量%未満の比率で、不可避な不純物として第2の被膜中に存在してもよい。理想的には、不可避な不純物は別として、第2の被膜は、電着ニッケルのみから構成される。
【0015】
本発明の他の有利な変形形態においては、第2の被膜は、電着ニッケルリン合金を含む。このコンテクストにおいて、電着ニッケルリン合金は、リン含有量が特に12〜15重量%であり、他の部分が好ましくは純ニッケルから構成される、ニッケルおよびリンの混合物を意味するものとして相応に理解される。特に、電着ニッケルリン合金のリン含有量は、12重量%未満または15重量%超であってもよいが、これは、時として本発明のコンテクストにおいて不利な効果を有する。電着ニッケルリン合金は、電流の補助により電解質槽から析出される。
【0016】
第2の被膜中の電着ニッケルリン合金は、特に微細構造および弾性に関して、第1の被膜中の無電解めっきニッケルリン合金とは異なる。
【0017】
「電着ニッケルリン合金を主成分とする」という表現は、電着ニッケルリン合金が、第2の被膜の主要成分を成すことを意味する。この場合に、第2の被膜が、電着ニッケルリン合金に加えて、電着ニッケルリン合金よりも低い比率の他のタイプの原子および/または化合物を含むことも、当然ながら可能である。第2の被膜中の電着ニッケルリン合金の比率は、好ましくは少なくとも50重量%であり、特に好ましくは少なくとも75重量%であり、非常に特に好ましくは少なくとも95重量%である。不可避の不純物は別として、第2の被膜が、電着ニッケルリン合金のみから構成されることが、特に有利である。
【0018】
本発明によるドクターブレードは、高い耐磨耗性と、さらにはそれに応じた長い耐用寿命とを有することが判明している。この点に関して、硬質材料粒子が中に分散された無電解めっきニッケルリン合金からなる第1の被膜と、電着ニッケルを主成分とする第2の被膜とを組み合わせることにより、耐磨耗性に関してプラスの相乗効果が得られることが、比較試験により判明している。比較のために、本発明によるドクターブレードの層の全厚を同等とした場合に、ドクターブレードが、第1の被膜(硬質材料粒子が分散された無電解めっきニッケルリン合金)のみを備えるか、または第2の被膜(電着ニッケルを主成分とする被膜)のみを備える場合には、これは、本発明によるドクターブレードの場合と比べて耐磨耗性および耐用寿命の著しい低下をもたらす。
【0019】
さらに、作用エッジが、硬質材料粒子が分散された無電解めっきニッケルリン合金からなる第1の被膜と、電着ニッケルを主成分とする第2の被膜とを組み合わせることにより最適に安定化される。したがって、画然と規定された接触区域が、ドクターブレードと印刷シリンダまたは印刷用ロールとの間にもたらされることにより、極めて正確に印刷インキを拭い取ることが可能となる。この場合に、この接触区域は、印刷プロセスの間中にわたっておおむね安定した状態に留まる。
【0020】
さらに、印刷プロセスのならし運転段階の際に、本発明によるドクターブレードは、いかなる印刷縞も形成せず、または印刷プロセスを悪化させる他の影響ももたらさないことが判明している。したがって、本発明によるドクターブレードにより、印刷プロセス全体にわたって実質的に一定の印刷品質を実現することが可能となる。
【0021】
電着ニッケルを主成分とする第2の被膜の成分は、おおむねドクターブレードの使用目的によって決定される。この点に関連して、例えば印刷シリンダまたは印刷用ロールの材料および表面品質が、重要な役割を担う。電着ニッケルリン合金を含む第2の被膜は、一般的には、リンを実質的に含まない電着ニッケルを主成分とする被膜よりも硬度および耐磨耗性がある程度高い。
【0022】
長手方向に対して位置する本体部分の少なくとも側方表面領域が、第2の被膜によって完全におよび全体的に覆われることが好ましい。この場合には、本体の少なくとも作用エッジ、上部側、下部側、および、作用エッジの反対側に位置する後方端部面が、第2の被膜によって覆われる。長手方向に対して垂直方向に位置する本体部分の側部面は、被膜を施されない状態であってもよい。しかし、第2の被膜が、本体部分を完全におよび全側部に関して覆うことが、すなわち、長手方向に対して垂直方向に位置する本体部分の側部面も、第2の被膜によって覆われることが、本発明の範囲内に含まれる。したがって、この場合には、第2の被膜は、本体部分を全体的に囲む。
【0023】
長手方向に対して位置する本体部分の少なくとも側方表面領域が、第2の被膜により完全におよび全体的に覆われるため、作用エッジの一部を形成せず、第1の被膜により覆われない本体部分の必須領域が、第2の被膜を施されることにもなる。これは、ドクターブレードと接触状態となる水ベースもしくは若干酸性の印刷インキおよび/または他の液体から本体部分を保護するのに特に有利である。とりわけスチールベース本体の場合には、これにより、腐食に対する最適な保護が、ドクターブレードにもたらされる。したがって、例えば印刷プロセスの際にドクターブレードと接触状態になる印刷シリンダまたは印刷用ロールが、錆粒子によって汚染されないことにより、印刷プロセスの際の印刷品質の一貫性が、さらに向上する。さらに、側方表面領域に施される第2の被膜により、保管および/または輸送の際も、錆の形成に対して実現し得る最良の保護が、本体部分に与えられる。
【0024】
長手方向に対して位置する側方表面領域に加えて、さらに長手方向に対して垂直方向に位置する本体部分の側部面が、第2の被膜によって覆われる場合には、ドクターブレードの品質は、さらに向上する。
【0025】
しかし、原則的には、作用エッジは別として、本体部分を第2の被膜により部分的にのみ覆う、または全く覆わないこともまた可能である。例としては、これは、本体部分が例えばステンレス鋼または印刷インキに対して耐性のある別の材料などから製造される場合には、有利である場合がある。
【0026】
さらに、SiCおよび/またはAl2O3および/またはダイヤモンドおよび/またはBNからなる硬質材料粒子が存在する場合には、特に有利であることが判明している。この場合に、異なる材料からなる複数の硬質材料粒子が同時に存在することもまた可能である。この場合に、硬質材料粒子は、好ましくは、1μm未満の、特に0.3〜0.5μmの粒径を有する。第1の被膜中の硬質材料粒子の体積比率は、特に5〜20%である。かかる硬質材料粒子を含むドクターブレードは、とりわけ極度に良好な耐磨耗性と、長い耐用寿命とにより傑出している。しかし、同時に、かかる硬質材料を使用することにより、ドクターブレードと印刷シリンダまたは印刷用ロールとの間に非常に画然と規定された接触区域がさらにもたらされ、この接触区域は、ドクターブレードの耐用寿命の間中にわたり実質的に一定または安定した状態に留まる。
【0027】
原則的には、他の材料からなり、異なるサイズ特性または体積特性を有する硬質材料粒子を加えることも可能である。しかし、この場合には、印刷プロセスの際のドクターブレードの耐磨耗性および/または安定性は、ある環境においては低下する。
【0028】
特に、第1の被膜のリン含有量は、7〜12重量%である。かかる被膜は、電着ニッケルを主成分とする第2の被膜または電着ニッケルリン合金を主成分とする第2の被膜との組合せにおいて、理想的なものとなることが判明している。これは、そうすることにより、ドクターブレードの耐用寿命の間中にわたって高い耐磨耗性およびさらには実現し得る最良かつ一貫した安定性が得られるためである。
【0029】
しかし、原則的には、第1の被膜のリン含有量は、7重量%未満または12重量%超であってもよい。しかし、上述のドクターブレードの有利な特性は、その結果として低下する。
【0030】
有利には、第1の被膜は、750〜1400HVの硬度を有する。その結果、ドクターブレードの耐磨耗性が、とりわけ上昇する。750HV未満の硬度も可能であるが、ドクターブレードの耐磨耗性は低下する。1400HV超の硬度の場合には、印刷シリンダまたは印刷用ロールが損傷を被る場合があり、その結果、印刷品質が低下する。
【0031】
好ましくは、第1の被膜の厚さは、5〜30μmであり、特に7〜20μmである。第1の被膜のかかる厚さによって、本発明によるドクターブレードは、最適な耐磨耗性を与えられる。7〜20μmの厚さが、特に適することが判明している。5μm未満の厚さが可能であるが、その場合には、耐磨耗性は急速に低下する。30μm超の厚さもまた実現可能であるが、これは、経済的ではなく、時として、作用エッジの品質に対してマイナスの影響を有する。
【0032】
好ましくは、第2の被膜の厚さは、1〜8μmであり、特に1.5〜5μmである。特に、第2の被膜のかかる厚さは、5〜30μmの、または好ましくは7〜20μmの厚さを有する第1の被膜との組合せにおいて、本発明によるドクターブレードの作用エッジに対して最適な耐磨耗性および安定性をもたらす。
【0033】
しかし、原則的には、第2の被膜は、1μm未満の厚さ、または8μm超の厚さを有することも可能である。しかし、この場合には、作用エッジの品質が低下する。
【0034】
ドクターブレードが、第2の被膜により完全におよび全体的に覆われる場合には、作用エッジの領域の第2の被膜の厚さは、有利には、ドクターブレードの幅広面の中央領域の、または作用エッジの後方の領域の約2倍である。
【0035】
第2の被膜が、第1の被膜に隣接し純ニッケルから構成されるベース層と、このベース層の上方に配置される上部層とを備え、ベース層の厚さが、0.2〜0.8μmであり、特に0.4〜0.6μmであり、上部層が、サッカリンおよび/またはサッカリン塩を含むことが好ましい。この場合に、不可避の不純物は別として、純ニッケルから構成されるベース層は、好ましくはニッケルのみから構成される。
【0036】
このように構築された第2の被膜は、第1に、第1の被膜に対する高い接着度を有し、適切である場合には本体部分に対しても高い接着度を有する。さらに、サッカリンおよび/またはサッカリン塩を含む上部層により、第2の被膜は、表面粗度の低い非常に平坦な表面を有し、これにより、ドクターブレードと印刷シリンダまたは印刷用ロールとの間における画然と規定された接触区域の形成が促進される。
【0037】
しかし、原則的には、第2の被膜の場合に、ベース層および上部層を形成することをやめ、単一の実質的に均質の層を形成するのみとすることが可能である。
【0038】
本発明によるドクターブレードを製造するためには、特に、第1のステップにおいて、硬質材料粒子が中に分散されたニッケルリン合金を主成分とする第1の被膜を、平坦かつ細長い本体部分の長手方向に形成されたドクターブレードの作用エッジ領域上に無電解めっきすることが可能である。第2のステップにおいて、ニッケルを主成分とする第2の被膜が、電気めっきプロセスにより少なくとも第1の被膜上に析出される。
【0039】
硬質材料粒子が中に分散されたニッケルリン合金の無電解めっきにより、とりわけ、ドクターブレードの作用エッジに関してまたはドクターブレードの本体部分に関して高い輪郭形状精度を有し、さらに非常に均一な層厚分布を有する、高品質の第1の被膜の製造が可能となる。換言すれば、無電解めっきにより、ドクターブレードの作用エッジまたは本体部分の輪郭形状に最適な態様で倣う、極めて均一なニッケルリン合金が形成され、これは、ドクターブレードの品質に大きく寄与する。さらに、無電解めっきにより、特に第2のステップにおいて施されることとなる電気めっきニッケルを主成分とする第2の被膜との間において、適合性が最適な第1の被膜を形成することが可能となる。これにより、第2の被膜は、第1の被膜に十分に接着するようになる。無電解被覆を行うために、ドクターブレードの作用エッジ、または適切な限りにおいては本体部分全体が、硬質材料粒子が中に懸濁された適切な電解質槽内に浸漬され、本質的に既知の態様で被膜を施される。電解質槽中に懸濁される硬質材料粒子は、被膜プロセスまたは析出プロセスの際にニッケルリン合金中に組み込まれ、実質的にランダムな分布態様で形成されて、ニッケルリン合金中に存在する。
【0040】
ニッケルリン合金の無電解めっきにより、原則的には、ドクターブレードについて本体部分としてプラスチックを使用することも可能となり、ニッケルリン合金から構成される第1の被膜をプラスチックに簡単な態様で施すことも可能となる。
【0041】
第2のステップにおいて実施される電気めっきプロセスは、本質的に既知の態様で実施することが可能である。この場合に、被膜を施されることとなるドクターブレードの領域、すなわち第1の被膜を備える少なくとも作用エッジが、例えば適切な電気めっき電解質槽内に浸漬される。このプロセスにおいては、例えば、被膜を施されることとなる領域は、カソードとして機能する一方で、ニッケルを含む可溶性消耗電極は、アノードとして機能する。しかし、原則的には、析出されることとなる材料によっては、不溶性アノードを使用することもまた可能である。カソードとアノードとの間に適切な電圧を印加することにより、電流が、電気めっき電解質槽を通り流れ、その結果として、ニッケル原子、または例えばニッケルリン合金が、被膜を施されるべきドクターブレードの領域上に析出され、第2の被膜を形成する。電気めっきプロセスにより生成された第2の被膜は、純粋であり、高品質である。原則的には、第2の被膜の品質は、適切な限りにおいて第2の被膜中にやはり組み込まれる添加物を、電解質槽に加えることによって、さらに向上させることが可能である。
【0042】
無電解めっきと比較した場合に、ニッケルリン合金を追加的に電着することは、プロセス工学的にやはり利点を有する。例としては、リン含有量が、非常に容易に制御可能となり、析出プロセスが、高い析出速度で実施することが可能となる。ニッケルの電着と比較した場合に、ニッケルリン合金の電着は、同様に、不溶性アノードを使用することも可能となるという利点を有する。
【0043】
第2のステップにおいては、電気めっきプロセスの際に、ニッケルまたは例えばニッケルリン合金が、長手方向に対して位置する本体部分の少なくとも側方表面領域の全側部上に、特に本体部分全体上に電着されることが好ましい。これに従い、ドクターブレードの本体部分が、環境的影響から、およびとりわけ時としては化学的に侵食性の印刷インキから最適に保護されるのに加えて、これにより、第2のステップにおける電気めっきプロセスが簡単なものになる。例としては、本体部分を、電解質槽内に完全に浸漬することが可能となる。これは、第1の被膜を備える作用エッジのみが被膜を施される場合には、不可能である。なぜならば、その場合には、本体部分が、ある環境における電解質槽内の液体の表面に対して複雑な配向にされなければならないためである。
【0044】
しかし、原則的には、第1の被膜を備える作用エッジのみが、第2の被膜を備えることもまた可能である。
【0045】
時系列的に第2のステップ後に実施される第3のステップにおいては、第1の被膜を硬化するために熱処理が実施されることが有利である。熱処理は、ニッケルリン合金において固相反応を引き起こし、これは、ニッケルリン合金の硬度を高める。熱処理は、第2の被膜を析出または施した後にようやく実施されるため、酸化物形成は、とりわけ第1の被膜の表面上においては防止される。第1に、これは、第1の被膜と第2の被膜との間に高い接着度をもたらし、第2に、作用エッジの領域におけるドクターブレードの均一性が、総じて向上する。
【0046】
しかし、原則的には、熱処理を省くことも可能である。しかし、これは、本発明により製造されるドクターブレードの耐磨耗性または耐用寿命を犠牲とする。
【0047】
特に、被膜を施された本体部分は、熱処理の際に100〜500℃の温度にまで加熱され、特に好ましくは170〜300℃の温度にまで加熱される。特に、これらの温度は、0.5〜15時間の、好ましくは0.5〜8時間の保持時間にわたって保たれる。かかる温度および保持時間は、ニッケルリン合金の十分な硬度を実現するのに理想的であることが判明している。
【0048】
100℃未満の温度が、同様に可能である。しかし、この場合には、非常に長く多分に非経済的な保持時間を要する。本体部分の材料によっては、500℃超の温度も原則的には実施可能であるが、この場合には、ニッケルリン合金の硬化プロセスは、制御がより難しくなる。
【0049】
第2のステップにおっける電気めっきプロセスの際に、まず、ニッケルから構成されるベース層が、1.5未満のpHで、特に1未満のpHで析出され、好ましくはその後に、2〜5のpHの、特に3.4〜3.9のpHのサッカリンを用いて、ニッケルから構成される上部層が析出されることが有利である。
【0050】
酸性条件により、被膜を施されることとなる作用エッジの表面または本体部分の表面は、化学的に活性化され、ベース層は、作用エッジまたは本体部分との間に極めて安定的な接触結合を形成する。ベース層は、上に析出が行われることとなる上部層のための、理想的な基材を形成する。このプロセスにおいて、2〜5のpH値を遵守し、サッカリンを用いることにより、平滑で平坦な表面を有する最適な上部層が得られる。
【0051】
しかし、原則的には、ベース層および上部層は、他の条件下において析出されることも可能である。
【0052】
以下の詳細な説明より、および特許請求の範囲全体より、本発明の構成要件の他の有利な実施形態および組合せが明らかになろう。
【0053】
例示の実施形態を説明するために、以下の図面が示される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】作用エッジの領域に二重被膜を有する層状ドクターブレードの断面図である。
【図2】ドクターブレードを製造するための方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
原則的に、図面においては、同一部分には、同一の参照符号を付している。
【0056】
図1は、本発明による層状ドクターブレード1を断面において示す。層状ドクターブレード1は、スチール製本体部分11を備え、このスチール製本体部分11は、図1においては左側に、実質的に矩形の断面を有する後方領域12を有する。後方領域の上部側12.1から下部側12.2までのドクターブレードの厚さは、約0.2mmである。図面平面に対して垂直方向の層状ドクターブレード1の本体部分11の長さは、例えば1000mmである。
【0057】
図1における右側で、本体部分11は、後方領域12の上部側12.1からステップ状に先細になり、作用エッジ13を形成する。作用エッジ13の上部側13.1は、後方領域12の上部側12.1の平面より下方の平面に位置するが、後方領域12の上部側12.1に対して実質的に平行にまたは面平行に形成される。凹形状移行領域12.5が、後方領域12と作用エッジ13との間に存在する。後方領域12の下部側12.2および作用エッジ13の下部側13.2は、共通平面内に位置し、これは、後方領域12の上部側12.1に対して面平行に、および作用エッジ13の上部側13.1に対して面平行に形成される。後方領域の左側端部から作用エッジ13の端部面14までの本体部分11の幅は、例えば40mmである。作用領域13の上部側13.1から下部側13.2までの作用領域13の厚さは、例えば0.060〜0.150mmであり、これは、後方領域12におけるドクターブレードの幅の半分にほぼ相当する。作用領域13の上部側13.1上における端部面14から移行領域12.5までの作用領域13の幅は、例えば0.8〜5mmである。
【0058】
右側の作用エッジ13の自由端部に位置する自由端部面14は、左方向に斜めに、および作用エッジの上部側13.1から作用エッジ13の下部側13.2の方向に下方に延在する。この場合、端部面14は、作用エッジ13の上部側13.1に対して、および作用エッジ13の下部側13.2に対して、それぞれ約45°および約135°の角度となる。この場合には、作用エッジ13の上部側13.1と端部面14との間の上部移行領域が、丸みを付けられている。同様に、端部面14と作用エッジ13の下部側13.2との間の下部移行領域が、丸みを付けられている。
【0059】
さらに、層状ドクターブレード1の作用エッジ13は、第1の被膜20により囲まれている。この場合には、第1の被膜20は、作用エッジ13の上部側13.1と、本体部分の後方領域12の上部側12.1の移行領域12.5および隣接する部分領域とを被覆する。同様に、第1の被覆20は、端部面14と、作用エッジ13の下部側13.2と、本体部分11の後方領域12の下部側12.2の、作用エッジ13の下部側に隣接する部分領域とを被覆する。
【0060】
例としては、第1の被膜20は、リン含有量が9重量%であるニッケルリン合金から構成される。炭化ケイ素(SiC)からなる硬質材料粒子20.1が、その中に分散される。硬質材料粒子20.1の体積比率は、例えば16%であり、硬質材料粒子20.1の平均粒径は、約0.4μmである。作用エッジ13の領域では、第1の被膜20の層厚さは、例えば15μmであり、硬度は、例えば1200HVである。第1の被膜20の層厚さは、後方領域12の上部側12.1および下部側12.2の領域においては漸減し、第1の被膜20は、作用エッジ13から離れる方向に、ウェッジの形態で先細る。
【0061】
第1の被膜20、および第1の被膜20により被覆されない本体部分11の他の領域が、第2の被膜21によって完全に囲まれる。その結果、後方領域12の上部側12.1および下部側12.2と、さらには本体部分11の後方端部面とが、第2の被膜21によりさらに被覆される。したがって、図面平面に対して垂直方向に位置する本体部分11のまたはドクターブレード1の長手方向に対する本体部分11の側方表面領域は、2つの被膜20、21の少なくとも一方によって完全におよび全体的に囲まれる。図面平面に対して面平行に位置し、図1においては見えない、本体部分11の前側面および後側面が、同様に第2の被膜21により被覆され得る。
【0062】
第2の被膜21は、ベース層21.1から構成され、このベース層21.1は、電着された純ニッケルから構成され、約0.5μmの層厚さを有する。上部層21.2が、ベース層21.1の上方に設置される。上部層21.2は、同様に電着された純ニッケルから構成されるが、これは、さらにサッカリンと混合される。
【0063】
作用エッジ13の領域では、第2の被膜21の層厚さ、すなわちベース層21.1の層厚さと上部層21.2の層厚さとを合計したものが、例えば4μmとなるが、後方領域12における層厚さは、例えば2μmとなる。
【0064】
図2は、例えば図1に図示されるような層状ドクターブレードを製造するための方法100を概略的に示す。この方法においては、第1のステップ101において、ニッケルリン合金すなわち第1の被膜20により被膜を施されることとなる本体部分11の作用エッジ13が、例えば、硬質材料粒子20.1が中に懸濁された、本質的に既知の、適切な水性電解質槽内に浸漬される。この場合、ニッケルイオンが、例えば硫酸ニッケルなどのニッケル塩から、例えば次亜リン酸ナトリウムなどの還元剤によって、水性環境内で還元されて、ニッケル元素が形成され、作用エッジ13上に析出し、ニッケルリン合金を形成し、硬質材料粒子20.1を同時に包含する。これは、例えば適度な酸性条件(pH4〜6.5)下において、70〜95°の高温にて、電圧の印加を伴わずにまたは完全な無電解状態において行われる。
【0065】
第2のステップ102においては、初めに、例えば約1のpHの塩化ニッケルおよび塩酸を含む水性物質を主成分とする第1の電気めっき電解質槽が用意される。次いで、第1のステップにおいて第1の被膜20が既に施された本体部分11が、この電解質槽内に完全に浸漬され、第2の被膜21のベース層21.2が、外部から印加される電流を用いて、本質的に既知の態様で析出される。次いで、3.7のpHのニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、ホウ酸、およびサッカリンを含む水性物質を主成分とする第2の電気めっき電解質槽内において、上部層21.1が、本質的に既知の態様で析出される。
【0066】
第3のステップ103においては、第1の被膜20および第2の被膜21を施された本体部分11が、2時間の間にわたり、例えば300°の温度で、熱処理を施される。最後に、完成した層状ドクターブレード1が、冷却され、それにより使用可能な状態となる。
【0067】
試験により、図1に図示される層状ドクターブレード1は、その耐用寿命にわたって非常に高い耐磨耗性および安定性を有することが判明した。比較のために、第1の比較試験においては、図1に図示される層状ドクターブレード1の本体部分と同一の本体部分は、第1の被膜20のみを備えるものとし、第2の被膜は施さなかった。第2の試験においては、図1に図示される層状ドクターブレード1の本体部分と同一の本体部分は、第1の試験の第1の被膜の層厚さと同等の層厚さを有する第2の被膜21のみを備えるものとし、第1の被膜は施さなかった。この場合、これらの試験のために製造された両方の層状ドクターブレードが、図1に図示される層状ドクターブレード1に比べてより低い耐磨耗性および耐用寿命を有した。
【0068】
上述の実施形態および製造方法は、もっぱら例示的なものとして理解されるべきであり、本発明の範囲内において所望に応じて修正することが可能である。
【0069】
例としては、図1に図示される本体部分11は、例えばステンレス鋼またはカーボンスチールなどの異なる材料から製造されてもよい。この場合、作用エッジ13の領域のみに第2の被膜21を施すことにより、被膜用の材料の消費量を減らすことが、経済的な理由から有利となり得る。しかし、原則的には、本体部分11は、例えばプラスチックなどの非金属材料から構成することも可能である。これは、特にフレキソ印刷における用途に対して有利である場合がある。
【0070】
しかし、図1に図示される本体部分11の代わりに、異なる形状を有する本体部分を使用することも可能である。特に、本体部分は、ウェッジ形状の作用エッジ、または丸みを付けられた作用エッジを有する非テーパ状断面形状を有してもよい。右側の作用エッジ13の自由端部の自由端部面14は、例えば完全に丸みを付けられた形状を有してもよい。
【0071】
さらに、図1に図示される本発明によるドクターブレードは、様々な寸法を有することも可能である。例えば、例としては、作用領域13の上部側13.1から下部側13.2までの作用領域13の厚さは、0.040〜0.200mmの範囲において様々であってよい。
【0072】
同様に、図1に図示される第1の被膜20は、他の合金成分、および/または、例えば金属原子、非金属原子、無機化合物、および/または有機化合物などの追加の物質を含んでもよい。
【0073】
他の硬質材料粒子が、炭化ケイ素(SiC)の硬質材料粒子の代わりにまたはそれに加えて存在することもまた可能である。
【0074】
例えば金属原子、非金属原子、無機化合物、および/または有機化合物などの他の物質を、ベース層21.1および上部層21.2の両方において、第2の被膜21中に追加することが可能である。
【0075】
さらに、第2の被膜21のベース層21.1を省き、例えば上部層21.2をさらに厚くすることが、本発明の範囲内にやはり含まれる。同様に、上部層21.2中のサッカリンを省き、その代わりに同一の効果を有する別の物質を置き換えることも可能である。
【0076】
さらに、図1に図示される第2の被膜21のベース層21.1および/または上部層21.2に追加してまたはそれらの代わりに、電気めっきされたニッケルを主成分とする他の層があってもよい。これは、特に、本発明によるドクターブレードの特性をある特定の要件に適合させる場合に有利であり得る。
【0077】
さらに、第2の被膜21に関して、電着された純ニッケルの代わりに、好ましくはリン含有量が12〜15%である電気めっきニッケルリン合金を形成することが可能である。これにより、特に、第2の被膜の硬度を高めることが可能であり、これは、意図される利用法によっては有利である場合がある。
【0078】
まとめると、ドクターブレードの高耐用寿命および高品質を保証し、特により経済的な印刷プロセスを可能にする、新規のドクターブレード設計を発見したと言うことができる。
【符号の説明】
【0079】
1 層状ドクターブレード
11 スチール製本体部分
12 後方領域
12.1 上部側
12.2 下部側
12.5 凹形状移行領域
13 作用エッジ、作用領域
13.1 上部側
13.2 下部側
14 端部面、自由端部面
20 第1の被膜
20.1 硬質材料粒子
21 第2の被膜
21.1 ベース層
21.2 上部層
100 方法
101 第1のステップ
102 第2のステップ
103 第3のステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に作用エッジ領域(13)が形成された平坦かつ細長い本体部分(11)を備える、特に印刷版の表面から印刷インキを掻き取るためのドクターブレード(1)であって、前記作用エッジ領域(13)は、無電解めっきニッケルリン合金を主成分とする第1の被膜(20)により覆われ、硬質材料粒子(20.1)が、前記第1の被膜(20)中に分散されている、ドクターブレード(1)において、前記第1の被膜(20)は、電着ニッケルを主成分とする第2の被膜(21)により覆われることを特徴とする、ドクターブレード(1)。
【請求項2】
前記長手方向に対して位置する前記本体部分(11)の少なくとも側方表面領域が、前記第2の被膜(21)によって完全におよび全体的に覆われることを特徴とする、請求項1に記載のドクターブレード(1)。
【請求項3】
SiCおよび/またはAl2O3および/またはダイヤモンドおよび/または立方晶BNからなる前記硬質材料粒子(21.1)が存在することを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載のドクターブレード(1)。
【請求項4】
前記第1の被膜(20)のリン含有量が、7〜12重量%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のドクターブレード(1)。
【請求項5】
前記第1の被膜(20)は、750〜1400HVの硬度を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のドクターブレード(1)。
【請求項6】
前記第1の被膜(20)の厚さが、5〜30μmであり、特に7〜20μmであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のドクターブレード(1)。
【請求項7】
前記第2の被膜(21)の厚さが、1〜8μmであり、特に1.5〜5μmであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のドクターブレード(1)。
【請求項8】
前記第2の被膜(21)は、前記第1の被膜(20)に隣接し純ニッケルから構成されるベース層(21.1)と、前記ベース層(21.1)の上方に配置される上部層(21.2)とを備え、前記ベース層(21.1)の厚さが、0.2〜0.8μmであり、特に0.4〜0.6μmであり、前記上部層(21.2)は、サッカリンおよび/またはサッカリン塩を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のドクターブレード(1)。
【請求項9】
前記第2の被膜(21)は、電着めっきニッケルリン合金を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のドクターブレード(1)。
【請求項10】
前記電着めっきニッケルリン合金は、12〜15%のリン含有量であることを特徴とする、請求項9に記載のドクターブレード(1)。
【請求項11】
ドクターブレード、特に請求項1〜10のいずれか一項に記載のドクターブレード(1)を製造するための方法(100)であって、第1のステップ(101)で、硬質材料粒子(20.1)が中に分散されたニッケルリン合金を主成分とする第1の被膜(20)が、平坦かつ細長い本体部分(11)の長手方向に形成される前記ドクターブレード(1)の作用エッジ領域(13)上に無電解めっきされる、方法(100)において、第2のステップ(102)で、ニッケルを主成分とする第2の被膜(21)が、電気めっきプロセスにより少なくとも前記第1の被膜(20)の上に析出されることを特徴とする、方法(100)。
【請求項12】
前記第2のステップ(102)で、前記電気めっきプロセスの際に、ニッケルが、前記長手方向に対して位置する前記本体部分(11)の少なくとも側方表面領域の全側部上におよび前記少なくとも側方表面領域中すべてに、特に、前記本体部分(11)全体の全側部上におよび前記本体部分(11)全体の周囲すべてに析出されることを特徴とする、請求項11に記載の方法(100)。
【請求項13】
時系列的に前記第2のステップ(102)後に実施される第3のステップ(103)で、前記第1の被膜(20)および/または前記第2の被膜(21)を硬化するために熱処理が実施されることを特徴とする、請求項11〜12のいずれかに記載の方法(100)。
【請求項14】
前記被膜を施された本体部分(11)は、前記熱処理の際に、100〜500℃の、特に170〜300℃の温度まで加熱されることを特徴とする、請求項11に記載の方法(100)。
【請求項15】
前記第2のステップにおける前記電気めっきプロセスの際に、初めに、ニッケルから構成されるベース層(21.1)が、1.5未満のpHで、特に1未満のpHで析出され、この後に、2〜5のpHの、特に3.4〜3.9のpHのサッカリンを用いて、ニッケルから構成される上部層(21.2)が析出されることを特徴とする、請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法(100)。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−504055(P2012−504055A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−528155(P2011−528155)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際出願番号】PCT/CH2009/000289
【国際公開番号】WO2010/037240
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(509058324)デートワイラー・スイステック・アーゲー (5)
【Fターム(参考)】