ドハティ増幅器
【課題】広帯域化と小型化を図ることのできるドハティ増幅器を得る。
【解決手段】単位ドハティ増幅器100a,100bにおけるピーク増幅器2a,2bの入力側に、これらピーク増幅器2a,2bが共用する1/4波長線路3を設ける。単位ドハティ増幅器100a,100bのキャリア増幅器1a,1bの出力側にはそれぞれ1/4波長線路6a,6bが設けられ、キャリア増幅器1a,1bの出力とピーク増幅器2a,2bの出力とは信号合成器7で合成される。これにより広帯域化を図ることができると共に、ピーク増幅器2a,2b入力側の1/4波長線路を削減することができるため、小型化を図ることができる。
【解決手段】単位ドハティ増幅器100a,100bにおけるピーク増幅器2a,2bの入力側に、これらピーク増幅器2a,2bが共用する1/4波長線路3を設ける。単位ドハティ増幅器100a,100bのキャリア増幅器1a,1bの出力側にはそれぞれ1/4波長線路6a,6bが設けられ、キャリア増幅器1a,1bの出力とピーク増幅器2a,2bの出力とは信号合成器7で合成される。これにより広帯域化を図ることができると共に、ピーク増幅器2a,2b入力側の1/4波長線路を削減することができるため、小型化を図ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力側の周波数依存性を低減することで、広帯域な特性を有する高出力ドハティ増幅器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
増幅する信号のピーク電力と平均電力の比であるクレストファクターの増加に伴い、ドハティ増幅器には一層の高出力化が求められている。ドハティ増幅器の高出力化に伴い、トランジスタのインピーダンス低下や接続用線路長の伸長により狭帯域化する問題がある。特に信号の波長に対する線路長が数GHz帯以上の高周波では相対的に長くなるため、線路長の伸長による狭帯域化が深刻な問題となる。そのため、数GHz以上の周波数では高出力化と広帯域化の両立が強く求められている。
【0003】
従来のドハティ増幅器として、高出力化を図るため、キャリア増幅器およびピーク増幅器をそれぞれ二つのトランジスタで構成したものがあった(例えば、特許文献1参照)。図7は、その出力側構成を示し、図8に全体回路構成を示す。これらの図に示すように、ドハティ増幅器は、二つのトランジスタ201aを並列接続したキャリア増幅器202と、二つのトランジスタ201bを並列接続したピーク増幅器203と、これらキャリア増幅器202の出力とピーク増幅器203の出力を送出するための出力端子204と、これらキャリア増幅器202とピーク増幅器203とに信号を入力するための入力端子205と、キャリア増幅器202と出力端子204間に設けられ、動作周波数で1/4波長となる1/4波長線路206とを備えている。尚、このようなドハティ増幅器を従来例1とする。
【0004】
このように構成された従来例1のドハティ増幅器は、キャリア増幅段とピーク増幅段で構成されるが、キャリア増幅段は入力信号が小さいとき(以下、「小信号時」という)に線形性を確保するために、ピーク増幅段は入力信号が大きいとき(以下、「大信号時」という)に飽和電力を確保するために使用される。キャリア増幅段は、通常A級からAB級ないしはB級にバイアスされるため、入力信号のレベルにかかわらず増幅を行い出力する。ピーク増幅段は、通常C級にバイアスされるため、小信号時は非動作状態となり、大信号時には動作状態となって信号を増幅し出力する。即ち、小信号時はキャリア増幅器202のみの動作となるので、高効率動作となり、大信号時はキャリア増幅器202とピーク増幅器203の出力が合成されるので高い飽和電力が確保される。
【0005】
また、従来例2として図9に示すようなドハティ増幅器があった。このドハティ増幅器は、例えば、特許文献2に記載されたようなドハティ増幅器であり、一つのキャリア増幅器202と一つのピーク増幅器203とからなる回路を単位ドハティ増幅器209a(209b)とし、二つの単位ドハティ増幅器209a,209bからの出力を合成するようにしたものである。即ち、入力端子205からの信号を、分配器207によってそれぞれの単位ドハティ増幅器209a,209bに分配し、それぞれの単位ドハティ増幅器209a,209bの出力を合成器208を介して出力端子204から出力する。また、それぞれの単位ドハティ増幅器209a,209bでは、ピーク増幅器203の入力側に1/4波長線路206を接続すると共に、キャリア増幅器202の出力側に1/4波長線路206を接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−11186号公報
【特許文献2】特開2006−67176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ドハティ増幅器の高出力化を図る方法として、(1)高出力なトランジスタを用いる方法、(2)複数個のトランジスタを並列接続して高出力化する方法、(3)複数の単位ドハティ増幅器を並列接続する方法が挙げられる。(2)の方法は上記の従来例1、(3)の方法は従来例2に相当する。
【0008】
(1)の方法による高出力化は、小型で高出力な特性を容易に実現できる利点はあるものの、放熱能力の問題からトランジスタ単体の高出力化には限度があり、十分な高出力化が図れない問題がある。また、(2)の方法による高出力化は、並列接続するトランジスタ数を増加させることで容易に高出力化が図れる利点がある。しかしながら、トランジスタの出力を合成する回路を含むため、キャリア増幅器202およびピーク増幅器203を構成するトランジスタから単位ドハティ増幅器の出力端までの線路長が長くなり、狭帯域化するという問題があった。一方、(3)の方法による高出力化は、単位ドハティ増幅器209a,209bの出力を合成するため、単位ドハティ増幅器209a,209bの出力端からトランジスタまでの線路長が変化せず、狭帯域化しない利点がある。しかしながら、従来例2の構成では、その入力側に、単位ドハティ増幅器の数だけ1/4波長線路206を必要とするため、ドハティ増幅器が大型化する問題があった。
【0009】
上記(2)の方法の問題点として、ピーク増幅器を構成するトランジスタから単位ドハティ増幅器の出力端までの線路長が長くなることに伴い、高出力ドハティ増幅器が狭帯域化することを以下に示す。
図9に示す従来例2のドハティ増幅器では、入力側に複数の1/4波長線路206を必要とするため、大型化する問題があるものの、ピーク増幅器203と単位ドハティ増幅器209a,209bの出力端は直結されている。小信号時に単位ドハティ増幅器の出力端からピーク増幅器203のトランジスタを見込んだ出力反射特性を図10に示す。中心周波数である14.25GHzではピーク増幅器203の出力インピーダンスはほぼオープンに近い状態となっており、小信号時はピーク増幅器203がキャリア増幅器202の動作に影響を与えない状態になっている。このとき、0.25GHz離れた14.0GHzおよび14.5GHzでの反射位相は+55,−58degになっている。
図11に従来例2の高出力ドハティ増幅器の小信号利得を示す。14〜14.5GHzにおいて平坦な利得特性が得られていることが確認できる。
【0010】
一方、図8に示した従来例1のドハティ増幅器は、トランジスタの合成回路がドハティ増幅器内部に含まれている。小信号時に出力端子204からピーク増幅器203のトランジスタを見込んだ出力反射特性を図12に示す。0.25GHz離れた14.0GHzおよび14.5GHzでは反射位相が+70,−78degになっており、短絡状態に近づいていることがわかる。図13に従来例1の高出力ドハティ増幅器の小信号利得を示す。14.5GHzにおいて利得が低下しており、狭帯域化していることがわかる。
【0011】
このように、従来のドハティ増幅器では、広帯域化と小型化とを両立することが困難であった。
【0012】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、広帯域化と小型化を図ることのできるドハティ増幅器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明に係るドハティ増幅器は、一つのキャリア増幅器と一つのピーク増幅器で構成される回路を単位ドハティ増幅器とし、単位ドハティ増幅器を複数用いて構成するドハティ増幅器において、複数の単位ドハティ増幅器におけるピーク増幅器の入力側に設けられ、複数の単位ドハティ増幅器のピーク増幅器が共用する第1の1/4波長線路と、入力信号を、複数の単位ドハティ増幅器のキャリア増幅器に分配すると共に、第1の1/4波長線路を介して、複数の単位ドハティ増幅器のピーク増幅器に分配する信号分配器と、複数の単位ドハティ増幅器のキャリア増幅器の出力にそれぞれ接続された第2の1/4波長線路と、第2の1/4波長線路の出力と、複数の単位ドハティ増幅器のピーク増幅器の出力とを合成する信号合成器とを備えたものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明のドハティ増幅器は、複数の単位ドハティ増幅器のピーク増幅器が一つの1/4波長線路を共用するようにしたので、ドハティ増幅器として広帯域化と小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の実施の形態1によるドハティ増幅器を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態2によるドハティ増幅器を示す構成図である。
【図3】この発明の実施の形態3によるドハティ増幅器を示す構成図である。
【図4】この発明の実施の形態3によるドハティ増幅器の他の例を示す構成図である。
【図5】この発明の実施の形態4によるドハティ増幅器を示す構成図である。
【図6】この発明の実施の形態5によるドハティ増幅器を示す構成図である。
【図7】従来例1のドハティ増幅器の出力側を示す構成図である。
【図8】従来例1のドハティ増幅器を示す構成図である。
【図9】従来例2のドハティ増幅器を示す構成図である。
【図10】従来例2における小信号時に単位ドハティ増幅器の出力端からピーク増幅器のトランジスタを見込んだ出力反射特性を示す説明図である。
【図11】従来例2における小信号利得を示す説明図である。
【図12】従来例1における小信号時に出力端子からピーク増幅器のトランジスタを見込んだ出力反射特性を示す説明図である。
【図13】従来例1における小信号利得を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるドハティ増幅器を示す構成図である。
図1に示すドハティ増幅器は、単位ドハティ増幅器100aとして、キャリア増幅器1aとピーク増幅器2aを備え、単位ドハティ増幅器100bとして、キャリア増幅器1bとピーク増幅器2bを備えている。それぞれの単位ドハティ増幅器100a,100bにおけるピーク増幅器2a,2bの入力側には共通の1/4波長線路(第1の1/4波長線路)3が設けられている。また、この1/4波長線路3の入力およびキャリア増幅器1a,1bの入力と、入力端子4との間に、信号分配器5が設けられている。この信号分配器5は、入力端子4からの入力信号を、単位ドハティ増幅器100a,100bにおけるそれぞれのキャリア増幅器1a,1bに分配すると共に、1/4波長線路3を介して、単位ドハティ増幅器100a,100bにおけるそれぞれのピーク増幅器2a,2bに分配するもので、1/4波長線路を用いて構成されている。
【0017】
キャリア増幅器1a,1bの出力には、それぞれ1/4波長線路(第2の1/4波長線路)6a,6bが接続され、1/4波長線路6a,6bの出力とピーク増幅器2a,2bの出力とが信号合成器7に入力されるよう構成されている。信号合成器7は、1/4波長線路6a,6bの出力と、ピーク増幅器2a,2bの出力とを合成して、出力端子8に出力するもので、1/4波長線路を用いて構成されている。また、それぞれの単位ドハティ増幅器100a,100bにおける群遅延時間はほぼ等しくなるよう構成されている。
【0018】
このように構成されたドハティ増幅器では、キャリア増幅器1a,1bは、A級からAB級あるいはB級にバイアスされ、入力信号のレベルにかかわらず増幅を行い、出力信号は、1/4波長線路6a,6bを介して信号合成器7に入力され、信号合成器7から出力端子8に出力される。一方、ピーク増幅器2a,2bはC級にバイアスされ、小信号時は非動作状態となり、大信号時は動作状態となって信号を増幅し出力する。このような動作は従来と同様である。
【0019】
実施の形態1では、出力側は、二つの単位ドハティ増幅器100a,100bを合成する構成とすることで、ピーク増幅器2a,2bを構成するトランジスタから単位ドハティ増幅器100a,100bの出力端までの線路長が長くなるのを防止し、広帯域化を図ることができる。また、入力側は1/4波長線路3を互いに単位ドハティ増幅器100a,100bで共用することで、単位ドハティ増幅器100a,100bを合成する際に問題となる大型化を防止することができる。これにより、小型で広帯域な高出力ドハティ増幅器を実現することができる。
【0020】
尚、実施の形態1では、単位ドハティ増幅器100a,100bの入力側と出力側に1/4波長線路からなる信号分配器5と信号合成器7とが接続されているが、1/4波長の奇数倍の線路を接続しても良い。また、1/4波長線路3,6a,6bは、ピーク増幅器2a,2bの入力側およびキャリア増幅器1a,1bの出力側に接続されているが、ピーク増幅器2a,2bの出力側およびキャリア増幅器1a,1bの入力側に接続したインバーテッドドハティ増幅器でも良い。このようにインバーテッドドハティ増幅器とすることで、キャリア増幅器1a,1bの線路長を1/2波長にすることなく、ドハティ増幅器を実現することができ、小型で高効率な増幅器を実現することができる。さらに、単位ドハティ増幅器100a,100bの入力側と出力側に接続された信号分配器5と信号合成器7の線路の短縮化を図るため、1/4波長線路をローパスフィルタやハイパスフィルタ等を用いて集中定数化してもよい。
【0021】
以上説明したように、実施の形態1のドハティ増幅器によれば、一つのキャリア増幅器と一つのピーク増幅器で構成される回路を単位ドハティ増幅器とし、単位ドハティ増幅器を複数用いて構成するドハティ増幅器において、複数の単位ドハティ増幅器におけるピーク増幅器の入力側に設けられ、複数の単位ドハティ増幅器のピーク増幅器が共用する第1の1/4波長線路と、入力信号を、複数の単位ドハティ増幅器のキャリア増幅器に分配すると共に、第1の1/4波長線路を介して、複数の単位ドハティ増幅器のピーク増幅器に分配する信号分配器と、複数の単位ドハティ増幅器のキャリア増幅器の出力にそれぞれ接続された第2の1/4波長線路と、第2の1/4波長線路の出力と、複数の単位ドハティ増幅器のピーク増幅器の出力とを合成する信号合成器とを備えたので、広帯域化と小型化を図ることができる。
【0022】
実施の形態2.
図2は、実施の形態2におけるドハティ増幅器を示す構成図である。
実施の形態2のドハティ増幅器は、2^n(nは自然数)個の単位ドハティ増幅器を用いる例であり、図示例では、22個の単位ドハティ増幅器100a,100b,100c,100dを用いる場合を示している。即ち、実施の形態2では実施の形態1のドハティ増幅器を2組備えており、単位ドハティ増幅器100a,100bの構成は、実施の形態1と同様である。また、単位ドハティ増幅器100c,100dの構成は、単位ドハティ増幅器100a,100bと同様である。また、信号分配器5は、入力端子4から入力された信号を、各単位ドハティ増幅器100a〜100dのキャリア増幅器1a,1bと1/4波長線路3とに分配するもので、1/4波長線路を用いて構成されている。更に、信号合成器7は、各単位ドハティ増幅器100a〜100dにおける1/4波長線路6a,6bの出力と、ピーク増幅器2a,2bの出力とを合成して出力端子8に出力するもので、1/4波長線路を用いて構成されている。
【0023】
このように構成されたドハティ増幅器における基本的な動作は実施の形態1と同様であり、各単位ドハティ増幅器100a〜100dの出力が合成されて出力される。
【0024】
以上説明したように、実施の形態2のドハティ増幅器によれば、2^n(nは自然数)個の単位ドハティ増幅器を有するようにしたので、ドハティ増幅器としてさらに高出力化を図ることができる。
【0025】
実施の形態3.
図3は、実施の形態3のドハティ増幅器を示す構成図である。
実施の形態3のドハティ増幅器は、それぞれの単位ドハティ増幅器100a,100bにおいて、キャリア増幅器1a,1bとピーク増幅器2a,2bの出力側を対向設置するようにしたものである。即ち、キャリア増幅器1a,1bの出力側とピーク増幅器2a,2bの出力側とが対向するようトランジスタを設置し、これらの間に1/4波長線路6a,6bを接続する。また、1/4波長線路6a,6bとピーク増幅器2a,2bの出力との接続点と出力端子8との間に信号合成器7を接続する。尚、信号分配器5aは、入力端子4からの信号をキャリア増幅器1a,1bに分配する分配器であり、信号分配器5bは、1/4波長線路3の出力信号をピーク増幅器2a,2bへ分配する分配器である。
実施の形態3のドハティ増幅器の動作は実施の形態1と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0026】
このように、実施の形態3のドハティ増幅器では、キャリア増幅器1a,1bの出力側とピーク増幅器2a,2bの出力側とを対向設置したため、これらキャリア増幅器1a,1bおよびピーク増幅器2a,2bの入力側を外側とすることができる。従って、実施の形態1,2に示すような入力側のクロス配線を解消することができ、構成を簡素化することができる。
【0027】
また、図4に示すように、単位ドハティ増幅器100a,100bの出力を、1/2波長線路からなる信号合成器9で接続し、電力合成することで、図3に示すような出力側のクロス配線も解消することができ、構成を一層簡素化することができる。
【0028】
以上説明したように、実施の形態3のドハティ増幅器によれば、それぞれの単位ドハティ増幅器におけるキャリア増幅器の出力側とピーク増幅器の出力側とをそれぞれ対向するよう設置し、かつ、キャリア増幅器とピーク増幅器との間に第2の1/4波長線路を接続したので、クロス配線を削減することができ、構成を簡素化することができる。
【0029】
実施の形態4.
図5は、実施の形態4のドハティ増幅器を示す構成図である。
実施の形態4のドハティ増幅器は、単位ドハティ増幅器におけるキャリア増幅器とピーク増幅器とを縦続接続したものであり、図示例では、二つが縦続接続されている例を示している。
【0030】
図5において、ドライバ増幅器10a,10bは、キャリア増幅器1a,1bに縦続接続される前段側のキャリア増幅器であり、ドライバ増幅器11a,11bは、ピーク増幅器2a,2bに縦続接続される前段側のピーク増幅器である。その他の構成は、実施の形態3の図4に示した構成と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。尚、実施の形態4のように、増幅器が多段接続された場合、単位ドハティ増幅器における最終段のキャリア増幅器1a,1bとピーク増幅器2a,2bとが対向設置されることになる。
【0031】
実施の形態4のドハティ増幅器の基本的な動作は実施の形態1と同様であるが、キャリア増幅器1a,1bとピーク増幅器2a,2bとが縦続接続されているため、より高利得化することができる。
【0032】
尚、上記実施の形態4では、図4の構成に適用した例を示したが、図1〜図3の構成に対して適用することも可能である。
【0033】
以上説明したように、実施の形態4のドハティ増幅器によれば、一つのキャリア増幅器及び一つのピーク増幅器に代えて、縦続接続した複数のキャリア増幅器及び縦続接続した複数のピーク増幅器により、単位ドハティ増幅器を構成するようにしたので、ドハティ増幅器としてより高利得化することができる。
【0034】
実施の形態5.
図6は、実施の形態5のドハティ増幅器を示す構成図である。
実施の形態5のドハティ増幅器は、実施の形態4におけるドライバ増幅器を共用するようにしたものであり、実施の形態4におけるドライバ増幅器10a,10bがドライバ増幅器12に、ドライバ増幅器11a,11bがドライバ増幅器13に対応している。即ち、入力端子4と信号分配器5aとの間にドライバ増幅器12が接続され、このドライバ増幅器12をキャリア増幅器1a,1bが共用する。また、1/4波長線路3と信号分配器5bとの間にドライバ増幅器13が接続され、このドライバ増幅器13をピーク増幅器2a,2bが共用する。さらに、これらドライバ増幅器12とドライバ増幅器13とはそれぞれの入力側が対向するよう設置されている。その他の構成は実施の形態3の図4に示す構成と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0035】
実施の形態5のドハティ増幅器の基本的な動作は実施の形態4と同様であるが、キャリア増幅器1a,1bとピーク増幅器2a,2bの最前段の増幅器を共用しているため、ドライバ増幅器の台数を削減し、装置の大型化を抑えながら高利得化を図ることができる。
【0036】
尚、上記実施の形態5では、図4の構成に適用した例を示したが、図1〜図3の構成に対してドライバ増幅器12,13を適用することも可能である。また、最前段の増幅器を共用する構成であれば、後段側の増幅器が2段以上であってもよい。
【0037】
以上説明したように、実施の形態5のドハティ増幅器によれば、縦続接続する最前段のキャリア増幅器及びピーク増幅器を複数の単位ドハティ増幅器における後段側のキャリア増幅器及びピーク増幅器で共用するようにしたので、ドハティ増幅器の大型化を抑えながら高利得化を図ることができる。
【0038】
また、実施の形態5のドハティ増幅器によれば、共用する最前段のキャリア増幅器とピーク増幅器を、それぞれの入力側が対向して設置するようにしたので、クロス配線を防止することができるため、構成が複雑化するのを防止することができる。
【0039】
尚、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1a,1b キャリア増幅器、2a,2b ピーク増幅器、3 1/4波長線路(第1の1/4波長線路)、4 入力端子、5,5a,5b 信号分配器、6a,6b 1/4波長線路(第2の1/4波長線路)、7,9 信号合成器、8 出力端子、100a,100b,100c,100d 単位ドハティ増幅器。
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力側の周波数依存性を低減することで、広帯域な特性を有する高出力ドハティ増幅器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
増幅する信号のピーク電力と平均電力の比であるクレストファクターの増加に伴い、ドハティ増幅器には一層の高出力化が求められている。ドハティ増幅器の高出力化に伴い、トランジスタのインピーダンス低下や接続用線路長の伸長により狭帯域化する問題がある。特に信号の波長に対する線路長が数GHz帯以上の高周波では相対的に長くなるため、線路長の伸長による狭帯域化が深刻な問題となる。そのため、数GHz以上の周波数では高出力化と広帯域化の両立が強く求められている。
【0003】
従来のドハティ増幅器として、高出力化を図るため、キャリア増幅器およびピーク増幅器をそれぞれ二つのトランジスタで構成したものがあった(例えば、特許文献1参照)。図7は、その出力側構成を示し、図8に全体回路構成を示す。これらの図に示すように、ドハティ増幅器は、二つのトランジスタ201aを並列接続したキャリア増幅器202と、二つのトランジスタ201bを並列接続したピーク増幅器203と、これらキャリア増幅器202の出力とピーク増幅器203の出力を送出するための出力端子204と、これらキャリア増幅器202とピーク増幅器203とに信号を入力するための入力端子205と、キャリア増幅器202と出力端子204間に設けられ、動作周波数で1/4波長となる1/4波長線路206とを備えている。尚、このようなドハティ増幅器を従来例1とする。
【0004】
このように構成された従来例1のドハティ増幅器は、キャリア増幅段とピーク増幅段で構成されるが、キャリア増幅段は入力信号が小さいとき(以下、「小信号時」という)に線形性を確保するために、ピーク増幅段は入力信号が大きいとき(以下、「大信号時」という)に飽和電力を確保するために使用される。キャリア増幅段は、通常A級からAB級ないしはB級にバイアスされるため、入力信号のレベルにかかわらず増幅を行い出力する。ピーク増幅段は、通常C級にバイアスされるため、小信号時は非動作状態となり、大信号時には動作状態となって信号を増幅し出力する。即ち、小信号時はキャリア増幅器202のみの動作となるので、高効率動作となり、大信号時はキャリア増幅器202とピーク増幅器203の出力が合成されるので高い飽和電力が確保される。
【0005】
また、従来例2として図9に示すようなドハティ増幅器があった。このドハティ増幅器は、例えば、特許文献2に記載されたようなドハティ増幅器であり、一つのキャリア増幅器202と一つのピーク増幅器203とからなる回路を単位ドハティ増幅器209a(209b)とし、二つの単位ドハティ増幅器209a,209bからの出力を合成するようにしたものである。即ち、入力端子205からの信号を、分配器207によってそれぞれの単位ドハティ増幅器209a,209bに分配し、それぞれの単位ドハティ増幅器209a,209bの出力を合成器208を介して出力端子204から出力する。また、それぞれの単位ドハティ増幅器209a,209bでは、ピーク増幅器203の入力側に1/4波長線路206を接続すると共に、キャリア増幅器202の出力側に1/4波長線路206を接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−11186号公報
【特許文献2】特開2006−67176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ドハティ増幅器の高出力化を図る方法として、(1)高出力なトランジスタを用いる方法、(2)複数個のトランジスタを並列接続して高出力化する方法、(3)複数の単位ドハティ増幅器を並列接続する方法が挙げられる。(2)の方法は上記の従来例1、(3)の方法は従来例2に相当する。
【0008】
(1)の方法による高出力化は、小型で高出力な特性を容易に実現できる利点はあるものの、放熱能力の問題からトランジスタ単体の高出力化には限度があり、十分な高出力化が図れない問題がある。また、(2)の方法による高出力化は、並列接続するトランジスタ数を増加させることで容易に高出力化が図れる利点がある。しかしながら、トランジスタの出力を合成する回路を含むため、キャリア増幅器202およびピーク増幅器203を構成するトランジスタから単位ドハティ増幅器の出力端までの線路長が長くなり、狭帯域化するという問題があった。一方、(3)の方法による高出力化は、単位ドハティ増幅器209a,209bの出力を合成するため、単位ドハティ増幅器209a,209bの出力端からトランジスタまでの線路長が変化せず、狭帯域化しない利点がある。しかしながら、従来例2の構成では、その入力側に、単位ドハティ増幅器の数だけ1/4波長線路206を必要とするため、ドハティ増幅器が大型化する問題があった。
【0009】
上記(2)の方法の問題点として、ピーク増幅器を構成するトランジスタから単位ドハティ増幅器の出力端までの線路長が長くなることに伴い、高出力ドハティ増幅器が狭帯域化することを以下に示す。
図9に示す従来例2のドハティ増幅器では、入力側に複数の1/4波長線路206を必要とするため、大型化する問題があるものの、ピーク増幅器203と単位ドハティ増幅器209a,209bの出力端は直結されている。小信号時に単位ドハティ増幅器の出力端からピーク増幅器203のトランジスタを見込んだ出力反射特性を図10に示す。中心周波数である14.25GHzではピーク増幅器203の出力インピーダンスはほぼオープンに近い状態となっており、小信号時はピーク増幅器203がキャリア増幅器202の動作に影響を与えない状態になっている。このとき、0.25GHz離れた14.0GHzおよび14.5GHzでの反射位相は+55,−58degになっている。
図11に従来例2の高出力ドハティ増幅器の小信号利得を示す。14〜14.5GHzにおいて平坦な利得特性が得られていることが確認できる。
【0010】
一方、図8に示した従来例1のドハティ増幅器は、トランジスタの合成回路がドハティ増幅器内部に含まれている。小信号時に出力端子204からピーク増幅器203のトランジスタを見込んだ出力反射特性を図12に示す。0.25GHz離れた14.0GHzおよび14.5GHzでは反射位相が+70,−78degになっており、短絡状態に近づいていることがわかる。図13に従来例1の高出力ドハティ増幅器の小信号利得を示す。14.5GHzにおいて利得が低下しており、狭帯域化していることがわかる。
【0011】
このように、従来のドハティ増幅器では、広帯域化と小型化とを両立することが困難であった。
【0012】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、広帯域化と小型化を図ることのできるドハティ増幅器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明に係るドハティ増幅器は、一つのキャリア増幅器と一つのピーク増幅器で構成される回路を単位ドハティ増幅器とし、単位ドハティ増幅器を複数用いて構成するドハティ増幅器において、複数の単位ドハティ増幅器におけるピーク増幅器の入力側に設けられ、複数の単位ドハティ増幅器のピーク増幅器が共用する第1の1/4波長線路と、入力信号を、複数の単位ドハティ増幅器のキャリア増幅器に分配すると共に、第1の1/4波長線路を介して、複数の単位ドハティ増幅器のピーク増幅器に分配する信号分配器と、複数の単位ドハティ増幅器のキャリア増幅器の出力にそれぞれ接続された第2の1/4波長線路と、第2の1/4波長線路の出力と、複数の単位ドハティ増幅器のピーク増幅器の出力とを合成する信号合成器とを備えたものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明のドハティ増幅器は、複数の単位ドハティ増幅器のピーク増幅器が一つの1/4波長線路を共用するようにしたので、ドハティ増幅器として広帯域化と小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の実施の形態1によるドハティ増幅器を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態2によるドハティ増幅器を示す構成図である。
【図3】この発明の実施の形態3によるドハティ増幅器を示す構成図である。
【図4】この発明の実施の形態3によるドハティ増幅器の他の例を示す構成図である。
【図5】この発明の実施の形態4によるドハティ増幅器を示す構成図である。
【図6】この発明の実施の形態5によるドハティ増幅器を示す構成図である。
【図7】従来例1のドハティ増幅器の出力側を示す構成図である。
【図8】従来例1のドハティ増幅器を示す構成図である。
【図9】従来例2のドハティ増幅器を示す構成図である。
【図10】従来例2における小信号時に単位ドハティ増幅器の出力端からピーク増幅器のトランジスタを見込んだ出力反射特性を示す説明図である。
【図11】従来例2における小信号利得を示す説明図である。
【図12】従来例1における小信号時に出力端子からピーク増幅器のトランジスタを見込んだ出力反射特性を示す説明図である。
【図13】従来例1における小信号利得を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるドハティ増幅器を示す構成図である。
図1に示すドハティ増幅器は、単位ドハティ増幅器100aとして、キャリア増幅器1aとピーク増幅器2aを備え、単位ドハティ増幅器100bとして、キャリア増幅器1bとピーク増幅器2bを備えている。それぞれの単位ドハティ増幅器100a,100bにおけるピーク増幅器2a,2bの入力側には共通の1/4波長線路(第1の1/4波長線路)3が設けられている。また、この1/4波長線路3の入力およびキャリア増幅器1a,1bの入力と、入力端子4との間に、信号分配器5が設けられている。この信号分配器5は、入力端子4からの入力信号を、単位ドハティ増幅器100a,100bにおけるそれぞれのキャリア増幅器1a,1bに分配すると共に、1/4波長線路3を介して、単位ドハティ増幅器100a,100bにおけるそれぞれのピーク増幅器2a,2bに分配するもので、1/4波長線路を用いて構成されている。
【0017】
キャリア増幅器1a,1bの出力には、それぞれ1/4波長線路(第2の1/4波長線路)6a,6bが接続され、1/4波長線路6a,6bの出力とピーク増幅器2a,2bの出力とが信号合成器7に入力されるよう構成されている。信号合成器7は、1/4波長線路6a,6bの出力と、ピーク増幅器2a,2bの出力とを合成して、出力端子8に出力するもので、1/4波長線路を用いて構成されている。また、それぞれの単位ドハティ増幅器100a,100bにおける群遅延時間はほぼ等しくなるよう構成されている。
【0018】
このように構成されたドハティ増幅器では、キャリア増幅器1a,1bは、A級からAB級あるいはB級にバイアスされ、入力信号のレベルにかかわらず増幅を行い、出力信号は、1/4波長線路6a,6bを介して信号合成器7に入力され、信号合成器7から出力端子8に出力される。一方、ピーク増幅器2a,2bはC級にバイアスされ、小信号時は非動作状態となり、大信号時は動作状態となって信号を増幅し出力する。このような動作は従来と同様である。
【0019】
実施の形態1では、出力側は、二つの単位ドハティ増幅器100a,100bを合成する構成とすることで、ピーク増幅器2a,2bを構成するトランジスタから単位ドハティ増幅器100a,100bの出力端までの線路長が長くなるのを防止し、広帯域化を図ることができる。また、入力側は1/4波長線路3を互いに単位ドハティ増幅器100a,100bで共用することで、単位ドハティ増幅器100a,100bを合成する際に問題となる大型化を防止することができる。これにより、小型で広帯域な高出力ドハティ増幅器を実現することができる。
【0020】
尚、実施の形態1では、単位ドハティ増幅器100a,100bの入力側と出力側に1/4波長線路からなる信号分配器5と信号合成器7とが接続されているが、1/4波長の奇数倍の線路を接続しても良い。また、1/4波長線路3,6a,6bは、ピーク増幅器2a,2bの入力側およびキャリア増幅器1a,1bの出力側に接続されているが、ピーク増幅器2a,2bの出力側およびキャリア増幅器1a,1bの入力側に接続したインバーテッドドハティ増幅器でも良い。このようにインバーテッドドハティ増幅器とすることで、キャリア増幅器1a,1bの線路長を1/2波長にすることなく、ドハティ増幅器を実現することができ、小型で高効率な増幅器を実現することができる。さらに、単位ドハティ増幅器100a,100bの入力側と出力側に接続された信号分配器5と信号合成器7の線路の短縮化を図るため、1/4波長線路をローパスフィルタやハイパスフィルタ等を用いて集中定数化してもよい。
【0021】
以上説明したように、実施の形態1のドハティ増幅器によれば、一つのキャリア増幅器と一つのピーク増幅器で構成される回路を単位ドハティ増幅器とし、単位ドハティ増幅器を複数用いて構成するドハティ増幅器において、複数の単位ドハティ増幅器におけるピーク増幅器の入力側に設けられ、複数の単位ドハティ増幅器のピーク増幅器が共用する第1の1/4波長線路と、入力信号を、複数の単位ドハティ増幅器のキャリア増幅器に分配すると共に、第1の1/4波長線路を介して、複数の単位ドハティ増幅器のピーク増幅器に分配する信号分配器と、複数の単位ドハティ増幅器のキャリア増幅器の出力にそれぞれ接続された第2の1/4波長線路と、第2の1/4波長線路の出力と、複数の単位ドハティ増幅器のピーク増幅器の出力とを合成する信号合成器とを備えたので、広帯域化と小型化を図ることができる。
【0022】
実施の形態2.
図2は、実施の形態2におけるドハティ増幅器を示す構成図である。
実施の形態2のドハティ増幅器は、2^n(nは自然数)個の単位ドハティ増幅器を用いる例であり、図示例では、22個の単位ドハティ増幅器100a,100b,100c,100dを用いる場合を示している。即ち、実施の形態2では実施の形態1のドハティ増幅器を2組備えており、単位ドハティ増幅器100a,100bの構成は、実施の形態1と同様である。また、単位ドハティ増幅器100c,100dの構成は、単位ドハティ増幅器100a,100bと同様である。また、信号分配器5は、入力端子4から入力された信号を、各単位ドハティ増幅器100a〜100dのキャリア増幅器1a,1bと1/4波長線路3とに分配するもので、1/4波長線路を用いて構成されている。更に、信号合成器7は、各単位ドハティ増幅器100a〜100dにおける1/4波長線路6a,6bの出力と、ピーク増幅器2a,2bの出力とを合成して出力端子8に出力するもので、1/4波長線路を用いて構成されている。
【0023】
このように構成されたドハティ増幅器における基本的な動作は実施の形態1と同様であり、各単位ドハティ増幅器100a〜100dの出力が合成されて出力される。
【0024】
以上説明したように、実施の形態2のドハティ増幅器によれば、2^n(nは自然数)個の単位ドハティ増幅器を有するようにしたので、ドハティ増幅器としてさらに高出力化を図ることができる。
【0025】
実施の形態3.
図3は、実施の形態3のドハティ増幅器を示す構成図である。
実施の形態3のドハティ増幅器は、それぞれの単位ドハティ増幅器100a,100bにおいて、キャリア増幅器1a,1bとピーク増幅器2a,2bの出力側を対向設置するようにしたものである。即ち、キャリア増幅器1a,1bの出力側とピーク増幅器2a,2bの出力側とが対向するようトランジスタを設置し、これらの間に1/4波長線路6a,6bを接続する。また、1/4波長線路6a,6bとピーク増幅器2a,2bの出力との接続点と出力端子8との間に信号合成器7を接続する。尚、信号分配器5aは、入力端子4からの信号をキャリア増幅器1a,1bに分配する分配器であり、信号分配器5bは、1/4波長線路3の出力信号をピーク増幅器2a,2bへ分配する分配器である。
実施の形態3のドハティ増幅器の動作は実施の形態1と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0026】
このように、実施の形態3のドハティ増幅器では、キャリア増幅器1a,1bの出力側とピーク増幅器2a,2bの出力側とを対向設置したため、これらキャリア増幅器1a,1bおよびピーク増幅器2a,2bの入力側を外側とすることができる。従って、実施の形態1,2に示すような入力側のクロス配線を解消することができ、構成を簡素化することができる。
【0027】
また、図4に示すように、単位ドハティ増幅器100a,100bの出力を、1/2波長線路からなる信号合成器9で接続し、電力合成することで、図3に示すような出力側のクロス配線も解消することができ、構成を一層簡素化することができる。
【0028】
以上説明したように、実施の形態3のドハティ増幅器によれば、それぞれの単位ドハティ増幅器におけるキャリア増幅器の出力側とピーク増幅器の出力側とをそれぞれ対向するよう設置し、かつ、キャリア増幅器とピーク増幅器との間に第2の1/4波長線路を接続したので、クロス配線を削減することができ、構成を簡素化することができる。
【0029】
実施の形態4.
図5は、実施の形態4のドハティ増幅器を示す構成図である。
実施の形態4のドハティ増幅器は、単位ドハティ増幅器におけるキャリア増幅器とピーク増幅器とを縦続接続したものであり、図示例では、二つが縦続接続されている例を示している。
【0030】
図5において、ドライバ増幅器10a,10bは、キャリア増幅器1a,1bに縦続接続される前段側のキャリア増幅器であり、ドライバ増幅器11a,11bは、ピーク増幅器2a,2bに縦続接続される前段側のピーク増幅器である。その他の構成は、実施の形態3の図4に示した構成と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。尚、実施の形態4のように、増幅器が多段接続された場合、単位ドハティ増幅器における最終段のキャリア増幅器1a,1bとピーク増幅器2a,2bとが対向設置されることになる。
【0031】
実施の形態4のドハティ増幅器の基本的な動作は実施の形態1と同様であるが、キャリア増幅器1a,1bとピーク増幅器2a,2bとが縦続接続されているため、より高利得化することができる。
【0032】
尚、上記実施の形態4では、図4の構成に適用した例を示したが、図1〜図3の構成に対して適用することも可能である。
【0033】
以上説明したように、実施の形態4のドハティ増幅器によれば、一つのキャリア増幅器及び一つのピーク増幅器に代えて、縦続接続した複数のキャリア増幅器及び縦続接続した複数のピーク増幅器により、単位ドハティ増幅器を構成するようにしたので、ドハティ増幅器としてより高利得化することができる。
【0034】
実施の形態5.
図6は、実施の形態5のドハティ増幅器を示す構成図である。
実施の形態5のドハティ増幅器は、実施の形態4におけるドライバ増幅器を共用するようにしたものであり、実施の形態4におけるドライバ増幅器10a,10bがドライバ増幅器12に、ドライバ増幅器11a,11bがドライバ増幅器13に対応している。即ち、入力端子4と信号分配器5aとの間にドライバ増幅器12が接続され、このドライバ増幅器12をキャリア増幅器1a,1bが共用する。また、1/4波長線路3と信号分配器5bとの間にドライバ増幅器13が接続され、このドライバ増幅器13をピーク増幅器2a,2bが共用する。さらに、これらドライバ増幅器12とドライバ増幅器13とはそれぞれの入力側が対向するよう設置されている。その他の構成は実施の形態3の図4に示す構成と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0035】
実施の形態5のドハティ増幅器の基本的な動作は実施の形態4と同様であるが、キャリア増幅器1a,1bとピーク増幅器2a,2bの最前段の増幅器を共用しているため、ドライバ増幅器の台数を削減し、装置の大型化を抑えながら高利得化を図ることができる。
【0036】
尚、上記実施の形態5では、図4の構成に適用した例を示したが、図1〜図3の構成に対してドライバ増幅器12,13を適用することも可能である。また、最前段の増幅器を共用する構成であれば、後段側の増幅器が2段以上であってもよい。
【0037】
以上説明したように、実施の形態5のドハティ増幅器によれば、縦続接続する最前段のキャリア増幅器及びピーク増幅器を複数の単位ドハティ増幅器における後段側のキャリア増幅器及びピーク増幅器で共用するようにしたので、ドハティ増幅器の大型化を抑えながら高利得化を図ることができる。
【0038】
また、実施の形態5のドハティ増幅器によれば、共用する最前段のキャリア増幅器とピーク増幅器を、それぞれの入力側が対向して設置するようにしたので、クロス配線を防止することができるため、構成が複雑化するのを防止することができる。
【0039】
尚、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1a,1b キャリア増幅器、2a,2b ピーク増幅器、3 1/4波長線路(第1の1/4波長線路)、4 入力端子、5,5a,5b 信号分配器、6a,6b 1/4波長線路(第2の1/4波長線路)、7,9 信号合成器、8 出力端子、100a,100b,100c,100d 単位ドハティ増幅器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つのキャリア増幅器と一つのピーク増幅器で構成される回路を単位ドハティ増幅器とし、当該単位ドハティ増幅器を複数用いて構成するドハティ増幅器において、
前記複数の単位ドハティ増幅器におけるピーク増幅器の入力側に設けられ、前記複数の単位ドハティ増幅器のピーク増幅器が共用する第1の1/4波長線路と、
入力信号を、前記複数の単位ドハティ増幅器のキャリア増幅器に分配すると共に、前記第1の1/4波長線路を介して、前記複数の単位ドハティ増幅器のピーク増幅器に分配する信号分配器と、
前記複数の単位ドハティ増幅器のキャリア増幅器の出力にそれぞれ接続された第2の1/4波長線路と、
前記第2の1/4波長線路の出力と、前記複数の単位ドハティ増幅器のピーク増幅器の出力とを合成する信号合成器とを備えたドハティ増幅器。
【請求項2】
2^n(nは自然数)個の単位ドハティ増幅器を有することを特徴とする請求項1記載のドハティ増幅器。
【請求項3】
それぞれの単位ドハティ増幅器におけるキャリア増幅器の出力側とピーク増幅器の出力側とをそれぞれ対向するよう設置し、かつ、前記キャリア増幅器と前記ピーク増幅器との間に第2の1/4波長線路を接続したことを特徴とする請求項1または請求項2記載のドハティ増幅器。
【請求項4】
一つのキャリア増幅器及び一つのピーク増幅器に代えて、縦続接続した複数のキャリア増幅器及び縦続接続した複数のピーク増幅器により、単位ドハティ増幅器を構成することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載のドハティ増幅器。
【請求項5】
縦続接続する最前段のキャリア増幅器及びピーク増幅器を複数の単位ドハティ増幅器における後段側のキャリア増幅器及びピーク増幅器で共用することを特徴とする請求項4記載のドハティ増幅器。
【請求項6】
共用する最前段のキャリア増幅器とピーク増幅器は、それぞれの入力側が対向して設置されることを特徴とする請求項5記載のドハティ増幅器。
【請求項1】
一つのキャリア増幅器と一つのピーク増幅器で構成される回路を単位ドハティ増幅器とし、当該単位ドハティ増幅器を複数用いて構成するドハティ増幅器において、
前記複数の単位ドハティ増幅器におけるピーク増幅器の入力側に設けられ、前記複数の単位ドハティ増幅器のピーク増幅器が共用する第1の1/4波長線路と、
入力信号を、前記複数の単位ドハティ増幅器のキャリア増幅器に分配すると共に、前記第1の1/4波長線路を介して、前記複数の単位ドハティ増幅器のピーク増幅器に分配する信号分配器と、
前記複数の単位ドハティ増幅器のキャリア増幅器の出力にそれぞれ接続された第2の1/4波長線路と、
前記第2の1/4波長線路の出力と、前記複数の単位ドハティ増幅器のピーク増幅器の出力とを合成する信号合成器とを備えたドハティ増幅器。
【請求項2】
2^n(nは自然数)個の単位ドハティ増幅器を有することを特徴とする請求項1記載のドハティ増幅器。
【請求項3】
それぞれの単位ドハティ増幅器におけるキャリア増幅器の出力側とピーク増幅器の出力側とをそれぞれ対向するよう設置し、かつ、前記キャリア増幅器と前記ピーク増幅器との間に第2の1/4波長線路を接続したことを特徴とする請求項1または請求項2記載のドハティ増幅器。
【請求項4】
一つのキャリア増幅器及び一つのピーク増幅器に代えて、縦続接続した複数のキャリア増幅器及び縦続接続した複数のピーク増幅器により、単位ドハティ増幅器を構成することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載のドハティ増幅器。
【請求項5】
縦続接続する最前段のキャリア増幅器及びピーク増幅器を複数の単位ドハティ増幅器における後段側のキャリア増幅器及びピーク増幅器で共用することを特徴とする請求項4記載のドハティ増幅器。
【請求項6】
共用する最前段のキャリア増幅器とピーク増幅器は、それぞれの入力側が対向して設置されることを特徴とする請求項5記載のドハティ増幅器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−235382(P2012−235382A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103577(P2011−103577)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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